説明

画像印刷装置および画像印刷システム

【課題】出力待機状態にある印刷ジョブが存在する状況下で、新たに発生した印刷ジョブを効率よく出力することができる、画像印刷装置および画像印刷システムを提供する。
【解決手段】ジョブ管理部403は、新たに発生した印刷ジョブのジョブ識別情報と同一のジョブ識別情報を有する印刷ジョブがジョブ保持部402に保持されている場合、ジョブ情報取得部401が取得した、新たに発生した印刷ジョブのジョブ入替情報にしたがって、ジョブ保持部402に既に保持されている印刷ジョブを消去して新たに発生した印刷ジョブをジョブ保持部402に保持させる処理、または、ジョブ保持部402に既に保持されている印刷ジョブを消去することなく新たに発生した印刷ジョブをジョブ保持部402に保持させる処理を実行する。画像形成部140は、ジョブ保持部402に保持された印刷ジョブを、ジョブ管理部403が指定する順序で印刷する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像印刷装置および画像印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プリンタや複写機、複合機等の画像印刷装置は、オフィス等において必需品になっている。このような画像印刷装置は、ユーザが直接操作して印刷等を行うほか、LAN(Local Area Network)等のネットワークを通じてパーソナルコンピュータ等の情報処理端末から入力された画像データを用紙上に印刷できるようになっている。
【0003】
この種の画像印刷装置には、例えば、印刷結果が所望の状態でなかったり、印刷部数が不足したりした場合等に、情報処理端末から印刷ジョブを再度送信する必要がないように、印刷ジョブを装置内に保持する機能を有するものがある。また、このような機能を有する画像印刷装置の記憶領域を有効利用する技術も種々提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
また、近年の画像印刷装置では、装置内に印刷ジョブを蓄積する機能を利用したプライベート印刷機能も実現されている。プライベート印刷機能を有する画像印刷装置では、プライベート印刷をしたいユーザは、まず自己の情報処理端末からパスワードとともに印刷ジョブを複合機に送信する。次いで、このユーザは画像印刷装置の設置場所に移動し、画像印刷装置にログインするとともに、先に送信した印刷ジョブの実行を画像印刷装置に指示する。当該指示に応じて画像印刷装置は、当該印刷ジョブに設定されている上記パスワードの入力を要求する。ユーザが当該パスワードを画像印刷装置に入力すると、画像印刷装置がその印刷ジョブを実行する。
【0005】
プライベート印刷では、ユーザが送信した印刷ジョブに、上述のパスワードの他、ユーザを識別するための情報(以下、ユーザ識別情報という。)および印刷ジョブを識別するための情報(以下、ジョブ識別情報という。)が対応づけられている。ユーザ識別情報は、画像印刷装置において当該印刷ジョブを出力しようとしているログインユーザが本人(あるいは印刷を許可されたユーザ)であるか否かを判断するために使用される。例えば、印刷を許可された者を示すユーザID等がユーザ識別情報として使用される。また、ジョブ識別情報は、画像印刷装置においてログインユーザが印刷する印刷ジョブの指定に使用される。プライベート印刷に係る印刷ジョブが画像印刷装置に複数存在している場合、ユーザはこれらの印刷ジョブ中からジョブ識別情報を手掛かりにして印刷すべき印刷ジョブを特定する。例えば、情報処理端末において印刷対象の文書画像データに付与されたファイル名等がジョブ識別情報として使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−311070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
プライベート印刷に係る印刷ジョブは、画像印刷装置においてユーザが印刷指示を入力するまで画像印刷装置中に記憶され続けることになる。画像印刷装置において、記憶領域を無制限に確保することは製造コストの観点から困難である。また、プライベート印刷では、ユーザが画像印刷装置に移動して印刷するため、例えば、送信済の印刷ジョブの印刷設定等に誤りがあり、印刷設定を訂正した印刷ジョブを再度送信した場合、訂正後の印刷ジョブのみを印刷して、先の不要な印刷ジョブの削除を忘れてしまう状況も発生する。
【0008】
この対策として、同一のジョブ識別情報(およびユーザ識別情報)を有する印刷ジョブが複数入力された場合、先に入力された印刷ジョブは不要な印刷ジョブとみなして自動的に削除する機能を備える画像印刷装置がある。
【0009】
しかしながら、この構成では、後の印刷ジョブが入力されたときに先の印刷ジョブが自動的に削除されるため不要な印刷ジョブが記憶領域を占有する状況は発生しないが、ジョブ識別情報のみで判断しているため、不要でない先の印刷ジョブも削除されることになる。このため、両方の印刷ジョブを印刷するためには、先の印刷ジョブの印刷完了後に、後の印刷ジョブを画像印刷装置に送信するという煩雑な作業が必要になる。
【0010】
本発明は、このような従来技術の課題を鑑みてなされたものであって、出力待機状態にある印刷ジョブが存在する状況下において、新たに発生した印刷ジョブを効率よく出力することができる、画像印刷装置および画像印刷システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的を達成するために、本発明は以下の技術的手段を採用している。すなわち、本発明に係る画像印刷装置は、ジョブ情報取得部、ジョブ保持部、ジョブ管理部および画像形成部を備える。
【0012】
ジョブ情報取得部は、印刷ジョブと対応づけられた、ジョブ識別情報およびジョブ入替情報を取得する。ジョブ保持部は、出力待機状態にある印刷ジョブを保持する。ジョブ管理部は、新たに発生した印刷ジョブについてジョブ情報取得手段が取得したジョブ識別情報と同一のジョブ識別情報を有する印刷ジョブがジョブ保持部に保持されている場合、ジョブ情報取得手段が取得した、新たに発生した印刷ジョブのジョブ入替情報にしたがって以下のいずれかの処理を実行する。一方は、ジョブ保持部に既に保持されている印刷ジョブを消去するとともに上記新たに発生した印刷ジョブをジョブ保持部に保持させる処理である。他方は、ジョブ保持部に既に保持されている印刷ジョブを消去することなく上記新たに発生した印刷ジョブをジョブ保持部に保持させる処理である。画像形成部は、ジョブ保持部に保持された印刷ジョブを、ジョブ管理部が指定する順序で印刷する。なお、ジョブ識別情報は印刷ジョブを識別するための情報であり、少なくとも印刷ジョブの相互の関連性を示す情報を含む。例えば、内容が同一の印刷ジョブおよび内容が相互に関連する印刷ジョブに同一のジョブ識別情報を付与する構成であってもよい。また、ジョブ入替情報は、ジョブ保持部に既に保持されている印刷ジョブを消去するか否かを示す情報である。
【0013】
この画像印刷装置では、印刷ジョブにジョブ入替情報が対応づけられており、当該ジョブ入替情報にしたがって、ジョブ保持部に既に保持されている印刷ジョブの消去または非消去が選択される。すなわち、印刷ジョブを画像印刷装置に入力する際に、画像印刷装置に先に蓄積されている印刷ジョブを削除するか否かを極めて簡単にユーザ自身が選択することができる。その結果、不要な印刷ジョブが画像印刷装置の記憶領域を占有することを防止できる。
【0014】
例えば、ジョブ識別情報がファイル名であり、ユーザが自身の情報処理端末から同一のファイルについて印刷する場合、先の印刷ジョブの設定に誤りがあり当該印刷ジョブが不要であるときは、設定を訂正した印刷ジョブを再度画像印刷装置に入力するだけで、先の印刷ジョブの取り消し処理を別途行うことなく先の印刷ジョブが消去される。また、同一ファイルの中で、一部のページのみをカラー印刷して、他をモノクロで印刷する場合には、印刷設定を変更して印刷ジョブを複数回、画像印刷装置に入力することで所望の印刷物を得ることもできる。すなわち、従来技術のような、プライベート印刷の際に、先の印刷ジョブの出力を完了した後に後の印刷ジョブを画像印刷装置に送信するという、煩雑な作業が不要になる。
【0015】
上記ジョブ管理部は、ジョブ保持部に既に保持されている印刷ジョブを消去することなく新たに発生した印刷ジョブをジョブ保持部に保持させる場合、ジョブ保持部に既に保持されている印刷ジョブおよび新たに発生した印刷ジョブを、画像形成部に連続して印刷させる構成を採用することもできる。この構成では、関連する印刷ジョブが連続して実行されるため、関連する印刷物の間に他の印刷物が混じることがなく、まとまった印刷物を得ることができる。なお、この構成では、先に保持されていた印刷ジョブと後で発生した印刷ジョブとが連続して印刷されればよい。例えば、後で発生した印刷ジョブを先に入力されていた印刷ジョブの直前または直後の印刷順としたり、先に入力された印刷ジョブを後で発生した印刷ジョブの直前または直後の印刷順としたりすることができる。
【0016】
また、他の観点では、ジョブ生成装置、印刷ジョブ管理装置および印刷装置を備える画像印刷システムを提供することもできる。ジョブ生成装置は、ジョブ識別情報およびジョブ入替情報を伴う印刷ジョブを生成する。印刷ジョブ管理装置は、上記ジョブ情報取得部、ジョブ保持部およびジョブ管理部を備える。印刷装置は、ジョブ保持部に保持された印刷ジョブを、ジョブ管理部が指定する順序で印刷する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、出力待機状態にある印刷ジョブが存在する状況下において、新たに発生した印刷ジョブを効率よく出力することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態における複合機の全体構成を示す概略構成図
【図2】本発明の一実施形態における複合機の操作パネルを示す模式図
【図3】本発明の一実施形態における複合機のハードウェア構成を示す図
【図4】本発明の一実施形態における複合機を示す機能ブロック図
【図5】本発明の一実施形態における複合機が実施する印刷ジョブ管理手順の一例を示すフロー図
【図6】本発明の一実施形態における情報処理端末が表示する印刷設定画面の一例を示す図
【図7】本発明の一実施形態における複合機が実施する印刷順入替処理の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながらより詳細に説明する。以下では、プライベート印刷機能を有するデジタル複合機として本発明を具体化する。
【0020】
図1は本実施形態におけるデジタル複合機の全体構成の一例を示す概略構成図である。図1に示すように、複合機100は、画像読取部120および画像形成部140を含む本体101と、本体101の上方に取り付けられたプラテンカバー102とを備える。本体101の上面には原稿台103が設けられており、原稿台103はプラテンカバー102によって開閉されるようになっている。また、プラテンカバー102は、原稿搬送装置110を備えている。
【0021】
原稿台103の下方に、画像読取部120が設けられている。画像読取部120は、走査光学系121により原稿の画像を読み取りその画像のデジタルデータを生成する。原稿は、原稿台103や原稿搬送装置110に載置することができる。走査光学系121は、第1キャリッジ122や第2キャリッジ123、集光レンズ124を備える。第1キャリッジ122には線状の光源131およびミラー132が設けられ、第2キャリッジ123にはミラー133および134が設けられている。光源131は原稿を照明する。ミラー132、133、134は、原稿からの反射光を集光レンズ124に導き、集光レンズ124はその光像をラインイメージセンサ125の受光面に結像する。この走査光学系121において、第1キャリッジ122および第2キャリッジ123は、副走査方向135に往復動可能に設けられている。第1キャリッジ122および第2キャリッジ123を副走査方向135に移動することによって、原稿台103に載置された原稿の画像をイメージセンサ125で読み取ることができる。原稿搬送装置110にセットされた原稿の画像を読み取る場合、画像読取部120は、第1キャリッジ122および第2キャリッジ123を画像読取位置に合わせて一時的に固定し、画像読取位置を通過する原稿の画像をイメージセンサ125で読み取る。イメージセンサ125は、受光面に入射した光像から、例えば、R(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の各色に対応する原稿の画像データを生成する。
【0022】
画像形成部140は、画像読取部120で得た画像データや、ネットワーク162に接続された外部装置からネットワークインタフェイス161を介して受信した画像データを用紙に印刷する。図1では、外部装置として情報処理端末170のみを例示している。
【0023】
画像形成部140は、感光体ドラム141を備える。感光体ドラム141は一定速度で一方向に回転する。感光体ドラム141の周囲には、回転方向の上流側から順に、帯電器142、露光器143、現像器144、中間転写ベルト145が配置されている。帯電器142は、感光体ドラム141表面を一様に帯電させる。露光器143は、一様に帯電した感光体ドラム141の表面に、画像データに応じて光を照射し、感光体ドラム141上に静電潜像を形成する。現像器144は、その静電潜像にトナーを付着させ、感光体ドラム141上にトナー像を形成する。中間転写ベルト145は、感光体ドラム141上のトナー像を用紙に転写する。画像データがカラー画像である場合、中間転写ベルト145は、各色のトナー像を同一の用紙に転写する。なお、RGB形式のカラー画像は、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)形式の画像データに変換され、各色の画像データが露光器143に入力される。
【0024】
画像形成部140は、手差しトレイ151、給紙カセット152、153、154等から、中間転写ベルト145と転写ローラ146との間の転写部に用紙を給送する。手差しトレイ151や各給紙カセット152、153、154には、様々なサイズの用紙を載置または収容することができる。画像形成部140は、ユーザの指定した用紙や、自動検知した原稿のサイズに応じた用紙を選択し、選択した用紙を給送ローラ155により手差しトレイ151やカセット152、153、154から引き出す。引き出した用紙は搬送ローラ156やレジストローラ157で転写部に送り込む。トナー像を転写した用紙は、搬送ベルト147により定着器148に搬送される。定着器148は、ヒータを内蔵した定着ローラ158および加圧ローラ159を有しており、熱と押圧力によってトナー像を用紙に定着する。画像形成部140は、定着器148を通過した用紙を排紙トレイ149へ排紙する。
【0025】
図2は複合機が備える操作パネルの外観の一例を示す図である。ユーザは、操作パネル200を用いて、複合機100に複写開始やその他の指示を与えたり、複合機100の状態や設定を確認したりすることができる。操作パネル200には、タッチパネル付きディスプレイ201や操作キー203が配置されている。ディスプレイ201は、操作ボタンやメッセージ等を表示する液晶ディスプレイ等からなる表示面と、当該表示面上の押圧位置を検出するセンサとを備える。押圧位置の検知方法は特に限定されない。抵抗膜方式、静電容量方式、表面弾性波方式、電磁波方式等、任意の方式を採用することができる。ユーザは、自身の指やタッチペン202を使用して、ディスプレイ201を通じて入力を行うことができる。
【0026】
ディスプレイ201は、ボタン表示部204、メッセージ表示部205およびステータス表示部206を有する操作画面を表示する。ボタン表示部204には、複数のタブ208が用意されており、各タブにはそのタブのカテゴリーに応じた操作ボタンが配列されている。「簡単設定」タブは、基本的な設定に使用される操作ボタンを有する。図2の例では、用紙サイズ、複写倍率、濃度、印刷面、ページ集約、後処理を設定するための操作ボタンが配列されている。例えば「濃度」ボタン207を押圧する操作をユーザが行うと、濃度を選択するための「薄い」、「ふつう」、「濃い」等の選択ボタンを有するポップアップ画面がその操作ボタン上に重ねて表示され、ユーザの選択(押圧)によりその濃度が設定される。図2の例では、「簡単設定」タブの他、「原稿/用紙/仕上げ」タブ、「カラー/画質」タブ、「レイアウト/編集」タブ、「応用/その他」タブも設けられている。ユーザは、タブボタン208を選択する操作を行うことによって、これらのタブの表示に切り替えることができる。一つのタブが選択されている間、操作画面上で他のタブやその要素は隠れている。
【0027】
メッセージ表示部205には、複写が可能か否か、複写部数などの設定をユーザに通知するメッセージが表示される。図2では、後述の認証部におけるログイン処理(認証処理)が実施される前の状態を示しており、メッセージ表示部205には当該状態を示す「認証してください」のメッセージが表示されている。
【0028】
ステータス表示部206には、必要に応じて装置ステータス情報が表示される。この表示には、複合機100が備える各種センサの検知結果が反映される。装置ステータス情報とは、装置は動作可能な状態にあるが、異常への対応を促す警告をユーザに通知するメッセージを意味する。例えば、用紙残量が少ない旨、原稿台103が汚れている旨、ファクシミリのメモリ受信が設定されている場合にファックス文書がメモリに格納された旨等が含まれる。また、用紙切れや搬送ジャム等が装置ステータス情報に含まれてもよい。
【0029】
操作キー203は、主電源キー209、テンキー210やスタートキー211、クリアキー212、LogOutキー213等を含む。例えば、主電源キー209は、複合機100の主電源のON、OFFの切り替えに使用される。テンキー210は、複写部数の指定や複写倍率の設定に用いることができる。ユーザがそれらの設定をすると、複合機100は、メッセージ表示部205に、例えば、「コピーできます(設定あり)」のようなメッセージを表示し、ユーザによる設定が行われたことを通知する。スタートキー211は、複写や画像印刷の開始指示に使用される。ユーザは、自身でした設定を解除する場合、クリアキー212を操作する。ユーザによる設定を機械が受け付けているかどうかは上述のメッセージで判断することができるので、その設定が不要になればクリアキー212を操作すればよい。特に限定されないが、本実施形態では、後述の認証部が予め登録された認証条件を満たすまで、操作パネル200に対する入力が禁止される構成になっている。認証部に認証されたユーザが複合機使用後にLogOutキー213を押下する、あるいは、操作パネル200に対する操作および画像読取部120や画像形成部140の動作がない時間が認証後に所定時間継続すると、複合機100はログイン処理が実施される前の状態に戻るように構成されている。
【0030】
図3は、複合機における制御系のハードウェア構成図である。本実施形態の複合機100は、CPU(Central Processing Unit)301、RAM(Random Access Memory)302、ROM(Read Only Memory)303、HDD(Hard Disk Drive)304および原稿搬送装置110、画像読取部120、画像形成部140における各駆動部に対応するドライバ305が内部バス306を介して接続されている。ROM303やHDD304等はプログラムを格納しており、CPU301はその制御プログラムの指令にしたがって複合機100を制御する。例えば、CPU301はRAM302を作業領域として利用し、ドライバ305とデータや命令を授受することにより上記各駆動部の動作を制御する。また、HDD304は、画像読取部120により得られた画像データや、他の機器からネットワークインタフェイス161を通じて受信した画像データの蓄積にも用いられる。
【0031】
内部バス306には、操作パネル200や各種のセンサ307、ICカードリーダ308も接続されている。操作パネル200は、ユーザの操作を受け付け、その操作に基づく信号をCPU301に供給する。また、ディスプレイ201は、CPU301からの制御信号にしたがって上述の操作画面を表示する。また、センサ307は、プラテンカバー102の開閉検知センサや原稿台103上の原稿検知センサ、定着器148の温度センサ、搬送される用紙または原稿の検知センサなど各種のセンサを含む。CPU301は、例えばROM303に格納されたプログラムを実行することで、以下の各手段(機能ブロック)を実現するとともに、これらセンサからの信号に応じて各手段の動作を制御する。ICカードリーダ308は、ユーザが所持するICカードから、ICカードに記憶されているユーザの識別情報を読み取り、当該識別情報に基づいて、認証部が後述のログイン処理を実行する。
【0032】
図4は、本実施形態の複合機の機能ブロック図である。図4に示すように、本実施形態の複合機100はネットワーク162を介して情報処理端末170とデータの授受が可能な状態で接続されている。
【0033】
まず、情報処理端末170について説明する。情報処理端末170はパーソナルコンピュータ等により構成され、ネットワークインタフェイス171を介してネットワーク162と接続されている。また、情報処理端末170は印刷ジョブ生成部172を備える。
【0034】
印刷ジョブ生成部172は、ジョブ識別情報およびジョブ入替情報を伴う印刷ジョブを生成し、生成した印刷ジョブを複合機100へ送信する。印刷ジョブ生成部172は、例えば、情報処理端末170上で動作するプリンタドライバであり、情報処理端末170において実行されるワードプロセッサソフトウェア、表計算ソフトウェア、図形描画ソフトウェア等の種々のアプリケーションにより作成された文書画像データを所定のPDL(Page Description Language)等で記述された印刷ジョブに変換する。なお、情報処理端末170は、複合機100と同様に、CPU、RAM、ROM、およびHDDを備える。CPUは、例えばROMやHDDに格納されたプログラムをRAMを作業領域として実行することで、印刷ジョブ生成部172を実現する。
【0035】
本実施形態では、印刷ジョブ生成部172が生成する印刷ジョブはジョブ識別情報およびジョブ入替情報と対応づけられている。本実施形態では、印刷ジョブがジョブ識別情報およびジョブ入替情報を含むことで対応づけがなされている。なお、対応づけがなされていれば、ジョブ識別情報およびジョブ入替情報は印刷ジョブから独立した情報として生成されてもよい。
【0036】
ジョブ識別情報は印刷ジョブを識別するための情報である。ジョブ識別情報は、少なくとも印刷ジョブの相互の関連性を示す情報を含む。特に限定されないが本実施形態では、上記アプリケーションが作成した文書画像データに付与された名称(ファイル名)をジョブ識別情報として採用している。すなわち、同一のジョブ識別情報を有する印刷ジョブは、同一の文書画像データ(ファイル)に基づいて印刷ジョブ生成部172が作成した印刷ジョブである。したがって、印刷ジョブにより出力される印刷物が完全に同一である場合だけでなく、拡大縮小や集約等の画像処理設定や全頁印刷や一部頁印刷等の印刷範囲設定が異なる場合にも同一のジョブ識別情報が付与される。この構成によれば、元になった文書画像データが同一という関連性を有する印刷ジョブに同一のジョブ識別情報が付与されることになる。
【0037】
ジョブ入替情報は、後述するジョブ保持部402に同一のジョブ識別情報を有する印刷ジョブが既に保持されている場合に、当該既に保持されている印刷ジョブを消去するか否かを示す情報である。後述するように、当該情報は、ユーザが印刷ジョブを生成する際に、指定できるようになっている。
【0038】
続いて、複合機100について説明する。図4に示すように複合機100は、ジョブ情報取得部401、ジョブ保持部402およびジョブ管理部403を備える。なお、複合機100自体も、複写やHDD304に保持されている文書画像データの出力指示を受けた際にジョブ識別情報およびジョブ入替情報が対応づけられた印刷ジョブを生成する。
【0039】
ジョブ情報取得部401は、複合機100において生成された印刷ジョブや、ネットワークインタフェイス161を介して情報処理端末170等の外部装置から入力された印刷ジョブに含まれるジョブ識別情報およびジョブ入替情報を取得する。新たに発生した印刷ジョブ(複合機100において生成された印刷ジョブおよびネットワークインタフェイス161を介して入力された印刷ジョブ)はジョブ保持部402に保持される。すなわち、ジョブ保持部402には、出力待機状態にある印刷ジョブが保持される。
【0040】
ジョブ管理部403は、ジョブ保持部402に保持された印刷ジョブを、自身が決定した印刷順で画像形成部140に印刷させる。また、ジョブ管理部403は、新たに発生した印刷ジョブについてジョブ情報取得手段が取得したジョブ識別情報と同一のジョブ識別情報を有する印刷ジョブがジョブ保持部402に保持されている場合、新たに発生した印刷ジョブのジョブ入替情報にしたがって以下のいずれかの処理を実行する。一方は、ジョブ保持部402に既に保持されている印刷ジョブを消去して当該新たに発生した印刷ジョブをジョブ保持部402に保持させる処理である。他方は、ジョブ保持部402に既に保持されている印刷ジョブを消去することなく新たに発生した印刷ジョブをジョブ保持部402に保持させる処理である。
【0041】
また、本実施形態の複合機100は、図4に示すように、識別情報入力部411および認証部412を備えている。
【0042】
識別情報入力部411は、複合機100への、ユーザを識別するための識別情報の入力に使用される。本実施形態では、識別情報入力部411はICカードリーダ308により構成されている。ICカードリーダ308の読取位置に可搬記憶媒体であるICカードが配置されたときに、ICカードリーダ308がICカードに記憶されているユーザ識別情報を読み取る。なお、ユーザ識別情報は、ユーザを特定することができる情報であればよい。例えば、各ユーザに一義的に割り当てられたユーザIDをユーザ識別情報として用いることができる。また、ICカードに代えて、磁気カードやUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の他の可搬記憶媒体を使用することもできる。この場合、識別情報入力部411は可搬記憶媒体に対応する構成(磁気ガードリーダ、USBインターフェイス等)になる。また、可搬記憶媒体を使用することなく、タッチパネル201に表示されるソフトウェアキーボード、あるいはテンキー210を識別情報入力部411として用いて、ユーザ識別情報を入力する構成であってもよい。この場合、操作パネル200は、少なくともユーザ識別情報の入力を許可するように構成される。
【0043】
認証部412は、識別情報入力部411を通じて入力された識別情報と予め登録された認証条件とを照合する。本実施形態では、認証部412に、複合機100の使用を許可するユーザのユーザIDを記録した使用許可者リストが予め登録されており、識別情報入力部411が取得したユーザIDが使用許可者リストに含まれる場合、認証部412は、認証条件を満足すると判断する。認証部412は、認証条件を満足する場合はログイン処理を実施し、そのユーザによる複合機100の使用(画像読取部120における画像データの生成、画像形成部140における画像データの印刷等)を許可する。また、認証条件を満足しない場合はログイン処理を実施せず、複合機100の使用を禁止する。特に限定されないが、本実施形態では、認証条件を満足するまで、操作パネル200を通じた操作を受け付けない状態にすることで、複合機100の使用を禁止している。
【0044】
図5は、複合機100が実行する印刷ジョブ管理手順の一例を示すフロー図である。当該手順は、例えば、新たな印刷ジョブを認識したこと、すなわち、自機での印刷ジョブの生成あるいは外部装置からの印刷ジョブの入力をトリガとして進行する(ステップS501Yes)。なお、以下では、情報処理端末170から複合機100に、プライベート印刷に係る印刷ジョブが入力され、当該印刷ジョブのジョブ情報をジョブ情報取得部401が取得する事例を用いて説明する。
【0045】
まず、プライベート印刷をしたいユーザは、情報処理端末170において、文書画像データを複合機100においてプライベート印刷する指示を入力する。図6は、情報処理端末170において動作するワードプロセッサソフトウェア上で印刷指示を入力したときに、情報処理端末170が備える表示画面にプリンタドライバ(印刷ジョブ生成部172)が表示する印刷設定画面の一例を示す図である。この例では、印刷設定画面601は、出力先選択欄602、「プリンタ詳細設定」ボタン603、印刷範囲設定欄604、印刷部数設定欄605、印刷単位指定欄606、プライベート印刷指定欄607、印刷データ上書き指定欄608、「印刷実行」ボタン609、「キャンセル」ボタン610を備える。
【0046】
出力先選択欄602は、ユーザが出力先(印刷に使用するデバイス)を指定するために使用する。この例では、出力先選択欄602は、リストボックスで構成されており、右端の下三角印を選択したときに、その時点で選択可能なデバイスがリスト表示されるようになっている。ここでは、複合機100が出力先に指定されているとする。
【0047】
「プリンタ詳細設定」ボタン603は、出力先選択欄602で選択したデバイスについてより詳細な設定をする場合に選択する。より詳細な設定とは、例えば、印刷レイアウト、印刷濃度、使用用紙、拡大/縮小、集約設定等である。当該設定は、印刷ジョブに反映される。
【0048】
印刷範囲設定欄604は、印刷範囲の指定に使用される。この例では、印刷範囲設定欄604は、「すべて」、「現在の表示ページ」、「ページ指定」の中から1つを選択するラジオボタンで構成されている。ページ指定を選択した場合、ユーザはその右側に配置されたテキストボックスにページを入力することにより印刷ページを指定する。
【0049】
印刷部数設定欄605は、印刷部数の指定に使用される。また、印刷単位指定欄606はチェックボックスにより構成されており、チェックボックスがチェック状態である場合、印刷部数設定欄605に複数部が指定されているときに印刷物が部単位で印刷される。
【0050】
プライベート印刷指定欄607は、プライベート印刷とするか否かの指定に使用される。プライベート印刷指定欄607はチェックボックスで構成されており、チェックボックスがチェック状態である場合、ユーザはその右側に配置されたテキストボックスにパスワードを設定する。ここでは、プライベート印刷指定欄607はチェック状態であり、ユーザが指定したパスワードが設定されているとする。
【0051】
印刷データ上書き指定欄608は、先に送信した印刷ジョブの印刷が指定出力先で開始されていない、出力待機状態にある場合、同一の指定出力先に同一のファイルについての印刷ジョブを送信したときに、先の印刷ジョブを消去するか否かの指定に使用される。この例では、印刷データ上書き指定欄608はチェックボックスで構成されており、チェックボックスがチェック状態(以下、上書きモードという。)であると、先の印刷ジョブが消去される。チェックボックスが非チェック状態(以下、追加モードという。)であると、先の印刷ジョブは消去されない。この印刷データ上書き指定欄608の状態がジョブ入替情報に反映される。特に限定されないが、本実施形態では、印刷データ上書き指定欄608は、チェック状態がデフォルト設定になっている。
【0052】
「印刷実行」ボタン609は設定が完了し印刷を実行するために使用される。「キャンセル」ボタン610は設定を中止して手順を終了するために使用される。
【0053】
ユーザが「印刷実行」ボタン609を選択すると、印刷ジョブ生成部172が、印刷範囲設定欄604で指定された印刷範囲について印刷ジョブを生成する。このとき、印刷ジョブ生成部172は、印刷ジョブに、ジョブ識別情報であるファイル名およびジョブ入替情報である印刷データ上書き指定欄608の設定状態を含める。なお、この事例では、プライベート印刷に係る印刷ジョブであるため、印刷ジョブにはユーザ識別情報(ユーザID)、パスワードも含まれている。
【0054】
印刷ジョブの生成を完了した印刷ジョブ生成部172は、ネットワークインタフェイス171を通じて、出力先に指定された複合機100へ印刷ジョブを送信する。ネットワーク162を介して印刷ジョブを受信したネットワークインタフェイス161は、ジョブ情報取得部401に受信した印刷ジョブを入力する。
【0055】
ジョブ情報取得部401は、入力された印刷ジョブからジョブ識別情報、ページ入替情報、ユーザ識別情報、パスワードを抽出する(ステップS502)。当該印刷ジョブはプライベート印刷の印刷ジョブであるため、ジョブ情報取得部401は、印刷ジョブのユーザ識別情報が使用許可者リストに含まれているか否かを認証部412に問い合わせる。認証部412に含まれていない場合、ジョブ情報取得部401はその印刷ジョブを破棄する。このとき、ジョブ情報取得部401が当該印刷ジョブの送信元に、そのプライベート印刷に係る印刷ジョブを受け入れられない旨を通知してもよい。一方、印刷ジョブのユーザ識別情報が使用許可者リストに含まれている場合、ジョブ情報取得部401は、取得したジョブ識別情報、ページ入替情報、パスワードをジョブ管理部403に入力する。
【0056】
ジョブ管理部403は、入力されたジョブ識別情報と同一のジョブ識別情報を有する印刷ジョブがジョブ保持部402に保持されているか否かを判断する(ステップS503)。上述のように、ジョブ管理部403にはすべての印刷ジョブのジョブ識別情報が入力され、かつ画像形成部140への印刷も指示する。そのため、ジョブ管理部403は、出力待機状態の各印刷ジョブのジョブ識別情報を容易に認識でき、当該判定を容易に実施できる。
【0057】
同一のジョブ識別情報を有する印刷ジョブがジョブ保持部402に保持されていない場合、ジョブ管理部403は、当該印刷ジョブを予め指定された通常の印刷順(ここでは、その時点での最後尾)に指定するとともに、ジョブ情報取得部401に指示して、その印刷ジョブをジョブ保持部402に保持させる(ステップS503No、S507)。
【0058】
一方、同一のジョブ識別情報を有する印刷ジョブがジョブ保持部402に保持されていた場合、ジョブ管理部403はジョブ入替情報を確認する。ジョブ入替情報が上書きモードである場合、ジョブ管理部403は、ジョブ保持部402に既に保持されていた同一のジョブ識別情報を有する印刷ジョブを消去する。また、ジョブ管理部403は、新たな印刷ジョブを通常の印刷順に指定するとともに、ジョブ情報取得部401に指示して、その印刷ジョブをジョブ保持部402に保持させる(ステップS503Yes、S504Yes、S506、S507)。ジョブ入替情報が追加モードである場合、ジョブ管理部403は、新たな印刷ジョブの印刷順を、ジョブ保持部402に既に保持されていた同一のジョブ識別情報を有する印刷ジョブと連続して印刷する状態に関連づけて指定するとともに、ジョブ情報取得部401に指示して、その印刷ジョブをジョブ保持部402に保持させる(ステップS503Yes、S504No、S505)。特に限定されないが、ここでは、ジョブ管理部403は、ジョブ保持部402に既に保持されていた同一のジョブ識別情報を有する印刷ジョブの直後を新たな印刷ジョブの印刷順に指定する。図7は、このようなジョブ管理部403の印刷順入替処理を示す図である。
【0059】
図7(a)に示すように、ジョブ保持部402に、出力待機状態の2つの印刷ジョブが保持されているとする。一方の印刷ジョブは、ジョブ識別情報が「ファイルA」であり、印刷順が1番目に指定されている。他方の印刷ジョブは、ジョブ識別情報が「ファイルB」であり、印刷順が2番目に指定されている。
【0060】
当該状態で、図7(b)に示すように、ジョブ識別情報が「ファイルA」である新たな印刷ジョブが入力されたとする。この場合、ジョブ保持部402には、ジョブ識別情報が「ファイルA」である印刷ジョブが印刷順1番目で保持されているので、ジョブ管理部403は、図7(c)に示すように、新たな印刷ジョブの印刷順を2番目に指定して、ジョブ保持部402に保持させる。当該指定に伴い、印刷順が2番目に指定されていたジョブ識別情報が「ファイルB」である印刷ジョブの印刷順は、3番目に繰り下がる。
【0061】
なお、ここでは、新たな印刷ジョブが発生したときにジョブ保持部に既に保持されていた印刷ジョブを基準として、ジョブ管理部403が印刷順を指定する構成を説明したが、ジョブ管理部403は、新たに発生した印刷ジョブを基準として各印刷ジョブの印刷順を指定してもよい。また、印刷ジョブを生成する際に、印刷ジョブ生成部172が、ジョブ識別情報、ジョブ入替情報に加えて、印刷範囲設定欄404で指定された印刷範囲のページ情報を印刷ジョブに含める構成とし、ジョブ管理部403が当該ページ情報を利用して印刷順を決定する構成を採用することもできる。ページ情報はページを特定するための情報であり、例えば、印刷ジョブに含まれる各ページのページ番号をページ情報として使用することができる。このような構成では、ジョブ管理部403は、例えば、各印刷ジョブの最小ページ番号が小さい順で連続するように印刷順を指定することも可能になる。
【0062】
以上のようにして印刷順を指定したジョブ管理部403は、当該印刷順にしたがってジョブ保持部402に保持された印刷ジョブを画像形成部140に印刷させる。
【0063】
ところで、上述の事例のように、印刷ジョブがプライベート印刷である場合、プライベート印刷を指示したユーザは以下の手順で印刷を実行することになる。すなわち、複合機100の設置場所に移動し、複合機100の識別情報入力部411を通じてユーザ識別情報を入力して複合機100にログインする。上述のとおり、認証部412は、識別情報入力部411から入力されたユーザ識別情報が使用許可者リストに含まれている場合は、当該ユーザの操作パネル200を通じた操作を受け付ける状態にし、使用許可者リストに含まれていない場合は、操作パネル200を通じた操作を受け付けない状態を維持する。
【0064】
認証されたユーザは、操作パネル200を通じて、送信した印刷ジョブの実行をジョブ管理部403に指示する。ジョブ管理部403は、ユーザによる印刷ジョブ実行指示に応じて、印刷ジョブに設定されているパスワードの入力を要求する。ユーザが当該パスワードを複合機100に入力すると、ジョブ管理部403は当該印刷ジョブの印刷を画像形成部140に開始させる。
【0065】
したがって、プライベート印刷では、印刷の順番が到来していない状態でもユーザが印刷指示を入力した場合にはその印刷ジョブの印刷が実行され、印刷の順番が到来した状態でもユーザが印刷指示を入力しない限り、プライベート印刷に係る印刷ジョブの印刷は実行されない。このため、印刷ジョブがプライベート印刷である場合には、その印刷ジョブは印刷の順番が到来しても印刷されず、以降の順番のプライベート印刷でない印刷ジョブが先に印刷されることになる。
【0066】
また、本実施形態では、このようなプライベート印刷に対応するため、特に、ジョブ管理部403が上述の関連づけがなされた印刷ジョブを特定する情報を保持し、ユーザが一方の印刷ジョブの印刷を指示すると、ジョブ管理部403は、直ちに他方の印刷ジョブの印刷指示を要求する構成を採用することにより、関連づけられた印刷ジョブが連続して印刷されるようにしている。すなわち、紐付け情報が付与されている印刷ジョブの印刷のためのパスワードが入力されると、ジョブ管理部403は、関連づけられている印刷ジョブのパスワード入力を、操作パネル200等を通じてユーザに要求する。当該要求に応じてユーザがパスワードを入力すると、これらの印刷ジョブが連続して印刷される。なお、ジョブ保持部402に保持されたプライベート印刷でない印刷ジョブは、上述のように、ジョブ管理部403により、ジョブ管理部403が指定した印刷順にしたがって画像形成部140で印刷されることになる。
【0067】
なお、上記実施形態では、プライベート印刷に係る印刷ジョブにより本発明を具体化したが、このような特殊な機能に限らず、単に、印刷ジョブが出力待機状態で複合機に蓄積されている状態でも本発明を当然に適用することができる。この場合、複合機100において生成した印刷ジョブについても、上書きモードまたは追加モードを選択可能に構成してもよい。また、以上では、関連づけられる印刷ジョブが2つの事例について説明したが、3以上の印刷ジョブに対しても適用可能である。例えば、先に関連づけられた印刷ジョブ群を1の印刷ジョブとみなして、新たに発生した印刷ジョブについて上述の処理を実施すればよい。
【0068】
以上説明したように、この複合機100では、印刷ジョブに対応づけられたジョブ入替情報にしたがって、ジョブ保持部に既に保持されている印刷ジョブの消去(上書モード)または非消去(追加モード)が選択できる。そのため、ユーザは、印刷ジョブを複合機に入力する際に、先に入力されている印刷ジョブを削除するか否かを極めて簡単に選択することができる。このような構成を採用することにより、例えば、先の印刷ジョブの設定に誤りがあり当該印刷ジョブが不要であるときは、設定を訂正した印刷ジョブを再度画像印刷装置に入力するだけで、先の印刷ジョブを直ちに消去することができる。また、プライベート印刷の際に、従来技術のように、先の印刷ジョブの出力を完了した後に後の印刷ジョブを画像印刷装置に送信するという、煩雑な作業の発生も避けることができ、かつ、不要な印刷ジョブの削除忘れによる記憶領域の占有を防止することができる。また、上記複合機100では、関連する印刷ジョブが連続して実行されるため、他の印刷物が混じることがなく、まとまった印刷物を得ることができる。
【0069】
なお、上述した実施形態は本発明の技術的範囲を制限するものではなく、既に記載したもの以外でも、本発明の範囲内で種々の変形や応用が可能である。例えば、上記実施形態では、プライベート印刷への適用を可能とするため、識別情報入力部および認証部を備える構成を説明したが、ユーザの特定が不要である場合は、これらの構成要素は不要である。また、上記では、関連する印刷ジョブが連続して実行される構成を説明したが、当該構成は選択的構成要素である。当該構成要素を備えない画像印刷装置であっても、少なくとも、印刷ジョブを複合機に入力する際に、先に入力されている印刷ジョブを削除するか否かを極めて簡単に選択することができる、という効果を得ることができる。
【0070】
また、上記実施形態では、ジョブ識別情報としてファイル名を使用したが、印刷ジョブの関連性を示す情報であれば、任意の情報を使用することができる。例えば、印刷ジョブ自体にユーザが直接名称を付与する構成とし、当該印刷ジョブ名をジョブ識別情報してもよい。また、他のユーザの印刷ジョブとの混同を避けるため、印刷ジョブ管理部は、ジョブ識別情報およびユーザ識別情報が同一の印刷ジョブに対して上述の処理を実行するようにしてもよい。なお、ジョブ識別情報は、ファイル名や印刷ジョブ名の一部であってもよい。さらに、ジョブ識別情報として、例えば、印刷ジョブのファイルサイズやCRC値等の印刷ジョブに関する情報を採用してもよい。この場合、印刷ジョブにより出力される印刷物が完全に同一であるという関連性を有する印刷ジョブに同一のジョブ識別情報が付与されることになる。
【0071】
さらに、図5に示したフローチャートは、等価な作用を奏する範囲において、各ステップの順序を適宜変更可能である。例えば、図5では、ジョブ識別情報が同一であるか否かの判定の後、上書きモードであるか否かの判定を行っているが、上書きモードであるか否かの判定後、上書きモードである場合のみに、ジョブ識別情報が同一であるか否かの判定を判定する構成であっても同様の効果を得ることができる。
【0072】
加えて、上述の実施形態では、デジタル複合機として本発明を具体化したが、デジタル複合機に限らず、プリンタ、複写機等の任意の画像印刷装置に本発明を適用することも可能である。
【0073】
また、上記では、画像印刷装置である複合機が、ジョブ情報取得部、ジョブ保持部、ジョブ管理部、画像形成部を全て備える構成を説明したが、各部が、適宜、別体で構成され、ネットワーク等を通じて接続された画像印刷システムとして構成されていてもよい。例えば、上述のジョブ情報取得部、ジョブ保持部、ジョブ管理部を備えるジョブ管理装置が、情報処理端末等からなる印刷ジョブ生成装置、印刷装置とは別体で構成されている場合であっても、上記実施形態の複合機と同様の効果を得ることができる。このような画像印刷システムでは、例えば、複数台の印刷装置に対してジョブ管理装置を共通化することができる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明によれば、出力待機状態にある印刷ジョブが存在する状況下において、新たに発生した印刷ジョブを効率よく出力することができ、画像印刷装置および画像印刷システムとして有用である。
【符号の説明】
【0075】
100 複合機
140 画像形成部
161、171 ネットワークインタフェイス
172 印刷ジョブ生成部
200 操作パネル
401 ジョブ情報取得部
402 ジョブ保持部
403 ジョブ管理部
411 識別情報入力部
412 認証部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷ジョブと対応づけられた、ジョブ識別情報およびジョブ入替情報を取得するジョブ情報取得部と、
出力待機状態にある印刷ジョブを保持するジョブ保持部と、
新たに発生した印刷ジョブについて前記ジョブ情報取得手段が取得したジョブ識別情報と同一のジョブ識別情報を有する印刷ジョブが前記ジョブ保持部に保持されている場合、前記ジョブ情報取得手段が取得した当該新たに発生した印刷ジョブのジョブ入替情報にしたがって、前記ジョブ保持部に既に保持されている印刷ジョブを消去するとともに当該新たに発生した印刷ジョブを前記ジョブ保持部に保持させる、または、前記ジョブ保持部に既に保持されている印刷ジョブを消去することなく当該新たに発生した印刷ジョブを前記ジョブ保持部に保持させる、ジョブ管理部と、
前記ジョブ保持部に保持された印刷ジョブを、前記ジョブ管理部が指定する順序で印刷する画像形成部と、
を備える画像印刷装置。
【請求項2】
前記ジョブ管理部は、前記ジョブ保持部に既に保持されている印刷ジョブを消去することなく前記新たに発生した印刷ジョブを前記ジョブ保持部に保持させる場合に、前記ジョブ保持部に既に保持されている印刷ジョブおよび新たに発生した印刷ジョブを、前記画像形成部に連続して印刷させる、請求項1記載の画像印刷装置。
【請求項3】
前記印刷ジョブがプライベート印刷処理に係る印刷ジョブである、請求項1または2に記載の画像印刷装置。
【請求項4】
ジョブ識別情報およびジョブ入替情報を伴う印刷ジョブを生成するジョブ生成装置と、
印刷ジョブと対応づけられた、ジョブ識別情報およびジョブ入替情報を取得するジョブ情報取得部、
出力待機状態にある印刷ジョブを保持するジョブ保持部、
新たに発生した印刷ジョブについて前記ジョブ情報取得手段が取得したジョブ識別情報と同一のジョブ識別情報を有する印刷ジョブが前記ジョブ保持部に保持されている場合、前記ジョブ情報取得手段が取得した当該新たに発生した印刷ジョブのジョブ入替情報にしたがって、前記ジョブ保持部に既に保持されている印刷ジョブを消去するとともに当該新たに発生した印刷ジョブを前記ジョブ保持部に保持させる、または、前記ジョブ保持部に既に保持されている印刷ジョブを消去することなく当該新たに発生した印刷ジョブを前記ジョブ保持部に保持させる、ジョブ管理部、
を備える印刷ジョブ管理装置と、
前記ジョブ保持部に保持された印刷ジョブを、前記ジョブ管理部が指定する順序で印刷する印刷装置と、
を備える画像印刷システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−76282(P2012−76282A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−221664(P2010−221664)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】