説明

画像処理装置

【課題】本発明は、撮像部等に起因して発生したノイズを低彩度レベルで抑制できると共に、彩度の階調が損なわれない画像処理装置を提供する。
【解決手段】画像処理装置100は、撮像部10と、色空間に変換する色空間変換部40と、色差信号Cb,Crに対する補正を行うコアリング部52U,52Vとを、備えている。コアリング部52U,52Vは、ゼロから第一の色成分aを有する色差信号Cb,Crに対して、彩度を減ずる補正を行う。他方、コアリング部52U,52Vは、第一の色成分より高い色成分を有する色差信号Cb,Crに対しては、彩度を減ずる補正は行わない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像処理装置に係る発明であり、特に、色差信号に対して補正処理を行うコアリング部を有する画像処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、画像処理装置は、撮像部から出力される画像信号に対して、画素補間、色変換、輪郭補正処理、フィルタリングおよび間引き処理等の画像処理を行う。そして、当該各画像処理後の画像信号は、画像データとして所定の内蔵メモリに格納される。
【0003】
また、上記画像処理の一つとしてコアリング処理がある。図8は、色差信号Cb,Crに対するコアリング処理の様子を示している。図8において、横軸は、入力色差信号の色成分を示しており、縦軸は、出力色差信号の色成分を示している。図8において、横軸右方向または縦軸上方向に行くに連れて、色成分が高くなる(階調が高くなり、より高彩度となる)。
【0004】
また、図8において、点線は、コアリング処理前の入力色差信号の色成分と出力色差信号の色成分との関係を示す。また、実線は、コアリング処理後の入力色差信号の色成分と出力色差信号の色成分との関係を示す。
【0005】
図8に示すように、従来のコアリング処理では、ゼロから第一の色成分A1を有する入力色差信号に対して、色成分をゼロにする補正(ゼロクリップ補正)が行われる。そして、第一の色成分A1より高い色成分を有する入力色差信号に対しては、一定量で彩度を減ずる補正が行われる。
【0006】
コアリング処理が実施されなければ、入力色差信号の色成分と出力色差信号の色成分とは同じである。しかし、図8に示す従来のコアリング処理が入力色差信号に施されることにより、低彩度の色成分はゼロクリップされ、中彩度〜高彩度の色成分は一定量で彩度が減じられる。
【0007】
このように、入力色差信号に対して上記コアリング処理を施す。これにより、撮像部等に起因して発生したノイズを、低彩度レベルで抑制することができる。
【0008】
なお、コアリング処理に関する記述がある従来文献として、たとえば特許文献1,2が存在する。
【0009】
【特許文献1】特開2000−236473号公報
【特許文献2】特開2007−312331号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、図8に示すコアリング処理を施した場合には、所定のコアリング量閾値に対してゼロクリップが行われる。したがって、彩度の全体的な階調が損なわれるという問題が生じる。
【0011】
そこで、本発明は、撮像部等に起因して発生したノイズを低彩度レベルで抑制できると共に、彩度の階調が損なわれない画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明に係る請求項1に記載の画像処理装置は、撮像部と、前記撮像部から出力された画像信号を、輝度信号と色差信号とで定義される色空間に変換する色空間変換部と、入力される前記色差信号に対する補正を行うコアリング部とを、備えており、前記コアリング部は、ゼロから第一の色成分を有する前記色差信号に対して、前記彩度を減ずる補正を行い、前記第一の色成分より高い色成分を有する前記色差信号に対しては、前記彩度を減ずる補正は行わない。
【0013】
また、請求項2に記載の画像処理装置は、請求項1に記載の画像処理装置であって、前記コアリング部は、ゼロから前記第一の色成分を有する前記色差信号に対して、色成分が高くなるに連れて前記彩度の減ずる度合いを高くする、第一の補正を行う。
【0014】
また、請求項3に記載の画像処理装置は、請求項1に記載の画像処理装置であって、前記コアリング部は、ゼロから前記第一の色成分を有する前記色差信号に対して、色成分をゼロにするゼロクリップ補正を行う。
【0015】
また、請求項4に記載の画像処理装置は、請求項2または請求項3に記載の画像処理装置であって、前記コアリング部は、前記第一の色成分から前記第一の色成分より高い第二の色成分を有する前記色差信号に対して、前記色成分が高くなるに連れて前記彩度の減ずる度合い低くする、第二の補正を行い、前記第二の色成分より高い色成分を有する前記色差信号に対しては、前記彩度を減ずる補正は行わない。
【0016】
また、請求項5に記載の画像処理装置は、請求項4に記載の画像処理装置であって、ゼロから前記第一の色成分までの第一の色成分幅と、前記第一の色成分から前記第二の色成分までの第二の色成分幅とは、同じ大きさである。
【0017】
また、請求項6に記載の画像処理装置は、請求項4に記載の画像処理装置であって、前記第一の色成分を任意の値に変更できる設定変更処理部を、さらに備えている。
【0018】
また、請求項7に記載の画像処理装置は、請求項4に記載の画像処理装置であって、前記第二の色成分を任意の値に変更できる設定変更処理部を、さらに備えている。
【0019】
また、請求項8に記載の画像処理装置は、請求項4に記載の画像処理装置であって、前記第一の補正の補正度合いを任意の値に変更できる設定変更処理部を、さらに備えている。
【0020】
また、請求項9に記載の画像処理装置は、請求項4に記載の画像処理装置であって、前記第二の補正の補正度合いを任意の値に変更できる設定変更処理部を、さらに備えている。
【発明の効果】
【0021】
本発明の請求項1に記載の画像処理装置は、撮像部と、撮像部から出力された画像信号を、輝度信号と色差信号とで定義される色空間に変換する色空間変換部と、入力される色差信号に対する補正を行うコアリング部とを、備えており、コアリング部は、ゼロから第一の色成分を有する色差信号に対して、彩度を減ずる補正を行い、第一の色成分より高い色成分を有する色差信号に対しては、彩度を減ずる補正は行わない。
【0022】
したがって、撮像部等に起因して発生したノイズを低彩度レベルで抑制できると共に、高彩度領域に対して階調が損なわれることを防止できる。
【0023】
また、請求項2に記載の画像処理装置では、コアリング部は、ゼロから第一の色成分を有する色差信号に対して、色成分が高くなるに連れて彩度の減ずる度合いを高くする、第一の補正を行う。
【0024】
したがって、低彩度領域において、出力色差信号の彩度を有る程度確保しつつ、上記ノイズを低減することもできる。
【0025】
また、請求項3に記載の画像処理装置では、コアリング部は、ゼロから第一の色成分を有する色差信号に対して、色成分をゼロにするゼロクリップ補正を行う。
【0026】
したがって、撮像部等に起因して発生したノイズを低彩度レベルで完全に抑制できる。
【0027】
また、請求項4に記載の画像処理装置では、コアリング部は、第一の色成分から第一の色成分より高い第二の色成分を有する色差信号に対して、色成分が高くなるに連れて彩度の減ずる度合い低くする、第二の補正を行い、第二の色成分より高い色成分を有する色差信号に対しては、彩度を減ずる補正は行わない。
【0028】
したがって、上記のような出力画像が損なわれる問題も解決できると共に、高彩度領域において出力色差信号の階調が損なわれることも防止できる。
【0029】
また、請求項5に記載の画像処理装置は、ゼロから第一の色成分までの第一の色成分幅と、第一の色成分から第二の色成分までの第二の色成分幅とは、同じ大きさである。
【0030】
したがって、コアリング部の構成を簡素することができる。
【0031】
また、請求項6乃至請求項9に記載の画像処理装置は、設定変更処理部をさらに備えている。設定変更部は、第一の色成分の値、第二の色成分の値、第一の補正の補正度合い、および第二の補正の補正度合いを、任意の値に変更できる。
【0032】
したがって、画像処理装置自身の特性および使用される状況等に応じて、適正な上記効果を得ることができるように、各パラメータが設定できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、この発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
【0034】
<実施の形態>
図1は、本実施の形態に係る画像処理装置100の構成を示すブロック図である。
【0035】
図1に示すように、画像処理装置100は、撮像部10、画像処理部20、補間部30、色空間変換部40、空間フィルタ・コアリング部50、設定変更部60、およびメモリ70を備えている。
【0036】
撮像部10では、被写体の撮像が行われ、撮像結果を画像信号として出力する。撮像部10として、CCD(Charge Coupled Device)センサーやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサーなどを採用できる。
【0037】
画像処理部20では、撮像部10から出力されたアナログの画像信号を、デジタル画像信号に変換する。そして、画像処理部20は、デジタル画像信号に対して、経時的平均化処理やシェーディング補正処理等を実施する。
【0038】
経時的平均化処理では、撮像部10の蓄積時間が複数フレームに渡る場合、各フレーム毎に撮像部10からデータを読み出し、メモリ70上の対応する画素のデータと加算する。一般に、撮像部10で被写体を撮影する場合、レンズの光学的作用等に起因して、中心位置の明るさに比べてその周囲が暗くなると言うシェーディングが発生する。シェーディング補正処理では、当該シェーディングを緩和するために、各画素の輝度値等のゲイン調整を行う。
【0039】
補間部30では、撮像部10で撮像されたデジタル画像において、隣接する画素間の情報から、当該隣接する画素間に新たな画素を擬似的に作り出す、一般的な画素補間が行われる。また、補間部30では、画像の明るさの変化に対する電圧換算値の変化の比であるガンマ値を修正する、一般的なガンマ補正が行われる。当該ガンマ補正では、画像などの色のデータと、それが実際に出力される際の信号との相対関係を調節する。これにより、より自然に近い表示を得ることができる。
【0040】
色空間変換部40では、補間部30で画素補間された画像信号を、輝度信号Yと色差信号Cr,Cbとで規定される色空間に変換する。変換後の各色空間信号Y,Cb,Crは、並列的に後段の空間フィルタ・コアリング部50へ出力される。
【0041】
空間フィルタ・コアリング部50は、図2に示す構成を有している。
【0042】
図2に示すように、空間フィルタ・コアリング部50は、3つの空間フィルタ51Y,51U,51Vと、二つのコアリング部52U,52Vとで構成されている。ここで、図2では図示していないが、コアリング部52U,52Vは、設定変更部60と接続されている。
【0043】
色空間変換部40から出力された輝度信号Yは、空間フィルタ51Yへと入力される。また、色空間変換部40から出力された色差信号Cbは、空間フィルタ51Uへと入力される。また、色空間変換部40から出力された色差信号Crは、空間フィルタ51Vへと入力される。
【0044】
また、空間フィルタ51Uから出力される信号は、コアリング52Uを介してメモリ部70へ入力される。また、空間フィルタ51Vから出力される信号は、コアリング52Vを介してメモリ部70へ入力される。なお、図2に示す構成では、空間フィルタ51Yから出力される信号は、直接メモリ部70に入力している。しかし、空間フィルタ51Yとメモリ部70との間に、所定のコアリング処理を行うコアリング部が配設されていても良い。
【0045】
空間フィルタ51Y,51U,51Vでは、色空間信号Y,Cb,Crに対して、ノイズを弱める平滑化処理、エッジ部を強調する輪郭強調処理、画像中の明部と暗部の色抑圧(クロマサプレス:偽色防止)を行う偽色抑圧処理などが施される。当該処理後の各色空間信号Y、Cb,Crは、上記の通り、メモリ部70およびコアリング部52U,52Vへと出力される。
【0046】
コアリング部52U,52Vは、入力される色差信号Cb,Crに対する補正を行う。なお、本実施の形態に係るコアリング部52U,52Vの具体的な補正動作は、後述する。また、図2と異なるが、輝度信号Yに対して所定の補正を行うコアリング部が配設されている場合、当該コアリング部では、たとえば上記特許文献1,2に開示されているような補正を行う。
【0047】
図1において、設定変更部60は、コアリング部52U,52Vに設定されているパラメータを変更・設定することができる部分である。また、空間フィルタ・コアリング部50において各処理が施された色空間信号Y,Cb,Crは、画像データとして所定の内蔵メモリに格納される。
【0048】
<コアリング部52U,52Vでの動作>
次に、コアリング部52U,52Vで実施される補正(コアリング処理)について、図3を用いて説明する。なお、コアリング部52U,52Vは、共に同様の動作を行うので、ここでは、代表としてコアリング部52Uについて説明する。
【0049】
図3は、色差信号Cbに対するコアリング処理の様子を示している。図3において、横軸は、入力色差信号Cbの色成分を示しており、縦軸は、出力色差信号Cbの色成分を示している。図3において、横軸右方向または縦軸上方向に行くに連れて、色成分が高くなる(階調が高くなり、より高彩度となる)。
【0050】
また、図3において、点線は、コアリング処理前の入力色差信号Cbの色成分と出力色差信号Cbの色成分との関係を示す。また、実線は、コアリング処理後の入力色差信号Cbの色成分と出力色差信号Cbの色成分との関係を示す。図3の点線から分かるように、入力色差信号Cbに対してコアリング処理が実施されなければ、入力色差信号Cbの色成分と出力色差信号Cbの色成分とは、同じである。
【0051】
なお、本明細書では、色成分が0〜第一の色成分a(aの値は、任意値に設定可能)までの領域を、「低彩度領域」と称する。また、第一の色成分a〜第二の色成分2a(aの倍数でなくても良く、第二の色成分の値も任意値を設定可能)までの領域を、「中彩度領域」と称する。さらに、第二の色成分2aより高い色成分の領域を、「高彩度領域」と称する。
【0052】
コアリング部52Uでは、図3に示すように、少なくとも、ゼロから第一の色成分aを有する色差信号Cbに対しては、彩度を減ずる補正(コアリング処理)を行う。さらに、コアリング部52Uでは、第一の色成分aより高い高域色成分(図3では、色成分2aより高い色成分)を有する色差信号Cbに対しては、彩度を減ずる補正(コアリング処理)は行わない。
【0053】
具体的に、コアリング部52Uは、低彩度領域の色成分を有する入力色差信号Cbに対して、色成分が高くなるに連れて(図面右方向に行くに連れて)、彩度の減ずる度合いを高くする、第一の補正(第一のコアリング処理)を行う。つまり、図3において低彩度領域では、色成分が高くなるに連れて、点線と実線の幅(彩度を減ずる度合い)が大きくなる。当該第一の補正後の出力色差信号Cbの色成分は、b/a×(入力色差信号Cbの色成分)となる。
【0054】
また、コアリング部52Uは、中彩度領域の色成分を有する入力色差信号Cbに対して、色成分が高くなるに連れて(図面右方向に行くに連れて)、彩度の減ずる度合いを低くする、第二の補正(第二のコアリング処理)を行う。つまり、図3において中彩度領域では、色成分が高くなるに連れて、点線と実線の幅(彩度を減ずる度合い)が小さくなる。当該第二の補正後の出力色差信号Cbの色成分は、(2−b/a)×(入力色差信号Cbの色成分)となる。
【0055】
さらに、コアリング部52Uは、高彩度領域の色成分を有する入力色差信号Cbに対しては、彩度を減ずる補正は行わない。
【0056】
なお、当該第一,二の補正の補正度合いを示す指標として、実線の傾きを用いる。当該傾きが小さいほど、当該補正度合いが大きくなる(入力色差信号Cbの色成分が大きくなるほど、より彩度を低減する)。換言すれば、当該傾きが大きいほど、当該補正度合いが小さくなる(入力色差信号Cbの色成分が高くなるほど、より彩度を低減させない)。第一の補正では、傾き1未満(ゼロを含む)である。また、第二の補正際では、傾きは1より大きい。なお、補正無しの場合では、傾きは1である。
【0057】
設定変更部60が、外部からの入力操作を受ける。すると、当該設定変更部60は、コアリング部52U内のレジスタ(図示せず)に格納されている各パラメータを、変更・設定する制御を行う。たとえば、設定変更部60は、上記第一の色成分aおよび上記第二の色成分2aの値を、当該入力操作に応じて任意の値に変更・設定する制御を行う。また、設定変更部60は、上記第一、二の補正の補正度合い(上記各傾きa/b、2−b/a)を、当該入力操作に応じて任意の値に変更・設定する制御を行う。
【0058】
以上のように、本実施の形態に係る画像処理装置100では、コアリング部52U,52Vは、少なくとも、低彩度領域の色成分を有する入力色差信号Cb,Crに対して、彩度を減ずる補正を行っている。さらに、当該コアリング部52U,52Vは、高彩度領域の色成分を有する入力色差信号Cb,Crに対しては、前記彩度を減ずる補正は行わない。
【0059】
したがって、撮像部10等に起因して発生したノイズを低彩度レベルで抑制できると共に、高彩度領域に対して階調が損なわれることを防止できる。
【0060】
また、本実施の形態に係る画像処理装置100では、コアリング部52U,52Vは、低彩度領域の色成分を有する入力色差信号Cb,Crに対して、上記第一の補正を行っている。
【0061】
したがって、低彩度領域において、出力色差信号の彩度を有る程度確保しつつ、上記ノイズを低減することもできる。
【0062】
なお、図4に示すように、コアリング部52U,52Vは、ゼロから第一の色成分を有する入力色差信号Cb,Crに対して上記第一の補正を行い、第一の色成分より高い色成分を有する入力色差信号Cb,Crに対して補正を行わない構成であっても良い。つまり、上記第二の補正を省略する構成であっても良い。
【0063】
しかし、当該図4に示す動作を行った場合には、補正の有無が急激に変化するので、第一の色成分付近において、出力画像が損なわれる。
【0064】
そこで、本実施の形態に係る画像処理装置100では、コアリング部52U,52Vは、中彩度領域の色成分を有する入力色差信号Cb,Crに対して、上記第二の補正を行っている。そして、コアリング部52U,52Vは、高彩度領域の色成分を有する入力色差信号Cb,Crに対しては、彩度を減ずる補正は行わない。
【0065】
したがって、上記のような出力画像が損なわれる問題も解決できると共に、高彩度領域において出力色差信号の階調が損なわれることも防止できる。
【0066】
なお、上記のように、第一の補正の補正度合いは、任意に変更できる。そこで、たとえば、図5に示すように、コアリング部52U,52Vは、低彩度領域(0〜第一の色成分a)の色成分を有する入力色差信号Cb,Crに対して、色成分をゼロにするゼロクリップ補正を行っても良い。つまり、第一の補正の度合いの指標である上記傾きは、ゼロである。
【0067】
このような、図5に示す動作を行うコアリング部52U,52Vを採用することにより、撮像部10等に起因して発生したノイズを低彩度レベルで完全に抑制できる。
【0068】
上記のように、第一の色成分aおよび第二の色成分2aの値は、設定変更部60の制御により、任意の値に選択・変更できる。そこで、たとえば図6,7に示すように、コアリング部52U,52V内のレジスタ(図示せず)に格納されている、これらの値を変更しても良い。つまり、図6では、第一の色成分は「c」であり、第二の色成分は「d」である。ここで、色成分がゼロ〜第一の色成分cまでの色成分幅(低彩度領域であり、第一の補正が施される領域)は、第一の色成分cから第二の色成分dまでの色成分幅(中彩度領域であり、第二の補正が施される領域)よりも、大きい。また、図7では、第一の色成分は「f」であり、第二の色成分は「g」である。ここで、色成分がゼロ〜第一の色成分fまでの色成分幅(低彩度領域であり、第一の補正が施される領域)は、第一の色成分fから第二の色成分gまでの色成分幅(中彩度領域であり、第二の補正が施される領域)よりも、小さい。
【0069】
しかし、図3に示す場合では、色成分がゼロ〜第一の色成分aまでの色成分幅(低彩度領域であり、第一の補正が施される領域)と、第一の色成分aから第二の色成分2aまでの色成分幅(中彩度領域であり、第二の補正が施される領域)とは、同じ大きさとしている。
【0070】
このように、第一の補正が施される領域と第二の補正が施される領域との大きさが同等幅となるように、第一の色成分の値および第二の色成分の値を選択する。これにより、コアリング部52U,52Vの構成を簡素することができる。
【0071】
また、本実施の形態に係る画像処理装置100では、コアリング部52U,52V内に格納されている各パラメータ(第一,二の色成分の値、第一,第二の補正の補正の度合い(上記傾き))を変更・設定することができる設定変更部60を有する。
【0072】
したがって、画像処理装置100自身の特性および使用される状況等に応じて、適正な上記効果を得ることができるように、各パラメータが設定できる。
【0073】
なお、図3から図7の色成分表記は、絶対値表記である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】空間フィルタ・コアリング部の内部構成を示すブロック図である。
【図3】コアリング部の動作を説明するための図である。
【図4】コアリング部の動作を説明するための図である。
【図5】コアリング部の動作を説明するための図である。
【図6】コアリング部の動作を説明するための図である。
【図7】コアリング部の動作を説明するための図である。
【図8】従来のコアリング動作を説明するための図である。
【符号の説明】
【0075】
10 撮像部
20 画像処理部
30 補間部
40 色空間変換部
50 空間フィルタ・コアリング部
51Y,51U,51V 空間フィルタ
52U,52V コアリング部
60 設定変更部
70 メモリ
100 画像処理装置
Y 輝度信号
Cb,Cr 色差信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像部と、
前記撮像部から出力された画像信号を、輝度信号と色差信号とで定義される色空間に変換する色空間変換部と、
入力される前記色差信号に対する補正を行うコアリング部とを、備えており、
前記コアリング部は、
ゼロから第一の色成分を有する前記色差信号に対して、前記彩度を減ずる補正を行い、
前記第一の色成分より高い色成分を有する前記色差信号に対しては、前記彩度を減ずる補正は行わない、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記コアリング部は、
ゼロから前記第一の色成分を有する前記色差信号に対して、色成分が高くなるに連れて前記彩度の減ずる度合いを高くする、第一の補正を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記コアリング部は、
ゼロから前記第一の色成分を有する前記色差信号に対して、色成分をゼロにするゼロクリップ補正を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記コアリング部は、
前記第一の色成分から前記第一の色成分より高い第二の色成分を有する前記色差信号に対して、前記色成分が高くなるに連れて前記彩度の減ずる度合い低くする、第二の補正を行い、
前記第二の色成分より高い色成分を有する前記色差信号に対しては、前記彩度を減ずる補正は行わない、
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
ゼロから前記第一の色成分までの第一の色成分幅と、
前記第一の色成分から前記第二の色成分までの第二の色成分幅とは、同じ大きさである、
ことを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記第一の色成分を任意の値に変更できる設定変更処理部を、さらに備えている、
ことを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記第二の色成分を任意の値に変更できる設定変更処理部を、さらに備えている、
ことを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記第一の補正の補正度合いを任意の値に変更できる設定変更処理部を、さらに備えている、
ことを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記第二の補正の補正度合いを任意の値に変更できる設定変更処理部を、さらに備えている、
ことを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−239396(P2009−239396A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−79720(P2008−79720)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(591128453)株式会社メガチップス (322)
【Fターム(参考)】