説明

画像合成装置、画像表示装置、画像符号化装置、画像合成プログラム、画像表示プログラムおよび画像符号化プログラム

【課題】表示画面をスクリーンダンプしたとしても効果的にセキュリティを確保することができるようにした画像合成装置を提供する。
【解決手段】画像合成装置の文字分割手段は、画像として出力される情報内の各文字をN個(Nは2以上の自然数)の画像としての部分に分割し、出力画像合成手段は、前記文字分割手段によって分割された各文字のN個の部分から1個を選択し、出力画像を合成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像合成装置、画像表示装置、画像符号化装置、画像合成プログラム、画像表示プログラムおよび画像符号化プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
Adobe Reader(登録商標)やDocuWorks Viewer(商標)等のように、特定のフォーマットで記述されたドキュメントをPC等のディスプレイ上に表示したり、プリントしたりするソフトウエアが種々ある。
これらのソフトウエア(あるいはファイル)では、「プリント禁止」、「上書き禁止」、あるいは、インターネット等の通信回線を介して閲覧する場合に、「ダウンロード禁止」などのセキュリティが施されている場合がある。このようなセキュリティを施すことによって、重要な情報の散乱を保護することができる。
しかしながら、上記のようなビューワソフトウエア上において、プリント禁止等の保護策が採られている場合でも、PCのディスプレイ上に表示できる画像情報は、PCのスクリーンダンプ(スクリーンショットとも呼ばれている)機能を用いることによって、ビットマップ情報として保存し、かつ、プリントすることが可能である。
すなわち、静止画に関しては、PC上で表示できる(あるいは、表示しなければならない)以上、プリント禁止などの保護策は無意味であるという問題点があった。
【0003】
これらに関連する技術として、例えば、特許文献1には、画像全体に対して、画素値+αとした画像と、画素値−αの画像の2枚を作成し、これら2枚の画像を交互に表示させることによって、表示データは正規の画像に見えるようにするが、スクリーンダンプすると、画素値+αの画像、あるいは、画素値−αの画像のみが表示されるため、正規の画像を得ることはできないことが開示されている。
また、例えば、特許文献2には、画像全体に対して、画素値+αとした画像と、画素値−αの画像の2枚を作成し、さらに、画像を区分けして、画像区分ごとに画素値+αと、画素値−αを切り替え、これら2枚の画像を交互に表示させることによって、表示データは正規の画像に見えるようにするが、スクリーンダンプすると、画素値+αの画像、あるいは、画素値−αの画像のみが表示されるため、正規の画像を得ることはできないことが開示されている。
また、例えば、特許文献3には、入力画像を画素ごとに第1の画像と第2の画像に分割し、画像ビューワでは、第1の画像と第2の画像を高速切り替え表示し、第1あるいは第2の画像で、選択されなかった画素には低彩度および低輝度の画素値を埋め込み、第1の画像と第2の画像を得ても、元の画像を正確に復元することが不可能とすることが開示されている。
また、例えば、特許文献4には、画像を分割し、分割した画像を順次再生することで、画像全体を表示させるものであり、あるいは、複数の色空間に分解し、分解した画像を順次再生することで、画像全体を表示させるものであり、スクリーンショットを撮った場合、分割画像を取得することになるため、セキュリティを守ることができることが開示されている。
【特許文献1】特開2001−016429号公報
【特許文献2】特開2005−167683号公報
【特許文献3】特開2000−259139号公報
【特許文献4】特開2002−281478号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような背景技術の状況の中でなされたもので、表示画面をスクリーンダンプしたとしても効果的にセキュリティを確保することができるようにした画像合成装置、画像表示装置、画像符号化装置、画像合成プログラム、画像表示プログラムおよび画像符号化プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
[1] 画像として出力される情報内の各文字をN個(Nは2以上の自然数)の画像としての部分に分割する文字分割手段と、
前記文字分割手段によって分割された各文字のN個の部分から1個を選択し、出力画像を合成する出力画像合成手段
を具備することを特徴とする画像合成装置。
【0006】
[2] 複数のフレームに分割された静止画像を入力する画像入力手段と、
前記画像入力手段によって入力された個々のフレームを異なる時刻にディスプレイ上の同一位置に表示する画像表示手段
を具備することを特徴とする画像表示装置。
【0007】
[3] 静止画像を複数のフレームに分割する分割手段と、
前記分割手段によって分割されたフレームを動画ファイルとして符号化する符号化手段
を具備することを特徴とする画像符号化装置。
【0008】
[4] 入力情報が文字コードを含んでおり、文字コードをラスタライズするラスタライズ手段と、
前記ラスタライズ手段によってラスタライズされた文字をN個に分割する分割手段
をさらに具備することを特徴とする[1]に画像合成装置。
【0009】
[5] 入力情報がビットマップ画像を含むか、あるいは、入力情報がビットマップ画像であり、該ビットマップ画像から文字画像を抽出する手段
をさらに具備することを特徴とする[1]に画像合成装置。
【0010】
[6] 前記出力画像合成手段は、各文字のN個の部分から1個を選択するとき、各文字ごとに乱数で選択する
ことを特徴とする[1]に画像合成装置。
【0011】
[7] 前記文字分割手段は、各文字の文字種類に応じてNの値を変化させる
ことを特徴とする[1]に画像合成装置。
【0012】
[8] 横線あるいは縦線の数を計測する線数計測手段と、
前記線数計測手段によって計測された横線あるいは縦線の数から、横方向あるいは縦方向の分割数Nを決定する分割数決定手段
をさらに具備することを特徴とする[1]に画像合成装置。
【0013】
[9] 分割数Nの最大値を取得する分割数最大値取得手段と、
各画像部分の各分割画像がどのフレームに対応するかのリンク情報を決定する手段と、
前記分割数最大値取得手段によって取得した最大値に応じて、フレームを生成するフレーム生成手段
をさらに具備することを特徴とする[1]に画像合成装置。
【0014】
[10] 分割数Nの最大値を取得する分割数最大値取得手段と、
各画像部分の各分割画像がどのフレームに対応するかのリンク情報を決定するリンク情報決定手段と、
各画像部分の各分割画像を蓄積する手段と、
前記分割数最大値取得手段によって取得した分割数Nの最大値以上のフレームを生成する場合に、前記リンク情報決定手段によって決定されたリンク情報から、各画像部分の各分割画像を抽出して、フレームを生成する手段
をさらに具備することを特徴とする[1]に画像合成装置。
【0015】
[11] 機密度を入力する機密度入力手段と、
前記機密度入力手段によって入力した機密度から分割数Nを算出する分割数算出手段
をさらに具備することを特徴とする[1]に画像合成装置。
【0016】
[12] 表示画質を入力する表示画質入力手段と、
前記表示画質入力手段によって入力した表示画質から分割数Nを算出する分割数算出手段
をさらに具備することを特徴とする[1]に画像合成装置。
【0017】
[13] 画像中の文字を表示するために必要なライン数を得るライン数取得手段と、
前記ライン数取得手段によって得た必要なライン数から、分割数Nを算出する分割数算出手段
をさらに具備し、
Nラインに1ラインだけ抽出した画像を1フレームとする
ことを特徴とする[2]に画像表示装置。
【0018】
[14] 分割数Nは、文字を表示するために必要なライン数と文字を隠す帯の相対的な太さとの積に何らかの定数(0を含む定数)を加算して算出する
ことを特徴とする[13]に画像表示装置。
【0019】
[15] 画像中で分割数Nの値が変化した場合、1フレーム内では、隣接するラインを抽出しない
ことを特徴とする[13]に画像表示装置。
【0020】
[16] 入力画像を線形変換し、該線形変換の際に用いた変換係数を分割し、さらに、該分割された変換計数を用いて逆変換することで画像分割を行う画像分割手段と、
前記画像分割手段によって分割された複数の画像部分から1個を選択し、出力画像を合成する出力画像合成手段
を具備することを特徴とする画像合成装置。
【0021】
[17] 前記線形変換はDCTであり、分割された変換係数をJPEG圧縮する
ことを特徴とする[16]に画像合成装置。
【0022】
[18] 前記画像分割手段による分割では、DC成分と他のAC成分で分割する
ことを特徴とする[17]に画像合成装置。
【0023】
[19] 前記線形変換はDCTであり、AC成分をさらに分割する場合には、JPEGのジグザグスキャンが連続するように分割する
ことを特徴とする[16]に画像合成装置。
【0024】
[20] AC成分で分割された画像が負の値を持たないように、DC成分値をさらに分割し、AC成分値から得られた画像に分け与える
ことを特徴とする[18]または[19]に画像合成装置。
【0025】
[21] DC成分で分割された画像をさらに空間軸上で分割する
ことを特徴とする[18]、[19]または[20]に画像合成装置。
【0026】
[22] 入力された画像をN個(Nは2以上の自然数)の画像に分割する分割手段と、
前記分割手段によって分割された画像から、N枚の出力画像を合成する出力画像合成手段と、
前記出力画像合成手段によって合成されたN枚の出力画像を個々のフレームとし、該フレームを異なる時刻にディスプレイ上の同一位置に表示する画像表示手段
を具備することを特徴とする画像表示装置。
【0027】
[23] 前記分割手段によって分割する画像は、文字ごとに分配することによって行うことを特徴とする[22]の画像表示装置。
【0028】
[24] コンピュータに、
画像として出力される情報内の各文字をN個(Nは2以上の自然数)の画像としての部分に分割する文字分割機能と、
前記文字分割機能によって分割された各文字のN個の部分から1個を選択し、出力画像を合成する出力画像合成機能
を実現させることを特徴とする画像合成プログラム。
【0029】
[25] コンピュータに、
複数のフレームに分割された静止画像を入力する画像入力機能と、
前記画像入力機能によって入力された個々のフレームを異なる時刻にディスプレイ上の同一位置に表示する画像表示機能
を実現させることを特徴とする画像表示プログラム。
【0030】
[26] コンピュータに、
静止画像を複数のフレームに分割する分割機能と、
前記分割機能によって分割されたフレームを動画ファイルとして符号化する符号化機能
を実現させることを特徴とする画像符号化プログラム。
【0031】
[27] コンピュータに、
入力画像を線形変換し、該線形変換の際に用いた変換係数を分割し、さらに、該分割された変換計数を用いて逆変換することで画像分割を行う画像分割機能と、
前記画像分割手段によって分割された複数の画像部分から1個を選択し、出力画像を合成する出力画像合成機能
を実現させることを特徴とする画像合成プログラム。
【0032】
[28] コンピュータに、
入力された画像をN個(Nは2以上の自然数)の画像に分割する分割機能と、
前記分割機能によって分割された画像から、N枚の出力画像を合成する出力画像合成機能と、
前記出力画像合成機能によって合成されたN枚の出力画像を個々のフレームとし、該フレームを異なる時刻にディスプレイ上の同一位置に表示する画像表示機能
を実現させることを特徴とする画像表示プログラム。
【発明の効果】
【0033】
本発明にかかる画像合成装置、画像表示装置、画像符号化装置、画像合成プログラム、画像表示プログラムおよび画像符号化プログラムによれば、本構成を有していない場合に比較して、表示画面をスクリーンダンプしたとしても効果的にセキュリティを確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
[本実施の形態の概略]
まず、本実施の形態の理解を助けるために、その概略を説明する。
本実施の形態では、画像を表示する際に次のように行うことができる。
(1)入力画像中の各文字を複数(N個、Nは2以上の自然数)の部分に分割する。
(2)各文字の中から1つの部分を抽出する。
(3)抽出した部分を合わせて、一つの画像を作成する。
(4)計N枚の画像を生成する。
(5)表示の際には、分割した静止画を一つのフレームであるとみなして、あたかも動画のように繰り返し表示する。
このようにすると、人間の視覚の残像効果、あるいは、ディスプレイ(CRT、液晶等)の残像効果により、表示される動画は、静止画のように見える。つまり、入力画像そのものを見ることができるようになる。
しかしながら、このように表示された静止画をスクリーンダンプした場合に得られるビットマップ画像は、分割された一部分の静止画であるため、プリント禁止等のセキュリティが保護される。
【0035】
本実施の形態では、各文字が分割されているため、N枚中の1枚の画像のみを取得しても、文字の判読性を非常に低く保つことができる。
しかも、Nの値が比較的小さくても、判読性の低さを保つことができる。なぜなら、各文字が分割されていることを保証しているからである。
さらに、インターネット等の通信回線を介してドキュメントを閲覧する場合など、静止画ファイルをPC上に保持しないような仕組み(いわば動画のストリーミングと同様の仕組み)とすることもできる。
あるいは、静止画のファイルフォーマットを非公開とすることによって、ファイルをダウンロードした場合でも、特定のビューワソフトを用いないと表示できなくすることもできる。
ファイルフォーマットを含む表示方法としては、例えば、
(1)ドキュメントを普通の静止画のようにファイルとして保持し、表示の際に分割する方法
(2)ファイルとして保持するときに、静止画を分割して動画のように保持する方法
の2通りがある。
【0036】
本実施の形態では、文字そのものを分割するため、文字を読めなくするNの値を一定にすることができる。これによって、装置規模を小さくすることもできる。Nの値を一定にできるのは、大きな文字でも小さな文字でも読めなくなるまで分割する分割数は一定と考えられるからである。
さらに、本実施の形態では、文字に着目して分割を行っているため、画像の部分によって抽出される領域の大きさを異なるものにすることができる。そのため、重要な部分(例えば文字の小さい部分)では、分割領域の面積を小さくし、重要ではない部分(文字の大きな部分)では、分割領域の面積を大きくするという適応化を自動的に行うことができる。
従来例では、抽出画像領域の面積は画像の重要度と関わり無く一定である。例えば、1ラインごとに抽出するため、部分の面積は1ラインの面積で固定となる。
【0037】
また、以下を追加することもできる。
(1)文字種に依存してNの値を変化させることもできる。以下に例示する。
・例えば、ローマ字、仮名、数字の場合は分割数N=6、漢字の場合は分割数N=12などと変化させる。
・フォントに依存して分割数Nの値を変化させる。例えば、特徴の多いフォント(セリフのあるフォント等)の分割数Nを大きくする。なお、セリフとは、文字の線端に装飾的につけた三角形や四角形等のひげのことである。
・イタリック、ボールドなどのスタイルで分割数Nの値を変える。
・文字中の横線の数を計測し、横線の数に応じて、横方向の分割数Nを決定する。
・文字中の縦線の数を計測し、縦線の数に応じて、縦方向の分割数Nを決定する。
(2)非常に小さな文字の場合は、上記Nの値が達成できない場合がある。この場合はN分割をしなくてもよい。文字の最小分割単位は画素とする。
(3)ユーザ(画像を見る側ではなく、画像を提供する側)が機密度を入力することができる。そして、その機密度に応じて、Nを変化させることができる。例えば、機密度が大の場合大きな分割数Nとし、機密度が小の場合は小さな分割数Nとすることである。
(4)ユーザ(画像を見る側ではなく、画像を提供する側)で、ビューワの画質を指定することができる。そして、その要求画質に応じて、分割数Nを変化させることができる。例えば、高画質の場合、分割数Nの値を小さくする等である。
【0038】
上記で得られたNの最大値をNmaxとする。画像分割時には、全ての文字をNmax個に分割することとしている。
ただし、画像中でNの値を変化させることも可能である。Nmax個の画像を作る場合には、全ての文字をNmax個に分割してしまえばよいことになる。そのため、一旦画像を蓄積する場合に、N<Nmaxのフレームだけを蓄積すればよいことになるため、蓄積容量を減らすことができる。あるいは画像分割の負荷を小さくすることができるというメリットが存在する。
【0039】
画像中でNの値が変化する場合には、以下のような表示方法とする。
(1)分割数Nの最大値をNmaxとする。
(2)N=Nmaxのときには、順に表示すればよい。例えばフレーム1は時刻1、フレーム2は時刻2とする。
(3)N<Nmaxのときは、各フレームが、N=Nmaxのどのフレームと同時に表示するかをリンクさせておく。
(4)以上のリンク情報を利用して、Nmax枚の画像を生成すればよい。
(5)分割数Nの値をNmaxの約数とすると更に処理を効率よくできる。
【0040】
あるいは、別手法(文字毎の分割をしない方法)として、以下のものがある。
(1)入力画像の文字のポイント数(あるいは、必要ライン数等)を計測する。
(2)必要ライン数は文字のポイント数から換算可能。
(3)ポイント数(必要ライン数)に応じてNの値を変更する。
(4)これによって、文字を分割しない場合でも、判読不可能な分割数Nの値を算出することが可能となる。また、ここで得られた分割数Nの値はできるだけ小さな値とすることができている。
【0041】
さらに、Nの値を画像の部分毎に変更することも可能である。
(1)ライン毎に、入力画像の文字のポイント数を計測する。そのラインにおけるNの値を決定する。
(2)あるいは入力画像をブロックに分割して、ブロック内の文字のポイント数を計測する。そのブロックにおけるNの値を決定する。
(3)上記では、Nの値が変化した時の境界画素の扱いに特別の処理が必要である。つまり、フレーム内で連続して画素を選択しないようにする必要がある。
【0042】
上記では、水平に分割したが、斜めに分割してもよい。その場合は、さらに読みにくくなる。
【0043】
あるいは、さらに別手法(文字毎の分割をしない方法)として、以下のものがある。
(1)画像がJPEG等の変換符号化で圧縮されている場合とする。
(2)変換係数をN種類にグループ分けする。グループKの変換係数を逆変換して得られた画像をフレームKとする。
(3)線形変換であれば、上記画像を加算すれば、元の画像に戻すことができる。
(4)本形態は、各フレームを圧縮して持つ時の圧縮率を高くすることができる。また、非可逆圧縮を行ったとしても、完全にもとの画像に加算で戻すことができるという効果がある。
(5)JPEGでは、ジグザグスキャン順に連続するようにグループ分けすれば、圧縮率をさらに高めることができる。
(6)DC成分は、さらに空間領域で分割するとよい。
(7)各フレームが負の値にならないようにDCの値を適宜分け与える必要がある。
(8)グループ分けは、変換係数種類毎でもよいし、ビットプレーンでもよいし、加算して元に戻るような分割方法でもよいし、その他の方法でもよい。
【0044】
[本実施の形態の背景]
以下に、本実施の形態の背景について説明する。
特許文献1と特許文献2記載の技術は、2枚の画像の平均値を取ってしまうと、正規の画像を復元できてしまう。特許文献2記載の技術では、画像全体に対して画素値+αをしてしまうと、画素値+2αとなるので、正規の画像が復元できないと書いてあるが、実際には2枚の画像の平均値を取れば、正規の画像が復元可能である。
また、特許文献3の場合、2枚の画像の平均値を取れば、正規の画像に近い画像が復元可能である。
画像のセキュリティを考える場合、画像内に書かれている文字が読めるかどうかという点が重要になってくる場合がある。スクリーンダンプした場合に、文字を読める程度に復元できてしまう場合には、セキュリティ機能が低いと考えられる。特許文献1記載の技術、特許文献2記載の技術、および、特許文献3記載の技術の場合、ビューワで見ることができる程度の画像は復元可能であるため、完全なるセキュリティ機能を提供することはできない。
以上のように、単純なる分割画像数(例えばN=2)の場合には、高度なセキュリティ効果を得ることはできない。
【0045】
分割画像数Nが大きくなると、残像効果が薄れるため、表示した画像が非常に見づらくなることが問題となる。例えば、N枚の画像に分割した場合、平均的には画素値が1/Nになってしまう。さらに画素値の濃い部分と薄い部分が画像内に偏在することになる(残像効果を期待する場合、近い時刻に表示された画素の画素値が大きくなり、遠い時刻に表示された画素の画素値が小さくなるため)。そのため、分割画像数Nが大きな場合、表示画質は落ちざるを得ない。逆に、分割画像数Nが小さいと、各分割画像単体で文字が読めてしまう可能性が高くなり、セキュリティ機能が低下する。
【0046】
ここで、図19を用いて、特許文献4記載の技術での画質劣化の例を示す。例えば、ここでは、図19に示すように第1フレーム〜第Nフレームの、N枚のフレームに分割する。つまり、第1フレームは、第1ライン、第N+1ライン、第2N+1ライン、・・・の画像からなり、第2フレームは、第2ライン、第N+2ライン、第2N+2ライン、・・・の画像からなり、第Nフレームは、第Nライン、第2Nライン、第3Nライン、・・・の画像からなるものである。
これらのNフレームを順に表示させるとき、各ラインはNフレームに1回しか表示されないため、その画素値は実質1/Nとなる。このように薄い表示は画質劣化につながる。
さらに、今Nフレーム目を表示させているとする。このとき、1フレーム目の輝度が小さく2、3、4、と段々に輝度が高くなり、Nフレーム目の輝度が最も高くなる。すなわち、表示画像にはNライン単位の横縞が発生することになる。
【0047】
そこで、Nの数を小さくすることを考える。例えば、N=2とする。1ラインおきに画像を出力することになるが、このような場合には、文字は判読できてしまう恐れがある。つまり、分割画像数が小さいと、各分割画像単体で文字が読めてしまう可能性が高くなり、セキュリティ機能が低下する。
しかも、特許文献4記載の技術では、どの程度のNの値を選択すればよいかが全く考慮されていない。そのため、文字を読めなくするというセキュリティ目的に用いるには不適である。
あるいは、特許文献4では、入力画像を色版に分解する例を示している。この場合には、比較的綺麗な表示画像を得ることができる。また、この例で分解された画像は、綺麗なものではないため、著作権的には意味のないものになってしまう。しかし、文字を読めるという意味ではデータが漏洩してしまうため、セキュリティ上は問題がある。
以上のように、特許文献4記載の技術では、分割画像を順次表示させて、元画像と同等の画像を表示させようとしているが、現実的には「元画像と同等の画像」を表示させることは非常に困難である。
そこで、できるだけ分割数を小さくしながら、セキュリティ機能を向上させることが課題となっている。
【0048】
[背景技術と比較した場合の本実施の形態の課題]
上記で述べた背景技術の場合、スクリーンダンプで、正規の画像が取得できることを問題としている。確かに、著作権などでこれは問題となる。
しかしながら、本実施の形態の課題の観点は異なる。つまり、セキュリティ上の観点からは、元の画像の文字が読める程度に画像を取得できること自体が問題である。文字が読める程度に画像が取得できると、セキュリティ的に問題になると考えるからである。
そこで、表示画面をスクリーンダンプしたとしても効果的にセキュリティを確保することができるようにすることを課題としている。
【0049】
[第1の実施の形態]
以下、図面に基づき、さらに具体的な各種の実施の形態を説明する。
図1は、第1の実施の形態の概念的なモジュール構成図を示している。図1に示すように、第1の実施の形態は、フォントラスタライザ11、文字分割モジュール12、画像合成モジュール13、画像表示モジュール14を有している。フォントラスタライザ11は文字分割モジュール12と接続されており、文字分割モジュール12はフォントラスタライザ11、画像合成モジュール13と接続されており、画像合成モジュール13は文字分割モジュール12、画像表示モジュール14と接続されており、画像表示モジュール14は画像合成モジュール13と接続されている。
なお、モジュールとは、一般的に論理的に分離可能なソフトウェア、ハードウェア等の部品を指す。したがって、本実施の形態におけるモジュールはプログラムにおけるモジュールのことだけでなく、ハードウェア構成におけるモジュールも指す。それゆえ、本実施の形態は、プログラム、装置、システムおよび方法の説明をも兼ねている。また、モジュールは機能にほぼ一対一に対応しているが、実装においては、1モジュールを1プログラムで構成してもよいし、複数モジュールを1プログラムで構成してもよく、逆に1モジュールを複数プログラムで構成してもよい。また、複数モジュールは1コンピュータによって実行されてもよいし、分散または並列環境におけるコンピュータによって1モジュールが複数コンピュータで実行されてもよい。また、以下、「接続」とは物理的な接続の他、論理的な接続を含む。
また、ここでの装置とは、1つの筐体からなる装置によって実現される場合以外に、複数の装置、コンピュータ、ハードウェア等がネットワーク等で接続されて構成されるシステムも含まれる。
以下、表示対象とするオブジェクト(デジタル情報であり、画像ファイル、テキストファイル等がある)として、ドキュメントファイルを主に例示して説明する。
【0050】
まず、ドキュメントファイルが入力される。ドキュメントファイルとは、具体的には、ワード(商標)やエクセル(商標)など、あるいは、PDF(Portable Document Format)(登録商標)やDocuWorks(登録商標)、PS(PostScript)などのファイルを示している。文字コードが含まれているものとする。画像や図形等が含まれていてもよい。
フォントラスタライザ11は、入力ドキュメントファイルを解釈し、文字コードをビットマップ画像に変換する。例えば、図2に示すように、文字コード「A」(図2(A))をディスプレイ等に表示するために、画像(図2(B))に展開することが行われる。変換したビットマップ画像を文字分割モジュール12へ渡す。
【0051】
文字分割モジュール12では、ラスタライズされた文字(ビットマップ画像)をN個の領域に分割する。図3に、N=4の場合を示す。つまり、「A」というビットマップ画像(図3(A))を縦1箇所、横1箇所で区切ることによって4つの領域に分割する(図3(B))。分割した文字を画像合成モジュール13へ渡す。
画像合成モジュール13では、分割されたN個の領域のうち、1個の領域を選択して画像を合成する。例えば、図4に示すように、A、B、Cの3つの文字から成るドキュメントファイルが入力され、4つの画像を生成する場合を示す。つまり、図4(A)は、フォントラスタライザ11がドキュメントファイル内の文字コード「A B C」を入力し、ラスタライズ、つまり画像化したものである。図4(B)は、文字分割モジュール12によって各文字が4つに分割された状態を示している。そして、図4(C)〜(F)は、画像合成モジュール13によって合成された4枚の画像(フレーム)を示している。図4(C)は各文字の左上の領域を選択して、合成した画像1(第1フレーム)である。同様に、図4(D)は各文字の右上の領域を選択して、合成した画像2(第2フレーム)である。図4(E)は各文字の左下の領域を選択して、合成した画像3(第3フレーム)である。図4(F)は各文字の右下の領域を選択して、合成した画像4(第4フレーム)である。
上記画像1〜4を加算する(論理的な和演算でもよい)と元の「A B C」の画像を復元することができる。図4の各フレームだけでは元の文字の判読が非常に困難である。
【0052】
次に、画像表示モジュール14の説明を行う。
画像表示モジュール14では、まず第1フレームを表示する。次に(できるだけ速い速度で)第2フレームを表示する、さらに、第3、第4・・・と表示していき、第Nフレームを表示する。第Nフレームの次には、また、第1、第2・・・と元に戻って表示を繰り返す。(上記では1から順にNまでのフレームを表示しているが、表示の順序はどのような順序でもよい。1〜Nの全てのフレームが表示されさえすればよい)。
このように、できるだけ速い速度で表示を変更することによって、残像効果により、入力静止画像と同等の画像を表示することができる。できれば、表示PCに接続されたディスプレイのリフレッシュレートで表示フレームを変更することが望ましい。ここでの速度は、人間の目で上記のような動画的表示が静止画として感じられる程度の速さでよい。
表示している際に、スクリーンダンプが行われたとしても、図4(C)〜(F)のいずれかのみがコピーされるので、これを印刷したとしても判読できない。
【0053】
[第2の実施の形態]
第1の実施の形態では、第1フレームを左上の部分、第2フレームを右上の部分のように、各文字ごとに同じ位置としたが、文字ごとに選択する位置を変えてもよい。また、選択位置をランダムに変化させてもよい。さらに、同一文字であっても、フレームごとに選択位置を変えてもよい。
また、さらには、フレーム数は分割数Nよりも大であってもよい。その場合は、1文字内で分割部分が重複したフレームがあることになる。
【0054】
[第3の実施の形態]
図5は、第3の実施の形態の概念的なモジュール構成図を示している。図5に示すように、第3の実施の形態は、文字矩形抽出モジュール51、文字分割モジュール12、画像合成モジュール13、画像表示モジュール14を有している。文字矩形抽出モジュール51は文字分割モジュール12と接続されており、文字分割モジュール12は文字矩形抽出モジュール51、画像合成モジュール13と接続されており、画像合成モジュール13は文字分割モジュール12、画像表示モジュール14と接続されており、画像表示モジュール14は画像合成モジュール13と接続されている。なお、第1の実施の形態と同種のモジュールには同一符号を付し重複した説明を省略する。
第1の実施の形態では、フォントラスタライザ11の出力画像を分割した。第3の実施の形態の文字矩形抽出モジュール51は、入力するドキュメントファイルを、TIFF(Tagged Image File Format)、GIF(Graphics Interchange Format)、JPEG(Joint Photographic Experts Group)等の画像フォーマットとして、OCR(Optical Character Recognition)等の技術に用いられている、文字部分を矩形で抽出する処理を行う。その後に第1の実施の形態と同様に、抽出した各文字画像を分割してもよい。
【0055】
[第4の実施の形態]
図6は、第4の実施の形態の概念的なモジュール構成図を示している。図6に示すように、第4の実施の形態は、フォントラスタライザ11、文字分割モジュール12、画像合成モジュール13、画像蓄積モジュール61、画像表示モジュール62を有している。フォントラスタライザ11は文字分割モジュール12と接続されており、文字分割モジュール12はフォントラスタライザ11、画像合成モジュール13と接続されており、画像合成モジュール13は文字分割モジュール12、画像蓄積モジュール61と接続されており、画像蓄積モジュール61は画像合成モジュール13、画像表示モジュール62と接続されており、画像表示モジュール62は画像蓄積モジュール61と接続されている。なお、第1の実施の形態と同種のモジュールには同一符号を付し重複した説明を省略する。
分割フレームは何度も表示に利用されるため、画像蓄積モジュール61に蓄積すると有利である。蓄積の際にフレームを圧縮すると画像蓄積モジュール61の容量削減や、画像蓄積モジュール61から画像表示モジュール62への伝送帯域縮小に役立つ。圧縮フォーマットとしては、各フレームを独立な静止画と考えてJPEG等のような静止画符号化を行ってもよい。あるいは、フレームをあわせて動画として圧縮してもよい。動画として扱うことができれば、一般的に普及している動画のビューワを利用して閲覧することができるようになる。
【0056】
[第5の実施の形態]
第1の実施の形態では、ドキュメントファイルを入力としたが、第4の実施の形態における蓄積フォーマットをそのまま静止画像ファイルフォーマットとして扱うことも可能である。
第4の実施の形態の、分割画像の部分が、ネットワークで接続されていてストリーミング的に利用できるようになっていてもよいし、何らかの画像ファイルとして蓄積できるようになっていてもよい。
【0057】
[第6の実施の形態]
以上の実施の形態では全てのフレームを表示させていたが、一部のフレームを表示させなくてもよい。例えば、画像の一部を見えなくしておくことができる。
より具体的には、何らかのパスワードを用意しておき、入金が確認されたときにパスワードを知らせて、全ての画像を表示させるなどという応用が可能となる。
【0058】
[第7の実施の形態]
分割数を画像部分で変更する例を示す。
[第7の実施の形態、文字種で分割数を変更]
例えば、漢字の場合、分割数を大きくしたほうが読みにくくなる。漢字以外の場合、漢字ほどの分割数が必要ない。
このようにすると、文字分割に要する処理負荷を小さくすることができる。
図7、図8を用いて、説明する。図7は「A」(英字)という文字を分割する場合、図8は「漢」(漢字)という文字を分割する場合を示している。
図7(A)は「A」をラスタライズした画像であり、図7(B)はこれに対して4分割を行った例であり、図7(C)〜(F)はそれぞれ分割された画像である。このように、「A」の文字であれば、4分割でほぼ読めなくなるのがわかる。
一方、図8(A)は「漢」をラスタライズした画像であり、図8(C)〜(F)はそれぞれ4つに分割された画像である。図8(C)〜(F)に示すように、「漢」の文字である場合、4分割ではある程度判読可能である。
そこで、漢字の場合、分割数を増加させることによって、判読性を小さくする。例えば、分割数を8にした場合を図8(B)、(G)〜(N)に示す。
このように、文字種(英数字、ひらがな、カタカナ、漢字等)によって、分割数を変更することもできる。
【0059】
[第7の実施の形態、フォントに応じて分割数を変更]
フォントに応じて分割数を変えることもできる。例えば、セリフのあるフォントでは、特徴が多いため、分割数を増加させる。あるいは、イタリック、ボールドなどの強調(スタイル)の違いで変えてもよい。
【0060】
[第7の実施の形態、文字の横線、縦線の数で分割数を変更]
文字を構成している横線、縦線の数で分割数を変更することもできる。
まず、文字を構成している横線の数を計測する。横線の数をMとする。このとき横方向の分割数NをMの関数とする。例えば、
N=round(α×M)、ただし、N≧1とする。
また、縦線の数をMとし、縦方向の分割数をNとするとこの場合のNの値も同様の式で表すことができる。
α=1の例を示す。例えば、図9(A)のような文字が入力されたとする。この場合、横線は、3本であるので、横方向に3分割する。縦線は2本であるので、縦方向に2分割する。分割結果を図9(B)に示す。
横線や縦線の計測方法は、例えば、横方向や縦方向の画素値のプロファイルを取ればよい。図10を用いて説明する。図10(A)において、例えば、縦線の数を計測する。X軸において、あるXの値における黒画素の数を計測すると、図10(B)のようなグラフを得ることができる。このとき、黒画素数の絶対値や割合が所定の閾値より大きな部分を線として計測すればよい。横線に関しても同様に計測することができる。
【0061】
[第7の実施の形態、ユーザがN数を指定する場合]
画像を生成して、提供する側で、画像の機密度を指定することも可能である。
例えば、機密度が高い場合には、Nを大きくする。機密度が低い場合には、Nを小さくして表示画質を上げることができる。
あるいは、画像を生成して、提供する側で、表示画質を指定することも可能である。表示画質を高めたい場合にはNを小さくすることができる。
【0062】
[第7の実施の形態、画像中で分割数Nの値が変化する場合の対処法]
画像中で分割数Nの値が変化する例を上記で示した。この場合の表示方法に関して述べる。
例えば、N=2とN=4が混在する例を示す。図11に示すように、「A 漢」の文字を含むドキュメントファイル(図11(A))を入力する。「A」は2分割(図11(B))、「漢」は4分割する(図11(C))とする。
このとき、「A」に関しては、2枚のフレームがあればよい。「漢」に関しては4枚のフレームが必要である。そこで、図12に示すようなリンク条件を作成する。つまり、「漢」のフレーム番号(1、2、3、4)に対して、「A」のフレーム番号(1、2)の何れかをリンクさせればよい。つまり、全体のフレーム番号1は「A」のフレーム番号1と「漢」のフレーム番号1とリンクしており、全体のフレーム番号2は「A」のフレーム番号2と「漢」のフレーム番号2とリンクしており、全体のフレーム番号3は「A」のフレーム番号1と「漢」のフレーム番号3とリンクしており、全体のフレーム番号4は「A」のフレーム番号2と「漢」のフレーム番号4とリンクしている。
また、最大のフレーム数を持つ文字のフレーム番号と全体のフレーム番号とを同じにする。
【0063】
さらに、表示の際の方法は「方法1」と「方法2」の2種類ある。
「方法1」
表示の際に、4枚の全体のフレームを作成して、これを順に表示する方法である。つまり、図13のように、フレーム1は「A」のフレーム1と「漢」のフレーム1を合成したもの(図13(A))、フレーム2は「A」のフレーム2と「漢」のフレーム2を合成したもの(図13(B))、フレーム3は「A」のフレーム1と「漢」のフレーム3を合成したもの(図13(C))、フレーム4は「A」のフレーム2と「漢」のフレーム4を合成したもの(図13(D))である。
「方法2」
毎回の表示で、各フレームの画像を生成する方法である。
一旦、図14(A)〜(F)の分割画像を6枚蓄積する。つまり、図14(A)、(B)は「A」の2分割の画像、図14(C)〜(F)は「漢」の4分割の画像をそれぞれ蓄積する。
そして、全体のフレームを作成する場合に、以下のように行う。
全体のフレーム1を作成する場合、フレームA1(図14(A))とフレーム漢1(図14(C))から画像を作成する。
全体のフレーム2を作成する場合、フレームA2(図14(B))とフレーム漢2(図14(D))から画像を作成する。
全体のフレーム3を作成する場合、フレームA1(図14(A))とフレーム漢3(図14(E))から画像を作成する。
全体のフレーム4を作成する場合、フレームA2(図14(B))とフレーム漢4(図14(F))から画像を作成する。
このようにすることで、フレームA1とフレームA2を2度同じものを蓄積する無駄を省くことができる。
以上に示したように、フレーム数(分割数)の最大値を取るものに他の分割数の文字の表示をリンクさせればよい。リンクさせるためには、他の分割数はフレーム数(分割数)の最大値の約数であれば都合がよい。なぜなら、約数になっているときには、各フレームの表示回数を同一とすることができるからである。
ただし、表示画質は劣化するが、約数としなくてもよい。
【0064】
[第8の実施の形態]
特許文献4では、1フレーム内では、Nラインに1ラインだけ表示する例が記載されている。このような手法では、文字の判読性を制御できない。
たとえは、図15(A)に示すように文字「A」が8ラインの画像として生成されているとする(非常に小さな文字に相当する)。
このような場合、N=2としてみる。つまり、具体的な画像は、図15(B)、(C)のようになる。図からわかるように、N=2では判読可能である。
N=4としてみる。つまり、具体的な画像は、図15(D)〜(G)のようになる。図からわかるように、Nを増加させることで判読性を低くすることが可能となる。
【0065】
次に、もう少し大きな文字の場合について説明する。
たとえは、図16(A)に示すように文字「A」が16ラインの画像として生成されているとする。
このような場合、図15(D)〜(G)と同じように、N=4としてみる。つまり、具体的な画像は、図16(B)〜(E)のようになる。図からわかるように、N=4でも判読性があることが分かる。
すなわち、大きな文字では、Nを大きくする必要がある。また、小さな文字ではNを小さくしてもよいことが分かる。
ここでは、以下のように行う。
すなわち、文字が小さいときにNが小さくても判読性がなくなったのは、文字を隠す帯の相対的な太さが大きいためと考えられる。そこで、入力文字の高さのK倍の幅の帯で入力文字を隠すことによって、入力文字の判読性をなくすことができるとする。
このとき、Pラインで構成されている文字であれば、N=P×K+1とすればよい。あるいは、近似として、N=P×K等としてもよい。
例えば、K=3/8とする。8ラインで構成されている文字であれば、N=4となる。16ラインで構成されている文字であれば、N=7となる。
そこで、本実施の形態では、文字の判読性を制御するために、Nの値を自動的に決定する手法の例を示す。
(1)各ライン毎に文字を抽出して、その文字を表示するのに必要なライン数を計測する。複数文字が存在する場合には、必要ライン数の最大値を算出する。ここで取得した必要ライン数をPとする。
(2)Pの値が求まれば、N=P×K+1の式を用いて、Nの値を求めることができる。
このようにすることで、画像の部分毎に最適なNを求めることができるため、表示画質を高めることができる。
【0066】
さて、上記のように制御を行うとき、Nの値が画像内で変更される場合がある。このとき、1フレーム内では、抽出ラインが連続しないように制御する必要がある。あるフレームではN枚の画像のうち、1枚の画像を選択することになる。この選択時に、抽出するラインが連続しないようにすればよい。
上記では、画像を横方向に分割して分割した画像ごとにNの値を決定していたが、その分割を縦方向に行ってもよいし、あるいは、2次元的にブロック状に分割してもよいし、分割の形状は矩形ではなくてもよい。
【0067】
[第9の実施の形態]
以上の実施の形態は、空間軸上で分割を行う例であった。
線形変換を行って、その変換係数軸上で画像分割を行うことも可能である。空間軸上での分割ではないため、画像を判読し難くする効果を得ることができる。
また、フレームを蓄積するときに圧縮を行う場合には、変換係数を保持することと圧縮することの親和性が高いため、画質を保持しながら圧縮率を高めることができるという効果がある。
【0068】
以下にその原理を含めて説明する。
線形変換を2次元DCTとする場合とする。
ここでは、8×8の画素ブロックを64次元の画素値ベクトルsとして考える。DCT変換は、「64次元の画素値ベクトルsを、64×64のDCT行列Dを用いて64次元の変換係数ベクトルSを求める変換」として考えることができる。この関係は数1の式のように書くことができる。
【数1】

【0069】
例えば、8×8ブロックの画素位置を(x,y)、2次元周波数を(u,v)、変換係数をSvu、画素値をsyxとする。ただし、(x,y)、および(u,v)は、(列番号,行番号)を示しているものとする。8×8DCT順変換は、数2の式で表すことができる。
【数2】

【0070】
この逆変換は、数3の式で表すことができる。
【数3】

【0071】
さらに、ベクトルs内の要素が、(x0,y0),(x1,y1),...,(x63,y63)の順で並んでおり、ベクトルS内の要素が、(u0,v0),(u1,v1),...,(u63,v63)の順で並んでいるとすると、行列Dのt行s列の要素Dtsは、数4の式で求めることができる。
【数4】

【0072】
さらに、逆変換は、数5の式でできる。
【数5】

【0073】
ここで、変換係数ベクトルSを数6の式のように分割する。
【数6】

例えば、SはDC成分のみをSからコピーして、その他のAC成分はゼロとなるベクトルであり、SはAC成分のみをSからコピーして、DC成分はゼロとなるベクトルであるとする。
【0074】
ここで、DCTは線形変換であるから、数7の式のようにすることができる。
【数7】

すなわち、画像ベクトルsを、二つの画像ベクトルD−1とD−1に分解できたことになる。このようにして分解を行えばよい。
【0075】
この方式の利点は、二つの変換係数ベクトルSとSを直接JPEG圧縮可能であるという点である。分割画像をJPEG圧縮することを考える。空間的に分割した画像はエッジ成分の多い画像であるため、JPEG圧縮し難い画像となってしまう。また、JPEGのような非可逆圧縮を行うと画質が劣化してしまう。
しかしながら、上記のように、変換係数軸上で分割した場合、分割前の圧縮率とほぼ同じ圧縮率と画質を得ることができる。
【0076】
上記では、分割数を2としたが、分割数は2以上であってもよい。AC成分をさらに分割してもよい。JPEGの圧縮率を高めるためには、ジグザグスキャン順で連続するようにAC成分を選択すればよい。
上記の改良方式をさらに示す。
上記では、二つの画像ベクトルD−1とD−1を加算して、画像ベクトルを求めていた。ただし、D−1が正とは限らない点が問題である。そこで数8のようにする。
【数8】

【0077】
このようにすることで、分割画像を常に正とすることができる。
あるいは、元々大きな値を与えておけばよい。例えば、Sのビットプレーンを考える。ビットプレーンのうち、最上位の1を取ってくる。それ以外を0として作ったデータをS01とすることができる。
【0078】
さらに、上記ではDC成分の画像は同じフレーム内となってしまう。このようにすると縦横にそれぞれ1/8に縮小した画像が1フレームとなり、判読性がある可能性がある。
そこで、DC成分の画像に関しては、さらに空間軸上で分割を行うことも有効である。AC成分の画像を空間軸上で分割してもよい。
例えば、空間軸上で千鳥状(市松模様状)に選択する。
DC成分の分割画像は、8×8のブロック内の画素値が、その8×8ブロックの平均値で置換されたものになる(図17(A)参照)。
このような画像では判読可能な場合がある。そこで、この画像をさらに図17(B)と図17(C)のように2分割する。ハッチング部が選択された画像部分である。
もちろん分割数は2以上であってもよい。
【0079】
[第10の実施の形態]
上記実施の形態では、各文字をN個の画像に分割し、Nフレームのそれぞれに分けて静止画を表示する例を主に示した。各フレームに記載されている文を読み難くするためには、これ以外の方法もありうる。次に、第10の実施の形態を説明する。
【0080】
入力画像中には、抽出可能な文字画像が配置されているとする。入力画像中の文字画像を、例えばラスタ順(主走査順)にスキャンする。X番目に出てきた文字を、(X mod N)番目のフレームでのみ描画することとする。ただし、フレームの番号は0から開始することとし、(X mod N)は、XをNで割った余りを示している。このようにすれば、各フレームで表示される文字の数は、入力画像内の文字の数のN分の1となるため、判読性を非常に低くできる。具体的な実現例として、抽出した文字を順次、別々のフレームに分配し、最後のフレームになったら、最初のフレームに戻るということを繰り返すことによって実現できる。
【0081】
このような文字の分配は、上記実施の形態で行っている文字の分解に比べて、処理負荷を小さくできるというメリットがある。
また、第1の実施の形態で述べたようなフォントラスタライザ11によって文字画像を生成している場合には、文字の描画命令ごとに異なるフレームに描画するだけでよい。このため、さらに処理負荷を小さくできる。
【0082】
各文字を各フレームに分配する規則は、上記のように順に分配する方法でも良いし、ランダムに分配してもよい。
一つの文字を一つのフレームにのみ分配してもよいし、複数のフレームに分配しても構わない。
【0083】
本実施の形態で述べたような文字の分配と、他の実施の形態で述べたような文字の分割を組み合わせても良い。
【0084】
さらに、文字毎に分配する必要は必ずしもない。単語または文字種に応じて、各フレームに分配するようにしてもよい。例えば、英文であれば、単語ごとに分配してもよい。日本語であれば、仮名と漢字に分配してもよい。さらに、漢字の場合には意味が取り易いので、各文字毎に分配し、全ての仮名は一つのフレームとする、等といった処理も可能である。
【0085】
さらに、文字の属性に応じて、各フレームに分配するようにしてもよい。例えば、色の薄い文字は少数のフレームに分配し、色の濃い文字は多数のフレームに分配するという処理も可能である。
【0086】
さらに、上記の説明では、文字ごとにフレームに分配しているが、文字を分解して、例えば黒画素塊ごと(例示として、「明」という文字は、「日」と「月」という黒画素塊に分かれる)に分配するようにしてもよい。このようにすることによって、入力画像から文字を抽出する必要もなく、黒画素塊ごとに抽出するので、さらに処理負荷を少なくすることができる。また、フレーム内の難読性を高めることができる。
【0087】
また、第1の実施の形態で述べたようなフォントラスタライザ11によって文字画像を生成している場合には、線分の描画命令ごとに異なるフレームに描画するようにしてもよい。
【0088】
図18を参照して、実施の形態のハードウェア構成例について説明する。図18に示す構成は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)などによって構成される画像処理システムであり、スキャナ等のデータ読み取り部417と、プリンタなどのデータ出力部418を備えたハード構成例を示している。なお、このハードウェア構成は、他の実施の形態についても適用する。
【0089】
CPU(Central Processing Unit)401は、上述の実施の形態において説明した各種のモジュール、すなわち、フォントラスタライザ11、文字分割モジュール12、画像合成モジュール13、画像表示モジュール14等の各モジュールの実行シーケンスを記述したコンピュータ・プログラムに従った処理を実行する制御部である。
【0090】
ROM(Read Only Memory)402は、CPU401が使用するプログラムや演算パラメータ等を格納する。RAM(Random Access Memory)403は、CPU401の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を格納する。これらはCPUバスなどから構成されるホストバス404により相互に接続されている。
【0091】
ホストバス404は、ブリッジ405を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス406に接続されている。
【0092】
キーボード408、マウス等のポインティングデバイス409は、操作者により操作される入力デバイスである。ディスプレイ410は、液晶表示装置またはCRT(Cathode Ray Tube)などから成り、各種情報をテキストやイメージ情報として表示する。
【0093】
HDD(Hard Disk Drive)411は、ハードディスクを内蔵し、ハードディスクを駆動し、CPU401によって実行するプログラムや情報を記録または再生させる。ハードディスクは、入力されたドキュメントファイル、分割画像などが格納される。さらに、その他の各種のデータ処理プログラム等、各種コンピュータ・プログラムが格納される。
【0094】
ドライブ412は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体413に記録されているデータまたはプログラムを読み出して、そのデータまたはプログラムを、インタフェース407、外部バス406、ブリッジ405、およびホストバス404を介して接続されているRAM403に供給する。リムーバブル記録媒体413も、ハードディスクと同様のデータ記録領域として利用可能である。
【0095】
接続ポート414は、外部接続機器415を接続するポートであり、USB、IEEE1394等の接続部を持つ。接続ポート414は、インタフェース407、および外部バス406、ブリッジ405、ホストバス404等を介してCPU401等に接続されている。通信部416は、ネットワークに接続され、外部とのデータ通信処理を実行する。データ読み取り部417は、例えばスキャナであり、ドキュメントの読み取り処理を実行する。データ出力部418は、例えばプリンタであり、ドキュメントデータの出力処理を実行する。
【0096】
なお、図18に示すハードウェア構成は、1つの構成例を示すものであり、本実施の形態は、図18に示す構成に限らず、本実施の形態において説明したモジュールを実行可能な構成であればよい。例えば、一部のモジュールを専用のハードウェア(例えばASIC等)で構成してもよく、一部のモジュールは外部のシステム内にあり通信回線で接続しているような形態でもよく、さらに図18に示すシステムが複数互いに通信回線によって接続されていて互いに協調動作するようにしてもよい。また、情報家電、携帯電話、複写機、ファックス、スキャナ、プリンタ、複合機(多機能複写機とも呼ばれ、スキャナ、プリンタ、複写機、ファックス等の機能を有している)などに組み込まれていてもよい。
【0097】
なお、説明したプログラムについては、記録媒体に格納することも可能であり、その場合は、例えば以下の発明としても把握することができる。
コンピュータに、
画像として出力される情報内の各文字をN個(Nは2以上の自然数)の画像としての部分に分割する文字分割機能と、
前記文字分割機能によって分割された各文字のN個の部分から1個を選択し、出力画像を合成する出力画像合成機能
を実現させることを特徴とする画像合成プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【0098】
コンピュータに、
複数のフレームに分割された静止画像を入力する画像入力機能と、
前記画像入力機能によって入力された個々のフレームを異なる時刻にディスプレイ上の同一位置に表示する画像表示機能
を実現させることを特徴とする画像表示プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【0099】
コンピュータに、
静止画像を複数のフレームに分割する分割機能と、
前記分割機能によって分割されたフレームを動画ファイルとして符号化する符号化機能
を実現させることを特徴とする画像符号化プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【0100】
コンピュータに、
入力画像を線形変換し、該線形変換の際に用いた変換係数を分割し、さらに、該分割された変換計数を用いて逆変換することで画像分割を行う画像分割機能と、
前記画像分割機能によって分割された複数の画像部分から1個を選択し、出力画像を合成する出力画像合成機能
を実現させることを特徴とする画像合成プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【0101】
コンピュータに、
入力された画像をN個(Nは2以上の自然数)の画像に分割する分割機能と、
前記分割機能によって分割された画像から、N枚の出力画像を合成する出力画像合成機能と、
前記出力画像合成機能によって合成されたN枚の出力画像を個々のフレームとし、該フレームを異なる時刻にディスプレイ上の同一位置に表示する画像表示機能
を実現させることを特徴とする画像表示プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【0102】
「プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、プログラムのインストール、実行、プログラムの流通などのために用いられる、プログラムが記録されたコンピュータで読み取り可能な記録媒体をいう。
なお、記録媒体としては、例えば、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)であって、DVDフォーラムで策定された規格である「DVD−R、DVD−RW、DVD−RAM等」、DVD+RWで策定された規格である「DVD+R、DVD+RW等」、コンパクトディスク(CD)であって、読出し専用メモリ(CD−ROM)、CDレコーダブル(CD−R)、CDリライタブル(CD−RW)等、光磁気ディスク(MO)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ、ハードディスク、読出し専用メモリ(ROM)、電気的消去および書換可能な読出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュ・メモリ、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)等が含まれる。
そして、上記のプログラムまたはその一部は、上記記録媒体に記録して保存や流通等させることが可能である。また、通信によって、例えば、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、メトロポリタン・エリア・ネットワーク(MAN)、ワイド・エリア・ネットワーク(WAN)、インターネット、イントラネット、エクストラネット等に用いられる有線ネットワーク、あるいは無線通信ネットワーク、さらにはこれらの組合せ等の伝送媒体を用いて伝送することが可能であり、また、搬送波に乗せて搬送することも可能である。
さらに、上記のプログラムは、他のプログラムの一部分であってもよく、あるいは別個のプログラムと共に記録媒体に記録されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】第1の実施の形態の一構成例を示すブロック図である。
【図2】フォントラスタライザが行う処理の説明図である。
【図3】文字分割モジュールが行う処理の説明図である。
【図4】画像合成モジュールが行う処理の説明図である。
【図5】第3の実施の形態の一構成例を示すブロック図である。
【図6】第4の実施の形態の一構成例を示すブロック図である。
【図7】第7の実施の形態での文字分割の説明図である。
【図8】第7の実施の形態での文字分割の説明図である。
【図9】縦線、横線で分割数を変更する処理の説明図である。
【図10】縦線、横線で分割数を変更する処理の説明図である。
【図11】分割数が変化する場合の表示処理の説明図である。
【図12】分割数が変化する場合の表示におけるフレーム間の関係の説明図である。
【図13】分割数が変化する場合の表示におけるフレームの説明図である。
【図14】分割数が変化する場合の表示におけるフレームの説明図である。
【図15】分割数による判読性についての説明図である。
【図16】分割数による判読性についての説明図である。
【図17】変換係数軸上で画像を分割する場合の説明図である。
【図18】実施の形態を実現するコンピュータのハードウェア構成の一例の説明図である。
【図19】従来例の説明図である。
【符号の説明】
【0104】
11…フォントラスタライザ
12…文字分割モジュール
13…画像合成モジュール
14…画像表示モジュール
51…文字矩形抽出モジュール
52…文字分割モジュール
53…画像合成モジュール
54…画像表示モジュール
61…画像蓄積モジュール
62…画像表示モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像として出力される情報内の各文字をN個(Nは2以上の自然数)の画像としての部分に分割する文字分割手段と、
前記文字分割手段によって分割された各文字のN個の部分から1個を選択し、出力画像を合成する出力画像合成手段
を具備することを特徴とする画像合成装置。
【請求項2】
複数のフレームに分割された静止画像を入力する画像入力手段と、
前記画像入力手段によって入力された個々のフレームを異なる時刻にディスプレイ上の同一位置に表示する画像表示手段
を具備することを特徴とする画像表示装置。
【請求項3】
静止画像を複数のフレームに分割する分割手段と、
前記分割手段によって分割されたフレームを動画ファイルとして符号化する符号化手段
を具備することを特徴とする画像符号化装置。
【請求項4】
入力情報が文字コードを含んでおり、文字コードをラスタライズするラスタライズ手段と、
前記ラスタライズ手段によってラスタライズされた文字をN個に分割する分割手段
をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の画像合成装置。
【請求項5】
入力情報がビットマップ画像を含むか、あるいは、入力情報がビットマップ画像であり、該ビットマップ画像から文字画像を抽出する手段
をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の画像合成装置。
【請求項6】
前記出力画像合成手段は、各文字のN個の部分から1個を選択するとき、各文字ごとに乱数で選択する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像合成装置。
【請求項7】
前記文字分割手段は、各文字の文字種類に応じてNの値を変化させる
ことを特徴とする請求項1に記載の画像合成装置。
【請求項8】
横線あるいは縦線の数を計測する線数計測手段と、
前記線数計測手段によって計測された横線あるいは縦線の数から、横方向あるいは縦方向の分割数Nを決定する分割数決定手段
をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の画像合成装置。
【請求項9】
分割数Nの最大値を取得する分割数最大値取得手段と、
各画像部分の各分割画像がどのフレームに対応するかのリンク情報を決定する手段と、
前記分割数最大値取得手段によって取得した最大値に応じて、フレームを生成するフレーム生成手段
をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の画像合成装置。
【請求項10】
分割数Nの最大値を取得する分割数最大値取得手段と、
各画像部分の各分割画像がどのフレームに対応するかのリンク情報を決定するリンク情報決定手段と、
各画像部分の各分割画像を蓄積する手段と、
前記分割数最大値取得手段によって取得した分割数Nの最大値以上のフレームを生成する場合に、前記リンク情報決定手段によって決定されたリンク情報から、各画像部分の各分割画像を抽出して、フレームを生成する手段
をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の画像合成装置。
【請求項11】
機密度を入力する機密度入力手段と、
前記機密度入力手段によって入力した機密度から分割数Nを算出する分割数算出手段
をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の画像合成装置。
【請求項12】
表示画質を入力する表示画質入力手段と、
前記表示画質入力手段によって入力した表示画質から分割数Nを算出する分割数算出手段
をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の画像合成装置。
【請求項13】
画像中の文字を表示するために必要なライン数を得るライン数取得手段と、
前記ライン数取得手段によって得た必要なライン数から、分割数Nを算出する分割数算出手段
をさらに具備し、
Nラインに1ラインだけ抽出した画像を1フレームとする
ことを特徴とする請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項14】
分割数Nは、文字を表示するために必要なライン数と文字を隠す帯の相対的な太さとの積に何らかの定数(0を含む定数)を加算して算出する
ことを特徴とする請求項13に記載の画像表示装置。
【請求項15】
画像中で分割数Nの値が変化した場合、1フレーム内では、隣接するラインを抽出しない
ことを特徴とする請求項13に記載の画像表示装置。
【請求項16】
入力画像を線形変換し、該線形変換の際に用いた変換係数を分割し、さらに、該分割された変換計数を用いて逆変換することで画像分割を行う画像分割手段と、
前記画像分割手段によって分割された複数の画像部分から1個を選択し、出力画像を合成する出力画像合成手段
を具備することを特徴とする画像合成装置。
【請求項17】
前記線形変換はDCTであり、分割された変換係数をJPEG圧縮する
ことを特徴とする請求項16に記載の画像合成装置。
【請求項18】
前記画像分割手段による分割では、DC成分と他のAC成分で分割する
ことを特徴とする請求項17に記載の画像合成装置。
【請求項19】
前記線形変換はDCTであり、AC成分をさらに分割する場合には、JPEGのジグザグスキャンが連続するように分割する
ことを特徴とする請求項16に記載の画像合成装置。
【請求項20】
AC成分で分割された画像が負の値を持たないように、DC成分値をさらに分割し、AC成分値から得られた画像に分け与える
ことを特徴とする請求項18または19に記載の画像合成装置。
【請求項21】
DC成分で分割された画像をさらに空間軸上で分割する
ことを特徴とする請求項18、19または20に記載の画像合成装置。
【請求項22】
入力された画像をN個(Nは2以上の自然数)の画像に分割する分割手段と、
前記分割手段によって分割された画像から、N枚の出力画像を合成する出力画像合成手段と、
前記出力画像合成手段によって合成されたN枚の出力画像を個々のフレームとし、該フレームを異なる時刻にディスプレイ上の同一位置に表示する画像表示手段
を具備することを特徴とする画像表示装置。
【請求項23】
前記分割手段によって分割する画像は、文字ごとに分配することによって行うことを特徴とする請求項22に記載の画像表示装置。
【請求項24】
コンピュータに、
画像として出力される情報内の各文字をN個(Nは2以上の自然数)の画像としての部分に分割する文字分割機能と、
前記文字分割機能によって分割された各文字のN個の部分から1個を選択し、出力画像を合成する出力画像合成機能
を実現させることを特徴とする画像合成プログラム。
【請求項25】
コンピュータに、
複数のフレームに分割された静止画像を入力する画像入力機能と、
前記画像入力機能によって入力された個々のフレームを異なる時刻にディスプレイ上の同一位置に表示する画像表示機能
を実現させることを特徴とする画像表示プログラム。
【請求項26】
コンピュータに、
静止画像を複数のフレームに分割する分割機能と、
前記分割機能によって分割されたフレームを動画ファイルとして符号化する符号化機能
を実現させることを特徴とする画像符号化プログラム。
【請求項27】
コンピュータに、
入力画像を線形変換し、該線形変換の際に用いた変換係数を分割し、さらに、該分割された変換計数を用いて逆変換することで画像分割を行う画像分割機能と、
前記画像分割手段によって分割された複数の画像部分から1個を選択し、出力画像を合成する出力画像合成機能
を実現させることを特徴とする画像合成プログラム。
【請求項28】
コンピュータに、
入力された画像をN個(Nは2以上の自然数)の画像に分割する分割機能と、
前記分割機能によって分割された画像から、N枚の出力画像を合成する出力画像合成機能と、
前記出力画像合成機能によって合成されたN枚の出力画像を個々のフレームとし、該フレームを異なる時刻にディスプレイ上の同一位置に表示する画像表示機能
を実現させることを特徴とする画像表示プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2008−9784(P2008−9784A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−180533(P2006−180533)
【出願日】平成18年6月30日(2006.6.30)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】