説明

画像形成装置、復帰処理方法およびプログラム

【課題】装置の稼働率を適正に維持しつつ、かつ消費電力量を抑制すること。
【解決手段】電力供給の状態が異なる複数の動作モードを有する画像形成装置は、現在の動作モードで消費された消費電力量を算出する電力量累計部301と、算出された消費電力量と、一定期間における最大の消費電力量として予め定められた上限電力量とから、画像形成装置の一部に電力供給を行う動作モードであるエネルギー低減モードから画像形成装置の全体に電力供給を行う動作モードである通常モードへの復帰時間を算出する復帰時間算出部302と、算出された復帰時間に基づいて、画像形成装置を、エネルギー低減モードから通常モードへ復帰させるモード制御部303と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、復帰処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保護の対策として省エネルギー対策が様々な分野で講じられている。複写機やプリンタなどの画像形成装置の分野においても例外ではなく、その設計においても、省エネルギーを目標とした様々な工夫が続けられている。
【0003】
例えば、消費電力の低減を図るため、複写機が操作されなくなってから一定時間が経過するとエンジンユニットなど比較的に消費電力の大きな部分の電源を落とす省エネルギーモードに切り替え、さらに、複写機が操作されなくなってから一定時間が経過すると、コントローラ部もスリープモードとなり、低電力モードの動作状態に切り替えるのが代表的なものである。
【0004】
これとは別の発想による省エネルギー対策として、ユーザをグループ分けし、各グループのジョブの実行のために消費された電力量が、グループ毎に累計され、当該累計される電力量が、各グループに割り当てられている上限電力量を上回っているグループのジョブの実行を制限する消費電力制限システムが提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
また、他の省エネルギー対策として、画像形成装置のその月の消費電力量を、過去の履歴情報に基づいて予測し、予測した消費電力量が予め設定されている使用可能な最大電力量を超えるか否かを判断する「電力監視ネットワークシステム」が提案されている(特許文献2参照)。
【0006】
この電力監視ネットワークシステムでは、最大電力量を超えた場合、電力管理装置は、事前に、超過分の消費電力量に応じて設定された電力削減レベルに基づいて、機器の使用条件の設定を変更しながら削減可能な消費電力量を算出するシミュレーション処理を実行する。このシミュレーション処理によって最大電力量を超えない適切な使用条件を判断している。
【0007】
さらに、他の省エネルギー対策として、待機モード・省エネルギーモードの状態遷移を記憶して、自身が使用される頻度・内容を学習し、省エネルギーモードへの移行時間を最適化する手法が提案されている(特許文献3参照)。
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の消費電力制限システムでは、各グループに属する使用者において、節電に対する意識が向上し、そのための工夫がなされ省エネルギーの推進が期待できるものの、消費電力量の上限を超えた場合に利用制限を行うため、上限を超えるまでは何の制限も行われない。
【0009】
また、特許文献2に記載の電力監視ネットワークシステムは、将来の電力消費量の算出精度向上が目的であり、電力消費量の制限手段についてはとくに記載されてない。
【0010】
また、特許文献3記載の移行期間設定方法は、これにより、ユーザが面倒な作業(複数の省エネルギーモードの移行時間の設定など)をせずとも、移行時間の最適化が図れ、省エネルギーの向上を図ることができる。しかし、遷移パターン決定が目的であり、電力消費量の制限手段として起動時間(復帰時間)については省エネルギー対策の対象にしていない。
【0011】
ところで、MFP(Multi Function Peripheral)やLP(Laser Printer)機器(以下、単に「機器」という)における省エネルギー対策を考える場合、従来は、モードの切換により例えば省エネルギーモードで省エネルギー化を図っているが、その総消費電力についてこれを抑制する場合でも、上記特許文献1に記載されているように、上限を上回った場合にこれを抑制するだけで、上限を上回らない限りとくに省エネルギー対策は採られていない。
【0012】
また、上記機器では上記省エネルギー対策と共に、その稼働率の向上つまりその生産性を向上させるために種々の方策が実行されてきている。
【0013】
例えば省エネルギーモードの待機状態から動作可能なレディ状態までの復帰時間を短縮することが行われている。これは、復帰時間が短くなればなるほど生産性が上がり機器の稼働率は上がるからである。つまり、例えば、3分かかるジョブを待機1分、復帰10秒で繰り返すと、1時間に14.4ジョブ可能となる。これが復帰1分とすると1時間に12ジョブとなり、約2ジョブ、約6分間の稼動時間の差が出ることになる。
【0014】
また、上記機器の復帰時間を短縮するために、待機モード、省エネルギーモード等、機器が稼動していない状態でもエンジンユニットの定着部に常に余熱を与えている。
【0015】
さらに、現在はコントローラのソフトウェア規模が肥大化しているため、オブジェクトのロード、初期化に時間が掛かり、機器の復帰時間を長引かせる傾向にあるため、ソフトウェアをメモリ上に常駐させたままコントローラの電源を入れておくことで復帰時間を短縮することも行われている。
【0016】
このように現在は機器の省エネルギー化を図りつつも、機器の稼働率を向上させるために多少の電力の消費は犠牲にされている。
【0017】
そこで、機器の稼働率を適正に維持しつつ、しかも省エネルギー化が図れる、つまり機器の稼働率と省エネルギーとのバランスのとれた省エネルギー対策が望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、装置の稼働率を適正に維持しつつ、かつ消費電力量を抑制することができる画像形成装置、復帰処理方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる画像形成装置は、電力供給の状態が異なる複数の動作モードを有する画像形成装置であって、現在の動作モードで消費された消費電力量を算出する電力量累計部と、算出された消費電力量と、一定期間における最大の消費電力量として予め定められた上限電力量とから、前記画像形成装置の一部に電力供給を行う動作モードであるエネルギー低減モードから前記画像形成装置の全体に電力供給を行う動作モードである通常モードへの復帰時間を算出する復帰時間算出部と、算出された復帰時間に基づいて、前記画像形成装置を、前記エネルギー低減モードから前記通常モードへ復帰させるモード制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0020】
本発明にかかる復帰処理方法は、電力供給の状態が異なる複数の動作モードを有する画像形成装置で実行される復帰処理方法であって、現在の動作モードで消費された消費電力量を算出する電力量累計ステップと、算出された消費電力量と、一定期間における最大の消費電力量として予め定められた上限電力量とから、前記画像形成装置の一部に電力供給を行う動作モードであるエネルギー低減モードから前記画像形成装置の全体に電力供給を行う動作モードである通常モードへの復帰時間を算出する復帰時間算出ステップと、算出された復帰時間に基づいて、前記画像形成装置を、前記エネルギー低減モードから前記通常モードへ復帰させる復帰ステップと、を含むことを特徴とする。
【0021】
本発明にかかるプログラムは、電力供給の状態が異なる複数の動作モードを有するコンピュータに実行させるためのプログラムであって、現在の動作モードで消費された消費電力量を算出する電力量累計ステップと、算出された消費電力量と、一定期間における最大の消費電力量として予め定められた上限電力量とから、前記コンピュータの一部に電力供給を行う動作モードであるエネルギー低減モードから前記コンピュータの全体に電力供給を行う動作モードである通常モードへの復帰時間を算出する復帰時間算出ステップと、算出された復帰時間に基づいて、前記コンピュータを、前記エネルギー低減モードから前記通常モードへ復帰させる復帰ステップと、を前記コンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、画像形成装置のエネルギー低減モードから通常モードへの復帰時間を制御することにより、装置の稼働率を適正に維持しつつ、かつ消費電力量を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、実施の形態1に係るデジタル複合機を概略的に示す構成図である。
【図2】図2は、実施の形態1のシステム管理部100の制御回路の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、実施の形態1のコントローラ101の機能的構成を示すブロック図である。
【図4−1】図4−1は、実施の形態1の消費電力基準値テーブル311の一例を示す説明図である。
【図4−2】図4−2は、実施の形態1の復帰可能時間テーブル312の一例を示す説明図である。
【図5】図5は、実施の形態1における復帰処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】図6は、実施の形態1の通常モードへの復帰処理の詳細な手順を示すフローチャートである。
【図7】図7は、実施の形態1における通常モードからエネルギー低減モードへの移行処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】図8は、実施の形態2にかかるデジタル複合機のコントローラ101の機能的構成を示すブロック図である。
【図9】図9は、実施の形態2の復帰時間テーブル811の一例を示す説明図である。
【図10】図10は、実施の形態2の復帰時間の設定処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】図11は、実施の形態2の復帰時間テーブル811の他の例を示す説明図である。
【図12】図12は、期間別に用意された期間別復帰時間テーブル811の例を示す説明図である。
【図13】図13は、変形例3において、復帰時間によって操作表示部の液晶パネルに表示するメッセージを変更する処理の手順を示すフローチャートである。
【図14】図14は、メッセージテーブルT6の一例を示す説明図である。
【図15】図15は、実施の形態3に係るデジタル複合機を概略的に示す構成図である。
【図16】図16は、実施の形態3にかかるコントローラ1401の機能的構成を示すブロック図である。
【図17】図17は、実施の形態3における復帰処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる画像形成装置、復帰処理方法およびプログラムの実施の形態を詳細に説明する。
【0025】
(実施の形態1)
本実施の形態に係る画像形成装置は、コピー機能、ファクシミリ(FAX)機能、プリント機能、スキャナ機能および入力画像(スキャナ機能による読み取り原稿画像やプリンタあるいはFAX機能により入力された画像)を配信する機能等を複合したMFPと称されるデジタル複合機である。
【0026】
図1は、実施の形態1に係るデジタル複合機を概略的に示す構成図である。図1に示すように、デジタル複合機は、コントローラ101や操作表示部400などのコントローラ系負荷を含むシステム管理部100と、スキャナ部500やプリンタ部600などのエンジン系負荷を含むエンジンユニット部200とに対し、電源ユニット部300からそれぞれ電力を供給する。電源ユニット部300は、システム管理部100、及びエンジンユニット部200に対して電力を供給する直流電源900と、プリンタ部200の定着ユニット700に対して電力を供給するヒータ駆動部800とで構成されている。
【0027】
本実施の形態では、デジタル複合機をエネルギー低減モードで動作させるため、システム管理部100は、エンジンユニット部200、電源ユニット部300を制御する。
【0028】
ここで、操作表示部400は、ユーザに対して各種画面を表示し、表示された画面からユーザからのタッチ入力により各種操作を受け付ける液晶パネルと、ユーザによって押下可能な各種ボタンが配置された操作部とを備えている。
【0029】
このデジタル複合機がエネルギー低減モード(省エネルギーモード)で動作するためには、エンジンユニット部200、電源ユニット部300をシステム管理部100が制御して実現する。即ち、システム管理部100では、動作モードと動作時間から消費電力量を累計し、その結果と予め設定された上限電力量から復帰時間を算出し、エンジンユニット部200、電源ユニット部300を制御する。
【0030】
図2は、実施の形態1のシステム管理部100の制御回路の構成を示すブロック図である。図2に示すように、デジタル複合機は、デジタル複合機全体の制御と描画、通信、操作表示部からの入力を制御するコントローラ101と、プリンタ部600及びスキャナ部500とをPCI(Peripheral Component Interconnect)バスで接続した構成となる。
【0031】
コントローラ101は、コンピュータの主要部であるCPU(Central Processing Unit)102と、システムメモリ(MEM−P)103と、ノースブリッジ(NB)105と、サウスブリッジ(SB)104と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)106と、ローカルメモリ(MEM−C)107と、ハードディスクドライブ(HDD)108とを有し、NB105とASIC106との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス109で接続した構成となる。また、MEM−P103は、ROM(Read Only Memory)103aと、RAM(Random Access Memory)103bと、をさらに有する。
【0032】
CPU102は、デジタル複合機の全体制御を行うものであり、NB105、MEM−P103およびSB104からなるチップセットを有し、このチップセットを介して他の機器と接続される。
【0033】
NB105は、CPU102、MEM−P103、SB104、AGPバス109を接続するためのブリッジであり、MEM−P103に対する読み書きなどを制御する不図示のメモリコントローラと、PCIマスタおよびAGPターゲットと、を有する。
【0034】
MEM−P103は、プログラムやデータの格納用メモリ、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いるシステムメモリであり、ROM103aとRAM103bとからなる。ROM103aは、CPU102の動作を制御するプログラムやデータの格納用メモリとして用いる読み出し専用のメモリであり、RAM102bは、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いる書き込みおよび読み出し可能なメモリである。
【0035】
SB104は、NB105とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。このSB104は、PCIバスを介してNB105と接続されており、このPCIバスには、ネットワークインタフェース(I/F)部113なども接続される。
【0036】
ASIC106は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス109、PCIバス、HDD108およびMEM−C107をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。ASIC106は、不図示のPCIターゲットおよびAGPマスタと、ASIC106の中核をなすアービタ(ARB)と、MEM−C107を制御するメモリコントローラと、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などを行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)と、プリンタ部600やスキャナ部500との間でPCIバスを介したデータ転送を行うPCIユニットとからなる。ASIC106には、PCIバスを介してFCU(Fax Control Unit)110、USB(Universal Serial Bus)111、IEEE(the Instituteof Electrical and Electronics Engineers)1394インタフェース112が接続される。
【0037】
MEM−C107は、コピー用画像バッファ、符号バッファとして用いるローカルメモリであり、HDD108は、画像データの蓄積、CPU102の動作を制御するプログラムの蓄積、フォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。
【0038】
AGPバス109は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレータカード用のバスインタフェースであり、MEM−P103に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレータカードを高速にするものである。
【0039】
次に、本実施形態のデジタル複合機のコントローラ101がプログラムに従って実現する待機時に省電力化を図るエネルギー低減モードの機能について説明する。本実施の形態のデジタル複合機は、電力供給の状態が異なる複数の動作モードで動作する。図3は、実施の形態1のコントローラ101の機能的構成を示すブロック図である。
【0040】
図3に示すように、コントローラ101は、電力量累計部301と、復帰時間算出部302と、復帰待ち時間算出部305と、モード制御部303と、報知部304と、消費電力基準値テーブル311と、復帰可能時間テーブル312とを主に備えている。
【0041】
モード制御部303は、後述する復帰時間に基づいて、復帰待ち時間の経過後に、デジタル複合機を、エネルギー低減モードから通常モードへ復帰させる。ここで、通常モードとは、デジタル複合機の一部に電力供給を行って、全システムを動作させる動作モードである。また、エネルギー低減モード(省エネルギーモード)とは、デジタル複合機の一部に電力供給を行う動作モードである。
【0042】
すなわち、本実施形態のデジタル複合機で実施される待機時におけるエネルギー低減モードでは、消費電力の大きい定着ユニット700の定着ヒータや操作表示部400等の電源をオフあるいは低電力運転に切り替え、スキャナ部500においては電源を一括してオフにする。具体的には、本実施形態のデジタル複合機は、以下で示す3種類のエネルギー低減モードを備えている。
【0043】
待機モード:エンジンユニット部負荷の一部の電源供給を停止する。
省エネルギーモード:エンジンユニット部負荷全体への電源供給を停止する。
低電力モード:エンジンユニット部負荷の全て、コントローラ部負荷は一部を除いて電源供給を停止する。
【0044】
また、全システムを動作させる動作状態モードは通常モードと称する。したがって、本実施形態における画像形成装置の動作モードは、通常モード、待機モード、省エネルギーモード、低電力モードを有する。現在の動作モードは、MEM−C107やHDD108等の記憶媒体に記憶されている。
【0045】
また、モード制御部303は、通常モードからエネルギー低減モードへ移行する際に、動作時間に基づいて移行するエネルギー低減モードを、待機モード、省エネルギーモード、低電力モードのいずれかに決定(設定)し、決定されたエネルギー低減モードにデジタル複合機を移行させる。
【0046】
消費電力基準値テーブル311は、動作モードごとに単位時間当たりの消費電力量である消費電力基準値を登録したテーブルであり、消費電力量の算出に用いられる。図4−1は、実施の形態1の消費電力基準値テーブル311の一例を示す説明図である。図4−1に示すように、消費電力基準値テーブル311には、通常モード、待機モード、省エネルギーモード、低電力モードの各動作モードごとに、消費電力基準値が予め設定されており、より具体的には、通常モード、待機モード、省エネルギーモード、低電力モードの順に消費電力基準値が小さい値になるように設定されている。
【0047】
復帰可能時間テーブル312は、動作モードごとに、各動作モードから通常モードへ復帰する時間として可能な時間である復帰可能時間を登録したテーブルであり、復帰待ち時間の算出の際に用いられる。図4−2は、実施の形態1の復帰可能時間テーブル312の一例を示す説明図である。復帰可能時間テーブル312には、図4−2に示すように、通常モード、待機モード、省エネルギーモード、低電力モードの各動作モードごとに、復帰可能時間が設定されており、より具体的には、通常モード、待機モード、省エネルギーモード、低電力モードの順に復帰可能時間が長い値になるように設定されている。
【0048】
消費電力基準値テーブル311、復帰可能時間テーブル312は、MEM−C107やHDD108等の記憶媒体に記憶されている。
【0049】
図3に戻り、電力量累計部301は、現在の(復帰前の)動作モードで消費された消費電力量を累計する。より具体的には、電力量累計部301は、現在の動作モード(復帰前の動作モード)における消費電力基準値を消費電力基準値テーブル311から読み出し、読み出した現在の動作モードにおける消費電力基準値と、現在の動作モードでの動作時間とを乗算することにより、消費電力量を算出する。
【0050】
復帰時間算出部302は、電力量累計部301によって算出された消費電力と、一定期間において割り当てられた上限電力量と、消費電力基準値から、エネルギー低減モードから通常モードへの復帰時間を算出する。より具体的には、(1)式で示すように、復帰時間算出部302は、上限電力量と消費電力量との差分を消費電力基準値で除算した値を、予め定められた最長復帰可能時間から差し引いた時間を復帰時間として算出する。
【0051】
復帰時間=最長復帰可能時間−(上限電力量−消費電力量)/消費電力基準値
・・・(1)
【0052】
ここで、上限電力量は一定期間における最大の消費電力量であり、予めMEM−C107やHDD108等の記憶媒体に記憶されている。また、最長復帰可能時間は、予め想定している最長の復帰可能時間であり、低電力モードでの復帰時間より長く、かつユーザが許容できる復帰時間(2〜3分程度まで)を想定している。最大復帰可能時間は、予めMEM−C107やHDD108等の記憶媒体に記憶されている。また、単位時間当たりの消費電力量である消費電力基準値は、この上限電力量により任意に調整される。
【0053】
(1)式から、復帰時間は、最長復帰可能時間と消費電力基準値における残電力量の換算時間との差分となる。
【0054】
復帰待ち時間算出部305は、現在の動作モードに対応する復帰可能時間から前記復帰時間を差し引いた時間を復帰待ち時間として算出する。
【0055】
報知部304は、エネルギー低減モードから通常モードへの復帰時に、電力消費状況としての復帰時間を操作表示部400の液晶パネルに表示することによりユーザに対して報知する。
【0056】
次に、本実施の形態に係るデジタル複合機によるエネルギー低減モードから通常モードへの復帰処理について説明する。待機中(省電力状態あるいは電源オフ状態)のデジタル複合機は、主電源のスイッチがオン、複写機の天板がオープン又はプリントリクエスト等のいずれかによって復帰手順に入る。
【0057】
図5は、実施の形態1における復帰処理の手順を示すフローチャートである。図5に示すように、復帰時はまず、電力量累計部301は、コントローラ101のMEM−C107やHDD108などの記憶部に格納されている現在の(復帰前の)動作モード(一つとは限らない)を取得する(ステップS101)。次に、電力量累計部301は、コントローラ101に記憶されているRTC(Real Time Clock)により動作時間(上記復帰前の動作モードにおける動作時間)を取得する(ステップS102)。
【0058】
次に、電力量累計部301は、消費電力基準値テーブル311から、現在の動作モードに対応する消費電力基準値(単位時間当たりの消費電力量)を読み出し、消費電力基準値にステップS102で取得した動作時間を乗算して、現在の動作モードにおける消費電力量を算出(累計)する(ステップS103)。
【0059】
次に、復帰時間算出部302は、MEM−C107等から、一定期間において割り当てられた上限電力量と最長復帰可能時間を読み出し、ステップS103で算出した消費電力量と、現在の動作モードに対応した消費電力基準値とから、(1)式を用いて復帰時間を算出する(ステップS104)。
【0060】
次に、復帰待ち時間算出部305は、復帰可能時間テーブル312から、ステップS101で取得した現在の動作モードに対応する復帰可能時間を読み出し、ステップS104で算出した復帰時間と復帰可能時間の差分(復帰待ち時間=復帰可能時間−復帰時間)を計算することにより復帰待ち時間を算出する(ステップS105)。
【0061】
次に、モード制御部303は、ステップS105で算出した復帰待ち時間が経過したか否かを判断し(ステップS106)、復帰待ち時間が経過したら(ステップS106:YES)、復帰処理を実行する(ステップS107)。
【0062】
ステップS104の復帰時間の算出の一例として、例えば、本実施の形態の動作モードを通常モード、待機モード、省エネルギーモード、低電力モードとし、それぞれの消費電力基準値は、図4−1の消費電力基準値テーブル311に示すように通常モードで1000Wh、待機モードで500Wh、省エネルギーモードで300Wh、低電力モードで100Wh、とする。また、それぞれの動作モードから通常モードへの復帰可能時間は、図4−2の復帰可能時間テーブル312に示すように通常モードで0秒、待機モードで20秒、省エネルギーモードで30秒、低電力モードで40秒とする。
【0063】
この場合において、例えば、最長復帰可能時間を50秒、上限電力量を50KWh、消費電力量を20KWh、単位消費電力を1000Wとすると、(1)式により、復帰時間=40−(50KWh−20KWh)/1000Wであるから、復帰時間は10秒となる。なお、復帰時間が0以下になる場合は復帰時間を0とみなし、復帰時間が最長復帰可能時間より大きくなった場合は、復帰時間を最長復帰可能時間とする。
【0064】
このように実施の形態1のデジタル複合機によれば、デジタル複合機のエネルギー低減モードから通常モードへの復帰時間を、復帰前の動作モードにおける消費電力により制御することにより、装置の稼働率を適正に維持しつつ、かつ消費電力量を抑制することができる。また、実施の形態1にかかるデジタル複合機では、消費電力量の累計に動作モードと動作時間を利用することにより、電力量を累計するための電力量計測センサーの追加などが不要となり、製造コストを低減することが可能となる。
【0065】
次に、ステップS107の通常モードへの復帰処理の詳細について説明する。図6は、実施の形態1の通常モードへの復帰処理の詳細な手順を示すフローチャートである。
【0066】
復帰時はまず、報知部304は、ステップS104で算出された復帰時間を復帰時間算出部302から取得し(ステップS401)、操作表示部400の液晶パネルに、取得した復帰時間を表示する(ステップS402)。そして、通常モードへ復帰するまで(ステップS403:No)、ステップS401とS402の処理を繰り返す。そして、通常モードへ復帰した場合は(ステップSS403:YES)、報知部304は、その復帰までに実際に要した時間を操作表示部400の液晶パネルに表示する。なお、操作表示部400の液晶パネルに表示する他、光、音響等の手段でユーザに報知してもよい。
【0067】
これにより、復帰時間を操作表示部のパネルに表示し、ユーザに電力消費状況を知らせることにより、ユーザに節電への意識をもたらす効果が期待できる。また、復帰時間が長くなった場合、ユーザが故障であると誤認識する可能性を防止することができる。
【0068】
なお、本実施の形態の報知部304では、復帰時間および実際に復帰までに要した時間を操作表示部400の液晶パネルに表示しているが、これに限定されるものではない。例えば、通常モードへ復帰するまでの残り時間を経時的に変化させながら操作表示部400の液晶パネルに表示するように報知部304を構成してもよい。これにより、ユーザに対して復帰までの時間をカウントダウン表示することができるので、ユーザにとってより便宜なものとなる。
【0069】
次に、デジタル複合機が印刷等のジョブ終了後に、通常モードからエネルギー低減モードへ移行する処理について説明する。図7は、実施の形態1における通常モードからエネルギー低減モードへの移行処理の手順を示すフローチャートである。
【0070】
デジタル複合機では、印刷ジョブ等のジョブ終了後、一定時間(例えば、ジョブ終了通知をコントローラ101から受けてから5分間)が経過すると、モード制御部303がデジタル複合機をエネルギー低減モードに移行させる。エネルギー低減モードへの移行では、まず、復帰時間算出部302が、エネルギー低減モードから通常モードへの復帰時と同様に、(1)式を用いて復帰時間を算出する(ステップS201)。
【0071】
次に、モード制御部303は、復帰可能時間テーブル312において、算出した復帰時間に相当する復帰可能時間に対応する動作モードを取得し、取得した動作モードを移行する動作モードとして設定する(ステップS202)。次に、モード制御部304は、設定された動作モードにデジタル複合機を移行させる(ステップS203)。
【0072】
例えば、モード制御部303は、復帰時間が40秒以上の場合には低電力モードへの移行、復帰時間が40秒未満30秒以上の場合には省エネルギーモードへの移行、復帰時間が30秒未満20秒以上の場合には待機モードへの移行をそれぞれ行う。そしてモード移行後に処理を終了する。
【0073】
このように本実施の形態のデジタル複合機によれば、ジョブ終了後からエネルギー低減モードへの復帰時間に基づき電力消費状況に合わせて、エネルギー低減モードの各動作モードを変えることができ、待機時の消費電力を抑えることができる。
【0074】
(実施の形態2)
実施の形態2にかかるデジタル複合機は、実施の形態1の機能の他、復帰時間の設定を行うものである。
【0075】
図8は、実施の形態2にかかるデジタル複合機のコントローラ101の機能的構成を示すブロック図である。なお、実施の形態2にかかるデジタル複合機の概略構成、システム管理部100の制御回路の構成は、それぞれ図1、図2に示した実施の形態1と同様である。
【0076】
実施の形態2のコントローラ101は、図8に示すように、電力量累計部301と、復帰時間算出部802と、復帰待ち時間算出部305と、モード制御部303と、報知部304と、消費電力基準値テーブル311と、復帰時間テーブル811と、復帰可能時間テーブル312とを主に備えている。ここで、電力量累計部301、復帰待ち時間算出部305、モード制御部303、報知部304、消費電力基準値テーブル311、復帰可能時間テーブル312の機能および構成は実施の形態1と同様である。
【0077】
復帰時間算出部802は、実施の形態1と同様の機能を有する他、モード制御部303による、デジタル複合機のエネルギー低減モードから通常モードへの復帰時、または通常モードからエネルギー低減モードへの移行時に、復帰時間の設定を行う。
【0078】
復帰時間テーブル811は、消費電力量と上限電力量(基準消費電力量)の比である基準値比に応じて復帰時間を定めたテーブルである。この復帰時間テーブル811は、MEM−C107やHDD108等の記憶媒体に保存されている。図9は、実施の形態2の復帰時間テーブル811の一例を示す説明図である。図9に示すように、復帰時間テーブル811には、基準値比に対応づけて復帰時間が設定されており、基準比が大きい程、すなわち消費電力量が大きい程、復帰時間を長くなるように設定している。
【0079】
次に、以上のように構成された本実施の形態における復帰時間の設定処理について説明する。図10は、実施の形態2の復帰時間の設定処理の手順を示すフローチャートである。
【0080】
まず、消費電力算出部301は、既に実施された動作モードをMEM−C107等の記憶媒体から取得する(ステップS301)。そして、消費電力算出部301は、RTCから既に実施された動作モードにおける動作時間を取得する(ステップS302)。
【0081】
次に、消費電力算出部301は、消費電力基準値テーブル311において、既に実施された動作モードに対応する消費電力基準値を取得し、実施の形態1と同様に、消費電力基準値に動作時間を乗算して消費電力量を算出する(ステップS303)。
【0082】
次に、復帰時間算出部802は、算出された消費電力量と、MEM−Cに予め記憶された上限電力量との比(基準値比)を算出する(ステップS304)。そして、復帰時間算出部802は、復帰時間表テーブル811において、算出された基準値比に対応する復帰時間を取得して設定する(ステップS305)。
【0083】
即ち、図9に示す復帰時間テーブル811は、消費電力量が大きい場合、復帰時間が長く設定されており、これによりデジタル複合機の稼働率の調整が可能となる。
【0084】
(変形例1)
図11は、実施の形態2の復帰時間テーブル811の他の例を示す説明図である。図11の例では、復帰時間テーブル811に、上限電力量と消費電力量の差分である残電力量に対応づけて復帰時間が設定されており、消費電力量が大きくなり残電力量が小さくなる程、復帰時間を長く設定している。
【0085】
図11の復帰時間テーブル811を用いる場合には、上述のステップS304において、復帰時間算出部802は、上限電力量と算出された消費電力量の差分を算出して、これを残電力量とする。そして、ステップS305において、復帰時間算出部802は、図11の復帰時間表テーブル811において、算出された残電力量に対応する復帰時間を取得して設定すればよい。
【0086】
図11に示す復帰時間テーブル811では、残電力量が少ない場合、復帰時間が長く設定されており、これにより、画像形成装置の稼働率の調整を行い、消費電力量を抑えることができる。
【0087】
(変形例2)
ところが、以上のように、復帰時間の算出に予め決められた上限電力量と消費電力量を使用した場合、通常、時間経過とともに復帰時間が長くなり、高い稼働率を必要とする月末など時間的に後半部分での利用が制限される場合がある。
【0088】
この場合、例えば、図12に示す期間別に用意された期間別復帰時間テーブル811を用いればよい。図12で示すように、上限電力量の期限を一ヶ月(30日)と設定した場合、稼働率が相対的に低いと予想される月の始めは、復帰時間を長く設定し、稼働率の調整を行う。また、稼働率が相対的に高いと予想される月の後部分は、復帰時間を短く設定し、高稼働率の要求に対応できる。
【0089】
即ち、図12に示す期間別復帰時間テーブル811を用いる場合には、デジタル複合機は、復帰時間が短くなればなるほど稼働率が上がり、消費電力量が増加する課題に対し、復帰時間を制御することにより、稼働率と消費電力量の調和を図りつつ、消費電力量を予め決められた上限電力量に抑えることができる。
【0090】
(変形例3)
上記実施の形態1、2では、報知部304は、操作表示部400の液晶パネルに復帰時間を表示することによりユーザに電力消費状況を報知していたが、電力消費状況のみの報知であると、それが使いすぎかどうかの判断が容易にできない場合がある。その場合に備えて、以下で復帰時間によって表示を変更する処理について説明する。
【0091】
図13は、変形例3において、復帰時間によって操作表示部の液晶パネルに表示するメッセージを変更する処理の手順を示すフローチャートである。報知部304は、復帰時間を復帰時間算出部302から取得する(ステップS501)。そして、報知部304は、MEM−C107等の記憶媒体に格納されているメッセージテーブルT6に基づいて、復帰時間に対するメッセージの表示内容を取得する(ステップS502)。
【0092】
図14は、メッセージテーブルT6の一例を示す説明図である。図14に示すように、メッセージテーブルには、復帰時間に応じて、異なるメッセージが設定されている。
【0093】
次に、報知部304は、メッセージテーブルT6から取得したメッセージを、操作表示部400の液晶パネルに表示する(ステップS503)。
【0094】
そして、報知部304は、通常モードへの復帰が完了するまで(ステップS504:No)、ステップS501からS503までの処理を繰り返し、メッセージを表示する。そして、通常モードへの復帰が完了した場合には(ステップS504:Yes)、処理を終了する。なお、このメッセージテーブルT6は、ユーザの都合に合わせて、メッセージを変更して、表示内容を変えることができる。
【0095】
即ち、報知部304により、あるいは新たに報知内容変更部を設け、この報知内容変更部により、電力消費状況に従い、メッセージを変更することにより、ユーザに対して電力消費状況の理解が容易になり、節電への意識を高める効果が期待できる。
【0096】
また、図13に示すメッセージに変えて、ユーザに対して、ユーザの操作を誘導するためのメッセージを表示するように構成してもよい。
【0097】
(実施の形態3)
実施の形態1、2のデジタル複合機は、エネルギー低減モードから通常モードへの復帰時間を消費電力により算出していたが、この実施の形態3では、さらに、この復帰時間を二酸化炭素(CO2)の消費量(以下、「CO2消費量」という。)により算出して復帰処理を行っている。
【0098】
図15は、実施の形態3に係るデジタル複合機を概略的に示す構成図である。図15に示すように、デジタル複合機は、コントローラ1401や操作表示部400などのコントローラ系負荷を含むシステム管理部1500と、スキャナ部500やプリンタ部600などのエンジン系負荷を含むエンジンユニット部200とに対し、電源ユニット部300からそれぞれ電力を供給する。電源ユニット部300は、システム管理部100、及びエンジンユニット部200に対して電力を供給する直流電源900と、プリンタ部200の定着ユニット700に対して電力を供給するヒータ駆動部800とで構成されている。
【0099】
本実施の形態では、システム管理部1500は、カウンタ1502を備えている。このカウンタ1502は、コントローラ1401によりプリンタ部600に対する印刷処理が実行される場合において、出力用紙の出力枚数をカウントする。
【0100】
本実施の形態においても、実施の形態1と同様に、デジタル複合機をエネルギー低減モードで動作させるため、システム管理部1500は、エンジンユニット部200、電源ユニット部300を制御する。また、本実施の形態のコントローラ1401は、CO2消費量を算出し、このCO2消費量により、エネルギー低減モードから通常モードへの復帰時間を算出する。
【0101】
カウンタ1502およびコントローラ1401以外の構成、システム管理部1500の制御回路の構成については、実施の形態1と同様である。
【0102】
図16は、実施の形態3にかかるコントローラ1401の機能的構成を示すブロック図である。図16に示すように、コントローラ1401は、電力量累計部301と、トナー消費量算出部1603と、CO2消費量算出部1601と、復帰時間算出部1602と、復帰待ち時間算出部305と、モード制御部303と、報知部304と、消費電力基準値テーブル311と、復帰可能時間テーブル312とを主に備えている。
【0103】
ここで、電力量累計部301、復帰待ち時間算出部305、モード制御部303、報知部304、消費電力基準値テーブル311、復帰可能時間テーブル312の機能および構成については実施の形態1と同様である。
【0104】
トナー消費量算出部1603は、プリンタ出力の際の画像データの1ページ分の描画ドット数と、出力ページ数とを、画像処理を実行するCPU102から通知してもらい、次の(2)式により、現在の動作モードにおけるトナー消費量を算出する。
【0105】
トナー消費量=(1ページ描画ドット数×係数1)×出力ページ数 ・・・(2)
【0106】
ここで、係数1はプリンタ部600に接続されるプリンタエンジン特性によるため、プリンタエンジン毎に求める。また、出力ページ数は、両面印刷も考慮して、カウンタ1502でカウントされた出力用紙の出力枚数と必ずしも一致するものではない。
【0107】
CO2消費量算出部1601は、電力量累計部301によって、実施の形態1と同様に算出された現在の動作モード(復帰前の動作モード)における消費電力量と、カウンタ1502でカウントされた出力用紙の出力枚数と、トナー消費量算出部1603で算出されたトナー消費量とから、次の(3)式を用いて、CO2消費量を算出する。
【0108】
CO2消費量=消費電力量×係数2+出力枚数×係数3+トナー消費量×係数4
・・・(3)
【0109】
(2)式、(3)式において、係数1、係数2、係数3、係数4は、「地球温暖化対策地域推進計画策定ガイドライン(第3版)」平成19年3月 環境省地球環境局(http://www.env.go.jp/earth/ondanka/suishin_g/index.html)の中の参考資料「温室効果ガス排出量計算のための算定式及び排出係数一覧」等の情報から予め決定しておく。
【0110】
復帰時間算出部1602は、CO2消費量1601によって算出されたCO2消費量と、一定期間において割り当てられた上限CO2消費量と、消費電力基準値から、エネルギー低減モードから通常モードへの復帰時間を算出する。より具体的には、(4)式で示すように、復帰時間算出部1602は、上限CO2消費量とCO2消費量との差分を消費電力基準値で除算した値を、予め定められた最長復帰可能時間から差し引いた時間を復帰時間として算出する。
【0111】
復帰時間=最長復帰可能時間−(上限CO2消費量−CO2消費量)/消費電力基準値
・・・(4)
【0112】
ここで、上限CO2消費量は一定期間における最大のCO2消費量であり、予めMEM−C107やHDD108等の記憶媒体に記憶されている。また、最長復帰可能時間、消費電力基準値は、実施の形態1と同様である。
【0113】
また、復帰時間算出部1602は、実施の形態1と同様に、エネルギー低減モードから通常モードへの復帰時間を消費電力により算出することもできるようになっている。
【0114】
次に、本実施の形態に係るデジタル複合機によるエネルギー低減モードから通常モードへの復帰処理について説明する。
【0115】
図17は、実施の形態3における復帰処理の手順を示すフローチャートである。図17に示すように、復帰時はまず、電力量累計部301は、コントローラ1401のMEM−C107やHDD108などの記憶部に格納されている現在の(復帰前の)動作モード(一つとは限らない)を取得する(ステップS701)。次に、電力量累計部301は、RTCにより動作時間(復帰前の動作モードにおける動作時間)を取得する(ステップS702)。
【0116】
次に、電力量累計部301は、消費電力基準値テーブル311から、現在の動作モードに対応する消費電力基準値を読み出し、消費電力基準値にステップS702で取得した動作時間を乗算して、現在の動作モードにおける消費電力量を算出する(ステップS703)。
【0117】
次に、トナー消費量算出部1603は、画像データに基づいて得られた1ページ分の描画ドット数と出力ページ数とから、(2)式により現在の動作モードにおけるトナー消費量を算出する(ステップS704)。
【0118】
次に、CO2消費量算出部1601は、ステップS703で算出した現在の動作モード(復帰前の動作モード)における消費電力量と、カウンタ1502でカウントされた出力用紙の出力枚数と、トナー消費量算出部1603で算出されたトナー消費量とから、(3)式を用いて、CO2消費量を算出する(ステップS705)。
【0119】
次に、復帰時間算出部302は、MEM−C107等から、一定期間において割り当てられた上限CO2消費量と最長復帰可能時間を読み出し、ステップS705で算出したCO2消費量と、現在の動作モードに対応した消費電力基準値とから、(4)式を用いて復帰時間を算出する(ステップS706)。これ以降の復帰処理(ステップS707〜S709)は、実施の形態1のステップS105からS107までの処理と同様に行われる。
【0120】
このように実施の形態3のデジタル複合機では、復帰時間をCO2の消費量により算出して復帰処理を行っているので、電力量を累計するための電力量計測センサーの追加などが不要となり、製造コストを低減することが可能となる。
【0121】
なお、実施の形態1〜3にかかるデジタル複合機で実行される復帰処理プログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。
【0122】
実施の形態1〜3にかかるデジタル複合機で実行される復帰処理プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0123】
さらに、実施の形態1〜3にかかるデジタル複合機で実行される復帰処理プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。
【0124】
また、実施の形態1〜3にかかるデジタル複合機で実行される復帰処理プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0125】
実施の形態1〜3にかかるデジタル複合機で実行される復帰処理プログラムは、上述した各部(電力量累計部301、復帰時間算出部302,1602、復帰待ち時間算出部305、モード制御部303、報知部304、トナー消費量算出部1603、CO2消費量算出部1601)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記ROMから復帰処理プログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、電力量累計部301、復帰時間算出部302,1602、復帰待ち時間算出部305、モード制御部303、報知部304、トナー消費量算出部1603、CO2消費量算出部1601が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0126】
なお、上記実施の形態では、本発明の画像形成装置を、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有するデジタル複合機に適用した例を挙げて説明するが、複写機、プリンタ、スキャナ装置、ファクシミリ装置等の画像形成装置であればいずれにも適用することができる。
【符号の説明】
【0127】
100 システム管理部
101 コントローラ
102 CPU
103 システムメモリ(MEM−P)
103a ROM
103b RAM
104 SB
105 NB
106 ASIC
107 MEM−C
108 HDD
109 AGP
200 エンジンユニット部
300 電源ユニット部
301 電力量累計部
302,1602 復帰時間算出部
305 復帰待ち時間算出部
303 モード制御部
304 報知部
400 操作表示部
500 スキャナ部
600 プリンタ部
700 定着ユニット
800 ヒータ駆動部
900 直流電源
1601 CO2消費量算出部
1603 トナー消費量算出部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0128】
【特許文献1】特許第3428590号公報
【特許文献2】特開2007−159298号公報
【特許文献3】特開2008−072391号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力供給の状態が異なる複数の動作モードを有する画像形成装置であって、
現在の動作モードで消費された消費電力量を算出する電力量累計部と、
算出された消費電力量と、一定期間における最大の消費電力量として予め定められた上限電力量とから、前記画像形成装置の一部に電力供給を行う動作モードであるエネルギー低減モードから前記画像形成装置の全体に電力供給を行う動作モードである通常モードへの復帰時間を算出する復帰時間算出部と、
算出された復帰時間に基づいて、前記画像形成装置を、前記エネルギー低減モードから前記通常モードへ復帰させるモード制御部と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記動作モードごとに、予め設定された単位時間当たりの消費電力量である消費電力基準値を記憶する第1記憶部をさらに備え、
前記電力量累計部は、現在の動作モードにおける前記消費電力基準値と、前記現在の動作モードでの動作時間とを乗算することにより、前記消費電力量を算出することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記復帰時間算出部は、前記消費電力量と、前記上限電力量と、前記消費電力基準値とに基づいて、前記復帰時間を算出することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記復帰時間算出部は、前記上限電力量と前記消費電力量との差分を前記消費電力基準値で除算した値を、予め定められた最長の復帰可能時間である最長復帰可能時間から差し引いた時間を前記復帰時間として算出することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記動作モードごとに、前記エネルギー低減モードから前記通常モードへ復帰するための可能な時間である復帰可能時間を記憶する第2記憶部と、
前記第2記憶部において、現在の動作モードに対応する前記復帰可能時間から前記復帰時間を差し引いた時間を復帰待ち時間として算出する復帰待ち時間算出部と、をさらに備え、
前記モード制御部は、前記復帰待ち時間の経過後に、前記画像形成装置を、前記エネルギー低減モードから前記通常モードへ復帰させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記エネルギー低減モードは、複数の異なる動作モードを有し、
前記復帰時間算出部は、さらに、前記通常モードにおける前記消費電力量と、前記上限電力量とから、前記通常モードから前記エネルギー低減モードへの復帰時間を算出し、
前記モード制御部は、前記通常モードから前記エネルギー低減モードへの移行時に、前記復帰時間に基づいて、移行するエネルギー低減モードを決定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記復帰時間算出部は、さらに、前記通常モードと前記エネルギー低減モードとの間の移行時において、現在の動作モードにおける前記消費電力量と前記上限電力量とに基づいて前記復帰時間を算出し、算出された前記復帰時間を設定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記復帰時間算出部は、現在の動作モードにおける前記消費電力量と前記上限電力量との比である基準比が大きい程長い前記復帰時間を求めることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記復帰時間算出部は、前記上限電力量と現在の動作モードにおける前記消費電力量との差分である残電力量が小さい程長い前記復帰時間を求めることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記復帰時間算出部は、期間ごとに、前記残電力量が小さい程長い前記復帰時間を求めることを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
現在の動作モードにおける二酸化炭素の消費量を算出する二酸化炭素消費量算出部をさらに備え、
前記復帰時間算出部は、さらに、算出された二酸化炭素の消費量と、一定期間における最大の二酸化炭素の消費量として予め定められた上限二酸化炭素消費量とから、前記エネルギー低減モードから前記通常モードへの復帰時間を算出することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項12】
画像形成出力の際のトナー消費量を算出するトナー消費量算出部と、
画像形成出力の際の出力用紙の出力枚数をカウントする計数部と、をさらに備え、
前記二酸化炭素消費量算出部は、現在の動作モードにおける前記消費電力量と、前記出力枚数と、前記トナー消費量とに基づいて、前記二酸化炭素の消費量を算出することを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記エネルギー低減モードから前記通常モードへの復帰時に、画像形成装置の電力消費状況を、ユーザに対して報知する報知部
をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記報知部は、前記電力消費状況として前記復帰時間を、ユーザに対して報知することを特徴とする請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記報知部は、前記電力消費状況として、復帰が完了するまでの残り時間を、経時的に変化させながら、ユーザに対して報知することを特徴とする請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記報知部は、前記電力消費状況により、報知内容を変更することを特徴とする請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項17】
電力供給の状態が異なる複数の動作モードを有する画像形成装置で実行される復帰処理方法であって、
現在の動作モードで消費された消費電力量を算出する電力量累計ステップと、
算出された消費電力量と、一定期間における最大の消費電力量として予め定められた上限電力量とから、前記画像形成装置の一部に電力供給を行う動作モードであるエネルギー低減モードから前記画像形成装置の全体に電力供給を行う動作モードである通常モードへの復帰時間を算出する復帰時間算出ステップと、
算出された復帰時間に基づいて、前記画像形成装置を、前記エネルギー低減モードから前記通常モードへ復帰させる復帰ステップと、
を含むことを特徴とする復帰処理方法。
【請求項18】
電力供給の状態が異なる複数の動作モードを有するコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
現在の動作モードで消費された消費電力量を算出する電力量累計ステップと、
算出された消費電力量と、一定期間における最大の消費電力量として予め定められた上限電力量とから、前記コンピュータの一部に電力供給を行う動作モードであるエネルギー低減モードから前記コンピュータの全体に電力供給を行う動作モードである通常モードへの復帰時間を算出する復帰時間算出ステップと、
算出された復帰時間に基づいて、前記コンピュータを、前記エネルギー低減モードから前記通常モードへ復帰させる復帰ステップと、
を前記コンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−22559(P2011−22559A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−104356(P2010−104356)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】