画像印刷装置、画像印刷方法、および、印刷ジョブ作成プログラム
【課題】視覚障害を持つユーザも容易に印刷でき得る印刷装置を提供する。
【解決手段】プリンタは、音声補助設定がされている印刷ジョブは、補助ジョブとして補助スプール部に格納し、ユーザから指示があるまで、その印刷処理を待機させる(S18)。ユーザが音声提示を指示すれば、プリンタは、補助スプール部に格納されている補助ジョブのジョブ属性を音声で提示する(S22)。ユーザは、音声提示された補助ジョブの中から印刷したい補助ジョブを選択する。ユーザが補助ジョブを選択すれば、プリンタは、選択された補助ジョブの印刷処理を実行する(S24)。
【解決手段】プリンタは、音声補助設定がされている印刷ジョブは、補助ジョブとして補助スプール部に格納し、ユーザから指示があるまで、その印刷処理を待機させる(S18)。ユーザが音声提示を指示すれば、プリンタは、補助スプール部に格納されている補助ジョブのジョブ属性を音声で提示する(S22)。ユーザは、音声提示された補助ジョブの中から印刷したい補助ジョブを選択する。ユーザが補助ジョブを選択すれば、プリンタは、選択された補助ジョブの印刷処理を実行する(S24)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報端末から送信された印刷ジョブに従って印刷処理を実行する画像印刷装置、画像印刷方法、および、情報端末上で取り扱われたデータを印刷するための印刷ジョブをコンピュータに作成させる印刷ジョブ作成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、視覚障害を持つユーザも容易に使用できる画像印刷装置が多数提案されている。例えば、下記特許文献1には、印刷状況を音声で通知する印刷装置が開示されている。印刷状況としては、印刷終了や、エラー発生などが含まれる。このように印刷状況を音声で通知することにより、視覚障害者でも容易に画像印刷装置を使用できる。
【0003】
ここで、通常、画像印刷装置は、複数の印刷ジョブが送信された場合、その送信の順に、順次、印刷処理を実行する。したがって、ユーザが情報端末から印刷ジョブを送信しても、即座に印刷処理が実行されるとは限らない。そこで、通常、ユーザは、印刷出力された印刷物(用紙)を見て、当該印刷物が自分の送信した印刷ジョブに係るものか否かを判断する。
【0004】
【特許文献1】特開2002−234236号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、視覚障害をもつユーザの場合、印刷出力された印刷物の内容を視覚的に確認することができず、印刷物が自分の送信した印刷ジョブにかかるものか否かを判断できない。そのため、視覚障害者は、印刷物の内容を視覚障害の無い他のユーザに問い合わせる必要があった。このような問い合わせ作業は、視覚障害者にとって手間であり、画像印刷装置の使用を困難なものにしていた。
【0006】
特許文献1の印刷装置では、印刷終了を通知する音声として、印刷ジョブを送信した個人を特定できる音声を用いることにより、上記問題を軽減している。すなわち、個人を特定できる音声で印刷終了が通知されることにより、視覚障害を持つユーザであっても、自己が送信した印刷ジョブの印刷終了を認識でき、上記問題を軽減できる。しかしながら、特許文献1の印刷装置では、ユーザは、印刷終了を示す音声が通知されるまで印刷装置近傍で待機しておく必要があり、視覚障害を持つユーザにとっての利便性が乏しかった。
【0007】
そこで、本発明は、視覚障害者も容易に印刷でき得る画像印刷装置、画像印刷方法、および、印刷ジョブ作成プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像印刷装置は、情報端末から送信された印刷ジョブに従って印刷を実行する画像印刷装置であって、情報端末から送信された印刷ジョブについて音声による操作補助が設定されているか否かを、当該印刷ジョブの所定位置に記載された設定情報を読み込むことにより判断する判断手段と、音声による操作補助が設定されていると判断した印刷ジョブを音声補助印刷ジョブとして一時的に一時記憶手段に記憶して、当該印刷ジョブの実行を待機させる一時待機手段と、ユーザからの指示を受けて、一時記憶手段に記憶されている音声補助印刷ジョブに係るジョブ属性を音声でユーザに提示する音声提示手段と、音声で提示された音声補助印刷ジョブの中から印刷処理を実行する印刷ジョブの選択をユーザから受け付ける選択受付手段と、選択された音声補助印刷ジョブの印刷処理を実行する印刷手段と、を有することを特徴とする。
【0009】
好適な態様では、音声提示手段は、音声提示の指示を受け付ける音声提示操作子を備え、当該音声提示操作子に対して操作がなされる度に一時記憶手段に記憶されている音声補助印刷ジョブの属性を一つずつ音声で提示し、選択受付手段は、選択する印刷ジョブが音声提示された際にユーザにより操作される選択操作子を備え、当該選択操作子が操作された際に音声提示された音声補助印刷ジョブを選択された印刷ジョブとして受け付ける。
【0010】
他の好適な態様では、さらに、音声補助印刷ジョブの印刷が終了した際に、当該音声補助印刷ジョブに係るジョブ属性を音声で提示することにより、当該印刷の終了をユーザに提示する終了提示手段を備える。
【0011】
他の好適な態様では、音声補助印刷ジョブの印刷処理は、音声による操作補助が設定されていない通常印刷ジョブの印刷処理より優先して実行される。他の好適な態様では、他の印刷ジョブの印刷処理実行中に音声補助印刷ジョブの印刷処理が指示された場合、他の印刷ジョブの印刷処理実行中である旨を音声で提示して、音声補助印刷ジョブを待機させる。
【0012】
他の好適な態様では、音声提示手段により提示される属性は、印刷ジョブ作成時刻、ユーザ名、文書名、用紙サイズ、ページ枚数、排出先、カラーモードのいずれかを含む。他の好適な態様では、音声提示手段により提示される属性は、印刷ジョブ作成時刻、ユーザ名、文書名、用紙サイズ、ページ枚数、排出先、カラーモードの中から選択可能である。他の好適な態様では、音声提示手段により提示される属性が複数種類ある場合、その提示の順番が選択可能である。他の好適な態様では、選択受付手段は、一時記憶手段に記憶されている音声補助印刷ジョブが所定の条件を満たす場合に、音声提示手段による音声提示の後に、一時記憶手段に記憶されている全ての音声補助印刷ジョブを印刷処理を実行する印刷ジョブとして受け付ける。
【0013】
他の本発明である印刷ジョブ作成プログラムは、情報端末で作成または閲覧されたデータを当該情報端末に接続された画像印刷装置で印刷するために、当該データを当該画像印刷装置で取り扱い可能な言語に変換したデータと当該データの印刷の際に必要な設定情報である印刷設定データとを含む印刷ジョブを、コンピュータに作成させる印刷ジョブ作成プログラムであって、印刷ジョブに対して、音声による操作補助を設定するか否かの選択をユーザから受け付ける受付手段と、ユーザの選択に応じて、印刷ジョブの印刷設定データに音声による操作補助の設定の有無を記録する記録手段と、を有する印刷ジョブ作成装置としてコンピュータを機能させ、音声による操作補助の設定がされた印刷ジョブを受信した画像印刷装置が、当該印刷ジョブを音声補助印刷ジョブとして一時的に一時記憶手段に記憶するとともに当該印刷ジョブの実行を待機し、ユーザからの指示を受けて一時記憶手段に記憶されている音声補助印刷ジョブの属性を音声でユーザに提示し、音声で提示された音声補助印刷ジョブの中から印刷処理を実行する印刷ジョブの選択をユーザから受け付けた場合に選択された音声補助印刷ジョブの印刷処理を実行する。
【0014】
他の本発明である画像印刷方法は、情報端末から送信された印刷ジョブに従って印刷を実行する画像印刷方法であって、情報端末から送信された印刷ジョブについて、音声による操作補助が設定されているか否かを判断する判断ステップと、音声による操作補助が設定されていると判断した印刷ジョブを音声補助印刷ジョブとして一時的に画像印刷装置内の一時記憶手段に記憶しておき、当該印刷ジョブの実行を待機する一時待機ステップと、ユーザからの指示を受けて、一時記憶手段に記憶されている音声補助印刷ジョブの属性を音声でユーザに提示する音声提示ステップと、音声で提示された音声補助印刷ジョブの中から印刷処理を実行する印刷ジョブの選択をユーザから受け付ける選択受付ステップと、選択された音声補助印刷ジョブの印刷処理を実行する印刷ステップと、を有することを特徴とする。
【0015】
ここで、画像印刷装置は、情報端末から送信された印刷ジョブに従って印刷を実行できるものであれば、プリンタの他、複写機能やファクシミリ機能も備えたデジタル複合機なども含む。また、印刷ジョブ作成プログラムは、オペレーティングシステムの機能の一部を利用して、コンピュータに印刷ジョブを作成させるものであってもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、音声による操作補助が設定されている音声補助ジョブについては、ユーザが選択するまでその印刷処理を待機させておくため、ユーザは所望のタイミングで印刷することができる。これにより、視覚障害を持つユーザであっても、自己が送信した印刷ジョブに係る印刷物を容易に得ることができる。つまり、本発明によれば、視覚障害者であっても容易に印刷でき得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。はじめに、本発明の基本的な実施形態であるプリンタシステム10について説明する。図1は、プリンタシステム10の概略構成図である。
【0018】
このプリンタシステム10では、プリンタ14に複数の情報端末12が接続されている。情報端末12は、ユーザからの操作を受けて閲覧または作成したデータを印刷するためのデータ、すなわち印刷ジョブを作成する。作成された印刷ジョブは、プリンタ14に送信される。プリンタ14は、送信された印刷ジョブにしたがって印刷処理を実行する。
【0019】
通常、プリンタ14に送信された印刷ジョブは、送信された順に順次、印刷される。したがって、ある印刷ジョブがプリンタ14に送信された際に、他の印刷ジョブが既にプリンタ14にある場合、他の印刷ジョブ全ての印刷処理が終了してからでないと当該印刷ジョブは実行されない。つまり、印刷ジョブを送信したタイミングと、実際にその印刷ジョブが印刷されるタイミングと、が大きくずれる場合がある。そのため、ユーザは、印刷出力された印刷物の内容を見て、その印刷物が自分の送信した印刷ジョブにかかるものか否かを判断する。
【0020】
しかしながら、視覚障害を持つユーザの場合、印刷物の内容を視覚的に確認することができない。そのため、視覚障害者は、出力された印刷物の内容を、他のユーザに確認してもらわなければ、自分の印刷物か否かが判断できない。このような他のユーザへの確認は、視覚障害者にとって煩雑であった。
【0021】
そこで、本実施形態では、音声補助設定がされた印刷ジョブを作成できるプリンタドライバ、および、音声補助設定がされている印刷ジョブに対して所定の処理を行うプリンタ14を用いている。以下、これらについて、詳説する。
【0022】
情報端末12は、CPU、記憶装置、表示装置、入力装置、通信ポート等のハードウェアを備えたコンピュータであり、パーソナルコンピュータやPDAなどが該当する。情報端末12には、オペレーティングシステム(以下、「OS」という)をはじめとして、複数のソフトウェアのプログラムが記憶装置に記憶されている。これらソフトウェアは、CPUが記憶装置に記憶されたプログラムを実行することにより動作可能となる。
【0023】
図2は、情報端末12の機能構成を示すブロック図である。情報端末12は、OS18のほかに、ワープロソフトやウェブブラウザなどのアプリケーションソフトウェア16や、プリンタドライバ20などがインストールされている。プリンタドライバ20は、コンピュータに、他のアプリケーションソフトウェア16からの印刷要求を受けて、印刷ジョブを作成させるプログラムである。作成された印刷ジョブは、OS18で提供される機能により、通信部22を介してプリンタ14に送信される。
【0024】
ここで、印刷ジョブとは、情報端末上で取り扱われたデータをプリンタ14で印刷するためのデータである。この印刷ジョブは、印刷するデータをプリンタ14が解釈可能なプリンタ言語に変換した描画データと、印刷の際に必要な設定情報である印刷設定データと、から構成される。印刷設定としては、用紙サイズや、カラーモード、部数などがある。さらに、本実施形態のプリンタドライバ20によれば、印刷設定として音声補助の有無が設定できる。後に詳説するように、プリンタ14は、この音声補助設定がされた印刷ジョブについては、ユーザからの指示があるまで印刷処理を待機させるとともに、ユーザの指示に応じて当該印刷ジョブのジョブ属性を音声で提示する。ジョブ属性とは、印刷ジョブの特性や内容を示す情報であり、例えば、当該印刷ジョブの作成時刻やオーナ名、ファイル名、用紙サイズ、ページ枚数、排出先、カラーモードなどが該当する。この音声提示されるジョブ属性の種類および順番は、ユーザが適宜設定できる。
【0025】
この音声補助に関する設定や、他の印刷条件に関する設定は、プリンタドライバ20を実行するCPUにより表示装置に表示される印刷設定画面または初期設定画面を通じて行われる。印刷設定画面は、他のアプリケーションソフトウェアからの印刷要求を受けた場合に表示される画面で、当該印刷要求に係る印刷の印刷設定内容を設定する画面である。この印刷設定画面で設定された内容は、当該印刷要求に係る印刷ジョブにだけ適用され、他の印刷ジョブには適用されない。一方、初期設定画面は、印刷設定の各設定項目の初期値(デフォルト値)を設定するための画面である。この初期設定画面で設定された内容は、印刷設定画面で修正、変更されない限り、全ての印刷ジョブに適用される。初期設定画面で設定された内容は、記憶装置に記憶され、印刷設定画面を表示する度に参照される。また、印刷設定画面で設定された内容は、メモリに記憶され、印刷ジョブ作成時に参照される。
【0026】
図3に、プリンタドライバ20を実行するCPUにより表示装置に表示される印刷設定画面24の一例を示す。なお、初期設定画面においても、ほぼ同様の画面が表示される。図示例の印刷設定画面24は、複数の画面で構成されており、用紙のサイズや方向などに関する設定をする「用紙」画面や、用紙の排出先や排出方法に関する設定をする「排出」画面などがある。これらの画面は、印刷設定画面24の上側にあるタブ26を選択することにより切り替えることができる。また、各画面には、設定項目名とその設定値が表示される。ユーザは、表示された画面を確認しながら、必要に応じて、入力装置を操作して設定項目の設定値を修正、変更する。ユーザによる修正、変更が無い場合には、予め、初期設定で設定されたデフォルト値がその設定項目の設定値として取り扱われる。
【0027】
音声補助設定に関する設定をする「音声補助」画面では、音声補助の有無と、音声補助する場合に音声提示されるジョブ属性の種類及び順番が設定できる。具体的には、画面上に表示された「音声補助」という文字列の隣に表示された選択肢「する」、「しない」のいずれかを選択することにより、音声補助の有無が設定できる。また、音声提示されるジョブ属性の種類および順番は、画面上に表示されたジョブ属性名の隣にある数値を変更することにより設定できる。この数値は、音声提示される順番を示しており、「0」の場合は音声提示されないことになる。例えば、図3の例では、「印刷時刻」、「ユーザ名」、「文書名」、「用紙サイズ」、「ページ枚数」、「排出先」が、この順番で音声提示され、「0」が選択されている「カラーモード」については音声提示されないこととなる。ここで、「印刷時刻」は印刷ジョブの作成時間を、「ユーザ名」は印刷ジョブのオーナ名、「文書名」は印刷ジョブに係るデータのファイル名を示す。そして、画面右下の「OK」ボタンが選択されれば、印刷設定が終了となる。印刷設定終了時点での設定内容はメモリに記憶されており、プリンタドライバ20を実行するCPUは、この記憶内容を参照して印刷ジョブを作成する。
【0028】
なお、図3の図示例は一例であり、他の形態であってもよい。また、図3の図示例では、音声提示されるジョブ属性の種類や順番が選択可能となっているが、当然、選択不可能であってもよい。また、選択可能なジョブ属性の種類として、印刷時刻、ユーザ名、文書名、用紙サイズ、ページ枚数、排出先、カラーモードを例示しているが、当然、他のジョブ属性を選択できるようにしてもよい。また、図3の例では、順番を示す数値を変更することで、音声提示の種類と順番を選択しているが、当然、他の方法で選択できるようにしてもよい。
【0029】
また、印刷設定を行うユーザが視覚障害を持っている場合は、印刷設定画面または初期設定画面を表示したときにその表示内容を音声で提示してもよい。設定画面についての音声提示機能は、プリンタドライバが有していてもよいし、表示装置に表示された内容を音声で読み上げる市販の音声読上ソフトで提供される機能を利用してもよい。
【0030】
次に、作成される印刷ジョブについて図4を用いて説明する。図4は、プリンタドライバ20により作成される印刷ジョブ30の一例を示す図である。既述したように、印刷ジョブ30には、印刷すべき画像を示す描画データ34と、印刷の際に必要な設定情報である印刷設定データ32と、が含まれる。描画データ34は、印刷するデータ(画像)をプリンタ言語に変換したもので、印刷設定データ32の後に記述される。印刷設定データ32には、上述の音声補助設定に関する設定内容36の他、他の設定内容38、例えば、用紙サイズや排出先などが記述されている。図4の例では、設定内容は、”<設定項目名> = <設定値>”という書式で記述されている。
【0031】
音声補助に関する設定36は、”@VoiceSupport”,”@OptPriority[n]”(n=0〜6)という項目名で示されている。”@VoiceSupport”は、音声補助設定の有無を示しており、その値が”ON”なら音声補助設定がされていることになる。また、”@OptPriority[n]”は音声提示されるジョブ属性の種類を示しており、”n”は音声提示の順番を示している。” @OptPriority[n]”の右側には設定値としてジョブ属性名(ジョブ属性の種類)が記述されている。音声提示されるジョブ属性がない場合は、設定値として”NULL”が記述される。
【0032】
図4の例では、”@VoiceSupport=ON”であるため、当該印刷ジョブ30は音声補助設定がされていることになる。また、音声提示は、”@UserName(ユーザ名)”、”PaperSize(用紙サイズ)”、”PageNum(ページ数)”、”DocName(文書名)”、”OutputTime(印刷時刻)”の順になされることになる。なお、ここで図示した印刷ジョブ30の書式は、一例であり、プリンタにおいて音声補助設定の有無が判断出来得る書式であれば、当然他の書式であってもよい。
【0033】
次に、プリンタ14について図5、図6を用いて説明する。図5はプリンタ14の機能構成を示すブロック図であり、図6は音声提示部50および選択受付部52の詳細なブロック図である。このプリンタ14は、複数の情報端末12からの印刷ジョブを受信でき、受信した印刷ジョブにしたがって印刷処理を実行するネットワークプリンタである。なお、当然ながら、印刷ジョブにしたがっての印刷が可能であれば、複写機能やファクシミリ機能、スキャナ機能などを備えたデジタル複合機などであってもよい。
【0034】
本実施形態のプリンタ14は、通常のプリンタと同様に、情報端末12から送信された印刷ジョブを受信する受信部42、受信した印刷ジョブを一時的に格納する通常スプール部46、各印刷ジョブの印刷処理を実行する印刷部56、および、この印刷部56での処理を制御する印刷制御部54を有する。
【0035】
通常、情報端末12から送信された印刷ジョブは、その受信の順に、通常スプール部46に格納される。印刷部56は、印刷制御部54からの指示に応じて、通常スプール部46に格納された印刷ジョブを、格納の順、換言すれば、受信された順に、順次、印刷する。したがって、ある印刷ジョブが送信された時点で、既に、他の印刷ジョブが通常スプール部46に格納されていた場合、当該印刷ジョブは、先に格納された他の印刷ジョブ全ての印刷処理が終了してからでないと印刷されない。この場合、記述したように、印刷ジョブを送信したタイミングと当該印刷ジョブの印刷処理実行のタイミングとが大きくずれる場合があり視覚障害者にとって不便であった。
【0036】
そこで、本実施形態では、通常のプリンタ構成に加えて、判断部44、補助スプール部48、音声提示部50、選択受付部52、終了提示部58を設けている。以下、これらの各構成について説明する。
【0037】
判断部44は、情報端末12から送信された印刷ジョブについて音声補助設定がされているか否かを判断する。これは、印刷ジョブの所定位置に記述された音声補助設定に関する記述を読み込むことにより判断できる。図4の例であれば、印刷ジョブの先頭部分を読み込み、”@VoiceSupport”の設定値が”ON”または”OFF”のいずれであるか、で判断できる。そして、音声補助設定がされていない印刷ジョブは、通常ジョブとして、通常スプール部46に格納する。この通常スプール部46に格納された通常ジョブの取り扱いは、上述した通りであり、格納された順に順次、印刷処理が実行される。
【0038】
一方、音声補助設定がされていると判断された印刷ジョブは、補助ジョブとして、補助スプール部48に格納される。この補助スプール部48は、補助ジョブを一時的に格納するための記憶装置である。ここに格納された補助ジョブは、後述する選択受付部52で選択が受け付けられるまで、その印刷処理が待機させられる。なお、図5において、補助スプール部48は、通常スプール部46と別個の要素として図示しているが、通常ジョブと補助ジョブとが区別可能であれば、同一記憶装置内で構成されてもよい。
【0039】
音声提示部50は、ユーザからの指示に応じて、補助スプール部48に格納されている補助ジョブのジョブ属性を、音声でユーザに提示する。図6は、音声提示部50および選択受付部52の、より詳細な機能構成を示すブロック図である。音声提示部50は、補助ジョブから音声提示するジョブ属性を抽出するジョブ属性抽出部60、音声提示される補助ジョブのリストである音声補助リスト66、ユーザからの指示に応じて補助ジョブのジョブ属性を音声で出力する音声出力部62、および、ユーザからの指示を受け付ける提示ボタン64を備えている。
【0040】
ジョブ属性抽出部60は、補助スプール部48に格納されている補助ジョブから音声提示すべきジョブ属性を抽出する。この抽出は、補助ジョブが補助スプール部48に格納されたタイミングで行われる。すなわち、新たに補助ジョブが補助スプール部48に格納された場合、その旨がジョブ属性抽出部60に通知される。ジョブ属性抽出部60は、新たに格納された補助ジョブを読み込み、音声提示すべきジョブ属性を抽出する。抽出されたジョブ属性は、当該補助ジョブの識別番号と関連付けられて音声補助リスト66に記録される。
【0041】
音声補助リスト66は、図示しない記憶装置内に記憶されているリストファイルであり、補助スプール部48に格納されている全ての補助ジョブをリスト化したファイルである。図7は音声補助リスト66の一例を示す図である。音声補助リスト66には、補助スプール部48に格納されている補助ジョブについての情報が、その格納の順に記録されている。したがって、新たに補助スプール部48に格納された補助ジョブの情報は、音声補助リストの末尾に追加される。補助ジョブの情報としては、当該補助ジョブの識別番号68と、当該補助ジョブについて音声提示されるジョブ属性70の内容が含まれる。ジョブ属性の内容は、音声提示の順に、音声提示されるジョブ属性名と設定値とを関連づけて記載することにより記録されている。
【0042】
例えば、図4の例であれば、識別番号1001、2953、5222の補助ジョブがこの順番で補助スプール部48に格納されたことになる。また、識別番号1001の補助ジョブは、”@UserName”、”@PaperSize”、”@PageNum”、”@DocName”、”@OutputTime”の順で音声提示される。ただし、実際に音声出力されるのは、これらの設定値である”Taro−fuji”、”A4”、”10”、”挨拶状”、”04.4.21−10:10:15”である。
【0043】
音声出力部62は、ユーザからの指示を受けて、補助ジョブのジョブ属性を音声提示する。具体的には、プリンタ14の操作パネル(図示せず)に設けられた提示ボタン64が押下された場合、音声補助リスト66を読み込み、当該リストに記憶されているジョブ属性を音声データに変換し、音声出力する。この音声出力は、提示ボタン64が一回押下される度に、一つの音声補助ジョブのジョブ属性を順次出力する。例えば、図7の例では、最初に提示ボタン64が押下された際に、識別番号1001の補助ジョブのジョブ属性として”Taro−fuji”、”A4”などを音声提示する。次に提示ボタン64が押下されれば、今度は、識別番号2953の補助ジョブのジョブ属性として”10” (”@PageNum”の設定値)などを音声提示する。このように、提示ボタン64が押下される度に、順次、一つの補助ジョブについて音声提示する。
【0044】
提示ボタンは、プリンタ14の操作パネルに設けられたボタンで、ユーザが音声提示を所望した場合に押下されるボタンである。この提示ボタンの表面には、そのボタンの内容を示す凹凸、例えば、点字などが設けられており、視覚障害をもつユーザであっても容易に操作できるようになっている。なお、当然ながら、ユーザからの音声提示指示が受け付けられるのであれば、ボタンに限らず、レバーやタッチセンサなど、他の操作子であってもよい。
【0045】
音声提示部50による音声提示は、後述する補助ジョブの選択操作を補助する目的で行われる。したがって、視覚障害を持つユーザが容易に補助ジョブ選択が出来得るのであれば、音声提示部50は上記構成に限定されない。例えば、本実施形態では、一回の提示ボタン押下で一つの補助ジョブについて音声提示を行っているが、当然、一回の提示ボタン押下で全ての補助ジョブについて音声提示してもよい。また、音声提示するジョブ属性を抽出する方法やタイミングも上記説明に限定されない。
【0046】
選択受付部52は、音声提示された印刷ジョブの中から印刷する印刷ジョブの選択をユーザから受け付ける。この選択受付部52は、ユーザからの指示を受け付ける選択ボタン55と、選択された補助ジョブを特定する選択ジョブ特定部53と、を備える。選択ボタン55は、操作パネル上に設けられたボタンであり、その表面には点字などの凹凸が設けられている。この選択ボタン55は、印刷したい補助ジョブについて音声提示された場合に押下される。換言すれば、ユーザは、印刷したい補助ジョブについて音声提示された際に、この選択ボタン55を押下することにより、印刷する補助ジョブを指示できる。
【0047】
選択ジョブ特定部53は、選択ボタン55が押下された場合に、ユーザが選択した補助ジョブを特定する。この特定は、選択ボタン55の押下の通知を受けて、音声出力部62に対して、その直前に音声提示された補助ジョブを問い合わせることによりなされる。音声出力部62は、問い合わせの直前に音声提示した補助ジョブの識別番号を選択ジョブ特定部53に返す。選択ジョブ特定部53は、得られた識別番号を、ユーザが印刷したい印刷ジョブの識別番号として印刷制御部54に渡す。そして、選択された補助ジョブの印刷処理実行が印刷制御部54から印刷部56に指示され、当該補助ジョブの印刷処理が開始される。
【0048】
つまり、この選択受付部52でユーザの選択が受け付けられたタイミング、すなわち、ユーザが選択ボタン55を押下したタイミングが、印刷処理の実行開始のタイミングとなる。換言すれば、ユーザは、所望のタイミングで印刷処理を開始させることができる。つまり、本実施形態によれば、補助ジョブの選択(選択ボタン押下)直後に印刷出力された印刷物が、選択された補助ジョブに係る印刷物であるため、印刷物の内容を確認しなくても、選択された補助ジョブに係る印刷物か否かを判断できる。したがって、視覚障害を持つユーザであっても、他のユーザに印刷物の内容を問い合わせる必要が無くなる。これにより、視覚障害を持つユーザは、他のユーザに問い合わせることなく、自己が送信した印刷ジョブに係る印刷物を容易に得ることができる。
【0049】
また、従来のように印刷ジョブ送信の順で順次、印刷実行された場合、自己の印刷ジョブの印刷実行の前に排紙トレイを空にしておくことが困難であった。自己の印刷ジョブの印刷実行の前に、排紙トレイを空にしておかなければ、自己の印刷物と他の印刷物とが混ざってしまうという問題があった。視覚障害を持つユーザの場合、複数の印刷物が混ざった中から自己の印刷物のみを取り出すことは困難であった。しかし、本実施形態によれば、所望のタイミングで印刷実行を指示できるため、容易に印刷実行の前に排紙トレイを空にでき、印刷物の混合を防止できる。
【0050】
なお、本実施形態では提示ボタン64と選択ボタン55とを別個に設けているが、同一のボタンとしてもよい。その場合、音声提示指示と補助ジョブの選択指示とを区別して受け付けるために、音声提示指示操作と選択指示操作とは異なるものとする。例えば、ボタンが短く押された場合は音声提示指示として受け付け、ボタンが長押しされた場合は選択指示として受け付ける。あるいは、最初にボタンが押下されれば、順次、補助ジョブのジョブ属性を音声提示し、次にボタンが押下されれば補助ジョブの選択として受け付けるようにしてもよい。そして、2回目のボタン押下の際に音声提示されている補助ジョブを選択された補助ジョブとして特定する。
【0051】
また、補助スプール部48に記憶されている補助ジョブが所定条件を満たす場合には、選択指示を省略してもよい。そして、音声提示後、自動的に、補助スプール部48に記憶されている全ての補助ジョブについての印刷指示を印刷制御部に出力するようにしてもよい。所定条件としては、例えば、補助スプール部48に記憶されている補助ジョブが一つのみ、あるいは、全て同一のユーザに係る補助ジョブである場合、全て同一のグループに係る補助ジョブである場合などが挙げられる。
【0052】
印刷制御部54は、印刷部56における印刷処理の実行を制御する。具体的には、印刷する印刷ジョブの順番を管理するとともに、印刷処理が正常終了した印刷ジョブに関するデータをスプール部46,48や音声補助リスト66から削除する。印刷の順番は、基本的には、情報端末12から印刷ジョブが送信された順番である。ただし、音声補助設定がされた補助ジョブについては、送信された順番に関わらず、選択受付部52の選択ジョブ特定部53から識別番号が送信されれば(換言すれば、ユーザにより選択ボタンが押下されれば)、他の通常ジョブに優先して印刷される。他の通常ジョブは、補助ジョブの印刷が終了するまで待機状態となる。もちろん、補助ジョブであっても、選択ジョブ特定部53からの識別番号送信時に、既に、印刷処理実行中の印刷ジョブがある場合は、当該印刷処理が終了するまで、その印刷処理は待機させられる。その場合、印刷制御部54は、他の印刷ジョブが印刷処理実行中である旨を音声でユーザに提示する。そして、その印刷ジョブの印刷処理が終了すれば、補助ジョブの印刷実行を、他の印刷待機中の通常ジョブより優先して行う。
【0053】
補助ジョブに関する印刷処理が終了すれば、印刷制御部54は、終了提示部58にその旨を通知する。終了提示部58は、印刷処理が終了した旨を音声でユーザに提示する。さらに、印刷処理が正常に終了すれば、印刷制御部54は、補助スプール部48から当該補助ジョブを削除する。また、音声補助リストのうち、当該補助ジョブに対応する部分を削除する。
【0054】
なお、この印刷制御部54での印刷順序の制御方法は一例であり、他の制御方法をとってもよい。例えば、本実施形態では、補助ジョブの印刷処理を優先しているが、補助ジョブも送信された順に印刷処理するようにしてもよい。その場合、補助ジョブの印刷処理実行までに印刷される他の印刷ジョブの数やページ数など当該補助ジョブの印刷開始までの時間を予測でき得る情報を音声でユーザに提示するようにしてもよい。また、本実施形態では、選択ジョブ特定部53からの識別番号送信時(補助ジョブの選択時)に他の印刷ジョブの印刷処理が実行中の場合は、この他の印刷処理終了後に、補助ジョブの印刷処理を自動的に実行している。しかし、補助ジョブ選択時に他の印刷処理が実行中の場合は、ユーザが、再度、当該補助ジョブを選択するまで、当該補助ジョブの印刷処理を待機させるようにしてもよい。
【0055】
終了提示部58は、印刷処理が終了したことを音声でユーザに提示する。印刷処理が正常終了の場合は、正常終了した旨と、当該印刷処理に係る補助ジョブのジョブ属性と、を音声で提示する。この音声提示の際、音声提示すべきジョブ属性は、終了提示部58自身で抽出するようにしてもよいし、音声提示部50で抽出されたジョブ属性のデータを流用してもよい。一方、印刷処理が異常終了の場合は、異常終了である旨と当該処理に係る補助ジョブのジョブ属性の他に、異常終了の原因なども音声でユーザに提示する。この終了提示部58による終了提示により、ユーザは、印刷の終了を視覚によらず知ることができる。その際、印刷処理に係る補助ジョブのジョブ属性も音声で提示されるため、どの印刷ジョブが終了したかも知ることができる。
【0056】
次に、このプリンタでの印刷ジョブの処理の流れについて図8を用いて説明する。図8は、プリンタでの印刷ジョブの処理全体の流れを示すフローチャートである。
【0057】
まず、情報端末12から送信された印刷ジョブは、受信部42により受信される(S10)。受信された印刷ジョブは、判断部44に送られ、音声補助設定の有無が判断される(S12)。これは、印刷ジョブを読み込むことにより判断できる。音声補助設定がされていないと判断された印刷ジョブは、通常スプール部46に格納され(S14)、その格納の順に順次、印刷される(S16)。一方、音声補助設定がされていると判断された印刷ジョブは、補助ジョブとして補助スプール部48に格納される(S18)。音声提示部50のジョブ属性抽出部60は、新たに格納された補助ジョブのジョブ属性を抽出する(S20)。抽出されたジョブ属性は、音声補助リスト66に追加される。その後、ユーザから指示に応じて補助ジョブのジョブ属性を音声提示するとともに印刷する補助ジョブの選択を受け付ける(S22)。選択を受け付ければ、当該選択に係る補助ジョブについて印刷処理を実行する(S24)。
【0058】
次に、各処理についてより詳細に説明する。図9は、ジョブ属性抽出処理のより詳細な流れを示すフローチャートである。補助スプール部48に新たに補助ジョブが格納された場合、ジョブ属性抽出部60は、補助スプール部48にアクセスして、当該補助ジョブの読み込みを行う(S26)。この読み込みは、印刷ジョブの所定位置、具体的には、先頭部分に記載された音声補助に関する設定内容部分を読み込む(図3参照)。また、同時に、音声提示の順番を示す変数Nの値に0を設定し、初期化しておく(S28)。
【0059】
そして、音声提示するジョブ属性の属性名および設定値を、音声提示の順に抽出していく。具体的には、まず、N(N=0〜6)番目に音声提示されるジョブ属性名を特定する(S30)。これは、”@OptPriority[N]”(N=0〜6)とイコールで結ばれたジョブ属性名を抽出することにより特定できる(図3参照)。ジョブ属性名が設定されていない場合、すなわち、ジョブ属性名として”NULL”が記載されている場合は、N番目のジョブ属性名はないものと判断する。例えば、図3に図示の印刷ジョブの場合、0番目に音声提示されるジョブ属性名は、”@UserName”として特定できる。
【0060】
次に、特定されたジョブ属性名の設定値を抽出する(S32)。各ジョブ属性名の設定値も印刷ジョブ内に記載されているため、当該ジョブ属性名とイコールで結ばれた設定値を検索する。例えば、図3に図示の印刷ジョブの場合、N=0のジョブ属性名は”@UserName”であるため、その設定値としては、”Taro−fuji”が抽出される。
【0061】
設定値が抽出できれば、当該設定値をN番目のジョブ属性としてメモリに記憶する(S34)。そして、変数Nをインクリメント(S36)したうえで、再度、同じ処理を繰り返す。この処理をN<7まで繰り返すことにより、6つのジョブ属性の設定値が得られる。
【0062】
N<7となれば、これまでメモリに格納したジョブ属性を、音声補助リスト66に追加する(S40)。具体的には、当該補助ジョブの識別番号とジョブ属性とを関連付けて、音声補助リストの末尾に追記する。これにより、ジョブ属性抽出の処理が終了となる。
【0063】
次に、音声提示および選択受付の処理(S22)のより詳細な流れについて図10を用いて説明する。図10は、音声提示および選択受付の処理のより詳細な流れを示すフローチャートである。
【0064】
ユーザにより提示ボタン64が押下された場合、その旨が音声出力部62に通知される(S42)。音声出力部62は、提示ボタン64の押下を受けて、音声補助リスト66の読み込みを開始する(S44)。また、音声提示した補助ジョブの数を示す変数Mの値に0を設定し、初期化する(S46)。
【0065】
次に、音声補助リストに、M番目の補助ジョブについてのデータが記録されているかを判断する(S48)。記録されていないと判断した場合は、次に、M=0か否かを判断する(S50)。M番目の補助ジョブのデータが無く、かつ、M=0の場合、補助スプール部48に格納されている補助ジョブが全く無いということになる。その場合は、格納されている補助ジョブがないことを音声で提示した上で、処理を終了する(S52)。一方、M番目の補助ジョブのデータが無く、かつ、Mが0でない場合は、補助スプール部48に格納されている補助ジョブがあるものの、格納されている全ての補助ジョブについて音声提示が終了したことになるので、再度、変数Mの値を初期化して、音声提示の処理を繰り返す。
【0066】
一方、M番目の補助ジョブのデータがあった場合、音声出力部62は、音声補助リスト66を読み込み、M番目の補助ジョブのジョブ属性を抽出する(S54)。そして、抽出されたジョブ属性を音声データに変換し、音声出力する(S56、S58)。音声出力が終了すれば、変数Mの値をインクリメントする(S60)。
【0067】
音声出力終了後、所定時間内に、選択ボタン55が押下された場合、M−1番目の補助ジョブ、すなわち、直前に音声提示された補助ジョブの印刷を印刷制御部54に出力する(S64)。すなわち、選択受付部52が、直前に音声提示した補助ジョブを音声出力部62に問い合わせて、選択された補助ジョブを特定し、当該補助ジョブの識別番号を印刷制御部54に出力する。
【0068】
また、音声出力終了後、所定時間内に、再度、提示ボタン64が押下された場合は、再び、ステップS48に戻り、音声提示の処理(S48〜S62)を繰り返す。所定時間の間に提示ボタン64、選択ボタン55のいずれも押下されなかった場合は、処理を終了する。
【0069】
このように、格納されている補助ジョブのジョブ属性を音声で提示することにより、視覚障害を持つユーザであっても容易に、印刷する補助ジョブを選択できる。これにより、視覚障害を持つユーザであっても、所望のタイミングで印刷処理の実行を指示できる。
【0070】
次に、補助ジョブの印刷処理(S24)の流れについて図11を用いてより詳細に説明する。図11は、補助ジョブの印刷処理のより詳細な流れを示すフローチャートである。
【0071】
選択受付部52から補助ジョブの印刷指示を受けた印刷制御部54は、まず、現在実行中の印刷処理の有無を判断する(S72)。実行中の印刷処理が無い場合は、そのまま、指示された補助ジョブの印刷処理を続行する。一方、実行中の印刷処理がある場合は、その旨を音声でユーザに提示する(S74)。このメッセージ内容には、印刷処理実行中である旨だけに限らず、例えば、残りの印刷枚数や、補助ジョブ印刷開始までの予想待機時間など、も通知するようにしてもよい。そして、他の印刷処理が終了するまで待機した後、補助ジョブの印刷処理へと進む(S76)。
【0072】
補助ジョブについて印刷開始が可能となれば、印刷開始を音声で提示する(S78)。このとき、印刷開始の旨だけでなく、当該補助ジョブのジョブ属性も提示することが望ましい。ジョブ属性も提示することにより、ユーザは、これから印刷される補助ジョブの内容をより明確に知ることができる。換言すれば、自己が望む印刷ジョブが印刷開始となったか否かを視覚によらず判断できる。また、ユーザは、この印刷開始について音声提示された時点で排紙トレイの状態を確認し、排紙トレイ上に他の印刷物がある場合はこれを取り除くことができる。これにより、他の印刷物と自己の印刷物との混合を防止できる。
【0073】
印刷開始を音声で提示した後、印刷処理を実行する(S80)。そして、正常に印刷が終了すれば、印刷制御部54は、その旨を終了提示部58に通知する。終了提示部58は、正常終了した旨と、補助ジョブのジョブ属性と、を音声で提示する(S86)。終了提示することにより、ユーザは、自分の印刷物の終了タイミングを確実に知ることができる。また、ジョブ属性まで提示することにより、どの印刷ジョブが出力されたのかを確認できる。これにより、視覚障害を持つユーザであっても、容易に自己が送信した印刷ジョブの出力物を得ることができる。終了提示がされれば、印刷制御部54は、当該印刷に係る補助ジョブに関連するデータを削除する(S88)。具体的には、補助スプール部48に格納されている当該補助ジョブ、音声補助リスト66のうち当該補助ジョブに対応する部分を削除する。
【0074】
一方、印刷が異常終了の場合、例えば、紙詰まりなどが生じた場合、終了提示部58は、正常終了した旨および補助ジョブのジョブ属性の他に、異常終了の原因などを音声で提示する。補助ジョブの印刷処理自体は、終了、または、原因解消まで中断させる。
【0075】
以上の説明から明らかなように、本実施形態によれば、音声補助設定がされた印刷ジョブについては、ユーザからの指示があるまで、その印刷処理が待機させられる。換言すれば、ユーザは、補助ジョブを所望のタイミングで印刷できる。したがって、その印刷指示(選択ボタン押下)直後に出力された印刷物は、自己の印刷ジョブに係るものであると判断できる。これにより、視覚障害を持つユーザであっても、容易に、自己が送信した印刷ジョブに係る印刷物を容易に取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の実施形態であるプリンタシステムの全体構成を示す図である。
【図2】情報端末の機能構成を示すブロック図である。
【図3】印刷設定画面の一例を示す図である。
【図4】印刷ジョブの一例を示す図である。
【図5】プリンタの機能構成を示すブロック図である。
【図6】音声提示部および選択受付部のより詳細な機能構成を示すブロック図である。
【図7】音声補助リストの一例を示す図である。
【図8】印刷ジョブの処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】ジョブ属性抽出の流れを示すフローチャートである。
【図10】音声提示及び選択受付の処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】印刷処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0077】
10 プリンタシステム、12 情報端末、14 プリンタ、20 プリンタドライバ、24 印刷設定画面、42 受信部、44 判断部、46 通常スプール部、48 補助スプール部、50 音声提示部、52 選択受付部、53 選択ジョブ特定部、54 印刷制御部、55 選択ボタン、56 印刷部、58 終了提示部、60 ジョブ属性抽出部、62 音声出力部、64 提示ボタン、66 音声補助リスト。
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報端末から送信された印刷ジョブに従って印刷処理を実行する画像印刷装置、画像印刷方法、および、情報端末上で取り扱われたデータを印刷するための印刷ジョブをコンピュータに作成させる印刷ジョブ作成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、視覚障害を持つユーザも容易に使用できる画像印刷装置が多数提案されている。例えば、下記特許文献1には、印刷状況を音声で通知する印刷装置が開示されている。印刷状況としては、印刷終了や、エラー発生などが含まれる。このように印刷状況を音声で通知することにより、視覚障害者でも容易に画像印刷装置を使用できる。
【0003】
ここで、通常、画像印刷装置は、複数の印刷ジョブが送信された場合、その送信の順に、順次、印刷処理を実行する。したがって、ユーザが情報端末から印刷ジョブを送信しても、即座に印刷処理が実行されるとは限らない。そこで、通常、ユーザは、印刷出力された印刷物(用紙)を見て、当該印刷物が自分の送信した印刷ジョブに係るものか否かを判断する。
【0004】
【特許文献1】特開2002−234236号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、視覚障害をもつユーザの場合、印刷出力された印刷物の内容を視覚的に確認することができず、印刷物が自分の送信した印刷ジョブにかかるものか否かを判断できない。そのため、視覚障害者は、印刷物の内容を視覚障害の無い他のユーザに問い合わせる必要があった。このような問い合わせ作業は、視覚障害者にとって手間であり、画像印刷装置の使用を困難なものにしていた。
【0006】
特許文献1の印刷装置では、印刷終了を通知する音声として、印刷ジョブを送信した個人を特定できる音声を用いることにより、上記問題を軽減している。すなわち、個人を特定できる音声で印刷終了が通知されることにより、視覚障害を持つユーザであっても、自己が送信した印刷ジョブの印刷終了を認識でき、上記問題を軽減できる。しかしながら、特許文献1の印刷装置では、ユーザは、印刷終了を示す音声が通知されるまで印刷装置近傍で待機しておく必要があり、視覚障害を持つユーザにとっての利便性が乏しかった。
【0007】
そこで、本発明は、視覚障害者も容易に印刷でき得る画像印刷装置、画像印刷方法、および、印刷ジョブ作成プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像印刷装置は、情報端末から送信された印刷ジョブに従って印刷を実行する画像印刷装置であって、情報端末から送信された印刷ジョブについて音声による操作補助が設定されているか否かを、当該印刷ジョブの所定位置に記載された設定情報を読み込むことにより判断する判断手段と、音声による操作補助が設定されていると判断した印刷ジョブを音声補助印刷ジョブとして一時的に一時記憶手段に記憶して、当該印刷ジョブの実行を待機させる一時待機手段と、ユーザからの指示を受けて、一時記憶手段に記憶されている音声補助印刷ジョブに係るジョブ属性を音声でユーザに提示する音声提示手段と、音声で提示された音声補助印刷ジョブの中から印刷処理を実行する印刷ジョブの選択をユーザから受け付ける選択受付手段と、選択された音声補助印刷ジョブの印刷処理を実行する印刷手段と、を有することを特徴とする。
【0009】
好適な態様では、音声提示手段は、音声提示の指示を受け付ける音声提示操作子を備え、当該音声提示操作子に対して操作がなされる度に一時記憶手段に記憶されている音声補助印刷ジョブの属性を一つずつ音声で提示し、選択受付手段は、選択する印刷ジョブが音声提示された際にユーザにより操作される選択操作子を備え、当該選択操作子が操作された際に音声提示された音声補助印刷ジョブを選択された印刷ジョブとして受け付ける。
【0010】
他の好適な態様では、さらに、音声補助印刷ジョブの印刷が終了した際に、当該音声補助印刷ジョブに係るジョブ属性を音声で提示することにより、当該印刷の終了をユーザに提示する終了提示手段を備える。
【0011】
他の好適な態様では、音声補助印刷ジョブの印刷処理は、音声による操作補助が設定されていない通常印刷ジョブの印刷処理より優先して実行される。他の好適な態様では、他の印刷ジョブの印刷処理実行中に音声補助印刷ジョブの印刷処理が指示された場合、他の印刷ジョブの印刷処理実行中である旨を音声で提示して、音声補助印刷ジョブを待機させる。
【0012】
他の好適な態様では、音声提示手段により提示される属性は、印刷ジョブ作成時刻、ユーザ名、文書名、用紙サイズ、ページ枚数、排出先、カラーモードのいずれかを含む。他の好適な態様では、音声提示手段により提示される属性は、印刷ジョブ作成時刻、ユーザ名、文書名、用紙サイズ、ページ枚数、排出先、カラーモードの中から選択可能である。他の好適な態様では、音声提示手段により提示される属性が複数種類ある場合、その提示の順番が選択可能である。他の好適な態様では、選択受付手段は、一時記憶手段に記憶されている音声補助印刷ジョブが所定の条件を満たす場合に、音声提示手段による音声提示の後に、一時記憶手段に記憶されている全ての音声補助印刷ジョブを印刷処理を実行する印刷ジョブとして受け付ける。
【0013】
他の本発明である印刷ジョブ作成プログラムは、情報端末で作成または閲覧されたデータを当該情報端末に接続された画像印刷装置で印刷するために、当該データを当該画像印刷装置で取り扱い可能な言語に変換したデータと当該データの印刷の際に必要な設定情報である印刷設定データとを含む印刷ジョブを、コンピュータに作成させる印刷ジョブ作成プログラムであって、印刷ジョブに対して、音声による操作補助を設定するか否かの選択をユーザから受け付ける受付手段と、ユーザの選択に応じて、印刷ジョブの印刷設定データに音声による操作補助の設定の有無を記録する記録手段と、を有する印刷ジョブ作成装置としてコンピュータを機能させ、音声による操作補助の設定がされた印刷ジョブを受信した画像印刷装置が、当該印刷ジョブを音声補助印刷ジョブとして一時的に一時記憶手段に記憶するとともに当該印刷ジョブの実行を待機し、ユーザからの指示を受けて一時記憶手段に記憶されている音声補助印刷ジョブの属性を音声でユーザに提示し、音声で提示された音声補助印刷ジョブの中から印刷処理を実行する印刷ジョブの選択をユーザから受け付けた場合に選択された音声補助印刷ジョブの印刷処理を実行する。
【0014】
他の本発明である画像印刷方法は、情報端末から送信された印刷ジョブに従って印刷を実行する画像印刷方法であって、情報端末から送信された印刷ジョブについて、音声による操作補助が設定されているか否かを判断する判断ステップと、音声による操作補助が設定されていると判断した印刷ジョブを音声補助印刷ジョブとして一時的に画像印刷装置内の一時記憶手段に記憶しておき、当該印刷ジョブの実行を待機する一時待機ステップと、ユーザからの指示を受けて、一時記憶手段に記憶されている音声補助印刷ジョブの属性を音声でユーザに提示する音声提示ステップと、音声で提示された音声補助印刷ジョブの中から印刷処理を実行する印刷ジョブの選択をユーザから受け付ける選択受付ステップと、選択された音声補助印刷ジョブの印刷処理を実行する印刷ステップと、を有することを特徴とする。
【0015】
ここで、画像印刷装置は、情報端末から送信された印刷ジョブに従って印刷を実行できるものであれば、プリンタの他、複写機能やファクシミリ機能も備えたデジタル複合機なども含む。また、印刷ジョブ作成プログラムは、オペレーティングシステムの機能の一部を利用して、コンピュータに印刷ジョブを作成させるものであってもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、音声による操作補助が設定されている音声補助ジョブについては、ユーザが選択するまでその印刷処理を待機させておくため、ユーザは所望のタイミングで印刷することができる。これにより、視覚障害を持つユーザであっても、自己が送信した印刷ジョブに係る印刷物を容易に得ることができる。つまり、本発明によれば、視覚障害者であっても容易に印刷でき得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。はじめに、本発明の基本的な実施形態であるプリンタシステム10について説明する。図1は、プリンタシステム10の概略構成図である。
【0018】
このプリンタシステム10では、プリンタ14に複数の情報端末12が接続されている。情報端末12は、ユーザからの操作を受けて閲覧または作成したデータを印刷するためのデータ、すなわち印刷ジョブを作成する。作成された印刷ジョブは、プリンタ14に送信される。プリンタ14は、送信された印刷ジョブにしたがって印刷処理を実行する。
【0019】
通常、プリンタ14に送信された印刷ジョブは、送信された順に順次、印刷される。したがって、ある印刷ジョブがプリンタ14に送信された際に、他の印刷ジョブが既にプリンタ14にある場合、他の印刷ジョブ全ての印刷処理が終了してからでないと当該印刷ジョブは実行されない。つまり、印刷ジョブを送信したタイミングと、実際にその印刷ジョブが印刷されるタイミングと、が大きくずれる場合がある。そのため、ユーザは、印刷出力された印刷物の内容を見て、その印刷物が自分の送信した印刷ジョブにかかるものか否かを判断する。
【0020】
しかしながら、視覚障害を持つユーザの場合、印刷物の内容を視覚的に確認することができない。そのため、視覚障害者は、出力された印刷物の内容を、他のユーザに確認してもらわなければ、自分の印刷物か否かが判断できない。このような他のユーザへの確認は、視覚障害者にとって煩雑であった。
【0021】
そこで、本実施形態では、音声補助設定がされた印刷ジョブを作成できるプリンタドライバ、および、音声補助設定がされている印刷ジョブに対して所定の処理を行うプリンタ14を用いている。以下、これらについて、詳説する。
【0022】
情報端末12は、CPU、記憶装置、表示装置、入力装置、通信ポート等のハードウェアを備えたコンピュータであり、パーソナルコンピュータやPDAなどが該当する。情報端末12には、オペレーティングシステム(以下、「OS」という)をはじめとして、複数のソフトウェアのプログラムが記憶装置に記憶されている。これらソフトウェアは、CPUが記憶装置に記憶されたプログラムを実行することにより動作可能となる。
【0023】
図2は、情報端末12の機能構成を示すブロック図である。情報端末12は、OS18のほかに、ワープロソフトやウェブブラウザなどのアプリケーションソフトウェア16や、プリンタドライバ20などがインストールされている。プリンタドライバ20は、コンピュータに、他のアプリケーションソフトウェア16からの印刷要求を受けて、印刷ジョブを作成させるプログラムである。作成された印刷ジョブは、OS18で提供される機能により、通信部22を介してプリンタ14に送信される。
【0024】
ここで、印刷ジョブとは、情報端末上で取り扱われたデータをプリンタ14で印刷するためのデータである。この印刷ジョブは、印刷するデータをプリンタ14が解釈可能なプリンタ言語に変換した描画データと、印刷の際に必要な設定情報である印刷設定データと、から構成される。印刷設定としては、用紙サイズや、カラーモード、部数などがある。さらに、本実施形態のプリンタドライバ20によれば、印刷設定として音声補助の有無が設定できる。後に詳説するように、プリンタ14は、この音声補助設定がされた印刷ジョブについては、ユーザからの指示があるまで印刷処理を待機させるとともに、ユーザの指示に応じて当該印刷ジョブのジョブ属性を音声で提示する。ジョブ属性とは、印刷ジョブの特性や内容を示す情報であり、例えば、当該印刷ジョブの作成時刻やオーナ名、ファイル名、用紙サイズ、ページ枚数、排出先、カラーモードなどが該当する。この音声提示されるジョブ属性の種類および順番は、ユーザが適宜設定できる。
【0025】
この音声補助に関する設定や、他の印刷条件に関する設定は、プリンタドライバ20を実行するCPUにより表示装置に表示される印刷設定画面または初期設定画面を通じて行われる。印刷設定画面は、他のアプリケーションソフトウェアからの印刷要求を受けた場合に表示される画面で、当該印刷要求に係る印刷の印刷設定内容を設定する画面である。この印刷設定画面で設定された内容は、当該印刷要求に係る印刷ジョブにだけ適用され、他の印刷ジョブには適用されない。一方、初期設定画面は、印刷設定の各設定項目の初期値(デフォルト値)を設定するための画面である。この初期設定画面で設定された内容は、印刷設定画面で修正、変更されない限り、全ての印刷ジョブに適用される。初期設定画面で設定された内容は、記憶装置に記憶され、印刷設定画面を表示する度に参照される。また、印刷設定画面で設定された内容は、メモリに記憶され、印刷ジョブ作成時に参照される。
【0026】
図3に、プリンタドライバ20を実行するCPUにより表示装置に表示される印刷設定画面24の一例を示す。なお、初期設定画面においても、ほぼ同様の画面が表示される。図示例の印刷設定画面24は、複数の画面で構成されており、用紙のサイズや方向などに関する設定をする「用紙」画面や、用紙の排出先や排出方法に関する設定をする「排出」画面などがある。これらの画面は、印刷設定画面24の上側にあるタブ26を選択することにより切り替えることができる。また、各画面には、設定項目名とその設定値が表示される。ユーザは、表示された画面を確認しながら、必要に応じて、入力装置を操作して設定項目の設定値を修正、変更する。ユーザによる修正、変更が無い場合には、予め、初期設定で設定されたデフォルト値がその設定項目の設定値として取り扱われる。
【0027】
音声補助設定に関する設定をする「音声補助」画面では、音声補助の有無と、音声補助する場合に音声提示されるジョブ属性の種類及び順番が設定できる。具体的には、画面上に表示された「音声補助」という文字列の隣に表示された選択肢「する」、「しない」のいずれかを選択することにより、音声補助の有無が設定できる。また、音声提示されるジョブ属性の種類および順番は、画面上に表示されたジョブ属性名の隣にある数値を変更することにより設定できる。この数値は、音声提示される順番を示しており、「0」の場合は音声提示されないことになる。例えば、図3の例では、「印刷時刻」、「ユーザ名」、「文書名」、「用紙サイズ」、「ページ枚数」、「排出先」が、この順番で音声提示され、「0」が選択されている「カラーモード」については音声提示されないこととなる。ここで、「印刷時刻」は印刷ジョブの作成時間を、「ユーザ名」は印刷ジョブのオーナ名、「文書名」は印刷ジョブに係るデータのファイル名を示す。そして、画面右下の「OK」ボタンが選択されれば、印刷設定が終了となる。印刷設定終了時点での設定内容はメモリに記憶されており、プリンタドライバ20を実行するCPUは、この記憶内容を参照して印刷ジョブを作成する。
【0028】
なお、図3の図示例は一例であり、他の形態であってもよい。また、図3の図示例では、音声提示されるジョブ属性の種類や順番が選択可能となっているが、当然、選択不可能であってもよい。また、選択可能なジョブ属性の種類として、印刷時刻、ユーザ名、文書名、用紙サイズ、ページ枚数、排出先、カラーモードを例示しているが、当然、他のジョブ属性を選択できるようにしてもよい。また、図3の例では、順番を示す数値を変更することで、音声提示の種類と順番を選択しているが、当然、他の方法で選択できるようにしてもよい。
【0029】
また、印刷設定を行うユーザが視覚障害を持っている場合は、印刷設定画面または初期設定画面を表示したときにその表示内容を音声で提示してもよい。設定画面についての音声提示機能は、プリンタドライバが有していてもよいし、表示装置に表示された内容を音声で読み上げる市販の音声読上ソフトで提供される機能を利用してもよい。
【0030】
次に、作成される印刷ジョブについて図4を用いて説明する。図4は、プリンタドライバ20により作成される印刷ジョブ30の一例を示す図である。既述したように、印刷ジョブ30には、印刷すべき画像を示す描画データ34と、印刷の際に必要な設定情報である印刷設定データ32と、が含まれる。描画データ34は、印刷するデータ(画像)をプリンタ言語に変換したもので、印刷設定データ32の後に記述される。印刷設定データ32には、上述の音声補助設定に関する設定内容36の他、他の設定内容38、例えば、用紙サイズや排出先などが記述されている。図4の例では、設定内容は、”<設定項目名> = <設定値>”という書式で記述されている。
【0031】
音声補助に関する設定36は、”@VoiceSupport”,”@OptPriority[n]”(n=0〜6)という項目名で示されている。”@VoiceSupport”は、音声補助設定の有無を示しており、その値が”ON”なら音声補助設定がされていることになる。また、”@OptPriority[n]”は音声提示されるジョブ属性の種類を示しており、”n”は音声提示の順番を示している。” @OptPriority[n]”の右側には設定値としてジョブ属性名(ジョブ属性の種類)が記述されている。音声提示されるジョブ属性がない場合は、設定値として”NULL”が記述される。
【0032】
図4の例では、”@VoiceSupport=ON”であるため、当該印刷ジョブ30は音声補助設定がされていることになる。また、音声提示は、”@UserName(ユーザ名)”、”PaperSize(用紙サイズ)”、”PageNum(ページ数)”、”DocName(文書名)”、”OutputTime(印刷時刻)”の順になされることになる。なお、ここで図示した印刷ジョブ30の書式は、一例であり、プリンタにおいて音声補助設定の有無が判断出来得る書式であれば、当然他の書式であってもよい。
【0033】
次に、プリンタ14について図5、図6を用いて説明する。図5はプリンタ14の機能構成を示すブロック図であり、図6は音声提示部50および選択受付部52の詳細なブロック図である。このプリンタ14は、複数の情報端末12からの印刷ジョブを受信でき、受信した印刷ジョブにしたがって印刷処理を実行するネットワークプリンタである。なお、当然ながら、印刷ジョブにしたがっての印刷が可能であれば、複写機能やファクシミリ機能、スキャナ機能などを備えたデジタル複合機などであってもよい。
【0034】
本実施形態のプリンタ14は、通常のプリンタと同様に、情報端末12から送信された印刷ジョブを受信する受信部42、受信した印刷ジョブを一時的に格納する通常スプール部46、各印刷ジョブの印刷処理を実行する印刷部56、および、この印刷部56での処理を制御する印刷制御部54を有する。
【0035】
通常、情報端末12から送信された印刷ジョブは、その受信の順に、通常スプール部46に格納される。印刷部56は、印刷制御部54からの指示に応じて、通常スプール部46に格納された印刷ジョブを、格納の順、換言すれば、受信された順に、順次、印刷する。したがって、ある印刷ジョブが送信された時点で、既に、他の印刷ジョブが通常スプール部46に格納されていた場合、当該印刷ジョブは、先に格納された他の印刷ジョブ全ての印刷処理が終了してからでないと印刷されない。この場合、記述したように、印刷ジョブを送信したタイミングと当該印刷ジョブの印刷処理実行のタイミングとが大きくずれる場合があり視覚障害者にとって不便であった。
【0036】
そこで、本実施形態では、通常のプリンタ構成に加えて、判断部44、補助スプール部48、音声提示部50、選択受付部52、終了提示部58を設けている。以下、これらの各構成について説明する。
【0037】
判断部44は、情報端末12から送信された印刷ジョブについて音声補助設定がされているか否かを判断する。これは、印刷ジョブの所定位置に記述された音声補助設定に関する記述を読み込むことにより判断できる。図4の例であれば、印刷ジョブの先頭部分を読み込み、”@VoiceSupport”の設定値が”ON”または”OFF”のいずれであるか、で判断できる。そして、音声補助設定がされていない印刷ジョブは、通常ジョブとして、通常スプール部46に格納する。この通常スプール部46に格納された通常ジョブの取り扱いは、上述した通りであり、格納された順に順次、印刷処理が実行される。
【0038】
一方、音声補助設定がされていると判断された印刷ジョブは、補助ジョブとして、補助スプール部48に格納される。この補助スプール部48は、補助ジョブを一時的に格納するための記憶装置である。ここに格納された補助ジョブは、後述する選択受付部52で選択が受け付けられるまで、その印刷処理が待機させられる。なお、図5において、補助スプール部48は、通常スプール部46と別個の要素として図示しているが、通常ジョブと補助ジョブとが区別可能であれば、同一記憶装置内で構成されてもよい。
【0039】
音声提示部50は、ユーザからの指示に応じて、補助スプール部48に格納されている補助ジョブのジョブ属性を、音声でユーザに提示する。図6は、音声提示部50および選択受付部52の、より詳細な機能構成を示すブロック図である。音声提示部50は、補助ジョブから音声提示するジョブ属性を抽出するジョブ属性抽出部60、音声提示される補助ジョブのリストである音声補助リスト66、ユーザからの指示に応じて補助ジョブのジョブ属性を音声で出力する音声出力部62、および、ユーザからの指示を受け付ける提示ボタン64を備えている。
【0040】
ジョブ属性抽出部60は、補助スプール部48に格納されている補助ジョブから音声提示すべきジョブ属性を抽出する。この抽出は、補助ジョブが補助スプール部48に格納されたタイミングで行われる。すなわち、新たに補助ジョブが補助スプール部48に格納された場合、その旨がジョブ属性抽出部60に通知される。ジョブ属性抽出部60は、新たに格納された補助ジョブを読み込み、音声提示すべきジョブ属性を抽出する。抽出されたジョブ属性は、当該補助ジョブの識別番号と関連付けられて音声補助リスト66に記録される。
【0041】
音声補助リスト66は、図示しない記憶装置内に記憶されているリストファイルであり、補助スプール部48に格納されている全ての補助ジョブをリスト化したファイルである。図7は音声補助リスト66の一例を示す図である。音声補助リスト66には、補助スプール部48に格納されている補助ジョブについての情報が、その格納の順に記録されている。したがって、新たに補助スプール部48に格納された補助ジョブの情報は、音声補助リストの末尾に追加される。補助ジョブの情報としては、当該補助ジョブの識別番号68と、当該補助ジョブについて音声提示されるジョブ属性70の内容が含まれる。ジョブ属性の内容は、音声提示の順に、音声提示されるジョブ属性名と設定値とを関連づけて記載することにより記録されている。
【0042】
例えば、図4の例であれば、識別番号1001、2953、5222の補助ジョブがこの順番で補助スプール部48に格納されたことになる。また、識別番号1001の補助ジョブは、”@UserName”、”@PaperSize”、”@PageNum”、”@DocName”、”@OutputTime”の順で音声提示される。ただし、実際に音声出力されるのは、これらの設定値である”Taro−fuji”、”A4”、”10”、”挨拶状”、”04.4.21−10:10:15”である。
【0043】
音声出力部62は、ユーザからの指示を受けて、補助ジョブのジョブ属性を音声提示する。具体的には、プリンタ14の操作パネル(図示せず)に設けられた提示ボタン64が押下された場合、音声補助リスト66を読み込み、当該リストに記憶されているジョブ属性を音声データに変換し、音声出力する。この音声出力は、提示ボタン64が一回押下される度に、一つの音声補助ジョブのジョブ属性を順次出力する。例えば、図7の例では、最初に提示ボタン64が押下された際に、識別番号1001の補助ジョブのジョブ属性として”Taro−fuji”、”A4”などを音声提示する。次に提示ボタン64が押下されれば、今度は、識別番号2953の補助ジョブのジョブ属性として”10” (”@PageNum”の設定値)などを音声提示する。このように、提示ボタン64が押下される度に、順次、一つの補助ジョブについて音声提示する。
【0044】
提示ボタンは、プリンタ14の操作パネルに設けられたボタンで、ユーザが音声提示を所望した場合に押下されるボタンである。この提示ボタンの表面には、そのボタンの内容を示す凹凸、例えば、点字などが設けられており、視覚障害をもつユーザであっても容易に操作できるようになっている。なお、当然ながら、ユーザからの音声提示指示が受け付けられるのであれば、ボタンに限らず、レバーやタッチセンサなど、他の操作子であってもよい。
【0045】
音声提示部50による音声提示は、後述する補助ジョブの選択操作を補助する目的で行われる。したがって、視覚障害を持つユーザが容易に補助ジョブ選択が出来得るのであれば、音声提示部50は上記構成に限定されない。例えば、本実施形態では、一回の提示ボタン押下で一つの補助ジョブについて音声提示を行っているが、当然、一回の提示ボタン押下で全ての補助ジョブについて音声提示してもよい。また、音声提示するジョブ属性を抽出する方法やタイミングも上記説明に限定されない。
【0046】
選択受付部52は、音声提示された印刷ジョブの中から印刷する印刷ジョブの選択をユーザから受け付ける。この選択受付部52は、ユーザからの指示を受け付ける選択ボタン55と、選択された補助ジョブを特定する選択ジョブ特定部53と、を備える。選択ボタン55は、操作パネル上に設けられたボタンであり、その表面には点字などの凹凸が設けられている。この選択ボタン55は、印刷したい補助ジョブについて音声提示された場合に押下される。換言すれば、ユーザは、印刷したい補助ジョブについて音声提示された際に、この選択ボタン55を押下することにより、印刷する補助ジョブを指示できる。
【0047】
選択ジョブ特定部53は、選択ボタン55が押下された場合に、ユーザが選択した補助ジョブを特定する。この特定は、選択ボタン55の押下の通知を受けて、音声出力部62に対して、その直前に音声提示された補助ジョブを問い合わせることによりなされる。音声出力部62は、問い合わせの直前に音声提示した補助ジョブの識別番号を選択ジョブ特定部53に返す。選択ジョブ特定部53は、得られた識別番号を、ユーザが印刷したい印刷ジョブの識別番号として印刷制御部54に渡す。そして、選択された補助ジョブの印刷処理実行が印刷制御部54から印刷部56に指示され、当該補助ジョブの印刷処理が開始される。
【0048】
つまり、この選択受付部52でユーザの選択が受け付けられたタイミング、すなわち、ユーザが選択ボタン55を押下したタイミングが、印刷処理の実行開始のタイミングとなる。換言すれば、ユーザは、所望のタイミングで印刷処理を開始させることができる。つまり、本実施形態によれば、補助ジョブの選択(選択ボタン押下)直後に印刷出力された印刷物が、選択された補助ジョブに係る印刷物であるため、印刷物の内容を確認しなくても、選択された補助ジョブに係る印刷物か否かを判断できる。したがって、視覚障害を持つユーザであっても、他のユーザに印刷物の内容を問い合わせる必要が無くなる。これにより、視覚障害を持つユーザは、他のユーザに問い合わせることなく、自己が送信した印刷ジョブに係る印刷物を容易に得ることができる。
【0049】
また、従来のように印刷ジョブ送信の順で順次、印刷実行された場合、自己の印刷ジョブの印刷実行の前に排紙トレイを空にしておくことが困難であった。自己の印刷ジョブの印刷実行の前に、排紙トレイを空にしておかなければ、自己の印刷物と他の印刷物とが混ざってしまうという問題があった。視覚障害を持つユーザの場合、複数の印刷物が混ざった中から自己の印刷物のみを取り出すことは困難であった。しかし、本実施形態によれば、所望のタイミングで印刷実行を指示できるため、容易に印刷実行の前に排紙トレイを空にでき、印刷物の混合を防止できる。
【0050】
なお、本実施形態では提示ボタン64と選択ボタン55とを別個に設けているが、同一のボタンとしてもよい。その場合、音声提示指示と補助ジョブの選択指示とを区別して受け付けるために、音声提示指示操作と選択指示操作とは異なるものとする。例えば、ボタンが短く押された場合は音声提示指示として受け付け、ボタンが長押しされた場合は選択指示として受け付ける。あるいは、最初にボタンが押下されれば、順次、補助ジョブのジョブ属性を音声提示し、次にボタンが押下されれば補助ジョブの選択として受け付けるようにしてもよい。そして、2回目のボタン押下の際に音声提示されている補助ジョブを選択された補助ジョブとして特定する。
【0051】
また、補助スプール部48に記憶されている補助ジョブが所定条件を満たす場合には、選択指示を省略してもよい。そして、音声提示後、自動的に、補助スプール部48に記憶されている全ての補助ジョブについての印刷指示を印刷制御部に出力するようにしてもよい。所定条件としては、例えば、補助スプール部48に記憶されている補助ジョブが一つのみ、あるいは、全て同一のユーザに係る補助ジョブである場合、全て同一のグループに係る補助ジョブである場合などが挙げられる。
【0052】
印刷制御部54は、印刷部56における印刷処理の実行を制御する。具体的には、印刷する印刷ジョブの順番を管理するとともに、印刷処理が正常終了した印刷ジョブに関するデータをスプール部46,48や音声補助リスト66から削除する。印刷の順番は、基本的には、情報端末12から印刷ジョブが送信された順番である。ただし、音声補助設定がされた補助ジョブについては、送信された順番に関わらず、選択受付部52の選択ジョブ特定部53から識別番号が送信されれば(換言すれば、ユーザにより選択ボタンが押下されれば)、他の通常ジョブに優先して印刷される。他の通常ジョブは、補助ジョブの印刷が終了するまで待機状態となる。もちろん、補助ジョブであっても、選択ジョブ特定部53からの識別番号送信時に、既に、印刷処理実行中の印刷ジョブがある場合は、当該印刷処理が終了するまで、その印刷処理は待機させられる。その場合、印刷制御部54は、他の印刷ジョブが印刷処理実行中である旨を音声でユーザに提示する。そして、その印刷ジョブの印刷処理が終了すれば、補助ジョブの印刷実行を、他の印刷待機中の通常ジョブより優先して行う。
【0053】
補助ジョブに関する印刷処理が終了すれば、印刷制御部54は、終了提示部58にその旨を通知する。終了提示部58は、印刷処理が終了した旨を音声でユーザに提示する。さらに、印刷処理が正常に終了すれば、印刷制御部54は、補助スプール部48から当該補助ジョブを削除する。また、音声補助リストのうち、当該補助ジョブに対応する部分を削除する。
【0054】
なお、この印刷制御部54での印刷順序の制御方法は一例であり、他の制御方法をとってもよい。例えば、本実施形態では、補助ジョブの印刷処理を優先しているが、補助ジョブも送信された順に印刷処理するようにしてもよい。その場合、補助ジョブの印刷処理実行までに印刷される他の印刷ジョブの数やページ数など当該補助ジョブの印刷開始までの時間を予測でき得る情報を音声でユーザに提示するようにしてもよい。また、本実施形態では、選択ジョブ特定部53からの識別番号送信時(補助ジョブの選択時)に他の印刷ジョブの印刷処理が実行中の場合は、この他の印刷処理終了後に、補助ジョブの印刷処理を自動的に実行している。しかし、補助ジョブ選択時に他の印刷処理が実行中の場合は、ユーザが、再度、当該補助ジョブを選択するまで、当該補助ジョブの印刷処理を待機させるようにしてもよい。
【0055】
終了提示部58は、印刷処理が終了したことを音声でユーザに提示する。印刷処理が正常終了の場合は、正常終了した旨と、当該印刷処理に係る補助ジョブのジョブ属性と、を音声で提示する。この音声提示の際、音声提示すべきジョブ属性は、終了提示部58自身で抽出するようにしてもよいし、音声提示部50で抽出されたジョブ属性のデータを流用してもよい。一方、印刷処理が異常終了の場合は、異常終了である旨と当該処理に係る補助ジョブのジョブ属性の他に、異常終了の原因なども音声でユーザに提示する。この終了提示部58による終了提示により、ユーザは、印刷の終了を視覚によらず知ることができる。その際、印刷処理に係る補助ジョブのジョブ属性も音声で提示されるため、どの印刷ジョブが終了したかも知ることができる。
【0056】
次に、このプリンタでの印刷ジョブの処理の流れについて図8を用いて説明する。図8は、プリンタでの印刷ジョブの処理全体の流れを示すフローチャートである。
【0057】
まず、情報端末12から送信された印刷ジョブは、受信部42により受信される(S10)。受信された印刷ジョブは、判断部44に送られ、音声補助設定の有無が判断される(S12)。これは、印刷ジョブを読み込むことにより判断できる。音声補助設定がされていないと判断された印刷ジョブは、通常スプール部46に格納され(S14)、その格納の順に順次、印刷される(S16)。一方、音声補助設定がされていると判断された印刷ジョブは、補助ジョブとして補助スプール部48に格納される(S18)。音声提示部50のジョブ属性抽出部60は、新たに格納された補助ジョブのジョブ属性を抽出する(S20)。抽出されたジョブ属性は、音声補助リスト66に追加される。その後、ユーザから指示に応じて補助ジョブのジョブ属性を音声提示するとともに印刷する補助ジョブの選択を受け付ける(S22)。選択を受け付ければ、当該選択に係る補助ジョブについて印刷処理を実行する(S24)。
【0058】
次に、各処理についてより詳細に説明する。図9は、ジョブ属性抽出処理のより詳細な流れを示すフローチャートである。補助スプール部48に新たに補助ジョブが格納された場合、ジョブ属性抽出部60は、補助スプール部48にアクセスして、当該補助ジョブの読み込みを行う(S26)。この読み込みは、印刷ジョブの所定位置、具体的には、先頭部分に記載された音声補助に関する設定内容部分を読み込む(図3参照)。また、同時に、音声提示の順番を示す変数Nの値に0を設定し、初期化しておく(S28)。
【0059】
そして、音声提示するジョブ属性の属性名および設定値を、音声提示の順に抽出していく。具体的には、まず、N(N=0〜6)番目に音声提示されるジョブ属性名を特定する(S30)。これは、”@OptPriority[N]”(N=0〜6)とイコールで結ばれたジョブ属性名を抽出することにより特定できる(図3参照)。ジョブ属性名が設定されていない場合、すなわち、ジョブ属性名として”NULL”が記載されている場合は、N番目のジョブ属性名はないものと判断する。例えば、図3に図示の印刷ジョブの場合、0番目に音声提示されるジョブ属性名は、”@UserName”として特定できる。
【0060】
次に、特定されたジョブ属性名の設定値を抽出する(S32)。各ジョブ属性名の設定値も印刷ジョブ内に記載されているため、当該ジョブ属性名とイコールで結ばれた設定値を検索する。例えば、図3に図示の印刷ジョブの場合、N=0のジョブ属性名は”@UserName”であるため、その設定値としては、”Taro−fuji”が抽出される。
【0061】
設定値が抽出できれば、当該設定値をN番目のジョブ属性としてメモリに記憶する(S34)。そして、変数Nをインクリメント(S36)したうえで、再度、同じ処理を繰り返す。この処理をN<7まで繰り返すことにより、6つのジョブ属性の設定値が得られる。
【0062】
N<7となれば、これまでメモリに格納したジョブ属性を、音声補助リスト66に追加する(S40)。具体的には、当該補助ジョブの識別番号とジョブ属性とを関連付けて、音声補助リストの末尾に追記する。これにより、ジョブ属性抽出の処理が終了となる。
【0063】
次に、音声提示および選択受付の処理(S22)のより詳細な流れについて図10を用いて説明する。図10は、音声提示および選択受付の処理のより詳細な流れを示すフローチャートである。
【0064】
ユーザにより提示ボタン64が押下された場合、その旨が音声出力部62に通知される(S42)。音声出力部62は、提示ボタン64の押下を受けて、音声補助リスト66の読み込みを開始する(S44)。また、音声提示した補助ジョブの数を示す変数Mの値に0を設定し、初期化する(S46)。
【0065】
次に、音声補助リストに、M番目の補助ジョブについてのデータが記録されているかを判断する(S48)。記録されていないと判断した場合は、次に、M=0か否かを判断する(S50)。M番目の補助ジョブのデータが無く、かつ、M=0の場合、補助スプール部48に格納されている補助ジョブが全く無いということになる。その場合は、格納されている補助ジョブがないことを音声で提示した上で、処理を終了する(S52)。一方、M番目の補助ジョブのデータが無く、かつ、Mが0でない場合は、補助スプール部48に格納されている補助ジョブがあるものの、格納されている全ての補助ジョブについて音声提示が終了したことになるので、再度、変数Mの値を初期化して、音声提示の処理を繰り返す。
【0066】
一方、M番目の補助ジョブのデータがあった場合、音声出力部62は、音声補助リスト66を読み込み、M番目の補助ジョブのジョブ属性を抽出する(S54)。そして、抽出されたジョブ属性を音声データに変換し、音声出力する(S56、S58)。音声出力が終了すれば、変数Mの値をインクリメントする(S60)。
【0067】
音声出力終了後、所定時間内に、選択ボタン55が押下された場合、M−1番目の補助ジョブ、すなわち、直前に音声提示された補助ジョブの印刷を印刷制御部54に出力する(S64)。すなわち、選択受付部52が、直前に音声提示した補助ジョブを音声出力部62に問い合わせて、選択された補助ジョブを特定し、当該補助ジョブの識別番号を印刷制御部54に出力する。
【0068】
また、音声出力終了後、所定時間内に、再度、提示ボタン64が押下された場合は、再び、ステップS48に戻り、音声提示の処理(S48〜S62)を繰り返す。所定時間の間に提示ボタン64、選択ボタン55のいずれも押下されなかった場合は、処理を終了する。
【0069】
このように、格納されている補助ジョブのジョブ属性を音声で提示することにより、視覚障害を持つユーザであっても容易に、印刷する補助ジョブを選択できる。これにより、視覚障害を持つユーザであっても、所望のタイミングで印刷処理の実行を指示できる。
【0070】
次に、補助ジョブの印刷処理(S24)の流れについて図11を用いてより詳細に説明する。図11は、補助ジョブの印刷処理のより詳細な流れを示すフローチャートである。
【0071】
選択受付部52から補助ジョブの印刷指示を受けた印刷制御部54は、まず、現在実行中の印刷処理の有無を判断する(S72)。実行中の印刷処理が無い場合は、そのまま、指示された補助ジョブの印刷処理を続行する。一方、実行中の印刷処理がある場合は、その旨を音声でユーザに提示する(S74)。このメッセージ内容には、印刷処理実行中である旨だけに限らず、例えば、残りの印刷枚数や、補助ジョブ印刷開始までの予想待機時間など、も通知するようにしてもよい。そして、他の印刷処理が終了するまで待機した後、補助ジョブの印刷処理へと進む(S76)。
【0072】
補助ジョブについて印刷開始が可能となれば、印刷開始を音声で提示する(S78)。このとき、印刷開始の旨だけでなく、当該補助ジョブのジョブ属性も提示することが望ましい。ジョブ属性も提示することにより、ユーザは、これから印刷される補助ジョブの内容をより明確に知ることができる。換言すれば、自己が望む印刷ジョブが印刷開始となったか否かを視覚によらず判断できる。また、ユーザは、この印刷開始について音声提示された時点で排紙トレイの状態を確認し、排紙トレイ上に他の印刷物がある場合はこれを取り除くことができる。これにより、他の印刷物と自己の印刷物との混合を防止できる。
【0073】
印刷開始を音声で提示した後、印刷処理を実行する(S80)。そして、正常に印刷が終了すれば、印刷制御部54は、その旨を終了提示部58に通知する。終了提示部58は、正常終了した旨と、補助ジョブのジョブ属性と、を音声で提示する(S86)。終了提示することにより、ユーザは、自分の印刷物の終了タイミングを確実に知ることができる。また、ジョブ属性まで提示することにより、どの印刷ジョブが出力されたのかを確認できる。これにより、視覚障害を持つユーザであっても、容易に自己が送信した印刷ジョブの出力物を得ることができる。終了提示がされれば、印刷制御部54は、当該印刷に係る補助ジョブに関連するデータを削除する(S88)。具体的には、補助スプール部48に格納されている当該補助ジョブ、音声補助リスト66のうち当該補助ジョブに対応する部分を削除する。
【0074】
一方、印刷が異常終了の場合、例えば、紙詰まりなどが生じた場合、終了提示部58は、正常終了した旨および補助ジョブのジョブ属性の他に、異常終了の原因などを音声で提示する。補助ジョブの印刷処理自体は、終了、または、原因解消まで中断させる。
【0075】
以上の説明から明らかなように、本実施形態によれば、音声補助設定がされた印刷ジョブについては、ユーザからの指示があるまで、その印刷処理が待機させられる。換言すれば、ユーザは、補助ジョブを所望のタイミングで印刷できる。したがって、その印刷指示(選択ボタン押下)直後に出力された印刷物は、自己の印刷ジョブに係るものであると判断できる。これにより、視覚障害を持つユーザであっても、容易に、自己が送信した印刷ジョブに係る印刷物を容易に取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の実施形態であるプリンタシステムの全体構成を示す図である。
【図2】情報端末の機能構成を示すブロック図である。
【図3】印刷設定画面の一例を示す図である。
【図4】印刷ジョブの一例を示す図である。
【図5】プリンタの機能構成を示すブロック図である。
【図6】音声提示部および選択受付部のより詳細な機能構成を示すブロック図である。
【図7】音声補助リストの一例を示す図である。
【図8】印刷ジョブの処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】ジョブ属性抽出の流れを示すフローチャートである。
【図10】音声提示及び選択受付の処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】印刷処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0077】
10 プリンタシステム、12 情報端末、14 プリンタ、20 プリンタドライバ、24 印刷設定画面、42 受信部、44 判断部、46 通常スプール部、48 補助スプール部、50 音声提示部、52 選択受付部、53 選択ジョブ特定部、54 印刷制御部、55 選択ボタン、56 印刷部、58 終了提示部、60 ジョブ属性抽出部、62 音声出力部、64 提示ボタン、66 音声補助リスト。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報端末から送信された印刷ジョブに従って印刷を実行する画像印刷装置であって、
情報端末から送信された印刷ジョブについて音声による操作補助が設定されているか否かを、当該印刷ジョブの所定位置に記載された設定情報を読み込むことにより判断する判断手段と、
音声による操作補助が設定されていると判断した印刷ジョブを音声補助印刷ジョブとして一時的に一時記憶手段に記憶して、当該印刷ジョブの実行を待機させる一時待機手段と、
ユーザからの指示を受けて、一時記憶手段に記憶されている音声補助印刷ジョブに係るジョブ属性を音声でユーザに提示する音声提示手段と、
音声で提示された音声補助印刷ジョブの中から印刷処理を実行する印刷ジョブの選択をユーザから受け付ける選択受付手段と、
選択された音声補助印刷ジョブの印刷処理を実行する印刷手段と、
を有することを特徴とする画像印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像印刷装置であって、
音声提示手段は、音声提示の指示を受け付ける音声提示操作子を備え、当該音声提示操作子に対して操作がなされる度に一時記憶手段に記憶されている音声補助印刷ジョブの属性を一つずつ音声で提示し、
選択受付手段は、選択する印刷ジョブが音声提示された際にユーザにより操作される選択操作子を備え、当該選択操作子が操作された際に音声提示された音声補助印刷ジョブを選択された印刷ジョブとして受け付けることを特徴とする画像印刷装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像印刷装置であって、さらに、
音声補助印刷ジョブの印刷が終了した際に、当該音声補助印刷ジョブに係るジョブ属性を音声で提示することにより、当該印刷の終了をユーザに提示する終了提示手段を備えることを特徴とする画像印刷装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の画像印刷装置であって、さらに、
音声補助印刷ジョブの印刷処理は、音声による操作補助が設定されていない通常印刷ジョブの印刷処理より優先して実行されることを特徴とする画像印刷装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の画像印刷装置であって、
他の印刷ジョブの印刷処理実行中に音声補助印刷ジョブの印刷処理が指示された場合、他の印刷ジョブの印刷処理実行中である旨を音声で提示して、音声補助印刷ジョブを待機させることを特徴とする画像印刷装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の画像印刷装置であって、
音声提示手段により提示される属性は、印刷ジョブ作成時刻、ユーザ名、文書名、用紙サイズ、ページ枚数、排出先、カラーモードのいずれかを含むことを特徴とする画像印刷装置。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか1項に記載の画像印刷装置であって、
音声提示手段により提示される属性は、印刷ジョブ作成時刻、ユーザ名、文書名、用紙サイズ、ページ枚数、排出先、カラーモードの中から選択可能であることを特徴とする画像印刷装置。
【請求項8】
請求項1から5のいずれか1項に記載の画像印刷装置であって、
音声提示手段により提示される属性が複数種類ある場合、その提示の順番が選択可能であることを特徴とする画像印刷装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の画像印刷装置であって、
選択受付手段は、一時記憶手段に記憶されている音声補助印刷ジョブが所定の条件を満たす場合に、音声提示手段による音声提示の後に、一時記憶手段に記憶されている全ての音声補助印刷ジョブを印刷処理を実行する印刷ジョブとして受け付けることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
情報端末で作成または閲覧されたデータを当該情報端末に接続された画像印刷装置で印刷するために、当該データを当該画像印刷装置で取り扱い可能な言語に変換したデータと当該データの印刷の際に必要な設定情報である印刷設定データとを含む印刷ジョブを、コンピュータに作成させる印刷ジョブ作成プログラムであって、
印刷ジョブに対して、音声による操作補助を設定するか否かの選択をユーザから受け付ける受付手段と、
ユーザの選択に応じて、印刷ジョブの印刷設定データに音声による操作補助の設定の有無を記録する記録手段と、
を有する印刷ジョブ作成装置としてコンピュータを機能させ、
音声による操作補助の設定がされた印刷ジョブを受信した画像印刷装置が、
当該印刷ジョブを音声補助印刷ジョブとして一時的に一時記憶手段に記憶するとともに当該印刷ジョブの実行を待機し、
ユーザからの指示を受けて一時記憶手段に記憶されている音声補助印刷ジョブの属性を音声でユーザに提示し、
音声で提示された音声補助印刷ジョブの中から印刷処理を実行する印刷ジョブの選択をユーザから受け付けた場合に選択された音声補助印刷ジョブの印刷処理を実行することを特徴とする印刷ジョブ作成プログラム。
【請求項11】
情報端末から送信された印刷ジョブに従って印刷を実行する画像印刷方法であって、
情報端末から送信された印刷ジョブについて、音声による操作補助が設定されているか否かを判断する判断ステップと、
音声による操作補助が設定されていると判断した印刷ジョブを音声補助印刷ジョブとして一時的に画像印刷装置内の一時記憶手段に記憶しておき、当該印刷ジョブの実行を待機する一時待機ステップと、
ユーザからの指示を受けて、一時記憶手段に記憶されている音声補助印刷ジョブの属性を音声でユーザに提示する音声提示ステップと、
音声で提示された音声補助印刷ジョブの中から印刷処理を実行する印刷ジョブの選択をユーザから受け付ける選択受付ステップと、
選択された音声補助印刷ジョブの印刷処理を実行する印刷ステップと、
を有することを特徴とする画像印刷方法。
【請求項1】
情報端末から送信された印刷ジョブに従って印刷を実行する画像印刷装置であって、
情報端末から送信された印刷ジョブについて音声による操作補助が設定されているか否かを、当該印刷ジョブの所定位置に記載された設定情報を読み込むことにより判断する判断手段と、
音声による操作補助が設定されていると判断した印刷ジョブを音声補助印刷ジョブとして一時的に一時記憶手段に記憶して、当該印刷ジョブの実行を待機させる一時待機手段と、
ユーザからの指示を受けて、一時記憶手段に記憶されている音声補助印刷ジョブに係るジョブ属性を音声でユーザに提示する音声提示手段と、
音声で提示された音声補助印刷ジョブの中から印刷処理を実行する印刷ジョブの選択をユーザから受け付ける選択受付手段と、
選択された音声補助印刷ジョブの印刷処理を実行する印刷手段と、
を有することを特徴とする画像印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像印刷装置であって、
音声提示手段は、音声提示の指示を受け付ける音声提示操作子を備え、当該音声提示操作子に対して操作がなされる度に一時記憶手段に記憶されている音声補助印刷ジョブの属性を一つずつ音声で提示し、
選択受付手段は、選択する印刷ジョブが音声提示された際にユーザにより操作される選択操作子を備え、当該選択操作子が操作された際に音声提示された音声補助印刷ジョブを選択された印刷ジョブとして受け付けることを特徴とする画像印刷装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像印刷装置であって、さらに、
音声補助印刷ジョブの印刷が終了した際に、当該音声補助印刷ジョブに係るジョブ属性を音声で提示することにより、当該印刷の終了をユーザに提示する終了提示手段を備えることを特徴とする画像印刷装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の画像印刷装置であって、さらに、
音声補助印刷ジョブの印刷処理は、音声による操作補助が設定されていない通常印刷ジョブの印刷処理より優先して実行されることを特徴とする画像印刷装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の画像印刷装置であって、
他の印刷ジョブの印刷処理実行中に音声補助印刷ジョブの印刷処理が指示された場合、他の印刷ジョブの印刷処理実行中である旨を音声で提示して、音声補助印刷ジョブを待機させることを特徴とする画像印刷装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の画像印刷装置であって、
音声提示手段により提示される属性は、印刷ジョブ作成時刻、ユーザ名、文書名、用紙サイズ、ページ枚数、排出先、カラーモードのいずれかを含むことを特徴とする画像印刷装置。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか1項に記載の画像印刷装置であって、
音声提示手段により提示される属性は、印刷ジョブ作成時刻、ユーザ名、文書名、用紙サイズ、ページ枚数、排出先、カラーモードの中から選択可能であることを特徴とする画像印刷装置。
【請求項8】
請求項1から5のいずれか1項に記載の画像印刷装置であって、
音声提示手段により提示される属性が複数種類ある場合、その提示の順番が選択可能であることを特徴とする画像印刷装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の画像印刷装置であって、
選択受付手段は、一時記憶手段に記憶されている音声補助印刷ジョブが所定の条件を満たす場合に、音声提示手段による音声提示の後に、一時記憶手段に記憶されている全ての音声補助印刷ジョブを印刷処理を実行する印刷ジョブとして受け付けることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
情報端末で作成または閲覧されたデータを当該情報端末に接続された画像印刷装置で印刷するために、当該データを当該画像印刷装置で取り扱い可能な言語に変換したデータと当該データの印刷の際に必要な設定情報である印刷設定データとを含む印刷ジョブを、コンピュータに作成させる印刷ジョブ作成プログラムであって、
印刷ジョブに対して、音声による操作補助を設定するか否かの選択をユーザから受け付ける受付手段と、
ユーザの選択に応じて、印刷ジョブの印刷設定データに音声による操作補助の設定の有無を記録する記録手段と、
を有する印刷ジョブ作成装置としてコンピュータを機能させ、
音声による操作補助の設定がされた印刷ジョブを受信した画像印刷装置が、
当該印刷ジョブを音声補助印刷ジョブとして一時的に一時記憶手段に記憶するとともに当該印刷ジョブの実行を待機し、
ユーザからの指示を受けて一時記憶手段に記憶されている音声補助印刷ジョブの属性を音声でユーザに提示し、
音声で提示された音声補助印刷ジョブの中から印刷処理を実行する印刷ジョブの選択をユーザから受け付けた場合に選択された音声補助印刷ジョブの印刷処理を実行することを特徴とする印刷ジョブ作成プログラム。
【請求項11】
情報端末から送信された印刷ジョブに従って印刷を実行する画像印刷方法であって、
情報端末から送信された印刷ジョブについて、音声による操作補助が設定されているか否かを判断する判断ステップと、
音声による操作補助が設定されていると判断した印刷ジョブを音声補助印刷ジョブとして一時的に画像印刷装置内の一時記憶手段に記憶しておき、当該印刷ジョブの実行を待機する一時待機ステップと、
ユーザからの指示を受けて、一時記憶手段に記憶されている音声補助印刷ジョブの属性を音声でユーザに提示する音声提示ステップと、
音声で提示された音声補助印刷ジョブの中から印刷処理を実行する印刷ジョブの選択をユーザから受け付ける選択受付ステップと、
選択された音声補助印刷ジョブの印刷処理を実行する印刷ステップと、
を有することを特徴とする画像印刷方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
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【図4】
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【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−88503(P2006−88503A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−276477(P2004−276477)
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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