説明

画像処理装置

【課題】複数枚の原稿と、それらの原稿の読取画像に合成する複数枚の背景画像の原稿とを一度に連続的に読み取り、複数枚の原稿の読取画像に複数の背景画像を合成して出力することができる画像処理装置を提供する。
【解決手段】複合機では、複数枚の原稿を読み取り、それらの読取画像に複数の背景画像を個別に合成して出力したい場合に、連続オーバーレイを選択し、複数枚の背景画像の原稿と、背景画像を合成する複数枚の原稿とを、所定の順番および所定の向きで重ねて自動原稿搬送部にセットし、読み取り開始の操作(スタートボタンの押下操作)を行う。複合機は、この複数枚の原稿を一度に連続的に読み取り、原稿の読取画像に複数の背景画像を個別に合成して出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置に係り、特に、複数枚の原稿を読み取って取得した画像データを合成して出力する画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機や複合機などの画像処理装置においては、背景画像となる原稿を読み取って記憶し、その背景画像を別の原稿の読取画像に合成して出力するオーバーレイと呼ばれる技術が知られている。従来のオーバーレイでは、たとえば背景画像の原稿を先頭ページとし、その背景画像を合成する原稿を次ページ以降に重ねて自動原稿搬送装置にセットし、その複数枚の原稿(原稿束)を順次自動搬送してスキャナ部で読み取ると、先頭ページの原稿の背景画像が次ページ以降の原稿の画像(読取画像)に合成されて出力されるようになっている。
【0003】
また、ファクシミリ機能を備えた画像処理装置においては、ファクシミリ送信に関するフォーム画像の原稿を読み取って登録しておき、送信対象の原稿を別途読み取ってその読取画像に、登録されているフォーム画像を合成してファクシミリ送信する技術がある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−107997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
原稿の読取画像に背景画像を合成する場合、たとえば、複数ページの原稿の途中ページから、合成する背景画像を変更したい、あるいは、複数種類の原稿に対し、複数種類の背景画像を個別に合成したいなどの要望がある。このような場合に従来のオーバーレイでは、一度の原稿読み取りで一つの背景画像しか合成することができないため、背景画像毎に原稿の読み取りを行わなければならず、作業が煩雑となる。
【0006】
また、事前に原稿を読み取って登録しておいたフォーム画像を別の原稿の読取画像に合成する技術では、たとえば、複数ページの原稿の途中ページから、合成するフォーム画像を変更する場合に、どのページにどのフォーム画像を合成するか設定する必要があり、操作が煩雑となる。
【0007】
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、複数枚の原稿と、それらの原稿の読取画像に合成する複数枚の背景画像の原稿とを一度に連続的に読み取り、複数枚の原稿の読取画像に複数の背景画像を合成して出力することができる画像処理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
【0009】
[1]原稿を読み取って画像データを取得する読取部と、
前記読取部に複数枚の原稿を順次搬送する原稿搬送部と、
前記読取部によって取得された画像データを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された画像データを出力する出力部と、
前記原稿搬送部によって順次搬送された複数枚の原稿から、複数枚の背景画像の原稿を検知する検知部と、
前記検知部によって検知された複数枚の背景画像の原稿の画像データを、背景画像以外の原稿の画像データに合成し、前記出力部から出力する制御部と、
を備えた画像処理装置。
【0010】
上記発明では、画像処理装置の原稿搬送部に複数枚の原稿(原稿束)をセットし自動搬送で原稿の読み取りを行う場合に、原稿搬送部は複数枚の原稿を読取部に順次搬送する。読取部は原稿搬送部によって順次搬送される複数枚の原稿を順次読み取って画像データを取得する。記憶部は読取部によって取得された画像データを記憶する。原稿搬送部によって順次搬送された複数枚の原稿から、検出部によって複数枚の背景画像の原稿が検知されると、制御部は、検知された複数枚の背景画像の原稿の画像データを、背景画像以外の原稿の画像データに合成し、出力部から出力する。
【0011】
これにより、合成対象となる複数枚の原稿と、それらの原稿の読取画像に合成する複数枚の背景画像の原稿とを一度に連続的に読み取り、合成対象となる複数枚の原稿の読取画像に複数の背景画像を合成して出力することができる。
【0012】
[2]前記検知部は、原稿毎に背景画像の原稿か否かの検知を行う
ことを特徴とする[1]に記載の画像処理装置。
【0013】
上記発明では、原稿搬送部によって順次搬送される複数枚の原稿に対し、原稿毎に背景画像の原稿か否かの検知を行うことで、その複数枚の原稿の中に存在する複数枚の背景画像の原稿が自動で検知されるようになる。これにより、たとえば原稿搬送部にセットする複数枚の原稿(原稿束)の中のどの原稿が背景画像の原稿かを設定(指定)するなどしなくてもよくなり、操作が簡単になる。
【0014】
[3]前記検知部は、原稿の特徴を検知して背景画像の原稿か否かの検知を行う
ことを特徴とする[1]または[2]に記載の画像処理装置。
【0015】
上記発明では、原稿搬送部によって順次搬送される複数枚の原稿に対し、原稿の特徴を検知して背景画像の原稿か否かの検知を行う。たとえば、背景画像の原稿と、背景画像を合成する合成対象の原稿とで、検知対象となる特徴を異ならせることにより、それらの原稿を自動で識別(区別)することができる。
【0016】
なお、原稿の特徴の検知は、[2]の構成に組み合わせて原稿毎に行うようにしてもよいし、原稿毎に行わないようにしてもよい。たとえば、背景画像の原稿の次の原稿は、その背景画像が合成される原稿にすると定めている構成であれば、背景画像の原稿の次の原稿は、背景画像以外の原稿(合成対象の原稿)であると自動認識して、その背景画像の原稿の次の原稿に対する特徴の検知は省略するようにしてもよい。
【0017】
[4]前記検知部による背景画像の原稿の検知条件の設定を受け付ける設定部を備える
ことを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【0018】
上記発明では、背景画像の原稿の検知条件を設定で変更することができ、背景画像の原稿の検知の仕方をユーザの要望に応じて設定することができる。検知条件は、たとえば、背景画像の原稿における検知対象の特徴でもよいし、背景画像の原稿か否かの検知を原稿毎に行うまたは原稿毎に行わないなどの条件でもよい。
【0019】
[5]前記原稿の特徴は、原稿の向きである
ことを特徴とする[3]または[4]に記載の画像処理装置。
【0020】
上記発明では、原稿搬送部によって順次搬送される複数枚の原稿に対し、原稿の向きを検知して背景画像の原稿か否かの検知を行う。この場合は、複数枚の原稿を原稿搬送部にセットする際に、背景画像の原稿と、合成対象の原稿とで、向き(縦向き/横向き)を異ならせることにより、背景画像の原稿が自動で検知される(背景画像の原稿と合成対象の原稿とが自動で識別される)。
【0021】
[6]前記原稿の特徴は、原稿のサイズである
ことを特徴とする[3]または[4]に記載の画像処理装置。
【0022】
上記発明では、原稿搬送部によって順次搬送される複数枚の原稿に対し、原稿のサイズを検知して背景画像の原稿か否かの検知を行う。この場合は、背景画像の原稿と合成対象の原稿とでサイズ(紙サイズ)を異ならせることにより、背景画像の原稿が自動で検知される。
【0023】
[7]前記原稿の特徴は、原稿の画像の色である
ことを特徴とする[3]または[4]に記載の画像処理装置。
【0024】
上記発明では、原稿搬送部によって順次搬送される複数枚の原稿に対し、原稿の画像の色を検知して背景画像の原稿か否かの検知を行う。この場合は、背景画像の原稿と合成対象の原稿とで画像の色(モノクロ/カラーなど)を異ならせることにより、背景画像の原稿が自動で検知される。
【0025】
[8]前記原稿の特徴は、原稿に付加された情報である
ことを特徴とする[3]または[4]に記載の画像処理装置。
【0026】
上記発明では、原稿搬送部によって順次搬送される複数枚の原稿に対し、原稿に付加された情報を検知して背景画像の原稿か否かの検知を行う。この場合は、背景画像の原稿と合成対象の原稿のうちの一方に情報を付加する、もしくは、背景画像の原稿と合成対象の原稿とで付加する情報を異ならせるなどにより、背景画像の原稿が自動で検知される。
【0027】
[9]前記情報は、原稿に設けられた無線タグに記憶されて原稿に付加される
ことを特徴とする[8]に記載の画像処理装置。
【0028】
上記発明では、背景画像の原稿か否かを検知するための情報が記憶された無線タグが設けられている(埋め込まれている)記録紙に、背景画像を印刷する、もしくは、背景画像の原稿に、その情報が記憶された無線タグを貼り付けるなどにより、その情報を背景画像の原稿に付加する(その情報が付加された背景画像の原稿を作成する)。また、背景画像の原稿と合成対象の原稿のうちの一方に無線タグを設けて情報を付加する、もしくは、背景画像の原稿と合成対象の原稿とに、異なる情報が記憶された無線タグを各々設けて、付加する情報を異ならせるようにしてもよい。
【0029】
画像処理装置の検知部は、原稿の無線タグと通信し情報を読み取って、背景画像の原稿か否かを検知する。このような無線タグ(無線通信技術)を用いて、背景画像の原稿か否かを検知するための情報を原稿に付加することができる。
【0030】
[10]前記制御部は、前記背景画像の原稿の画像データを、その背景画像の原稿の次の原稿から、次の背景画像の原稿の手前の原稿までの、各原稿の画像データに合成する
ことを特徴とする[1]〜[9]のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【0031】
上記発明では、複数枚の原稿において、背景画像の原稿が検知されると、当該背景画像の原稿の次の原稿から、当該背景画像の原稿の次の背景画像の原稿の手前の原稿までは、その原稿の画像データ(読取画像)に当該背景画像の画像データが合成される。なお、次の背景画像の原稿が検知されない場合には、当該背景画像の原稿以降の最後の原稿まで、その原稿の画像データ(読取画像)に当該背景画像の画像データが合成される。
【0032】
[11]前記制御部は、前記背景画像の原稿の画像データを、その背景画像の原稿の次の原稿の画像データのみに合成する
ことを特徴とする[1]〜[9]のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【0033】
上記発明では、複数枚の原稿において、背景画像の原稿が検知されると、当該背景画像の原稿の次の原稿の画像データ(読取画像)のみに当該背景画像の画像データが合成される。
【発明の効果】
【0034】
本発明の画像処理装置によれば、複数枚の原稿と、それらの原稿の読取画像に合成する複数枚の背景画像の原稿とを一度に連続的に読み取り、複数枚の原稿の読取画像に複数の背景画像を合成して出力することができる。したがって、複数枚の原稿の読取画像に複数の背景画像を合成する場合の作業や操作が簡単になり、利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像処理装置としての複合機の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るコピー設定画面の初期画面を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るコピー設定画面の応用設定操作画面を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る連続オーバーレイ設定操作画面を示す図である。
【図5】連続オーバーレイを行うときの原稿の重ね方と、連続オーバーレイのマルチ合成モードで出力される合成画像を示す説明図である。
【図6】連続オーバーレイを行うときの原稿の重ね方と、連続オーバーレイのシングル合成モードで出力される合成画像を示す説明図である。
【図7】複合機による連続オーバーレイ(マルチ合成モード)の動作を示す流れ図である。
【図8】複合機による連続オーバーレイ(シングル合成モード)の動作を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面に基づき本発明の実施形態を説明する。
【0037】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像処理装置としての複合機10の構成を示すブロック図である。
【0038】
複合機10は、原稿の画像を光学的に読み取ってその複製画像を記録紙に印刷して出力するコピー機能、読み取った原稿の画像データをファイルにして保存したり外部端末やサーバへ送信したりするスキャン機能、外部端末から受信した印刷データに基づく画像や当該複合機10に保存されている画像データに基づく画像を記録紙に印刷して出力するプリンタ機能、ファクシミリ機能などを備えている。
【0039】
また複合機10は、原稿を読み取って画像データを取得するスキャナ部と、読み取り対象となる複数枚の原稿を1枚ずつスキャナ部に搬送する自動原稿搬送部(Auto Document Feeder;ADF)とを備えている。コピーやファクシミリ送信などにおいては、スキャナ部によって取得された画像データ(原稿の読取画像)をユーザによって設定された出力条件(出力設定)に従い出力する。
【0040】
この出力条件の設定では、背景画像となる原稿と、この背景画像を合成する原稿(合成対象の原稿)とを重ねて一度に読み取り、原稿の読取画像に背景画像を合成して出力するオーバーレイに関する条件を設定できるようになっている。
【0041】
背景画像は、原稿の画像に合成される各種の画像を含む。たとえば、原稿の画像の背景を構成する模様、原稿の画像に加える定型の文字、マーク、図などを含む。
【0042】
オーバーレイの機能としては、従来のオーバーレイと、連続オーバーレイとを備えている。従来のオーバーレイは、一度の読み取りで先頭ページの原稿の背景画像を次ページのみもしくは次ページ以降の全ての原稿の読取画像に合成する機能である。連続オーバーレイは、一度の読み取りで複数枚の原稿の読取画像に複数の背景画像を個別に合成する機能、詳細には、先頭ページの原稿の背景画像を次ページのみもしくは次ページ以降の原稿の読取画像に合成するオーバーレイを複数組の原稿束に対して一度の読み取りで連続して行う機能である。
【0043】
連続オーバーレイでは、自動原稿搬送部によって順次搬送された複数枚の原稿から、複数枚の背景画像の原稿を検知し、その検知された複数枚の背景画像の原稿の画像データを、背景画像以外の原稿(合成対象の原稿)の画像データに合成し、出力するようになっている。本実施形態では、背景画像の原稿の次に、その背景画像を合成する原稿を重ねて一組の原稿束を構成し、その原稿束を複数組重ねて自動原稿搬送部にセットし、一度に読み取ることで、連続オーバーレイによる上記の画像合成が実現される。
【0044】
また連続オーバーレイには、背景画像の原稿の画像データを、その背景画像の原稿の次の原稿から次の背景画像の原稿の手前の原稿までの各原稿の画像データに合成するモード(マルチ合成モード)と、背景画像の原稿の画像データを、その背景画像の原稿の次の原稿の画像データのみに合成するモード(シングル合成モード)とが設けられている。これらのモードは、連続オーバーレイに関する設定でいずれかを選択できるようになっている。
【0045】
複合機10は、制御部としてのCPU(Central Processing Unit)11に、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、不揮発メモリ14と、表示部15と、操作部16と、ファクシミリ通信部17と、ネットワーク通信部18と、自動原稿搬送部(ADF)19と、原稿特徴検知部20と、スキャナ部21と、画像記憶部22と、画像処理部23と、プリンタ部24とを接続して構成される。
【0046】
CPU11は、ROM12に格納されているプログラムに基づいて複合機10の動作を制御する。ROM12には、CPU11によって実行される各種プログラムや各種の固定データが記憶されている。RAM13は、CPU11がプログラムを実行する際に各種データを一時的に格納するワークメモリとして使用されるほか、画像データを一時的に保存するための画像メモリなどにも使用される。不揮発メモリ14は、電源がオフにされても記憶が保持されるメモリであり、装置固有の情報や各種の設定情報などが記憶される。
【0047】
表示部15は、液晶ディスプレイなどで構成され、操作画面や設定画面などの各種の画面を表示する。操作部16は、スタートボタン、ストップボタン、テンキーなどの各種のボタン類と、液晶ディスプレイの表面に設けられて押下された座標位置を検出するタッチパネルなどで構成され、ユーザが複合機10に対して行う各種の操作を受け付ける。
【0048】
ファクシミリ通信部17は、ファクシミリ機能を備えた外部装置と公衆回線を通じて画像データを送受信する。ネットワーク通信部18は、外部端末やサーバなどとLAN(Local Area Network)などのネットワークを通じて通信を行う。
【0049】
自動原稿搬送部19は、セットされた原稿を搬送してスキャナ部21による読取位置に送り込む。自動原稿搬送部19は、たとえば、原稿がセットされる原稿トレイと、原稿トレイにセットされた原稿をスキャナ部21の読取位置に案内し排出するための搬送通路と、原稿トレイにセットされた原稿を1枚ずつ搬送通路に送り込み、スキャナ部21の読取位置を通過させて搬送通路から排出する複数の搬送ローラと、スキャナ部21による読み取りの済んだ原稿が搬送通路から排出される排出トレイなどを備えて構成される。
【0050】
原稿特徴検知部20は、自動原稿搬送部19によって順次搬送された複数枚の原稿から、原稿の特徴を検知して背景画像の原稿か否かの検知を行う。本実施形態では、この原稿の特徴を原稿の向き(縦向き/横向き)としており、原稿特徴検知部20が原稿の向きを検知することで、背景画像の原稿か否かを検知し、背景画像の原稿とそれ以外の原稿とを識別(区別)するようにしている。また本実施形態では、原稿特徴検知部20は、基本的には自動原稿搬送部19によって順次搬送される原稿毎に、背景画像の原稿か否かの検知を行う構成となっている。
【0051】
なお、背景画像の原稿か否かを検知するために用いる原稿の特徴は、原稿の向きの他に、原稿のサイズ、原稿の画像の色(モノクロ/カラー)、原稿に付加した情報などにしてもよい。
【0052】
スキャナ部21は、原稿を光学的に読み取って画像データを取得する。スキャナ部21は、たとえば、原稿に光を照射する光源と、その反射光を受けて原稿を幅方向に1ライン分読み取るラインイメージセンサと、ライン単位の読取位置を原稿の長さ方向に順次移動させる移動手段と、原稿からの反射光をラインイメージセンサに導いて結像させるレンズやミラーなどからなる光学系と、ラインイメージセンサの出力するアナログ画像信号をデジタルの画像データに変換する変換部などを備えて構成される。
【0053】
画像記憶部22は、ハードディスク装置(Hard Disk Drive;HDD)で構成されており、各種の保存データを格納するほか、入力された各種の画像データなども保存する。画像処理部23は、画像データに対して、画像補正、回転、拡大/縮小、圧縮/伸張など各種の画像処理を施す。
【0054】
プリンタ部24は、画像データに基づく画像を電子写真プロセスによって記録紙上に形成して出力する。プリンタ部24は、たとえば、記録紙の搬送装置と、感光体ドラムと、帯電装置と、入力される画像データに応じて点灯制御されるLD(Laser Diode)と、LDから射出されたレーザ光を感光体ドラム上で走査させる走査ユニットと、現像装置と、転写分離装置と、クリーニング装置と、定着装置とを有する、いわゆるレーザープリンタとして構成されている。レーザ光に代えてLED(Light Emitting Diode)で感光体ドラムを照射するLEDプリンタのほか他の方式のプリンタであってもかまわない。
【0055】
次に、複合機10の動作について説明する。
【0056】
ここでは、コピー動作を例に説明する。図2は、複合機10の表示部15に表示されたコピー設定画面50における初期操作画面の一例を示している。初期操作画面には、基本設定ボタン、用紙指定ボタン、画質/濃度ボタン、応用設定ボタン51などの各種のボタンや設定内容が表示される。応用設定ボタン51が押下・選択されると、複合機10は表示部15に、図3に示す画面を表示する。
【0057】
図3は、複合機10の表示部15に表示されたコピー設定画面50における応用設定操作画面の一例を示している。応用設定操作画面には、初期操作画面と同じ基本設定ボタン、用紙指定ボタン、画質/濃度ボタン、応用設定ボタン51の他に、コピーの応用機能に関する設定を行うための複数のボタンが表示される。このボタンの中には、前述した従来のオーバーレイに関する設定を行うためのオーバーレイ設定ボタン52と、連続オーバーレイに関する設定を行うための連続オーバーレイ設定ボタン53とが表示される。連続オーバーレイ設定ボタン53が押下・選択されると、複合機10は表示部15に、図4に示す画面を表示する。
【0058】
図4は、複合機10の表示部15に表示された、連続オーバーレイに関する設定操作画面60の一例を示している。設定操作画面60には、連続オーバーレイを行う原稿を自動原稿搬送部19にセットするときの背景画像の原稿と合成対象の原稿の向き(積載方向)の組み合わせを4種類の中から選択するための4つの選択部61、62、63、64と、背景画像の合成を次ページの原稿のみとする(次ページのみに合成する制御を有効とする)シングル合成モードを選択するための次ページのみボタン65と、設定を確定するためのOKボタン66と、前画面に表示を戻すための戻るボタン67とが表示される。次ページのみボタン65は、押下を繰り返すことで選択状態と非選択状態(選択解除状態)が切り替えられる。選択状態ではシングル合成モードが選択された状態となり、非選択状態ではマルチ合成モードが選択された状態となる。
【0059】
本実施形態では、背景画像の原稿と合成対象の原稿の向きは、以下の4種類の組み合わせの中から選択する。なお、選択部61〜64では、原稿を矩形模様で表すと共に、背景画像の原稿をハッチング(斜線)で表し、合成対象の原稿を白抜きで表している。また、原稿自体が縦向きの原稿であるか横向きの原稿であるかを、原稿内の文字「A」にて模式的に表している。ここでは、「A」の文字が原稿の長手方向(矩形模様の長辺)に沿って描かれているものを縦向きの原稿とし、「A」の文字が原稿の短手方向(矩形模様の短辺)に沿って描かれているものを横向きの原稿として表している。また、自動原稿搬送部19に原稿をセットする向きは、原稿の読み取り方向(搬送方向)に原稿の長手方向を合わせてセットする向きを縦向き(縦向き搬送)とし、原稿の読み取り方向に原稿の短手方向を合わせてセットする向きを横向き(横向き搬送)としている。
【0060】
(1)選択部61:縦向きの原稿に縦向きの背景画像を合成する場合に、背景画像の原稿を縦向きにし(複数枚の背景画像の原稿を縦向きに統一し)、合成対象の原稿を横向きにする(複数枚の合成対象の原稿を横向きに統一する)。
(2)選択部62:縦向きの原稿に縦向きの背景画像を合成する場合に、背景画像の原稿を横向きにし(複数枚の背景画像の原稿を横向きに統一し)、合成対象の原稿を縦向きにする(複数枚の合成対象の原稿を縦向きに統一する)。
(3)選択部63:横向きの原稿に横向きの背景画像を合成する場合に、背景画像の原稿を横向きにし(複数枚の背景画像の原稿を横向きに統一し)、合成対象の原稿を縦向きにする(複数枚の合成対象の原稿を縦向きに統一する)。
(4)選択部64:横向きの原稿に横向きの背景画像を合成する場合に、背景画像の原稿を縦向きにし(複数枚の背景画像の原稿を縦向きに統一し)、合成対象の原稿を横向きにする(複数枚の合成対象の原稿を横向きに統一する)。
【0061】
ユーザは、設定操作画面60を通じて、背景画像の原稿と合成対象の原稿の向きを4種類の組み合わせの中から選択し、さらに、背景画像の合成を次ページの原稿のみとするシングル合成モード、または、背景画像の合成を次ページの原稿から次の背景画像の手前の原稿までとするマルチ合成モードを選択して、連続オーバーレイに関する設定を行う。背景画像の原稿と合成対象の原稿の向きの組み合わせについては選択可能であることにより、ユーザが背景画像の原稿と合成対象の原稿を重ねる際に、原稿自体の向きと原稿をセットする向きとに応じて、各原稿の向きの組み合わせの自由度を高めることができる。なお、背景画像の原稿と合成対象の原稿の向き(向きの組み合わせ)は、上記の4種類に限らない。
【0062】
続いて、連続オーバーレイにおけるマルチ合成モードとシングル合成モードの画像合成の違いについて説明する。
【0063】
図5は、連続オーバーレイを行うときの原稿の重ね方と、連続オーバーレイのマルチ合成モードで出力される合成画像を示している。連続オーバーレイを利用する場合は、背景画像の原稿の次に、その背景画像を合成する原稿を、背景画像の原稿とは向き(縦向き/横向き)を変えて重ねて一組の原稿束を構成し、その原稿束を複数組重ねて自動原稿搬送部19にセットする。なお、合成対象の複数枚の原稿のみを向きを揃えて重ね、その先頭ページと途中ページとに、背景画像の原稿を合成対象の原稿とは向きを変えて挟み込むようにしても同様に構成できる。
【0064】
たとえば、2ページの原稿Aの各ページに斜線模様の背景画像1を合成し、1ページの原稿Bに縦線模様の背景画像2を合成する場合は、コピー設定画面50の応用設定画面で連続オーバーレイを選択し(図3参照)、さらに設定操作画面60(図4参照)でマルチ合成モードを選択する。また本例では、縦向きの原稿に縦向きの背景画像を合成すると共に、背景画像の原稿を縦向き、合成対象の原稿を横向きに重ねて自動原稿搬送部19にセットするものとし、そのために、設定操作画面60の選択部61を選択したものとして説明する。
【0065】
この場合は、背景画像1の原稿を縦向きにし、計2ページの原稿Aを横向きにし、背景画像2の原稿を縦向きにし、計1ページの原稿Bを横向きにして、各原稿を読み取り順に重ね、自動原稿搬送部19にセットする。たとえば、自動原稿搬送部19が最上部の原稿から1枚ずつ送り出す構成であれば、上から、背景画像1の原稿、原稿A(2ページ)、背景画像2の原稿、原稿B(1ページ)の順番に重ねて自動原稿搬送部19にセットする。
【0066】
複合機10は、この複数枚の原稿に対してマルチ合成モードでコピーを行うと、原稿Aの1ページ目の画像に背景画像1を合成したコピー原稿と、原稿Aの2ページ目の画像に背景画像1を合成したコピー原稿と、原稿Bの画像に背景画像2を合成したコピー原稿との、計3枚のコピー原稿を出力する。このように、背景画像1の原稿の次に重ねられた2ページの原稿Aにおいては、その2ページのコピー原稿に背景画像1がそれぞれ合成される。
【0067】
図6は、図5と同じ原稿および背景画像に対し、連続オーバーレイのシングル合成モードでコピーを行った場合に出力される合成画像を示している。原稿の重ね方は、シングル合成モードの場合もマルチ合成モードと同じであり、ここでは説明を省略する。
【0068】
複合機10は、図5で説明した複数枚の原稿に対してシングル合成モードでコピーを行うと、原稿Aの1ページ目の画像に背景画像1を合成したコピー原稿と、原稿Aの2ページ目の画像に背景画像を合成していないコピー原稿と、原稿Bの画像に背景画像2を合成したコピー原稿との、計3枚のコピー原稿を出力する。このように、背景画像1の原稿の次に重ねられた2ページの原稿Aにおいては、その1ページ目(背景画像1の原稿の次のページ)のコピー原稿のみに背景画像1が合成される。
【0069】
図7は、複合機10による連続オーバーレイのマルチ合成モードの動作を示す流れ図である。
【0070】
本実施形態に係る連続オーバーレイでは、読み取る原稿の向きが、背景画像の原稿と合成対象の原稿とで変化する。ここでは、最初に読み取った原稿(背景画像の原稿)の向きに対し、それ以降に順次読み取った原稿の向きが同じであるか否かを確認し、最初の原稿に対して向きの異なる連続した原稿の束(連続しない場合は1枚の原稿)を1ファイルと考え、順次読み取った原稿の向きの変化を検知するごとにファイル数(初期値=1)をカウントアップ(1加算)するようにしている。そして、ファイル数が奇数となる原稿は、最初の原稿と同じ向きであるため背景画像の原稿であると判断し、ファイル数が偶数となる原稿は、最初の原稿と異なる向きであるため、背景画像の原稿でないと判断する(合成対象の原稿でとある判断する)ようにしている。このファイル数(ファイル番号)をカウントするためのカウンタは、たとえばRAM13に構成される。
【0071】
また、現在読み取った原稿が背景画像の原稿か否かをフラグで識別(管理)するようにしている。ここでは、フラグ=0(フラグ・リセット)が背景画像の原稿であることを示し、フラグ=1(フラグ・セット)が背景画像の原稿でないことを示している。このフラグも、たとえばRAM13に構成される。
【0072】
複合機10のCPU11は、自動原稿搬送部19に原稿がセットされたことを図示しない原稿センサで検知し(ステップS101)、スタートボタンが押下されると(ステップS102(ジョブ開始))、ファイル番号のカウンタを1にし(ステップS103)、フラグを0にし(ステップS104)、セットされた原稿(原稿束)の最上部の1枚を自動原稿搬送部19に搬送させ、スキャナ部21で読み取る(ステップS105)。最初の原稿に対しては(ステップS106;Yes)、原稿から読み取った画像データを、背景画像としてRAM13に記憶する(ステップS113)。
【0073】
自動原稿搬送部19に読み取り前の次の原稿がある場合には(ステップS116;Yes)、ステップS105へ戻り、次の原稿を自動原稿搬送部19に搬送させ、スキャナ部21で読み取る(ステップS105)。なお、次の原稿がない場合には(ステップS116;No)、自動原稿搬送部19にセットされた全ての原稿の読み取りを完了したことになる。
【0074】
最初の原稿以外は(ステップS106;No)、今回読み取った原稿の向きを原稿特徴検知部20で検知し、1ページ前の原稿の向きと変化したか否かを確認する(ステップS107)。なお、最初の原稿は背景画像の原稿であり、この最初の原稿の向きは、設定操作画面60(図4参照)の選択部61〜64の中から選択・設定された背景画像の原稿の向きを示す設定情報から把握する。また、最初の原稿の読み取り時にその向きを原稿特徴検知部20で検知し、その向きを示す情報(背景画像原稿向き検知情報)をRAM13などに記憶しておいて、その情報から最初の原稿の向きを把握するようにしてもよい。
【0075】
今回読み取った原稿の向きが、1ページ前の原稿の向きと異なる向きに変化した場合には(ステップS107;Yes)、ファイル番号のカウンタに1を加算し(ステップS108)、ファイル番号(カウンタ値)を確認する(ステップS109)。なお、今回読み取った原稿が背景画像であればファイル番号は奇数となり、背景画像でなければファイル番号は偶数となる。
【0076】
ファイル番号が奇数の場合には(ステップS109;Yes)、フラグを0にし(ステップS110)、ステップS112へ移行する。ファイル番号が偶数の場合には(ステップS109;No)、フラグを1にし(ステップS111)、ステップS112へ移行する。
【0077】
フラグが0である場合には(ステップS112;Yes)、今回読み取った原稿の画像データを、背景画像としてRAM13に記憶されている画像データに上書きして、背景画像の画像データを更新し(ステップS113)、ステップS116へ移行する。
【0078】
フラグが0でない場合には(ステップS112;No)、今回読み取った原稿の画像データを、最初の原稿の向きに一致するように回転する(ステップS114)。たとえば、図4に示した設定操作画面60の選択部61または選択部63が選択・設定されている場合には、今回読み取った原稿の画像データを図示の左回りに90度回転させ、最初の原稿の向きに一致させる。選択部62または選択部64が選択・設定されている場合には、今回読み取った原稿の画像データを図示の右回りに90度回転させ、最初の原稿の向きに一致させる。
【0079】
上記の回転によって最初の原稿の向きに一致させた画像データに、背景画像としてRAM13に記憶されている画像データを合成し、その背景画像を合成した原稿の画像データをRAM13の別の記憶領域に記憶し(ステップS115)、ステップS116へ移行する。
【0080】
自動原稿搬送部19にセットされた全ての原稿の読み取りを完了すると(ステップS116;No)、RAM13に記憶されている、背景画像が合成された原稿の画像データを、プリンタ部24により記録紙に印刷して出力する(ステップS117/End)。
【0081】
図8は、複合機10による連続オーバーレイのシングル合成モードの動作を示す流れ図である。
【0082】
シングル合成モードは、背景画像を、次ページの原稿のみに合成するモードであり、ここでは、背景画像の原稿に続く原稿のページ数をカウントし、1ページ目の原稿に対してのみ、背景画像を合成するようにしている。このページ数(ページ番号)をカウントするためのカウンタは、たとえばRAM13に構成される。
【0083】
以上がマルチ合成モードに対するシングル合成モードの相違点であり、この相違点を含むシングル合成モードの動作の流れは、図8では、図7のステップS101〜S117にステップS201〜S203を追加した内容で示している。ここでは、その相違点となる追加のステップS201〜S203についてのみ説明する。
【0084】
ステップS109におけるファイル番号の確認で、ファイル番号が偶数の場合には(ステップS109;No)、今回読み取った原稿が背景画像でないことになり、フラグを1にし(ステップS111)、ページ番号のカウントを0リセットし(ステップS201)、ステップS112へ移行する。
【0085】
ステップS112におけるフラグの確認で、フラグが0でない場合には(ステップS112;No)、今回読み取った原稿の画像データを、最初の原稿の向きに一致するように回転する(ステップS114)。続いて、ページ番号のカウンタに1を加算し(ステップS202)、ページ番号(カウンタ値)を確認する(ステップS203)。ページ番号が1である場合には(ステップS203;Yes)、上記の回転によって最初の原稿の向きに一致させた画像データに、背景画像としてRAM13に記憶されている画像データを合成し、その背景画像を合成した原稿の画像データをRAM13の別の記憶領域に記憶し(ステップS115)、ステップS116へ移行する。ページ番号が1でない場合には(ステップS203;No)、上記の回転によって最初の原稿の向きに一致させた画像データを(背景画像を合成せずに)、RAM13の別の記憶領域に記憶し、ステップS116へ移行する。
【0086】
また、ステップS117では、RAM13に記憶されている、背景画像が合成された原稿の画像データと、背景画像が合成されていない原稿の画像データとを、プリンタ部24により記録紙に印刷して出力する。
【0087】
このように、本実施形態に係る複合機10では、複数枚の原稿を読み取り、それらの読取画像に複数の背景画像を個別に合成して出力したい場合に、連続オーバーレイを選択し、複数枚の背景画像の原稿と、背景画像を合成する複数枚の原稿とを、所定の順番および所定の向きで重ねて自動原稿搬送部19にセットし、読み取り開始の操作(スタートボタンの押下操作)を行うだけで、その原稿束を一度に連続的に読み取り、合成対象となる原稿の読取画像に複数の背景画像を個別に合成して出力することができる。これを従来のオーバーレイで行うと、自動原稿搬送部19に、1枚の背景画像の原稿とその背景画像を合成する原稿とを重ねてセットし読み取る作業を、背景画像別に複数回繰り返すことになるが、連続オーバーレイでは、複数枚の背景画像の原稿と、背景画像を合成する複数枚の原稿とを一度に読み取って画像合成できるので、作業や操作が簡単になり、利便性が向上する。
【0088】
また本実施形態では、自動原稿搬送部19によって順次搬送される複数枚の原稿に対し、原稿の向きを検知して、原稿毎に背景画像の原稿か否かの検知を行うことで、その複数枚の原稿の中に存在する複数枚の背景画像の原稿を自動で検知できる。これにより、たとえば自動原稿搬送部19にセットする原稿束の中のどの原稿が背景画像の原稿かを設定(指定)するなどしなくてもよくなり、操作が簡単になる。
【0089】
以上、本発明の実施形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0090】
たとえば、原稿の読取画像に背景画像を合成した合成画像の出力形態は紙媒体に限らない。複合機10の内部の記憶媒体や複合機10に外部接続された記憶媒体への保存、ネットワークを通じた外部装置への送信やファクシミリ送信などにしてもよい。
【0091】
背景画像の原稿は、原稿の向き(向きの変化)で検知するようにしているが、検知の仕方はこれに限らない。背景画像の原稿と、それ以外の原稿との特徴の違いを検知できればよく、たとえば、原稿のサイズ、原稿の画像の色(モノクロ/カラー)、原稿に付加した情報などを検知するようにしてもよい。また、これらの検知方法を選択・設定できるように構成してもよい。
【0092】
原稿のサイズの検知では、たとえば背景画像の原稿をB5サイズ、背景画像を合成する原稿をA4サイズにし、それらの原稿を実施形態で説明した順番で重ねて複合機10の自動原稿搬送部19にセットし、原稿搬送時に原稿特徴検知部20で原稿のサイズを検知することにより、背景画像の原稿を検知(背景画像の原稿と合成対象の原稿とを識別)するようにすればよい。
【0093】
原稿の画像の色の検知では、たとえば背景画像と、背景画像を合成する原稿の画像のいずれか一方をモノクロ、他方をカラーにし、それらの原稿を実施形態で説明した順番で重ねて複合機10の自動原稿搬送部19にセットし、原稿搬送時に原稿特徴検知部20で原稿の画像の色を検知することにより、背景画像の原稿を検知(背景画像の原稿と合成対象の原稿とを識別)するようにすればよい。
【0094】
原稿に付加した情報の検知では、たとえば背景画像と、背景画像を合成する原稿の画像のいずれか一方を、無線タグ(RFID(Radio Frequency IDentification)タグ)が設けられた記録紙に印刷し、それらの原稿を実施形態で説明した順番で重ねて複合機10の自動原稿搬送部19にセットし、原稿搬送時に原稿特徴検知部20で無線タグ(無線タグに記憶されている電子情報)の有無を検知することにより、背景画像の原稿を検知(背景画像の原稿と合成対象の原稿とを識別)するようにすればよい。また、無線タグによる電子情報の他に、たとえば背景画像の原稿と、背景画像を合成する原稿のいずれか一方に、識別情報を印刷し、それらの原稿を実施形態で説明した順番で重ねて複合機10の自動原稿搬送部19にセットし、原稿搬送時に原稿特徴検知部20で識別情報の有無を検知することにより、背景画像の原稿を検知(背景画像の原稿と合成対象の原稿とを識別)するようにしてもよい。
【0095】
また、実施形態では原稿束の先頭ページ(1枚目)は、背景画像の原稿にするよう定めているが、このページ位置による条件(背景画像の原稿の検知条件)は無くてもかまわない。たとえば、自動原稿搬送部19によって順次搬送される複数枚の原稿(原稿束)に対し、原稿毎に背景画像の原稿か否かの検知を行う構成であれば、その原稿束の中に存在する背景画像の原稿を全て検知できるので、ページ位置による条件は用いなくてもかまわない。
【0096】
また、自動原稿搬送部19によって順次搬送された複数枚の原稿から、複数枚の背景画像の原稿を検知する検知部の構成は、原稿の特徴を検知する構成に限らない。たとえば、原稿束の中に存在する複数枚の背景画像の原稿のページ位置を初期設定やユーザ設定によって指定し、自動原稿搬送部19によって順次搬送される原稿のページ数を検知部で検知することにより、指定されたページ位置の原稿を、背景画像の原稿であると検知(識別)するようにしてもよい。
【0097】
また、実施形態では複数枚の原稿の読取画像に対し、複数の背景画像を個別に合成するようにしているが、複数の背景画像を組み合わせて(背景画像同士を合成して)、原稿の読取画像に合成するようにしてもよい。たとえば、原稿束の中から連続して背景画像の原稿を検知した場合には、それらの背景画像を合成して、原稿の読取画像に合成するようにしてもよい。たとえば、原稿の画像に加える定型の文字からなる背景画像と、原稿の画像の背景を構成する模様からなる背景画像などの複数の背景画像を合成して、原稿の読取画像に合成することが可能である。
【0098】
また、本発明に係る画像処理装置は、実施形態で説明した複合機に限らず、複写機やファクシミリ機なども対象にすることができる。
【符号の説明】
【0099】
10…複合機
11…CPU
12…ROM
13…RAM
14…不揮発メモリ
15…表示部
16…操作部
17…ファクシミリ通信部
18…ネットワーク通信部
19…自動原稿搬送部
20…原稿特徴検知部
21…スキャナ部
22…画像記憶部
23…画像処理部
24…プリンタ部
50…コピー設定画面
51…応用設定ボタン
52…オーバーレイ設定ボタン
53…連続オーバーレイ設定ボタン
60…設定操作画面
61、62、63、64…選択部
65…次ページのみボタン
66…OKボタン
67…戻るボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を読み取って画像データを取得する読取部と、
前記読取部に複数枚の原稿を順次搬送する原稿搬送部と、
前記読取部によって取得された画像データを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された画像データを出力する出力部と、
前記原稿搬送部によって順次搬送された複数枚の原稿から、複数枚の背景画像の原稿を検知する検知部と、
前記検知部によって検知された複数枚の背景画像の原稿の画像データを、背景画像以外の原稿の画像データに合成し、前記出力部から出力する制御部と、
を備えた画像処理装置。
【請求項2】
前記検知部は、原稿毎に背景画像の原稿か否かの検知を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記検知部は、原稿の特徴を検知して背景画像の原稿か否かの検知を行う
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記検知部による背景画像の原稿の検知条件の設定を受け付ける設定部を備える
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記原稿の特徴は、原稿の向きである
ことを特徴とする請求項3または4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記原稿の特徴は、原稿のサイズである
ことを特徴とする請求項3または4に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記原稿の特徴は、原稿の画像の色である
ことを特徴とする請求項3または4に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記原稿の特徴は、原稿に付加された情報である
ことを特徴とする請求項3または4に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記情報は、原稿に設けられた無線タグに記憶されて原稿に付加される
ことを特徴とする請求項8に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記背景画像の原稿の画像データを、その背景画像の原稿の次の原稿から、次の背景画像の原稿の手前の原稿までの、各原稿の画像データに合成する
ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記背景画像の原稿の画像データを、その背景画像の原稿の次の原稿の画像データのみに合成する
ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−4961(P2012−4961A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−139667(P2010−139667)
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】