説明

画像形成システム、画像形成装置

【課題】画像形成装置が備える定着装置によって定着処理を施された用紙Pの温度は不均一となってしまうことがある。このような不均一な温度の用紙Pに対して、光沢発生装置が光沢を発生させる処理を行うと、用紙P全体の光沢が均一ではなくなってしまい、光沢ムラができてしまうという課題があった。
【解決手段】
トナーを記録媒体に定着させる定着手段と、前記定着手段によって前記トナーが定着された前記記録媒体の温度を調整する調温手段と、前記調温手段によって温度が調整された前記記録媒体に前記トナーによって形成されている画像に光沢を発生させる光沢発生手段と、を有し、前記調温手段は、前記記録媒体の温度を均一にすることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナーを用いて記録媒体に画像を形成する画像形成システムおよび画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、写真画像を印刷するときに、その画像の光沢度を高くすることによって、高級感のある鮮やかな色を再現することが求められている。そのために、トナーが定着された用紙Pに対して圧力と熱を加えることにより、用紙の表面に定着したトナーを一度溶かし、その後ベルト上で圧力を加えながら冷却することにより、トナー表面部分を鏡面のように平滑化する技術が知られている。たとえば、特許文献1には、定着装置によってトナーが定着された記録材を光沢発生装置に搬送し、光沢発生装置が搬送された記録材に対して上述のように圧力と熱を加えることにより、用紙上の画像に光沢を発生させていることが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載された発明では、画像形成装置が備える定着装置によって定着処理を施された用紙の温度は不均一となってしまうことがある。これは、画像が形成される用紙には様々な大きさのものがあることが原因のひとつである。定着装置を実現する定着ローラは内部の加熱器によって加熱されているが、図16(1)に示されるように用紙Pが小さい場合、定着ローラには用紙Pが触れる部分(以降、中央部という)と用紙Pが触れない部分(以降、端部という)が発生する。これによって、定着ローラの中央部は用紙Pに熱が移動するため低温になり、定着ローラの端部は熱が移動しないために高温を保つことになる。このような状態で、図16(2)に示されるように大きい用紙Pが定着ローラによって定着処理を施されると、その用紙Pの端部(用紙P内の斜線が示されている部分)と中央部(用紙P内の斜線が示されない部分)では異なる温度に加熱されることになる。
【0004】
このように不均一な温度の用紙Pに対して、光沢発生装置が光沢を発生させる処理を行うと、用紙P全体の光沢が均一ではなくなってしまい、光沢ムラができてしまうという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するため、請求項1にかかる発明は、トナーを用いて記録媒体に画像を形成する画像形成システムであって、前記トナーを前記記録媒体に定着させる定着手段と、前記定着手段によって前記トナーが定着された前記記録媒体の温度を調整する調温手段と、前記調温手段によって温度が調整された前記記録媒体に前記トナーによって形成されている画像に光沢を発生させる光沢発生手段と、を有し、前記調温手段は、前記記録媒体の温度を均一にすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、トナーが定着された記録媒体の温度を制御して、均一に温度を制御された記録媒体にトナーによって形成されている画像に光沢を発生させる処理を行うので、用紙全体の光沢を均一にし、光沢ムラを防ぐことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】画像形成システムの全体構成を示す図である。
【図2】画像形成システムが有する画像形成装置1の制御部のハードウェア構成図である。
【図3】画像形成装置1の温度センサ174を詳細に説明するための図である。
【図4】画像形成装置1の制御部の機能構成図である。
【図5】ユニット管理テーブルの例を示す図である。
【図6】画像形成装置1の処理の概要を示す処理フロー図である。
【図7】調温ユニット17を選択する処理の概要を示す処理フロー図である。
【図8】用紙Pの温度を均一化する処理の概要を示す処理フロー図である。
【図9】調温部17の処理による用紙Pの温度変化である。
【図10】加熱ローラ171の直径による用紙Pの分離性能を評価した結果を示す図である。
【図11】用紙Pの温度が均一になるまでの時間を評価した結果を示す図である。
【図12】光沢発生装置2の処理の概要を表す処理フロー図である。
【図13】加熱器、温度センサ、恒温槽を備えた調温部17のハードウェア構成図である。
【図14】加熱器、温度センサ、恒温槽を備えた反転部16のハードウェア構成図である。
【図15】加熱器、温度センサ、恒温槽を備えたカール補正部18のハードウェア構成図である。
【図16】定着ローラおよび用紙Pの温度が不均一となることを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<<本実施形態の構成>>
以下、図1乃至図15を用いて、本発明の一実施形態について説明する。図1は、本実施形態における画像形成システムの全体構成を示す図である。図2は、本実施形態における画像形成装置1の制御部のハードウェア構成を示す図である。
【0009】
本実施形態の画像形成システムは、図1に示されるとおり画像形成装置1、光沢発生装置2を備えている。また、画像形成装置1は光沢発生装置2と情報を互いに送受信できるものである。
【0010】
<画像形成装置のハードウェア構成>
画像形成装置1は、用紙Pに画像を形成する。本実施形態においては図1に示されるように画像形成装置1の最上部にスキャナ部11が設けられている。スキャナ部11は、コンタクトガラス111に載置された原稿を光学的に読み取ることによりRGB画像情報を生成するものである。具体的には、用紙Pに光を当ててその反射光をCCD(Charge Coupled Devices)、またはCIS(Contact Image Sensor)等の読取センサ112で受光することによってRGB画像情報を読み取る。なお、RGB画像情報とは、用紙P等の記録媒体に形成させる画像を表す情報であり、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色の明度を含むものである。
【0011】
また、画像形成装置1の中央部には駆動ローラ141、従動ローラ142、二次転写ローラ145に架け渡された中間転写ベルト143が設けられている。そして、中間転写ベルト143と接するように4つの感光体ドラム122C、122M、122Y、122Kが設けられている。感光体ドラム122C、122M、122Y、122Kにはそれぞれ、シアン(C)色、マゼンタ(M)色、イエロー(Y)色、ブラック(K)色のトナーによって画像が形成される。各感光体ドラムに形成された画像が中間転写ベルト143の表面の同じ部分に転写されることによってカラーのトナー画像が形成される。
【0012】
また、二次転写ローラ145と対向する位置に二次転写対向ローラ146が設けられている。中間転写ベルト143の表面に形成されているトナー像を用紙Pに転写(以降、二次転写という)するために、二次転写ローラ145は二次転写対向ローラ146との間に中間転写ベルト143を挟み込み、二次転写バイアスをかける。なお、二次転写バイアスとは、中間転写ベルト143の表面に帯電されている静電荷とは逆の電荷である。
【0013】
感光体ドラム122Cの近傍には帯電部123Cが設けられている。帯電部123Cは感光体ドラム122Cの表面を一様に帯電する。また感光体ドラム122Cの近傍には露光部124Cが設けられている。露光部124Cは、帯電部123Cによって帯電された感光体ドラム122Cの表面に、後述する制御部によって決定されたC色の網点面積率に応じたトナー付着量に基づいて静電潜像を形成する。さらに、感光体ドラム122Cの近傍には現像部125Cが設けられており、表面に静電潜像が形成された感光体ドラム122Cにトナーを付着させることによって感光体ドラム122Cの表面にトナー像を形成する。
【0014】
なお、感光体ドラム122C、帯電部123C、露光部124C、現像部125Cを有するものを作像部12Cという。また、画像形成装置1は作像部12M、12Y、12Kを有しており、それぞれマゼンタ(M)色、シアン(C)色、ブラック(K)色のトナーを用いて作像する点を除いては作像部12Cと同様の構成を有している。
【0015】
また、感光体ドラム122Cに対向して一次転写ローラ144Cが設けられている。一次転写ローラ144Cは、中間転写ベルト143に各感光体ドラム122の表面のトナー像を転写するために一次転写バイアスをかける。なお、一次転写バイアスとは、感光体ドラム122の表面に帯電されている静電荷とは逆の電荷である。
【0016】
給紙部13は、二次転写ローラ145および二次転写対向ローラ146の間に用紙Pを供給する。給紙部13は、給紙トレイ131、給紙ローラ132、給紙ベルト133、およびレジストローラ134を備えている。給紙トレイ131は用紙Pを収容している。給紙ローラ132は、給紙トレイ131に収容されている用紙Pを給紙ベルト133の方へ搬送するために回転するように設けられている。このように設けられている給紙ローラ132は、収容されている用紙Pのうち最上段にある用紙Pを一枚ずつ取り出し、給紙ベルト133に載置する。
【0017】
給紙ベルト133は、給紙ローラ132によって取り出された用紙Pを二次転写ローラ145の方へ搬送する。給紙ベルト133において、用紙Pが二次転写ローラ145に到達する手前にレジストローラ134が設けられる。レジストローラ134は中間転写ベルト143のトナー像が形成されている部分が二次転写ローラ145の位置に到達するタイミングで給紙ベルト133によって搬送された用紙Pを送り出すものである。
【0018】
定着部15は、中間転写ベルト143から用紙Pに転写されたトナーを定着させる。定着とは、熱と圧力が同時にトナーに加わることによってトナーの樹脂成分が用紙Pに溶着することである。定着部15においては定着ローラ151と定着対向ローラ152とが互いに対向して設けられている。定着ローラ151は定着対向ローラ152との間でトナーが転写された用紙Pを挟みこんで用紙Pを加圧する。さらに、定着ローラ151の内部には発熱部153が設けられている。発熱部153は熱を発するものであり、定着ローラ151を介して用紙Pを加熱する。
【0019】
反転部16は定着部15によって定着された用紙Pの面の向きを反転させるものである。反転部16が有する第一の反転用ローラ161は、定着部15を通過した用紙Pを第一の反転用ベルト162を移動させるものである。第一の反転用ベルト162は第一の反転用ローラ161によって移動され、その面に載置された用紙Pを搬送する。反転部16が有する第二の反転用ローラ163は、第一の反転用ベルト162に対向するように設けられている第二の反転用ベルト164を、第一の反転用ベルト162が移動する方向と反対の方向に移動させるものである。第二の反転用ベルト164は、第二の反転用ローラ163によって移動され、その面に載置された用紙Pを搬送する。なお、反転部16は、反転手段の一例である。
【0020】
調温部17は、反転部16によって向きを反転された用紙Pの温度を調整するものである。調温部17は3つの調温ユニット17a、17b、17cを有している。調温ユニット17aは加熱ローラ171a、従動ローラ172a、調温ベルト173a及び温度センサ174aを有している。加熱ローラ171aは従動ローラ172aとともに調温ベルト173aを架け渡して回転する。また、加熱ローラ171aは内部に発熱器を有することにより、架け渡している調温ベルト173aを加熱する。温度センサ174aは、加熱ローラ171aによって加熱された調温ベルト173aによって加熱される用紙Pの温度を計測するものである。本実施形態では、図3に示されるように温度センサ174aは温度センサ1741a、温度センサ1742a、温度センサ1743aの3つの温度センサを有している。温度センサ1741a、温度センサ1742a、温度センサ1743aは調温ベルト173a上の用紙Pの第一の端部、中央部、第二の端部の温度をそれぞれ計測する。なお、第二の端部は第一の端部とは異なる端部である。また、加熱ローラ171aは加熱手段の一例である。
【0021】
調温ユニット17b、17cは調温ユニット17aと同様の構成を有しているため、詳細な説明を省略する。ただし、調温ユニット17bの加熱ローラ171bの直径は、調温ユニット17aの加熱ローラ171aの直径より小さい。また、調温ユニット17cの加熱ローラ171cの直径は、調温ユニット17bの加熱ローラ171bの直径より小さい。また、調温部17は3つの搬送路176a、176b、176cを有しており、搬送路176aには調温ユニット17aが設けられており、搬送路176bには調温ユニット17bが設けられており、搬送路176cには調温ユニット17cが設けられている。なお、調温ベルト173a、173b、173cのうち任意の調温ベルトを調温ベルト173という。また、加熱ローラ171a、171b、171cのうち任意の加熱ローラを加熱ローラ171という。また、温度センサ174a、174b、174cのうち任意の温度センサを温度センサ174という。
【0022】
また、調温部17は切替部175を有している。切替部175は後述する切替制御部35の制御に基づいて、切替部175が搬送路を切り替えるように制御する。
【0023】
調温ユニット17の先には、カール補正部18が設けられている。カール補正部18は、給紙部13、定着部15等が行う処理によって曲げられた用紙Pを平坦な状態になるよう補正するものであり、デカーラローラ181、デカーラ対向ローラ182を有する。図1に示される例では、デカーラローラ181およびデカーラ対向ローラ182は、用紙Pが排紙口10を通過する直前の位置に、互いに対向するよう設けられる。そして、デカーラローラ181およびデカーラ対向ローラ182は、その間に用紙Pを挟み圧力を加えることで用紙Pを平坦な状態になるよう補正する。なお、カール補正部18はカール補正手段の一例である。カール補正部18の近傍には補正された用紙Pを画像形成装置1の外側へ排出する排紙口10が設けられている。
【0024】
また、画像形成装置1の外側には表示・操作部19が設けられている。表示・操作部19は、パネル表示部191および操作部192を有している。パネル表示部191は設定値や選択画面等が表示され、ユーザからの入力を受け付けるタッチパネル等である。ユーザはこのタッチパネルを操作することによって、画像を形成する用紙Pの厚さを表す紙厚情報を入力することができる。操作部192は、画像を形成する部数を指定するためのテンキー、複写開始指示を受け付けるスタートキー等のユーザが入力をするために操作を行うものである。
【0025】
また、画像形成装置1には上記の各部を制御するための制御部が設けられている。制御部は、図2に示されるようにCPU(Central Processing Unit)1011、メインメモリ(MEM−P)1012、ノースブリッジ(NB)1013、サウスブリッジ(SB)1014、AGP(Accelerated Graphics Port)バス1015、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)1016、ローカルメモリ(MEM−C)1017、HD(Hard Disk)1018、HDD(Hard Disk Drive)1019、PCIバス1020、ネットワークI/F1021を有している。
【0026】
CPU1011は、メインメモリ1012に記憶されたプログラムに従って、データを加工・演算したり、上述した各部の動作を制御したりするものである。メインメモリ1012は制御部の記憶領域であり、ROM(Read Only Memory)1012a、RAM(Random Access Memory)1012bを有している。ROM1012aは、制御部の各機能を実現させるプログラムやデータの格納用メモリである。ROM1012aに記憶されているプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、FD、CD−R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0027】
RAM1012bは、プログラムやデータの展開、及びメモリ印刷時の描画用メモリなどとして用いる。NB1013は、CPU1011と、MEM−P1012、SB1014、及びAGPバス1015とを接続するためのブリッジである。SB1014は、NB1013と周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。AGPバス1015は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレータカード用のバスインタフェースである。ASIC1016は、MEM−C1017を制御するメモリコントローラ、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などを行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)からなる。ASIC1016は、PCIバス1020を介してUSB(Universal Serial Bus)インタフェース、IEEE1394(Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)インタフェース等のネットワークI/F1021に接続されている。
【0028】
MEM−C1017は、コピー用画像バッファ及び符号バッファとして用いるローカルメモリである。HD1018は、画像データの蓄積、印刷時に用いるフォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。HDD1019は、CPU1011の制御にしたがってHD1018に対するデータの読み出し又は書き込みを制御する。ネットワークI/F1021は、通信ネットワークを介して情報処理装置等の外部機器と情報を送受信する。
【0029】
<画像形成装置1の機能構成>
次に、本実施形態における画像形成装置1の制御部の機能構成について図4および図5を用いて説明する。図4は、本実施形態における画像形成装置1の機能構成を示す図である。図5は、本実施形態におけるユニット管理テーブルの例を示す図である。
【0030】
制御部は画像形成装置1の動作を制御するものであり、図4に示されるように送受信部31、入力受付部32、画像読取制御部33、画像形成情報生成部34、切替制御部35、温度制御部36、記憶・読出処理部39、記憶部3000を有している。これら各部は、図2に示されているROM1012aに記憶されているプログラムに従ったCPU1011からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。また、制御部は、図2に示されているROM1012aまたはHD1018によって構築される記憶部3000を有している。
【0031】
記憶部3000には図5に示されるようなユニット管理テーブルによって構成されるユニット管理データベース(以降、ユニット管理DBという)3001が構築されている。ユニット管理テーブルでは、紙の厚さを表す紙厚情報と、調温ユニットを一意に識別する情報であるユニットIDが関連付けられて管理されている。図5に示される例においては、紙厚「〜78gsm(gram per square meter)」に関連付けられて、ユニットID「17a」がユニット管理テーブルに管理されている。なお、記憶部3000は記憶手段の一例である。
【0032】
記憶・読出処理部39は、図2に示されているHDD1019によって実現され、記憶部3000に紙厚情報やユニットIDを記憶したり、記憶部3000に記憶された紙厚情報やユニットIDを読み出したりする処理を行う。なお、ユニットIDはユニット識別情報の一例であり、記憶・読出処理部39はユニット識別情報読出手段の一例である。
【0033】
送受信部31は、図2に示されているネットワークI/F1021によって実現され、通信ネットワークを介して情報処理装置等からRGB画像情報および紙厚情報を受信する。RGB画像情報とは、用紙P等の記録媒体に形成させる画像を表す情報であり、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色の明度を用いて示されたものである。なお、送受信部31は紙厚情報受信手段の一例である。
【0034】
入力受付部32は、図1に示されている表示・操作部19からユーザによって入力された紙厚情報を受け付ける。画像読取制御部33は、図1に示されているスキャナ部11が原稿に記載されている画像を光学的に読み取りRGB画像情報を生成するよう制御する。
【0035】
画像形成情報生成部34は、送受信部31によって受信されたRGB画像情報または画像読取制御部33によって受け付けられたRGB画像情報に対して、色空間変換処理および下色除去処理を行う。これらの処理を行うことによって、画像形成情報生成部34は、RGB画像情報をC色、M色、Y色、K色の各トナーが形成する網点の面積率である網点面積率Rc、Rm、Ry、Rkに変換し、各画素の位置を表す座標に網点面積率が関連付けられている画像形成情報を生成する。なお、画像形成情報生成部34は色空間変換処理、下色除去処理のほかにシェーディング補正、位置ズレ補正、色空間の変換、ガンマ補正等を行ってもよい。なお、網点面積率とは、用紙P上の一画素をなす面積のうち各色のトナーによって網点が形成される面積の割合である。
【0036】
また、切替制御部35は、送受信部31によって受信された紙厚情報が表す用紙Pの厚さに基づいて切替部175を制御して用紙Pの搬送路を切り替えさせる。具体的には、送受信部31が受信した紙厚情報が表す用紙Pの厚さを検索キーとして記憶・読出処理部39が記憶部3000のユニット管理テーブルに関連付けて記憶されているユニットIDを読み出す。読み出されたユニットIDが表す調温ユニット17へ用紙Pを搬送するように、切替制御部35は切替部175に搬送路176を切り替えさせる。
【0037】
温度制御部36は、調温ユニット17を制御するものであり、加熱制御部361、温度計測部362、温度判定部363、ベルト制御部364を有する。加熱制御部361は、加熱ローラ171の内部に備えられている加熱器を制御するものである。温度計測部362は、調温ベルト173aに載置された用紙Pの温度を計測する温度センサ174aを制御するものである。図3に示されるように温度計測部362は調温ユニット17aの少なくとも3つの温度センサ1741a、温度センサ1742a、温度センサ1743aを制御し、調温ベルト173a上に載置されている用紙Pのそれぞれ第一の端部、中央部、第二の端部の温度を計測する。温度判定部363は、温度計測部362によって計測された用紙Pの第一の端部、中央部、第二の端部の温度が同じであるか否かを判定する。温度判定部363によって調温ユニット17aにおける用紙Pの第一の端部、中央部、第二の端部の温度が同じであると判定された場合、ベルト制御部364は用紙Pが排紙口10まで搬送されるように調温ベルト173aを移動するよう制御する。
【0038】
なお、ここで、温度判定部363は用紙Pの第一の端部、中央部、第二の端部が同じ温度であるか否かを判定するとしたが、これらの温度が所定の温度差以内であるかどうかを判定してもよい。その場合、所定の温度差以内であると判定された場合、ベルト制御部364は調温ベルト173aを移動するよう制御する。
【0039】
温度計測部362は調温ユニット17aについてと同様に調温ユニット17b、調温ユニット17cについても温度を計測する。また温度判定部363は調温ユニット17aについてと同様に調温ユニット17b、調温ユニット17cについても用紙Pにおける各部の温度差を判定する。さらにベルト制御部364は、調温ベルト173aについてと同様に調温ベルト173b、調温ベルト173cを移動させるように制御する。
【0040】
画像形成制御部37は、作像部12C、12M、12Y、12Kを制御する作像制御部371、給紙部13を制御する給紙制御部372、一次転写ローラ144、二次転写ローラ145、中間転写ベルト143等を制御する転写制御部373、定着部15を制御する定着制御部374を有する。
【0041】
なお、調温部17は調温手段の一例である。また、温度計測部362は温度計測手段の一例である。温度判定部363は温度判定手段の一例である。
【0042】
<光沢発生装置2のハードウェア構成>
次に、図1を用いて光沢発生装置2のハードウェア構成を説明する。光沢発生装置2は、用紙Pに形成された画像に光沢を発生させるものである。光沢発生装置2へ挿入される用紙Pは、画像形成装置1がその表面にトナーを付着することによって画像が形成されたものである。画像形成装置1の排紙口10から光沢発生装置2に用紙Pが挿入される入口である挿入口21にかけて搬送ベルト4が設けられている。
【0043】
光沢発生装置2の筐体において挿入口21と反対側に用紙Pを排出する排紙口22が設けられている。さらに、光沢発生装置2の挿入口21の近傍から排紙口22の近傍にかけて、グロッサベルト201がその一部が水平となるように設けられている。グロッサベルト201の表面のうち一の面は平滑なものであり、用紙Pに形成された画像を構成するトナーがその平滑な面(以降、平滑面という)に接することにより、トナーの表面(以降、トナー表面という)を平滑化する。また、グロッサベルト201は平滑面を下向きにして、水平に設けられている部分が挿入口21から排紙口22方へ移動する。
【0044】
さらに、グロッサベルト201の水平な部分に接するように加圧・加熱ローラ205および加圧ローラ206、冷却部207が設けられている。加圧・加熱ローラ205は内部に発熱器を有しており、用紙Pをトナーの融点より高い温度で加熱する。加圧ローラ206はグロッサベルト201を挟んで加圧・加熱ローラ205と対向して設けられる。加圧・加熱ローラ205が用紙Pを加熱することによって用紙Pに付着しているトナーは溶融する。また、加圧・加熱ローラ205は用紙Pを加熱すると同時に加圧ローラ206との間で、用紙Pのトナーが付着している面とグロッサベルト201の平滑面とが接する状態で搬送方向における用紙Pを加圧する。
【0045】
また、用紙Pが加圧・加熱ローラ205および加圧ローラ206の間を通過した後に、用紙Pを冷却するための冷却部207が設けられる。冷却部207はファンによって実現され、加圧・加熱ローラ205によって加熱された用紙Pをトナーの融点以下の温度に冷却する。冷却部207が用紙Pを冷却すると用紙Pに付着しているトナーが硬化する。硬化したトナーは外力により変形しにくくなるのでトナー表面に転写された平滑性は保持される。冷却部207を構成する冷却装置は、ファンによって空冷するもの以外に液体ジャケット、ラジエータを用いる液冷方式、冷媒、ヒートポンプのいずれのものでもよい。
【0046】
また、グロッサベルト201を架け渡すように、挿入口21の近傍に駆動ローラ202が、排紙口22の近傍に分離ローラ204が設けられている。また、駆動ローラ202および分離ローラ204とともにグロッサベルト201を架け渡すように従動ローラ203が設けられている。駆動ローラ202は水平に設けられている部分のグロッサベルト201が挿入口21から排紙口22の方へ移動するように、不図示の駆動源によって回転する。
【0047】
制御部のハードウェア構成は、上記画像形成装置1の制御部のハードウェア構成と同様である。したがって、ここでの説明を省略する。なお、光沢発生装置2は光沢発生手段の一例である。
【0048】
<画像形成装置1から光沢発生装置2へ用紙Pを搬送するベルト4>
本実施形態では画像形成装置1で排出された用紙Pは、搬送され光沢発生装置2へ挿入される。このために、搬送ベルト4が画像形成装置1の排紙口22から光沢発生装置2の挿入口21にかけて設けられる。搬送ベルト4は画像形成装置1の排紙口22より排出された用紙Pを受け取り、用紙Pが載置された状態で光沢発生装置2の方向へ移動する。そして、光沢発生装置2の挿入口21へ用紙Pの先端が到達すると、用紙Pは挿入口21から光沢発生装置2に挿入される。
【0049】
<<実施形態の処理・動作>>
続いて、図6乃至図15を用いて、本実施形態に係る処理を説明する。図6は、画像形成装置1の処理の概要を示す処理フロー図である。図7は、調温ユニット17を選択する処理の概要を示す処理フロー図である。図8は、用紙Pの温度を均一化する処理の概要を示す処理フロー図である。図9は、調温部17の処理による用紙Pの温度変化である。図10は、加熱ローラ171の直径による用紙Pの分離性能を評価した結果を示す図である。図11は、用紙Pの温度が均一になるまでの時間を評価した結果を示す図である。図12は、光沢発生装置2の処理の概要を表す処理フロー図である。図13は、加熱器178、温度センサ174、恒温槽177を備えた調温部17のハードウェア構成図である。図14は、加熱器164、温度センサ165、恒温槽163を備えた反転部16のハードウェア構成図である。図15は、加熱器183、温度センサ184を備えたカール補正部18のハードウェア構成図である。
【0050】
図6に示されるように、まず、送受信部31が赤(R)、緑(G)、青(B)で表されたRGB画像情報および紙厚情報を外部の情報処理装置等から受信する(ステップS21)。送受信部31が情報処理装置等から通信ネットワークを経由してRGB画像情報および紙厚情報を受信すると、受信されたRGB画像情報に基づいて画像形成情報生成部34がC色、M色、Y色、K色のトナーによって形成される網点の網点面積率Rc、Rm、Ry、Rkで表される画像形成情報を生成する(ステップS22)。
【0051】
ステップS22において画像形成情報が変換されると、給紙制御部372の制御によって給紙部13が給紙処理を行う(ステップS23)。具体的には、給紙部13の給紙ローラ132が給紙トレイ131に収容されている用紙Pを1枚ずつ取り出し、給紙ベルト133に載置する。給紙ベルト133は、図1に示す矢印(ア)の向きに移動することによって、載置された用紙Pをレジストローラ134の方へ搬送する。搬送された用紙Pがレジストローラ134に到達すると、中間転写ベルト143の表面に形成されたトナー像が二次転写ローラ145に到達するまでレジストローラ134が用紙Pを挟み込んで待機させる。そして、中間転写ベルト143の表面に形成されたトナー像が二次転写ローラ145に到達するタイミングで、レジストローラ134は二次転写ローラ145と二次転写対向ローラ146の間に用紙Pを送り込む。
【0052】
一方、作像制御部371の制御によって作像部12C、12M、12Y、12Kは感光体ドラム122に各トナーを付着させる作像処理を行う(ステップS24)。具体的には、まず、帯電部123Cが、回転する感光体ドラム122Cの表面を一様に帯電させる。そして、露光部124Cが、画像形成情報生成部34によって生成された画像形成情報の網点面積率Rcに基づいて、帯電部123Cによって帯電された感光体ドラム122Cの表面にレーザ光を照射する。これによって、感光体ドラム122Cの表面には網点面積率Rcの網点で構成される画像の静電潜像が形成される。
【0053】
感光体ドラム122Cの表面に静電潜像が形成されると、現像部125CはC色のトナーを用いて静電潜像を現像する。このようにすると、感光体ドラム122Cの表面にC色のトナー像が作像される。同様にして、感光体ドラム122M、122Y、122Kの表面にはそれぞれM色トナー、Y色トナー、K色トナーによるトナー像が作像される。これらの作像のための処理は感光体ドラム122Cの表面にC色のトナー像が作像されるための処理と同様であるため説明を省略する。
【0054】
各感光体ドラム122の表面に各色のトナー像が作像されると、転写制御部373の制御によって転写処理が行われる(ステップS25)。具体的には、まず、一次転写ローラ144が中間転写ベルト143に一次転写バイアスをかける。すると、中間転写ベルト143に各感光体ドラム122の表面のトナー像が転写(以降、一次転写という)される。
【0055】
次に、トナー像が転写された中間転写ベルト143が、駆動ローラ141および従動ローラ142の回転によって矢印(イ)の方向へ移動する。また、中間転写ベルト143のトナー像が転写された部分が二次転写ローラ145に到達するタイミングで、給紙部13のレジストローラ134が用紙Pを送り出す。用紙Pがレジストローラ134によって送り出され二次転写ローラ145に到達すると、二次転写ローラ145は二次転写対向ローラ146との間で用紙Pと中間転写ベルト143を挟み込み、二次転写バイアスをかける。すると、中間転写ベルト143の表面に形成されているトナー像が用紙Pに転写(以降、二次転写という)される。
【0056】
このように、用紙Pにトナー像が転写されると、定着制御部374の制御によって定着部15が定着処理を行う(ステップS26)。具体的には、まず、搬送された用紙Pが定着ローラ151と定着対向ローラ152とが接する位置に到達すると、定着ローラ151は定着対向ローラ152との間に用紙Pを挟み込む。このとき、定着ローラ151は発熱部153によって加熱されているので、用紙Pは加圧されるのと同時に所定の定着温度で加熱される。そして、用紙P上に転写されたトナー像を形成するトナーは加熱されることによって溶融し、溶融されたトナーが付着された用紙Pを定着ローラ151および定着対向ローラ152が加圧するとトナーが用紙Pに定着する。
【0057】
定着部15によって用紙Pに画像が定着されると、反転部16は用紙Pの面の向きを反転させる(ステップS27)。具体的には、第一の反転用ローラ161が第一の反転用ベルト162を移動することによって、第一の反転用ベルト162に用紙Pにおける画像が形成されていない面(以降、非記録面という)が接する状態で搬送する。図1に示されるように第一の反転用ベルト162と第二の反転用ベルト164はそれらの面が対向するように設けられているので、用紙Pは第一の反転用ベルト162によって搬送されることによって、用紙Pにおける画像が形成されている面(以降、記録面という)が第二の反転用ベルト164に接するようになる。このような状態で第一の反転用ベルト162を止め、第二の反転用ローラ163が第一の反転用ベルト162と反対方向に第二の反転用ベルト164を移動させる。すると、用紙Pは第二の反転用ベルト164に記録面が接した状態で搬送される。このように反転部16によって反転されることにより、調温部17によって用紙Pの温度が調整されるときには記録面が調温ベルト173と接している状態となる。
【0058】
反転部16によって用紙Pの面の向きが反転すると用紙Pは切替部175の方へ搬送される。そして、紙厚情報に基づいて切替制御部35が用紙Pを調温する調温ユニット17を選択する(ステップS28)。切替制御部35が調温ユニット17を選択すると、選択された調温ユニット17が用紙Pの温度を調整する(ステップS29)。これらの処理の詳細について図7を用いて説明する。
【0059】
用紙Pが切替部175に搬送されると、ステップS21で受信した紙厚情報が表す用紙Pの厚さを検索キーとして記憶・読出処理部39が記憶部3000に関連付けて記憶されているユニットIDを読み出す(ステップS281)。そして、読み出されたユニットIDが表す調温部17に用紙Pが搬送されるように、切替制御部35の制御によって切替部175が切り替わる(ステップS282)。
【0060】
たとえば、用紙Pの厚さがたとえば50gsmであった場合、記憶・読出処理部39は紙厚「〜78gsm」に関連付けて記憶されているユニットID「17a」を読み出す(ステップS281)。ユニットID「17a」によって表される調温ユニット17aに用紙Pが搬送されるように、切替制御部35の制御によって切替部175は搬送路176aの方に切り替わる(ステップS282)。
【0061】
また、用紙Pの厚さがたとえば120gsmであった場合、記憶・読出処理部39は紙厚「78〜200gsm」に関連付けて記憶されているユニットID「17b」を読み出す(ステップS281)。ユニットID「17b」によって表される調温ユニット17bに用紙Pが搬送されるように、切替制御部35の制御によって切替部175は搬送路176bの方に切り替わる(ステップS282)。
【0062】
また、用紙Pの厚さがたとえば250gsmであった場合、記憶・読出処理部39は紙厚「200gsm〜」に関連付けて記憶されているユニットID「17c」を読み出す(ステップS281)。ユニットID「17c」によって表される調温ユニット17cに用紙Pが搬送されるように、切替制御部35の制御によって切替部175は搬送路176cの方に切り替わる(ステップS282)。
【0063】
ステップS282で切替部175が搬送路176aに切り替わり、用紙Pが搬送路176aに搬送されると、温度制御部36の制御に基づいて調温ユニット17aが用紙Pの温度を調整する(ステップS29)。この温度を調整する処理の詳細について図8を用いて説明する。まず、加熱制御部361の制御で加熱ローラ171aが調温ベルト173aを加熱することによって、その調温ベルト173aで搬送されている用紙Pを加熱する(ステップS291)。このような状態で温度計測部362によって制御されている温度センサ1741a、温度センサ1742a、温度センサ1743aが用紙Pのそれぞれ第一の端部の温度、中央部の温度、第二の端部の温度を計測する(ステップS292)。
【0064】
そして、温度判定部363が、用紙P全体の温度が均一であるか否かを判定する(ステップS293)。具体的には、温度判定部363は温度計測部362の制御によって計測された用紙Pの第一の端部の温度、中央部の温度、第二の端部の温度の温度差が所定の範囲内であるか否かを判定する。なお、温度差が所定の範囲内であれば用紙Pの温度は均一であるとされ、所定の範囲を超えていれば用紙Pの温度は不均一であるとされる。ここでの所定の範囲内とはたとえば3℃以内が好適である。
【0065】
ここで、図9を用いて、第一の端部または第二の端部(以降、端部という)、および中央部の温度変化について説明する。図9は用紙の位置による端部および中央部の温度変化を示すものである。図9のグラフにおける実線は用紙Pの中央部の温度変化を示しており、点線は用紙Pの端部の温度変化を示している。図9に示されるように用紙Pが定着部15にあるとき、中央部の温度と端部の温度に温度差が生じる。
【0066】
このように温度差が生じる理由として画像が形成される用紙Pには様々な大きさのものがあるということが挙げられる。図16(1)に示されるように用紙Pが小さい場合、定着ローラ151には用紙Pが触れる部分(中央部)と用紙Pが触れない部分(端部)が発生する。このとき、定着部15の定着ローラ151は内部の加熱器によって加熱されているが、中央部は用紙Pに熱が移動するため低温になり、端部は熱が移動しないために高温を保つことになる。このように定着ローラ151の端部の温度と中央部の温度が異なる状態で、図16(2)に示されるような大きい用紙Pが定着処理を施されると、その用紙Pの端部と中央部はそれぞれ異なる温度に加熱され、温度差が生じるのである。
【0067】
ここで図9に戻って説明すると、ステップS293で、用紙Pの第一の端部の温度、中央部の温度、第二の端部の温度が所定の温度差以内である、すなわち用紙Pの温度は均一であると判定された場合、調温ベルト173aが移動し、用紙Pが加熱ローラ171aの位置に到達すると調温ベルト173aは分離される(ステップS294)。ステップS294で用紙Pが加熱ローラ171から分離されて用紙Pの温度を調整する処理が終了する。
【0068】
ステップS293で、用紙Pの第一の端部の温度、中央部の温度、第二の端部の温度の差が所定の範囲内でない、すなわち用紙Pの温度は不均一であると判定された場合、調温ベルト173が移動を停止することによって、その上に載置されている用紙Pは加熱され続ける(ステップS291)。以降、用紙Pの各部の温度が均一であると判定されるまでステップS291乃至ステップS293の処理が繰り返される。
【0069】
なお、ステップS281にて記憶・読出処理部39がユニットID「17b」を読み出し、切替部175が搬送路176bに切り替えられた場合には調温部17bが用紙Pの温度を調整する。また、ステップS281にて記憶・読出処理部39がユニットID「17c」を読み出し、切替部175が搬送路176cに切り替えられた場合には調温部17cが用紙Pの温度を調整する。調温部17b、調温部17cによって用紙Pの温度を調整する処理の詳細は、上述の調温部17aの処理と同様であるので説明を省略する。
【0070】
上述のとおり、本実施形態では厚さが78gsm未満の薄い用紙Pの温度を調整する場合には、図1で示される直径の大きい加熱ローラ171aを有する調温ユニット17aを用いる。また、厚さが78gsm以上200gsm未満の用紙Pの温度を調整する場合には、加熱ローラ171aより直径の小さい加熱ローラ171bを有する調温ユニット17bを用いる。さらに、厚さが200gsm以上の厚い用紙Pの温度を調整する場合には、直径の小さい加熱ローラ171cを有する調温ユニット17cを用いる。このように用紙Pの厚さによって直径が異なる加熱ローラ171を有する調温ユニット17が用紙の温度を調整する理由を以下で説明する。
【0071】
調温ベルト173で搬送されている用紙Pは加熱ローラ171の曲率によって調温ベルト173から分離する。ここで、曲率による分離について説明する。上述のように調温ベルト173の用紙Pに接している部分は加熱ローラ171の位置で変形しながら搬送方向を変更する。一方、調温ベルト173の表面に接して搬送されている用紙Pには、その剛性により用紙P自体の形が変化しないように力(本実施形態では剛性力という)が働く。そのため、調温ベルト173が加熱ローラ171の位置で変形しても、剛性力によって用紙Pは変形しないために調温ベルト173から分離する。また、用紙Pが厚いほど用紙Pの剛性力は大きいため、加熱ローラ171の直径が長い、すなわち曲率が小さい場合でも用紙Pは加熱ローラ171から分離しやすい。また、用紙Pが薄い場合には用紙Pの剛性力は小さい。そのため、用紙Pが調温ベルト173から分離するためには曲率が大きい、すなわち直径が短い加熱ローラ171が用いられる必要がある。
【0072】
一方、用紙P全体の温度を均一にするように調整するのに要する時間(以降、調温時間という)は、加熱ローラ171の直径の長さおよび用紙Pの厚さに依存する。具体的には、直径が長いほど加熱ローラ171の熱容量は大きいため調温時間は長い。また、用紙Pが厚いほど調温時間は長い。このことを示す実験結果について次で説明する。
【0073】
加熱ローラ171の直径による用紙Pの分離性能を評価した結果を図10に示す。図10においては、直径が20mm、30mm、40mmの加熱ローラ171に架け渡された調温ベルト173で搬送されている用紙Pが曲率によって適切に分離できた場合には○が、適切に分離できなかった場合には×が記載されている。
【0074】
図10に示されるように、直径が20mmの加熱ローラ171cが用いられる場合、実験において用いられた厚さ52gsm、100gsm、300gsmのいずれの用紙Pも適切に調温ベルト173から分離された。直径が30mmの加熱ローラ171bが用いられる場合、実験において用いられた厚さ100gsm、300gsmの用紙Pは適切に調温ベルト173から分離された。さらに、直径が40mmの加熱ローラ171aが用いられる場合、実験において用いられた厚さ300gsmの用紙Pは適切に調温ベルト173から分離された。
【0075】
また、直径が20mm、30mm、40mmの加熱ローラ171に架け渡された調温ベルト173に搬送されているそれぞれの厚さの用紙Pの温度が均一になるまでの時間(調温時間という)を評価した結果を図11に示す。図11に示されるように、いずれの厚さの用紙Pにおいても、加熱ローラ171の直径が大きいほど短い時間で温度が均一になることが明らかになっている。
【0076】
これらの結果から、図5に示されるユニット管理テーブルによって用紙Pの厚さに基づいて用いられる調温ユニット17を決定することにより、用紙Pを適切に分離することができ、かつ、調温時間を短くすることが可能となる。
【0077】
ここで、図6に戻って調温部17によって用紙Pの温度が均一に調整された後の処理について説明する。用紙Pの温度が均一に調整されると図6に示されるようにカール補正部18が用紙Pを平坦な状態になるよう補正する(ステップS30)。具体的にはデカーラローラ181およびデカーラ対向ローラ182が用紙Pを挟みこんで圧力を加える。
【0078】
そして、補正された用紙Pは排紙口10から排出される(ステップS31)。ステップS31で、画像形成装置1の排紙口10から排出された用紙Pは搬送ベルト4に載置される。搬送ベルト4は、用紙Pを載置した状態で光沢発生装置2の方向へ移動することによって用紙Pを光沢発生装置2の方向へ搬送する。そして、光沢発生装置2の挿入口21に搬送された用紙Pの先端が到達すると、用紙Pは挿入口21から光沢発生装置2に挿入される。
【0079】
用紙Pが光沢発生装置2に挿入されると、光沢発生装置2が用紙Pに定着されたトナーを加熱・加圧することによって光沢を発生させる処理を行う。この処理の詳細について図12を用いて説明する。光沢発生装置2は、前述のように画像形成装置1の排紙口10から排出された用紙Pを挿入口21から受け付ける(ステップS41)。これによって、用紙Pの記録面がグロッサベルト201に接するように載置される。
【0080】
ステップS41で用紙Pが受け付けられると、用紙Pはグロッサベルト201によって搬送される。搬送された用紙Pの先端が加圧・加熱ローラ205の位置に達すると、加圧・加熱ローラ205および加圧ローラ206がグロッサベルト201によって搬送された用紙Pを挟みこんで加熱しながら加圧する(ステップS42)。これによって、ステップS29で均一の温度となった用紙Pは、加熱されながら平滑なグロッサベルト201に押し当てられることによって、その表面が平滑になる。
【0081】
ステップS42で加圧・加熱ローラ205および加圧ローラ206によって用紙Pが加圧・加熱されると、冷却部207が加熱された用紙Pを冷却する(ステップS43)。これによって用紙Pの表面に定着しているトナーが冷却され、硬化する。そして、平滑化されたトナー表面が安定して保持される。
【0082】
最後に、冷却部207によって冷却されて硬化したトナーが付着されている用紙Pは排紙口22から光沢発生装置2の外へ排出される(ステップS44)。
【0083】
<<実施形態の補足>>
なお、図1では、画像形成装置1と光沢発生装置2を近接させて置いているが、搬送ベルト4を長くして画像形成装置1と光沢発生装置2を互いに離れた位置に置いてもよい。また、図1では画像形成装置1と光沢発生装置2を別の装置として記載しているが、これらの装置が備える機能を単体の装置が含むようにしてもよい。
【0084】
また、本実施形態では図3に示されるように3つの温度センサ1741a、1742a、1743aが主走査方向に並ぶように設けられているが、温度センサの数は3つに限るものではない。また、1741a、1742a、1743aは主走査方向に一列に並べる形態で設けられるものに限らない。用紙Pの全ての部分の温度が均一になったことを確認できるように適宜設ければよい。温度センサ1741b、1742b、1743bおよび温度センサ1741c、1742c、1743cについても同様である。
【0085】
また、本実施形態では、加熱ローラ171が調温ベルト173を加熱することによって調温ベルト173に載置されている用紙Pを加熱するが、図13に示されるように調温ベルト173の用紙Pが接する面側に恒温槽177を設け、その恒温槽177の内部に加熱器178を設け、恒温槽177内部を一定温度に保つことによって定着処理後の用紙Pの温度を均一にするようにしてもよい。
【0086】
また、本実施形態では、調温部17の調温ベルト173を加熱することによって調温ベルト173に載置されている用紙Pを加熱するが、図14に示されるように反転部16を覆うように恒温槽163を設け、恒温槽163の内部に加熱器164を設け、恒温槽163内部を一定温度に保つことによって定着処理後の用紙Pの温度を均一にするようにしてもよい。この場合、図16に示されるように、用紙の各部の温度を測定する複数の温度センサ165を設け、それらの温度センサ165によって測定された温度の差が所定の範囲内である場合には用紙Pの温度が均一になったと判定する。
【0087】
また、本実施形態では、加熱ローラ171を加熱することによって調温ベルト173に載置されている用紙Pを加熱するが、図15に示されるようにデカーラローラ181の内部に加熱器183を設け、加熱器183によって加熱されたデカーラローラ181が用紙Pを加熱して、用紙P全体を均一の温度にするようにしてもよい。この場合、図15に示されるように、用紙の各部の温度を測定する複数の温度センサ184を設け、それらの温度センサ184によって測定された温度の差が所定の範囲内である場合には用紙Pの温度が均一になったと判定する。
【0088】
また、本実施形態では、画像形成装置1の内部で定着処理の後に用紙Pの温度を制御する処理を行っているが、光沢発生装置2の内部で加圧・加熱ローラ205に到達するまでの搬送ベルト4上でこの処理が行われてもよい。また、画像形成装置1が用紙Pを排紙した後、光沢発生装置2へ搬送する搬送ベルト4上でこの処理が行われてもよい。
【0089】
また、本実施形態では、ステップS21で送受信部31が画像情報を受信するとしているが、スキャナ部11が読み取ったRGB画像情報を画像読取制御部33が受け付けるとしてもよい。
【0090】
また、調温部17が用紙Pを加熱することによって用紙P全体を均一の温度とするよう制御しているが、用紙Pを冷却することによって用紙P全体を均一の温度とするように制御してもよい。
【0091】
また、画像形成装置1がC色、M色、Y色、K色のトナーを用いて画像を形成するとしているが、C色、M色、Y色、K色のトナーのほかにクリアトナー等の特殊トナーを用いてもよい。
【0092】
<<実施形態の効果>>
本実施形態によれば、用紙Pに定着されているトナーを均一の温度に制御し、均一の温度となったトナーに対して光沢を発生させる処理を行うので、用紙P全体の光沢を均一にし、光沢ムラを防ぐことができる。
【0093】
また、用紙Pの複数の部分の温度を計測し、その温度差をもってトナーの温度が均一であるか否かを判定するので、トナーが確実に均一の温度となってから光沢を発生する処理を行うことができる。また、反転部16やデカーラローラ181に加熱器を設けることによって、画像形成装置1内に用紙Pを加熱するためのスペースを別途設ける必要をなくすことができる。
【0094】
また、本実施形態においては、送受信部31が受信した紙厚情報が表す紙の厚さに基づいて記憶・読出処理部39がユニットIDを読み出しているが、ユーザが表示・操作部19で入力し、入力受付部32が受け付けた紙厚情報が表す紙の厚さを検索キーとしてもよい。
【符号の説明】
【0095】
1 画像形成装置
2 光沢発生装置
4 搬送ベルト
11 スキャナ部
12 作像部
13 給紙部
15 定着部
16 反転部
17 調温部
18 カール補正部
19 表示・操作部
111 コンタクトガラス
112 読取センサ
122 感光体ドラム
123 帯電部
124 露光部
125 現像部
131 用紙P収容部
132 給紙ローラ
133 給紙ベルト
134 レジストローラ
141 駆動ローラ
142 従動ローラ
143 中間転写ベルト
144 一次転写ローラ
145 二次転写ローラ
146 二次転写対向ローラ
153 定着ローラ
155 定着対向ローラ
156 発熱部
161 第一の反転用ローラ
162 第一の反転用ベルト
163 第二の反転用ローラ
164 第二の反転用ベルト
171 加熱ローラ
172 従動ローラ
173 調温ベルト
174 温度センサ
181 デカーラローラ
182 デカーラ対向ローラ
191 パネル表示部
192 操作部
201 グロッサベルト
202 ローラ
203 ローラ
204 ローラ
205 加圧・加熱ローラ
206 加圧ローラ
207 冷却部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0096】
【特許文献1】特開2004−325934

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーを用いて記録媒体に画像を形成する画像形成システムであって、
前記トナーを前記記録媒体に定着させる定着手段と、
前記定着手段によって前記トナーが定着された前記記録媒体の温度を調整する調温手段と、
前記調温手段によって温度が調整された前記記録媒体に前記トナーによって形成されている画像に光沢を発生させる光沢発生手段と、
を有し、
前記調温手段は、前記記録媒体の温度を均一にすることを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成システムであって、
前記調温手段は、
前記記録媒体を加熱する加熱手段と
前記加熱手段によって調整された前記記録媒体の複数の部分の温度を計測する温度計測手段を有し、
前記温度計測手段によって計測された各部分の温度の差が所定の範囲内であるか否かを判定する温度判定手段と、を有し、
前記光沢発生手段は、前記温度計測手段によって計測された各部分の温度が所定の範囲内である前記記録媒体に前記トナーによって形成されている画像に光沢を発生させることを特徴とする画像形成システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像形成システムであって、
前記記録媒体の厚さを表す紙厚情報を受け付ける紙厚情報受付手段と、
加熱ローラを有する第一および第二の前記調温手段を有し、
第一の調温手段が有する前記加熱ローラは第二の調温手段が有する前記加熱ローラの直径より大きく、
前記紙厚情報受付手段が受け付けた紙厚情報が表す前記記録媒体の厚さが所定の値以上であれば前記第一の調温手段が前記記録媒体の温度を調整し、
前記紙圧情報受付手段が受け付けた紙厚情報が表す前記記録媒体の厚さが所定の値より小さければ前記第二の調温手段が前記記録媒体の温度を調整することを特徴とする画像形成システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成システムであって、
前記定着手段によってトナーが定着された前記記録媒体の面を反転させる反転手段を有し、
前記調温手段は、前記反転手段において前記記録媒体の温度を調整することを特徴とする画像形成システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像形成システムであって、
前記定着手段によってトナーが定着された前記記録媒体のカールを補正するカール補正手段を有し、
前記調温手段は、前記カール補正手段において前記記録媒体の温度を調整することを特徴とする画像形成システム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の画像形成システムであって、
前記光沢発生手段は、
前記記録媒体を加熱する加熱手段と、
前記記録媒体と接する面が平滑なベルトと、
前記加熱手段によって加熱された前記記録媒体を、前記記録媒体の記録面が前記ベルトと接するように加圧する加圧手段と、
前記加圧手段によって加圧された前記記録媒体を冷却する冷却手段と、を有することを特徴とする画像形成システム。
【請求項7】
光沢発生装置が光沢を発生させる画像を形成する画像形成装置であって、
前記トナーを前記記録媒体に定着させる定着手段と、
前記定着手段によって前記トナーが定着された前記記録媒体の温度を制御する温度制御手段と、
を有し、
前記温度制御手段は、前記記録媒体の温度を均一にすることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−76998(P2013−76998A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−200256(P2012−200256)
【出願日】平成24年9月12日(2012.9.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】