説明

画像処理装置

【課題】 アナログ信号をディジタル信号に変換した後に行う画像処理内容を、ユーザの好みに合わせて適宜選択可能にすることで、すべてのユーザが満足することができる画像処理装置を提供する。
【解決手段】 アナログ信号入力手段10と、アナログ信号入力手段10から入力されたアナログ映像信号に映像処理を行うアナログ信号処理手段20と、アナログ信号処理手段20により映像処理されたアナログ映像信号をディジタル映像信号に変換するA/Dコンバータ30と、ディジタル映像信号をエンコードするエンコーダ50と、エンコードデータを外部制御装置Aに送信する送信手段60を有し、A/Dコンバータ30によりディジタル化された映像信号に特殊映像処理を行うディジタル信号処理手段40を具備することを特徴とする画像処理装置100である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像処理装置に関し、より詳細にはディジタル映像信号に対して任意の特殊映像処理を行うことが可能な画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エンコーダの前段部分に、3DY/C分離処理や、3Dノイズリダクションや、ゴーストリデューサ等の処理を実行し、出力手段に出力される画質を向上させる処理は画像処理装置の技術分野において広く用いられている。このような技術を採用したノイズリダクション回路としては、例えば特許文献1のようなものがある。
【特許文献1】特開2003−319203号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
信号入力手段から入力される映像データの状態は、電波状態等により様々な状態であるため、上記画質を向上させるための処理を行ったとしても、出力結果に適切に反映されていないということがある。また、上記画質を向上させるための処理は、画像処理装置の提供者によってそれぞれ処理方法が異なるため、ユーザによっては好ましくない処理結果が得られてしまうという課題がある。
このように、画像処理装置がユーザの嗜好に会わない処理を行う場合には、ユーザは我慢するか、新しい画像処理装置を入手しなければならないといった課題もある。
【0004】
本発明は上記課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、アナログ信号をディジタル信号に変換する際に行う画像処理内容を、ユーザの好みに合わせて適宜選択可能にすることで、すべてのユーザが満足することができる画像処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る画像処理装置は以下の構成を備える。
すなわち、外部からのアナログ映像信号を取り込むアナログ信号入力手段と、前記アナログ信号入力手段から入力されたアナログ映像信号に対して映像処理を行うアナログ信号処理手段と、前記アナログ信号処理手段により映像処理されたアナログ映像信号をディジタル映像信号に変換するA/Dコンバータと、前記ディジタル映像信号をエンコードするエンコーダと、エンコードデータを外部制御装置に送信する送信手段を有する画像処理装置において、前記A/Dコンバータによりディジタル化された映像信号に特殊映像処理を行うディジタル信号処理手段を具備することを特徴とする画像処理装置である。
【0006】
また、前記ディジタル信号処理手段は記憶手段を備え、前記外部制御装置から送信されたディジタル信号処理プログラムを記憶すると共に、該ディジタル信号処理プログラムに基づいて前記ディジタル化された映像信号に特殊映像処理を行うことを特徴とする。
これにより、ディジタル信号処理手段が繰り返し同じ処理を行う際における処理スピードを向上させることができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る画像処理装置によれば、画像処理装置特有の画像処理に関する癖が取り除かれることになり、すべてのユーザの好みに合わせた画像処理を実行することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明に係る画像処理装置の実施の形態について、図面に沿って説明する。
【0009】
(第1の実施の形態)
図1は、本実施の形態における画像処理装置の概略構成を示すブロック図である。
本実施の形態における画像処理装置100は、アナログ信号入力手段10と、アナログ信号入力手段10からの映像信号に対してアナログ画像処理を行うアナログ信号処理手段20と、アナログ信号処理手段20により画像処理されたアナログ映像信号をディジタル映像信号に変換するA/Dコンバータ30と、ディジタル映像信号に画像処理を行うディジタル信号処理手段40と、ディジタル信号処理されたディジタル画像データをエンコードするエンコーダ50と、エンコードデータをパーソナルコンピュータ等により構成される外部制御装置Aに送信する送信手段60と、を有している。
【0010】
アナログ信号入力手段10は、外部からのアナログ映像信号が入力可能に設けられており、例えばテレビチューナやアナログビデオ信号入力部などがある。アナログ信号入力手段10から入力されたアナログ映像信号は、アナログ信号処理手段20により画像処理される。アナログ信号処理手段20は、アナログ映像信号に対し、ノイズリダクション処理や3DY/C分離処理などの公知の画像処理を行う。なお、ノイズリダクション処理や3DY/C分離処理は公知の技術であるので、これらについての詳細な説明は省略する。
【0011】
アナログ信号処理手段20による画像処理は、ユーザが外部制御装置Aに設けられている記憶手段Mに記憶されている複数の画像処理プログラム(画像処理フィルタ)の中から適宜選択したものが用いられる。ユーザにより選択された画像処理プログラムは外部制御手段Aに設けられている入力手段により指定された後、外部制御装置Aの制御手段によりアナログ信号処理手段20に送信される。なお、アナログ信号処理手段20が行う画像処理は必ずしも一種類だけではなく、複数種類の画像処理を連続的に行うこともできる。
【0012】
アナログ信号処理手段20により画像処理されたアナログ映像信号は、A/Dコンバータ30によりディジタル映像信号に変換される。
ディジタル信号処理手段40は、ディジタル映像信号に対して特殊映像処理を行う。ディジタル信号処理手段40が行う特殊映像処理を実現するためのディジタル信号処理プログラム(ディジタル信号処理フィルタ)としては、画面内に任意の文字や模様を合成する処理や、所定の色彩に関する信号レベルを調整する処理や、減色処理等があり、これらのディジタル信号処理プログラムは外部制御装置Aの記憶手段Mに予め記憶されている。
また、ディジタル信号処理手段40は、画像処理だけではなく、所定周波数の音声データを削除する処理等の音声に関するデータ処理も行うことができる。
【0013】
ユーザが外部制御装置Aに接続されたキーボードやマウス等の入力手段によりディジタル信号処理手段40に実行させる処理プログラムを指定した後、外部制御装置Aの制御手段が送信手段60を介して画像処理装置100にユーザにより指定されたディジタル信号処理プログラム(ディジタル信号処理フィルタ)を送信する。画像処理装置100が処理プログラムを受信すると、ディジタル信号処理手段40がディジタル信号処理プログラムに基づいたデータ処理を行うのである。
このように、ディジタル信号処理手段40の記憶手段にユーザにより選択された処理プログラムを記憶させることにより、処理プログラムを一回選択すれば、同一のデータ処理を複数のデータに対して連続的に行うことができるため好適である。
【0014】
ディジタル信号処理手段40により特殊映像処理がなされた後は、エンコーダ50により所定の形式にエンコード処理される。所定のデータ形式にエンコード処理されたエンコードデータは、送信手段60から外部制御手段Aに送信される。
外部制御手段Aには、モニタ等により構成される表示手段や、デコーダ、光ディスク装置等の記憶媒体リードライト手段等を有しているので、受信したエンコードデータをデコーダがデコードして表示手段に表示する処理や、エンコードデータを光ディスク等の記憶媒体に記録する処理も可能である。
【0015】
(第2の実施の形態)
本実施の形態は、ディジタル信号処理手段40内に記憶手段(図示せず)を具備させ、ディジタル信号処理手段40の記憶手段に予めディジタル信号処理プログラムを記憶させている形態である。本実施の形態における画像処理装置100における他の構成要素については、第1の実施形態と同様である。
本実施の形態によれば、ディジタル信号処理手段40が実行可能な処理内容に制限が生じてしまうものの、ディジタル信号処理手段がディジタル信号処理プログラムを実行する際に、外部制御手段Aにアクセスする必要がないため処理速度が向上し、好都合である。
【0016】
(第3の実施の形態)
さらには、図2に示すように、画像処理装置100が接続(装着)されている外部制御手段Aであるパーソナルコンピュータが、インターネットなどのネットワークNに接続されていると共に、ネットワーク上にはネットワークNを介してファイルの送受信が可能なサーバSを配設すれば、特殊映像処理に用いる処理プログラムをサーバSに送受信可能なユーザフォーラムを構築することもできる。
このようにインターネットを介したユーザフォーラムを構築することにより、ユーザやメーカから多様な処理プログラムがサーバSに提供されるため、さまざまなディジタル映像処理を実行することが可能になるためさらに好適である。
【0017】
(実施例1)
画面内に任意の文字や模様を合成する処理として、例えば、日付や時刻の画面内への合成、サイン、ウォーターマーク、ロゴの画面内への合成、画面の特定部分にマスクを入れる処理が可能である。これらの処理をディジタル信号処理手段40により実行することで、画像編集用のソフトウェアを使用する必要がなくなり、アナログデータをディジタルデータに変換する処理と同時に画像データの編集も行うことができるため、編集に要する時間を大幅に短縮させることができる。
【0018】
(実施例2)
所定周波数の音声データを削除する処理を適用することにより、時報や雑音等の不必要な音声データの除去が可能になる。
【0019】
(実施例3)
色彩の処理が可能になる。外部制御装置Aの表示手段が低スペックである場合には、オリジナルのデータではデータ容量が過多になってしまうため、記憶手段Mの記憶容量を無駄に消費してしまう。そこで、外部制御装置Aのスペックにあわせた減色処理を行うことにより、データ容量を抑えることができる。また、特定の色彩に関するデータのレベルを調整することにより、例えば、肌色の信号レベルを高めて肌をきれいに表現する処理の他、黒色の信号レベルを高めることにより、立体的な映像表現や締まりのある映像を提供することができる。
【0020】
(実施例4)
ノイズを付加する処理が可能になる。アナログ信号段階においては、アナログ信号処理手段20によりノイズリダクション処理、3DY/C分離の処理、ゴーストリダクション処理等がなされることにより、ノイズを除去しているが、アナログ信号段階によるノイズ除去は機械的であるため、オリジナル画像に意図的に付加されていた画像効果までもがノイズと認識されてしまい、意図的に付加した画像効果が取り除かれてしまうことがある。
このような場合には、ディジタル信号処理手段40により、オリジナル画像に意図的に付加されていたノイズ(意図的な画質効果)を元に戻すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1の実施形態における画像処理装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】第3の実施形態の構成を示す説明図である。
【符号の説明】
【0022】
10 アナログ信号入力手段
20 アナログ信号処理手段
30 A/Dコンバータ
40 ディジタル信号処理手段
50 エンコーダ
60 送信手段
100 画像処理装置
A 外部制御手段
M 記憶手段
N ネットワーク
S サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部からのアナログ映像信号を取り込むアナログ信号入力手段と、
前記アナログ信号入力手段から入力されたアナログ映像信号に対して映像処理を行うアナログ信号処理手段と、
前記アナログ信号処理手段により映像処理されたアナログ映像信号をディジタル映像信号に変換するA/Dコンバータと、
前記ディジタル映像信号をエンコードするエンコーダと、
エンコードデータを外部制御装置に送信する送信手段を有する画像処理装置において、
前記A/Dコンバータによりディジタル化された映像信号に特殊映像処理を行うディジタル信号処理手段を具備することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記ディジタル信号処理手段は記憶手段を備え、前記外部制御装置から送信されたディジタル信号処理プログラムを記憶すると共に、該ディジタル信号処理プログラムに基づいて前記ディジタル化された映像信号に特殊映像処理を行うことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−228391(P2007−228391A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−48709(P2006−48709)
【出願日】平成18年2月24日(2006.2.24)
【出願人】(000106944)シナノケンシ株式会社 (316)
【Fターム(参考)】