説明

画像形成装置、ネットワークプリンタシステム並びにその制御方法及び制御プログラム

【課題】 予め面倒な設定を要することなく、またジョブ待ちのユーザ全員が返答しなくてもユーザの意向を汲んだ形での割り込み処理が可能な画像形成装置、ネットワークプリンタシステム並びにその制御方法及び制御プログラムを提供する。
【解決手段】 割り込み印刷要求を受けた複合機1の割り込み通知部102は、端末記憶部101に記憶されている、印刷処理の実行中及び実行待ちの端末2に対して、割り込み印刷要求がある旨を通知する。順位判定部106は、制限時間内に端末2から受け取った返答と、ユーザ設定記憶部105に記憶されている、制限時間内に返答しなかった端末の返答とに基づいて、印刷処理を行う順位を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末とネットワーク接続可能なプリンタ等の画像形成装置に関し、特に、割り込み処理が可能な画像形成装置、ネットワークプリンタシステム並びにその制御方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複数のコンピュータ端末(端末)とプリンタ等の画像形成装置をネットワーク接続し、複数のユーザで画像形成装置を共同利用することが行われている。このようなネットワークプリンタシステムにおいて印刷処理を行う場合、各ユーザが所定の端末から画像形成装置に対して印刷処理の指示命令を送出すると、指示された所定の画像データの印刷処理が行われる。
【0003】
この印刷処理が行われている最中に次の印刷処理が指示されると、後者の印刷処理はジョブ(JOB)待ちとなり、一時的に画像形成装置の画像メモリ等に格納される。したがって、複数のユーザで画像形成装置を共同利用している場合には、複数の印刷処理がジョブ待ちとなることが想定される。この場合、通常、画像形成装置は、印刷処理の指示を受け付けた順に印刷処理を行う。しかしながら、これでは、早急に出力したい画像データがある場合に、実行待ちのジョブがあると、すぐには出力できないという不具合があった。
【0004】
この問題に関し、例えば特許文献1においては、画像形成装置のメモリ内にある優先属性情報(例えば、印刷原稿の総ページ数やデータ量、又はユーザの識別番号等)に基づいて、印刷処理中の画像データとジョブ待ちの画像データとの優先度を比較し、ジョブ待ちの画像データに割り込み印刷を許可するか否かの判定を行う技術が開示されている。
【0005】
また、例えば特許文献2においては、新たな割り込みジョブが発生したら、印刷処理実行中及び実行待ちのユーザに、その割り込みを許可するか否かの問い合わせを行う技術が開示されている。この場合、全員が割り込みを許可すると応答すれば、その新たな割り込みジョブはジョブの先頭に割り込みし、許可しないユーザが一人いるときは、そのユーザの直後に割り込みジョブを入れる構成となっている。
【特許文献1】特開平11−224168号公報
【特許文献2】特開2000−339112号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示される技術では、予め画像データに応じた優先属性情報の設定をしておかなければならないため、手間がかかる。さらに、ジョブ待ちのユーザの了承を得る訳ではないので、判定された順番に不満がある場合には揉め事が起こりかねない。また、特許文献2に開示される技術では、例えば、ジョブ待ちのユーザが自分の端末から離れているために、割り込みを許可するか否かの問い合わせに返答できない場合、新たな割り込みジョブは自動的にジョブの最後尾に入れられてしまう。また、返答できたとしても、かなりの時間が経過した後であれば、その分の時間が無駄になってしまう。そのため、ジョブ待ちのユーザ全員が即座に返答しない場合には、割り込み処理の機能を有効に果たすことができない。
【0007】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、予め面倒な設定を要することなく、またジョブ待ちのユーザ全員が即座に返答しなくても、時間の無駄なく、かつユーザの意向を汲んだ割り込み処理が可能な画像形成装置、ネットワークプリンタシステム並びにその制御方法及び制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、画像データを送出し当該画像データの画像形成処理要求を行う少なくとも1台の端末とネットワーク接続可能に構成され、当該画像形成処理要求に基づき、所定の順序に従って当該画像データに画像形成処理を実行する画像形成装置であって、画像形成処理の実行中及び実行待ちの画像形成処理要求元の端末を記憶する端末記憶手段と、前記画像形成装置に対して少なくとも割り込み処理要求を行う割り込み要求手段と、前記割り込み要求手段により、又は前記端末から割り込み処理要求があった場合に、前記端末記憶手段に記憶されている端末に対して、少なくとも前記割り込み処理要求がある旨を通知する割り込み通知手段と、前記割り込み通知手段による通知が行われてからの時間を計測するタイマ手段と、前記割り込み通知手段による通知に対して、当該割り込み処理を許可するか否かの返答を前記画像形成処理要求元の端末から受信する返答受信手段と、前記割り込み通知手段による通知に対しての返答を予め端末ごとに記憶するためのユーザ設定記憶手段と、前記タイマ手段により計測された時間が予め設定された制限時間を越えても前記返答受信手段が返答を受信していない端末の、前記ユーザ設定記憶手段に記憶されている返答と、前記制限時間内に前記返答受信手段により受信された返答とに基づき、前記画像形成処理要求元の端末及び前記割り込み処理要求を行った端末の画像形成処理を実行する順位を判定する順位判定手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置であって、前記順位判定手段は、前記実行中及び実行待ちの画像形成処理の最後から数えて、最初に割り込み処理を許可しないという返答があった端末の処理の直後に、当該割り込み処理を配置することを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像形成装置であって、前記割り込み処理要求に係る画像データのデータ量から求められる割り込み情報を作成する算出手段をさらに備え、前記割り込み通知手段は、前記端末記憶手段に記憶された端末に対して、前記算出手段により作成された前記割り込み情報をさらに通知することを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の画像形成装置であって、前記割り込み情報は、前記割り込み処理要求に係る画像データのデータ量から求めた画像形成処理時の概略ページ数、当該画像データの画像形成処理に要する概略時間及び当該画像データの画像形成処理が終了する予定時刻のいずれか一つを含むことを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成装置であって、前記割り込み通知手段は、前記端末記憶手段に記憶された端末に対して、前記割り込み処理要求を行った端末からの入力情報をさらに通知することを特徴とする。
【0013】
請求項6記載の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の画像形成装置であって、前記順位判定手段が前記画像形成処理要求元の端末及び前記割り込み処理要求を行った端末の画像形成処理を実行する順位を判定した後、当該割り込み処理要求の結果を、前記画像形成処理要求元の端末及び前記割り込み処理要求を行った端末に通知する順位通知手段をさらに備えることを特徴とする。
【0014】
請求項7記載の発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載の画像形成装置であって、前記画像形成装置に対して少なくとも割り込み処理要求を行う割り込み要求手段をさらに備え、前記割り込み通知手段は、さらに前記割り込み要求手段による割り込み処理要求があった場合にも、前記端末記憶手段に記憶されている端末に対して、少なくとも前記割り込み処理要求がある旨を通知することを特徴とする。
【0015】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の画像形成装置であって、前記割り込み要求手段は、さらに前記制限時間が設定可能に構成されていることを特徴とする。
【0016】
請求項9記載の発明は、画像データを送出し当該画像データの画像形成処理要求を行う少なくとも1台の端末と、請求項1乃至8のいずれかに記載の画像形成装置と、をネットワーク接続したネットワークプリンタシステムであって、前記端末は、前記画像形成装置に対して少なくとも割り込み処理要求を行う端末割り込み要求手段と、前記割り込み通知手段による通知を受信し、当該割り込み処理を許可するか否かの返答を前記画像形成装置に対して送信する端末送受信手段と、を備えることを特徴とする。
【0017】
請求項10記載の発明は、請求項9記載のネットワークプリンタシステムであって、前記端末割り込み要求手段は、さらに前記制限時間が設定可能に構成されていることを特徴とする。
【0018】
請求項11記載の発明は、画像データを送出し当該画像データの画像形成処理要求を行う少なくとも1台の端末と、当該画像形成処理要求に基づき、所定の順序に従って当該画像データに画像形成処理を実行する画像形成装置と、をネットワーク接続したネットワークプリンタシステムの制御方法であって、画像形成処理の実行中及び実行待ちの画像形成処理要求元の端末を記憶する端末記憶工程と、前記画像形成装置に対して少なくとも割り込み処理要求を行う割り込み要求工程と、前記割り込み要求工程により割り込み処理要求が行われた場合に、前記端末記憶工程の処理により記憶された端末に対して、少なくとも前記割り込み処理要求がある旨を通知する割り込み通知工程と、前記割り込み通知工程による通知が行われてからの時間を計測するタイマ工程と、前記割り込み通知工程による通知を受信し、当該割り込み処理を許可するか否かの返答を前記画像形成装置に対して送信する端末送受信工程と、当該割り込み処理を許可するか否かの返答を前記画像形成処理要求元の端末から受信する返答受信工程と、前記割り込み通知工程による通知に対しての返答を予め端末ごとに記憶するユーザ設定記憶工程と、前記タイマ工程の処理により計測された時間が予め設定された制限時間を越えても前記返答受信工程において返答が受信されていない端末の、前記ユーザ設定記憶工程の処理により記憶されている返答と、前記制限時間内に前記返答受信工程において受信された返答とに基づき、前記画像形成処理要求元の端末及び前記割り込み処理要求を行った端末の画像形成処理を実行する順位を判定する順位判定工程と、を備えることを特徴とする。
【0019】
請求項12記載の発明は、画像データを送出し当該画像データの画像形成処理要求を行う少なくとも1台の端末とネットワーク接続可能に構成され、当該画像形成処理要求に基づき、所定の順序に従って当該画像データに画像形成処理を実行する画像形成装置に、画像形成処理の実行中及び実行待ちの画像形成処理要求元の端末を記憶する端末記憶工程と、前記端末から割り込み処理要求があった場合に、前記端末記憶工程の処理により記憶されている端末に対して、少なくとも前記割り込み処理要求がある旨を通知する割り込み通知工程と、前記割り込み通知工程による通知が行われてからの時間を計測するタイマ工程と、前記割り込み通知工程による通知に対して、当該割り込み処理を許可するか否かの返答を前記画像形成処理要求元の端末から受信する返答受信工程と、前記割り込み通知工程による通知に対しての返答を予め端末ごとに記憶するユーザ設定記憶工程と、前記タイマ工程の処理により計測された時間が予め設定された制限時間を越えても前記返答受信工程による返答を受信していない端末の、前記ユーザ設定記憶工程の処理により記憶されている返答と、前記制限時間内に前記返答受信工程により受信された返答とに基づき、前記画像形成処理要求元の端末及び前記割り込み処理要求を行った端末の画像形成処理を実行する順位を判定する順位判定工程と、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0020】
請求項1記載の発明によれば、端末から画像データの画像形成処理要求が行われ、画像形成処理が実行中あるいは実行待ちになると、当該端末は端末記憶手段により記憶される。この状態で、端末から割り込み処理要求があると、割り込み通知手段は、端末記憶手段に記憶されている端末に対して、少なくとも割り込み処理要求がある旨を通知する。それと同時に、タイマ手段がリセットされ、新たに割り込み通知手段による通知が行われてからの時間が計測される。
【0021】
割り込み通知手段による通知を受け取った端末は、各々割り込み処理要求に対する返答を画像形成装置に送信する。このとき、予め設定された制限時間とタイマ手段により計測された時間とが比較され、制限時間内の返答は返答受信手段により受信される。そして、当該返答が返答送信元の端末の返答として採用される。それに対して、制限時間を越えても返答受信手段が返答を受信していない端末がある場合、当該端末の返答としては、ユーザ設定記憶手段により記憶されている返答が採用される。このユーザ設定記憶手段には、割り込み通知手段による通知に対しての返答が予め端末ごとに記憶されている。
【0022】
そして順位判定手段は、採用された返答に基づいて、画像形成処理要求元の端末及び割り込み処理要求を行った端末の画像形成処理を実行する順位を判定する。画像形成装置は、この判定された順位に従って画像データに画像形成処理を実行する。
【0023】
これにより、割り込み処理要求に対する返答を一度ユーザ設定記憶手段により記憶させておけば、端末から離れている場合などに、割り込みを許可するか否かの問い合わせに返答できなくても、ユーザの意向を反映させることができる。また返答を受け付ける制限時間を設けているために、割り込み要求に対する判定処理をすばやく行うことができる。つまり、予め面倒な設定を要することなく、またジョブ待ちのユーザ全員が即座に返答しなくても、時間の無駄なく、かつユーザの意向を汲んだ割り込み処理が可能となる。
【0024】
請求項2記載の発明によれば、割り込み処理を許可しないという端末の処理の前には当該割り込み処理を配置させないため、ユーザの意向を汲んだ割り込み処理が可能となる。さらに、そのユーザの意向の範囲内で最も前の順位に割り込み処理を配置することができる。
【0025】
請求項3記載の発明によれば、割り込み処理要求に係る画像データのデータ量から求められる割り込み情報が、割り込み処理要求がある旨と共に、画像形成処理の実行中及び実行待ちの画像形成処理要求元の端末に通知されるので、当該割り込み処理を許可するか否かの返答をする際の判断が容易となる。
【0026】
請求項4記載の発明によれば、割り込みを許可するとどれだけ印刷時刻が遅くなるかを具体的に把握することができるので、画像形成処理の実行中及び実行待ちの画像形成処理要求元の端末のユーザが、当該割り込み処理を許可するか否かの返答をする際の判断が容易となる。
【0027】
請求項5記載の発明によれば、割り込み処理要求を行った端末から、当該割り込み処理要求に係る情報を入力することができるので、例えば、当該割り込み処理要求に係る画像データの重要性や処理の緊急性を、印刷処理の実行中及び実行待ちの印刷処理要求元の端末のユーザに伝えることが可能となる。そのため、印刷処理要求元の端末のユーザが、当該割り込み処理を許可するか否かの返答をする際の判断が容易となる。
【0028】
請求項6記載の発明によれば、順位通知手段により、画像形成処理要求元の端末及び前記割り込み処理要求を行った端末のユーザは、割り込み処理要求の結果を知ることができるので、割り込み処理の円滑な使用形態が可能となる。
【0029】
請求項7記載の発明によれば、端末からだけではなく、画像形成装置からも割り込み処理要求を行うことが可能となるので、割り込み処理の円滑な使用形態が可能となる。
【0030】
請求項8記載の発明によれば、割り込み処理要求を行った画像形成装置のユーザ自身が、制限時間を設定することができる。つまり、例えば、割り込み処理をすぐにでも行いたいときには、制限時間を短くするといった設定をユーザ自身が行うことができる。これにより、割り込み処理の緊急度等に応じた設定が可能となり、時間の無駄なく、有効な割り込み処理が行える。
【0031】
請求項9記載の発明によれば、割り込み処理要求に対する返答を一度ユーザ設定記憶手段により記憶させておけば、端末から離れている場合などに、割り込みを許可するか否かの問い合わせに返答できなくても、ユーザの意向を反映させることができる。また返答を受け付ける制限時間を設けているために、割り込み要求に対する判定処理をすばやく行うことができる。つまり、予め面倒な設定を要することなく、またジョブ待ちのユーザ全員が即座に返答しなくても、時間の無駄なく、かつユーザの意向を汲んだ割り込み処理が可能なネットワークプリンタシステムを提供できる。
【0032】
請求項10記載の発明によれば、割り込み処理要求を行った端末のユーザ自身が、制限時間を設定することができる。つまり、例えば、割り込み処理をすぐにでも行いたいときには、制限時間を短くするといった設定をユーザ自身が行うことができる。これにより、割り込み処理の緊急度等に応じた設定が可能となり、時間の無駄なく、有効な割り込み処理が行える。
【0033】
請求項11記載の発明によれば、予め面倒な設定を要することなく、またジョブ待ちのユーザ全員が即座に返答しなくても、時間の無駄なく、かつユーザの意向を汲んだ割り込み処理が可能なネットワークプリンタの制御方法を提供することができる。
【0034】
請求項12記載の発明によれば、予め面倒な設定を要することなく、またジョブ待ちのユーザ全員が即座に返答しなくても、時間の無駄なく、かつユーザの意向を汲んだ割り込み処理を画像形成装置に実行させるためのプログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明に係る画像形成装置の一例として、プリンタ機能を備えた複合機について図面を参照しながら説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成または処理は、同一の構成または処理であることを示し、その詳しい説明を省略する。
【0036】
図1は、本発明の一実施形態における画像形成装置を用いたネットワークプリンタシステムの構成例を示す概略図である。図1に示すネットワークプリンタシステムは、複合機(画像形成装置)1、複数のPC(パーソナルコンピュータ)等の端末2を備えている。複合機1は、ネットワークの一例であるLAN(Local Area Network)3を介して端末2と通信可能に接続され、当該端末2と種々のデータ等の送受信が可能な状態に構成されている。複合機1は、端末2から送出された所定の画像データを受信し、この受信した画像データに対する画像を印刷(プリント)することができる。
【0037】
図2は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の一例である複合機1の内部構成を概略的に示す断面図である。複合機1は、本体部4と、本体部4の上部に配設された原稿読取部5と、原稿読取部5の上方に配設された原稿給送部6とを備えている。また、複合機1のフロント部には、ユーザが印刷実行指示を入力するためのスタートキー471と、印刷部数等を入力するためのテンキー472と、各種複写動作の設定等を入力するための操作ガイド情報等を表示すると共に、各種操作指令を入力するための種々の操作ボタン等が表示される液晶表示器(LCD)等からなる表示器473と、割り込み印刷等の割り込み処理の指示入力を行う割り込みキー474と、各種複写動作の設定をリセットするためのリセットキー475とを備えて構成される操作部47が設けられている。この操作部47は、ユーザの操作に応じて所定の指示入力を行う機能部(複合機1におけるユーザ設定手段)である。
【0038】
原稿読取部5は、CCD(Charge Coupled Device)センサ及び露光ランプ等からなるスキャナ51と、ガラス等の透明部材により構成された原稿台52(プラテンガラス)及び原稿読取スリット53とを備える。スキャナ51は、図略の駆動部によって移動可能に構成され、原稿台52に載置された原稿を読み取るときには原稿台52に対向する位置に移動され、原稿画像を走査しつつ取得した画像データを後述する制御部10へ出力する。また、スキャナ51は、原稿給送部6により搬送された原稿を読み取るときには原稿読取スリット53と対向する位置に移動され、原稿読取スリット53を介して原稿給送部6による原稿の搬送動作と同期して原稿の画像を取得し、当該画像に対する画像データを制御部10へ出力する。
【0039】
原稿給送部6は、原稿を載置するための原稿載置部61と、画像読み取り後の原稿を排出するための原稿排出部62と、原稿載置部61に載置された原稿を1枚ずつ順に繰り出して上記原稿読取スリット53に対向する位置へ搬送し、原稿排出部62へ排出するための給紙ローラ及び搬送ローラ等からなる原稿搬送機構63を備える。また、原稿給送部6は可倒式に構成されており、原稿台52上面を開放するように上方に持ち上げることにより、原稿台52の上面に、読み取り原稿、例えば見開き状態にされた書籍等を載置することが可能に構成されている。
【0040】
本体部4は、それぞれサイズが異なる記録紙を収納する複数の給紙カセット461と、給紙カセット461から記録紙を1枚ずつ繰り出して後述する記録部40へ搬送する給紙ローラ462と、給紙カセット461から搬送されてきた記録紙に画像を形成する記録部40とを備えている。
【0041】
記録部40は、スキャナ51で取得された画像データに基づいてレーザ光を出力して感光体ドラム43を露光し、当該感光体ドラム43の表面に静電潜像を形成する光学ユニット42と、上記静電潜像に基づいて感光体ドラム43上にトナー像を形成する画像形成部44と、感光体ドラム43上のトナー像を記録紙に転写する転写部41と、トナー像が転写された記録紙を加熱してトナー像を記録紙に定着させる定着部45と、記録部40内の用紙搬送路中に設けられた搬送ローラ等によって記録紙を搬送して排出トレイ48又はスタックトレイ49へ排出する用紙搬送装置46とを備えている。
【0042】
図3は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の一例である複合機1の概略構成を示す機能ブロック図である。複合機1は、装置全体の動作制御を司る制御部10を備えている。この制御部10は、スキャナ51及び原稿台52等からなる原稿画像の読み取りが可能な原稿読取部5、原稿搬送機構63等からなる原稿給送部6、画像形成部44等からなる記録部40、テンキー472や割り込みキー474等を含む操作部47、原稿読取部5で読み取られた画像データ等が一時的に保存される画像メモリ7、大量の画像データを保存可能な記憶容量を有する大容量のHDD8、及びネットワークI/F部9が接続されている。
【0043】
画像メモリ7は、原稿読取部5によって読み取られた原稿の画像データ、あるいは、後述するネットワークI/F部9を介して端末2から送信されてきた画像データを一時的に記憶するメモリである。HDD(Hard Disk Drive)8は、原稿読取部5によって読み取られた画像データ並びに上記情報処理装置から送信されてきた画像データ、及び当該画像データに設定されている出力形式等が記憶される記憶装置である。なお、HDD8に記憶されているデータは、複合機1で使用されるだけでなく、必要に応じてネットワークなどを介して端末2から確認されたり、当該端末2へ転送される。
【0044】
ネットワークI/F部9は、ネットワークインタフェース(例えば10/100Base-TX)等を用い、LAN3などのネットワークを介して接続された端末2との間における種々のデータの送受信を制御するものである。
【0045】
端末2は、複合機1に対して印刷処理等の割り込み処理要求を行う端末割り込み要求部(端末割り込み要求手段)201、複合機1からの通知を受け取り、その通知に対しての返答を複合機1に送信する端末送受信部(端末送受信手段)202、及び種々のデータやプログラム等を記憶するHDD203を備えている。さらに、端末2は、電話回線などを含む通信回線60と接続されており、その通信回線60を介してLANや、さらに当該LANを介してインターネットに接続可能である。
【0046】
また、端末2は、ドライブ20を介して、種々の画像データやプログラムなどが記録された記録媒体から必要な情報をHDD203等にインストールし、あるいは当該記録媒体を直接読み出すことで、その情報が有する機能を実行することができる。当該必要な情報とは、例えば、本発明に係る割り込み処理における端末側の機能を果たすためのプログラム等である。
【0047】
この記録媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスクを含む)211、光ディスク(CD:Compact Disk、DVD:Digital Versatile Diskを含む)212、光磁気ディスク(MD:Mini-Diskを含む)213または半導体メモリ214などにより構成される。それ以外にも、端末2は、当該端末2に接続された通信回線60を介して、例えば、LANやインターネットから、種々のデータやプログラム等をインストールし、少なくとも本発明に係る割り込み処理における端末側の機能を実行することも可能である。さらに、端末2は、USB接続などの有線接続又は無線接続された機器から、当該割り込み処理における端末側の機能を果たすためのプログラム等をインストールし、その機能を実行することも可能である。
【0048】
制御部10は、複合機1の制御プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、一時的にデータを保管するRAM(Random Access Memory)、及び本発明に係る割り込み処理を制御するプログラム等を上記ROMから読み出して実行するマイクロコンピュータ等からなり、操作部47等において入力された指示情報や、本装置の各所に設けられた各種センサからの検出信号に応じて装置全体の制御を行う処理を実行するものである。
【0049】
また、制御部10は、ドライブ30を介して、記録媒体から上記制御プログラムをHDD8又は上記ROM等にインストールし、あるいは当該記録媒体を直接読み出すことで、本発明に係る割り込み処理を制御する機能を実行することができる。この記録媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスクを含む)311、光ディスク(CD、DVDを含む)312、光磁気ディスク(MDを含む)313または半導体メモリ314などにより構成される。あるいは、制御部10は、当該制御部10に接続された電話回線などを含む通信回線50を介して、例えば、LANやインターネットから、上記制御プログラムをインストールし、少なくとも本発明に係る割り込み処理を制御する機能を実行することも可能である。
【0050】
制御部10は、端末記憶部(端末記憶手段)101、割り込み通知部(割り込み通知手段)102、タイマ部(タイマ手段)103、返答受信部(返答受信手段)104、ユーザ設定記憶部(ユーザ設定記憶手段)105、順位判定部(順位判定手段)106、算出部(算出手段)107、順位通知部(順位通知手段)108及び割り込み要求部(割り込み要求手段)109を備えている。
【0051】
端末記憶部101は、印刷処理等の画像形成処理の実行中及び実行待ちの画像形成処理要求元の端末2を記憶する。割り込み通知部102は、複合機1への割り込み処理要求を受信し、端末記憶部101に記憶された端末に対して、少なくとも割り込み処理要求がある旨を通知する。タイマ部103は、端末記憶部101に記憶された端末に対して、割り込み通知部102による通知が行われてからの時間を計測する。
【0052】
また、返答受信部104は、割り込み通知部102による通知に対しての返答を画像形成処理要求元の端末から受信する。ユーザ設定記憶部105は、割り込み通知部102による通知に対しての返答を予め端末ごとに記憶する。順位判定部106は、返答受信部104により受信された返答と、タイマ部103により計測された時間が予め設定された制限時間を越えても返答受信部104が返答を受信していない端末に対しては、ユーザ設定記憶部105の当該端末に対応して記憶されている返答とに基づき、割り込み処理要求を行った端末の画像形成処理を実行する順位を判定する。
【0053】
また、算出部107は、割り込み処理要求に係る画像データのデータ量から求められる割り込み情報を作成する。順位通知部108は、順位判定部106が画像形成処理要求元の端末及び割り込み処理要求を行った端末の画像形成処理を実行する順位を判定した後、当該割り込み処理要求の結果を、画像形成処理要求元の端末及び前記割り込み処理要求を行った端末に通知する。割り込み要求部109は、複合機1に対して印刷処理等の割り込み処理要求を行う。またこの割り込み要求部109の機能を、割り込みキー474等に持たせる構成であってもよい。
【0054】
以下、画像形成処理の例として複合機1に割り込み印刷要求があった場合について説明するが、本発明の実施形態における画像形成処理はそれに限らず、例えば、LANに接続された端末2から複合機1を介して直接にファクシミリ送信するネットワークファクシミリ等も含まれるものとする。
【0055】
図4は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の割り込み処理の流れを示すフローチャートである。まず、複合機1は、端末2から送出される画像データを印刷処理する、通常のジョブを実行している(ステップS101)。このとき、割り込み印刷等の特別な指示がなければ(ステップS102でNo)、複合機1は、端末2からの指示を受け付けた順に印刷処理を実行していく。また、印刷処理の実行中及び実行待ちの印刷処理要求元の端末2は、端末記憶部101に記憶されている。
【0056】
ここで、複合機1の割り込み要求部109、又はある端末2の端末割り込み要求部201から割り込み印刷の要求があった場合(ステップS102でYes)、当該要求は割り込み通知部102により受信される。そして、タイマ部103のカウンタがリセットされ(ステップS103)、そのカウンタはカウントアップを開始する。
【0057】
図5は、端末2の端末割り込み要求部201が割り込み要求を行う際に、当該端末2に表示される画面の一実施形態を表す図である。この実施形態においては、割り込み要求に対する、印刷処理の実行中及び実行待ちの印刷処理要求元の端末2からの返答を受け付ける制限時間と、割り込み要求を行ったユーザのコメントが入力可能となっている。また、複合機1の割り込み要求部109が割り込み要求を行う際にも同様の画面が、例えば複合機1の表示器473に表示される。
【0058】
制限時間は、図5に示したように、例えば、5秒,10秒,15秒,30秒の中から選択可能に構成されており、デフォルトでは例えば30秒が選択されている。割り込み要求を行ったユーザは、自分が希望する時間の前のチェックボックスをチェックすることで、制限時間を設定することができる。図5は、制限時間として30秒が選択されたことを示している。この制限時間は、図5に示した例に限られず、実際に使用される環境において、割り込み印刷が有効に行えるような時間が選択可能に表示されればよい。
【0059】
この構成により、割り込み処理要求を行った複合機1又は端末2のユーザが制限時間を設定可能となっている。つまり、例えば、割り込み処理をすぐにでも行いたいときには、制限時間を短くするといった設定をユーザ自身が行うことができる。これにより、割り込み処理の緊急度等に応じた設定が可能となり、時間の無駄なく、有効な割り込み処理が行える。
【0060】
また、コメント欄は、例えば、割り込み要求を行ったユーザが、印刷処理の実行中及び実行待ちの印刷処理要求元のユーザに、割り込み要求に係る画像データの重要性あるいは緊急性を理解してもらうために利用できる。そのため、このコメントを見た印刷処理要求元の端末のユーザが、当該割り込み処理を許可するか否かの返答をする際の判断が容易となる。これらの項目を選択あるいは入力した後で、「送信」ボタンを選択する(カーソルを合わせクリックする)と、入力内容と共に当該割り込み処理要求に係る画像データが複合機1に送信される。
【0061】
この割り込み要求は、例えば、通常のワープロソフト等が立ち上がっている状態で、当該ワープロソフト等のツールバーにおける「印刷」を選択した際に、自動的に図5に示したような画面がポップアップ表示される構成でよい。あるいは、ワープロソフト等を立ち上げることなく、本発明に係るアプリケーションソフトを立ち上げ、図5に示したような画面をポップアップ表示した状態で、当該割り込み処理要求に係る画像データを、その画面上にドラッグアンドドロップする、又は当該画像データのファイル名を入力するなどにより、入力内容と共に当該画像データが複合機1に送信される構成としてもよい。
【0062】
続いて、割り込み通知部102は、端末記憶部101に記憶された端末2に対して、割り込み印刷要求がある旨を通知する(ステップS104)。
【0063】
図6は、割り込み通知部102が端末2に対して通知するメッセージの一実施形態を表す図である。このメッセージは、印刷処理の実行中及び実行待ちの印刷処理要求元の端末2の画面にポップアップ表示されることが望ましい。これは、本発明の実施形態に係る機能を実行可能な制御プログラムを立ち上げて、端末2において常に使用可能な状態にしておくことで、当該制御プログラムが端末送受信部202を制御する。これにより、端末2のユーザが当該端末2を用いて仕事を行っている場合であれば、ポップアップ表示により即座に割り込み印刷要求があることを知ることが可能となる。
【0064】
図6には、割り込み印刷要求を行ったユーザが入力したコメント「社長に提出する書類です!」が表示されている。これにより、当該割り込み印刷に係る画像データの重要性あるいは緊急性を理解することができるので、印刷処理の実行中及び実行待ちの印刷処理要求元の端末2のユーザの判断を助ける材料となる。
【0065】
また、図6には、現在及び割り込みを許可した場合の印刷終了予定時刻も表示されている。これらの印刷終了予定時刻は、当該画像データのデータ量に基づき、割り込み情報として、算出部107において算出されたものである。これにより、割り込みを許可するとどれだけ印刷時刻が遅くなるかを具体的に把握することができるので、やはり端末2のユーザの判断が容易となる。
【0066】
また、割り込み印刷要求を行ったユーザが選択した制限時間も表示され、その数値は順次カウントダウンされて表示される。そして、制限時間内に図6の下部に配置された「はい」又は「いいえ」のボタンを選択すると、その返答は端末送受信部202から送信され、返答受信部104によって受信される。それに対して、制限時間内に図6の下部に配置された「はい」又は「いいえ」のボタンを選択しないと、端末2のユーザは割り込み通知部102からの通知に返答しなかったと見なされる。
【0067】
この図6のようなメッセージが表示された後、順位判定部106は、印刷処理の実行中及び実行待ちの印刷処理要求元の端末2のユーザ全員からの返答があったか否かを調べる(ステップS105)。その結果、ユーザ全員からは返答がなかった場合(ステップS105でNo)、タイマ部103において計測された時間が制限時間を越えたか否かが判定される(ステップS106)。そして、順位判定部106により、まだ制限時間を越えていないと判定される(ステップS106でNo)と、再度ステップS105の処理に戻り、ユーザ全員からの返答があったか否かが調べられる。
【0068】
それに対して、順位判定部106により、制限時間を越えたと判定される(ステップS106でYes)と、制限時間内に返答がなかった端末2に対しては、ユーザ設定記憶部105に記憶されている当該端末2の返答を読み取り(ステップS107)、その返答を割り込み印刷要求に対する返答として採用する。
【0069】
図7は、ユーザ設定記憶部105に記憶されている端末2の返答の一実施形態を表す図である。ここで、△は制限時間内に返答をしなかった、又はできなかった場合には割り込みを許可しないことを表し、▲は反対に割り込みを許可することを表している。したがって、制限時間内に返答がなかった端末2がA又はDである場合は、順位判定部106は割り込みが許可されていないことを読み取る。それに対して、制限時間内に返答がなかった端末2がB又はCである場合は、順位判定部106は割り込みが許可されていることを読み取る。この図7に示した、ユーザ設定記憶部105に記憶されている返答は、例えば、端末2のユーザが予め表示器473等を操作して設定しておくことが可能である。
【0070】
また、図4のステップS106及びS107における処理とは異なり、制限時間内に、印刷処理の実行中及び実行待ちの印刷処理要求元の端末2のユーザ全員からの返答があった場合(ステップS105でYes)には、その返答を割り込み印刷要求に対する返答として採用し、次のステップS108に移る。
【0071】
そして、順位判定部106は、制限時間内に返答受信部104により受信された返答と、タイマ部103により計測された時間が予め設定された制限時間を越えても返答受信部104が返答を受信していない端末2に対しては、ユーザ設定記憶部105の当該端末2に対応して記憶されている返答とに基づき、割り込み印刷要求を行った端末の印刷処理を実行する順位を判定する(ステップS108)。
【0072】
図8は、返答受信部104により受信された返答とユーザ設定記憶部105に記憶されている返答との、4つの実施形態を表す図である。I〜IVはそれぞれ1つの実施形態を表し、その実施形態でのユーザの返答が横の欄に示されている。ここで、△及び▲については、前述の図7と同じである。また、○及び×は、それぞれ制限時間内に端末2のユーザが割り込みを許可する又は許可しない旨の返答をしたことを表している。
【0073】
実施形態Iでは、1番目から4番目までのジョブ待ちユーザが割り込みを許可し、最後の5番目のユーザが許可しないと返答している。したがって、本実施形態においては、許可しないと返答している5番目のユーザより先に印刷処理を行うことはできないため、割り込み印刷は行われず、当該割り込み印刷要求のあったジョブは6番目に実行されることとなる。
【0074】
実施形態IIでは、1番目のユーザが割り込みを許可せず、2番目、4番目及び5番目のユーザが割り込みを許可している。そして、3番目のユーザは制限時間内に返答していないため、順位判定部106は、ユーザ設定記憶部105の3番目のユーザの端末に記憶されている返答を読み取っている。図8は、その結果が割り込みを許可する(▲)ものだったことを表している。したがって、2番目以降のユーザはすべて割り込みを許可しているので、本実施形態においては、当該割り込み印刷要求のあったジョブは1番目のユーザの次(2番目)に実行されることとなる。
【0075】
実施形態IIIでは、1番目、3番目及び5番目のユーザが制限時間内に割り込みを許可する旨の返答をしている。そして、2番目及び4番目のユーザは制限時間内に返答していないため、順位判定部106は、ユーザ設定記憶部105の2番目及び4番目のユーザの端末に記憶されている返答を読み取っている。図8は、その結果がいずれも割り込みを許可する(▲)ものだったことを表している。したがって、本実施形態においては、当該割り込み印刷要求のあったジョブは1番目に実行されることとなる。
【0076】
ただし、実際は、順位判定部106が順位の判定を行っている間も印刷処理は継続して行われているため、すでに1番目のユーザのジョブが実行されている場合には、当該割り込み印刷要求のあったジョブは、その1番目のジョブが終了した後に実行されることとなる。
【0077】
実施形態IVでは、2番目及び4番目のユーザが制限時間内に割り込みを許可する旨の返答をしている。そして、1番目、3番目及び5番目のユーザは制限時間内に返答していないため、順位判定部106は、ユーザ設定記憶部105の1番目、3番目及び5番目のユーザの端末に記憶されている返答を読み取っている。図8は、その結果、1番目及び5番目のユーザの返答は割り込みを許可する(▲)ものだったが、3番目のユーザの返答は割り込みを許可しない(△)ものだったことを表している。したがって、本実施形態においては、許可しないと返答している3番目のユーザより先に印刷処理を行うことはできないため、当該割り込み印刷要求のあったジョブは4番目に実行されることとなる。
【0078】
以上説明した本発明に係る実施形態においては、割り込み処理を許可しないという端末の処理の前には当該割り込み処理を配置させないため、ユーザの意向を汲んだ割り込み処理が可能となる。さらに、そのユーザの意向の範囲内で最も前の順位に割り込み処理を配置することができる。
【0079】
以上説明した実施形態I〜IVと同様にして、順位判定部106において割り込み印刷要求後の新たなジョブ処理順位が判定されると、順位通知部108は少なくともその新たな印刷終了予定時刻等の情報を、割り込み要求を行ったユーザ、並びに印刷処理の実行中及び実行待ちのユーザに通知する(ステップS109)。これは、例えば、新たなジョブ処理順位判定後に、順位通知部108が端末2に対して「あなたの印刷終了予定時刻は○時×分です。」などというメッセージを表示させる構成であればよい。また、このメッセージは、図6と同様に、端末2の画面にポップアップ表示されることが望ましい。これにより、画像形成処理要求元の端末及び割り込み処理要求を行った端末のユーザは、割り込み処理要求の結果を知ることができるので、割り込み処理の円滑な使用形態が可能となる。
【0080】
以上の順位判定部106の判定により新たに判定された印刷処理の順序に基づいて、複合機1は、以降の印刷処理を実行する(ステップS110)。
【0081】
以上説明した実施形態における一連の割り込み処理は、ソフトウェア(制御プログラム)により実行することができる。例えば、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータで実現される。これは、図3において、複合機1及び端末2を専用のハードウェアとすることに相当する。
【0082】
以上説明したように、本実施形態によれば、予め面倒な設定を要することなく、またジョブ待ちのユーザ全員が即座に返答しなくても、時間の無駄なく、かつユーザの意向を汲んだ割り込み処理が可能な画像形成装置、ネットワークプリンタシステム並びにその制御方法及び制御プログラムを提供することができる。
【0083】
[他の好ましい実施形態]
(A)以上説明した実施形態においては、端末から割り込み印刷要求を行った場合に、印刷処理の実行中及び実行待ちの印刷処理要求元の端末に、割り込み通知部102が通知を行うとして説明を行ったが、それに限られることなく、複合機1のコピー機能等を用いてプリントを行おうとしているユーザに対しても通知を行うことが望ましい。これは、例えば、割り込み印刷要求があった際に、図6に示した内容と同等のものが割り込み通知部102から複合機1に送出され、その内容が表示器473に表示されるようにすることで実現される。これにより、端末2から印刷処理の要求を行ったユーザも、複合機1のユーザと同様に、割り込み印刷要求に対して自己の意見を反映させた返答を行うことができる。
【0084】
さらに、上記以外にも、複合機1のユーザが、例えば割り込みキー474等を操作することにより、割り込み印刷処理の要求を行う構成とすることも可能である。この場合も、複合機1のユーザからの割り込み印刷要求を受けると、割り込み通知部102が印刷処理の実行中及び実行待ちの印刷処理要求元の端末に通知を行うことで、各ユーザの意向を反映させた順序での印刷処理が可能となる。
【0085】
(B)以上説明した実施形態においては、図6に示したメッセージが、割り込み通知部102により端末2に対して通知されるとして説明したが、それに限られることなく、例えば、コメント等を表示させず、少なくとも割り込み印刷の要求がある旨を表示させる構成であってもよい。または、割り込み処理要求に係る画像データのデータ量から算出部107が求めた割り込み情報として、割り込み印刷要求に係る画像データを印刷(画像形成)する際のページ数や印刷に要する時間を表示させる構成であってもよい。
【0086】
図9は、割り込み通知部102が端末2に対して通知するメッセージの実施形態の変形例を表す図である。この図9においては、割り込み印刷要求に係る画像データを印刷する際のページ数と印刷時間が表示されている。これにより、当該割り込み印刷に係る画像データの量を把握することができるので、端末2のユーザの割り込み処理を許可するか否かの判断を助ける材料となる。
【0087】
(C)以上説明した実施形態においては、制限時間内に返答していない端末2がある場合、図7に示した、端末ごとに設定された1つの返答を参照するとして説明したが、それに限られることなく、端末ごとに複数の返答を設定することも可能である。
【0088】
図10は、ユーザ設定記憶部105に記憶されている端末2の返答の実施形態の変形例を表す図である。ここで、図中の記号(△及び▲)の意味はこれまでと同じである。また、返答の欄にある10秒、30秒といった時間は、例えば、図6に示した割り込み印刷要求が行われた画像データの印刷に要する時間に対応する。つまり、当該印刷に要する時間が、算出部107において例えば45秒と算出された場合には、その時間は30秒より長く1分以下なので、1分の欄の返答を参照すればよいことを表している。
【0089】
したがって、例えば、割り込み印刷に要する時間が算出部107において15秒と算出された場合には、30秒の欄を参照すればよい。そのため、端末A,B,C及びDがいずれも印刷処理待ちの状態であり、かつ割り込み通知部102からの通知に対して制限時間内に返答しなかった場合には、順位判定部106は、この図10が記憶されているユーザ設定記憶部105を参照する。その結果、順位判定部106は、端末A,B及びCは割り込みを許可しているが、端末Dは割り込みを許可していないと判定する。
【0090】
同様に、例えば、割り込み印刷に要する時間が算出部107において7分と算出された場合には、10分の欄を参照すればよい。そのため、端末A,B,C及びDがいずれも印刷処理待ちの状態であり、かつ割り込み通知部102からの通知に対して制限時間内に返答しなかった場合には、順位判定部106は、端末Aは割り込みを許可しているが、端末B,C及びDは割り込みを許可していないと判定する。
【0091】
(D)以上説明した実施形態においては、割り込み印刷要求があった場合、そのジョブは、ユーザからの返答に応じて実行中又は実行待ちジョブの切れ目に挿入されるとして説明したが、それに限られることなく、ユーザ全員が割り込み印刷を許可した場合には、実行中のジョブを一旦停止して、割り込みジョブを優先的に実行する構成も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の一実施形態における画像形成装置を用いたネットワークプリンタシステムの構成例を示す概略図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略内部側面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の割り込み処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】割り込み要求部が割り込み要求を行う際に表示される画面の一実施形態を表す図である。
【図6】割り込み通知部が端末に対して通知するメッセージの一実施形態を表す図である。
【図7】ユーザ設定記憶部に記憶されている端末の返答の一実施形態を表す図である。
【図8】返答受信部により受信された返答とユーザ設定記憶部に記憶されている返答の実施形態を表す図である。
【図9】割り込み通知部が端末に対して通知するメッセージの実施形態の変形例を表す図である。
【図10】ユーザ設定記憶部に記憶されている端末の返答の実施形態の変形例を表す図である。
【符号の説明】
【0093】
1 画像形成装置(複合機)
2 端末
3 LAN
10 制御部
101 端末記憶部
102 通知部
103 タイマ部
104 返答受信部
105 ユーザ設定記憶部
106 順位判定部
107 算出部
108 順位通知部
109 割り込み要求部
201 端末割り込み要求部
202 端末送受信部
20 ドライブ
47 操作部
473 表示器
9 ネットワークI/F部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを送出し当該画像データの画像形成処理要求を行う少なくとも1台の端末とネットワーク接続可能に構成され、当該画像形成処理要求に基づき、所定の順序に従って当該画像データに画像形成処理を実行する画像形成装置であって、
画像形成処理の実行中及び実行待ちの画像形成処理要求元の端末を記憶する端末記憶手段と、
前記端末から割り込み処理要求があった場合に、前記端末記憶手段に記憶されている端末に対して、少なくとも前記割り込み処理要求がある旨を通知する割り込み通知手段と、
前記割り込み通知手段による通知が行われてからの時間を計測するタイマ手段と、
前記割り込み通知手段による通知に対して、当該割り込み処理を許可するか否かの返答を前記画像形成処理要求元の端末から受信する返答受信手段と、
前記割り込み通知手段による通知に対しての返答を予め端末ごとに記憶するためのユーザ設定記憶手段と、
前記タイマ手段により計測された時間が予め設定された制限時間を越えても前記返答受信手段が返答を受信していない端末の、前記ユーザ設定記憶手段に記憶されている返答と、前記制限時間内に前記返答受信手段により受信された返答とに基づき、前記画像形成処理要求元の端末及び前記割り込み処理要求を行った端末の画像形成処理を実行する順位を判定する順位判定手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記順位判定手段は、前記実行中及び実行待ちの画像形成処理の最後から数えて、最初に割り込み処理を許可しないという返答があった端末の処理の直後に、当該割り込み処理を配置することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記割り込み処理要求に係る画像データのデータ量から求められる割り込み情報を作成する算出手段をさらに備え、
前記割り込み通知手段は、前記端末記憶手段に記憶された端末に対して、前記算出手段により作成された前記割り込み情報をさらに通知することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記割り込み情報は、前記割り込み処理要求に係る画像データのデータ量から求めた画像形成処理時の概略ページ数、当該画像データの画像形成処理に要する概略時間及び当該画像データの画像形成処理が終了する予定時刻のいずれか一つを含むことを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記割り込み通知手段は、前記端末記憶手段に記憶された端末に対して、前記割り込み処理要求を行った端末からの入力情報をさらに通知することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記順位判定手段が前記画像形成処理要求元の端末及び前記割り込み処理要求を行った端末の画像形成処理を実行する順位を判定した後、当該割り込み処理要求の結果を、前記画像形成処理要求元の端末及び前記割り込み処理要求を行った端末に通知する順位通知手段をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記画像形成装置に対して少なくとも割り込み処理要求を行う割り込み要求手段をさらに備え、前記割り込み通知手段は、さらに前記割り込み要求手段による割り込み処理要求があった場合にも、前記端末記憶手段に記憶されている端末に対して、少なくとも前記割り込み処理要求がある旨を通知することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記割り込み要求手段は、さらに前記制限時間が設定可能に構成されていることを特徴とする請求項7記載の画像形成装置。
【請求項9】
画像データを送出し当該画像データの画像形成処理要求を行う少なくとも1台の端末と、
請求項1乃至8のいずれかに記載の画像形成装置と、
をネットワーク接続したネットワークプリンタシステムであって、
前記端末は、
前記画像形成装置に対して少なくとも割り込み処理要求を行う端末割り込み要求手段と、
前記割り込み通知手段による通知を受信し、当該割り込み処理を許可するか否かの返答を前記画像形成装置に対して送信する端末送受信手段と、
を備えることを特徴とするネットワークプリンタシステム。
【請求項10】
前記端末割り込み要求手段は、さらに前記制限時間が設定可能に構成されていることを特徴とする請求項9記載のネットワークプリンタシステム。
【請求項11】
画像データを送出し当該画像データの画像形成処理要求を行う少なくとも1台の端末と、
当該画像形成処理要求に基づき、所定の順序に従って当該画像データに画像形成処理を実行する画像形成装置と、
をネットワーク接続したネットワークプリンタシステムの制御方法であって、
画像形成処理の実行中及び実行待ちの画像形成処理要求元の端末を記憶する端末記憶工程と、
前記画像形成装置に対して少なくとも割り込み処理要求を行う割り込み要求工程と、
前記割り込み要求工程により割り込み処理要求が行われた場合に、前記端末記憶工程の処理により記憶された端末に対して、少なくとも前記割り込み処理要求がある旨を通知する割り込み通知工程と、
前記割り込み通知工程による通知が行われてからの時間を計測するタイマ工程と、
前記割り込み通知工程による通知を受信し、当該割り込み処理を許可するか否かの返答を前記画像形成装置に対して送信する端末送受信工程と、
当該割り込み処理を許可するか否かの返答を前記画像形成処理要求元の端末から受信する返答受信工程と、
前記割り込み通知工程による通知に対しての返答を予め端末ごとに記憶するユーザ設定記憶工程と、
前記タイマ工程の処理により計測された時間が予め設定された制限時間を越えても前記返答受信工程において返答が受信されていない端末の、前記ユーザ設定記憶工程の処理により記憶されている返答と、前記制限時間内に前記返答受信工程において受信された返答とに基づき、前記画像形成処理要求元の端末及び前記割り込み処理要求を行った端末の画像形成処理を実行する順位を判定する順位判定工程と、
を備えることを特徴とするネットワークプリンタシステムの制御方法。
【請求項12】
画像データを送出し当該画像データの画像形成処理要求を行う少なくとも1台の端末とネットワーク接続可能に構成され、当該画像形成処理要求に基づき、所定の順序に従って当該画像データに画像形成処理を実行する画像形成装置に、
画像形成処理の実行中及び実行待ちの画像形成処理要求元の端末を記憶する端末記憶工程と、
前記端末から割り込み処理要求があった場合に、前記端末記憶工程の処理により記憶されている端末に対して、少なくとも前記割り込み処理要求がある旨を通知する割り込み通知工程と、
前記割り込み通知工程による通知が行われてからの時間を計測するタイマ工程と、
前記割り込み通知工程による通知に対して、当該割り込み処理を許可するか否かの返答を前記画像形成処理要求元の端末から受信する返答受信工程と、
前記割り込み通知工程による通知に対しての返答を予め端末ごとに記憶するユーザ設定記憶工程と、
前記タイマ工程の処理により計測された時間が予め設定された制限時間を越えても前記返答受信工程による返答を受信していない端末の、前記ユーザ設定記憶工程の処理により記憶されている返答と、前記制限時間内に前記返答受信工程により受信された返答とに基づき、前記画像形成処理要求元の端末及び前記割り込み処理要求を行った端末の画像形成処理を実行する順位を判定する順位判定工程と、
を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−127098(P2006−127098A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−313736(P2004−313736)
【出願日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】