説明

画像印刷装置及びその制御方法

【課題】同一画像の複数部印刷が指令された場合でも印刷時間の短縮化の実効を図る。
【解決手段】フォトプリンタのAPF情報管理部720では、GUI入力部710がある印刷対象画像の選択設定を受け付けた時点で該印刷対象画像の写真番号を生成待ちリストに登録し、その印刷対象画像の印刷指令を受け付ける前にその印刷対象画像を印刷する際に用いる画質補正情報(APF情報)をAPF情報生成部718に生成させると共に該生成したAPF情報をその印刷対象画像の写真番号と対応づけてバッファ済リストに登録する。また、写真番号を生成待ちリストに登録するにあたり、既に生成待ちリスト又はバッファ済リストに同じ写真画像が登録されていたときには生成待ちリストへの登録を中止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像印刷装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ユーザが印刷対象画像を選択して印刷ボタンを押すと、自動画質調整を実施してその印刷対象画像を用紙に印刷する画像印刷装置が知られている。この画像印刷装置では、印刷ボタンが押されると、印刷対象画像をメモリカードから読み込んで解凍したあとサンプリング画像を生成し、そのサンプリング画像とExif(登録商標)形式の印刷対象画像に付加されていたヘッダ情報などから画質補正情報(例えばコントラストや明るさ、彩度などに関するパラメータ)を生成し、生成した画質補正情報に基づいて印刷対象画像の画質調整処理を実施したあと色変換して印刷データを生成し、その印刷データに基づいて印刷を実施する。この種の画像印刷装置は例えば特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開2000−165647
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
印刷エンジンが高速化する中で、画質補正情報の生成処理が印刷ボタンを押してから印刷完了までの時間(印刷時間)に影響を与えるようになってきた。すなわち、従来の画像印刷装置では、印刷ボタンが押された後つまりユーザからの印刷指令を受け付けた後、画質補正情報を生成しているが、画質補正情報を生成するにはサンプリング画像を生成したりExif形式のファイルのヘッダを解析したりする必要があるため、印刷時間に占める画質補正情報の生成に要する時間の割合が大きくなる。このため、印刷時間を十分に短縮することができないという課題があった。こうした課題を解決するために、ユーザが印刷対象画像を選択したあとユーザからの印刷指令を受け付ける前に画質補正情報を生成することが考えられる。こうすれば、ユーザからの印刷指令を受け付けたときには既に画質補正情報の生成が終了しているため、画質補正情報を生成するのに要する時間が印刷時間から外れることになり、印刷時間が短縮化される。
【0004】
ところで、一つの写真画像を印刷対象画像として選択し印刷部数を複数に設定することがある。こうした場合に、その印刷部数だけ画質補正情報の生成を繰り返すとすれば、実際に同じ画質補正情報を何回も繰り返し生成することになるから無駄であるし、画質補正情報生成用のメモリ領域を占有してしまうおそれもある。画質補正情報生成用のメモリ領域が占有されると、その後に例えば別の写真画像を印刷対象画像としてユーザが選択したときにはメモリ領域の空きがないため、印刷指令を受け付ける前に画質補正情報の生成ができなくなり、印刷時間の短縮化の実効が図れないという不都合が生じる。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、同一画像の複数部印刷が指令された場合でも印刷時間の短縮化の実効を図ることができる画像印刷装置及び画像印刷方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の画像印刷装置は、
印刷媒体に印刷する印刷手段と、
ユーザによる印刷対象画像の選択設定やユーザによる前記印刷対象画像の印刷指令を受け付ける受付手段と、
前記受付手段がある印刷対象画像の選択設定を受け付けた時点で該印刷対象画像に予め付与されている画像識別符号を処理待ち記憶領域に登録し、前記受付手段が前記印刷対象画像の印刷指令を受け付ける前に前記印刷対象画像を印刷する際に用いる画質補正情報を生成すると共に該生成した画質補正情報を前記印刷対象画像の画像識別符号と対応づけて処理済み記憶領域に登録する管理手段と、
前記受付手段がある印刷対象画像の印刷指令を受け付けた後、該印刷対象画像の画像識別符号に対応づけられた画質補正情報を前記処理済み記憶領域から取得して画質調整を行い、該画質調整を行った画像が前記印刷媒体に印刷されるよう前記印刷手段を制御する印刷制御手段と、
を備え、
前記管理手段は、前記受付手段がある印刷対象画像の選択設定を受け付けた時点で該印刷対象画像の画像識別符号を前記処理待ち記憶領域に登録するにあたり、既に前記処理待ち記憶領域又は前記処理済み記憶領域に同じ画像識別符号が登録されていたときには前記処理待ち記憶領域への登録を中止するものである。
【0008】
この画像印刷装置では、ある印刷対象画像の選択設定を受け付けた時点で該印刷対象画像の画像識別符号を処理待ち記憶領域に登録し、その印刷対象画像の印刷指令を受け付ける前にその印刷対象画像を印刷する際に用いる画質補正情報を生成すると共に該生成した画質補正情報をその印刷対象画像の画像識別符号と対応づけて処理済み記憶領域に登録する。こうすることにより、ユーザからの印刷指令を受け付けたときには既に画質補正情報の生成が終了しているため、画質補正情報を生成するのに要する時間が印刷時間(ユーザによる印刷指令から印刷終了までの時間)から外れることになり、印刷時間が短縮化される。一方、ある印刷対象画像の選択設定を受け付けた時点で該印刷対象画像の画像識別符号を処理待ち記憶領域に登録するにあたり、既に処理待ち記憶領域又は処理済み記憶領域に同じ画像識別符号が登録されていたときには処理待ち記憶領域への登録を中止する。こうすることにより、同じ画質補正情報を何回も繰り返し生成するという無駄をなくすことができるし、処理待ち記憶領域や処理済み記憶領域を無駄に占有してしまうおそれもないため、同一画像の複数部印刷が指令された場合でも印刷時間の短縮化の実効を図ることができる。
【0009】
なお、画像識別符号を印刷対象画像に付与するにあたり、本発明の画像印刷装置に画像識別符号付与手段を備え、該画像識別符号付与手段が、ユーザが印刷対象画像として選択設定可能な複数の画像に対して画像識別符号を付与するとしてもよい。また、管理手段は、画質補正情報を生成したあとの画像識別符号を処理待ち記憶領域から削除するとしてもよい。
【0010】
本発明の画像印刷装置において、前記管理手段は、前記印刷制御手段によって前記印刷手段の制御が開始されたあと、該開始された制御に用いられた印刷指令よりも前の印刷指令に関する画質補正情報が前記処理済み記憶領域に残っていたときには該画質補正情報を削除してもよい。こうすれば、印刷に使用しない画質補正情報を処理済み記憶領域から削除して処理済み記憶領域の空きを大きくすることができる。
【0011】
本発明の画像印刷装置において、前記受付手段は、前記印刷手段が印刷中か否かにかかわらず印刷指令を受け付けるごとに該印刷指令に対して固有のジョブ番号を付与し、前記管理手段は、前記処理待ち記憶領域及び前記処理済み記憶領域に登録されている印刷対象画像のうち前記ジョブ番号が付与された印刷指令に関連する印刷対象画像に該ジョブ番号を付加してもよい。こうすれば、処理待ち記憶領域や処理済み記憶領域にはジョブ番号ごとに印刷対象画像の画像識別符号が登録されることになるから、ジョブ番号ごとにそのジョブ番号に含まれる印刷対象画像の画質補正情報を生成することができる。このように印刷指令にジョブ番号を付けて管理するため、一つの印刷指令を受け付けたあとその印刷指令に基づく印刷が終わるのを待つことなく次の印刷指令を受け付けることができる。その結果、印刷指令の予約を受け付けることが可能となる。なお、印刷手段の制御に用いられた印刷指令よりも前の印刷指令が存在するか否かを判定する必要がある場合、ジョブ番号を利用して判定することが可能となる。
【0012】
本発明の画像印刷装置において、前記受付手段は、前記印刷手段が印刷中か否かにかかわらず印刷指令を受け付けるごとに該印刷指令に対して昇順に固有のジョブ番号を付与し、前記管理手段は、前記処理待ち記憶領域及び前記処理済み記憶領域に登録されている印刷対象画像のうち前記ジョブ番号が付与された印刷指令に関連する印刷対象画像に該ジョブ番号を付加する一方、前記印刷制御手段によって前記印刷手段の制御が開始されたあと、該開始された制御に用いられた印刷指令に付与されたジョブ番号よりも小さなジョブ番号に対応づけられた画質補正情報が前記処理済み記憶領域に残っていたときには該画質補正情報を削除してもよい。こうすれば、先ほどと同様、印刷指令の予約を受け付けることが可能となる。また、印刷に使用しない画質補正情報をジョブ番号を利用して簡単に処理済み記憶領域から削除することができ、その結果処理済み記憶領域の空きを大きくすることが可能となる。
【0013】
本発明の画像印刷装置において、前記画像識別符号は、ユーザが印刷対象画像として選択設定可能な複数の画像に対して画像作成日時の古いものから昇順又は降順になるように付与された画像番号であり、前記印刷制御手段は、一つの印刷指令に複数の印刷対象画像が含まれる場合に画像番号が昇順又は降順となるように印刷順序を決定し、前記管理手段は、前記印刷制御手段によって前記印刷手段の制御が開始されたあと、該開始された制御に用いられた印刷対象画像の画像番号よりも小さな画像番号に対応づけられた画質補正情報が前記処理済み記憶領域に残っていたときには該画質補正情報を削除してもよい。こうすれば、一つの印刷指令に複数の印刷対象画像が含まれている場合において、今後使用しない印刷対象画像の画質補正情報を処理済み記憶領域から削除して処理済み記憶領域の空きを大きくすることができる。
【0014】
本発明の画像印刷装置の制御方法は、
印刷媒体に印刷する印刷手段を備えた画像印刷装置を制御するコンピュータ・ソフトウェアによる方法であって、
(a)ユーザによる印刷対象画像の選択設定を受け付けるステップと、
(b)ユーザによる前記印刷対象画像の印刷指令を受け付けるステップと、
(c)前記ステップ(a)である印刷対象画像の選択設定を受け付けた時点で該印刷対象画像に予め付与されている画像識別符号を処理待ち記憶領域に登録し、前記ステップ(b)で前記印刷対象画像の印刷指令を受け付ける前に前記印刷対象画像を印刷する際に用いる画質補正情報を生成すると共に該生成した画質補正情報を前記印刷対象画像の画像識別符号と対応づけて処理済み記憶領域に登録するステップと、
(d)前記ステップ(b)である印刷対象画像の印刷指令を受け付けた後、該印刷対象画像の画像識別符号に対応づけられた画質補正情報を前記処理済み記憶領域から取得して画質調整を行い、該画質調整を行った画像が前記印刷媒体に印刷されるよう前記印刷手段を制御するステップと、
を含み、
前記ステップ(c)では、前記ステップ(a)である印刷対象画像の選択設定を受け付けた時点で該印刷対象画像の画像識別符号を前記処理待ち記憶領域に登録するにあたり、既に前記処理待ち記憶領域又は前記処理済み記憶領域に同じ画像識別符号が登録されていたときには前記処理待ち記憶領域への登録を中止するものである。
【0015】
この画像印刷装置の制御方法では、ある印刷対象画像の選択設定を受け付けた時点で該印刷対象画像の画像識別符号を処理待ち記憶領域に登録し、その印刷対象画像の印刷指令を受け付ける前にその印刷対象画像を印刷する際に用いる画質補正情報を生成すると共に該生成した画質補正情報をその印刷対象画像の画像識別符号と対応づけて処理済み記憶領域に登録する。こうすることにより、ユーザからの印刷指令を受け付けたときには既に画質補正情報の生成が終了しているため、画質補正情報を生成するのに要する時間が印刷時間(ユーザによる印刷指令から印刷終了までの時間)から外れることになり、印刷時間が短縮化される。一方、ある印刷対象画像の選択設定を受け付けた時点で該印刷対象画像の画像識別符号を処理待ち記憶領域に登録するにあたり、既に処理待ち記憶領域又は処理済み記憶領域に同じ画像識別符号が登録されていたときには処理待ち記憶領域への登録を中止する。こうすることにより、同じ画質補正情報を何回も繰り返し生成するという無駄をなくすことができるし、処理待ち記憶領域や処理済み記憶領域を無駄に占有してしまうおそれもないため、同一画像の複数部印刷が指令された場合でも印刷時間の短縮化の実効を図ることができる。なお、この画像印刷装置の制御方法において、上述したいずれかの画像印刷装置の態様を採用してもよいし、上述したいずれかの画像印刷装置の機能を実現するようなステップを追加してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の印刷処理装置の一実施形態であるフォトプリンタ10の前面扉14及びカバー30を開けた状態の斜視図、図2は、フォトプリンタ10の電気的構成の概略を示すブロック図である。
【0017】
本実施形態のフォトプリンタ10は、プリンタ本体12の上面に設けられた操作パネル20と、プリンタ本体12の上面の奥の一辺に開閉自在に取り付けられ閉状態で操作パネル20を覆うカバー30と、プリンタ本体12に内蔵された印刷機構50(図2参照)と、プリンタ本体12の前面を開閉可能な前面扉14と、フォトプリンタ10の全体の制御を司るコントローラ70(図2参照)とを備えている。
【0018】
操作パネル20は、文字や図形、記号などを表示するディスプレイ22と、このディスプレイ22の周囲に配置されたボタン群24とを備えている。ボタン群24は、図2に示すように、電源のオンオフを行うための電源ボタン24a、印刷機能に関する複数の選択肢が並んだメインメニュー画面(図2参照)を呼び出すためのメニューボタン24b、操作を途中でキャンセルしたり用紙への印刷を途中で中断したりするためのキャンセルボタン24c、用紙への印刷実行を指示するための印刷ボタン24d、メモリカードスロット16に挿入されたメモリカードMに編集画像等を保存するための保存ボタン24e、ディスプレイ22に表示された複数の選択肢の中から所望の選択肢を選択したりカーソルを移動したり画像枠の大きさを変更するときに操作される上下左右の各矢印ボタン24f〜24i、この上下左右の各矢印ボタン24f〜24iの中央に配置され各矢印ボタン24f〜24iによって選択されている選択肢に決定したことを指示するためのOKボタン24jなどで構成されている。例えば、ユーザがメインメニュー画面で項目「写真選択」を選択すると、ディスプレイ22にはメモリカードMに保存されている写真画像が同一画面に複数枚表示されたりページ送り形式で表示されたりする。これらの写真画像の中からユーザが矢印ボタン24f〜24iを使用してカーソルを所望の写真画像に動かしてOKボタン24jを押すと、その写真画像が印刷対象画像として選択設定されたとみなされる。続いて、ユーザがメインメニュー画面で項目「用紙/レイアウト」を選択すると、ディスプレイ22には用紙種類の選択や印刷部数の設定などが可能な画面が表示されるので、ユーザは所望の用紙種類を選択し所望の印刷部数を設定する。その後、ユーザが印刷ボタン24dを押したときには、その印刷対象画像が所望の用紙に所望の印刷部数印刷される。また、ユーザがメインメニュー画面の項目「写真選択」で印刷対象画像を選択設定し、項目「用紙/レイアウト」で用紙種類や印刷部数を設定するという作業を繰り返し行ったあと印刷ボタン24dを押したときには、各印刷対象画像がそれぞれに設定された内容(用紙、印刷部数)で印刷される。
【0019】
カバー30は、プリンタ本体12の上面を覆うことのできる大きさに成形された樹脂板であり、開状態では操作パネル20の表面を外部に露出し(図1参照)、閉状態では操作パネル20を覆う。このカバー30は、ディスプレイ22と同じ大きさの窓32を備えており、カバー30が閉状態のときにはユーザはこの窓32を介してディスプレイ22の表示内容を確認することができる。更に、カバー30は、開状態のときに操作パネル20に対して斜め後方に傾斜した状態で保持されるようになっている。このため、開状態のカバー30の裏面は、用紙を印刷機構50へ供給するためのトレイとして利用可能である。また、操作パネル20の奥には、印刷機構50の給紙口58が設けられ、この給紙口58には、ガイド幅が用紙の幅に合うように左右方向にスライド操作される一対の用紙ガイド59,59が設けられている。
【0020】
印刷機構50は、プリンタ本体12の内部に配置されている。この印刷機構50は、インクを用紙に向かって吐出する印刷ヘッド54を搭載したキャリッジ56を主走査方向(図2の左右方向)に往復動させながら、用紙を副走査方向(図2の前後方向)に搬送することにより印刷を実行する周知のインクジェット印刷機構である。ここでは、印刷ヘッド54にインクを供給するインクカートリッジ52をキャリッジ56に搭載したオンキャリッジタイプを図示したが、インクカートリッジをキャリッジ56以外の場所に配置したオフキャリッジタイプとしてもよい。また、印刷ヘッド54は、圧電素子に電圧をかけることによりその圧電素子を変形させてインクを加圧する方式を採用してもよいし、発熱抵抗体(例えばヒータなど)に電圧をかけてインクを加熱して発生した気泡によりインクを加圧する方式を採用してもよい。
【0021】
前面扉14は、プリンタ本体12の前面を開閉するための蓋であり、開状態のときには、プリンタ本体12の前面から排紙される用紙を受けるための排紙トレイとして機能すると共に、プリンタ本体12の前面に設けられた各種のメモリカードスロット16をユーザが利用可能な状態とする。メモリカードスロット16には、メモリカードMが差し込まれている。このメモリカードMには、複数のJPEG画像ファイルが記憶されている。メモリカードスロット16にメモリカードMが差し込まれると、コントローラ70はメモリカードMに保存されているすべての写真画像に対して、撮影日時の古いものから昇順となるように写真番号(画像番号)を付与する。つまり、ユーザが印刷対象画像として選択設定可能なすべての写真画像に対して写真番号を付与する。
【0022】
コントローラ70は、図2に示すように、CPU71を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、各種処理プログラムや各種データなどを記憶したROM72と、一時的にデータを記憶するRAM73とを備え、これらはバス74を介して互いに信号のやり取りが可能なように接続されている。また、操作パネル20や印刷機構50、リーダライタ18もバス74に接続されている。コントローラ70は、メモリカードスロット16に挿入されたメモリカードMの写真画像をリーダライタ18を介して入力するほか、印刷機構50の各部からの検出信号や操作パネル20のボタン群24からの指令信号などを入力する。また、コントローラ70は、リーダライタ18を介してメモリカードMに編集画像を保存するほか、印刷機構50の印刷ヘッド54などへの制御信号や操作パネル20のディスプレイ22への制御信号などを出力する。
【0023】
本実施形態のフォトプリンタ10のハードウェア構成は図2に示したとおりであるが、そのうちのコントローラ70を機能ブロックで表したものを図3に示す。CPU71は、機能ブロックとして、GUI入力部と、画像展開部と、画像情報解析部と、GUI表示部と、画質補正情報生成部と、自動調整処理部と、印刷処理部とを含むものとして表すことができる。なお、本実施形態では、画質補正情報をAPF(Auto Photo Fine)情報と称することがある。
【0024】
GUI入力部710は、操作パネル20を介してユーザからの入力を受け付け、各部にその入力にしたがって処理を行うように指示する。例えば、GUI入力部710は、ユーザから印刷対象画像の選択設定とその印刷対象画像の画質調整の内容と印刷部数とを受け付けたときには、該印刷対象画像に関する情報(印刷対象画像の写真番号やユーザ指定補正情報など)をAPF情報管理部720に渡す。ユーザ指定補正情報とは、操作パネル20を介してユーザによって指定されるものであり、ユーザの指定項目としては、自動補正モードの指定、シーン指定、フィルタ指定、明るさ指定、彩度指定、シャープネス指定、コントラスト指定、フラクタル指定、用紙指定などの項目がある。また、GUI入力部710は、ユーザによって印刷ボタン24dが押されて印刷指令が入力されると、その印刷指令を受け付け、その印刷指令に含まれる1以上の印刷対象画像と各印刷対象画像の印刷部数とを一つの印刷ジョブとし、その印刷ジョブにジョブ番号を付与し、APF情報管理部720へ渡す。このジョブ番号は電源がオンされるごとにリセットされ、印刷指令を受け付けるごとにカウントアップされる。このGUI入力部710は、印刷処理部724が印刷実行中であっても、印刷対象画像の選択設定や印刷指令を受け付ける。
【0025】
画像展開部712は、ユーザによって選択設定された印刷対象画像をGUI入力部710が受け付けると、該受け付けた印刷対象画像をGUI表示できるデータに展開してGUI表示部714に渡す。また、APF情報を生成する際に必要なサンプリング画像を生成してAPF情報生成部718に渡す。更に、印刷実行時、印刷用画像データを生成して自動調整処理部722に渡す。
【0026】
GUI表示部714は、GUI入力部710で受け付けられた印刷対象画像を操作パネル20のディスプレイ22に表示する。
【0027】
画像情報解析部716は、メモリカードMに保存されている写真画像に含まれるファイル付加情報を取得し、APF情報生成部718に渡す。ここで、ファイル付加情報について説明する。メモリカードMには、図示しないデジタルカメラで撮影された写真画像のファイルが格納されている。このファイルは、本実施形態ではExif形式のファイルである。Exifファイルは、通常、ヘッダと画像データとで構成されており、ヘッダには、画素数、圧縮モード、撮影日時、機種名、絞り値、色空間などの情報が格納され、画像データには、サムネイル画像データと主画像データ(JPEG)とが格納されている。画像情報解析部716が取得するファイル付加情報は、このうちヘッダに含まれている情報である。
【0028】
APF情報生成部718は、画像展開部712から得られるサンプリング画像と、画像情報解析部716から得た付加情報と、前出のユーザ指定補正情報とを用いて、印刷時に行う自動画質補正のパラメータであるAPF情報を生成する。ここで、APF情報とは、印刷対象画像の画質を自動補正するための情報であり、例えばコントラストに関するパラメータ、明るさに関するパラメータ、彩度に関するパラメータなどがある。
【0029】
APF情報管理部720は、GUI入力部710がユーザによって選択設定された印刷対象画像とユーザ指定補正情報と印刷部数とを受け付けた時点で、生成待ちリストへ登録するためのレコード(リストデータ)を作成し、生成待ちリストへ登録する。また、APF情報管理部720は、GUI入力部710からAPF情報の変更要求や削除要求がなく自動調整処理部722からAPF情報の取得要求もないときには、生成待ちリストからデータを読み出してAPF情報生成部718にAPF情報を生成させ、生成したAPF情報をバッファ済リストに登録すると共に生成待ちリストからAPF情報を生成した写真番号に関するレコードを削除する。なお、生成待ちリストを格納するための領域はRAM73に設定された所定容量の領域(処理待ち領域)であり、バッファ済リストを格納するための領域はRAM73に設定された所定容量の領域(処理待ち領域とは異なる処理済み領域)である。更に、APF情報管理部720は、自動調整処理部722からAPF情報の取得要求を受けると、バッファ済リストからAPF情報を読み出してそのコピーを自動調整処理部722へ渡すか、バッファ済リストに所望のAPF情報がない場合にはAPF情報生成部718にそのAPF情報を生成させてバッファ済リストに登録し、該APF情報のコピーを自動調整処理部722へ渡す。
【0030】
ここで、生成待ちリストとバッファ済リストについて説明する。図4は生成待ちリストの一例を示す説明図、図5はバッファ済リストの一例を示す説明図である。生成待ちリストは、印刷対象画像に付与された写真番号とその印刷対象画像のユーザ指定情報とを対応づけたものをレコードとし、そのレコードをリスト化したものである。各レコードは、印刷される順(APF情報を早く必要とする順)に並び変えられる。本実施形態では、写真画像の撮影日時が古いものから順に印刷するようになっており、また、メモリカードMに保存されている各画像には前述したように写真番号が撮影日時の古いものから順に付与されている。このため、生成待ちリストの各レコードは、写真番号の小さいものから順に並べ変えられることになる。バッファ済リストは、写真番号とユーザ指定情報とAPF情報とを対応づけたものをレコードとし、そのレコードをリスト化したものである。このバッファ済リストの各レコードも、写真番号の小さいものから順に並べられている。ところで、APF情報管理部720へGUI入力部710からジョブ番号が渡されると、生成待ちリストやバッファ済リストに登録されているレコードのうち今回渡されたジョブ番号の印刷ジョブに含まれる写真番号を持つレコードにそのジョブ番号が対応づけられる(図4及び図5の点線参照)。図4及び図5では、ジョブ番号No.1の印刷ジョブには印刷対象画像として写真番号♯3が含まれ、ジョブ番号No.2の印刷ジョブには印刷対象画像として写真番号♯5,#6,#10が含まれている。
【0031】
自動調整処理部722は、ユーザにより印刷指令がなされた写真画像の画像展開データを画像展開部712から取得し、APF情報生成部718で生成されたAPF情報のコピーを用いて画質調整処理を行い、画質調整処理後の画像データを生成し、印刷処理部724に送る。また、印刷処理部724でその画像データの印刷が終わった時点で、APF情報のコピーを削除する。
【0032】
印刷処理部724は、印刷機構50を制御して印刷を実行する。具体的には、自動調整処理部722から取得した画像データを印刷用データに変換し、印刷機構50を制御して印刷を実行する。
【0033】
次に、こうして構成された本実施形態のフォトプリンタ10の動作について説明する。以下には、コントローラ70を機能ブロックで表したときのAPF情報管理部720と自動調整処理部722とが主体となって動作を実行するものとして説明する。
【0034】
APF情報管理部720は、所定時間(例えば数〜数百msec)ごとにAPF情報管理ルーチンを実行する。図6は、APF情報管理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンが開始されると、APF情報管理部720は、まず、GUI入力部710から新たな印刷対象画像とその印刷対象画像のユーザ指定補正情報とを取得したか否かを判定し(ステップS102)、取得したときには生成待ちリストに登録し(ステップS104)、本ルーチンを終了する。このとき、同じ写真番号については重複して登録しないようにする。例えば、一つの印刷対象画像に対して印刷部数が複数部に設定されているときには、その印刷対象画像の写真番号とそのユーザ指定補正情報とを対応づけたレコードを一つだけ生成待ちリストに登録する。
【0035】
一方、ステップS102で、GUI入力部710から新たな印刷対象画像とそのユーザ指定補正情報とを取得していなかったときには、続いて自動調整処理部722からAPF情報の取得要求があったか否かを判定し(ステップS106)、APF情報の取得要求があったときには、APF情報取得サブルーチンを実行し(ステップS108)、本ルーチンを終了する。自動調整処理部722は、GUI入力部710から新たな印刷指令を取得したとき、その印刷指令に含まれる印刷対象画像のAPF情報の取得要求を、印刷指令に含まれる写真番号ごとに順次APF情報管理部720へ出力する。このとき、その印刷指令に付与されたジョブ番号も併せてAPF情報管理部720へ出力する。
【0036】
図7は、APF情報取得サブルーチンのフローチャートである。このサブルーチンが開始されると、APF情報管理部720は、バッファ済リストに、今回の印刷指令と共に取得したジョブ番号よりも小さいジョブ番号に対応するAPF情報が保存されているか、また、今回と同じジョブ番号で且つ今回の写真番号よりも小さい写真番号に対応するAPF情報が保存されているかを検索する(ステップS202,S204)。そして、いずれかに該当するAPF情報が保存されていたか否かを判定し(ステップS206)、いずれかに該当するAPF情報が保存されていたときには、そのようなAPF情報は今後自動調整処理部722で使用されることがないとみなすことができるため、バッファ済リストから削除する(ステップS208)。その結果、バッファ済リストの記憶領域の空きが増える。そして、ステップS208のあと又はステップS206で該当するAPF情報がなかったときには、バッファ済リストに、今回の取得要求に合致するAPF情報が登録されているか否かを検索し(ステップS210)、該当するAPF情報があったか否かを判定し(ステップS212)、該当するAPF情報がなかったときには、今回取得要求された写真番号のAPF情報の生成指令をAPF情報生成部718へ出力する(ステップS214)。すると、これを受けたAPF情報生成部718は、今回取得要求された写真番号のサンプリング画像を画像展開部712から取得すると共にその写真番号の付加情報を画像情報解析部716から取得する。そして、取得したサンプリング画像と付加情報とユーザ指定補正情報とを用いてAPF情報を生成し、生成したAPF情報をAPF情報管理部720へ出力する。APF情報管理部720は、APF情報生成部718からAPF情報を取得すると、該取得したAPF情報をバッファ済リストに登録すると共にAPF情報が生成された写真番号に関するレコードを生成待ちリストから削除する(ステップS216)。そして、ステップS216のあと又はステップS212で該当するAPF情報がなかったときには、バッファ済リストから今回の取得要求に合致するAPF情報をコピーして自動調整処理部722へ渡し(ステップS218)、本サブルーチンを終了する。
【0037】
さて、図6のフローチャートに戻り、ステップS106で自動調整処理部722からAPF情報の取得要求がなかったときには、続いてGUI入力部710から補正情報変更要求があったか否かを判定し(ステップS110)、補正情報変更要求があったときには、必要に応じて生成待ちリスト及びバッファ済リストの内容を変更し(ステップS112)、本ルーチンを終了する。補正情報変更要求は、ユーザが操作パネル20を介して画質設定を変更したことによりユーザ指定補正情報が変更された場合に出力されるものである。GUI入力部710は、ユーザから印刷対象画像1枚1枚について画質調整の設定を受け付けることもできるし、全画像について共通して画質調整の設定を受け付けることもできる。したがって、GUI入力部710は、ユーザ指定補正情報が変更された場合、関係する写真番号を、APF情報管理部720に通知するものとする。APF情報管理部720では、ステップS112において次のような処理を行う。すなわち、通知された写真番号に関するAPF情報を持つレコードがバッファ済リストにも生成待ちリストにも存在しないときにはその写真番号のレコードを生成待ちリストに登録し、そのレコードがバッファ済リストには存在しないが生成待ちリストに存在するときにはそのレコードのユーザ指定補正情報を書き換え、そのレコードがバッファ済リストに存在する場合にはバッファ済リストからそのレコードを削除する共にその写真番号と新たなユーザ指定補正情報とを含むレコードを作成し生成待ちリストに登録する。
【0038】
一方、ステップS110でGUI入力部710から補正情報変更要求がなかったときには、続いてGUI入力部710から選択キャンセルの要求があったか否かを判定し(ステップS114)、選択キャンセルの要求があったときには、必要に応じて生成待ちリスト及びバッファ済リストの内容を削除し(ステップS116)、本ルーチンを終了する。選択キャンセルの要求は、ユーザが操作パネル20を介して一旦選択した印刷対象画像をキャンセルした場合に出力されるものであり、選択キャンセルの対象となっている写真番号も併せて通知される。APF情報管理部720では、ステップS116において次のような処理を行う。すなわち、通知された写真番号に関するAPF情報を持つレコードがバッファ済リストに存在するときにはそのレコードをバッファ済リストから削除し、通知された写真番号を持つレコードが生成待ちリストに存在するときにはそのレコードを生成待ちリストから削除する。
【0039】
一方、ステップS114でGUI入力部710から選択キャンセルの要求がなかったときには、続いて生成待ちリストにレコードがあるか否かを判定し(ステップS118)、生成待ちリストにレコードがないときには本ルーチンを終了する。一方、生成待ちリストにレコードがあったときには、生成待ちリストの先頭に登録されているレコードを読み出してそのレコードに含まれる写真番号のAPF情報を生成するようAPF情報生成部718に指令を出力する(ステップS120)。すると、APF情報生成部718は、その写真番号のAPF情報を生成してAPF情報管理部720へ出力する。このAPF情報を取得したAPF情報管理部720は、そのAPF情報を写真番号に対応づけてレコードを作成してバッファ済リストの末尾に登録し(ステップS122)、その写真番号を含むレコードを生成待ちリストから削除し(ステップS124)、本ルーチンを終了する。
【0040】
次に、自動調整処理部722が主体となって実行する自動調整処理ルーチンについて説明する。自動調整処理部722は、所定時間(例えば数〜数百msec)ごとに自動調整処理ルーチンを実行する。図8は、自動調整処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンが開始されると、自動調整処理部722は、まず、GUI入力部710から印刷指令を受け付けたという通知を取得したか否かを判定し(ステップS300)、その通知を取得していないときにはそのまま本ルーチンを終了する。一方、GUI入力部710から印刷指令を受け付けたという通知を取得したときには、画像展開部712へ今回の印刷対象画像の展開画像データを要求し(ステップS302)、その後画像展開部712からその展開画像データを取得する(ステップS304)。また、APF情報管理部720へ今回の印刷対象画像のAPF情報を要求し(ステップS306)、その後APF情報管理部720からそのAPF情報を取得する(ステップS308)。そして、取得した画像展開データとAPF情報とを用いて画質調整処理を実行し(ステップS310)、画質調整処理後の画像データを印刷処理部724へ渡し(ステップS312)、本ルーチンを終了する。すると、印刷処理部724は、画質調整処理後の画像データの色変換等を行って印刷用データを生成し、この印刷用データに基づいて用紙に印刷されるよう印刷機構50を制御し、印刷終了後に今回の印刷で使用したAPF情報のコピーをRAM73から削除する。つまり、コピー元のAPF情報は印刷終了時にはバッファ済リストに残ることになる。このため、次頁の印刷を行う際にバッファ済リストに登録されているAPF情報を利用することが可能となる。
【0041】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態のフォトプリンタ10が本発明の画像印刷装置に相当し、印刷機構50が印刷手段に相当し、コントローラ70のGUI入力部710が受付手段に相当し、コントローラ70のAPF情報管理部720が管理手段に相当し、コントローラ70の自動調整処理部722と印刷処理部724が印刷制御手段に相当する。なお、本実施形態では、フォトプリンタ10の動作を説明することにより本発明の画像処理方法の一例も明らかにしている。
【0042】
以上詳述した本実施形態のフォトプリンタ10によれば、GUI入力部710で印刷対象画像の選択設定を受け付けた時点でその印刷対象画像の写真番号を生成待ちリストに登録し、その印刷対象画像の印刷指令を受け付ける前にその印刷対象画像のAPF情報を生成すると共に該生成した情報をそのバッファ済リストに登録する。こうすることにより、ユーザからの印刷指令を受け付けたときには既にAPF情報の生成が終了しているため、APF情報を生成するのに要する時間が印刷時間(ユーザによる印刷指令から印刷終了までの時間)から外れることになり、印刷時間が短縮化される。また、印刷対象画像の選択設定を受け付けた時点で該印刷対象画像の写真番号が生成待ちリストかバッファ済リストに登録されていたときには、生成待ちリストへの登録を中止する。こうすることにより、同じAPF情報を何回も繰り返し生成するという無駄をなくすことができるし、生成待ちリストやバッファ済リストを記憶する領域を無駄に占有してしまうおそれもないため、同一画像の複数部印刷が指令された場合でも印刷時間の短縮化の実効を図ることができる。
【0043】
また、印刷が開始されたあと、その印刷に用いられた印刷ジョブよりも前の印刷ジョブに関するAPF情報がバッファ済リストに残っていたときには該APF情報を削除するため、印刷に使用しないAPF情報をバッファ済リストから削除してバッファ済リストを記憶する記憶領域の空きを大きくすることができる。ここで、今回の印刷に用いられた印刷ジョブよりも前の印刷ジョブか否かは、印刷順序を表すジョブ番号を利用して簡単に判定することができる。
【0044】
更に、生成待ちリストやバッファ済リストにはジョブ番号ごとに印刷対象画像の写真番号が登録されることになるから、ジョブ番号ごとにそのジョブ番号に含まれる印刷対象画像のAPF情報を生成することができる。このように印刷指令にジョブ番号を付けて管理しているため、一つの印刷指令を受け付けたあとその印刷指令に基づく印刷が終わるのを待つことなく次の印刷対象画像の選択設定を受け付けたり次の印刷指令を受け付けたりすることができる。つまり、印刷対象画像の選択設定を予約したり印刷指令を予約したりすることが可能となる。
【0045】
更にまた、今回印刷を開始した印刷ジョブと同じジョブ番号で今回印刷の対象となっている写真番号よりも小さい写真番号に対応するAPF情報がバッファ済リストに残っていた場合、そのAPF情報は今後使用しないものであるからバッファ済リストから削除するため、バッファ済リストを記憶する記憶領域の空きを大きくすることができる。
【0046】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0047】
例えば、上述した実施形態では、APF情報生成部718は、画像展開部712から得られるサンプリング画像と画像情報解析部716から得た付加情報とユーザ指定補正情報とを用いてAPF情報を生成するとしたが、ユーザ指定補正情報を用いずサンプリング画像と付加情報とを用いてAPF情報を生成してもよい。
【0048】
上述した実施形態では、印刷指令を受け付けるごとにジョブ番号を付与するとしたが、一つの印刷指令について印刷が終了するまで次の印刷対象画像の選択設定や印刷指令を受け付けないようにするのであれば、特にジョブ番号を付与しなくてもよい。
【0049】
上述した実施形態では、画像識別符号として写真番号を例示したが、写真画像に固有の符号であればよく、例えば写真画像のファイル名を利用してもよい。
【0050】
上述した実施形態では、メモリカードMに記憶されたExif形式の写真画像を利用するものとして説明したが、フォトプリンタ10に接続された外部機器(例えばデジタルカメラや携帯電話、CD/DVDドライブ装置など)に記憶された写真画像を利用するものとしてもよいし、フォトプリンタ10にネットワーク経由で配信されてきた写真画像を保存しそれを利用するものとしてもよい。また、印刷対象画像として、写真画像以外の画像(文書や表、グラフなど)を利用してもよい。
【0051】
上述した実施形態では、印刷処理装置としてインクジェット方式のフォトプリンタ10を例示したが、インクジェット方式の印刷機構のほかにスキャナなどを備えたマルチファンクションプリンタやFaxなどに本発明を適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】フォトプリンタの前面扉及びカバーを開けた状態の斜視図。
【図2】フォトプリンタの電気的構成の概略を示すブロック図。
【図3】コントローラのCPUを機能ブロック図で表したときの説明図。
【図4】生成待ちリストの一例を示す説明図。
【図5】バッファ済リストの一例を示す説明図。
【図6】APF情報管理ルーチンの一例を示すフローチャート。
【図7】APF情報取得サブルーチンの一例を示すフローチャート。
【図8】自動調整処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0053】
10 フォトプリンタ、12 プリンタ本体、14 前面扉、16 メモリカードスロット、18 リーダライタ、20 操作パネル、22 ディスプレイ、24 ボタン群、24a 電源ボタン、24b メニューボタン、24c キャンセルボタン、24d 印刷ボタン、24e 保存ボタン、24f〜i 矢印ボタン、24j OKボタン、30 カバー、32 窓、50 印刷機構、52 インクカートリッジ、54 印刷ヘッド、56 キャリッジ、58 給紙口、59 用紙ガイド、70 コントローラ、71 CPU、72 ROM、73 RAM、74 バス、710 GUI入力部、712 画像展開部、714 GUI表示部、716 画像情報解析部、718 APF情報生成部、720 APF情報管理部、722 自動調整処理部、724 印刷処理部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷媒体に印刷する印刷手段と、
ユーザによる印刷対象画像の選択設定やユーザによる前記印刷対象画像の印刷指令を受け付ける受付手段と、
前記受付手段がある印刷対象画像の選択設定を受け付けた時点で該印刷対象画像に予め付与されている画像識別符号を処理待ち記憶領域に登録し、前記受付手段が前記印刷対象画像の印刷指令を受け付ける前に前記印刷対象画像を印刷する際に用いる画質補正情報を生成すると共に該生成した画質補正情報を前記印刷対象画像の画像識別符号と対応づけて処理済み記憶領域に登録する管理手段と、
前記受付手段がある印刷対象画像の印刷指令を受け付けた後、該印刷対象画像の画像識別符号に対応づけられた画質補正情報を前記処理済み記憶領域から取得して画質調整を行い、該画質調整を行った画像が前記印刷媒体に印刷されるよう前記印刷手段を制御する印刷制御手段と、
を備え、
前記管理手段は、前記受付手段がある印刷対象画像の選択設定を受け付けた時点で該印刷対象画像の画像識別符号を前記処理待ち記憶領域に登録するにあたり、既に前記処理待ち記憶領域又は前記処理済み記憶領域に同じ画像識別符号が登録されていたときには前記処理待ち記憶領域への登録を中止する、
画像印刷装置。
【請求項2】
前記管理手段は、前記印刷制御手段によって前記印刷手段の制御が開始されたあと、該開始された制御に用いられた印刷指令よりも前の印刷指令に関する画質補正情報が前記処理済み記憶領域に残っていたときには該画質補正情報を削除する、
請求項1に記載の画像印刷装置。
【請求項3】
前記受付手段は、前記印刷手段が印刷中か否かにかかわらず印刷指令を受け付けるごとに該印刷指令に対して固有のジョブ番号を付与し、
前記管理手段は、前記処理待ち記憶領域及び前記処理済み記憶領域に登録されている印刷対象画像のうち前記ジョブ番号が付与された印刷指令に関連する印刷対象画像に該ジョブ番号を付加する、
請求項1又は2に記載の画像印刷装置。
【請求項4】
前記受付手段は、前記印刷手段が印刷中か否かにかかわらず印刷指令を受け付けるごとに該印刷指令に対して昇順に固有のジョブ番号を付与し、
前記管理手段は、前記処理待ち記憶領域及び前記処理済み記憶領域に登録されている印刷対象画像のうち前記ジョブ番号が付与された印刷指令に関連する印刷対象画像に該ジョブ番号を付加する一方、前記印刷制御手段によって前記印刷手段の制御が開始されたあと、該開始された制御に用いられた印刷指令に付与されたジョブ番号よりも小さなジョブ番号に対応づけられた画質補正情報が前記処理済み記憶領域に残っていたときには該画質補正情報を削除する、
請求項1又は2に記載の画像印刷装置。
【請求項5】
前記画像識別符号は、ユーザが印刷対象画像として選択設定可能な複数の画像に対して画像作成日時の古いものから昇順又は降順になるように付与された画像番号であり、
前記印刷制御手段は、一つの印刷指令に複数の印刷対象画像が含まれる場合に画像番号が昇順又は降順となるように印刷順序を決定し、
前記管理手段は、前記印刷制御手段によって前記印刷手段の制御が開始されたあと、該開始された制御に用いられた印刷対象画像の画像番号よりも小さな画像番号に対応づけられた画質補正情報が前記処理済み記憶領域に残っていたときには該画質補正情報を削除する、
請求項1〜4のいずれかに記載の画像印刷装置。
【請求項6】
印刷媒体に印刷する印刷手段を備えた画像印刷装置を制御するコンピュータ・ソフトウェアによる方法であって、
(a)ユーザによる印刷対象画像の選択設定を受け付けるステップと、
(b)ユーザによる前記印刷対象画像の印刷指令を受け付けるステップと、
(c)前記ステップ(a)である印刷対象画像の選択設定を受け付けた時点で該印刷対象画像に予め付与されている画像識別符号を処理待ち記憶領域に登録し、前記ステップ(b)で前記印刷対象画像の印刷指令を受け付ける前に前記印刷対象画像を印刷する際に用いる画質補正情報を生成すると共に該生成した画質補正情報を前記印刷対象画像の画像識別符号と対応づけて処理済み記憶領域に登録するステップと、
(d)前記ステップ(b)である印刷対象画像の印刷指令を受け付けた後、該印刷対象画像の画像識別符号に対応づけられた画質補正情報を前記処理済み記憶領域から取得して画質調整を行い、該画質調整を行った画像が前記印刷媒体に印刷されるよう前記印刷手段を制御するステップと、
を含み、
前記ステップ(c)では、前記ステップ(a)である印刷対象画像の選択設定を受け付けた時点で該印刷対象画像の画像識別符号を前記処理待ち記憶領域に登録するにあたり、既に前記処理待ち記憶領域又は前記処理済み記憶領域に同じ画像識別符号が登録されていたときには前記処理待ち記憶領域への登録を中止する、
画像印刷装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−230119(P2008−230119A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−74707(P2007−74707)
【出願日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】