説明

画像形成装置、メモリ制御方法、およびメモリ制御プログラム

【課題】記録すべき情報を選択して、より重要度の高い情報を優先的に不揮発性メモリに記録できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】エンジン制御部300上のCPU301は、ROM302やRAM303とバス上で接続されている。画像形成装置の起動時には、CPU301がROM302からプログラムを読出し、これをRAM303上に展開し処理を実行する。不揮発性メモリ304には、画像形成装置の電源が切られた状態でも保持すべき情報を記録する。CPU301は、不揮発性メモリ304からの読出しまたは不揮発性メモリ304に対する書込みを行う情報に対して優先度を付与し、その優先度を参照して、情報を不揮発性メモリ304から読出しまたは不揮発性メモリ304へ書込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、レーザープリンタ、インクジェットプリンタ、複写機、およびレーザーファックスなど、プロセスカートリッジが着脱可能な画像形成装置に関する。また、画像形成装置に搭載されているメモリ手段の制御方法および制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置に要求される機能はますます多様化、複雑化し、それにともなってソフトウェアの制御も複雑化してきた。たとえば、画像形成装置の電源が切られた場合でも、電源が切られる前の画質調整動作の情報、最後に印刷した時刻などを画像形成装置に搭載されている不揮発性メモリに記録し、再度電源が入れられたときに適切に画質調整動作を行うことが要求されている。
【0003】
かかる要求にともない、不揮発性メモリに記録する情報の量は増大している一方で、技術の進歩により画像形成装置が行う画像形成処理の速度も高速化し、情報を不揮発性メモリに記録する周期は短縮化してきている。たとえば、画像形成装置において、1枚印刷するごとに不揮発性メモリに情報を記録する場合、単位時間あたりに印刷できる枚数が増えるとその分短い周期で不揮発性メモリへ情報を記録することになる(たとえば、特許文献1,2を参照。)。
【0004】
【特許文献1】特許第2866521号公報
【特許文献2】特開平5−53386号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、不揮発性メモリのデバイスとしての記録速度はそれほど高速化されていない。あるいはコスト面などの理由により、安価であるが低速な不揮発性メモリが採用される場合がある。このような場合に、画像形成装置が不揮発性メモリに記録しようとする情報量に対し、不揮発性メモリの処理速度が追いつかず、情報をすべて記録できないという問題が発生する。
【0006】
ところで、画像形成装置の不揮発性メモリに記録される情報は、必ずしもすべてが重要なものではない。情報の重要度には違いがあり、限られた量の情報しか保存できない状況になった場合には、より重要度の高い情報を優先して不揮発性メモリに記録すればよい。
【0007】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、記録すべき情報を選択して、より重要度の高い情報を優先的に不揮発性メモリに記録できる画像形成装置を提供することを目的とする。また、記録すべき情報を選択して、より重要度の高い情報を優先的に不揮発性メモリに記録するためのメモリ制御方法、およびメモリ制御プログラムを提供することも、この発明の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明にかかる画像形成装置は、画像形成に寄与する情報が書込まれる不揮発性メモリを備えた画像形成装置であって、前記不揮発性メモリに対する情報の読出し/書込み処理を行う読出し/書込み手段と、前記不揮発性メモリからの読出しまたは前記不揮発性メモリに対する書込みを行う情報に対して優先度を付与し、前記優先度を参照して、前記情報の前記不揮発性メモリから読出しまたは前記不揮発性メモリへ書込む順序を変更する読出し/書込み順序変更手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、この発明にかかる画像形成装置は、前記優先度を参照して、前記情報の前記不揮発性メモリからの読出しまたは前記不揮発性メモリへの書込みを省略する読出し/書込み省略手段を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、この発明にかかる画像形成装置は、前記優先度が、前記情報の重要性の高低に準じて決定されることを特徴とする。
【0011】
また、この発明にかかる画像形成装置は、前記優先度が、前記不揮発性メモリに書込まれている情報、または新たに前記不揮発性メモリに書込まれる情報との順序性の有無により決定されることを特徴とする。
【0012】
また、この発明にかかる画像形成装置は、前記優先度が、所定の情報ごとの、前記不揮発性メモリに対する読出し/書込み処理がなされたときからの経過時間の長短により決定されることを特徴とする。
【0013】
また、この発明にかかる画像形成装置は、前記優先度が、前記不揮発性メモリに保存される情報のアドレスにより決定されることを特徴とする。
【0014】
また、この発明にかかる画像形成装置は、前記優先度が、情報の容量の大きさにより決定されることを特徴とする。
【0015】
また、この発明にかかる画像形成装置は、前記優先度が、複数の条件を考慮して決定されることを特徴とする。
【0016】
また、この発明にかかる画像形成装置は、前記優先度が、前記不揮発性メモリに対する情報の読出し/書込み処理を行うたびに再決定されることを特徴とする。
【0017】
また、この発明にかかる画像形成装置は、前記優先度が、所定の時間ごとに再決定されることを特徴とする。
【0018】
また、この発明にかかる画像形成装置は、前記読出し/書込み省略手段が、前記不揮発性メモリから複数回の読出し処理を行う場合、読込む情報が前記不揮発性メモリ内の同じアドレスのものであるとき、当該情報の読出し処理を省略し、前記読出し/書込み手段が、残りの情報を一括して読出すことを特徴とする。
【0019】
また、この発明にかかる画像形成装置は、前記読出し/書込み省略手段が、前記不揮発性メモリへの複数回の書込み処理を行う場合、書込み先アドレスが前記不揮発性メモリ内の同じ位置であるときは、最後に書込む情報以外の書込み処理を省略し、前記読出し/書込み手段が、最後に書込むべき情報のみの書込み処理を実行することを特徴とする。
【0020】
また、この発明にかかる画像形成装置は、前記読出し/書込み手段が、前記不揮発性メモリへの書込み命令を受けると、新たに書込む情報の書込み先アドレスに保存されている情報を読出し、前記読出し/書込み省略手段が、前記読出し/書込み手段により読出された情報と前記新たに書込む情報とを比較し、双方の情報の内容が同一である場合は、前記新たに書込む情報の前記不揮発性メモリへの書込み処理を省略することを特徴とする。
【0021】
また、この発明にかかる画像形成装置は、揮発性メモリと、前記揮発性メモリに対する情報の読出し/書込み処理を行う第二の読出し/書込み手段と、を備え、前記第二の読出し/書込み手段が、あらかじめ前記不揮発性メモリから読出された情報を前記揮発性メモリに保存しておき、前記不揮発性メモリへの書込み命令があった場合に、前記不揮発性メモリへの書込み先アドレスに対応する情報を前記揮発性メモリから読出し、前記読出し/書込み省略手段が、前記揮発性メモリから読出された情報と新たに書込みを命令された情報について、前記不揮発性メモリへの書込み処理を省略することを特徴とする。
【0022】
また、この発明にかかるメモリ制御方法は、前記不揮発性メモリへ新規に書込む情報とあらかじめリストアップされている書込み情報との重要度を比較する重要度比較工程と、前記重要度の順に情報の前記不揮発性メモリへの書込み優先度を決定し、前記優先度の高い順に情報を再びリストアップする再リストアップ工程と、前記再リストアップ工程により再リストアップされた順に、前記情報を前記不揮発性メモリへ書込む情報書込み工程と、を含むことを特徴とする。
【0023】
また、この発明にかかるメモリ制御方法は、前記不揮発性メモリ内の各情報の重要度を比較する重要度比較工程と、前記重要度の順に前記各情報の優先度を決定し、前記優先度の高い順に各情報をリストアップするリストアップ工程と、前記リストアップ工程によりリストアップされた順に、前記情報を前記不揮発性メモリから読出す情報読出し工程と、を含むことを特徴とする。
【0024】
また、この発明にかかるメモリ制御プログラムは、前記メモリ制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
この発明によれば、画像形成に寄与する情報が書込まれる不揮発性メモリを備えた画像形成装置において、不揮発性メモリからの読出しまたは不揮発性メモリに対する書込みを行う情報に対して優先度を付与し、その優先度を参照して、情報の不揮発性メモリから読出しまたは不揮発性メモリへ書込む順序を変更することにより、不揮発性メモリからの読出しまたは不揮発メモリへの書込み処理を優先度の高い情報から順に行うことができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、添付図面を参照して、この発明にかかる画像形成装置、メモリ制御方法、およびメモリ制御プログラムの好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0027】
(画像形成装置の概要)
図1は、この発明の実施の形態にかかる画像形成装置の構成を示す図である。図1は、この実施の形態の画像形成装置の一例として、1ドラムの中間転写方式のカラー複写機を示したものである。また、図2は、図1の部分拡大図である。
【0028】
この画像形成装置100は、スキャナユニット101によって、セットされた用紙を光学的に読取り画像データが生成される。この画像データをもとに書込みユニット102によって静電潜像が作像される。
【0029】
現像ユニット103は、上からBk(ブラック),Y(イエロー),C(シアン),M(マゼンダ)の順にセットされており、各現像ユニット103の中にはトナーカートリッジ104がセットされる。トナーカートリッジ104内のトナーは、現像ユニット103内のホッパ105に一時的に留められる。ホッパ105からトナー補給ローラ106、現像ローラ107を経由してトナーが感光体ユニット108まで運ばれる。
【0030】
フルカラー印刷の場合、まずブラックの画像を、書込み(感光体ユニット108)→現像→転写(中間転写)→クリーニング(感光体ユニット108)の順で中間転写ベルト112上に作像を行う。次に、マゼンダ、シアン、イエローの順で前記手順を繰り返し、中間転写ベルト112上に色を重ねていき、フルカラーの画像を作成する。感光体ユニット108において、使用されなかったトナーは感光体クリーニングユニット109によりクリーニングされ、感光体廃トナーボトル110に留められる。
【0031】
中間転写ベルト112上に作成されたフルカラー画像は、二次転写ユニット113で用紙上に転写される。そして、中間転写ベルト112上の未転写トナーを中間転写ベルトクリーニングユニット114によりクリーニングして、一回のフルカラー印刷が終了する。クリーニングされたときのトナーは中間転写廃トナーボトル115に留められる。また、二次転写ユニット113が転写する用紙は、第一給紙トレイ116、第二給紙トレイ117により給紙されるものである。
【0032】
印刷処理が施された用紙は、定着ユニット118により熱定着処理が施される。その後、排紙ユニット120から印刷された用紙が排出される。
【0033】
図3は、この発明の実施の形態にかかる画像形成装置のエンジン制御部上のCPU(Central Processing Unit)や不揮発性メモリの関連を示したブロック図である。
【0034】
エンジン制御部300上のCPU301は、ROM302やRAM303とバス上で接続されている。画像形成装置の起動時には、CPU301がROM302からプログラムを読出し、これをRAM303上に展開し処理を実行する。不揮発性メモリ304には、画像形成装置の電源が切られた状態でも保持すべき情報を記録する。不揮発性メモリ304に書込む情報としては、トナー補給量、パーツの寿命情報、画像形成装置の異常状態情報、および画像形成装置の制御にかかわるパラメータ設定値などである。また、トナーカートリッジ104内にある不揮発性メモリ104aも同様の機能を有する。
【0035】
CPU301は、不揮発性メモリ304から複数回の読出しを行う場合で、かつ読込む情報が不揮発性メモリ304内の同じアドレスのものであるときは、当該情報の読出し処理を省略し、残りの情報を一括して読出す。
【0036】
CPU301は、不揮発性メモリ304への複数回の書込みを行う場合で、かつ書込み先アドレスが不揮発性メモリ304内の同じ位置である場合は、最後に書込む情報以外の書込み処理を省略し、最後に書込むべき情報のみを書込む。
【0037】
CPU301は、不揮発性メモリ304への書込みを行うときは、新たな情報の書込み先アドレスに保存されている情報を読出し、読出された情報と前記新たに書込む情報とを比較し、双方の情報の内容が同一である場合は、新たな情報の書込み処理は行わない。
【0038】
CPU301は、あらかじめ不揮発性メモリ304から読出した情報をRAM303に保存しておき、不揮発性メモリ304への書込み命令があった場合に、不揮発性メモリ304への書込み先アドレスに対応する情報をRAM303から読出す。そして、RAM303から読出された情報と新たに書込みを命令された情報について、不揮発性メモリ304への書込み処理を行わないようにすることもできる。
【0039】
ところで、不揮発性メモリのなかでも、たとえばEEPROMは、一度書込み動作をすると数〜数十msecの書込み待ち時間を空けなければ次の読み書きの動作を行うことができない。さらに、一度に書込みができるページという区切りがあり、ページをまたがって書込みを行う場合は、ページごとに同じく数〜数十msecの書込み待ち時間を空けなければならない。このように不揮発性メモリの書込み待ち動作が頻繁に入ると、要求される書換えに対し、実際の書換えの処理が追いつかずに、処理時間が間に合わないことになる。
【0040】
そこで、この発明では、上記のような低速な不揮発性メモリにおいて、不揮発性メモリからの読出しまたは不揮発性メモリへの書込みを行う情報に優先度を付与し、この優先度の高い情報から読出しまたは書込みを行うことで、重要な情報が欠落しないようにする。
【0041】
図4は、エンジン制御部の不揮発性メモリの内容を示す模式図である。不揮発性メモリ304へ保存する情報の例として、シアン色のトナー補給量および情報の書換え回数401、画像形成装置の異常状態情報および情報の書換え回数402、印刷ジョブエンド時温度および情報の書換え回数403などがある。それぞれの書換え回数も記録しているのは、不揮発性メモリ304において書換え回数が制限されている場合、制限回数を超えたときの制御を行うためである。
【0042】
(メモリ制御処理の内容)
図5は、この発明の実施の形態にかかる画像形成装置におけるメモリ制御処理の手順を示すフローチャートである。ここでは、情報の不揮発性メモリ304への書込み要求のリストアップ処理について示す。なお、書込み要求リストアップの詳細については後述する。また、前提として、不揮発性メモリ304の書込み待ち時間中で書込みが行われていない状態にあるとする。
【0043】
図5に示すフローチャートにおいて、新規書込み要求を受けた場合(ステップS501)、リストに書込み要求があるか否かを確認する(ステップS502)。ここで、リストに書込み要求がない場合(ステップS502:No)は、リストの末尾に新規要求を追加して(ステップS509)、処理を終了する。
【0044】
ステップS502においてリストに書込み要求がある場合(ステップS502:Yes)は、新規書込み要求の重要度を取出す(ステップS503)。次に、リストの先頭にある書込み要求の重要度を取得する(ステップS504)。そして、新規書込み要求の方が重要度が高いか否かを判定する(ステップS505)。具体的には、新規書込み要求の重要度とすでにリストの先頭にある書込み要求の重要度とを比較し、新規書込み要求の重要度が高いか否かを判定する。
【0045】
ステップS505において新規書込み要求の方が重要度が高い場合(ステップS505:Yes)、新規書込み要求を比較した書込み要求の前に追加し(ステップS506)、処理を終了する。
【0046】
一方、ステップS505において新規書込み要求の方が重要度が低い場合(ステップS505:No)、リストに次の書込み要求があるか否かを確認する(ステップS507)。ここで、リストに次の書込み要求がない場合(ステップS507:No)は、ステップS509へ移行する。一方、リストに次の書込み要求がある場合(ステップS507:Yes)は、当該書込み要求の重要度を取得する(ステップS508)。この後、ステップS505へ移行する。
【0047】
以上のような処理を行うことで、新規書込み要求を含むすべての書込み要求が重要度の高い(すなわち、書込み優先度の高い)順にリストアップされる。この状態で不揮発性メモリ304の書込み待ち時間が終了し書込みができるようになると、リストの先頭にある書込み要求から順に不揮発性メモリ304へ書込まれ、書込みが終了した書込み要求はリストから削除される。このように、書込み要求をリストアップされた順に不揮発性メモリ304に書込んでいくだけで、重要度の高い順に情報の書込みが行える。
【0048】
図6は、不揮発性メモリへの情報の書込み処理を実行する際の書込み要求リストの一例を示す図である。図6は、書込み要求ごとに、書込む情報の重要度が付与されている例を示したものである。リストの先頭になる書込み要求601は、書込み先アドレス611と、重要度612と、書込み情報サイズ613と、データ614と、ポインタ615とからなる。書込み先アドレス611は、不揮発性メモリ304内の情報を書込むアドレスを示す。重要度612は、不揮発性メモリ304に書込む情報の重要度を示す。書込み情報サイズ613は、不揮発性メモリ304に書込む情報の容量を示す。データ614には、不揮発性メモリ304に書込む情報が含まれている。ポインタ615は、次の書込み要求へのポインタを示す。書込み要求601の重要度612には、書込む情報の種類により、あらかじめ情報の重要度が割り付けられている。書込み要求が複数ある場合は、現時点での書込みを行う順に書込み要求601、書込み要求602、書込み要求603のようにリストアップしておく。優先度は、不揮発性メモリ304に書込まれている情報、または新たに不揮発性メモリ304に書込まれる情報との順序性の有無により決定される。
【0049】
図7は、不揮発性メモリへの情報の書込み処理を実行する際の書込み要求リストの他の一例を示す図である。図7は、書込む情報の重要度ではなく、書込まれる情報のアドレスによって優先度が決定される場合の例を示したものである。リストの先頭になる書込み要求701は、書込み先アドレス711と、書込み情報サイズ712と、データ713と、ポインタ714とからなる。書込み先アドレス711は、不揮発性メモリ304内の情報を書込むアドレスを示す。書込み情報サイズ712は、不揮発性メモリ304に書込む情報の容量を示す。データ713には、不揮発性メモリ304に書込む情報が含まれている。ポインタ714は、次の書込み要求へのポインタを示す。ここで、たとえば、不揮発性メモリ304における最小アドレスへの書込みが指定されている情報の優先度を最大に設定し、大きいアドレスへの書込みが指定されている情報ほど優先度が低くなるように設定しておく。このようにすることで、書込み要求701、書込み要求702、書込み要求703のそれぞれのアドレスを比較することで各要求の優先度を判定することができる。
【0050】
このようにすることで、書込み要求ごとに重要度を保持する必要がなくなり、メモリの使用量を減少させることができる。同様に、書込む情報の容量が大きく、その情報の優先度を上げたい場合などは、アドレスの代わりに情報のサイズによって優先度を決めてもよい。また、これらの諸条件を組み合わせることで優先度を決めてもよい。
【0051】
図8も、不揮発性メモリへの情報の書込み処理を実行する際の書込み要求リストの他の一例を示す図である。先に示した二つの例では、書込み要求が発生したときに、各情報の優先度を決定することで、書込み順序を並べ替えていたが、図8に示す例では書込み要求が発生したときは要求が発生した順に並べておき、並べ替えが必要と判断されたときに、情報の優先度を再決定し、再度書込み要求の並べ替えを行う。たとえば、重要度にかかわりなく、書込み要求801、書込み要求802、書込み要求803の順でリストアップされていた各書込み要求を、並べ替えが必要と判断された場合に、情報の重要度の順に、書込み要求802、書込み要求803、書込み要求801の順に並べ替える。
【0052】
なお、必ずしも書込み要求の並べ替え行う必要はない。CPUの負荷に余裕がある場合などは、書込み要求の並べ替えを省くことにより、リソースの利用効率を向上させることができる。並べ替えを行うタイミングとしては、たとえばCPU負荷が高くなってきた場合や、読出し要求、書込み要求のリスト登録数が増加してきて、すべての要求を処理しきれないと判断した場合などである。
【0053】
図9は、不揮発性メモリへ書込まれた情報のアドレスを記録したアドレス履歴表である。図9に示すように、前回の書込み先アドレス、前々回の書込み先のアドレス、・・・、のように直前からある一定回数分の書込み先アドレスを記録しておく。一方、書込み要求リストには、書込み要求を受けた順序にリスト中に書込み要求を並べておく(たとえば、図8に示す書込み要求801,802,803)。以下、図8に示した書込み要求リストも参照しながら説明する。
【0054】
次に、たとえば周期タイマーのタイムアップ(所定の時間ごと)などのタイミングで書込み要求のリストを並べ替える。すなわち、情報の書込みを行う優先度を所定時間ごとに再決定する。まずは、図9に示すように、アドレス履歴表のそれぞれのアドレスについて重要度を割り当てていく。図9では、小さい数字ほど重要度が低く、大きい数字ほど重要度が高いのであるが、直前に書込みを行ったアドレスから順に昇順に重要度を割り当てていくことにする。履歴に同じアドレスがあった場合は、より低い重要度の値を両方につける。こうすることで、前回書込みが行われてから長い時間がたっている書込みほど高い重要度が設定される。
【0055】
次に、図8の書込み要求801,802,803それぞれのアドレスから、先ほど決めた重要度を特定し、書込み要求の重要度を書込む。続いて、書込まれた重要度にしたがってリストを並べ替える(書込み要求802、書込み要求803、書込み要求801の順)。そして、新しい並び順にしたがって不揮発性メモリ304に書込みを行っていく。
【0056】
このようにすることで、前回書込みが行われてから時間が経過している情報ほど先に書込みが行われ、特定のアドレスだけなかなか更新されないようなことを避けることができる。
【0057】
以上、不揮発性メモリへの情報の書込みについて説明した。情報の読出しについては、すべて不揮発性メモリにある情報のみを処理すること以外は、書込み処理と同様である。また、書込みと読出しとが混在している場合は、書込み処理と読出し処理を平行して行えばよい。
【0058】
以上説明したように、この実施の形態によれば、画像形成に寄与する情報が書込まれる不揮発性メモリを備えた画像形成装置において、不揮発性メモリからの読出しまたは不揮発性メモリに対する書込みを行う情報に対して優先度を付与し、その優先度を参照して、情報の不揮発性メモリから読出しまたは不揮発性メモリへ書込む順序を変更することにより、不揮発性メモリからの読出しまたは不揮発メモリへの書込み処理を優先度の高い情報から順に行うことができる。
【0059】
また、不揮発性メモリからの読出しまたは不揮発性メモリへの書込みを行う情報ごとに優先度を付け、優先度が低く実行しなくてもよい処理を省くことでより優先度が高い処理を確実に実行することができる。また、別の処理にリソースを割り振ったりすることもできる。
【0060】
また、不揮発性メモリからの読出しまたは不揮発性メモリへの書込みを行う情報ごとに重要度を付与し、その重要度の高低で情報の優先度を判定することで、より重要な情報を優先的に処理することができる。
【0061】
また、不揮発性メモリからの読出しまたは不揮発性メモリへの書込みを行う複数の情報間に因果関係がある場合に、一方だけ更新されているのに一方が古いままといったことを避けることができる。
【0062】
また、画像形成装置の動作中であっても、状況変化にあわせて読出しまたは書込みを行う情報の優先度を設定することができる。
【0063】
また、不揮発性メモリの保存先アドレスに対応した優先度を情報に付与することで、情報の重要度を別途保持するよりも不揮発性メモリ使用容量を削減することができる。加えて、優先度の判定処理をより簡略化することができる。
【0064】
また、不揮発性メモリからの読出しまたは不揮発性メモリへの書込みを行う情報の容量が大きいため、不揮発性メモリの制約から複数回の読出し処理、書込み処理に分割されるような場合においても、優先度の高い情報から順に処理されるので、分割された読出し処理や書込み処理の一部だけが反映され、一部が反映されないというようなことを避けることができる。
【0065】
また、不揮発性メモリからの読出しまたは不揮発性メモリへの書込みを行う情報に複数の条件を組み合わせて優先度を設定することで、各情報に対してより細かい優先度を付与することができる。
【0066】
また、不揮発性メモリからの読出しまたは不揮発性メモリへの書込みを行う処理のたびに、情報に優先度を付与することで、状況に応じた優先度にしたがった読出しまたは書込み処理を実行することができる。
【0067】
また、不揮発性メモリからの読込みまたは不揮発メモリへの書込みを行う情報を、その優先度の高い順に並べ替えることができる。しかし、CPUの負荷に余裕がある場合などは、書込む情報の並べ替えを省くことにより、リソースの利用効率を向上させることができる。
【0068】
また、優先度の低い情報については、不揮発性メモリからの読込みまたは不揮発メモリへの書込みを行わないことで、リソースの利用効率を向上させることができる。
【0069】
なお、この実施の形態で説明したメモリ制御方法は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0070】
以上のように、この発明にかかる画像形成装置、メモリ制御方法、およびメモリ制御プログラムは、特有の情報を有する複数のトナーカートリッジを装着して用いる画像形成装置に有用であり、特に、トナーカートリッジの情報を画像形成装置の不揮発性メモリに効率的に取り込みたい場合に最適である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】この発明の実施の形態にかかる画像形成装置の構成を示す図である。
【図2】図1の部分拡大図である。
【図3】この発明の実施の形態にかかる画像形成装置のエンジン制御部上のCPUや不揮発性メモリの関連を示したブロック図である。
【図4】エンジン制御部の不揮発性メモリの内容を示す模式図である。
【図5】この発明の実施の形態にかかる画像形成装置におけるメモリ制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】不揮発性メモリへの情報の書込み処理を実行する際の書込み要求リストの一例を示す図である。
【図7】不揮発性メモリへの情報の書込み処理を実行する際の書込み要求リストの他の一例を示す図である。
【図8】不揮発性メモリへの情報の書込み処理を実行する際の書込み要求リストの他の一例を示す図である。
【図9】不揮発性メモリへ書込まれた情報のアドレスを記録したアドレス履歴表を示す図である。
【符号の説明】
【0072】
100 画像形成装置
101 スキャナユニット
102 書込みユニット
103 現像ユニット
104 トナーカートリッジ
104a,304 不揮発性メモリ
105 ホッパ
106 トナー補給ローラ
107 現像ローラ
108 感光体ユニット
109 感光体クリーニングユニット
110 感光体廃トナーボトル
112 中間転写ベルト
113 二次転写ユニット
114 中間転写ベルトクリーニングユニット
115 中間転写廃トナーボトル
116 第一給紙トレイ
117 第二給紙トレイ
118 定着ユニット
120 排紙ユニット
300 エンジン制御部
301 CPU
302 ROM
303 RAM
401 シアン色のトナー補給量および情報の書換え回数
402 画像形成装置の異常状態情報および情報の書換え回数
403 印刷ジョブエンド時温度および情報の書換え回数
601,602,603,701,702,703,801,802,803 書込み要求
611,711 書込み先アドレス
612 重要度
613,712 書込み情報サイズ
614,713 データ
615,714 ポインタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成に寄与する情報が書込まれる不揮発性メモリを備えた画像形成装置であって、
前記不揮発性メモリに対する情報の読出し/書込み処理を行う読出し/書込み手段と、
前記不揮発性メモリからの読出しまたは前記不揮発性メモリに対する書込みを行う情報に対して優先度を付与し、前記優先度を参照して、前記情報の前記不揮発性メモリから読出しまたは前記不揮発性メモリへ書込む順序を変更する読出し/書込み順序変更手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記優先度を参照して、前記情報の前記不揮発性メモリからの読出しまたは前記不揮発性メモリへの書込みを省略する読出し/書込み省略手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記優先度は、前記情報の重要性の高低に準じて決定されることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記優先度は、前記不揮発性メモリに書込まれている情報、または新たに前記不揮発性メモリに書込まれる情報との順序性の有無により決定されることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記優先度は、所定の情報ごとの、前記不揮発性メモリに対する読出し/書込み処理がなされたときからの経過時間の長短により決定されることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記優先度は、前記不揮発性メモリに保存される情報のアドレスにより決定されることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記優先度は、情報の容量の大きさにより決定されることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記優先度は、複数の条件を考慮して決定されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記優先度は、前記不揮発性メモリに対する情報の読出し/書込み処理を行うたびに再決定されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記優先度は、所定の時間ごとに再決定されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記読出し/書込み省略手段は、前記不揮発性メモリから複数回の読出し処理を行う場合、読込む情報が前記不揮発性メモリ内の同じアドレスのものであるとき、当該情報の読出し処理を省略し、
前記読出し/書込み手段は、残りの情報を一括して読出すことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記読出し/書込み省略手段は、前記不揮発性メモリへの複数回の書込み処理を行う場合、書込み先アドレスが前記不揮発性メモリ内の同じ位置であるときは、最後に書込む情報以外の書込み処理を省略し、
前記読出し/書込み手段は、最後に書込むべき情報のみの書込み処理を実行することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記読出し/書込み手段は、前記不揮発性メモリへの書込み命令を受けると、新たに書込む情報の書込み先アドレスに保存されている情報を読出し、
前記読出し/書込み省略手段は、前記読出し/書込み手段により読出された情報と前記新たに書込む情報とを比較し、双方の情報の内容が同一である場合は、前記新たに書込む情報の前記不揮発性メモリへの書込み処理を省略することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項14】
揮発性メモリと、前記揮発性メモリに対する情報の読出し/書込み処理を行う第二の読出し/書込み手段と、を備え、
前記第二の読出し/書込み手段は、あらかじめ前記不揮発性メモリから読出された情報を前記揮発性メモリに保存しておき、前記不揮発性メモリへの書込み命令があった場合に、前記不揮発性メモリへの書込み先アドレスに対応する情報を前記揮発性メモリから読出し、
前記読出し/書込み省略手段は、前記揮発性メモリから読出された情報と新たに書込みを命令された情報について、前記不揮発性メモリへの書込み処理を省略することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一つに記載の画像形成装置に備えられた不揮発性メモリの制御方法であって、
前記不揮発性メモリへ新規に書込む情報とあらかじめリストアップされている書込み情報との重要度を比較する重要度比較工程と、
前記重要度の順に情報の前記不揮発性メモリへの書込み優先度を決定し、前記優先度の高い順に情報を再びリストアップする再リストアップ工程と、
前記再リストアップ工程により再リストアップされた順に、前記情報を前記不揮発性メモリへ書込む情報書込み工程と、
を含むことを特徴とするメモリ制御方法。
【請求項16】
請求項1〜14のいずれか一つに記載の画像形成装置に備えられた不揮発性メモリの制御方法であって、
前記不揮発性メモリ内の各情報の重要度を比較する重要度比較工程と、
前記重要度の順に前記各情報の優先度を決定し、前記優先度の高い順に各情報をリストアップするリストアップ工程と、
前記リストアップ工程によりリストアップされた順に、前記情報を前記不揮発性メモリから読出す情報読出し工程と、
を含むことを特徴とするメモリ制御方法。
【請求項17】
請求項15または16に記載のメモリ制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とするメモリ制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−122793(P2008−122793A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−308171(P2006−308171)
【出願日】平成18年11月14日(2006.11.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】