説明

画像処理装置

【課題】ファクシミリの受信画像に対して、文字認識処理を行う際の計算負荷を低減すること。
【解決手段】ファクシミリ画像受信部101は、通信回線を介して受信したファクシミリ画像を取得する。画像記憶部102は、ファクシミリ画像受信部101により取得したファクシミリ画像を記憶する。宛先記憶部104は、ファクシミリ画像の少なくとも一つの転送先と、転送先ごとの受信データ制限の設定値とを関連付けて記憶する。文字認識部108は、ファクシミリ画像受信部により取得したファクシミリ画像から文字認識により文字データを取得する。文字認識動作制御部107は、受信データ制限の設定値と文字認識部108により取得した文字データとを比較し、文字認識部108による文字認識を継続するか否かを制御する。電子メール作成部110は、文字認識部108により取得した文字データを本文に記載した電子メールを作成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、より詳細には、ファクシミリ受信機能を備え、受信したファクシミリ画像を解析して特定の転送先に転送する画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
受信したファクシミリ画像を携帯電話に転送することで、携帯電話を用いて出先等でファクシミリ画像を確認したい、という強い要望がある。そのため、従来から、ファクシミリの受信機能を備えた画像処理装置から、電子メールを使用して特定の転送先にファクシミリ画像を転送するシステムが考案されている。
例えば特許文献1では、ファクシミリにより受信した画像に対して文字認識を施し、その結果を電子メールの本文に記載して通知する方法を開示している。この方法により、ファクシミリの画像データを添付する方法に比べ、電子メールの容量を低減させることが可能となる。また、画像を閲覧するビューアーの機能が限定された端末でも、ファクシミリによる受信画像の内容を確認することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−252544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の発明では、すべてのファクシミリ受信画像に対して文字認識処理を行うため、画像処理装置側で多くの計算資源が必要となり、転送時間がかかるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたもので、受信したファクシミリ画像を文字認識して電子メールにより特定の転送先に転送する画像処理装置において、ファクシミリ画像の転送時に行う文字認識処理を軽減し、ファクシミリデータの転送時間を短縮可能とした画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の第1の技術手段は、通信回線に接続可能な画像処理装置であって、通信回線を介して受信したファクシミリ画像を取得するファクシミリ画像受信部と、ファクシミリ画像受信部により取得したファクシミリ画像を記憶する画像記憶部と、ファクシミリ画像の少なくとも一つの転送先と、転送先ごとの受信データ制限の設定値とを関連付けて記憶する宛先記憶部と、ファクシミリ画像受信部により取得したファクシミリ画像から文字認識により文字データを取得する文字認識部と、受信データ制限の設定値と前記文字認識部により取得した文字データとを比較し、文字認識部による文字認識を継続するか否かを制御する文字認識動作制御部と、文字認識部により取得した文字データを本文に記載した電子メールを作成する電子メール作成部と、を備えることを特徴とする画像処理装置。
【0007】
第2の技術手段は、第1の技術手段において、受信データ制限の設定値が、文字データの文字数を制限する設定値、あるいは文字データのデータ量を制限する設定値であることを特徴としたものである。
【0008】
第3の技術手段は、第2の技術手段において、受信データ制限の設定値が、複数の転送先に関連付けられた文字データの文字数あるいはデータ量のうち、最大の文字数あるいはデータ量を設定する設定値であることを特徴としたものである。
【0009】
第4の技術手段は、第1の技術手段において、転送先が、携帯用コンピュータ端末機器の電子メールアドレスであることを特徴としたものである。
【0010】
第5の技術手段は、第1〜第4のいずれか1の技術手段において、文字認識部の読み取り対象領域を指定するためのファクシミリ送付状のテンプレートを少なくとも一つ記憶可能な送付状記憶部を備えることを特徴としたものである。
【0011】
第6の技術手段は、第1〜第5のいずれか1の技術手段において、所定の条件に基づき前記ファクシミリ画像のレイアウト構造を解析し、レイアウト構造に応じてファクシミリ画像を領域に分割する機能を有するレイアウト解析部を有し、文字認識部が、分割した領域毎に、文字認識を行って文字データを取得することを特徴としたものである。
【0012】
第7の技術手段は、第6の技術手段において、文字認識動作制御部が、分割した領域内のフォントサイズを取得して、フォントサイズを取得した領域内に記載可能な文字数が受信データ制限の設定値を超えるかを判断する判断部を有することを特徴としたものである。
【0013】
第8の技術手段は、第7の技術手段において、文字認識動作制御部が、判断部においてフォントサイズを取得した領域内に記載可能な文字数が受信データ制限の設定値を超えると判断された場合、文字認識による文字認識の結果から所定の特徴を取得するたびに、文字認識を継続するかを判断することを特徴としたものである。
【0014】
第9の技術手段は、第8の技術手段において、所定の特徴が、所定の文字データであることを特徴としたものである。
【0015】
第10の技術手段は、第8の技術手段において、所定の特徴が、文字データ列の間に設定された空白域であることを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ファクシミリにより受信したファクシミリデータを電子メールにより特定の転送先に転送する機能を備えた画像処理装置において、ファクシミリデータの転送時に行う文字認識処理を軽減し、ファクシミリデータの転送時間を短縮可能とした画像処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明による画像処理装置が適用可能なシステム構成例を示す図である。
【図2】本発明による画像処理装置の一実施形態の構成概略図である。
【図3】宛先記憶部に記憶される転送先テーブルの一例を示す図である。
【図4】画像処理装置が受信したファクシミリ画像の一例を示す図である。
【図5】本発明に係る画像処理装置の処理例を説明するためのフローチャートである。
【図6】図4に示す読み込み領域の文字認識を行った結果を電子メールにより受信した携帯電話の表示画面例を示す図である。
【図7】図4に示すファクシミリ画像全体を文字認識対象の読み込み領域として文字認識した結果を電子メールにより受信した携帯電話の表示画面例を示す図である。
【図8】本発明による画像処理装置の他の実施形態の構成概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
ファクシミリ画像の受信機能を備えた画像処理装置において、受信したファクシミリ画像の文字認識処理を効率的に行って計算負荷を軽減するためには、文字認識を行う対象を少なくすることが肝要である。本発明に係る実施形態では、画像処理装置は、ファクシミリ画像の文字認識結果の送信先となる携帯端末などの受信端末で受信可能なデータ数やデータ量などのデータ容量に応じて、文字認識を行う画像の量を少なくする。
【0019】
一般的に、携帯端末では、サービスプロバイダが定めた受信文字数あるいはデータ量の上限値を超えるデータは、サーバーで削除されるため受信できない。また、ユーザ自身が、受信料金が発生しないよう受信文字数を任意の値に設定している場合もある。本発明に係る実施形態では、予め画像処理装置に転送先ごとの受信制限値を登録しておくことで、携帯端末で受信が制限される不要な文字の認識を行わないようにする。
加えて、本発明に係る実施形態では、ユーザが確認したい内容を選択的に抽出できるよう、送付状のテンプレートを画像処理装置に登録可能とし、特定の画像領域から受信上限値以内の文字列を抽出できるようにする。
以下、本発明による画像処理装置の実施形態を添付された図面を参照しながら、具体的に説明する。
【0020】
図1は、本発明による画像処理装置が適用可能なシステム構成例を示す図である。画像処理装置10は、少なくともファクシミリ画像の受信機能を備えている。また、画像処理装置10は、ファクシミリ機能の他、コピー機能や、スキャナ機能、プリンタ機能、ファイリング機能などを備えた複合機として構成することができる。
画像処理装置10は、公衆回線12を通じファクシミリ端末11と接続されている。また画像処理装置10は、インターネット回線13を介して携帯端末14,15,16,17と接続される。携帯端末14〜17は、ファクシミリ画像の転送先として設定される本発明の携帯用コンピュータ端末の一例である。
【0021】
ファクシミリ端末11からファクシミリ送付状ともにファクシミリ画像18が画像処理装置10に送信されると、画像処理装置10では、受信したファクシミリ画像18の読み込み領域を決定し、その読み込み領域に対して文字認識処理を施して、得られた文字データを電子メール19にして特定の携帯端末14,15,16,17に送信する。これらの具体的な機能と動作例については後述する。
【0022】
図2は、本発明による画像処理装置の一実施形態の構成概略図である。図中、10は画像処理装置、101は受信したファクシミリ画像を取得するファクシミリ画像受信部、102はファクシミリ画像を記憶する画像記憶部、103はファクシミリ送付状のテンプレート(送付状テンプレート)を記憶する送付状記憶部、104はファクシミリ画像の転送先となる宛先を記憶する宛先記憶部、105はユーザによる操作入力を可能とする入力部、106は各種情報やデータを表示する表示部、107はファクシミリ画像に対する文字認識処理を制御する文字認識制御部、108はファクシミリ画像に対する文字認識処理を行う文字認識部、109は文字認識処理により得られた文字データを本文に記載した電子メールを作成する電子メール作成部、110は作成した電子メールを送信する電子メール送信部、111はファクシミリ画像のレイアウト構造を解析し、解析したレイアウト構造に応じてファクシミリ画像を領域に分割するレイアウト解析部である。上記の入力部105は、例えば表示部106に備えられたタッチパネルからなっている。また、テンキーやポインタ、リモコンなどを入力部105として適用することもできる。
【0023】
ユーザは、表示部106の表示を確認しながら入力部105に操作入力を行うことで、送付状テンプレートを送付状記憶部103に記憶させることができる。送付状記憶部103は、図示しないテンプレートテーブルにおいて、送付状テンプレートの画像と送付状から画像を読み取って文字認識を行うための領域(読み取り領域)とを関連付けて記憶する。送付状テンプレートに関連付けられる領域は、各送付状テンプレートに応じて予め定められるもので、例えば、ユーザが電子メールにて確認したい内容をファクシミリ画像から選択的に抽出できるように、送付状の形式等に応じて文字認識を行う領域を適宜定めておくものである。
また、ユーザは、表示部106の表示を確認しながら入力部105に操作入力を行うことで、ファクシミリ画像の転送先の電子メールアドレスを宛先記憶部104へ登録することができる。
【0024】
宛先記憶部104は、ファクシミリ画像の転送先となる宛先を転送先テーブルとして記憶している。図3は、宛先記憶部104に記憶される転送先テーブルの一例を示す図である。図3において、転送先ID21は、転送先ごとに割り振る一意な番号である。転送先アドレス22は、転送先の電子メールアドレスを表す。受信制限23は、転送先の受信端末(図1の例では携帯端末14〜17)に受信データの上限値が設定されるか否かを表す。すなわち、受信制限23は、文字数の受信制限である文字数上限24が設定されているかどうかを表すフラグを示している。本例では、転送先テーブルに登録されたすべての転送先をファクシミリ画像の転送対象とする。しかしながら、転送先の指定はこの方法に限定されるものではなく、例えば、転送先ごとに転送スイッチフラグを設け、登録した転送先のうち一部の転送先に転送できるようにした構成でもよい。ファクシミリ画像の転送においては、実際には、ファクシミリ画像のレイアウト解析により得られた分割領域ごとに文字認識が行われ、得られた文字データを電子メールの形態で転送先に転送することになる。
【0025】
次に、画像処理装置10の動作について説明する。図5は、本発明に係る画像処理装置の処理例を説明するためのフローチャートである。ここでは、画像処理装置10が図4に示すファクシミリ画像30をファクシミリによって受信したものとする。
まず画像処理装置10は、ファクシミリ画像受信部101において通信回線を介して受信したファクシミリ画像を取得し、画像記憶部102に受信画像を記憶させる(処理S1)。続いて画像処理装置10では、送付状記憶部103を参照し、取得したファクシミリ画像30と送付状テンプレートとの画像マッチングを行う(処理S2)。画像マッチングの方法は、特に限定されるものではなく、従来から公知の種々な方法を用いることができる。本例では、対象とするファクシミリ画像の全体あるいは一部に存在する文字部分を構成するブロックの大きさ、構成、配置、画像の全体あるいは一部に存在する線、罫線等の配置、太さ、種別画像等の特徴的な形状を抽出し、送付状テンプレートと照合する方法で画像マッチングを実現する。
【0026】
処理S2による画像マッチングの結果、取得したファクシミリ画像に合致する送付状テンプレートが送付状記憶部103に記憶されている場合(処理S3−Yes)、その送付状テンプレートに関連付けられている領域を文字認識対象の読み込み領域とする(処理S4)。本例において、図4のファクシミリ画像30に合致した送付状テンプレートに関連付けられている領域は、領域31であるものとする。
一方、処理S3において、受信したファクシミリ画像に合致する送付状テンプレートがなかった場合には、ファクシミリ画像全体を文字認識対象の読み込み領域とする(処理S9)。
【0027】
読み込み領域に体する文字認識に際して、まず読み込み領域のレイアウト構造の解析を行う(処理S5)。文字認識を行う際に単語辞書や構文辞書を用いて認識精度を高めるアルゴリズムが知られている。そのため、処理S5では、処理S4または処理S9で決定された読み込み領域に対して、画像のレイアウト構造の解析を行う。
本例では、レイアウト解析部111は、ファクシミリ画像30の読み込み領域に存在する文字部分を構成する線、罫線等の配置、太さ、種別を抽出して、セクションとして領域分割する処理を行う。例えば、読み込み領域内に記載された表の各セルをセクションとして区切って分割する。
【0028】
そして、続く文字認識処理では、分割した領域ごとに文字認識処理(処理S6)を実行する。そして、1つの分割領域にて文字認識処理が終わるごとに、転送先テーブルの全ての転送先IDの文字数上限24の値と、文字認識処理により得られた文字データの文字数とを比較し、文字認識した文字データの文字数が、すべての転送先IDの文字数上限24に達したか否かを判別する(処理S7)。文字認識した文字データが、すべての転送先IDの文字数上限24に達した場合、文字認識処理を終了し、文字認識した文字データを含む電子メールを作成し、すべての転送先IDの転送先アドレスに対して電子メールを送信する(処理S8)。
【0029】
一方、処理S7において、文字認識した文字データが全ての転送先IDの文字数上限に達していない場合には、次の分割領域について、処理S6により文字認識を実行する。すなわち、複数の転送先IDが転送テーブルに格納されている場合には、文字数上限24の最大値に達するまで文字認識処理を繰り返す。
【0030】
本発明に係る実施形態の効果は、ファクリミリ画像に含まれる文字の一部を必要最低限となる量だけ読み込んで文字認識し、電子メールを作成することができる点にあり、文字認識処理の効率化が可能となる。
【0031】
図6は、図4に示す領域31の文字認識を行った結果を電子メールにより受信した携帯電話の表示画面例を示す図である。この例では、図4に示す領域31を読み込み領域とし、その読み込み領域に対して文字認識を行った結果が電子メールにより転送されたものとする。このときの転送先ID21は、図3に示す“4”であり、図6に示す画面41は、転送先ID21が“4”に設定されている携帯電話の画面を示している。
【0032】
図3に示すように、転送先ID21として“4”が設定された転送先の文字数上限24は、転送先テーブルに設定された転送先ID21のなかで最大の値である“150”となっている。従って、画像処理装置で電子メールを作成する際には、分割領域ごとの文字認識処理により得られた文字数が150文字に達したところで電子メールが作成されて送信される。転送先IDが“4”の携帯電話の画面41には、図6に示すように、文字数上限“150”に合わせて電子メールが表示される。
【0033】
一方、ファクシミリ画像に合致する送付状テンプレートがなかった場合には、ファクシミリ画像全体を文字認識処理のための読み込み領域とするが、このとき、ファクシミリ画像の文頭から分割領域毎に文字認識処理を行い、得られた文字データを電子メールの本文として送信する。
図7は、図4に示すファクシミリ画像全体を文字認識対象の読み込み領域として文字認識した結果を電子メールにより受信した携帯電話の表示画面例を示す図である。このときの転送先ID21は、図3に示す“4”であり、図7に示す画面41は、転送先ID21が“4”に設定されている携帯電話の画面を示している。
【0034】
この場合も同様に、転送先ID21として“4”が設定された転送先の文字数上限24は、転送先テーブルに設定された転送先ID21のなかで最大の値である“150”となっている。従って、画像処理装置で電子メールを作成する際には、分割領域ごとの文字認識処理により得られた文字データの文字数が150文字に達したところで電子メールが作成されて送信される。転送先IDが“4”の携帯電話の画面41では、図7に示すように、文字数上限“150”に合わせて電子メールが表示される。ここでは、図6の表示画面と同じ文字数“150”で電子メールが表示されるが、図6の場合と異なり、ファクシリミリ画像30の先頭から文字認識処理が行われている。
【0035】
また、上記の図3の例では、宛先記憶部104に記憶される転送先テーブルには、文字数の受信制限の値である文字数上限24を設定するようにしていたが、文字数上限24に換えて、文字データの文字数あるいはデータ量のいずれかを上限値として設定可能としてもよい。データ量を示す値としては、文字データのバイト数を用いることができる。
この場合、図5の処理S7に、文字認識した文字データをバイト換算する処理を追加する。そして転送先テーブルにて上限値としてバイト数が設定されている宛先については、換算したバイト数と、転送先テーブルに設定された上限のバイト数とを比較し、換算したバイト数が上限のバイト数に達した場合に、その文字認識した文字データを電子メールにして送信する。
【0036】
図8は、本発明による画像処理装置の他の実施形態の構成概略図である。図8においては、文字認識動作制御部107が判断部112を有している。判断部112は、レイアウト解析部111が分割した領域内のフォントサイズを取得して、その分割領域に記載可能な文字数が受信データ制限の設定値を超えるかを判断するものである。その他の構成については、図2と同様であり、繰り返しの説明は省略する。
【0037】
上記図5の処理S4におけるレイアウト構造の解析処理では、ファクシミリ画像30の読み込み領域に存在する文字部分を構成する線、罫線等の配置、太さ、種別を抽出して、セクションとして領域分割する処理を行っている。例えば、読み込み領域内に記載された表の各セルをセクションとして区切って分割し、その各セルに対して文字認識処理を実行していた。
しかしながら、1つの分割領域に埋められた文字数が、設定された文字数上限値を大きく超える場合もある。そのため、本発明に係る更に他の実施形態では、図5の処理S5に、分割領域のフォントサイズを取得するステップを追加する。このステップでは、文字のピッチを画像解析により判別し、分割領域内で最も頻繁に使用されているフォントサイズを取得する方法や、予めテンプレートにフォントサイズを登録しておく方法などを適用することができるが、特にこれらの方法に限定されるものではなく種々の方法を適用することができる。
【0038】
そして、取得したフォントサイズと分割領域の大きさとを比較した結果、分割領域内に記載可能な文字数が転送テーブル記載の文字数上限値の最大の値を超えると判断した場合には、分割領域ごとの文字認識中に、適宜、電子メールの作成/送信処理(S8)を実施する。処理S8では、文字認識処理により、所定の文字データあるいはパターンを検出した場合にそれまでの文字認識結果を電子メールにして送信する。このような所定の文字データとしては、例えば、読点「。」、ピリオド「.」、疑問符「?」、感嘆符「!」などを適用することができる。また、所定のパターンとしては、文字データ列の間に設定された空白域を適用することができる。すなわち、文中の文法的な区切りを表す文字やパターンを検出して、それまでの文字認識結果を電子メールにして送信することができる。本実施形態により、表のセル等の分割領域に記載できる文字数が、所定の文字数上限値に比べ大きい場合でも、電子メールの送信時に不要な文字を認識する処理を抑えることが可能となる。
【0039】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0040】
10…画像処理装置、11…ファクシミリ端末、12…公衆回線、13…インターネット回線、14…携帯端末、18…ファクシミリ画像、19…電子メール、21…転送先ID、22…転送先アドレス、23…受信制限、24…文字数上限、30…ファクシミリ画像、31…領域、41…画面、101…ファクシミリ画像受信部、102…画像記憶部、103…送付状記憶部、104…宛先記憶部、105…入力部、106…表示部、107…文字認識動作制御部、111…レイアウト解析部、112…判断部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信回線に接続可能な画像処理装置であって、
前記通信回線を介して受信したファクシミリ画像を取得するファクシミリ画像受信部と、
該ファクシミリ画像受信部により取得したファクシミリ画像を記憶する画像記憶部と、
前記ファクシミリ画像の少なくとも一つの転送先と、転送先ごとの受信データ制限の設定値とを関連付けて記憶する宛先記憶部と、
前記ファクシミリ画像受信部により取得したファクシミリ画像から文字認識により文字データを取得する文字認識部と、
前記受信データ制限の設定値と前記文字認識部により取得した文字データとを比較し、前記文字認識部による文字認識を継続するか否かを制御する文字認識動作制御部と、
前記文字認識部により取得した文字データを本文に記載した電子メールを作成する電子メール作成部と、を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置であって、前記受信データ制限の設定値は、前記文字データの文字数を制限する設定値、あるいは前記文字データのデータ量を制限する設定値であることを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像処理装置であって、前記受信データ制限の設定値は、複数の転送先に関連付けられた文字データの文字数あるいはデータ量のうち、最大の文字数あるいはデータ量を設定する設定値であることを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の画像処理装置であって、前記転送先は、携帯用コンピュータ端末機器の電子メールアドレスであることを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1に記載の画像処理装置であって、前記文字認識部の読み取り対象領域を指定するためのファクシミリ送付状のテンプレートを少なくとも一つ記憶可能な送付状記憶部を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1に記載の画像処理装置であって、所定の条件に基づき前記ファクシミリ画像のレイアウト構造を解析し、該レイアウト構造に応じて前記ファクシミリ画像を領域に分割する機能を有するレイアウト解析部を有し、
前記文字認識部は、前記分割した領域毎に、前記文字認識を行って文字データを取得することを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の画像処理装置であって、前記文字認識動作制御部は、前記分割した領域内のフォントサイズを取得して、該フォントサイズを取得した領域内に記載可能な文字数が前記受信データ制限の設定値を超えるかを判断する判断部を有することを特徴とする画像処理装置
【請求項8】
請求項7に記載の画像処理装置であって、前記文字認識動作制御部は、前記判断部において前記フォントサイズを取得した領域内に記載可能な文字数が前記受信データ制限の設定値を超えると判断された場合、前記文字認識による文字認識の結果から所定の特徴を取得するたびに、前記文字認識を継続するかを判断することを特徴とする画像処理装置。
【請求項9】
請求項8に記載の画像処理装置であって、前記所定の特徴は、所定の文字データであることを特徴とする画像処理装置。
【請求項10】
請求項8に記載の画像処理装置であって、前記所定の特徴は、文字データ列の間に設定された空白域であることを特徴とする画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−200125(P2010−200125A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−44150(P2009−44150)
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】