説明

画像処理装置及び画像形成装置

【課題】低消費電力化を図れる画像処理装置を提供する。
【解決手段】書込読出制御部53は第1及び第2のラインメモリ51a,51bの中から読み出し可能なラインメモリと書き込み可能なラインメモリとを交互に切り換える制御する。1ラインの画像データが上記ラインメモリに書き込まれる際に、白ライン判定部31はそのラインの画像データに対応する画像が白ラインか否か判定する。白ラインであれば、画像処理制御部23はそのラインの画像データをラインメモリから読み出す読出クロックCLK3及び画像処理部27で使用される動作クロックCLK4の生成を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はラインメモリを備える画像処理装置及びその画像処理装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ラインセンサはデジタル複合機のような画像処理装置に備えられており、1ページを主走査方向に沿って1ライン毎に読み取ること繰り返して、1ページの画像データを生成する。ラインメモリは1ラインの画像データを記憶するメモリである。
【0003】
画像処理装置として、1ページの画像データをバンド単位で白画像データか否かを判定し、白画像データでないと判定されたバンドを圧縮処理し、白画像データと判定されたバンドを圧縮処理せずに、記憶部に予め記憶している圧縮白画像データを読み出すものが提案されている(例えば特許文献1参照)。この画像処理装置によれば白画像データと判定されたバンドは圧縮処理が省略されるので、画像処理を高速化できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−41383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
画像処理装置に要求される特性として高速処理以外に低消費電力化がある。従って、上記画像処理装置のような白画像データについては圧縮処理をしない場合に、これを利用して低消費電力化ができれば好ましい。
【0006】
本発明は、低消費電力化を図れる画像処理装置及びそれを備える画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する本発明の第1の局面に係る画像処理装置は、1ラインの画像データの書き込みと読み出しとが可能なラインメモリと、前記ラインメモリに前記1ラインの画像データの書き込みと読み出しの制御をする書込読出制御部と、前記書込読出制御部によって前記ラインメモリに書き込まれる前記1ラインの画像データに対応する画像が白ラインか否かを判定する白ライン判定部と、前記書込読出制御部によって前記ラインメモリから読み出された前記1ラインの画像データに対して所定の画像処理を実行可能な画像処理部と、白データ記憶部と、前記白ライン判定部によって白ラインと判定されなかった前記1ラインの画像データに対して、前記画像処理部で使用される動作クロックを生成して前記画像処理部に前記所定の画像処理を実行させる制御をし、前記白ライン判定部によって白ラインと判定された前記1ラインの画像データに対して、前記画像処理部で使用される動作クロックの生成を停止すると共に前記白データ記憶部から白データを読み出す制御をする画像処理制御部と、を備える。
【0008】
本発明の第1の局面に係る画像処理装置によれば、1ラインの画像データに対応する画像が白ラインと判定されれば、画像処理部で使用される動作クロックの生成を停止している。これにより、その1ラインの画像データには画像処理がされないので、その替わりに白データ記憶部から白データを読み出している。このように、1ラインの画像データに対応する画像が白ラインと判定されると、その1ラインの画像データに対して画像処理部で使用される動作クロックの生成を停止するので、画像処理装置の低消費電力化を図ることができる。
【0009】
上記構成において、前記ラインメモリは複数あり、前記書込読出制御部は、前記複数のラインメモリの中から読み出し可能なラインメモリと書き込み可能なラインメモリとを1ライン毎に切り換える制御、前記読み出し可能なラインメモリから前記1ラインの画像データを読み出す制御、及び、前記書き込み可能なラインメモリに次の前記1ラインの画像データを書き込む制御をし、前記画像処理制御部は、前記白ライン判定部によって白ラインと判定された前記1ラインの画像データに対して、当該1ラインの画像データの読み出しに使用される読出クロックの生成を停止することができる。
【0010】
1ラインの画像データに対応する画像が白ラインと判定されれば、その1ラインの画像データには画像処理がされないで、読出クロックの生成を停止することにより、その1ラインの画像データを読み出す処理を実行しないようにしている。読出クロックの生成が停止されるので、画像処理装置の低消費電力化を図れる。
【0011】
上記構成において、前記画像処理制御部は、副走査同期信号がネゲート状態であれば前記動作クロック及び前記読出クロックの生成を停止する。
【0012】
副走査同期信号がネゲート状態であれば画像処理装置に画像データが入力していないので、動作クロック及び読出クロックの生成を停止することにより、画像処理装置の低消費電力化を図ることができる。
【0013】
本発明の第2の局面に係る画像形成装置は、前記画像処理装置と、前記画像処理装置で処理された複数の前記1ラインの画像データが集まりである1ページの画像データを用いて用紙に画像を形成する画像形成部と、を備える。
【0014】
本発明の第2の局面に係る画像形成装置によれば、上記画像処理装置の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば画像処理装置及びそれを備える画像形成装置の低消費電力化を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像処理装置を備える画像形成装置の内部構造の概略を示す図である。
【図2】図1に示す画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本実施形態に係る画像処理装置の動作のフローチャート(その1)である。
【図5】本実施形態に係る画像処理装置の動作のフローチャート(その2)である。
【図6】信号出力部の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態に係る画像処理装置を備える画像形成装置1の内部構造の概略を示す図である。画像形成装置1は例えば、コピー、プリンタ、スキャナ及びファクシミリの機能を有するデジタル複合機に適用することができる。画像形成装置1は装置本体100、装置本体100の上に配置された原稿読取部200、原稿読取部200の上に配置された原稿給送部300及び装置本体100の上部前面に配置された操作部400を備える。
【0018】
原稿給送部300は自動原稿送り装置として機能し、原稿載置部301に置かれた複数枚の原稿を連続的に原稿読取部200に送ることができる。
【0019】
原稿読取部200は露光ランプ等を搭載したキャリッジ201、ガラス等の透明部材により構成された原稿台203、不図示のCCD(Charge Coupled Device)センサ及び原稿読取スリット205を備える。原稿台203に載置された原稿を読み取る場合、キャリッジ201を原稿台203の長手方向に移動させながらCCDセンサにより原稿を読み取る。これに対して、原稿給送部300から給送された原稿を読み取る場合、キャリッジ201を原稿読取スリット205と対向する位置に移動させて、原稿給送部300から送られてきた原稿を、原稿読取スリット205を通してCCDセンサにより読み取る。CCDセンサは読み取った原稿を画像データとして出力する。
【0020】
装置本体100は用紙貯留部101、画像形成部103及び定着部105を備える。用紙貯留部101は装置本体100の最下部に配置されており、用紙の束を貯留することができる用紙トレイ107を備える。用紙トレイ107に貯留された用紙の束において、最上位の用紙がピックアップローラ109の駆動により、用紙搬送路111へ向けて送出される。用紙は用紙搬送路111を通って、画像形成部103へ搬送される。
【0021】
画像形成部103は搬送されてきた用紙にトナー画像を形成する。画像形成部103は感光体ドラム113、露光部115、現像部117及び転写部119を備える。露光部115は画像データ(原稿読取部200から出力された画像データ、パソコンから送信された画像データ、ファクシミリ受信の画像データ等)に対応して変調された光を生成し、一様に帯電された感光体ドラム113の周面に照射する。これにより、感光体ドラム113の周面には画像データに対応する静電潜像が形成される。この状態で感光体ドラム113の周面に現像部117からトナーを供給することにより、周面には画像データに対応するトナー画像が形成される。このトナー画像は転写部119によって先ほど説明した用紙貯留部101から搬送されてきた用紙に転写される。
【0022】
トナー画像が転写された用紙は定着部105に送られる。定着部105において、トナー画像と用紙に熱と圧力が加えられて、トナー画像は用紙に定着される。用紙はスタックトレイ121又は排紙トレイ123に排紙される。
【0023】
操作部400は操作キー部401と表示部403を備える。表示部403はタッチパネル機能を有しており、ソフトキーを含む画面が表示される。ユーザは画面を見ながらソフトキーを操作することによって、コピー等の機能の実行に必要な設定等をする。
【0024】
操作キー部401にはハードキーからなる操作キーが設けられている。具体的にはスタートキー405、テンキー407、ストップキー409、リセットキー411、コピー、プリンタ、スキャナ及びファクシミリを切り換えるための機能切換キー413等が設けられている。
【0025】
スタートキー405はコピー、ファクシミリ送信等の動作を開始させるキーである。テンキー407はコピー部数、ファクシミリ番号等の数字を入力するキーである。ストップキー409はコピー動作等を途中で中止させるキーである。リセットキー411は設定された内容を初期設定状態に戻すキーである。
【0026】
機能切換キー413はコピーキー及び送信キー等を備えており、コピー機能、送信機能等を相互に切り替えるキーである。コピーキーを操作すれば、コピーの初期画面が表示部403に表示される。送信キーを操作すれば、ファクシミリ送信及びメール送信の初期画面が表示部403に表示される。
【0027】
図2は図1に示す画像形成装置1の構成を示すブロック図である。画像形成装置1は装置本体100、原稿読取部200、原稿給送部300、操作部400、制御部500、通信部600及び画像処理装置700がバスによって相互に接続された構成を有する。装置本体100、原稿読取部200、原稿給送部300及び操作部400に関しては既に説明したので、説明を省略する。
【0028】
制御部500はCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及び画像メモリ等を備える。CPUは画像形成装置1を動作させるために必要な制御を、画像形成装置1を構成する上記ハードウェアに対して実行する。ROMは画像形成装置1の動作の制御に必要なソフトウェアを記憶している。RAMはソフトウェアの実行時に発生するデータの一時的な記憶及びアプリケーションソフトの記憶等に利用される。画像メモリは画像データ(原稿読取部200から出力された画像データ、パソコンから送信された画像データ、ファクシミリ受信の画像データ等)を一時的に記憶する。
【0029】
通信部600はファクシミリ通信部601及びネットワークI/F部603を備える。ファクシミリ通信部601は相手先ファクシミリとの電話回線の接続を制御するNCU(Network Control Unit)及びファクシミリ通信用の信号を変復調する変復調回路を備える。ファクシミリ通信部601は電話回線605に接続される。
【0030】
ネットワークI/F部603はLAN(Local Area Network)607に接続される。ネットワークI/F部603はLAN607に接続されたパソコン等の端末装置との間で通信を実行するための通信インターフェース回路である。
【0031】
画像処理装置700について説明する。図3は本実施形態に係る画像処理装置700の構成を示すブロック図である。画像処理装置700はASIC(Application Specific Integrated Circuit)11とDRAM(Dynamic Random Access Memory)13を備える。CCDセンサ15で生成された1ページの画像データImDは、ASIC11で所定の画像処理をされた後、DRAM13に書き込まれる。CCDセンサ15は図2に示す原稿読取部200に備えられる。
【0032】
ASIC11は内部クロック生成部21、画像処理制御部23、ライン処理部25、画像処理部27、入力部29、白ライン判定部31、白データ記憶部33、DMA(Direct Memory Access)コントローラ35及び出力部37を備える。
【0033】
内部クロック生成部21は内部クロックCLK2を生成する。画像処理制御部23は内部クロックCLK2を基にして読出クロックCLK3及び動作クロックCLK4を生成する。読出クロックCLK3はライン処理部25に供給されて、ラインメモリに書き込まれた1ラインの画像データを読み出す場合に使用される。動作クロックCLK4は画像処理部27に供給されて、画像処理の基準クロックとなる。内部クロックCLK2はDMAコントローラ35の動作クロックとなる。
【0034】
CCDセンサ15で生成された1ページのアナログの画像データは、アナログフロントエンド39で各種処理がされて、デジタル形式の1ページの画像データImDとして入力部29に入力される。入力部29には原稿読取部200で生成された副走査同期信号SG1及び主走査同期信号SG2並びに画像処理装置700で生成された外部クロックCLK1及び画像有効区間信号SG3が入力する。入力部29はASIC11と外部との入力インターフェースである。
【0035】
1ページの画像データImDは主走査同期信号SG2と同期して、1番目のラインの画像データ、2番目のラインの画像データ、3番目のラインの画像データ、・・・、最後のラインの画像データの順番で入力部29に入力される。1ページの画像データImDは複数の1ラインの画像データの集まりである。
【0036】
1ラインは複数の画素で構成される。従って、1ラインの画像データは1画素のデータが複数個、つまり、1番目の画素のデータ、2番目の画素のデータ、3番目の画素のデータ、・・・、1ラインの最後の画素のデータが集まって構成される。
【0037】
画像有効区間信号SG3は主走査同期信号SG2と同期させて画像処理装置700で生成され、1本の主走査線のうち画像が有効となる区間を示す信号である。画像有効区間信号SG3がアサート状態(言い換えればアクティブ状態)での画像が有効であり、ネゲート状態(言い換えればインアクティブ状態)での画像が無効となる。画像有効区間信号SG3はMRE(Memory Read Enable)信号とも称される。
【0038】
副走査同期信号SG1は副走査方向において画像が有効となる区間を示す信号である。副走査同期信号SG1がアサート状態での画像が有効であり、ネゲート状態での画像が無効となる。
【0039】
入力部29に入力した1ページの画像データImD、副走査同期信号SG1、主走査同期信号SG2、外部クロックCLK1及び画像有効区間信号SG3は、ライン処理部25に送られる。画像処理部27では1ラインの画像データ毎に画像処理がされるので、ライン処理部25は1ページの画像データImDを1ラインの画像データ毎に書き込みと読み出しを実行する。
【0040】
ライン処理部25は第1のラインメモリ51a、第2のラインメモリ51b、書込読出制御部53、書込アドレスカウンタ55及び読出アドレスカウンタ57を備える。
【0041】
第1のラインメモリ51a及び第2のラインメモリ51bは、例えばSRAM(Static Random Access Memory)によって実現される。第1のラインメモリ51a及び第2のラインメモリ51bでは1ラインの画像データの読み出しと書き込みとがされる。第1のラインメモリ51aが読み出し可能であれば第2のラインメモリ51bが書き込み可能となり、逆に第1のラインメモリ51aが書き込み可能であれば第2のラインメモリ51bが読み出し可能となる。1ラインの画像データの読み出しと次の1ラインの画像データの書き込みは並行して実行される。第1のラインメモリ51aと第2のラインメモリ51bを区別する必要がなければラインメモリ51と記載する。
【0042】
書込読出制御部53は主走査同期信号SG2がライン処理部25に入力される毎に、2つのラインメモリ51の中から読み出し可能なラインメモリ51と書き込み可能なラインメモリ51とを1ライン毎に切り換える。書込読出制御部53は読み出し可能なラインメモリ51に書き込まれている1ラインの画像データを読み出して、画像処理部27に転送する制御をする。書込読出制御部53は書き込み可能なラインメモリ51に対して、次の1ラインの画像データを書き込む制御をする。
【0043】
書込アドレスカウンタ55のクロック端子には外部クロックCLK1が入力される。書込アドレスカウンタ55はクロック端子に外部クロックCLK1が入力する毎に、カウントアップしてアドレスを生成する。このアドレスは書き込み可能なラインメモリ51において、1画素のデータが書き込まれる領域(言い換えればメモリセル)のアドレスとなる。
【0044】
読出クロックCLK3は読み出し可能なラインメモリ51に書き込まれている1ラインの画像データを読み出す制御に利用される。読出アドレスカウンタ57のクロック端子には読出クロックCLK3が入力される。読出アドレスカウンタ57はクロック端子に読出クロックCLK3が入力される毎に、カウントアップしてアドレスを生成する。このアドレスは読み出し可能なラインメモリ51において、読み出される1画素のデータが書き込まれている領域(言い換えればメモリセル)のアドレスとなる。
【0045】
ライン処理部25から読み出された1ラインの画像データは画像処理部27に転送されて、画像処理部27のラインメモリ61に格納される。画像処理部27では1ラインの画像データに対して所定の画像処理をする。ここでの画像処理とは例えば、色補正、色収差補正、MTF(modulation transfer function)補正、ライン補正である。
【0046】
白ライン判定部31には入力部29に入力した1ページの画像データImD、副走査同期信号SG1、主走査同期信号SG2、外部クロックCLK1及び画像有効区間信号SG3が送られる。これらを利用して白ライン判定部31では、ラインメモリ51に書き込まれる1ラインの画像データに対応する画像が白ラインか否かを判定する。
【0047】
白ライン判定部31は1ラインを構成する画素の中で白画素をカウントし、カウント数が所定の閾値を超えれば、そのラインを白ラインと判定する。白画素の定義としては、例えば画素を256階調で表す場合、画素値が255であれば白画素としてもよいし、所定の閾値(例えば250)以上であれば白画素としてもよい。
【0048】
白ライン判定部31が白ラインと判定すれば、白ライン判定部31の出力OP1はHレベルとなる。白ライン判定部31が白ラインでないと判定すれば、白ライン判定部31の出力OP1がLレベルとなる。
【0049】
出力OP1は画像処理制御部23に送られる。画像処理制御部23は、白ライン判定部31によって白ラインと判定されなかった1ラインの画像データに対して、画像処理部27で使用される動作クロックCLK4を生成して画像処理部27に所定の画像処理を実行させる制御をする。画像処理制御部23は、白ライン判定部31によって白ラインと判定された1ラインの画像データに対して、画像処理部27で使用される動作クロックCLK4の生成を停止すると共に白データ記憶部33から白データを読み出す制御をする。画像処理制御部23は信号出力部71、ORゲート73,75及びマルチプレクサ77を備える。画像処理制御部23では出力OP1に応じて、出力OP2,OP3,OP4のレベルを切り替える。図4及び図5は画像処理装置700の動作を説明するタイミングチャートである。出力OP1等を図3〜図5を参照して説明する。
【0050】
白ライン判定部31に入力される副走査同期信号SG1がLレベルからHレベルに切り替わると(時刻t1)、すなわち画像処理装置700において1ページの画像データに対する画像処理がスタートすると、出力OP1がHレベルに切り替わる。
【0051】
1ラインの画像データは白ライン判定部31で白ラインか否か判定された後、ライン処理部25、画像処理部27、マルチプレクサ77及びDMAコントローラ35へ順次流れていく。白ライン判定部31で白ラインと判定されなかった1ラインの画像データが、上記各部で処理されるタイミングに合わせて、出力OP2,OP3,OP4の値が調整される(図5の時刻t11,t13,t15)。
【0052】
ORゲート73には出力OP2と内部クロックCLK2が入力される。出力OP2がHレベル(白ラインである)であれば、ORゲート73の出力はHレベルとなる。出力OP2がLレベル(白ラインでない)であれば、ORゲート73から読出クロックCLK3が出力される(時刻t11)。
【0053】
ORゲート75には出力OP3と内部クロックCLK2が入力する。出力OP3がHレベル(白ラインである)であれば、ORゲート75の出力はHレベルとなる。出力OP3がLレベル(白ラインでない)であれば、ORゲート75から読出クロックCLK4が出力される(時刻t13)。
【0054】
出力OP4はマルチプレクサ77の出力を切り替える信号となる。出力OP4がHレベル(白ラインである)であれば、マルチプレクサ77は白データ記憶部33から読み出された白データを出力する。白データ記憶部33には1ラインの画像データに対応する画像が白ラインの場合に、画像処理部27で画像処理された白データが予め記憶されている。白ライン判定部31が1ライン画像データに対応する画像を白ラインと判定すれば、読出クロックCLK3及び動作クロックCLK4が生成されない。このため、その画像データに対して画像処理部27で画像処理されないので、白データを替わりに出力する。
【0055】
出力OP4がLレベル(白ラインでない)であれば(時刻t15)、マルチプレクサ77は画像処理部27で画像処理された1ラインの画像データを出力する。
【0056】
マルチプレクサ77から出力されたデータはDMAコントローラ35によって、出力部37を経由してDRAM13に転送されて、DRAM13に書き込まれる。出力部37はASIC11と外部との出力インターフェースである。
【0057】
信号出力部71について説明する。図6は信号出力部71の回路図である。信号出力部71は三つのDフリップフロップ73,75,77を備えるシフトレジスタである。Dフリップフロップ73,75,77のクロック端子には画像有効区間信号SG3が入力される。Dフリップフロップ73の入力端子には出力OP1が入力される。Dフリップフロップ73,75,77のセット端子には副走査同期信号SG1が入力される。
【0058】
初段のDフリップフロップ73からの出力が出力OP2となり、第二段のDフリップフロップ75からの出力が出力OP3となり、第三段のDフリップフロップ77からの出力が出力OP4となる。
【0059】
次に、画像処理装置700の動作を主に図4及び図5を用いて説明する。1ページの画像データImDの1番目からN−1番目のラインの画像データが、1ページの原稿の先端余白に対応する場合を例に説明する。
【0060】
[時刻t1]
副走査同期信号SG1がLレベル(ネゲート状態)であれば、図6に示すDフリップフロップ73,75,77のセット端子にはLレベル信号が入力される。従って、Dフリップフロップ73,75,77はセットされるので、Dフリップフロップ73からの出力OP2、Dフリップフロップ75からの出力OP3、Dフリップフロップ77からの出力OP4はそれぞれHレベルとなる。出力OP2がHレベルであれば、画像処理制御部23は読出クロックCLK3の生成を停止する。出力OP3がHレベルであれば、画像処理制御部23は動作クロックCLK4の生成を停止する。
【0061】
時刻t1で、副走査同期信号SG1がLレベルからHレベル(アサート状態)に切り替わる。これによって白ライン判定部31の出力OP1はLレベルからHレベルに切り替わる。
【0062】
また、時刻t1では1番目のラインの画像データに対応するLレベルの主走査同期信号SG2がライン処理部25に入力する。書込読出制御部53は第1のラインメモリ51aを書き込み可能とし、第2のラインメモリ51bを読み出し可能にする。
【0063】
[時刻t2]
画像有効区間信号SG3がHレベルに切り替わる。書込読出制御部53は1番目のラインの画像データを、第1のラインメモリ51aに書き込む制御をする。画像有効区間信号SG3がLレベルに切り替わるまで、書込読出制御部53は第1のラインメモリ51aへの書き込み制御を継続する。書き込みとは上書きを意味する。第2のラインメモリ51bに記憶されているデータは不定である。読出クロックCLK3が生成されていないので、第2のラインメモリ51bからデータが読み出されることはない。
【0064】
[時刻t3]
画像有効区間信号SG3がLレベルに切り替わる。書込読出制御部53は1番目のラインの画像データを第1のラインメモリ51aに書き込む制御を終了する。白ライン判定部31は1番目のラインの画像データに対応する画像を白ラインと判定する。よって、白ライン判定部31はHレベルの出力OP1を継続するので、画像処理制御部23は読出クロックCLK3及び動作クロックCLK4を生成しないことを継続する。
【0065】
[時刻t4]
2番目のラインの画像データに対応するLレベルの主走査同期信号SG2がライン処理部25に入力される。書込読出制御部53は第1のラインメモリ51aを読み出し可能とし、第2のラインメモリ51bを書き込み可能とする。
【0066】
[時刻t5]
画像有効区間信号SG3がHレベルに切り替わるので、書込読出制御部53は2番目のラインの画像データを第2のラインメモリ51bに書き込む制御をする。画像処理制御部23では読出クロックCLK3が生成されていないので、1番目のラインの画像データは第1のラインメモリ51aから読み出されない。
【0067】
[時刻t6]
画像有効区間信号SG3がLレベルに切り替わる。書込読出制御部53は2番目のラインの画像データを第2のラインメモリ51bに書き込む制御を終了する。白ライン判定部31は2番目のラインの画像データに対応する画像が白ラインと判定するので、白ライン判定部31はHレベルの出力OP1を継続する。従って、画像処理制御部23は読出クロックCLK3及び動作クロックCLK4を生成しないことを継続する。
【0068】
[時刻t7]
画像有効区間信号SG3がHレベルに切り替わる。書込読出制御部53は3番目のラインの画像データを第1のラインメモリ51aに書き込む制御をする。読出クロックCLK3は生成されていないので、2番目のラインの画像データは第2のラインメモリ51bから読み出されない。また、動作クロックCLK4が生成されていないので、画像処理部27は動作しない。
【0069】
[時刻t8]
画像有効区間信号SG3がLレベルに切り替わる。書込読出制御部53は3番目のラインの画像データを第1のラインメモリ51aに書き込む制御を終了する。白ライン判定部31は3番目のラインの画像データに対応する画像を白ラインと判定する。よって、読出クロックCLK3及び動作クロックCLK4を生成しないことが継続される。
【0070】
[時刻t9]
画像有効区間信号SG3がHレベルに切り替わる。書込読出制御部53は4番目のラインの画像データを第2のラインメモリ51bに書き込む制御をする。読出クロックCLK3が生成されていないので、3番目のラインの画像データは第1のラインメモリ51aから読み出されない。また、動作クロックCLK4が生成されていないので、画像処理部27は動作しない。
【0071】
出力OP4はHレベルなので、マルチプレクサ77は白データ記憶部33を選択している。従って、1番目のラインの画像データとして、白データ記憶部33に予め記憶されている白データがマルチプレクサ77から出力される。そして、DMAコントローラ35によって、DRAM13のメモリセルの中で1番目のラインの画像データに割り当てられているメモリセルに白データが書き込まれる。以降、2番目からN−1番目の画像データについても、白データ記憶部33に予め記憶されている白データがマルチプレクサ77から出力されて、DRAM13のメモリセルの中でそのラインの画像データに割り当てられているメモリセルに白データが書き込まれる。
【0072】
[時刻t10]
画像有効区間信号SG3がLレベルに切り替わる。書込読出制御部53はN番目のラインの画像データを第1のラインメモリ51aに書き込む制御を終了する。白ライン判定部31はN番目のラインが白ラインでないと判定する。これにより、白ライン判定部31は出力OP1をLレベルに切り替えるので、図6に示すDフリップフロップ73の入力端子にLレベル信号が入力される。一方、出力OP2,OP3はHレベルが継続されるので、画像処理制御部23は読出クロックCLK3及び動作クロックCLK4を生成しないことを継続する。
【0073】
[時刻t11]
画像有効区間信号SG3がHレベルに切り替わる。書込読出制御部53はN+1番目のラインの画像データを第2のラインメモリ51bに書き込む制御をする。出力OP1がLレベルなので、画像有効区間信号SG3がHレベルに切り替わると、それと同期して出力OP2がLレベルに切り替わる。これによって、読出クロックCLK3が生成されるので、書込読出制御部53はN番目のラインの画像データを第1のラインメモリ51aから読み出す制御をする。なお、動作クロックCLK4は生成されていなので、画像処理部27は動作しない。出力OP4はHレベルなので、マルチプレクサ77は白データ記憶部33を選択している。従って、N−2番目のラインの画像データとして、白データがマルチプレクサ77から出力される。
【0074】
[時刻t12]
画像有効区間信号SG3がLレベルに切り替わる。書込読出制御部53はN+1番目のラインの画像データを第2のラインメモリ51bに書き込む制御を終了する。白ライン判定部31はN+1番目のラインが白ラインでないと判定するので、白ライン判定部31は出力OP1のLレベルを継続する。
【0075】
[時刻t13]
画像有効区間信号SG3がHレベルに切り替わる。書込読出制御部53はN+2番目のラインの画像データを第1のラインメモリ51aに書き込む制御をし、かつN+1番目のラインの画像データを第2のラインメモリ51bから読み出す制御をする。
【0076】
また、出力OP1がLレベルなので、画像有効区間信号SG3がHレベルに切り替わると、それと同期して出力OP3がLレベルに切り替わる。よって、動作クロックCLK4が生成されるので、第1のラインメモリ51aから読み出されたN番目のラインの画像データは、画像処理部27で所定の画像処理がされる。
【0077】
[時刻t14]
画像有効区間信号SG3がLレベルに切り替わる。書込読出制御部53はN+2番目のラインの画像データを第1のラインメモリ51aに書き込む制御を終了する。白ライン判定部31はN+2番目のラインが白ラインでないと判定するので、白ライン判定部31は出力OP1のLレベルを継続する。
【0078】
[時刻t15]
画像有効区間信号SG3がHレベルに切り替わる。書込読出制御部53はN+3番目のラインの画像データを第2のラインメモリ51bに書き込む制御をし、かつN+2番目のラインの画像データを第1のラインメモリ51aから読み出す制御をする。
【0079】
また、出力OP1がLレベルなので、画像有効区間信号SG3がHレベルに切り替わると、それと同期して出力OP4がLレベルに切り替わる。出力OP4はLレベルなので、マルチプレクサ77は画像処理部27を選択している。従って、画像処理部27で画像処理されたN番目のラインの画像データがマルチプレクサ77から出力される。
【0080】
以降、1ラインの画像が白ラインでなければ、そのラインの画像データを画像処理部27で画像処理したものがマルチプレクサ77から出力される。1ラインの画像が白ラインであれば、白データ記憶部33に記憶されている白データがマルチプレクサ77から出力される。従って、原稿が文字原稿であれば、行間及び後端余白に対応する1ラインの画像データに対しては画像処理部27で画像処理されず、白データが出力される。
【0081】
本実施形態の主な効果を説明する。本実施形態によれば、白ライン判定部31で1ラインの画像データに対応する画像が白ラインと判定されれば、画像処理部27で使用される動作クロックCLK4の生成を停止している。これにより、その1ラインの画像データはラインメモリ61で書き込みと読み出しがされず、かつ画像処理部27では画像処理がされないので、その替わりに白データ記憶部33から白データを読み出している。このように、1ラインの画像データに対応する画像が白ラインと判定されると、その1ラインの画像データに対して画像処理部27で使用される動作クロックCLK4の生成を停止するので、画像処理装置700の低消費電力化を図ることができる。特に、動作クロックCLK4を停止することにより、ラインメモリ61で書き込みと読み出しが停止されるので、消費電力を下げることができる。
【0082】
また、本実施形態によれば、1ラインの画像データに対応する画像が白ラインと判定されれば、その1ラインの画像データには画像処理がされないで、読出クロックCLK3の生成を停止することにより、その1ラインの画像データを読み出す処理を実行しないようにしている。読出クロックCLK3の生成が停止するので、画像処理装置700の低消費電力化を図れる。
【0083】
さらに、本実施形態によれば、図4及び図5に示すように副走査同期信号SG1がネゲート状態であれば(時刻t1以前)、読出クロックCLK3及び動作クロックCLK4の生成を停止し、副走査同期信号SG1がアサート状態であれば(時刻t1以後)、読出クロックCLK3及び動作クロックCLK4の生成を可能としている。副走査同期信号SG1がネゲート状態であれば画像処理装置700に画像データが入力していないので、読出クロックCLK3及び動作クロックCLK4の生成を停止することにより、画像処理装置700の低消費電力化を図ることができる。従って、1番目のラインの画像データをラインメモリ51に書き込む前から読出クロックCLK3及び動作クロックCLK4を停止できるので、画像処理装置700の低消費電力化を図ることができる。
【0084】
本実施形態ではASIC11で画像処理された画像データをDRAM13に書き込む態様で説明したが、その画像データを後段のASICに転送する態様でもよい。
【符号の説明】
【0085】
1 画像形成装置
700 画像処理装置
CLK1 外部クロック
CLK2 内部クロック
CLK3 読出クロック
CLK4 動作クロック
ImD 1ページの画像データ
SG1 副走査同期信号
SG2 主走査同期信号
SG3 画像有効区間信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1ラインの画像データの書き込みと読み出しとが可能なラインメモリと、
前記ラインメモリに前記1ラインの画像データの書き込みと読み出しの制御をする書込読出制御部と、
前記書込読出制御部によって前記ラインメモリに書き込まれる前記1ラインの画像データに対応する画像が白ラインか否かを判定する白ライン判定部と、
前記書込読出制御部によって前記ラインメモリから読み出された前記1ラインの画像データに対して所定の画像処理を実行可能な画像処理部と、
白データ記憶部と、
前記白ライン判定部によって白ラインと判定されなかった前記1ラインの画像データに対して、前記画像処理部で使用される動作クロックを生成して前記画像処理部に前記所定の画像処理を実行させる制御をし、前記白ライン判定部によって白ラインと判定された前記1ラインの画像データに対して、前記画像処理部で使用される動作クロックの生成を停止すると共に前記白データ記憶部から白データを読み出す制御をする画像処理制御部と、を備える画像処理装置。
【請求項2】
前記ラインメモリは複数あり、
前記書込読出制御部は、前記複数のラインメモリの中から読み出し可能なラインメモリと書き込み可能なラインメモリとを1ライン毎に切り換える制御、前記読み出し可能なラインメモリから前記1ラインの画像データを読み出す制御、及び、前記書き込み可能なラインメモリに次の前記1ラインの画像データを書き込む制御をし、
前記画像処理制御部は、前記白ライン判定部によって白ラインと判定された前記1ラインの画像データに対して、当該1ラインの画像データの読み出しに使用される読出クロックの生成を停止する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記画像処理制御部は、副走査同期信号がネゲート状態であれば前記動作クロック及び前記読出クロックの生成を停止する請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像処理装置と、
前記画像処理装置で処理された複数の前記1ラインの画像データが集まりである1ページの画像データを用いて用紙に画像を形成する画像形成部と、を備える画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−114695(P2012−114695A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−262316(P2010−262316)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリュ−ションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】