説明

画像形成装置、画像形成システム、処理プログラム

【課題】ユーザの利便性を確保しつつ省エネルギー化を図ることのできる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成にかかわる複数のサービスの中の特定のサービスに対応するデータを取得する取得手段と、取得手段が取得した前記データに対応する特定のサービスが優先して画像形成するべきサービスであるか否かを記憶手段の記憶内容を基に判断する判断手段と、自装置が消費電力を抑制する省エネルギー状態において取得手段が特定のサービスに対応するデータを取得したときは、判断手段による判断の結果を基に、当該データに対応して画像形成するべき制御または蓄積するべき制御を実施する制御手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成システム、処理プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置には、稼動状態(通常の使用状態)にあるものの予め設定した一定の時間を超えて使用しない状態が継続した場合には、消費電力を低減させる省エネルギー状態(省電力モード)に移行し、省電力モードからの復帰の要因が発生するまで待機する、というものがある。
【0003】
なお、省電力モードでは、定着装置の熱源としての定着ヒータをOFF(オフ)状態として消費電力を低減するようにする。このような省電力モードから稼動状態のモードに切り換えられたときは、定着装置の定着ヒータがOFF状態からON状態に変化し、規定の温度よりも低い温度の状態から加熱される。そのため、省電力モードからの復帰する頻度が多いと無駄な電力を消費してしまうことになる。
【0004】
そこで、このような問題を解決する画像形成装置としては、省電力モードと稼動状態のモードとの切り換え回数を低減しつつ省エネルギー制御を実施する画像形成装置が知られている(例えば、特許文献1および特許文献2参照。)。
【0005】
特許文献1では、コピー、プリントジョブに優先度情報を付加し、その優先度情報に従って、複数のジョブを予約してまとめて出力可能にする。これにより、省電力モードと稼動状態のモードとの切り換え回数を低減する。
【0006】
特許文献2では、コピー出力またはプリント出力直後に受信データ記憶手段に蓄積されているファクシミリ受信データを印刷させるとともに、所定時間印刷されない場合には、予め設定された温度条件となったときに前記ファクシミリ受信データを印刷させる。これにより、定着ヒータの立ち上げ回数を減らす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−026163号公報
【特許文献2】特開2004−248227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、ユーザの利便性を確保しつつ省エネルギー化を図ることのできる画像形成装置、画像形成システム、処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明の画像形成装置は、画像形成にかかわる複数のサービスに対応して優先するか否かを示す情報を記憶する記憶手段と、前記複数のサービスの中の特定のサービスの要求を取得する取得手段と、前記取得手段が取得した前記特定のサービスは優先するサービスであるか否かを前記記憶手段の記憶内容を基に判断する判断手段と、自装置が消費電力を抑制する省エネルギー状態において前記取得手段が前記特定のサービスの要求を取得したときは、前記判断手段による判断の結果を基に、当該特定のサービスに対応して画像形成するべき制御または蓄積するべき制御を実施する制御手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
上記課題を解決するため、請求項2に記載の本発明の画像形成装置は、画像形成にかかわる複数のサービスに対応して優先して画像形成するべきサービスであるか否かを示す情報を記憶する記憶手段と、前記複数のサービスの中の特定のサービスに対応するデータを取得する取得手段と、前記取得手段が取得した前記データに対応する特定のサービスが優先して画像形成するべきサービスであるか否かを前記記憶手段の記憶内容を基に判断する判断手段と、自装置が消費電力を抑制する省エネルギー状態において前記取得手段が前記特定のサービスに対応するデータを取得したときは、前記判断手段による判断の結果を基に、当該データに対応して画像形成するべき制御または蓄積するべき制御を実施する制御手段と、を有することを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、上記請求項2に記載の発明において、画像形成を実施する画像形成手段と、データを蓄積する蓄積手段と、を更に有し、前記制御手段は、前記判断手段によって優先して画像形成するべきサービスであると判断された場合には、自装置を前記省エネルギー状態から画像形成可能状態へ移行させ、前記取得手段によって取得された前記データが前記画像形成手段によって画像形成されるよう制御し、前記判断手段によって優先して画像形成するべきサービスではないと判断された場合は、前記取得手段によって取得された前記データが前記蓄積手段に蓄積されるよう制御する、ことを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、上記請求項3に記載の発明において、前記蓄積手段に蓄積されているデータの中の画像形成対象のデータに対応して指示される明示的に画像形成するべき旨を受け付ける受付手段、を更に有し、前記制御手段は、前記受付手段が前記明示的に画像形成するべき旨を受け付けたときは、自装置を前記省エネルギー状態から画像形成可能状態へ移行させ、前記蓄積手段の中の前記画像形成対象のデータが前記画像形成手段によって画像形成されるよう制御する、ことを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、上記請求項4に記載の発明において、前記記憶手段は、前記サービス毎に、前記受付手段によって前記明示的に画像形成するべき旨を受け付けられたときに該当するサービスに対応するデータが画像形成された回数を示す情報と、当該回数が閾値以上の場合に設定される優先して画像形成するべきサービスである旨の情報と、を記憶する、ことを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、上記請求項3に記載の発明において、前記制御手段は、前記蓄積手段に蓄積されているデータについては、予め設定された条件が満たされた場合に前記画像形成手段によって画像形成されるよう制御する、ことを特徴とする。
【0015】
請求項7に記載の発明は、上記請求項6に記載の発明において、前記予め設定された条件は、前記判断手段によって優先して画像形成するべきサービスであると判断された前記特定のサービスに対応するデータが、前記省エネルギー状態から画像形成可能状態に遷移した前記画像形成手段によって画像形成された場合、明示的に画像形成するべき旨が指示された場合、前記蓄積手段に蓄積されているデータの蓄積容量が規定の容量に達した場合、該当するデータが蓄積されてから規定の時間が経過した場合、のうち少なくとも一つである、ことを特徴とする。
【0016】
上記課題を解決するため、請求項8に記載の本発明の画像形システムは、請求項1から請求項7の何れか一項に記載の画像形成装置と、前記画像形成装置と通信回線を介して接続され、原稿画像に対応する画像データを前記画像形成装置に向けて送信する画像入力装置および印刷データを前記画像形成装置に向けて送信する情報処理装置のうちの少なくとも一方の装置と、を有することを特徴とする。
【0017】
上記課題を解決するため、請求項9に記載の本発明の処理プログラムは、画像形成にかかわる複数のサービスの中の特定のサービスに対応するデータを取得する取得処理過程と、サービス毎に設定される優先して画像形成するべきサービスであるか否かを示す情報を基に、前記取得処理過程により取得された前記データに対応する特定のサービスは優先して画像形成するべきサービスであるか否かを判断する判断処理過程と、消費電力を抑制する省エネルギー状態において前記取得処理過程により前記特定のサービスに対応するデータが取得されたときは、前記判断処理過程により判断された結果を基に、当該データに対応して画像形成するべき制御または蓄積するべき制御を実施する制御処理過程と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1記載の発明によれば、ユーザの利便性を確保しつつ省エネルギー化を図ることができる。
【0019】
請求項2記載の発明によれば、ユーザの利便性を確保しつつ省エネルギー化を図ることができる。
【0020】
請求項3記載の発明によれば、優先して画像形成するべきサービスのデータに関しては省エネルギー状態から画像形成可能状態に移行して画像形成処理を実施し、一方、優先して画像形成するべきではないサービスのデータに関しては省エネルギー状態のままで蓄積処理を実施することができる。
【0021】
請求項4記載の発明によれば、蓄積手段に蓄積され優先して画像形成するべきではないサービスのデータに関して明示的に画像形成するべき旨を受け付けた場合に当該データを画像形成させることで、ユーザの利便性を確保することができる。
【0022】
請求項5記載の発明によれば、優先して画像形成するべきではないサービスであっても、過去におけるそのサービスのデータに対する画像形成の回数が閾値以上の場合に、優先して画像形成するべきサービスとして、省エネルギー状態から画像形成可能状態に移行して画像形成処理を実施することができる。
【0023】
請求項6記載の発明によれば、蓄積手段に蓄積され優先して画像形成するべきではないサービスのデータについては予め設定された条件が満たされた場合に画像形成させることで、省エネルギー状態から画像形成可能状態へ移行させる回数を低減することができる。
【0024】
請求項7記載の発明によれば、蓄積手段に蓄積され優先して画像形成するべきではないサービスのデータについては予め設定された条件が満たされた場合に画像形成させることで、省エネルギー状態から画像形成可能状態へ移行させる回数を低減することができる。
【0025】
請求項8記載の発明によれば、ユーザの利便性を確保しつつ省エネルギー化を図ることができる
【0026】
請求項9記載の発明によれば、ユーザの利便性を確保しつつ省エネルギー化が図られるソフトウェアを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施の形態に係る画像形成システムの構成を示す構成図である。
【図2】実施の形態に係る画像入力装置の機能構成を示すブロック図である。
【図3】実施の形態に係る画像出力装置の機能構成を示すブロック図である。
【図4】実施の形態に係る画像出力装置の制御部およびサービスID管理部の詳細な機能構成を示すブロック図である。
【図5】実施の形態に係る画像出力装置のサービスID管理部で保持される管理情報の一例を示す図である。
【図6】実施の形態に係る画像出力装置の制御部の画像形成制御処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】実施の形態に係る画像出力装置の画像処理部の画像処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】実施の形態に係る画像出力装置の制御部の蓄積された画像データに関する画像形成制御処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】実施の形態に係る画像出力装置のサービスID管理部の強制印刷カウンタ更新処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】実施の形態に係る画像出力装置のサービスID管理部の優先サービス更新処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】実施の形態に係る画像出力装置のハードウェア構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の一例としての実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0029】
実施の形態に係る画像形成システム1では、図1に示すように、複数の画像入力装置10,11と、複数の画像出力装置20,21と、情報処理装置30とが通信回線40に接続されている。
【0030】
実施の形態において、画像形成システム1は、一つの画像出力装置と、一つの画像入力装置および一つの情報処理装置のうち少なくとも一方の装置とが通信回線に接続される構成であればよい。
【0031】
複数の画像入力装置10,11は例えばスキャナであり、複数の画像出力装置20,21は例えばプリンタであり、情報処理装置30は例えばコンピュータである。通信回線40としては、ローカルエリアネットワーク(LAN=Local Area Network)や電話回線などの有線通信回線、無線LANなどの無線通信回線、さらには、これらの通信回線を組み合わせたもの、などが挙げられる。この実施の形態では、通信回線40は、ネットワークであるとして扱い、ネットワーク40と定義する。
【0032】
画像入力装置10は、図2に示すように、操作・表示部110、制御部120、原稿読取部130、画像記憶部140、印刷ジョブ生成部150、印刷ジョブ送信制御部160、および通信部170を備えている。
【0033】
操作・表示部110は、ユーザインターフェースとして動作するものであり、制御部120から表示情報を受け取りユーザに対して各種情報を提供するほか、ユーザからの指示を受け付け、制御部120に操作情報を渡す。
【0034】
制御部120は、操作・表示部110からの操作情報に基づき、原稿読取部130に対し原稿の読取を指示するとともに、原稿読取部130による画像データの読取が終了した後、印刷ジョブ生成部150に印刷ジョブの生成を指示する。また、制御部120は、印刷ジョブ生成部150による印刷ジョブの生成が終了した後、印刷ジョブ送信制御部160に印刷ジョブの送信を指示する。さらに、制御部120は、印刷ジョブのサービスIDを印刷ジョブ生成部150に渡す。
【0035】
原稿読取部130は、制御部120からの指示に基づき、原稿を光学的に読み取って得た光学信号を電気信号に変換し、画像データを生成する。また、原稿読取部130は、生成した画像データを、画像記憶部140に記憶する。
【0036】
画像記憶部140は、原稿読取部130が原稿を読み取って生成した画像データを記憶するとともに、印刷ジョブ生成部150に対して記憶した画像データを提供する。
【0037】
印刷ジョブ生成部150は、制御部120からの指示により画像データを印刷データに変換した後、印刷ジョブ送信制御部206へ渡す。また、印刷ジョブ生成部150は、印刷ジョブを生成する際に、制御部120からサービスIDを取得して、印刷ジョブに付加する。
【0038】
印刷ジョブ送信制御部160は、制御部120の指示により、送信先プリンタのネットワーク(通信回線)40上のアドレスを制御部120から取得して、アドレスと印刷データとを通信部170へ渡す。
【0039】
通信部170は、ネットワーク40とのインターフェースとして動作するものであり、印刷データをネットワーク40上の宛先(アドレスで示される装置)へ送信する。
【0040】
画像入力装置11も、画像入力装置10と同様の構成になっている。
【0041】
画像出力装置20は、図3に示すように、通信部210、制御部220、画像処理部230、画像形成部240、画像データ蓄積部250、サービスID管理部260、操作・表示部270、RTC280を備えている。
【0042】
通信部210は、ネットワーク40とのインターフェースとして動作するものであり、印刷データをネットワーク40から受信して制御部220に渡す。
【0043】
制御部220は、図4に示すように、取得部221および受付222を有している。
【0044】
取得部221は、取得手段の機能を有し、通信部210によって受信され、画像形成にかかわる複数のサービスの中の特定のサービスに対応するデータを取得する。
【0045】
画像形成にかかわる複数のサービスとしては、例えば、プリント(Print)、コピー(Copy)、設定レポート(Setting Report)、自動レポート(Auto Report)などが挙げられる。
【0046】
受付部222は、受付手段の機能を有し、画像データ蓄積部250に蓄積されているデータの中の画像形成対象のデータに対応して指示される強制印刷指示(明示的に画像形成するべき旨)を受け付ける。その強制印刷指示は、ユーザによる操作・表示部270あるいは情報処理装置30の入力装置の操作によって行われる。
【0047】
制御部220は、制御手段の機能を有し、当該画像出力装置20が消費電力を抑制する省エネルギー状態において取得部221が上記特定のサービスに対応するデータを取得したときは、サービスID管理部260(の判断部262)による判断の結果を基に、当該データに対応して画像形成するべき制御または蓄積するべき制御を実施する。
【0048】
すなわち、制御部220は、通信部210から渡され取得部221が取得した印刷データを画像処理部230に渡す。制御部220は、渡された印刷データのサービスIDが優先サービスなのか、あるいは通常サービスなのかをサービスID管理部260に問い合わせるとともに、該問い合わせに対するサービスID管理部260からの結果と当該画像出力装置20の状態とに応じて、画像処理部230に対し、直ぐに画像形成部240に画像データを渡すか、あるいは画像データ蓄積部250に渡すかを指示する。この場合の制御部220による処理の詳細については後述する(図6参照)。
【0049】
また、制御部220は、操作・表示部270やホスト例えば情報処理装置30からの設定要求により、優先サービスに指定するサービスの設定更新のために要求された内容をサービスID管理部260へ通知する。
【0050】
さらに、制御部220は、ユーザによる操作・表示部270の操作により設定された省エネルギー設定に従い、少なくとも画像形成部240および操作・表示部270に対し、スリープ状態(節電状態)に遷移するよう指示する、あるいはスタンバイ状態(待機状態)に遷移するよう指示する。
【0051】
実施の形態では、制御部220は、図示しない電源を制御することにより、例えば画像形成部240の状態を、画像形成可能状態から省エネルギー状態(スリープ状態またはスタンバイ状態)へ移行させる制御を実施するとともに、省エネルギー状態(スリープ状態またはスタンバイ状態)から画像形成可能状態へ移行(復帰)させる制御を実施する。
【0052】
実施の形態において、画像形成可能状態とは、画像形成部240に対して、図示しない電源から当該画像形成部240が画像形成するのに必要な規定の電力が供給されている状態のことである。
【0053】
また、省エネルギー状態とは、スリープ状態(節電状態)とスタンバイ状態(待機状態)とを含み、図示しない電源から上記規定の電力よりも低い電力が供給されている状態のことである。なお、省エネルギー状態の中のスリープ状態およびスタンバイ状態のそれぞれにおける画像形成部240に対して供給される電力は、「スリープ状態における供給電力<スタンバイ状態における供給電力」の関係となる。
【0054】
すなわち、画像形成可能状態、スリープ状態およびスタンバイ状態のそれぞれにおける画像形成部240での消費電力は、「スリープ状態における消費電力<スタンバイ状態における消費電力<画像形成可能状態における消費電力」の関係となる。
【0055】
なお、画像形成部240がスリープ状態であるということは、当該画像形成部240が実施する電子写真プロセスにおける定着プロセスを担当する定着装置の熱源(ヒータなど)がオフ(OFF)状態となっていることを意味する。
【0056】
実施の形態では、制御部220は、画像形成部240の状態を省エネルギー状態に遷移させる制御に加えて、操作・表示部270の状態を、バックライトが消灯された状態(スタンバイ状態)あるいは電源電圧(電力)の供給がオフされた状態(スリープ状態)に遷移させる制御を行う。
【0057】
また、実施の形態では、画像形成部240および操作・表示部270が省エネルギー状態になっている場合であっても、通信部210、制御部220、画像処理部230、画像データ蓄積部250、サービスID管理部260およびRTC280のそれぞれに対しては、構成要素毎に規定の処理を実行するのに必要な電源電圧(電力)が供給されるようになっている。
【0058】
さて、制御部220は、優先サービスの印刷や、別の復帰条件によりスタンバイ状態に遷移したタイミングで、画像データ蓄積部250に対し、通常サービスとして蓄積されている画像データの印刷指示を行う。この場合の制御部220による処理の詳細については後述する(図8参照)。
【0059】
制御部220は、受付部222が強制印刷指示(明示的に画像形成するべき旨)を受け付けたときは、画像データ蓄積部250の中の画像形成対象のデータが画像形成部240によって画像形成されるよう制御する。
【0060】
すなわち、制御部220は、ユーザによる操作・表示部270の操作により指示され、受付部222によって強制印刷(蓄積されている画像データを強制的に印刷)する要求を受けた場合、画像データ蓄積部250に対し、指定された画像データの印刷を指示するとともに、サービスID管理部260に対し、指定された画像データのサービスIDを通知する。
【0061】
ちなみに、画像データ蓄積部250が該当する画像データを画像形成部240へ出力するとで、画像形成部240による画像形成が実施される。
【0062】
再度、図3を参照して説明する。画像処理部230は、印刷データを画像データに変換し、制御部220の指示に従って、前記画像データを画像形成部240あるいは画像データ蓄積部250のいずれかに渡す。
【0063】
画像形成部240は、画像形成手段の機能を有し、例えば電子写真プロセスを実行するものであり、画像データをもとに画像を形成する処理(画像形成処理)を実施する。
【0064】
ところで、制御部220が図示しない電源を制御することにより、画像形成部240が省エネルギー状態、特にスリープ状態に遷移したときは、画像形成部240の図示しない定着装置の熱源(定着ヒータなど)に対しては、前記電源からは電源電圧(電力)の供給は停止された状態になっている。
【0065】
画像データ蓄積部250は、蓄積手段の機能を有し、制御部220からの指示に従って画像処理部230からの画像データを蓄積する。
【0066】
サービスID管理部260は、図4に示すように、記憶部261および判断部262を有している。
【0067】
記憶部261は、記憶手段の機能を有し、画像形成にかかわる複数のサービスに対応して優先して画像形成するべきサービスであるか否かを示す情報を含む管理情報を記憶する。なお、管理情報の詳細については後述する(図5参照)。
【0068】
判断部262は、判断手段の機能を有し、制御部220の取得部221によって取得された特定のサービスに対応するデータ(印刷データ)の当該特定のサービスが、優先して画像形成するべきサービスであるか否かを、当該データに付加されているサービスIDつまり制御部220から通知されたサービスIDおよび記憶部261の記憶内容(管理情報)に基づき判断する。
【0069】
サービスID管理部260では、判断部262は、制御部220から通知されたサービスIDのサービスに関しての優先サービスあるいは通常サービスの何れであるかの問い合わせに対し、当該サービスIDと記憶部261に記憶されている管理情報とを基に優先サービスまたは通常サービスであると判断し、優先サービスである旨または通常サービスである旨を制御部220へ渡す。この場合、判断部262は、通知されたサービスIDに対応する優先して画像形成するべきサービスであるか否かを示す情報を、記憶部261の管理情報から読み出すことにより、優先して画像形成するべきサービスであるか否かを判断する。実際には、読み出された情報が優先して画像形成するべきサービスであるか否かを示している。
【0070】
サービスID管理部260は、制御部220から強制出力(強制印刷)のリクエストのあったサービスのサービスIDの入力を受け付け、サービスID毎にその強制出力にかかわる履歴(例えば強制出力の回数)を保持する。
【0071】
操作・表示部270は、当該画像出力装置20の操作や設定、状態表示に使用されるとともに、省エネルギー設定に使用される。
【0072】
また、操作・表示部270は、コピー(Copy)、設定レポート(Setting Report)、自動レポート(Auto Report)のそれぞれのサービスに対応する機能キーを備えている。
【0073】
RTC280は、リアルタイムクロック(Real Time Clock)であり、時刻を計時する。このRTC280の計時の結果つまり時刻情報は、サービスID管理部260に与えられる。
【0074】
画像出力装置21も、画像出力装置10と同様の構成になっている。
【0075】
次に、サービスID管理部260の記憶部261によって記憶される管理情報について、図5を参照して説明する。
【0076】
管理情報300は、図5に示すように、サービスID310、優先指定320、強制印刷カウンタ330、優先フラグ340の各項目から構成されている。
【0077】
サービスID310の項目には、画像形成にかかわるサービス毎の識別子(ID)が設定される。この実施の形態では、サービスの種類は、プリント(Print)、コピー(Copy)、設定レポート(Setting Report)、自動レポート(Auto Report)とする。
【0078】
図5に示す例では、サービスとサービスIDとの関係は次のようになっている。すなわち、プリント(Print)の場合はサービスID=「001」、コピー(Copy)の場合はサービスID=「002」、設定レポート(Setting Report)の場合はサービスID=「003」、自動レポート(Auto Report)の場合はサービスID=「004」に設定される。
【0079】
優先指定320の項目には、操作・表示部270からの指定や情報処理装置30からの指定により、優先指定であるか否かを示す情報が設定される。優先指定の場合には「1」が設定され、優先指定ではない場合は「0」が設定される。
【0080】
強制印刷カウンタ330の項目には、通常サービスを即時印刷(強制的に印刷)した場合の印刷された回数(カウント値)が設定される。その印刷された回数(カウンタ値)はカウントアップされるようになっている。
【0081】
なお、閾値は、サービス毎に、操作・表示部270あるいは情報処理装置30からシステムパラメータとして設定されるようになっている。
【0082】
優先フラグ340の項目には、優先指定320の値が「1」の場合は「1」が、強制印刷カウンタ330の値が閾値以上の場合は「1」が、強制印刷カウンタ330の値が閾値未満の場合は「0」が設定される。優先フラグ340の値が、「1」のときは優先サービスとして処理され、一方、「0」のときは通常サービスとして処理される。つまり、強制印刷カウンタ330のカウンタ値は優先指定320の値に反映される。
【0083】
上述したように、サービスID管理部260は、各サービスの種別(サービスID)毎に、該当するサービスが優先サービスであるのか、あるいは通常サービスであるのかを示す情報(優先フラグ340の値)を保持するとともに、制御部220の要求に応じてその情報(優先フラグ340の値)を制御部220へ渡す。
【0084】
次に、画像出力装置20の制御部220の画像形成制御処理について、図6を参照して説明する。
【0085】
最初に、前提条件として、画像形成部240は省エネルギー状態の中のスリープ状態であるとする。
【0086】
画像出力装置20において、制御部220は、図6に示すように、通信部210から印刷データを取得し(ステップS101)、画像処理部230に対し印刷データを渡して該印刷データの処理の開始を指示する(ステップS102)。
【0087】
制御部220は、上記印刷データに付加されているサービスIDを取得し、サービスID管理部260に対し、取得したサービスIDを出力して優先サービスであるかを問い合わせ(ステップS103)、その問い合わせに対するサービスID管理部260からの結果を基に、前記取得したサービスIDに対応するサービスは優先サービスであるか否かを判断する(ステップS104)。
【0088】
例えば画像入力装置10が、サービスIDが付加された印刷データを画像出力装置20宛に送信した場合には、そのサービスはコピー(Copy)となるのでサービスIDは「002」となる。そのため、図5に示す管理情報300においては、サービスID=「002」に対応して優先フラグ=1(優先サービスの旨)が抽出され、この優先フラグ=1が制御部220に向けて出力される。
【0089】
また、情報処理装置30が、サービスIDが付加された印刷データを画像出力装置20宛に送信した場合には、そのサービスはプリント(Print)となるのでサービスIDは「001」となる。そのため、図5に示す管理情報300においては、サービスID=「001」に対応して優先フラグ=0(通常サービスの旨)が抽出され、この優先フラグ=0が制御部220に向けて出力される。
【0090】
さて、制御部220は、ステップS104において、優先サービスであると判断した場合は、画像形成部240をスリープ状態(省エネルギー状態)から画像形成可能状態へ移行させ、画像処理部230に対しステップS102で渡した印刷データを即時印刷するよう指示し(ステップS105)、一方、優先サービスではないと判断した場合(通常サービスであると判断した場合)は、スリープ状態(省エネルギー状態)を維持させたまま、ステップS102で渡した印刷データについて蓄積するよう画像処理部230に指示し(ステップS106)、その後、この処理を終了する。
【0091】
次に、画像出力装置20の画像処理部230の画像処理について、図7を参照して説明する。
【0092】
最初に、前提条件として、画像形成部240は省エネルギー状態の中のスリープ状態であるとする。
【0093】
画像処理部230は、図7に示すように、図6のステップS102において制御部220から渡された印刷データに対して指示された内容が即時印刷指示あるいは蓄積指示の何れの指示であるかを判断する(ステップS111)。
【0094】
ここで、制御部220から渡された印刷データに対する指示としては、制御部220によって、図6のステップS105での即時印刷するよう指示(即時印刷指示)、または図6のステップS106での蓄積するよう指示(蓄積指示)である。
【0095】
画像処理部230は、ステップS111において、即時印刷指示であると判断した場合は、渡された印刷データを基に画像データを生成し、その後、この画像データを画像形成部240に渡す(ステップS112)。画像形成部240は、渡された画像データに基づき画像形成処理(印刷処理)を実行する。
【0096】
これに対し、画像処理部230は、ステップS111において、蓄積指示であると判断した場合は、渡された印刷データを基に画像データを生成し、その後、この画像データを画像蓄積部250に渡す(ステップS113)。
【0097】
次に、画像出力装置20の制御部220の蓄積された画像データに関する画像形成制御処理について、図8を参照して説明する。
【0098】
最初に、前提条件として、画像形成部240は省エネルギー状態の中のスリープ状態であるとする。
【0099】
制御部220は、図8に示すように、画像出力装置20の状態が変化したことを検知し(ステップS201)、その検知した結果を基に、当該画像出力装置20の状態は省エネルギー状態の中のスタンバイ状態になっているか否かを判断する(ステップS202)。
【0100】
すなわち、ステップS202においては、スリープ状態からスタンバイ状態に遷移したか否かが判断される。なお、画像出力装置20の状態は、スタンバイ状態に遷移しても省エネルギー状態である。
【0101】
制御部220は、ステップS202においてスタンバイ状態であると判断した場合は、画像データ蓄積部250に蓄積されている通常サービスの画像データがあるか否か、つまり画像データ蓄積部250に通常サービスの画像データが蓄積されているか否かを判断する(ステップS203)。
【0102】
この場合、制御部220は、画像出力装置20が省エネルギー状態において、通常サービスである印刷データを蓄積するよう画像処理部230に指示したか否かに基づき、通常サービスの画像データが画像データ蓄積部250に蓄積されているか否かを判断する。ここで、通常サービスである印刷データを蓄積するよう少なくとも一回指示しているときは、通常サービスの画像データが画像データ蓄積部250に蓄積されていると判断されるようになっている。
【0103】
さて、制御部220は、ステップS203において、通常サービスの画像データが画像データ蓄積部250に蓄積されていると判断した場合は、画像形成部240をスタンバイ状態(省エネルギー状態)から画像形成可能状態へ移行させ、通常サービスの画像データの印刷指示を、画像データ蓄積部250に指示する(ステップS204)。
【0104】
これにより、画像データ蓄積部250は、制御部220の印刷指示に従って、当該画像データ蓄積部250に蓄積されている画像データ(通常サービスの画像データ)を画像形成部240へ出力する。この場合、複数のジョブに対応する通常サービスの画像データが蓄積されている場合は、複数のジョブに対応する複数の画像データが画像形成部240へ出力されることになる。なお、この例では、通常サービスの画像データは、図5に示す管理情報の例ではプリント(Print)のサービスの画像データとなる。
【0105】
なお、制御部220は、ステップS204を終了した場合、ステップS202においてスタンバイ状態ではないと判断した場合(スリープ状態であると判断した場合)、ステップS203において通常サービスの画像データが画像データ蓄積部250に蓄積されていないと判断した場合は、この処理を終了する。
【0106】
次に、画像出力装置20のサービスID管理部260の強制印刷カウンタ更新処理について、図9を参照して説明する。
【0107】
最初に、前提条件として、画像形成部240は省エネルギー状態の中のスリープ状態であるとする。
【0108】
ユーザが画像出力装置20の操作・表示部270を操作して、画像出力装置20に蓄積されている通常サービスの画像データの一覧(例えばファイル名の一覧)を操作・表示部270に表示させるとともに、表示されたファイル名の一覧の中から強制印刷させたいファイル名を選択し、強制印刷する旨を指示する機能キーを押下する。
【0109】
この選択されたファイル名および強制印刷する旨が操作・表示部270から制御部220に与えられると、制御部220は、画像形成部240をスリープ状態(省エネルギー状態)から画像形成可能状態へ移行させ、当該ファイル名の画像データを強制印刷するよう画像データ蓄積部250に指示する。
【0110】
画像データ蓄積部250が、指示された画像形成対象のファイル名の画像データを画像形成部240へ出力することにより、画像形成可能状態へ遷移した画像形成部240によって当該画像データ(通常サービスの画像データ)が画像形成(印刷)される。
【0111】
このようにして画像形成部240が、図9に示すように、通常サービスの画像データの強制印刷を実行すると(ステップS300)、サービスID管理部260は、制御部220から渡されるサービスIDを取得し(ステップS301)、記憶部261に記憶されている管理情報300の強制印刷カウンタ330において、前記取得したサービスIDに対応する強制印刷カウンタを「+1」インクリメントする(ステップS302)。ステップS302が終了した後は、この処理は終了となる。
【0112】
次に、画像出力装置20のサービスID管理部260の優先サービス更新処理について、図10を参照して説明する。
【0113】
サービスID管理部260は、RTC280から時刻を取得し(ステップS401)、この取得した時刻を基に優先サービスの更新タイミングに達しているか否かを判断する(ステップS402)。
【0114】
サービスID管理部260は、ステップS402において、優先サービスの更新タイミングに達していないと判断した場合にはステップS401に戻り、一方、優先サービスの更新タイミングに達したと判断した場合は、管理情報300の強制印刷カウンタ340の項目におけるサービス毎に強制印刷カウンタのカウンタ値が閾値以上であるか否かを判断する(ステップS403)。
【0115】
このステップS403においては、例えば図5に示す例では、サービスIDが「001」、「002」、「003」、「004」の並び順に、強制印刷カウンタ330のカウンタ値が更新処理対象となる。
【0116】
サービスID管理部260は、ステップS403において、更新処理対象のサービスの強制印刷カウンタのカウンタ値が閾値以上であると判断した場合には、優先フラグ340の項目における当該サービスに対応する優先フラグをセットして(優先フラグを「1」とする)、そのサービスは優先サービスする(ステップS404)。
【0117】
これに対し、サービスID管理部260は、ステップS403において、更新処理対象のサービスの強制印刷カウンタのカウンタ値が閾値未満であると判断した場合は、優先フラグ340の項目における当該サービスに対応する優先フラグをリセットして(優先フラグを「0」とする)、そのサービスは通常サービスとする(ステップS405)。
【0118】
サービスID管理部260は、ステップS404を終了した場合、あるいはステップS405を終了した場合、全てのサービスについての更新処理を終了したか否かを判断し(ステップS406)、このステップS406において、未処理の更新処理対象のサービスが存在すると判断した場合には、ステップS403に戻り、一方、全てのサービスについての更新処理を終了したと判断した場合は、全てのサービスの強制印刷カウンタのカウンタ値を「0」でクリアし(ステップS407)、その後、この処理を終了する。
【0119】
なお、実施の形態において、画像出力装置20の制御部220は、画像データ蓄積部250に蓄積されている画像データ(通常サービスの画像データ)については、予め設定された条件が満たされた場合に画像形成部240によって画像形成されるよう制御するようにする。
【0120】
予め設定された条件は、次の(1)〜(4)の条件のうち少なくとも一つである。
【0121】
(1)サービスID管理部260(の判断部262)によって優先サービス(優先して画像形成するべきサービス)であると判断された特定のサービスに対応する画像データが省エネルギー状態から画像形成可能状態に遷移した画像形成部240によって画像形成された場合。これは図8に示した処理が実施されることに相当する。
【0122】
(2)明示的に画像形成するべき旨が指示された場合。これは図9に示した処理が実施されることに相当する。
【0123】
(3)画像データ蓄積部250に蓄積されている画像データの蓄積容量が規定の容量に達した場合。
【0124】
(4)該当する画像データが蓄積されてから規定の時間が経過した場合。
【0125】
また、実施の形態では、画像出力装置20が、例えば画像入力装置10あるいは情報処理装置30から送信されるサービスのデータ(印刷データ)を当該画像出力装置20が取得した場合に、図6から図10の処理を実施するようにしているが、本発明はこれに限定されることなく、次のようにしてもよい。
【0126】
すなわち、画像出力装置20は、ユーザが当該画像出力装置20の操作・表示部270を操作したことに起因して、当該画像出力装置20に対するサービスの要求を取得した場合に、図6から図10の処理を実施するようにする。
【0127】
この場合、画像出力装置20は、入出力インターフェースを介して、例えばプリント(Print)のサービスの印刷データを記録したメモリカードなどの記録媒体との通信を行い、該記憶媒体から印刷データを取得する。
【0128】
そして、画像出力装置20の制御部220は、上記インターフェースを介して記録媒体から印刷データを取得した場合は、要求されているサービスはプリント(Print)であると認識するとともに、サービスID=「001」であると認識する。
【0129】
また、制御部220は、操作・表示部270のコピー(Copy)、設定レポート(Setting Report)、および自動レポート(Auto Report)の各サービスのうち何れかのサービスに対応する機能キーが押下されたことに起因して、操作・表示部270から機能キーに対応する信号を取得した場合は、その機能キーに対応する信号を基にサービスおよびサービスIDを認識する。
【0130】
例えば、コピー(Copy)を指示する機能キーに対応する信号を取得した場合は、要求されているサービスはコピー(Copy)であると認識するとともに、サービスID=「002」であると認識する。また他のサービスについても同様にして処理されるようにする。
【0131】
以上説明したように、実施の形態では、優先サービスのジョブ(印刷データ)は画像出力装置例えばプリンタの状態に関わらず印刷され、一方、通常サービスのジョブ(印刷データ)は、画像出力装置が画像形成可能状態(印刷可能状態)の場合には即時印刷されるものの、画像出力装置が省エネルギー状態の場合は印刷されずに画像データ蓄積部に蓄積される。また、その蓄積されたジョブは、予め設定された条件が満たされた場合(例えば上記(1)〜(4)の条件のうち少なくとも一つの条件が満たされた場合)に、印刷される。
【0132】
そのため、ユーザの利便性が確保されつつ、通常サービスのジョブ(印刷データ)の印刷に起因する省エネルギー状態から画像形成可能状態(印刷可能状態)への復帰の回数は、低減される。
【0133】
次に、実施の形態に係る画像出力装置(プリンタ)20のハードウェア構成について、図11を参照して説明する。
【0134】
画像出力装置20は、図11に示すように、CPU201、記憶装置202、ROM203、RAM204、操作パネル205、プリンタエンジン206、通信インターフェース(以下「通信I/F」という。)207、およびRTC280を備えている。
【0135】
上記各構成要素201〜207,280はシステムバス208に接続されている。なお、記憶装置202、およびプリンタエンジン206は、それぞれに対応するインタフェース(図示せず)を介してシステムバス208に接続される。
【0136】
記憶装置202は、例えばハードディスクで構成され、図4に示した取得部211および受付部212を含む制御部220、判断部262を含むサービスID管理部260(記憶部261を除く)の各機能を実現するためのソフトウェア(プログラム)、処理プログラム202Aなどインストールされた各種のプログラムを記憶している。
【0137】
処理プログラム202Aは、少なくとも次の(1)〜(3)の各処理過程を含んでいる。
【0138】
(1)画像形成にかかわる複数のサービスの中の特定のサービスに対応するデータを取得する取得処理過程。
【0139】
(2)サービス毎に設定される優先して画像形成するべきサービスであるか否かを示す情報を基に、上記取得処理過程により取得された上記データに対応する特定のサービスは優先して画像形成するべきサービスであるか否かを判断する判断処理過程。
【0140】
(3)消費電力を抑制する省エネルギー状態において上記取得処理過程により上記特定のサービスに対応するデータが取得されたときは、上記判断処理過程により判断された結果を基に、当該データに対応して画像形成するべき制御または蓄積するべき制御を実施する制御処理過程。
【0141】
また、記憶装置202は、図3に示した画像データ蓄積部およびサービスID管理部260の記憶部261の各機能を有しており、通常サービスの画像データを記憶するとともに、管理情報300(図5参照)を記憶する。
【0142】
ROM203は、読み出し専用メモリであり、画像入力装置(スキャナ)や情報処理装置(コンピュータ)など外部装置との通信を実施するための通信プロトコル情報を記憶している。
【0143】
RAM204は、随時書き込み読み出しメモリであり、記憶装置202から読み込まれた処理プログラム202Aを含むプログラムやデータ、ROM203から読み込まれた通信プロトコル情報、通信I/F207によって送受信されるデータ、操作パネル205によって設定された設定情報、などを記憶する。
【0144】
操作パネル205は、図3に示した操作・表示部270の機能を有し、画像出力装置20の状態情報やユーザに対してのメッセージなど表示情報を表示する表示部(液晶パネルなど)と、入力情報を入力する入力部とを有している。
【0145】
プリンタエンジン206は、図3に示した画像形成部240の機能を有し、渡された画像データを基に画像形成処理(印刷処理)を実施する。
【0146】
通信I/F207は、図3に示した通信部210の機能を有し、通信回線40を介して外部装置、例えば画像入力装置10や情報処理装置30との通信を行うインターフェースである。
【0147】
RTC280は、図4に示したリアルタイムクロックである。
【0148】
CPU201は、記憶装置202からRAM204に処理プログラム202Aを含むプログラムを読み込んで実行することにより、図4に示した制御部220(取得部221、受付部222を含む)、判断部262を含み記憶部261を除くサービスID管理部260の各機能を実現するとともに、処理プログラム202Aに対応する処理機能を実現する。また、CPU201は、印刷装置20全体を制御する。
【0149】
本願明細書において、処理プログラムを記録媒体としてのハードディスク等の記憶装置に記録する実施形態として説明したが、当該処理プログラムを次のようにして提供してもよい。
【0150】
すなわち、上記処理プログラムをROMに格納しておき、CPUが、この処理プログラムをこのROMから主記憶装置へローディングして実行するようにしてもよい。
【0151】
また、上記処理プログラムを、DVD−ROM、CD−ROM、MO(光磁気ディスク)、フレキシブルディスク、などのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布するようにしてもよい。この場合、その記録媒体に記録された処理プログラムを画像出力装置がインストールした後、この処理プログラムをCPUが実行するようにする。この処理プログラムのインストール先としては、RAM等のメモリやハードディスクなどの記憶装置(記録媒体)が挙げられる。そして、画像出力装置は、必要に応じてこの記憶装置に記憶した処理プログラムを主記憶装置にローディングして実行する。
【0152】
さらには、画像出力装置を通信回線(例えばインターネット)を介してサーバ装置あるいはホストコンピュータと接続するようにし、当該画像出力装置が、サーバ装置あるいはホストコンピュータから上記プ処理プログラムをダウンロードした後、この処理プログラムを実行するようにしてもよい。この場合、この処理プログラムのダウンロード先としては、RAM等のメモリやハードディスクなどの記憶装置(記録媒体)が挙げられる。そして、当該画像出力装置が、必要に応じてこの記憶装置に記憶された上記処理プログラムを主記憶装置にローディングして実行するようにする。
【0153】
以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって、開示された技術に限定されるものではないと考えるべきである。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈されるべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲の要旨を逸脱しない限りにおけるすべての変更が含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0154】
本発明は、印刷機能、複写機能、スキャン機能など複数の画像形成機能を有する画像形成装置(いわゆる複合機)に適用することができる。
【0155】
また、本発明は、上記画像形成装置(複合機)と画像入力装置および情報処理装置のうち少なくとも一つの装置とが、または複数の画像形成装置(複合機)が通信回線を介して接続される画像形成システムに適用することができる。
【符号の説明】
【0156】
1 画像形成システム
10,11 画像入力装置
20,21 画像出力装置
30 情報処理装置
40 通信回線
201 CPU
202 記憶装置
202A 処理プログラム
203 ROM
204 RAM
205 操作パネル
206 プリンタエンジン
207 通信I/F
210 通信部
220 制御部
221 取得部
222 受付部
230 画像処理部
240 画像形成部
250 画像データ蓄積部
260 サービスID管理部
261 記憶部
262 判断部
270 操作・表示部
300 管理情報


【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成にかかわる複数のサービスに対応して優先するか否かを示す情報を記憶する記憶手段と、
前記複数のサービスの中の特定のサービスの要求を取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した前記特定のサービスは優先するサービスであるか否かを前記記憶手段の記憶内容を基に判断する判断手段と、
自装置が消費電力を抑制する省エネルギー状態において前記取得手段が前記特定のサービスの要求を取得したときは、前記判断手段による判断の結果を基に、当該特定のサービスに対応して画像形成するべき制御または蓄積するべき制御を実施する制御手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
画像形成にかかわる複数のサービスに対応して優先して画像形成するべきサービスであるか否かを示す情報を記憶する記憶手段と、
前記複数のサービスの中の特定のサービスに対応するデータを取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した前記データに対応する特定のサービスが優先して画像形成するべきサービスであるか否かを前記記憶手段の記憶内容を基に判断する判断手段と、
自装置が消費電力を抑制する省エネルギー状態において前記取得手段が前記特定のサービスに対応するデータを取得したときは、前記判断手段による判断の結果を基に、当該データに対応して画像形成するべき制御または蓄積するべき制御を実施する制御手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
画像形成を実施する画像形成手段と、
データを蓄積する蓄積手段と、
を更に有し、
前記制御手段は、
前記判断手段によって優先して画像形成するべきサービスであると判断された場合には、自装置を前記省エネルギー状態から画像形成可能状態へ移行させ、前記取得手段によって取得された前記データが前記画像形成手段によって画像形成されるよう制御し、
前記判断手段によって優先して画像形成するべきサービスではないと判断された場合は、前記取得手段によって取得された前記データが前記蓄積手段に蓄積されるよう制御する、
ことを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記蓄積手段に蓄積されているデータの中の画像形成対象のデータに対応して指示される明示的に画像形成するべき旨を受け付ける受付手段、
を更に有し、
前記制御手段は、
前記受付手段が前記明示的に画像形成するべき旨を受け付けたときは、自装置を前記省エネルギー状態から画像形成可能状態へ移行させ、前記蓄積手段の中の前記画像形成対象のデータが前記画像形成手段によって画像形成されるよう制御する、
ことを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記記憶手段は、
前記サービス毎に、前記受付手段によって前記明示的に画像形成するべき旨を受け付けられたときに該当するサービスに対応するデータが画像形成された回数を示す情報と、当該回数が閾値以上の場合に設定される優先して画像形成するべきサービスである旨の情報と、を記憶する、
ことを特徴とする請求項4の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御手段は、
前記蓄積手段に蓄積されているデータについては、予め設定された条件が満たされた場合に前記画像形成手段によって画像形成されるよう制御する、
ことを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記予め設定された条件は、
前記判断手段によって優先して画像形成するべきサービスであると判断された前記特定のサービスに対応するデータが、前記省エネルギー状態から画像形成可能状態に遷移した前記画像形成手段によって画像形成された場合、
明示的に画像形成するべき旨が指示された場合、
前記蓄積手段に蓄積されているデータの蓄積容量が規定の容量に達した場合、
該当するデータが蓄積されてから規定の時間が経過した場合、
のうち少なくとも一つである、
ことを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7の何れか一項に記載の画像形成装置と、
前記画像形成装置と通信回線を介して接続され、原稿画像に対応する画像データを前記画像形成装置に向けて送信する画像入力装置および印刷データを前記画像形成装置に向けて送信する情報処理装置のうちの少なくとも一方の装置と、
を有することを特徴とする画像形成システム。
【請求項9】
画像形成にかかわる複数のサービスの中の特定のサービスに対応するデータを取得する取得処理過程と、
サービス毎に設定される優先して画像形成するべきサービスであるか否かを示す情報を基に、前記取得処理過程により取得された前記データに対応する特定のサービスは優先して画像形成するべきサービスであるか否かを判断する判断処理過程と、
消費電力を抑制する省エネルギー状態において前記取得処理過程により前記特定のサービスに対応するデータが取得されたときは、前記判断処理過程により判断された結果を基に、当該データに対応して画像形成するべき制御または蓄積するべき制御を実施する制御処理過程と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする処理プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−193014(P2010−193014A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−33220(P2009−33220)
【出願日】平成21年2月16日(2009.2.16)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】