説明

画像処理装置及び画像処理判定装置

【課題】原画像と目標画像と重み画像の三つの画像と、あらかじめ用意した複数種の画像処理フィルタによる処理を行うことによって、原画像から目標画像相当の画像を抽出する進化的画像処理方式において、適応度あるいは抽出画像の抽出具合を指定した数値指標を高速に演算処理するための画像処理装置に関する。
【解決手段】抽出画像群記憶部37は、原画像記憶部33に記憶された原画像を、フィルタ木記憶部36のフィルタ木の順に画像処理フィルタ群記憶部32に記憶されたフィルタによって処理を施してその結果である抽出画像を記憶し、適応度記憶部39は、最後に抽出した抽出画像と目標画像と重み画像をもとに適応度演算部38で算出した適応度を記憶して、制御部31から出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原画像と目標画像と重み画像の三つの画像と、あらかじめ用意した複数種の画像処理フィルタによる処理を行うことによって、原画像から目標画像相当の画像を抽出する進化的画像処理方式(非特許文献1)において、適応度(非特許文献1、97ページの式(5.3))を高速に演算処理するための画像処理装置に関する。また、同進化的画像処理方式において、抽出画像の抽出具合を指定した数値指標で高速に判断するための画像処理判定装置である。
【背景技術】
【0002】
従来の進化的画像処理方式(非特許文献1、87ページ)では、原画像、目標画像、重み画像の三つの画像を入力情報として計算機内で画像処理フィルタ群の中の複数のフィルタを組み合わせたフィルタ(木フィルタ)を生成して、そのフィルタ木にしたがった原画像に対する複数のフィルタ処理を実行して、そのフィルタ木の適切さの指標として原画像からフィルタ木にしたがって処理された抽出画像と目標画像との適応度の演算まで計算機内のプログラムで処理されてきたが、その処理量は膨大であり、大量の時間を要すという問題点があった。
【0003】
また、同進化的画像処理方式では、原画像、目標画像、重み画像の三つの画像を入力情報として計算機内で画像処理フィルタ群の中の複数のフィルタを組み合わせたフィルタ(木フィルタ)を生成して、そのフィルタ木にしたがった原画像に対する複数のフィルタ処理を実行して、そのフィルタ木の適切さの指標として原画像からフィルタ木にしたがって処理された抽出画像と目標画像との適応度の演算まで計算機内のプログラムで処理されてきたが、その処理量は膨大であり、大量の時間を要すという問題点があった。
【非特許文献1】長尾智晴著「進化的画像処理」昭晃堂、2002年5月、p.1−192
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
進化的画像処理方式において原画像、目標画像、重み画像の三つの画像と、画像処理フィルタ群とそのフィルタ群お中から複数のフィルタを組み合わせたフィルタ(木フィルタ)を指定した情報を入力することによって原画像から抽出した画像と目標画像、重み画像とから適応度を高速に算出しようとするものである。
【0005】
また、進化的画像処理方式において原画像と、画像処理フィルタ群とそのフィルタ群の中から複数のフィルタを組み合わせたフィルタ(木フィルタ)と、原画像にフィルタ処理した結果である画像の抽出具合を指定した判定処理方法と判定値とを入力することによって原画像から抽出した画像の抽出具合を高速に判定しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る画像処理装置は、
所要情報の入出力制御を行う制御部と、
制御部から入力される原画像を記憶する原画像記憶部と、
制御部から入力される目標画像を記憶する目標画像記憶部と、
制御部から入力される重み画像を記憶する重み画像記憶部と、
画像処理フィルタ群を記憶する画像処理フィルタ群記憶部と、
制御部から入力されるフィルタ木を記憶するフィルタ木記憶部と、
適応度の演算プログラムを記憶する適応度演算部と、
制御部からの指示にしたがってフィルタ木記憶部で記憶されたフィルタ木の情報をもとに画像処理フィルタによる処理や適応度算出のシーケンスを制御する処理シーケンス制御部と、
処理シーケンス制御部の制御によってフィルタ木記憶部で記憶されたフィルタ木の情報を読み出して原画像記憶部に記憶された原画像をフィルタ木の順に画像処理フィルタ群記憶部に記憶されたフィルタによって処理を施してその結果である抽出画像を記憶する抽出画像群記憶部と、
処理シーケンス制御部の制御によって最後に抽出した抽出画像と目標画像記憶部の目標画像と重み画像記憶部に記憶された重み画像を読み出してそれらの画像をもとに適応度演算部に記憶された適応度演算プログラムにより適応度を演算してその結果を記憶して制御部からの読取り指示にしたがって適応度の値を制御部に渡すことができる適応度記憶部を有することを特徴とする。
【0007】
本発明に係る画像処理判定装置は、
所要情報の入出力制御を行う制御部と、
制御部から入力される原画像を記憶する原画像記憶部と、
画像処理フィルタ群を記憶する画像処理フィルタ群記憶部と、
制御部から入力されるフィルタ木を記憶するフィルタ木記憶部と、
抽出画像の抽出具合を判定する複数の処理方法によるプログラムを記憶する判定処理法記憶部と、
その判定処理法記憶部の判定処理プログラムを指示する判定処理指示情報記憶部と、
判定を行うための判定値を記憶する判定値記憶部と、
その判定処理指示情報記憶部で指示された判定処理法記憶部の判定処理プログラムによって処理して求めた判定値を記憶するともに、その判定値と判定値記憶部の判定値を比較した結果を記憶する判定結果記憶部と、
制御部からの指示にしたがってフィルタ木記憶部で記憶されたフィルタ木の情報をもとに画像処理フィルタによる処理や判定処理などのシーケンスを制御する処理シーケンス制御部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本方式は進化的画像処理方式において原画像、目標画像、重み画像の三つの画像と、画像処理フィルタ群とそのフィルタを組み合わせたフィルタ(木フィルタ)を指定した情報を計算機から装置に入力することによって原画像から抽出した画像と目標画像、重み画像とから適応度を高速に算出できようになることから、例えば傷を検出する画像処理を実現する場合、高速処理可能な傷検査システムの構築が可能となる。
【0009】
本方式は進化的画像処理方式において原画像と、画像処理フィルタ群とそのフィルタを組み合わせたフィルタ(木フィルタ)と、判定処理プログラムと、判定値を計算機から装置に入力することによって指定した判定処理プログラムで原画像からフィルタ処理して抽出した画像の抽出具合を高速に算出できようになることから、例えば傷を検出する画像処理を実現するような場合、高速処理可能な傷検査システムの構築が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
実施の形態1.
図1の11、12、13は、進化的画像処理方式を適用した画像処理装置において入力することが必要な情報である原画像、目標画像、重み画像の例である。進化的画像処理方式は原画像11から目標画像12で示した画像相当の画像を抽出しようとするものである。
【0011】
図2は、フィルタ木の例を示したものであり、21はフィルタ処理する対象の原画像であり、f1、f2、f5、f7、f10、f12は例えば2値化、細線化、濃度変換などの画像処理用フィルタを指示するフィルタ指示情報である。また22、23、24、25、26、27、28はf1、f3、f10、f7、f5、f12のフィルタ指示情報のよって原画像から順に抽出される抽出画像である。また29は複数のフィルタ処理のプロシージャからなる画像処理フィルタ群である。
【0012】
図3は、画像処理装置の実施例であり、31は所要情報の入出力制御を行う制御部、32は制御部31から入力される2値化、細線化、濃度変換などからなる画像処理フィルタ群を記憶して入力されるフィルタ指示情報にしたがって画像処理する画像処理フィルタ群記憶部、33は制御部31から入力された原画像を記憶する原画像記憶部、34は制御部31から入力された目標画像を記憶する目標画像記憶部、35は制御部31から入力される重み画像を記憶する重み画像記憶部、36は制御部31の制御によって入力されるフィルタ指示情報からなるフィルタ木を記憶するフィルタ木記憶部、37は原画像記憶部33内の原画像にフィルタ木記憶部36で記憶されたフィルタ指示情報の順に従ってフィルタ処理された抽出画像を記憶する抽出画像群記憶部、38はフィルタ木の最終画像処理フィルタによって抽出された抽出画像と目標画像記憶部34の目標画像と重み画像記憶部35の重み画像とから進化的画像処理で利用される適応度を算出する適応度演算部、39は適応度演算部38で演算した結果の値を記憶する適応度記憶部、40は制御部31から制御を受けてフィルタ木記憶部36に記憶されたフィルタ指示情報の順で処理して適応度を算出するなどの処理シーケンスを制御する処理シーケンス制御部である。
【0013】
図4は図3の抽出画像群記憶部37の構成を示した図である。
【0014】
動作はまず、制御部31から処理シーケンス制御部40に指示して画像処理フィルタ群、原画像、目標画像、フィルタ木、適応度の演算プログラムの情報を各々画像処理フィルタ群記憶部32、原画像記憶部33、目標画像記憶部34、重み画像記憶部35、フィルタ木記憶部36、適応度演算部37に記憶させる。
【0015】
つづいて制御部31は処理シーケンス制御部40に処理開始指示を行うと、処理シーケンス制御部40はまずフィルタ木記憶部36から図2のフィルタ木の中の最初のフィルタ指示情報f1と原画像記憶部33に記憶された原画像を読み出して画像処理フィルタ群記憶部32にフィルタ処理することを指示する。
【0016】
画像処理フィルタ群記憶部32は、フィルタ指示情報f1に合致する画像処理フィルタf1P(図2)を選択して原画像記憶部33から入力された原画像にフィルタ処理を施す。その結果の抽出画像はシーケンス制御部40によって抽出画像群記憶部37の371に記憶される(図4)。つづいて処理シーケンス制御部40はフィルタ木記憶部36からつぎのフィルタ指示情報f3と抽出画像群記憶部37の371に記憶された抽出画像22を読み出して画像処理フィルタ群記憶部32にf3Pによるフィルタ処理を指示する。
【0017】
画像処理フィルタ群記憶部32は、フィルタ指示情報f3に合致する画像処理フィルタのf3Pを選択して抽出画像群記憶部37(図4の371)から入力された抽出画像にフィルタ処理を施す。その結果の抽出画像はシーケンス制御部40によって抽出画像群記憶部37の372(図4)に記憶される。
【0018】
このような処理を順次、フィルタ指示情報f10、f7とf5、f12さらにf13にしたがってf10P、f7P、f5P、f12P、f13Pのフィルタ処理を実行して各々の抽出画像を抽出画像群記憶部37の373、374、375、376、377に記憶する。
【0019】
フィルタ木記憶部36で指示された最後のフィルタ指示情報f13によるf13Pのフィルタ処理が完了したことを検出した処理シーケンス制御部40は、つづいて適応度演算部38に抽出画像群記憶部37の377(図4)の最後の抽出画像と目標画像記憶部34の目標画像と重み画像記憶部35の重み画像を入力して演算処理開始を指示する。開始指示を受けた適応度演算部38は抽出画像と目標画像と重み画像とから適応度を算出してその結果である値を適応度記憶部39に記憶する。
【0020】
つづいて制御部31から処理シーケンス制御部40に適応度の値の読み取りが指示されると、処理シーケンス制御部40は適応度記憶部39に読み出し指示を行い、指示を受けた適応度記憶部39は記憶している適応度の値を制御部31に渡す。
【0021】
また、制御部31から処理シーケンス制御部40に抽出画像群記憶部37に記憶部を指示する情報37i(i=1、2、・・・)とともに読取りが指示されると処理シーケンス制御部40は抽出画像群記憶部37の指示情報に該当する抽出画像を読み出して制御部31に渡す。以上が動作説明である。
【0022】
なお、上記実施例ではフィルタ木、入力画像、目標画像、重み画像を各々1つとして説明してきたが、図5に示すようにフィルタ木、入力画像、目標画像、重み画像を複数記憶できるようにして、抽出画像群記憶部(図6参照)および適応度演算部、適応度記憶部を同じく複数用意することにより上記と同様の動作によって複数の適応度を一度に求めるようにもできる。
【0023】
また、実施例では、抽出記憶部の容量と画像処理フィルタ群記憶部の容量を述べずに説明してきたが、抽出記憶部の容量はフィルタ指示情報の数にしたがった容量となり、また画像処理フィルタ群記憶部の容量も準備する処理フィルタのプロシージャの容量に依存するため、その容量の決定には予めフィルタ指示情報数および処理フィルタ数の最大値を決めておき、装置に搭載するメモリの容量を決定すればよい。
【0024】
制御部31からの処理シーケンス制御部40に向けての適応度の値の読み取り指示をルックイン方式で説明してきたが、適応度記憶部39に演算結果が記憶された時点で制御部31に割り込み処理ができるように割込み線を用意すれば割込み方式が実現でき処理方式の高速化が図れる。
【0025】
これと同様に抽出画像の読出しもルックイン方式で説明してきたが、演算結果の場合と同様に抽出画像が抽出画像群記憶部37に記憶された時点で割り込む方式をとれば割込み方式が実現でき応答性の高速性が図れる。
【0026】
本方式は、計算機に接続された装置に原画像、目標画像、重み画像の三つの画像と、画像処理フィルタ群とそのフィルタを組み合わせたフィルタ(木フィルタ)を指定した情報を入力することによって、計算機とは独立の装置側で原画像から所望の画像が抽出できると共に、その抽出画像と目標画像、重み画像とから適応度を演算できることから進化的画像処理の高速化が達成できる。
【0027】
実施の形態2.
本画像処理判定装置では、図1の原画像11を入力する。
【0028】
フィルタ木は、図2と同様である。
【0029】
図7は画像処理判定装置の実施例であり、前述と同様に31は所要情報の入出力制御を行う制御部、32は制御部31から入力される2値化、細線化、濃度変換などからなる画像処理フィルタ群を記憶してフィルタ指示情報にしたがって画像処理する画像処理フィルタ群記憶部、36は制御部31の制御によって入力されるフィルタ指示情報からなるフィルタ木を記憶するフィルタ木記憶部、37は原画像記憶部34内の原画像にフィルタ木記憶部35で記憶されたフィルタ指示情報の順に従ってフィルタ処理された抽出画像を記憶する抽出画像群記憶部、40は制御部31から制御を受けてフィルタ木記憶部36に記憶されたフィルタ指示情報の順で処理するなどの一連の処理シーケンスを制御する処理シーケンス制御部である。71は制御部31から入力される抽出画像の面積比や外輪の長さなどを計数するなどの評価処理プログラムを記憶する評価処理法記憶部と、33は制御部31から入力された原画像を記憶する原画像記憶部、72は制御部31から入力される判定処理プログラムを指示する情報を記憶する判定処理指示情報記憶、73は制御部31から入力される判定値を記憶する判定値記憶部、74はフィルタ木の最終画像処理フィルタによって抽出された抽出画像に判定処理指示情報にしたがって判定処理法記憶部に記憶された判定処理プログラムで算出された判定値を記憶すると共にその値を判定値記憶部に記憶された判定値と比較下結果を記憶する判定結果記憶部である。
【0030】
抽出画像群記憶部37の構成は、前述の図4と同様である。
【0031】
動作はまず、制御部31から処理シーケンス制御部40に指示して画像処理フィルタ群、判定処理プログラム、原画像、フィルタ木、判定値、判定処理指示情報の各情報を各々画像処理フィルタ群記憶部32、判定処理法記憶部71、原画像記憶部33、フィルタ木記憶部36、判定処理指示情報記憶部72、判定値演算部73に記憶させる。
【0032】
つづいて制御部31は処理シーケンス制御部40に処理開始指示を行うと、処理シーケンス制御部40はまずフィルタ木記憶部35から図2のフィルタ木の中の最初のフィルタ指示情報f1と原画像記憶部33に記憶された原画像を読み出して画像処理フィルタ群記憶部32にフィルタ処理することを指示する。
【0033】
画像処理フィルタ群記憶部32は、フィルタ指示情報f1に合致する画像処理フィルタf1P(図2)を選択して原画像記憶部34から入力された原画像にフィルタ処理を施す。その結果の抽出画像はシーケンス制御部40によって抽出画像群記憶部37の371に記憶される(図4)。つづいて処理シーケンス制御部40はフィルタ木記憶部35からつぎのフィルタ指示情報f3と抽出画像群記憶部37の371に記憶された抽出画像22を読み出して画像処理フィルタ群記憶部32にf3Pによるフィルタ処理を指示する。
【0034】
画像処理フィルタ群記憶部32は、フィルタ指示情報f3に合致する画像処理フィルタのf3Pを選択して抽出画像群記憶部37(図4の371)から入力された抽出画像にフィルタ処理を施す。その結果の抽出画像はシーケンス制御部40によって抽出画像群記憶部37の372(図4)に記憶される。
【0035】
このような処理を順次、フィルタ指示情報f10、f7とf5、f12さらにf13にしたがってf10P、f7P、f5P、f12P、f13Pのフィルタ処理を実行して各々の抽出画像を抽出画像群記憶部37の373、374、375、376、377に記憶する。
【0036】
フィルタ木記憶部36で指示された最後のフィルタ指示情報f13によるf13Pのフィルタ処理が完了したことを検出した処理シーケンス制御部40は、つづいて判定処理指示情報部72の判定処理情報で指定された判定処理法記憶部71の判定処理プログラムにしたがって抽出画像群記憶部37の377(図4)の最後の抽出画像の判定処理の開始を指示する。開始指示を受けた判定処理法記憶部71は抽出画像から判定値を算出してその結果の値と、その値を判定値記憶部73の値と比較した大小結果を判定結果記憶部74に渡す。算出され判定値と判定結果を渡された判定結果記憶部74はそれらを記憶する。
【0037】
つづいて制御部31から処理シーケンス制御部40に判定値と判定結果の読み取りが指示されると、処理シーケンス制御部40は判定結果記憶部74に読み出し指示を行い、指示を受けた判定結果記憶部74は記憶している判定値と判定結果を制御部31に渡す。
【0038】
また、制御部31から処理シーケンス制御部40に抽出画像群記憶部37に記憶部を指示する情報37i(i=1、2、・・・)とともに読取りが指示されると処理シーケンス制御部40は抽出画像群記憶部37の指示情報に該当する抽出画像を読み出して制御部31に渡す。以上が動作説明である。
【0039】
なお、上記実施例では原画像、フィルタ木、判定値指示情報、判定値を各々1つとして説明してきたが、図9に示すように原画像、フィルタ木、判定値指示情報、判定値を複数記憶できるようにして、抽出画像群記憶部および判定結果記憶部を同じく複数用意することにより上記と同様の動作によって複数の判定結果と判定値を一度に求めるようにできる。
【0040】
また、実施例では、抽出記憶部の容量と画像処理フィルタ群記憶部の容量を述べずに説明してきたが、抽出記憶部の容量はフィルタ指示情報の数にしたがった容量となり、また画像処理フィルタ群記憶部の容量も準備する処理フィルタのプロシージャの容量に依存するため、その容量の決定には予めフィルタ指示情報数および処理フィルタ数の最大値を決めておき、装置に搭載するメモリの容量を決定すればよい。
【0041】
制御部31からの処理シーケンス制御部40に向けての判定結果の読み取り指示をルックイン方式で説明してきたが、判定結果記憶部74に判定結果が記憶された時点で制御部31に割り込み処理ができるように割込み線を用意すれば割込み方式が実現でき処理方式の高速化が図れる。
【0042】
これと同様に抽出画像の読出しもルックイン方式で説明してきたが、判定結果の場合と同様に抽出画像が抽出画像群記憶部38に記憶された時点で割り込む方式をとれば割込み方式が実現でき応答性の高速性が図れる。
【0043】
本方式は、計算機に接続された装置に原画像と、画像処理フィルタ群とそのフィルタを組み合わせたフィルタ(木フィルタ)と、判定処理プログラムと、判定値を計算機から装置に入力することによって指定した判定処理プログラムで原画像からフィルタ処理して抽出した画像の抽出具合を高速に算出できようになることによって、計算機とは独立の装置側で原画像から所望の画像が抽出できると共に、その抽出画像の抽出具合が判定できることから画像処理の高速化が達成できる。
【0044】
画像処理装置及び画像処理判定装置は、コンピュータであり、各要素はプログラムにより処理を実行することができる。また、プログラムを記憶媒体に記憶させ、記憶媒体からコンピュータに読み取られるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】進化的画像処理方式を適用した画像処理装置において入力することが必要な情報である原画像、目標画像、重み画像の例を示す図である。
【図2】フィルタ木の例を示す図である。
【図3】画像処理装置の実施例を示す図である。
【図4】抽出画像群記憶部37の構成を示す図である。
【図5】フィルタ木、入力画像、目標画像、重み画像を複数記憶する画像処理装置の実施例を示す図である。
【図6】複数画像入力する場合の抽出画像群記憶部を示す図である。
【図7】実施の形態2に係る画像処理装置の実施例を示す図である。
【図8】判定処理法記憶部71の構成を示す図である。
【図9】実施の形態2に係るフィルタ木、入力画像、目標画像、重み画像を複数記憶する画像処理装置の実施例を示す図である。
【符号の説明】
【0046】
原画像11、 目標画像12、 重み画像13、 画像処理フィルタ群29、 31 制御部、32 画像処理フィルタ群記憶部、33 原画像記憶部、34 目標画像記憶部、35 重み画像記憶部、36 フィルタ木記憶部、37 抽出画像群記憶部、38 適応度演算部、39 適応度記憶部、40 処理シーケンス制御部、71 判定処理法記憶部、72 判定処理指示情報記憶部、73 判定値記憶部、74 判定結果記憶部。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
所要情報の入出力制御を行う制御部と、
制御部から入力される原画像を記憶する原画像記憶部と、
制御部から入力される目標画像を記憶する目標画像記憶部と、
制御部から入力される重み画像を記憶する重み画像記憶部と、
画像処理フィルタ群を記憶する画像処理フィルタ群記憶部と、
制御部から入力されるフィルタ木を記憶するフィルタ木記憶部と、
適応度の演算プログラムを記憶する適応度演算部と、
制御部からの指示にしたがってフィルタ木記憶部で記憶されたフィルタ木の情報をもとに画像処理フィルタによる処理や適応度算出のシーケンスを制御する処理シーケンス制御部と、
処理シーケンス制御部の制御によってフィルタ木記憶部で記憶されたフィルタ木の情報を読み出して原画像記憶部に記憶された原画像をフィルタ木の順に画像処理フィルタ群記憶部に記憶されたフィルタによって処理を施してその結果である抽出画像を記憶する抽出画像群記憶部と、
処理シーケンス制御部の制御によって最後に抽出した抽出画像と目標画像記憶部の目標画像と重み画像記憶部に記憶された重み画像を読み出してそれらの画像をもとに適応度演算部に記憶された適応度演算プログラムにより適応度を演算してその結果を記憶して制御部からの読取り指示にしたがって適応度の値を制御部に渡すことができる適応度記憶部を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
所要情報の入出力制御を行う制御部と、
制御部から入力される原画像を記憶する原画像記憶部と、
画像処理フィルタ群を記憶する画像処理フィルタ群記憶部と、
制御部から入力されるフィルタ木を記憶するフィルタ木記憶部と、
抽出画像の抽出具合を判定する複数の処理方法によるプログラムを記憶する判定処理法記憶部と、
その判定処理法記憶部の判定処理プログラムを指示する判定処理指示情報記憶部と、
判定を行うための判定値を記憶する判定値記憶部と、
その判定処理指示情報記憶部で指示された判定処理法記憶部の判定処理プログラムによって処理して求めた判定値を記憶するともに、その判定値と判定値記憶部の判定値を比較した結果を記憶する判定結果記憶部と、
制御部からの指示にしたがってフィルタ木記憶部で記憶されたフィルタ木の情報をもとに画像処理フィルタによる処理や判定処理などのシーケンスを制御する処理シーケンス制御部を有することを特徴とする画像処理判定装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−241945(P2007−241945A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−67329(P2006−67329)
【出願日】平成18年3月13日(2006.3.13)
【出願人】(504182255)国立大学法人横浜国立大学 (429)
【Fターム(参考)】