説明

画像処理装置及び画像処理プログラム

【課題】黒色部分を含む画像に情報画像を合成する場合に、本構成を有していない場合に比較して、その情報画像の読み取り誤り率を低くするようにした画像処理装置を提供する。
【解決手段】画像処理装置の画像受付手段は、画像を受け付け、情報画像受付手段は、情報画像を受け付け、色変換手段は、前記画像受付手段によって受け付けられた画像内の黒色部分を他の色を用いて表現するように変換し、合成手段は、前記色変換手段によって変換された画像に、前記情報画像受付手段によって受け付けられた情報画像を黒色で合成し、前記色変換手段は、黒色部分を黒以外の色を用いて表現し、黒以外の色の各色の最大濃度の合計を用いた表現よりも薄くするように変換する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
情報画像を画像に合成する技術がある。
これに関連する技術として、例えば、特許文献1には、記録すべき画像データに応じて記録条件を最適化する画像処理装置及び画像処理方法を提供することを課題とし、感光ドラム上に色トナーによって形成した所定のトナーパッチの濃度値と、そのトナーパッチを感光ドラムに出力するときのレーザ出力レベルとに基づいて、階調特性情報を求め、そして、階調特性情報に基づいて、原画像の濃度と出力画像の濃度とを一致させるためのルックアップテーブルを求めることが開示されている。
【0003】
また、例えば、特許文献2には、印刷の目的に応じて濃度レベルの補正方法を変えることにより、文字や図形の品位を劣化させることなく、トナーやインクなどの記録剤の過剰使用を防ぎ、トナー飛び散りやインクのこすれ等による画像品質低下を防ぐことを課題とし、カラー印刷データを各色毎に処理し、印刷手段に供給する画像処理装置であって、各色の濃度レベルと、濃度値との関係を示す濃度特性取得手段と、最大目標濃度レベルを求める最大目標濃度レベル算出部と、最大濃度レベルが最大目標濃度レベルとなるように濃度特性をシフトさせる第1の濃度補正テーブル作成部と、各色の最大濃度レベルの合計に基づいて、前記第1の補正データテーブルを変更し作成する第2の濃度補正テーブル作成部と、第1又は前記第2の変換データテーブルのいずれかを用いて、カラー印刷データの濃度レベルを補正する濃度補正部とを有することが開示されている。
【0004】
また、例えば、特許文献3には、ペーパへの書き込み内容を読み取り、デジタル化する電子ペンと、前記電子ペンがデジタル化したデジタル化データから文書データを作成する文書作成支援装置とからなる文書作成支援システムにおいて、前記文書作成支援装置は、複数の前記文書データ各々を識別するための文書識別子と、複数の前記ペーパの各々を識別するためのペーパ識別子とを1対1に対応付ける識別情報割り当て手段と、プリンタ装置を用いて、前記ペーパに対して、前記ペーパ識別子毎に固有の配置により前記ペーパ識別子を表現する、複数のチェックボックスを印刷させる印刷手段と、前記電子ペンがデジタル化する、前記複数のチェックボックスの全てに書き込まれたチェックマークの位置情報から、前記チェックボックスの配置を求め、求めた前記チェックボックスの配置に基づき、前記ペーパ識別子を特定し、前記特定したペーパ識別子により前記文書識別子を特定するデジタル化データ識別手段とを備えることを特徴とする文書作成支援システムが開示されている。
【0005】
また、例えば、特許文献4には、既存のオフィスあるいは家庭用のプリンタを使用してオンデマンドで文書とともに印刷可能であり、かつ連続的な加筆情報の正確な取得を可能にする2次元コードパターンを提供することを課題とし、複数のドットで構成される、所定の情報が埋め込まれた2次元コードがマトリクス状に配置された媒体から、2次元コードを読み取る2次元コード読取装置であって、前記媒体の所定の領域を光学的に読取る画像読取手段と、前記画像読取手段で読み取られた画像からドットを検出するドット検出手段と、前記ドット検出手段により検出されたドットを前記画像の中心にあるドットから周囲に向かう順に前記2次元コードのコーナードットであるかを判定し、該判定によってコーナードットと判定されたドットに基づいて、前記2次元コードを区画するコード枠を検出するコード枠検出手段と、前記コード枠内に配置されるドットパターンを読み取って、このドットパターンで表される情報を復号するデータ復号手段とを備え、前記コード枠検出手段は、前記2次元コードのコーナードットであるかの判定対象である判定用ドットの周囲で4以上の周辺ドットを検出し、前記周辺ドットの中から、前記判定用ドットに関して点対称なペアを2組検出したときに、前記判定用ドットを前記2次元コードを区画するコード枠のコーナードットとして検出することを特徴とする2次元コード読取装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−098358号公報
【特許文献2】特開2005−117241号公報
【特許文献3】特許第3966123号公報
【特許文献4】特許第4198456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、黒色部分を含む画像に情報画像を合成する場合に、本構成を有していない場合に比較して、その情報画像の読み取り誤り率を低くするようにした画像処理装置及び画像処理プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
請求項1の発明は、画像を受け付ける画像受付手段と、情報画像を受け付ける情報画像受付手段と、前記画像受付手段によって受け付けられた画像内の黒色部分を他の色を用いて表現するように変換する色変換手段と、前記色変換手段によって変換された画像に、前記情報画像受付手段によって受け付けられた情報画像を黒色で合成する合成手段を具備し、前記色変換手段は、黒色部分を黒以外の色を用いて表現し、黒以外の色の各色の最大濃度の合計を用いた表現よりも薄くするように変換することを特徴とする画像処理装置である。
【0009】
請求項2の発明は、前記画像受付手段によって受け付けられた画像内に情報画像の読み取りを不安定にする領域が存在するか否かを解析する解析手段をさらに具備し、前記色変換手段は、前記解析手段によって情報画像の読み取りを不安定にする領域が存在すると解析された場合に、前記色の変換を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置である。
【0010】
請求項3の発明は、前記解析手段は、情報画像の読み取りを不安定にする領域が存在すると解析した場合は、該領域の位置を解析し、前記色変換手段は、前記解析手段によって情報画像の読み取りを不安定にする領域が存在すると解析された場合は、該領域に対して色の変換を行うことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置である。
【0011】
請求項4の発明は、前記黒以外の色は3色とし、前記色変換手段は、黒以外の3色の塗料の総量が240%以下又は240%未満になるように規制することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の画像処理装置である。
【0012】
請求項5の発明は、前記黒以外の色は3色とし、前記色変換手段は、黒以外の3色のうち2色又は1色を用いた表現にするように変換を行うことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の画像処理装置である。
【0013】
請求項6の発明は、前記合成手段によって情報画像が合成された画像を出力する出力手段をさらに具備することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の画像処理装置である。
【0014】
請求項7の発明は、コンピュータを、画像を受け付ける画像受付手段と、情報画像を受け付ける情報画像受付手段と、前記画像受付手段によって受け付けられた画像内の黒色部分を他の色を用いて表現するように変換する色変換手段と、前記色変換手段によって変換された画像に、前記情報画像受付手段によって受け付けられた情報画像を黒色で合成する合成手段として機能させ、前記色変換手段は、黒色部分を黒以外の色を用いて表現し、黒以外の色の各色の最大濃度の合計を用いた表現よりも薄くするように変換することを特徴とする画像処理プログラムである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の画像処理装置によれば、黒色部分を含む画像に情報画像を合成する場合に、本構成を有していない場合に比較して、その情報画像の読み取り誤り率を低くすることができる。
【0016】
請求項2の画像処理装置によれば、情報画像の読み取りを不安定にする領域が存在しないにもかかわらず、黒色部分を他の色を用いて表現するように変換してしまうことを防止することができる。
【0017】
請求項3の画像処理装置によれば、情報画像の読み取りを不安定にする領域でないにもかかわらず、その領域に対して黒色部分を他の色を用いて表現するように変換してしまうことを防止することができる。
【0018】
請求項4の画像処理装置によれば、本構成を有していない場合に比較して、情報画像の読み取り誤り率を低くすることができる。
【0019】
請求項5の画像処理装置によれば、本構成を有していない場合に比較して、情報画像の読み取り誤り率を低くすることができる。
【0020】
請求項6の画像処理装置によれば、本構成を有していない場合に比較して、情報画像の読み取り誤り率を低くした画像を出力することができる。
【0021】
請求項7の画像処理プログラムによれば、黒色部分を含む画像に情報画像を合成する場合に、本構成を有していない場合に比較して、その情報画像の読み取り誤り率を低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1の実施の形態の構成例についての概念的なモジュール構成図である。
【図2】第1の実施の形態による処理例を示すフローチャートである。
【図3】情報画像の読み取り誤りが生じる場合の例を示す説明図である。
【図4】情報画像の読み取り誤りが生じる場合の例を示す説明図である。
【図5】情報画像の読み取り誤りが生じる場合の例を示す説明図である。
【図6】情報画像の読み取りのシステム構成例を示す説明図である。
【図7】情報画像の例を示す説明図である。
【図8】デジタルペンの構造例を示す説明図である。
【図9】第1の実施の形態による出力例を示す説明図である。
【図10】第1の実施の形態を具現化した場合のシステム構成例を示す説明図である。
【図11】第1のシステム構成による処理例を示すフローチャートである。
【図12】第2の実施の形態の構成例についての概念的なモジュール構成図である。
【図13】第2の実施の形態による処理例を示すフローチャートである。
【図14】第2の実施の形態を具現化した場合のシステム構成例を示す説明図である。
【図15】第2のシステム構成による処理例を示すフローチャートである。
【図16】第3の実施の形態の構成例についての概念的なモジュール構成図である。
【図17】第3の実施の形態による処理例を示すフローチャートである。
【図18】第3の実施の形態を具現化した場合のシステム構成例を示す説明図である。
【図19】第3のシステム構成による処理例を示すフローチャートである。
【図20】CMYトナー総量と読み取りエラー率の関係例を示すグラフである。
【図21】黒色部分をシアン1色に変換した例を示す説明図である。
【図22】不安定領域テーブルのデータ構造例を示す説明図である。
【図23】本実施の形態を実現するコンピュータのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
まず、実施の形態の例を説明するにあたって、基本となる技術について説明する。
色をCMYK(シアン(Cyan)、マゼンタ(Magenta)、イエロー(Yellow)、黒(Key plate又はblacK))の4色で表現する表色系を用いる例を示す。黒以外の色は3色としている。この表色系は一般的なプリンタに用いられているものである。
黒色の情報画像を画像に合成する場合、合成される画像に黒色の部分(例えば、文字等)がある場合は、これらを区別する必要がある。
一般に、黒はある波長の光(例えば、赤外線)で読み取れる物質の塗料(Kの塗料)を用いて印刷され、黒以外の色はその物質以外の塗料(CMYの塗料)を用いて印刷される。これによって、黒の塗料を用いて印刷された情報画像の読み取りができるようにする。一方、情報画像以外の黒(つまり、情報画像を合成する、もとの画像内にある黒)は、CMYを混色させることによって生成する。一般に、CMYを用いて黒を生成する場合は、Cの塗料を100%、Mの塗料を100%、Yの塗料を100%用いる。CMYのそれぞれの塗料の最大濃度を用いて印刷する。これによって、人間の視覚では黒と認識される色となる。しかし、この黒は前述の黒の塗料を用いたものではなく、CMYの塗料を用いたものであるので、前述の波長の光には反応せず、情報画像として読み取れないようになっている。これは、KとCMYの塗料の赤外吸収性の違いによるものである。したがって、情報画像を黒の塗料のみで印刷し、情報画像以外の黒(もとの画像内にある黒)は、CMYの塗料を用いて表現する色変換を施してCMYの混色で印刷する。そして、その印刷物を赤外カメラ等によって読み取ることにより、情報画像と情報画像以外の黒とが混在しているような場合でも、情報画像からは情報を抽出し得るが、情報画像以外の黒を誤って情報画像として扱うようにはしないようにしている。
なお、塗料(インク)は粉体物、流体物のいずれであってもよい。粉体インクは一般的にはトナーともいわれる。
【0024】
黒の塗料を用いて情報画像を印刷し、情報画像以外の部分の色は黒の塗料の物質以外の塗料(CMY)を用いて印刷した場合について、図3〜5を用いて説明する。
情報画像を印刷する背景部分において、もとの画像の印刷における濃度の変化が激しい境界部分に情報画像を構成する画素塊(以下、ドットという場合もある)が存在する場合、そのドットの読み取り誤りの生じる現象が起こりやすくなる。
図3は、情報画像の読み取り誤りが生じる場合の例を示す説明図である。
領域310、領域320、領域330、領域340によって構成されている部分画像300を例にして説明する。
領域310内には、白い背景314に、情報画像の画素塊312が印刷されている。
領域320内には、黒い背景324に、情報画像の画素塊322が印刷されている。
領域330内には、シアン色の背景334に、情報画像の画素塊332が印刷されている。
領域340内には、白い背景344と黒い背景346の境界に、情報画像の画素塊342が印刷されている。
【0025】
情報画像の画素塊312、情報画像の画素塊322、情報画像の画素塊332、情報画像の画素塊342は、黒の塗料(以下、Kトナーともいう)を用いて印刷されている。黒い背景324と背景346は、Cトナー100%、Mトナー100%、Yトナー100%のトナー総量300%で印刷されている。シアン色の背景334は、Cトナー100%を用いて印刷されている。ここで、トナー総量とは、その色を表すのに必要とするトナー量を%で示したものであり、濃度0を0%、そのトナー1色で表すことができる最大濃度を100%とする。したがって、黒をYMCによって表現した場合には、一般的にはCトナー100%、Mトナー100%、Yトナー100%は、トナー総量300%となる。
領域310、領域320、領域330を前述の赤外カメラ等を用いて読み取る場合は、読み取り誤りは原則発生しない。情報画像の画素塊が色の境界に位置していないからである。しかし、領域340内の状態不安定領域348のように、白と黒(CMYのトナー総量300%の混色による黒)の境界部分に情報画像の画素塊が位置していると、領域310等と比較して情報画像の読み取り誤りが生じやすくなる。つまり、情報画像のデコードが不安定になる。
【0026】
図4は、情報画像の読み取り誤りが生じる場合の例を示す説明図である。これは、CMYの塗料を用いて表現された黒い横線が複数本描画されているような背景(背景(横線)422、424等)に、黒の塗料で表現された情報画像を合成した場合である。情報画像の画素塊(412、414、416、418等)は、横線内、横線と横線の間、横線と白の背景との境界に位置することになる。なお、横線と白の背景との境界である状態不安定領域450、460には、情報画像の画素塊(412、416等)が存在しているが、これらは、情報画像のデコードが不安定になる可能性がある。
図5は、情報画像の読み取り誤りが生じる場合の例を示す説明図である。これは、CMYの塗料を用いて表現された黒い画数の多い文字(図では「鷹」という文字)が描画されている文書の背景(文字)522に、黒の塗料で表現された情報画像を合成した場合である。情報画像の画素塊(512、514等)は、文字を構成する線内、線と線の間、線と白の背景との境界に位置することになる。なお、文字を構成する線と白の背景との境界である状態不安定領域550には、情報画像の画素塊514等が存在しているが、これらは、情報画像のデコードが不安定になる可能性がある。
【0027】
以下、図面に基づき本発明を実現するにあたっての好適な各種の実施の形態の例を説明する。
図1は、第1の実施の形態の構成例についての概念的なモジュール構成図を示している。
なお、モジュールとは、一般的に論理的に分離可能なソフトウェア(コンピュータ・プログラム)、ハードウェア等の部品を指す。したがって、本実施の形態におけるモジュールはコンピュータ・プログラムにおけるモジュールのことだけでなく、ハードウェア構成におけるモジュールも指す。それゆえ、本実施の形態は、それらのモジュールとして機能させるためのコンピュータ・プログラム(コンピュータにそれぞれの手順を実行させるためのプログラム、コンピュータをそれぞれの手段として機能させるためのプログラム、コンピュータにそれぞれの機能を実現させるためのプログラム)、システム及び方法の説明をも兼ねている。ただし、説明の都合上、「記憶する」、「記憶させる」、これらと同等の文言を用いるが、これらの文言は、実施の形態がコンピュータ・プログラムの場合は、記憶装置に記憶させる、又は記憶装置に記憶させるように制御するの意である。また、モジュールは機能に一対一に対応していてもよいが、実装においては、1モジュールを1プログラムで構成してもよいし、複数モジュールを1プログラムで構成してもよく、逆に1モジュールを複数プログラムで構成してもよい。また、複数モジュールは1コンピュータによって実行されてもよいし、分散又は並列環境におけるコンピュータによって1モジュールが複数コンピュータで実行されてもよい。なお、1つのモジュールに他のモジュールが含まれていてもよい。また、以下、「接続」とは物理的な接続の他、論理的な接続(データの授受、指示、データ間の参照関係等)の場合にも用いる。「予め定められた」とは、対象としている処理の前に定まっていることをいい、本実施の形態による処理が始まる前はもちろんのこと、本実施の形態による処理が始まった後であっても、対象としている処理の前であれば、そのときの状況・状態に応じて、又はそれまでの状況・状態に応じて定まることの意を含めて用いる。
また、システム又は装置とは、複数のコンピュータ、ハードウェア、装置等がネットワーク(一対一対応の通信接続を含む)等の通信手段で接続されて構成されるほか、1つのコンピュータ、ハードウェア、装置等によって実現される場合も含まれる。「装置」と「システム」とは、互いに同義の用語として用いる。もちろんのことながら、「システム」には、人為的な取り決めである社会的な「仕組み」(社会システム)にすぎないものは含まない。
また、各モジュールによる処理毎に又はモジュール内で複数の処理を行う場合はその処理毎に、対象となる情報を記憶装置から読み込み、その処理を行った後に、処理結果を記憶装置に書き出すものである。したがって、処理前の記憶装置からの読み込み、処理後の記憶装置への書き出しについては、説明を省略する場合がある。なお、ここでの記憶装置としては、ハードディスク、RAM(Random Access Memory)、外部記憶媒体、通信回線を介した記憶装置、CPU(Central Processing Unit)内のレジスタ等を含んでいてもよい。
【0028】
本実施の形態である画像処理装置は、画像に情報画像を合成するものであって、CMYのトナー総量300%の混色によって黒を表現した場合と比較して、その情報画像の読み取り誤り率を低くするものであって、図1の例に示すように、画像受付モジュール110、色変換モジュール120、情報画像受付モジュール130、合成モジュール140、出力モジュール150を有している。
【0029】
画像受付モジュール110は、色変換モジュール120と接続されており、画像を受け付けて、その画像を色変換モジュール120へ渡す。画像を受け付けるとは、例えば、スキャナ、カメラ等で画像を読み込むこと、ファックス等で通信回線を介して外部機器から画像を受信すること、ハードディスク(コンピュータに内蔵されているものの他に、ネットワークを介して接続されているもの等を含む)等に記憶されている画像を読み出すこと等が含まれる。画像は、2値画像、多値画像(カラー画像を含む)であってもよい。受け付ける画像は、1枚であってもよいし、複数枚であってもよい。また、画像の内容として、ビジネスに用いられる文書、広告宣伝用のパンフレット等であってもよい。
また、画像受付モジュール110は、受け付けた画像内に黒色部分があるか否かを判断し、ある場合はその画像を色変換モジュール120に渡し、それ以外の場合は色変換モジュール120による処理を行わせずに、合成モジュール140に画像に情報画像を合成させるようにしてもよい。
【0030】
情報画像受付モジュール130は、合成モジュール140と接続されており、情報画像を受け付けて、その情報画像を合成モジュール140へ渡す。なお、情報画像とは、機械可読な態様で電子データを表すために体系的に作られた画像コードをいい、具体的には、図7を用いて後述する。
【0031】
色変換モジュール120は、画像受付モジュール110、合成モジュール140と接続されている。色変換モジュール120は、画像受付モジュール110によって受け付けられた画像(抽出すべき情報画像が含まれていない画像)内の黒色部分を他の色を用いて表現するように変換する。ここでの色変換は、例えば、前述のように黒色の部分をCMYの塗料を用いて表現するように変換することである。ただし、色変換モジュール120は、黒色部分を黒以外の色を用いて表現し、黒以外の色の各色の最大濃度の合計を用いた表現よりも薄くするように変換する。前述の例では、「黒以外の色の各色の最大濃度の合計を用いた表現」とは、黒をYMCによって表現したCトナー100%、Mトナー100%、Yトナー100%であるトナー総量300%のことである。そして、「黒以外の色の各色の最大濃度の合計を用いた表現よりも薄くするように変換する」とは、CMYのトナー総量が300%未満であればよい。
なお、画像内の黒色部分における黒色(つまり、黒以外の色を用いて表現されることとなる黒色)には灰色を含んでいてもよい。
【0032】
300%未満の一例として、色変換モジュール120は、黒以外の3色のトナーの総量が240%以下又は240%未満になるように規制するようにしてもよい。それぞれの色の最大濃度は、各色の塗料を100%用いることによって実現される。CMYの3色で黒を表現する場合は3色の最大濃度を混合するのが一般的である。したがって、3色の最大濃度で表す場合の塗料の総量とは、CMYの3色あるので、300%となる。例えばエラー率が1.2%以下になるようにするためには、黒以外の3色の塗料の総量が240%以下又は240%未満とすることが必要である。
なお、塗料の割合はスクリーニング等の技術を用いて濃度を調整する。
ここで、規制するとは、制限する、減少させるの意味で用いる。濃度を薄くすることであり、その程度は情報画像の読み取り誤り率が予め定められた割合以下となるようすることである。具体的な例として、全体的に濃度を予め定められた割合で減少させてもよい。例えば、CMYそれぞれの色の濃度に0.8以下又は0.8未満を乗算するようにしてもよい。乗算する係数は、CMYでそれぞれ異なるようにしてもよく、3色のトナーの総量が240%以下又は240%未満になればよい。
また、予め定められた閾値より大又はその閾値以上である濃度をその閾値の値にするようにしてもよい。例えば、CMYそれぞれの色の濃度が80%より大又は80%以上となっている画素の濃度を80%以下又は80%未満とする。
【0033】
また、黒以外の3色のうちの2色又は1色を用いた表現にするように変換を行うようにしてもよい。2色を用いた表現としては、例えば、CとMの塗料を用いた色に変換することである。1色を用いた表現としては、例えば、Cの塗料を用いた色に変換することである。前述の3色を用いた場合は、黒色を黒色の薄い色(灰色)に変換する場合が主であったが、この変換は、他の色に変換することになる。
【0034】
さらに、色変換モジュール120は、前述した濃度の上限の他に、濃度の下限を設けるようにしてもよい。例えば、CMYの濃度の合計が200%より大又は200%以上となるように、色変換を行うようにしてもよい。この場合、200%より大で240%以下、200%より大で240%未満、200%以上で240%以下、200%以上で240%未満の組み合わせがある。
【0035】
合成モジュール140は、色変換モジュール120、情報画像受付モジュール130、出力モジュール150と接続されている。合成モジュール140は、色変換モジュール120によって変換された画像に、情報画像受付モジュール130によって受け付けられた情報画像を黒色で合成する。「色変換モジュール120によって変換された画像」とは、画像受付モジュール110によって受け付けられた画像内の黒色部分が、前述のように他の色を用いて表現されている画像である。したがって、この画像は、黒の塗料を用いて表現されるものではない。一方、「情報画像受付モジュール130によって受け付けられた情報画像を黒色で合成する」とは、情報画像を黒の塗料の1色で印刷することであり、もちろんのことながらCMYの塗料を合成して黒を生成することは含まない。また、「合成」としては、論理和(OR)による合成である。そして、印刷する順番としては、例えば、色変換モジュール120によって変換された画像を印刷し、その上に、情報画像を印刷するようにしてもよい。
【0036】
出力モジュール150は、合成モジュール140と接続されており、合成モジュール140によって情報画像が合成された画像を出力する。画像を出力するとは、例えば、プリンタ等の印刷装置で印刷すること、ファックス等の画像送信装置で画像を送信すること等がある。そして、最終的に印刷されるのであれば、ディスプレイ等の表示装置に表示すること、画像データベース等の画像記憶装置へ画像を書き込むこと、メモリーカード等の記憶媒体に記憶すること、他の情報処理装置へ渡すこと等も含まれる。
【0037】
図2は、第1の実施の形態による処理例を示すフローチャートである。
ステップS202では、画像受付モジュール110が、画像を受け付ける。
ステップS204では、色変換モジュール120が、画像に対して規制付きの色変換をする。
ステップS206では、情報画像受付モジュール130が、情報画像を受け付ける。
ステップS208では、合成モジュール140が、色変換した画像に情報画像を合成させる。
ステップS210では、出力モジュール150が、情報画像合成画像を出力する。
【0038】
図6は、情報画像の読み取りのシステム構成例を示す説明図である。
情報画像印刷文書600は、出力モジュール150が印刷した情報画像が合成された文書である。
利用者の筆記によって、デジタルペン610がペン先にある情報画像付文書600内の情報画像を読み取る。そして、デジタルペン610が情報画像を解析し、その解析結果(情報画像に埋め込まれている情報)を画像処理装置620へ送信する。画像処理装置620は、デジタルペン610から送信された解析結果を受け取り、処理を行う。なお、解析結果には、読取日時等を含んでいてもよい。
【0039】
図7は、情報画像の例を示す説明図である。
この例は、米国ゼロックス社のパロアルト研究所で開発された、角度の異なる斜線でデータを表現するグリフコード(例えば、特開平6−103390号公報、特開平6−75795号公報)を情報画像であるコードシンボルとして用いた2次元コードパターン画像である。
【0040】
この例では、単位領域700は8シンボル×8シンボルの正方形領域である。各シンボルの値は、図7(b)、図7(c)に示すように斜線パターンで表現される。この例では、シンボル値0は垂直線に対して反時計回りに45度の角度をなす右下がりの斜線(図7(b)の例のパターン0)で、シンボル値1は垂直線に対して時計回りに45度の角度をなす右上がりの斜線(図7(c)の例のパターン1)で表現される。例えば、このパターン0、パターン1が情報画像のドットに該当する。
【0041】
このうち、位置コード画像702は、単位領域700の左上隅の6シンボル×6シンボルの正方形の画像であり、識別コード画像704は、単位領域700からその6×6シンボルの正方形を引いた残りの逆L字領域の画像となる。
【0042】
また、この例では、単位領域700の外周に沿って縦横の各方向に、同期コード706の列及び行を設けている。この例では、同期コード706は、右上がり(「1」)の斜線シンボルの連続であり、シンボルのサイズと配列ピッチは単位領域700内のシンボルサイズ及びピッチと同じである。同期コード706は、縦及び横に等間隔で設けられ、それら同期コード706で囲まれる正方形領域に各単位領域700が設けられる。同期コード706は、各単位領域700の区切りを示す。すなわち、2次元コードパターン画像を読み取った装置では、右上がりのシンボルが連続している行及び列を検出すると、それら行と列とで形成される格子の網目の内部を単位領域700と認識することができ、その単位領域700の左上隅の6×6のシンボルが位置コード画像702と認識できる。
【0043】
なお、同期コード706は、単位領域700又は位置コード画像702の場所を特定することができるものであれば、図7に例示したようなものでなくてもよい。例えば、単位領域700の四隅に斜線シンボルとは異なる特定形状のシンボルを配置したものを同期コード706としてもよい。図7の例では、同期コード706のためにシンボル1つ分の幅の行及び列を使ったが、同期コード706を構成するマークが十分に小さいものであれば、単位領域700を隙間なく2次元配列し、隣接する単位領域700の余白部分にそのマークを配置するようにしてもよい。
【0044】
図7の例では、1つの位置コード画像702には合計36シンボル、すなわち36ビットのデータが格納されている。36ビットのうち、18ビットをx座標の符号化に、18ビットをy座標の符号化に使用することができる。各18ビットを全て位置の符号化に使用すると、2^18通り(約26万通り)の位置を符号化できる。各斜線パターンが、図7(b)、図7(c)の例に示したように8画素×8画素で構成されている場合、600dpi(ドット・パー・インチ)で印刷すると、600dpiの1ドットの縦横の長さは0.0423mmなので、縦横共に、図7の2次元コード(同期コード706を含む)の縦、横の長さは3mm程度(=1シンボル当たり8画素×9シンボル×0.0423mm)となる。3mm間隔で26万通りの位置を符号化した場合、約786mの長さを符号化できる。読取の精度がよければ18ビット全てを位置の符号化に使用することもできるが、読取エラーが問題となる場合は、誤り検出や誤り訂正のための冗長ビットを含めることが好適である。18ビットに占める冗長ビットの割合を増やすと誤り検出や誤り訂正の能力が増えるが、表現できる位置の範囲が小さくなる。
【0045】
また、図7の例では、識別コード画像704は、2ビット×8ビットの矩形領域及び2ビット×6ビットの矩形領域に配置されており、合計28ビットの識別情報等を格納できる。識別情報等として28ビットを使用した場合は、約2億7千万通り(2^28通り)の識別情報等を表現できるが、28ビットのうちのいくつかのビットを誤り検出や誤り訂正のための冗長ビットとすることで読取エラーに対処できるようにしてもよい。なお、識別情報等として、本実施の形態において印刷媒体(紙文書)を一意に識別する印刷媒体ID(IDentification)、文書ID、ページID等を含めてもよい。1つの用紙の記入欄内に印刷される単位領域700内の識別コード画像704は同じものとなる。もちろん、単位領域700内の位置コード画像702によって表される位置情報は、その用紙内における位置を示す情報であるので、それぞれの単位領域700内の位置コード画像702は異なったものとなる。
【0046】
以上の例では、互いに角度が90度異なる2つの斜線パターンをシンボルとして用いることで、1シンボルで1ビットのデータを表現したが、これは一例にすぎない。例えばシンボルに垂直線と水平線のパターンを追加すれば2ビットの情報を1シンボルで表現できる。このように、1シンボルの斜線パターンの角度種類を増やすことで、1シンボルが表現できるビット数を増加することも可能である。また、グリフコード以外の情報画像を用いてもよい。
【0047】
デジタルペン610(スキャナ付きペン、電子ペンともいわれる)は、ペンとしての機能も有し、情報画像が合成された印刷物である文書(紙文書)に書き込みを行い、その際に筆記された位置にある情報画像を読み込むものである。そして、筆跡をストローク情報として抽出し、情報処理装置620へ送信する。そして、情報処理装置620では、ストローク情報を利用して、もとの電子文書に反映する等の処理を行う。なお、ここでストローク情報とは、情報画像付文書に対してデジタルペン610で書き込みを行って得られた座標の系列として表現される情報である。図8の例を用いて説明する。
【0048】
図8は、デジタルペン610の構造例を示す説明図である。デジタルペン610は、芯811、画像読取モジュール812、制御・送信モジュール813を有している。
【0049】
デジタルペン610の利用者の操作に応じて、芯811によって情報画像付文書600上に文字等が筆記される。そして、画像読取モジュール812は、例えば数十〜百数十フレーム毎秒程度の比較的高速な連続撮像を行い、フレーム毎にスキャンしてから読取画像を制御・送信モジュール813へ出力する。制御・送信モジュール813は、画像読取モジュール812が読み取った画像中から同期コード706を検出する。図7の例のようなコードパターン画像の場合、右上がりの斜線パターンが連続して現れる行及び列を同期コード706の行、列として検出する。なお、同期コードとしては図7に例示したもの以外にも従来から提案されている様々なものを用いることができ、その同期コードの種類に応じた従来からある検出方式で検出できる。
【0050】
読取画像から、位置コード画像702と識別コード画像704とが抽出される。制御・送信モジュール813は、それら位置コード画像702と識別コード画像704に対してコード認識処理を施すことで、位置情報と識別情報等を再生する。ここで行われるコード認識処理は、大略的にいえば、情報画像の生成処理の逆の処理である。識別コード画像704を代表として説明すると、制御・送信モジュール813は、まず識別コード画像704から各斜線シンボルを認識することで、各シンボルの値を求め、各シンボルの値を識別コード画像704中での各シンボルの配列位置に合わせて配列した識別コード行列を求める。そして、この識別コード行列に対し、直列的(シリアル)な識別コードを求め、この識別コードに対し、符号化方式に対応した復号処理を施すことで、識別情報を復号する。位置コード画像702についても、同等の処理により、位置情報を復号できる。1フレーム毎に前述の抽出及び認識の処理を行い、位置情報及び識別情報等を求める。
【0051】
このようにして各フレームの読取画像から求められた位置情報及び識別情報は、これら情報を利用する情報処理装置に提供され、利用される。例えば、情報画像が印刷された用紙に対し、操作者がデジタルペン610で書き込んだ筆記跡を電子情報として取り込む情報処理装置620の場合、識別情報からその用紙を特定してその用紙の原文書である電子文書を取得し、連続して読み取られる各フレームから取得した位置情報から操作者の筆記の軌跡を求め、その軌跡を示す画像を原文書に重畳して記録するなどの処理を行う。
【0052】
図9は、第1の実施の形態による出力例を示す説明図である。図9に示す例は、CMYのトナー総量が240%である色の横線が複数本描画されているような背景(背景(横線)922、924等)に、黒の塗料で表現された情報画像を合成した場合である。情報画像の画素塊(912、914、916、918等)は、横線内、横線と横線の間、横線と白の背景との境界に位置することになる。なお、横線と白の背景との境界である状態不安定領域950、960には、情報画像の画素塊(912、916等)が存在しているが、これらも、情報画像の画素塊914、918と同等に情報画像のデコードができる。
【0053】
図10は、第1の実施の形態を具現化した場合のシステム構成例を示す説明図である。このシステムは、情報画像合成アプリケーション1010、プリンタ1080を有している。図1に例示したモジュール構成と比較すると、画像受付モジュール1040は画像受付モジュール110に該当し、PDL生成モジュール1060は色変換モジュール120に該当し、情報画像受付モジュール1074は情報画像受付モジュール130に該当し、情報画像合成処理モジュール1072は合成モジュール140に該当し、プリンタ1080が出力モジュール150に該当する。
【0054】
情報画像合成アプリケーション1010は、データ管理モジュール1020、データ印刷指示処理モジュール1030を有している。
データ管理モジュール1020は、データ印刷指示処理モジュール1030と接続されており、データ印刷指示処理モジュール1030の画像受付モジュール1040が原稿画像1000を受け付け、原稿画像1000を登録させる指示を受け付けると、その原稿画像1000に関するID(例えば、前述の印刷媒体ID、文書ID、ページID等)を生成して、原稿画像1000とIDを関連付けて記憶し、IDをデータ印刷指示処理モジュール1030の情報画像生成モジュール1050に渡す。
データ印刷指示処理モジュール1030は、データ管理モジュール1020と接続されており、画像受付モジュール1040、情報画像生成モジュール1050、PDL生成モジュール1060、情報画像合成モジュール1070を有している。
画像受付モジュール1040は、原稿画像1000を受け取り、原稿画像1000をPDL生成モジュール1060に渡す。また、データ管理モジュール1020に原稿画像1000の登録を依頼する指示を行う。
情報画像生成モジュール1050は、データ管理モジュール1020に生成されたIDを受け取り、そのIDを表す情報画像を生成し、その情報画像を情報画像受付モジュール1074に渡す。
【0055】
PDL生成モジュール1060は、原稿画像1000をプリンタが解釈できるPDL(Page Description Language、ページ記述言語)に変換する。
PDL生成モジュール1060は、PDL生成処理モジュール1062、色変換コマンド変更モジュール1064を有している。
PDL生成処理モジュール1062は、原稿画像1000をPDLに変換するが、その際に、色変換コマンド変更モジュール1064を用いて、プリンタ1080用の色空間への変換をする場合に、トナー総量を規制することを指示するコマンドも生成する。又は、黒色部分をCMYのトナー総量300%で表現するコマンドを生成し、そのコマンドを色変換コマンド変更モジュール1064に変更させてもよい。
色変換コマンド変更モジュール1064は、PDL生成処理モジュール1062の指示にしたがって、前述の色変換モジュール120の処理によって、トナー総量を規制したPDLのコマンドを生成する。又は、黒色部分をCMYのトナー総量300%で表現するコマンドを、そのトナー総量を規制した色変換処理のコマンドに変更してもよい。又は、トナー総量を規制した色変換処理のコマンドを追加してもよい。
【0056】
情報画像合成モジュール1070は、PDL生成モジュール1060が生成したPDLに、情報画像を黒のトナーを用いて印刷するように指示する合成コマンドを追加する。
情報画像合成モジュール1070は、情報画像合成処理モジュール1072、情報画像受付モジュール1074を有している。
情報画像受付モジュール1074は、情報画像生成モジュール1050が生成した情報画像を受け取り、その情報画像を描画するコマンドを生成するように、情報画像合成処理モジュール1072に渡す。
情報画像合成処理モジュール1072は、情報画像受付モジュール1074が受け付けた情報画像を黒のトナーを用いて印刷するように指示する合成コマンドを、PDL生成モジュール1060が生成したPDLに追加する。
【0057】
プリンタ1080は、データ印刷指示処理モジュール1030によって生成されたPDLを受け付けて、そのPDLを解析して情報画像印刷文書1090を出力する。この情報画像印刷文書1090には、情報画像が合成されているが、その情報画像は黒トナーで印刷されており、もとの原稿画像1000の黒部分は例えばトナー総量240%のCMYトナーを用いて印刷されている。
【0058】
図11は、第1のシステム構成による処理例を示すフローチャートである。
ステップS1102では、画像受付モジュール1040が、画像を受け付ける。
ステップS1104では、データ管理モジュール1020が、画像を登録したか否かを判断し、登録した場合はステップS1106へ進み、それ以外の場合はステップS1118へ進む。
ステップS1106では、PDL生成モジュール1060のPDL生成処理モジュール1062が、画像に対してPDL化処理を行う。黒色部分をCMYのトナー総量300%で表現するコマンドも含む。
ステップS1108では、PDL生成モジュール1060の色変換コマンド変更モジュール1064が、画像の色変換のコマンドを変更する。ここで、コマンドの変更とは、黒色部分をCMYのトナー総量300%で表現するコマンドを、そのトナー総量を規制した色変換処理のコマンドにするものである。
【0059】
ステップS1110では、情報画像生成モジュール1050が、情報画像を生成する。
ステップS1112では、情報画像合成モジュール1070の情報画像受付モジュール1074が、情報画像を受け付ける。
ステップS1114では、情報画像合成モジュール1070の情報画像合成処理モジュール1072が、情報画像合成コマンドをPDLに追加する。
ステップS1116では、プリンタ1080でPDLを解析して情報画像合成画像を印刷する。
ステップS1118では、画像の登録ができなかったため、その画像は印刷しない。
【0060】
図12は、第2の実施の形態の構成例についての概念的なモジュール構成図である。第2の実施の形態は、画像受付モジュール110、画像解析モジュール1215、色変換モジュール120、情報画像受付モジュール130、合成モジュール140、出力モジュール150を有している。なお、前述の実施の形態と同種の部位には同一符号を付し重複した説明を省略する。
画像解析モジュール1215は、画像受付モジュール110、色変換モジュール120と接続されており、画像受付モジュール110によって受け付けられた画像内に情報画像の読み取りを不安定にする領域が存在するか否かを解析する。ここで、「情報画像の読み取りを不安定にする領域」とは、黒色の領域と白色の領域の境界をいう。具体例としては、図3の状態不安定領域348、図4の状態不安定領域450、460、図5の状態不安定領域550が該当する。この領域があるか否かの判断は、隣り合う画素の濃度差で判断してもよい。例えば、隣り合う画素の濃度の差が予め定めた値以上又はより大である画素の組の数が予め定めた値以上又はより大である場合に、その領域があると判断し、それ以外の場合をその領域はないと判断するようにしてもよい。主な例としては、白から黒、黒から白への変化が多いと「情報画像の読み取りを不安定にする領域」とするものである。なお、ここで隣り合う画素とは、必ずしも隣接している画素の組だけではなく、1画素以上の距離がある画素同士を隣り合う画素としてもよい。また、画像解析モジュール1215は、画像受付モジュール110によって受け付けられた画像に、情報画像受付モジュール130によって受け付けられた情報画像を合成し、白と黒の境界に情報画像を構成する画素塊が位置する個数を計数し、その個数が予め定めた数以上又はより大である場合に、「情報画像の読み取りを不安定にする領域」があると判断するようにしてもよい。
【0061】
色変換モジュール120は、画像解析モジュール1215、合成モジュール140と接続されており、画像解析モジュール1215によって情報画像の読み取りを不安定にする領域が存在すると解析された場合に、色の変換を行う。ここでの色の変換とは、もちろんのことながら黒色部分を他の色を用いて表現するように変換することであって、かつ、その変換にあたって、黒以外の色の各色の最大濃度の合計を用いた表現よりも薄くするように変換することである。また、画像解析モジュール1215によって情報画像の読み取りを不安定にする領域が存在しないと解析された場合は、黒色部分を、黒以外の色の各色の最大濃度の合計を用いた表現で変換することを行う。
【0062】
図13は、第2の実施の形態による処理例を示すフローチャートである。
ステップS1302では、画像受付モジュール110が、画像を受け付ける。
ステップS1304では、画像解析モジュール1215が、画像を解析する。
ステップS1306では、画像解析モジュール1215が、不安定領域があるか否かを判断し、ある場合はステップS1308へ進み、それ以外の場合はステップS1316へ進む。
ステップS1308では、色変換モジュール120が、画像に対して規制付きの色変換をする。
ステップS1316では、色変換モジュール120が、画像に対して規制なしの色変換を行う。その後、ステップS1310へ進む。
ステップS1310では、情報画像受付モジュール130が、情報画像を受け付ける。
ステップS1312では、合成モジュール140が、色変換した画像に情報画像を合成させる。
ステップS1314では、出力モジュール150が、情報画像合成画像を出力する。
【0063】
図14は、第2の実施の形態を具現化した場合のシステム構成例を示す説明図である。このシステムは、情報画像合成アプリケーション1010、プリンタ1080を有しており、情報画像合成アプリケーション1010は、データ管理モジュール1020、データ印刷指示処理モジュール1030を有しており、データ印刷指示処理モジュール1030は、画像受付モジュール1040、情報画像生成モジュール1050、画像解析モジュール1455、PDL生成モジュール1060、情報画像合成モジュール1070を有している。なお、前述の実施の形態と同種の部位には同一符号を付し重複した説明を省略する。図12に例示したモジュール構成と比較すると、画像解析モジュール1455は画像解析モジュール1215に該当する。
【0064】
画像解析モジュール1455は、画像受付モジュール1040によって受け付けられた原稿画像1000内に情報画像の読み取りを不安定にする領域が存在するか否かを解析する。
PDL生成モジュール1060は、PDL生成処理モジュール1062、色変換コマンド変更モジュール1064を有している。色変換コマンド変更モジュール1064は、画像解析モジュール1455によって情報画像の読み取りを不安定にする領域が存在すると解析された場合に、前述した色の変換を行う。
【0065】
図15は、第2のシステム構成による処理例を示すフローチャートである。
ステップS1502では、画像受付モジュール1040が、画像を受け付ける。
ステップS1504では、データ管理モジュール1020が、画像を登録したか否かを判断し、登録した場合はステップS1506へ進み、それ以外の場合はステップS1524へ進む。
ステップS1506では、PDL生成モジュール1060のPDL生成処理モジュール1062が、画像に対してPDL化処理を行う。黒色部分をCMYのトナー総量300%で表現するコマンドも含む。
ステップS1508では、画像解析モジュール1455が、画像を解析する。
ステップS1510では、画像解析モジュール1455が、不安定領域があるか否かを判断し、ある場合はステップS1512へ進み、それ以外の場合はステップS1522へ進む。
【0066】
ステップS1512では、PDL生成モジュール1060の色変換コマンド変更モジュール1064が、画像の色変換のコマンドを変更する。ここで、コマンドの変更とは、黒色部分をCMYのトナー総量300%で表現するコマンドを、そのトナー総量を規制した色変換処理のコマンドにするものである。
ステップS1522では、PDL生成モジュール1060のPDL生成処理モジュール1062は、色変換コマンド変更モジュール1064に画像の色変換のコマンドを変更させない。その後、ステップS1514へ進む。
ステップS1514では、情報画像生成モジュール1050が、情報画像を生成する。
ステップS1516では、情報画像合成モジュール1070の情報画像受付モジュール1074が、情報画像を受け付ける。
ステップS1518では、情報画像合成モジュール1070の情報画像合成処理モジュール1072が、情報画像合成コマンドをPDLに追加する。
ステップS1520では、プリンタ1080でPDLを解析して情報画像合成画像を印刷する。
ステップS1524では、画像の登録ができなかったため、その画像は印刷しない。
【0067】
図16は、第3の実施の形態の構成例についての概念的なモジュール構成図である。第3の実施の形態は、画像受付モジュール110、画像解析モジュール1215、色変換モジュール120、情報画像受付モジュール130、合成モジュール140、出力モジュール150を有しており、画像解析モジュール1215は、解析処理モジュール1617、領域抽出モジュール1619を有している。なお、前述の実施の形態と同種の部位には同一符号を付し重複した説明を省略する。
【0068】
解析処理モジュール1617は、画像受付モジュール110によって受け付けられた画像内に情報画像の読み取りを不安定にする領域が存在するか否かを解析する。
領域抽出モジュール1619は、解析処理モジュール1617によって情報画像の読み取りを不安定にする領域が存在すると解析された場合は、その領域の位置を抽出する。抽出する領域は、例えば矩形である。そして、その矩形の位置として、矩形の左上の座標、高さ、幅(又は矩形の左上の座標とその対角に位置する右下の座標等)によって定められる。例えば、不安定領域テーブル2200を生成する。図22は、不安定領域テーブル2200のデータ構造例を示す説明図である。不安定領域テーブル2200は、No欄2210、左上座標欄2220、幅欄2230、高さ欄2240を有している。No欄2210は、その画像内において、領域を一意に識別する識別子を記憶する。左上座標欄2220は、矩形領域の左上の座標を記憶する。幅欄2230は、矩形領域の幅を記憶する。高さ欄2240は、矩形領域の高さを記憶する。
また、情報画像の読み取りを不安定にする領域が複数あり、その領域間の距離と予め定められた閾値である距離とを比較して、領域間の距離が閾値よりも短い又は以下である場合は、その領域を結合してもよい。色変換モジュール120による規制をともなった色変換を行う領域と規制をともなわない色変換の領域でまだらになってしまうことを防ぐ場合に行うようにしてもよい。
【0069】
色変換モジュール120は、解析処理モジュール1617によって情報画像の読み取りを不安定にする領域が存在すると解析された場合は、領域抽出モジュール1619によって抽出された領域に対して色の変換を行う。ここでの色の変換とは、もちろんのことながら領域抽出モジュール1619によって抽出された領域については、黒色部分を他の色を用いて表現するように変換することであって、かつ、その変換にあたって、黒以外の色の各色の最大濃度の合計を用いた表現よりも薄くするように変換することである。また、解析処理モジュール1617によって情報画像の読み取りを不安定にする領域が存在しないと解析された場合、又は、領域抽出モジュール1619によって抽出された情報画像の読み取りを不安定にする領域以外の部分に対しては、黒色部分を、黒以外の色の各色の最大濃度の合計を用いた表現で変換することを行う。
【0070】
図17は、第3の実施の形態による処理例を示すフローチャートである。
ステップS1702では、画像受付モジュール110が、画像を受け付ける。
ステップS1704では、画像解析モジュール1215の解析処理モジュール1617が、画像を解析する。
ステップS1706では、画像解析モジュール1215が、不安定領域があるか否かを判断し、ある場合はステップS1708へ進み、それ以外の場合はステップS1718へ進む。
ステップS1708では、画像解析モジュール1215の領域抽出モジュール1619が、画像内の不安定領域を抽出する。
ステップS1710では、色変換モジュール120が、画像内の不安定領域に対して、規制付きの色変換をする。
ステップS1718では、色変換モジュール120が、画像に対して規制なしの色変換を行う。その後、ステップS1712へ進む。
ステップS1712では、情報画像受付モジュール130が、情報画像を受け付ける。
ステップS1714では、合成モジュール140が、色変換した画像に情報画像を合成させる。
ステップS1716では、出力モジュール150が、情報画像合成画像を出力する。
【0071】
図18は、第3の実施の形態を具現化した場合のシステム構成例を示す説明図である。このシステムは、情報画像合成アプリケーション1010、プリンタ1080を有しており、情報画像合成アプリケーション1010は、データ管理モジュール1020、データ印刷指示処理モジュール1030を有しており、データ印刷指示処理モジュール1030は、画像受付モジュール1040、情報画像生成モジュール1050、画像解析モジュール1455、PDL生成モジュール1060、情報画像合成モジュール1070を有しており、画像解析モジュール1455は、解析処理モジュール1857、領域抽出モジュール1859を有している。なお、前述の実施の形態と同種の部位には同一符号を付し重複した説明を省略する。図16に例示したモジュール構成と比較すると、解析処理モジュール1857は解析処理モジュール1617に該当し、領域抽出モジュール1859は領域抽出モジュール1619に該当する。
解析処理モジュール1857は、画像受付モジュール1040によって受け付けられた画像内に情報画像の読み取りを不安定にする領域が存在するか否かを解析する。
領域抽出モジュール1859は、解析処理モジュール1857によって情報画像の読み取りを不安定にする領域が存在すると解析された場合は、その領域の位置を抽出する。
PDL生成モジュール1060は、PDL生成処理モジュール1062、色変換コマンド変更モジュール1064を有している。色変換コマンド変更モジュール1064は、解析処理モジュール1857によって情報画像の読み取りを不安定にする領域が存在すると解析された場合は、領域抽出モジュール1859によって抽出された領域に対して前述した色の変換を行う。
【0072】
図19は、第3のシステム構成による処理例を示すフローチャートである。
ステップS1902では、画像受付モジュール1040が、画像を受け付ける。
ステップS1904では、データ管理モジュール1020が、画像を登録したか否かを判断し、登録した場合はステップS1906へ進み、それ以外の場合はステップS1926へ進む。
ステップS1906では、PDL生成モジュール1060のPDL生成処理モジュール1062が、画像に対してPDL化処理を行う。黒色部分をCMYのトナー総量300%で表現するコマンドも含む。
ステップS1908では、画像解析モジュール1455の解析処理モジュール1857が、画像を解析する。
ステップS1910では、画像解析モジュール1455が、不安定領域があるか否かを判断し、ある場合はステップS1912へ進み、それ以外の場合はステップS1924へ進む。
【0073】
ステップS1912では、画像解析モジュール1455の領域抽出モジュール1859が、画像内の不安定領域を抽出する。
ステップS1914では、PDL生成モジュール1060の色変換コマンド変更モジュール1064が、画像の不安定領域の色変換のコマンドを変更する。ここで、コマンドの変更とは、黒色部分をCMYのトナー総量300%で表現するコマンドを、そのトナー総量を規制した色変換処理のコマンドにするものである。
ステップS1924では、PDL生成モジュール1060のPDL生成処理モジュール1062は、色変換コマンド変更モジュール1064に画像の色変換のコマンドを変更させない。その後、ステップS1916へ進む。
【0074】
ステップS1916では、情報画像生成モジュール1050が、情報画像を生成する。
ステップS1918では、情報画像合成モジュール1070の情報画像受付モジュール1074が、情報画像を受け付ける。
ステップS1920では、情報画像合成モジュール1070の情報画像合成処理モジュール1072が、情報画像合成コマンドをPDLに追加する。
ステップS1922では、プリンタ1080でPDLを解析して情報画像合成画像を印刷する。
ステップS1926では、画像の登録ができなかったため、その画像は印刷しない。
【0075】
図20は、CMYトナー総量と読み取りエラー率の関係例を示すグラフである。CMYトナー総量が300%である場合(各色の最大濃度の合計を用いた表現の場合)は、読み取りエラー率が23%となる。CMYトナー総量を減少させると、読み取りエラー率も低下する。例えば、CMYトナー総量を270%とすると、読み取りエラー率が4.5%に減少する。そして、CMYトナー総量が240%以下又は未満である場合は、読み取りエラー率が1.2%以下となる。さらに、CMYトナー総量を減少させ、CMYトナー総量を210%とすると、読み取りエラー率が0.5%となる。なお、図示していないが、CMYトナー総量を100%とすると、読み取りエラー率はほぼ0%になる。ただし、CMYトナー総量を200%以下又は未満とすると、もとの画像の黒の部分の色変化が人間の目にも違和感を感じる程度になってしまう。CMYトナー総量を240%以下又は未満にすると、読み取りエラーが、符号化に用いている誤り訂正符号の耐え得る範囲になることが分かった。そこで、CMYトナー総量を240%以下又は未満としてもよい。さらに、CMYトナー総量を240%以下又は未満であって、200%以上又はより大の範囲にある値としてもよい。又は、CMYトナー総量を240%以下又は未満であって、100%以上又はより大の範囲にある値としてもよい。
また、前述の実施の形態において、読み取りエラー率を受け付けて、CMYトナー総量を設定するようにしてもよい。読み取りエラー率は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル等に対する操作者の指示に基づいて受け付けるようにしてもよいし、情報画像に埋め込む情報に応じて予め定められた読み取りエラー率を受け付けるようにしてもよい。読み取りエラー率とCMYトナー総量との関係は、図20に例示のグラフによって予め定められた読み取りエラー率とCMYトナー総量とを対応付けて記憶しているテーブルを用いて、読み取りエラー率に対応するCMYトナー総量を抽出すればよい。そして、色変換モジュール120、PDL生成モジュール1060は、そのCMYトナー総量に基づいて色変換を行うようにしてもよい。
【0076】
前述のように、単にCMYトナー総量を下げればいいという訳ではない。CMYトナーをそれぞれ100%未満の値によって印刷した場合、網点化されて出力される。そのため、CMYトナー量を下げ過ぎると、小さいフォントの文字は読み難くなることが生じ得る。元の原稿で黒(つまり、Kトナー100%で印刷されているところ)の領域を、CMYトナー量をそれぞれ33.3%(合計で100%)にするよりも、C(シアン)トナーを100%(つまり、Mトナー、Yトナーは0%)にした方が出力物で、網点化される部分がない。この場合、元の原稿と色が違うことになるが、デコード性能を維持し、小さいフォントの文字であったとしても、網点になることによる読みにくさも生じない。なお、Cトナーを100%の例を示したが、Mトナーを100%(つまり、Cトナー、Yトナーは0%)、又はYトナーを100%(つまり、Cトナー、Mトナーは0%)であってもよい。ただし、読みやすさの面で選択すれば、Cトナーを100%の場合がよい。
トナー総量を100%未満にすると、印刷する場合、網点化されて出力され、小さいフォントの文字は読み難くなることが生じ得る。このことから、トナー総量は100%以上であることがよい。さらに、トナー総量を100%とした場合は、1色のトナーにしてもよい。さらに、その場合は、Cトナーとしてもよい。
図21は、黒色部分をシアン1色に変換した例(Cトナーを100%で、Mトナー、Yトナーは0%)を示す説明図である。つまり、背景(横線)2122、2124は、もとの画像においては黒色であったが、前述の実施の形態による処理によって、シアン色となっている。そして、情報画像の画素塊2112、情報画像の画素塊2114は、黒トナーで印刷されている。このようにすると、黒部分がシアン色となってしまうが、情報画像を構成する画素塊がシアン色と白との境界に位置していた(例えば、情報画像の画素塊2112の位置)としても読み取りエラー率は低下する(ほぼ0%となる)。
【0077】
図23を参照して、本実施の形態の画像処理装置のハードウェア構成例について説明する。図23に示す構成は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)などによって構成されるものであり、スキャナ等のデータ読み取り部2317と、プリンタなどのデータ出力部2318を備えたハードウェア構成例を示している。
【0078】
CPU(Central Processing Unit)2301は、前述の実施の形態において説明した各種のモジュール、すなわち、画像受付モジュール110、色変換モジュール120、情報画像受付モジュール130、合成モジュール140、出力モジュール150、画像解析モジュール1215、解析処理モジュール1617、領域抽出モジュール1619、データ管理モジュール1020、画像受付モジュール1040、情報画像生成モジュール1050、PDL生成モジュール1060、PDL生成処理モジュール1062、色変換コマンド変更モジュール1064、情報画像合成モジュール1070、情報画像合成処理モジュール1072、情報画像受付モジュール1074、画像解析モジュール1455、解析処理モジュール1857、領域抽出モジュール1859等の各モジュールの実行シーケンスを記述したコンピュータ・プログラムにしたがった処理を実行する制御部である。
【0079】
ROM(Read Only Memory)2302は、CPU2301が使用するプログラムや演算パラメータ等を格納する。RAM(Random Access Memory)2303は、CPU2301の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を格納する。これらはCPUバスなどから構成されるホストバス2304により相互に接続されている。
【0080】
ホストバス2304は、ブリッジ2305を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス2306に接続されている。
【0081】
キーボード2308、マウス等のポインティングデバイス2309は、操作者により操作される入力デバイスである。ディスプレイ2310は、液晶表示装置又はCRT(Cathode Ray Tube)などがあり、各種情報をテキストやイメージ情報として表示する。
【0082】
HDD(Hard Disk Drive)2311は、ハードディスクを内蔵し、ハードディスクを駆動し、CPU2301によって実行するプログラムや情報を記録又は再生させる。ハードディスクには、受け付けた画像、情報画像、情報画像付き画像などが格納される。さらに、その他の各種のデータ処理プログラム等、各種コンピュータ・プログラムが格納される。
【0083】
ドライブ2312は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体2313に記録されているデータ又はプログラムを読み出して、そのデータ又はプログラムを、インタフェース2307、外部バス2306、ブリッジ2305、及びホストバス2304を介して接続されているRAM2303に供給する。リムーバブル記録媒体2313も、ハードディスクと同様のデータ記録領域として利用可能である。
【0084】
接続ポート2314は、外部接続機器2315を接続するポートであり、USB、IEEE1394等の接続部を持つ。接続ポート2314は、インタフェース2307、及び外部バス2306、ブリッジ2305、ホストバス2304等を介してCPU2301等に接続されている。通信部2316は、ネットワークに接続され、外部とのデータ通信処理を実行する。データ読み取り部2317は、例えばスキャナであり、ドキュメントの読み取り処理を実行する。データ出力部2318は、例えばプリンタであり、ドキュメントデータの出力処理を実行する。
【0085】
なお、図23に示す画像処理装置のハードウェア構成は、1つの構成例を示すものであり、本実施の形態は、図23に示す構成に限らず、本実施の形態において説明したモジュールを実行可能な構成であればよい。例えば、一部のモジュールを専用のハードウェア(例えば特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)等)で構成してもよく、一部のモジュールは外部のシステム内にあり通信回線で接続しているような形態でもよく、さらに図23に示すシステムが複数互いに通信回線によって接続されていて互いに協調動作するようにしてもよい。また、複写機、ファックス、スキャナ、プリンタ、複合機(スキャナ、プリンタ、複写機、ファックス等のいずれか2つ以上の機能を有している画像処理装置)などに組み込まれていてもよい。
【0086】
なお、前述の各種の実施の形態を組み合わせてもよく(例えば、ある実施の形態内のモジュールを他の実施の形態内に追加する、入れ替えをする等も含む)、また、各モジュールの処理内容として背景技術で説明した技術を採用してもよい。
また、前述の実施の形態の説明において、予め定められた値との比較において、「以上」、「以下」、「より大きい」、「より小さい(未満)」としたものは、その組み合わせに矛盾が生じない限り、それぞれ「より大きい」、「より小さい(未満)」、「以上」、「以下」としてもよい。
【0087】
なお、説明したプログラムについては、記録媒体に格納して提供してもよく、また、そのプログラムを通信手段によって提供してもよい。その場合、例えば、前記説明したプログラムについて、「プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」の発明として捉えてもよい。
「プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、プログラムのインストール、実行、プログラムの流通などのために用いられる、プログラムが記録されたコンピュータで読み取り可能な記録媒体をいう。
なお、記録媒体としては、例えば、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)であって、DVDフォーラムで策定された規格である「DVD−R、DVD−RW、DVD−RAM等」、DVD+RWで策定された規格である「DVD+R、DVD+RW等」、コンパクトディスク(CD)であって、読出し専用メモリ(CD−ROM)、CDレコーダブル(CD−R)、CDリライタブル(CD−RW)等、ブルーレイ・ディスク(Blu−ray Disc(登録商標))、光磁気ディスク(MO)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ、ハードディスク、読出し専用メモリ(ROM)、電気的消去及び書換可能な読出し専用メモリ(EEPROM(登録商標))、フラッシュ・メモリ、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)等が含まれる。
そして、前記のプログラム又はその一部は、前記記録媒体に記録して保存や流通等させてもよい。また、通信によって、例えば、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、メトロポリタン・エリア・ネットワーク(MAN)、ワイド・エリア・ネットワーク(WAN)、インターネット、イントラネット、エクストラネット等に用いられる有線ネットワーク、あるいは無線通信ネットワーク、さらにこれらの組み合わせ等の伝送媒体を用いて伝送させてもよく、また、搬送波に乗せて搬送させてもよい。
さらに、前記のプログラムは、他のプログラムの一部分であってもよく、あるいは別個のプログラムと共に記録媒体に記録されていてもよい。また、複数の記録媒体に分割して
記録されていてもよい。また、圧縮や暗号化など、復元可能であればどのような態様で記録されていてもよい。
【符号の説明】
【0088】
110…画像受付モジュール
120…色変換モジュール
130…情報画像受付モジュール
140…合成モジュール
150…出力モジュール
812…画像読取モジュール
813…制御・送信モジュール
1010…情報画像合成アプリケーション
1020…データ管理モジュール
1030…データ印刷指示処理モジュール
1040…画像受付モジュール
1050…情報画像生成モジュール
1060…PDL生成モジュール
1062…PDL生成処理モジュール
1064…色変換コマンド変更モジュール
1070…情報画像合成モジュール
1072…情報画像合成処理モジュール
1074…情報画像受付モジュール
1080…プリンタ
1215…画像解析モジュール
1455…画像解析モジュール
1617…解析処理モジュール
1619…領域抽出モジュール
1857…解析処理モジュール
1859…領域抽出モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を受け付ける画像受付手段と、
情報画像を受け付ける情報画像受付手段と、
前記画像受付手段によって受け付けられた画像内の黒色部分を他の色を用いて表現するように変換する色変換手段と、
前記色変換手段によって変換された画像に、前記情報画像受付手段によって受け付けられた情報画像を黒色で合成する合成手段
を具備し、
前記色変換手段は、黒色部分を黒以外の色を用いて表現し、黒以外の色の各色の最大濃度の合計を用いた表現よりも薄くするように変換する
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記画像受付手段によって受け付けられた画像内に情報画像の読み取りを不安定にする領域が存在するか否かを解析する解析手段
をさらに具備し、
前記色変換手段は、前記解析手段によって情報画像の読み取りを不安定にする領域が存在すると解析された場合に、前記色の変換を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記解析手段は、情報画像の読み取りを不安定にする領域が存在すると解析した場合は、該領域の位置を解析し、
前記色変換手段は、前記解析手段によって情報画像の読み取りを不安定にする領域が存在すると解析された場合は、該領域に対して色の変換を行う
ことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記黒以外の色は3色とし、
前記色変換手段は、黒以外の3色の塗料の総量が240%以下又は240%未満になるように規制する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記黒以外の色は3色とし、
前記色変換手段は、黒以外の3色のうち2色又は1色を用いた表現にするように変換を行う
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記合成手段によって情報画像が合成された画像を出力する出力手段
をさらに具備することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
コンピュータを、
画像を受け付ける画像受付手段と、
情報画像を受け付ける情報画像受付手段と、
前記画像受付手段によって受け付けられた画像内の黒色部分を他の色を用いて表現するように変換する色変換手段と、
前記色変換手段によって変換された画像に、前記情報画像受付手段によって受け付けられた情報画像を黒色で合成する合成手段
として機能させ、
前記色変換手段は、黒色部分を黒以外の色を用いて表現し、黒以外の色の各色の最大濃度の合計を用いた表現よりも薄くするように変換する
ことを特徴とする画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−238949(P2012−238949A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−105158(P2011−105158)
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】