説明

画像処理装置

【課題】 画像データに付属情報が付加された複数の画像ファイルを保存する画像処理装置において、短時間で複数の画像ファイルの付属情報を抽出することができる画像処理装置を提供すること。
【解決手段】 本発明の画像処理装置1は、画像データに付属情報を付加した複数の画像ファイルを保存する画像処理装置において、前記付属情報と前記画像データの保存位置情報とを各情報毎個別に格納する第1の格納手段13と、前記付属情報の出力要求があった場合に、前記第1の格納手段13に格納されている前記複数の画像ファイルの付属情報を抽出して出力する手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置に関し、詳しくは、画像データに付属情報を付加した画像ファイルを保存・管理する画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
読取った原稿の画像データなどを保存する画像処理装置の中には、画像データに作成日時やデータサイズなどの付属情報を付加して画像ファイルとして保存することができるものがあり、画像ファイルのファイル形式としては、圧縮率を高く設定できるためにネットワークを介した送受信に適したJPEG(Joint Photographic Experts Group)形式や、JPEG形式の複数の画像ファイルをまとめることができるTIFF(Tagged Image File Format)形式などが主に用いられている。
【0003】
このような画像ファイルの管理を容易にするために、複数の画像ファイルをテーブルに格納して保存する画像処理装置がある(例えば、特許文献1参照。)。図8は、複数の画像ファイルを格納するテーブル101を示す概略図である。図示するように、テーブル101には、画像データにファイル名、データサイズ、作成日時などの付属情報が付加された画像ファイルがファイル毎に複数格納されている。このように、画像データに付属情報を付加した複数の画像ファイルを1つのテーブル101に格納しておくことにより、ファイル名、データサイズ、作成日時などの情報が別々のテーブルに格納されている場合のように、任意の画像データとその付属情報を抽出する際に、複数のテーブルを検索する必要がないため、画像データとそれに対応する付属情報を容易に抽出することができる。
【特許文献1】特開2003−345636号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の画像処理装置では、画像データと付属情報とが画像ファイル毎にテーブル101に格納されているため、例えば、テーブル101に格納されている全画像ファイルの付属情報を抽出するといった場合に、画像ファイル毎に付属情報を検索しなければならず、付属情報の抽出に時間がかかるという問題点があった。
【0005】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、画像データに付属情報が付加された複数の画像ファイルを保存する画像処理装置において、短時間で複数の画像ファイルの付属情報を抽出することができる画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1記載の画像処理装置は、画像データに付属情報を付加した複数の画像ファイルを保存する画像処理装置において、前記付属情報と前記画像データの保存位置情報とを各情報毎個別に格納する第1の格納手段と、前記付属情報の出力要求があった場合に、前記第1の格納手段に格納されている前記複数の画像ファイルの付属情報を抽出して出力する手段と、を備えることを特徴としている。
【0007】
請求項2記載の画像処理装置は、画像データにヘッダ情報及びサムネイル画像データを付加した複数の画像ファイルを保存する画像処理装置において、前記ヘッダ情報、前記サムネイル画像データの保存位置情報、及び前記画像データの保存位置情報を各情報毎個別に格納する第1の格納手段と、前記ヘッダ情報と前記サムネイル画像データの両方又はいずれか一方の出力要求があった場合に、前記第1の格納手段の情報を参照して前記ヘッダ情報と前記サムネイル画像データの両方又はいずれか一方を出力する手段と、を備えることを特徴としている。
【0008】
請求項3記載の画像処理装置は、請求項1記載の画像処理装置において、前記付属情報と前記画像データの保存位置情報とを画像ファイル毎に格納する第2の格納手段を備えることを特徴としている。
【0009】
請求項4記載の画像処理装置は、請求項2記載の画像処理装置において、前記ヘッダ情報、前記サムネイル画像データの保存位置情報、及び前記画像データの保存位置情報を画像ファイル毎に格納する第2の格納手段を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の画像処理装置によれば、複数の画像ファイルの付属情報を出力する場合に、画像ファイル毎に付属情報を検索する必要がないため、複数の画像ファイルの付属情報を一括して抽出することができる。したがって、短時間で複数の画像ファイルの付属情報を出力することができる。
【0011】
請求項2記載の画像処理装置によれば、複数の画像ファイルのヘッダ情報やサムネイル画像データを出力する場合に、複数の画像ファイルに対するヘッダ情報やサムネイル画像データの保存位置情報を一括して抽出することができる。そのため、従来の画像処理装置のように画像ファイル毎にヘッダ情報やサムネイル画像データの保存位置情報を抽出する場合に比べて、必要な情報を短時間で出力することができる。
【0012】
請求項3記載の画像処理装置によれば、付属情報と画像データの保存位置情報とを画像ファイル毎に格納する第2の格納手段を備えているので、画像ファイルを出力する場合に、画像ファイル毎に格納された情報を参照して画像ファイルを特定し、特定した画像ファイルを容易に出力することができる。
【0013】
請求項4記載の画像処理装置によれば、ヘッダ情報、サムネイル画像データの保存位置情報、及び画像データの保存位置情報を画像ファイル毎に格納する第2の格納手段を備えているので、画像ファイルを出力する場合に、画像ファイル毎に格納された情報を参照して画像ファイルを特定し、特定した画像ファイルを容易に出力することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係る画像処理装置を図面に基づいて説明する。この画像処理装置1は、図1に例示するように、制御部(MPU:Microprocessing Unit)2、ROM(Read Only Memory)3、原稿読取部4、画像処理部5、コーデック6、画像メモリ7、記録部8、操作部9、表示部10、通信部11、HDD(Hard Disk Drive)12、及びRAM(Random Access Memory)13を備えたものであって、各部2乃至13はバス14によって通信可能に接続されている。
【0015】
制御部2は、ROM3に格納された制御プログラムに従って、この画像処理装置1を構成する各部を制御する。原稿読取部4は、図示しないが、カラーラインセンサ、A/Dコンバータ、画像処理回路等を具備している。カラーラインセンサは、R(Red)、G(Green)、B(Blue)の3つのラインセンサにより構成されており、原稿のカラー画像を主走査ライン毎に読取ってRGB表色系のアナログカラー画像データを出力する。A/Dコンバータは、カラーラインセンサが出力したアナログカラー画像データをA/D変換する。画像処理回路は、白色の基準プレートの読取データに基づき原稿の画像データに対する光量ムラや光学部品の影響、及びカラーラインセンサの画素感度のばらつきを補正するためのシェーディング補正、原稿の画像データの色成分間の位置ずれ補正等を行う。このようにして、カラーラインセンサによって読取られた後に必要な画像処理が行われたカラー画像データは、原稿読取部4から所定の出力先に出力される。なお、原稿読取部4は、原稿のモノクロ画像データを読取ることも当然可能である。
【0016】
画像処理部5は、原稿読取部4から出力された原稿の画像データに対して、必要に応じて、色空間変換、色調整、変倍処理、2値化処理等を行う。コーデック6は、コピーやファクシミリ送受信などのために画像データを符号化及び復号するものである。ここでは、画像処理部5から出力された画像データをJPEG(Joint Photographic Experts Group)、MH(Modified Huffman)、MR(Modified Read)、MMR(Modified Modified Read)、JBIG(Joint Bi-level Image Group)方式等により符号化し、ファクシミリ受信した画像データなどを復号する。
【0017】
画像メモリ7は、画像処理部5から直接出力された画像データ、コーデック6において符号化された画像データ、ファクシミリ受信した画像データ等を蓄積する。記録部8は、画像メモリ7から読み出された画像データの画像を用紙に記録するものであり、カラー、モノクロ双方の画像を用紙に記録することができる。この記録部8における記録方式としては、例えば、電子写真方式を用いることができる。
【0018】
操作部9は、図示しないが、原稿読取部4に原稿の読取開始を指示するためのスタートキー、ファクシミリ番号やコピー部数等を入力するためのテンキー、ワンタッチダイヤルに予め登録された宛先を指定するためのワンタッチキー、各種設定を行うためのカーソルキーなど、表示部10と連動した各種操作キーを備えている。表示部10は、図示しないが、各種の設定状態や画像処理装置1の動作状態などを文字や図形などで表示する液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)、点灯又は消灯で表示するLEDランプなどを備えている。なお、液晶表示装置は、いわゆるタッチパネル式のものであり、操作部9に代えてこの液晶表示装置の画面をユーザが指等で触れることにより各種の操作を行うこともできる。
【0019】
通信部11は、モデム15及びNCU(Network Control Unit)16を備えている。モデム15は、例えばITU−T(国際電気通信連合電気通信標準化部門)の勧告V.30規格又はこれと同様のものに従った送受信データの変調及び復調を行うものである。NCU16は、電話回線を制御して電話をかけたり、切ったりする回線網制御装置であり、PSTN(Public Switched Telephone Network)17に接続されている。制御部2は、この通信部11を制御してカラー画像データ及びモノクロ画像データの双方の画像データのファクシミリ送受信を行うことができる。
【0020】
HDD12は、例えば、原稿読取部4で読取られた原稿の画像データなどの各種画像データをファイル化した画像ファイルを保存するものである。このHDD12には、それらの画像ファイルを仕分けして管理するために、ボックス番号(或いはボックス名)の異なる複数のメモリボックス18が設定されており、ユーザは、画像データを画像ファイルとしてHDD12に保存させる際に、ボックス番号を操作部9等から入力して保存先のメモリボックス18を指定することができ、画像ファイルを仕分けして管理できるようになっている。
【0021】
図2は、HDD12のメモリボックス18に保存される画像ファイルのデータ構造を概略的に示した図である。図示するように、画像ファイルは、画像データ(以下、「実画像データ」ともいう。)にその付属情報であるヘッダ情報及びサムネイル画像データを付加したものである。ここで、実画像データは、所定の符号化方式(ここでは、JPEG方式)で符号化された画像データである。ヘッダ情報は、画像ファイル或いは実画像データに関する情報であり、具体的には、画像ファイルのファイル名、画像ファイルを作成した日時である作成日時、画像ファイルのデータサイズ、実画像データの解像度、画像ファイルが保存されているメモリボックス18のボックス番号に相当するサブアドレス等である。サムネイル画像データは、実画像データの内容が一目でわかるように、実画像データを縮小した縮小画像データである。なお、メモリボックス18には、実画像データにヘッダ情報のみが付加された画像ファイルや、実画像データにサムネイル画像データのみが付加された画像ファイルも保存することができるが、本実施形態では、ヘッダ情報とサムネイル画像データの両方が付加された画像ファイルについて主に説明する。
【0022】
また、HDD12のメモリボックス18には、モノクロ画像ファイルとカラー画像ファイルの双方の画像ファイルを保存することが可能であるが、ここでは、カラー画像ファイルが保存されているものとする。また、メモリボックス18に保存されているカラー画像ファイルの画像ファイル形式は、画像ファイル内にヘッダ情報(好ましくは、ヘッダ情報とサムネイル画像データ)を含めることができれば、特に限定されるものではないが、ここでは、JPEG形式である。すなわち、本実施形態においては、メモリボックス18内にJPEG形式のカラー画像ファイルが保存されている。
【0023】
RAM13は、制御部2の主メモリ、ワークエリア等として機能し、各種の設定情報等を記憶している。また、RAM13には、HDD12のメモリボックス18に画像ファイルが保存される際に、その画像ファイル内の一部の情報(ヘッダ情報)と画像ファイル内のデータ(実画像データやサムネイル画像データ)の保存位置を示す情報が格納される第1の管理テーブル19と第2の管理テーブル20が設けられている。
【0024】
図3は、第1の管理テーブル19を概略的に示した図である。図示するように、第1の管理テーブル19には、ヘッダ情報領域、サムネイル保存情報領域、及び実画像保存情報領域が設けられており、画像ファイルのヘッダ情報、サムネイル画像データの保存位置情報(以下、「サムネイル保存情報」ともいう。)、及び実画像データの保存位置情報(以下、「実画像保存情報」ともいう。)は、通番が付与されてこれらの領域に別々(個別)に格納される。したがって、この第1の管理テーブル19が設けられたRAM13は、ヘッダ情報、サムネイル画像データの保存位置情報、及び実画像データの保存位置情報を各情報毎個別に格納する第1の格納手段として機能する。具体的には、第1の管理テーブル19は、サムネイル保存情報として、サムネイル画像データの先頭アドレス、すなわち、HDD12のメモリボックス18内のサムネイル画像データが保存されている先頭アドレス(番地)とサムネイル画像データのデータサイズをサムネイル保存情報領域に格納する。このサムネイル画像データの先頭アドレスとサムネイル画像データのデータサイズに基づいて、サムネイル画像データの後端アドレスがわかるので、メモリボックス18におけるサムネイル画像データの保存位置を特定することができ、特定したサムネイル画像データを読み出すことが可能である。なお、サムネイル保存情報領域におけるサムネイル画像データが付加されていない画像ファイル(例えば、図中の「2」の通番が付与された画像ファイル)のレコードには、サムネイル画像データの先頭アドレスとデータサイズは格納されない。また、第1の管理テーブル19は、実画像保存情報として、実画像データの先頭アドレスと実画像データのデータサイズを格納している。この実画像データの先頭アドレスと実画像データのデータサイズに基づいて、実画像データの後端アドレスがわかるので、メモリボックス18における実画像データの保存位置を特定することができ、特定した実画像データを読み出すことが可能である。
【0025】
一方、第2の管理テーブル20には、図4に示すように、ヘッダ情報、サムネイル保存情報、及び実画像保存情報が画像ファイル毎に格納される。したがって、この第2の管理テーブル20が設けられたRAM13は、ヘッダ情報、サムネイル画像データの保存位置情報、及び実画像データの保存位置情報を画像ファイル毎に格納する第2の格納手段として機能する。なお、この第2の管理テーブル20に新たな画像ファイルの情報が追加される場合、新たな画像ファイルの情報は、通番を付与されて、最後に格納された画像ファイルの情報の後に追加される。
【0026】
上記構成を備えた画像処理装置1は、原稿読取部4で原稿から読取った画像データの画像を用紙に記録するコピー機能、外部装置(不図示)との間で原稿の画像データをファクシミリ送受信するファクシミリ通信機能を備えるとともに、ユーザによる操作部9等の所定操作があった場合に、第1の管理テーブル19又は第2の管理テーブル20から必要な情報を抽出して出力(例えば、用紙に記録)する機能を備える。ここで、上述したヘッダ情報、サムネイル保存情報、及び実画像保存情報は、原稿読取部4により読取った画像データ等をファイル化してHDD12のメモリボックス18に保存する際や外部から画像ファイルを受信した際に、第1の管理テーブル19及び第2の管理テーブル20に格納される。以下、原稿読取部4で読取った画像データ(実画像データ)を画像ファイルとしてメモリボックス18に保存する際に画像処理装置1において行われる処理動作について図5に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、画像処理装置1の処理動作は、ROM3に格納されている制御プログラムに基づいて制御部2が発行する命令に従って行われる。
【0027】
制御部2は、原稿の画像データを保存するための設定操作、すなわち、実画像データを保存するHDD12のメモリボックス18のボックス番号の指定、サムネイル画像データを実画像データに付加するか否かの選択等の設定操作が行われた後に、操作部9のスタートキーが押下されること等による画像データ(実画像データ)の保存開始命令があったか否かを判断する(S1)。画像データの保存開始命令があったと判断した場合(S1:YES)、原稿読取部4により原稿の画像データを読取る(S2)。すなわち、原稿読取部4は、原稿のカラー画像データを読取って画像処理部5に出力し、画像処理部5は、原稿読取部4から出力されたカラー画像データに必要な画像処理を施して画像メモリ7に出力し、画像メモリ7は、画像処理部5から出力された画像データを蓄積する。続いて、制御部2は、画像ファイルの作成を開始する(S3)。具体的には、ユーザが指定したメモリボックス18内に画像ファイルを作成するために、メモリボックス18内の記憶領域(メモリ)の確保などを行う。
【0028】
次に、制御部2は、ヘッダ情報を作成し、作成したヘッダ情報をHDD12のメモリボックス18に保存する(S4)。すなわち、画像ファイルのファイル名、画像ファイルの作成を開始した作成日時、画像ファイルのデータサイズ、実画像データの解像度、画像ファイルを保存するメモリボックス18のボックス番号(サブアドレス)等を含むヘッダ情報を作成し、前記S3で確保したメモリボックス18の記憶領域にヘッダ情報を保存する。続いて、制御部2は、作成したヘッダ情報をRAM13の第1の管理テーブル19及び第2の管理テーブル20に格納する(S5)。なお、ヘッダ情報のファイル名には、ユーザが指定したファイル名又は制御部2が自動的に設定したファイル名が用いられ、実画像データの解像度は、ユーザが設定した解像度となる。また、画像ファイルのデータサイズは、原稿の読取条件(原稿サイズや解像度等)から決定される実画像データのデータサイズ、この実画像データのデータサイズに基づいて決定されるサムネイル画像データのデータサイズ、及びヘッダ情報のデータサイズを合計したデータサイズである。ここで、実画像データのデータサイズは、JPEG方式で符号化された場合の実画像データのデータサイズである。また、サブアドレスは、ユーザが指定したメモリボックス18のボックス番号である。
【0029】
次に、制御部2は、コーデック6により画像データをJPEG方式で符号化し、符号化した画像データ(実画像データ)をHDD12のメモリボックス18に保存する(S6)。具体的には、コーデック6は、画像メモリ7に蓄積されている画像データをJPEG方式で符号化し、制御部2は、コーデック6が符号化した実画像データを前記S4でヘッダ情報を保存したメモリボックス18に保存する。続いて、制御部2は、実画像データを保存したメモリボックス18内の実画像データの先頭アドレスと実画像データのデータサイズを第1の管理テーブル19及び第2の管理テーブル20に格納する(S7)。
【0030】
次に、制御部2は、サムネイル画像データを作成するか否かを判断する(S8)。具体的には、実画像データにサムネイル画像データを付加するようにユーザによって操作部9から予め設定されているか否かに基づいて、サムネイル画像データを作成するか否かを判断する。サムネイル画像データを作成すると判断した場合(S8:YES)、画像処理部5により実画像データを縮小したサムネイル画像データを作成し、作成したサムネイル画像データをHDD12のメモリボックス18に保存する(S9)。そして、サムネイル画像データを保存したメモリボックス18内のサムネイル画像データの先頭アドレスとサムネイル画像データのデータサイズを第1の管理テーブル19及び第2の管理テーブル20に格納し(S10)、画像ファイルをクローズして画像ファイルの作成を終了する(S11)。一方、サムネイル画像データを作成しないと判断した場合も(S8:NO)、画像ファイルをクローズして画像ファイルの作成を終了する(S11)。ここで、前記S9においてサムネイル画像データを作成した場合には、実画像データにヘッダ情報とサムネイル画像データが付加された画像ファイルが作成されるが、サムネイル画像データを作成しなかった場合には、実画像データにサムネイル画像データが付加されていない、すなわち、ヘッダ情報のみが付加された画像ファイルが作成される。したがって、サムネイル画像データを作成しなかった場合には、第1の管理テーブル19及び第2の管理テーブル20には、この画像ファイルのサムネイル保存情報は格納されない。
【0031】
このように、画像処理装置1は、画像ファイルを作成して保存する際に、保存する画像ファイルの情報を第1の管理テーブル19及び第2の管理テーブル20に格納する。したがって、画像処理装置1は、画像ファイルを保存する毎に、第1の管理テーブル19及び第2の管理テーブル20を更新する。また、画像処理装置1は、ユーザによる操作部9等の所定操作があった場合に、第1の管理テーブル19又は第2の管理テーブル20から必要な情報を抽出して出力(例えば、用紙に記録)することができる。
【0032】
例えば、HDD12のメモリボックス18に保存されている複数の画像ファイルのヘッダ情報を用紙に記録する指示が操作部9からあった場合、制御部2は、第1の管理テーブル19から複数の画像ファイルのヘッダ情報を抽出する(読み出す)。そして、抽出した複数の画像ファイルのヘッダ情報を記録部8により用紙に記録する。これにより、図6に示すように、用紙21にヘッダ情報の一覧が記録される。したがって、ユーザは、この用紙21を見ることにより、メモリボックス18内にどのような画像ファイルが保存されているかを容易に確認することができる。
【0033】
また、例えば、HDD12のメモリボックス18に保存されている複数の画像ファイルのサムネイル画像を表示部10に表示する指示が操作部9からあった場合、制御部2は、第1の管理テーブル19から複数の画像ファイルのサムネイル保存情報を抽出する。次に、抽出したサムネイル保存情報に基づいて、メモリボックス18内の複数のサムネイル画像データの保存位置を特定する。そして、特定したサムネイル画像データをメモリボックス18から読み出し、読み出した複数の画像ファイルのサムネイル画像データの画像を表示部10に表示させる。これにより、図7に示すように、表示部10にサムネイル画像の一覧が表示される。したがって、ユーザは、表示部10に表示されたサムネイル画像の一覧を見ることにより、メモリボックス18内にどのような画像ファイルが保存されているかを容易に確認することができる。
【0034】
なお、第1の管理テーブル19から複数の画像ファイルのヘッダ情報やサムネイル保存情報を抽出する場合、第1の管理テーブル19では、上記のように、ヘッダ情報、サムネイル保存情報、実画像保存情報が別々に仕分けして管理されているため、複数の画像ファイルのヘッダ情報やサムネイル保存情報を一括して抽出することができる。そのため、ヘッダ情報、サムネイル保存情報、実画像保存情報を画像ファイル毎に管理している場合に比べ、必要な情報をより短い時間で抽出することができる。
【0035】
また、例えば、外部装置からポーリング要求があった際に、実画像データに先立って、ヘッダ情報のリストやサムネイル画像データのリストを外部装置に送信すれば、外部装置のユーザがHDD12のメモリボックス18にどのような実画像データが保存されているかを容易に確認できて便利であるが、そのような場合に、第1の管理テーブル19を使用することにより、外部装置に迅速にリストを送信することができる。
【0036】
このように、制御部2は、ヘッダ情報とサムネイル画像データの両方又はいずれか一方の出力要求があった場合に、RAM13の第1の管理テーブル19の情報を参照してヘッダ情報とサムネイル画像データの両方又はいずれか一方を出力する手段として機能する。
【0037】
ところで、画像ファイルをHDD12のメモリボックス18から抽出する場合、第1の管理テーブル19を使用すると、ヘッダ情報、サムネイル保存情報、及び実画像保存情報が別々に管理されているために、画像ファイルの抽出に時間がかかるおそれがある。このような場合には、ヘッダ情報、サムネイル保存情報、及び実画像保存情報が画像ファイル毎に管理されている第2の管理テーブル20を使用することにより、画像ファイルを迅速にメモリボックスから抽出する(読み出す)ことができる。したがって、メモリボックスに保存されている画像ファイルのどのデータを抽出するかによって第1の管理テーブル19と第2の管理テーブル20を使い分けることにより、必要なデータをより短時間で抽出することができる。ここで、メモリボックス18から画像ファイルを抽出する場合、第2の管理テーブル20からヘッダ情報を抽出することができるが、メモリボックス18からヘッダ情報を抽出することも可能である。また、第2の管理テーブル20を備えていない場合にも、第1の管理テーブル19の情報を参照してメモリボックス18から画像ファイルを抽出することも当然可能である。
【0038】
また、本実施形態においては、読取った原稿の画像データにヘッダ情報及びサムネイル画像データを付加して画像ファイルを作成する際に、画像ファイルの情報を第1の管理テーブル19及び第2の管理テーブル20に格納する場合について説明したが、例えば、外部装置(不図示)からファクシミリ通信により受信した画像データについても画像ファイルを作成し、作成した画像ファイルの情報を第1の管理テーブル19及び第2の管理テーブル20に格納して管理することも当然可能である。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、例えば、コピー機、ファクシミリ装置、これらの複合機等が具備する複数の画像ファイルを保存・管理する画像処理装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施形態に係る画像処理装置の構成例を示したブロック図である。
【図2】HDDのメモリボックスに保存されている画像ファイルのデータ構造を概略的に示した図である。
【図3】画像ファイルの情報を個別に格納する第1の管理テーブルを例示した図である。
【図4】画像ファイルの情報を画像ファイル毎に格納する第2の管理テーブルを例示した図である。
【図5】原稿読取部で読取った画像データを画像ファイルとしてメモリボックスに保存する際に画像処理装置において行われる処理動作を示したフローチャートである。
【図6】ヘッダ情報の一覧が記録された用紙を例示した図である。
【図7】サムネイル画像の一覧が表示された表示部の表示例を示した図である。
【図8】従来の画像処理装置で画像ファイルを管理するために使用されるテーブルを示した図である。
【符号の説明】
【0041】
1 画像処理装置
2 制御部
3 ROM
12 HDD
13 RAM
18 メモリボックス
19 第1の管理テーブル
20 第2の管理テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに付属情報を付加した複数の画像ファイルを保存する画像処理装置において、前記付属情報と前記画像データの保存位置情報とを各情報毎個別に格納する第1の格納手段と、前記付属情報の出力要求があった場合に、前記第1の格納手段に格納されている前記複数の画像ファイルの付属情報を抽出して出力する手段と、を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
画像データにヘッダ情報及びサムネイル画像データを付加した複数の画像ファイルを保存する画像処理装置において、前記ヘッダ情報、前記サムネイル画像データの保存位置情報、及び前記画像データの保存位置情報を各情報毎個別に格納する第1の格納手段と、前記ヘッダ情報と前記サムネイル画像データの両方又はいずれか一方の出力要求があった場合に、前記第1の格納手段の情報を参照して前記ヘッダ情報と前記サムネイル画像データの両方又はいずれか一方を出力する手段と、を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
前記付属情報と前記画像データの保存位置情報とを画像ファイル毎に格納する第2の格納手段を備えることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記ヘッダ情報、前記サムネイル画像データの保存位置情報、及び前記画像データの保存位置情報を画像ファイル毎に格納する第2の格納手段を備えることを特徴とする請求項2記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−121263(P2006−121263A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−305277(P2004−305277)
【出願日】平成16年10月20日(2004.10.20)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】