説明

画像形成装置、及び誤接続検出制御プログラム

【課題】共通の接続器を用いる複数の検出手段と各接続器間の誤接続を容易に検出可能にする。
【解決手段】画像形成装置の制御部16において、RAM165には用紙センサ81、82毎に用紙通過が検出される時間範囲と入力位置を対応付けた変化正常範囲データが記憶されている。センサ接続判定部163は、用紙搬送方向上流側の用紙センサ81と下流側の用紙センサ82のうち、用紙センサ81の変化正常範囲に達すると用紙センサ81、82にそれぞれ対応する入力(用紙センサ81、82の用紙通過検出出力)が変化したか否かをチェックし、該用紙センサ81の変化正常範囲内に用紙センサ81以外の用紙センサ82に対応する入力に変化した場合には誤接続であると判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、及び誤接続検出制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタや複合機等の画像形成装置において、用紙の搬送状況を監視するなどの目的で多くの用紙センサが使われている。
【0003】
汎用的な用紙センサを使用する場合、コネクタの形状が共通して用いられていることが多い。同じコネクタであるが故に、組み立て時や修理時に、他のセンサ用のハーネスとの誤接続が発生することも少なくない。
【0004】
同じコネクタを使用している場合の誤接続検知対策として以下の技術が知られている。
【0005】
例えば、専用の検知信号を用いる方法として、下記特許文献1には、接続する基板毎に接続検知用信号の位置を変え、信号ラインの変化を主制御基板の基板接続検出制御回路により検出し、基板の誤接続、未挿入の確認を自動的に行なう技術が開示されている。
【0006】
また、センサとの間の応答確認を行なう方法として、下記特許文献2には、プリンタコントローラ部から、接続確認用応答信号の送信要求コマンドをプリンタエンジン部に送信する一方で、プリンタエンジン部は応答信号をプリンタコントローラ部に送信し、プリンタコントローラ部は予め期待された信号とを比較してビデオインタフェースケーブルの誤接続を検出する技術が開示されている。
【0007】
また、これ以外にも、センサ同士の位置を離し、制御基板から各センサまでのハーネスの長さを変えるという方法もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平08−146073号公報
【特許文献2】特開2005−231229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、共通の接続器を用いる複数の検出手段と各接続器間の誤接続を容易に検出可能な画像形成装置、及び誤接続検出制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1記載の画像形成装置の発明は、共通の接続器を有し、互いに離間したそれぞれの配置位置で用紙の通過を検出する複数の検出手段と、前記複数の検出手段にそれぞれ対応して用紙の通過が検出される時間範囲を示す用紙通過検出時間範囲情報と用紙の通過が検出された際に出力される用紙通過検出出力が入力する位置を示す入力位置情報を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された前記用紙通過検出時間範囲に達した際、該用紙通過検出時間範囲に対応する検出手段以外の検出手段に対応する入力位置での用紙通過検出出力の変化がある場合、該検出手段が当該検出手段に対応する接続器以外の接続器に誤接続されていることを検出する誤接続検出手段とを具備する。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記誤接続検出手段により前記検出手段の誤接続が検出された場合、用紙詰まりとして前記用紙の搬送を停止させることなく画像形成制御を継続させる継続制御手段
を更に具備する。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、前記誤接続検出手段により前記検出手段の誤接続が検出された場合、当該誤接続の内容を報知する誤接続内容報知手段を更に具備する。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明において、前記誤接続検出手段により前記検出手段の誤接続が検出された場合、互いに誤接続の関係にあることが検出された前記検出手段間で前記入力位置情報を互いに入れ換えるように変更設定する変更設定手段を更に具備する。
【0014】
請求項5記載の誤接続検出制御プログラムの発明は、共通の接続器を有し、互いに離間したそれぞれの配置位置で用紙の通過を検出する複数の検出手段を有し、前記各検出手段が用紙の通過を検出した際に出力する用紙通過検出出力をコンピュータで処理する画像形成装置に実装され、前記コンピュータを、前記複数の検出手段にそれぞれ対応して用紙の通過が検出される時間範囲を示す用紙通過検出時間範囲情報と用紙通過検出出力が入力する位置を示す入力位置情報を記憶する記憶手段、前記記憶手段に記憶された前記用紙通過検出時間範囲に達した際、該用紙通過検出時間範囲に対応する検出手段以外の検出手段に対応する入力位置での用紙通過検出出力の変化がある場合、該検出手段が当該検出手段に対応する接続器以外の接続器に誤接続されていることを検出する誤接続検出手段として機能させる。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の画像形成装置の発明によれば、共通の接続器を有する検出手段が、誤って接続された場合に、検出手段の誤接続状態であることを判別できる。
【0016】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、検出手段の誤接続を用紙ジャムとは区別して検出できるため、印刷処理を継続して行なうことができる。
【0017】
請求項3記載の発明によれば、請求項1または2記載の発明において、検出手段の誤接続状態を利用者が容易に認識できる。
【0018】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか記載の発明において、誤接続が検出された検出手段を該接続状態のまま使用することができる。
【0019】
請求項5記載の誤接続検出制御プログラムの発明によれば、共通の接続器を有する検出手段が、誤って接続された場合に、検出手段の誤接続状態であることを判別できるように画像形成装置を動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係わる画像形成装置の機能構成を示すブロック図。
【図2】画像形成装置の画像形成部の構成を示す概念図。
【図3】画像形成装置におけるセンサ誤接続検出制御系の機能構成を示す図。
【図4】画像形成装置におけるセンサの接続状態と入力との対応関係を示す図。
【図5】センサ正常接続時と誤接続時の入力の変化を示すタイミングチャート。
【図6】実施例1に係る変化正常範囲管理テーブルの一例を示す表図。
【図7】実施例に係る画像形成装置のセンサ誤接続検出処理動作を示すフローチャート。
【図8】変更設定後の変化正常範囲管理テーブルの内容を示す表図。
【図9】実施例2に係る画像形成装置のセンサの接続状態と入力との対応関係を示す図。
【図10】実施例1に係る変化正常範囲管理テーブルの一例を示す表図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に係わる画像形成装置10の機能構成を示すブロック図である。
【0022】
この画像形成装置10は、複合機を前提としており、原稿の画像を読取り、電気的な画像信号(画像データ)に変換する読取部11、読取部11により原稿を読取走査して得られた画像データや、PC(パーソナル・コンピュータ)等の外部装置(この例では、PCで実現されるクライアント端末30)から入力された画像データに対して画像処理を施す画像処理部12、画像データや動作プログラム等の各種情報を記憶する記憶部13、画像処理部12により画像処理された画像信号(印刷データ)に基づき電子写真プロセスを実行して記録媒体(用紙)に画像を形成(印刷)する画像形成部14、タッチパネル機能を有する大型ビットマップディスプレイ等から成る表示/操作部15、原稿読取(スキャン)、複写(コピー)、印刷(プリント)、ファクシミリ(FAX)通信等の各機能に係わる該当各部の動作制御等、装置全体の制御を行なう制御部16、外部装置との間の通信インタフェースを司る外部インタフェース(I/F)部17を備えて構成される。
【0023】
画像形成装置10において、画像形成部14は、例えば、図2に示すように、感光体ドラム51の周面を帯電部52で一様に帯電させた状態で、画像処理部12から入力される画像信号(印刷データ)に基づき露光部53がレーザ光による画像露光を行って感光体ドラム51の周面に該画信号に応じた静電潜像を形成し、現像部54が該静電潜像に黒色のトナーを供給してトナー像を形成する画像形成ユニット50を具備している。
【0024】
また、画像形成部14には、矢印a方向に回動可能であって、感光体ドラム51に形成されたトナー像の転写(一次転写)を受ける転写ベルト61、該転写ベルト61に転写されたトナー像を後述の如く搬送される用紙に転写(二次転写)する転写部62、給紙カセット71a、あるいは71bから用紙(例えば、互いにサイズが異なる)を1枚ずつ繰出し、用紙搬送路を転写部62に向けて搬送する〔転写部62通過後は定着部63を経て排出トレイ(図示せず)まで搬送する〕用紙搬送機構、転写部62でトナー像が転写された用紙の通過に合せて加熱、加圧等によって該トナー像を用紙上に定着する定着部63等が備わっている。
【0025】
また、画像形成部14において、給紙カセット71(71a、71b)と転写部62間の用紙搬送路には、用紙搬送方向に適宜な距離離間したそれぞれの位置に用紙の通過を検出する用紙センサ81、82が設けられる。
【0026】
用紙センサ81は、転写部62から用紙搬送方向上流側へ所定の距離位置に、用紙搬送路を挟んで上方に設置される発光素子811と、該用紙搬送路の下方に設置される受光素子812とを、発光素子811から発光、照射される光を受光素子812の受光面で受光可能に対向設置して構成される。
【0027】
他方、用紙センサ82は、用紙センサ81から用紙搬送方向の下流側へ所定距離離間した位置に、用紙搬送路を挟んで上方に設置される発光素子821と、該用紙搬送路の下方に設置される受光素子822とを、発光素子821から発光、照射される光を受光素子822の受光面で受光可能に対向設置して構成される。
【0028】
用紙センサ81、82は、用紙が通過していない時には発光素子811、821から照射された光が受光素子812、822で受光されて受光出力が得られ、用紙が通過した場合には照射光が遮られて上記受光出力が得られなくなる。
【0029】
後述するセンサ接続判定部163は、例えば、用紙センサ81、82の受光素子812、822の受光出力を検出入力として取り込み、受光出力が得られているか否かによって用紙が通過していないか通過しているかを検出する。
【0030】
発光素子811、821と受光素子812、822は、それぞれ、例えば、発光ダイオードとフォトダイオードによって構成することができる。
【0031】
他方、画像形成装置10の装置本体(図1参照)内において、制御部16は、CPU(Central Processing Unit)、主記憶手段としてのメモリであるROM(Read Oniy Memory)やRAM(Random Access Memory)等により構成され(RAM165以外は不図示)、CPUによって実現する制御機能部として印刷制御部161、センサ駆動制御部162、センサ接続判定部163、センサ誤接続時適応制御部164が設けられる。
【0032】
印刷制御部161は、例えば、クライアント端末30から印刷指示された文書の印刷データを画像処理部12に生成させ、画像形成部14に当該印刷データに基づき上述した露光、現像、転写、定着の一連のプロセス(電子写真プロセス)を実行させて用紙に画像を形成(印刷)して出力させる。
【0033】
この画像形成に際し、印刷制御部161は、給紙カセット71から用紙を繰出して搬送する制御、該搬送中の用紙の通過を用紙センサ81、82によって検出し、該検出結果に基づいて転写部62での転写ベルト61から用紙へのトナー像の転写タイミングに合せて当該用紙を給送する制御、上記トナー像転写後の用紙を定着部63を経て排出トレイへと搬送する等の用紙搬送制御も行なう。
【0034】
センサ駆動制御部162、センサ接続判定部163、センサ誤接続時適応制御部164については、図3に示す、本実施形態に係わる画像形成装置10のセンサ誤接続検出制御系の機能構成(要部構成)を参照して説明する。
【0035】
ここでまず、用紙センサ81、82の構成について整理しておくと、両者共、例えば、凸型の接栓(ピン等)と凹型の接栓座(ジャック等)とを嵌め合わせて電気的に接続する接続器(コネクタ)を用いて接続されるものである。
【0036】
図3に示す制御系の例によれば、用紙センサ81、82は、それぞれ、コネクタ911、921を有し、センサ駆動制御部162側から延びるハーネス(線の束)の先端に設けられるコネクタ912、922とそれぞれ嵌め合わせることにより、当該用紙センサ81、82とセンサ駆動制御部162及びセンサ接続判定部163との電気的接続が図られている。
【0037】
ここで、例えば、コネクタ911と921は同一のピン形状を成し、コネクタ912と922は、それぞれ、コネクタ911と921のピンを受入れ可能なプラグ形状を有する。
【0038】
このように、コネクタが共通する用紙センサ81と82を用いる場合、用紙センサ81と82とが、図3に示す如く、それぞれ、コネクタ911と912、コネクタ921と922によって正常に接続される状態の他、コネクタ911と922、コネクタ921と912によって誤接続される状態も起こり得る。
【0039】
図4は、画像形成装置10における用紙センサ81、82のコネクタ接続状態と用紙通過検出出力の(センサ接続判定部163への)入力との対応関係を示す図である。
【0040】
図4(a)は、用紙センサ81(センサA)がコネクタ911とコネクタ912とにより接続され、かつ、用紙センサ82(センサB)がコネクタ921とコネクタ922とにより接続される正常な接続状態を示すものである。
【0041】
この正常接続状態においては、用紙がセンサA側からセンサB側への用紙搬送方向に搬送されるものとすると、まず、センサAの検出出力が入力Aに取り込まれ、次いでセンサBの検出出力が入力Bに取り込まれる。
【0042】
この時に入力A、Bに取り込まれるセンサA、Bの検出出力(センサ接続判定部163側からみた入力)の変化を図5(a)に示している。
【0043】
図5(a)に示すタイミングチャートによれば、印刷指示に基づく印字動作開始後、例えば、時間範囲t11〜t12(センサAの変化正常範囲)内にセンサAの検出出力が入力Aに入力し、その後、時間範囲t21〜t22(センサBの変化正常範囲)内にセンサBの検出出力が入力Bに入力する。
【0044】
ここで、時間範囲(t11〜t12)、(t21〜t22)は、例えば、印字開始後、電子写真プロセスの進行により時間t0にて用紙カセット71から1枚目の用紙の繰出しが開始された時からの経過時間を示している。
【0045】
これに対し、図4(b)は、用紙センサ81(センサA)がコネクタ911とコネクタ922とにより接続され、かつ、用紙センサ82(センサB)がコネクタ921とコネクタ912とにより接続された誤接続状態を示している。
【0046】
この誤接続状態においては、用紙がセンサA側からセンサB側へと搬送される際に、まず、センサAの検出出力が入力Bに取り込まれ、次いでセンサBの検出出力が入力Aに取り込まれる。
【0047】
この時に入力A、Bに取り込まれるセンサA、Bの検出出力(センサ接続判定部163側からみた入力)の変化を図5(b)に示している。
【0048】
図5(b)に示すタイミングチャートによれば、例えば、時間t0で用紙の繰出しを開始してからの経過時間が、時間範囲t11〜t12(センサAの変化正常範囲)内にセンサAの検出出力が入力Bに入力し(正常接続時にはセンサAの検出出力が入力Aに入力されるところ)、その後、時間範囲t21〜t22(センサBの変化正常範囲)内にセンサBの検出出力が入力Aに(正常接続時にはセンサBの検出出力が入力Bに入力されるところ)入力する。
【0049】
なお、図5(a)、(b)において、用紙の繰出しを実行した後の用紙通過検出時間範囲(t11〜t12)、(t21〜t22)は、画像形成装置10の用紙搬送速度、及びセンサA−B間の距離によって決まってくる。
【0050】
図4に示すセンサ接続状態と図5に示す入力A、Bに対する入力値の変化からは、正常接続状態〔図4(a)参照〕では各センサA、Bの検出出力が該センサA、Bの予想される用紙通過検出時間範囲(変化正常範囲:用紙搬送速度、センサ配置位置等により決まる)内に当該センサA、Bに対応する入力A、Bに入力する〔図5(a)参照〕のに対して、誤接続状態〔図4(b)参照〕では、センサA、Bの変化正常範囲内に該センサA、Bに対応する入力A、Bに対し、それぞれ、センサB、Aの検出出力が入力する〔図5(b)参照〕点が読み取れる。
【0051】
よって、センサA(あるいは、センサB)の変化正常範囲内にいずれかのセンサに対応する入力に変化があり、これが該変化正常範囲に該当するセンサA(センサB)以外のセンサB(センサA)に対応する入力の変化である場合に誤接続であると判別できることが理解できる。
【0052】
上述した誤接続検出を実現すべく、図3に示す制御系の構成において、制御部16のRAM165には、センサA、B毎の正常接続状態での用紙通過検出出力変化正常範囲(時間範囲)を示す情報(用紙通過検出時間範囲情報)と該用紙通過検出出力の入力位置を示す情報を対応付けて設定した接続判定制御情報(センサが誤接続されているかどうかの接続判定に用いる制御情報:以下、変化正常範囲データ)が記憶されている。
【0053】
センサ駆動制御部162は、センサA、Bがコネクタにより接続された状態(正常接続、あるいは誤接続)で、各センサA、Bに所定の駆動電圧を供給し、それぞれの発光素子811、821が発光可能で、かつ、それぞれの受光素子812、822が受光可能とするようにこれら各素子を駆動制御する。
【0054】
センサ接続判定部163は、電子写真プロセス(画像形成制御)により用紙搬送路を搬送される用紙の通過に際してセンサA、Bからそれぞれ対応する入力端子(入力A、入力B)へと入力される用紙通過検出出力(受光素子812、822の受光出力)を取り込み、受光出力から用紙の通過が検出された(受光出力が得られていた状態から得られなくなる状態へ変化した)タイミングと、RAM165に予め記憶されている変化正常範囲データが示す各センサA、Bの用紙通過検出タイミング(変化正常時間範囲)および入力位置とに基づき各センサA、Bが本来接続されるべきコネクタとは別のコネクタに誤って接続される誤接続状態であるか否かを判定する。
【0055】
センサ誤接続時適応制御部164は、センサ接続判定部163によりセンサAとBとが誤接続状態であると判別された場合、用紙JAMとして停止させることなく、印刷を継続させる(その際、印刷の継続に合せて用紙が搬送される)誤接続検出時適応制御を行なう。
【0056】
また、センサ誤接続時適用制御制御部164は、センサ接続判定部163によりセンサA、Bが誤接続状態であることが検出された場合、誤接続の内容を報知する制御、あるいは、互いに誤接続状態であることが検出されたセンサAとBに対応して変化正常範囲データを設定変更する制御(これにより、正常接続時と同様の動作制御が続行可能となる)も併せ実施する。
【0057】
以下、本実施の形態に係る画像形成装置10のセンサ誤接続の検出とセンサ誤接続検出後の適応制御について実施例を挙げて詳しく説明する。
【実施例1】
【0058】
図6は、実施例1に係る変化正常範囲管理テーブル165aの一例を示す表図である。
【0059】
本実施例において、変化正常範囲管理テーブル165aには、センサA(用紙センサ81)とセンサB(用紙センサ82)にそれぞれ対応して、センサ正常接続時における予想される用紙通過検出時間〔入力側からみた入力(用紙通過検出出力)の変化時間〕の範囲を示す情報〔用紙通過検出時間範囲情報:(時間範囲t11〜t12)と(時間範囲t21〜t22)〕、及び用紙通過検出出力が入力される位置を示す情報(位置情報:入力Aと入力B)が設定されている。
【0060】
センサA、センサBにそれぞれ対応する変化正常範囲データの設定値は、例えば、図5(a)に示す正常接続時のセンサA、Bにそれぞれ対応する入力変化特性を踏まえて決定されたものである。
【0061】
なお、変化正常範囲管理テーブル165aに記憶される変化正常範囲データは、例えば、記憶部13の所定領域に記憶されており、制御部16内のRAM165に読み込まれて後述する誤接続検出制御に利用される。
【0062】
図7は、本実施例に係る画像形成装置10のセンサ誤接続検出処理動作を示すフローチャートである。
【0063】
本実施例の画像形成装置10において、例えば、クライアント端末30から文書の印刷指示があると(ステップS101YES)、印刷制御部161は、画像処理部12で生成させた該文書の印刷データに基づき電子写真プロセスを開始させ(ステップS102)、用紙に画像を形成(印刷)して出力させる。
【0064】
その際、印刷制御部161は、指定された用紙を収容する用紙カセット71から該用紙を繰出し、転写ベルト61からトナー像を用紙に転写するタイミングに合せて当該用紙を転写部62に送り込む等の用紙搬送制御も併せ実施する(ステップS102)。
【0065】
ステップS102での電子写真プロセスの実行中、センサ接続判定部163は、各センサ毎の変化正常範囲の順番Nをカウントする順番カウンタ(図示せず)のカウント値N(初期値は“0”)をインクリメントし(ステップS103)、そのうえで変化正常範囲管理テーブル165a(図6参照)に記憶されている当該カウント値N(最初は、“1”)に対応する順番(N番目)のセンサ(同、1番目のセンサA)に対応する変化正常範囲(時間範囲t11〜t12)に達したか否かをチェックする(ステップS104)。
【0066】
ここで、N番目のセンサの変化正常範囲に達していない場合(ステップS104NO)、当該変化正常範囲に達したかどうかの監視を続け、この間にN番目のセンサの変化正常範囲に達した場合(ステップS104YES)、各センサ(全センサが対象:この例ではセンサA及びB)に対応するそれぞれの入力に対する入力信号が変化したかどうかをチェックする(ステップS105)。
【0067】
ここで、いずれのセンサに対応する入力においても入力信号の変化がなかった場合(ステップS105NO)、印刷制御部161は、用紙ジャムが発生したと判断し(ステップS131)、用紙の搬送を停止するとともに、表示/操作部15の表示パネルに用紙ジャムが発生した旨を表示するなどの用紙ジャム発生報知制御を実施し(ステップS132)、その後、処理を終了する。
【0068】
これに対して、いずれかのセンサに対応する入力への入力信号が変化した場合(ステップS105YES)、センサ接続判定部163は、N番目のセンサ(センサA)に対応する入力N(入力A)への入力信号の変化であるか否かをチェックする(ステップS106)。
【0069】
ここで、N番目のセンサ(センサA)に対応する入力N(入力A)への入力信号の変化であると判定された場合(ステップS106YES)、次のセンサがあるか否かをチェックし(ステップS107)、次のセンサ(センサB)があれば(ステップS107YES)、ステップS103に戻ってカウンタのカウント値NをインクリメントしたうえでステップS104以降の処理を続行する。
【0070】
この間、N〔インクリメント後のN(Nは“2”)〕番目のセンサ(センサB)の変化正常範囲に達し(ステップS104YES)、次いでいずれのセンサに対応する入力への入力信号が変化し(ステップS105YES)、更にN番目(2番目)のセンサ(センサB)に対応する入力N(入力B)への入力信号の変化であると判定された場合(ステップS106YES)には、次のセンサがあると判定される限り(ステップS107YES)、ステップS103で順番カウンタのカウント値Nをインクリメントしながら同様の処理(ステップS104以降の処理)を続ける。
【0071】
そしてこの間、ステップS107において、次のセンサがないと判定された場合(ステップS107NO)、全センサがそれぞれ対応するコネクタにより正常に接続されていると判断し(ステップS108)、その後は、印刷が終了するまで通常通りの印刷動作制御を実施する(ステップS110)。
【0072】
これに対し、上記ステップS104でN番目のセンサの変化正常範囲に達し(ステップS104YES)、次いでいずれのセンサに対応する入力への入力信号が変化している(ステップS105YES)と判定された後、N番目のセンサ以外に対応する入力への入力信号の変化であると判定された場合(ステップS106NO)、センサ接続判定部163は、N番目のセンサに対応する変化正常時間範囲の時にN番目以外のセンサによって用紙通過検出出力が得られたことを確認し(ステップS121)、センサが誤接続状態であると判断する(ステップS122)。
【0073】
この例では、センサAとBのみ有するため、図4(a)に示す誤接続状態にあっては、ステップS121でセンサAに対応する変化正常時間範囲の時にセンサBに対応する用紙通過検出出力が得られたことが確認され、次いでステップS122でセンサAとセンサBとが誤接続であると判断される。
【0074】
ステップS122においてセンサ誤接続であると判断されると、センサ誤接続時適応制御部164は、用紙JAMとして停止させることなく、印刷を継続させることで、センサ誤接続時に適応した制御を実施し(ステップS123)、その後、上記一連の処理を終了する。
【0075】
なお、センサ誤接続時適応制御については、上述した用紙通過搬送の他、例えば、センサAとセンサBとが誤接続されている(上記ステップS121、S122の処理で確認されている)旨の、例えば、「センサAとBが誤接続の状態です。」等のメッセージを表示/操作部15の表示パネルに表示するなど、誤接続の内容を報知する制御を行なうようにしても良い。
【0076】
この場合、報知によってセンサAとBが誤接続であることを知った利用者が、装置本体のカバーを開けてセンサAとBを正しいコネクタで繋ぎ変えることで正常状態に復帰させることができる。
【0077】
なお、本実施例では、上記の如くセンサAとBを利用者が正常な状態に繋ぎ変える方法に限らず、誤接続検出時のままの誤接続状態としておく一方で、制御上、センサAとBの出力を入れ換えて処理する方法によっても通常通りの動作制御を維持できる。
【0078】
これを実現するためには、図3に示す制御系の構成において、例えば、センサ誤接続時適応制御部164内に、センサ接続判定部163でのセンサ誤接続検出結果に応じて変化正常範囲管理テーブル165a内の変化正常範囲データを変更(書換え)設定する処理機能部を付加する方法がある。
【0079】
この変更設定処理機能部を備えた場合には、例えば、図7に示す一連の処理中、ステップS122でセンサAとBが誤接続状態であると判断され、ステップS123で誤接続時適応制御が行われた後(あるいは、誤接続時適応制御を行いながら)、点線で示す流れの処理が実施できる。
【0080】
すなわち、この場合、センサ誤接続時適応制御部164内の変更設定処理機能部は、ステップS125において、それまで図6に示す設定内容を保持していた変化正常範囲管理テーブル165aを図8に示す変化正常範囲管理テーブル165bの内容に変更設定したうえでステップS110での通常動作に移行する。
【0081】
ここで、図8に示す変更設定後の変化正常範囲管理テーブル165bは、センサAとセンサBにそれぞれ対応して、変化時間範囲としてはそのまま(時間範囲t21〜t22)とし、入力位置については入力Bと入力Aとに入れ換え設定されている。
【0082】
これは、変更設定前の内容(変化正常範囲管理テーブル165a:図6参照)に対し、誤接続の関係にあるセンサAとBに対応する入力位置を相互に入れ換えた内容である。
【0083】
この設定変更後の変化正常範囲管理テーブル165bを用いた場合の図7に示す動作について図4(b)、図5(b)も参照して検証してみる。
【0084】
この場合、変化正常範囲管理テーブル165bから1番目のセンサの変化正常範囲(時間範囲t11〜t12)を読み取っているセンサ接続判定部163では、図7のステップS103で1番目のセンサAの変化正常範囲(時間範囲t11〜t12)に達したと判定した際(ステップS104YES)、入力Bに対するセンサAからの検出出力が入力されることにより〔図4(b)、図5(a)参照〕、ステップS105でセンサの出力変化ありと判定され(ステップS105YES)、次いでステップS106では、変化正常範囲管理テーブル165b内の上記変更設定後の入力BとセンサAとの対応関係からセンサAからの検出出力が変化したと判断され(ステップS106YES)、ステップS107を経てステップS108にて正常接続であると判断される結果、ステップS110並行して通常動作を実行できる。
【実施例2】
【0085】
実施例2に係る画像形成装置(便宜的に、10Bという)は、共通のコネクタを有する3つ以上のセンサ(用紙センサ81、82と同等のもの)を備えている。
【0086】
図9は、本実施例に係る画像形成装置10Bのセンサ接続状態と制御部16Bに対する入力(上記各センサの用紙通過検出出力)との対応関係を示す図である。
【0087】
本実施例では、用紙搬送路中に5つのセンサA,B,C,D,Eが設けられ、これら各センサA,B,C,D,Eがそれぞれ対応するコネクタ(911と912),(921と922),(931と932),(941と942),(951と952)によって正常に接続されている状態(図9に実線で示す状態)の時には、各々の用紙通過検出出力は制御部16B内のセンサ接続判定部163Bに対する入力A,B,C,D,Eに取り込まれる構成となっている。
【0088】
また、画像形成装置10Bにおいて、RAM165には、例えば、図10に示す如くの変化正常範囲テーブル165cが保持されている。
【0089】
図10の例において、変化正常範囲テーブル165cには、センサA〜Eにそれぞれ対応して、変化正常範囲時間帯(t11〜t12),(t21〜t22),(t31〜t32),(t41〜t42),(t51〜t52)、及び入力位置(入力A),(入力B),(入力C),(入力D),(入力E)が設定された変化正常範囲データが保持されている。
【0090】
かかる構成を有する画像形成装置10Bでは、センサの数が実施例1と異なるだけで、基本的には、図7のフローチャートに沿って、センサの用紙通過検出時間範囲に達する毎に、該センサに対応する入力が変化したか当該センサ以外のセンサに対応する入力が変化したかをチェックし(ステップS103〜S106)、該センサ以外のセンサに対応する入力が変化した場合に誤接続であると判断する(ステップS121、S122)処理動作を行なう。
【0091】
そのためここでの詳しい説明は割愛するが、具体例として、画像形成装置10Bにおいて図9に点線で示すようにセンサCとDが誤接続された状態で印刷指示を受け付けた場合について図7に示すセンサ誤接続検出処理動作を検証してみる。
【0092】
この場合、図7に示す一連の処理動作中、ステップS104で3番目のセンサ(センサC)の変化正常範囲に達した時に(ステップS104YES)、センサ接続判定部163Bは、該センサCの出力が4番目のセンサDに対応する入力Dに入力することによりいずれかのセンサに対応する入力への入力信号が変化していると判定し(ステップS105YES)、次いで3番目のセンサC以外の4番目のセンサDに対応する入力への入力信号の変化であると判定する(ステップS106NO)。
【0093】
その結果、3番目のセンサCに対応する変化正常時間範囲の時に4番目のセンサDに対応する用紙通過検出出力が得られたことが確認され(ステップS121)、センサが誤接続状態であると判断される(ステップS122)。
【0094】
なお、本実施例においても、センサ誤接続時適応制御部164Bによるセンサ誤接続時適応制御として、上記ステップS121及びS122での判断結果に基づいて誤接続の内容を報知する制御を行なうようにしても良い。
【0095】
また、実施例1と同様、センサ接続判定部163Bでのセンサ誤接続検出結果(ステップS121、S122参照)に応じて変化正常範囲管理テーブル165cにおける変化正常範囲データを誤接続の関係にあるセンサ間で入力位置の対応付けを入れ換える変更設定処理機能部をセンサ誤接続時適応制御部164Bに付加した構成としても良い。
【0096】
この他、本発明は、上記し、且つ図面に示す実施例に限定することなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施できるものである。
【0097】
例えば、上記実施例では、用紙カセット71から転写部62までの用紙搬送路中を搬送される用紙通過検出センサについて述べたが、用紙の補給口から排出口までの用紙搬送路中に配置される用紙通過検出センサを備えた場合にも適用できる。
【0098】
また、上記実施形態では、コンピュータで実現する画像形成装置に誤接続検出制御プログラムを実装し、該コンピュータを、複数のセンサにそれぞれ対応して用紙通過検出時間範囲情報と用紙通過検出出力の入力位置情報を設定して成る接続判定制御情報を記憶する記憶手段(変化正常範囲管理テーブル)、記憶手段に記憶された用紙通過検出時間範囲に達した際、該用紙通過検出時間範囲に対応するセンサ以外のセンサに対応する入力位置での用紙通過検出出力の変化がある場合、該センサが誤接続されていることを検出する誤接続検出手段等として機能させる例を挙げているが、該プログラムをCD−ROM等の記憶媒体に格納して提供するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明は、共通のコネクタを用いる複数のセンサを実装する画像形成装置、及びこれに実装する誤接続検出制御プログラムに適用できる。
【符号の説明】
【0100】
10,10B…画像形成装置、11…読取部、12…画像処理部、13…記憶部、14…画像形成部、15…表示/操作部、16,16B…制御部、161…印刷制御部、162…センサ駆動制御部、163,163B…センサ接続判定部、164,164B…センサ誤接続時適応制御部、165…RAM(Random Access Memory)、165a,165b,165c…変化正常範囲管理テーブル、17…外部インタフェース(I/F)部、30…クライアント端末(PC:パーソナル・コンピュータ)、81,82…用紙センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共通の接続器を有し、互いに離間したそれぞれの配置位置で用紙の通過を検出する複数の検出手段と、
前記複数の検出手段にそれぞれ対応して用紙の通過が検出される時間範囲を示す用紙通過検出時間範囲情報と用紙の通過が検出された際に出力される用紙通過検出出力が入力する位置を示す入力位置情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記用紙通過検出時間範囲に達した際、該用紙通過検出時間範囲に対応する検出手段以外の検出手段に対応する入力位置での用紙通過検出出力の変化がある場合、該検出手段が当該検出手段に対応する接続器以外の接続器に誤接続されていることを検出する誤接続検出手段と
を具備する画像形成装置。
【請求項2】
前記誤接続検出手段により前記検出手段の誤接続が検出された場合、用紙詰まりとして前記用紙の搬送を停止させることなく画像形成制御を継続させる継続制御手段
を更に具備する請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記誤接続検出手段により前記検出手段の誤接続が検出された場合、当該誤接続の内容を報知する誤接続内容報知手段
を更に具備する請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記誤接続検出手段により前記検出手段の誤接続が検出された場合、互いに誤接続の関係にあることが検出された前記検出手段間で前記入力位置情報を互いに入れ換えるように変更設定する変更設定手段
を更に具備する請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
共通の接続器を有し、互いに離間したそれぞれの配置位置で用紙の通過を検出する複数の検出手段を有し、前記各検出手段が用紙の通過を検出した際に出力する用紙通過検出出力をコンピュータで処理する画像形成装置に実装され、
前記コンピュータを、
前記複数の検出手段にそれぞれ対応して用紙の通過が検出される時間範囲を示す用紙通過検出時間範囲情報と用紙通過検出出力が入力する位置を示す入力位置情報を記憶する記憶手段、
前記記憶手段に記憶された前記用紙通過検出時間範囲に達した際、該用紙通過検出時間範囲に対応する検出手段以外の検出手段に対応する入力位置での用紙通過検出出力の変化がある場合、該検出手段が当該検出手段に対応する接続器以外の接続器に誤接続されていることを検出する誤接続検出手段
として機能させるための誤接続検出制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−101473(P2012−101473A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−252812(P2010−252812)
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】