画像処理装置及びその方法
システム(100)は,サンプル(110)を通して送信器(105)から受信した超音波エネルギーの量を測定するために,焦電層(122)と超音波吸収体(123)を使用する。焦電層(122)の熱応答は,超音波の時間平均強度に敏感であるが,超音波の位相には反応しない。波形(200)は,送信器(105)の遷移のオン/オフに応答する際の焦電層(122)からの応答である,上昇(210),ピーク(220)及び,減衰部(230)を示している。システム(300)は,送信器(105)のオン/オフを自動的に変えるピーク検出器(333)を使用している。システム(400)は不要な加速度計によるノイズや,電気的ノイズを除去するために,バックグラウンド除去回路(444)がある。多素子超音波センサー(520)は,ダミーセンサー(521b)がセンサー素子(521a)の不要な加速度計の検出感度を補正するために使用できるようなキャビティ(555)を有している。センサー(620)は,不要な加速度計の検出感度を補正するために,超音波吸収する(もしくは反射する)領域(660)を有している。システム(900)は焦電効果に敏感な低周波のパス(909),及び音圧の振幅に敏感な高周波パス(919)を有している。センサー(1020)は,非分極領域(1098)で区切られた分極した領域(1099)を有する焦電体(1022)を有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,超音波受信器と同様に,画像処理装置と方法,及びサンプルの性質を測定するためのシステムに関するものである。この実施形態に限られたものではないが,特に,本発明で述べられている好ましい実施形態は,サンプルの超音波吸収の空間的分布を測定することによる超音波画像処理と,非検出感度の超音波画像処理の段階に関する。
【背景技術】
【0002】
典型的な超音波医療用画像処理装置は,圧電材料から作られている変換器を使用している。単一の変換器は,低レベルの音響反射や組織からの散乱を画像にするために,または,変速装置を介して,第2の変換器を使用してサンプルを通過する音響のシグナルを検出するために,パルスエコモードで動作させることができる。変換器の電気出力は,圧縮的かつ希薄閉鎖的な音波の半サイクルと区別することができるように,フェーズに敏感であると言われている。通常,これらのフェーズに敏感な変換器の素子のアレイは,超音波エネルギー源と放出された超音を検出するために使用される変換器レイの間の超音波空間的配置を推定するために使用される。これは,2次元または3次元のトモグラフィー(断層撮影)再構成の技術を使って行うことができる。作りだされたイメージの正確さは,異なる組織の素子間の界面における音波の屈折と反射によって分解される。受信変換器の出力は,表面の平均的な圧力に依存し,画像は,変換器に到達する音響信号の異なるフェーズのため,フェーズに起因する打ち消しの影響を受けやすくなる。これは,組織の異なる成分が音のスピードをわずかに変えることにより生じる。フェーズに敏感な検出器の特徴は,それらは通常,通常は,周波数ミキサと復調器といった複雑で高価な信号張設回路を必要とすることである。
【0003】
国際公開第03/044473号は試験装置によって放出される超音波パワーを測定するための超音波パワーメーターを開示している。メーターは,ポリウレタン材料から形成された超音波吸収剤が配置されているチャンバーを形成するケーシングが含まれている。吸収剤を覆うことは,焦電検出器として機能するポリフッ化ビニリデンの膜である。メーターはさらに,試験デバイスから放出される超音波エネルギーの伝達を可能にするために,移送媒体,水を含んでいる。国際公開第03/044473号に開示されているセンサーは,本明細書に開示される装置のいくつかの実施形態で使用される。
【0004】
「新規焦電型長音波変換器の出力パワーを決定する方法:装置のコンセプト,モデル,及び予備調査」超音波,強誘電体,及び周波数制御に関する2007年11月11日のvol54,No11のIEEE論文誌には,超音波変換器によって生成される音響出力電飾をモニタリングする熱的方法が開示されている。それは,ポリフッ化ビニリデン(PVDF)の薄い膜の焦電特性を活用している。膜は,ウレタンゴムの厚い層に支えられている。ウレタンゴムの厚い層は,適用される音響パワーの大部分は膜を支えているインターフェースの数ミリメートル以内に吸収され,その結果,超音波にまで減衰されている。膜の温度で得られる急速な増加を介して,電圧は電極間で発生する。電圧の大きさは,時間に対する温度の変化率に比例する。この論文に開示されてセンサーの設計は,本明細書に開示されるいくつかの実施形態で使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第03/044473号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】2007年11月11日,vol54,No11,IEEE論文誌
【発明の概要】
【0007】
本発明は,患者のインスタンス,改良されたサンプル固有の特性の測定システム,サンプルを透過する超音波測定するための改良されたシステム,及び改良された超音波受信器のためにサンプルの改良された画像処理を提供することを目的としている。特に好ましい実施形態は,組織の信頼性の高い画像を提供できる医療用画像処理であり,例えば,組織の異常増殖,特に癌の増殖の検出には,既存の画像処理技術の欠点を示すことなく行うことができる。
【0008】
本発明の態様によれば,提供されている画像処理装置は,画像処理領域に超音波ビームを被覆させるために,操作可能である少なくとも一つの超音波送信器と,少なくとも一つの超音波受信器を有しており,ここでは,両方又はそれぞれの超音波受信器は送信器によって作りだされる超音波場の強度の検出感度が高い。ここでは,少なくとも一つの超音波受信器画像処理領域の一部に超音波場を感知するように配置され,信号処理回路は,信号を処理するように動作し,また,両方又はそれぞれの超音波受信器は,画像処理領域の計測した強度を算出する。
【0009】
本発明の装置は好ましくは,医療用画像処理装置である。
【0010】
本発明のいくつかの態様及び実施形態の利点は,超音波の強度の検出感度が高く,かつフェーズに対しては検出感度が高くないことである。既知の超音波画像処理装置は(例えば,医療超音波検査用など),フェーズの検出感度が高いため,フェーズに検出感度の高い装置で作られた画像は,音の速度,吸収及び密度が異なった音響特性を有する組織を通過する際の不均一性のため劣化する。屈折,反射,回折といった効果は,波形及び波面収差につながる。既知の超音波装置は,通常,フェーズの収差を減らすことによって,画質を向上信号の後処理が必要となる。一方,本発明のいくつかの実施形態では,測定対照サンプルの超音波吸収特性のより正確な空間的なマップを提供する目的で,信号を伝えるサンプルボリューム透過する時間平均の超音波強度の分布を測定する
【0011】
本発明の実施形態は,人間の組織特性を測定するために使用される。例えば,3次元トモグラフィー(断層撮影)の再構成方法を介したマンモグラフィー,または動物の組織の特性,またはエンジニアリングの部品の欠陥の検出,例えば,ひび割れや溶接の欠陥を検出することに使用される。このように,本明細書では,フェーズに検出感度の高くない超音波画像処理のシステム,及び方法が開示されている。これは,組織が不均一であるときに特に効果的である。組織が不均一性は,組織を通る超音波の音の速度の変化の結果としてフェーズに検出感度の高いシステムの異常につながるものである。好ましい実施形態では,できるだけ小さなセンサーを使用して,「ポイント」測定を提供することができる。一例として,2mm未満,好ましくは1mmまたは0.5mm未満,及び,0.4mm程度の直径を有するセンサーが使用される。このようなセンサーは,圧力に反応する既存のセンサー技術とは対照的に強度に応答する。実際には,このような小さなセンサーは,検出面積にわたって平均化される電界強度に応答する。
【0012】
技術の実用的応用は,病理的変化を検出するために組織を通過した超音波ビームの画像処理を可能にする変換器(受信器)の2次元(または3次元)配列を形成するために使用することが想定される。医療用超音波スキャンのための既存の変換器は,フェーズに検出感度が高い圧電素子で形成されており,このような画像は,組織を通過する際,回折と波形の異常の不均一性による,このようなフェーズの高検出感度によって劣化することが知られている。実際には,信号の後処理のアプローチは,フェーズに対する検出感度を減らし,画質を改善し,そして臨床診断を強化するために必要である。本明細書では2次元の強度に検出感度の高い直線上の配列が開示され,フェーズの検出感度を少なくすることができる。
【0013】
好ましい実施形態では,0.5から3MHzの周波数が,画像処理のために選択される。これは,従来の画像処理システムよりもかなり低い周波数である。ビームのエネルギーは,例えば,対象の周波数において100サイクルを超えるために,長いバーストで領域を形成している。領域は,時間平均で約3ワット/cm2以下の強度を有し,50ミリワット/cm2から10ワット/cm2,さらに好ましくは,1ワット/cm2から5ワット/cm2の強度をとすることができる。
【0014】
本発明の別の実施形態によれば,サンプルの特性を測定するためのシステムが提供され,このシステムは,超音波送信器,超音波受信器を備え,ここでは,超音波受信器は,超音波の音場の時間平均強度に検出感度が高い。システムは,サンプルを超音波送信器と超音波受信器の間に位置決めするポジショナーを備え,超音波受信器からの信号を処理するための信号処理回路を備える。
【0015】
本発明の別の実施形態によれば,サンプルの特性を測定するためのシステムは,超音波送信器,超音波受信器を備え,ここでは,超音波受信器は,超音波の音場の時間平均強度に検出感度が高い。システムは,超音波受信器からの信号を処理するための信号処理回路を備え,ここでは,信号処理回路は,まず,1つ以上の第1の特性を測定し,次いで,1つ以上の第2の特性を測定する。
【0016】
本発明の別の実施形態によれば,サンプルの特性を測定するためのシステムは,超音波送信器,超音波受信器を備え,ここでは,超音波受信器は超音波エネルギーの強度に検出感度が高い。システムは,超音波受信器からの信号を処理するための信号処理回路を備え,ここでは,信号処理回路は,信号の特徴を検出するような動作可能な検出器を備え,特徴に応じて超音波送信器を調節する。
【0017】
本発明の別の実施形態によれば,超音波受信器は超音波吸収体と,超音波吸収体を用いた熱の伝達における焦電超音波感知素子を備え,焦電補償素子は実質的には,超音波吸収体から熱的に分離されている。
【0018】
以下,図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は,超音波画像処理システムを示す。
【図2】図2は,図1の超音波受信器の波形を示す。
【図3】図3は,図2に示した波形をより詳細に示す。
【図4】図4は,測定されているサンプルの特性に応じて超音波送信器の入切をダイナミックに変えることができるシステムを示す。
【図5】図5は,超音波受信器の不要な加速度計の検出感度をゼロに校正するシステムを示す。
【図6】図6は,図5のシステムを用いた際の,波形の詳細を示す。
【図7】図7は,不要な加速度計の検出感度をゼロに校正することを可能にするキャビティをもつ超音波受信器の断面図を示す。
【図8】図8は,不要な加速度計の検出感度をゼロに校正することを可能にする吸収領域をもつ超音波受信器の断面図を示す。
【図9】図9は,フェーズに検出感度が高い超音波受信器及び,フェーズに検出感度が高くない両方の測定方法をもつ超音波受信器を用いたシステムを示す。
【図10】図10は,個別の分極領域を含む超音波受信器の配列の透視断面図を示す。
【図11】図11は,マンモグラフィー装置の実施例の描画である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は,超音波画像処理システム100を示す。システム100は,サンプル110を通過して,超音波受信配列120に超音波エネルギーを放出する超音波送信器105を含む。超音波受信配列120は,超音波受信素子121a,121bの複数で構成されている。この素子は,センサー材料の単一のシートから形成されるか,または,複数の膜をラミネートすることによって形成される。2次元配列は,これらの膜のいずれかによって形成されてもよいし,または,2次元配列を形成するために別個で独立した素子の複数を固定することによって形成されてもよい。それはフラットであってもよいし,試験するサンプルのために適切な形状とすることができる。
【0021】
図1に示されている超音波受信配列120は,本実施形態では,超音波受信素子121a,121bの10×10の配列である。図1の左下の部分は,超音波受信配列120の断面図を示している。超音波受信配列120は,超音波吸収体123を覆う温度感受層122を含む。図1では,温度感受層122は,PVDF(ポリフッ化ビニリデン)などの分離している焦電素子を含む。他の実施形態では,層122は,セラミックとポリマーの混合物である圧電複合材料のような他の材料を含むことができる。PVDFは比較的安価であることと,応用に適した形で利用しやすい。いくつかの実施形態では,温度感受層122は,超音波吸収体123の表面に時間依存的温度を測定するような方法として設けられた熱電対,サーミスタ及び/または温度をモニタリングするダイオード(PN接合体)といった温度センサーを含んでも良い。
【0022】
図1は,超音波吸収体123が温度感受層122の背後(超音波発信器105から放出される超音波エネルギーから見て)にある層の形状を示している。超音波吸収体123は,入射する超音波エネルギーを吸収し,好ましくは,入射する超音波エネルギーが,使用可能な超音波の周波数の波長のいくつの波長の厚さ内で超音波吸収体123に完全に吸収されるような減衰をする(超音波は20kHz以上の周波数で使用され,10MHz以下の周波数の超音波を使用するのが一般的である。周波数は数MHzから数十MHzのものを使用することができる)。選ばれた周波数は,画像処理されるサンプルの音響特性に依存し,吸収体は画像を生成するために送信される十分なエネルギーを確保するのに十分に低い必要がある。組織の吸収は,例えば,周波数に比例して増加する。できる限り高い周波数が,隣接する組織,及び空間分解能を向上させるために使用されることが好ましい。
【0023】
温度感受層122は,実質的に全ての入射超音波エネルギーが温度感受層122を通過し,超音波吸収体123に吸収されるように,十分に薄いことが好ましい。超音波エネルギーは,超音波吸収体123の温度を増加させ(より正確には,超音波エネルギーは温度感受層122に接触している超音波吸収体123の表面の温度を上昇させる),この温度上昇は,温度感受層122によって検出される。
【0024】
温度感受層122は,超音波の波長と同定度の厚さのものであっても良い。より好ましくは,温度感受層122は,反射を低減するために,超音波の波長よりも薄くなる。例えば,1MHzの周波数の超音波は,水中で約1.5mmの波長を持っている。PVDF膜は,温度感受層122に使用される場合,PVDFフィルムは50μmの厚さを有してもよいし,超音波吸収体123は,10mmの厚さを有することができる。空気の小さな封入体,例えば,10から20μmの直径の気泡を有するポリウレタンゴムは,材料の吸音を高めるために,超音波吸収体123に使用することができる。他の材料は,吸音や熱のどちらかの特性最適化するために,この裏材に添加することができる。超音波受信配列120からの電気信号は信号処理回路125によって調整されている。当業者には理解されるように,このような回路は,電圧アンプ,チャージアンプ,フィルター(例えばローパス,ハイパスまたはバンドパスなど),およびデジタルコンバータ(ADCs)の類似体を含むことができる。サンプル110を表すデータは,サンプル110を介して変化するサンプル110の減衰方法の二次元マップを提供するために表示装置130に表示される。システム100がサンプル110に対して回転または移動する場合は,多くの測定がトモグラフィー(断層撮影)を再構成するために実施され,表示装置130はサンプル110を介して変化するサンプル110の減衰方法の3次元マップを表示するために使用される。
【0025】
焦電性材料は,焦電効果を発揮する。このように超音波受信素子121は,例えば,1MHzや,MHzの範囲の超音波が使用された場合,焦電効果によって,超音波の圧力に応じた信号を生成する。このMHzの範囲の信号は,超音波のフェーズに検出感度が高い。超音波受信素子121は,焦電効果のため,非常に低い周波数で信号を生成することができる。
【0026】
焦電効果は,センサーが接続されている計測機器の電気的な抵抗に依存して,焦電素子121の温度の変化率に比例して電化を生成することができる。超音波送信器105からの超音波の持続時間が続く間,焦電素子121を交差し,または水に入る熱伝導は,超音波吸収体123の加熱速度を徐々に減らし(より正確には,温度感受層122に接触している超音波吸収体123の表面の温度上昇率を減らし),その熱平行に達するように,サンプル110(または水などの媒体)を温める。センサーの容量と,電気容量,構成材料の熱容量などの電気的特性に依存して,アンプとして接続されている電子計測機器の抵抗に従って,素子121の熱時定数は一般的にミリ秒単位の,例えば50ミリ秒となる。従って,ローパスフィルターは,MHzの圧電信号をフィルタリングすることではなく,HzからkHzの間の範囲の焦電信号を通すために必要に応じて使用することができる。
【0027】
システム100は,サンプル110の,例えば癌領域または嚢胞115といった,組織サンプル中の不均一性を検出するために使用される。
【0028】
超音波送信器105が最初にオンの状態になると,超音波エネルギーはサンプル110を介して通過し,超音波受信配列120によって受信される,このことにより,組織サンプルを透過する音響強度の空間分布のスナップショットが提供される。任意の点における強度は,音響波面によって取得された組織のパスに依存し,これは,組織の構造に依存する。配列のいくつかの超音波受信素子121は,結果的に,部分的に癌領域115(癌領域115は,通常の組織よりもより多くの超音波を吸収する)によって不明瞭にされ,配列の他の素子と比較してこれらの素子121によってより少ない超音波エネルギーが受信される。超音波エネルギーは超音波吸収体123によって吸収され,10×10の超音波受信配列120の各超音波受信器素子121は,超音波吸収体123の各部分の温度上昇を計測する。癌組織は,通常の組織に比べてより多く,またはより少なく吸収されることがわかり,したがって,送信された画像は,隣接する組織との音響のコントラストに依存する。
【0029】
図1は,パス135a,135b,135cを示している。135aと135cは癌領域にぶつかっている。パス135bのみが正常組織を通過している。従って,135a,135cのパスに対応する超音波受信素子121は,パス135bに対応する超音波受信素子121よりも少ない超音波エネルギーを受け取る。
【0030】
サンプル110は,動きを防ぐために,クランプで保持されていても良い。サンプル110は乳腺組織を含む場合は,サンプル110はマンモグラフィー装置のような装置で保持されても良い(図11に示すように,以下でより詳細に説明する)。これは,患者の顔を下にして横たわらせ乳房を中央が水で満たされた容器に配置し,容器の壁の周りには,超音波受信器と送信器を配置し,3次元トモグラフィー(断層撮影)再構成のために必要とするデータを得るために乳房の周りをスキャンすることができる。
【0031】
水のような伝達流体は,サンプル110に超音波送信器105から超音波エネルギーのカップリングを改善するために使用され,及び/または,サンプル110から超音波受信配列120へのカップリングを改善するために使用される。水の接触媒質の媒体の性質は,生成された画像を改善するために修飾されることがある。例えば,空洞化の抑制剤または乳房組織のような音の速度を一致させる溶液を添加することによって改善される。
【0032】
他の応用では,サンプル110は,食品を含むことができ,例えばスープにおいては,システム100は,ガラスや金属などの異物を検出するために使用することができる。このような応用では,サンプル110は,超音波送信器105と超音波受信器120の間を,パイプ(図示せず)を介してポンピングされることがある。パイプは,パイプの壁を通して超音波のカップリングを改善するためにプラスチック(金属やガラスではなく)が用いられる。
【0033】
図1は,単一の超音波送信器105及び素子121の10×10配列を構成する超音波受信配列120を有しているシステム100を示している。他の配置では,超音波受信器配列120は,より多くのまたはより少ない素子121を有することができる。最小数は単一の素子121である。他の配置では,システム100は,2つまたはそれ以上の超音波送信器を有することができる。例えば,超音波送信器は,2つまたはそれ以上の素子を備える場合がある。2つ以上の超音波送信器が使用される場合,それらは,超音波受信器配列120に波面を向かわせるに段階的な配列の一部を形成することができる。さらに,送信器の素子は,周波数の範囲で駆動される単一の変換器を有するか,または,送信器配列内で1から3MHzの範囲で生成する音の異なる変換器を有することによって,2つ以上の周波数で超音波を送信することができる。単一の送信器105と,単一の受信素子121,及び複数の受信/送信配列を有する実施形態では,送信器105と受信素子121サンプル110をスキャンするために互いに相対的に移動することができる。あるいは,またはさらに,サンプル110は,送信器及び/または受信素子121に対して相対的に移動することができる。
【0034】
超音波受信配列120は,いくつかの配置において,一体化した信号処理回路125が設けられていても良い。信号処理回路125は,例えば,温度感受層122または超音波吸収層123の近くに設けられていても良い。このような一体化は,超音波受信素子121と信号処理回路125の間の配線の長さを短くすることができる利点を有し,長さを短くできることで,空電容量を低減し,及び/または外部の電気的干渉に対する検出感度を減らすことができる。
【0035】
図2は,方法の実施形態の結果である図1の超音波受信素子121からの波形200を示す。波形のこの形状は,一般的なものではないが,センサー自体だけでなく,計測方法の電気的特性に左右される。波形200は,温度変化率に対する焦電型超音波受信素子121の検出感度を示している。波形200は,上昇部210と,ピーク220,減衰部230,下降部240,負のピーク250,及び負の減衰部260を含んでおり,ここではセンサーは熱平衡に戻る。
【0036】
超音波送信器105が最初にオンの状態になると,超音波吸収体123の温度は,比較的急速に上昇し,超音波受信素子121が最初に大きな信号を与えるようにする。上昇部210の上昇時間は計測され,ある実施形態では50msである。ピーク220の後,超音波受信素子121の出力は徐々に減少し,減衰部230によって示される。減衰部230は,超音波吸収体123と超音波受信素子121から,周囲(例えば水などとカップリング流体)への熱エネルギーの消散によるものである。従って,超音波受信配列120の温度は上昇する速度は,徐々に減少し,超音波受信配列120は周囲と熱平衡に達する。
【0037】
超音波送信器105は,その後オフの状態になる。これは,超音波吸収体123と超音波受信素子121の温度を急速に低下させ,下降部240と負のピーク250を作り出す。負の減衰部260の絶対値(すなわち,−veの記号を無視した大きさ)は,徐々に減少し,超音波吸収体123と超音波受信素子121は周囲と熱平衡状態にとなる。超音波吸収プロセスがスイッチをオンまたはオフに切り替えによって熱源が提供された場合,上昇部210の大きさは,下降部240の大きさとほぼ同一である。それは,超音波吸収体123及び波受信素子121のウォームアップが,それらがクールダウンする速度に似ているからである。
【0038】
システム100のいくつかの実施形態は,画像を生成するために必要な時間とされる長さの時間に超音波送信器105をオン及びオフに変えることができる配置をとっている。図2はまた,上昇部270,ピーク272,減衰部274,下降部280,負のピーク282,及び負の減衰部284を示す。
【0039】
240,250,260の1つ以上の特徴に対応する,210,220,230の1つ以上の特徴はサンプル110に関する追加情報を取得するために使用することができる。いくつかの配置では,対応する特徴に代わりに,2つ以上の上昇部210,270(または負の減衰部230,284)の特徴が比較される。例えば,データの収集をスピードアップするために,スイッチをオンまたはスイッチをオフ(例えば10秒)した後のある時間におけるセンサーによって生成される信号のレベルは,配列120内にあるセンサー121の一部における時間平均強度の代表として取得される。
【0040】
このグラフの特徴は,図3においてより詳細に示されている。センサーによって提供される出力信号のそれぞれから,波形の重要な特性が抽出される。そこには多くの可能性があるが,2つの例は,スイッチをオンまたはオフにした時の電圧である。スイッチオフの電圧とは,超音波がスイッチオフされた瞬間から,全電圧を変化させたものと定義することに留意すべきであり,図2の電圧の最小値250,282及び,図3の詳細に示されている。原理的には,スイッチオン及びスイッチオフの電圧は実質的には等しいものであるが,サンプル100の音響の特性上,変化するまでに組織が加熱されている場合は異なる場合がある。
【0041】
時間TONにおいて,超音波がスイッチオンとなり,焦電圧が急激に増加する。これに先立って,読み取る電圧はバックグラウンドのノイズを取り除き,つまり周囲は0V(これをV0という)とする。焦電圧がスイッチオンの後に100ミリ秒程度で最大値に達すると,電圧のピークは特定の値V1となる。その後,電圧が徐々に減少し,熱平衡に近づく。スイッチオンがされた焦電圧はV1−V0によって与えられる。
【0042】
熱伝導メカニズムが有効になり始めると,温度上昇の速度が減少する。TOFFにおいて,超音波はスイッチオフとなり,焦電圧は直ちにスイッチをオフした時点のその値から低下する。
【0043】
スイッチオフの後の短い時間では(再び,100ミリ秒程度),焦電圧は上昇し,次いでゼロに向かった後に,焦電圧は最小値(V3)に達するスイッチオフとなった超電圧はV2−V3によって与えられる。
【0044】
図3に示す波形に含まれる周波数は,一般的には10Hz以下のものである。バックグラウンドは,i)バックグラウンドの振動(これらのいくつかは,焦電信号に干渉する周波数成分をもつ)の浮動,及び,ii)バックグラウンドの温度にける非常に遅い浮動,つまり,周波数が1Hz以下である浮動である。図3に示す例の波形は,周波数の範囲が1から3Hzの周波数成分を持っている。
【0045】
しばらくしてから(超音波送信器105を与えられた時間の間,オン及びオフにするように配置されているシステム100の実施例の間),介在しているサンプル110の温度及び(存在する場合)流体カップリングは,パス135に沿って通過する超音波エネルギーを部分的に吸収する。サンプルの115の領域は組織の癌領域を表すと仮定されている。
【0046】
また,いくつかの実施形態では,かなりの時間変換器をONの状態にし,パス内の組織の温度が上昇するようにすることができる。癌組織は,縮小血管がある場合があり,原則として,熱を分散しづらく,より加熱され,その結果,吸収係数が増加する。従って,変換器が5秒以上(例えば)の間存在していれば,スイッチオンとスイッチオフの電圧から生成される画像には違いが生じる。画像の違いは(スイッチオン−スイッチオフ),変換器と受信器の間にある組織の性質についてさらに明らかにする。さらなる可能性は,「組織加熱ビーム」が,組織の領域に適用できる変換器を分離したものにでき,または,ウォーターバスそれ自体が温度変化を調節できることものにすることである。別々の変換器が使用されている場合,これらは異なったタイプの変換器とすることができ,これは超音波変換器に限定されない。例えば,マイクロ波や光変換器が含まれる。
【0047】
超音波受信素子121は,270,272,274の特徴に対応し,及び/または280,282,284の特徴に対応する210,220,230の1つ以上の特徴と比較して,サンプル110の特性の温度による変化を示すことができる。例えば,サンプル110が組織の場合には,癌領域115はより加熱され,組織の癌領域ではない部分は加熱がされにくい。癌領域115にあるこのような音響吸収といった超音波の特性は,少なくとも部分的に温度に依存し,パス135a及びパス135c,ピーク220とピーク272に対応する超音波受信素子121が超音波の特性の変化は比較することで計測することができる。
【0048】
もちろん,超音波受信配列120の各超音波受信素子121からの信号は,独自の機能のセットを有している。図1のいくつかの実施形態では,与えられた超音波受信素子121は,異なるタイミングで機能が比較される。他の実施形態では,超音波受信素子121aの機能は,ある一時点において,その時から後の時点の超音波受信素子121bの機能と比較される。2つの温められた(スイッチオフ)画像と,温められていない(スイッチオフ)2つの画像の3次元断層画像は,サンプル110の構造についての詳細を明らかにする。
【0049】
図4を参照すると,ここでは,測定されるサンプルの特性に応じて,超音波送信器105をダイナミックにオンとオフを切り替えるシステム300が示されている。システム300は,ピーク220,272,及び負のピーク250,282を検出する。超音波送信器105は,正のピーク220,272が検出されるとオフに切り替わり,負のピーク250,282が検出されるとオンに切り替わる。
【0050】
超音波受信配列120のような焦電検出装置は,温度の変化の検出感度が高く,従って,システム300は,正/負のピークが検出されるとすぐに,送信器105はオン/オフを切り替え,オン/オフとオフ/オンが時間周期で切り替わる。
【0051】
システム300は,計測の信号とノイズの割合を改善(オン/オフの切り替わりを最大化する)するだけではなく,システム300はサンプル110を介する超音波波の伝播遅延を自動的に調整することができるという利点を有する。水を介しての伝播遅延は0.1ミリ秒のオーダーであるので,オンとオフのピークを確認するのに要する時間よりもはるかに小さくする必要がある。正確に変換器がオン,オフの切り替えがされたと知ることは,ピーク電圧を測定することによって見ることができることを意味する。それは,スイッチをオン,オフにした後の特定の時間の信号レベルのような特徴を調査することを容易にする。
【0052】
システム300の信号処理回路325は,ピーク検出器333を有しており,ピーク検出器333は,超音波送信器305のオンとオフを切り替える。他の実施形態では,ピーク検出器333が,超音波受信配列320からの波形の他の特徴を検出する他の検出器によって置き換わっている。例えば,検出器は上昇/下降部分の210,240,または減衰部分230,260を検出するものに置き換わる。他の実施形態では,超音波送信器305は,オフに切り替わらない代わりに,調節される。例えば,超音波送信器305は,100%のパワーで動作し,次いで,50%のパワーで動作し,その後増加して例えば100%のパワーに戻る。ここで使用されうるタイプの測定可能なパラメーターを生成することができるトランジスタ動作状態の変化が理解されるだろう。
【0053】
送信器配列の一つの実施形態では,超音波エネルギーは,2つの周波数以上で,例えば1MHzと3MHzの周波数で送信することができる。このような反射や屈折といった3次元トモグラフィー再構成のための超音波の使用に伴う中間生成物は,1MHzと3MHzにおいて画像を取得し,差分画像を形成することは,生成された画像のこれらの中間生成物の影響を減らす有効な手段となるように,周波数に弱くしか依存しない。
【0054】
図4のさらなる実施形態では,ピーク検出器333は,超音波受信配列320の単一素子321からの信号に基づいて,超音波送信器305を調節するように配置されている。別の実施形態では,ピーク検出器333は,2つ以上の素子321a,321bからの信号,または超音波受信配列320のすべての素子321からの信号を,超音波送信器305を調節するために統合したり,または結合したりする。複数の素子321からの信号を組み合わせたシステムは,超音波受信配列320の1つの素子321の障害が発生した場合の信頼性の向上を提供する。このようなシステムは,超音波送信器305から超音波エネルギーが,配列320の他の素子321が受信する前に,配列320の素子321で受信されることを可能とする。例えば図4に示すように,超音波送信器305からの波面は,配列320の中心にある素子321と比較して,配列320の角にある素子321までの方がわずかに多くの距離を移動する。
【0055】
図5を参照すると,ここには,超音波受信配列420が超音波受信配列420の温度において不要な加速度計の検出感度または浮動を取り除き,測定されるよう設計されているシステム400を示されている。焦電材料は,圧電されているため,超音波受信配列420は,加速度計としての検出感度を有している。システム400は不要な加速度計の信号と,必要な加速度計の信号を区別する。システム400は,構造的な振動から生じるバックグラウンドのノイズがある時には有益である。多くの実用的な応用として,バックグラウンドノイズに関するものがあり,全体のスキャンシステム/ガントリーは防振台に配置するか,バックグラウンドノイズの影響を軽減または最小化するための他の振動補正機構を設けることができる。
【0056】
システム400の信号処理回路425は,不要な加速度計のバックグラウンド信号を補正するために使用できるバックグラウンド除去回路444を有する。システム400は,バックグラウンド補正モードで動作し,ここでは,超音波送信器405はオフであり,超音波受信配列420からの信号は一定期間,計測さる。システム400では,その後の時間依存性を推定するためにこの情報を使用し,より具体的には,瞬時に信号レベルのピーク220を計測する。システム400は,その後に超音波送信器405をオンにし,超音波受信配列420からの(オンの)信号から推定されるバックグラウンド(オフの)の信号を減算する。このようにして加速度計の検出感度は補正される。このアプローチは,また,測定器のスイッチをオフするために使用され,例えば温度浮動といったバックグラウンド信号をゆっくりと変化させるために効果的である。
【0057】
いくつかの実施形態では,加速度計のバックグラウンド信号に含まれる周波数成分は,目的の焦電信号と干渉し合う。ある実施形態では,システムは,焦電信号がセンサーの大部分で測定されると同時に(またはできるだけ近い点で),」1つ以上の個々のセンサーのバックグラウンドの出力信号を測定することができる。このことは,後述する方法で,支持体の加熱の影響からバックグラウンドのセンサーを遮蔽することができる。このバックグラウンドの特性は,その振動全体の受信器配列の代表である単一のセンサーから取得しても良いし,配列全体に分散したいくつかのセンサーからの信号の平均を取得しても良い。補正された信号は,単に,時間依存的な焦電的アクティブな「生きた」配列と,時間依存的なバックグラウンド信号の間の差異である。図3に示す波形の主な機能は,この振動補正配列から抽出される。
【0058】
図6は,超音波が一つのみに適用されている場所で,2つの電極を配置して使用する動作する方法を示している。超音波パワーから遮蔽されている参照電極は,バックグラウンドの振動信号を拾う。ローパスフィルターの面では,上部のカットオフは拾ってくる電気の幹線を最小限に抑えるため。20Hzとすることができる。図6は音響信号が伝えられる試験電極と,音響信号から遮蔽されている参照電極の間の2つのセンサー電極からの出力を示す。
【0059】
より具体的には,図6は熱硬化と(不要な)加速度計の効果の両方を含む超音波受信器からの測定された信号1005を示す。信号1006は,唯一加速度計の効果を含んでおり,これは加速度計の効果に対しての検出感度を減らすために信号1005から減算することができる。
【0060】
図5に示した配置では,バックグラウンドの除去回路444はバックグラウンドノイズを解析する。例えば,ノイズ信号が100Hz(例えば50Hzの電源変圧器からの機械的な振動)がある場合,バックグラウンド除去回路444は,100Hzのノイズ信号を決定し,100Hzのノイズ信号を除去する。図4の実施形態では,バックグラウンド除去回路444は,100Hzのノイズ信号を除去するフィルタノッチを使用し,このような実施形態では,100Hzの範囲内の必要な主御音波信号も除去されるという欠点を有する。従って,他の配置は,バックグラウンド除去回路は,100Hzの信号を除去するため100Hzの信号を合成し,長音波信号から合成した100Hzの信号を減算する。
【0061】
バックグラウンド除去回路444は,また,定期的に100Hzの合成信号は,バックグラウンドの加速度計の信号にフェーズロックされていることを保証するため,それ自身を再校正することがある。
【0062】
他の実施形態では,バックグラウンド除去回路444は,より頻繁に再校正される。例えば,システム300と400が統合された場合,ピーク検出器333は配置され,超音波送信器305/405のオンとオフをすばやく替えることの代わりに,各々のピークは減衰部230,160まで待たなければ得られず,サンプルのバックグラウンドのノイズ信号は増加する。
【0063】
バックグラウンド除去回路444は,システム400の非加速度計のバックグラウンドのノイズに対する検出感度を減らすことができ,例えば,電気的に超音波受信配列420に結つながっている余分な電気信号減らすことができる。
【0064】
図5の配置では,システム400は,超音波受信配列420(単一の長音波受信素子421aとは対照的に),バックグラウンド除去回路444は,単一の素子421aに基づいた,バックグラウンドノイズを補正することができ,または,421a,421bの2つの素子のノイズは個別に補正され,または,配列420は,別々に補正されている2つ以上の領域に分割することができる。
【0065】
図7を参照すると,ここでは,不要な加速度計の検出感度を取り除くためのキャビティ555を持っている超音波受信器520の断面図が示されている。超音波受信器520は,PVDFフィルム522を含み,PVDFフィルム522は,521a,521bなどの別の素子に分割されている。例えば素子521a及び521cといった素子のいくつかは,超音波吸収ポリウレタン層523を覆っている。この層は,超音波吸収を高めるために,好ましくは10から20μmの直径の気泡などの,空気の小さな介在物とウレタンゴムで形成されている。この層は,以下では,発泡体層として説明され,ポリウレタンゴムをなどの代替物を含む。
【0066】
例えば素子521aと521bといった他の素子は,各々,空のキャビティ555b,555dを覆っている。
【0067】
図5で示されているように,キャビティ555は,実質的には,発泡体層523の表面のくぼみである。他の配置では,くぼみは,発泡体層523を介して幅広く広がることができる。
【0068】
素子521a及び521cは,発泡体層523によって支えられており,これらの素子は,受信した超音波エネルギーによって引き起こされる温度変化(例えば,温度上昇)に応答して,焦電効果に起因する電気信号を生成する。素子521b及び521dは,発泡体層523によって支えられておらず,実質的には受信した超音波エネルギーによって引き起こされる加熱に対して検出感度が低い。
【0069】
しかし,素子521b及び521dは,素子521a及び521dの加速度計の応答と実質的に同一である加速度計の応答を示す。信号処理回路125は,素子521aからの信号から素子521bからの信号を減算すること,及び,素子521cからの信号から素子521dからの信号を減算することによって補正をすることができる。
【0070】
図7の実施形態では,各々に対応した補償素子521b,521dを有する521a,521c代わって,超音波受信器520は,超音波感知素子521a,521cの間で共有される単一の補償素子を備えている。もう一つの方法として,超音波受信器520は,例えば,4つの補償素子であって,4つの補償素子のそれぞれが超音波感知素子の複数によって共有されるような複数の素子を有することができる。画像に影響を与える可能性がある配列内の「デッド」素子を持たないことが好ましく,好適な実施例では,全体の配列のエッジの周りのわずかな部分も含まれる。
【0071】
図7の他の配列では,キャビティ555または貫通孔に代わって,素子521b及び521dが材料を覆っており,材料は発泡体層523に比べて高い熱容量を有している。例えば,素子521bと521dは,銅基板(発泡体層523の代替)を覆うことができる。受信した超音波エネルギーが超音波受信器520によって受信されると,素子521b,521dの温度は,素子521a,521cによって変化する温度と比較してほとんど変化しない。
【0072】
他の実施例では,材料は,高い容量を持つ必要はないが,例えば,ヒートパイプといった,熱的に良好な熱伝導体によって接続され,材料が高い効果的な熱容量をもつように,冷却装置に接続されている。
【0073】
いくつかの実施形態は,空気で満たされた図7に示したキャビティを有するのではなく,センサーのすぐ近くが加熱を最小化するために,低吸収性高分子材料で埋まっているキャビティを有することが予測できる。当業者であれば,この変化のための実用的な可能性を理解できる。
【0074】
図7の他の配置では,素子521a,521cは,第1の超音波吸収体を覆い,素子521b,521dは第2の超音波吸収体を覆っている。第1及び第2の超音波吸収体は,異なる熱的,及び音響特性を持っている(例えば,熱容量及び/または熱伝導,または吸収)。第1及び第2の超音波吸収体は,チェスボードのような交互配列で配置されることがある。素子521の全ては,実質的に同様の加速度センサー検出感度を持つが,素子521b,521dは受信する超音波放射に対して第2の検出感度を持つのに対し,素子521a,521cは,受信する超音波放射に対して第1の検出感度を持つ。従って,素子521a,521cの加速度計の検出感度は,素子521b,521dからの信号を減算することによって除去することができる。素子521b,521dの加速度計の検出感度は,素子521a,521cからの信号を減算することによって除去することができる。素子521から得られた信号は(つまり,減算後)第1及び第2の超音波吸収体の異なる熱特性を考慮するための処理が必要であり,従って,素子521a,521b,521c及び521dの受信超音波エネルギーの異なる検出感度を考慮する必要がある。また,第1,及び第2の超音波吸収は,異なる超音波特性ではなく,同一の超音波特性を有することもできる。より一般的に,第1及び第1の超音波吸収は,異なる熱及び/または超音波の特性を有する(例えば,第2の超音波吸収が2mmの距離内の超音波放射の大部分を吸収するのに対し,第1の超音波吸収は0.2mmの距離内の超音波放射の大部分を吸収する)。このような配置は,上述した図7の配置と組み合わせても良い。
【0075】
図8を参照すると,ここでは,不要な加速度計の検出感度を除去することを容易にするため領域660を取り込んだ超音波受信器620の断面図が示されている。この実施形態では,これらの領域が取り込まれているが,それらの代わりに支持層からの超音波を反射する面で反射することができる。超音波受信器620は,PVDFフィルム622を含んでおり,PVDFフィルム622は分離した素子621a,621bなどに分けられる。素子621は超音波を吸収するポリウレタン発泡体層623を覆っている。例えば,621b,621dといったいくつかの素子は,吸収領域660b,660dに各々覆われている。図8において,全ての素子621は,ポリウレタン発泡体層623の各々の領域を覆っている。素子621b,621dのみが,吸収領域660b,660dによって覆われている。
【0076】
素子621a,621cに比較して,素子621b,621dは比較的受信する超音波エネルギーに対して検出感度が高くない。このことは,超音波エネルギーが素子621b,621dを加熱する前に受信した超音波エネルギーが吸収領域660b,660dに吸収されるためである。吸収領域660b,660dの一番外側の部分は,受信する超音波エネルギーによって加熱される。しかし,吸収領域660は十分な厚さ(例えば5mm)があるため,吸収領域660の前方から吸収領域660の後方に,熱は多くは伝わらない(620b,620dの後方領域は,621b,621dと熱的なコミュニケーションをする)。いくつかの実施形態では,これらの「島」の最上位層はすぐに熱を放出する金属で覆われている。この金属の厚さは,素子660の反射率を最大化するように最適化される。
【0077】
全ての素子621は,実質的に同様の加速度センサーの検出感度を有することができる。不要な加速度計の検出感度を補正するために,例えば素子621a,621bからの信号から,減算することによって,素子621b,621dからの信号は除去される。図8のいくつかの配置では,素子621b,621dの加速度計の検出感度は,素子621a,621cの加速度計の検出感度よりも,例えば3倍以上高い(余分部分に起因し,素子621b,621dの上の吸収領域660b,660dが起因する3つのスケールファクター)。そのような配置では,素子621b,621dからの信号は,素子621a,621cの信号から減算される前に3つのファクターによって減らされる。
【0078】
図8では,吸収領域660は,他の材料や構造が代わりにしようされる場合もあるが,超音波を吸収するポリウレタン発泡体を含む。例えば,超音波エネルギーを反射する材料は,受信した超音波エネルギーから621b,621dの領域を分離するために,ポリウレタン発泡体の代わりに使用されてもよい。
【0079】
図7と図8で述べられている上記の構造は組み合わせてもよい。その結果,組み合わせたものは,1つまたは1つ以上のキャビティ555,及び,1つまたは1つ以上の吸収領域660を有してもよい。いくつかの組み合わせでは,吸収領域660は,キャビティ55(介在素子521,621を介して)を覆ってもよい。
【0080】
図9を参照すると,ここでは,フェーズの検出感度が高い測定と,フェーズの検出感度が高くない測定の両方を行うための超音波受信器を用いたシステム900が示されている。システム900は,図1のシステム100と似ているが,低周波のパス909と,高周波の919を含む信号処理回路925を有している。
【0081】
低周波のパス909は,信号処理回路925と同様に機能する。つまり,低周波のパス909は,超音波吸収体923による超音波吸収に応答して,温度感知層922によって検知される温度変化に基づいたPVDF温度感知層922からの信号を感知する。低周波のパス909は,HzからkHzの安易の帯域幅を持つ。低周波のパス909は,ローパス,またはバンドパスフィルタを含めることができ,バンドパスフィルタは,一般的にはDCオフセットの増幅を避けるために好ましい。
【0082】
高周波のパス919は,ポリマーの圧電応答に基づいて,PVDF温度感知層922からの信号を感知する。焦電性物質は,圧電及び焦電性の両方になる傾向がある。受信する超音波放射は,音圧の波を引き起こし,音圧の波は,PVDFに結合し,膜の厚さの変形と,MHz(超音波エネルギーに使われる周波数は,一般的には20kHz以上10MHz以下)範囲の信号につながる圧電応答を引き起こす。従って,低周波のパス909が時間平均の超音波波形の熱効果を測定するのに対し,高周波のパス919は,サンプルを介した実際の圧力の透過波形を測定し,従来の透過画像処理技術が採用される。高周波のパス919は,ハイパスフィルタまたはバンドパスフィルタを含む。バンドパスフィルタは,一般的に高周波のパス919のノイズ帯域幅を制限するため,信号とノイズの比率を改善することが好ましい。
【0083】
いくつかの実施形態において,システム900は,単一の超音波受信素子921を備える超音波受信器920を有している。システム900の他の実施形態は,例えば,超音波受信素子921を複数備える超音波受信器920を有している。
【0084】
システム900は,3つの方法で画像にサンプル910の特性を測定するために使用することができる。
(i)(フェーズの検出感度が低い)サンプルにどれだけの音響のエネルギーが吸収されるか記録する(超音波受信器920に到達する前にサンプル910によって,超音波送信器905からの超音波旧小戸がどのくらい吸収されるかによって決定される)。
(ii)(フェーズの検出感度が高い)サンプルを通して伝達される音圧の振幅を測定し,かつ,どのように空間的に変動するかを測定する。
(iii)音のスピードを画像処理するために高周波信号を使う,例えば,超音波の到達時間を記録し,かつどのように空間的に変動するかを測定する。
【0085】
(i)に関しては,システム900(例えば単一の超音波受信素子921を有するもの)のいくつかの配置は,超音波受信器920で受信した信号レベルを測定することにより,エネルギーの吸収を決定する。他の配置(例えば,超音波受信素子921を複数有するもの)は,超音波受信器920の2つ以上の超音波受信素子921によって受信される信号のレベルを比較する。
【0086】
(ii)に関しては,システム900(例えば単一の超音波受信素子921を有するもの)は送信フェーズと受信フェーズを比較することによりフェーズを決定する。他の配置(例えば,超音波受信素子921を複数有するもの)は,超音波受信器920の2つ以上の超音波受信素子921によって受信する信号のフェーズを比較する。
【0087】
いくつかの実施例は,2つの方法から得た2つのものを比較するために,2つの部分からなるアプリケーションを示し,つまり圧電と焦電を示す。このことは,介在する媒質の不均一性に関する重要な追加情報を提供すると期待される。このことは,例えば異なった上述した方法(ii)及び(iii)を用いた画像処理の違いをもたらす重要な含有物となるかどうか評価するために有用である。
【0088】
他の実施形態は,超音波受信器920の代わりに,PVDF素子921を含み,その配列は,代わりに,1つまたは1つ以上の温度センサー(熱電対など)を1つまたは1つ以上のハイドロフォンと一緒に含んでも良い。好ましくは,熱電対の数は,ハイドロフォンの数と同じが良い。
【0089】
図10を参照すると,ここでは,PVDF層1022の個別の分極領域1099を備える超音波受信器アレイ1020の観点断面図を示されている。当業者は,焦電及び/または圧電材料は,多くの場合永久的な残留分極を誘導するために分極されていることを理解する。一般的に,材料は強い直流電界を印加しながら,キュリー温度以下に加熱することにより分極され,その後DC電界を維持しつつ,材料が冷却される。材料が冷却されると,DC電界は除去され,分極した材料は残留分極を示す。
【0090】
各超音波受信素子1021は,各々の分極領域1099を有しており,分極領域1099は超音波吸収体1023を覆っている。分離した分極領域1099を持つことの利点は,分極領域1099がPVDF1098の非分極領域によって分離されることである。PVDF1098の非分極領域は,例えば,隣接する超音波受信素子1021a,1021bの間のクロストークが減少するとい利点を有する。
【0091】
図10は,図5,6,または7の超音波受信配列を組み合わせてもよい。図10の超音波受信器機の配列は,超音波吸収体1023なしで,ハイドロフォン配列として使用される。
【0092】
図11を参照すると,ここでは,本明細書の技術を具体化したマンモグラフィー装置の実施例が示されている。装置はカウチ1110を含み,カウチ1110の上に患者の顔を下にして横たわらせに乳房1112を中央が水で満たされた容器1114に配置する。容器1114の壁の周りは,超音波受信器と送信器1116,1118を配置される。送信器は単一の大きな送信器となってもよいが,これらの素子は配列した形式であることが好ましい。図11に示されている素子1116,及び1118は実質的には平面であるが,容器1114の壁の曲率に沿うように湾曲されることも想定される。センサー1118は,3次元トモグラフィー(断層撮影)再構成のために必要とするデータを習得するために乳房の周りをスキャンすることができる。
【0093】
水のような伝達流体が,サンプル1112に超音波送信器1116から超音波エネルギーの結合を改善するために使用され,及び/またはサンプル1112から超音波受信配列1118への結合を改善するために使用される。水の接触媒質の媒体の性質は,生成された画像を改善するために修飾されることがある。例えば,空洞化の抑制剤または乳房組織のような音の速度を一致させる溶液を添加することによって改善される。
【0094】
当業者であれば,様々な図を理解し,上述した配置及び実施形態を組み合わせ及び/または修正することができる。いくつかの側面において,上述した開示は,方法と同等であるとみなすことができる。例えば図1のシステム100は,サンプル110の異なる領域115の減衰を測定することにより,超音波画像処理の方法を提供する。
【0095】
本願が優先権を主張する英国特許出願番号0901022.4,及び本明細書に続く要約は,これらを参照することにより全体が本明細書に取り込まれる。
【技術分野】
【0001】
本発明は,超音波受信器と同様に,画像処理装置と方法,及びサンプルの性質を測定するためのシステムに関するものである。この実施形態に限られたものではないが,特に,本発明で述べられている好ましい実施形態は,サンプルの超音波吸収の空間的分布を測定することによる超音波画像処理と,非検出感度の超音波画像処理の段階に関する。
【背景技術】
【0002】
典型的な超音波医療用画像処理装置は,圧電材料から作られている変換器を使用している。単一の変換器は,低レベルの音響反射や組織からの散乱を画像にするために,または,変速装置を介して,第2の変換器を使用してサンプルを通過する音響のシグナルを検出するために,パルスエコモードで動作させることができる。変換器の電気出力は,圧縮的かつ希薄閉鎖的な音波の半サイクルと区別することができるように,フェーズに敏感であると言われている。通常,これらのフェーズに敏感な変換器の素子のアレイは,超音波エネルギー源と放出された超音を検出するために使用される変換器レイの間の超音波空間的配置を推定するために使用される。これは,2次元または3次元のトモグラフィー(断層撮影)再構成の技術を使って行うことができる。作りだされたイメージの正確さは,異なる組織の素子間の界面における音波の屈折と反射によって分解される。受信変換器の出力は,表面の平均的な圧力に依存し,画像は,変換器に到達する音響信号の異なるフェーズのため,フェーズに起因する打ち消しの影響を受けやすくなる。これは,組織の異なる成分が音のスピードをわずかに変えることにより生じる。フェーズに敏感な検出器の特徴は,それらは通常,通常は,周波数ミキサと復調器といった複雑で高価な信号張設回路を必要とすることである。
【0003】
国際公開第03/044473号は試験装置によって放出される超音波パワーを測定するための超音波パワーメーターを開示している。メーターは,ポリウレタン材料から形成された超音波吸収剤が配置されているチャンバーを形成するケーシングが含まれている。吸収剤を覆うことは,焦電検出器として機能するポリフッ化ビニリデンの膜である。メーターはさらに,試験デバイスから放出される超音波エネルギーの伝達を可能にするために,移送媒体,水を含んでいる。国際公開第03/044473号に開示されているセンサーは,本明細書に開示される装置のいくつかの実施形態で使用される。
【0004】
「新規焦電型長音波変換器の出力パワーを決定する方法:装置のコンセプト,モデル,及び予備調査」超音波,強誘電体,及び周波数制御に関する2007年11月11日のvol54,No11のIEEE論文誌には,超音波変換器によって生成される音響出力電飾をモニタリングする熱的方法が開示されている。それは,ポリフッ化ビニリデン(PVDF)の薄い膜の焦電特性を活用している。膜は,ウレタンゴムの厚い層に支えられている。ウレタンゴムの厚い層は,適用される音響パワーの大部分は膜を支えているインターフェースの数ミリメートル以内に吸収され,その結果,超音波にまで減衰されている。膜の温度で得られる急速な増加を介して,電圧は電極間で発生する。電圧の大きさは,時間に対する温度の変化率に比例する。この論文に開示されてセンサーの設計は,本明細書に開示されるいくつかの実施形態で使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第03/044473号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】2007年11月11日,vol54,No11,IEEE論文誌
【発明の概要】
【0007】
本発明は,患者のインスタンス,改良されたサンプル固有の特性の測定システム,サンプルを透過する超音波測定するための改良されたシステム,及び改良された超音波受信器のためにサンプルの改良された画像処理を提供することを目的としている。特に好ましい実施形態は,組織の信頼性の高い画像を提供できる医療用画像処理であり,例えば,組織の異常増殖,特に癌の増殖の検出には,既存の画像処理技術の欠点を示すことなく行うことができる。
【0008】
本発明の態様によれば,提供されている画像処理装置は,画像処理領域に超音波ビームを被覆させるために,操作可能である少なくとも一つの超音波送信器と,少なくとも一つの超音波受信器を有しており,ここでは,両方又はそれぞれの超音波受信器は送信器によって作りだされる超音波場の強度の検出感度が高い。ここでは,少なくとも一つの超音波受信器画像処理領域の一部に超音波場を感知するように配置され,信号処理回路は,信号を処理するように動作し,また,両方又はそれぞれの超音波受信器は,画像処理領域の計測した強度を算出する。
【0009】
本発明の装置は好ましくは,医療用画像処理装置である。
【0010】
本発明のいくつかの態様及び実施形態の利点は,超音波の強度の検出感度が高く,かつフェーズに対しては検出感度が高くないことである。既知の超音波画像処理装置は(例えば,医療超音波検査用など),フェーズの検出感度が高いため,フェーズに検出感度の高い装置で作られた画像は,音の速度,吸収及び密度が異なった音響特性を有する組織を通過する際の不均一性のため劣化する。屈折,反射,回折といった効果は,波形及び波面収差につながる。既知の超音波装置は,通常,フェーズの収差を減らすことによって,画質を向上信号の後処理が必要となる。一方,本発明のいくつかの実施形態では,測定対照サンプルの超音波吸収特性のより正確な空間的なマップを提供する目的で,信号を伝えるサンプルボリューム透過する時間平均の超音波強度の分布を測定する
【0011】
本発明の実施形態は,人間の組織特性を測定するために使用される。例えば,3次元トモグラフィー(断層撮影)の再構成方法を介したマンモグラフィー,または動物の組織の特性,またはエンジニアリングの部品の欠陥の検出,例えば,ひび割れや溶接の欠陥を検出することに使用される。このように,本明細書では,フェーズに検出感度の高くない超音波画像処理のシステム,及び方法が開示されている。これは,組織が不均一であるときに特に効果的である。組織が不均一性は,組織を通る超音波の音の速度の変化の結果としてフェーズに検出感度の高いシステムの異常につながるものである。好ましい実施形態では,できるだけ小さなセンサーを使用して,「ポイント」測定を提供することができる。一例として,2mm未満,好ましくは1mmまたは0.5mm未満,及び,0.4mm程度の直径を有するセンサーが使用される。このようなセンサーは,圧力に反応する既存のセンサー技術とは対照的に強度に応答する。実際には,このような小さなセンサーは,検出面積にわたって平均化される電界強度に応答する。
【0012】
技術の実用的応用は,病理的変化を検出するために組織を通過した超音波ビームの画像処理を可能にする変換器(受信器)の2次元(または3次元)配列を形成するために使用することが想定される。医療用超音波スキャンのための既存の変換器は,フェーズに検出感度が高い圧電素子で形成されており,このような画像は,組織を通過する際,回折と波形の異常の不均一性による,このようなフェーズの高検出感度によって劣化することが知られている。実際には,信号の後処理のアプローチは,フェーズに対する検出感度を減らし,画質を改善し,そして臨床診断を強化するために必要である。本明細書では2次元の強度に検出感度の高い直線上の配列が開示され,フェーズの検出感度を少なくすることができる。
【0013】
好ましい実施形態では,0.5から3MHzの周波数が,画像処理のために選択される。これは,従来の画像処理システムよりもかなり低い周波数である。ビームのエネルギーは,例えば,対象の周波数において100サイクルを超えるために,長いバーストで領域を形成している。領域は,時間平均で約3ワット/cm2以下の強度を有し,50ミリワット/cm2から10ワット/cm2,さらに好ましくは,1ワット/cm2から5ワット/cm2の強度をとすることができる。
【0014】
本発明の別の実施形態によれば,サンプルの特性を測定するためのシステムが提供され,このシステムは,超音波送信器,超音波受信器を備え,ここでは,超音波受信器は,超音波の音場の時間平均強度に検出感度が高い。システムは,サンプルを超音波送信器と超音波受信器の間に位置決めするポジショナーを備え,超音波受信器からの信号を処理するための信号処理回路を備える。
【0015】
本発明の別の実施形態によれば,サンプルの特性を測定するためのシステムは,超音波送信器,超音波受信器を備え,ここでは,超音波受信器は,超音波の音場の時間平均強度に検出感度が高い。システムは,超音波受信器からの信号を処理するための信号処理回路を備え,ここでは,信号処理回路は,まず,1つ以上の第1の特性を測定し,次いで,1つ以上の第2の特性を測定する。
【0016】
本発明の別の実施形態によれば,サンプルの特性を測定するためのシステムは,超音波送信器,超音波受信器を備え,ここでは,超音波受信器は超音波エネルギーの強度に検出感度が高い。システムは,超音波受信器からの信号を処理するための信号処理回路を備え,ここでは,信号処理回路は,信号の特徴を検出するような動作可能な検出器を備え,特徴に応じて超音波送信器を調節する。
【0017】
本発明の別の実施形態によれば,超音波受信器は超音波吸収体と,超音波吸収体を用いた熱の伝達における焦電超音波感知素子を備え,焦電補償素子は実質的には,超音波吸収体から熱的に分離されている。
【0018】
以下,図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は,超音波画像処理システムを示す。
【図2】図2は,図1の超音波受信器の波形を示す。
【図3】図3は,図2に示した波形をより詳細に示す。
【図4】図4は,測定されているサンプルの特性に応じて超音波送信器の入切をダイナミックに変えることができるシステムを示す。
【図5】図5は,超音波受信器の不要な加速度計の検出感度をゼロに校正するシステムを示す。
【図6】図6は,図5のシステムを用いた際の,波形の詳細を示す。
【図7】図7は,不要な加速度計の検出感度をゼロに校正することを可能にするキャビティをもつ超音波受信器の断面図を示す。
【図8】図8は,不要な加速度計の検出感度をゼロに校正することを可能にする吸収領域をもつ超音波受信器の断面図を示す。
【図9】図9は,フェーズに検出感度が高い超音波受信器及び,フェーズに検出感度が高くない両方の測定方法をもつ超音波受信器を用いたシステムを示す。
【図10】図10は,個別の分極領域を含む超音波受信器の配列の透視断面図を示す。
【図11】図11は,マンモグラフィー装置の実施例の描画である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は,超音波画像処理システム100を示す。システム100は,サンプル110を通過して,超音波受信配列120に超音波エネルギーを放出する超音波送信器105を含む。超音波受信配列120は,超音波受信素子121a,121bの複数で構成されている。この素子は,センサー材料の単一のシートから形成されるか,または,複数の膜をラミネートすることによって形成される。2次元配列は,これらの膜のいずれかによって形成されてもよいし,または,2次元配列を形成するために別個で独立した素子の複数を固定することによって形成されてもよい。それはフラットであってもよいし,試験するサンプルのために適切な形状とすることができる。
【0021】
図1に示されている超音波受信配列120は,本実施形態では,超音波受信素子121a,121bの10×10の配列である。図1の左下の部分は,超音波受信配列120の断面図を示している。超音波受信配列120は,超音波吸収体123を覆う温度感受層122を含む。図1では,温度感受層122は,PVDF(ポリフッ化ビニリデン)などの分離している焦電素子を含む。他の実施形態では,層122は,セラミックとポリマーの混合物である圧電複合材料のような他の材料を含むことができる。PVDFは比較的安価であることと,応用に適した形で利用しやすい。いくつかの実施形態では,温度感受層122は,超音波吸収体123の表面に時間依存的温度を測定するような方法として設けられた熱電対,サーミスタ及び/または温度をモニタリングするダイオード(PN接合体)といった温度センサーを含んでも良い。
【0022】
図1は,超音波吸収体123が温度感受層122の背後(超音波発信器105から放出される超音波エネルギーから見て)にある層の形状を示している。超音波吸収体123は,入射する超音波エネルギーを吸収し,好ましくは,入射する超音波エネルギーが,使用可能な超音波の周波数の波長のいくつの波長の厚さ内で超音波吸収体123に完全に吸収されるような減衰をする(超音波は20kHz以上の周波数で使用され,10MHz以下の周波数の超音波を使用するのが一般的である。周波数は数MHzから数十MHzのものを使用することができる)。選ばれた周波数は,画像処理されるサンプルの音響特性に依存し,吸収体は画像を生成するために送信される十分なエネルギーを確保するのに十分に低い必要がある。組織の吸収は,例えば,周波数に比例して増加する。できる限り高い周波数が,隣接する組織,及び空間分解能を向上させるために使用されることが好ましい。
【0023】
温度感受層122は,実質的に全ての入射超音波エネルギーが温度感受層122を通過し,超音波吸収体123に吸収されるように,十分に薄いことが好ましい。超音波エネルギーは,超音波吸収体123の温度を増加させ(より正確には,超音波エネルギーは温度感受層122に接触している超音波吸収体123の表面の温度を上昇させる),この温度上昇は,温度感受層122によって検出される。
【0024】
温度感受層122は,超音波の波長と同定度の厚さのものであっても良い。より好ましくは,温度感受層122は,反射を低減するために,超音波の波長よりも薄くなる。例えば,1MHzの周波数の超音波は,水中で約1.5mmの波長を持っている。PVDF膜は,温度感受層122に使用される場合,PVDFフィルムは50μmの厚さを有してもよいし,超音波吸収体123は,10mmの厚さを有することができる。空気の小さな封入体,例えば,10から20μmの直径の気泡を有するポリウレタンゴムは,材料の吸音を高めるために,超音波吸収体123に使用することができる。他の材料は,吸音や熱のどちらかの特性最適化するために,この裏材に添加することができる。超音波受信配列120からの電気信号は信号処理回路125によって調整されている。当業者には理解されるように,このような回路は,電圧アンプ,チャージアンプ,フィルター(例えばローパス,ハイパスまたはバンドパスなど),およびデジタルコンバータ(ADCs)の類似体を含むことができる。サンプル110を表すデータは,サンプル110を介して変化するサンプル110の減衰方法の二次元マップを提供するために表示装置130に表示される。システム100がサンプル110に対して回転または移動する場合は,多くの測定がトモグラフィー(断層撮影)を再構成するために実施され,表示装置130はサンプル110を介して変化するサンプル110の減衰方法の3次元マップを表示するために使用される。
【0025】
焦電性材料は,焦電効果を発揮する。このように超音波受信素子121は,例えば,1MHzや,MHzの範囲の超音波が使用された場合,焦電効果によって,超音波の圧力に応じた信号を生成する。このMHzの範囲の信号は,超音波のフェーズに検出感度が高い。超音波受信素子121は,焦電効果のため,非常に低い周波数で信号を生成することができる。
【0026】
焦電効果は,センサーが接続されている計測機器の電気的な抵抗に依存して,焦電素子121の温度の変化率に比例して電化を生成することができる。超音波送信器105からの超音波の持続時間が続く間,焦電素子121を交差し,または水に入る熱伝導は,超音波吸収体123の加熱速度を徐々に減らし(より正確には,温度感受層122に接触している超音波吸収体123の表面の温度上昇率を減らし),その熱平行に達するように,サンプル110(または水などの媒体)を温める。センサーの容量と,電気容量,構成材料の熱容量などの電気的特性に依存して,アンプとして接続されている電子計測機器の抵抗に従って,素子121の熱時定数は一般的にミリ秒単位の,例えば50ミリ秒となる。従って,ローパスフィルターは,MHzの圧電信号をフィルタリングすることではなく,HzからkHzの間の範囲の焦電信号を通すために必要に応じて使用することができる。
【0027】
システム100は,サンプル110の,例えば癌領域または嚢胞115といった,組織サンプル中の不均一性を検出するために使用される。
【0028】
超音波送信器105が最初にオンの状態になると,超音波エネルギーはサンプル110を介して通過し,超音波受信配列120によって受信される,このことにより,組織サンプルを透過する音響強度の空間分布のスナップショットが提供される。任意の点における強度は,音響波面によって取得された組織のパスに依存し,これは,組織の構造に依存する。配列のいくつかの超音波受信素子121は,結果的に,部分的に癌領域115(癌領域115は,通常の組織よりもより多くの超音波を吸収する)によって不明瞭にされ,配列の他の素子と比較してこれらの素子121によってより少ない超音波エネルギーが受信される。超音波エネルギーは超音波吸収体123によって吸収され,10×10の超音波受信配列120の各超音波受信器素子121は,超音波吸収体123の各部分の温度上昇を計測する。癌組織は,通常の組織に比べてより多く,またはより少なく吸収されることがわかり,したがって,送信された画像は,隣接する組織との音響のコントラストに依存する。
【0029】
図1は,パス135a,135b,135cを示している。135aと135cは癌領域にぶつかっている。パス135bのみが正常組織を通過している。従って,135a,135cのパスに対応する超音波受信素子121は,パス135bに対応する超音波受信素子121よりも少ない超音波エネルギーを受け取る。
【0030】
サンプル110は,動きを防ぐために,クランプで保持されていても良い。サンプル110は乳腺組織を含む場合は,サンプル110はマンモグラフィー装置のような装置で保持されても良い(図11に示すように,以下でより詳細に説明する)。これは,患者の顔を下にして横たわらせ乳房を中央が水で満たされた容器に配置し,容器の壁の周りには,超音波受信器と送信器を配置し,3次元トモグラフィー(断層撮影)再構成のために必要とするデータを得るために乳房の周りをスキャンすることができる。
【0031】
水のような伝達流体は,サンプル110に超音波送信器105から超音波エネルギーのカップリングを改善するために使用され,及び/または,サンプル110から超音波受信配列120へのカップリングを改善するために使用される。水の接触媒質の媒体の性質は,生成された画像を改善するために修飾されることがある。例えば,空洞化の抑制剤または乳房組織のような音の速度を一致させる溶液を添加することによって改善される。
【0032】
他の応用では,サンプル110は,食品を含むことができ,例えばスープにおいては,システム100は,ガラスや金属などの異物を検出するために使用することができる。このような応用では,サンプル110は,超音波送信器105と超音波受信器120の間を,パイプ(図示せず)を介してポンピングされることがある。パイプは,パイプの壁を通して超音波のカップリングを改善するためにプラスチック(金属やガラスではなく)が用いられる。
【0033】
図1は,単一の超音波送信器105及び素子121の10×10配列を構成する超音波受信配列120を有しているシステム100を示している。他の配置では,超音波受信器配列120は,より多くのまたはより少ない素子121を有することができる。最小数は単一の素子121である。他の配置では,システム100は,2つまたはそれ以上の超音波送信器を有することができる。例えば,超音波送信器は,2つまたはそれ以上の素子を備える場合がある。2つ以上の超音波送信器が使用される場合,それらは,超音波受信器配列120に波面を向かわせるに段階的な配列の一部を形成することができる。さらに,送信器の素子は,周波数の範囲で駆動される単一の変換器を有するか,または,送信器配列内で1から3MHzの範囲で生成する音の異なる変換器を有することによって,2つ以上の周波数で超音波を送信することができる。単一の送信器105と,単一の受信素子121,及び複数の受信/送信配列を有する実施形態では,送信器105と受信素子121サンプル110をスキャンするために互いに相対的に移動することができる。あるいは,またはさらに,サンプル110は,送信器及び/または受信素子121に対して相対的に移動することができる。
【0034】
超音波受信配列120は,いくつかの配置において,一体化した信号処理回路125が設けられていても良い。信号処理回路125は,例えば,温度感受層122または超音波吸収層123の近くに設けられていても良い。このような一体化は,超音波受信素子121と信号処理回路125の間の配線の長さを短くすることができる利点を有し,長さを短くできることで,空電容量を低減し,及び/または外部の電気的干渉に対する検出感度を減らすことができる。
【0035】
図2は,方法の実施形態の結果である図1の超音波受信素子121からの波形200を示す。波形のこの形状は,一般的なものではないが,センサー自体だけでなく,計測方法の電気的特性に左右される。波形200は,温度変化率に対する焦電型超音波受信素子121の検出感度を示している。波形200は,上昇部210と,ピーク220,減衰部230,下降部240,負のピーク250,及び負の減衰部260を含んでおり,ここではセンサーは熱平衡に戻る。
【0036】
超音波送信器105が最初にオンの状態になると,超音波吸収体123の温度は,比較的急速に上昇し,超音波受信素子121が最初に大きな信号を与えるようにする。上昇部210の上昇時間は計測され,ある実施形態では50msである。ピーク220の後,超音波受信素子121の出力は徐々に減少し,減衰部230によって示される。減衰部230は,超音波吸収体123と超音波受信素子121から,周囲(例えば水などとカップリング流体)への熱エネルギーの消散によるものである。従って,超音波受信配列120の温度は上昇する速度は,徐々に減少し,超音波受信配列120は周囲と熱平衡に達する。
【0037】
超音波送信器105は,その後オフの状態になる。これは,超音波吸収体123と超音波受信素子121の温度を急速に低下させ,下降部240と負のピーク250を作り出す。負の減衰部260の絶対値(すなわち,−veの記号を無視した大きさ)は,徐々に減少し,超音波吸収体123と超音波受信素子121は周囲と熱平衡状態にとなる。超音波吸収プロセスがスイッチをオンまたはオフに切り替えによって熱源が提供された場合,上昇部210の大きさは,下降部240の大きさとほぼ同一である。それは,超音波吸収体123及び波受信素子121のウォームアップが,それらがクールダウンする速度に似ているからである。
【0038】
システム100のいくつかの実施形態は,画像を生成するために必要な時間とされる長さの時間に超音波送信器105をオン及びオフに変えることができる配置をとっている。図2はまた,上昇部270,ピーク272,減衰部274,下降部280,負のピーク282,及び負の減衰部284を示す。
【0039】
240,250,260の1つ以上の特徴に対応する,210,220,230の1つ以上の特徴はサンプル110に関する追加情報を取得するために使用することができる。いくつかの配置では,対応する特徴に代わりに,2つ以上の上昇部210,270(または負の減衰部230,284)の特徴が比較される。例えば,データの収集をスピードアップするために,スイッチをオンまたはスイッチをオフ(例えば10秒)した後のある時間におけるセンサーによって生成される信号のレベルは,配列120内にあるセンサー121の一部における時間平均強度の代表として取得される。
【0040】
このグラフの特徴は,図3においてより詳細に示されている。センサーによって提供される出力信号のそれぞれから,波形の重要な特性が抽出される。そこには多くの可能性があるが,2つの例は,スイッチをオンまたはオフにした時の電圧である。スイッチオフの電圧とは,超音波がスイッチオフされた瞬間から,全電圧を変化させたものと定義することに留意すべきであり,図2の電圧の最小値250,282及び,図3の詳細に示されている。原理的には,スイッチオン及びスイッチオフの電圧は実質的には等しいものであるが,サンプル100の音響の特性上,変化するまでに組織が加熱されている場合は異なる場合がある。
【0041】
時間TONにおいて,超音波がスイッチオンとなり,焦電圧が急激に増加する。これに先立って,読み取る電圧はバックグラウンドのノイズを取り除き,つまり周囲は0V(これをV0という)とする。焦電圧がスイッチオンの後に100ミリ秒程度で最大値に達すると,電圧のピークは特定の値V1となる。その後,電圧が徐々に減少し,熱平衡に近づく。スイッチオンがされた焦電圧はV1−V0によって与えられる。
【0042】
熱伝導メカニズムが有効になり始めると,温度上昇の速度が減少する。TOFFにおいて,超音波はスイッチオフとなり,焦電圧は直ちにスイッチをオフした時点のその値から低下する。
【0043】
スイッチオフの後の短い時間では(再び,100ミリ秒程度),焦電圧は上昇し,次いでゼロに向かった後に,焦電圧は最小値(V3)に達するスイッチオフとなった超電圧はV2−V3によって与えられる。
【0044】
図3に示す波形に含まれる周波数は,一般的には10Hz以下のものである。バックグラウンドは,i)バックグラウンドの振動(これらのいくつかは,焦電信号に干渉する周波数成分をもつ)の浮動,及び,ii)バックグラウンドの温度にける非常に遅い浮動,つまり,周波数が1Hz以下である浮動である。図3に示す例の波形は,周波数の範囲が1から3Hzの周波数成分を持っている。
【0045】
しばらくしてから(超音波送信器105を与えられた時間の間,オン及びオフにするように配置されているシステム100の実施例の間),介在しているサンプル110の温度及び(存在する場合)流体カップリングは,パス135に沿って通過する超音波エネルギーを部分的に吸収する。サンプルの115の領域は組織の癌領域を表すと仮定されている。
【0046】
また,いくつかの実施形態では,かなりの時間変換器をONの状態にし,パス内の組織の温度が上昇するようにすることができる。癌組織は,縮小血管がある場合があり,原則として,熱を分散しづらく,より加熱され,その結果,吸収係数が増加する。従って,変換器が5秒以上(例えば)の間存在していれば,スイッチオンとスイッチオフの電圧から生成される画像には違いが生じる。画像の違いは(スイッチオン−スイッチオフ),変換器と受信器の間にある組織の性質についてさらに明らかにする。さらなる可能性は,「組織加熱ビーム」が,組織の領域に適用できる変換器を分離したものにでき,または,ウォーターバスそれ自体が温度変化を調節できることものにすることである。別々の変換器が使用されている場合,これらは異なったタイプの変換器とすることができ,これは超音波変換器に限定されない。例えば,マイクロ波や光変換器が含まれる。
【0047】
超音波受信素子121は,270,272,274の特徴に対応し,及び/または280,282,284の特徴に対応する210,220,230の1つ以上の特徴と比較して,サンプル110の特性の温度による変化を示すことができる。例えば,サンプル110が組織の場合には,癌領域115はより加熱され,組織の癌領域ではない部分は加熱がされにくい。癌領域115にあるこのような音響吸収といった超音波の特性は,少なくとも部分的に温度に依存し,パス135a及びパス135c,ピーク220とピーク272に対応する超音波受信素子121が超音波の特性の変化は比較することで計測することができる。
【0048】
もちろん,超音波受信配列120の各超音波受信素子121からの信号は,独自の機能のセットを有している。図1のいくつかの実施形態では,与えられた超音波受信素子121は,異なるタイミングで機能が比較される。他の実施形態では,超音波受信素子121aの機能は,ある一時点において,その時から後の時点の超音波受信素子121bの機能と比較される。2つの温められた(スイッチオフ)画像と,温められていない(スイッチオフ)2つの画像の3次元断層画像は,サンプル110の構造についての詳細を明らかにする。
【0049】
図4を参照すると,ここでは,測定されるサンプルの特性に応じて,超音波送信器105をダイナミックにオンとオフを切り替えるシステム300が示されている。システム300は,ピーク220,272,及び負のピーク250,282を検出する。超音波送信器105は,正のピーク220,272が検出されるとオフに切り替わり,負のピーク250,282が検出されるとオンに切り替わる。
【0050】
超音波受信配列120のような焦電検出装置は,温度の変化の検出感度が高く,従って,システム300は,正/負のピークが検出されるとすぐに,送信器105はオン/オフを切り替え,オン/オフとオフ/オンが時間周期で切り替わる。
【0051】
システム300は,計測の信号とノイズの割合を改善(オン/オフの切り替わりを最大化する)するだけではなく,システム300はサンプル110を介する超音波波の伝播遅延を自動的に調整することができるという利点を有する。水を介しての伝播遅延は0.1ミリ秒のオーダーであるので,オンとオフのピークを確認するのに要する時間よりもはるかに小さくする必要がある。正確に変換器がオン,オフの切り替えがされたと知ることは,ピーク電圧を測定することによって見ることができることを意味する。それは,スイッチをオン,オフにした後の特定の時間の信号レベルのような特徴を調査することを容易にする。
【0052】
システム300の信号処理回路325は,ピーク検出器333を有しており,ピーク検出器333は,超音波送信器305のオンとオフを切り替える。他の実施形態では,ピーク検出器333が,超音波受信配列320からの波形の他の特徴を検出する他の検出器によって置き換わっている。例えば,検出器は上昇/下降部分の210,240,または減衰部分230,260を検出するものに置き換わる。他の実施形態では,超音波送信器305は,オフに切り替わらない代わりに,調節される。例えば,超音波送信器305は,100%のパワーで動作し,次いで,50%のパワーで動作し,その後増加して例えば100%のパワーに戻る。ここで使用されうるタイプの測定可能なパラメーターを生成することができるトランジスタ動作状態の変化が理解されるだろう。
【0053】
送信器配列の一つの実施形態では,超音波エネルギーは,2つの周波数以上で,例えば1MHzと3MHzの周波数で送信することができる。このような反射や屈折といった3次元トモグラフィー再構成のための超音波の使用に伴う中間生成物は,1MHzと3MHzにおいて画像を取得し,差分画像を形成することは,生成された画像のこれらの中間生成物の影響を減らす有効な手段となるように,周波数に弱くしか依存しない。
【0054】
図4のさらなる実施形態では,ピーク検出器333は,超音波受信配列320の単一素子321からの信号に基づいて,超音波送信器305を調節するように配置されている。別の実施形態では,ピーク検出器333は,2つ以上の素子321a,321bからの信号,または超音波受信配列320のすべての素子321からの信号を,超音波送信器305を調節するために統合したり,または結合したりする。複数の素子321からの信号を組み合わせたシステムは,超音波受信配列320の1つの素子321の障害が発生した場合の信頼性の向上を提供する。このようなシステムは,超音波送信器305から超音波エネルギーが,配列320の他の素子321が受信する前に,配列320の素子321で受信されることを可能とする。例えば図4に示すように,超音波送信器305からの波面は,配列320の中心にある素子321と比較して,配列320の角にある素子321までの方がわずかに多くの距離を移動する。
【0055】
図5を参照すると,ここには,超音波受信配列420が超音波受信配列420の温度において不要な加速度計の検出感度または浮動を取り除き,測定されるよう設計されているシステム400を示されている。焦電材料は,圧電されているため,超音波受信配列420は,加速度計としての検出感度を有している。システム400は不要な加速度計の信号と,必要な加速度計の信号を区別する。システム400は,構造的な振動から生じるバックグラウンドのノイズがある時には有益である。多くの実用的な応用として,バックグラウンドノイズに関するものがあり,全体のスキャンシステム/ガントリーは防振台に配置するか,バックグラウンドノイズの影響を軽減または最小化するための他の振動補正機構を設けることができる。
【0056】
システム400の信号処理回路425は,不要な加速度計のバックグラウンド信号を補正するために使用できるバックグラウンド除去回路444を有する。システム400は,バックグラウンド補正モードで動作し,ここでは,超音波送信器405はオフであり,超音波受信配列420からの信号は一定期間,計測さる。システム400では,その後の時間依存性を推定するためにこの情報を使用し,より具体的には,瞬時に信号レベルのピーク220を計測する。システム400は,その後に超音波送信器405をオンにし,超音波受信配列420からの(オンの)信号から推定されるバックグラウンド(オフの)の信号を減算する。このようにして加速度計の検出感度は補正される。このアプローチは,また,測定器のスイッチをオフするために使用され,例えば温度浮動といったバックグラウンド信号をゆっくりと変化させるために効果的である。
【0057】
いくつかの実施形態では,加速度計のバックグラウンド信号に含まれる周波数成分は,目的の焦電信号と干渉し合う。ある実施形態では,システムは,焦電信号がセンサーの大部分で測定されると同時に(またはできるだけ近い点で),」1つ以上の個々のセンサーのバックグラウンドの出力信号を測定することができる。このことは,後述する方法で,支持体の加熱の影響からバックグラウンドのセンサーを遮蔽することができる。このバックグラウンドの特性は,その振動全体の受信器配列の代表である単一のセンサーから取得しても良いし,配列全体に分散したいくつかのセンサーからの信号の平均を取得しても良い。補正された信号は,単に,時間依存的な焦電的アクティブな「生きた」配列と,時間依存的なバックグラウンド信号の間の差異である。図3に示す波形の主な機能は,この振動補正配列から抽出される。
【0058】
図6は,超音波が一つのみに適用されている場所で,2つの電極を配置して使用する動作する方法を示している。超音波パワーから遮蔽されている参照電極は,バックグラウンドの振動信号を拾う。ローパスフィルターの面では,上部のカットオフは拾ってくる電気の幹線を最小限に抑えるため。20Hzとすることができる。図6は音響信号が伝えられる試験電極と,音響信号から遮蔽されている参照電極の間の2つのセンサー電極からの出力を示す。
【0059】
より具体的には,図6は熱硬化と(不要な)加速度計の効果の両方を含む超音波受信器からの測定された信号1005を示す。信号1006は,唯一加速度計の効果を含んでおり,これは加速度計の効果に対しての検出感度を減らすために信号1005から減算することができる。
【0060】
図5に示した配置では,バックグラウンドの除去回路444はバックグラウンドノイズを解析する。例えば,ノイズ信号が100Hz(例えば50Hzの電源変圧器からの機械的な振動)がある場合,バックグラウンド除去回路444は,100Hzのノイズ信号を決定し,100Hzのノイズ信号を除去する。図4の実施形態では,バックグラウンド除去回路444は,100Hzのノイズ信号を除去するフィルタノッチを使用し,このような実施形態では,100Hzの範囲内の必要な主御音波信号も除去されるという欠点を有する。従って,他の配置は,バックグラウンド除去回路は,100Hzの信号を除去するため100Hzの信号を合成し,長音波信号から合成した100Hzの信号を減算する。
【0061】
バックグラウンド除去回路444は,また,定期的に100Hzの合成信号は,バックグラウンドの加速度計の信号にフェーズロックされていることを保証するため,それ自身を再校正することがある。
【0062】
他の実施形態では,バックグラウンド除去回路444は,より頻繁に再校正される。例えば,システム300と400が統合された場合,ピーク検出器333は配置され,超音波送信器305/405のオンとオフをすばやく替えることの代わりに,各々のピークは減衰部230,160まで待たなければ得られず,サンプルのバックグラウンドのノイズ信号は増加する。
【0063】
バックグラウンド除去回路444は,システム400の非加速度計のバックグラウンドのノイズに対する検出感度を減らすことができ,例えば,電気的に超音波受信配列420に結つながっている余分な電気信号減らすことができる。
【0064】
図5の配置では,システム400は,超音波受信配列420(単一の長音波受信素子421aとは対照的に),バックグラウンド除去回路444は,単一の素子421aに基づいた,バックグラウンドノイズを補正することができ,または,421a,421bの2つの素子のノイズは個別に補正され,または,配列420は,別々に補正されている2つ以上の領域に分割することができる。
【0065】
図7を参照すると,ここでは,不要な加速度計の検出感度を取り除くためのキャビティ555を持っている超音波受信器520の断面図が示されている。超音波受信器520は,PVDFフィルム522を含み,PVDFフィルム522は,521a,521bなどの別の素子に分割されている。例えば素子521a及び521cといった素子のいくつかは,超音波吸収ポリウレタン層523を覆っている。この層は,超音波吸収を高めるために,好ましくは10から20μmの直径の気泡などの,空気の小さな介在物とウレタンゴムで形成されている。この層は,以下では,発泡体層として説明され,ポリウレタンゴムをなどの代替物を含む。
【0066】
例えば素子521aと521bといった他の素子は,各々,空のキャビティ555b,555dを覆っている。
【0067】
図5で示されているように,キャビティ555は,実質的には,発泡体層523の表面のくぼみである。他の配置では,くぼみは,発泡体層523を介して幅広く広がることができる。
【0068】
素子521a及び521cは,発泡体層523によって支えられており,これらの素子は,受信した超音波エネルギーによって引き起こされる温度変化(例えば,温度上昇)に応答して,焦電効果に起因する電気信号を生成する。素子521b及び521dは,発泡体層523によって支えられておらず,実質的には受信した超音波エネルギーによって引き起こされる加熱に対して検出感度が低い。
【0069】
しかし,素子521b及び521dは,素子521a及び521dの加速度計の応答と実質的に同一である加速度計の応答を示す。信号処理回路125は,素子521aからの信号から素子521bからの信号を減算すること,及び,素子521cからの信号から素子521dからの信号を減算することによって補正をすることができる。
【0070】
図7の実施形態では,各々に対応した補償素子521b,521dを有する521a,521c代わって,超音波受信器520は,超音波感知素子521a,521cの間で共有される単一の補償素子を備えている。もう一つの方法として,超音波受信器520は,例えば,4つの補償素子であって,4つの補償素子のそれぞれが超音波感知素子の複数によって共有されるような複数の素子を有することができる。画像に影響を与える可能性がある配列内の「デッド」素子を持たないことが好ましく,好適な実施例では,全体の配列のエッジの周りのわずかな部分も含まれる。
【0071】
図7の他の配列では,キャビティ555または貫通孔に代わって,素子521b及び521dが材料を覆っており,材料は発泡体層523に比べて高い熱容量を有している。例えば,素子521bと521dは,銅基板(発泡体層523の代替)を覆うことができる。受信した超音波エネルギーが超音波受信器520によって受信されると,素子521b,521dの温度は,素子521a,521cによって変化する温度と比較してほとんど変化しない。
【0072】
他の実施例では,材料は,高い容量を持つ必要はないが,例えば,ヒートパイプといった,熱的に良好な熱伝導体によって接続され,材料が高い効果的な熱容量をもつように,冷却装置に接続されている。
【0073】
いくつかの実施形態は,空気で満たされた図7に示したキャビティを有するのではなく,センサーのすぐ近くが加熱を最小化するために,低吸収性高分子材料で埋まっているキャビティを有することが予測できる。当業者であれば,この変化のための実用的な可能性を理解できる。
【0074】
図7の他の配置では,素子521a,521cは,第1の超音波吸収体を覆い,素子521b,521dは第2の超音波吸収体を覆っている。第1及び第2の超音波吸収体は,異なる熱的,及び音響特性を持っている(例えば,熱容量及び/または熱伝導,または吸収)。第1及び第2の超音波吸収体は,チェスボードのような交互配列で配置されることがある。素子521の全ては,実質的に同様の加速度センサー検出感度を持つが,素子521b,521dは受信する超音波放射に対して第2の検出感度を持つのに対し,素子521a,521cは,受信する超音波放射に対して第1の検出感度を持つ。従って,素子521a,521cの加速度計の検出感度は,素子521b,521dからの信号を減算することによって除去することができる。素子521b,521dの加速度計の検出感度は,素子521a,521cからの信号を減算することによって除去することができる。素子521から得られた信号は(つまり,減算後)第1及び第2の超音波吸収体の異なる熱特性を考慮するための処理が必要であり,従って,素子521a,521b,521c及び521dの受信超音波エネルギーの異なる検出感度を考慮する必要がある。また,第1,及び第2の超音波吸収は,異なる超音波特性ではなく,同一の超音波特性を有することもできる。より一般的に,第1及び第1の超音波吸収は,異なる熱及び/または超音波の特性を有する(例えば,第2の超音波吸収が2mmの距離内の超音波放射の大部分を吸収するのに対し,第1の超音波吸収は0.2mmの距離内の超音波放射の大部分を吸収する)。このような配置は,上述した図7の配置と組み合わせても良い。
【0075】
図8を参照すると,ここでは,不要な加速度計の検出感度を除去することを容易にするため領域660を取り込んだ超音波受信器620の断面図が示されている。この実施形態では,これらの領域が取り込まれているが,それらの代わりに支持層からの超音波を反射する面で反射することができる。超音波受信器620は,PVDFフィルム622を含んでおり,PVDFフィルム622は分離した素子621a,621bなどに分けられる。素子621は超音波を吸収するポリウレタン発泡体層623を覆っている。例えば,621b,621dといったいくつかの素子は,吸収領域660b,660dに各々覆われている。図8において,全ての素子621は,ポリウレタン発泡体層623の各々の領域を覆っている。素子621b,621dのみが,吸収領域660b,660dによって覆われている。
【0076】
素子621a,621cに比較して,素子621b,621dは比較的受信する超音波エネルギーに対して検出感度が高くない。このことは,超音波エネルギーが素子621b,621dを加熱する前に受信した超音波エネルギーが吸収領域660b,660dに吸収されるためである。吸収領域660b,660dの一番外側の部分は,受信する超音波エネルギーによって加熱される。しかし,吸収領域660は十分な厚さ(例えば5mm)があるため,吸収領域660の前方から吸収領域660の後方に,熱は多くは伝わらない(620b,620dの後方領域は,621b,621dと熱的なコミュニケーションをする)。いくつかの実施形態では,これらの「島」の最上位層はすぐに熱を放出する金属で覆われている。この金属の厚さは,素子660の反射率を最大化するように最適化される。
【0077】
全ての素子621は,実質的に同様の加速度センサーの検出感度を有することができる。不要な加速度計の検出感度を補正するために,例えば素子621a,621bからの信号から,減算することによって,素子621b,621dからの信号は除去される。図8のいくつかの配置では,素子621b,621dの加速度計の検出感度は,素子621a,621cの加速度計の検出感度よりも,例えば3倍以上高い(余分部分に起因し,素子621b,621dの上の吸収領域660b,660dが起因する3つのスケールファクター)。そのような配置では,素子621b,621dからの信号は,素子621a,621cの信号から減算される前に3つのファクターによって減らされる。
【0078】
図8では,吸収領域660は,他の材料や構造が代わりにしようされる場合もあるが,超音波を吸収するポリウレタン発泡体を含む。例えば,超音波エネルギーを反射する材料は,受信した超音波エネルギーから621b,621dの領域を分離するために,ポリウレタン発泡体の代わりに使用されてもよい。
【0079】
図7と図8で述べられている上記の構造は組み合わせてもよい。その結果,組み合わせたものは,1つまたは1つ以上のキャビティ555,及び,1つまたは1つ以上の吸収領域660を有してもよい。いくつかの組み合わせでは,吸収領域660は,キャビティ55(介在素子521,621を介して)を覆ってもよい。
【0080】
図9を参照すると,ここでは,フェーズの検出感度が高い測定と,フェーズの検出感度が高くない測定の両方を行うための超音波受信器を用いたシステム900が示されている。システム900は,図1のシステム100と似ているが,低周波のパス909と,高周波の919を含む信号処理回路925を有している。
【0081】
低周波のパス909は,信号処理回路925と同様に機能する。つまり,低周波のパス909は,超音波吸収体923による超音波吸収に応答して,温度感知層922によって検知される温度変化に基づいたPVDF温度感知層922からの信号を感知する。低周波のパス909は,HzからkHzの安易の帯域幅を持つ。低周波のパス909は,ローパス,またはバンドパスフィルタを含めることができ,バンドパスフィルタは,一般的にはDCオフセットの増幅を避けるために好ましい。
【0082】
高周波のパス919は,ポリマーの圧電応答に基づいて,PVDF温度感知層922からの信号を感知する。焦電性物質は,圧電及び焦電性の両方になる傾向がある。受信する超音波放射は,音圧の波を引き起こし,音圧の波は,PVDFに結合し,膜の厚さの変形と,MHz(超音波エネルギーに使われる周波数は,一般的には20kHz以上10MHz以下)範囲の信号につながる圧電応答を引き起こす。従って,低周波のパス909が時間平均の超音波波形の熱効果を測定するのに対し,高周波のパス919は,サンプルを介した実際の圧力の透過波形を測定し,従来の透過画像処理技術が採用される。高周波のパス919は,ハイパスフィルタまたはバンドパスフィルタを含む。バンドパスフィルタは,一般的に高周波のパス919のノイズ帯域幅を制限するため,信号とノイズの比率を改善することが好ましい。
【0083】
いくつかの実施形態において,システム900は,単一の超音波受信素子921を備える超音波受信器920を有している。システム900の他の実施形態は,例えば,超音波受信素子921を複数備える超音波受信器920を有している。
【0084】
システム900は,3つの方法で画像にサンプル910の特性を測定するために使用することができる。
(i)(フェーズの検出感度が低い)サンプルにどれだけの音響のエネルギーが吸収されるか記録する(超音波受信器920に到達する前にサンプル910によって,超音波送信器905からの超音波旧小戸がどのくらい吸収されるかによって決定される)。
(ii)(フェーズの検出感度が高い)サンプルを通して伝達される音圧の振幅を測定し,かつ,どのように空間的に変動するかを測定する。
(iii)音のスピードを画像処理するために高周波信号を使う,例えば,超音波の到達時間を記録し,かつどのように空間的に変動するかを測定する。
【0085】
(i)に関しては,システム900(例えば単一の超音波受信素子921を有するもの)のいくつかの配置は,超音波受信器920で受信した信号レベルを測定することにより,エネルギーの吸収を決定する。他の配置(例えば,超音波受信素子921を複数有するもの)は,超音波受信器920の2つ以上の超音波受信素子921によって受信される信号のレベルを比較する。
【0086】
(ii)に関しては,システム900(例えば単一の超音波受信素子921を有するもの)は送信フェーズと受信フェーズを比較することによりフェーズを決定する。他の配置(例えば,超音波受信素子921を複数有するもの)は,超音波受信器920の2つ以上の超音波受信素子921によって受信する信号のフェーズを比較する。
【0087】
いくつかの実施例は,2つの方法から得た2つのものを比較するために,2つの部分からなるアプリケーションを示し,つまり圧電と焦電を示す。このことは,介在する媒質の不均一性に関する重要な追加情報を提供すると期待される。このことは,例えば異なった上述した方法(ii)及び(iii)を用いた画像処理の違いをもたらす重要な含有物となるかどうか評価するために有用である。
【0088】
他の実施形態は,超音波受信器920の代わりに,PVDF素子921を含み,その配列は,代わりに,1つまたは1つ以上の温度センサー(熱電対など)を1つまたは1つ以上のハイドロフォンと一緒に含んでも良い。好ましくは,熱電対の数は,ハイドロフォンの数と同じが良い。
【0089】
図10を参照すると,ここでは,PVDF層1022の個別の分極領域1099を備える超音波受信器アレイ1020の観点断面図を示されている。当業者は,焦電及び/または圧電材料は,多くの場合永久的な残留分極を誘導するために分極されていることを理解する。一般的に,材料は強い直流電界を印加しながら,キュリー温度以下に加熱することにより分極され,その後DC電界を維持しつつ,材料が冷却される。材料が冷却されると,DC電界は除去され,分極した材料は残留分極を示す。
【0090】
各超音波受信素子1021は,各々の分極領域1099を有しており,分極領域1099は超音波吸収体1023を覆っている。分離した分極領域1099を持つことの利点は,分極領域1099がPVDF1098の非分極領域によって分離されることである。PVDF1098の非分極領域は,例えば,隣接する超音波受信素子1021a,1021bの間のクロストークが減少するとい利点を有する。
【0091】
図10は,図5,6,または7の超音波受信配列を組み合わせてもよい。図10の超音波受信器機の配列は,超音波吸収体1023なしで,ハイドロフォン配列として使用される。
【0092】
図11を参照すると,ここでは,本明細書の技術を具体化したマンモグラフィー装置の実施例が示されている。装置はカウチ1110を含み,カウチ1110の上に患者の顔を下にして横たわらせに乳房1112を中央が水で満たされた容器1114に配置する。容器1114の壁の周りは,超音波受信器と送信器1116,1118を配置される。送信器は単一の大きな送信器となってもよいが,これらの素子は配列した形式であることが好ましい。図11に示されている素子1116,及び1118は実質的には平面であるが,容器1114の壁の曲率に沿うように湾曲されることも想定される。センサー1118は,3次元トモグラフィー(断層撮影)再構成のために必要とするデータを習得するために乳房の周りをスキャンすることができる。
【0093】
水のような伝達流体が,サンプル1112に超音波送信器1116から超音波エネルギーの結合を改善するために使用され,及び/またはサンプル1112から超音波受信配列1118への結合を改善するために使用される。水の接触媒質の媒体の性質は,生成された画像を改善するために修飾されることがある。例えば,空洞化の抑制剤または乳房組織のような音の速度を一致させる溶液を添加することによって改善される。
【0094】
当業者であれば,様々な図を理解し,上述した配置及び実施形態を組み合わせ及び/または修正することができる。いくつかの側面において,上述した開示は,方法と同等であるとみなすことができる。例えば図1のシステム100は,サンプル110の異なる領域115の減衰を測定することにより,超音波画像処理の方法を提供する。
【0095】
本願が優先権を主張する英国特許出願番号0901022.4,及び本明細書に続く要約は,これらを参照することにより全体が本明細書に取り込まれる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像処理領域を通過する超音波ビームを生成することが可能である少なくとも1つの超音波発信機(105)と,
少なくとも一つの超音波受信器(120;121a)であって,前記超音波受信器の両方またはそれぞれは,前記超音波送信器(105)によって生成される超音波場の強度に対して検出感度が高く,少なくとも1つの前記超音波受信器が前記画像処理領域の前記超音波場を感知するように配置された超音波受信器と,
前記画像処理領域を通過する強度を得るために前記超音波受信器(120)の両方またはそれぞれからの信号を処理することが可能である信号処理回路(125)と,を含む画像処理装置(110)。
【請求項2】
請求項1に記載した画像処理装置であって,
前記超音波受信器(120)の両方またはそれぞれは,平均経過時間の前記超音波場の強度を測定する画像処理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載した画像処理装置であって,
前記超音波受信器(120)の両方またはそれぞれは,焦電性材料(122)を含む画像処理装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載した画像処理装置であって,
前記超音波受信器(120)の両方またはそれぞれは,焦電層(122)及び支持層である超音波吸収体(123)を含む画像処理装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載した画像処理装置であって,
前記超音波受信器(120)の両方またはそれぞれは,前記画像処理領域よりも小さな受信領域を備える画像処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載した画像処理装置であって,
前記超音波受信器(120)の両方またはそれぞれは,ポイントタイプの受信器である画像処理装置。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載した画像処理装置であって,
前記超音波受信器(120)の両方またはそれぞれは,2mmまたはそれ以下の直径を有する画像処理装置。
【請求項8】
請求項5から請求項7のいずれか1項に記載した画像処理装置であって,
前記超音波受信器(120)の両方またはそれぞれは,0.5mmまたはそれ以下の直径を有する画像処理装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載した画像処理装置であって,
前記超音波送信器の両方またはそれぞれは,前記画像処理領域よりも小さな前記超音波ビームを生成することが可能である画像処理装置。
【請求項10】
請求項9に記載した画像処理装置であって,
前記超音波送信器は,画像処理領域を可動でき,及び/または前記画像処理領域をカバーする前記超音波送信器の配置を備える画像処理装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載した画像処理装置であって,
少なくとも1つの前記超音波送信器(105)及び前記超音波受信器は,素子(121a,121b)の配列を含む画像処理装置。
【請求項12】
請求項11に記載した画像処理装置であって,
前記配列は,2次元の配列である画像処理装置。
【請求項13】
請求項11または請求項12に記載した画像処理装置であって,
前記信号処理回路(125)は,前記素子または前記配列に対する第1の時間から得られる特性と第2の時間から得られる特性を比較することができる画像処理装置。
【請求項14】
請求項13に記載した画像処理装置であって,
前記信号処理回路(125)は,前記第1の時間における前記配列の第1の素子(121a)から得られる特性と,前記第2の時間における前記配列の第2の素子(121b)から得られる特性を比較することができる画像処理装置。
【請求項15】
請求項1から請求項14のいずれか1項に記載した画像処理装置は,サンプル(110)の位置を決めるポジショナーを含み,前記ポジショナーは前記超音波送信器(105)と前記超音波受信器(120;121a)の間のパスにある画像処理装置。
【請求項16】
請求項1から請求項15のいずれか1項に記載した画像処理装置であって,
前記画像処理装置はマンモグラフィー装置である画像処理装置。
【請求項17】
請求項1から請求項16のいずれか1項に記載した画像処理装置であって,
前記信号処理回路(125)は,より高い周波数の信号を受信せず,前記超音波受信器(120)の熱変化に対応した周波数を持った信号を受信するためのローパスフィルターを含む画像処理装置。
【請求項18】
請求項1から請求項17のいずれか1項に記載した画像処理装置であって,
前記信号処理回路(125)は,前記第1の時間における1つまたは1つ以上の第1の特性(210;220;230)を計測することができ,その後,前記第2の時間における1つまたは1つ以上の第2の特性(270;272;274;280;282;284)を計測することができる画像処理装置。
【請求項19】
請求項18に記載した画像処理装置であって,
前記信号処理回路(125)は,前記サンプル(110)に関する情報を得るために,1つまたは1つ以上の前記第1の特性と1つまたは1つ以上の前記第2の特性を比較することができる画像処理装置。
【請求項20】
請求項18または請求項19に記載した画像処理装置であって,
1つまたは1つ以上の前記第1の特性は,1つまたは1つ以上の上昇部210と,ピーク220,減衰部230,下降部240,負のピーク250,及び負の減衰部260を含む画像処理装置。
【請求項21】
請求項1から請求項20のいずれか1項に記載した画像処理装置であって,
前記信号処理回路(125)は,前記信号の特性を感知し,前記特性に応じて前記超音波送信器(105)を調整することができる検出器(333)を備える画像処理装置。
【請求項22】
請求項21に記載した画像処理装置であって,
前記検出器(333)は,ピークを検出することができる画像処理装置。
【請求項23】
請求項21または請求項22に記載した画像処理装置であって,
前記検出器(333)は,前記超音波送信器(105)をオン及びオフに変換することができる画像処理装置。
【請求項24】
請求項23に記載した画像処理装置であって,
前記超音波受信器(120)は,前記素子(121a,121b)の配列を含み,
前記検出器(333)は,2つまたは2つ以上の前記信号を結合または比較し,結合された前記信号に基づいて前記超音波送信器(105)を調節することができる画像処理装置。
【請求項25】
請求項1から請求項24のいずれか1項に記載した画像処理装置であって,
前記信号処理回路(125)は,前記超音波受信器(120)によって感知されるバックグラウンド信号に対するシステムの検出感度を減らすことができるバックグラウンド除去回路(444)を備える画像処理装置。
【請求項26】
請求項25に記載した画像処理装置であって,
前記バックグラウンド除去回路(444)は,ノッチフィルターを使用して,前記超音波受信器(120)から得られるバックグラウンド信号をフィルターにかけ,及び/またはバックグラウンドノイズの代表を合成し,及び前記超音波受信器(120)から得られる前記信号から前記バックグラウンド信号の代表を合成したものを減算することができる画像処理装置。
【請求項27】
請求項25に記載した画像処理装置であって,
前記超音波受信器(120)は前記素子(121a,121b)の配列を含み,
前記バックグラウンド除去回路(444)は,前記素子(121a)のいくつかに向かう第1のバックグラウンドを除去することができ,他の前記素子(121b)に向かう異なる第2のバックグラウンドを除去することができる画像処理装置。
【請求項28】
請求項1から請求項27のいずれか1項に記載した画像処理装置であって,
各々の前記超音波受信器(120,921)は,前記超音波吸収体を覆っている焦電性素子を含む画像処理装置。
【請求項29】
請求項28に記載した画像処理装置であって,
各々の前記超音波受信器(120,921)は,前記超音波吸収体及びハイドロフォンを覆っている温度センサーを含む画像処理装置。
【請求項30】
請求項1から請求項29のいずれか1項に記載した画像処理装置であって,フェーズ参照信号を受信するための手段を備える画像処理装置。
【請求項31】
請求項1から請求項30のいずれか1項に記載した画像処理装置であって,
少なくとも1つ以上の前記超音波受信器(920)は,少なくとも1つの超音波受信素子(921)を含み,前記超音波受信素子(921)は超音波エネルギー及び音圧の強度に対して検出感度が高く,
前記信号処理回路(925)は,低周波パス(909)及び高周波パス(919)を含み,前記低周波パス(909)は,前記超音波エネルギーの強度の信号を処理することができ,前記高周波パス(919)は超音波場の音圧の増幅の信号を処理することができる画像処理装置。
【請求項32】
請求項31に記載した画像処理装置であって,
前記低周波パス(909)は,20kHz以上ではない高い周波数に応答し,前記高周波パス(919)は少なくとも20kHzの低い周波数に応答する画像処理装置。
【請求項33】
請求項31または請求項32に記載した画像処理装置であって,
前記超音波受信器(920)は,2つまたは2つ以上の前記超音波受信素子(921)を含む画像処理装置。
【請求項34】
請求項33に記載した画像処理装置であって,
前記信号処理回路(925)は,2つまたは2つ以上の前記高周波パス(919)を含む画像処理装置。
【請求項35】
少なくとも1つの超音波送信器(105)によって超音波場画像処理エリアに広がる超音波場を作る工程と,
サンプルを超音波場に配置する工程と,
少なくとも1つ超音波受信器(120;121a)によって超音波送信器(105)によって作られた超音波場の強度を感知する工程であって,前記超音波受信器の両方またはそれぞれは,前記超音波送信器(105)によって作りだされる超音波場の強度に対して検出感度が高い工程と,
前記超音波受信器(120)の両方またはそれぞれから得られる信号を,前記画像処理エリアにあるサンプルの強度及び音響特性の空間的分布を得るために処理する工程と,を含むサンプル(110)の音響特性の空間的分布を画像処理するための画像処理方法。
【請求項36】
焦電性材料(1022)と,
焦電性材料(1022)の2つまたは2つ以上の分極した領域(1099,1021a,1021b)であって,前記焦電性材料(1021a,1021b)は非分極領域(1098)によって分離されている領域を含む超音波受信配列(1020)
【請求項37】
請求項36に記載した配列であって,
前記分極した領域(1021a,1021b)が直線状の配列及び/または2次元配列で配置されている配列。
【請求項38】
請求項36または請求項37に記載した配列であって,
前記分極した領域(1021a,1021b)は,超音波吸収体(1023)と熱的なコミュニケーション網にある配列。
【請求項39】
請求項36または請求項38のいずれか1項に記載した配列であって,
前記非分極領域(1098)は,前記超音波吸収体(1023)と熱的なコミュニケーション網にある配列。
【請求項40】
超音波吸収体(523)と,
前記超音波吸収体(523)と熱的なコミュニケーション網にある焦電性の超音波感知素子(521a)と,
前記超音波吸収体(523)から実質的に熱的に隔離されている焦電性の補償素子(521b)と,を含む超音波受信器(520)。
【請求項41】
請求項40に記載した超音波受信器であって,
焦電性の前記補償素子(521b)は,前記超音波吸収体(523)において,キャビティ(555)を覆っている超音波受信器。
【請求項42】
請求項41に記載した超音波受信器であって,
焦電性の前記補償素子(521b)は,前記超音波吸収体(523)を通り抜ける孔,または前記超音波吸収体(523)よりも有効な熱容量が高い材料を覆っている超音波受信器。
【請求項43】
請求項40から請求項42のいずれか1孔に記載した超音波受信器であって,
2つまたは2つ以上の前記超音波感知素子(521a,521c)及び/または2つまたは2つ以上の前記補償素子(521b,521d)を含む超音波受信器。
【請求項44】
請求項40または請求項41に記載した超音波受信器であって,
前記超音波吸収体に対して,異なる熱特性及び/または異なる超音波特性を有する第2の超音波吸収体と,
前記第2の超音波吸収体と熱的なコミュニケーション網にある焦電性の第2の超音波感知素子(521b)を含む超音波受信器。
【請求項45】
請求項44に記載した超音波受信器であって,
2つまたは2つ以上の前記超音波感知素子(521a,521c)及び/または2つまたは2つ以上の前記第2の超音波感知素子(521b,521d)を含む超音波受信器。
【請求項46】
超音波吸収体(623)と,
前記超音波吸収体(623)を覆っており,かつ,前記超音波吸収体(623)と熱的なコミュニケーション網にある焦電性の超音波感知素子(621a)と,
超音波遮蔽体(660b)を覆っている焦電性の補償素子(621b)と,を含む超音波受信器(620)。
【請求項47】
請求項46に記載した超音波受信器であって,
超音波遮蔽体(660b)は,超音波エネルギーを吸収,または超音波エネルギーを反射する超音波受信器。
【請求項48】
請求項46または請求項47に記載した超音波受信器であって,
2つまたは2つ以上の第1の超音波感知素子(621a,621c)及び/または2つまたは2つ以上の第2の超音波感知素子(621b,621d)を含む超音波受信器。
【請求項1】
画像処理領域を通過する超音波ビームを生成することが可能である少なくとも1つの超音波発信機(105)と,
少なくとも一つの超音波受信器(120;121a)であって,前記超音波受信器の両方またはそれぞれは,前記超音波送信器(105)によって生成される超音波場の強度に対して検出感度が高く,少なくとも1つの前記超音波受信器が前記画像処理領域の前記超音波場を感知するように配置された超音波受信器と,
前記画像処理領域を通過する強度を得るために前記超音波受信器(120)の両方またはそれぞれからの信号を処理することが可能である信号処理回路(125)と,を含む画像処理装置(110)。
【請求項2】
請求項1に記載した画像処理装置であって,
前記超音波受信器(120)の両方またはそれぞれは,平均経過時間の前記超音波場の強度を測定する画像処理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載した画像処理装置であって,
前記超音波受信器(120)の両方またはそれぞれは,焦電性材料(122)を含む画像処理装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載した画像処理装置であって,
前記超音波受信器(120)の両方またはそれぞれは,焦電層(122)及び支持層である超音波吸収体(123)を含む画像処理装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載した画像処理装置であって,
前記超音波受信器(120)の両方またはそれぞれは,前記画像処理領域よりも小さな受信領域を備える画像処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載した画像処理装置であって,
前記超音波受信器(120)の両方またはそれぞれは,ポイントタイプの受信器である画像処理装置。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載した画像処理装置であって,
前記超音波受信器(120)の両方またはそれぞれは,2mmまたはそれ以下の直径を有する画像処理装置。
【請求項8】
請求項5から請求項7のいずれか1項に記載した画像処理装置であって,
前記超音波受信器(120)の両方またはそれぞれは,0.5mmまたはそれ以下の直径を有する画像処理装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載した画像処理装置であって,
前記超音波送信器の両方またはそれぞれは,前記画像処理領域よりも小さな前記超音波ビームを生成することが可能である画像処理装置。
【請求項10】
請求項9に記載した画像処理装置であって,
前記超音波送信器は,画像処理領域を可動でき,及び/または前記画像処理領域をカバーする前記超音波送信器の配置を備える画像処理装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載した画像処理装置であって,
少なくとも1つの前記超音波送信器(105)及び前記超音波受信器は,素子(121a,121b)の配列を含む画像処理装置。
【請求項12】
請求項11に記載した画像処理装置であって,
前記配列は,2次元の配列である画像処理装置。
【請求項13】
請求項11または請求項12に記載した画像処理装置であって,
前記信号処理回路(125)は,前記素子または前記配列に対する第1の時間から得られる特性と第2の時間から得られる特性を比較することができる画像処理装置。
【請求項14】
請求項13に記載した画像処理装置であって,
前記信号処理回路(125)は,前記第1の時間における前記配列の第1の素子(121a)から得られる特性と,前記第2の時間における前記配列の第2の素子(121b)から得られる特性を比較することができる画像処理装置。
【請求項15】
請求項1から請求項14のいずれか1項に記載した画像処理装置は,サンプル(110)の位置を決めるポジショナーを含み,前記ポジショナーは前記超音波送信器(105)と前記超音波受信器(120;121a)の間のパスにある画像処理装置。
【請求項16】
請求項1から請求項15のいずれか1項に記載した画像処理装置であって,
前記画像処理装置はマンモグラフィー装置である画像処理装置。
【請求項17】
請求項1から請求項16のいずれか1項に記載した画像処理装置であって,
前記信号処理回路(125)は,より高い周波数の信号を受信せず,前記超音波受信器(120)の熱変化に対応した周波数を持った信号を受信するためのローパスフィルターを含む画像処理装置。
【請求項18】
請求項1から請求項17のいずれか1項に記載した画像処理装置であって,
前記信号処理回路(125)は,前記第1の時間における1つまたは1つ以上の第1の特性(210;220;230)を計測することができ,その後,前記第2の時間における1つまたは1つ以上の第2の特性(270;272;274;280;282;284)を計測することができる画像処理装置。
【請求項19】
請求項18に記載した画像処理装置であって,
前記信号処理回路(125)は,前記サンプル(110)に関する情報を得るために,1つまたは1つ以上の前記第1の特性と1つまたは1つ以上の前記第2の特性を比較することができる画像処理装置。
【請求項20】
請求項18または請求項19に記載した画像処理装置であって,
1つまたは1つ以上の前記第1の特性は,1つまたは1つ以上の上昇部210と,ピーク220,減衰部230,下降部240,負のピーク250,及び負の減衰部260を含む画像処理装置。
【請求項21】
請求項1から請求項20のいずれか1項に記載した画像処理装置であって,
前記信号処理回路(125)は,前記信号の特性を感知し,前記特性に応じて前記超音波送信器(105)を調整することができる検出器(333)を備える画像処理装置。
【請求項22】
請求項21に記載した画像処理装置であって,
前記検出器(333)は,ピークを検出することができる画像処理装置。
【請求項23】
請求項21または請求項22に記載した画像処理装置であって,
前記検出器(333)は,前記超音波送信器(105)をオン及びオフに変換することができる画像処理装置。
【請求項24】
請求項23に記載した画像処理装置であって,
前記超音波受信器(120)は,前記素子(121a,121b)の配列を含み,
前記検出器(333)は,2つまたは2つ以上の前記信号を結合または比較し,結合された前記信号に基づいて前記超音波送信器(105)を調節することができる画像処理装置。
【請求項25】
請求項1から請求項24のいずれか1項に記載した画像処理装置であって,
前記信号処理回路(125)は,前記超音波受信器(120)によって感知されるバックグラウンド信号に対するシステムの検出感度を減らすことができるバックグラウンド除去回路(444)を備える画像処理装置。
【請求項26】
請求項25に記載した画像処理装置であって,
前記バックグラウンド除去回路(444)は,ノッチフィルターを使用して,前記超音波受信器(120)から得られるバックグラウンド信号をフィルターにかけ,及び/またはバックグラウンドノイズの代表を合成し,及び前記超音波受信器(120)から得られる前記信号から前記バックグラウンド信号の代表を合成したものを減算することができる画像処理装置。
【請求項27】
請求項25に記載した画像処理装置であって,
前記超音波受信器(120)は前記素子(121a,121b)の配列を含み,
前記バックグラウンド除去回路(444)は,前記素子(121a)のいくつかに向かう第1のバックグラウンドを除去することができ,他の前記素子(121b)に向かう異なる第2のバックグラウンドを除去することができる画像処理装置。
【請求項28】
請求項1から請求項27のいずれか1項に記載した画像処理装置であって,
各々の前記超音波受信器(120,921)は,前記超音波吸収体を覆っている焦電性素子を含む画像処理装置。
【請求項29】
請求項28に記載した画像処理装置であって,
各々の前記超音波受信器(120,921)は,前記超音波吸収体及びハイドロフォンを覆っている温度センサーを含む画像処理装置。
【請求項30】
請求項1から請求項29のいずれか1項に記載した画像処理装置であって,フェーズ参照信号を受信するための手段を備える画像処理装置。
【請求項31】
請求項1から請求項30のいずれか1項に記載した画像処理装置であって,
少なくとも1つ以上の前記超音波受信器(920)は,少なくとも1つの超音波受信素子(921)を含み,前記超音波受信素子(921)は超音波エネルギー及び音圧の強度に対して検出感度が高く,
前記信号処理回路(925)は,低周波パス(909)及び高周波パス(919)を含み,前記低周波パス(909)は,前記超音波エネルギーの強度の信号を処理することができ,前記高周波パス(919)は超音波場の音圧の増幅の信号を処理することができる画像処理装置。
【請求項32】
請求項31に記載した画像処理装置であって,
前記低周波パス(909)は,20kHz以上ではない高い周波数に応答し,前記高周波パス(919)は少なくとも20kHzの低い周波数に応答する画像処理装置。
【請求項33】
請求項31または請求項32に記載した画像処理装置であって,
前記超音波受信器(920)は,2つまたは2つ以上の前記超音波受信素子(921)を含む画像処理装置。
【請求項34】
請求項33に記載した画像処理装置であって,
前記信号処理回路(925)は,2つまたは2つ以上の前記高周波パス(919)を含む画像処理装置。
【請求項35】
少なくとも1つの超音波送信器(105)によって超音波場画像処理エリアに広がる超音波場を作る工程と,
サンプルを超音波場に配置する工程と,
少なくとも1つ超音波受信器(120;121a)によって超音波送信器(105)によって作られた超音波場の強度を感知する工程であって,前記超音波受信器の両方またはそれぞれは,前記超音波送信器(105)によって作りだされる超音波場の強度に対して検出感度が高い工程と,
前記超音波受信器(120)の両方またはそれぞれから得られる信号を,前記画像処理エリアにあるサンプルの強度及び音響特性の空間的分布を得るために処理する工程と,を含むサンプル(110)の音響特性の空間的分布を画像処理するための画像処理方法。
【請求項36】
焦電性材料(1022)と,
焦電性材料(1022)の2つまたは2つ以上の分極した領域(1099,1021a,1021b)であって,前記焦電性材料(1021a,1021b)は非分極領域(1098)によって分離されている領域を含む超音波受信配列(1020)
【請求項37】
請求項36に記載した配列であって,
前記分極した領域(1021a,1021b)が直線状の配列及び/または2次元配列で配置されている配列。
【請求項38】
請求項36または請求項37に記載した配列であって,
前記分極した領域(1021a,1021b)は,超音波吸収体(1023)と熱的なコミュニケーション網にある配列。
【請求項39】
請求項36または請求項38のいずれか1項に記載した配列であって,
前記非分極領域(1098)は,前記超音波吸収体(1023)と熱的なコミュニケーション網にある配列。
【請求項40】
超音波吸収体(523)と,
前記超音波吸収体(523)と熱的なコミュニケーション網にある焦電性の超音波感知素子(521a)と,
前記超音波吸収体(523)から実質的に熱的に隔離されている焦電性の補償素子(521b)と,を含む超音波受信器(520)。
【請求項41】
請求項40に記載した超音波受信器であって,
焦電性の前記補償素子(521b)は,前記超音波吸収体(523)において,キャビティ(555)を覆っている超音波受信器。
【請求項42】
請求項41に記載した超音波受信器であって,
焦電性の前記補償素子(521b)は,前記超音波吸収体(523)を通り抜ける孔,または前記超音波吸収体(523)よりも有効な熱容量が高い材料を覆っている超音波受信器。
【請求項43】
請求項40から請求項42のいずれか1孔に記載した超音波受信器であって,
2つまたは2つ以上の前記超音波感知素子(521a,521c)及び/または2つまたは2つ以上の前記補償素子(521b,521d)を含む超音波受信器。
【請求項44】
請求項40または請求項41に記載した超音波受信器であって,
前記超音波吸収体に対して,異なる熱特性及び/または異なる超音波特性を有する第2の超音波吸収体と,
前記第2の超音波吸収体と熱的なコミュニケーション網にある焦電性の第2の超音波感知素子(521b)を含む超音波受信器。
【請求項45】
請求項44に記載した超音波受信器であって,
2つまたは2つ以上の前記超音波感知素子(521a,521c)及び/または2つまたは2つ以上の前記第2の超音波感知素子(521b,521d)を含む超音波受信器。
【請求項46】
超音波吸収体(623)と,
前記超音波吸収体(623)を覆っており,かつ,前記超音波吸収体(623)と熱的なコミュニケーション網にある焦電性の超音波感知素子(621a)と,
超音波遮蔽体(660b)を覆っている焦電性の補償素子(621b)と,を含む超音波受信器(620)。
【請求項47】
請求項46に記載した超音波受信器であって,
超音波遮蔽体(660b)は,超音波エネルギーを吸収,または超音波エネルギーを反射する超音波受信器。
【請求項48】
請求項46または請求項47に記載した超音波受信器であって,
2つまたは2つ以上の第1の超音波感知素子(621a,621c)及び/または2つまたは2つ以上の第2の超音波感知素子(621b,621d)を含む超音波受信器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2012−515569(P2012−515569A)
【公表日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−545797(P2011−545797)
【出願日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際出願番号】PCT/GB2010/000095
【国際公開番号】WO2010/084319
【国際公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(511174960)ザ セクレタリー オブ ステイト フォー イノベイション ユニヴァーシティーズ アンド スキルズ (1)
【氏名又は名称原語表記】THE SECRETARY OFSTATE FOR INNOVATION, UNIVERSITIES & SKILLS
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際出願番号】PCT/GB2010/000095
【国際公開番号】WO2010/084319
【国際公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(511174960)ザ セクレタリー オブ ステイト フォー イノベイション ユニヴァーシティーズ アンド スキルズ (1)
【氏名又は名称原語表記】THE SECRETARY OFSTATE FOR INNOVATION, UNIVERSITIES & SKILLS
【Fターム(参考)】
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