説明

画像処理装置

【課題】 本発明の課題は、記録媒体に印刷した画像データの機密性を高めることができる画像処理装置を得ることにある。
【解決手段】 公開鍵及び秘密鍵を付与する鍵情報付与手段15と、画像データを暗号化する暗号化手段17と、暗号化した暗号データを記録媒体Sに印刷するプリンタ手段5と、記録媒体Sに印刷された暗号データを読み取るスキャナ手段7と、秘密鍵によって暗号データを復号化する復号化手段21と、鍵情報入力手段22と、鍵情報判別手段23とを備え、プリンタ手段5は暗号データに加えて公開鍵を記録媒体に印刷すると共に、鍵情報判別手段23はスキャナ手段7によって読み取った公開鍵と鍵情報入力手段によって入力された秘密鍵とを比較し、公開鍵と秘密鍵とが合致した場合にのみ、読み取った暗号データを復号化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ手段及びスキャナ手段を備えた画像処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子メール等を利用して社外の者等に電子化した画像データを送信する場合、画像データが第三者に見られるのを防止するため、予め画像データを暗号化して送信している。
【0003】
例えば、特許文献1には、メールを送信する者が画像データを公開鍵で暗号化し、メールを受信する者が受け取った画像データを公開鍵と対になっている秘密鍵を用いて復号化する技術が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開平10−257091号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の従来技術は、ネットワーク上で画像データを秘密にしておくことができるが、画像データを暗号化した暗号データをそのままプリントアウトすることができなかった。そのため、画像データを一旦、記録媒体上に印刷すると、画像データが第三者に漏れるおそれがあり、セキュリティ管理上問題があった。よって、記録媒体に印刷した画像データの機密性を高めることが望まれている。
【0006】
本発明は、記録媒体に印刷した画像データの機密性を高めることができる画像処理装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、請求項1に記載された発明は、公開鍵及び秘密鍵を付与する鍵情報付与手段と、画像データを暗号化する暗号化手段と、暗号化した暗号データを記録媒体に印刷するプリンタ手段と、記録媒体に印刷された暗号データを読み取るスキャナ手段と、秘密鍵によって暗号データを復号化する復号化手段と、鍵情報入力手段と、鍵情報判別手段とを備え、プリンタ手段は暗号データに加えて公開鍵を記録媒体に印刷すると共に、鍵情報判別手段はスキャナ手段によって読み取った公開鍵と鍵情報入力手段によって入力された秘密鍵とを比較し、公開鍵と秘密鍵とが合致した場合にのみ、読み取った暗号データを復号化することを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載の発明において、プリンタ手段は暗号データを印刷した記録媒体の裏面に公開鍵を印刷することを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、鍵情報付与手段は公開鍵を複数に分割し記録媒体上に分散させていることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載された発明は、請求項1に記載の発明において、プリンタ手段は記録媒体上の暗号データをスキャナ手段で読み取るための読み取り条件を記録媒体上に印刷していることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載された発明は、請求項1〜4の何れか一項に記載の発明において、画像処理装置は復号化した画像データのファイル保存や印刷を禁止する複製防止手段を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、暗号化した暗号データを記録媒体に出力し、秘密鍵の情報を有する特定の者のみ、暗号データを復号化できるので、画像データを記録媒体に機密にした状態で保存することができ、記録媒体が外部に流出した場合であっても、機密情報が第三者に漏れ難く、記録媒体に出力された画像データの機密性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1〜図4は本発明の第1実施の形態に係る画像処理装置を説明している。
【0014】
画像処理装置1は、PC(パーソナルコンピュータ)装置3、4と、一方のPC装置3に接続したプリンタ(プリンタ手段)5と、他方のPC装置4に接続したスキャナ(スキャナ手段)7とを備える。本実施の形態に係る画像処理装置1は、一方のPC装置(PC1)3で作成した画像データを暗号化した状態でプリンタ5から記録媒体Sに印刷すると共に、プリントアウトした記録媒体Sを、他方のPC装置(PC2)4に接続したスキャナ7で読み取ることで、復号化した画像データを画面上で見るものである。
【0015】
一方のPC装置3内にはプリンタ5を制御するためのソフトウェアであるプリンタドライバ9が組み込まれている。
【0016】
プリンタドライバ9は、公開鍵k及び秘密鍵を付与する鍵情報付与手段15と、鍵情報付与手段15によって取得した公開鍵kによって画像データを暗号化する暗号化手段17と、複製防止手段19とを備えている。鍵情報付与手段15はPC画面上で作成することができ、数字と記号とを組み合わせた情報を入力することにより公開鍵k及び秘密鍵が付与される。複製防止手段19は復号化した画像データのファイル保存や印刷を禁止するものであり、記録媒体Sに複製を防止するためのアクセス制御情報を埋め込むようにしていいる。アクセス制御情報を記録媒体Sに印刷しておくことで、スキャナ7が記録媒体Sを読み込んでアクセス制御情報を認識した場合、復号化した画像データのファイル保存や印刷の動作がロックされる。
【0017】
他方のPC装置4内にはスキャナ7を制御するためのソフトウェアであるスキャナドライバ10が組み込まれている。
【0018】
スキャナドライバ10は、公開鍵kによって暗号化した暗号データを復号化するための復号化手段21と、キー操作によって秘密鍵の情報を入力する鍵情報入力手段22と、スキャナ7によって読み取った公開鍵kと鍵情報入力手段22によって入力された秘密鍵とを比較する鍵情報判別手段23とを備えている。
【0019】
次に、本実施の形態に係る画像処理装置の作用及び効果を説明する。本実施の形態に係る画像処理装置1では、プリンタドライバ9を一方のPC装置3にインストールし、スキャナドライバ10を他方のPC装置4にインストールして使用する。
【0020】
画像データを暗号化した暗号データをプリントアウトする場合について説明する。図2のフローチャート及び図3に示すように、一方のPC装置3において画像データを作成する(ステップS10)。プリントアウトの開始ボタンを押すと、作成された画像データはプリンタドライバ9内の暗号化手段17に送られ、暗号化手段17により画像データは暗号データに暗号化される(ステップS11)。次に、暗号化された暗号データはプリンタ5内に送信され、記録媒体Sに印刷される(ステップS12)。このとき、記録媒体Sの指定した印刷領域m内に暗号データが印刷されると共に記録媒体Sの余白領域nに鍵情報付与手段15により付与された公開鍵kの情報がプリントアウトされる。プリントアウトされた記録媒体Sは、例えば会社外の特定の人に郵送される。この場合、特定の人には秘密鍵の情報を予め知らせている。
【0021】
プリントアウトされた記録媒体Sを特定の人が受け取ると、受け取った記録媒体Sを自分のPC(他方のPC装置4)に接続したあるスキャナ7にセットする。スキャナ7の原稿台に記録媒体Sをセットし、PC画面上の読み取り開始ボタンを押すと、原稿台上の記録媒体Sはスキャンされ、記録媒体Sに印刷された暗号データが読み取られる(ステップS13)。このとき、スキャナ7では暗号データと共に記録媒体Sに印刷された公開鍵kの情報が読み取られ、読み取った公開鍵kの情報はスキャナドライバ10内の鍵情報判別手段23に送られる。鍵情報判別手段23に公開鍵kの情報が送られると、他方のPC装置4のデスクトップ画面に秘密鍵の入力を要求する画面が表れる。鍵情報入力手段22により秘密鍵の情報を入力すると(ステップS14)、鍵情報判別手段23により公開鍵kと秘密鍵とが比較される(ステップS15)。そして公開鍵kと秘密鍵とが合致した場合には、暗号データが復号化手段21に送られ、暗号データは元の画像データに復号化される(ステップS16)。復号化された画像データは他方のPC装置4のデスクトップ画面上に表示される。尚、復号化した画像データはデスクトップ画面から見ることができるが、画像データをファイル保存することや印刷をすることができないようになっている。
【0022】
本実施の形態では、暗号化した暗号データを記録媒体Sに印刷し、秘密鍵の情報を有する特定の者のみ、暗号データを復号化できるので、画像データを記録媒体Sに機密にした状態で保存することができ、記録媒体Sが外部に流出した場合であっても、機密情報が第三者に漏れ難く、記録媒体Sに印刷された画像データの機密性を高めることができる。
【0023】
また、復号化した画像データのファイル保存や印刷を禁止してあるので、復号化した画像データの複製が作成されることがなく、復号化した画像データが第三者に漏れることをさらに防止できる。
【0024】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。尚、以下の説明において、上述した第1実施の形態と同一の作用効果を奏する部分には同一の符号を付することにより、その部分の詳細な説明を省略し、以下の説明では上述の第1実施の形態と異なる点を主に説明する。図5は本発明の第2実施の形態に係る画像処理装置を示し、図6は本発明の第3実施の形態に係る画像処理装置を示し、図7は本発明の第3実施の形態に係る画像処理装置を示している。
【0025】
第2実施の形態では、プリンタ5において、暗号データを記録した記録媒体Sの裏面に公開鍵kの情報を印刷するようにしている。このように、公開鍵kを記録媒体Sの裏面に印刷するので、公開鍵kの情報と暗号データの情報とを別々に読み取ることができ、公開鍵kを確実に読み取ることができる。
【0026】
第3実施の形態では、鍵情報付与手段15が公開鍵kを複数に分割し、分割した公開鍵k1〜k6を記録媒体Sの余白領域nに四方に分散させて印刷している。このように、分割した公開鍵kを記録媒体Sの余白領域nに分散させて印刷しているので、公開鍵kの解読がさらに困難であり、セキュリティをさらに高めることができる。
【0027】
第4実施の形態では、プリンタ5から暗号データを出力する際に、公開鍵kの情報と共に、スキャナ7で読み取る際の読み取り条件yのバーコード情報を記録媒体S上に印刷している。ここで、スキャナ7で読み取る際の読み取り条件yとは、画像データを読み取る際の解像度や読み取り範囲等をいう。このように、予め記録媒体S上に読み取り条件yが印刷されているので、PC画面上で読み取り範囲や解像度を設定する必要がなく、スキャナ操作が簡単である。
【0028】
尚、本発明は上述した実施の形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。第3実施の形態では、分割した公開鍵k1〜k6を記録媒体Sの余白領域nに四方に分散させて印刷しているが、記録媒体Sの印刷領域m内に印刷したり、暗号データを印刷した記録媒体の裏面に印刷したり、記録媒体の表面と裏面とに分けて印刷しても良い。
【0029】
上述の実施形態では、一方のPC装置3にプリンタの機能、他方のPC装置4にスキャナの機能を備えるようにしたが、何れか一方のPC装置のみがプリンタ機能とスキャナ機能の両方の機能を具備するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】第1実施の形態に係る画像処理装置の全体を説明する制御ブロック図である。
【図2】第1実施の形態に係る画像処理装置の処理動作を説明するフローチャートである。
【図3】第1実施の形態に係る画像処理装置を説明する概略図である。
【図4】第1実施の形態に係る画像処理装置において印刷された記録媒体を示す平面図であり、(a)は暗号データを示す図、(b)は復号化画像を示す図である。
【図5】第2実施の形態に係る画像処理装置において印刷された記録媒体を示す平面図であり、(a)は記録媒体の表面を示す図、(b)は記録媒体の裏面を示す図である。
【図6】第3実施の形態に係る画像処理装置において印刷された記録媒体を示す平面図であり、(a)は暗号データを示す図、(b)は復号化画像を示す図である。
【図7】第4実施の形態に係る画像処理装置において印刷された記録媒体を示す平面図であり、(a)は記録媒体の表面を示す図、(b)は記録媒体の裏面を示す図である。
【符号の説明】
【0031】
15 鍵情報付与手段
17 暗号化手段
19 複製防止手段
21 復号化手段
22 鍵情報入力手段
23 鍵情報判別手段
25 公開鍵分割手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
公開鍵及び秘密鍵を付与する鍵情報付与手段と、画像データを暗号化する暗号化手段と、暗号化した暗号データを記録媒体に印刷するプリンタ手段と、記録媒体に印刷された暗号データを読み取るスキャナ手段と、秘密鍵によって暗号データを復号化する復号化手段と、鍵情報入力手段と、鍵情報判別手段とを備え、プリンタ手段は暗号データに加えて公開鍵を記録媒体に印刷すると共に、鍵情報判別手段はスキャナ手段によって読み取った公開鍵と鍵情報入力手段によって入力された秘密鍵とを比較し、公開鍵と秘密鍵とが合致した場合にのみ、読み取った暗号データを復号化することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
プリンタ手段は暗号データを印刷した記録媒体の裏面に公開鍵を印刷することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
鍵情報付与手段は公開鍵を複数に分割し記録媒体上に分散させていることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
プリンタ手段は記録媒体上の暗号データをスキャナ手段で読み取るための読み取り条件を記録媒体上に印刷していることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
画像処理装置は復号化した画像データのファイル保存や印刷を禁止する複製防止手段を備えていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の画像処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2006−211202(P2006−211202A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−19549(P2005−19549)
【出願日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】