説明

画像印刷装置、塗り絵画像生成方法、塗り絵画像生成プログラム

【課題】 ユーザが所有している筆記具の色に合わせて塗り絵用の線画像を作成可能な画像印刷装置を提供する。
【解決手段】 本発明の画像印刷装置は、ユーザが指定する色の情報である指定色情報が記憶されるものであって、ユーザが所有している筆記具の色の情報が記憶される所有色情報記憶手段を備えた指定色情報記憶手段と、手本画像の元となる手本元画像が記憶される手本元画像記憶手段と、塗り絵の手本画像を生成するものであって、手本元画像に使用されている色を指定色の中で近似する色に変換する色変換手段を備えた手本画像生成手段と、塗り絵用画像を生成するものであって、手本画像から輪郭を抽出して線画像を生成する線画像生成手段を備えた塗り絵用画像生成手段と、手本画像および塗り絵用画像が表示される表示手段および該表示手段を制御する表示制御手段と、塗り絵用画像および手本画像を印刷する印刷手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗り絵画像を生成し印刷する機能を備えた画像印刷装置と、この画像印刷装置で塗り絵画像を生成する塗り絵画像生成方法と、この塗り絵画像生成方法をコンピュータに実行させるための塗り絵画像生成プログラムと、に関する。
【背景技術】
【0002】
カメラで撮影した写真画像やスキャナで取り込んだスキャン画像などの輪郭を抽出する画像処理を行うことによって塗り絵用の線画像を生成する技術が提案されている。例えば、特開2009−217606号公報(特許文献1)では、人物の目鼻立ち部分の画像を学習させた自己組織化特徴地図を用いて写真画像における人物とそれ以外の領域とを区分けし、入力画像をグレースケールに変換し、目鼻立ち部分の輪郭抽出にはラプラシアンフィルターなど輪郭抽出フィルターを用いてエッジの強度を検出し、それ以外の領域の輪郭抽出にはprewittテンプレートマッチングを用い、それぞれのフィルター出力を調整して画像を整える提案がなされている。
【0003】
また、特開2010−74217号公報(特許文献2)では、原画像の一部を抽出して、抽出した画像をグレースケール化した後、明るさとコントラストを調整し、また、各画像の最大輝度と最小輝度を求めて、最大輝度の画素の輝度を大きく最小輝度に近いほど輝度を小さく補正して明暗差を大きくすることにより塗り絵画像データとし、原画像の一部のみを塗り絵画像に変換することについて提案がなされている。
【0004】
このような写真画像やスキャン画像などの原画像から塗り絵用の線画像を作成し、ユーザが所有している筆記具の色を用いて塗り絵を完成させた場合、写真画像やスキャン画像をそのまま印刷した場合と比較して、絵にユーザの個性を加えて独創性を強調することが可能となり、創作感を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−217606号公報
【特許文献2】特開2010−74217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1や特許文献2の提案によれば、画像から塗り絵用の線画像を作成することができるが、塗り絵に使用可能な色は、ユーザが所有している筆記具の色に制限されるため、実際の画像の色に近づけて塗り絵を実行しようと考えたとしても、手持ちの色以外の色は表現することができなかった。また、ユーザは実際の画像に近い色を所有している色の中から選択して塗りつぶしていくこととなるが、配色ミスなどを起こす可能性があった。
【0007】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、ユーザが所有している筆記具の色に合わせて塗り絵用の画像を作成可能な画像印刷装置と、塗り絵画像生成方法と、塗り絵画像生成プログラムと、を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像印刷装置は、ユーザが指定する色の情報である指定色情報が記憶されるものであって、ユーザが所有している筆記具の色の情報が記憶される所有色情報記憶手段を備えた指定色情報記憶手段と、塗り絵の手本画像の元となる手本元画像が記憶される手本元画像記憶手段と、前記塗り絵の手本画像を生成するものであって、前記手本元画像に使用されている色を前記指定色の中で近似する色に変換する色変換手段を備えた手本画像生成手段と、塗り絵用画像を生成するものであって、前記手本画像から輪郭を抽出して線画像を生成する線画像生成手段を備えた塗り絵用画像生成手段と、前記手本画像および前記塗り絵用画像が表示される表示手段および該表示手段を制御する表示制御手段と、前記塗り絵用画像および前記手本画像を印刷する印刷手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の画像印刷装置において前記指定色情報記憶手段は、ユーザが所有していない色であってユーザが使用を希望する色である希望色の情報が記憶される希望色情報記憶手段も備えていることを特徴とする請求項1に記載の画像印刷装置。
【0010】
さらに、本発明の画像印刷装置において前記塗り絵用画像生成手段は、前記手本画像が前記所有色および前記希望色の両方の色を使用して生成されているとき、前記線画像生成手段が生成した線画像の中で前記希望色が付される領域に、対応する前記希望色を着色した塗り絵用画像を生成する希望色着色手段を備えていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の画像印刷装置は、原画像を絵画調に変換して絵画調画像を生成する絵画調変換手段をさらに備え、前記手本元画像が前記原画像又は前記絵画調画像から構成されることを特徴とする。
【0012】
そして、本発明の画像印刷装置において前記指定色情報記憶手段には、前記指定色情報がLab色空間の色情報として記憶され、前記塗り絵用画像生成手段は、RGB色空間からLab色空間へ、および、Lab色空間からRGB色空間へと表色系を変換する表色系変換手段を有し、前記表色系変換手段が前記手本元画像のRGB色空間を画素毎にLab色空間へと変換し、前記色変換手段が前記指定色の色と手本元画像の色の色差を算出し、色差が少ない前記指定色内の色に前記手本元画像の色を変換し、前記表色系変換手段が色変換後の画像をLab色空間からRGB色空間へと変換することを特徴とする。
【0013】
本発明の塗り絵画像生成方法は、ユーザが指定する色の情報である指定色情報を記憶する処理であって、ユーザが所有している筆記具の色の情報を記憶する所有色情報記憶処理を含む指定色情報記憶処理と、塗り絵の手本画像の元となる手本元画像を読み込む手本元画像読込処理と、塗り絵の手本画像を生成する処理であって、前記手本元画像に使用されている色を前記所有色の中で近似する色に変換する色変換処理を備えた手本画像生成処理と、塗り絵用画像を生成する処理であって、少なくとも前記手本画像から輪郭を抽出して線画像を生成する線画像生成処理を備えた塗り絵用画像生成処理と、前記手本画像および前記塗り絵用画像を表示手段に表示させる表示制御処理と、前記塗り絵用画像および前記手本画像を印刷する印刷処理と、を実行することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の塗り絵画像生成方法における前記指定色情報記憶処理では、前記所有色情報記憶処理の後に、ユーザが所有していない色であってユーザが使用を希望する色である希望色の情報を記憶する希望色情報記憶処理も実行されることを特徴とする。
【0015】
また、前記塗り絵画像生成方法における前記塗り絵用画像生成処理では、前記手本画像が前記所有色および前記希望色の両方の色を使用して生成されているとき、前記線画像生成処理の後に、前記線画像生成処理で生成した線画像の中で前記希望色が付される領域に、対応する前記希望色を着色して塗り絵用画像を生成する希望色着色処理を実行することを特徴とする。
【0016】
そして、前記塗り絵画像生成方法は、前記指定色情報記憶処理の後に前記原画像を絵画調に変換して絵画調画像を生成する絵画調変換処理と、該絵画調変換処理で変換された画像が手本元画像として記憶される手本元画像記憶処理と、が実行されることを特徴とする。
【0017】
また、前記塗り絵画像生成方法における前記指定色情報記憶処理では、前記指定色情報がLab色空間の色情報として記憶され、前記塗り絵用画像生成処理では、前記手本元画像のRGB色空間を画素毎にLab色空間へと変換する表色系変換処理と、前記表色系変換処理でLab色空間に変換された前記手本元画像と前記指定色情報との色差を算出し、色差が少ない前記指定色内の色に前記手本元画像の色を変換する前記色変換処理と、前記色変換処理で色変換した後の画像をLab色空間からRGB色空間へと変換する表色系再変換処理と、が実行されることを特徴とする。
【0018】
本発明のコンピュータ読み取り可能な塗り絵画像生成プログラムは、ユーザが指定する色の情報である指定色情報を記憶する処理であって、ユーザが所有している筆記具の色の情報を記憶する所有色情報記憶処理を含む指定色情報記憶処理と、塗り絵の手本画像の元となる手本元画像を読み込む手本元画像読込処理と、塗り絵の手本画像を生成する処理であって、前記手本元画像に使用されている色を前記所有色の中で近似する色に変換する色変換処理を備えた手本画像生成処理と、塗り絵用画像を生成する処理であって、少なくとも前記手本画像から輪郭を抽出して線画像を生成する線画像生成処理を備えた塗り絵用画像生成処理と、前記手本画像および前記塗り絵用画像を表示手段に表示させる表示制御処理と、前記塗り絵用画像および前記手本画像を印刷する印刷処理と、を実行させることを特徴とする。
【0019】
また、上記塗り絵画像生成プログラムにおける前記指定色情報記憶処理では、前記所有色情報記憶処理の後に、ユーザが所有していない色であってユーザが使用を希望する色である希望色の情報を記憶する希望色情報記憶処理も実行させることを特徴とする。
【0020】
さらに、上記塗り絵画像生成プログラムにおける前記塗り絵用画像生成処理では、前記手本画像が前記指定色として前記所有色および前記希望色の両方の色を使用して生成されているとき、前記線画像生成処理の後に、前記線画像生成処理で生成した線画像の中で前記希望色が付される領域に、対応する前記希望色を着色して塗り絵用画像を生成する希望色着色処理を実行させることを特徴とする。
【0021】
そして、上記塗り絵画像生成プログラムにおける前記塗り絵用画像生成処理では、前記指定色情報記憶処理の後に前記原画像を絵画調に変換して絵画調画像を生成する絵画調変換処理と、該絵画調変換処理で変換された画像が手本元画像として記憶される手本元画像記憶処理と、を実行させることを特徴とする。
【0022】
また、上記塗り絵画像生成プログラムにおける前記指定色情報記憶処理では、前記指定色情報がLab色空間の色情報として記憶され、前記塗り絵用画像生成処理では、前記手本元画像のRGB色空間を画素毎にLab色空間へと変換する表色系変換処理と、前記表色系変換処理でLab色空間に変換された前記手本元画像と前記指定色情報との色差を算出し、色差が少ない前記指定色内の色に前記手本元画像の色を変換する前記色変換処理と、前記色変換処理で色変換した後の画像をLab色空間からRGB色空間へと変換する表色系再変換処理と、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、ユーザが所有している筆記具の色に合わせて塗り絵用の画像を作成可能な画像印刷装置と、塗り絵画像生成方法と、塗り絵画像生成プログラムと、を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態に係る画像印刷装置の斜視図である。
【図2】上記画像印刷装置の断面模式図である。
【図3】上記画像印刷装置の機能ブロック図である。
【図4】塗り絵画像生成機能についての説明図である。
【図5】塗り絵画像生成機能についての説明図である。
【図6】絵画調変換パターンに関しての説明図である。
【図7】塗り絵画像生成機能における制御フローを示すフローチャートである。
【図8】手本画像パターンを生成する処理における制御フローを示すフローチャートである。
【図9】塗り絵用画像を生成する処理における制御フローを示すフローチャートである。
【図10】塗り絵の手順を表示又は印刷する実施形態に関しての説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための形態について述べる。図1は、本発明の実施形態に係る画像印刷装置の斜視図であり、図2は、この画像印刷装置の内部構成を示す断面模式図であり、図3は、画像印刷装置における回路構成を示す機能ブロック図である。なお、図2は、見やすくなるようにハッチングを除いて描いている。
【0026】
本実施形態に係る画像印刷装置は、ユーザが所有している色鉛筆や水性絵の具、パステル、油絵の具などの筆記具の色で塗り絵を完成させることができるように、ユーザにあらかじめ色を指定させ、原画像をユーザが指定した色で構成される画像に色変換して塗り絵の手本となる手本画像を生成し、この手本画像から線画像などの塗り絵をするための画像を生成する機能である、塗り絵画像生成機能を備えている。以下、画像印刷装置の構成について述べる。
【0027】
画像印刷装置は、メモリーカードなどの着脱可能な可搬型記憶媒体に記憶された画像を葉書(100×148mm)やL判(89×127mm)、2L判(178×127mm)などの比較的小さな印刷用紙に印刷を実行可能な装置である。また、画像印刷装置は、住所録を作成する機能や、住所録から自動で葉書に宛名書をする機能や、文章を編集する機能、取り込んだ画像と文章とを組み合わせて葉書に印刷する機能などを備え、パーソナルコンピュータを介すことなく可搬型記憶媒体に記憶された画像を取り込んで画像処理を行い印刷を実行するといった処理が可能な電子機器である。
【0028】
この画像印刷装置1は、図1に示すように、箱形の筐体2を備え、筐体2の前方にはキーボード3が配置されている。このキーボード3は、筐体2の前方下端近傍に回動可能に装着されており、使用状態では図1に示したように前方に倒され、使用しない場合には筐体2の前面と対向した状態で収納されている。
【0029】
筐体2の前面には、印刷が完了した葉書や写真などの印刷用紙10が排出される排紙口5と、可搬型記憶媒体を挿入可能な記憶媒体挿入口6とが形成されている。画像印刷装置1は、この記憶媒体挿入口6を備えることにより、可搬型記憶媒体からデジタルカメラで撮影された写真の画像データなどを取り込み可能であるとともに、画像印刷装置1で編集したデータを保存可能である。
【0030】
筐体2の上面には、タッチパネル8が配置され、筐体2の正面方向に回動可能とされている。また、筐体2の上部には、筐体2の後方側から筐体2の上方までの間を回動可能な取っ手15が装着されている。この取っ手15は、略コ字状に形成され、画像印刷装置1の運搬時などに把持されて使用される。
【0031】
そして、画像印刷装置1は、図2に示すように、筐体2の背面に開口する空腔部16を有し、この空腔部16の開口を塞ぐように給紙トレイ18が配置されている。この給紙トレイ18は、筐体2の後方であって下方近傍位置に軸着されており、前後方向に回動可能とされ、印刷用紙10を複数重ねて収容することができるようになっている。
【0032】
給紙トレイ18の内側であって上方位置には、給紙トレイ18に収容された印刷用紙10を1枚ずつ下方に送り出すピックアップローラ19が配置されている。また、給紙トレイ18の下端近傍には、ピックアップローラ19によって下方に送り出された印刷用紙10を筐体2の排紙口5方向へと搬送する搬送ローラ20a,20bが配置されている。
【0033】
筐体2の内部であって搬送ローラ20a,20bの前方近傍には、印刷手段とされる印刷ヘッド21が配置されている。また、筐体2の内部であって印刷ヘッド21の前方には、印刷を完了した印刷用紙10を排紙口5から排出する排紙ローラ22a,22bが配置されている。この搬送ローラ20aと排紙ローラ22aは、図示しないステッピングモータによって回転を制御されて、所定速度で印刷用紙10を搬送している。
【0034】
そして、給紙トレイ18に収容された印刷用紙10は、ピックアップローラ19によって前方に位置する印刷用紙10から順に下方に送り出され、搬送ローラ20a,20bとの間に挟み込まれた状態で印刷ヘッド21の下方に繰り出され、印刷が完了後、排紙ローラ22a,22bの間に挟み込まれて排紙口5から外部へと排出される。
【0035】
この画像印刷装置1は、図3に示すように、制御部41としてのCPUと、記憶部としてのROM42やRAM43と、キーボード3やタッチパネル8から構成される入力部45と、タッチパネル8である表示部46と、上述した印刷ヘッド21やピックアップローラ19、搬送ローラ20a,20b、排紙ローラ22a,22b、各ローラを回転させるステッピングモータなどによって構成される印刷部48と、スピーカーなどの音声出力部49と、を備えた回路により構成される。
【0036】
制御部41は、入力部45から入力信号に応じて、又は、自動でROM42にあらかじめ記憶されているシステムプログラム、メモリーカードに記憶された制御プログラムなどを起動させ、RAM43をワークメモリとして回路各部の動作を制御する。ROM42は、文書編集時に使用する文字フォントや印刷の字体のデータ、編集する印刷用紙の規格データ、その他の制御プログラムなどが記憶されている。RAM43は、入力部45で入力された文字などの文書の編集情報やタッチパネル8に表示されるモードデータ、画像処理中の画像情報などを記憶するワークメモリである。
【0037】
入力部45は、画像処理における操作や画像選択、印刷実行など画像印刷装置1におけるあらゆる入力に使用され、ユーザが操作すると所定の信号を制御部41に送出する。表示部46は、可搬型記憶媒体から読み出した画像や各種メニュー、操作における選択肢、エラーメッセージなどを表示する。印刷部48は、印刷用紙10を搬送しながら用紙に印刷を行う。音声出力部49は、エラー音や操作の音声案内など音声メッセージを出力する。
【0038】
次に、本実施形態における画像印刷装置1が備える塗り絵画像生成機能について述べる。写真撮影して得られる写真画像やスキャナで取り込んだスキャン画像などから輪郭を抽出し、塗り絵用の線画像を生成する技術は既に存在している。しかしながら、従来から存在する技術を用いて線画像を生成した場合、ユーザは原画像(写真画像やスキャン画像)を参考にしながら線画像に色を塗ることとなるが、ユーザが所有している(筆記具の)色の種類には限界があるため、ユーザが所有していない色を塗る必要がある領域には、原画像における色と似た色をユーザが選択して塗る必要があった。そこで、本実施形態における画像印刷装置1の塗り絵画像生成機能では、ユーザにあらかじめ所有している筆記具の色などを指定させ、原画像を指定された色(指定色)で構成された画像に変換して塗り絵の手本となる手本画像を生成することにより、ユーザが所有している筆記具だけで塗り絵を完成させることができるようにしている。
【0039】
より具体的に述べると、図4(a)に示すような花の画像の原画を塗り絵画像に変換する場合に、ユーザは、図4(b)に示すように、指定色として所有している筆記具の色(所有色)である赤a1、橙a2、黄a3、黄緑a4、緑a5、空色a6、青a7、紫a8を入力設定することができる。制御部41は、原画像をユーザが入力設定した指定色(所有色)で構成された手本画像に色変換する。色変換された画像は、図4(c)に示すような全てが所有色で構成された画像、すなわち、花がa1,a3,a8で構成され、茎がa5で構成され、葉がa4で構成された画像である。そして、制御部41は、色変換した画像である手本画像から線画像を生成し、手本画像と線画像を印刷部48で印刷する。これにより、ユーザは、図4(d)に示すような線画像と、図4(c)に示したような手本画像と、を得られるため、手本画像にしたがって線画像の所定の領域を塗りつぶすだけで所有している筆記具のみで塗り絵を完成させることができる。
【0040】
また、図5(a)に示すような花の画像の原画(図4(a)と同じ)を塗り絵画像に変換する場合に、ユーザは図5(b)に示すように指定色として所有色に加えてユーザが所有していないものの完成した塗り絵に反映させたい色である希望色(ここでは桃色b1、ベージュb2)を入力設定することもできる。制御部41は、原画像をユーザが入力設定した指定色(所有色および希望色)で構成された手本画像に色変換する。色変換された画像は、図5(c)に示すような所有色と希望色で構成された画像、すなわち、花がa8,b1,b2で構成され、茎がa5で構成され、葉がa4で構成された画像である。そして、制御部41は、手本画像から線画像を生成し、さらに、線画像における希望色が付される領域に、対応する希望色を着色して図5(d)に示すような塗り絵用画像を生成し、印刷部48で手本画像と塗り絵用画像を印刷する。これにより、ユーザは、図5(d)に示した塗り絵用画像と、図5(c)に示したような手本画像と、を得られるため、手本画像にしたがって塗り絵用画像の所定の領域を塗りつぶすだけで所有している筆記具のみで塗り絵を完成させることができる。
【0041】
このような塗り絵画像生成機能を実行するため、ROM42には、図3に示したように、手本画像生成プログラム42a、絵画調変換プログラム42d、絵画調変換パターンデータ42f、塗り絵用画像生成プログラム42h、表示制御プログラム42o、印刷制御プログラム42q、印刷データ生成プログラム42sが記憶されている。
【0042】
手本画像生成プログラム42aは、写真画像やスキャン画像などの原画像をそのまま、又は、絵画調変換した後に指定色で構成された画像へと変換し、手本画像を生成するプログラムである。この手本画像生成プログラム42aは、表色系変換プログラム42bおよび色変換プログラム42cを備えてなる。表色系変換プログラム42bは、RGB色空間で表示された色をLab色空間の色に、又は、Lab色空間で表示された色をRGB色空間の色に変換するプログラムである。また、色変換プログラム42cは、色を近似する他の色に変換するプログラムである。
【0043】
絵画調変換プログラム42dは、写真画像などの原画像を色鉛筆調やパステル調など、絵の表現調を絵画調に変換するプログラムである。絵画調変換パターンデータ42fは、原画像をどのような風合いの絵画調に変換するかについての複数のパターン情報である。具体的な絵画調変換パターンとしては、図6(a)に示すような写真の画像を変換するとき、図6(b)に示すような水彩画調に変換する水彩画調パターン、図6(c)に示すような色鉛筆調に変換する色鉛筆調パターン、図6(d)に示すような油彩調に変換する油彩調パターン、図6(e)に示すようなパステル調に変換するパステル調パターンがある。
【0044】
塗り絵用画像生成プログラム42hは、手本画像から塗り絵に使用する画像、すなわち、ユーザが筆記具を用いて着色するための画像を生成するためのプログラムであり、線画像生成プログラム42iと希望色着色プログラム42jを備えてなる。線画像生成プログラム42iは、手本画像の中から輪郭を抽出するプログラムである。希望色着色プログラム42jは、線画像の中で希望色を使用する領域に、対応する希望色を着色するプログラムである。
【0045】
表示制御プログラム42oは、表示部46を制御するプログラムである。印刷制御プログラム42qは、印刷部48を制御するプログラムである。印刷データ生成プログラム42sは、印刷を実行するときに画像データから印刷データを生成するプログラムである。
【0046】
RAM43には、原画像記憶部43a、指定色情報記憶部43b、絵画調画像記憶部43g、手本画像記憶部43k、塗り絵用画像記憶部43m、印刷条件記憶部43q、印刷データ記憶部43sなどのバッファやワークメモリとしての領域が設けられている。
【0047】
原画像記憶部43aは、記憶媒体挿入口6に挿入された可搬型記憶媒体から読み出された画像など、画像変換が行われる前の画像が記憶される領域である。なお、後述するが、原画像を直接色変換して手本画像を生成することがあり、この場合には原画像が手本元画像となり、原画像記憶部43aが手本元画像記憶手段として機能する。
【0048】
指定色情報記憶部43bは、ユーザが指定した色の情報である指定色情報が記憶される領域である。この指定色情報記憶部43bは、所有色情報記憶部43cとしての領域と希望色情報記憶部43eとしての領域からなる。所有色情報記憶部43cは、ユーザが入力設定した、あるいは、初期設定で設定されたユーザが所有している筆記具の色の情報が記憶される領域である。なお、所有色情報が初期設定で設定された状態とは、画像印刷装置1を販売するときに複数色の筆記具もセットで販売する場合などに、セットの筆記具の色をあらかじめ初期設定として登録された場合などである。希望色情報記憶部43eは、ユーザが入力した所有していないが塗り絵画像に反映したい希望色の情報が記憶される領域である。
【0049】
絵画調画像記憶部43gは、原画像を絵画調変換した画像が記憶される領域であり、後述するが、原画像記憶部43aとともに手本元画像記憶手段として機能する。手本画像記憶部43kは、原画像や絵画調画像を色変換した後の画像である塗り絵の手本となる手本画像が記憶される領域である。
【0050】
塗り絵用画像記憶部43mは、線画像や線画像の一部に着色が施された一部着色画像など、ユーザが塗り絵を行う塗り絵用の画像が記憶される領域である。この塗り絵用画像記憶部43mは、線画像記憶部43nと着色画像記憶部43oを備えてなる。線画像記憶部43nは、手本画像から輪郭を抽出して生成される線画像が記憶される領域である。着色画像記憶部43oは、線画像の一部に希望色が着色された一部着色画像が記憶される領域である。
【0051】
印刷条件記憶部43qは、ユーザが設定した印刷用紙のサイズや色の濃さ、高品質モードで印刷するといった印刷の条件が記憶される領域である。印刷データ記憶部43sは、画像を元に生成された印刷データが記憶される領域である。
【0052】
次に、塗り絵画像生成機能における制御フローについて図7乃至図9のフローチャートを用いて述べる。ユーザが塗り絵モードを選択すると(S101)、制御部41は、ROM42に記憶された表示制御プログラム42oを読み出し、表示部46に指定色として所有色の入力設定を行うか否かを問う案内を表示させ、所有色の入力設定を行うか否かを判定する所有色入力設定判定処理(ステップS105)を実行する。
【0053】
所有色入力設定判定処理(ステップS105)においてユーザが所有色の入力設定を行う旨を選択した場合、制御部41は、ROM42に記憶された表示制御プログラム42oを読み出して表示部46に所有色の入力設定を行う案内を表示させ、ユーザは所有色の入力設定を行う(S111)。この所有色の入力設定を行うとき、表示部46には複数色からなるパレットが表示され、ユーザがパレットの中から所有している色を選択することにより所有色の入力設定を行うことができる。ユーザによる所有色の入力設定が終了すると、制御部41は、設定された所有色情報をRAM43の所有色情報記憶部43cに記憶させる。なお、所有色入力設定判定処理(ステップS105)において、既に所有色情報記憶部43cに登録記憶されている色を使用すれば足りるためにユーザが所有色の入力設定を行わない旨を選択した場合、制御部41は、後述の希望色使用判定処理(ステップS115)を実行する。
【0054】
所有色の入力設定(S111)が終了すると、制御部41は、ROM42に記憶された表示制御プログラム42oを読み出し、表示部46に指定色として希望色も使用するか否かを問う案内を表示させ、希望色を使用するか否かを判定する希望色使用判定処理(ステップS115)を実行する。
【0055】
この希望色使用判定処理(ステップS115)においてユーザが希望色の入力設定を行う旨を選択した場合、制御部41は、ROM42に記憶された表示制御プログラム42oを読み出して表示部46に希望色の入力設定を行う画面を表示させ、ユーザは希望色の入力設定を行う(S121)。この希望色の入力設定を行うときも所有色の入力設定と同様に、表示部46には複数色を備えたパレットが表示され、ユーザがパレットの中から所有していないものの使用を欲する色を選択することにより希望色の入力設定を行うことができる。ユーザによる希望色の入力設定が終了すると、制御部41は、設定された希望色情報をRAM43の希望色情報記憶部43eに記憶させる。なお、希望色使用判定処理(ステップS115)において希望色を使用しない旨を選択した場合、制御部41は、後述の原画像読み出し処理(ステップS125)を実行する。
【0056】
希望色の入力設定(S121)が終了すると、ユーザは塗り絵用画像に変換する原画像を選択し、制御部41は、可搬型記憶媒体から原画像を読み出す原画像読込処理(ステップS125)を実行し、読み出した原画像をRAM43の原画像記憶部43aに記憶させる。
【0057】
原画像読込処理(ステップS125)の後、制御部41は、ROM42に記憶された表示制御プログラム42oを読み出し、絵画調に変換するか否かをユーザに問う案内を表示部46に表示させ、絵画調変換を行うか否かを判定する絵画調変換有無判定処理(ステップS131)を実行する。絵画調変換有無判定処理(ステップS131)において、ユーザが絵画調変換を行う旨を選択すると、制御部41は、ROM42に記憶された絵画調変換パターンデータと表示制御プログラム42oを読み出し、表示部46に絵画調変換パターンを表示してユーザに選択させ、ユーザは所望の絵画調変換パターンを選択する(S135)。ユーザが絵画調変換パターンを選択すると、制御部41は、ROM42に記憶された絵画調変換プログラム42dを読み出し、原画像を絵画調に変換する絵画調変換処理(ステップS141)を実行し、絵画調画像をRAM43の絵画調画像記憶部43gに記憶させる。
【0058】
絵画調変換処理(ステップS141)の後、又は、絵画調変換有無判定処理(ステップS131)においてユーザが絵画調変換を行わない旨を選択した場合、制御部41は、ROM42に記憶された色変換プログラム42cを読み出し、原画像記憶部43aに記憶された原画像、又は、絵画調画像記憶部43gに記憶された絵画調画像、すなわち、手本画像の元になる手本元画像における色を指定色内の色に変換する色変換処理(ステップS145)を実行する。なお、この色変換処理(ステップS145)で生成された画像は塗り絵における手本画像となるため、色変換処理(ステップS145)は手本画像生成処理でもある。また、絵画調変換を使用しない場合には原画像が手本元画像となり、絵画調変換を実行する場合には絵画調画像が手本元画像となるため、原画像記憶部43aおよび絵画調画像記憶部43gは、手本元画像記憶手段として機能する。この色変換処理(ステップS145)に関しては、図8のフローチャートを用いて説明する。
【0059】
色変換処理(ステップS145)において制御部41は、原画像記憶部43aに記憶された原画像、又は、絵画調画像記憶部43gに記憶された絵画調画像である手本元画像を読み込む手本元画像読込処理(ステップS201)を実行する。そして、制御部41は、手本元画像における画素pをクリア(ステップS205)した後(色変換処理におけるバッファメモリの画素pを記憶する領域を初期化)、pに1を代入(ステップS207)する。次に、制御部41は、ROM42に記憶された表色系変換プログラム42bを読み出し、手本元画像のp番目の画素の色をRGB色空間からLab色空間へ変換する表色系変換処理(ステップS215)を実行し、p番目の画素のLab色と指定色情報とを比較して色差を算出する色差算出処理(ステップS221)を実行する。
【0060】
色差算出処理(ステップS221)の後、制御部41は、ROM42に記憶された色変換プログラム42cを読み出し、p番目の画素の色を最小の色差となる色に変換する色変換処理(ステップS225)を実行し、ROM42に記憶された表色系変換プログラム42bを読み出し、Lab色空間からRGB色空間へ変換する表色系変換処理(ステップS231)を実行する。そして、制御部41は、pに1を加える処理(ステップS235)をした後、pが全画素数よりも大きいか否か、すなわち、全画素の色変換が完了したか否かを判定する変換完了判定処理(ステップS241)を実行する。
【0061】
変換完了判定処理(ステップS241)においてpが全画素数以下の場合、制御部41は、ステップS215からステップS235を繰り返し実行し、全画素の色変換が終了するまで各処理を繰り返す。変換完了判定処理(ステップS241)においてpが全画素数よりも大きい場合、すなわち、全画素の色変換が完了した場合、制御部41は、RAM43の手本画像記憶部43kに色変換後の画像を記憶する手本画像記憶処理(ステップS245)を実行し、色変換処理(ステップS145)を終了する。
【0062】
色変換処理(ステップS145)の後、図7に示したように、制御部41は、ROM42に記憶された塗り絵用画像生成プログラム42hを読み出し、手本画像から塗り絵用の画像を生成する塗り絵用画像生成処理(ステップS151)を実行する。この塗り絵用画像生成処理(ステップS151)に関しては、図9のフローチャートを用いて説明する。
【0063】
制御部41は、手本画像記憶部43kに記憶された手本画像を読み込む手本画像読込処理(ステップS301)を実行する。そして、制御部41は、ROM42に記憶された線画像生成プログラム42iを読み出し、手本画像から輪郭のみを抽出した線画像を生成する線画像生成処理(ステップS305)を実行し、RAM43の線画像記憶部43nに記憶させる。次に、制御部41は、手本画像に希望色が使用されているか否かを判定する希望色使用判定処理(ステップS311)を実行し、希望色を使用している場合には線画像における希望色を使用している領域に当該希望色を着色する希望色着色処理(ステップS315)を実行して塗り絵用画像を生成し、希望色を着色した塗り絵用画像をRAM43の着色画像記憶部43oに記憶させて塗り絵用画像生成処理(ステップS151)を終了する。なお、希望色使用判定処理(ステップS311)において希望色が使用されていない場合、線画像が塗り絵用画像となるためそのまま塗り絵用画像生成処理(ステップS151)を終了する。
【0064】
塗り絵用画像生成処理(ステップS151)の後、制御部41は、図7に示したように、ROM42に記憶された表示制御プログラム42oを読み出し、表示部46に印刷を実行するか否かを問う画面を表示させ、印刷を実行するか否かを判定する印刷判定処理(ステップS155)を実行する。印刷判定処理(ステップS155)においてユーザが印刷実行の操作をすると制御部41は、ROM42に記憶された表示制御プログラム42oを読み出して表示部46に印刷条件をユーザに設定させる画面を表示させ、印刷用紙10のサイズなどの印刷条件を設定させる印刷条件設定処理(ステップS161)を実行し、設定された印刷条件をRAM43の印刷条件記憶部43qに記憶させる。なお、印刷判定処理(ステップS155)において、ユーザが印刷を実行しない旨の操作を行った場合には、塗り絵画像生成機能における処理を終了する。
【0065】
そして、制御部41は、ROM42に記憶された印刷データ生成プログラム42sを読み出し、RAM43の手本画像記憶部43kに記憶された手本画像、および、塗り絵用画像記憶部43mに記憶された塗り絵用画像から印刷データを生成し、印刷データ記憶部43sに記憶させる。その後、制御部41は、印刷制御プログラム42qを読み出し、印刷条件記憶部43qに記憶された印刷条件にしたがって印刷部48で印刷を行う印刷処理(ステップS165)を実行し、塗り絵画像生成機能における処理を終了する。すなわち、印刷処理(ステップS165)では、塗り絵用画像および手本画像が印刷されることとなる。
【0066】
このように本実施形態の画像印刷装置1は、ユーザに使用する色を指定させ、指定された色を用いて手本画像を生成するため、写真などの原画像をそのまま手本画像とした場合よりも容易に塗り絵を完成させることができる。また、指定色としてユーザが所有している筆記具の色である所有色を入力設定させることにより、手本画像をユーザが所有している色のみで生成することができるため、ユーザが所有している筆記具で塗り絵を完成させることができる。よって、ユーザが塗り絵を完成させるときに、ユーザが所有していない色が手本画像にあるために配色ミスを起こすといったことを防止できる。
【0067】
さらに、指定色としてユーザが所有していないものの使用を欲する色である希望色を入力設定させることにより、所有色だけを用いて色変換を行った場合よりも多くの色を用いて見本画像を生成できることとなる。また、希望色が使用される領域を着色した状態の塗り絵用画像を生成できるため、所有していない色が含まれる塗り絵も容易に完成させることができる。
【0068】
また、画像印刷装置1が絵画調変換機能を有しているため、ユーザが所有している筆記具の種類、すなわち、色鉛筆や水性絵の具、油性絵の具、パステルなどに合わせて手本画像および塗り絵用画像を生成できる。
【0069】
さらに、RGBからLabに表色系を変換し、Lab色空間で所有色および希望色との色差を算出して色変換を行った後にRGBへ再度表色系を変換することにより色変換処理を行っているため、RGBで直接色変換を行う場合よりもユーザにとって原画像における色に近い色に色変換を行うことができる。よって、原画像と近い塗り絵を完成させることができる。
【0070】
なお、上述した実施形態における各種処理は、コンピュータに実現させることのできる塗り絵画像生成プログラムとして、例えば磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリなどの記憶媒体に書き込んだ状態で各種装置に適用する、あるいは、通信媒体により伝送して各種装置に適用することも可能である。このように本実施形態で述べた各処理を実行させるための塗り絵画像生成プログラムを他の電子機器などで実行させることにより、上述した画像印刷装置1を用いた場合と同様の作用効果が得られる。なお、コンピュータは、画像印刷装置1に内蔵されたコンピュータに限定されるわけではなく、上記のような塗り絵画像生成プログラムを読み取り可能であって、読み取ったプログラムにしたがって制御動作を行うCPUなどの演算装置を備えているあらゆる電子機器に組み込まれたコンピュータを含む。
【0071】
さらに、本発明は、以上の実施形態に限定されるものでなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で自由に変更、改良が可能である。例えば、上述した実施形態ではユーザが所望の絵画調変換パターンを選択する構成としているが、ユーザが所有している筆記具の種類をあらかじめ入力設定させ、絵画調変換を行う場合には入力設定された筆記具調に自動で絵画調変換を行う構成としてもよい。また、色変換処理(ステップS145)では、手本元画像における色と指定色とを比較して、近似する色に変換して手本画像を生成する構成としているが、必ずしも近似している色に変換させる必要はなく、いくつかの色変換パターンを作成してユーザに所望のパターンを選択させる構成としてもよい。
【0072】
また、上述した実施形態では、手本画像をそのまま表示および印刷する構成としているが、塗り絵の順序を表示した画像を順次表示および/又は印刷する構成としてもよい。すなわち、図4(c)に示したような手本画像となるように塗り絵をする場合、図10(a)に示すように、まず、塗り絵用画像の中で赤a1を使用する領域を塗りつぶした画像を表示又は印刷し、次に、図10(b)に示すように黄a3を塗りつぶした画像を表示又は印刷し、以下、図10(c)に示すように黄緑a4、図10(d)に示すように緑a5、図10(e)に示すように紫a8と順次塗りつぶした画像を表示又は印刷する構成としてもよい。
【0073】
このように、本発明は、ユーザが指定した色で手本画像を生成し、かつ、塗り絵用画像を生成することを特徴としており、その他の構成、例えば絵画調変換などは必須の構成要素ではなく、様々な設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 画像印刷装置 2 筐体
3 キーボード 5 排紙口
6 記憶媒体挿入口 8 タッチパネル
10 印刷用紙 15 取っ手
16 空腔部 18 給紙トレイ
19 ピックアップローラ
20a,20b 搬送ローラ
21 印刷ヘッド
22a,22b 排紙ローラ
41 制御部 42 ROM
42a 手本画像生成プログラム 42b 表色系変換プログラム
42c 色変換プログラム 42d 絵画調変換プログラム
42f 絵画調変換パターンデータ 42h 塗り絵用画像生成プログラム
42i 線画像生成プログラム 42j 希望色着色プログラム
42o 表示制御プログラム 42q 印刷制御プログラム
42s 印刷データ生成プログラム
43 RAM
43a 原画像記憶部 43b 指定色情報記憶部
43c 所有色情報記憶部 43e 希望色情報記憶部
43g 絵画調画像記憶部 43k 手本画像記憶部
43m 塗り絵用画像記憶部 43n 線画像記憶部
43o 着色画像記憶部 43q 印刷条件記憶部
43s 印刷データ記憶部
45 入力部 46 表示部
48 印刷部 49 音声出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが指定する色の情報である指定色情報が記憶されるものであって、ユーザが所有している筆記具の色の情報が記憶される所有色情報記憶手段を備えた指定色情報記憶手段と、
塗り絵の手本画像の元となる手本元画像が記憶される手本元画像記憶手段と、
前記塗り絵の手本画像を生成するものであって、前記手本元画像に使用されている色を前記指定色の中で近似する色に変換する色変換手段を備えた手本画像生成手段と、
塗り絵用画像を生成するものであって、前記手本画像から輪郭を抽出して線画像を生成する線画像生成手段を備えた塗り絵用画像生成手段と、
前記手本画像および前記塗り絵用画像が表示される表示手段および該表示手段を制御する表示制御手段と、
前記塗り絵用画像および前記手本画像を印刷する印刷手段と、
を備えることを特徴とする画像印刷装置。
【請求項2】
前記指定色情報記憶手段は、ユーザが所有していない色であってユーザが使用を希望する色である希望色の情報が記憶される希望色情報記憶手段も備えていることを特徴とする請求項1に記載の画像印刷装置。
【請求項3】
前記塗り絵用画像生成手段は、前記手本画像が前記所有色および前記希望色の両方の色を使用して生成されているとき、前記線画像生成手段が生成した線画像の中で前記希望色が付される領域に、対応する前記希望色を着色した塗り絵用画像を生成する希望色着色手段を備えていることを特徴とする請求項2に記載の画像印刷装置。
【請求項4】
原画像を絵画調に変換して絵画調画像を生成する絵画調変換手段をさらに備え、
前記手本元画像が前記原画像又は前記絵画調画像から構成されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の画像印刷装置。
【請求項5】
前記指定色情報記憶手段には、前記指定色情報がLab色空間の色情報として記憶され、
前記塗り絵用画像生成手段は、RGB色空間からLab色空間へ、および、Lab色空間からRGB色空間へと表色系を変換する表色系変換手段を有し、
前記表色系変換手段が前記手本元画像のRGB色空間を画素毎にLab色空間へと変換し、
前記色変換手段が前記指定色の色と手本元画像の色の色差を算出し、色差が少ない前記指定色内の色に前記手本元画像の色を変換し、
前記表色系変換手段が色変換後の画像をLab色空間からRGB色空間へと変換することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の画像印刷装置。
【請求項6】
ユーザが指定する色の情報である指定色情報を記憶する処理であって、ユーザが所有している筆記具の色の情報を記憶する所有色情報記憶処理を含む指定色情報記憶処理と、
塗り絵の手本画像の元となる手本元画像を読み込む手本元画像読込処理と、
塗り絵の手本画像を生成する処理であって、前記手本元画像に使用されている色を前記所有色の中で近似する色に変換する色変換処理を備えた手本画像生成処理と、
塗り絵用画像を生成する処理であって、少なくとも前記手本画像から輪郭を抽出して線画像を生成する線画像生成処理を備えた塗り絵用画像生成処理と、
前記手本画像および前記塗り絵用画像を表示手段に表示させる表示制御処理と、
前記塗り絵用画像および前記手本画像を印刷する印刷処理と、
を実行することを特徴とする塗り絵画像生成方法。
【請求項7】
前記指定色情報記憶処理では、前記所有色情報記憶処理の後に、ユーザが所有していない色であってユーザが使用を希望する色である希望色の情報を記憶する希望色情報記憶処理も実行されることを特徴とする請求項6に記載の塗り絵画像生成方法。
【請求項8】
前記塗り絵用画像生成処理では、前記手本画像が前記所有色および前記希望色の両方の色を使用して生成されているとき、前記線画像生成処理の後に、前記線画像生成処理で生成した線画像の中で前記希望色が付される領域に、対応する前記希望色を着色して塗り絵用画像を生成する希望色着色処理を実行することを特徴とする請求項7に記載の塗り絵画像生成方法。
【請求項9】
前記指定色情報記憶処理の後に前記原画像を絵画調に変換して絵画調画像を生成する絵画調変換処理と、
該絵画調変換処理で変換された画像が手本元画像として記憶される手本元画像記憶処理と、が実行されることを特徴とする請求項6乃至請求項8のいずれか1項に記載の塗り絵画像生成方法。
【請求項10】
前記指定色情報記憶処理では、前記指定色情報がLab色空間の色情報として記憶され、
前記塗り絵用画像生成処理では、
前記手本元画像のRGB色空間を画素毎にLab色空間へと変換する表色系変換処理と、
前記表色系変換処理でLab色空間に変換された前記手本元像と前記指定色情報との色差を算出し、色差が少ない前記指定色内の色に前記手本元画像の色を変換する前記色変換処理と、
前記色変換処理で色変換した後の画像をLab色空間からRGB色空間へと変換する表色系再変換処理と、
が実行されることを特徴とする請求項6乃至請求項9のいずれか1項に記載の塗り絵画像生成方法。
【請求項11】
ユーザが指定する色の情報である指定色情報を記憶する処理であって、ユーザが所有している筆記具の色の情報を記憶する所有色情報記憶処理を含む指定色情報記憶処理と、
塗り絵の手本画像の元となる手本元画像を読み込む手本元画像読込処理と、
塗り絵の手本画像を生成する処理であって、前記手本元画像に使用されている色を前記所有色の中で近似する色に変換する色変換処理を備えた手本画像生成処理と、
塗り絵用画像を生成する処理であって、少なくとも前記手本画像から輪郭を抽出して線画像を生成する線画像生成処理を備えた塗り絵用画像生成処理と、
前記手本画像および前記塗り絵用画像を表示手段に表示させる表示制御処理と、
前記塗り絵用画像および前記手本画像を印刷する印刷処理と、
を実行させることを特徴とするコンピュータ読み取り可能な塗り絵画像生成プログラム。
【請求項12】
前記指定色情報記憶処理では、前記所有色情報記憶処理の後に、ユーザが所有していない色であってユーザが使用を希望する色である希望色の情報を記憶する希望色情報記憶処理も実行させることを特徴とする請求項11に記載のコンピュータ読み取り可能な塗り絵画像生成プログラム。
【請求項13】
前記塗り絵用画像生成処理では、前記手本画像が前記指定色として前記所有色および前記希望色の両方の色を使用して生成されているとき、前記線画像生成処理の後に、前記線画像生成処理で生成した線画像の中で前記希望色が付される領域に、対応する前記希望色を着色して塗り絵用画像を生成する希望色着色処理を実行させることを特徴とする請求項12に記載のコンピュータ読み取り可能な塗り絵画像生成プログラム。
【請求項14】
前記塗り絵用画像生成処理では、前記指定色情報記憶処理の後に前記原画像を絵画調に変換して絵画調画像を生成する絵画調変換処理と、
該絵画調変換処理で変換された画像が手本元画像として記憶される手本元画像記憶処理と、
を実行させることを特徴とする請求項11乃至請求項13のいずれか1項に記載のコンピュータ読み取り可能な塗り絵画像生成プログラム。
【請求項15】
前記指定色情報記憶処理では、前記指定色情報がLab色空間の色情報として記憶され、
前記塗り絵用画像生成処理では、
前記手本元画像のRGB色空間を画素毎にLab色空間へと変換する表色系変換処理と、
前記表色系変換処理でLab色空間に変換された前記手本元像と前記指定色情報との色差を算出し、色差が少ない前記指定色内の色に前記手本元画像の色を変換する前記色変換処理と、
前記色変換処理で色変換した後の画像をLab色空間からRGB色空間へと変換する表色系再変換処理と、
を実行させることを特徴とする請求項11乃至請求項14のいずれか1項に記載のコンピュータ読み取り可能な塗り絵画像生成プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−142757(P2012−142757A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293536(P2010−293536)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】