説明

画像形成装置、画像データ生成順序決定方法、プログラム及び記録媒体

【課題】品質問題を引き起こすことなく、画像形成の生産性を上げることが可能な画像形成装置、画像データ生成順序決定方法、プログラム及び記録媒体を提供することを目的とする。
【解決手段】ハードウェア20と、画像データを生成してハードウェア20に出力するコントローラ10とを有する画像形成装置1であって、コントローラ10は、ハードウェア20に関する情報を取得する取得手段と、ハードウェア20に関する情報に基づきハードウェア20から要求される画像データの順番を予測する順番予測手段とを有し、予測した順番に従ってハードウェア20に出力する画像データを生成することにより上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コントローラからハードウェアに画像データを出力する画像形成装置、画像データ生成順序決定方法、プログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、用紙などの両面に画像を形成する両面印刷が可能な複写機(MFP)やプリンタ等の画像形成装置においては、第一面(例えば表面)を連続して印刷し、所定の条件を満たすまで第二面(例えば裏面)の印刷を待ち状態にし、所定の条件を満たした後、第一面を待ち状態にし、第二面を印刷するという形で両面印刷順序を決定するものが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、両面印刷が可能な画像形成装置には、インターリーフという機能が搭載されているものがある。インターリーフとは、画像形成部が持つ搬送路上に複数枚の用紙を載せて両面印刷の生産性を上げようとするものである。通常、画像形成装置の搬送路上には2枚の用紙を載せることができる。
【0004】
フェイスダウン印刷方式の画像形成装置の場合、画像形成装置が行う両面印刷順序は通常の2→1→4→3→6→5でなく、2→4→1→6→3→5という順序となる(前述の数字はページ番号を示す)。例えば特許文献2には、印刷の諸条件をもとに印刷ページ順序を並び替え、エンジンの性能に即した形で両面印刷を実行することにより、両面印刷順序を最適に行う画像形成装置が提案されている。
【特許文献1】特許第2879933号公報
【特許文献2】特開2004−347627号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1及び2に記載されている画像形成装置の場合は、エンジン側の理想的画像順を考慮しようとするが、エンジン側からコントローラ側への画像要求が画像形成の直前であり、コントローラ側の画像準備が間に合わないことがあるという弊害をもたらしている。
【0006】
したがって、既に搬送開始されている用紙をハード的に停止する機構がない画像形成装置ではジャム(JAM)と呼ばれる装置内部での紙詰まりが起こり、品質問題を引き起こしてしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、品質問題を引き起こすことなく、画像形成の生産性を上げることが可能な画像形成装置、画像データ生成順序決定方法、プログラム及び記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、画像形成に係る処理を行うハードウェアと、画像データを生成して前記ハードウェアに出力するコントローラとを有する画像形成装置であって、前記コントローラは、前記ハードウェアに関する情報を取得する取得手段と、前記ハードウェアに関する情報に基づき、前記ハードウェアから要求される画像データの順番を予測する順番予測手段とを有し、予測した前記順番に従って前記ハードウェアに出力する画像データを生成することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、画像形成に係る処理を行うハードウェアと、画像データを生成して前記ハードウェアに出力するコントローラとを有する画像形成装置における画像データ生成順序決定方法であって、前記コントローラが、前記ハードウェアに関する情報を取得する取得ステップと、前記ハードウェアに関する情報に基づき、前記ハードウェアから要求される画像データの順番を予測する順番予測ステップとを有し、予測した前記順番に従って前記ハードウェアに出力する画像データを生成することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、画像形成に係る処理を行うハードウェアと、画像データを生成して前記ハードウェアに出力するコントローラとを有する画像形成装置において実行されるプログラムであって、前記コントローラに、前記ハードウェアに関する情報を取得する取得手順と、前記ハードウェアに関する情報に基づき、前記ハードウェアから要求される画像データの順番を予測する順番予測手順とを実行させ、予測した前記順番に従って前記ハードウェアに出力する画像データを生成させることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、画像形成に係る処理を行うハードウェアと、画像データを生成して前記ハードウェアに出力するコントローラとを有する画像形成装置において実行されるプログラムを記録した記録媒体であって、前記コントローラに、前記ハードウェアに関する情報を取得する取得手順と、前記ハードウェアに関する情報に基づき、前記ハードウェアから要求される画像データの順番を予測する順番予測手順とを実行させ、予測した前記順番に従って前記ハードウェアに出力する画像データを生成させることを特徴とする。
【0012】
なお、プログラムを記録した記録媒体は、CD−ROM、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(MO)等の様に情報を光学的、電気的或いは磁気的に記録する記録媒体、ROM、フラッシュメモリ等の様に情報を電気的に記録する半導体メモリ等、様々なタイプの記録媒体を用いることができる。
【0013】
さらに、本発明の構成要素、表現または構成要素の任意の組合せを、方法、装置、システム、コンピュータプログラム、記録媒体、データ構造などに適用したものも本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、品質問題を引き起こすことなく、画像形成の生産性を上げることが可能な画像形成装置、画像データ生成順序決定方法、プログラム及び記録媒体を提供可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、本発明を実施するための最良の形態を、以下の実施例に基づき図面を参照しつつ説明していく。
【0016】
図1は本発明による画像形成装置の一例の構成図である。図1の構成図は画像形成装置1のコントローラソフトウェアを中心としたアーキテクチャ構成及びハードウェア構成を含む要部概略構成である。以下、図1の画像形成装置1における各構成項目(コンポーネントを含む)の説明を行う。なお、コンポーネントとは、論理レベルの設計概要の括りである。
【0017】
図1の画像形成装置1はコントローラ10とハードウェア20とを有している。コントローラ10は、ユーザインターフェースコンポーネント11,コントロールコンポーネント12,アプリケーションロジックコンポーネント13,デバイスサービスコンポーネント14,アスペクトコンポーネント15を有する。ハードウェア20は、ネットワークデバイス21,ハードディスクドライブ(HDD)デバイス22,FAXデバイス23,エンジンデバイス24を有する。
【0018】
ユーザインターフェースコンポーネント(以下、ユーザインターフェースという)11は、ユーザ又はサービス利用者(Webサービスなど)からの要求受付及びコントロールコンポーネント(以下、コントロールという)12への要求実行の委譲を行う。ユーザインターフェース11は、例えばUIからユーザの操作を受け付ける。
【0019】
コントロール12は、ユーザインターフェース11からの要求実現のための提供機能の組み合わせを司る。コントロール12は、例えばワークフローを司る。アプリケーションロジックコンポーネント(以下、アプリケーションロジックという)13は、画像形成装置1が提供する機能群を司る。アプリケーションロジック13は、ハードウェア20を使って提供するサービスを司る。デバイスサービスコンポーネント(以下、デバイスサービスという)14は、アプリケーションロジック13から共通利用されるデバイスリソースである。アスペクトコンポーネント(以下、アスペクトという)15は各コンポーネントに対し、横断的に影響するロジック(アクセス制御、履歴、課金など)を扱う。アスペクト15は、データ及び手続を管理する。
【0020】
ネットワークデバイス21はイーサネット(登録商標)やLAN等のネットワークに接続する為のインターフェースである。HDDデバイス22は情報蓄積する為の保存媒体である。FAXデバイス23は電話回線を使用する情報送受信機(FAX)である。エンジンデバイス24は、例えば情報を紙媒体(印刷媒体)に出力する形成装置(プロッタ)が含まれている。
【0021】
次に、図1の要部概略構成の一部として、アプリケーションロジック13内の印刷コンポーネント及びエンジンデバイス24内のプロッタの動作について説明する。図2は印刷コンポーネントに対してフォーカスした一例の概念図である。なお、印刷コンポーネント30は印刷出力を行う為のコンポーネントである。
【0022】
印刷コンポーネント30は上位コンポーネントからコントローラ10内で共通に操作可能なRGB圧縮画像データを受信する。印刷コンポーネント30が受信する画像データは回転処理や集約処理後の加工済み画像である。
【0023】
印刷コンポーネント30は受信したRGB圧縮画像データをYCMKプレーンフォーマットの圧縮書込み画像に画像データフォーマット変換を行う。YCMKプレーンフォーマットの圧縮書込み画像は出力デバイスであるエンジンデバイス24内のプロッタ40から出力する為の画像データフォーマットである。
【0024】
YCMKプレーンフォーマットの圧縮書込み画像はプロッタ40に転送する為にメモリ上で画像データ伸長が行われ、展開される。そして、展開された書込み画像はプロッタ40に転送されて出力される。
【0025】
更に、前述した印刷コンポーネント30のソフトウェアモデルについて説明する。図3は印刷コンポーネントの一例のソフトウェアモデル図である。図3のソフトウェアモデル図は図1の要部概略構成のうち、ユーザインターフェース11,コントロール12,アプリケーションロジック13,デバイスサービス14およびエンジンデバイス24を示している。以下、図3に示されている各抽出要素の責務について説明する。
【0026】
ユーザインターフェース11はUIコンポーネント51を有している。UIコンポーネント51はユーザに提示するプレゼンテーションを実装する。コントロール12はアクティビティコンポーネント52を有している。アクティビティコンポーネント52はアプリケーションロジック13内の提供機能の実行手順定義や実行タイミングの調整を行う。
【0027】
アプリケーションロジック13は印刷コンポーネント30及び出力コンポーネント53を有している。出力コンポーネント53はシステム内で扱える文書情報として加工済み画像を引き取り、出力デバイスで取り扱える画像データフォーマットに変換し、ユーザが指定した媒体(例えば印刷の場合は紙)に書込み画像を出力する。
【0028】
印刷コンポーネント30は、印刷組合せオブジェクト61,印刷オブジェクト62,書込み画像オブジェクト63,印刷計画オブジェクト64,紙オブジェクト65,搬送計画オブジェクト66を有している。
【0029】
印刷組合せオブジェクト61は要求された面の出力に対して、紙と書込み画像とを組み合わせる。紙オブジェクト65は書込み画像を印刷するための媒体を表す。書込み画像オブジェクト63は出力するための画像(RGBデータ)を取得し、出力可能な画像データフォーマット(YCMKプレーン)への変換を行う。
【0030】
印刷オブジェクト62は、紙オブジェクト65及び書込み画像オブジェクト63への動作指示/結果を保持する。印刷計画オブジェクト64は、エンジンデバイス24のメカ都合(インターリーフ)及び出力条件(両面印刷)から画像取得する順番を決定する。搬送計画オブジェクト66は、紙位置およびメカ都合(インターリーフ)から紙の搬送順を決定する。
【0031】
デバイスサービス14は画像パイプ81を有している。エンジンデバイス24はプロッタ40を有している。プロッタ40は形成機構71及び搬送機構72を有している。形成機構71は要求された書込み画像を形成する。搬送機構72は紙オブジェクト65から要求された位置に紙を搬送する。
【0032】
例えばユーザインターフェース11のUIコンポーネント51はユーザからの要求を受け付ける。ユーザからの要求を実現するため、コントロール12のアクティビティコントロール52は、アプリケーションロジック13の出力コンポーネント53に対して出力要求を行う。出力要求形態が印刷の場合、出力コンポーネント53は印刷コンポーネント30に出力指示を出す。
【0033】
印刷コンポーネント30は、プロッタ40のデバイス都合を問い合わせ、プロッタ40のデバイス都合を考慮した上での画像展開順を決定する。プロッタ40のデバイス都合を考慮した上で画像展開順を決定することにより、展開途中の画像差し替え等の非生産的処理を低減させることが可能となる。
【0034】
次に、プロッタ40のデバイス都合を考慮した上で画像展開順を決定する処理について説明する。図4は画像展開順を決定する処理の一例のシーケンス図である。
【0035】
ステップS1に進み、印刷問合せオブジェクト61は出力コンポーネント53から印刷要求通知を受ける。ステップS2に進み、印刷問合せオブジェクト61は印刷オブジェクト62に対して印刷動作可否問合せを行う。ステップS3に進み、印刷オブジェクト62はプロッタ40に対して印刷動作可否問合せを行い、プロッタ40から印刷動作可否を通知される。ステップS4に進み、印刷オブジェクト62は印刷組合せオブジェクト61に対して問合せ結果通知を行う。
【0036】
ステップS1〜S4の処理により、印刷コンポーネント30は印刷の要求を受けてからプロッタ40に対して印刷動作の可否を問い合わせて印刷動作開始に備える。印刷動作可否とは、用紙切れやトナー切れなどのプロッタ40のハード不備等に対する確認を意味している。ここでは、プロッタ40から印刷動作可を通知されたものとする。
【0037】
ステップS5に進み、印刷オブジェクト62は印刷計画オブジェクト64に対して印刷許可問合せを行う。ステップS6に進み、印刷計画オブジェクト64は印刷仕上がりを確認する。
【0038】
ステップS7に進み、印刷計画オブジェクト64は搬送計画オブジェクト66に対して搬送順取得指示を行う。ステップS8に進み、搬送計画オブジェクト66はプロッタ40からメカ構成を取得する。ステップS9に進み、搬送計画オブジェクト66はメカ構成に従った搬送順を印刷計画オブジェクト64に通知する。ステップS10に進み、印刷計画オブジェクト64は通知された搬送順に従って、画像展開順を決定する。
【0039】
ステップS7〜S10の処理により、印刷コンポーネント30はプロッタ40からメカ構成を取得し、画像展開順(印刷順)を決定する。ステップS11に進み、印刷計画オブジェクト64は印刷オブジェクト62に対して印刷許可通知を行う。
【0040】
ステップS12に進み、印刷オブジェクト62は書込み画像オブジェクト63に対して画像取得指示を行う。また、ステップS13に進み、書込み画像オブジェクト63は画像パイプ(メモリ)81に対して画像取得指示を行う。
【0041】
ステップS14に進み、印刷オブジェクト62は書込み画像オブジェクト63に対してフォーマット変換指示を行う。また、ステップS15に進み、書込み画像オブジェクト63は画像パイプ81に対してフォーマット変換指示を行う。ステップS16に進み、印刷オブジェクト62は紙オブジェクト65に対して紙搬送指示を行う。ステップS17に進み、紙オブジェクト65はプロッタ40に対して紙搬送指示を行う。
【0042】
ステップS18に進み、プロッタ40は印刷オブジェクト62に対して画像出力要求を行う。ステップS19に進み、印刷オブジェクト62は書込み画像オブジェクト63に対して画像出力指示を行う。ステップS20に進み、書込み画像オブジェクト63は画像パイプ81に対して画像出力指示を行う。
【0043】
ステップS11〜S20の処理により、印刷コンポーネント30はメカ構成に従った紙搬送順に、継続的にプロッタ都合を反映させることでプロッタ40にとって高い生産性を実現することが可能となる。
【実施例1】
【0044】
画像形成装置1では、両面印刷時に出力画像順が必ずしも原稿順とならない。これは両面印刷時の両面反転ユニットの利用の仕方により、生産性が高くも低くもなってしまうからである。この両面判定ユニットの利用の仕方には、インターリーフによる給紙順の組み方が挙げられる。インターリーフは、図5に示す画像形成装置1のように2つの給紙口が存在する際の給紙順の組み方を意味する。
【0045】
図5は画像形成装置の紙搬送パスを表した一例の概略図である。図5の画像形成装置1は第1面給紙口及び第2面給紙口の2つの給紙口を有する。両面印刷時にインターリーフすることで、画像形成装置1は図6に示すように、両面反転ユニットに続けて紙を搬送している最中に生産性が低くなるが、第1面給紙口及び第2面給紙口を交互に切り替える給紙口交互切替開始後はプロッタ40本来の生産性を発揮することができる。
【0046】
図6は2つの給紙口を有する画像形成装置における画像展開順の一例を表したイメージ図である。図6は、両面2枚印刷、2枚インターリーフの例を表している。画像展開順は図6に示しているように、P2(1枚目ウラ)→P4(2枚目ウラ)→P1(1枚目オモテ)→P3(2枚目オモテ)となる。図6では、P1以降、第1面給紙口及び第2面給紙口が交互に切り替えられる。
【0047】
図7はインターリーフと印刷仕上がり(両面印刷)とを考慮することにより、プロッタ印刷の生産性を上げる画像展開処理を表した一例のフローチャートである。
【0048】
ステップS31に進み、印刷コンポーネント30は上位コンポーネントから印刷要求を受け付ける。ステップS32に進み、印刷コンポーネント30はプロッタ40に対して印刷動作可否問合せを行う。印刷動作不可の問合せ結果(NG)が通知された場合、印刷コンポーネント30は印刷不可を上位コンポーネントに通知する。
【0049】
一方、印刷動作可能の問合せ結果(OK)が通知された場合、印刷コンポーネント30はステップS33に進み、印刷仕上がり(両面印刷又は片面印刷)から画像展開順の組み替え(インターリーフ)を行う必要があるか否かを判断する。印刷仕上がりが両面印刷であり、インターリーフを行う必要があると判断すると、印刷コンポーネント30はステップS34に進み、メカ構成(インターリーフ可能枚数)を取得する。インターリーフ可能枚数は、転写紙サイズがA4なのかA3なのかで異なる。ステップS35に進み、印刷コンポーネント30は印刷要求枚数を確認し、インターリーフの効果がある印刷要求枚数であればステップS36に進む。
【0050】
ステップS36では、印刷コンポーネント30が、インターリーフ可能枚数以内でインターリーフを実施し、初期画像展開順を決定する。そして、ステップS37に進み、印刷コンポーネント30は決定した画像展開順に従ってメモリへ書込み画像を展開し、プロッタ40へ印刷開始の指示を出す。なお、印刷仕上がりが片面印刷であり、インターリーフを行う必要がないと判断すると、印刷コンポーネント30はステップS36に進み、インターリーフを実施せずに初期印刷条件を設定する。そして、ステップS37に進み、印刷コンポーネント30は決定した画像展開順に従ってメモリへ書込み画像を展開し、プロッタ40へ印刷開始の指示を出す。
【0051】
例えば図6の例では、両面2枚印刷要求が印刷コンポーネント30に通知される。印刷仕上がりが両面印刷であるから、印刷コンポーネント30はインターリーフの実施を決定する。そして、印刷コンポーネント30はインターリーフ可能枚数をプロッタ40に問い合わせて2枚という結果を受け取る。
【0052】
続いて、その時点での印刷要求枚数2枚から画像展開順を2枚並び替えて画像展開順を決定する。並び替えとはインターリーフの効果を出すための交互給紙を実現する為、先に1枚目及び2枚目のウラ面画像、続いて1枚目及び2枚目のオモテ面画像を出力するものである。
【0053】
このように、実施例1の画像形成装置1では、エンジンデバイス24側のメカ都合を事前にコントローラ10側に吸い上げ、前もってエンジンデバイス24が求める画像順を決定した上、コントローラ10側で画像を準備することができる。
【実施例2】
【0054】
図8は展開画像差し替え処理を表した一例のフローチャートである。例えば図4のステップS18に示したように、プロッタ40は実際の画像書込みタイミングで画像出力要求を行う。画像出力要求を受けると、印刷コンポーネント30はステップS41に進み、画像展開状況を確認し、画像出力が可能か否かを確認する。
【0055】
画像展開が済んでいれば、印刷コンポーネント30はプロッタ40へ印刷開始の指示を出す。何らかの理由(例えば画像情報量が大きい、ネットワーク負荷が大きい等)によって展開時間が通常以上となり、画像展開が済んでいなければ、印刷コンポーネント30はステップS42に進む。
【0056】
ステップS42では、印刷コンポーネント30が、その次に出力すべき画像出力要求の有無を確認する。次に出力すべき画像出力要求が無ければ、印刷コンポーネント30はプロッタ40に対して画像展開中である為、待機を指示する。次に出力すべき画像出力要求が有れば、印刷コンポーネント30はステップS43に進み、画像出力要求のあった出力画像をプロッタ40に対して再度確認する。
【0057】
ステップS44に進み、プロッタ40からの要求を受け、印刷コンポーネント30は画像出力要求のあった出力画像について、図9のフローチャートに示すように、画像差し替えを行うか否かを判断する。図9は画像差し替え判断処理を表す一例のフローチャートである。
【0058】
ステップS51に進み、印刷コンポーネント30は差し替え搬送時間を算出する。例えば差し替え搬送時間は(第1面搬送経路+第2面搬送経路)/転写紙線速から算出することができる。ステップS52に進み、印刷コンポーネント30は画像展開待ち時間が差し替え搬送時間よりも短いか否かを判定する。
【0059】
画像展開待ち時間が差し替え搬送時間よりも短ければ、印刷コンポーネント30は画像展開が終了するのを待つと判断し、画像差し替えを行わない。画像展開待ち時間が差し替え搬送時間よりも長ければ、印刷コンポーネント30はステップS53に進み、画像を差し替えるように画像展開順を決定し、その画像展開順に従って画像を差し替える。画像差し替えを行わない場合、印刷コンポーネント30は、そのまま画像展開を継続し、展開終了まで待つ。また、印刷コンポーネント30は画像を差し替える場合、ステップS45に進み、展開途中の画像展開動作を中止し、次に出力すべき画像の展開処理を開始する。
【0060】
例えば図10の例では4枚両面印刷の例を表している。図10は、4枚両面印刷、2枚インターリーフの例を表している。画像展開順は図10に示すように、1枚目裏,2枚目裏,1枚目表,2枚目表と決定するのだが、2枚目裏で画像展開時間に遅れが発生したと仮定する。
【0061】
この場合、印刷コンポーネント30はプロッタ40に対し、画像出力要求のあった出力画像を再度確認する。印刷コンポーネント30は画像展開待ち時間と差し替え搬送時間とを比較して早く処理できる方の画像を再度要求する。今の画像の展開終了を待った方が早いのであれば印刷コンポーネント30は2枚目裏の展開を待つようにプロッタ40に要求する。画像を差し替えた方が早いのであれば印刷コンポーネント30は展開途中の画像展開動作を中止し、次に出力すべき画像の展開処理を開始する。
【0062】
なお、図10において、1枚目表で画像展開時間に遅れが発生したと仮定する。この場合、インターリーフ可能枚数がないため、印刷コンポーネント30は選択の余地がなく、1枚目表の展開終了を待つように要求しなければならない。図10に示すように、印刷コンポーネント30は待機時間と交互給紙を止めることによる搬送パス分時間とを比較し、短時間の方を選択するようにしている。
【0063】
このように、実施例2の画像形成装置1では、コントローラ10側の画像準備が遅れた場合にも、次画像の有無を判断することによって、エンジンデバイス24側のメカ構成的に可能な範囲で正常な動作を保証することを可能とした。
【0064】
図11はリスト構造で印刷要求を積み上げる処理を表したイメージ図である。図11の例ではエンジンデバイス24側からの印刷要求があれば画像を出力するという制御が可能となる。しかし、図11による制御ではコントローラ10側の都合が無いため、直前になってエンジンデバイス24側から画像要求があってもコントローラ10側の準備に時間が掛かり、画像準備ができずにジャム等の品質問題を発生させていた。
【0065】
本発明による画像形成装置1では、エンジンデバイス24側の都合を考慮した上でコントローラ10側が画像準備を前もって行えるやり取りを行うことで、エンジンデバイス24側の印刷要求に対しても時間的余裕を持ってコントローラ10側が対処でき、ジャム等の品質問題を低減することが可能である。
【0066】
本発明は、具体的に開示された実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【0067】
なお、特許請求の範囲に記載した取得手段がステップS8の処理に相当し、順番予測手段が印刷計画オブジェクト64に相当し、搬送順予測手段が搬送計画オブジェクト66に相当し、記憶手段が画像パイプ81に相当し、判定手段がステップS41〜S45の処理に相当する。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明による画像形成装置の一例の構成図である。
【図2】印刷コンポーネントに対してフォーカスした一例の概念図である。
【図3】印刷コンポーネントの一例のソフトウェアモデル図である。
【図4】画像展開順を決定する処理の一例のシーケンス図である。
【図5】画像形成装置の紙搬送パスを表した一例の概略図である。
【図6】2つの給紙口を有する画像形成装置における画像展開順の一例を表したイメージ図である。
【図7】インターリーフと印刷仕上がり(両面印刷)とを考慮することにより、プロッタ印刷の生産性を上げる画像展開処理を表した一例のフローチャートである。
【図8】展開画像差し替え処理を表した一例のフローチャートである。
【図9】画像差し替え判断処理を表す一例のフローチャートである。
【図10】4枚両面印刷、2枚インターリーフの例を表している図である。
【図11】リスト構造で印刷要求を積み上げる処理を表したイメージ図である。
【符号の説明】
【0069】
1 画像形成装置
10 コントローラ
11 ユーザインターフェースコンポーネント
12 コントロールコンポーネント
13 アプリケーションロジックコンポーネント
14 デバイスサービスコンポーネント
15 アスペクトコンポーネント
20 ハードウェア
21 ネットワークデバイス
22 ハードディスクドライブ(HDD)デバイス
23 FAXデバイス
24 エンジンデバイス
30 印刷コンポーネント
40 プロッタ
51 UIコンポーネント
52 アクティビティコンポーネント
53 出力コンポーネント
61 印刷組合せオブジェクト
62 印刷オブジェクト
63 書込み画像オブジェクト
64 印刷計画オブジェクト
65 紙オブジェクト
66 搬送計画オブジェクト
71 形成機構
72 搬送機構
81 画像パイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成に係る処理を行うハードウェアと、画像データを生成して前記ハードウェアに出力するコントローラとを有する画像形成装置であって、
前記コントローラは、前記ハードウェアに関する情報を取得する取得手段と、
前記ハードウェアに関する情報に基づき、前記ハードウェアから要求される画像データの順番を予測する順番予測手段とを有し、
予測した前記順番に従って前記ハードウェアに出力する画像データを生成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記取得手段は、前記ハードウェアから搬送機構に関する情報を取得し、
前記順番予測手段は、前記搬送機構に関する情報に基づき、前記ハードウェアから要求される画像データの順番を予測することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記コントローラは、前記搬送機構に関する情報に基づき、前記画像データを印刷する為の印刷媒体の搬送順を予測する搬送順予測手段を更に有することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
予測した前記順番に従って前記ハードウェアに出力する画像データを記憶手段に展開することを特徴とする請求項1乃至3何れか一項記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記取得手段は、前記ハードウェアからインターリーフ種類に関する情報を取得し、
前記順番予測手段は、前記インターリーフ種類に関する情報に基づき、前記ハードウェアから要求される両面印刷の画像データの順番を予測することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記コントローラは、前記ハードウェアから要求された画像データの生成が終了しておらず、且つ、次の順番の画像データがあるとき、所定の差し替え判断基準に従って、前記順番の差し替えを行う制御手段を更に有することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御手段は、次の順番の画像データに差し替えるまでの待ち時間が前記画像データの生成が終了するまでの待ち時間よりも短いときに、前記順番の差し替えを行うことを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記ハードウェアはプロッタであり、前記コントローラから出力された画像データを用いて画像形成に係る処理を行うことを特徴とする請求項1乃至7何れか一項記載の画像形成装置。
【請求項9】
画像形成に係る処理を行うハードウェアと、画像データを生成して前記ハードウェアに出力するコントローラとを有する画像形成装置における画像データ生成順序決定方法であって、
前記コントローラが、前記ハードウェアに関する情報を取得する取得ステップと、
前記ハードウェアに関する情報に基づき、前記ハードウェアから要求される画像データの順番を予測する順番予測ステップとを有し、
予測した前記順番に従って前記ハードウェアに出力する画像データを生成することを特徴とする画像データ生成順序決定方法。
【請求項10】
前記取得ステップは、前記ハードウェアから搬送機構に関する情報を取得し、
前記順番予測ステップは、前記搬送機構に関する情報に基づき、前記ハードウェアから要求される画像データの順番を予測することを特徴とする請求項9記載の画像データ生成順序決定方法。
【請求項11】
前記コントローラは、前記搬送機構に関する情報に基づき、前記画像データを印刷する為の印刷媒体の搬送順を予測する搬送順予測ステップを更に有することを特徴とする請求項10記載の画像データ生成順序決定方法。
【請求項12】
予測した前記順番に従って前記ハードウェアに出力する画像データを記憶手段に展開することを特徴とする請求項9乃至11何れか一項記載の画像データ生成順序決定方法。
【請求項13】
前記取得ステップは、前記ハードウェアからインターリーフ種類に関する情報を取得し、
前記順番予測ステップは、前記インターリーフ種類に関する情報に基づき、前記ハードウェアから要求される両面印刷の画像データの順番を予測することを特徴とする請求項9記載の画像データ生成順序決定方法。
【請求項14】
前記コントローラは、前記ハードウェアから要求された画像データの生成が終了しておらず、且つ、次の順番の画像データがあるとき、所定の差し替え判断基準に従って、前記順番の差し替えを行う制御ステップを更に有することを特徴とする請求項9記載の画像データ生成順序決定方法。
【請求項15】
前記制御ステップは、次の順番の画像データに差し替えるまでの待ち時間が前記画像データの生成が終了するまでの待ち時間よりも短いときに、前記順番の差し替えを行うことを特徴とする請求項14記載の画像データ生成順序決定方法。
【請求項16】
前記ハードウェアはプロッタであり、前記コントローラから出力された画像データを用いて画像形成に係る処理を行うことを特徴とする請求項9乃至15何れか一項記載の画像データ生成順序決定方法。
【請求項17】
画像形成に係る処理を行うハードウェアと、画像データを生成して前記ハードウェアに出力するコントローラとを有する画像形成装置において実行されるプログラムであって、
前記コントローラに、前記ハードウェアに関する情報を取得する取得手順と、
前記ハードウェアに関する情報に基づき、前記ハードウェアから要求される画像データの順番を予測する順番予測手順とを実行させ、
予測した前記順番に従って前記ハードウェアに出力する画像データを生成させることを特徴とするプログラム。
【請求項18】
画像形成に係る処理を行うハードウェアと、画像データを生成して前記ハードウェアに出力するコントローラとを有する画像形成装置において実行されるプログラムを記録した記録媒体であって、
前記コントローラに、前記ハードウェアに関する情報を取得する取得手順と、
前記ハードウェアに関する情報に基づき、前記ハードウェアから要求される画像データの順番を予測する順番予測手順とを実行させ、
予測した前記順番に従って前記ハードウェアに出力する画像データを生成させることを特徴とするプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−44221(P2008−44221A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−221632(P2006−221632)
【出願日】平成18年8月15日(2006.8.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】