説明

画像処理装置

【課題】画像データのミラー処理または回転処理とライン補正とを迅速に行い得る画像処理装置を提供する。
【解決手段】
画像処置装置200は、イメージメモリ215から画像データを取得し、第一の受付部214から転送単位に含まれるライン数を取得し、前記画像データを、前記画像データの一画素に含まれるビット数からなるスワップ単位ごとにスワップし、画像データのアドレスをこのライン数からなる転送単位内でデクリメントしながら、第一のシステムメモリ212に転送する転送制御部218と、第一のシステムメモリ212に記憶されている画像データを取得し、第一の受付部214から上記ライン数を取得し、第二の受付部204からラインギャップ数を取得し、上記ライン数およびラインギャップ数に基づいて画像データをラインからなる領域内で再配列するライン補正部210とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カラー画像処理装置としては、例えば、コピー、スキャナ、プリンタ、ファクシミリおよびこれらの複合機が従来から知られている。このような装置は、スキャン機能を利用して、モノクロの画像データ、あるいはRGBまたはYMCKなどの方式からなるカラーの画像データを生成する。
【0003】
従来の画像処理装置としては、例えば特許文献1に記載されたものがある。同文献に記載された画像ファイリング装置を図9に示す。この画像ファイリング装置において、ディスク装置50には複数の画像データがタイル分割された状態で格納されている。CPU32は、インタフェース44を介してディスク装置50より画像データを1タイルずつ読み出す。DMAコントローラ40は、読み出された画像データをタイル毎に例えば90°単位で回転またはミラー反転させてタイルラインバッファに書き込んだ後、読み出す。CPU32は、読み出された画像データをインタフェース46を介して製版処理ワークステーション52に転送する。
【0004】
特許文献1によれば、この画像ファイリング装置によれば、ディスク装置より読み出した画像データに画像変換を施す際、製版処理ワークステーション内のCPUの処理負担を軽減させ、且つ、製版処理ワークステーション内のメインメモリの利用効率を向上できる旨記載されている。
【0005】
また、従来の画像処理装置としては、特許文献2に記載されたものもある。同文献に記載されたカラー画像処理装置を図10に示す。このカラー画像処理装置は、R信号処理部と、G信号処理部と、B信号処理部と、ライン補正部34とを備えている。
【0006】
R信号処理部は、CCD(R)センサ31a、アナログフロントエンド回路32a、A/D変換器33aを有する。G信号処理部は、CCD(G)センサ31b、アナログフロントエンド回路32b、A/D変換器33bを有する。B信号処理部は、CCD(B)センサ31c、アナログフロントエンド回路32c、A/D変換器33cを有する。
【0007】
上記のカラー画像処理装置には、R、G、Bのそれぞれの色について、CCDで構成されるラインイメージセンサを副走査方向に少しずつずらして並列に設けられている。この種のカラー画像処理装置は、各色のラインイメージセンサが並列に設けられているので、物理的に原稿上の同一ラインをそれぞれの色が同時に読み取ることが困難である。そこで、従来より、画像データを遅延させるライン補正メモリを設け、拡大、縮小率に応じた遅延量をおいて、ライン補正メモリより画像データを取り出し、原稿上の同じラインを読んだR、G、Bの画像データを揃えるようにしている。
【0008】
特許文献2によれば、このカラー画像処理装置は、所定の計算式に基づいて、遅延量を制御するので、回路規模を拡大させることなく、低コストで所定の変倍率を達成できるカラー画像処理装置を提供する旨記載されている。
【特許文献1】特開平8−44855号公報
【特許文献2】特開2004−72369号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記文献記載の従来技術は、以下の点で改善の余地を有していた。
【0010】
特許文献1の画像ファイリング装置によれば、多値(8ビット)のカラー画像データのミラー処理(左右中心線を基準として左右対称に変換する処理)または回転処理を行った場合、RGBの各ラインの配列順序が乱れる。また、カラー画像データを読み取る際、RGBの各ラインにラインギャップが発生する。しかし、特許文献1には、RGBの各ラインの配列順序の乱れまたはラインギャップを抑制する手段は記載されていない。
【0011】
特許文献2のカラー画像処理装置によれば、画像データのミラー処理または回転処理を行うことができない。仮に、制御部のCPUが、読み込んだソフトウェアに基づいて動作することにより、ライン補正済の画像データのミラー処理または回転処理を行うとすると、ソフトウェアに基づいてミラー処理または回転処理を実現しているので、時間がかかり過ぎ、CPUの負担が増大する。
【0012】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、画像データのミラー処理または回転処理とライン補正とを迅速に行い得る画像処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、複数のラインを含む画像データを記憶する第一の記憶手段と、複数のラインを含む画像データを記憶する第二の記憶手段と、画像データを転送する際の転送単位に含まれるライン数についての指示を受け付ける第一の受付部と、画像データに含まれるラインギャップ数についての指示を受け付ける第二の受付部と、第一の記憶手段から画像データを取得し、第一の受付部から上記ライン数を取得し、画像データを、画像データの一画素に含まれるビット数からなるスワップ単位ごとにスワップし、画像データに対して転送バス幅に応じたビット数ごとに設定されるアドレスを上記ライン数からなる転送単位内でデクリメントしながら、第二の記憶手段に転送する転送制御手段と、第二の記憶手段に記憶されている画像データを取得し、第一の受付部からライン数を取得し、第二の受付部からラインギャップ数を取得し、ライン数およびラインギャップ数に基づいて画像データをラインからなる領域内で再配列するライン補正手段と、を備える画像処理装置が提供される。
【0014】
この構成によれば、第一の記憶手段に記憶された画像データを、画像データの一画素に含まれるビット数からなるスワップ単位ごとにスワップしつつ、画像データに対して転送バス幅に応じたビット数ごとに設定されるアドレスを、受付部により受け付けたライン数からなる転送単位内でデクリメントしながら、第二の記憶手段に転送することができるので、第二の記憶部には反転処理または回転処理された画像データが記憶される。
【0015】
また、この構成によれば、第二の記憶手段に記憶されている画像データを、再配列手段によりラインからなる領域内で再配列することができるので、反転処理または回転処理されることにより生じた画像データのラインの配列の乱れおよびラインギャップを補正することができる。このため、この構成によれば、画像データのミラー処理または回転処理とライン補正とを迅速に行い得る。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、画像データのミラー処理または回転処理とライン補正とを迅速に行い得る画像処理装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
また、本発明に係る画像処理装置において、上記転送制御手段は、第一の記憶手段から読み出す画像データの読出アドレスを生成する読出アドレス生成手段と、読出アドレス生成手段から読出アドレスを取得し、読出アドレスに基づいて第一の記憶手段から画像データを読み出すデータ読出手段と、画像データの一画素に含まれるビット数からなるスワップ単位ごとに読み出された画像データをスワップするスワップ手段と、第二の記憶手段に書き込む画像データの書込アドレスを生成する書込アドレス生成手段と、書込アドレス生成手段から書込アドレスを取得し、書込アドレスに基づいて第二の記憶手段にスワップされた画像データを書き込むデータ書込手段と、を含み、読出アドレス生成手段または書込アドレス生成手段の一方は、第一の受付部から上記ライン数を取得し、前記画像データのアドレスを前記ライン数からなる前記転送単位内でデクリメントしたアドレスを生成するように構成することができる。
【0018】
この構成によれば、読出アドレス生成手段または書込アドレス生成手段の一方は、第一の受付部から上記ライン数を取得し、画像データのアドレスを上記ライン数からなる転送単位内でデクリメントしたアドレスを生成するため、CPUにかける負担を抑制しつつ、画像データを反転処理または回転処理することができる。
【0019】
本発明に係る画像処理装置において、上記画像データがカラー画像データまたはモノクロ画像データのいずれであるかを判断する画像タイプ判断部をさらに含み、上記スワップ手段は、画像タイプ判断部が前記画像データをカラー画像データであると判断する場合には、8ビットからなるスワップ単位ごとに画像データをスワップし、画像タイプ判断部が画像データをモノクロ画像データであると判断する場合には、1ビットからなるスワップ単位ごとに画像データをスワップするように構成することができる。
【0020】
この構成によれば、画像タイプ判断部の判断に基づいて、カラー画像データの場合には8ビットからなるスワップ単位ごとに画像データをスワップし、モノクロ画像データの場合には1ビットからなるスワップ単位ごとに画像データをスワップできる。このため、画像タイプに応じた方式で画像データを転送することができる。その結果、簡単な構成により、カラー画像データおよびモノクロ画像データの双方のいずれかを選択して反転処理または回転処理することができる。
【0021】
本発明に係る画像処理装置において、上記読出アドレス生成手段は、第一の記憶手段から読み出す画像データのアドレスを16ビットごとに生成するように構成することができる。
【0022】
この構成によれば、FAXなどの画像処理装置においてよく用いられる16ビットの幅からなるバスを有効に用いて、画像データを高速に反転処理または回転処理することができる。
【0023】
本発明に係る画像処理装置において、上記ライン補正手段は、第一の受付部から上記ライン数を取得し、上記ライン数からなる領域内で画像データのラインの配列を逆転させるライン配列逆転手段と、第二の受付部からラインギャップ数を取得し、個々のラインに対応するラインギャップ数だけ個々のラインの配列を一方向に移動させるラインギャップ補正手段とを含んでもよい。
【0024】
この構成によれば、第一の受付部から取得した上記ライン数のラインからなる領域内で、ラインの配列を逆転させるライン配列逆転手段により、色相の配列が逆転した画像データの色相の配列を再逆転してもとに戻すことができる。また、個々のラインに対応するラインギャップ数だけ個々のラインの配列を一方向に移動させるラインギャップ補正手段により、画像データが有するラインギャップを解消することができる。
【0025】
本発明に係る画像処理装置において、上記画像データは、複数の互いに異なる色相のラインからなるブロックを複数本含む画像データであり、上記ライン補正手段は、転送制御手段により、ブロック内における色相の配置が逆転してなる画像データのラインを再配列し、ブロック内における色相の配置を再逆転させるように構成されていてもよい。
【0026】
この構成によれば、画像データを、カラー画像データの一画素に含まれるビット数からなるスワップ単位ごとにスワップしつつ、受付部により受け付けたライン数からなる転送単位内でデクリメントすることができる。このため、転送の際にRGBなどの各色ラインの配列が乱れるが、ライン補正を行う際に各色ラインの配列を修正し得る。その結果、画質の低下を抑制しつつ、カラー画像データのミラー処理または回転処理とライン補正とを迅速に行い得る。
【0027】
本発明に係る画像処理装置において、上記第一の受付部は、画像データのミラー処理または回転処理のいずれかを選択することをオペレータに提示し、オペレータからミラー処理を選択する旨の指示を受け付けると、転送単位を3の倍数からなる本数のラインに設定し、オペレータから回転処理を選択する旨の指示を受け付けると、転送単位を画像データの1ページに設定するように構成することができる。
【0028】
または、本発明に係る画像処理装置において、上記第一の受付部は、画像データのミラー処理または回転処理のいずれかを選択することをオペレータに提示し、オペレータからミラー処理を選択する旨の指示を受け付けると、転送単位を1ラインに設定し、オペレータから回転処理を選択する旨の指示を受け付けると、転送単位を画像データの1ページに設定するように構成することができる。
【0029】
または、本発明に係る画像処理装置において、上記第一の受付部は、画像データのミラー処理または回転処理のいずれかを選択することをオペレータに提示し、オペレータからミラー処理を選択する旨の指示を受け付けると、転送単位を画像データの1ページに設定し、オペレータから回転処理を選択する旨の指示を受け付けると、転送単位を画像データの1ページに設定するように構成することができる。
【0030】
これらの構成によれば、ミラー処理および回転処理のいずれを受け付けた場合にも、ライン数の設定を行う簡単な処理により、受け付けた指示に応じた適切な画像処理を行うことができる。
【0031】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0032】
図1は、本実施形態における画像処理装置の構成を示す機能ブロック図である。本実施形態では、画像処理装置200は、カラー画像処理装置であり、スキャナ機能やコピー機能を有する。図1は、本発明に関連する主要な要素を示している。
【0033】
画像処理装置200は、図示されないが、給紙部、印刷部などの通常の複合型コピー機が備える構成を有している。また、画像処置装置200は、さらにファックス通信機能などの通信機能を備え、そのための構成が設けられていてもよい。画像処理装置200は、多値(8ビット)のカラーデータのミラー処理(左右中心線を基準として左右対称に変換する処理)または回転処理(中心点基準として180°回転する処理)を行う。また、画像処理装置200は、2値(1ビット)のモノクロデータのミラー処理または回転処理も行うことができる。なお、イメージバス201およびシステムバス203のバス幅は16ビットである。すなわち、イメージバス201およびシステムバス203において同時に転送できるデータ量(バス幅)は16ビットである。
【0034】
より具体的には、画像処置装置200は、複数のラインを含む画像データを記憶するイメージメモリ215(第一の記憶手段)と、複数のラインを含む画像データを記憶する第一のシステムメモリ212(第二の記憶手段)と、を備える。また、画像処置装置200は、画像データを転送する際の転送単位に含まれるライン数についての指示を受け付ける第一の受付部214(操作パネル)と、画像データに含まれるラインギャップ数についての指示を受け付ける第二の受付部204(ラインギャップ数の設定部)とを備える。
【0035】
画像処置装置200は、イメージメモリ215から画像データを取得し、第一の受付部214から上記ライン数を取得し、画像データを、画像データの一画素に含まれるビット数からなるスワップ単位ごとにスワップし、画像データに対して転送バス幅に応じたビット数ごとに設定されるアドレスを上記ライン数からなる転送単位内でデクリメントしながら、第一のシステムメモリ212に転送する転送制御部218を備える。さらに、画像処置装置200は、第一のシステムメモリ212に記憶されている画像データを取得し、第一の受付部214から上記ライン数を取得し、第二の受付部204からラインギャップ数を取得し、上記ライン数およびラインギャップ数に基づいて画像データをラインからなる領域内で再配列するライン補正部210を備える。画像処理装置200は、その他、予備の第二のシステムメモリ216などを備える。
【0036】
画像データ取得部202は、スキャナの機能を有し、原稿を読み取ってRGB形式のカラー画像データ(以下、RGBデータ)を生成する。ここで、画像データ取得部202は、画像を所定ラインからなる領域内で読み取る。この画像データ取得部202には、後述するように、R、G、Bのそれぞれの色について、CCDで構成されるラインイメージセンサを副走査方向に少しずつずらして並列に設けられている。この種の画像データ取得部202には、このように各色のラインイメージセンサが並列に設けられているので、物理的に原稿上の同一ラインについてそれぞれの色を同時に読み取ることが困難である。このため、画像データ取得部202により取得された画像データには、各色のラインからなる領域内でラインギャップが生じる。
【0037】
イメージメモリ215は、画像データ取得部202が読み取ったRGBデータをイメージバス201を介して受け取り、記憶する。イメージメモリ215は、例えばSDRAMである。
【0038】
転送制御部218は、イメージメモリ215に記憶されたRGBデータを第一のシステムメモリ212に転送する。転送制御部218は、画像データがカラー画像データであり、ミラー処理を行う場合には、RGBデータそれぞれを3本のラインからなる転送単位で転送する。なお、イメージメモリ215から第一のシステムメモリ212へのデータ転送は、イメージバス201およびシステムバス203を介して行われる。第一のシステムメモリ212は、例えばSDRAMである。第一のシステムメモリ212は、イメージメモリ215から転送されたRデータ、Gデータ、Bデータをそれぞれ記憶する複数のバンクを有する。
【0039】
第一の受付部214は、画像データのミラー処理または回転処理のいずれかを選択することを液晶画面(不図示)などを介してオペレータに提示する。第一の受付部214は、オペレータからミラー処理を選択する旨の指示を受け付けると、上記転送単位を1ライン以上(例えば、RGB各1ラインからなる3ライン)に設定し、設定値を転送制御部218に送信する。第一の受付部214は、オペレータから回転処理を選択する旨の指示を受け付けると、上記転送単位を画像データに含まれるライン数(すなわち、画像データのページごと)に設定し、設定値を転送制御部218に送信する。
【0040】
図2(a)は、実施形態に係る画像処理装置の転送制御部218の詳細な構成を示す機能ブロック図である。転送制御部218は、イメージメモリ215から読み出すデータのアドレスを生成する読出アドレス生成部221と、読出アドレス生成部221から読出アドレスを取得し、読出アドレスに基づいてイメージメモリ215から画像データを読み出すデータ読出部231と、を備える。また、転送制御部218は、第一のシステムメモリ212に書き込むデータのアドレスを生成する書込アドレス生成部223と、書込アドレス生成部223から書込アドレスを取得し、書込アドレスに基づいて第一のシステムメモリ212に画像データを書き込むデータ書込部233と、を備える。
【0041】
転送制御部218では、この読出アドレス生成部221または書込アドレス生成部223の一方は、第一の受付部214から上記転送単位に含まれるライン数を取得し、画像データのアドレスを上記ライン数からなる転送単位内でデクリメントしたアドレスを生成するように構成されている。
【0042】
なお、読出アドレス生成部221は、イメージメモリ215内の同一のバンクに記憶されているRデータ、Gデータ、Bデータを一連のRGBデータとして読み込む。書込アドレス生成部223は、RGBデータを第一のシステムメモリ212内の同一のバンクに書き込む。このとき、読出アドレス生成部221および書込アドレス生成部223は、イメージメモリ215から読み出す画像データのアドレスを16ビットごとに生成する。
【0043】
データ読出部231およびデータ書込部233は、DMAコントローラ219(ダイレクトメモリーアクセスコントローラ)を構成する。また、中央演算処理部225は、第一の受付部214から反転または回転処理についての指示を受けると、この指示を読出アドレス生成部221および書込アドレス生成部223に送信してこれらの構成要素を制御する。
【0044】
なお、Direct Memory Access(DMA)とは、中央演算処理装置(CPU)からの干渉なく、データを計算機中である場所から別の場所に動かすための手法を意味する。DMAコントローラ219は、DMA転送のたびにアドレスをインクリメントやデクリメントさせることも、変化させないことも可能なため、データの並び順を反転させたメモリ・メモリ間転送とか、特定の値でメモリブロックをクリアしたり、あるいはメモリマップドI/Oとのデータ転送も可能である。
【0045】
図2(b)は、実施形態に係る画像処理装置のライン補正部210の詳細な構成を示す機能ブロック図である。ライン補正部210は、画像データに含まれるRGBの各1本ずつのラインからなる3本のラインの配置をそれぞれ反転させるRGBライン反転処理部241を備える。ライン補正部210は、RGBの各ラインについて、ラインギャップ数だけラインを下方に移動させることにより、RGBのラインギャップを低減させるラインギャップ補正部243を備える。中央演算処理部245は、第一の受付部214からアドレスをデクリメントする単位のライン数について指示を受けると、RGBライン反転処理部241に対して、指示されたライン数(たとえばRGB各1ラインからなる3ライン)ごとにラインを反転するように指示を送信して制御する。中央演算処理部245は、第2の受付部204から画像データ取得部202のラインギャップ数についてあらかじめ設定されている指示を受けると、この指示をラインギャップ補正部243に送信して制御する。
【0046】
図3は、本実施形態に係る画像処理装置200の画像データ取得部202の詳細な構成を示す機能ブロック図である。この画像データ取得部202は、B信号処理部と、G信号処理部と、R信号処理部とを備えている。
【0047】
R信号処理部は、CCD(R)センサ301aと、アナログフロントエンド(AFE)回路302aと、A/D変換器303aとを備えている。また、G信号処理部は、CCD(G)センサ301bと、アナログフロントエンド(AFE)回路302bと、A/D変換器303bとを備えている。また、B信号処理部は、CCD(B)センサ301cと、アナログフロントエンド(AFE)回路302cと、A/D変換器303cとを備えている。
【0048】
本実施形態に係る画像処理装置の動作について、以下説明する。図4は、実施形態に係る画像処理装置200の動作を説明するためのフローチャートである。画像処理装置200の操作者が第一の受付部214に対して、コピーを行う指示を入力すると、第一の受付部214は、この指示を画像データ取得部202に送信する。この指示を受け取った画像データ取得部202は、原稿台に設置された用紙などを走査してRGB形式の画像データを取得し、イメージメモリ215に記憶させる。
【0049】
第一の受付部214は、コピーを行う指示を受ける前に、ミラー処理または回転処理を行う旨の指示を受け付けていた場合には、その指示を転送制御部218の中央演算処理部225に送信する。中央演算処理部225は、ミラー処理または回転処理を行う旨の指示を受け付けた(S101)場合には、読出アドレス生成部221を制御して、画像メモリ(イメージメモリ215)内に格納されている画像データの書き込み終了アドレス(Bm−nアドレス)を、転送元アドレス(転送開始アドレス)Nとして設定した読出アドレスを生成させる(S102)。一方、ミラー処理または回転処理をしない場合については、後述する。
【0050】
次いで、転送制御部218のデータ読出部231は、この読出アドレスを読出アドレス制御部から取得して、この読出アドレスに基づいてイメージメモリ215から画像データを読み出す。この際、画像データをN番地から読み出すことになる(S103)。このように、画像データを終端のアドレスから読み出すために、画像データのアドレスはデクリメントされる。具体的には、イメージメモリ215から読み出した画像データをDMA転送する際には、後述する、図7のR0−1〜Bm−nまでを1ラインとし、Bm−nが記憶されているアドレスを転送開始アドレスとする。
【0051】
具体的には、転送制御部218の中央演算処理部225は、第一の受付部214から転送単位のライン数についての指示を取得する。中央演算処理部225は、取得した転送単位のライン数からなる領域内で画像データのアドレスをデクリメントする旨の指示を読出アドレス生成部221に送信する。指示を取得した読出アドレス生成部221は、指示されたライン数からなる領域内で画像データのアドレスをデクリメントする。指示されたライン数からなる領域内でデクリメントされたアドレスを取得したデータ読出部231は、取得したアドレスに基づいてイメージメモリ215から画像データを読み出す。
【0052】
このとき、第一の受付部214は、画像データのミラー処理または回転処理のいずれかを選択することを液晶画面(不図示)などを介してオペレータに提示する(S105)。そして、第一の受付部214は、オペレータからミラー処理を選択する旨の指示を受け付けると、転送単位をRGB各1ラインからなる3ラインに設定する(S107)。また、第一の受付部214は、オペレータから回転処理を選択する旨の指示を受け付けると、転送単位を画像データのページを構成する全ライン数に設定する(S109)。
【0053】
次いで、DMAコントローラ219は、読み出した画像データを所定のビット数毎にバイトスワップまたは1ビット毎にビットスワップする。この際、中央演算処理部225は、読み出した画像データがカラー画像データまたはモノクロ画像データのいずれであるかを判断する(S104)。中央演算処理部225は、読み出した画像データがカラー画像データであると判断する場合には、画像データをRGB画素を構成するビット数(8ビット)からなるバイト(スワップ単位)毎にバイトスワップする(S106)。一方、中央演算処理部225は、読み出した画像データがモノクロ画像データであると判断する場合には、画像データをモノクロ画素を構成するビット数(1ビット)からなるビット(スワップ単位)毎にビットスワップする(S108)。
【0054】
まとめると、処理内容に応じて、転送時のスワップ処理およびDMA単位は、下記の表1に示すような組合せにより処理する。
【0055】
【表1】

【0056】
このように、画像データを所定のビット数毎にバイトスワップまた1ビット毎にビットスワップし、転送単位のライン数からなる領域内で上記のアドレスのデクリメントを行うことにより、画像データのデータ構造は、図7に示すような変化を示す。図7は、本実施形態に係る画像処理装置の転送制御部の動作による画像データのデータ構造の変化を示すデータ構造図である。すなわち、カラー画像データをミラー処理する際に、画像データのアドレスをRGB各1ラインからなる3ラインの領域内でデクリメントし、画像データのRGB画素を8ビットごとにバイトスワップした場合の画像データのデータ構造の変化を示す図である。
【0057】
図7において、Rm−n,Gm−n,Bm−nは、多値カラーデータの場合、それぞれ左からm番目およびn番目の画素の赤,緑,青の色成分の信号を表わす。ここでは、画像データのアドレスを所定のライン数(RGB各1ラインからなる3ライン)からなる領域内でデクリメントし、画像データのRGB画素を8ビットごとにバイトスワップすることにより、RGB各1本のライン3本からなるブロック内のRGBラインの相対位置が反転している。また、いずれのラインにおいても、各画素データの左右の配列が反転している。
【0058】
なお、ビット/バイトスワップ機能とは、ビット単位/バイト単位でデータ順序を入れ替える機能を意味する。すなわち、データをD[15:0](D[15、14、・・・1、0])と定義する。この場合、このデータをビットスワップするとD[0:15]になる。一方、8ビットを1バイトとしてバイトスワップすると、D[7:0、15:8]になる。
【0059】
次いで、中央演算処理部225は、書込アドレス生成部223を制御して、所定の転送単位内でデクリメントされたアドレスにより読み出され、バイトスワップまたはビットスワップされた画像データを、そのデクリメントされたアドレス順序のままとする書込アドレスを生成する。さらに、この書込アドレスを取得したデータ書込部233は、画像データを転送先へ転送する(S111)。すなわち、画像データを第一のシステムメモリ212に書き込む。
【0060】
中央演算処理部225は、イメージメモリ215中にもはやDMA転送が完了していない画像データが残存しているか否か調べ、残存していない場合には、DMA転送を終了する(S113)。一方で、未だDMA転送が完了していない画像データが残存している場合には、N=N−1として(S115)、すなわち読み出す番地をデクリメントして、さらに転送制御部218のデータ読出部231は、イメージメモリ215から画像データのN番地(N−1番地)を読み出す(S103)。こののち、DMA転送を終了するまで、同様のステップを繰り返す。なお、この際、次のRGBに進む場合には、一旦DMA転送を終了し、新たにNに次のBm−nのアドレスを入力し、DMA転送を再度開始することとしてもよい。
【0061】
図5は、実施形態に係る画像処理装置の動作を説明するためのフローチャートである。一方、ステップ101において、ミラー処理または回転処理をしない場合については、画像メモリの書き込み開始アドレス(R0−1)を、転送元アドレス(転送開始アドレス)Nとして設定する(S121)。そして、上記と同様に、転送制御部218のデータ読出部231がイメージメモリ215から画像データのN番地を読み出し(S123)、データ書込部233が画像データを第一のシステムメモリ212に書き込むことにより、画像データを転送先へ転送する(S125)。この転送の過程において、アドレスをデクリメントすることなく、そのままのアドレス順序で画像データが転送される。
【0062】
そして、中央演算処理部225は、DMA転送が終了すると、転送制御部218の動作を終了させる(S127)。一方で、未だDMA転送が完了していない画像データが残存している場合には、N=N+1として(S129)、さらに転送制御部218のデータ読出部231は、イメージメモリ215から画像データのN番地(N+1番地)を読み出す(S123)。こののち、DMA転送を終了するまで、同様のステップを繰り返す。なお、この際、次のRGBに進む場合には、一旦DMA転送を終了し、新たにNに次のR0−1のアドレスを入力し、DMA転送を再度開始する。
【0063】
上記のようにして、DMA転送の動作を行った後に、下記のように、ライン補正の動作を行う。図6は、実施形態に係る画像処理装置のライン補正部210の動作を説明するためのフローチャートである。ライン補正部210は、RGB各1本のライン3本からなるブロック毎に、ライン補正の処理を順次行う。ライン補正部210の中央演算処理部245は、転送制御部218により、第一のシステムメモリ212に画像データが転送されてきた旨の情報を、第一のシステムメモリ212を検索することにより取得すると、第一のシステムメモリ212内の最初のブロック(n=1)のライン補正処理を開始する(S301)。
【0064】
ライン補正処理が開始されると、中央演算処理部245は、第一のシステムメモリ212内の画像データのバンクから3n行目のデータを読み出し(S303)、RGBライン反転処理部241およびラインギャップ補正部243と協働して、第二のシステムメモリ216内のバンクの3n−2行目にデータを書き込む(S305)。
【0065】
なお、RGBライン反転処理部241およびラインギャップ補正部243は、中央演算処理部245に隣接して設けられているメモリ中にロードされているプログラムのモジュールである。この2つのモジュールが組み合わさって一つのプログラムを構成し、中央演算部245がこのプログラムのアルゴリズムに基づいて図6に示すアルゴリズムを実行する。
【0066】
ラインギャップ解消のための基準とするRラインについては、中央演算処理部245とRGBライン反転処理部241とが協働して、2ライン上のラインに移動させることにより、転送により反転してBGR配列となってしまった色相配列を、もとのRGB配列に相当する位置に戻す。
【0067】
次いで、中央演算処理部245は、第一のシステムメモリ212内の画像データのバンクから3n−1行目のデータを読み出し(S307)、RGBライン反転処理部241およびラインギャップ補正部243と協働して、第二のシステムメモリ216内のバンクの(3n−1)+6行目にデータを書き込む(S309)。
【0068】
画像データ取得部202が取得してきた当初から、Gラインは、Rラインに対してブロック2本分(ライン6本文)のラインギャップを有する。また、Gラインについては、RGB配列がBGR配列に反転しても、ブロック内での相対的位置は維持される。このため、中央演算処理部245とラインギャップ補正部243とが協働して、6ライン下のラインに移動させることにより、Gラインについてのラインギャップを解消する。
【0069】
次いで、中央演算処理部245は、第一のシステムメモリ212内の画像データのバンクから3n−2行目のデータを読み出し(S311)、RGBライン反転処理部241およびラインギャップ補正部243と協働して、第二のシステムメモリ216内のバンクの(3n−2)+2+12行目にデータを書き込む(S313)。
【0070】
画像データ取得部202が取得してきた当初から、Bラインは、Rラインに対してブロック4本分(ライン12本文)のラインギャップを有する。また、Bラインについては、RGB配列がBGR配列に反転することに伴い、ブロック内での相対的位置が反転してしまっている。このため、中央演算処理部245とRGBライン反転処理部241とラインギャップ補正部243とが協働して、2ライン+12ライン下のラインに移動させることにより、Bラインについてのラインギャップを解消し、転送により反転してBGR配列となってしまった色相配列を、もとのRGB配列に相当する位置に戻す。
【0071】
このように、画像データを転送制御部218により反転処理しつつ転送し、ライン補正部210により、ラインの再配列を行うと、画像データのデータ構造は、図8に示すような変化を示す。図8は、本実施形態に係る画像処理装置の動作による画像データのデータ構造の変化を示すデータ構造図である。
【0072】
図8において、R(Ri−Lj),G(Gi−Lj),B(Bi−Lj)は、それぞれ画像データ取得部202が当初取得した画像データにおける取得した順番(i番目)にしたがって並べた後、ライン補正部210によるライン補正処理の結果ラインギャップが解消された状態では上からj番目にあたるラインであって、画素の赤,緑,青の色成分の信号からなるラインを表わす。
【0073】
ここでは、転送制御部218の転送処理により、画像データのアドレスを所定のライン数(RGB各1ラインからなる3ライン)からなる領域内でデクリメントし、画像データのRGB画素を8ビットごとにバイトスワップした結果、RGB各1本のライン3本からなるブロック内のRGBラインの相対位置が反転している。また、いずれのラインにおいても、各画素データの左右の配列が反転している。
【0074】
そして、その転送された画像データを、ライン補正部210により、適宜RGBラインの相対位置を反転処理したり、ラインギャップを補正したりすることにより、RGBラインの相対位置を元に戻した上で、全体のラインギャップを解消されている。
本実施形態の画像処理装置による作用効果について、以下説明する。
【0075】
第一に、画像処理装置200によれば、画像データのミラー処理または回転処理とライン補正とを迅速に行い得る。すなわち、転送制御部218において、画像データのアドレスを所定のライン数(RGB各1ラインからなる3ライン)からなる領域内でデクリメントし、画像データのRGB画素を8ビットごとにバイトスワップすれば、ミラー処理を行うことができる。また、転送制御部218において、画像データのアドレスをページ単位(ページを構成する全ライン数毎)の領域内でデクリメントし、画像データのRGB画素を8ビットごとにバイトスワップすれば、回転処理を行うことができる。ミラー処理の際、RGB配列が反転してBGR配列となるが、ライン補正部において、BGR配列をRGB配列に戻し、画像データが当初から有するラインギャップを解消することができる。したがって、画像処理装置200によれば、DMA転送処理に伴う画像データの画質の低下を抑制し、むしろラインギャップの解消により画質を向上することができる。
【0076】
第二に、画像処理装置200によれば、画像データの反転処理または回転処理を迅速に実行可能である。すなわち、転送制御部218は、DMA(ダイレクトメモリアクセスコントローラ)に転送処理を実質的に行わせるため、CPUおよびソフトウェアを用いて画像データの転送を行うよりも迅速に、デクリメントしつつビットスワップまたはバイトスワップすることができる。したがって、高速かつ正確な画像データの反転処理または回転処理が可能となる。
【0077】
第三に、画像処理装置200によれば、回路配置を簡略化できる。すなわち、ライン補正部210は、RGBライン反転処理部241およびラインギャップ補正部243の2種類のコンポーネントの組み合わせである画像データ補正プログラムと、中央演算処理部245とが協働する仕組みである。このため、中央演算処理部245は、画像データ補正プログラムを読み込み、画像データ補正プログラムを実行することにより、画像データをラインからなる領域内で再配列可能である。したがって、ソフトウェアによりライン補正を行うため、ライン補正を行うための複雑な回路配置が不要となり、画像処理装置200の回路配置を簡略化できる。
【0078】
また、この際、通常の複合型コピー機に備わるLSIのDMA機能は、アドレス制御において16ビット幅のデクリメント機能を備え、またデータ制御においてバイト/ビットスワップ機能を備えるので、それらの機能を使ってカラーデータの高速ミラー処理または回転処理を実現する。このため、汎用的に備えている機能をうまくカラーデータのミラー処理に活用できる。この観点からも、画像処理装置200の回路配置を簡略化できる。また、この画像処理装置200によれば、モノクロデータの場合も、同様の作用効果が得られる。
【0079】
一方、画像処理装置200の作用効果の説明のために、本実施形態とは異なる構造の画像処理装置について対比して説明すると、以下の通りである。すなわち、本実施形態とは異なる構造の画像処理装置においては、先に画像データのラインギャップを解消し、その後、画像データを転送しつつアドレスのデクリメントを行う。
【0080】
この場合、イメージメモリ215からライン補正済の画像データをCCDからのビデオ信号を1画素8ビットの多値データに変換し、それを2画素単位(16ビット単位)で第一のシステムメモリ212に転送する(バス幅が16ビットであるため)場合、イメージメモリ215からデータを読み出す際に、画像データのRGB配列がBGR配列に反転してしまう。このため、画像データの転送後にさらにBGR配列をRGB配列に戻す手段を回路構成として設ける場合には、全体の装置構成が複雑になる。また、同様の手段をミラー処理を実現するソフトウェアとして設ける場合には、画像データの処理時間が長時間化する。
【0081】
これに対して、画像処理装置200では、多値(8ビット)のカラーデータのミラー処理を行うに際して、2画素16ビット単位で読み取ったカラーデータをイメージメモリ215に記憶する機能がある。また、LSIに備わるDMAコントローラ219には、16ビット幅のイメージメモリ215に対するアドレス制御にデクリメント機能があり、またデータ制御にビット/バイトスワップ機能がある。
【0082】
そして、ラインギャップのある状態でRGBのデータが記憶されたイメージメモリ215に対して、ライン終端アドレス(RGBを1ラインとした場合のライン終端アドレス)を転送開始アドレスとしてDMA転送する。DMA転送は、アドレスをデクリメントしつつ行う。またDMA転送では、データをバイトスワップさせる。
【0083】
これにより、RGBの各ラインでは、ミラー処理が実現できる。但し、副走査方向においてRGBの順序が逆になる。すなわち、ラインギャップを含んだRGBをミラーしたので、ラインギャップを含んだBGRになってしまう。これを、主走査のデータがミラーになっていて、且つ、ラインギャップのないRGBのデータにする必要がある。
【0084】
副走査方向で逆になった順序は、後処理であるラインギャップ補正において、元の順序に戻すことができる。すなわち、BGR→RGB(副走査方向)のライン順序入れ替え処理と、ラインギャップ補正処理と、を考慮したライン操作を行う。このライン操作は、いずれもソフトウェアにより処理可能である。このため、副走査方向の順序修正のために、新たに回路を追加する必要がない。
【0085】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0086】
例えば、上記実施形態では、イメージメモリ215(イメージバス201上)から読み出したデータは、符号化等はされずに、そのまま第一のシステムメモリ212(システムバス203上)に転送され、ライン補正処理がおこなわれる。そして、そのままの状態(符号化していない状態)で外部端末(PC)に転送されたり、液晶表示部などに表示されたり、印刷部でカラー印刷されたり、インターネット上に送信されたりする。しかし、ライン補正後であれば、特に符号化等を排除する趣旨ではなく、符号化した上で、あるいはJPEG LSIを通してJPEG圧縮を行った後、同様に符号化した画像データを活用してもよい。
【0087】
また、上記実施形態では、カラー画像のミラー処理を行う場合のDMAによる転送単位を、RGB各1本からなる3本のラインの転送単位としたが、特に限定する趣旨ではない。例えば、DMAによる転送単位を、RGB合わせた3ラインではなく、RGB個別にしたときの1ラインずつにしてもよい。すなわち、最初のDMAによる転送単位の開始アドレスをRラインの最後のアドレスとすることができる。この場合、転送元のイメージメモリ215から転送された画像データを転送先の第一のシステムメモリ212に書き込む際、転送先アドレスにラインギャップ分を考慮したアドレスを設定すると、書き込まれた画像データはラインギャップ補正がされた画像データとなる。そのため、ソフトウェアによるライン補正処理を省略することができる。
【0088】
あるいは、DMAによる転送単位を、RGB合わせた3ラインではなく、その整数倍(2倍以上)としてもよい。すなわち、DMAによる転送単位を、RGBRGBの計6ラインとしたり、あるいは計9ラインとしてもよい。このとき、最初のDMAによる転送単位の開始アドレスを、RGBRGBの計6ラインの場合、2つ目のBラインの最後のアドレスとすることができる。この場合、DMAによる転送回数が減少するため、転送処理が簡単になる。したがって、より一層高速かつ正確な画像データの反転処理または回転処理が可能となる。
【0089】
また、DMAによる転送単位を、RGB合わせた3ラインではなく、画像データの1ページを構成するライン数としてもよい。すなわち、最初のDMAによる転送単位の開始アドレスを、画像データの1ページの最終のBラインの最後のアドレスとすることができる。この場合、転送元のイメージメモリ215および転送先のシステムメモリ212も1ページ分の容量を有するように構成することにより、画像データの1ページ分のデータのDMA転送を円滑に行うことができる。この場合、DMAによる転送回数が1ページにつき1回で済むため、転送処理が簡単になる。したがって、より一層高速かつ正確な画像データの反転処理または回転処理が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】実施形態における画像処理装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図2】実施形態に係る画像処理装置の転送制御部およびライン補正部の詳細な構成を示す機能ブロック図である。
【図3】実施形態に係る画像処理装置の画像データ取得部の詳細な構成を示す機能ブロック図である。
【図4】実施形態に係る画像処理装置の転送制御部の動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】実施形態に係る画像処理装置の転送制御部の動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】実施形態に係る画像処理装置のライン補正部の動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】実施形態に係る画像処理装置の転送制御部の動作による画像データのデータ構造の変化を示すデータ構造図である。
【図8】実施形態に係る画像処理装置の動作による画像データのデータ構造の変化を示すデータ構造図である。
【図9】従来の画像ファイリング装置の構成を説明するための機能ブロック図である。
【図10】従来のカラー画像処理装置の構成を説明するための機能ブロック図である。
【符号の説明】
【0091】
31a CCD(R)センサ
31b CCD(G)センサ
31c CCD(B)センサ
32 CPU
32a アナログフロントエンド回路
32b アナログフロントエンド回路
32c アナログフロントエンド回路
33a A/D変換器
33b A/D変換器
33c A/D変換器
34 ライン補正部
40 DMAコントローラ
44 インタフェース
46 インタフェース
50 ディスク装置
52 製版処理ワークステーション
200 画像処理装置
201 イメージバス
202 画像データ取得部
203 システムバス
204 第二の受付部
210 ライン補正部
212 第一のシステムメモリ
214 第一の受付部
215 イメージメモリ
216 第二のシステムメモリ
218 転送制御部
219 DMAコントローラ
221 読出アドレス生成部
223 書込アドレス生成部
225 中央演算処理部
231 データ読出部
233 データ書込部
241 RGBライン反転処理部
243 ラインギャップ補正部
245 中央演算処理部
301a CCD(R)センサ
301b CCD(G)センサ
301c CCD(B)センサ
302a アナログフロントエンド(AFE)回路
302b アナログフロントエンド(AFE)回路
302c アナログフロントエンド(AFE)回路
303a A/D変換器
303b A/D変換器
303c A/D変換器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のラインを含む画像データを記憶する第一の記憶手段と、
複数のラインを含む画像データを記憶する第二の記憶手段と、
前記画像データを転送する際の転送単位に含まれるライン数についての指示を受け付ける第一の受付部と、
前記画像データに含まれるラインギャップ数についての指示を受け付ける第二の受付部と、
前記第一の記憶手段から前記画像データを取得し、前記第一の受付部から前記ライン数を取得し、前記画像データを、前記画像データの一画素に含まれるビット数からなるスワップ単位ごとにスワップし、前記画像データに対して転送バス幅に応じたビット数ごとに設定されるアドレスを前記ライン数からなる転送単位内でデクリメントしながら、前記第二の記憶手段に転送する転送制御手段と、
前記第二の記憶手段に記憶されている前記画像データを取得し、前記第一の受付部から前記ライン数を取得し、前記第二の受付部から前記ラインギャップ数を取得し、前記ライン数および前記ラインギャップ数に基づいて前記画像データを前記ラインからなる領域内で再配列するライン補正手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記転送制御手段は、
前記第一の記憶手段から読み出す画像データの詠出アドレスを生成する読出アドレス生成手段と、
前記読出アドレス生成手段から前記読出アドレスを取得し、前記読出アドレスに基づいて前記第一の記憶手段から前記画像データを読み出すデータ読出手段と、
前記画像データの一画素に含まれるビット数からなる前記スワップ単位ごとに前記読み出された画像データをスワップするスワップ手段と、
前記第二の記憶手段に書き込む画像データの書込アドレスを生成する書込アドレス生成手段と、
前記書込アドレス生成手段から前記書込アドレスを取得し、前記書込アドレスに基づいて前記第二の記憶手段に前記スワップされた画像データを書き込むデータ書込手段と、
を含み、
前記読出アドレス生成手段または前記書込アドレス生成手段の一方は、前記第一の受付部から前記ライン数を取得し、前記画像データのアドレスを前記ライン数からなる前記転送単位内でデクリメントしたアドレスを生成するように構成されている
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像処理装置において、
前記画像データがカラー画像データまたはモノクロ画像データのいずれであるかを判断する画像タイプ判断部をさらに含み、
前記スワップ手段は、前記画像タイプ判断部が前記画像データをカラー画像データであると判断する場合には、8ビットからなる前記スワップ単位ごとに前記画像データをスワップし、前記画像タイプ判断部が前記画像データをモノクロ画像データであると判断する場合には、1ビットからなる前記スワップ単位ごとに前記画像データをスワップするように構成されている
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の画像処理装置において、
前記読出アドレス生成手段は、前記第一の記憶手段から読み出す画像データのアドレスを16ビットごとに生成するように構成されている
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項1乃至4いずれかに記載の画像処理装置において、
前記ライン補正手段は、
前記第一の受付部から前記ライン数を取得し、前記ライン数からなる領域内で前記画像データのラインの配列を逆転させるライン配列逆転手段と、
前記第二の受付部から前記ラインギャップ数を取得し、個々の前記ラインに対応する前記ラインギャップ数だけ個々の前記ラインの配列を一方向に移動させるラインギャップ補正手段と、
を含む
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
請求項1乃至5いずれかに記載の画像処理装置において、
前記画像データは、複数の互いに異なる色相のラインからなるブロックを複数本含む画像データであり、
前記ライン補正手段は、前記転送制御手段により前記ブロック内における色相の配置が逆転してなる前記画像データのラインを再配列し、前記ブロック内における前記色相の配置を再逆転させるように構成されている
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
請求項1乃至6いずれかに記載の画像処理装置において、
前記第一の受付部は、
画像データのミラー処理または回転処理のいずれかを選択することをオペレータに提示し、オペレータからミラー処理を選択する旨の指示を受け付けると、前記転送単位を3の倍数からなる本数のラインに設定し、オペレータから回転処理を選択する旨の指示を受け付けると、前記転送単位を前記画像データの1ページに設定するように構成されている
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項8】
請求項1乃至6いずれかに記載の画像処理装置において、
前記第一の受付部は、
画像データのミラー処理または回転処理のいずれかを選択することをオペレータに提示し、オペレータからミラー処理を選択する旨の指示を受け付けると、前記転送単位を1ラインに設定し、オペレータから回転処理を選択する旨の指示を受け付けると、前記転送単位を前記画像データの1ページに設定するように構成されている
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項9】
請求項1乃至6いずれかに記載の画像処理装置において、
前記第一の受付部は、
画像データのミラー処理または回転処理のいずれかを選択することをオペレータに提示し、オペレータからミラー処理を選択する旨の指示を受け付けると、前記転送単位を前記画像データの1ページに設定し、オペレータから回転処理を選択する旨の指示を受け付けると、前記転送単位を前記画像データの1ページに設定するように構成されている
ことを特徴とする画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−92506(P2006−92506A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−310759(P2004−310759)
【出願日】平成16年10月26日(2004.10.26)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】