説明

画像処理装置

【課題】異常動作の原因の特定やメンテナンス等に必要なデータを容易に取得可能になる画像処理装置を提供する。
【解決手段】画像処理装置1は、処理部10の異常を監視する診断部として機能する中央処理装置14を備えている。診断部としての中央処理装置14は、処理部10の異常動作を検知する異常検知部18と、処理部10が保持しているデータの少なくとも一部を、抽出データとして外部装置に出力するデータ抽出部19とを有している。異常検知部18は、処理部10の異常動作の内容を所定の判定基準に基づいて「階層1」、「階層2」、「階層3」の3段階のエラーレベルに分類する。データ抽出部19は、エラーレベルが、予め定められたあるレベルに達すると、処理部10が保持しているデータの少なくとも一部を抽出データとして自動的に外部装置としての外部記憶装置3に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取り込んだ画像に画像処理を施す処理部を備えた画像処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種の画像処理装置として、画像メモリが更新されない異常動作を検出する機能を備えた装置が提案されている(たとえば特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の画像処理装置は、カメラから得られた映像を画像メモリに格納し、画像メモリの画像(画像信号)に画像処理を施して、画像処理後の画像を表示器に表示する。この画像処理装置は、画像メモリの画像が更新されているか否かを検知し、画像メモリの不具合によって画像が更新されない異常動作を検知したときには利用者に警告を行う。これにより、画像処理装置は、画像メモリの画像が更新されないフリーズ状態において、カメラで撮影されている映像とは異なる映像が利用者に伝わることを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−283431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、画像処理装置の異常動作に様々な原因が考えられる場合、その原因を特定するためには、異常動作の発生時における画像処理装置自体のデータを解析する必要がある。しかし、特許文献1に記載の画像処理装置は、異常動作を検知したときに、利用者に異常を知らせるための警告を行うに過ぎないため、利用者は、画像処理装置自体のデータを取得できず、異常動作の原因を特定できないことがある。
【0006】
また、画像処理装置の出力結果(画像処理結果)が正しくなく、画像処理装置のメーカが、画像処理装置のメンテナンスを行う場合に、メンテナンスに必要な画像データ、設定データ等のデータを画像処理装置から取得することが困難であるという問題もある。つまり、一般的に、画像処理装置のメーカと利用者との間をエンジニアリング会社が仲介しているため、画像処理装置のデータをメーカが取得することは難しい。
【0007】
本発明は上記事由に鑑みて為されており、異常動作の原因の特定やメンテナンス等に必要なデータを容易に取得可能になる画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像処理装置は、画像を取り込み当該画像に画像処理を施す処理部と、外部装置が接続される外部インタフェースと、前記処理部の異常を監視する診断部とを備え、前記診断部は、前記処理部の異常動作を検知し、前記異常動作の内容を所定の判定基準に基づいて複数段階のエラーレベルに分類する異常検知部と、前記エラーレベルが予め定められたレベルに達すると、前記処理部が保持しているデータの少なくとも一部を、抽出データとして自動的に前記外部装置に出力するデータ抽出部とを有することを特徴とする。
【0009】
この画像処理装置において、前記外部装置は、データを記憶する外部記憶装置であって、前記データ抽出部は、前記抽出データを前記外部記憶装置に書き込むことが望ましい。
【0010】
この画像処理装置において、前記外部装置は、データを表示する表示装置であって、前記データ抽出部は、前記抽出データを前記表示装置に表示することがより望ましい。
【0011】
この画像処理装置において、前記外部装置は、前記外部インタフェースにネットワークを介して接続されるサーバ装置であって、前記データ抽出部は、前記外部インタフェースを前記サーバ装置に接続し、前記抽出データを前記サーバに送信することがより望ましい。
【0012】
この画像処理装置において、前記データ抽出部は、前記処理部が保持している複数種類のデータの中から、前記抽出データとするデータの種類を、前記エラーレベルに応じて自動的に選択することがより望ましい。
【0013】
この画像処理装置において、前記処理部は、少なくとも、前記画像処理に用いる設定データと、前記画像を表す画像データとの2種類のデータを保持しており、前記データ抽出部は、前記エラーレベルが第1のレベルにあると前記抽出データとして前記設定データを選択し、前記エラーレベルが前記第1のレベルよりも高い第2のレベルにあると前記抽出データとして前記設定データと前記画像データとの両方を選択することがより望ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、エラーレベルが予め定められたレベルに達すると、データ抽出部が、処理部が保持しているデータの少なくとも一部を、抽出データとして自動的に外部装置に出力するので、異常動作の原因の特定やメンテナンス等に必要なデータを容易に取得可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態1に係る画像処理装置の概略構成を示す説明図である。
【図2】実施形態1に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図3】実施形態2に係る画像処理装置の動作の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施形態1)
本実施形態の画像処理装置は、検査対象物の画像を撮像するカメラに接続されており、たとえば検査対象物の良品・不良品の判定に用いられる。
【0017】
画像処理装置1は、図2に示すように、カメラ2に接続された画像取込部11と、画像取込部11に接続された処理実行部12と、画像取込部11に接続された外部インタフェース13とを備えている。さらに、画像処理装置1は、これら画像取込部11、処理実行部12、外部インタフェース13に接続された中央処理装置(CPU)14を備えており、画像取込部11、処理実行部12、外部インタフェース13の各部の動作を中央処理装置14で制御している。画像取込部11には第1のメモリ15、処理実行部12には第2のメモリ16、外部インタフェース13には第3のメモリ17が接続されている。
【0018】
カメラ2は、二次元画像を撮像可能なCCD(Charge CoupledDevices)などのエリアイメージセンサが撮像素子に用いられている。ここでは、カメラ2は濃淡値を画素値とする濃淡画像(モノクロ画像)を撮像するカメラとするが、カラー画像を撮像するカラーカメラであってもよい。
【0019】
画像取込部11は、FPGA(Field-ProgrammableGate Array)からなり、カメラ2で撮像された画像のデータをカメラ2から取り込む。画像取込部11は、取り込んだ画像(以下、「取得画像」という)のデータを内部バッファ(図示せず)に蓄積する。なお、画像取込部11は、カメラ2を複数台(たとえば4台まで)接続可能であって、カメラ2ごとに別の内部バッファに取得画像を蓄えることによって、カメラ2の台数が増えても取得画像の取り込みに要する時間が長くならない構成とする。
【0020】
画像取込部11は、内部バッファが取得画像で飽和すると、取得画像のデータを第1のメモリ15に対して1画面(1フレーム)ずつ転送する。ここで、画像取込部11は、各種のフィルタ処理などの前処理を施してから取得画像を第1のメモリ15に出力する。すなわち、カメラ2で撮像された画像は、画像取込部11を経由して、順次、第1のメモリ15に格納されることになる。また、本実施形態では、画像取込部11は取得画像を第1のメモリ15だけでなく第3のメモリ17にも出力し、第3のメモリ17にも取得画像を格納している。
【0021】
処理実行部12は、DSP(Digital SignalProcessor)からなり、画像取込部11で取り込まれて第1のメモリ15に格納された取得画像について、パターンマッチング等の種々の画像処理を実行する。処理実行部12は、たとえば取得画像内の検査領域の大きさや形状等から検査対象物の良否を自動的に判定する。ここでは、処理実行部12は、第1のメモリ15へ取得画像が保存されると、この取得画像を第1のメモリ15から内部メモリ(図示せず)に順次取り込みつつ、画像取込部11で先に取り込まれた取得画像から順に画像処理を実行する。このとき、第1のメモリ15は、処理実行部12の内部メモリに取り込まれた取得画像については順次消去する。なお、処理実行部12は、取得画像を1画面(1フレーム)単位で内部メモリに取り込むことにより、第1のメモリ15からの取得画像の取り込みに要する時間を最小限に抑えている。
【0022】
第2のメモリ16は、処理実行部12での画像処理に用いる各種パラメータ等のデータを、設定データとして予め記憶している。処理実行部12が同一の取得画像について画像処理を実行する場合でも、第2のメモリ16に記憶されている設定データによって、画像処理の結果は異なる。第2のメモリ16に記憶されている設定データは、任意に書き換え可能である。
【0023】
ここで、画像取込部11および処理実行部12は、第1〜3のメモリ15〜17と共に、画像処理装置1としての基本的な機能を実現する処理部10を構成している。つまり、画像取込部11と処理実行部12とメモリ15〜17とは、カメラ2から画像を取り込んでこの画像に画像処理を施す処理部10を構成している。
【0024】
外部インタフェース13は、FPGAを主構成とし、第1の出力部131と第2の出力部132と第3の出力部133との3つの出力経路を有している。第1の出力部131は、たとえばSDカードやコンパクトフラッシュ(登録商標)などのメモリカードからなる外部記憶装置3につながっている。第2の出力部132は、たとえばイーサネット(登録商標)を用いたネットワーク経由でサーバ装置4につながっている。第3の出力部133は、液晶モニタなどの表示装置5に接続されている。
【0025】
これにより、画像処理装置1は、第1の出力部131に接続された外部記憶装置3や、第2の出力部132に接続されたサーバ装置4や、第3の出力部133に接続された表示装置5に対して、外部インタフェース13から画像等のデータを出力することができる。要するに、外部記憶装置3、サーバ装置4、表示装置5は、外部インタフェース13に接続される外部装置であり、画像処理装置1は、これらの外部装置へ外部インタフェース13からデータを出力する。
【0026】
具体的には、第1の出力部131は、外部記憶装置3が着脱可能に接続されるメモリインタフェースからなり、外部記憶装置3にデータを書き込んだり、外部記憶装置3からデータを読み出したりする。つまり、ユーザは、外部記憶装置3を画像処理装置1から取り外して、外部記憶装置3に記憶されたデータをパーソナルコンピュータなどの他装置で読み出すことができる。
【0027】
第2の出力部132は、たとえばイーサネット(登録商標)の通信インタフェースからなり、画像処理装置1のメーカが管理しているサーバ装置4に接続される。つまり、第2の出力部132は、ネットワークを介してサーバ装置4にデータを送信したり、サーバ装置4からデータを受信したりする。これにより、画像処理装置1は、遠隔地に設置されているサーバ装置4との間でデータのやり取りが可能になる。
【0028】
第3の出力部133は、画像処理の結果などのデータを表示装置5に出力し、表示装置5に表示する。つまり、ユーザは、表示装置5の画面を見ることによって、画像処理の結果などのデータを視覚的に取得することができる。
【0029】
ここで、画像処理装置1は、画像取込部11で取り込んだ取得画像を第1のメモリ15と第3のメモリ17とに予め格納しており、中央処理装置14にて、第3のメモリ17内の取得画像に処理実行部12での画像処理結果を付加して出力画像を生成する。第3のメモリ17は、このようにして生成された出力画像を複数蓄積可能に構成されている。外部インタフェース13は、第3のメモリ17に一旦蓄積された出力画像を、古い(つまり、第3のメモリ17に先に格納された)出力画像から順に出力する。これにより、外部インタフェース13は、第1の出力部131あるいは第2の出力部132から、検査結果(画像処理結果)に取得画像がオーバーレイされた画像を、出力画像として出力することができる。
【0030】
ところで、本実施形態の画像処理装置1は、上述したような処理部(画像取込部11、処理実行部12)10および外部インタフェース13に加えて、処理部10の異常を監視する診断部としての機能を備えている。ここでは、中央処理装置14が診断部として機能を具備している。
【0031】
診断部としての中央処理装置14は、図1に示すように、処理部10の異常動作を検知する異常検知部18と、処理部10が保持しているデータの少なくとも一部を、抽出データとして外部装置に出力するデータ抽出部19とを有している。
【0032】
異常検知部18は、処理部10の異常動作の内容を所定の判定基準に基づいて複数段階のエラーレベルに分類する。つまり、異常動作の内容としては、たとえば設定データとしてのパラメータが誤って桁違いで設定されていることが原因の異常動作や、取得画像に対して適切でない設定データが設定されていることにより正しい画像処理結果が得られない異常動作などがある。さらに、処理部10やカメラ2などの周辺装置のハード面での故障等が原因の異常動作もある。
【0033】
本実施形態の異常検知部18は、これらの異常動作の内容を判定基準に基づいて評価し、異常動作をその異常の度合いに応じて複数段階のエラーレベルに分類する。本実施形態では、異常検知部18は、「階層1」、「階層2」、「階層3」の3段階のエラーレベルに分類する。ここでは、エラーレベルは「階層1」が最も異常の度合いが大きく(つまり、重度の異常である)、次いで「階層2」が異常の度合いが大きく、「階層3」が最も異常の度合いが小さい(つまり、軽度の異常である)こととする。
【0034】
以下に、異常検知部18による処理部10の異常動作の判定基準の具体例を示す。まず、異常検知部18は、処理部10が動作を完全に停止し、電源を入れなおさなければ(再起動しなければ)復帰しない場合など、CPUが制御不能な状況にあれば、最も重度の異常と判定して「階層1」に分類する。また、異常検知部18は、処理部10の処理中に何らかのエラーが発生し無限ループに陥った場合など、CPUがエラーを認識できる状況にあれば、重度の異常と判定して「階層2」に分類する。さらに、異常検知部18は、処理部10が、プログラム上で許容されていない指示がユーザから与えられた場合など、プログラム上でエラーと規定されている状況にあれば、軽度の以上と判定して「階層3」に分類する。
【0035】
データ抽出部19は、異常検知部18で分類されたエラーレベルが、予め定められたあるレベルに達すると、処理部10が保持しているデータの少なくとも一部を抽出データとして自動的に外部装置に出力する。一例として、データ抽出部19は、エラーレベルが「階層1」に達すると、外部装置としての外部記憶装置3に抽出データを出力する。ただし、データ抽出部19が抽出データを出力するときのエラーレベルや、抽出データの出力先となる外部装置は、ユーザが任意に設定可能である。つまり、データ抽出部19は、たとえばエラーレベルが「階層2」に達すると外部装置としてのサーバ装置4に抽出データを出力する構成や、エラーレベルが「階層1」に達すると外部装置としての表示装置5に抽出データを出力する構成でもよい。
【0036】
ここで、抽出データは、異常動作の原因の特定やメンテナンス等に必要なデータであって、異常動作の発生時において処理部10自体が保持しているデータである。本実施形態では、処理部10は、画像処理に用いる設定データと、画像を表す画像データとの2種類のデータを保持しており、設定データを第2のメモリ16に格納し、画像データを第1のメモリ15および第3のメモリ17に格納している。データ抽出部19は、異常検知部18で異常動作が検知された時点における設定データおよび画像データを、抽出データとして外部装置に出力する。なお、処理部10の動作履歴を表す装置ログが処理部10に保持されている場合、データ抽出部19は、設定データ、画像データと併せて、あるいは単独で装置ログを抽出データとして外部装置に出力してもよい。
【0037】
データ抽出部19は、抽出データを外部記憶装置3に出力する場合には、第1の出力部131から外部記憶装置3へ抽出データを出力し、外部記憶装置3への抽出データの書き込みを行う。また、データ抽出部19は、抽出データをサーバ装置4に出力する場合には、第2の出力部132からサーバ装置4へ抽出データを送信し、サーバ装置4への抽出データの書き込みを行う。また、データ抽出部19は、抽出データを表示装置5に出力する場合には、第3の出力部133から表示装置5へ抽出データを送信し、表示装置5への抽出データの表示を行う。
【0038】
データ抽出部19がエラーレベルに応じて抽出データを自動的に外部装置(外部記憶装置3、サーバ装置4、表示装置5)へ出力することによって、ユーザ等は、異常動作の原因の特定やメンテナンス等に必要なデータを容易に取得可能となる。すなわち、抽出データが外部記憶装置3に出力されれば、ユーザは、外部記憶装置3を画像処理装置1から取り外して、外部記憶装置3に記憶された抽出データをパーソナルコンピュータなどの他装置で取得することができる。抽出データがサーバ装置4に出力されれば、サーバ装置4の管理者(メーカ)は、エンジニアリング会社や画像処理装置1のユーザを介さずに、直接抽出データを取得することができる。また、抽出データが表示装置5に出力されれば、ユーザは、表示装置5の画面を見ることによって、抽出データを視覚的に取得することができる。
【0039】
なお、表示装置5は、画像処理装置1の運転状況や、取得画像、出力画像等から表示内容を選択可能なメニュー画面を表示し、このメニュー画面に抽出データを表示するための項目(ここでは「メンテナンス」とする)を表示してもよい。この場合、ユーザは、画像処理装置1に接続可能な専用のキーパッドやマウス等の入力装置を用いて、表示装置5に表示されているメニュー画面から「メンテナンス」の項目を選択することにより、抽出データを表示装置5の画面上に表示させることができる。
【0040】
以上説明した本実施形態の画像処理装置1によれば、異常検知部18が処理部10の異常動作を複数段階のエラーレベルに分類し、エラーレベルがあるレベルに達すると、データ抽出部19が抽出データを外部装置に出力する。言い換えれば、画像処理装置1は、処理部10の異常動作の度合いに応じて、処理部10が保持しているデータの少なくとも一部を抽出データとして自動的に外部装置に出力することになる。つまり、画像処理装置1は、異常の程度を判定し、ごく軽微な異常であれば抽出データの出力は行わず、ある程度以上の異常であれば抽出データを自動的に外部装置に出力することになる。これにより、画像処理装置1のユーザあるいはサーバ装置4の管理者(以下、「ユーザ等」という)は、異常動作の原因の特定やメンテナンス等に必要な抽出データを、画像処理装置1から容易に取得可能となる。
【0041】
その結果、ユーザ等は、取得した抽出データを用いることで、画像処理装置1の異常動作の原因を特定したり、画像処理装置1のメンテナンスを行ったりすることが可能になる。具体的には、たとえば処理部10やカメラ2などの周辺装置のハード面での故障等が原因で、処理部10が動作を完全に停止した場合などには、ユーザ等は、早急に原因を特定して対処する必要がある。このような場合、異常検知部18で判定されるエラーレベルが「階層1」に達することにより、ユーザ等は、抽出データを画像処理装置1から容易に取得できるので、早急に原因を特定でき、画像処理装置1や周辺装置の修理、交換といった対処が可能になる。
【0042】
ところで、本実施形態では、データ抽出部19は、エラーレベルが予め定められたあるレベルに達すると、抽出データをある決まった外部装置に出力するが、この例に限らず、エラーレベルに応じて抽出データの出力先となる外部装置を自動的に選択してもよい。たとえば、データ抽出部19は、エラーレベルが「階層3」に達すると表示装置5を出力先とし、エラーレベルが「階層2」に達するとサーバ装置4を出力先とし、エラーレベルが「階層1」に達すると外部記憶装置3を出力先として抽出データを出力する。この構成では、データ抽出部19は、異常の度合いによって異なる外部装置へ抽出データを出力することができるので、ユーザ等による異常動作に対する対処の幅が広がる。なお、抽出データの出力先としては複数の外部装置が選択されていてもよい。
【0043】
(実施形態2)
本実施形態の画像処理装置1は、データ抽出部19が、処理部10が保持している複数種類のデータの中から、抽出データとするデータの種類をエラーレベルに応じて自動的に選択する点で実施形態1の画像処理装置1と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については共通の符号を付して適宜説明を省略する。
【0044】
本実施形態においては、データ抽出部19は、エラーレベルが予め定められたあるレベルに達したときに外部装置に抽出データとして出力するデータの種類を、エラーレベルに応じて自動的に切り替えている。そのため、データ抽出部19は、たとえばエラーレベルが「階層3」のときと、「階層2」のときとでは、異なる種類のデータを抽出データとして外部装置に出力する。
【0045】
本実施形態では、処理部10は、画像処理に用いる設定データと、画像を表す画像データと、処理部10の動作履歴を表す装置ログとの3種類のデータを保持している。データ抽出部19は、図3に示すように異常検知部18で分類されたエラーレベルを識別し(図3のS1)、3種類のデータの中から抽出データとするデータをエラーレベルに応じて選択する。
【0046】
すなわち、データ抽出部19は、エラーレベルの識別結果が「階層3」であれば、抽出データとして設定データを選択し(S2)、エラーレベルの識別結果が「階層2」であれば、抽出データとして設定データと画像データとの両方を選択する(S3)。言い換えれば、データ抽出部19は、エラーレベルが最も低い「階層3」(第1のレベル)であれば設定データを外部装置に出力し、エラーレベルが「階層3」よりも高い「階層2」(第2のレベル)であれば設定データおよび画像データの両方を外部装置に出力する。
【0047】
また、データ抽出部19は、異常検知部18で分類されたエラーレベルが最も高い「階層1」であれば、設定データと画像データと装置ログとの3種類のデータを抽出データとして選択し、外部装置に出力する(S4)。なお、抽出データの出力先となる外部装置は外部記憶装置3、サーバ装置4、表示装置5のいずれでもよい。
【0048】
以上説明した構成の画像処理装置1によれば、処理部10が複数種類のデータを保持している場合、データ抽出部19は、エラーレベルに応じて抽出データとするデータの種類を自動的に選択するので、異常の度合いに見合った適切なデータを外部装置へ出力できる。そのため、異常の度合いに応じて異常動作の原因の特定やメンテナンス等に必要なデータの種類が異なる場合でも、ユーザ等は、必要なデータを画像処理装置1から容易に取得可能となる。
【0049】
特に、データ抽出部19が、エラーレベルが低ければ設定データのみを抽出データとして出力し、エラーレベルが高くなると設定データと画像データとの両方を抽出データとして出力することにより、ユーザ等は異常動作に対して適切な対処が可能となる。具体的には、たとえば設定データとしてのパラメータが間違って桁違いで設定されていることが原因の軽度の異常であれば、ユーザ等は、設定データを抽出データとして取得し、設定データの異常値を正しく設定し直すだけで異常動作を解消できる。一方、取得画像に対して適切でない設定データが設定されていることによるやや重度の異常であれば、ユーザ等は、設定データおよび画像データを抽出データとして取得し、取得画像に対して適切な設定データを求めて再設定すれば異常動作を解消できる。
【0050】
また、エラーレベルが最も高い「階層1」であれば、データ抽出部19は、設定データと画像データと装置ログとの3種類のデータを抽出データとして出力するので、ユーザ等は、設定データの設定では済まないような重度の異常に対しても適切に対処可能となる。
【0051】
なお、その他の構成および機能は実施形態1と同様である。
【符号の説明】
【0052】
1 画像処理装置
3 外部記憶装置(外部装置)
4 サーバ装置(外部装置)
5 表示装置(外部装置)
10 処理部
13 外部インタフェース
14 中央処理装置(診断部)
18 異常検知部
19 データ抽出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を取り込み当該画像に画像処理を施す処理部と、
外部装置が接続される外部インタフェースと、
前記処理部の異常を監視する診断部とを備え、
前記診断部は、
前記処理部の異常動作を検知し、前記異常動作の内容を所定の判定基準に基づいて複数段階のエラーレベルに分類する異常検知部と、
前記エラーレベルが予め定められたレベルに達すると、前記処理部が保持しているデータの少なくとも一部を、抽出データとして自動的に前記外部装置に出力するデータ抽出部とを有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記外部装置は、データを記憶する外部記憶装置であって、
前記データ抽出部は、前記抽出データを前記外部記憶装置に書き込むことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記外部装置は、データを表示する表示装置であって、
前記データ抽出部は、前記抽出データを前記表示装置に表示することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記外部装置は、前記外部インタフェースにネットワークを介して接続されるサーバ装置であって、
前記データ抽出部は、前記外部インタフェースを前記サーバ装置に接続し、前記抽出データを前記サーバに送信することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記データ抽出部は、前記処理部が保持している複数種類のデータの中から、前記抽出データとするデータの種類を、前記エラーレベルに応じて自動的に選択することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記処理部は、少なくとも、前記画像処理に用いる設定データと、前記画像を表す画像データとの2種類のデータを保持しており、
前記データ抽出部は、前記エラーレベルが第1のレベルにあると前記抽出データとして前記設定データを選択し、前記エラーレベルが前記第1のレベルよりも高い第2のレベルにあると前記抽出データとして前記設定データと前記画像データとの両方を選択することを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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