画像合成方法及び印刷システム並びに画像合成プログラム
【課題】復号時の画像の劣化を防止し、効率的に画像を合成することができる画像合成方法及び印刷システム並びに画像合成プログラムの提供。
【解決手段】mビットで表される色空間上の座標値と前記mビットより小さいnビットで表される指標値とを対応付けるテーブルにより、第1画像にかかる第1画像データを画素単位で可逆圧縮し、前記第1画像データを可逆圧縮するのに用いた前記テーブルにより、第2画像にかかる第2画像データを画素単位で可逆圧縮し、圧縮された前記第1画像データと圧縮された前記第2画像データとを画素単位で合成して圧縮された合成画像データを生成し、前記圧縮された合成画像データを、前記テーブルを用いて画素単位で伸張し、各画素が前記色空間上の座標値として表される合成画像データを生成する。
【解決手段】mビットで表される色空間上の座標値と前記mビットより小さいnビットで表される指標値とを対応付けるテーブルにより、第1画像にかかる第1画像データを画素単位で可逆圧縮し、前記第1画像データを可逆圧縮するのに用いた前記テーブルにより、第2画像にかかる第2画像データを画素単位で可逆圧縮し、圧縮された前記第1画像データと圧縮された前記第2画像データとを画素単位で合成して圧縮された合成画像データを生成し、前記圧縮された合成画像データを、前記テーブルを用いて画素単位で伸張し、各画素が前記色空間上の座標値として表される合成画像データを生成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像合成方法及び印刷システム並びに画像合成プログラムに関し、特に、カラー多値画像を合成する画像合成方法及び該画像合成方法で合成した画像を印刷する印刷システム並びに画像合成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ダイレクトメールやラベル、POP、帳票などのオンデマンド印刷市場やバリアブル印刷市場では、リッチコンテンツ化、小ロット化、短納期化が求められており、それらの印刷物を出力する印刷装置も年々高速化している。しかしながら、絵や写真などが豊富に使用されたプリントデータから高解像度フルカラー印刷用のラスタ画像を生成するには非常に時間がかかってしまう。そのため、複雑な画像処理を必要とするコンテンツを含むページの場合、印刷装置ではラスタ画像生成能力が印刷能力を下回ることがある。
【0003】
この問題の解決策としてフォームオーバレイ方式やバリアブルデータプリント方式と呼ばれる方式がある。バリアブルデータプリント方式は近年注目され始めた方式であり、バリアブルデータプリント言語としては、業界標準のPPML(Personalized Print Markup Language)やPPML/VDX(PPML/Variable Data Exchange)が使用される。このバリアブルデータプリント方式は、再利用可能オブジェクトと非再利用オブジェクトを最小構成単位としている。再利用可能オブジェクトとは、複数ページ間、または、同一ページ上において複数回にわたって使用される共通部分のことである。非再利用オブジェクトとは、文書中で1度しか使用しない可変部分のことである。そして、それぞれのバリアブルオブジェクトが再利用可能オブジェクトなのか非再利用オブジェクトなのかはプリントデータ内のレイアウト情報で明確に区別されている。また、バリアブルオブジェクト群をページごとにどのようにレイアウトするかもレイアウト情報に記述されている。
【0004】
一般に、バリアブルデータプリント言語をサポートした印刷装置(或いは印刷システム)における画像処理の機能は、ラスタ画像生成(ラスタライズ)と画像合成(ページレイアウト)に大別することができる。ラスタライズではバリアブルオブジェクトをビットマップ展開して画像データを作成する。その際、再利用可能オブジェクトは複数ページにわたって使用されるため、メモリやハードディスクなどの記憶装置上にキャッシュする。そして、ページレイアウトでは、レイアウト情報を元にラスタライズしたバリアブルオブジェクトをページバッファ上に合成する。
【0005】
ここで、ラスタライズした再利用可能オブジェクトを記憶装置上にキャッシュする場合、使用するシステム資源を節約する目的でなんらかの方式でデータ圧縮を施すことが一般的である。データ圧縮方式としては、JPEGやZIPなどに代表される可変長符号化方式と、下記特許文献1に示すような固定長符号化方式とがある。
【0006】
【特許文献1】特開平7−336675号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
可変長符号化方式は、圧縮効率の高さや普及率の点で多く採用されているが、可変長符号化方式で圧縮した場合、圧縮状態のまま合成することが不可能であるため、一旦復号した後に合成する必要がある。つまり、再利用可能オブジェクトを合成する回数分の復号化処理が発生することを意味する。その結果、可変長符号化方式では、再利用可能オブジェクトの使用回数や面積比率に比例して、ページレイアウト時間が遅くなるという問題がある。
【0008】
この問題を解決するひとつの方策として、特許文献1のように、ブロック圧縮した画像を圧縮状態のまま合成するという手法がある。この方式では、圧縮状態のまま合成することにより復号化処理が不要となり、かつ、合成処理で扱うデータ量が復号後の非圧縮状態と比較して少なくて済むことから合成処理時間の短縮も期待できる。
【0009】
しかしながら、ブロック圧縮は非可逆圧縮の一種であり、復号時に画像の劣化が発生するという問題があり、高画質印刷が要求される局面での適用は難しい。
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その主たる目的は、復号時の画像の劣化を防止し、効率的に画像を合成することができる画像合成方法及び印刷システム並びに画像合成プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の画像合成方法は、mビットで表される色空間上の座標値と前記mビットより小さいnビットで表される指標値とを対応付けるテーブルにより、第1画像にかかる第1画像データを画素単位で可逆圧縮し、前記第1画像データを可逆圧縮するのに用いた前記テーブルにより、第2画像にかかる第2画像データを画素単位で可逆圧縮し、圧縮された前記第1画像データと圧縮された前記第2画像データとを画素単位で合成して圧縮された合成画像データを生成し、前記圧縮された合成画像データを、前記テーブルを用いて画素単位で伸張し、各画素が前記色空間上の座標値として表される合成画像データを生成するものである。
【0012】
本発明においては、前記テーブルは、前記第1及び第2画像の画像データを画素単位で圧縮する際に構築される構成とすることができる。
【0013】
また、本発明においては、合成対象となる画像に使用される前記指標値の数と予め定めた閾値とを比較し、前記指標値の数が前記閾値以下の場合に、画素単位での可逆圧縮、合成及び伸張を行う構成、又は、合成対象となる画像における特定の属性値を有する画素の数量と予め定めた閾値とを比較し、前記画素の数量が前記閾値以下の場合に、画素単位での可逆圧縮、合成及び伸張を行う構成とすることができる。
【0014】
また、本発明においては、前記合成対象となる画像は、再利用される画像と再利用されない画像とを含み、前記再利用される画像及び前記再利用されない画像の各々に対して、前記指標値の数又は前記画素の数量と前記閾値とを比較する構成とすることもできる。
【0015】
また、本発明は、複数の画像を合成して印刷する印刷システムにおいて、mビットで表される色空間上の座標値と前記mビットより小さいnビットで表される指標値とを対応付けるテーブルにより、第1画像にかかる第1画像データを画素単位で可逆圧縮し、前記第1画像データを可逆圧縮するのに用いた前記テーブルにより、第2画像にかかる第2画像データを画素単位で可逆圧縮する符号化部と、圧縮された前記第1画像データと圧縮された前記第2画像データとを画素単位で合成して圧縮された合成画像データを生成する画像合成部と、前記圧縮された合成画像データを、前記テーブルを用いて画素単位で伸張し、各画素が前記色空間上の座標値として表される合成画像データを生成する復号化部と、を少なくとも備えるものである。
【0016】
また、本発明は、複数の画像を合成して印刷する印刷システムで動作する画像合成プログラムであって、コンピュータを、mビットで表される色空間上の座標値と前記mビットより小さいnビットで表される指標値とを対応付けるテーブルにより、第1画像にかかる第1画像データを画素単位で可逆圧縮し、前記第1画像データを可逆圧縮するのに用いた前記テーブルにより、第2画像にかかる第2画像データを画素単位で可逆圧縮する符号化部、圧縮された前記第1画像データと圧縮された前記第2画像データとを画素単位で合成して圧縮された合成画像データを生成する画像合成部、前記圧縮された合成画像データを、前記テーブルを用いて画素単位で伸張し、各画素が前記色空間上の座標値として表される合成画像データを生成する復号化部、として機能させるものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の画像合成方法及び印刷システム並びに画像合成プログラムによれば、復号時の画像の劣化を防止し、効率的に画像を合成することができる。
【0018】
その理由は、合成対象となる複数の画像データを、共通の符号化テーブルを用いて画素単位で固定長可逆圧縮形式によって符号化(圧縮)し、符号化された画像データを画素単位で合成し、合成後に上記共通の符号化テーブルを用いて画素単位で復号化(伸張)するからである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
背景技術で示したように、バリアブル印刷の効率化を図るために、オブジェクトを再利用可能オブジェクトと非再利用オブジェクトに分類し、再利用可能オブジェクトを記憶装置上にキャッシュする方法が用いられるが、システム資源を節約するために、再利用可能オブジェクトは圧縮する必要があり、通常は、圧縮効率の高さや普及率の点から可変長符号化方式が採用される。
【0020】
以下、従来のバリアブル印刷システムの構成及び動作について図15乃至図17を参照して概説する。
【0021】
図15に示すように、従来のバリアブル印刷システムは、大別すると、クライアントPC(11A〜11C)、プリンタコントローラ(12A,12B)、印刷装置(13A,13B)で構成され、それぞれは通信回線で接続されている。
【0022】
クライアントPC(11A〜11C)は、プリントデータを作成するためのプリンタドライバソフトウェアがインストールされているパーソナルコンピュータである。プリンタコントローラ(12A,12B)は、クライアントPC(11A〜11C)からのプリントデータを受信し、ページ毎のラスタ画像を形成し、形成したラスタ画像を印刷装置(13A,13B)に転送する。印刷装置(13A,13B)は、プリンタコントローラ(12A,12B)から受信したページ毎のラスタ画像を印刷する。
【0023】
また、プリンタコントローラ(12A,12B)は、制御部(120)、画像生成部(121)、画像合成部(122)、符号化部(123A)、復号化部(124A)、プリンタエンジンI/F(125)、外部記憶装置(130)、記憶装置(140)などで構成される。
【0024】
上記構成のバリアブル印刷システムを用いて印刷する場合、ユーザはクライアントPC(11A〜11C)にインストールされているアプリケーションソフトウェアを用いてバリアブルプリントデータを作成する。作成したバリアブルプリントデータは、通信回線(14)を通じてプリンタコントローラ(12B)の外部記憶装置(130)に格納される。
【0025】
そして、図16のフローチャート図に示すように、プリンタコントローラ(12B)の制御部(120)は、外部記憶装置(130)に格納されているバリアブルプリントデータ(131)からレイアウト情報(132)を取得し、レイアウト情報(132)からバリアブルオブジェクト群(133)に含まれる再利用画像(142)を画像生成部(121)により生成する(S401)。次に、生成した再利用画像(142)を符号化部(123A)で符号化(圧縮)した後、記憶装置(140)にキャッシュする(S402)。次に、制御部(120)は1ページ分のレイアウト情報を取得し、画像合成部(122)に1ページ分のページレイアウトを指示し、画像合成部(122)でレイアウト情報に基づいて画像を合成する(S403)。最後に、制御部(120)はページレイアウトが完了したページ画像(141)をプリンタエンジンI/F(125)を経由して印刷装置(13B)に送り、印刷装置(13B)で印刷およびフィニッシング処理を行う(S404)。そして、制御部(120)は全ページの印刷出力が完了したかを判断し(S405)、完了するまで上記処理を繰り返す。
【0026】
上記ステップS403の合成処理の詳細は図17のフローチャート図のようになる。先ず、画像合成部(122)は制御部(120)より受け渡された1ページ分のレイアウト情報を読み込む(S403a)。次に、1ページ分のレイアウト情報内の1オブジェクト分のレイアウト情報を読み込む(S403b)。次に、オブジェクトが再利用画像(142)、非再利用画像(143)のいずれかを判定する(S403c)。再利用画像(142)の場合は、キャッシュから該当画像を読み込み(S403d)、復号化部(124A)に指示して復号した後(S403e)、レイアウト情報に基づいて合成する(S403f)。一方、非再利用画像(143)の場合は、画像生成部(121)で画像を生成した後(S403h)、レイアウト情報に基づいて合成する(S403f)。そして、画像合成部(122)は1ページ分のレイアウト情報に記載されたすべての対象オブジェクトの合成処理が完了したかを判断し(S403g)、完了するまで上記処理を繰り返す。
【0027】
このように、データ圧縮の手法として、可変長符号化方式を用いた場合、圧縮状態のまま合成することが不可能であるため、再利用可能オブジェクトを合成する度に、ステップS403eで一旦復号した後に合成する必要があり、ページレイアウト時間が遅くなるという問題がある。
【0028】
一方、固定長符号化方式として固定長ブロックトランケーション符号があり、特許文献1には、固定長ブロックトランケーション符号で圧縮した画像同士の重ね合わせ編集(合成含む。)に関する技術が開示されている。この方式では、画像同士を圧縮したまま合成することができるが、ブロックトランケーション符号方式は不可逆圧縮の一種であるため、復号時に画像の劣化が発生するという問題が生じる。
【0029】
また、特許文献1では、ブロックトランケーション符号方式により4×4画素を1ブロックとしてブロック単位で圧縮し、ブロック内容を置き換えることにより合成処理を実現している。そのため、合成先と合成元の二つの画像のブロック境界が整列していないケースやブロック内の特定画素のみを合成するようなケースにおいては、単純にブロック内容を置き換えることができないため、ブロック内容を一旦復号した後に合成し再度符号化するなど煩雑な処理を行う必要があり、この場合は、可変長符号化方式のようにページレイアウト時間が遅くなるという問題が生じる。
【0030】
そこで、本実施形態では、上記可変長符号化方式の問題を解消するために固定長符号化方式を用い、ブロック単位で圧縮する際の問題を解消するために画素単位で符号化(圧縮)を行い、更に、不可逆圧縮における画像の劣化の問題を解消するために共通の符号化テーブルを用いて可逆圧縮する手法を採用する。
【0031】
なお、上記手法は、圧縮効率の点では従来の可変長符号化方式や不可逆圧縮の一種であるブロック圧縮に劣る。しかしながら、昨今のメモリの低価格化に伴い、印刷装置(或いは印刷システム)に搭載するメモリ量が年々増加しており、また、近年のカラー印刷装置の高速化/高画質化への要求を考慮すると、圧縮効率よりもページレイアウト時間の高速化や復号時の画像劣化の方が重要な問題であることから、上記手法は、可変長符号化方式やブロック圧縮よりも優れていると言える。
【実施例1】
【0032】
上記した本発明の実施の形態についてさらに詳細に説明すべく、本発明の第1の実施例に係る画像合成方法及び印刷システム並びに画像合成プログラムについて、図1乃至図9を参照して説明する。図1は、本実施例のバリアブル印刷システムの構成を示す図である。また、図2は、本実施例のバリアブル印刷システムにおける全体の流れを示すフローチャート図であり、図3は、プリンタコントローラにおける共通符号化処理を示すフローチャート図、図4は、圧縮合成処理を示すフローチャート図、図5は、共通復号化処理を示すフローチャート図である。また、図6は、共通符号化テーブルの具体例を示す図であり、図7は、共通符号化処理イメージ、図8は、圧縮合成処理イメージ、図9は、共通符号化処理イメージを示す図である。
【0033】
まず、本実施例に係る圧縮方式の基礎となるインデックスカラーによる符号化について説明する。
【0034】
インデックスカラーとはビットマップ画像の色表現方法の一種であり、画素毎に色を色空間上の座標として直接指定するのではなく、カラーマップと呼ばれる色定義テーブル上の色番号(指標値)を指定して画像を表現する形式として一般に広く知られている。
【0035】
この方法は、文字やイラスト中心で構成された画像の場合、画像の中で使用されている色数が限定されていることが多いという特徴に着目した方法であり、予め使用している色を「色番号1:赤100/緑50/青/20、色番号2:赤4/緑/90/青50…」のように色番号で定義しておき、画素毎のデータとしてこの色番号を指定することにより、高い色解像度を持ちつつデータ量を削減することができる。このような色表現を「インデックスカラー(indexed color)」または「疑似カラー(pseudo color)」と呼ぶ。これに対して、画素毎に直接色を色空間上の座標として指定する色表現を「トゥルーカラー(true color)」または「フルカラー(full color)」と呼ぶ。
【0036】
インデックスカラーにおいて色番号と実際の色の対応を定義する表は「カラーマップ(color map)」、「カラールックアップテーブル(color lookup table)」、「カラーパレット(color palette)」などと呼ばれる。例えば、カラーマップの大きさが4色分では各画素に必要なデータは2ビット、16色では4ビット、256色では8ビットなどのようになり、CPU(Central Processing Unit)のデータ処理の単位として8ビットがよく用いられる事から、256色のインデックスカラーが最もよく用いられている。
【0037】
また、インデックスカラーは、色番号から実際の色に完全に再現可能であることから可逆圧縮の一種と見做すことができる。色番号から実際の色に変換する復号化処理は、カラーマップを参照するのみの簡単な実装で済むためハードウェア(ビデオ出力回路など)上で可能なことも多い。この場合、予めカラーマップを出力回路の特別な部分に書き込んでおけば、少量の画素データを転送するだけで画像が表示できるので高速な描画が可能となる。
【0038】
そこで、本実施例では、インデックスカラーの特徴である画素単位で色成分値(色空間上の座標値)を色番号に置き換えることによる固定長符号化が可能な点と、カラーマップ経由で実際の色に完全に復元することが出来る可逆圧縮可能な点に着目して、すべてのバリアブルオブジェクトを共通のカラーマップを利用してインデックスカラー化することにより、バリアブルオブジェクト同士を色番号の状態、つまり圧縮したままの状態で合成できるようにしている。帳票や請求書などのバリアブル印刷物の場合、文字やロゴ/罫線などの図形が中心で構成されており、使用している色数が限定されている可能性がきわめて高いことから非常に好適な事例であると言える。以下、上記手法を実現するシステムの一例について説明する。
【0039】
図1は、本実施例のバリアブル印刷システムの一例である。本実施例のバリアブル印刷システムは、クライアントPC(11A〜11C)、プリンタコントローラ(12A,12B)、印刷装置(13A,13B)で構成され、それぞれは通信回線(14)で接続されている。
【0040】
クライアントPC(11A〜11C)は、プリントデータを作成するためのプリンタドライバソフトウェアがインストールされているパーソナルコンピュータである。また、クライアントPC(11A〜11C)は、プリンタコントローラ(12A,12B)での処理状況の監視やプリンタコントローラ(12A,12B)で作成したページ毎のラスタ画像を表示する際に用いることができる。
【0041】
プリンタコントローラ(12A,12B)は、クライアントPC(11A〜11C)からのプリントデータを受信し、外部記憶装置(130)および記憶装置(140)を用いてページ毎のラスタ画像を形成する。形成したラスタ画像はプリンタエンジンI/F(125)を通じて印刷装置(13A,13B)に転送する。
【0042】
印刷装置(13A,13B)は、プリンタコントローラ(12A,12B)から受信したページ毎のラスタ画像を印刷する。なお、印刷装置は特に限定されないが、本実施例のバリアブル印刷システムの最大の利点は高解像度カラー画像の高速印刷が可能となることであるため、印刷装置は高速高画質の印刷が可能な機種であることが望ましい。
【0043】
通信回線(14)は、クライアントPC(11A〜11C)とプリンタコントローラ(12A,12B)をイーサネット(登録商標)等により相互に接続する。この通信回線(14)を通して、クライアントPC(11A〜11C)で生成したプリントデータをプリンタコントローラ(12A,12B)に送信する。
【0044】
また、プリンタコントローラ(12A,12B)は、制御部(120)、画像生成部(121)、画像合成部(122)、共通符号化部(123)、共通復号化部(124)、プリンタエンジンI/F(125)、外部記憶装置(130)、記憶装置(140)などで構成される。すなわち、本実施例では、図15で示した従来の構成における符号化部(123A)と復号化部(124A)に代えて、共通符号化部(123)と共通復号化部(124)を設け、記憶装置(140)にカラーマップ(本実施例では共通符号化テーブル(144)と呼ぶ。)を記憶している。以下、個々の要素について説明する。
【0045】
制御部(120)は、CPU、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などのメモリなどで構成され、クライアントPC(11A〜11C)から投入されたプリントデータ(131)の画像形成、画像合成、印刷装置(13A,13B)への転送に関するフロー制御を行う。
【0046】
画像生成部(121)は、制御部(120)の指示により、外部記憶装置(130)に保存されているバリアブルオブジェクト群(133)からラスタ画像を生成する。ラスタ画像(142,143)には、プリントデータ内で何度も使用される再利用画像(142)と、プリントデータ内で数度(例えば1度)しか使用されない非再利用画像(143)とがある。
【0047】
画像合成部(122)は、制御部(120)の指示により、記憶装置(140)に記録されている再利用画像(142)、非再利用画像(143)を用いて画像合成を行い、1ページ分のページ画像(141)を生成する。
【0048】
共通符号化部(123)は、制御部(120)の指示により、指定されたラスタ画像(142,143)を共通符号化テーブル(144)を参照して符号化(圧縮)する。
【0049】
共通復号化部(124)は、制御部(120)の指示により、ページ画像(141)を共通符号化テーブル(144)を参照して復号化(伸張)する。
【0050】
プリンタエンジンI/F(125)は、印刷装置(13B)の制御およびページ画像(141)の印刷装置(13B)への転送を行う。
【0051】
外部記憶装置(130)は、クライアントPC(11A〜11C)で作成されたプリントデータを記憶する。
【0052】
バリアブルプリントデータ(131)は、レイアウト情報(132)とバリアブルオブジェクト群(133)で構成される。
【0053】
レイアウト情報(132)は、バリアブルオブジェクト群(133)のオブジェクト情報(識別名称や再利用オブジェクトであるか否かなど)や、ページレイアウトに関する情報(配置オブジェクト名称、配置先の原点座標、オブジェクトの幅/高さなど)が記述されている。
【0054】
バリアブルオブジェクト群(133)は、ページ記述言語(PS(Post Script)、PDF(Portable Document Format)、EPS(Encapsulated Post Script)など)のデータやラスタ画像データ(JPEG、TIFFなど)、ベクトル画像データ(SVG(Scalable Vector Graphics)など)などである。なお、バリアブルオブジェクト群(133)はプリンタコントローラ(12B)の外部記憶装置(130)に保存されている必要はなく、リモートデータベースや共有ファイルシステムに保存される構成としてもよい。
【0055】
記憶装置(140)は、画像生成部(121)で生成されたラスタ画像(142,143)や画像合成部(122)で作成されたページ画像(141)を一時的に記憶する。これらのデータは制御部(120)により外部記憶装置(130)やプリンタエンジンI/F(125)などに転送される。
【0056】
ページ画像(141)は、印刷するページの内容を示す画像であり、制御部(120)により印刷装置(13A,13B)へ転送される。
【0057】
再利用画像(142)は、文書中で複数回使用されるラスタ画像であり、画像生成部(121)により生成される。再利用オブジェクトであることはレイアウト情報(132)に記載されている。再利用画像(142)は全ページ分のページ画像の作成が完了するまでキャッシュされる。
【0058】
非再利用画像(143)は、文書中で数度(例えば1度)しか使用しないラスタ画像であり、画像生成部(121)により生成される。例えば、ダイレクトメールであれば、顧客名、顧客住所などが挙げられる。非再利用オブジェクトであることはレイアウト情報(132)に記載されている。使用後は速やかに記憶装置(140)から消去される。
【0059】
共通符号化テーブル(144)は、色番号(指標値)と実際の色成分値(色空間上の座標値)が定義された共通のカラーマップである。なお、カラーマップの大きさは予め本実施例の画像合成方法による効果が期待できる限定された色数(256色や65536色など)で定義されているものとする。共通符号化テーブル(144)は全ページ分の作成が完了するまで記憶装置(140)上に保持される。共通符号化テーブルの具体的な内容を図6に示す。
【0060】
なお、上記画像合成部(122)、共通符号化部(123)、共通復号化部(124)は、ハードウェアとして構成してもよいし、コンピュータを、画像合成部(122)、共通符号化部(123)、共通復号化部(124)として機能させる画像合成プログラムとして構成し、該画像合成プログラムを制御部(120)上で動作させる構成としてもよい。以下、本実施例の画像合成方法について説明する。
【0061】
[全体の流れ]
まず、本実施例のバリアブル印刷システムにおける全体の流れについて、図2のフローチャート図を参照して説明する。
【0062】
ユーザはクライアントPC(11A〜11C)にインストールされているアプリケーションソフトウェアを用いてバリアブルプリントデータを作成する。作成したバリアブルプリントデータは、通信回線(14)を通じてプリンタコントローラ(12B)の外部記憶装置(130)に格納される。
【0063】
次に、ステップS101で、プリンタコントローラ(12B)の制御部(120)は、外部記憶装置(130)に格納されているバリアブルプリントデータ(131)からレイアウト情報(132)を取得し、レイアウト情報(132)からバリアブルオブジェクト群(133)に含まれる再利用画像(142)を画像生成部(121)により生成する。
【0064】
次に、ステップS102で、制御部(120)は、生成した再利用画像(142)を共通符号化部(123)経由で圧縮したのち、記憶装置(140)にキャッシュする。この共通符号化処理の詳細は後述する。
【0065】
次に、ステップS103で、制御部(120)は、1ページ分のレイアウト情報を取得し、画像合成部(122)に1ページ分のページレイアウトを指示し、画像合成部(122)は、レイアウト情報に基づいて画像を合成する。その際、合成は圧縮された状態で行う。この画像合成処理の詳細は後述する。
【0066】
次に、ステップS104で、制御部(120)は、ページレイアウトが完了したページ画像(141)を共通復号化部(124)で復号化した後、プリンタエンジンI/F(125)を経由して印刷装置(13B)に送る。この共通復号化処理の詳細は後述する。
【0067】
そして、ステップS105で、制御部(120)は、全ページの印刷出力が完了したかを判断し、印刷出力していないページがあればステップS103に戻り、全ページの印刷出力が完了するまで上記処理を繰り返す。
【0068】
なお、上記フローでは、プリンタコントローラ(12B)の共通復号化部(124)で共通復号化処理(S104)を行う場合を示したが、プリンタエンジンI/F(125)、もしくは、印刷装置(13B)上のハードウェアで復号化が可能な場合は、共通復号化部(124)を省略することができる。
【0069】
[共通符号化処理]
次に、ステップS102の共通符号化処理の詳細について、図3のフローチャート図を参照して説明する。この共通符号化処理は、制御部(120)の制御に従って共通符号化部(123)により実行される。
【0070】
先ず、ステップS102aで、制御部(120)より指定されたラスタ画像データ(142,143)の1つを読み込む。
【0071】
次に、読み込んだ画像内のすべての画素を走査しながら共通符号化を行う。注目画素は画像の原点(通常は左上)から主走査方向(水平)/副走査方向(垂直)の順に移動していくものとする。具体的には、ステップS102bで、注目画素の色成分値を読み込み、ステップS102cで、読み込んだ注目画素の色成分値が共通符号化テーブル(144)に既に登録されているかどうかを確認する。未登録の場合は、色成分値を共通符号化テーブル(144)に登録する。共通符号化テーブル(144)では、新たな符号となるシーケンシャルな色番号(0〜(共通符号化テーブルの大きさ―1)など)を割り当てたのち登録する。
【0072】
次に、ステップS102dで、共通符号化テーブル(144)から色成分値に対応する符号(色番号)を取得する。
【0073】
次に、ステップS102eで、取得した符号(色番号)を圧縮データとして書き込む。
【0074】
そして、ステップS102fで、指定された全てのラスタ画像データ(142,143)の符号が完了したかを判断し、完了するまで上記処理を繰り返す。この共通符号化処理の具体的な処理イメージを図7に示す。
【0075】
なお、図3では画素単位で共通符号化テーブルに登録されているかを確認しているが、文字やベタ塗り部分を想定すると分かり易いように、注目画素と周辺の近傍画素は同色が設定されている可能性がきわめて高い。この点に着目して、注目画素の色成分値と既に走査済みの近傍画素(注目画素の左隣や真上の画素など)の色成分値を比較して、異なる場合のみ共通符号化テーブルへのアクセスを行う構成としてもよく、これにより処理の効率化を図ることができる。この手法は、以降に記述する共通復号化処理や適用判定処理においても適用することが可能である。
【0076】
[圧縮合成処理]
次に、ステップS103の圧縮合成処理の詳細について、図4のフローチャート図を参照して説明する。この圧縮合成処理は、制御部(120)の制御に従って画像合成部(122)により実行される。
【0077】
先ず、ステップS103aで、制御部(120)より受け渡された1ページ分のレイアウト情報を読み込む。
【0078】
次に、ステップS103bで、1ページ分のレイアウト情報内の1オブジェクト分のレイアウト情報を読み込む。
【0079】
次に、ステップS103cで、レイアウト対象のオブジェクトが再利用画像(142)、非再利用画像(143)のいずれであるかを判定する。そして、再利用画像(142)の場合は、ステップS103dで、キャッシュから該当画像を読み込み、ステップS103eで、復号化することなく圧縮状態のまま合成(色番号の置き換え)を行う。一方、非再利用画像(143)の場合は、ステップS103gで、画像生成部(121)で画像を生成し、ステップS103hで、共通符号化部(123)経由で圧縮したのち、ステップS103eで圧縮状態のまま合成(色番号の置き換え)を行う。
【0080】
次に、ステップS103fで、1ページ分のレイアウト情報に記載されたすべてのオブジェクトの合成処理が完了したかを判断し、完了するまで上記処理を繰り返す。この圧縮合成処理の具体的な処理イメージを図8に示す。
【0081】
[共通復号化処理]
次に、ステップS104の共通復号化処理の詳細について、図5のフローチャート図を参照して説明する。この共通復号化処理は、制御部(120)の制御に従って共通符号化部(123)により実行される。
【0082】
先ず、ステップS104aで、制御部(120)より指定された圧縮合成済みのページ画像(141)を読み込む。
【0083】
次に、ステップS104bで、読み込んだページ画像(141)のすべての画素を走査しながら復号する。
【0084】
次に、ステップS104cで、読み込んだ注目画素の符号(色番号)に対応する色成分値を共通符号化テーブル(144)から取得する。
【0085】
次に、ステップS104dで、取得した色成分値を復号データとして書き込む。
【0086】
そして、ステップS104eで、指定されたページ画像(141)のすべての画素の復号が完了したかを判断し、完了するまで上記処理を繰り返す。この共通復号化処理の具体的な処理イメージを図9に示す。
【0087】
このように、本実施例では、バリアブルプリントデータ(131)からレイアウト情報(132)を取得し、レイアウト情報(132)からバリアブルオブジェクト群(133)に含まれる再利用画像(142)を生成し、共通符号化テーブル(144)を用いて再利用画像(142)の各画素の色成分値(色空間上の座標値)を色番号(指標値)に変換して圧縮し、圧縮データをキャッシュしておき、画像合成に際して、圧縮した状態で画像を合成し、復号化処理に際して、上記共通符号化テーブル(144)を用いて圧縮した画像の各画素の色番号を色成分値に変換して伸張するため、復号時の画像の劣化を抑制しつつ、効率的に画像を合成することができる。
【実施例2】
【0088】
次に、本発明の第2の実施例に係る画像合成方法及び印刷システム並びに画像合成プログラムについて、図10乃至図12を参照して説明する。図10は、本実施例のバリアブル印刷システムの構成を示す図である。また、図11は、本実施例のバリアブル印刷システムにおける全体の流れを示すフローチャート図であり、図12は、プリンタコントローラにおける適用判定処理を示すフローチャート図である。
【0089】
前記した第1の実施例では、帳票や請求書など使用色数が限定されている文書のみが印刷される環境での利用を想定して、予め共通符号化テーブル(144)の大きさを固定値で設定したが、写真などの自然画像が多用された印刷物が投入される可能性も無論存在する。その場合、使用色数が共通符号化テーブル(144)の大きさを超えてしまう恐れがある。
【0090】
そこで、本実施例では、先頭ページの合成処理を行う前に、すべての再利用画像(142)と先頭ページにレイアウトする非再利用画像(143)の使用色数を元に、共通符号化の適用可否を判定する処理を設け、適用可能の場合は共通符号化処理を行い、適用不可の場合は従来の処理を行うようにする。なお、非再利用画像(143)の適用判定対象を先頭ページのみとしているのは、バリアブル印刷の特性上、後続ページでも同一の場所に同一の属性(文字、イラスト、写真など)のデータを差し替えて印刷することが一般的であるためである。
【0091】
図10は、本実施例のバリアブル印刷システムの一例である。本実施例では、図1のプリンタコントローラ(12A,12B)に、符号化部(123A)、復号化部(124A)、適用判定部(126)を設けている。以下、第1の実施例のシステム構成と異なる部分について説明する。
【0092】
符号化部(123A)は、再利用画像(142)と先頭ページの非再利用画像(143)を記憶装置(130)にキャッシュする場合に使用する。
【0093】
復号化部(124A)は、キャッシュされた再利用画像(142)と先頭ページの非再利用画像(143)を復号する場合に使用する。
【0094】
適用判定部(126)は、制御部(120)の指示により、再利用画像(142)、先頭ページの非再利用画像(143)の使用色数と予め設定したしきい値との大小比較により、共通符号化の適用可否を判定する。しきい値には本実施例の画像合成方法による効果が期待できるような限定された色数を任意に設定できるものとする。
【0095】
なお、画像合成部(122)、共通符号化部(123)、共通復号化部(124)、符号化部(123A)、復号化部(124A)、適用判定部(126)は、ハードウェアとして構成してもよいし、コンピュータを、画像合成部(122)、共通符号化部(123)、共通復号化部(124)、符号化部(123A)、復号化部(124A)、適用判定部(126)として機能させる画像合成プログラムとして構成し、該画像合成プログラムを制御部(120)上で動作させる構成としてもよい。
【0096】
[全体の流れ]
次に、本実施例のバリアブル印刷システムにおける全体の流れについて、図11のフローチャート図を参照して説明する。
【0097】
ユーザはクライアントPC(11A〜11C)にインストールされているアプリケーションソフトウェアを用いてバリアブルプリントデータを作成する。作成したバリアブルプリントデータは、通信回線(14)を通じてプリンタコントローラ(12B)の外部記憶装置(130)に格納される。
【0098】
次に、ステップS201で、プリンタコントローラ(12B)の制御部(120)は、外部記憶装置(130)に格納されているバリアブルプリントデータ(131)からレイアウト情報(132)を取得し、レイアウト情報(132)からバリアブルオブジェクト群(133)に含まれる再利用画像(142)を画像生成部(121)により生成する。
【0099】
次に、ステップS202で、制御部(120)は、生成した再利用画像(142)を符号化部(123A)経由で圧縮したのち、記憶装置(140)にキャッシュする。
【0100】
次に、ステップS203で、制御部(120)は、1ページ分のレイアウト情報を取得し、バリアブルオブジェクト群(133)に含まれる先頭ページの非再利用画像(143)のみを画像生成部(121)により生成する。
【0101】
次に、ステップS204で、制御部(120)は、生成した先頭ページの非再利用画像(143)を符号化部(123A)経由で圧縮したのち、記憶装置(140)にキャッシュする。
【0102】
次に、ステップS205で、制御部(120)は、記憶装置(130)にキャッシュした再利用画像(142)、先頭ページの非再利用画像(143)を元に共通符号化の適用判定を行うよう適用判定部(126)に指示する。この適用判定処理の詳細は後述する。
【0103】
そして、ステップS206で適用可能と判断された場合は、ステップS207で、制御部(120)は、再利用画像(142)、先頭ページの非再利用画像(143)を共通符号化部(123)経由で圧縮したのち記憶装置(140)に再キャッシュする。以降のステップS208〜S211の処理は第1の実施例のステップS103〜S106と同じである。一方、適用不可と判断された場合は、従来どおりの処理を行う。
【0104】
[適用判定処理]
次に、ステップS205の適用判定処理の詳細について、図12のフローチャート図を参照して説明する。この適用判定処理は、制御部(120)の制御に従って適用判定部(126)により実行される。
【0105】
まず、ステップS205aで、制御部(122)より指定された適用判定対象となるラスタ画像データを1つ読み込む。
【0106】
次に、ステップS205bで、読み込んだラスタ画像データが符号化部(123A)で圧縮されている場合は、復号化部(124A)経由で復号する。
【0107】
次に、読み込んだ画像内のすべての画素の色成分値を抽出しながら適用可否の判定を行う。具体的には、ステップS205cで、注目画素の色成分値を読み込み、ステップS205dで、注目画素の色成分値が共通符号化テーブルに登録済みか否かを確認する。未登録の場合は、ステップS205hで、色成分値を共通符号化テーブルに登録する。次に、ステップS205iで、共通符号化テーブルの現在の登録数と予め設定したしきい値との大小比較を行う。そして、共通符号化テーブルの登録数がしきい値を超えた場合、ステップS205jで、適用不可と判断してただちに処理を終了する。
【0108】
一方、共通符号化テーブルの登録数がしきい値以下の場合は、ステップS205eで、全ての画素の解析が完了したかを判断する。完了していない場合はステップS205cに戻り、完了した場合は、ステップS205fで、全ての対象ラスタ画像データの解析が完了したかを判断する。完了していない場合はステップS205aに戻り、完了した場合は、ステップS205gで、適用可能と判定し、適用判定処理を終了する。
【0109】
このように、再利用画像(142)及び先頭ページの非再利用画像(143)の使用色数と予め設定したしきい値とを比較し、使用色数がしきい値以下の場合に、共通符号化処理が適用可能と判定することにより、写真などの自然画像が多用された印刷物が投入された場合であっても、正しく印刷処理を実行することができる。
【実施例3】
【0110】
次に、本発明の第3の実施例に係る画像合成方法及び印刷システム並びに画像合成プログラムについて、図13を参照して説明する。図13は、本実施例のプリンタコントローラにおける適用判定処理を示すフローチャート図である。
【0111】
前記した第2の実施例では、共通符号化処理の適用判定に際して、再利用画像(142)及び先頭ページの非再利用画像(143)の使用色数と予め設定したしきい値とを比較したが、他の手法を用いることもできる。
【0112】
例えば、画像生成装置(RIP(Raster Image Processor))の中にはCMYKなどの色成分値のほかに画素毎の属性データを一緒に出力可能なものが存在する。出力される属性値としては、文字(Text)、図形(Graphics)、写真(Image)の3分類が一般的である。このうち、文字と図形に相当する部分は黒単色やベタ塗りなど使用色数が非常に少ない可能性が高く、逆に写真部分は使用色数が非常に多い可能性が高い。この点に着目して、本実施例では、写真(Image)に相当する画素の数を元に共通符号化処理の適用可否を判定する処理を設ける。本実施例と前記した第2の実施例とを比較した場合、共通符号化テーブルへの登録確認が一切不要となるため、本実施例ではより高速に適用判定を行うことが可能である。以下に適用判定の具体的な処理内容を記述する。
【0113】
[適用判定処理]
適用判定処理の詳細について、図13のフローチャート図を参照して説明する。この適用判定処理は、制御部(120)の制御に従って適用判定部(126)により実行される。
【0114】
まず、ステップS215aで、プリンタコントローラ(12B)に予め設けられている写真画素カウンタをゼロクリアする。
【0115】
次に、ステップS215bで、制御部(122)より指定された共通符号化対象となるラスタ画像データに対応する属性データを1つ読み込む。なお、属性データはラスタ画像データと同じだけの画素数で構成されているものとする。
【0116】
次に、ステップS215cで、読み込んだ属性データが符号化部(123A)で圧縮されている場合は、復号化部(124A)経由で復号する。
【0117】
次に、読み込んだ属性データのすべての画素の属性値を順番に抽出しながら適用可否の判定を行っていく。具体的には、ステップS215dで、注目画素に対応する属性値を読み込み、ステップS215eで、読み込んだ注目画素の属性値が「写真」であるかを判定する。そして、「写真」の場合は、ステップS215iで、写真画素カウンタをインクリメントする。次に、ステップS215jで、写真画素カウンタと予め設定したしきい値との大小比較を行う。写真画素カウンタの数がしきい値を超えた場合は、ステップS215kで、適用不可と判断してただちに処理を打ち切る。
【0118】
一方、写真画素カウンタの数がしきい値以下の場合は、ステップS215fで、全ての画素の解析が完了したかを判断する。完了していない場合はステップS215dに戻り、完了した場合は、ステップS215gで、全ての対象ラスタ画像データの解析が完了したかを判断する。完了していない場合はステップS215bに戻り、完了した場合は、ステップS215hで、適用可能と判定し、適用判定処理を終了する。
【0119】
このように、属性値が「写真」である画素の数と予め設定したしきい値とを比較し、画素数がしきい値以下の場合に、共通符号化処理が適用可能と判定することにより、共通符号化テーブルへの登録確認が不要となり、より高速に適用判定を行うことができる。
【実施例4】
【0120】
次に、本発明の第4の実施例に係る画像合成方法及び印刷システム並びに画像合成プログラムについて、図14を参照して説明する。図14は、本実施例のバリアブル印刷システムにおける全体の流れを示すフローチャート図である。
【0121】
前記した第2及び第3の実施例では、再利用オブジェクトと非再利用オブジェクトとを合わせた画素データに対して適用判定を行ったが、例えばPOPなど、再利用オブジェクトとしてロゴやイラストなどの下地、もしくは「特売品」「激安」などの宣伝見出し文字が中心で構成され、非再利用オブジェクトとして商品写真が多用された印刷物が投入される可能性もある。この場合、再利用オブジェクト部分には共通符号化処理が適用可能であり、非再利用オブジェクト部分には共通符号化処理が不可能である可能性が高い。
【0122】
そこで、本実施例では、再利用オブジェクト、非再利用オブジェクトの各々に対して、個別に共通符号化処理の適用判定を行う。すなわち、再利用オブジェクトのみ共通符号化処理が適用可能であった場合に、再利用オブジェクト部分には共通符号化処理を行い、非再利用オブジェクト部分には従来どおりの処理を行い(すなわち、ハイブリッドな処理を行い)、再利用オブジェクト部分に掛かる合成処理時間の短縮を図る。以下に具体的な処理内容を記述する。
【0123】
[全体の流れ]
本実施例のバリアブル印刷システムにおける全体の流れについて、図14のフローチャート図を参照して説明する。
【0124】
ユーザはクライアントPC(11A〜11C)にインストールされているアプリケーションソフトウェアを用いてバリアブルプリントデータを作成する。作成したバリアブルプリントデータは、通信回線(14)を通じてプリンタコントローラ(12B)の外部記憶装置(130)に格納される。
【0125】
次に、ステップS301で、制御部(120)は、外部記憶装置(130)に格納されているバリアブルプリントデータ(131)からレイアウト情報(132)を取得し、レイアウト情報(132)からバリアブルオブジェクト群(133)に含まれる再利用画像(142)を画像生成部(121)により生成する。
【0126】
次に、ステップS302で、制御部(120)は、生成した再利用画像(142)を共通符号化部(123)経由で圧縮したのち、記憶装置(140)にキャッシュする。
【0127】
次に、ステップS303で、制御部(120)は、記憶装置(140)にキャッシュした再利用画像(142)を元に共通符号化の適用判定を行うよう適用判定部(126)に指示する。そして、ステップS304で適用可能と判断された場合は、ステップS305で、再利用画像(142)を共通符号化部(123)経由で圧縮したのち、記憶装置(140)に再キャッシュする。適用不可と判断された場合は従来どおりの処理を行う。
【0128】
次に、ステップS306で、制御部(120)は、1ページ分のレイアウト情報を取得し、バリアブルオブジェクト群(133)に含まれる先頭ページの非再利用画像(143)を画像生成部(121)により生成する。
【0129】
次に、ステップS307で、制御部(120)は、生成した先頭ページの非再利用画像(143)を符号化部(123A)経由で圧縮したのち、記憶装置(140)にキャッシュする。
【0130】
次に、制御部(120)は、記憶装置(140)にキャッシュした先頭ページの非再利用画像(143)を元に共通符号化の適用判定を行うよう適用判定部(126)に指示する。そして、ステップS308で適用可能と判断された場合は、ステップS309で、先頭ページの非再利用画像(143)を共通符号化部(123)経由で圧縮したのち、記憶装置(140)に再キャッシュする。以降のステップS310〜S313の処理は第1の実施例のステップS103〜S106と同じである。
【0131】
一方、ステップS308で適用不可と判断された場合は、ステップS314で、制御部(120)は1ページ分のレイアウト情報を取得し、画像合成部(122)に1ページ分の再利用オブジェクトのみ圧縮合成でページレイアウトするように指示する。
【0132】
次に、ステップS315で、制御部(120)は、再利用オブジェクトのみのページレイアウトが完了したページ画像(141)を共通復号化部(124)で復号したのち、ステップS316で、画像合成部(122)に1ページ分の非再利用オブジェクトのみ、通常合成でページレイアウトするように指示する。
【0133】
最後に、ステップS317で、制御部(120)は、ページレイアウト完了したページ画像(141)をプリンタエンジンI/F(125)を経由して印刷装置(13B)に送る。
【0134】
そして、ステップS318で、制御部(120)は、全ページの印刷出力が完了したかを判断し、完了していない場合はステップS314に戻り、完了したら処理を終了する。
【0135】
このように、共通符号化処理の適用判定を再利用オブジェクト、非再利用オブジェクトそれぞれに対して行うことにより、再利用オブジェクト部分に掛かる合成処理時間の短縮を図ることができる。
【0136】
なお、上記各実施例では、色成分値(色空間上の座標値)を32ビット、色番号(指標値)を8ビットとしたが、色番号は色成分値よりもビット数が小さければ良く、その具体的なビット数は特に限定されない。また、上記各実施例では、プリンタコントローラでラスタライズ画像を生成し、このラスタライズ画像を圧縮、合成、伸張する場合を示したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、ラスタライズ画像の生成、圧縮、合成、伸張のうち全部或いは一部を印刷装置で実行する構成としてもよい。又、プリンタコントローラの機能が印刷装置に組み込まれたシステム構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0137】
本発明は、複写機や複合機などの画像形成装置やプリンタコントローラに利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】本発明の第1の実施例に係るバリアブル印刷システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施例に係るバリアブル印刷システムにおける全体の流れを示すフローチャート図である。
【図3】本発明の第1の実施例に係るプリンタコントローラにおける共通符号化処理を示すフローチャート図である。
【図4】本発明の第1の実施例に係るプリンタコントローラにおける圧縮合成処理を示すフローチャート図である。
【図5】本発明の第1の実施例に係るプリンタコントローラにおける共通復号化処理を示すフローチャート図である。
【図6】本発明の第1の実施例に係る共通符号化テーブルの具体例を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施例に係る共通符号化処理イメージを示す図である。
【図8】本発明の第1の実施例に係る圧縮合成処理イメージを示す図である。
【図9】本発明の第1の実施例に係る共通符号化処理イメージを示す図である。
【図10】本発明の第2の実施例に係るバリアブル印刷システムの構成を示す図である。
【図11】本発明の第2の実施例に係るバリアブル印刷システムにおける全体の流れを示すフローチャート図である。
【図12】本発明の第2の実施例に係るプリンタコントローラにおける適用判定処理を示すフローチャート図である。
【図13】本発明の第3の実施例に係るプリンタコントローラにおける適用判定処理を示すフローチャート図である。
【図14】本発明の第4の実施例に係るバリアブル印刷システムにおける全体の流れを示すフローチャート図である。
【図15】従来のバリアブル印刷システムの構成を示す図である。
【図16】従来のバリアブル印刷システムにおける全体の流れを示すフローチャート図である。
【図17】従来のプリンタコントローラにおける合成処理を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0139】
11A〜11C クライアントPC
12A、12B プリンタコントローラ
13A、13B 印刷装置
14 通信回線
120 制御部
121 画像生成部
122 画像合成部
123 共通符号化部
123A 符号化部
124 共通復号化部
124A 復号化部
125 プリンタエンジンI/F
126 適用判定部
130 外部記憶装置
131 バリアブルプリントデータ
132 レイアウト情報
133 バリアブルオブジェクト群
140 記憶装置
141 ページ画像
142 再利用画像
143 非再利用画像
144 共通符号化テーブル
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像合成方法及び印刷システム並びに画像合成プログラムに関し、特に、カラー多値画像を合成する画像合成方法及び該画像合成方法で合成した画像を印刷する印刷システム並びに画像合成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ダイレクトメールやラベル、POP、帳票などのオンデマンド印刷市場やバリアブル印刷市場では、リッチコンテンツ化、小ロット化、短納期化が求められており、それらの印刷物を出力する印刷装置も年々高速化している。しかしながら、絵や写真などが豊富に使用されたプリントデータから高解像度フルカラー印刷用のラスタ画像を生成するには非常に時間がかかってしまう。そのため、複雑な画像処理を必要とするコンテンツを含むページの場合、印刷装置ではラスタ画像生成能力が印刷能力を下回ることがある。
【0003】
この問題の解決策としてフォームオーバレイ方式やバリアブルデータプリント方式と呼ばれる方式がある。バリアブルデータプリント方式は近年注目され始めた方式であり、バリアブルデータプリント言語としては、業界標準のPPML(Personalized Print Markup Language)やPPML/VDX(PPML/Variable Data Exchange)が使用される。このバリアブルデータプリント方式は、再利用可能オブジェクトと非再利用オブジェクトを最小構成単位としている。再利用可能オブジェクトとは、複数ページ間、または、同一ページ上において複数回にわたって使用される共通部分のことである。非再利用オブジェクトとは、文書中で1度しか使用しない可変部分のことである。そして、それぞれのバリアブルオブジェクトが再利用可能オブジェクトなのか非再利用オブジェクトなのかはプリントデータ内のレイアウト情報で明確に区別されている。また、バリアブルオブジェクト群をページごとにどのようにレイアウトするかもレイアウト情報に記述されている。
【0004】
一般に、バリアブルデータプリント言語をサポートした印刷装置(或いは印刷システム)における画像処理の機能は、ラスタ画像生成(ラスタライズ)と画像合成(ページレイアウト)に大別することができる。ラスタライズではバリアブルオブジェクトをビットマップ展開して画像データを作成する。その際、再利用可能オブジェクトは複数ページにわたって使用されるため、メモリやハードディスクなどの記憶装置上にキャッシュする。そして、ページレイアウトでは、レイアウト情報を元にラスタライズしたバリアブルオブジェクトをページバッファ上に合成する。
【0005】
ここで、ラスタライズした再利用可能オブジェクトを記憶装置上にキャッシュする場合、使用するシステム資源を節約する目的でなんらかの方式でデータ圧縮を施すことが一般的である。データ圧縮方式としては、JPEGやZIPなどに代表される可変長符号化方式と、下記特許文献1に示すような固定長符号化方式とがある。
【0006】
【特許文献1】特開平7−336675号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
可変長符号化方式は、圧縮効率の高さや普及率の点で多く採用されているが、可変長符号化方式で圧縮した場合、圧縮状態のまま合成することが不可能であるため、一旦復号した後に合成する必要がある。つまり、再利用可能オブジェクトを合成する回数分の復号化処理が発生することを意味する。その結果、可変長符号化方式では、再利用可能オブジェクトの使用回数や面積比率に比例して、ページレイアウト時間が遅くなるという問題がある。
【0008】
この問題を解決するひとつの方策として、特許文献1のように、ブロック圧縮した画像を圧縮状態のまま合成するという手法がある。この方式では、圧縮状態のまま合成することにより復号化処理が不要となり、かつ、合成処理で扱うデータ量が復号後の非圧縮状態と比較して少なくて済むことから合成処理時間の短縮も期待できる。
【0009】
しかしながら、ブロック圧縮は非可逆圧縮の一種であり、復号時に画像の劣化が発生するという問題があり、高画質印刷が要求される局面での適用は難しい。
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その主たる目的は、復号時の画像の劣化を防止し、効率的に画像を合成することができる画像合成方法及び印刷システム並びに画像合成プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の画像合成方法は、mビットで表される色空間上の座標値と前記mビットより小さいnビットで表される指標値とを対応付けるテーブルにより、第1画像にかかる第1画像データを画素単位で可逆圧縮し、前記第1画像データを可逆圧縮するのに用いた前記テーブルにより、第2画像にかかる第2画像データを画素単位で可逆圧縮し、圧縮された前記第1画像データと圧縮された前記第2画像データとを画素単位で合成して圧縮された合成画像データを生成し、前記圧縮された合成画像データを、前記テーブルを用いて画素単位で伸張し、各画素が前記色空間上の座標値として表される合成画像データを生成するものである。
【0012】
本発明においては、前記テーブルは、前記第1及び第2画像の画像データを画素単位で圧縮する際に構築される構成とすることができる。
【0013】
また、本発明においては、合成対象となる画像に使用される前記指標値の数と予め定めた閾値とを比較し、前記指標値の数が前記閾値以下の場合に、画素単位での可逆圧縮、合成及び伸張を行う構成、又は、合成対象となる画像における特定の属性値を有する画素の数量と予め定めた閾値とを比較し、前記画素の数量が前記閾値以下の場合に、画素単位での可逆圧縮、合成及び伸張を行う構成とすることができる。
【0014】
また、本発明においては、前記合成対象となる画像は、再利用される画像と再利用されない画像とを含み、前記再利用される画像及び前記再利用されない画像の各々に対して、前記指標値の数又は前記画素の数量と前記閾値とを比較する構成とすることもできる。
【0015】
また、本発明は、複数の画像を合成して印刷する印刷システムにおいて、mビットで表される色空間上の座標値と前記mビットより小さいnビットで表される指標値とを対応付けるテーブルにより、第1画像にかかる第1画像データを画素単位で可逆圧縮し、前記第1画像データを可逆圧縮するのに用いた前記テーブルにより、第2画像にかかる第2画像データを画素単位で可逆圧縮する符号化部と、圧縮された前記第1画像データと圧縮された前記第2画像データとを画素単位で合成して圧縮された合成画像データを生成する画像合成部と、前記圧縮された合成画像データを、前記テーブルを用いて画素単位で伸張し、各画素が前記色空間上の座標値として表される合成画像データを生成する復号化部と、を少なくとも備えるものである。
【0016】
また、本発明は、複数の画像を合成して印刷する印刷システムで動作する画像合成プログラムであって、コンピュータを、mビットで表される色空間上の座標値と前記mビットより小さいnビットで表される指標値とを対応付けるテーブルにより、第1画像にかかる第1画像データを画素単位で可逆圧縮し、前記第1画像データを可逆圧縮するのに用いた前記テーブルにより、第2画像にかかる第2画像データを画素単位で可逆圧縮する符号化部、圧縮された前記第1画像データと圧縮された前記第2画像データとを画素単位で合成して圧縮された合成画像データを生成する画像合成部、前記圧縮された合成画像データを、前記テーブルを用いて画素単位で伸張し、各画素が前記色空間上の座標値として表される合成画像データを生成する復号化部、として機能させるものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の画像合成方法及び印刷システム並びに画像合成プログラムによれば、復号時の画像の劣化を防止し、効率的に画像を合成することができる。
【0018】
その理由は、合成対象となる複数の画像データを、共通の符号化テーブルを用いて画素単位で固定長可逆圧縮形式によって符号化(圧縮)し、符号化された画像データを画素単位で合成し、合成後に上記共通の符号化テーブルを用いて画素単位で復号化(伸張)するからである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
背景技術で示したように、バリアブル印刷の効率化を図るために、オブジェクトを再利用可能オブジェクトと非再利用オブジェクトに分類し、再利用可能オブジェクトを記憶装置上にキャッシュする方法が用いられるが、システム資源を節約するために、再利用可能オブジェクトは圧縮する必要があり、通常は、圧縮効率の高さや普及率の点から可変長符号化方式が採用される。
【0020】
以下、従来のバリアブル印刷システムの構成及び動作について図15乃至図17を参照して概説する。
【0021】
図15に示すように、従来のバリアブル印刷システムは、大別すると、クライアントPC(11A〜11C)、プリンタコントローラ(12A,12B)、印刷装置(13A,13B)で構成され、それぞれは通信回線で接続されている。
【0022】
クライアントPC(11A〜11C)は、プリントデータを作成するためのプリンタドライバソフトウェアがインストールされているパーソナルコンピュータである。プリンタコントローラ(12A,12B)は、クライアントPC(11A〜11C)からのプリントデータを受信し、ページ毎のラスタ画像を形成し、形成したラスタ画像を印刷装置(13A,13B)に転送する。印刷装置(13A,13B)は、プリンタコントローラ(12A,12B)から受信したページ毎のラスタ画像を印刷する。
【0023】
また、プリンタコントローラ(12A,12B)は、制御部(120)、画像生成部(121)、画像合成部(122)、符号化部(123A)、復号化部(124A)、プリンタエンジンI/F(125)、外部記憶装置(130)、記憶装置(140)などで構成される。
【0024】
上記構成のバリアブル印刷システムを用いて印刷する場合、ユーザはクライアントPC(11A〜11C)にインストールされているアプリケーションソフトウェアを用いてバリアブルプリントデータを作成する。作成したバリアブルプリントデータは、通信回線(14)を通じてプリンタコントローラ(12B)の外部記憶装置(130)に格納される。
【0025】
そして、図16のフローチャート図に示すように、プリンタコントローラ(12B)の制御部(120)は、外部記憶装置(130)に格納されているバリアブルプリントデータ(131)からレイアウト情報(132)を取得し、レイアウト情報(132)からバリアブルオブジェクト群(133)に含まれる再利用画像(142)を画像生成部(121)により生成する(S401)。次に、生成した再利用画像(142)を符号化部(123A)で符号化(圧縮)した後、記憶装置(140)にキャッシュする(S402)。次に、制御部(120)は1ページ分のレイアウト情報を取得し、画像合成部(122)に1ページ分のページレイアウトを指示し、画像合成部(122)でレイアウト情報に基づいて画像を合成する(S403)。最後に、制御部(120)はページレイアウトが完了したページ画像(141)をプリンタエンジンI/F(125)を経由して印刷装置(13B)に送り、印刷装置(13B)で印刷およびフィニッシング処理を行う(S404)。そして、制御部(120)は全ページの印刷出力が完了したかを判断し(S405)、完了するまで上記処理を繰り返す。
【0026】
上記ステップS403の合成処理の詳細は図17のフローチャート図のようになる。先ず、画像合成部(122)は制御部(120)より受け渡された1ページ分のレイアウト情報を読み込む(S403a)。次に、1ページ分のレイアウト情報内の1オブジェクト分のレイアウト情報を読み込む(S403b)。次に、オブジェクトが再利用画像(142)、非再利用画像(143)のいずれかを判定する(S403c)。再利用画像(142)の場合は、キャッシュから該当画像を読み込み(S403d)、復号化部(124A)に指示して復号した後(S403e)、レイアウト情報に基づいて合成する(S403f)。一方、非再利用画像(143)の場合は、画像生成部(121)で画像を生成した後(S403h)、レイアウト情報に基づいて合成する(S403f)。そして、画像合成部(122)は1ページ分のレイアウト情報に記載されたすべての対象オブジェクトの合成処理が完了したかを判断し(S403g)、完了するまで上記処理を繰り返す。
【0027】
このように、データ圧縮の手法として、可変長符号化方式を用いた場合、圧縮状態のまま合成することが不可能であるため、再利用可能オブジェクトを合成する度に、ステップS403eで一旦復号した後に合成する必要があり、ページレイアウト時間が遅くなるという問題がある。
【0028】
一方、固定長符号化方式として固定長ブロックトランケーション符号があり、特許文献1には、固定長ブロックトランケーション符号で圧縮した画像同士の重ね合わせ編集(合成含む。)に関する技術が開示されている。この方式では、画像同士を圧縮したまま合成することができるが、ブロックトランケーション符号方式は不可逆圧縮の一種であるため、復号時に画像の劣化が発生するという問題が生じる。
【0029】
また、特許文献1では、ブロックトランケーション符号方式により4×4画素を1ブロックとしてブロック単位で圧縮し、ブロック内容を置き換えることにより合成処理を実現している。そのため、合成先と合成元の二つの画像のブロック境界が整列していないケースやブロック内の特定画素のみを合成するようなケースにおいては、単純にブロック内容を置き換えることができないため、ブロック内容を一旦復号した後に合成し再度符号化するなど煩雑な処理を行う必要があり、この場合は、可変長符号化方式のようにページレイアウト時間が遅くなるという問題が生じる。
【0030】
そこで、本実施形態では、上記可変長符号化方式の問題を解消するために固定長符号化方式を用い、ブロック単位で圧縮する際の問題を解消するために画素単位で符号化(圧縮)を行い、更に、不可逆圧縮における画像の劣化の問題を解消するために共通の符号化テーブルを用いて可逆圧縮する手法を採用する。
【0031】
なお、上記手法は、圧縮効率の点では従来の可変長符号化方式や不可逆圧縮の一種であるブロック圧縮に劣る。しかしながら、昨今のメモリの低価格化に伴い、印刷装置(或いは印刷システム)に搭載するメモリ量が年々増加しており、また、近年のカラー印刷装置の高速化/高画質化への要求を考慮すると、圧縮効率よりもページレイアウト時間の高速化や復号時の画像劣化の方が重要な問題であることから、上記手法は、可変長符号化方式やブロック圧縮よりも優れていると言える。
【実施例1】
【0032】
上記した本発明の実施の形態についてさらに詳細に説明すべく、本発明の第1の実施例に係る画像合成方法及び印刷システム並びに画像合成プログラムについて、図1乃至図9を参照して説明する。図1は、本実施例のバリアブル印刷システムの構成を示す図である。また、図2は、本実施例のバリアブル印刷システムにおける全体の流れを示すフローチャート図であり、図3は、プリンタコントローラにおける共通符号化処理を示すフローチャート図、図4は、圧縮合成処理を示すフローチャート図、図5は、共通復号化処理を示すフローチャート図である。また、図6は、共通符号化テーブルの具体例を示す図であり、図7は、共通符号化処理イメージ、図8は、圧縮合成処理イメージ、図9は、共通符号化処理イメージを示す図である。
【0033】
まず、本実施例に係る圧縮方式の基礎となるインデックスカラーによる符号化について説明する。
【0034】
インデックスカラーとはビットマップ画像の色表現方法の一種であり、画素毎に色を色空間上の座標として直接指定するのではなく、カラーマップと呼ばれる色定義テーブル上の色番号(指標値)を指定して画像を表現する形式として一般に広く知られている。
【0035】
この方法は、文字やイラスト中心で構成された画像の場合、画像の中で使用されている色数が限定されていることが多いという特徴に着目した方法であり、予め使用している色を「色番号1:赤100/緑50/青/20、色番号2:赤4/緑/90/青50…」のように色番号で定義しておき、画素毎のデータとしてこの色番号を指定することにより、高い色解像度を持ちつつデータ量を削減することができる。このような色表現を「インデックスカラー(indexed color)」または「疑似カラー(pseudo color)」と呼ぶ。これに対して、画素毎に直接色を色空間上の座標として指定する色表現を「トゥルーカラー(true color)」または「フルカラー(full color)」と呼ぶ。
【0036】
インデックスカラーにおいて色番号と実際の色の対応を定義する表は「カラーマップ(color map)」、「カラールックアップテーブル(color lookup table)」、「カラーパレット(color palette)」などと呼ばれる。例えば、カラーマップの大きさが4色分では各画素に必要なデータは2ビット、16色では4ビット、256色では8ビットなどのようになり、CPU(Central Processing Unit)のデータ処理の単位として8ビットがよく用いられる事から、256色のインデックスカラーが最もよく用いられている。
【0037】
また、インデックスカラーは、色番号から実際の色に完全に再現可能であることから可逆圧縮の一種と見做すことができる。色番号から実際の色に変換する復号化処理は、カラーマップを参照するのみの簡単な実装で済むためハードウェア(ビデオ出力回路など)上で可能なことも多い。この場合、予めカラーマップを出力回路の特別な部分に書き込んでおけば、少量の画素データを転送するだけで画像が表示できるので高速な描画が可能となる。
【0038】
そこで、本実施例では、インデックスカラーの特徴である画素単位で色成分値(色空間上の座標値)を色番号に置き換えることによる固定長符号化が可能な点と、カラーマップ経由で実際の色に完全に復元することが出来る可逆圧縮可能な点に着目して、すべてのバリアブルオブジェクトを共通のカラーマップを利用してインデックスカラー化することにより、バリアブルオブジェクト同士を色番号の状態、つまり圧縮したままの状態で合成できるようにしている。帳票や請求書などのバリアブル印刷物の場合、文字やロゴ/罫線などの図形が中心で構成されており、使用している色数が限定されている可能性がきわめて高いことから非常に好適な事例であると言える。以下、上記手法を実現するシステムの一例について説明する。
【0039】
図1は、本実施例のバリアブル印刷システムの一例である。本実施例のバリアブル印刷システムは、クライアントPC(11A〜11C)、プリンタコントローラ(12A,12B)、印刷装置(13A,13B)で構成され、それぞれは通信回線(14)で接続されている。
【0040】
クライアントPC(11A〜11C)は、プリントデータを作成するためのプリンタドライバソフトウェアがインストールされているパーソナルコンピュータである。また、クライアントPC(11A〜11C)は、プリンタコントローラ(12A,12B)での処理状況の監視やプリンタコントローラ(12A,12B)で作成したページ毎のラスタ画像を表示する際に用いることができる。
【0041】
プリンタコントローラ(12A,12B)は、クライアントPC(11A〜11C)からのプリントデータを受信し、外部記憶装置(130)および記憶装置(140)を用いてページ毎のラスタ画像を形成する。形成したラスタ画像はプリンタエンジンI/F(125)を通じて印刷装置(13A,13B)に転送する。
【0042】
印刷装置(13A,13B)は、プリンタコントローラ(12A,12B)から受信したページ毎のラスタ画像を印刷する。なお、印刷装置は特に限定されないが、本実施例のバリアブル印刷システムの最大の利点は高解像度カラー画像の高速印刷が可能となることであるため、印刷装置は高速高画質の印刷が可能な機種であることが望ましい。
【0043】
通信回線(14)は、クライアントPC(11A〜11C)とプリンタコントローラ(12A,12B)をイーサネット(登録商標)等により相互に接続する。この通信回線(14)を通して、クライアントPC(11A〜11C)で生成したプリントデータをプリンタコントローラ(12A,12B)に送信する。
【0044】
また、プリンタコントローラ(12A,12B)は、制御部(120)、画像生成部(121)、画像合成部(122)、共通符号化部(123)、共通復号化部(124)、プリンタエンジンI/F(125)、外部記憶装置(130)、記憶装置(140)などで構成される。すなわち、本実施例では、図15で示した従来の構成における符号化部(123A)と復号化部(124A)に代えて、共通符号化部(123)と共通復号化部(124)を設け、記憶装置(140)にカラーマップ(本実施例では共通符号化テーブル(144)と呼ぶ。)を記憶している。以下、個々の要素について説明する。
【0045】
制御部(120)は、CPU、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などのメモリなどで構成され、クライアントPC(11A〜11C)から投入されたプリントデータ(131)の画像形成、画像合成、印刷装置(13A,13B)への転送に関するフロー制御を行う。
【0046】
画像生成部(121)は、制御部(120)の指示により、外部記憶装置(130)に保存されているバリアブルオブジェクト群(133)からラスタ画像を生成する。ラスタ画像(142,143)には、プリントデータ内で何度も使用される再利用画像(142)と、プリントデータ内で数度(例えば1度)しか使用されない非再利用画像(143)とがある。
【0047】
画像合成部(122)は、制御部(120)の指示により、記憶装置(140)に記録されている再利用画像(142)、非再利用画像(143)を用いて画像合成を行い、1ページ分のページ画像(141)を生成する。
【0048】
共通符号化部(123)は、制御部(120)の指示により、指定されたラスタ画像(142,143)を共通符号化テーブル(144)を参照して符号化(圧縮)する。
【0049】
共通復号化部(124)は、制御部(120)の指示により、ページ画像(141)を共通符号化テーブル(144)を参照して復号化(伸張)する。
【0050】
プリンタエンジンI/F(125)は、印刷装置(13B)の制御およびページ画像(141)の印刷装置(13B)への転送を行う。
【0051】
外部記憶装置(130)は、クライアントPC(11A〜11C)で作成されたプリントデータを記憶する。
【0052】
バリアブルプリントデータ(131)は、レイアウト情報(132)とバリアブルオブジェクト群(133)で構成される。
【0053】
レイアウト情報(132)は、バリアブルオブジェクト群(133)のオブジェクト情報(識別名称や再利用オブジェクトであるか否かなど)や、ページレイアウトに関する情報(配置オブジェクト名称、配置先の原点座標、オブジェクトの幅/高さなど)が記述されている。
【0054】
バリアブルオブジェクト群(133)は、ページ記述言語(PS(Post Script)、PDF(Portable Document Format)、EPS(Encapsulated Post Script)など)のデータやラスタ画像データ(JPEG、TIFFなど)、ベクトル画像データ(SVG(Scalable Vector Graphics)など)などである。なお、バリアブルオブジェクト群(133)はプリンタコントローラ(12B)の外部記憶装置(130)に保存されている必要はなく、リモートデータベースや共有ファイルシステムに保存される構成としてもよい。
【0055】
記憶装置(140)は、画像生成部(121)で生成されたラスタ画像(142,143)や画像合成部(122)で作成されたページ画像(141)を一時的に記憶する。これらのデータは制御部(120)により外部記憶装置(130)やプリンタエンジンI/F(125)などに転送される。
【0056】
ページ画像(141)は、印刷するページの内容を示す画像であり、制御部(120)により印刷装置(13A,13B)へ転送される。
【0057】
再利用画像(142)は、文書中で複数回使用されるラスタ画像であり、画像生成部(121)により生成される。再利用オブジェクトであることはレイアウト情報(132)に記載されている。再利用画像(142)は全ページ分のページ画像の作成が完了するまでキャッシュされる。
【0058】
非再利用画像(143)は、文書中で数度(例えば1度)しか使用しないラスタ画像であり、画像生成部(121)により生成される。例えば、ダイレクトメールであれば、顧客名、顧客住所などが挙げられる。非再利用オブジェクトであることはレイアウト情報(132)に記載されている。使用後は速やかに記憶装置(140)から消去される。
【0059】
共通符号化テーブル(144)は、色番号(指標値)と実際の色成分値(色空間上の座標値)が定義された共通のカラーマップである。なお、カラーマップの大きさは予め本実施例の画像合成方法による効果が期待できる限定された色数(256色や65536色など)で定義されているものとする。共通符号化テーブル(144)は全ページ分の作成が完了するまで記憶装置(140)上に保持される。共通符号化テーブルの具体的な内容を図6に示す。
【0060】
なお、上記画像合成部(122)、共通符号化部(123)、共通復号化部(124)は、ハードウェアとして構成してもよいし、コンピュータを、画像合成部(122)、共通符号化部(123)、共通復号化部(124)として機能させる画像合成プログラムとして構成し、該画像合成プログラムを制御部(120)上で動作させる構成としてもよい。以下、本実施例の画像合成方法について説明する。
【0061】
[全体の流れ]
まず、本実施例のバリアブル印刷システムにおける全体の流れについて、図2のフローチャート図を参照して説明する。
【0062】
ユーザはクライアントPC(11A〜11C)にインストールされているアプリケーションソフトウェアを用いてバリアブルプリントデータを作成する。作成したバリアブルプリントデータは、通信回線(14)を通じてプリンタコントローラ(12B)の外部記憶装置(130)に格納される。
【0063】
次に、ステップS101で、プリンタコントローラ(12B)の制御部(120)は、外部記憶装置(130)に格納されているバリアブルプリントデータ(131)からレイアウト情報(132)を取得し、レイアウト情報(132)からバリアブルオブジェクト群(133)に含まれる再利用画像(142)を画像生成部(121)により生成する。
【0064】
次に、ステップS102で、制御部(120)は、生成した再利用画像(142)を共通符号化部(123)経由で圧縮したのち、記憶装置(140)にキャッシュする。この共通符号化処理の詳細は後述する。
【0065】
次に、ステップS103で、制御部(120)は、1ページ分のレイアウト情報を取得し、画像合成部(122)に1ページ分のページレイアウトを指示し、画像合成部(122)は、レイアウト情報に基づいて画像を合成する。その際、合成は圧縮された状態で行う。この画像合成処理の詳細は後述する。
【0066】
次に、ステップS104で、制御部(120)は、ページレイアウトが完了したページ画像(141)を共通復号化部(124)で復号化した後、プリンタエンジンI/F(125)を経由して印刷装置(13B)に送る。この共通復号化処理の詳細は後述する。
【0067】
そして、ステップS105で、制御部(120)は、全ページの印刷出力が完了したかを判断し、印刷出力していないページがあればステップS103に戻り、全ページの印刷出力が完了するまで上記処理を繰り返す。
【0068】
なお、上記フローでは、プリンタコントローラ(12B)の共通復号化部(124)で共通復号化処理(S104)を行う場合を示したが、プリンタエンジンI/F(125)、もしくは、印刷装置(13B)上のハードウェアで復号化が可能な場合は、共通復号化部(124)を省略することができる。
【0069】
[共通符号化処理]
次に、ステップS102の共通符号化処理の詳細について、図3のフローチャート図を参照して説明する。この共通符号化処理は、制御部(120)の制御に従って共通符号化部(123)により実行される。
【0070】
先ず、ステップS102aで、制御部(120)より指定されたラスタ画像データ(142,143)の1つを読み込む。
【0071】
次に、読み込んだ画像内のすべての画素を走査しながら共通符号化を行う。注目画素は画像の原点(通常は左上)から主走査方向(水平)/副走査方向(垂直)の順に移動していくものとする。具体的には、ステップS102bで、注目画素の色成分値を読み込み、ステップS102cで、読み込んだ注目画素の色成分値が共通符号化テーブル(144)に既に登録されているかどうかを確認する。未登録の場合は、色成分値を共通符号化テーブル(144)に登録する。共通符号化テーブル(144)では、新たな符号となるシーケンシャルな色番号(0〜(共通符号化テーブルの大きさ―1)など)を割り当てたのち登録する。
【0072】
次に、ステップS102dで、共通符号化テーブル(144)から色成分値に対応する符号(色番号)を取得する。
【0073】
次に、ステップS102eで、取得した符号(色番号)を圧縮データとして書き込む。
【0074】
そして、ステップS102fで、指定された全てのラスタ画像データ(142,143)の符号が完了したかを判断し、完了するまで上記処理を繰り返す。この共通符号化処理の具体的な処理イメージを図7に示す。
【0075】
なお、図3では画素単位で共通符号化テーブルに登録されているかを確認しているが、文字やベタ塗り部分を想定すると分かり易いように、注目画素と周辺の近傍画素は同色が設定されている可能性がきわめて高い。この点に着目して、注目画素の色成分値と既に走査済みの近傍画素(注目画素の左隣や真上の画素など)の色成分値を比較して、異なる場合のみ共通符号化テーブルへのアクセスを行う構成としてもよく、これにより処理の効率化を図ることができる。この手法は、以降に記述する共通復号化処理や適用判定処理においても適用することが可能である。
【0076】
[圧縮合成処理]
次に、ステップS103の圧縮合成処理の詳細について、図4のフローチャート図を参照して説明する。この圧縮合成処理は、制御部(120)の制御に従って画像合成部(122)により実行される。
【0077】
先ず、ステップS103aで、制御部(120)より受け渡された1ページ分のレイアウト情報を読み込む。
【0078】
次に、ステップS103bで、1ページ分のレイアウト情報内の1オブジェクト分のレイアウト情報を読み込む。
【0079】
次に、ステップS103cで、レイアウト対象のオブジェクトが再利用画像(142)、非再利用画像(143)のいずれであるかを判定する。そして、再利用画像(142)の場合は、ステップS103dで、キャッシュから該当画像を読み込み、ステップS103eで、復号化することなく圧縮状態のまま合成(色番号の置き換え)を行う。一方、非再利用画像(143)の場合は、ステップS103gで、画像生成部(121)で画像を生成し、ステップS103hで、共通符号化部(123)経由で圧縮したのち、ステップS103eで圧縮状態のまま合成(色番号の置き換え)を行う。
【0080】
次に、ステップS103fで、1ページ分のレイアウト情報に記載されたすべてのオブジェクトの合成処理が完了したかを判断し、完了するまで上記処理を繰り返す。この圧縮合成処理の具体的な処理イメージを図8に示す。
【0081】
[共通復号化処理]
次に、ステップS104の共通復号化処理の詳細について、図5のフローチャート図を参照して説明する。この共通復号化処理は、制御部(120)の制御に従って共通符号化部(123)により実行される。
【0082】
先ず、ステップS104aで、制御部(120)より指定された圧縮合成済みのページ画像(141)を読み込む。
【0083】
次に、ステップS104bで、読み込んだページ画像(141)のすべての画素を走査しながら復号する。
【0084】
次に、ステップS104cで、読み込んだ注目画素の符号(色番号)に対応する色成分値を共通符号化テーブル(144)から取得する。
【0085】
次に、ステップS104dで、取得した色成分値を復号データとして書き込む。
【0086】
そして、ステップS104eで、指定されたページ画像(141)のすべての画素の復号が完了したかを判断し、完了するまで上記処理を繰り返す。この共通復号化処理の具体的な処理イメージを図9に示す。
【0087】
このように、本実施例では、バリアブルプリントデータ(131)からレイアウト情報(132)を取得し、レイアウト情報(132)からバリアブルオブジェクト群(133)に含まれる再利用画像(142)を生成し、共通符号化テーブル(144)を用いて再利用画像(142)の各画素の色成分値(色空間上の座標値)を色番号(指標値)に変換して圧縮し、圧縮データをキャッシュしておき、画像合成に際して、圧縮した状態で画像を合成し、復号化処理に際して、上記共通符号化テーブル(144)を用いて圧縮した画像の各画素の色番号を色成分値に変換して伸張するため、復号時の画像の劣化を抑制しつつ、効率的に画像を合成することができる。
【実施例2】
【0088】
次に、本発明の第2の実施例に係る画像合成方法及び印刷システム並びに画像合成プログラムについて、図10乃至図12を参照して説明する。図10は、本実施例のバリアブル印刷システムの構成を示す図である。また、図11は、本実施例のバリアブル印刷システムにおける全体の流れを示すフローチャート図であり、図12は、プリンタコントローラにおける適用判定処理を示すフローチャート図である。
【0089】
前記した第1の実施例では、帳票や請求書など使用色数が限定されている文書のみが印刷される環境での利用を想定して、予め共通符号化テーブル(144)の大きさを固定値で設定したが、写真などの自然画像が多用された印刷物が投入される可能性も無論存在する。その場合、使用色数が共通符号化テーブル(144)の大きさを超えてしまう恐れがある。
【0090】
そこで、本実施例では、先頭ページの合成処理を行う前に、すべての再利用画像(142)と先頭ページにレイアウトする非再利用画像(143)の使用色数を元に、共通符号化の適用可否を判定する処理を設け、適用可能の場合は共通符号化処理を行い、適用不可の場合は従来の処理を行うようにする。なお、非再利用画像(143)の適用判定対象を先頭ページのみとしているのは、バリアブル印刷の特性上、後続ページでも同一の場所に同一の属性(文字、イラスト、写真など)のデータを差し替えて印刷することが一般的であるためである。
【0091】
図10は、本実施例のバリアブル印刷システムの一例である。本実施例では、図1のプリンタコントローラ(12A,12B)に、符号化部(123A)、復号化部(124A)、適用判定部(126)を設けている。以下、第1の実施例のシステム構成と異なる部分について説明する。
【0092】
符号化部(123A)は、再利用画像(142)と先頭ページの非再利用画像(143)を記憶装置(130)にキャッシュする場合に使用する。
【0093】
復号化部(124A)は、キャッシュされた再利用画像(142)と先頭ページの非再利用画像(143)を復号する場合に使用する。
【0094】
適用判定部(126)は、制御部(120)の指示により、再利用画像(142)、先頭ページの非再利用画像(143)の使用色数と予め設定したしきい値との大小比較により、共通符号化の適用可否を判定する。しきい値には本実施例の画像合成方法による効果が期待できるような限定された色数を任意に設定できるものとする。
【0095】
なお、画像合成部(122)、共通符号化部(123)、共通復号化部(124)、符号化部(123A)、復号化部(124A)、適用判定部(126)は、ハードウェアとして構成してもよいし、コンピュータを、画像合成部(122)、共通符号化部(123)、共通復号化部(124)、符号化部(123A)、復号化部(124A)、適用判定部(126)として機能させる画像合成プログラムとして構成し、該画像合成プログラムを制御部(120)上で動作させる構成としてもよい。
【0096】
[全体の流れ]
次に、本実施例のバリアブル印刷システムにおける全体の流れについて、図11のフローチャート図を参照して説明する。
【0097】
ユーザはクライアントPC(11A〜11C)にインストールされているアプリケーションソフトウェアを用いてバリアブルプリントデータを作成する。作成したバリアブルプリントデータは、通信回線(14)を通じてプリンタコントローラ(12B)の外部記憶装置(130)に格納される。
【0098】
次に、ステップS201で、プリンタコントローラ(12B)の制御部(120)は、外部記憶装置(130)に格納されているバリアブルプリントデータ(131)からレイアウト情報(132)を取得し、レイアウト情報(132)からバリアブルオブジェクト群(133)に含まれる再利用画像(142)を画像生成部(121)により生成する。
【0099】
次に、ステップS202で、制御部(120)は、生成した再利用画像(142)を符号化部(123A)経由で圧縮したのち、記憶装置(140)にキャッシュする。
【0100】
次に、ステップS203で、制御部(120)は、1ページ分のレイアウト情報を取得し、バリアブルオブジェクト群(133)に含まれる先頭ページの非再利用画像(143)のみを画像生成部(121)により生成する。
【0101】
次に、ステップS204で、制御部(120)は、生成した先頭ページの非再利用画像(143)を符号化部(123A)経由で圧縮したのち、記憶装置(140)にキャッシュする。
【0102】
次に、ステップS205で、制御部(120)は、記憶装置(130)にキャッシュした再利用画像(142)、先頭ページの非再利用画像(143)を元に共通符号化の適用判定を行うよう適用判定部(126)に指示する。この適用判定処理の詳細は後述する。
【0103】
そして、ステップS206で適用可能と判断された場合は、ステップS207で、制御部(120)は、再利用画像(142)、先頭ページの非再利用画像(143)を共通符号化部(123)経由で圧縮したのち記憶装置(140)に再キャッシュする。以降のステップS208〜S211の処理は第1の実施例のステップS103〜S106と同じである。一方、適用不可と判断された場合は、従来どおりの処理を行う。
【0104】
[適用判定処理]
次に、ステップS205の適用判定処理の詳細について、図12のフローチャート図を参照して説明する。この適用判定処理は、制御部(120)の制御に従って適用判定部(126)により実行される。
【0105】
まず、ステップS205aで、制御部(122)より指定された適用判定対象となるラスタ画像データを1つ読み込む。
【0106】
次に、ステップS205bで、読み込んだラスタ画像データが符号化部(123A)で圧縮されている場合は、復号化部(124A)経由で復号する。
【0107】
次に、読み込んだ画像内のすべての画素の色成分値を抽出しながら適用可否の判定を行う。具体的には、ステップS205cで、注目画素の色成分値を読み込み、ステップS205dで、注目画素の色成分値が共通符号化テーブルに登録済みか否かを確認する。未登録の場合は、ステップS205hで、色成分値を共通符号化テーブルに登録する。次に、ステップS205iで、共通符号化テーブルの現在の登録数と予め設定したしきい値との大小比較を行う。そして、共通符号化テーブルの登録数がしきい値を超えた場合、ステップS205jで、適用不可と判断してただちに処理を終了する。
【0108】
一方、共通符号化テーブルの登録数がしきい値以下の場合は、ステップS205eで、全ての画素の解析が完了したかを判断する。完了していない場合はステップS205cに戻り、完了した場合は、ステップS205fで、全ての対象ラスタ画像データの解析が完了したかを判断する。完了していない場合はステップS205aに戻り、完了した場合は、ステップS205gで、適用可能と判定し、適用判定処理を終了する。
【0109】
このように、再利用画像(142)及び先頭ページの非再利用画像(143)の使用色数と予め設定したしきい値とを比較し、使用色数がしきい値以下の場合に、共通符号化処理が適用可能と判定することにより、写真などの自然画像が多用された印刷物が投入された場合であっても、正しく印刷処理を実行することができる。
【実施例3】
【0110】
次に、本発明の第3の実施例に係る画像合成方法及び印刷システム並びに画像合成プログラムについて、図13を参照して説明する。図13は、本実施例のプリンタコントローラにおける適用判定処理を示すフローチャート図である。
【0111】
前記した第2の実施例では、共通符号化処理の適用判定に際して、再利用画像(142)及び先頭ページの非再利用画像(143)の使用色数と予め設定したしきい値とを比較したが、他の手法を用いることもできる。
【0112】
例えば、画像生成装置(RIP(Raster Image Processor))の中にはCMYKなどの色成分値のほかに画素毎の属性データを一緒に出力可能なものが存在する。出力される属性値としては、文字(Text)、図形(Graphics)、写真(Image)の3分類が一般的である。このうち、文字と図形に相当する部分は黒単色やベタ塗りなど使用色数が非常に少ない可能性が高く、逆に写真部分は使用色数が非常に多い可能性が高い。この点に着目して、本実施例では、写真(Image)に相当する画素の数を元に共通符号化処理の適用可否を判定する処理を設ける。本実施例と前記した第2の実施例とを比較した場合、共通符号化テーブルへの登録確認が一切不要となるため、本実施例ではより高速に適用判定を行うことが可能である。以下に適用判定の具体的な処理内容を記述する。
【0113】
[適用判定処理]
適用判定処理の詳細について、図13のフローチャート図を参照して説明する。この適用判定処理は、制御部(120)の制御に従って適用判定部(126)により実行される。
【0114】
まず、ステップS215aで、プリンタコントローラ(12B)に予め設けられている写真画素カウンタをゼロクリアする。
【0115】
次に、ステップS215bで、制御部(122)より指定された共通符号化対象となるラスタ画像データに対応する属性データを1つ読み込む。なお、属性データはラスタ画像データと同じだけの画素数で構成されているものとする。
【0116】
次に、ステップS215cで、読み込んだ属性データが符号化部(123A)で圧縮されている場合は、復号化部(124A)経由で復号する。
【0117】
次に、読み込んだ属性データのすべての画素の属性値を順番に抽出しながら適用可否の判定を行っていく。具体的には、ステップS215dで、注目画素に対応する属性値を読み込み、ステップS215eで、読み込んだ注目画素の属性値が「写真」であるかを判定する。そして、「写真」の場合は、ステップS215iで、写真画素カウンタをインクリメントする。次に、ステップS215jで、写真画素カウンタと予め設定したしきい値との大小比較を行う。写真画素カウンタの数がしきい値を超えた場合は、ステップS215kで、適用不可と判断してただちに処理を打ち切る。
【0118】
一方、写真画素カウンタの数がしきい値以下の場合は、ステップS215fで、全ての画素の解析が完了したかを判断する。完了していない場合はステップS215dに戻り、完了した場合は、ステップS215gで、全ての対象ラスタ画像データの解析が完了したかを判断する。完了していない場合はステップS215bに戻り、完了した場合は、ステップS215hで、適用可能と判定し、適用判定処理を終了する。
【0119】
このように、属性値が「写真」である画素の数と予め設定したしきい値とを比較し、画素数がしきい値以下の場合に、共通符号化処理が適用可能と判定することにより、共通符号化テーブルへの登録確認が不要となり、より高速に適用判定を行うことができる。
【実施例4】
【0120】
次に、本発明の第4の実施例に係る画像合成方法及び印刷システム並びに画像合成プログラムについて、図14を参照して説明する。図14は、本実施例のバリアブル印刷システムにおける全体の流れを示すフローチャート図である。
【0121】
前記した第2及び第3の実施例では、再利用オブジェクトと非再利用オブジェクトとを合わせた画素データに対して適用判定を行ったが、例えばPOPなど、再利用オブジェクトとしてロゴやイラストなどの下地、もしくは「特売品」「激安」などの宣伝見出し文字が中心で構成され、非再利用オブジェクトとして商品写真が多用された印刷物が投入される可能性もある。この場合、再利用オブジェクト部分には共通符号化処理が適用可能であり、非再利用オブジェクト部分には共通符号化処理が不可能である可能性が高い。
【0122】
そこで、本実施例では、再利用オブジェクト、非再利用オブジェクトの各々に対して、個別に共通符号化処理の適用判定を行う。すなわち、再利用オブジェクトのみ共通符号化処理が適用可能であった場合に、再利用オブジェクト部分には共通符号化処理を行い、非再利用オブジェクト部分には従来どおりの処理を行い(すなわち、ハイブリッドな処理を行い)、再利用オブジェクト部分に掛かる合成処理時間の短縮を図る。以下に具体的な処理内容を記述する。
【0123】
[全体の流れ]
本実施例のバリアブル印刷システムにおける全体の流れについて、図14のフローチャート図を参照して説明する。
【0124】
ユーザはクライアントPC(11A〜11C)にインストールされているアプリケーションソフトウェアを用いてバリアブルプリントデータを作成する。作成したバリアブルプリントデータは、通信回線(14)を通じてプリンタコントローラ(12B)の外部記憶装置(130)に格納される。
【0125】
次に、ステップS301で、制御部(120)は、外部記憶装置(130)に格納されているバリアブルプリントデータ(131)からレイアウト情報(132)を取得し、レイアウト情報(132)からバリアブルオブジェクト群(133)に含まれる再利用画像(142)を画像生成部(121)により生成する。
【0126】
次に、ステップS302で、制御部(120)は、生成した再利用画像(142)を共通符号化部(123)経由で圧縮したのち、記憶装置(140)にキャッシュする。
【0127】
次に、ステップS303で、制御部(120)は、記憶装置(140)にキャッシュした再利用画像(142)を元に共通符号化の適用判定を行うよう適用判定部(126)に指示する。そして、ステップS304で適用可能と判断された場合は、ステップS305で、再利用画像(142)を共通符号化部(123)経由で圧縮したのち、記憶装置(140)に再キャッシュする。適用不可と判断された場合は従来どおりの処理を行う。
【0128】
次に、ステップS306で、制御部(120)は、1ページ分のレイアウト情報を取得し、バリアブルオブジェクト群(133)に含まれる先頭ページの非再利用画像(143)を画像生成部(121)により生成する。
【0129】
次に、ステップS307で、制御部(120)は、生成した先頭ページの非再利用画像(143)を符号化部(123A)経由で圧縮したのち、記憶装置(140)にキャッシュする。
【0130】
次に、制御部(120)は、記憶装置(140)にキャッシュした先頭ページの非再利用画像(143)を元に共通符号化の適用判定を行うよう適用判定部(126)に指示する。そして、ステップS308で適用可能と判断された場合は、ステップS309で、先頭ページの非再利用画像(143)を共通符号化部(123)経由で圧縮したのち、記憶装置(140)に再キャッシュする。以降のステップS310〜S313の処理は第1の実施例のステップS103〜S106と同じである。
【0131】
一方、ステップS308で適用不可と判断された場合は、ステップS314で、制御部(120)は1ページ分のレイアウト情報を取得し、画像合成部(122)に1ページ分の再利用オブジェクトのみ圧縮合成でページレイアウトするように指示する。
【0132】
次に、ステップS315で、制御部(120)は、再利用オブジェクトのみのページレイアウトが完了したページ画像(141)を共通復号化部(124)で復号したのち、ステップS316で、画像合成部(122)に1ページ分の非再利用オブジェクトのみ、通常合成でページレイアウトするように指示する。
【0133】
最後に、ステップS317で、制御部(120)は、ページレイアウト完了したページ画像(141)をプリンタエンジンI/F(125)を経由して印刷装置(13B)に送る。
【0134】
そして、ステップS318で、制御部(120)は、全ページの印刷出力が完了したかを判断し、完了していない場合はステップS314に戻り、完了したら処理を終了する。
【0135】
このように、共通符号化処理の適用判定を再利用オブジェクト、非再利用オブジェクトそれぞれに対して行うことにより、再利用オブジェクト部分に掛かる合成処理時間の短縮を図ることができる。
【0136】
なお、上記各実施例では、色成分値(色空間上の座標値)を32ビット、色番号(指標値)を8ビットとしたが、色番号は色成分値よりもビット数が小さければ良く、その具体的なビット数は特に限定されない。また、上記各実施例では、プリンタコントローラでラスタライズ画像を生成し、このラスタライズ画像を圧縮、合成、伸張する場合を示したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、ラスタライズ画像の生成、圧縮、合成、伸張のうち全部或いは一部を印刷装置で実行する構成としてもよい。又、プリンタコントローラの機能が印刷装置に組み込まれたシステム構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0137】
本発明は、複写機や複合機などの画像形成装置やプリンタコントローラに利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】本発明の第1の実施例に係るバリアブル印刷システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施例に係るバリアブル印刷システムにおける全体の流れを示すフローチャート図である。
【図3】本発明の第1の実施例に係るプリンタコントローラにおける共通符号化処理を示すフローチャート図である。
【図4】本発明の第1の実施例に係るプリンタコントローラにおける圧縮合成処理を示すフローチャート図である。
【図5】本発明の第1の実施例に係るプリンタコントローラにおける共通復号化処理を示すフローチャート図である。
【図6】本発明の第1の実施例に係る共通符号化テーブルの具体例を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施例に係る共通符号化処理イメージを示す図である。
【図8】本発明の第1の実施例に係る圧縮合成処理イメージを示す図である。
【図9】本発明の第1の実施例に係る共通符号化処理イメージを示す図である。
【図10】本発明の第2の実施例に係るバリアブル印刷システムの構成を示す図である。
【図11】本発明の第2の実施例に係るバリアブル印刷システムにおける全体の流れを示すフローチャート図である。
【図12】本発明の第2の実施例に係るプリンタコントローラにおける適用判定処理を示すフローチャート図である。
【図13】本発明の第3の実施例に係るプリンタコントローラにおける適用判定処理を示すフローチャート図である。
【図14】本発明の第4の実施例に係るバリアブル印刷システムにおける全体の流れを示すフローチャート図である。
【図15】従来のバリアブル印刷システムの構成を示す図である。
【図16】従来のバリアブル印刷システムにおける全体の流れを示すフローチャート図である。
【図17】従来のプリンタコントローラにおける合成処理を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0139】
11A〜11C クライアントPC
12A、12B プリンタコントローラ
13A、13B 印刷装置
14 通信回線
120 制御部
121 画像生成部
122 画像合成部
123 共通符号化部
123A 符号化部
124 共通復号化部
124A 復号化部
125 プリンタエンジンI/F
126 適用判定部
130 外部記憶装置
131 バリアブルプリントデータ
132 レイアウト情報
133 バリアブルオブジェクト群
140 記憶装置
141 ページ画像
142 再利用画像
143 非再利用画像
144 共通符号化テーブル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
mビットで表される色空間上の座標値と前記mビットより小さいnビットで表される指標値とを対応付けるテーブルにより、第1画像にかかる第1画像データを画素単位で可逆圧縮し、
前記第1画像データを可逆圧縮するのに用いた前記テーブルにより、第2画像にかかる第2画像データを画素単位で可逆圧縮し、
圧縮された前記第1画像データと圧縮された前記第2画像データとを画素単位で合成して圧縮された合成画像データを生成し、
前記圧縮された合成画像データを、前記テーブルを用いて画素単位で伸張し、各画素が前記色空間上の座標値として表される合成画像データを生成する、
ことを特徴とする画像合成方法。
【請求項2】
前記テーブルは、前記第1及び第2画像の画像データを画素単位で圧縮する際に構築される、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像合成方法。
【請求項3】
合成対象となる画像に使用される前記指標値の数と予め定めた閾値とを比較し、前記指標値の数が前記閾値以下の場合に、画素単位での可逆圧縮、合成及び伸張を行う、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像合成方法。
【請求項4】
合成対象となる画像における特定の属性値を有する画素の数量と予め定めた閾値とを比較し、前記画素の数量が前記閾値以下の場合に、画素単位での可逆圧縮、合成及び伸張を行う、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像合成方法。
【請求項5】
前記合成対象となる画像は、再利用される画像と再利用されない画像とを含み、
前記再利用される画像及び前記再利用されない画像の各々に対して、前記指標値の数又は前記画素の数量と前記閾値とを比較する、
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の画像合成方法。
【請求項6】
複数の画像を合成して印刷する印刷システムにおいて、
mビットで表される色空間上の座標値と前記mビットより小さいnビットで表される指標値とを対応付けるテーブルにより、第1画像にかかる第1画像データを画素単位で可逆圧縮し、前記第1画像データを可逆圧縮するのに用いた前記テーブルにより、第2画像にかかる第2画像データを画素単位で可逆圧縮する符号化部と、
圧縮された前記第1画像データと圧縮された前記第2画像データとを画素単位で合成して圧縮された合成画像データを生成する画像合成部と、
前記圧縮された合成画像データを、前記テーブルを用いて画素単位で伸張し、各画素が前記色空間上の座標値として表される合成画像データを生成する復号化部と、を少なくとも備える、
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項7】
前記符号化部は、前記テーブルを、前記第1及び第2画像の画像データを画素単位で圧縮する際に構築する、
ことを特徴とする請求項6に記載の印刷システム。
【請求項8】
合成対象となる画像に使用される前記指標値の数と予め定めた閾値とを比較し、前記指標値の数が前記閾値以下の場合に、画素単位での可逆圧縮、合成及び伸張が適用可能であると判定する適用判定部を更に備える、
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の印刷システム。
【請求項9】
合成対象となる画像における特定の属性値を有する画素の数量と予め定めた閾値とを比較し、前記画素の数量が前記閾値以下の場合に、画素単位での可逆圧縮、合成及び伸張が適用可能であると判定する適用判定部を更に備える、
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の印刷システム。
【請求項10】
前記合成対象となる画像は、再利用される画像と再利用されない画像とを含み、
前記適用判定部は、前記再利用される画像及び前記再利用されない画像の各々に対して、前記指標値の数又は前記画素の数量と前記閾値とを比較する、
ことを特徴とする請求項8又は9に記載の印刷システム。
【請求項11】
複数の画像を合成して印刷する印刷システムで動作する画像合成プログラムであって、
コンピュータを、
mビットで表される色空間上の座標値と前記mビットより小さいnビットで表される指標値とを対応付けるテーブルにより、第1画像にかかる第1画像データを画素単位で可逆圧縮し、前記第1画像データを可逆圧縮するのに用いた前記テーブルにより、第2画像にかかる第2画像データを画素単位で可逆圧縮する符号化部、
圧縮された前記第1画像データと圧縮された前記第2画像データとを画素単位で合成して圧縮された合成画像データを生成する画像合成部、
前記圧縮された合成画像データを、前記テーブルを用いて画素単位で伸張し、各画素が前記色空間上の座標値として表される合成画像データを生成する復号化部、として機能させる、
ことを特徴とする画像合成プログラム。
【請求項12】
前記符号化部は、前記テーブルを、前記第1及び第2画像の画像データを画素単位で圧縮する際に構築する、
ことを特徴とする請求項11に記載の画像合成プログラム。
【請求項13】
コンピュータを、更に、
合成対象となる画像に使用される前記指標値の数と予め定めた閾値とを比較し、前記指標値の数が前記閾値以下の場合に、画素単位での可逆圧縮、合成及び伸張が適用可能であると判定する適用判定部、として機能させる、
ことを特徴とする請求項11又は12に記載の画像合成プログラム。
【請求項14】
コンピュータを、更に、
合成対象となる画像における特定の属性値を有する画素の数量と予め定めた閾値とを比較し、前記画素の数量が前記閾値以下の場合に、画素単位での可逆圧縮、合成及び伸張が適用可能であると判定する適用判定部、として機能させる、
ことを特徴とする請求項11又は12に記載の画像合成プログラム。
【請求項15】
前記合成対象となる画像は、再利用される画像と再利用されない画像とを含み、
前記適用判定部は、前記再利用される画像及び前記再利用されない画像の各々に対して、前記指標値の数又は前記画素の数量と前記閾値とを比較する、
ことを特徴とする請求項13又は14に記載の画像合成プログラム。
【請求項1】
mビットで表される色空間上の座標値と前記mビットより小さいnビットで表される指標値とを対応付けるテーブルにより、第1画像にかかる第1画像データを画素単位で可逆圧縮し、
前記第1画像データを可逆圧縮するのに用いた前記テーブルにより、第2画像にかかる第2画像データを画素単位で可逆圧縮し、
圧縮された前記第1画像データと圧縮された前記第2画像データとを画素単位で合成して圧縮された合成画像データを生成し、
前記圧縮された合成画像データを、前記テーブルを用いて画素単位で伸張し、各画素が前記色空間上の座標値として表される合成画像データを生成する、
ことを特徴とする画像合成方法。
【請求項2】
前記テーブルは、前記第1及び第2画像の画像データを画素単位で圧縮する際に構築される、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像合成方法。
【請求項3】
合成対象となる画像に使用される前記指標値の数と予め定めた閾値とを比較し、前記指標値の数が前記閾値以下の場合に、画素単位での可逆圧縮、合成及び伸張を行う、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像合成方法。
【請求項4】
合成対象となる画像における特定の属性値を有する画素の数量と予め定めた閾値とを比較し、前記画素の数量が前記閾値以下の場合に、画素単位での可逆圧縮、合成及び伸張を行う、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像合成方法。
【請求項5】
前記合成対象となる画像は、再利用される画像と再利用されない画像とを含み、
前記再利用される画像及び前記再利用されない画像の各々に対して、前記指標値の数又は前記画素の数量と前記閾値とを比較する、
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の画像合成方法。
【請求項6】
複数の画像を合成して印刷する印刷システムにおいて、
mビットで表される色空間上の座標値と前記mビットより小さいnビットで表される指標値とを対応付けるテーブルにより、第1画像にかかる第1画像データを画素単位で可逆圧縮し、前記第1画像データを可逆圧縮するのに用いた前記テーブルにより、第2画像にかかる第2画像データを画素単位で可逆圧縮する符号化部と、
圧縮された前記第1画像データと圧縮された前記第2画像データとを画素単位で合成して圧縮された合成画像データを生成する画像合成部と、
前記圧縮された合成画像データを、前記テーブルを用いて画素単位で伸張し、各画素が前記色空間上の座標値として表される合成画像データを生成する復号化部と、を少なくとも備える、
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項7】
前記符号化部は、前記テーブルを、前記第1及び第2画像の画像データを画素単位で圧縮する際に構築する、
ことを特徴とする請求項6に記載の印刷システム。
【請求項8】
合成対象となる画像に使用される前記指標値の数と予め定めた閾値とを比較し、前記指標値の数が前記閾値以下の場合に、画素単位での可逆圧縮、合成及び伸張が適用可能であると判定する適用判定部を更に備える、
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の印刷システム。
【請求項9】
合成対象となる画像における特定の属性値を有する画素の数量と予め定めた閾値とを比較し、前記画素の数量が前記閾値以下の場合に、画素単位での可逆圧縮、合成及び伸張が適用可能であると判定する適用判定部を更に備える、
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の印刷システム。
【請求項10】
前記合成対象となる画像は、再利用される画像と再利用されない画像とを含み、
前記適用判定部は、前記再利用される画像及び前記再利用されない画像の各々に対して、前記指標値の数又は前記画素の数量と前記閾値とを比較する、
ことを特徴とする請求項8又は9に記載の印刷システム。
【請求項11】
複数の画像を合成して印刷する印刷システムで動作する画像合成プログラムであって、
コンピュータを、
mビットで表される色空間上の座標値と前記mビットより小さいnビットで表される指標値とを対応付けるテーブルにより、第1画像にかかる第1画像データを画素単位で可逆圧縮し、前記第1画像データを可逆圧縮するのに用いた前記テーブルにより、第2画像にかかる第2画像データを画素単位で可逆圧縮する符号化部、
圧縮された前記第1画像データと圧縮された前記第2画像データとを画素単位で合成して圧縮された合成画像データを生成する画像合成部、
前記圧縮された合成画像データを、前記テーブルを用いて画素単位で伸張し、各画素が前記色空間上の座標値として表される合成画像データを生成する復号化部、として機能させる、
ことを特徴とする画像合成プログラム。
【請求項12】
前記符号化部は、前記テーブルを、前記第1及び第2画像の画像データを画素単位で圧縮する際に構築する、
ことを特徴とする請求項11に記載の画像合成プログラム。
【請求項13】
コンピュータを、更に、
合成対象となる画像に使用される前記指標値の数と予め定めた閾値とを比較し、前記指標値の数が前記閾値以下の場合に、画素単位での可逆圧縮、合成及び伸張が適用可能であると判定する適用判定部、として機能させる、
ことを特徴とする請求項11又は12に記載の画像合成プログラム。
【請求項14】
コンピュータを、更に、
合成対象となる画像における特定の属性値を有する画素の数量と予め定めた閾値とを比較し、前記画素の数量が前記閾値以下の場合に、画素単位での可逆圧縮、合成及び伸張が適用可能であると判定する適用判定部、として機能させる、
ことを特徴とする請求項11又は12に記載の画像合成プログラム。
【請求項15】
前記合成対象となる画像は、再利用される画像と再利用されない画像とを含み、
前記適用判定部は、前記再利用される画像及び前記再利用されない画像の各々に対して、前記指標値の数又は前記画素の数量と前記閾値とを比較する、
ことを特徴とする請求項13又は14に記載の画像合成プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2009−278242(P2009−278242A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−125931(P2008−125931)
【出願日】平成20年5月13日(2008.5.13)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月13日(2008.5.13)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
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