説明

画像形成装置、画像データ出力方法および画像データ出力プログラム

【課題】 出力先を選択する操作を容易にする。
【解決手段】 画像形成装置は、所定の範囲に存在する出力装置と通信する無線通信部(S04)と、無線通信部が無線通信可能な出力装置が存在する場合(S04でYES)、該出力装置に関する装置能力情報を取得する装置能力情報取得部(S07)と、原稿を読み取って画像データを出力する原稿読取部(S02)と、画像データの画像を記録媒体に形成する画像形成部(S14)と、取得された装置能力情報に基づいて、出力装置が出力可能な出力形態を決定する出力形態決定部と、決定された出力形態および画像形成部により画像形成する出力形態を選択可能に表示する出力形態選択部(S09)と、選択可能に表示された出力形態のうちからユーザにより選択された出力形態で、画像データを出力する出力部(S13)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置、画像データ出力方法および画像データ出力プログラムに関し、特に、携帯電話機等の携帯情報装置と無線通信可能な画像形成装置、その画像形成装置で実行される画像データ出力方法および画像データ出力プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
原稿を読み取って得られる画像データを用紙に形成する複写機能を備えた複合機は、外部メモリが接続可能なものがある。この複合機では、原稿を読み取って得られる画像データを外部メモリに記憶することが可能である。
【0003】
例えば、特開平8−223345号公報には、外部メモリが接続されている場合に、それに記憶されているデータの画像フォーマットを識別し、原稿画像をスキャンして得られる画像データを、識別された画像フォーマットに変換して記憶する技術が記載されている。また、特開2009−9419号公報には、外部メモリに、データを記憶させることができない場合に、外部メモリに予め記憶された転送先情報が示す転送先にデータを転送する技術が記載されている。
【0004】
原稿を読み取って得られる画像データを、用紙に画像形成するか、あるいは、外部メモリに記憶するかを、原稿をスキャンする前の段階で、決定しなければならない。原稿をスキャン前に出力先を設定する操作は、煩雑であるといった問題がある。このため、原稿をセットしてスタートボタンを押すことにより、用紙に画像が形成されてしまうことが多い。
【特許文献1】特開平8−223345号公報
【特許文献2】特開2009−9419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、上述した問題点を解決するためになされたもので、この発明の目的の1つは、出力先を選択する操作を容易にした画像形成装置を提供することである。
【0006】
この発明の他の目的は、出力先を選択する操作を容易にした画像データ出力方法を提供することである。
【0007】
この発明のさらに他の目的は、出力先を選択する操作を容易にした画像データ出力プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的を達成するためにこの発明のある局面によれば、画像形成装置は、所定の範囲に存在する出力装置と通信する無線通信手段と、無線通信手段が無線通信可能な出力装置が存在する場合、該出力装置に関する装置能力情報を取得する装置能力情報取得手段と、原稿を読み取って画像データを出力する原稿読取手段と、画像データの画像を記録媒体に形成する画像形成手段と、取得された装置能力情報に基づいて、出力装置が出力可能な出力形態を決定する出力形態決定手段と、決定された出力形態および画像形成手段により画像形成する出力形態を選択可能に表示する出力形態選択手段と、選択可能に表示された出力形態のうちからユーザにより選択された出力形態で、画像データを出力する出力手段と、を備える。
【0009】
この局面に従えば、所定の範囲に存在する出力装置が存在する場合、該出力装置に関する装置能力情報が取得され、装置能力情報に基づいて、出力装置が出力可能な出力形態が決定され、決定された出力形態および画像形成する出力形態が選択可能に表示され、ユーザにより選択された出力形態で、画像データが出力される。このため、原稿を読み取った画像データの出力先を、原稿を読み取った後で選択することができる。その結果、出力先を選択する操作を容易にした画像形成装置を提供することができる。
【0010】
好ましくは、出力形態選択手段は、取得された装置能力情報に基づいて、決定された出力形態で出力するために出力装置により消費される第1消費電力を算出する第1消費電力算出手段と、決定された出力形態で出力するために自装置で消費される第2消費電力を算出する第2消費電力算出手段と、第1消費電力と第2消費電力とを表示する消費電力表示手段と、を含む。
【0011】
この局面に従えば、装置能力情報に基づいて、出力装置により消費される第1消費電力と、自装置で消費される第2消費電力とが算出され、表示される。このため、ユーザは、消費電力を比較して出力先を決定することができる。
【0012】
好ましくは、第1消費電力算出手段は、画像データを解析し、画像データを出力する時間を予測する出力時間予測手段を含む。
【0013】
この局面に従えば、画像データを出力する時間が予測され、第1消費電力が算出されるので、第1消費電力を容易に算出することができる。
【0014】
好ましくは、出力時間予測手段は、出力形態が画像の場合、取得された装置能力情報に含まれる表示可能サイズと、画像データの表示サイズとの比率に基づいて、画像データを出力する時間を予測する。
【0015】
この局面に従えば、出力形態が画像の場合、装置能力情報に含まれる表示可能サイズと画像データの表示サイズとの比率に基づいて、画像データを出力する時間が予測される。このため、第1消費電力を容易に算出することができる。
【0016】
好ましくは、出力時間予測手段は、出力形態が画像であって、画像データが文字を含む場合、画像データに含まれる文字のサイズに応じて、画像データの表示サイズを変更する表示サイズ変更手段を、含む。
【0017】
この局面に従えば、出力形態が画像であって、画像データが文字を含む場合、画像データに含まれる文字のサイズに応じて、画像データの表示サイズが変更されるので、文字を認識可能なサイズで表示されるサイズに基づいて画像データを出力する時間を予測することができ、実際に表示される時間に近い時間を予測することができる。
【0018】
好ましくは、出力時間予測手段は、出力形態が音声の場合、画像データに含まれる文字数または単語数をカウントするカウント手段を含み、カウントされた文字数または単語数に基づいて、画像データを出力する時間を予測する。
【0019】
この局面に従えば、出力形態が音声の場合、画像データに含まれる文字数または単語数に基づいて、画像データを出力する時間が予測される。このため、音声を出力する時間を容易に予測することができる。
【0020】
好ましくは、原稿読取手段により出力される画像データを出力形態選択手段により選択された出力形態に適したフォーマットに変換するフォーマット変換手段と、をさらに備え
第2消費電力算出手段は、画像データを決定されたフォーマットに変換するために消費される電力を算出する。
【0021】
この発明の他の局面によれば、画像データ出力方法は、画像形成装置で実行される画像処理方法であって、画像形成装置は、所定の範囲に存在する出力装置と通信する無線通信手段と、原稿を読み取って画像データを出力する原稿読取手段と、画像データの画像を記録媒体に形成する画像形成手段と、を備え、無線通信手段が無線通信可能な出力装置が存在する場合、該出力装置に関する装置能力情報を取得するステップと、取得された装置能力情報に基づいて、出力装置が出力可能な出力形態を決定するステップと、決定された出力形態および画像形成手段により画像形成する出力形態を選択可能に表示するステップと、選択可能に表示された出力形態のうちからユーザにより選択された出力形態で、画像データを出力するステップと、を含む。
【0022】
この局面に従えば、画像データの出力先を、原稿を読み取った後で選択することができるので、出力先を選択する操作を容易にした画像データ出力方法を提供することができる。
【0023】
この発明のさらに他の局面によれば、画像データ出力プログラムは、画像形成装置を制御するコンピュータで実行される画像処理方法であって、画像形成装置は、所定の範囲に存在する出力装置と通信する無線通信手段と、原稿を読み取って画像データを出力する原稿読取手段と、画像データの画像を記録媒体に形成する画像形成手段と、を備え、無線通信手段が無線通信可能な出力装置が存在する場合、該出力装置に関する装置能力情報を取得するステップと、取得された装置能力情報に基づいて、出力装置が出力可能な出力形態を決定するステップと、決定された出力形態および画像形成手段により画像形成する出力形態を選択可能に表示するステップと、選択可能に表示された出力形態のうちからユーザにより選択された出力形態で、画像データを出力するステップと、をコンピュータに実行させる。
【0024】
この局面に従えば、画像データの出力先を、原稿を読み取った後で選択することができるので、出力先を選択する操作を容易にした画像データ出力プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態の1つにおける画像形成システムの一例を示す図である。
【図2】MFPのハードウエア構成の一例を示すブロック図である。
【図3】MFPが備えるCPUの機能の概要の一例を示すブロック図である。
【図4】第1消費電力算出部の詳細な構成の一例を示す図である。
【図5】選択画面の一例を示す図である。
【図6】選択出力処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図7】選択画面表示処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図8】第1消費電力算出処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図9】第2消費電力算出処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図10】フォーマット変換処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。以下の説明では同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
【0027】
図1は、本発明の実施の形態の1つにおける画像形成システムの一例を示す図である。図1を参照して、画像形成システム1は、MFP(Multifunction Peripheral)100と、PDA(Personal Digital Assistant)301と、携帯電話機303と、を含む。携帯電話機303は、スマートフォンを含む。
【0028】
MFP100は、画像形成装置の一例であり、スキャナ機能、プリンタ機能、コピー機能、ファクシミリ機能等の複数の機能を備える。MFP100は、PDA301または携帯電話機303とBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信によって接続され、PDA301または携帯電話機303と通信可能である。
【0029】
図2は、MFPのハードウエア構成の一例を示すブロック図である。図2を参照して、MFP100は、メイン回路101と、ADF10と、原稿読取部20と、画像形成部30と、給紙部40と、後処理部50と、操作パネル13と、を含む。
【0030】
ADF10は、原稿給紙トレイ上にセットされた複数枚の原稿を1枚ずつ自動的に原稿読取部20のプラテンガラス上に設定された所定の原稿読取位置まで搬送し、原稿読取部20により原稿画像が読み取られた原稿を原稿排紙トレイ上に排出する。
【0031】
原稿読取部20は、ADF10のよって原稿読取位置に搬送されてきた原稿、または、原稿読取部20の原稿読み取り面にユーザにより載置された原稿を、光学的に読み取る。原稿読取部20は、原稿に光を照射する光源と、原稿で反射した光を受光する光電変換素子とを含み、原稿のサイズに応じた原稿画像を走査する。光電変換素子は、受光した光を電気信号である画像データに変換して、メイン回路101が備えるHDD116に記憶する、または画像形成部30に出力する。
【0032】
画像形成部30は、周知の電子写真方式により画像を形成するものであって、原稿読取部20から入力される画像データにシェーディング補正などの各種のデータ処理を施し、データ処理後の画像データに基づいて、給紙部40により搬送される用紙に画像を形成する。給紙部40は、給紙トレイに収納された用紙を画像形成部30に搬送する。
【0033】
後処理部50は、画像が形成された用紙を排紙する。後処理部50は、複数の排紙トレイを有し、ソート部、パンチ穴加工部、ステープル加工部を備えている。ソート部は、画像が形成された複数の用紙を複数の排紙トレイにソートして出力する。パンチ穴加工部は、用紙にパンチ穴を開ける。ステープル加工部は、画像が形成された複数の用紙をまとめるためにステープル加工する。
【0034】
メイン回路101は、CPU111と、通信インターフェース(I/F)部112と、ROM(Read Only Memory)113と、RAM(Random Access Memory)114と、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)115と、大容量記憶装置としてのハードディスクドライブ(HDD)116と、ファクシミリ部117と、ネットワークI/F118と、無線通信部119と、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)120Aが装着される外部記憶装置120と、を含む。CPU111は、ADF10、原稿読取部20、画像形成部30、給紙部40、後処理部50、操作パネル13と接続され、MFP100の全体を制御する。
【0035】
ROM113は、CPU111が実行するプログラム、およびそのプログラムを実行するために必要なデータを記憶する。RAM114は、CPU111がプログラムを実行する際の作業領域として用いられる。
【0036】
通信I/F部112は、MFP100を他の装置とシリアル通信ケーブルで接続するためのインターフェースである。なお、接続形態は、有線であっても無線であってもよい。
【0037】
ファクシミリ部117は、公衆交換電話網(PSTN)に接続され、PSTNにファクシミリデータを送信する、またはPSTNからファクシミリデータを受信する。ファクシミリ部117は、受信したファクシミリデータを、HDD116に記憶する、または画像形成部30に出力する。画像形成部30は、ファクシミリ部117により受信されたファクシミリデータの画像を用紙に形成する。また、ファクシミリ部117は、HDD116に記憶されたデータをファクシミリデータに変換して、PSTNに接続されたファクシミリ装置に送信する。
【0038】
ネットワークI/F118は、MFP100をネットワークに接続するためのインターフェースである。CPU111は、ネットワークI/F118を介してネットワークに接続されたパーソナルコンピュータと通信可能である。
【0039】
無線通信部119は、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信する。無線通信部119は、通信可能な距離が制限されており、近距離の無線通信が可能である。このため、無線通信部119は、MFP100から所定の距離内に存在する装置と通信が可能である。無線通信部119は、所定の距離内にPDA301または携帯電話機303が存在すれば、PDA301または携帯電話機303と無線通信する。無線通信部119は、PDA301または携帯電話機303と通信が可能になると、PDA301または携帯電話機303と通信し、CPU111にPDA301または携帯電話機303の装置識別情報を出力する。
【0040】
外部記憶装置120は、CD−ROM120Aが装着される。CPU111は、外部記憶装置120を介してCD−ROM120Aにアクセス可能であり、CD−ROM120Aに記憶されたプログラムをRAM114にロードして実行可能である。なお、CPU111が実行するプログラムは、CD−ROM120Aに記憶されたプログラムに限られず、他の記憶媒体に記憶されたプログラムでもよく、HDD116に記憶されたプログラムであってもよく、さらに、ネットワークI/F118を介してネットワークに接続された他のコンピュータによりHDD116に書き込みされたプログラムであってもよい。
【0041】
なお、プログラムを記憶する記憶媒体としては、CD−ROM120Aに限られず、光ディスク(MO(Magnetic Optical Disc)/MD(Mini Disc)/DVD(Digital Versatile Disc))、ICカード、光カード、マスクROM、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROMなどの半導体メモリでもよい。この場合、外部記憶装置120は、USB(登録商標)規格でシリアル通信するシリアル通信回路であってもよい。この場合に、外部記憶装置120に装着される他の記録媒体の具体例としては、上記半導体メモリを内蔵したUSB(登録商標)メモリおよび外付けのHDDデバイスである。
【0042】
ここでいうプログラムは、CPU111が直接実行可能なプログラムだけでなく、ソースプログラム、圧縮処理されたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む。
【0043】
操作パネル13は、MFP100の上面に設けられ、表示部103と、操作部105とを含む。表示部103は、液晶表示装置、有機ELD(Electroluminescence Display)等の表示装置であり、ユーザに対する指示メニューや取得した表示データに関する情報等を表示する。操作部105は、ユーザの操作を受け付け、受け付けられた操作をCPU111に出力する。操作部105は、表示部103の上に重畳して配置されたタッチパネルを含む。タッチパネルは、透明な部材からなり、表示部103に重畳して配置される。タッチパネルは、ユーザがタッチパネルを指で触れると、触れられた位置を指示位置として検出し、CPU111に出力する。
【0044】
図3は、MFPが備えるCPUの機能の概要の一例を示すブロック図である。図3に示すMFP100が備えるCPU111の機能は、CPU111がROM113、EEPROM115、HDD116またはCD−ROM120Aに記憶された画像データ出力プログラムを実行することによって、CPU111により実現される。図3を参照して、MFP100が備えるCPU111は、所定の範囲内に存在する出力装置を検出する出力装置検出部51と、検出された出力装置から装置能力情報を取得する装置能力取得部53と、画像データを取得する画像データ取得部59と、装置能力情報に基づいて、画像データを出力可能な出力形態を決定する出力形態決定部55と、決定された出力形態および画像形成する出力形態を選択可能に表示する出力形態選択部57と、画像データのフォーマットを変換するフォーマット変換部61と、フォーマット変換された画像データをユーザにより選択された出力形態で出力する出力部63と、を含む。
【0045】
出力装置検出部51は、無線通信部119を制御し、所定の範囲内に存在する出力装置を検出する。出力装置は、ここでは、PDA301および携帯電話機303を含む。無線通信部119は、PDA301および携帯電話機303のいずれかと通信可能になると、通信可能となった装置の装置識別情報を出力する。出力装置検出部51は、無線通信部119が出力する装置識別情報を取得する。出力装置検出部51は、装置識別情報を取得すると、装置識別情報で特定される装置を所定の範囲内に存在する出力装置として検出する。出力装置検出部51は、出力装置を検出すると、検出された出力装置の装置識別情報を装置能力取得部53に出力する。出力装置検出部51は、所定の範囲に複数の出力装置が存在する場合には、複数の出力装置それぞれを検出する。ここでは、出力装置検出部51が、PDA301および携帯電話機303それぞれを出力装置として検出した場合を例に、説明する。
【0046】
装置能力取得部53は、出力装置検出部51から装置識別情報が入力されると、装置識別情報で特定される出力装置、ここではPDA301および携帯電話機303に関する装置能力情報を取得する。装置能力取得部53は、無線通信部119を制御して、PDA301および携帯電話機303とそれぞれ通信し、PDA301および携帯電話機303それぞれから装置能力情報を受信する。PDA301および携帯電話機303それぞれに、MFP100と通信するためのアプリケーションプログラムをインストールしておくようにすればよい。
【0047】
装置能力情報は、出力可能なデータの種類およびフォーマットと、単位時間当たりの消費電力と、データ転送速度と、基本処理時間と、データの種類が画像の場合には表示画面のサイズおよび解像度と、を少なくとも含む。データの種類は、文字、画像および音声の別を示す。単位時間当たりの消費電力は、データを出力する際の所定単位当たりの消費電力であり、データの種類が画像の場合には、1画面を所定時間表示する際の消費電力であり、データの種類が音声の場合には、所定時間の音を出力する際の消費電力である。装置能力取得部53は、装置識別情報とデータの種類およびフォーマットとの組を出力形態選択部57に出力し、装置識別情報と消費電力との組を出力形態選択部57に出力する。
【0048】
フォーマットは、文字、画像および音声それぞれに対して規格化されたファイル形式を示す。例えば、文字に対してはテキストである。画像に対してはPDF(Portable Document Format)、GIF(Graphics Interchange Format)、TIFF(Tagged Image File Format)、JPEG(Joint Photographic Experts Group)を含む。音声に対しては、MP3(MPEG Audio Layer 3)、WAV(Waveform)、WMA(Windows(登録商標) Media Audio)、RealAudio等を含む。
【0049】
ここでは、PDA301の装置識別情報を「△Pad」とし、携帯電話機の装置識別情報を「□phone」とする場合を例に説明する。また、PDA301の装置能力情報を、データの種類が「文字」を示すフォーマット「テキスト」と、データの種類が「画像」を示すフォーマット「PDF」とを含み、携帯電話機303の装置能力情報を、データの種類が「文字」を示すフォーマット「テキスト」と、データの種類が「画像」を示すフォーマット「PDF」と、データの種類が「音声」を示すフォーマット「MP3」とを含む場合を例に説明する。
【0050】
出力形態決定部55は、装置能力取得部53から入力される装置識別情報と装置能力情報との組に基づいて、出力装置が出力可能な出力形態を決定する。出力形態は、装置識別情報と、データの種類と、フォーマットとを含む。出力形態決定部55は、装置能力取得部53から装置識別情報と装置能力情報との組が複数入力される場合、複数の装置識別情報ごとに、出力形態を決定する。例えば、装置識別情報「△pad」のPDA301に対しては、装置能力情報が「テキスト」と「PDF」とを含むので、出力形態として、装置識別情報「△pad」、データの種類「文字」およびフォーマット「テキスト」とする第1の出力形態と、装置識別情報「△pad」、データの種類「画像」およびフォーマット「PDF」とする第2の出力形態と、を決定する。また、装置識別情報「□phone」の携帯電話機303に対しては、装置能力情報が、「テキスト」と「PDF」と「MP3」とを含むので、出力形態として、装置識別情報「□phone」、データの種類「文字」およびフォーマット「テキスト」とする第3の出力形態と、装置識別情報「□phone」、データの種類「画像」およびフォーマット「PDF」とする第4の出力形態と、装置識別情報「□phone」、データの種類「音声」およびフォーマット「MP3」とする第5の出力形態と、を決定する。出力形態決定部55は、決定した出力形態を、出力形態選択部57に出力する。ここでは、第1〜第5の出力形態を出力形態選択部57に出力する。
【0051】
画像データ取得部59は、原稿読取部20を制御し、原稿読取部20が原稿を読み取って出力する画像データを取得する。画像データ取得部59は、取得された画像データを出力形態選択部57およびフォーマット変換部61に出力する。
【0052】
出力形態選択部57は、出力形態決定部55から入力される第1〜第5の出力形態に、画像データの画像を画像形成部30により用紙に形成する第6の出力形態を追加し、第1〜第6の出力形態をユーザが選択可能に表示部103に表示し、ユーザによる選択を受け付ける。
【0053】
出力形態選択部57は、第1消費電力算出部71と、第2消費電力算出部73と、消費電力表示部75と、選択受付部77と、を含む。第1消費電力算出部71は、装置能力取得部53から装置識別情報と装置能力情報との組が入力され、出力形態決定部55から第1〜第5の出力形態が入力され、画像データ取得部59から画像データが入力される。第1消費電力算出部71は、出力形態決定部55により決定された第1〜第5の出力形態ごとに、装置能力取得部53から入力される装置能力情報の消費電力に基づいて、画像データ取得部59から入力される画像データを出力するために消費する第1電力を算出する。 第1消費電力算出部71は、出力形態ごとに、出力装置により消費される第1消費電力を算出する。具体的には、画像データを第1〜第5の出力形態で出力する場合に、出力装置で消費される電力を算出する。ここでは、画像データを第1〜第5の出力形態で出力する場合に、出力装置における出力時間を予測し、出力装置の装置能力情報に含まれる消費電力を乗算することにより、第1消費電力を算出する。
【0054】
図4は、第1消費電力算出部の詳細な構成の一例を示す図である。図4を参照して、第1消費電力算出部71は、サイズ変更部93と、カウント部95と、を含む。
【0055】
第1消費電力算出部71は、出力形態がデータの種類として「画像」を含む場合、出力装置が画像を表示する時間を予測する。サイズ変更部93は、画像データが文字を含む場合、画像データの表示サイズを変更する。具体的には、サイズ変更部93は、画像データに含まれる文字のうちサイズが最小の文字のサイズを検出する。そして、予め定められた標準サイズを最小の文字のサイズで除算した値を、倍率として決定する。決定される倍率は、出力装置において、画像データに含まれ、サイズが最小の文字が標準サイズになるまで画像データを拡大または縮小して表示されると仮定した場合の、画像データの表示サイズである。第1消費電力算出部71は、画像データの表示サイズを、装置能力情報に含まれる表示可能サイズで除算した値を整数に切り上げた値を、切換回数に決定する。出力装置の表示可能サイズが、縮小または拡大された画像データの表示サイズより小さい場合、切換回数は2以上の値になる。第1消費電力算出部71は、ユーザが出力装置に表示された1つの画面を閲覧する単位閲覧時間を予め定めており、単位閲覧時間に切換回数を乗算した閲覧時間を、画像データの出力時間として算出する。
【0056】
カウント部95は、画像データが文字を含む場合、文字数をカウントする。具体的には、カウント部95は、画像データ中から文字が表された文字領域を抽出し、文字領域中に含まれる文字を検出し、検出された文字の数をカウントする。
【0057】
第1消費電力算出部71は、出力形態がデータの種類として「文字」を含む場合、出力装置が一度に表示可能な文字数に基づいて、出力装置が文字を表示する時間を予測する。第1消費電力算出部71は、カウント部95がカウントした文字数を、装置能力情報に含まれる表示可能文字数で除算した値を整数に切り上げた値を、切換回数に決定する。出力装置の表示可能文字数が、カウント部95がカウントした文字数より小さい場合、切換回数は2以上の値になる。第1消費電力算出部71は、ユーザが出力装置に表示された1つの画面を閲覧する単位閲覧時間を予め定めており、単位閲覧時間に切換回数を乗算した閲覧時間を、画像データの出力時間として算出する。
【0058】
第1消費電力算出部71は、出力形態がデータの種類として「音声」を含む場合、出力装置が音声を出力する時間を算出する。第1消費電力算出部71は、1文字を再生する単位再生時間を予め定めており、カウント部95がカウントした文字数に単位再生時間を乗算した再生時間を、画像データの出力時間として算出する。後述するように、出力形態がデータの種類として「音声」を含む場合、画像データを文字認識し、文字認識された文字を音声合成した音声データを生成する。なお、ここでは、カウント部95が文字数をカウントするようにしたが、検出される文字が、英文字の場合には、単語数をカウントするようにしてもよい。この場合には、単位再生時間は、1単語を再生する時間となる。
【0059】
第1消費電力算出部71は、出力形態ごとに予測された出力時間に、出力形態により定まる出力装置の装置能力情報に含まれる単位時間当たりの消費電力を乗じた値を、第1消費電力として算出し、算出した第1消費電力を消費電力表示部75に出力する。また、第1消費電力算出部71は、第1消費電力算出部71により算出された切換回数が所定のしきい値以上の出力形態については、消費電力表示部75に、第1消費電力に加えて不適信号を出力する。
【0060】
具体的には、第1の出力形態は、装置識別情報「△pad」、データの種類「文字」およびフォーマット「テキスト」である。画像データに含まれる文字数を、装置識別情報「△pad」で特定されるPDA301の表示可能文字数で除算した値を整数に切り上げた値が切換回数である。そして、切換回数に単位閲覧時間を乗じた値が、出力時間である。さらに、出力時間にPDA301の単位時間当たりの消費電力を乗じた値が第1の出力形態に対する第1消費電力である。
【0061】
第2の出力形態は、装置識別情報「△pad」、データの種類「画像」およびフォーマット「PDF」である。画像データが文字を含む場合、画像データに含まれる文字のうちサイズが最小の文字のサイズを検出し、予め定められた標準サイズを最小の文字のサイズで除算した値を、倍率として決定する。例えば、2倍とすると、画像データの解像度を2倍にした画像データの表示サイズを装置識別情報「△pad」で特定されるPDA301の表示可能サイズで除算した値を整数に切り上げた値が、切換回数である。そして、切換回数に単位閲覧時間を乗じた値が、出力時間である。さらに、出力時間にPDA301の単位時間当たりの消費電力を乗じた値が第2の出力形態に対する第1消費電力である。
【0062】
第3の出力形態は、装置識別情報「□phone」、データの種類「文字」およびフォーマット「テキスト」である。第1の出力形態と同様にして、画像データに含まれる文字数を、装置識別情報「△phone」で特定される携帯電話機303の表示可能文字数で除算した値を整数に切り上げた値が切換回数である。そして、切換回数に単位閲覧時間を乗じた値が、出力時間である。さらに、出力時間に携帯電話機303の単位時間当たりの消費電力を乗じた値が第3の出力形態に対する第1消費電力である。
【0063】
第4の出力形態は、装置識別情報「□phone」、データの種類「画像」およびフォーマット「PDF」である。第2の出力形態と同様にして、画像データが文字を含む場合、画像データに含まれる文字のうちサイズが最小の文字のサイズを検出し、予め定められた標準サイズを最小の文字のサイズで除算した値を、倍率として決定する。例えば、2倍とすると、画像データの解像度を2倍にした画像データの表示サイズを装置識別情報「□phone」で特定される携帯電話機303の表示可能サイズで除算した値を整数に切り上げた値が、切換回数である。そして、切換回数に単位閲覧時間を乗じた値が、出力時間である。さらに、出力時間に携帯電話機303の単位時間当たりの消費電力を乗じた値が第4の出力形態に対する第1消費電力である。ここでは、第4の出力形態において、切換回数がしきい値を超えた場合を例に説明する。
【0064】
第5の出力形態は、装置識別情報「□phone」、データの種類「音声」およびフォーマット「MP3」である。画像データに含まれる文字数に単位再生時間を乗算した再生時間が出力時間である。出力時間に装置識別情報「□phone」で特定される携帯電話機303の単位時間当たりの消費電力を乗じた値が第5の出力形態に対する第1消費電力である。
【0065】
なお、第1消費電力算出部71は、出力時間に単位時間当たりの消費電力を乗じた値を第1消費電力としたが、出力装置がデータを受信するために消費する電力を、第1消費電力に加算するようにしてもよい。
【0066】
第2消費電力算出部73は、装置能力取得部53から装置識別情報と装置能力情報との組が入力され、出力形態決定部55から第1〜第5の出力形態が入力され、画像データ取得部59から画像データが入力される。第2消費電力算出部73は、出力形態決定部55により決定された第1〜第5の出力形態ごとに、画像データ取得部59から入力される画像データを、第1〜第5の出力形態で定まるデータの種類およびフォーマットに変換するためにMFP100で消費される第2消費電力を算出する。
【0067】
具体的には、第2消費電力算出部73は、出力形態で定まるデータの種類が「画像」の場合、画像データのフォーマットを、出力形態で定まるフォーマットに変換するために、MFP100で消費される電力を算出する。ここでは、画像データ取得部59が出力する画像データのフォーマットをビットマップとしている。第2消費電力算出部73は、所定単位のビットマップデータをそれぞれのフォーマットに変換するためのフォーマット別単位消費電力を予め記憶しておき、画像データのサイズにフォーマット別単位消費電力を乗じた値を、第2消費電力とする。
【0068】
また、第2消費電力算出部73は、出力形態で定まるデータの種類が「文字」の場合、画像データを光学文字読取(OCR)処理することにより文字を認識することによって、テキストフォーマットに変換する。OCR処理によって1文字を認識するための文字認識用単位消費電力を予め記憶しておき、画像データ中に含まれる文字数に文字認識用単位消費電力を乗じた値を、第2消費電力とする。
【0069】
さらに、第2消費電力算出部73は、出力形態で定まるデータの種類が「音声」の場合、画像データを光学文字読取(OCR)処理することにより文字を認識し、認識された文字を音声合成することによって、音声データフォーマットに変換する。音声合成処理によって1文字を音声合成するための音声合成用単位消費電力を予め記憶しておき、画像データ中に含まれる文字数に文字認識用単位消費電力を乗じた値と、画像データ中に含まれる文字数に音声合成用単位消費電力を乗じた値との和を、第2消費電力とする。
【0070】
さらに、第2消費電力算出部73は、第6の出力形態で、画像データ取得部59から入力される画像データを出力する場合に、MFP100で消費される電力を、第2消費電力として算出する。第2消費電力算出部73は、画像データの画像を画像形成部30で画像形成する際の単位枚数当たりの画像形成用消費電力を予め記憶しており、画像データの画像のページ数に画像形成用消費電力を乗算した値を、第2消費電力として算出する。
【0071】
第2消費電力算出部73は、第1〜第6の出力形態ごとに算出された第2消費電力を、消費電力表示部75に出力する。
【0072】
第1の出力形態は、装置識別情報「△pad」、データの種類「文字」およびフォーマット「テキスト」である。画像データに含まれる文字数に、文字認識用単位消費電力を乗じた値が、第1の出力形態に対応する第2消費電力である。
【0073】
第2の出力形態は、装置識別情報「△pad」、データの種類「画像」およびフォーマット「PDF」である。画像データのサイズに、フォーマット「PDF」に対応するフォーマット別単位消費電力を乗じた値が、第2の出力形態に対応する第2消費電力である。
【0074】
第3の出力形態は、装置識別情報「□phone」、データの種類「文字」およびフォーマット「テキスト」である。画像データに含まれる文字数に、文字認識用単位消費電力を乗じた値が、第3の出力形態に対応する第2消費電力であり、第1の出力形態に対応する第2消費電力と同じ値である。
【0075】
第4の出力形態は、装置識別情報「□phone」、データの種類「画像」およびフォーマット「PDF」である。画像データのサイズに、フォーマット「PDF」に対応するフォーマット別単位消費電力を乗じた値が、第4の出力形態に対応する第2消費電力であり、第2の出力形態に対応する第2消費電力と同じである。
【0076】
第5の出力形態は、装置識別情報「□phone」、データの種類「音声」およびフォーマット「MP3」である。画像データに含まれる文字数に文字認識用単位消費電力を乗じた値と、画像データ中に含まれる文字数に音声合成用単位消費電力を乗じた値との和が、第5の出力形態に対応する第2消費電力である。
【0077】
消費電力表示部75は、第1消費電力算出部71から第1〜第5の出力形態ごとの第1消費電力が入力され、第2消費電力算出部73から第1〜第6の出力形態ごとの第2消費電力が入力される。消費電力表示部75は、第1〜第6の出力形態のいずれかを選択するための選択画面を生成し、表示部103に表示する。選択画面は、第1〜第6の出力形態を選択可能に表示する画面であり、第1〜第6の出力形態ごとに第1消費電力および第2消費電力を表示する画面である。また、消費電力表示部75は、第1消費電力算出部71から第1消費電力とともに不適信号が入力される出力形態、ここでは第4の出力形態については、「推奨しません」のメッセージを、フォーマットとともに表示する。
【0078】
図5は、選択画面の一例を示す図である。図5を参照して、選択画面201は、「出力形態」の項目と、「消費電力(mWh)」の項目とを含む。「出力形態」の項目は、「出力先機器」の項目と、「フォーマット」の項目を含む。「出力先機器」の項目には、装置識別情報が表示され、「フォーマット」の項目には、変換後のフォーマットが表示される。「消費電力(mWh)」の項目は、「機器」の項目と、「MFP」の項目と、「計」の項目とを含む。「機器」の項目には第1消費電力が表示され、「MFP」の項目には第2消費電力が表示され、「計」の項目には第1消費電力と第2消費電力との合計が表示される。
【0079】
図5に示す選択画面201においては、第1行目に、第1の出力形態の装置識別情報「△pad」、フォーマット「テキスト」と、第1消費電力「2」、第2消費電力「10」、計「12」が表示され、第1の出力形態が選択された状態を、装置識別情報「△pad」およびフォーマット「テキスト」を反転表示することで示している。
【0080】
第2行目に、第2の出力形態の装置識別情報「△pad」、フォーマット「PDF」、第1消費電力「2」、第2消費電力「30」、計「32」が表示される。第3行目に、第3の出力形態の装置識別情報「□phone」、フォーマット「テキスト」、第1消費電力「6」、第2消費電力「10」、計「16」が表示される。
【0081】
第4行目に、第4の出力形態の装置識別情報「□phone」、フォーマット「PDF(推奨しません)」、第1消費電力「10」、第2消費電力「30」、計「40」が表示される。フォーマットの項目に、「推奨しません」のメッセージを含む。画面の切換回数が所定回数以上となるからである。
【0082】
第5行目に、第5の出力形態の装置識別情報「□phone」、フォーマット「MP3」、第1消費電力「12」、第2消費電力「40」、計「52」が表示される。第6行目に、第6の出力形態の装置識別情報「MFP」、フォーマット「ハードコピー(用紙)」、第2消費電力「100」、計「100」が表示される。第6の出力形態においては、機器でデータが出力されないため、第1消費電力は何も表示されない。
【0083】
ユーザは、選択画面からMFPおよび出力装置それぞれで消費される電力と、それらの合計の電力を知ることができ、消費電力を参考にして第1〜第6の出力形態のうちから1つを選択することができる。
【0084】
図3に戻って、選択受付部77は、選択画面に表示された第1〜第6の出力形態のうちから1つを選択する操作を受け付ける。選択受付部77は、第1〜第6の出力形態のうち選択された出力形態を、フォーマット変換部61および出力部63に出力する。
【0085】
フォーマット変換部61は、画像データ取得部59から画像データが入力され、出力形態選択部57から出力形態が入力される。フォーマット変換部61は、画像データ取得部59から入力される画像データを、出力形態選択部57から入力される出力形態で定められるフォーマットのデータに変換し、変換したデータを出力部63に出力する。
【0086】
第1の出力形態、第3の出力形態が選択される場合、フォーマット「テキスト」である。フォーマット変換部61は、フォーマット「ビットマップ」の画像データを、文字認識処理することにより、フォーマット「テキスト」のデータに変換し、変換したフォーマット「テキスト」のデータを出力部63に出力する。
【0087】
第2の出力形態、第4の出力形態が選択される場合、フォーマット「PDF」である。フォーマット変換部61は、フォーマット「ビットマップ」の画像データを、フォーマット「PDF」のデータに変換し、変換したフォーマット「PDF」のデータを出力部63に出力する。
【0088】
第5の出力形態が選択される場合、フォーマット「MP3」である。フォーマット変換部61は、フォーマット「ビットマップ」の画像データを、文字認識処理することにより、フォーマット「テキスト」のデータに変換し、変換したフォーマット「テキスト」のデータを音声合成することにより、フォーマット「MP3」のデータに変換し、変換したフォーマット「MP3」のデータを出力部63に出力する。
【0089】
第6の出力形態が選択される場合、フォーマット「ハードコピー(用紙)」である。フォーマット変換部61は、フォーマット「ビットマップ」の画像データを出力部63に出力する。
【0090】
出力部63は、フォーマット変換部61から変換後のデータが入力され、出力形態選択部57から出力形態が入力される。出力部63は、フォーマット変換部61から入力されるデータを、出力形態選択部57から入力される出力形態に含まれる装置識別情報で特定される出力装置に出力する。出力部63は、画像形成制御部79と、データ送信部81と、を含む。
【0091】
画像形成制御部79は、出力形態選択部57から入力される出力形態に含まれる装置識別情報がMFP100を特定する場合、画像形成部30を制御し、フォーマット変換部61から入力される画像データを、画像形成部30に出力し、画像形成部30に画像データの画像を形成させる。データ送信部81は、出力形態選択部57から入力される出力形態に含まれる装置識別情報がMFP100を特定しない場合、無線通信部119を制御して、フォーマット変換部61から入力されるデータを、出力形態選択部57から入力される出力形態に含まれる装置識別情報で特定される出力装置に送信する。
【0092】
第1の出力形態は、装置識別情報「△pad」、フォーマット「テキスト」である。第1の出力形態が選択される場合、データ送信部81は、フォーマット変換部61から入力されるフォーマット「テキスト」のデータを、装置識別情報「△pad」で特定されるPDA301に、無線通信部119を介して送信する。
【0093】
第2の出力形態は、装置識別情報「△pad」、フォーマット「PDF」である。第2の出力形態が選択される場合、データ送信部81は、フォーマット変換部61から入力されるフォーマット「PDF」のデータを、装置識別情報「△pad」で特定されるPDA301に、無線通信部119を介して送信する。
【0094】
第3の出力形態は、装置識別情報「□phone」、フォーマット「テキスト」である。第3の出力形態が選択される場合、データ送信部81は、フォーマット変換部61から入力されるフォーマット「テキスト」のデータを、装置識別情報「□phone」で特定される携帯電話機303に、無線通信部119を介して送信する。
【0095】
第4の出力形態は、装置識別情報「□phone」、フォーマット「PDF」である。第4の出力形態が選択される場合、データ送信部81は、フォーマット変換部61から入力されるフォーマット「PDF」のデータを、装置識別情報「□phone」で特定される携帯電話機303に、無線通信部119を介して送信する。
【0096】
第5の出力形態は、装置識別情報「□phone」、フォーマット「MP3」である。第5の出力形態が選択される場合、データ送信部81は、フォーマット変換部61から入力されるフォーマット「MP3」のデータを、装置識別情報「□phone」で特定される携帯電話機303に、無線通信部119を介して送信する。
【0097】
第6の出力形態は、画像データの画像を画像形成部30で用紙に形成する形態である。第6の出力形態が選択される場合、画像形成制御部79は、フォーマット変換部61から入力される画像データを、画像形成部30に出力し、画像形成部30に画像データの画像を形成させる。
【0098】
図6は、選択出力処理の流れの一例を示すフローチャートである。選択出力処理は、MFPが備えるCPUがROM113、EEPROM115、HDD116またはCD−ROM120Aに記憶された画像データ出力プログラムを実行することにより、CPU111により実行される処理である。図6を参照して、CPU111は、コピー指示を受け付けたか否かを判断する。ユーザが操作部105が備えるコピー機能を選択するボタンを押下した後、スタートキーを押下すれば、コピー指示を受け付ける。コピー指示を受け付けるまで待機状態となり(ステップS01でNO)、コピー指示を受け付けると(ステップS01でYES)、処理をステップS02に進める。
【0099】
ステップS02においては、原稿をスキャンする。ユーザにより、ADF10または、原稿読取部20の読み取り面に載置された原稿を、原稿読取部20に読み取らせ、原稿読取部20が原稿を読み取って出力するする画像データを取得する。
【0100】
ステップS03においては、変数nに「0」を設定する。変数nは、ユーザが携帯する出力装置の数をカウントするための変数である。ステップS04においては、出力装置を検出したか否かを判断する。無線通信部119を制御し、無線通信部119が通信可能な装置が存在するか否かを判断する。無線通信部119は、近距離の無線通信が可能であり、無線通信が可能な範囲が予め定められている。このため、無線通信部119が通信可能な装置を、MFP100を操作するユーザが携帯する出力装置と判断する。なお、MFP100の近傍に、無線通信部119と通信可能な装置が常設されている場合、その装置を予めMFP100に登録しておき、通信可能となったとしても出力装置として検出しないようにすればよい。1以上の出力装置を検出したならば処理をステップS05に進めるが、そうでなければ処理をステップS14に進める。ステップS14においては、ステップS02において取得された画像データを画像形成部30に画像形成させ、処理を終了する。
【0101】
ステップS05においては、ステップS04において検出された1以上の出力装置のうちから1つを処理対象に選択する。次のステップS06においては、変数nをインクリメントし、処理をステップS07に進める。ステップS07においては、ステップS05において処理対象に選択された出力装置から、装置能力情報を取得する。次のステップS08においては、処理対象に選択されていない出力装置が存在するか否かを判断する。未選択の出力装置が存在するならば処理をステップS05に戻し、そうでなければ処理をステップS09に進める。
【0102】
ステップS09においては、選択画面表示処理を実行し、処理をステップS10に進める。選択画面表示処理の詳細は後述するが、ステップS04において検出された出力装置およびステップS07において取得された装置能力情報に基づいて、1以上の出力形態を決定し、1以上の出力形態を選択可能な選択画面を表示する処理である。ここでは、図5に示した選択画面が表示された場合を例に説明する。
【0103】
ステップS10においては、選択画面に表示された1以上の出力形態のうちから1つが選択されたか否かを判断する。出力形態が選択されるまで待機状態となり(ステップS10でNO)、出力形態が選択されると(ステップS10でYES)、処理をステップS11に進める。
【0104】
ステップS11においては、スタートボタンが押下されたか否かを判断する。スタートボタンが押下されたならば処理をステップS12に進めるが、そうでなければ処理をステップS10に戻す。ステップS12においては、フォーマット変換処理を実行し、処理をステップS13に進める。フォーマット変換処理の詳細は後述するが、ステップS02において取得された画像データのフォーマットを変換する処理である。ステップS13においては、ステップS12においてフォーマット変換されたデータをステップS10において選択された出力形態で出力する。
【0105】
図5に示した選択画面201の第1行目の第1の出力形態が選択される場合、フォーマット「ビットマップ」の画像データを、文字認識処理することにより、フォーマット「テキスト」のデータに変換し、変換したフォーマット「テキスト」のデータを、装置識別情報「△Pad」のPDA301に送信する。
【0106】
選択画面201の第2行目の第2の出力形態が選択される場合、フォーマット「ビットマップ」の画像データを、フォーマット「PDF」のデータに変換し、変換したフォーマット「PDF」のデータを、装置識別情報「△Pad」のPDA301に送信する。
【0107】
選択画面201の第3行目の第3の出力形態が選択される場合、フォーマット「ビットマップ」の画像データを、文字認識処理することにより、フォーマット「テキスト」のデータに変換し、変換したフォーマット「テキスト」のデータを、装置識別情報「□phone」の携帯電話機303に送信する。
【0108】
選択画面201の第4行目の第4の出力形態が選択される場合、フォーマット「ビットマップ」の画像データを、フォーマット「PDF」のデータに変換し、変換したフォーマット「PDF」のデータを、装置識別情報「□phone」の携帯電話機303に送信する。
【0109】
選択画面201の第5行目の第5の出力形態が選択される場合、フォーマット「ビットマップ」の画像データを、文字認識処理することにより、フォーマット「テキスト」のデータに変換し、変換したフォーマット「テキスト」のデータを音声合成することにより、フォーマット「MP3」のデータに変換し、変換したフォーマット「MP3」のデータを、装置識別情報「□phone」の携帯電話機303に送信する。
【0110】
選択画面201の第6行目の第6の出力形態が選択される場合、フォーマット「ビットマップ」の画像データを、画像形成部30に出力し、画像データの画像を用紙に形成させる。
【0111】
図7は、選択画面表示処理の流れの一例を示すフローチャートである。選択画面表示処理は、図6に示した選択出力処理のステップS09で実行される処理である。図7を参照して、ステップS21において、変数mに「0」を設定し、変数kに「1」を設定することにより、それぞれを初期化する。変数mは、処理対象とする出力装置を特定するための変数であり、変数kは出力形態を特定するための変数である。
【0112】
次のステップS22においては、変数mが変数nと等しいか否かを判断する。変数nは、図6に示した選択出力処理で用いられる変数であり、出力装置の数が設定される。処理対象とした出力装置の数が、検出された出力装置の数と等しい場合に、変数mが変数nと等しくなる。変数mが変数nと等しいならば処理をステップS34に進めるが、そうでなければ処理をステップS23に進める。
【0113】
ステップS23においては、変数mをインクリメントし、処理をステップS24に進める。ステップS24においては、第m番目の出力装置の装置能力情報を取得する。次のステップS25においては、装置能力情報に基づいて、フォーマットを選択する。第m番目の出力装置が複数のフォーマットのデータを出力可能な場合には、複数のフォーマットのうちから1つを選択する。
【0114】
ステップS26においては、第k番目の出力形態を決定する。第k番目の出力形態は、第m番目の出力装置の装置識別情報と、ステップS25において選択されたフォーマットと、そのフォーマットのデータの種別と、を含む。
【0115】
次のステップS27においては、第1消費電力計算処理を実行する。第1消費電力計算処理の詳細は後述するが、第k番目の出力形態でデータを出力する場合に第m番目の出力装置で消費される電力を計算する処理である。次のステップS28においては、第2消費電力計算処理を実行する。第2消費電力計算処理の詳細は後述するが、第k番目の出力形態でデータを出力する場合にMFP100で消費される電力を計算する処理である。
【0116】
次のステップS29においては、切換回数がしきい値Th以上か否かを判断する。切換回数は、ステップS27で実行される第1消費電力計算処理において、第m番目の出力装置において画面を切り換える回数として、算出される回数である。切換回数がしきい値Th以上ならば処理をステップS30に進めるが、そうでなければステップS30をスキップして処理をステップS31に進める。ステップS30においては、第k番目の出力形態に対してメッセージ「推奨しません」の表示を設定し、処理をステップS31に進める。第m番目の出力装置において、しきい値Th以上の回数、画面を切り換えなければデータのすべてを出力することができない場合には、操作が煩雑になるためである。
【0117】
ステップS31においては、第k番目の出力形態と消費電力とを表示部103に表示する。具体的には、表示部103に選択画面を表示するが、この選択画面に第k番目の出力形態に含まれる装置識別情報と、フォーマットと、第1消費電力と、第2消費電力と、第1消費電力および第2消費電力との合計と、を表示する。また、ステップS30においてメッセージの表示設定がされている場合には、「推奨しません」のメッセージを表示する。
【0118】
次のステップS32においては、変数kをインクリメントし、処理をステップS33に進める。ステップS33においては、第m番目の出力装置が出力可能なデータのフォーマットのうち、ステップS25において未だ処理対象に選択されていないフォーマットが存在するか否かを判断する。そのようなフォーマットが存在するならば処理をステップS25に戻し、存在しなければ処理をステップS22に戻す。
【0119】
処理がステップS22からステップS34に進む場合、選択出力処理のステップS04において検出されたn個の出力装置のすべてに対して、ステップS23〜ステップS33の処理が実行され、(k−1)個の出力形態と、(k−1)個の出力形態各々に対する第1消費電力および第2消費電力が算出される。ステップS34においては、第k番目の出力形態にMFPによる画像形成を設定し、処理をステップS35に進める。ステップS35においては、ステップS28と同様に、第2消費電力計算処理を実行し、処理をステップS36に進める。ステップS36においては、ステップS31と同様に、第k番目の出力形態と消費電力とを表示部103に表示し、処理を選択出力処理に戻す。具体的には、表示部103に選択画面を表示するが、この選択画面に第k番目の出力形態に含まれる装置識別情報、ここではMFPと、フォーマット「ハードコピー(用紙)」と、ステップS35におより算出された第2消費電力とを表示する。
【0120】
図8は、第1消費電力算出処理の流れの一例を示すフローチャートである。第1消費電力算出処理は、図7のステップS27において実行される処理である。ここで、図7を参照して、ステップS27が実行される場合、その前のステップS26において、第k番目の出力形態が決定されている。すなわち、第1消費電力算出処理は、第k番目の出力形態に基づいて、第k番目の出力形態でデータを出力した場合に、第k番目の出力形態に含まれる第m番目の出力装置で消費される第1消費電力を算出する。
【0121】
図8を参照して、CPU111は、第k番目の出力形態で定まるデータの種類により処理を分岐させる(ステップS41)。すなわち、データの種類が「画像」の場合に処理をステップS42に進め、データの種類が「文字」ならば処理をステップS49に進め、データの種類が「音声」ならば処理をステップS53に進める。
【0122】
ステップS42においては、画像データ中に文字が存在するか否かを判断する。画像データ中に文字が存在するならば処理をステップS43に進めるが、そうでなければ処理をステップS45に進める。ステップS45においては、表示倍率Magに「1」を設定し、処理をステップS46に進める。ステップS43においては、画像データ中に存在する文字のうちでサイズが最小の文字のサイズを抽出する。そして、ステップS44において、表示倍率Magを算出し、処理をステップS46に進める。ここでは、標準文字サイズを予め記憶しておき標準文字サイズを、ステップS43で抽出された最小文字サイズで除算した値を表示倍率Magとする。
【0123】
ステップS46においては、画像データの表示サイズSdを取得する。そして、第m番目の出力装置の装置能力情報のうちから表示可能サイズSpを取得する(ステップS47)。表示可能サイズSpは、第m番目の出力装置が、1度に表示可能な最大の画像のサイズである。次のステップS48においては、画像データの表示サイズSdに表示倍率Magを乗じた値を表示可能サイズSpで除算した値を、切換回数に設定する。表示サイズSdに表示倍率Magを乗じた値を表示可能サイズSpで除算した値が少数を含む場合は、整数に切り上げた値を切換回数に設定する。
【0124】
一方、ステップS49においては、画像データ中に含まれる文字の数を示す文字数Cnを抽出する。そして、第m番目の出力装置の装置能力情報のうちから表示可能文字数Cpを取得する。表示可能文字数Cpは、第m番目の出力装置が、1度に表示可能な文字の数の最大値である。次のステップS50においては、切換回数を算出し、処理をステップS52に進める。切換回数は、画像データから抽出された文字数Cnを表示可能文字数Cpで除算した値である。文字数Cnを表示可能文字数Cpで除算した値が少数を含む場合は、整数に切り上げた値を切換回数に設定する。
【0125】
ステップS52においては、単位閲覧時間に、ステップS48またはステップS51において算出された切換回数を乗じた値を出力時間に設定し、処理をステップS55に進める。単位閲覧時間は、1つの画面を閲覧する時間として予め定められた値である。
【0126】
一方、ステップS53においては、画像データ中に含まれる文字の数を示す文字数Cnを抽出する。そして、ステップS54においては、単位再生時間に、ステップS53において抽出された文字数Cnを乗じた値を出力時間に設定し、処理をステップS55に進める。単位再生時間は、1文字を再生する時間として予め定められた値である。
【0127】
ステップS55においては、ステップS52またはステップS54において算出された出力時間に基準消費電力を乗じた値を第1消費電力とし、処理を選択画面表示処理に戻す。基準消費電力は、第m番目の出力装置の装置能力情報に含まれる値であり、第m番目の出力装置が単位時間当たりに消費する電力である。
【0128】
図9は、第2消費電力算出処理の流れの一例を示すフローチャートである。第2消費電力算出処理は、図7のステップS28およびステップS35において実行される処理である。ここで、図7を参照して、ステップS28が実行される場合、その前のステップS26において、第k番目の出力形態が決定されている。すなわち、ステップS28において実行される第2消費電力算出処理は、第k番目の出力形態に基づいてデータを出力する場合にMFP100において消費される第2消費電力を算出する。また、ステップS35が実行される場合、その前のステップS34において、第k番目の出力形態に画像形成が設定される。すなわち、ステップS35において実行される第2消費電力算出処理は、第k番目の出力形態に画像形成が設定された場合にMFP100において消費される第2消費電力を算出する。
【0129】
図9を参照して、CPU111は、ステップS61において、第k番目の出力形態で定まるデータの種類が「画像」か否かを判断する。出力形態で定まるデータの種類が「画像」ならば処理をステップS62に進め、そうでなければ処理をステップS66に進める。
【0130】
ステップS62においては、第k番目の出力形態に含まれるフォーマットに対応するフォーマット別単位消費電力を取得する。フォーマット別単位消費電力は、所定単位のビットマップデータを目的のフォーマットに変換するために消費される電力として予め記憶された値である。例えば、目的のフォーマットが「PDF」であれば、PDF用のフォーマット別単位消費電力は、所定単位のビットマップデータをPDFのフォーマットに変換するために消費される電力である。
【0131】
ステップS63においては、画像データのサイズにステップS62において取得されたフォーマット別単位消費電力を乗じた値を、第2消費電力とし、処理をステップS64に進める。
【0132】
ステップS64においては、モノクロ変換が必要か否かを判断する。第k番目の出力形態に含まれる装置識別情報で特定される出力装置の装置能力情報に、モノクロの画像を出力できるが、カラーの画像を出力できないことが定義されているか否かを判断する。モノクロ変換が必要ならば処理をステップS65に進めるが、そうでなければステップS65をスキップして処理をステップS66に進める。ステップS65においては、ステップS63において算出された第2消費電力を、それにモノクロ処理のために消費される電力として予め記憶されたモノクロ処理消費電力を加算した値に設定し、処理をステップS66に進める。
【0133】
ステップS66において、第k番目の出力形態で定まるデータの種類が「文字」か否かを判断する。出力形態で定まるデータの種類が「文字」ならば処理をステップS67に進め、そうでなければ処理をステップS70に進める。
【0134】
ステップS67においては、文字認識用単位消費電力を取得する。文字認識用単位消費電力は、1文字を認識するために消費される電力として予め記憶された値である。ステップS68においては、画像データに含まれる文字の数Cnを抽出する。そして、ステップS69において、文字数Cnに文字認識用単位消費電力を乗算した値を、第2消費電力に設定し、処理をステップS70に進める。
【0135】
ステップS70において、第k番目の出力形態で定まるデータの種類が「音声」か否かを判断する。出力形態で定まるデータの種類が「音声」ならば処理をステップS71に進め、そうでなければ処理をステップS75に進める。
【0136】
ステップS71においては、文字認識用単位消費電力を取得する。次のステップS72においては、音声合成用単位消費電力を取得する。音声合成用単位消費電力は、1文字の音声を合成するために消費される電力として予め記憶された値である。ステップS73においては、画像データに含まれる文字の数Cnを抽出する。そして、文字数Cnに、文字認識用単位消費電力と音声合成用単位消費電力との和を乗算した値を、第2消費電力に設定し、処理をステップS75に進める。
【0137】
ステップS75において、第k番目の出力形態が画像形成が設定されているか否かを判断する。出力形態に画像形成が設定されているならば処理をステップS76に進め、そうでなければ処理を選択画面表示処理に戻す。ステップS76においては、画像データのページ数を取得する。そして、ページ数に画像形成用消費電力を乗算した値を、第2消費電力に設定し、処理を選択画面表示処理に戻す。画像形成用消費電力は、画像形成部30が1ページの画像を形成するために消費される電力として、予め記憶された値である。
【0138】
図10は、フォーマット変換処理の流れの一例を示すフローチャートである。フォーマット変換処理は、図6のステップS12において実行される処理である。図6を参照して、ステップS12が実行される前のステップS10において出力形態が選択されている。したがって、図10に示すフォーマット変換処理は、ユーザにより選択された出力形態にしたがって、画像データを変換する処理である。図10を参照して、ステップS81においては、フォーマットを取得する。ユーザにより選択された出力形態に含まれるフォーマットを取得する。
【0139】
次のステップS82においては、ユーザにより選択された出力形態に含まれるデータの種類が「画像」か否かを判断する。データの種類が「画像」ならば処理をステップS83に進めるが、そうでなければ処理をステップS86に進める。ステップS83においては、モノクロ変換が必要か否かを判断する。ユーザにより選択された出力形態に含まれる装置識別情報の出力装置の装置能力情報において、カラーの画像を出力できないことが定義されているか否かで判断する。モノクロ変換が必要ならば処理をステップS84に進めるが、そうでなければ処理をステップS85に進める。
【0140】
ステップS84においては、画像データをモノクロの画像データに変換する。次のステップS85においては、画像データを、ステップS81において取得されたフォーマットのデータに変換し、処理をステップS86に進める。
【0141】
ステップS86においては、ユーザにより選択された出力形態に含まれるデータの種類が「文字」か否かを判断する。データの種類が「文字」ならば処理をステップS87に進めるが、そうでなければ処理をステップS88に進める。ステップS87においては、画像データを文字認識し、フォーマットが「テキスト」のデータを生成し、処理をステップS88に進める。
【0142】
ステップS88においては、ユーザにより選択された出力形態に含まれるデータの種類が「音声」か否かを判断する。データの種類が「音声」ならば処理をステップS89に進めるが、そうでなければ処理を選択出力処理に戻す。ステップS89においては、画像データを文字認識し、フォーマットが「テキスト」のデータを生成する。そして、フォーマットが「テキスト」のデータを音声合成して、ステップS81において取得されたフォーマットの音声データを生成し、処理を選択出力処理に戻す。
【0143】
以上説明したように、本実施の形態における画像形成システム1において、MFP100は、無線通信部119が通信可能な範囲に出力装置としてPDA301および携帯電話機303が存在する場合、PDA301および携帯電話機303各々に関する装置能力情報を取得し、装置能力情報に基づいて、PDA301および携帯電話機303各々が出力可能な出力形態を決定し、決定された出力形態およびMFP100が画像形成する出力形態を選択可能に列挙した選択画面を表示し、ユーザにより選択された出力形態で、画像データを出力する。このため、原稿を読み取った画像データの出力先を、原稿を読み取った後で選択することができる。
【0144】
また、装置能力情報に基づいて、出力装置により消費される第1消費電力と、MFP100で消費される第2消費電力とが算出され、選択画面に表示する。このため、ユーザは、消費電力を比較して出力先を決定することができる。
【0145】
また、第1消費電力を、画像データを解析し、画像データを出力する時間を予測して、算出するので、第1消費電力を容易に算出することができる。
【0146】
さらに、出力形態が画像の場合、装置能力情報に含まれ、出力装置が表示可能なサイズと、画像データの表示サイズとの比率に基づいて、画像データを出力する時間を予測するので、第1消費電力を容易に算出することができる。
【0147】
さらに、出力形態が画像であって、画像データが文字を含む場合、画像データに含まれる文字のサイズに応じて、画像データの表示サイズを変更する。文字を認識可能なサイズで画像データが表示されるサイズに基づいて画像データを出力する時間を予測するので、実際に出力装置で表示される時間に近い時間を予測することができる。
【0148】
さらに、出力形態が音声の場合、画像データに含まれる文字数または単語数に基づいて、画像データを出力する再生時間を予測するので、音声を出力する時間を容易に予測することができる。
【0149】
さらに、原稿を読み取って得られる画像データを、ユーザにより選択された出力形態に適したフォーマットに変換する場合、画像データを決定されたフォーマットに変換するために消費される電力を、自装置で消費される第2消費電力として算出する。このため、第2消費電力を予測する精度を高めることができる。
【0150】
なお、上述した実施の形態においては、画像形成装置の一例としてMFP100を説明したが、図6〜図10に示した処理をMFP100に実行させる画像データ出力方法、および画像データ出力方法を、MFP100を制御するCPU111に実行させる画像データ出力プログラムとして発明を捉えることができるのは言うまでもない。
【0151】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0152】
1 画像形成システム、10 ADF、13 操作パネル、20 原稿読取部、30 画像形成部、40 給紙部、50 後処理部、51 出力装置検出部、53 装置能力取得部、55 出力形態決定部、57 出力形態選択部、59 画像データ取得部、61 フォーマット変換部、63 出力部、71 第1消費電力算出部、73 第2消費電力算出部、75 消費電力表示部、77 選択受付部、79 画像形成制御部、81 データ送信部、93 サイズ変更部、95 カウント部、100 MFP、101 メイン回路、103 表示部、105 操作部、100 MFP、111 CPU、112 通信I/F部、113 ROM、114 RAM、115 EEPROM、116 HDD、117 ファクシミリ部、118 ネットワークI/F部、119 無線通信部、120 外部記憶装置、120A CD−ROM、112 無線通信部、117 ファクシミリ部、119 無線通信部、120 外部記憶装置、201 選択画面、301 PDA、303 携帯電話機。





【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の範囲に存在する出力装置と通信する無線通信手段と、
前記無線通信手段が無線通信可能な出力装置が存在する場合、該出力装置に関する装置能力情報を取得する装置能力情報取得手段と、
原稿を読み取って画像データを出力する原稿読取手段と、
前記画像データの画像を記録媒体に形成する画像形成手段と、
前記取得された装置能力情報に基づいて、前記出力装置が出力可能な出力形態を決定する出力形態決定手段と、
前記決定された出力形態および前記画像形成手段により画像形成する出力形態を選択可能に表示する出力形態選択手段と、
前記選択可能に表示された出力形態のうちからユーザにより選択された出力形態で、前記画像データを出力する出力手段と、を備えた画像形成装置。
【請求項2】
前記出力形態選択手段は、前記取得された装置能力情報に基づいて、前記決定された出力形態で出力するために前記出力装置により消費される第1消費電力を算出する第1消費電力算出手段と、
前記決定された出力形態で出力するために自装置で消費される第2消費電力を算出する第2消費電力算出手段と、
前記第1消費電力と前記第2消費電力とを表示する消費電力表示手段と、を含む請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1消費電力算出手段は、前記画像データを解析し、前記画像データを出力する時間を予測する出力時間予測手段を含む、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記出力時間予測手段は、前記出力形態が画像の場合、前記取得された装置能力情報に含まれる表示可能サイズと、前記画像データの表示サイズとの比率に基づいて、前記画像データを出力する時間を予測する、請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記出力時間予測手段は、前記出力形態が画像であって、前記画像データが文字を含む場合、前記画像データに含まれる文字のサイズに応じて、前記画像データの表示サイズを変更する表示サイズ変更手段を、含む請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記出力時間予測手段は、前記出力形態が音声の場合、前記画像データに含まれる文字数または単語数をカウントするカウント手段を含み、
前記カウントされた文字数または単語数に基づいて、前記画像データを出力する時間を予測する、請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記原稿読取手段により出力される画像データを前記出力形態選択手段により選択された出力形態に適したフォーマットに変換するフォーマット変換手段と、をさらに備え
前記第2消費電力算出手段は、前記画像データを前記決定されたフォーマットに変換するために消費される電力を算出する、請求項1〜6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
画像形成装置で実行される画像処理方法であって、
前記画像形成装置は、所定の範囲に存在する出力装置と通信する無線通信手段と、
原稿を読み取って画像データを出力する原稿読取手段と、
前記画像データの画像を記録媒体に形成する画像形成手段と、を備え、
前記無線通信手段が無線通信可能な出力装置が存在する場合、該出力装置に関する装置能力情報を取得するステップと、
前記取得された装置能力情報に基づいて、前記出力装置が出力可能な出力形態を決定するステップと、
前記決定された出力形態および前記画像形成手段により画像形成する出力形態を選択可能に表示するステップと、
前記選択可能に表示された出力形態のうちからユーザにより選択された出力形態で、前記画像データを出力するステップと、を含む画像データ出力方法。
【請求項9】
画像形成装置を制御するコンピュータで実行される画像処理方法であって、
前記画像形成装置は、所定の範囲に存在する出力装置と通信する無線通信手段と、
原稿を読み取って画像データを出力する原稿読取手段と、
前記画像データの画像を記録媒体に形成する画像形成手段と、を備え、
前記無線通信手段が無線通信可能な出力装置が存在する場合、該出力装置に関する装置能力情報を取得するステップと、
前記取得された装置能力情報に基づいて、前記出力装置が出力可能な出力形態を決定するステップと、
前記決定された出力形態および前記画像形成手段により画像形成する出力形態を選択可能に表示するステップと、
前記選択可能に表示された出力形態のうちからユーザにより選択された出力形態で、前記画像データを出力するステップと、を前記コンピュータに実行させる画像データ出力プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−199625(P2012−199625A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−60730(P2011−60730)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】