説明

画像形成装置、光走査装置、および描画濃度補正方法

【課題】光学素子の部品点数を増大することなく、形成する2次元画像の濃度ムラを抑制することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】入力された画像データに基づいて、当該画像データが描画されるよう光束を発光する光源3と、発光された光束を偏向走査する偏向ミラーと、偏向走査された光束を被走査面上に結像させる光学系と、結像された光束の被走査面上における走査位置を検出する主走査位置検出部101と、走査位置に、描画される画像の濃度ムラを補正する補正データを対応付けられている往復走査濃度補正テーブル31を記憶する記憶部30と、検出された走査位置に対応する補正データを、往復走査濃度補正テーブル31から取得し、取得した補正データに基づいて、光源3の発光量を変更する光源光量制御部1と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、描画濃度を補正する画像形成装置、光走査装置、および描画濃度補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、レーザプリンタ、デジタル複写機、ファクシミリ装置等の画像形成装置は、レーザ光を走査手段により感光体等の被走査面上で主走査方向に偏向走査するとともに、被走査面を副走査方向に移動させて像担持体上に偏向走査するとともに、被走査面を副走査方向に移動させて像担持体上に1ライン分ずつ画像を書き込む装置を搭載したビーム走査型画像形成装置が用いられている。
【0003】
このビーム走査型画像形成装置の、レーザ光偏向方法としては、ポリゴンミラー等による等角速度偏向や、共振ミラー等による往復走査偏向等が用いられている。等角速度偏向が用いられる場合は、走査方向は被走査面を一定方向に走査されることとなる。一方、往復走査偏向が用いられる場合は、走査方向は、光源からの光束が共振ミラー等の往復変更手段により偏向された上で、被走査面に導かれるものである。そして、被走査面が往復走査される場合は、1ライン走査されるごとに走査方向が反転し、次走査ではラインは逆方向に走査されることとなる。
【0004】
被走査面を往復走査するとともに、像担持体を副走査方向に移動させるため、被走査面上での光ビームスポット位置が主走査方向1ラインの始端から終端で走査時間分だけ副走査方向にずれる。
【0005】
その結果、被走査面上に形成された2次元画像には、主走査両端部の間隔の粗密が生じる、この粗密が、形成画像の画質低下の要因となる。視覚的には、主走査方向の中央付近と端部とで、濃度ムラを生じるという問題が生じる。
【0006】
そこで、このような画質低下を抑制するため、走査方向において副走査方向の集光位置を補正する技術が開示されている(例えば、特許文献1)。特許文献1では、走査光学系に印加電圧に応じた集光位置が可変となる液体光学素子を有し、往復走査の往路、復路で液体光学素子の集光位置を変化させ、走査方向1ライン内で副走査方向の集光位置を補正する方法が提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示されている液体光学素子の補正方式を用いた場合、光学素子および集光位置可変手段にかかる光走査装置の部品を増加する必要が生じ、費用が嵩むこととなる。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、光学素子の部品点数を増大することなく、形成する2次元画像の濃度ムラを抑制することができる画像形成装置、光走査装置、および描画濃度補正方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、画像形成装置であって、入力された画像データに基づいて、当該画像データが描画されるよう光束を発光する光源部と、発光された前記光束を偏向走査する偏向部と、偏向走査された前記光束を被走査面上に結像させる光学系と、結像された前記光束の前記被走査面上における走査位置を検出する走査位置検出部と、前記走査位置に、描画される画像の濃度ムラを補正する補正データを対応付けられている補正テーブルを記憶する記憶部と、検出された前記走査位置に対応する前記補正データを、前記補正テーブルから取得し、取得した前記補正データに基づいて、前記光源部の発光量を変更する光源発光量可変部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、光走査装置であって、入力された画像データに基づいて、当該画像データが描画されるよう光束を発光する光源部と、発光された前記光束を偏向走査する偏向部と、偏向走査された前記光束を被走査面上に結像させる光学系と、結像された前記光束の前記被走査面上における走査位置を検出する走査位置検出部と、前記走査位置に、描画される画像の濃度ムラを補正する補正データを対応付けられている補正テーブルを記憶する記憶部と、検出された前記走査位置に対応する前記補正データを、前記補正テーブルから取得し、取得した前記補正データに基づいて、前記光源部の発光量を変更する光源発光量可変部と、を備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、描画濃度補正方法であって、入力された画像データに基づいて、当該画像データが描画されるよう光束を発光する光源ステップと、発光された前記光束を偏向走査する偏向ステップと、偏向走査された前記光束を被走査面上に結像させる結像ステップと、結像された前記光束の前記被走査面上における走査位置を検出する走査位置検出ステップと、前記走査位置に、描画される画像の濃度ムラを補正する補正データを対応付けられている補正テーブルを記憶部に記憶する記憶ステップと、検出された前記走査位置に対応する前記補正データを、前記補正テーブルから取得し、取得した前記補正データに基づいて、前記光源部の発光量を変更する光源発光量可変ステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、光学素子の部品点数を増大することなく、形成する2次元画像の濃度ムラを抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1にかかる光走査装置の基本的な構成および光ビームの光路を示す斜視図である。
【図2】図2は、往復走査により入射されるレーザ光の走査方向を示す図である。
【図3】図3は、往復走査により生じる粗密の一例を示す図である。
【図4】図4は、濃度ムラの一例を示す図である。
【図5】図5は、光源光量制御部1の構成を示すブロック図である。
【図6−1】図6−1は、往復走査における固定値に設定された各種データを示す図である。
【図6−2】図6−2は、往復走査における画素濃度補正データの一例を示す図である。
【図7】図7は、ビーム走査位置カーブの一例を示す図である。
【図8】図8は、濃度補正制御処理の手順を説明するフローチャートである。
【図9】図9は、光源光量制御部100の構成を示すブロック図である。
【図10−1】図10−1は、往復走査における固定値に設定された各種データを示す図である。
【図10−2】図10−2は、往復走査における画素濃度補正データの一例を示す図である。
【図11】図11は、濃度補正制御処理の手順を説明するフローチャートである。
【図12】図12は、本発明の実施の形態1および2にかかる複合機のハードウェア構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる画像形成装置、光走査装置、および描画濃度補正方法の最良な実施の形態を詳細に説明する。以下の実施の形態においては、本発明における画像処理装置を、コピー、ファックス、プリンタなどの複数の機能を一つの筺体に収納した複合機(MFP:Multi Functional Peripherals)に適用した例を示すが、これに限定されることなく、アプリケーションをインストール可能なファクシミリ装置、スキャナ装置等の画像処理装置であれば本発明を適用することができる。
【0015】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1にかかる光走査装置の基本的な構成および光ビームの光路を示す斜視図である。図1に示すように、本実施形態にかかる画像形成装置の光走査装置は、光源光量制御部1と、光源駆動部2と、光源3と、コリメートレンズ4と、アパーチャー5と、シリンダレンズ6と、偏向ミラー7と、fθレンズ8と、ミラー9と、走査レンズ10と、走査開始側同期センサ12と、走査終了側同期センサ13とを主に備え、光源3は、光源光量制御部1および光源駆動部2と接続されている。
【0016】
図1において、光源光量制御部1より光源駆動部2に光源点灯制御信号および発光強度制御信号が入力されると、光源駆動部2は、光源3に駆動信号を供給し、光源3を発光時間制御する。光源3から出射されたレーザ光は、コリメートレンズ4とアパーチャー5を介して整形され、シリンダレンズ6を透過した後、回転偏向させるための偏向ミラー7によって入射したレーザ光が偏向走査される。
【0017】
偏向ミラー7は、モータ(不図示)によって所定の回転数で回転駆動され、振動する。偏向ミラー7によって反射されたレーザ光は、走査結像レンズであるfθレンズ8を透過し、折り返しミラー9で反射され、感光体11上に集光される。この一連の偏向走査は、1ラインごとに往復して走査される(以下、往復走査という。)。
【0018】
往復走査偏向により入射されるレーザ光の走査方向について説明する。図2は、往復走査により入射されるレーザ光の走査方向を示す図である。図2で、縦矢印は、走査時間を示し、横矢印は、被走査物にレーザ光が走査される位置を示す。図2に示すように、偏向ミラー7により、1ライン走査されるごとに走査方向は反転し、次走査ではラインを逆方向に走査される。
【0019】
往復走査偏向により、感光体11上に配置された同期センサ12a、12bに光ビームが入射すると、走査されたタイミングに応じて、同期センサ12a、12bから同期検知信号が出力される。光源光量制御部1は、同期センサ12a、12bから出力された同期検知信号に基づいて、走査位置を検出し、検出した走査位置に応じて、発光エネルギーを制御する。
【0020】
発光エネルギーの制御方法としては、光源3の点灯時間を制御する方式と、光源3の発光強度を制御する方式とがあるが、本実施形態では、光源3の点灯時間を制御する方式について説明する。
【0021】
図3は、往復走査偏向により走査される場合であって、発光エネルギーの調整を行わない場合に、往復走査により生じる粗密の一例を示す図である。図2に示した往復走査偏向によると、被走査面を往復走査するとともに、像担持体を副走査方向に移動させるため、図3に示すように、被走査面上での光ビームスポット位置が主走査方向1ラインの始端から終端で、走査時間分だけ副走査方向にずれが生じる。具体的には、図3に示すように、上端左端部から走査が開始され上端右端部で終了する1ライン目と、上端右端部から1ライン目とは逆方向に走査される2ライン目において、1ライン目と2ライン目との間隔を、1ライン目の走査の開始地点と終了地点とで比較すると、1ライン目の終点と2ライン目の始点との間隔の方が、1ライン目の始点と2ライン目の終点との間隔よりも狭い。その結果、被走査面上に形成された2次元画像には、主走査両端部の間隔の粗密が生じ、この粗密が、形成画像の画質の低下の要因となる。図4は、濃度ムラの一例を示す図である。視覚的には、図4に示すように、主走査方向の中央付近と端部とで、濃度ムラが生じることとなっていた。光源光量制御部1は、この濃度ムラを解消すべく発光エネルギーを制御する。
【0022】
次に、本実施の形態にかかる画像形成装置による画像形成方法について、図1を用いて説明する。光源3は、レーザダイオードユニット(不図示)から整形されたレーザ光を出射する。整形されたレーザ光は、往復走査手段としての共振ミラー等からなる往復偏向器に入射される。この往復偏向器にて偏向されたレーザ光は、結像光学素子(コリメートレンズ4、アパーチャー5、シリンダレンズ6等)を透過し、像担持体としての感光体11の被走査面上に集光される。感光体11には、例えば、感光体ドラムが用いられ、回転駆動部(不図示)により回転駆動されて帯電器により一様に帯電される。帯電された感光体11は、レーザ光の往復走査により繰り返し走査され、副走査方向に移動することで、2次元画像が書き込まれて静電潜像が形成される。この感光体11上の静電潜像は、現像装置により現像されてトナー像となり、転写手段により転写紙などの記録材に転写されて定着装置により記録材に定着される。
【0023】
次に、光源光量制御部1が有する各部の機能について説明する。図5は、光源光量制御部1の構成を示すブロック図である。図5に示すように、光源光量制御部1は、クロック106と接続された主走査位置検出部101と、点灯時間補正部102と、データ信号発生回路103と、光量設定信号発生部104を主に備え、記憶部30と、光源駆動部2と接続されている。以下、光源光量制御部1の各部と、記憶部30および光源駆動部2の構成および機能について説明する。
【0024】
記憶部30は、往復走査濃度補正テーブル31を記憶する。往復走査濃度補正テーブル31とは、往復走査において生じる濃度ムラを補正するために、光源光量制御部1からのレーザ光点灯時間を補正する画素濃度補正データを保持したテーブルである。画素濃度補正データは、主走査位置と補正値とを対応付けたデータである。ここで、主走査位置とは、感光体11の主走査方向における位置である。
【0025】
クロック106は、画素クロックをカウントする時間計測手段であり、カウントした値を主走査位置検出部101に送信する。
【0026】
主走査位置検出部101は、同期検知信号を基準に、クロック106によりカウントされた値により、主走査位置を検出する。具体的には、一例として、下記の光ビームの走査位置のカーブを導出するビーム走査位置カーブ導出式により、主走査位置を求める。
【数1】

【0027】
なお、各パラメータと、記号、および単位については、以下の表に示すように、走査時刻は、記号「t」/単位[sec]、画像形成装置の画素密度(走査線密度)は、記号「d」/単位[dpi]、画像形成装置の画像形成速度は、記号「v」/単位[mm/s]、走査周期(往路のみ、または復路のみ)は、記号「Tline」/単位[ms]、有効走査範囲は、記号「L」/単位[mm]で表されている。
【表1】

【0028】
ここで、ビーム走査位置カーブの一例を示す。図7は、ビーム走査位置カーブの一例を示す図である。図7のビーム走査位置カーブを示す図では、縦軸は、副走査位置を示し、横軸は、主走査位置を示す。また、図7では、パラメータの値を、d=600[dpi]、v=169.3[mm/s]、Llim(限界走査範囲)=330[mm]、α(有効走査期間率)=50%として導出している。
【0029】
点灯時間補正部102は、往復走査濃度補正テーブル31から、主走査位置検出部101により検出された位置に対応する画素濃度補正データを取得し、取得した画素濃度補正データに基づいて、点灯時間のデータを補正する。
【0030】
データ信号発生回路103は、スキャナ(不図示)から読み取られた画像データに基づいて、光源3の点灯または消灯を制御する光源点灯制御信号を発生し、発生した光源点灯制御信号を光源駆動部2に送信する。
【0031】
光量設定信号発生部104は、光量設定信号を発生する光量設定信号発生回路105を有し、光量設定信号発生回路105により発生された発光強度制御信号を光源駆動部2に送信する。具体的には、光量設定信号発生回路105は、外部からの光量設定データにより光量設定信号を発生する。本実施の形態にかかる発光強度制御信号は、光源3を一定の発光強度で発光させるよう制御する信号であり、光源3は一定の発光強度で発光する。
【0032】
ここで、画素濃度補正データについて説明する。図6−1は、画素濃度補正データを用いない場合の各種信号と、感光体11上に形成される形成画素を示す図である。なお、本実施の形態においては、画素濃度補正データを用いた補正を行わない場合においても、点灯時間を調整する。具体的には、図6−1に示すように、画素入力濃度データは75%に設定されている。画素入力濃度データは、入力画像の濃度データに対する出力データの濃度を示すデータであり、100%のときに出力データの濃度は最大となる。画素入力濃度データ75%は、1画素の点灯時間を最大点灯時間の3/4とすることを意味している。
【0033】
図6−1に示すように、画素入力濃度データは固定値であるため、書き出し位置からのクロック数、すなわち主走査位置によらず、一律のサイズの形成画素が得られる。
【0034】
図6−2は、画素濃度補正データを用いた場合の各種信号と、感光体11上に形成される形成画素を示す図である。画素濃度補正データには、書き出し位置からのクロック数に対応付けて補正値が示されている。画素濃度補正データを用いる場合には、点灯時間補正部102は、画素入力濃度データに対し画素濃度補正データを重積することにより光源点灯信号をオンする時間を決定する。ここで、例えば、画素濃度補正データ66%が重積される場合、点灯時間は次のように導出される。
【数2】

図6−2に示すように、画素濃度補正データを66%とした場合、1画素の点灯時間は、約1/2として点灯制御される。点灯時間が短くなる分、感光体に到達するエネルギーが少なくなり、画像濃度も低く描画される。
【0035】
光源駆動部2は、光源光量制御部1から光源点灯制御信号、および発光強度制御信号を受信し、これらを駆動信号として光源3に送信し、光源3を点灯制御する。
【0036】
次に、濃度を補正制御する処理である濃度補正制御処理について説明する。図8は、濃度補正制御処理の手順を説明するフローチャートである。
【0037】
光源光量制御部1は、記憶部30からの往復走査濃度補正テーブル31の呼び出しを含む各種初期設定を行う(ステップS1)。
【0038】
光源駆動部2は、モータを駆動させて偏向ミラー7の振動を開始させ(ステップS2)、光源3を点灯させる(ステップS3)。
【0039】
主走査位置検出部101が、同期信号から、ライン走査の開始のタイミングを示すライン開始信号を検出した場合は(ステップS4:Yes)、主走査位置検出部101は、ライン開始信号が検出された後に、カウントされた画素クロック数と、ビーム走査位置カーブ導出式に基づいて走査位置を計測する(ステップS5)。
【0040】
点灯時間補正部102は、往復走査濃度補正テーブル31を参照し、走査位置に応じて、データ信号発生回路103で発生される光源点灯制御信号の点灯時間を補正する(ステップS6)。データ信号発生回路103は、点灯時間補正部102から補正された光源点灯制御信号を受信し、これを光源駆動部2に送信する。これにより、濃度補正されたデータが描画される。
【0041】
ステップS5において、主走査位置検出部101が検出した信号が、ライン開始信号でなかった場合は(ステップS4:No)、ライン開始信号を検出するまで同期検知信号の検出を継続する(ステップS4)。
【0042】
ステップS8において、主走査位置検出部101は、全ラインの走査が終了したか否かを検知し(ステップS7)、全ラインの走査が終了したことを検知した場合は(ステップS7:Yes)、光源駆動部2は、光源3を消灯し(ステップS8)、偏向ミラー7の振動を終了する(ステップS9)。
【0043】
一方、ステップS8において、主走査位置検出部101は、全ラインの走査が終了したことを検知しなかった場合は(ステップS7:No)、全ラインの走査が終了したことを検知するまで、同期検知信号を検出する(ステップS4)。
【0044】
このように、本実施の形態では、往復走査濃度補正テーブル31を用意し、往復走査濃度補正テーブル31に基づいて、光源3の点灯時間を、主走査位置検出部101により検出された主走査位置に対応する時間に変更することで、濃度ムラを抑制することができる。これにより、光学素子の部品点数を増大することなく、形成する2次元画像の濃度ムラを抑制することができる。
【0045】
(実施の形態2)
実施の形態1では、光源3の点灯時間を、主走査位置に対応する時間に変更することにより、濃度ムラを抑制した。これに対して、本実施の形態では、光源3の発光量を変更することにより、濃度ムラを抑制する。
【0046】
本実施の形態における光走査装置の基本的な構成や、光ビームの光路については、実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
【0047】
光源光量制御部100が有する各部の機能について説明する。図9は、光源光量制御部100の構成を示すブロック図である。図9に示すように、光源光量制御部100は、クロック106に接続された主走査位置検出部101と、データ信号発生回路103と、光量設定信号発生部114を主に備え、記憶部130と、光源駆動部2と接続されている。以下、光量設定信号発生部114と、記憶部130の構成および機能について説明する。なお、光量設定信号発生部114以外の光源光量制御部100の各部、および光源駆動部2については、実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
【0048】
記憶部130は、往復走査濃度補正テーブル131を記憶する。具体的には、往復走査濃度補正テーブル131は、光源3の発光強度(以下、光源発光強度という。)を制御するデータを保持する。
【0049】
図10−1は、往復走査における固定値に設定された各種データを示す図である。図10−1では、図6−1における各種データと同様に、クロック106によりカウントされる画素クロックに応じて、画素入力の濃度を示すデータである画素入力濃度データが、固定値として一律75%に設定されている。75%の画素入力濃度データを得るために、光源点灯信号も固定値として一律に設定されている。また、形成画素として、当該固定値に基づいて点灯された光源点灯信号により形成された画素が表わされている。ここで、画素入力濃度データを示すパーセント表現の数値は、入力画像の濃度データを示し、100%のときに最大濃度となる。また、入力画像の濃度データが75%のときは、補正無しのときであり、1画素時間の点灯時間を3/4としていることを意味している。
【0050】
10−2は、往復走査における画素濃度補正データの一例を示す図である。往復走査濃度補正テーブル31は、画素濃度補正データを保持している。画素濃度補正データは、図10−1に示した固定値に設定された画素入力濃度データの値、すなわち、光源発光量を、走査位置、すなわち、クロック106による画素クロックのカウント値によって、補正するデータである。図10−2は、図10−1に示した、固定値に設定された画素入力濃度データを補正するデータとして、画素濃度補正データが、画素クロックの値に応じた値に設定されていることを示している。また、光源点灯信号の長さは、当該画素濃度補正データに基づいて調整されている。さらに、形成画素として、当該光源点灯信号に基づいて形成された画素が表されている。ここで、濃度補正データ66%が重積される場合、光源3の発光強度は次のように導出される。
【数3】

このように、走査位置によって発光強度を低く補正することにより、画像形成装置より出力される2次元画像の濃度ムラを低減することが可能となる。
【0051】
光量設定信号発生部114は、発光強度を制御する発光強度制御信号を発生する光量設定信号発生回路115を有し、光量設定信号発生回路115により生成した発光強度制御信号を光源駆動部2に送信する。具体的には、光量設定信号発生部114は、記憶部130に記憶されている往復走査濃度補正テーブル131の画素濃度補正データに基づいて、光量設定信号発生回路115により発生させる発光強度を補正し、発光強度制御信号を生成する。
【0052】
次に、濃度を補正制御する処理である濃度補正制御処理について説明する。図11は、濃度補正制御処理の手順を説明するフローチャートである。
【0053】
ステップS11からステップS15の処理は、図8の濃度補正制御処理のフローチャートのステップS1からステップS5の処理と同様であるので説明を省略する。
【0054】
ステップS16において、光量設定信号発生部114は、往復走査濃度補正テーブル131を参照し、走査位置に対応する補正データを取得し、光量設定信号発生回路115で発生される光量設定信号に含まれる発光強度を補正する(ステップS16)。光量設定信号発生部114は、光量設定信号発生回路115に、補正した発光強度で光量設定信号を発生させ、発生させた光量設定信号に含まれる発光強度制御信号を光源駆動部2に送信する。
【0055】
ステップS17からステップS19までの処理は、図8の濃度補正制御処理のフローチャートのステップS7からステップS9の処理と同様であるので説明を省略する。
【0056】
このように、往復偏向走査される光束の主走査位置に基づいて、光源3の発光強度を変更する構成とすることにより、光学素子の部品点数を増大することなく、形成される2次元画像の濃度ムラを抑制することができる。
【0057】
なお、発光エネルギーの制御方法として、実施の形態1では、走査位置に応じて光源3の点灯時間を変更する方法を、また、実施の形態2では、走査位置に応じて発光強度を変更する方法を説明したが、他の例として、これら両方を採用する構成とすることもできる。
【0058】
図12は、本発明の実施の形態1および2にかかる複合機のハードウェア構成を示すブロック図である。本図に示すように、この複合機500は、コントローラ210とエンジン部(Engine)260とをPCI(Peripheral Component Interface)バスで接続した構成となる。コントローラ210は、複合機500全体の制御と描画、通信、図示しない操作部からの入力を制御するコントローラである。エンジン部260は、PCIバスに接続可能なプリンタエンジンなどであり、たとえば白黒プロッタ、1ドラムカラープロッタ、4ドラムカラープロッタ、スキャナまたはファックスユニットなどである。なお、このエンジン部260には、プロッタなどのいわゆるエンジン部分に加えて、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分が含まれる。
【0059】
コントローラ210は、CPU211と、ノースブリッジ(NB)213と、システムメモリ(MEM−P)212と、サウスブリッジ(SB)214と、ローカルメモリ(MEM−C)217と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)216と、ハードディスクドライブ(HDD)218とを有し、ノースブリッジ(NB)213とASIC216との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス215で接続した構成となる。また、MEM−P212は、ROM(Read Only Memory)212aと、RAM(Random Access Memory)212bと、をさらに有する。
【0060】
CPU211は、複合機500の全体制御をおこなうものであり、NB213、MEM−P212およびSB214からなるチップセットを有し、このチップセットを介して他の機器と接続される。
【0061】
NB213は、CPU11とMEM−P212、SB214、AGP215とを接続するためのブリッジであり、MEM−P212に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCIマスタおよびAGPターゲットとを有する。
【0062】
MEM−P212は、プログラムやデータの格納用メモリ、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いるシステムメモリであり、ROM212aとRAM212bとからなる。ROM212aは、プログラムやデータの格納用メモリとして用いる読み出し専用のメモリであり、RAM212bは、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いる書き込みおよび読み出し可能なメモリである。
【0063】
SB214は、NB213とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。このSB214は、PCIバスを介してNB213と接続されており、このPCIバスには、ネットワークインターフェース(I/F)部なども接続される。
【0064】
ASIC216は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGP215、PCIバス、HDD218およびMEM−C217をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC216は、PCIターゲットおよびAGPマスタと、ASIC216の中核をなすアービタ(ARB)と、MEM−C217を制御するメモリコントローラと、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などをおこなう複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)と、エンジン部260との間でPCIバスを介したデータ転送をおこなうPCIユニットとからなる。このASIC216には、PCIバスを介してFCU(Facsimile Control Unit)230、USB(Universal Serial Bus)240、IEEE1394(the Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)インターフェース250が接続される。操作表示部220はASIC216に直接接続されている。
【0065】
MEM−C217は、コピー用画像バッファ、符号バッファとして用いるローカルメモリであり、HDD(Hard Disk Drive)218は、画像データの蓄積、プログラムの蓄積、フォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。
【0066】
AGP215は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレーターカード用のバスインターフェースであり、MEM−P212に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレーターカードを高速にするものである。
【0067】
なお、上記実施の形態では、本発明の画像形成装置を、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機に適用した例を挙げて説明するが、複写機、プリンタ、スキャナ装置、ファクシミリ装置等の画像形成装置であればいずれにも適用することができる。
【符号の説明】
【0068】
1、100 光源光量制御部
2 光源駆動部
3 光源
4 コリメートレンズ
5 アパーチャー
6 シリンダレンズ
7 偏向ミラー
8 fθレンズ
9 ミラー
10 走査レンズ
11 感光体
12a、12b 同期センサ
30、130 記憶部
31、131 往復走査濃度補正テーブル
101 主走査位置検出部
102 点灯時間補正部
103 データ信号発生回路
104、114 光量設定信号発生部
105、115 光量設定信号発生回路
【先行技術文献】
【特許文献】
【0069】
【特許文献1】特開2009−003203号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された画像データに基づいて、当該画像データが描画されるよう光束を発光する光源部と、
発光された前記光束を偏向走査する偏向部と、
偏向走査された前記光束を被走査面上に結像させる光学系と、
結像された前記光束の前記被走査面上における走査位置を検出する走査位置検出部と、
前記走査位置に、描画される画像の濃度ムラを補正する補正データを対応付けた補正テーブルを記憶する記憶部と、
検出された前記走査位置に対応付けられている前記補正データを、前記補正テーブルから取得し、取得した前記補正データに基づいて、前記光源部の発光量を変更する光源発光量可変部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記光源発光量可変部は、前記光源部の点灯時間を、前記走査位置に対応付けられている前記補正データに基づいて変更すること、
を特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記光源発光量可変部は、前記光束の発光強度を、前記走査位置に対応付けられている前記補正データに基づいて変更すること、
を特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記光源発光量可変部は、前記光源部の点灯時間および前記光束の発光強度を、前記走査位置に対応付けられている前記補正データに基づいて変更すること、
を特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
入力された画像データに基づいて、当該画像データが描画されるよう光束を発光する光源部と、
発光された前記光束を偏向走査する偏向部と、
偏向走査された前記光束を被走査面上に結像させる光学系と、
結像された前記光束の前記被走査面上における走査位置を検出する走査位置検出部と、
前記走査位置に、描画される画像の濃度ムラを補正する補正データを対応付けた補正テーブルを記憶する記憶部と、
検出された前記走査位置に対応付けられている前記補正データを、前記補正テーブルから取得し、取得した前記補正データに基づいて、前記光源部の発光量を変更する光源発光量可変部と、
を備えることを特徴とする光走査装置。
【請求項6】
前記光源発光量可変部は、前記光源部の点灯時間を、前記走査位置に対応付けられている前記補正データに基づいて変更すること、
を特徴とする請求項5に記載の光走査装置。
【請求項7】
前記光源発光量可変部は、前記光束の発光強度を、前記走査位置に対応付けられている前記補正データに基づいて変更すること、
を特徴とする請求項5に記載の光走査装置。
【請求項8】
前記光源発光量可変部は、前記光源部の点灯時間および前記光束の発光強度を、前記走査位置に対応付けられている前記補正データに基づいて変更すること、
を特徴とする請求項5に記載の光走査装置。
【請求項9】
入力された画像データに基づいて、当該画像データが描画されるよう光束を発光する光源ステップと、
発光された前記光束を偏向走査する偏向ステップと、
偏向走査された前記光束を被走査面上に結像させる結像ステップと、
結像された前記光束の前記被走査面上における走査位置を検出する走査位置検出ステップと、
前記走査位置に、描画される画像の濃度ムラを補正する補正データを対応付けられている補正テーブルを記憶部に記憶する記憶ステップと、
検出された前記走査位置に対応付けられている前記補正データを、前記補正テーブルから取得し、取得した前記補正データに基づいて、前記光源部の発光量を変更する光源発光量可変ステップと、
を含む描画濃度補正方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10−1】
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【図10−2】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−64821(P2011−64821A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−213789(P2009−213789)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】