説明

画像形成装置、及び画像形成システム

【課題】記録媒体に画像形成された情報の秘匿性を確実に守りつつ、その情報を知る権原が有する者は、容易にその情報の内容を取得して完成した書類とすることのできる画像形成装置、及び画像形成システムを提供する。
【解決手段】文字データを含む印刷データを取得するプリントコントローラ12と、取得された印刷データを、第1分割データと第2分割データとに分割する画像処理部13と、第1分割データに基づいて記録媒体に画像を形成する画像形成部15と、第2分割データを出力する通信部16と、を備え、画像処理部13は、第1分割データと第2分割データの夫々に基づいて形成される各画像の文字の認識が不可能となるとともに、第1分割データに基づいて画像が形成された記録媒体に、第2分割データに基づいて画像を形成することにより合成される合成画像の文字の認識が可能となるように、画像データを分割する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
各種個人情報、プライバシー情報、顧客情報、あるいは企業の業績情報や研究データ等、個人や組織の極めて重要な事柄に関する情報をいわゆる機密情報という。かかる機密情報が第三者に漏洩する事態は、確実に回避されなければならない。
企業や研究機関等においては、企業秘密の開示された機密情報は秘密保全の管理がなされている。例えば、機密情報は原則として電子データとして管理し、紙媒体への出力は可能な限り制限するような運用が実施されている。また、機密情報の記載された紙媒体が不要となった場合には、シュレッダーにより断裁したり、溶解したりするような対策が実施されている。
このような状況において、情報の性格上、データで送ることのできない資料については、通常、紙媒体に印刷して運ばざるをえないため、漏洩や紛失のリスクは否定できない。
そこで、例えば、機密情報を紙媒体に出力する際、文書中の機密情報の箇所を伏字印刷することにより、第三者にその機密情報の内容が漏洩するのを防止する技術が開発されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−173720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術は、機密情報の箇所のみ伏字印刷するものであるので、秘匿性は守られるものの、機密情報を知る権原がある者にとっても機密情報の内容を知ることができないため、正式な書類として使用できないという問題があった。
【0005】
本発明の課題は、記録媒体に画像形成された情報の秘匿性を確実に守りつつ、その情報を知る権原を有する者は、容易にその情報の内容を取得して完成した書類とすることのできる画像形成装置、及び画像形成システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
記録媒体上に画像を形成する画像形成装置であって、
文字データを含む印刷データを取得するデータ取得手段と、
前記データ取得手段により取得された印刷データを、第1分割データと第2分割データとに分割するデータ分割手段と、
前記データ分割手段により分割された前記第1分割データに基づいて、記録媒体の記録面に画像を形成する画像形成手段と、
前記データ分割手段により分割された前記第2分割データを出力するデータ出力手段と、
を備え、
前記データ分割手段は、前記第1分割データと前記第2分割データの夫々に基づいて形成される各画像の文字の認識が不可能となるとともに、前記第1分割データに基づいて画像が形成された記録媒体に、前記第2分割データに基づいて画像を形成することにより合成される合成画像の文字の認識が可能となるように、前記画像データを分割することを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置であって、
前記第1分割データ及び前記第2分割データは、前記印刷データにおける文字データが、ドットレベルの欠損を備えることで文字の認識が不可能となっていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像形成装置であって、
前記第1分割データ及び第2分割データの各々には、前記合成画像の位置調整のためのポインタが含まれており、
前記合成画像は、前記第1分割データ及び第2分割データのポインタが重なるように形成されることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、
第1画像形成装置と、第2画像形成装置とを有し、記録媒体上に画像を作成する画像作成システムであって、
前記第1画像形成装置は、
文字データを含む印刷データを取得するデータ取得手段と、
前記データ取得手段により取得された印刷データを、第1分割データと第2分割データとに分割するデータ分割手段と、
前記データ分割手段により分割された前記第1分割データに基づいて、記録媒体の記録面に画像を形成する第1画像形成手段と、
前記データ分割手段により分割された前記第2分割データを出力するデータ出力手段と、
を備え、
前記第2画像形成装置は、
前記データ出力手段から出力された前記第2分割データを取得する分割データ取得手段と、
前記第1分割データに基づいて画像が形成された記録媒体に、前記第2分割データ取得手段により取得された前記第2分割データに基づいて画像を形成することにより合成される合成画像を形成する第2画像形成手段と、
を備え、
前記データ分割手段は、前記第1分割データと前記第2分割データの夫々に基づいて形成される各画像の文字の認識が不可能となるとともに、前記第1分割データに基づいて画像が形成された記録媒体に、前記第2分割データに基づいて画像を形成することにより合成される合成画像の文字の認識が可能となるように、前記画像データを分割することを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の画像形成システムであって、
前記第1分割データ及び前記第2分割データは、前記印刷データにおける文字データが、ドットレベルの欠損を備えることで文字の認識が不可能となっていることを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項4又は5に記載の画像形成システムであって、
前記第1分割データ及び第2分割データの各々には、前記合成画像の位置調整のためのポインタが含まれており、
前記第2画像形成装置は、
前記第1分割データ及び第2分割データのポインタが重なるように前記合成画像を形成する位置調整手段を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項4〜6のいずれか一項に記載の画像形成システムであって、
前記第1画像形成装置は、
前記第1分割データに偽の画像データを付加するデータ付加手段を備え、
前記第1画像形成手段は、前記第1分割データ及び前記偽画像データに基づいて、記録媒体の記録面に画像を形成し、
前記第2画像形成手段は、
記録媒体の記録面上の偽画像に、当該記録媒体と同一色のインクを吐出することを特徴とする。
【0013】
請求項8に記載の発明は、
第1画像形成装置と、第2画像形成装置とを有し、記録媒体上に画像を作成する画像作成システムであって、
前記第1画像形成装置は、
文字データを含む印刷データを取得するデータ取得手段と、
前記データ取得手段により取得された印刷データを、第1分割データと第2分割データとに分割するデータ分割手段と、
前記第1分割データに偽の画像データを付加するデータ付加手段と、
前記第1分割データ及び前記偽画像データに基づいて、記録媒体の記録面に画像を形成する第1画像形成手段と、
前記データ分割手段により分割された前記第2分割データを出力するデータ出力手段と、
を備え、
前記第2画像形成装置は、
前記データ出力手段から出力された前記第2分割データを取得する分割データ取得手段と、
記録媒体の記録面上の偽画像に当該記録媒体と同一色のインクを吐出し、前記第1分割データに基づいて画像が形成された記録媒体に、前記第2分割データ取得手段により取得された前記第2分割データに基づいて画像を形成することにより合成される合成画像を形成する第2画像形成手段と、
を備え、
前記データ分割手段は、前記第1分割データと前記第2分割データの夫々に基づいて形成される各画像の文字が、ドットレベルの欠損を備えることで認識が不可能となるとともに、前記第1分割データに基づいて画像が形成された記録媒体に、前記第2分割データに基づいて画像を形成することにより、合成される合成画像の文字の認識が可能となるように、前記画像データを分割し、
前記第1分割データ及び第2分割データの各々には、前記合成画像の位置調整のためのポインタが含まれており、
前記第2画像形成装置は、
前記第1分割データ及び第2分割データのポインタが重なるように前記合成画像を形成する位置調整手段を備える、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、データ分割手段により、印刷データが第1分割データと第2分割データとに分割され、第1分割データと第2分割データの夫々に基づいて形成される各画像の文字の認識が不可能となるとともに、第1分割データに基づいて画像が形成された記録媒体に、第2分割データに基づいて画像を形成することにより、合成される合成画像の文字の認識が可能となる。
よって、第1分割データに基づく画像が形成された記憶媒体又は第2分割データの何れかが、万一紛失したとしても、それだけでは内容の特定を行なうことができないため、記録媒体に画像形成された情報の秘匿性を確実に守ることができるとともに、その情報を知る権原を有する者は、容易にその情報の内容を取得して完成した書類とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態における画像形成システムの構成を示す図である。
【図2】第1画像形成装置の要部構成を示すブロック図である。
【図3】第1分割データに基づき形成された文字を例示した図である。
【図4】第1分割データ・偽画像データ基づき形成された文字を例示した図である。
【図5】本実施形態における画像形成システムによって実行される画像形成処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、発明の範囲は図示例に限定されない。
【0017】
図1は、本実施形態における画像形成システム1の構成を示す図である。
図1に示すように、画像形成システム1は、第1画像形成装置10と、第2画像形成装置20と、によって構成されている。
【0018】
この画像形成システム1は、指定された印刷データを保護するために、出力制限された画像の画像形成処理を実行するシステムである。
画像形成システム1は、画像形成を行うジョブの印刷データに分割指定の設定を行うことが可能に構成され、設定入力した後、ジョブの実行を指示することで、出力制限された画像の画像形成が実行されるようになっている。
なお、画像形成システム1を構成する第1画像形成装置10及び第2画像形成装置20は、例えば複写機やプリンタ等の画像形成機能を備えている。
また、本実施形態においては、第1画像形成装置10と第2画像形成装置20の構成は同一であるものとし、以下の説明において、第1画像形成装置10の構成の説明のみを行い、第2画像形成装置20の構成の説明は省略する。
【0019】
図2は、第1画像形成装置10の要部構成を示すブロック図である。
図2に示すように、第1画像形成装置10は、制御部11、プリントコントローラ12、画像処理部13、記憶部14、画像形成部15、及び通信部16、等を備えて構成される。
【0020】
制御部11は、第1画像形成装置10の各部を中央制御する。制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)を備える。制御部11において、CPUがROMに記憶された各種プログラムをRAMに展開し、CPUがRAMに展開されたプログラムにより各種処理を実行する。ROMには、後述する画像形成処理を実行するためのプログラム等が記憶されている。制御部11は、これのプログラムに基づいて、分割指定された印刷データの画像形成処理を実行する。
【0021】
プリントコントローラ12は、LAN(Local Area Network)等の通信回線を介して、PC(Personal Computer)等の情報処理装置(図示略)と通信接続される。
具体的には、プリントコントローラ12は、データ取得手段として、前記情報処理装置から送信される画像形成のジョブのデータ(印刷データ)を取得する。また、プリントコントローラ12は、制御部11の指示により、この取得した印刷データを画像形成部15又は記憶部14へ送信する。
【0022】
画像処理部13は、制御部11の指示により、プリントコントローラ12から入力された印刷データ、又は記憶部14に記憶された印刷データに、第1分割データ・第2分割データへの変換処理、及び第1分割データへの偽画像データの付加処理等の画像処理を施す。
【0023】
具体的には、画像処理部13は、データ分割手段として、記憶部14に記憶されたジョブの設定情報を参照し、印刷データの分割指定がなされている場合、この印刷データを、第1分割データと第2分割データとに分割する。
分割指定とは、かかる印刷データの作成時に、ユーザによる設定操作によって行われる。すなわち、印刷データの作成時にユーザが「分割」を指定した場合に、ジョブの設定情報として記憶され、印刷データとともに第1画像形成装置10に送信されるようになっている。
【0024】
図3は、第1分割データに基づき形成された画像(文字)を例示した図である。
図3では、文字を上下左右の4つの領域T1〜T4に分割し、例えば、T1及びT4に位置するデータを第1分割データとし、T2及びT3に位置するデータを第2分割データとした場合を示している。
具体的には、第1分割データは、「あ」の文字の左上半部分と右下半部分の画像データにより構成され、当該第1分割データに基づいて、図3に示すような画像が形成される。
このように、第1分割データ及び第2分割データは、夫々、ドットレベルの欠損を備えることとなっているため、記録媒体に画像形成した際に文字の認識が不可能となっている。
なお、印刷データが文字ではなく図柄などの画像のデータであった場合も同様に、予め設定された大きさの範囲毎に、例えば4つの領域に分割し、ドットレベルの欠損を備えることで画像の認識を不可能とすることができる。
【0025】
また、画像処理部13は、データ付加手段として、記憶部14に記憶されたジョブの設定情報を参照し、偽画像データ付加の設定がある場合、第1分割データに偽の画像データを付加する。
偽画像データ付加の設定とは、かかる印刷データに分割指定した際に、ユーザによる設定操作によって行われる。すなわち、印刷データに分割指定した際、ユーザが更に「偽画像データ付加」と指定した場合、第1分割データに基づく画像形成時に、同時に偽画像データに基づく画像の形成も実行されるようになっている。
【0026】
図4は、第1分割データ・偽画像データ基づき形成された画像(文字)を例示した図である。
図4は、T1及びT4に位置するデータを第1分割データとし、T2及びT3に位置するデータを、偽画像データとした場合を示している。
具体的には、第1分割データは、「あ」の文字の左上半部分と右下半部分の画像データにより構成されており、偽画像データは、「い」の文字の右上半部分と左下半部分の画像データにより構成されている。よって、第1分割データ及び偽画像データに基づいて図4に示すような画像が形成される。
このため、記録媒体に画像形成された各文字がドットレベルの欠損を備えることに加え、正しい文字の認識を阻害する画像が形成されるため、文字の認識がより困難となっている。
なお、偽画像としては、文字以外にも、例えば網掛け等の所定の図柄を使用しても良い。
【0027】
記憶部14は、例えば、EPPROM等により構成され、プリントコントローラ12から入力された印刷データを含むジョブのデータを一時的に記憶する。また、記憶部14は、予めユーザの操作入力により設定される画像形成処理に関する各種設定情報を記憶する。
この各種設定情報とは、例えば、印刷データの分割設定、画像形成処理にあたって偽画像データを付加する設定、偽画像として使用する画像の画像データの設定等である。
【0028】
画像形成部15は、制御部11の指示により、印刷データに基づいて記録媒体に画像形成を行う。
具体的には、画像形成部15は、かかる印刷データが画像処理部13により分割された第1分割データの場合、第1画像形成手段として、第1分割データに基づき記録媒体の記録面に画像を形成する。
【0029】
また、画像形成部15は、かかる印刷データが画像処理部13により分割された第2分割データの場合、第2画像形成手段として、第2分割データに基づいて、第1分割データに基づいた画像が形成された記録媒体上に、この第1分割データに基づいた画像と重ねて第2分割データに基づく画像を形成することにより合成画像を形成する。
このため、第1分割データの欠落部分が第2分割データにより補完され、文字又は画像としての認識ができるようになっている。
【0030】
また、合成画像を形成する際、画像形成部15は、位置調整手段として、第1分割データに基づく画像位置と、第2分割データに基づく画像位置と、が重なるように画像位置を調整する。
具体的には、図3、4に示すように、領域T1のうち任意の2点P1、P2をポインタとし、第1分割データ及び第2分割のポインタが重なるように合成画像を形成する。
このため、印刷データを分割し、2段階で画像形成しても、画像形成位置がずれて画像がぶれるのを防止できるようになっている。
なお、ポインタの数は、上記のように各文字毎に少なくとも2点あれば良いが、例えば図4のように、各文字毎の4つの領域に、それぞれ任意の複数のポインタP1〜5を設けた場合、各領域ごとに画像位置調整することができるため、合成時の精度を向上させることができる。
【0031】
通信部16は、通信回線を介して外部機器とデータ通信するためのものであり、モデムやLANインターフェイス、USB等により構成される。通信部16はI/F(図示略)を備え、このI/Fを介して外部機器とデータの送受信を行なうようになっている。
通信部16は、データ出力手段として、制御部11の指示により、画像処理部13により分割された第2分割データを外部機器へ出力する。
また、通信部16は、分割データ取得手段として、外部機器よりデータが送信されてきた場合、制御部11の指示により、データ(第2分割データ)を受信する。
具体的には、通信部16は、第1画像形成装置10の制御部11の指示により、第2分割データを、通信回線を介して第2画像形成装置20の通信部16に対して出力する。一方、第2画像形成装置20の通信部16は、第1画像形成装置10より出力された第2分割データを受信する。
【0032】
次に、本実施形態の画像形成システム1の動作を説明する。
図5は、本実施形態における画像形成システム1によって実行される画像形成処理を示すフローチャートである。
なお、以下の処理において、ステップS1〜S6は、第1画像形成装置10により実行され、ステップS7〜S11は、第2画像形成装置20により実行されるものである。
また、以下の処理において、情報処理装置から送信された印刷データは分割指定されたものであるとする。
【0033】
まず、ステップS1において、第1画像形成装置10の制御部11(以下、第1制御部とする。)は、プリントコントローラ12を制御して情報処理装置から送信された印刷データを取得させる。
次いで、ステップS2において、第1制御部は、送信された印刷データのジョブの設定情報に、印刷データの分割設定がある場合には、画像処理部13を制御して印刷データを第1分割データと第2分割データとに分割させる。
次いで、ステップS3において、第1制御部は、ジョブの設定情報に偽画像データを付加する設定があるか否かを判断し、かかる設定がない場合(ステップS3;NO)、続くステップS4において、画像形成部15を制御して第1分割データに基づいて記録媒体の記録面に画像を形成させる。
一方、偽画像データを付加する設定がある場合(ステップS3;YES)、続くステップS5において、第1制御部は、画像処理部13を制御して第1分割データに偽画像データを付加した後、画像形成部15を制御して第1分割データ・偽画像データに基づいて記録媒体の記録面に画像を形成させる。
次いで、ステップS6において、第1制御部は、通信部16を制御して第2分割データを出力させる。
【0034】
次いで、ステップS7において、第2画像形成装置20の制御部11(以下、第2制御部とする。)は、第2画像形成装置20の通信部16を制御して第2分割データを取得させる。
次いで、続くステップS8において、第2制御部は、画像形成部15を制御して画像の位置調整を実行させる。
次いで、ステップS9において、第2制御部は、ジョブの設定情報に偽画像データを付加する設定があるか否かを判断し、かかる設定がない場合(ステップS9;NO)、後述のステップS11に移行する。
一方、偽画像データを付加する設定がある場合(ステップS9;YES)、続くステップS10において、第2制御部は、画像形成部15を制御して記録媒体上の偽画像の部分にインクを吐出させ、偽画像を消去させる。
次いで、ステップS11において、第2制御部は、画像形成部15を制御して第2分割データに基づいて合成画像を形成させ、本処理を終了する。
【0035】
以上のように、本実施形態の画像形成システム1、及び画像形成装置10、20によれば、印刷データが第1分割データと第2分割データとに分割され、第1分割データと第2分割データの夫々に基づいて形成される各画像の文字の認識が不可能となるとともに、第1分割データに基づいて画像が形成された記録媒体に、第2分割データに基づいて画像を形成することにより、合成される合成画像の文字の認識が可能となる。
従って、例えば、機密情報の記載された記録媒体を搬送する場合、機密情報を含む印刷データを分割し、どちらか一方だけでは内容の特定を行なうことができないようにする。そして、記録媒体には、分割データの一方のみを印刷して、残りは電子データとして搬送する。このようにすれば、機密情報の印刷された記録媒体を万一紛失したとしても、それだけでは内容の特定を行なうことができないため、記録媒体に画像形成された情報の秘匿性を確実に守ることができるとともに、その情報を知る権原が有する者は、容易にその情報の内容を取得して完成した書類とすることができる。
【0036】
また、印刷データにおける第1分割データ及び第2分割データが、ドットレベルの欠損を備えることで文字の認識が不可能となるように分割されているため、各文字の認識が不可能であり、内容の特定を行なうことができない。よって、機密情報が漏洩することを防止し、情報の秘匿性を確実に守ることができる。
【0037】
また、第1分割データ及び第2分割データの各々には、合成画像の位置調整のためのポインタが含まれており、合成画像は、第1分割データ及び第2分割データのポインタが重なるように形成されるため、印刷データを分割し、2段階で画像形成しても、画像形成位置がずれて画像がぶれるのを防止することができる。
【0038】
また、第1分割データに偽の画像データを付加し、第1分割データ及び偽画像データに基づいて画像形成することができるため、正しい文字の認識を阻害する画像データが形成されることとなり文字の認識がより困難となっている。このため、機密情報が漏洩することをより確実に防止し、情報の秘匿性をより確実に守ることができる。
【0039】
なお、上記実施形態においては、画像処理部13は各文字を4つの領域T1〜T4に分割するものとして説明したが、第1分割データと第2分割データの夫々に基づいて形成される各画像の文字の認識が不可能となるのであれば、分割する領域の数はこれに限定されるものではない。
また、第1分割データと第2分割データとのデータ量を異ならせることとしても良い。例えば、T1の領域の画像データのみを第1分割データとして、T2〜T4の領域の画像データを第2分割データとした場合には、万一、記録媒体を紛失したとしても元々印字されているデータ量が少ないため、より情報保持機能を高めることができる。
また、印刷データの分割は、ユーザによる指定としたが、第1画像形成装置が自動的に判別するものであってもよい。具体的には、例えば、印刷データがテキストデータ(文字データ)の場合には、特定のフォントや文字色など、所定の書式を用いた場合に分割する印刷データとして認識されるようにすることとしても良い。
【符号の説明】
【0040】
1 画像形成システム
10 第1画像形成装置
20 第2画像形成装置
11 制御部
12 プリントコントローラ(データ取得手段)
13 画像処理部(データ分割手段、データ付加手段)
14 記憶部
15 画像形成部(画像形成手段、第1画像形成手段、第2画像形成手段、位置調整手段)
16 通信部(データ出力手段、分割データ取得手段)
P1〜P5 ポインタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体上に画像を形成する画像形成装置であって、
文字データを含む印刷データを取得するデータ取得手段と、
前記データ取得手段により取得された印刷データを、第1分割データと第2分割データとに分割するデータ分割手段と、
前記データ分割手段により分割された前記第1分割データに基づいて、記録媒体の記録面に画像を形成する画像形成手段と、
前記データ分割手段により分割された前記第2分割データを出力するデータ出力手段と、
を備え、
前記データ分割手段は、前記第1分割データと前記第2分割データの夫々に基づいて形成される各画像の文字の認識が不可能となるとともに、前記第1分割データに基づいて画像が形成された記録媒体に、前記第2分割データに基づいて画像を形成することにより合成される合成画像の文字の認識が可能となるように、前記画像データを分割することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1分割データ及び前記第2分割データは、前記印刷データにおける文字データが、ドットレベルの欠損を備えることで文字の認識が不可能となっていることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1分割データ及び第2分割データの各々には、前記合成画像の位置調整のためのポインタが含まれており、
前記合成画像は、前記第1分割データ及び第2分割データのポインタが重なるように形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
第1画像形成装置と、第2画像形成装置とを有し、記録媒体上に画像を作成する画像作成システムであって、
前記第1画像形成装置は、
文字データを含む印刷データを取得するデータ取得手段と、
前記データ取得手段により取得された印刷データを、第1分割データと第2分割データとに分割するデータ分割手段と、
前記データ分割手段により分割された前記第1分割データに基づいて、記録媒体の記録面に画像を形成する第1画像形成手段と、
前記データ分割手段により分割された前記第2分割データを出力するデータ出力手段と、
を備え、
前記第2画像形成装置は、
前記データ出力手段から出力された前記第2分割データを取得する分割データ取得手段と、
前記第1分割データに基づいて画像が形成された記録媒体に、前記第2分割データ取得手段により取得された前記第2分割データに基づいて画像を形成することにより合成される合成画像を形成する第2画像形成手段と、
を備え、
前記データ分割手段は、前記第1分割データと前記第2分割データの夫々に基づいて形成される各画像の文字の認識が不可能となるとともに、前記第1分割データに基づいて画像が形成された記録媒体に、前記第2分割データに基づいて画像を形成することにより合成される合成画像の文字の認識が可能となるように、前記画像データを分割することを特徴とする画像形成システム。
【請求項5】
前記第1分割データ及び前記第2分割データは、前記印刷データにおける文字データが、ドットレベルの欠損を備えることで文字の認識が不可能となっていることを特徴とする請求項4に記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記第1分割データ及び第2分割データの各々には、前記合成画像の位置調整のためのポインタが含まれており、
前記第2画像形成装置は、
前記第1分割データ及び第2分割データのポインタが重なるように前記合成画像を形成する位置調整手段を備えることを特徴とする請求項4又は5に記載の画像形成システム。
【請求項7】
前記第1画像形成装置は、
前記第1分割データに偽の画像データを付加するデータ付加手段を備え、
前記第1画像形成手段は、前記第1分割データ及び前記偽画像データに基づいて、記録媒体の記録面に画像を形成し、
前記第2画像形成手段は、
記録媒体の記録面上の偽画像に、当該記録媒体と同一色のインクを吐出することを特徴とする請求項4〜6のいずれか一項に記載の画像形成システム。
【請求項8】
第1画像形成装置と、第2画像形成装置とを有し、記録媒体上に画像を作成する画像作成システムであって、
前記第1画像形成装置は、
文字データを含む印刷データを取得するデータ取得手段と、
前記データ取得手段により取得された印刷データを、第1分割データと第2分割データとに分割するデータ分割手段と、
前記第1分割データに偽の画像データを付加するデータ付加手段と、
前記第1分割データ及び前記偽画像データに基づいて、記録媒体の記録面に画像を形成する第1画像形成手段と、
前記データ分割手段により分割された前記第2分割データを出力するデータ出力手段と、
を備え、
前記第2画像形成装置は、
前記データ出力手段から出力された前記第2分割データを取得する分割データ取得手段と、
記録媒体の記録面上の偽画像に当該記録媒体と同一色のインクを吐出し、前記第1分割データに基づいて画像が形成された記録媒体に、前記第2分割データ取得手段により取得された前記第2分割データに基づいて画像を形成することにより合成される合成画像を形成する第2画像形成手段と、
を備え、
前記データ分割手段は、前記第1分割データと前記第2分割データの夫々に基づいて形成される各画像の文字が、ドットレベルの欠損を備えることで認識が不可能となるとともに、前記第1分割データに基づいて画像が形成された記録媒体に、前記第2分割データに基づいて画像を形成することにより、合成される合成画像の文字の認識が可能となるように、前記画像データを分割し、
前記第1分割データ及び第2分割データの各々には、前記合成画像の位置調整のためのポインタが含まれており、
前記第2画像形成装置は、
前記第1分割データ及び第2分割データのポインタが重なるように前記合成画像を形成する位置調整手段を備える、
ことを特徴とする画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−173231(P2010−173231A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−19859(P2009−19859)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】