説明

画像形成装置、印刷ジョブ制御方法およびプログラム

【課題】レコード単位とサブセット単位とでの印刷ジョブの制御を可能にし、印刷ジョブ全体の処理の効率を向上する画像形成装置を提供する。
【解決手段】各レコードにおいて印刷する複数のページのうち、同じフィニッシングが設定されたページがサブセットとしてまとめられたバリアブル印刷ジョブをレコード単位で印刷処理し、印刷エラーを検出する。その印刷エラーがレコードにおける最初のページにおいて検出されたか、レコードについてのサブセットにおける最初のページにおいて検出されたかを判定する。レコードにおける最初のページにおいて検出されたと判定された場合、レコードについての印刷処理を保留し、サブセットにおける最初のページにおいて検出されたと判定された場合、サブセットについての印刷処理を保留する。印刷エラーが解除されたことが検出されると、保留された印刷処理を再開する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バリアブル印刷を行なう画像形成装置、印刷ジョブ制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
個々の顧客のニーズにあったデータを印刷するバリアブル印刷の需要が拡大している。バリアブル印刷ジョブ(VDPジョブ)は、登録されている顧客データを1つの印刷ジョブについてレコード単位で印刷する。従って、1つの印刷ジョブに何万という大量のレコード数が含まれることになる。また、VDPジョブでは、各レコードに対してVDPオブジェクトが関連付けられており、背景となるマスタオブジェクトと合成されて印刷される。VDPジョブには複数のレコードが含まれており、基本的にはジョブ単位で管理される。特許文献1には、エラー発生時のリカバリ方法として、レコード単位でリカバリ制御を可能とする方法が記載されている。特許文献1には、バリアブル印刷において、レコード単位で印刷データを生成している際にエラーが発生した場合、処理順を後のレコードに切り替えて印刷を継続させることが記載されている。また、エラーの生じたレコードから成る再印刷用の可変印刷データを自動的に生成することが記載されている。また、特許文献2には、バリアブル印刷についての印刷ジョブのレコード単位で管理(削除、一時停止、順序変更)することが記載されている。
【0003】
一方、市場では、1つのジョブ内で複数の異なるサブセット設定を可能とするサブセットフィニッシングのニーズが高い。ここで、サブセットとは、1つの印刷ジョブ内に定義されるページの集合単位である。異なるサブセット設定とは、例えば、あるサブセットにはステイプルを設定するが、他のサブセットにはステイプル設定をしない、というようなケースをいう。そのようなサブセット印刷の主なユースケースとしては、配布用テキストが挙げられる。配布用テキストでは、バインダに閉じられた複数のサブセットが含まれており、各サブセットは異なる印刷設定を持つことが可能である。
【0004】
以上のようなサブセットフィニッシングとVDP印刷とを組み合わせることで、ユーザ毎にレコード単位で印刷処理することが可能となり、且つ、仕上がり設定をサブセット単位でカスタマイズすることが可能となる。その結果、よりカスタマイズ性の高いテキストやパンフレットの作成が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−75634号公報
【特許文献2】特開2008−269261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
サブセットフィニッシングとVDP印刷の組み合わせると、1つの印刷ジョブ内に多種のメディアや仕上がり、排紙先が含まれることになる。その結果、印刷が給紙エラーやトレイ・フル・エラーにより中断するおそれが増え、全体の生産性が落ちてしまうことが考えられる。しかしながら、従来のVDP印刷においては、サブセットフィニッシングとの組み合わせを考慮していない。つまり、従来のVDP印刷においてはレコード単位の制御のみが可能であるので、レコード内の一部のサブセットは継続可能であった場合でも、レコード毎にサスペンドされてしまう。よって、例えばレコードの先頭で給紙エラーが発生し、全ての先頭レコードが同じ用紙タイプ設定がされていれば、結果的に全てのレコードの印刷が中断となる。しかしながら、サブセット単位でサスペンド可能であれば、レコード内の一部を継続して印刷可能であるので、全体の印刷を中断する必要がなくなる。さらに、レコード単位のみのサスペンドが可能な場合、既に印刷済みのサブセットも再印刷対象となるので、印刷が重複してしまう。また、レコードに含まれるページ数が多ければ、再印刷時間も増えてしまう。
【0007】
また、印刷の中断回数を減らすための処理もレコード単位のみで可能である。従って、サブセット単位で異なる設定が可能なサブセットフィニッシングの印刷ジョブにとっては、印刷の中断回数を減らすための処理が最適とならない。
【0008】
本発明の目的は、このような従来の問題点を解決することにある。そこで、上記の点に鑑み、本発明は、レコード単位とサブセット単位とでのバリアブル印刷ジョブの制御を可能にし、バリアブル印刷ジョブ全体の印刷処理の効率を向上する画像形成装置、印刷ジョブ制御方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、レコードごとに印刷内容を変えるバリアブル印刷ジョブに基づき、印刷処理を行う画像形成装置であって、
前記各レコードにおいて印刷する複数のページのうち、同じフィニッシングが設定されたページがサブセットとしてまとめられた前記バリアブル印刷ジョブを、前記レコード単位で印刷処理する印刷処理手段と、
前記印刷処理手段による印刷処理の際に印刷エラーを検出するエラー検出手段と、
前記印刷エラーが前記レコードにおける最初のページにおいて検出されたか、当該レコードについての前記サブセットにおける最初のページにおいて検出されたかを判定する判定手段と、
前記判定手段により、前記印刷エラーが前記レコードにおける最初のページにおいて検出されたと判定された場合に、前記レコードについての印刷処理を保留する第1の保留手段と、
前記判定手段により、前記印刷エラーが当該レコードについての前記サブセットにおける最初のページにおいて検出されたと判定された場合に、前記サブセットについての印刷処理を保留する第2の保留手段と、
前記印刷エラーが解除されたことを検出する解除検出手段と、
前記解除検出手段により前記印刷エラーが解除されたことが検出されると、前記第1または第2の保留手段により保留された印刷処理を再開する再開手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、レコード単位とサブセット単位とでのバリアブル印刷ジョブの制御を可能にし、バリアブル印刷ジョブ全体の処理の効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】画像形成システムの基本構成の一例を示すブロック図である。
【図2】画像形成装置の基本構成を示すブロック図である。
【図3】画像形成装置の機構的な構成を示す図である。
【図4】サブセットフィニッシング設定されたVDPジョブの一例を示す図である。
【図5】ジョブとサブセットとレコードとページとの階層的な関係を示す図である。
【図6】スプレッドシートデータの一例を示す図である。
【図7】PPMLファイルの一例とその印刷出力物のイメージを示す図である。
【図8】VDPジョブを受信して印刷するまでの処理の手順を示す図である。
【図9】VDPオブジェクトとマスターオブジェクトとを関連付ける処理の手順を示す図である。
【図10】S806のRIP処理の手順を示す図である。
【図11】印刷中にエラーが発生した際のサスペンド処理の手順を示す図である。
【図12】S1120の再印刷処理の手順を示す図である。
【図13】印刷エラーが後続のレコードを印刷中に解除された場合の処理の手順を示す図である。
【図14】次サブセット継続印刷確認通知の一例を示す図である。
【図15】オペレータに通知する再印刷可能通知の一例を示す図である。
【図16】サスペンド通知ページの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施例を詳しく説明する。尚、以下の実施例は特許請求の範囲に係る本発明を限定するものでなく、また本実施例で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。なお、同一の構成要素には同一の参照番号を付して、説明を省略する。
【0013】
<画像形成システム>
図1は、本発明に係る実施例における画像形成システムの基本構成の一例を示すブロック図である。本実施形態に係る画像形成システムは、画像形成装置10、プリントサーバ20、ファイルサーバ30、及びクライアントPC40を含む。画像形成装置10、プリントサーバ20、ファイルサーバ30、及びクライアントPC40は、LAN、WANなどのネットワーク50を介して相互に通信可能に接続されている。
【0014】
画像形成装置10は、スキャン、プリント、コピーなどの様々な機能を有する。ファイルサーバ30は、バリアブル印刷に使用するバリアブルデータについてのデータベース、例えば宛先、住所、氏名などの顧客データからなる顧客データベースを保管する。プリントサーバ20は、入力された印刷ジョブやネットワーク50を介して接続されている画像形成装置10を管理する。また、プリントサーバ20は、接続されている画像形成装置10と全ての印刷ジョブの状況を監視するとともに、印刷ジョブの一時停止、設定変更、印刷再開、あるいは、ジョブの複製、異動、削除などを制御をする。クライアントPC40は、アプリケーションファイルの編集や印刷指示を行なう機能を有する。また、クライアントPC40は、プリントサーバ20内で管理されている画像形成装置10や印刷ジョブの監視や制御を補佐する機能を有する。オペレータは、クライアントPC40を利用して、ジョブのステータスなどを確認することができる。
【0015】
<画像形成装置のブロック構成>
図2は、画像形成装置10の基本構成を示すブロック図である。CPU200は、画像形成装置10が備える各種ユニットの処理や動作等を統括的に制御する。操作部213は、オペレータが各種入力を行うためのものであり、各種キー等により構成される。ROM214は、読み出し専用のメモリであり、ブートシーケンスやフォント情報等の各種プログラムが予め格納されている。RAM215は、読み出し及び書き込み可能なメモリで、外部I/F219を介して送られてきた画像データや、各種プログラムや設定情報を格納する。HDD216は、画像データ等を格納する大容量の記憶装置であり、処理対象となる印刷ジョブの印刷データ等複数のデータを保持することができる。外部I/F219は、ネットワーク50と接続され、ファクシミリ、ネットワーク接続機器、外部専用装置と画像データなどを送受信する。スキャナ部218は、原稿給紙ユニット301上の原稿を読取り、画像データを生成する。プリンタ部217は、スキャナ部218や外部I/F219等から受け付けた画像データを印刷する。
【0016】
以下で説明する制御部201および各機能部202〜212は、画像形成装置10上のHDD216から読み出されてRAM215上に格納され、画像形成装置10上のCPU200で動作する制御プログラムにより実行される機能ブロックである。制御部201は、画像形成装置10の各機能部202〜212を制御し、画像形成装置10全体の動作を制御する。操作制御部212は、操作部213上の各種キーの入力を受け付ける。操作制御部212は、各種キー等の入力の内容を制御部201に通知する。制御部201は、操作制御部212から通知された内容に従って、各機能部201〜212に対して再印刷やジョブのキャンセル等の印刷ジョブ制御の処理を行う。表示制御部205は、各種ユーザインタフェース等の表示を制御し、操作部213上のLCDやLEDなどの表示デバイスを制御する。ジョブ受信部202は、クライアントPC40から外部I/F219経由で入力されたバリアブル印刷ジョブ(VDPジョブという)を受信してHDD216に記憶する。上記処理が完了すると、ジョブ受信部202は、制御部201に処理の完了を通知する。制御部201は、該通知を受けて、VDPジョブ解析部207にVDPジョブの解析処理を指示する。
【0017】
VDPジョブ解析部207は、制御部201の指示に従い、ジョブ受信部202から受信したVDPジョブとファイルサーバ30に格納されているレコードデータベース220を参照し、順次解析する。その際にレコードが参照するマスターオブジェクトとVDP(バリアブルデータ)オブジェクト221を参照して、それらを関連付ける。そして、VDPジョブ解析部207は、解析済みのレコードを解析後レコード記憶部208に送信する。解析後レコード記憶部208は、VDPジョブ解析部207から受信したレコードをHDD216に記憶する。上記処理が完了すると、解析後レコード記憶部208は、制御部201に処理の完了を通知する。制御部201は、該通知を受けて、RIP部210に解析後データのRIP処理を指示する。
【0018】
RIP部210は、制御部201の指示に従い、解析後レコード記憶部208から解析後データを受信し、RIP(Raster Image Processor)処理を行う。そして、RIP部210は、RIP後データをRIP後データ記憶部206に送信する。RIP後データ記憶部206は、RIP部210から受信したRIP後データをHDD216に記憶する。上記処理が完了すると、RIP後データ記憶部206は、制御部201に処理の完了を通知する。制御部201は、該通知を受けて、印刷制御部211にRIP後データの印刷処理を指示する。
【0019】
印刷制御部211は、制御部201の指示に従い、RIP後データ記憶部206から受信したRIP後データを受け取り、印刷処理を行う。印刷制御部211は、印刷情報に基づいて必要なメディアを給紙し、図3に示す各種ハードウェアを制御して、指定された仕上がり設定や指定された出力方式により印刷処理する。上記処理が完了すると、印刷制御部211は制御部201に処理の完了を通知する。また、上記処理の過程で印刷エラーが生じた場合、印刷制御部211は、制御部201に印刷エラーの発生を通知する(エラー検出の一例)。制御部201は、該通知を受けて、エラー解析部209にエラー解析処理を指示する。エラー解析部209は、エラー解析結果を制御部201に通知する。制御部201は、エラー解析部209の結果を受けて、サスペンド制御部204にサスペンドデータ制御処理の指示をする。サスペンド制御部204は、サスペンド(印刷処理の保留)可能なデータ範囲(サブセット単位であるか、または、レコード単位であるか)を決定する。サスペンド制御部204は、該当サスペンド単位のデータを制御部201に通知する。制御部201は、サスペンド制御部204から受信したサスペンド対象データをRIP後データ記憶部に通知し、対象となるRIP後データをサスペンド記憶部203に送信する。サスペンド記憶部203は、レコード単位(第1の保留の一例)およびサブセット単位(第2の保留の一例)で一時的に記憶する。
【0020】
また、印刷エラーが解除した場合、印刷制御部211は、制御部201に印刷エラーの解除を通知する(解除検出の一例)。制御部201は、該通知を受けて、サスペンド制御部204にエラー解除内容通知と再印刷可能データ検出指示をする。サスペンド制御部204は、制御部201から受けたエラー解除内容により、印刷可能なサスペンドデータがサスペンド記憶部203に記憶されているか否かを検出する。印刷可能なデータがあれば、表示制御部205に該当データ表示通知をする。表示制御部205は、サスペンド制御部204から受け取った該当データを表示するように操作部に通知し、オペレータに印刷可能なサスペンドデータがあることを通知する。オペレータから操作部213に対してサスペンドデータの印刷指示があれば、表示制御部205が指示を受け、制御部201に通知する。通知を受けた制御部201は、サスペンド制御部204に印刷指示をする。サスペンド制御部204は、サスペンド記憶部から該当データを取得して印刷制御部211に送信する。
【0021】
<画像形成装置の印刷、給紙、排紙周辺の構成>
次に、画像形成装置10の構成を、図3に示す断面図を用いて説明する。なお、ここでは、本実施形態に関係する給紙、印刷、排紙に関係する箇所についてのみ説明する。画像形成装置10は、複数の感光体(ドラム)を備えたタンデムタイプのカラープリンタ構成であり、給紙カセット317、318、手差しトレイ320等の給紙部を有し、いずれかの給紙部からシートを給紙する。また、画像形成装置10には、大量のシートを収納できる給紙デッキ319も、給紙部として接続されており、給紙デッキ319からシートを給紙することもできる。
【0022】
画像形成装置10で片面もしくは両面に画像の印刷されたシートは、操作部213からの印刷設定に従って、シート処理装置である、糊付け製本機200a、または大容量スタッカ200b、または中綴じ製本機200cまで選択的に搬送される。糊付け製本を実行するよう設定されている場合には、シートは、糊付け製本機200aに搬送され、製本処理が実行され、製本物排紙部331に排紙される。即ち、製本処理は、画像形成装置10で画像の印刷された複数枚のシートを、必要に応じて、インサータ332から給紙したシートでくるんで製本する。製本された印刷物は、製本物排紙部331に蓄積される。また、大量積載処理を実行するよう設定されている場合には、画像形成装置10で画像の印刷されたシートは、糊付け製本機200aのシート搬送路330を介して、大容量スタッカ200bに搬送される。大容量スタッカ200bは、受け取ったシートをエスケープトレイ335または積載部334に排紙する。後処理の設定がされていない場合には、画像形成装置10で画像の印刷されたシートは、糊付け製本機200aのシート搬送路330及び大容量スタッカ200bのシート搬送路333を介して中綴じ製本機200cに搬送される。中綴じ製本機200cは、受け取ったシートを、シート搬送路336を介して排紙部337に排紙する。また、ステイプル処理を実行するよう設定されている場合には、中綴じ製本機200cは、受け取ったシートをシート搬送路336を介して中間トレイに蓄える。そして、中綴じ製本機200cは、中間トレイにステイプルされるべき1束分のシートがそろった段階で、1束分のシートに対してステイプルを行い、排紙部338に排紙する。また、中綴じ製本処理を実行するよう設定されている場合には、中綴じ製本機200cは、受け取ったシートに対して中綴じ製本処理を実行し、排紙部339に排紙する。
【0023】
以上のように、画像形成装置10において、給紙、印刷、後処理、排紙等の処理が実行される。また、給紙カセット317、318、給紙デッキ319、手差しトレイ320の各給紙部の給紙口には、各々に対応する給紙センサとしてのシート検知センサA−1、A−2、A―4、A−3が備えられている。これらの給紙センサは、給紙されたシートを検知し、制御部201にシート検知信号を送信する。制御部201は、給紙センサから受信したシート検知信号に従って、各給紙部から給紙されたシートの枚数をカウントする。制御部201は、カウントした値をRAM215に保持しておく。それによって、制御部201は、ジョブを実行することによって、夫々の給紙部から給紙されたシートの枚数を把握することができる。また、中綴じ製本機200cの排紙部337には排紙センサNが備えられている。排紙センサNは、排紙部337に排紙されたシートを検知し、シート排紙信号を制御部201に送信する。制御部201は、シート排紙信号に従って、排紙されたシートの枚数をカウントする。制御部201は、カウントした値をRAM215に保持しておく。それによって、制御部201は、ジョブを実行することによって、排紙部337に排紙されたシートの枚数を把握することができる。本実施例では、画像形成装置10が、4D(ドラム)タイプのカラーMFP(MultiPeripheralFunction)合について説明するが、画像形成装置10の構成はこれに限らず、白黒MFPでも、1D(ドラム)タイプのカラーMFPでもよい。
【0024】
<VDPジョブ>
図4は、本実施例において印刷されるサブセットフィニッシング設定されたVDPジョブの例である。VDPジョブは、複数のレコードを持ち、レコード情報は、ファイルサーバに格納されている。本実施例においては、レコードデータベースに登録されている顧客の数が、印刷対象となるレコードの数となる。本実施例においては、各レコードにサブセットフィニッシングが指定されているので、各レコードには、複数のサブセットが含まれている。ここで、サブセットとは、各種仕上がり設定が施される単位である。各サブセットに対して異なる用紙タイプ、排紙先、ステイプル設定、パンチ設定、折り設定などが可能である。図4の例では、レコード1では、4つのサブセットが設定されている。サブセット1には、特に仕上がり設定はされていないが、サブセット2に対してはステイプル設定、サブセット3に対しては3穴のパンチ指定、サブセット4に対しては三つ折指定がされている。このように、サブセットフィニッシングでは、各サブセットに独立した仕上がり設定が可能である。
【0025】
また、レコード2のサブセット3に対しては、レコード1とは異なる用紙タイプが設定され、バリアブルデータに応じて、これらの設定がカスタマイズされている。同様に、レコードNのサブセット3に対してもパンチ設定が2穴と設定されている。VDPジョブにサブセットフィニッシング設定が含まれることにより、ユーザ毎の印刷データのカスタマイズに限られず、仕上がり設定もユーザ毎に適切な設定に切り替えることができ、よりカスタマイズ性の高い出力物を出力することが可能となる。しかし、サブセットフィニッシングとVDP印刷の組み合わせにより1つのジョブ内に、より多種のメディアや仕上がり、排紙先が含まれるので、印刷中のジョブが給紙エラーやトレイ・フル・エラーにより中断してしまう場合が増えてしまう。
【0026】
図5は、本実施例におけるジョブ、サブセット、レコード、及びページを階層的に示した図である。図5に示すように、VDP(バリアブルデータ)ジョブ501は、複数のレコード502を持つ。ここで、レコードの単位をパーティションとする。各パーティションは、1つ以上のサブセットを含む。このサブセットの単位をサブパーティションとする。このサブパーティションの単位で異なる仕上がり設定が可能である。各サブパーティション503は、1枚以上のページ504を含む。ここで、各サブパーティションに含まれるページ数は必ずしも同一ページ数である必要はなく、各レコード502で指示される印刷内容によって異なる。本実施例において、VDPジョブ解析部207は、VDPジョブを解析し、各パーティション(レコード)502、及び各サブパーティション(サブセット)503に対してIDを割り当てる。このパーティションIDとサブパーティションIDを利用して、サスペンド制御部204は、管理すべきパーティションまたはサブパーティションを特定することができる。
【0027】
図6は、ファイルサーバ30に記憶されているレコードデータベース220から読み出したスプレッドシートデータの最初の部分を例示的に示す図である。参照番号601から607は、レコードデータまたはデータベースにおけるデータフィールドである。601は顧客番号、602は名前、603は住所、604は年齢、605はマスターファイルのリンク先、606はコース1、607はコース2、608は詳細情報を示す。さらに、それぞれのコースや詳細情報のオブジェクトが格納されているリンク先が登録されていても良い。
【0028】
図7(a)は、VDPジョブ解析部207が解析するPPMLファイルの一例を示す図である。図7(a)に示すPPMLファイルの例は、図7(b)に示すように、1レコードが2ページ、且つ、1レコード内に図6に示した顧客データに基づいたバリアブルデータと再利用可能なリユーザブルデータとが含まれる印刷物を出力させる場合の例である。各レコードの1ページ目には、バリアブルデータAn(nはレコード番号を示す)である顧客の名前が含まれている。また、1ページ目に、顧客のデータベースに登録されたCourse1とCourse2のリユーザブルデータが含まれている。また、2ページ目にも顧客のデータベースに登録されたDetailsのリユーザブルデータが含まれている。図7(a)の例では、PPMLが生成された際にレコード毎に<Document>タグが付加され、各<Document>内に2ページ分の<Page>タグが付加されている。ここで、レコードを区別するタグには、必ずしも<Document>タグが使用される必要はなく、PPMLを生成するアプリケーションが付加するコメントであっても良いし、または、レコードを区別するタグが付加されていなくとも良い。
【0029】
<VDPジョブの印刷全体フロー>
図8は、本実施例において、画像形成システムがVDPジョブを受信し、印刷するまでの基本的なフローを示す図である。図8と後述する図9及び図10に示す各処理は、例えばCPU200によって実行される。S801では、ジョブ受信部202が、プリントサーバ20から送信されたジョブを受信する。S802では、ジョブ受信部202が、受信したジョブがVDPジョブであるか否かを判定する。VDPジョブの例としては、PPML(Personalized Printer Marked Language)形式が挙げられる。VDPジョブと判定された場合には、S803へ移行する。一方、VDPジョブではないと判定された場合には、S808へ移行する。S803では、ジョブ受信部202は、印刷エラーが発生した際にサスペンド処理する設定の有無を判定する。サスペンド処理を実行する指示がある場合には、S804へ移行する。サスペンド処理を実行する指示がない場合には、S808へ移行する。この指示は、予めジョブ単位または画像形成装置単位でオペレータが設定することが可能である。S804では、VDPジョブ解析部207が、VDPジョブを解析する。解析する際に、受信したPPMLデータからレコードの区切りを検出する。そして、ファイルサーバ30が格納するレコードデータベース220を読み取り、各レコードで指定されたVDP(バリアブルデータ)オブジェクトとマスターオブジェクトを関連付ける。この詳細の処理を図9に示す。S805では、解析後レコード記憶部208が、各レコードに識別IDを付加し、後述するレコード情報と参照するジョブ情報とを記憶する。そして、RIP部210に解析後のレコード情報を送信する。S806では、RIP部210は、VDPジョブをレコード単位でRIP処理(RasterImage Process)する。S807では、印刷制御部211は、S805でRIP処理されたレコードを受信し印刷処理するよう制御し、印刷処理実行後に本処理を終了する。S808では、RIP部210がVDP以外のジョブ、または、VDPジョブでレコード単位ではないジョブ単位でのサスペンド処理指定がされている場合のRIP処理を施す。S809では、プリンタ部217は、S808でRIPされたジョブをジョブ単位で印刷処理する。
【0030】
<レコードIDの付与>
図9は、図8で示したレコードの区切りを示すコメントが付加されているPPMLのファイルをVDPジョブ解析部207が解析する際のフローを示した図である。S901では、VDPジョブ解析部207は、付加されているDocumentタグに基づいて次のレコードを検出する。S902では、VDPジョブ解析部207は、S901で検出されたレコードにレコードIDを付与する。S903では、VDPジョブ解析部207は、ファイルサーバ30に格納されているVDPオブジェクトとマスターオブジェクトとを読み取り、それらを関連付ける。S904では、解析後レコード記憶部208は、S903で関連付けたレコード情報とS902で付与されたIDとを格納する。この時に、各レコードについて、ジョブの情報も格納する。S905では、VDPジョブ解析部207は、次のレコードの有無を判定する。その結果、次のレコードがあれば、S901へ移行し、次のレコードがなければ、本処理を終了する。
【0031】
<サブセットIDとページIDの付与>
図10は、図8のS806において、RIP部210がRIP対象レコードを受信した際の、S806のRIP処理の詳細フローを示す図である。また、図10以降のフローチャートでは、S803において印刷エラー発生時にレコードまたはサブセット単位でサスペンド設定をする指示があると判定された場合を示す。レコードまたはサブセット単位でサスペンド設定がオフの場合は、ジョブ全体の処理が中断される。S1001では、RIP部210は、RIP処理対象となるレコードを解析後レコード記憶部208から取得する。S1002では、RIP部210は、解析後レコード記憶部208からレコードIDを取得する。S1003では、RIP部210がサブセットIDを付与する。このIDは、サブパーティションのIDである。サブセットIDを付与する際、レコードIDと紐付け階層構成にすることで、サブセット(サブパーティション)からもレコード(パーティション)を呼び出せるようにする。次に、S1004では、ページにページIDを付与する。この際も、ページを含むサブセットとレコードとが階層構成になるように、ページIDを付与する。S1005では、RIP部210は、ページにRIP処理する。S1006では、レコード内に次ページがあるか否かを判定する。次ページがある場合には、S1007へ移行する。次ページがないと判定された場合には、処理を終了する。S1008では、RIP部210が印刷情報を基に、RIPしたページがサブセットの最終ページか否かを判定する。最終ページと判定された場合には、S1003に移行し、次のサブセットIDを付与する。レコード内に含まれる全てのページがRIP処理されると、レコードのRIP処理フローを終了する。
【0032】
<サスペンド処理>
図11は、印刷中にエラーが発生した際のサスペンド処理フローを示す図である。図11と後述する図12及び図13に示す各処理は、例えば、CPU200によって実行される。S1101では、印刷制御部211は、レコードを順次印刷する。S1102では、エラー解析部209は、印刷制御部21から給紙エラー発生の有無が制御部201に通知されたか否かを判定する。給紙エラー発生通知があったと判定された場合には、S1103へ移行する。通知されていないと判定された場合には、S1020に移行する。S1103では、エラー解析部209は、給紙エラーがレコードの先頭で発生したか否かを判定する。レコードの先頭で給紙エラーが発生したと判定された場合には、S1117へ移行する。給紙エラー発生箇所がレコードの先頭でないと判定された場合には、S1104へ移行する。
【0033】
S1104では、エラー解析部209は、給紙エラー発生箇所がサブセットの先頭か否かを判定する。サブセットの先頭で給紙エラーが発生したとと判定された場合には、S1105へ移行する。サブセットの先頭で給紙エラーが発生していないと判定された場合には、S1112へ移行する。S1105では、エラー解析部209は、給紙エラーが発生したサブセットにバリアブルデータオブジェクトが含まれているか否かを判定する。対象サブセット内にマスターオブジェクトのみ含まれ、バリアブルデータオブジェクトがないと判定された場合には、S1106へ移行する。バリアブルデータオブジェクトが含まれていると判定された場合には、S1112へ移行する。S1106では、エラー解析部209は、表示制御部205に次サブセット継続印刷確認通知指示をする。表示制御部205は、操作部213に次サブセット継続印刷確認通知を表示する。S1107では、表示制御部205は、次サブセット継続印刷指示をユーザから操作部213を介して受信したか否かを判定する。次サブセット印刷指示を受信したと判定された場合には、S1108へ移行する。次サブセット印刷指示がなく、中断の指示を受信したと判定された場合には、S1112へ移行する。S1108では、表示制御部205は、給紙エラー発生サブセットのサスペンドをサスペンド制御部204に通知し、サスペンド制御部204は、対象サブセットをRIP後データ記憶部206から取得し、サスペンド記憶部203に送信する。サスペンド記憶部203は、対象サブセットを格納する。
【0034】
S1109では、サスペンド制御部204は、サスペンドしたサブセット情報とエラー解析部209から取得したエラー発生内容を印刷制御部211に通知する。S1110では、印刷制御部211から受信したサブセット情報とエラー内容をサスペンド発生通知ページとして印刷する。この時、サスペンド発生通知ページをシフト出力や用紙タイプ指定をして、実際のジョブの出力物と見分けを付け易くするようにしても良い。S1111では、印刷制御部211は、給紙エラーが発生した後続のサブセットを印刷する。
【0035】
S1112では、制御部201は、印刷制御部211にエラー発生サブセットの中断を通知し、印刷制御部211は、エラー発生サブセットの印刷を中断する。S1113では、印刷制御部211は、後続に印刷可能なサブセットがあるか否かを判定する。印刷可能なサブセットがあると判定された場合には、S1113へ移行する。後続に印刷可能なサブセットがないと判定された場合には、S1115へ移行する。ここで、印刷可能なサブセットとは、例えば、次サブセットに設定されている排紙段がエラー発生サブセットと異なっている場合である。サブセットの設定がサドル折りや、C折り設定の場合には、排紙先がフィニッシャの排紙段とは異なり、サドル専用のサドルトレイや折り機専用のトレイとなるので、後続のサブセットを印刷してもサブセットの順番を崩すような出力にならない。よって、エラーが発生したサブセットを中断させておいて、後続のサブセットをサドルトレイや折り機のトレイに出力することができ、印刷全体を中断させないことで生産性を下げずに印刷することができる。S1114では、印刷制御部211は、印刷可能と判定されたサブセットを優先的に印刷する。S1115では、印刷制御部211は、プリンタ部217から給紙段の用紙変更通知またはトレイ・フル解除通知を受信し、エラーが解除されたか否かを判定する。受信した通知内容とエラー発生原因とから、エラーが解除されたと判定された場合には、S1116へ移行してそのサブセットを印刷して、S1111に進む。エラーが解除されていないと判定された場合には、S1113へ戻る。
【0036】
S1117では、表示制御部205は、給紙エラーとエラー発生したレコードがサスペンドされることとを操作部213に表示指示をする。S1118では、サスペンド制御部204は、給紙エラーが発生したレコードをサスペンド記憶部203に送信し、サスペンド記憶部203は、給紙エラーが発生したレコードをサスペンドレコードとして記憶する。S1119では、印刷制御部211は、ジョブ内の全てのレコードの印刷が終了したか否かを判定する。全てのレコードの印刷が終了したと判定された場合、S1120に移行する。終了していないと判定された場合には、S1101に戻る。S1120では、サスペンド制御部204は、サスペンドされたサブセットまたはレコードの再印刷処理(印刷処理の再開)をする。
【0037】
<再印刷処理>
図12は、S1120の再印刷処理のフローについて示す図である。S1201では、サスペンド制御部204は、サスペンド記憶部203に印刷可能なレコードまたはサブセットがあるか否かを検出する。S1202では、検出の結果、印刷可能なレコードまたはサブセットがあると判定された場合に、S1203へ移行する。印刷可能なレコードまたはサブセットがないと判定された場合には、本処理を終了する。S1203では、サスペンド制御部204は、表示制御部205に印刷可能通知をする。表示制御部205は、サスペンド制御部から印刷可能なレコード及びサブセットの情報を受け取り、操作部213に表示指示をし、操作部213は、印刷可能なレコード及びサブセットを表示する。S1204では、表示制御部205は、操作部213がオペレータから印刷指示を受け付けて表示制御部205に印刷通知したか否かを判定する。印刷通知したと判定された場合には、S1205へ移行する。印刷通知されなかったと判定された場合には、本処理を終了する。
【0038】
S1205では、表示制御部205は、印刷指示を受けた単位がレコードまたはサブセット単位であるかを順に判定する。判定の結果、サスペンド単位がレコード単位であると判定された場合には、S1210へ移行する。また、判定の結果、サスペンド単位がサブセット単位であると判定された場合には、S1206へ移行する。S1206では、表示制御部205は、サスペンドされたサブセットに対して、再印刷指示がレコード単位であるかを判定する。レコード単位の再印刷指示であると判定された場合には、S1209へ移行する。再印刷指示がサブセット単位であると判定された場合には、S1207へ移行する。S1209では、サスペンド制御部204は、対象サブセットを含むレコードをサスペンド記憶部203から取得する。その際には、対象サブセット(サブパーティション)の上階層であるレコード(パーティション)IDに基づいてレコードを取得する。
【0039】
S1210では、S1209で取得したレコードを印刷するように、サスペンド制御部204は、印刷制御部211に通知し、印刷制御部211は、そのレコードを印刷処理する。S1207では、サスペンド制御部204は、サスペンド記憶部203から対象サブセットを取得し、印刷制御部211に印刷処理を通知し、印刷制御部211は、そのサブセットを印刷処理する。S1208では、サスペンド制御部204は、表示制御部205から受けた再印刷指示の中にレコードまたはサブセットが残っているかを判定する。次の再印刷対象となるサブセットまたはレコードがあると判定された場合には、S1205へ移行し、処理を繰返す。次の再印刷対象となるレコードまたはサブセットがないと判定された場合には、本処理を終了する。
【0040】
図13に示すように、サスペンドされたサブセットまたはレコードの印刷エラーが後続のレコードを印刷中に解除された場合にも、図12に示す再印刷処理が行われても良い。S1301では、印刷制御部211は、給紙段用紙変更通知またはトレイ・フル解除通知をジョブの印刷途中に受信する。印刷制御部211は、制御部にエラー解除を通知する。S1302では、制御部201は、サスペンド制御部204にサスペンド記憶部203に印刷可能なレコードまたはサブセットがあるかの検出指示を出し、図12に示す処理フローが実行される。
【0041】
図14は、S1106で操作部213がオペレータに通知する次サブセット継続印刷確認通知1401の例を示す図である(第1の表示の一例)。次サブセット継続印刷確認通知1401には、印刷エラーメッセージ1402と、次サブセット印刷ボタン1403と、一時停止ボタン1404とが設けられている。表示制御部205は、印刷エラーメッセージ1402で、VDPジョブの印刷中にサブセットの印刷に必要な用紙が給紙段にセットされていないことを通知し、エラーが発生したサブセットをサスペンドし、次のサブセットの印刷を継続するかを表示する。操作部213は、次サブセット印刷ボタン1403が押下されたことを検知すると、次サブセットの印刷指示を表示制御部205に通知する。操作部213は、一時停止ボタン1404が押下されたことを検知すると、一時印刷停止指示を表示制御部205に通知する。通知を受けた表示制御部205は、印刷制御部211に印刷中断を通知する。この通知により、エラーが発生したサブセットはサスペンドされずに、印刷が中断される。このようにオペレータに印刷を継続させるか、または一時中断させるかを選択可能とすることによって、印刷状況に応じて最適な作業が選択可能となる。
【0042】
従来は、レコード単位のみでサスペンド可能であったので、レコード内の一部のサブセットは継続可能であった場合でも、レコード毎にサスペンドされてしまっていた。よって、例えばレコードの先頭で給紙エラーが発生し、全ての先頭レコードが同じ用紙タイプ設定がされていれば、結果的に全てのレコードの印刷が中断となる。しかしながら、サブセット単位でサスペンド可能であれば、レコード内の一部を継続して印刷可能であるので、全体の印刷を中断する必要がなくなる。さらに、レコード単位のみのサスペンドが可能な場合、既に印刷済みのサブセットも再印刷対象となるので、印刷が重複してしまう。また、レコードに含まれるページ数が多ければ、再印刷時間も増えてしまう。本実施例においては、上記のような問題を、サブセットとレコードの単位を切り替えてサスペンド可能とすることで解決している。
【0043】
図15は、再印刷処理フローのS1203で、操作部213が印刷可能なレコード及びサブセットをオペレータに通知する再印刷可能通知1501の例を示す図である(第2の表示の一例)。再印刷可能通知1501は、印刷可能なサスペンドデータの通知メッセージ1502、印刷可能レコード/サブセットの一覧1503、印刷単位選択ボタン1504、スクロールバー1505、印刷ボタン1506、キャンセルボタン1507を含む。表示制御部205は、通知メッセージ1502で印刷可能なレコード及びサブセットがあることを通知する。印刷可能レコード/サブセット一覧1503で、印刷対処となるレコード及びサブセットの一覧を表示し、オペレータは、チェックボックスを選択することにより印刷したいレコード及びサブセットを選択する。印刷単位選択ボタン1504は、印刷可能レコード/サブセット一覧1503で選択されたサブセットの中で、対象サブセットを含むレコード全体を再印刷するか、または、対象サブセットのみを再印刷するかをユーザに選択させる。スクロールバー1505により、再印刷可能なレコードまたはサブセットをユーザに表示させることができる。印刷ボタン1506を押下すると、印刷可能レコード/サブセット一覧1503で選択されたレコード及びサブセットの印刷指示を表示制御部205に通知する。その際に、印刷単位選択ボタン1504で選択した単位で印刷指示を通知する。キャンセルボタン1507を押下すると、再印刷処理をキャンセルする。このように、再印刷の際にオペレータに再印刷単位をユーザに選択可能とさせることで、印刷データの落丁を防ぐことができる。また、必要に応じてサスペンドされたサブセットを含むレコード毎に再印刷処理することで、既に印刷されたレコードの中から対象となるレコードを探す手間を省くこともできる。
【0044】
図16は、印刷制御部211がS1110で出力するサスペンド通知ページの一例を示す図である。出力ページ1601は、エラーメッセージ1602とエラー発生内容情報1603を設ける。エラーメッセージ1602は、印刷エラーが発生し、サブセットがサスペンドされたことを通知する。エラー発生内容情報1603は、サスペンドされたサブセットのIDとサスペンドされたサブセットが含まれていたレコードのID、エラー番号、エラー内容を示す。この他にも、エラー発生内容情報1603に必要な情報を追加で表示させて出力するようにしても良い。このようなサスペンド通知ページを出力することで、オペレータはサスペンドが発生した箇所を蓄積された出力物から容易に検出可能である。また、S1110の処理でサスペンド通知ページをシフト出力や回転出力、または用紙タイプ(例えば、色紙を使用する)を指定することでジョブの出力物との見分けを付け易くする。これにより、後からサスペンドされたサブセットを挿入する作業を容易にすることができる。
【0045】
(その他の実施例)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レコードごとに印刷内容を変えるバリアブル印刷ジョブに基づき、印刷処理を行う画像形成装置であって、
前記各レコードにおいて印刷する複数のページのうち、同じフィニッシングが設定されたページがサブセットとしてまとめられた前記バリアブル印刷ジョブを、前記レコード単位で印刷処理する印刷処理手段と、
前記印刷処理手段による印刷処理の際に印刷エラーを検出するエラー検出手段と、
前記印刷エラーが前記レコードにおける最初のページにおいて検出されたか、当該レコードについての前記サブセットにおける最初のページにおいて検出されたかを判定する判定手段と、
前記判定手段により、前記印刷エラーが前記レコードにおける最初のページにおいて検出されたと判定された場合に、前記レコードについての印刷処理を保留する第1の保留手段と、
前記判定手段により、前記印刷エラーが当該レコードについての前記サブセットにおける最初のページにおいて検出されたと判定された場合に、前記サブセットについての印刷処理を保留する第2の保留手段と、
前記印刷エラーが解除されたことを検出する解除検出手段と、
前記解除検出手段により前記印刷エラーが解除されたことが検出されると、前記第1または第2の保留手段により保留された印刷処理を再開する再開手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記判定手段により、前記印刷エラーが当該レコードについての前記サブセットにおける最初のページにおいて検出されたと判定された場合に、当該レコードについての前記サブセットに後続するサブセットを印刷するか否かをユーザに選択させるためのユーザインタフェースを表示する第1の表示手段を、さらに備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第2の保留手段により前記サブセットについての印刷処理が保留された旨を印刷してユーザに通知する通知手段を、さらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記解除検出手段により前記印刷エラーが解除されたことが検出されると、前記第1または第2の保留手段により保留された印刷処理を再開するか否かをユーザに選択させるためのユーザインタフェースを表示する第2の表示手段を、さらに備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
レコードごとに印刷内容を変えるバリアブル印刷ジョブに基づき、印刷処理を行う画像形成装置において実行される印刷ジョブ制御方法であって、
前記画像形成装置の印刷処理手段が、前記各レコードにおいて印刷する複数のページのうち、同じフィニッシングが設定されたページがサブセットとしてまとめられた前記バリアブル印刷ジョブを、前記レコード単位で印刷処理する印刷処理工程と、
前記画像形成装置のエラー検出手段が、前記印刷処理工程における印刷処理の際に印刷エラーを検出するエラー検出工程と、
前記画像形成装置の判定手段が、前記印刷エラーが前記レコードにおける最初のページにおいて検出されたか、当該レコードについての前記サブセットにおける最初のページにおいて検出されたかを判定する判定工程と、
前記画像形成装置の第1の保留手段が、前記判定工程において、前記印刷エラーが前記レコードにおける最初のページにおいて検出されたと判定された場合に、前記レコードについての印刷処理を保留する第1の保留工程と、
前記画像形成装置の第2の保留手段が、前記判定工程において、前記印刷エラーが当該レコードについての前記サブセットにおける最初のページにおいて検出されたと判定された場合に、前記サブセットについての印刷処理を保留する第2の保留工程と、
前記画像形成装置の解除検出手段が、前記印刷エラーが解除されたことを検出する解除検出工程と、
前記画像形成装置の再開手段が、前記解除検出工程において前記印刷エラーが解除されたことが検出されると、前記第1または第2の保留工程において保留された印刷処理を再開する再開工程と
を備えることを特徴とする印刷ジョブ制御方法。
【請求項6】
コンピュータを、
レコードごとに印刷内容を変えるバリアブル印刷ジョブに基づき、印刷処理を行う画像形成装置の、
前記各レコードにおいて印刷する複数のページのうち、同じフィニッシングが設定されたページがサブセットとしてまとめられた前記バリアブル印刷ジョブを、前記レコード単位で印刷処理する印刷処理手段、
前記印刷処理手段による印刷処理の際に印刷エラーを検出するエラー検出手段、
前記印刷エラーが前記レコードにおける最初のページにおいて検出されたか、当該レコードについての前記サブセットにおける最初のページにおいて検出されたかを判定する判定手段、
前記判定手段により、前記印刷エラーが前記レコードにおける最初のページにおいて検出されたと判定された場合に、前記レコードについての印刷処理を保留する第1の保留手段、
前記判定手段により、前記印刷エラーが当該レコードについての前記サブセットにおける最初のページにおいて検出されたと判定された場合に、前記サブセットについての印刷処理を保留する第2の保留手段、
前記印刷エラーが解除されたことを検出する解除検出手段、
前記解除検出手段により前記印刷エラーが解除されたことが検出されると、前記第1または第2の保留手段により保留された印刷処理を再開する再開手段と
して機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−86416(P2012−86416A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−234013(P2010−234013)
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】