説明

画像処理装置及び画像形成装置

【課題】異なる2つの画像読み取り手段によって読み取った画像データを処理する際に、回路規模の拡大を抑え、効率的に処理できるようにする。
【解決手段】第1及び第2の読み取り部1,2と、前記第1及び第2の読み取り部1,2によって読み取られた画像データが入力され、前記画像データに対して各種画像処理を施す複数段の画像処理部4,6,7,8とを有する画像処理装置において、前記画像処理手段が第1及び第2の読み取り手段から入力された画像データに対してそれぞれ共通の処理を施す画像処理手段であって、前記第1及び第2の読み取り手段1,2の後段であって前記複数段の画像処理手段4,6,7,8の前段に、前記第1及び第2の読み取り手段からそれぞれ異なる信号の組み合わせで入力される画像データを次段の画像処理手段において共通処理可能な画像データに変換し、出力する画像データ受け取り手段3を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの異なる読み取り部を有するスキャナを備え、モノクロ画像及びカラー画像を処理する画像処理装置、及びこの画像処理装置を備えたコピー、FAX、並びにこれらの機能を複合して備えたデジタル複合機などの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の技術として、特許文献1ないし4に開示された発明が公知である。このうち特許文献1には、原稿表裏面の同時読取のように複数の画像情報が入力される場合でも、転送に用いるパラレルバスへの接続口を1つ、転送先の受信チャンネルを1つにし、かつ転送速度を高速化することを目的とし、各読取ユニットで原稿表裏面を同時に読み取り、デジタル化された各画像データをデータ圧縮・伸張回路付きI/F制御部のトグルバッファと高速の書き込みバッファを経て、時分割書き込みで一次メモリMEM(1)に格納し、その後、原稿表裏面をシーケンシャルに読み出し、画像処理プロセッサでスキャナ画像処理を行い、パラレルバス、画像メモリ制御部を介して、フレームメモリ・HDDに格納するようにし、一次メモリからの読み出しタイミングを一次メモリの入出力をチェックするラインカウンタ信号で直接制御する発明が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、原稿の表面、裏面に形成された画像をともにカラー画像として読み取ることのできる両面同時読み取りにおいて、読み取り装置からの出力の生産性を向上させることを目的とし、原稿読み取り装置は、原稿の一度の搬送で、原稿の表裏面に形成された画像をそれぞれカラー画像として読み取り、CCDイメージセンサで読み取られた表面画像データ及びCISで読み取られた裏面画像データは、副走査方向の解像度を半分にすることによって各データ量を元のデータ量の半分にし、データ量が半分となった表面画像データ及び裏面画像データを、元々1枚の裏面画像データを格納するために設けられたメモリに格納し、その後、搬送されてくる次の原稿をCCDイメージセンサ及びCISを用いてカラー画像として読み取っている間に、メモリに格納される前の原稿の表面画像データ及び裏面画像データを外部へと転送する発明が開示されている。
【0004】
また、特許文献3には、原稿の表裏両面に形成された画像を読み取ることのできる両面同時読み取りにおいて、読み取られた表裏面の画像データにおける画質差の発生を抑制することを目的とし、シェーディング補正など、光源(照明ランプやLED)とセンサ(CCDイメージセンサやCISによって)との関係によって決定される各読み取り部固有の特性については、それぞれ専用の表面前処理部や裏面前処理部において前処理を施し、その他の一般的な画質に関わるフィルタ処理、拡大・縮小処理、色変換処理、階調変換処理(TRC)、あるいは全面AEやTI分離等については表面画像データ、裏面画像データともに同じ後処理部において後処理を施す発明が開示されている。
【0005】
さらに、特許文献4には、原稿の表裏両面に形成された画像を読み取ることのできる所謂両面同時読み取りにおいて、表裏面のシェーディングデータを取得する装置の小型化、低コスト化を図ることを目的とし、画像読み取り装置は、原稿の一度の搬送で、この原稿の第1面に形成された画像をCCDイメージセンサにて、原稿の第2面に形成された画像をCISにて、略同時に読み取り、CCDイメージセンサによって読み取られた原稿の第1面の画像データをシェーディング補正するためのCCDシェーディングデータ、及び、CIS50って読み取られた同じ原稿の第2面の画像データをシェーディング補正するためのCISシェーディングデータを同一のシェーディングデータ作成回路で作成する発明が開示されている。
【特許文献1】特開2002−109527号公報
【特許文献2】特開2006−013882号公報
【特許文献3】特開2006−013924号公報
【特許文献4】特開2006−080941号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように原稿表裏両面を同時に読み取り、読み取った画像データに対してそれぞれ所定の画像処理を行うようにした発明は、多く知られている。これらの発明では、各種の画像読み取り手段がある場合、それぞれの手段に専用のハードウェア構成を設けて対応しているものが多い。また、カラー画像データとモノクロ画像データとでは、カラー画像データではRGB3色の処理が必要であることから、カラー画像データ処理とモノクロ画像処理の際にデータ転送バスも専用に設けているものも多い。このようにそれぞれの手段に専用のハードウェア構成を設けて対応すると、画像読み取り手段に応じた特徴を出しやすい反面、それぞれ別々の装置を組むことになり、設計工数の増大に繋がり、また、回路規模も大きくなってコストが高くなることは否めない。さらに、カラー画像用とモノクロ画像用にそれぞれ用意するとなると、さらにコストも上昇することになる。
【0007】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、異なる2つの画像読み取り手段によって読み取った画像データを処理する際に、回路規模の拡大を抑え、効率的に処理できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、第1の手段は、第1及び第2の読み取り手段と、前記第1及び第2の読み取り手段によって読み取られた画像データが入力され、前記画像データに対して各種画像処理を施す複数段の画像処理手段とを有する画像処理装置において、前記画像処理手段が第1及び第2の読み取り手段から入力された画像データに対してそれぞれ共通の処理を施す画像処理手段であって、前記第1及び第2の読み取り手段の後段であって前記複数段の画像処理手段の前段に、前記第1及び第2の読み取り手段からそれぞれ異なる信号の組み合わせで入力される画像データを次段の画像処理手段において共通処理可能な画像データに変換し、出力する画像データ受け取り手段を備えていることを特徴とする。
【0009】
第2の手段は、第1の手段において、前記画像データ受け取り手段が前記第1及び第2の読み取り手段からの信号の特性に応じて信号処理を行う信号処理手段を備え、前記信号処理手段の組み合わせが前記信号の種類に応じて変更されることを特徴とする。
【0010】
第3の手段は、第2の手段において、前記画像データ受け取り手段が画像処理プロセッサからなり、前記信号処理手段がプログラムから構成されていることを特徴とする。
【0011】
第4の手段は、第1の手段において、前記第1及び第2の読み取り手段の一方に、当該一方の読み取り手段の特性に応じた画像処理を実行する信号処理手段を設け、他方の読み取り手段の画像データの前記画像受け取り手段からの出力画像データと次段で共通処理可能な画像データとしたことを特徴とする。
【0012】
第5の手段は、第4の手段において、前記第1及び第2の読み取り手段をカラー読み取りからモノクロ読み取りに変更した場合、前記他方の読み取り手段からの画像データを受け取って処理する画像データ受け取り手段の画像プロセッサに、前記一方の読み取り手段からの画像データを入力し、前記他方の読み取り手段からの画像データが入力される画像パスと、前記一方の読み取り手段からの画像データが入力される画像パスをRGB各色の画像パスのうちの異なる2つの画像パスに設定したことを特徴とする。
【0013】
第6の手段は、第5の手段において、前記2つの画像パスに入力されたモノクロ画像データのうち前記一方の読み取り手段から入力された画像データを、前記画像データ受け取り手段の後段の画像処理手段の前記一方の読み取り手段からの画像データを受け入れる画像パスのいずれかに入力し、前記他方の読み取り手段から入力された画像データは、前記後段の画像処理手段の前記他方の読み取り手段からの画像データを受け入れる画像パスにそのまま入力することを特徴とする。
【0014】
第7の手段は、第1ないし第6のいずれかの手段において、前記画像データ受け取り手段の後段に前記画像データ受け取り部から入力された画像データを記憶手段に保存し、当該記憶手段に保存された画像データを次段の画像処理手段に出力する記憶制御手段を備え、当該記憶制御手段はカラー画像データ及びモノクロ画像データを前記記憶手段に蓄積し、前記記憶手段からの画像データの取り出し時には、カラー画像データ、モノクロ画像データに応じて画像データの出力画像パスを選択することを特徴とする。
【0015】
第8の手段は、第7の手段において、前記記憶制御手段からモノクロ画像データを出力する際、前記記憶制御手段はカラー画像フォーマットに合わせて次段の画像処理手段のカラー画像データの入力口にモノクロ画像データを出力することを特徴とする。
【0016】
第9の手段は、第8の手段において、前記次段の画像処理手段は、前記モノクロ画像データを前記カラー画像データの入力口から同じフォーマットで受け入れ、次段以降の各種画像処理に対して、カラー、モノクロ共通の処理手段を施すことを特徴とする。
【0017】
第10の手段は、第1ないし第9のいずれかの手段に係る画像処理装置と、当該画像処理装置からの画像データに基づいて画像を形成する画像形成手段とを備えた画像形成装置を特徴とする。
【0018】
なお、後述の実施形態では、第1の読み取り手段は第1の読み取り部1、SBU(CCD1b)1a,1a’に、第2の読み取り手段は第2の読み取り部2、CISユニット2a,2a’,2a”に、複数段の画像処理手段はメモリ制御部4、画像処理部6、書き込み画像処理部7、VDC8に、画像データ受け取り手段は画像データ受け取り部3に、信号処理手段はCCD補正処理部31,31a,3P1、CIS補正処理部32,32a,32b、黒画素補正処理33、シェーディング補正処理34,36、及び地肌補正処理35,38、スジ補正処理37に、記憶手段はメモリ5に、記憶制御手段はメモリ制御部4に、画像形成手段はVDB9にそれぞれ対応する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、第1及び第2の読み取り手段からそれぞれ異なる信号の組み合わせで入力される画像データを次段の画像処理手段において共通処理可能な画像データに変換し、出力する画像データ受け取り手段を備えているので、異なる2つの画像読み取り手段によって読み取った画像データを処理する際に、回路規模の拡大を抑え、効率的に処理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
【0021】
図1は本発明の実施形態に係る画像処理装置の概略構成を示す機能ブロック図である。同図において、本実施形態に係る画像処理装置は、画像信号の流れに沿って第1及び第2の読み取り部1,2、画像データ受け取り部3、メモリ制御部4、画像処理部6、書き込み画像処理部7、VDC8、VDB9が設けられ、前記メモリ制御部4にはメモリ5が接続され、画像処理部5にはバス13を介して画像メモリコントロール部10が接続されている。さらに、CPU11及びCPUメモリ12が設けられ、前記各部1〜9とバス14を介して相互に通信可能に接続されている。
【0022】
第1及び第2の読み取り部1,2は原稿を光学的に走査(スキャン)することにより原稿上の画像を読み取り、画像データを電気信号として生成する。第1及び第2の読み取り部1,2で生成されたそれぞれの画像データは、画像データ受け取り部3に入力される。
【0023】
画像データ入力部3では受け取った画像データの特性に基づき、スキャナ処理が行われる。具体的には光量分布の歪みにより発生する画像濃度のばらつきを補正するシェーディング補正や原稿地肌に応じて地肌濃度を調整する等の処理が第1及び第2の読み取り部1,2で読み取った画像データごとに行われる。
【0024】
第1及び第2の読み取り部1,2で読み取られた画像データは、次段のメモリ制御部4に入力される。メモリ制御部4では、第1及び第2の読み取り部1,2から受け取ったそれぞれの画像データをメモリ5にフレームごとに蓄積する。フレームごとにメモリ5に蓄積された画像データは、例えば第1の読み取り部1で読み取った画像データからフレームごとに取り出され、次段の画像処理部6に送られる。画像処理部6では種々の画像処理を行った後にバス13を介して画像メモリコントロール部10に処理されたデータを送る。画像メモリコントロール部10は図示していないが、大量に画像データを扱う目的でストレージを持つ。そのストレージに画像データを蓄え、次の入力画像を受け取り、あるいはハードコピーを行うために蓄積してあった画像データを画像処理部6に送出する。このように画像メモリコントロール部10はストレージを用いて画像データの蓄積処理とストレージからの画像データの取り出しをコントロールする機能を有する。
【0025】
本実施形態では第1の読み取り部1からの画像データを先に処理しているので、次に扱う画像データは第2の読み取り部2からの画像データとなる。第2の読み取り部2からの画像データも第1の読み取り部1からの画像データと同様に処理し、要求に応じてストレージからデータを取り出し、画像処理部6に送り、第1の読み取り部1からの画像データと同様に処理する。また、画像メモリコントロール部10から画像データを受け取った画像処理部6は次段の書き込み画像処理部7に画像データを送る。
【0026】
書き込み画像処理部7ではハードコピーを行うために適した画像処理を行い、次段のVDC(Video Data Controller)8に画像データを送る。VDCでは次段のVDB(作像ユニット)9における処理に適した画像フォーマットに形を変える等の前段処理を行った上で、次段のVDB9に画像データを送る。VDB9では受け取った画像データをレーザダイオードの発光あるいはその他の処理により、書き込み処理を行い、その後に転写処理により、記録紙に画像を転写し、ハードコピーを得る。
【0027】
以下、このように構成された画像処理装置の各部の構成と動作についてさらに説明する。
【0028】
本実施形態では、異なる2つの読み取り部1,2から読み取った画像データを受け取り、各種の画像処理が行われる。その際、2つの読み取り部1,2で異なる信号が入力されるが、これらの信号の組み合わせの相違を画像データ受け取り部3で言わば吸収し、次段以降の種々の画像処理に対応するようにしている。
【0029】
図2は第1及び第2の読み取り部1,2及び画像データ受け取り部3の構成を示す機能ブロック図である。図2の例では、第1の読み取り部1はSBU(センサボードユニット)1aからなり、第2の読み取り部2はCIS(コンタクトイメージセンサ)ユニット2aからなり、SBU1a上にはCCD(チャージカップルドデバイス)1bが搭載されている。一方、画像データ受け取り部3には、CCD補正処理部31とCIS補正処理部32が設けられ、SBU1aからの出力はCCD補正処理部31に、CISユニット2aからの出力はCIS補正処理部32に入力される。
【0030】
このように構成すると、第1の読み取り部1と第2の読み取り部2で読み取り、電気信号に変換された画像データは画像データ受け取り部3に入力される。第1の読み取り部1のSBU1aから画像データを受け取った画像データ受け取り部3はCCD補正処理部31でCCD補正処理を行う。CCD補正処理部31ではCCD1bのデータの並びに応じたライン化処理を行った上で、シェーディング補正を行い、次段処理に出力する。CCD1bの並びに応じてというのは例えば奇数画素、偶数画素のそれぞれのチャンネルで画像出力する構造であったり、ラインデータを半分にして前半ラインと後半ラインに分けて出力したり様々である。これらの様々な形態に応じて、1ライン化処理を行い、シェーディング補正を行う。
【0031】
第2の読み取り部2のCISユニット2aから画像データを受け取った画像データ受け取り部3はCIS補正処理部32でCIS補正処理を行う。CISユニット2aについてもCCD1bの場合と同様であり、CISユニット2aについて様々な形態の画像出力があるため、それぞれの形態に応じた変換処理を行い、シェーディング補正等の処理を行った上で、次段以降に出力する。
【0032】
画像データ入力の初段である第1及び第2の読み取り部1,2は図2の構成では、それぞれSBU1a、CISユニット2となっており、この構成に対応して画像データ受け取り部3はCCD補正処理部31とCIS補正処理部32とを備え、それぞれSBU1a、CISユニット2からの入力画像データを処理している。しかし、第1及び第2の読み取り部1,2は図1の構成とは限らず、種々のものが採用可能であり、また、変更可能である。このように第1及び第2の読み取り部1,2の構成が異なると、画像データ受け取り部3におけるデータの切り口やそれに付随するタイミング信号が別仕様のものになることがある。その場合、変更された仕様に対応する必要があるが、全体の構成を作り直すとコストがかかるだけでなく、無駄も多くなる。そこで、読み取り部1,2に応じた画像データ受け取り部3に切り替えることができるようにして変更量を抑制し、前記仕様変更に対応できるようにする。
【0033】
図3はこの例を示すブロック図である。図3(A)は図2における第1及び第2の読み取り部1,2,と画像データ受け取り部3の組み合わせを示すもので、第1の読み取り部1がSBU1a、第2の読み取り部2がCISユニット2aで、画像データ受け取り部3には、CCD補正処理部31とCIS補正処理部32が設けられ、SBU1aのCCD1bからの読み取りデータがCCD補正処理部31に、CISユニット2aから読み取りデータがCIS補正処理部32に入力されるようになっている。
【0034】
図3(B)は、第2の読み取り部2もSBUとなった例である。この例では、第1の読み取り部1が第1のSBU1a’により、第2の読み取り部2が第2のSBU1a”によりそれぞれ構成されている。この場合には、画像データ受け取り部3は、SBU1a’,1a”のCCD1bに対応させる必要がある。そこで、図3(B)の組み合わせの読み取り部1,2となった場合、その変更に伴なって、画像データ受け取り部3を第1及び第2のCCD補正処理部31a,31bの組み合わせにする。
【0035】
図3(C)は、図3(A)の構成に対し、第1の読み取り部1がCISユニットになった例である。この例では、第1の読み取り部1が第1のCISユニット2a’により、第2の読み取り部2が第2のCISユニット2a”によりそれぞれ構成されている。この場合には、画像データ受け取り部3はCISユニット2a’,2a”に対応させる必要がある。そこで、図3(C)の組み合わせの読み取り部1,2となった場合、その変更に伴って、画像データ受け取り部3を第1及び第2のCIS補正処理部32a,32bの組み合わせにする。このように対応することにより、全体の構成を変更することなく、対応部分のみの変更に留めて、画像処理システムを提供することができる。
【0036】
図3の例では、読み取り部1,2から入力される画像データの特性に応じた処理を行うため、画像データの受け取り処理部3で読み取り部1,2で使用している読み取り装置の変更に対応して受け取り処理部3の機能要素を変更し、ハード的に対応しているが、このような補正処理部の変更に代えて画像処理プロセッサを用い、処理の違いを画像処理プロセッサのプログラムにより吸収することもできる。図4はこのような画像処理プロセッサを使用して読み取り部の要素の変更に対応する受け取り処理部3の構成を示すブロック図である。
【0037】
図4(A)は黒画素補正処理33、シェーディング補正処理34、及び地肌補正処理35の各処理機能を備えた画像処理プロセッサ3P1の機能構成を示し、図(B)はシェーディング補正処理36、スジ補正処理37、地肌補正処理38の各処理機能を備えた画像処理プロセッサ3P2の機能構成を示す。量画像処理プロセッサ3P1,3P2ともに、RGBの各色毎に前記機能により処理される。図3を参照して説明したように、第1及び第2の読み取り部1,2の読み取り装置が変更されたときに画像処理プロセッサ3Pは、その変更に対応して処理機能を変更(切り替わり)する。この変更はプログラムに基づいて行われる。
【0038】
例えば図3(A)のように第1の読み取り部1にSBU(CCD)1aが、第2の読み取り部2にCISユニット2aが使用された場合、例えば、画像データ受け取り部3では、図4(A)に示す機能構成を第1の読み取り部1に用い、図4(B)に示す機能構成を第2の読み取り部2に用いる。そうすると図3(B)の構成では、第1の読み取り部1、第2の読み取り部2ともに図4(A)に示した機能構成を使用する。同様に図3(C)の組み合わせに対して、第1及び第2の読み取り部1,2ともに図4(B)を機能構成を使用する。このように画像処理プロセッサを用いることにより、様々な画像読み取り手段にプログラムの変更で対応することができる。
【0039】
なお、ここでは一般的な画像処理プロセッサ3Pを想定して説明したが、使用の際には所望の機能が動作するようにプロセッサに対してプログラムで処理をインプリメントする。その上で、それぞれの画像に対応する。
【0040】
一方、第1及び/又は第2の読み取り部1,2側にシェーディング補正等の処理機能を設けることもできる。この場合には、読み取り部側に設けられた処理機能については、画像データ受け取り部3側での処理は不要となる。そのため、CISユニット2a側に図4(B)に示すようなCIS補正処理機能が組み込まれている場合には、図5に示すように第1の読み取り部1(SBU1a)に対応する処理機能、ここでは、CCD補正処理部31のみ設け、図2に示したようなCIS補正処理部32は不要となる。これにより、第2の読み取り部2からの画像データは画像データ受け取り部3を通過し、次段の処理部に出力される。
【0041】
図5の構成はモノクロ画像対応の読み取り装置に適用することができる。すなわち、図5における第1及び第2の読み取り部1,2について、カラー読み取り装置であったものをモノクロ読み取り装置にした場合に、画像パスの工夫により、2つの読み取り部1,2からの画像データの入力に対して、カラー画像データ用に用意した画像処理プロセッサを用いることにより、それぞれの処理を1つの画像処理プロセッサ3Pで行うことができる。
【0042】
そこで、図5で示す画像読み取り部1,2からの入力がそれぞれカラーだったものが、モノクロになったと想定すると、第1の読み取り部1で使用する画像処理プロセッサ3Pにインプリメントされている機能はカラー用に設定されている。すなわち、この画像処理プロセッサ3PはRGBの3色分のフレームデータを受け取ることができる。そのため、第1及び第2の読み取り部1,2がともにモノクロ仕様になった場合は、入力されるフレームの数が2個となり、カラー用に準備している画像処理プロセッサによって機能搭載する上で、十分、対応可能な回路規模を持つことになる。そこで、このような場合、モノクロフレーム2個分の処理機能をインプリメントすることにより、1つの画像処理プロセッサ3Pでモノクロ画像データの2系統入力に対応させる。
【0043】
図6は3フレーム分の機能部に第1の読み取り部1及び第2の読み取り部2からの画像データが入力した場合を示すブロック図である。同図から分かるように、画像処理プロセッサ3P内での処理段33,34,35で順次、2つのフレームデータをそれぞれ処理し、2つのフレームデータを画像処理プロセッサ3Pから出力する。出力するデータはカラー出力のためのパスを用いて、その中の2色分の出力部を使用する。
【0044】
図6に示したように、2つのモノクロ入力画像データAを1つの画像処理プロセッサ3Pにより処理し、次段に出力する際、処理した画像データDの出力を次段処理部であるメモリ制御部3のカラー用の1つの入力口から2つのモノクロ画像を受け入れるように構成することができる。なお、符号、B,C,Dは画像処理プロセッサ3Pの各処理段33,34,35によって処理されたモノクロ画像データである。
【0045】
すなわち、画像データ受け取り部3の2つの出力口3a,3b(図5参照)のうち、モノクロ出力の場合は1つの出力口(例えば3a)を使用して更にその出力口にあるカラー用の2色分のパス3a1,3b1(図6参照)を用いて出力する。そのため、次段のメモリ制御部4への画像データの出力はメモリ制御部3の2つの入力のうち、1つを用い、更にその中の2色分のパスを使用して画像データを受け渡す。
【0046】
この場合のメモリ制御部4の画像データの受け取り口の処理例を図7に示す。図7は前記受け取り口のバスの詳細を示す説明図である。図7の例では第1の読み取り部1側のR(レッド)のパスBUS−R(1)にモノクロ時第1の読み取り部1側からモノクロ画像データが入力され、B(ブルー)のバスBUS−Bにモノクロ時第2の読み取り部2からのモノクロ画像データが入力される。メモリ制御部4では、RのパスBUS−R(1)のモノクロ時第1の読み取り部1からのモノクロ画像データはそのままメモリ制御部4に取り込む。
【0047】
一方、モノクロ時第2の読み取り部2からの画像データはBのバスBUS−B(1)からメモリ制御部4に入力され、そこから分岐して第2の読み取り部2側のRのパスBUS−R(2)に取り込まれる。この処理により前段の画像データ受け取り部3Pの画像処理プロセッサによる処理を経て、第1の読み取り部1側データ及び第2の読み取り部側データともにモノクロ画像を受け取ることができる。
【0048】
前記画像データが入力されるメモリ制御部4では、第1及び第2読み取り部1,2の画像データパス3a1,3b1を用いて、カラー用とモノクロ用の画像を同じように扱う。すなわちメモリ制御部4におけるアドレス制御とデータパス制御を機能させ、メモリ5に画像データをメモリ蓄積させる際にもカラーデータ、モノクロデータともに処理する。
【0049】
図7の例ではメモリ制御部4内をデータバス3a1,3a2のRパスBUS−R(1),(2)を用いて処理しているが、次段(画像処理部3)以降の処理に際してはモノクロデータをRGB全てのパスを用いて出力する。すなわち、メモリ5から読み出した画像データについてそれぞれのバス3a1,3a2においてRパスデータをGパス、Bパスとも同様にパラレルで出力する。このように、メモリ制御部4からモノクロ画像データを出力する際、RGBのバスを使用するカラー画像フォーマットに合わせることにより、次段の画像処理に対して、カラーの入力口にモノクロ画像を出力することができる。
【0050】
このようにモノクロ画像データをRGBのカラーパスに取り入れることにより、メモリ制御部4以降の画像処理に際して、カラー用の画像処理部を用いてモノクロ画像を処理することができる。この処理により、モノクロ用に別の画像パスを用いることなく画像データを処理することが可能となる。すなわち、モノクロ画像データをカラー用のバスの入力口から同じフォーマットで受け入れることにより、次段以降の各種画像処理に対して、カラー、モノクロ共通の処理手段を施すことが可能となる。
【0051】
以上のように、本実施形態によれば下記のような効果を奏する。
【0052】
1)第1及び第2の異なる2つの読み取り部1,2から、読み取った画像データを受け取って処理する際、各読み取り部1,2からそれぞれ異なる信号の組み合わせで入力する画像データの前記信号の組み合わせの違いを画像データ受け取り部3で吸収し、同等の信号とするので、次段以降の各種の画像処理を共通の処理構成で対応することができる。
【0053】
2)画像データ受け取り部3の処理機能、例えばCCD補正処理部31、CIS補正処理部32の組み合わせを取り替えることにより、更に別の読み取り手段の異なる信号の組み合わせで入力する読み取り装置の組み合わせに対して柔軟に対応することができる。
【0054】
3)画像データ受け取り部3を画像処理プロセッサ3Pによって構成することにより、第1及び第2の読み取り部1,2からの画像データの特性に応じた処理を画像処理プロセッサのプログラムに基づいて行うことが可能となり、その結果、第1及び第2の読み取り部1,2の読み取りデータの処理の違いを画像処理プロセッサ3Pのプログラムにより吸収することができる。
【0055】
4)第1及び/又は第2の読み取り部1,2に当該読み取り部1,2用の画像処理を施す処理部を設けておくことにより、画像データ受け取り部3における処理機能を省略し、第1及び第2の読み取り部1,2からの信号を同等のものとすることが可能となる。これにより、次段以降の各種の画像処理を共通の処理構成で対応することができる。
【0056】
5)第1及び第2の読み取り部1,2について、カラー読み取りであったものをモノクロ読み取りとして使用する際、画像パスを選択することにより、2つの読み取り部1,2による画像データの入力に対してカラー画像データに用意した1つの画像処理プロセッサを用いてそれぞれ処理することができる。
【0057】
6)2つのモノクロ入力画像データを1つの画像処理プロセッサから次段処理部でカラー用の1つの入力口に出力し、カラー処理機能を有する次段処理部で画像処理させることができる。
【0058】
7)メモリ制御部4では、カラー画像とモノクロ画像にそれぞれ対応してメモリ5へ画像データを蓄積させ、メモリ5からの画像データ取り出し時には、カラー画像及びモノクロ画像に応じてデータを取り出すので、共通処理が可能な状態にして次段以降へ転送することができる。
【0059】
8)メモリ制御部4からモノクロ画像データを出力する際にカラー画像フォーマットに合わせることにより、次段の画像処理に対して、カラーの入力口にモノクロ画像データを出力することができる。
【0060】
9)モノクロ画像データをカラーの入力口から同じフォーマットで受け入れることにより、次段以降の各種画像処理に対して、カラー、モノクロ共通の処理手段を施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施形態に係る画像処理装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図2】第1及び第2の読み取り部及び画像データ受け取り部の構成を示す機能ブロック図である。
【図3】画像データ受け取り部を切り替えたとき種々の構成を示すブロック図である。
【図4】画像データ受け取り部を画像処理プロセッサで構成した例を示すブロック図である。
【図5】読み取り部側に処理機能を設けたときの画像データ受け取り部の構成を示すブロック図である。
【図6】3フレーム分の機能部に第1及び第2の読み取り部からの画像データが入力したときの画像データの流れを示すブロック図である。
【図7】メモリ制御部の画像データの受け取り口の処理例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0062】
1 第1の読み取り部
1a SBU
1b CCD
2 第2の読み取り部
2a CISユニット
3 画像データ受け取り部
3P 画像処理プロセッサ
4 メモリ制御部
5 メモリ
6 画像処理部
7 書き込み画像処理部
8 VDC
9 VDB
10 画像メモリコントロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2の読み取り手段と、
前記第1及び第2の読み取り手段によって読み取られた画像データが入力され、前記画像データに対して各種画像処理を施す複数段の画像処理手段と、
を有する画像処理装置において、
前記画像処理手段が第1及び第2の読み取り手段から入力された画像データに対してそれぞれ共通の処理を施す画像処理手段であって、
前記第1及び第2の読み取り手段の後段であって前記複数段の画像処理手段の前段に、前記第1及び第2の読み取り手段からそれぞれ異なる信号の組み合わせで入力される画像データを次段の画像処理手段において共通処理可能な画像データに変換し、出力する画像データ受け取り手段を備えていることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像処理装置において、
前記画像データ受け取り手段が前記第1及び第2の読み取り手段からの信号の特性に応じて信号処理を行う信号処理手段を備え、
前記信号処理手段の組み合わせが前記信号の種類に応じて変更されることを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項2記載の画像処理装置において、
前記画像データ受け取り手段が画像処理プロセッサからなり、
前記信号処理手段がプログラムから構成されていることを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項1記載の画像処理装置において、
前記第1及び第2の読み取り手段の一方に、当該一方の読み取り手段の特性に応じた画像処理を実行する信号処理手段を設け、
他方の読み取り手段の画像データの前記画像受け取り手段からの出力画像データと次段で共通処理可能な画像データとしたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項4記載の画像処理装置において、
前記第1及び第2の読み取り手段をカラー読み取りからモノクロ読み取りに変更した場合、
前記他方の読み取り手段からの画像データを受け取って処理する画像データ受け取り手段の画像プロセッサに、前記一方の読み取り手段からの画像データを入力し、
前記他方の読み取り手段からの画像データが入力される画像パスと、前記一方の読み取り手段からの画像データが入力される画像パスをRGB各色の画像パスのうちの異なる2つの画像パスに設定したことを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
請求項5記載の画像処理装置において、
前記2つの画像パスに入力されたモノクロ画像データのうち前記一方の読み取り手段から入力された画像データを、前記画像データ受け取り手段の後段の画像処理手段の前記一方の読み取り手段からの画像データを受け入れる画像パスのいずれかに入力し、
前記他方の読み取り手段から入力された画像データは、前記後段の画像処理手段の前記他方の読み取り手段からの画像データを受け入れる画像パスにそのまま入力することを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の画像処理装置において、
前記画像データ受け取り手段の後段に前記画像データ受け取り部から入力された画像データを記憶手段に保存し、当該記憶手段に保存された画像データを次段の画像処理手段に出力する記憶制御手段を備え、
当該記憶制御手段はカラー画像データ及びモノクロ画像データを前記記憶手段に蓄積し、前記記憶手段からの画像データの取り出し時には、カラー画像データ、モノクロ画像データに応じて画像データの出力画像パスを選択することを特徴とする画像処理装置。
【請求項8】
請求項7記載の画像処理装置において、
前記記憶制御手段からモノクロ画像データを出力する際、前記記憶制御手段はカラー画像フォーマットに合わせて次段の画像処理手段のカラー画像データの入力口にモノクロ画像データを出力することを特徴とする画像処理装置。
【請求項9】
請求項8記載の画像処理装置において、
前記次段の画像処理手段は、前記モノクロ画像データを前記カラー画像データの入力口から同じフォーマットで受け入れ、次段以降の各種画像処理に対して、カラー、モノクロ共通の処理手段を施すことを特徴とする画像処理装置。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか1項に記載の画像処理装置と、
前記画像処理装置からの画像データに基づいて画像を形成する画像形成手段と、
を備えていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−312015(P2008−312015A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−158989(P2007−158989)
【出願日】平成19年6月15日(2007.6.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】