説明

画像処理装置及び画像処理プログラム

【課題】コード画像を含んだ画像を示す画像データに対してコード画像が劣化するような画像処理を行なったとしても、当該画像データが印刷された場合のコード画像の劣化を抑制することができる画像処理装置及び画像処理プログラムを提供する。
【解決手段】原稿読取部14により、コード画像を含んだ画像を示す画像データを取得し、前記画像に対する画像処理を行なう際の画質に関する処理条件を受け付けるユーザインタフェース24で受け付けられた処理条件による画像処理がコード画像を劣化させる処理である場合に当該コード画像の領域を処理対象外として、CPU50によって、原稿読取部14により取得された画像データに対し、ユーザインタフェース24で受け付けられた処理条件による画像処理を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像処理装置及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、撮像された、バーコードを含んだ画像を示す画像データにに対して、印刷と認識の双方に共通の画像処理を行い、この共通の画像処理が施された画像データに対して、印刷に適した画像処理を行うとともに、バーコードの認識に適した画像処理を並行して行い、画像処理が施された画像データを認識部にて認識することにより、撮像された画像データの中からバーコードを認識する際の認識率を向上させる技術が開示されている。
【特許文献1】特開2006−244160号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、コード画像を含んだ画像を示す画像データに対してコード画像が劣化するような画像処理を行なったとしても、当該画像データが印刷された場合のコード画像の劣化を抑制することができる画像処理装置及び画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に記載の発明は、コード画像を含んだ画像を示す画像データを取得する取得手段と、前記画像に対する画像処理を行なう際の画質に関する処理条件を受け付ける受付手段と、前記受付手段で受け付けられた処理条件による画像処理が前記コード画像を劣化させる処理である場合に当該コード画像の領域を処理対象外として、前記取得手段により取得された画像データに対し、前記受付手段で受け付けられた処理条件による画像処理を行なう画像処理手段と、を備えている。
【0005】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記画像処理手段が、前記取得手段により取得された画像データにより示される画像から前記コード画像に対応するコード画像データを分離する分離手段と、前記分離手段により前記コード画像データが分離された画像データに対し、前記受付手段で受け付けられた処理条件による画像処理を行なう第1画像処理手段と、前記分離手段により分離されたコード画像データに対し、前記受付手段で受け付けられた処理条件による画像処理が行なわれた場合よりも当該コード画像の復号性を向上させる所定の画像処理を行なう第2画像処理手段と、前記第1画像処理手段により画像処理された画像データに対し、前記第2画像処理手段により画像処理されたコード画像データを合成する合成手段と、を有するものである。
【0006】
また、請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記受付手段が、前記処理条件として、前記取得手段により取得された画像データにより示される画像の縮小を必要とする編集指示を受け付けると共に、前記合成手段により合成を行なう際に、前記取得手段により取得された画像データにより示される画像と前記コード画像の何れを優先させるかの優先指示を受け付けるものであり、前記合成手段が、前記受付手段により前記編集指示と前記コード画像を優先させる優先指示が受け付けられた場合に、前記第1画像処理手段により画像処理された画像データに対し、当該画像データにより示される画像内において前記分離手段により分離される前と前記コード画像の中心位置が一致するように前記コード画像データを合成し、前記受付手段により前記編集指示と前記画像データにより示される画像を優先させる優先指示が受け付けられた場合に、前記第1画像処理手段により画像処理された画像データに対し、当該画像データにより示される画像内のコード画像を合成可能なサイズの余白領域に前記コード画像データを合成するものである。
【0007】
また、請求項4記載の発明は、請求項2又は請求項3記載の発明において、前記第1画像処理手段が、前記取得手段により取得された画像データに対し、当該画像データにより示される画像の前記分離手段により前記コード画像が分離された領域を当該画像の地色を示すデータにて補完する画像処理を行なうものである。
【0008】
一方、請求項5の発明の画像処理プログラムは、前記受付手段で受け付けられた画質に関する処理条件による画像処理がコード画像を劣化させる処理であるか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップによりコード画像を劣化させる処理であると判定された場合にコード画像の領域を処理対象外として、画像データに対し、前記受付手段で受け付けられた処理条件による画像処理を行なう画像処理ステップと、をコンピュータに実行させるものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1及び請求項5に記載の発明によれば、コード画像の領域を処理対象外として、画像データに対して画像処理を行なうので、当該画像データが印刷された場合のコード画像の劣化を抑制することができる、という優れた効果を有する。
【0010】
また、請求項2に記載の発明によれば、コード画像の復号性を向上させることができる、という優れた効果を有する。
【0011】
また、請求項3に記載の発明によれば、コード画像の中心位置が一致するように画像データに対してコード画像データを合成した場合、画像処理前後で対応するコード画像を識別しやすく、一方、画像データに対して、コード画像を合成可能なサイズの余白領域にコード画像データを合成した場合、画像データにより示される画像上にコード画像が上書きされてしまうことを防止することができる、という優れた効果を有する。
【0012】
さらに、請求項4に記載の発明によれば、コード画像が分離された領域を地色で補完するため、コード画像が分離された領域の違和感を抑えることができる、という優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、以下では、本発明を複合機に適用した場合について説明する。
【0014】
図1には、本実施の形態に係る複合機10の全体構成が示されている。
【0015】
同図に示すように、本実施の形態に係る複合機10は、ネットワーク80を介して、例えば、パーソナル・コンピュータ(以下、「PC」という。)82等の多数の端末装置に接続されており、ネットワーク80を介して各端末装置から共有して利用可能とされている。
【0016】
また、本実施の形態に係る複合機10は、電話回線等の一般通信回線84とも接続されており、当該一般通信回線84を介してファクシミリ通信を行うことが可能とされている。
【0017】
図2には、本実施の形態に係る複合機10の詳細な構成が示されている。
【0018】
同図に示すように、複合機10は、画像形成部12と、この画像形成部12の上方に設けられた原稿読取部14と、を備えている。なお、本実施の形態に係る原稿読取部14には、当該原稿読取部14の開閉蓋を兼用する原稿搬送装置16が設けられている。
【0019】
原稿読取部14には、その上面に原稿を載せるための透明のガラス板で形成されたプラテンガラス(図示省略)が設置され、原稿読取領域となっている。
【0020】
また、原稿読取部14には、ユーザが原稿読取、或いは複写指示等の各種指示を入力するためのユーザインタフェース24が配設されている。ユーザインタフェース24には、複写やファクシミリ送信の際の各種の条件設定を行なうための条件設定画面が表示されるタッチパネルディスプレイや、テンキーやスタートボタン等のハードウェアボタンなどが設けられ、複写枚数設定や倍率設定に利用されると共に、ファクシミリ送信時の電話機のダイヤルキーとしても利用される。すなわち、原稿読取部14は、複写時の原稿読取機能と、ファクシミリ送信時の原稿読取機能とを併せ持っている。なお、複写機能は前記画像形成部12と原稿読取部14との組合わせで実行可能である。
【0021】
原稿搬送装置16には、複写しようとする原稿を(複数枚の場合は重ねて)載せるフィーダートレイ20が設けられている。原稿搬送装置16は、フィーダートレイ20上に載せられた原稿(複数枚重ねられている場合は、その最上層の原稿)を、原稿反転ユニット(図示省略)へ送り込むことで、反転しながらプラテンガラス上の読取領域を通過させ、フィーダートレイ20の下部に設けられた原稿排紙トレイ22上に排出されるように自動搬送して原稿読取動作を実行する。
【0022】
画像形成部12には、装置本体下部に3段に渡って配置された給紙トレイ26が設けられ、サイズが指定されることで、選択的に給紙トレイ26から記録用紙が給紙装置によって1枚ずつ引き出され、画像形成部12に搬送されるようになっている。
【0023】
画像形成部12の内部(図示省略)には、感光体ドラムが配設されている。画像形成部12の内部の感光体ドラムの周囲には、帯電装置、光走査装置、現像装置、転写装置等が配設されている。感光体ドラムの周面は、帯電装置によって一様に帯電された後、光走査装置によって画像データに基づく静電潜像が形成される。この形成された静電潜像は現像装置より供給されるトナーによって現像される。その後、現像された感光体ドラム上のトナー画像が転写装置を通過することで、当該トナー画像が給紙トレイ26から搬送された記録用紙に転写される構成となっている。画像が転写された記録用紙は定着装置によって加熱、加圧処理され、画像が定着された状態で排出されるようになっている。
【0024】
図3には、本実施の形態に係る複合機10の電気系の要部構成が示されている。
【0025】
同図に示すように、複合機10は、装置全体の動作を司るCPU(中央処理装置)50と、各種データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)52と、装置全体を制御する制御プログラムや後述する画像処理プログラムを含む各種プログラム等が予め記憶されたROM(Read Only Memory)54と、各種データを記憶するHDD(ハード・ディスク・ドライブ)56と、ユーザインタフェース24に接続され、当該ユーザインタフェース24に対する各種の操作画面の表示を制御する表示制御部58と、ユーザインタフェース24に接続され、当該ユーザインタフェース24に対するユーザからの各種の操作指示を検出する操作入力検出部60と、を備えている。
【0026】
また、複合機10は、上述した原稿読取部14による光学的な画像の読み取り動作及び原稿搬送装置16による原稿送り動作を制御する読取制御部62と、上述した画像形成部12による画像形成処理を制御する画像形成制御部64と、ネットワーク80に接続され、当該ネットワーク80に接続された他の端末装置との間で通信データの送受信を行うネットワークI/F(インタフェース)部66と、一般通信回線84に接続され、当該一般通信回線84に接続されたファクシミリ装置との間でファクシミリ電文の送受信を行うファクシミリI/F(インタフェース)部68と、を備えている。
【0027】
CPU50、RAM52、ROM54、HDD56、表示制御部58、操作入力検出部60、読取制御部62、画像形成制御部64、ネットワークI/F部66、及びファクシミリI/F部68は、システムバスBUSを介して相互に接続されている。従って、CPU50は、RAM52、ROM54、及びHDD56へのアクセスと、表示制御部58を介したユーザインタフェース24への操作画面、各種メッセージ等の各種情報の表示の制御と、読取制御部62を介した原稿読取部14及び原稿搬送装置16の作動の制御と、画像形成制御部64を介した画像形成部12の作動の制御と、ネットワークI/F部66を介した通信データの送受信の制御と、ファクシミリI/F部68を介したファクシミリ電文の送受信の制御と、を各々行うことができる。また、CPU50は、操作入力検出部60により検出された操作情報に基づく、ユーザインタフェース24に対する操作内容を把握することができる。
【0028】
また、CPU50は、ROM54に記憶された画像処理プログラムを実行することにより、ユーザインタフェース24に設定された条件設定に従って画像データに対して拡大や縮小、画像の合成等を含む各種画像処理を行うことが可能とされている。
【0029】
次に、本実施の形態に係る複合機10の作用を説明する。
【0030】
本実施の形態係る複合機10は、ユーザがユーザインタフェース24を用いてファクシミリ機能及び複写機能を指示することが可能とされている。また、複合機10は、ネットワーク80を介して印刷データが受信されると、当該印刷データにより示される文書を印刷する印刷機能を実行する。さらに、複合機10は、一般通信回線84を介してファクシミリ装置からファクシミリ電文が入力されるとファクシミリ機能を実行する。
【0031】
本実施の形態係る複合機10は、複写機能を指定する際の設定条件として、ユーザインタフェース24から印刷先となる記録用紙のサイズの指定や、拡大又は縮小する場合の倍率の指定、文書の複数ページを1枚の記録用紙に割り付けするN−UP印刷(例えば、文書の2ページを1枚の記録用紙に割り付けする2−UP印刷。)の指定、画像の濃度やコントラストやシャープネスなどの画質に関する指定、を各々行うことが可能となっている。
【0032】
ユーザは、複写機能を使用する場合、フィーダートレイ20に複写しようとする原稿を載せて、ユーザインタフェース24によって複写枚数設定や倍率設定等を指定すると共に、複写開始を指示する。また、ユーザは、ファクシミリ機能を使用する場合、ユーザインタフェース24によりファクシミリ機能を指定すると共に送信先の指定操作を行なってファクシミリ送信開始を指示する。
【0033】
ところで、図4に示されるように、例えば、QRコード(Quick Response code)(商標登録))などのコード画像92を含んだ4枚の原稿90を4−UP印刷を行なって1枚の記録用紙94に複写した場合、原稿90に記録された画像が全体的に縮小されて記録用紙94に記録されるため、コード画像92も縮小されてしまう。
【0034】
また、図5に示されるように、例えば、コード画像92を含んだ原稿90を読み取ってファクシミリ送信した場合、ヘッダやフッダに送信元の情報等を合成するために、原稿90に記録された画像が全体的に所定の割合だけ(例えば、95%)縮小されてしまう場合があり、この場合、送信先で記録用紙に記録されるコード画像92も上記所定の割合だけ縮小されてしまう。
【0035】
また、図6に示されるように、コード画像92を含んだ原稿90を、画質に関する設定条件として濃度を薄くやコントラストを弱くを指定して複写した場合、画像全体のコントラストが低下して薄い濃度で画像が記録用紙94に記録されるため、コード画像92の濃度も薄く記録されてしまう。
【0036】
さらに、図7に示されるように、画質に関する設定条件としてシャープネスを弱く指定して複写した場合、画像全体がぼやけて記録用紙94に記録されるため、コード画像92もぼやけて記録されてしまう。
【0037】
このように、記録用紙94に記録されるコード画像92が縮小されたり、濃度が薄くなったり、あるいは、ぼやけてしまった場合、当該コード画像92を読み取って当該コード画像により示される情報を復号化しようとしても復号化できない場合がある。
【0038】
本実施の形態に係る複合機10では、ユーザインタフェース24によりファクシミリ機能又は複写機能の実行が指示された場合に、CPU50により読取制御部62を介して原稿読取部14の作動の制御して原稿読取部14により原稿90を読み取らせることにより当該原稿90に記録された画像を示す画像データを取得する。
【0039】
そして、本実施の形態に係る複合機10では、CPU50により後述する画像処理プログラムを実行して、原稿90を読み取ることにより取得された画像データにより示される画像にコード画像92を含まれ、ユーザインタフェース24により指定された設定条件による画像処理がコード画像を劣化させる処理である場合に当該コード画像の領域を処理対象外として、画像データに対し、ユーザインタフェース24で受け付けられた処理条件による画像処理を行なうようにしている。
【0040】
図8には、CPU50により実行される画像処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートが示されている。なお、当該プログラムはROM54の所定の領域に予め記憶されている。
【0041】
同図のステップ100では、原稿90を読み取ることにより取得された画像データにより示される画像を順次走査することにより当該画像からコード画像92を検索する。例えば、画像からコード画像92としてQRコード(商標登録)を検索する場合は、当該画像の各ラインを順次走査して切り出しシンボル(ファインダパターン)を探すことによりQRコードを検索する。本ステップ100では、コード画像92を検索すると共に、当該画像にQRコードが含まれる場合、当該画像内でのQRコードの領域を特定する。
【0042】
次のステップ102では、上記ステップ100の検索の結果、画像データにより示される画像にコード画像92が含まれるか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ104へ移行する一方、否定判定となった場合はステップ120へ移行する。
【0043】
ステップ104では、ユーザインタフェース24により指定された設定条件に基づき、当該設定による画像処理がコード画像を劣化させる処理であるか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ106へ移行する一方、否定判定となった場合はステップ120へ移行する。本実施の形態では、例えば、N−UP印刷が指定された場合や、ファクシミリ送信の場合、画質に関する設定条件として濃度を薄くやコントラストを弱く、シャープネスを弱くを指定された場合に、コード画像を劣化させる処理と判定する。
【0044】
ステップ106では、原稿90を読み取ることにより取得された画像データにより示される画像からコード画像に対応するコード画像データを分離する。
【0045】
次のステップ108では、コード画像データが分離された画像データに対し、当該画像データにより示される画像のコード画像が分離された領域を当該画像の地色を示すデータにて補完する画像処理を行なう。
【0046】
次のステップ110では、地色を示すデータが補完された画像データに対し、ユーザインタフェース24により指定された設定条件に基づく画像処理を行なう。
【0047】
すなわち、例えば、N−UP印刷が指定されていた場合は、画像データに対して、当該画像データにより示される画像を1枚の記録用紙に割り付けするサイズの画像に全体的に縮小する画像処理を行なう。そして、縮小された画像データにより示される画像を1枚の記録用紙に記録する画像データとして合成する画像処理を行なう。
【0048】
次のステップ112では、上記ステップ106において分離されたコード画像データに対し、ユーザインタフェース24により指定された設定条件に基づく画像処理が行なわれた場合よりも当該コード画像の復号性を向上させる所定の画像処理を行なう。本実施の形態では、例えば、コード画像データに対して、当該コード画像データにより示されるコード画像の濃度を濃くしたり、コントラストを強くしたり、シャープネスを強くする画像処理を行なう。
【0049】
そして、次のステップ114では、上記ステップ110において画像処理された画像データに対し、上記ステップ112において画像処理されたコード画像データを合成する画像処理を行う。
【0050】
なお、この画像データに対するコード画像データの合成は、画像データにより示される画像内において分離される前とコード画像の中心位置が一致するようにコード画像データを合成してもよく、また、画像データに対し、当該画像データにより示される画像内のコード画像を合成可能なサイズの余白領域にコード画像データを合成してもよい。
【0051】
また、例えば、ユーザインタフェース24において、合成を行なう処理条件として、画像データにより示される画像とコード画像の何れを優先させるかの優先指示を受け付けるものとした場合は、ユーザインタフェース24で受け付けられた優先の内容に応じて画像データに対し、コード画像データを合成するようにしてもよい。
【0052】
本ステップ114による合成する画像処理の完了後、本画像処理プログラムは終了となる。
【0053】
一方、ステップ120では、原稿90を読み取ることにより取得された画像データに対して指定された設定条件に基づく画像処理を行い、当該画像処理の完了後、本画像処理プログラムは終了となる。
【0054】
このように、本実施の形態に係る画像処理プログラムよれば、コード画像を含んだ画像を示す画像データに対してコード画像を劣化させるような画像処理が行なわれる場合に、当該コード画像の領域に対して当該画像処理を行なわないため、当該画像データが印刷された場合のコード画像の劣化を抑制される。
【0055】
なお、本実施の形態では、コード画像データに対して、当該コード画像データにより示されるコード画像の濃度を濃くしたり、コントラストを強くしたり、シャープネスを強くする画像処理を行なってコード画像の復号性を向上させる場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではないく、例えば、画像処理を行なわず、分離したコード画像データをそのまま画像データに対して合成してもよい。これにより、元のコード画像の復号性を保つことができる。また、例えば、画像形成部12により記録用紙に形成される画像の解像度が低い場合、コード画像データに対して、当該コード画像データにより示されるコード画像を全体的に拡大する画像処理を行なってもよい。
【0056】
また、本実施の形態では、原稿読取部14により原稿90を読み取ることにより画像データを取得する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではないく、例えば、ネットワーク80を介してPC82から送信された画像データをネットワークI/F部66によって取得するものとしてもよく、一般通信回線84を介して他のファクシミリ装置から送信された画像データをファクシミリI/F部68によって取得するものとしてもよい。この場合も、本実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0057】
また、本実施の形態では、コード画像としてQRコード(登録商標)を用いた場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、2次元コードとしてピーディーエフ417(PDF417)(登録商標)、データマトリクス(DataMatrix)(登録商標)、マキシコード(Maxi Code)(登録商標)、ベリコード(Veri Code)等を用いてもよい。また、バーコードとして、JAN(EAN、UPC)コード、ITFコード、NW−7、コード39(CODE39)、コード93(CODE93)、コード128(CODE128)等を用いてもよい。この場合も、本実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0058】
その他、本実施の形態で説明した複合機10の構成(図1〜図3参照。)は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0059】
また、本実施の形態で説明した画像処理プログラム(図8参照。)の処理の流れも一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】実施の形態に係る複合機の全体構成を示す概略図である。
【図2】実施の形態に係る複合機の詳細な構成を示す斜視図である。
【図3】実施の形態に係る複合機の電気系の要部構成を示すブロック図である。
【図4】実施の形態に係る4枚の原稿を4−UP印刷を行なって1枚の記録用紙に複写した場合を模式的に示した模式図である。
【図5】実施の形態に係る原稿をファクシミリ送信した場合を模式的に示した模式図である。
【図6】実施の形態に係る濃度を薄くやコントラストを弱くを指定して原稿を複写した場合を模式的に示した模式図である。
【図7】実施の形態に係るシャープネスを弱くを指定して原稿を複写した場合を模式的に示した模式図である。
【図8】実施の形態に係る画像処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0061】
10 複合機
14 原稿読取部(取得手段)
24 ユーザインタフェース(受付手段)
50 CPU(画像処理手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コード画像を含んだ画像を示す画像データを取得する取得手段と、
前記画像に対する画像処理を行なう際の画質に関する処理条件を受け付ける受付手段と、
前記受付手段で受け付けられた処理条件による画像処理が前記コード画像を劣化させる処理である場合に当該コード画像の領域を処理対象外として、前記取得手段により取得された画像データに対し、前記受付手段で受け付けられた処理条件による画像処理を行なう画像処理手段と、
を備えた画像処理装置。
【請求項2】
前記画像処理手段は、
前記取得手段により取得された画像データにより示される画像から前記コード画像に対応するコード画像データを分離する分離手段と、
前記分離手段により前記コード画像データが分離された画像データに対し、前記受付手段で受け付けられた処理条件による画像処理を行なう第1画像処理手段と、
前記分離手段により分離されたコード画像データに対し、前記受付手段で受け付けられた処理条件による画像処理が行なわれた場合よりも当該コード画像の復号性を向上させる所定の画像処理を行なう第2画像処理手段と、
前記第1画像処理手段により画像処理された画像データに対し、前記第2画像処理手段により画像処理されたコード画像データを合成する合成手段と、
を有する請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記受付手段は、前記処理条件として、前記取得手段により取得された画像データにより示される画像の縮小を必要とする編集指示を受け付けると共に、前記合成手段により合成を行なう際に、前記取得手段により取得された画像データにより示される画像と前記コード画像の何れを優先させるかの優先指示を受け付けるものであり、
前記合成手段は、前記受付手段により前記編集指示と前記コード画像を優先させる優先指示が受け付けられた場合に、前記第1画像処理手段により画像処理された画像データに対し、当該画像データにより示される画像内において前記分離手段により分離される前と前記コード画像の中心位置が一致するように前記コード画像データを合成し、前記受付手段により前記編集指示と前記画像データにより示される画像を優先させる優先指示が受け付けられた場合に、前記第1画像処理手段により画像処理された画像データに対し、当該画像データにより示される画像内のコード画像を合成可能なサイズの余白領域に前記コード画像データを合成する
請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記第1画像処理手段は、前記取得手段により取得された画像データに対し、当該画像データにより示される画像の前記分離手段により前記コード画像が分離された領域を当該画像の地色を示すデータにて補完する画像処理を行なう
請求項2又は請求項3記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記受付手段で受け付けられた画質に関する処理条件による画像処理がコード画像を劣化させる処理であるか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップによりコード画像を劣化させる処理であると判定された場合にコード画像の領域を処理対象外として、画像データに対し、前記受付手段で受け付けられた処理条件による画像処理を行なう画像処理ステップと、
をコンピュータに実行させる画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−49744(P2009−49744A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−214565(P2007−214565)
【出願日】平成19年8月21日(2007.8.21)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】