説明

画像形成装置、画像形成システム、転写方法及び転写プログラム

【課題】被転写体に応じて画像の転写に用いる電圧が異なる場合であっても画像の濃度ムラや濃度の希薄化を低減する。
【解決手段】トナー像を記録紙に転写する二次転写部対向ローラ63と、直流電圧と交流電圧とを重畳した重畳電圧及び直流電圧のいずれかを出力して二次転写部対向ローラ63に印加する二次転写電源200と、二次転写電源200に重畳電圧を出力させる場合、少なくとも直流電圧については、第1タイミングで二次転写電源200に出力を指示し、二次転写電源200に直流電圧を出力させる場合、第1タイミングよりも遅い第2タイミングで二次転写電源200に出力を指示する電源制御部142と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成システム、転写方法及び転写プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置では、一様に帯電された像担持体上に静電潜像を形成し、形成した静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成し、形成したトナー像を記録紙に転写して定着することにより、記録紙に画像を形成する。
【0003】
ところで、記録紙には、通常、凹凸が存在し、凹部は凸部に比べてトナーが転写されにくいため、凹凸の大きい記録紙に画像を形成する場合、凹部にトナーが転写されず画像に白抜けなどの濃度ムラが発生してしまうことがある。
【0004】
このため、例えば特許文献1には、2つの金属ローラ対を流れる電流の電流値の差から、2つの金属ローラ対を通過した記録紙の凹凸を特定し、特定した凹凸に適した付着量となるようにトナー付着量を制御する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したような従来技術では、被転写体に付着されるトナー量を凹凸に適したものとすることはできるが、被転写体へのトナー転写率は改善されないため、画像の濃度ムラを改善することはできない。
【0006】
凹凸が存在する被転写体に画像を形成する場合であっても画像の濃度ムラを低減する方法として、被転写体の凹凸の大きさに応じて、直流電圧を転写部に印加して被転写体への画像の転写を行うか、少なくとも交流電圧を用いた電圧を転写部に印加して被転写体への画像の転写を行うかを、使い分ける手法が考えられる。
【0007】
但し、この手法では、少なくとも交流電圧を用いた電圧の立ち上がり時間が、直流電圧の立ち上がり時間よりも時間を要する傾向にあるため、この影響で画像に濃度ムラや濃度の希薄化が発生してしまう場合がある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、被転写体に応じて画像の転写に用いる電圧が異なる場合であっても画像の濃度ムラや濃度の希薄化を低減することができる画像形成装置、画像形成システム、転写方法及び転写プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様にかかる画像形成装置は、トナー像を被転写体に転写する転写手段と、交流電圧と第1直流電圧とを重畳した重畳電圧及び第2直流電圧のいずれかを出力して前記転写手段に印加する電源手段と、前記電源手段に前記重畳電圧を出力させる場合、少なくとも前記第1直流電圧については、第1タイミングで前記電源手段に出力を指示し、前記電源手段に前記第2直流電圧を出力させる場合、前記第1タイミングよりも遅い第2タイミングで前記電源手段に出力を指示する電源制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の別の態様にかかる画像形成システムは、画像形成装置を含む画像形成システムであって、前記画像形成装置は、トナー像を被転写体に転写する転写手段と、交流電圧と第1直流電圧とを重畳した重畳電圧及び第2直流電圧のいずれかを出力して前記転写手段に印加する電源手段と、を備え、前記画像形成システムは、前記電源手段に前記重畳電圧を出力させる場合、少なくとも前記第1直流電圧については、第1タイミングで前記電源手段に出力を指示し、前記電源手段に前記第2直流電圧を出力させる場合、前記第1タイミングよりも遅い第2タイミングで前記電源手段に出力を指示する電源制御手段を備えること、を特徴とする。
【0011】
また、本発明の別の態様にかかる転写方法は、転写手段が、トナー像を被転写体に転写する転写ステップと、電源手段が、交流電圧と第1直流電圧とを重畳した重畳電圧及び第2直流電圧のいずれかを出力して前記転写手段に印加する印加ステップと、電源制御手段が、前記電源手段に前記重畳電圧を出力させる場合、少なくとも前記第1直流電圧については、第1タイミングで前記電源手段に出力を指示し、前記電源手段に前記第2直流電圧を出力させる場合、前記第1タイミングよりも遅い第2タイミングで前記電源手段に出力を指示する電源制御ステップと、を含むことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の別の態様にかかる転写プログラムは、トナー像を被転写体に転写する転写手段と、電圧を出力して前記転写手段に印加する電源手段と、を備える画像形成装置のコンピュータに、前記電源手段に交流電圧と第1直流電圧とを重畳した重畳電圧を出力させる場合、少なくとも前記第1直流電圧については、第1タイミングで前記電源手段に出力を指示し、前記電源手段に第2直流電圧を出力させる場合、前記第1タイミングよりも遅い第2タイミングで前記電源手段に出力を指示する電源制御ステップを実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、被転写体に応じて画像の転写に用いる電圧が異なる場合であっても画像の濃度ムラや濃度の希薄化を低減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、第1実施形態の印刷装置の一例を示す機械的構成図である。
【図2】図2は、第1実施形態の画像形成部の一例を示す機械的構成図である。
【図3】図3は、第1実施形態の印刷装置の電気的構成の一例を示すブロック図である。
【図4】図4は、第1実施形態の重畳バイアスによる高圧出力とDCバイアスによる高圧出力との立ち上がりタイミングの一例の説明図である。
【図5】図5は、第1実施形態において重畳バイアスで高圧出力を行う場合の一例のタイミングチャート図である。
【図6】図6は、第1実施形態においてDCバイアスのみで高圧出力を行う場合の一例のタイミングチャート図である。
【図7】図7は、第1実施形態の二次転写電源の電気的構成の一例を示すブロック図である。
【図8】図8は、第1実施形態の二次転写電源で重畳バイアスを二次転写部対向ローラに印加した場合の記録紙へのトナー付着原理の一例の説明図である。
【図9】図9は、第1実施形態の印刷装置で行われる転写制御処理の一例を示すフローチャートである。
【図10】図10は、第2実施形態の印刷装置の電気的構成の一例を示すブロック図である。
【図11】図11は、第2実施形態の重畳バイアスによる高圧出力とDCバイアスによる高圧出力との立ち上がりタイミングの一例の説明図である。
【図12】図12は、第2実施形態において重畳バイアスで高圧出力を行う場合の一例のタイミングチャート図である。
【図13】図13は、第2実施形態の印刷装置で行われる転写制御処理の一例を示すフローチャートである。
【図14】図14は、変形例6の説明図である。
【図15】図15は、変形例7の説明図である。
【図16】図16は、変形例8の説明図である。
【図17】図17は、変形例9の説明図である。
【図18】図18は、変形例10の説明図である。
【図19】図19は、変形例11の画像形成システムの一例を示す外観図である。
【図20】図20は、変形例12のサーバ装置の一例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら、本発明にかかる画像形成装置、画像形成システム、転写方法及び転写プログラムの各実施形態を詳細に説明する。以下の各実施形態では、本発明の画像形成装置を電子写真方式のカラー印刷装置、具体的には、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の4色の色成分画像を記録紙上で重ね合わせて画像を形成する印刷装置に適用した場合を例に取り説明するが、これに限定されるものではない。本発明の画像形成装置は、電子写真方式で画像を形成する装置であれば、カラー、モノクロを問わず適用でき、例えば、電子写真方式の複写機や複合機(MFP:Multifunction Peripheral)などにも適用できる。なお、複合機とは、印刷機能、複写機能、スキャナ機能、及びファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する装置である。
【0016】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態の印刷装置の構成について説明する。
【0017】
図1は、本実施形態の印刷装置1の一例を示す機械的構成図である。図1に示すように、印刷装置1は、画像形成部10Y、10M、10C、及び10Kと、中間転写ベルト60と、支持ローラ61、62と、二次転写部対向ローラ(斥力ローラ)63と、二次転写ローラ64と、用紙カセット70と、給紙ローラ71と、搬送ローラ対72と、定着装置90と、二次転写電源200とを、備える。
【0018】
画像形成部10Y、10M、10C、及び10Kは、図1に示すように、中間転写ベルト60の移動方向(矢印a方向)の上流側から、画像形成部10Y、10M、10C、10Kの順番で中間転写ベルト60に沿って配置されている。
【0019】
図2は、本実施形態の画像形成部10Yの一例を示す機械的構成図である。図2に示すように、画像形成部10Yは、感光体ドラム11Yと、帯電装置20Yと、現像装置30Yと、一次転写ローラ40Yと、クリーニング装置50Yとを、備える。画像形成部10Y及び図示せぬ照射装置は、感光体ドラム11Y上で作像プロセス(帯電工程、照射工程、現像工程、転写工程、及びクリーニング工程)を行うことにより、感光体ドラム11Y上にイエローのトナー像(色成分画像)を形成し、中間転写ベルト60に転写する。
【0020】
なお、画像形成部10M、10C、及び10Kは、いずれも画像形成部10Yと共通の構成要素を備えており、画像形成部10Mは、作像プロセスを行うことによりマゼンタのトナー像を形成し、画像形成部10Cは、作像プロセスを行うことによりシアンのトナー像を形成し、画像形成部10Kは、作像プロセスを行うことによりブラックのトナー像を形成する。このため、以下では、画像形成部10Yの構成要素についての説明を主に行い、画像形成部10M、10C、及び10Kの構成要素については、画像形成部10Yの構成要素の符号に付したYに替えてそれぞれM、C、Kを付すに留め(図1参照)、その説明を省略する。
【0021】
感光体ドラム11Yは、像担持体であり、図示せぬ感光体ドラム駆動装置により矢印b方向に回転駆動される。感光体ドラム11Yは、例えば、外径60mmの有機感光体である。感光体ドラム11M、11C、及び11Kについても同様に、図示せぬ感光体ドラム駆動装置により矢印b方向に回転駆動される。
【0022】
なお、ブラック用の感光体ドラム11Kと、カラー用の感光体ドラム11Y、11M、及び11Cとを、独立して回転駆動できるようにしてもよい。これにより、モノクロ画像を形成する場合にはブラック用の感光体ドラム11Kのみを回転駆動し、カラー画像を形成する場合には感光体ドラム11Y、11M、11C、及び11Kを同時に回転駆動させることができる。
【0023】
まず、帯電工程では、帯電装置20Yは、回転駆動されている感光体ドラム11Yの表面を帯電する。具体的には、帯電装置20Yは、例えばローラ形状の導電性弾性体である帯電ローラ(図示省略)に対して直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を印加する。これにより、帯電装置20Yは、帯電ローラと感光体ドラム11Yとの間で直接放電を起こし、感光体ドラム11Yを所定の極性、例えば、マイナス極性に帯電する。
【0024】
続いて、照射工程では、図示せぬ照射装置は、感光体ドラム11Yの帯電面に光変調されたレーザ光Lを照射し、感光体ドラム11Yの表面に静電潜像を形成する。この結果、レーザ光Lが照射され感光体ドラム11Yの表面部分の電位の絶対値が低下した部分が静電潜像(画像部)となり、レーザ光Lが照射されず電位の絶対値が高く保たれた部分が地肌部となる。
【0025】
続いて、現像工程では、現像装置30Yは、感光体ドラム11Y上に形成された静電潜像をイエロートナーで現像し、感光体ドラム11Y上にイエローのトナー像を形成する。
【0026】
現像装置30Yは、収容容器31Yと、収容容器31Yに収容された現像スリーブ32Yと、収容容器31Yに収容されたスクリュー部材33Yとを、備える。収容容器31Yには、イエロートナーとキャリアとを有する2成分現像剤が収容されている。現像スリーブ32Yは、現像剤担持体であり、収容容器31Yの開口部を介して感光体ドラム11Yと対向するように配置されている。スクリュー部材33Yは、現像剤を攪拌しながら搬送する攪拌部材である。スクリュー部材33Yは、現像スリーブ側となる現像剤の供給側と、図示せぬトナー補給装置から供給を受ける受給側とに配置され、図示せぬ軸受け部材によって収容容器31Yに回転自在に支持されている。
【0027】
続いて、転写工程では、一次転写ローラ40Yは、感光体ドラム11Y上に形成されたイエローのトナー像を中間転写ベルト60に転写する。なお、感光体ドラム11Y上には、トナー像の転写後においても未転写トナーが僅かながら残存する。
【0028】
一次転写ローラ40Yは、例えば導電性のスポンジ層を有する弾性ローラであり、中間転写ベルト60の裏面から感光体ドラム11Yに対して押し当てられるように配置されている。なお、弾性ローラには、一次転写バイアスとして定電流制御されたバイアスが印加されている。一次転写ローラ40Yは、例えば、外形が16mmであり、心金径が10mmであり、スポンジ層の抵抗Rの値が約3E7Ωである。なお、スポンジ層の抵抗Rの値は、接地された外径30mmの金属ローラを10Nで押し当てた状態で一次転写ローラ40Yの心金に電圧Vを1000V印加したときに流れる電流Iからオームの法則(R=V/I)を用いて算出した値である。
【0029】
続いて、クリーニング工程では、クリーニング装置50Yは、感光体ドラム11Y上に残存している未転写トナーを払拭する。クリーニング装置50Yは、クリーニングブレード51Yと、クリーニングブラシ52Yとを、備える。クリーニングブレード51Yは、感光体ドラム11Yの回転方向に対してカウンタ方向から感光体ドラム11Yと当接している状態で感光体ドラム11Yの表面をクリーニングする。クリーニングブラシ52Yは、感光体ドラム11Yの回転方向と逆方向に回転しながら感光体ドラム11Yと接触している状態で感光体ドラム11Yの表面をクリーニングする。
【0030】
図1に戻り、中間転写ベルト60は、支持ローラ61、62や二次転写部対向ローラ63などの複数のローラに掛け回されたエンドレスのベルトであり、支持ローラ61、62の一方が回転駆動させられることにより矢印a方向に無端移動する。中間転写ベルト60には、まず、画像形成部10Yによりイエローのトナー像が転写され、続いて、画像形成部10Mによりマゼンタのトナー像、画像形成部10Cによりシアンのトナー像、画像形成部10Kによりブラックのトナー像が順次重畳して転写される。これにより、中間転写ベルト60上にフルカラーのトナー像(フルカラーの画像)が形成される。そして中間転写ベルト60は、形成されたフルカラーのトナー像を二次転写部対向ローラ63と二次転写ローラ64との間に搬送する。中間転写ベルト60は、例えば、厚さが20〜200μm(好ましくは、60μm程度)、体積抵抗率が6.0〜13.0LogΩcm(好ましくは、7.5〜12.5LogΩcm、より好ましくは、約9LogΩcm)、表面抵抗率が9.0〜13.0LogΩcm(好ましくは、10.0〜12.0LogΩcm)の無端状カーボン分散ポリイミド樹脂で構成される。体積抵抗率は、三菱化学製ハイレスタ HRSプローブ 100V、10secでの抵抗測定値であり、表面抵抗率は、三菱化学製ハイレスタ HRSプローブ 500V、10secでの抵抗測定値である。支持ローラ62は接地されている。
【0031】
用紙カセット70には、図示せぬ各トレイに複数の記録紙が重ね合わせて収容される。記録紙は、収容されるトレイ毎に用紙の種別やサイズが異なるものとする。本実施形態では、記録紙(被転写体の一例)は、例えば、普通紙や凹凸の大きいレザック紙であるものとするがこれに限定されるものではない。
【0032】
給紙ローラ71は、用紙カセット70のトレイの最上部に位置する記録紙Pに当接されており、当接している記録紙Pを給紙する。
【0033】
搬送ローラ対72は、給紙ローラ71により給紙された記録紙Pを、二次転写部対向ローラ63と二次転写ローラ64との間に(矢印c方向)所定のタイミングで搬送する。
【0034】
二次転写部対向ローラ63及び二次転写ローラ64は、二次転写部対向ローラ63と二次転写ローラ64との間の二次転写ニップ(図示省略)で、中間転写ベルト60により搬送されたフルカラーのトナー像を、搬送ローラ対72により搬送された記録紙P上に一括転写する。
【0035】
二次転写部対向ローラ63(転写手段の一例)は、例えば、外形が24mmであり、心金径が16mmであり、導電性のNBR系ゴム層である。なお、導電性のNBR系ゴム層の抵抗Rの値は、6.0〜12.0LogΩ(又はSUS)であり、好ましくは、4.0LogΩである。二次転写ローラ64は、例えば、外形が24mmであり、心金径が14mmであり、導電性のNBR系ゴム層である。なお、導電性のNBR系ゴム層の抵抗Rの値は、6.0〜8.0LogΩであり、好ましくは、7.0〜8.0LogΩである。二次転写ローラ64の体積抵抗は、回転測定で測定した抵抗測定値であり、加重:5N/片側、バイアス印加:転写ローラ軸に1KV印加、1min測定間にローラ1回転の抵抗測定し、平均値を体積抵抗としたものである。
【0036】
二次転写部対向ローラ63には、転写バイアス用の二次転写電源200が接続されている。二次転写電源200(電源手段の一例)は、二次転写ニップでフルカラーのトナー像を記録紙Pに転写するために、二次転写部対向ローラ63に電圧を印加する。具体的には、二次転写電源200は、ユーザ設定に応じて、直流電圧(第2直流電圧の一例、以下、「DCバイアス」と称する)のみを二次転写部対向ローラ63に印加したり、直流電圧(第1直流電圧の一例)と交流電圧とを重畳した重畳電圧(以下、「重畳バイアス」と称する)を二次転写部対向ローラ63に印加したりする。これにより、二次転写部対向ローラ63と二次転写ローラ64との間に電位差が生じ、トナーが中間転写ベルト60から記録紙P側へ向かう電圧が生じるため、フルカラーのトナー像を記録紙Pに転写することができる。ここで、本実施形態における電位差は、(二次転写部対向ローラ63の電位)−(二次転写ローラ64の電位)とする。
【0037】
定着装置90は、フルカラーのトナー像が転写された記録紙Pを加熱及び加圧することにより、フルカラーのトナー像を記録紙Pに定着する。そして、フルカラーのトナー像が定着された記録紙Pは、印刷装置1の外部に排紙される。
【0038】
図3は、本実施形態の印刷装置1の電気的構成の一例を示すブロック図である。図3に示すように、印刷装置1は、エンジン制御部100と、二次転写電源200と、二次転写部対向ローラ63とを、備える。
【0039】
エンジン制御部100は、エンジン制御、例えば、画像形成に関わる制御を行うものであり、I/O制御部110と、RAM(Random Access Memory)120と、ROM(Read Only Memory)130と、CPU(Central Processing Unit)140とを、備える。
【0040】
I/O制御部110は、各種信号の入出力を制御するものであり、二次転写電源200との間でやりとりされる信号の入出力などを制御する。
【0041】
RAM120は、揮発性の記憶装置(メモリ)であり、CPU140などの作業領域として使用される。
【0042】
ROM130は、不揮発性の読出専用の記憶装置(メモリ)であり、印刷装置1で実行される各種プログラムや印刷装置1で実行される各種処理に使用されるデータなどを記憶する。例えばROM130は、二次転写電源200に重畳バイアスで高圧出力させる場合の二次転写電源200へのDCバイアス出力信号及びACバイアス出力信号の出力タイミングである第1タイミングを特定する特定情報を記憶する。特定情報は、例えば、印刷開始基準を示す印刷開始基準信号を基準として第1タイミングを特定している。またROM130は、第1タイミングと、二次転写電源200にDCバイアスのみで高圧出力させる場合の二次転写電源200へのDCバイアス出力信号の出力タイミングである第2タイミングと、の間隔を示す間隔情報を記憶する。
【0043】
ここで、第1タイミング及び第2タイミングについて説明する。図4は、重畳バイアスによる高圧出力とDCバイアスによる高圧出力との立ち上がりタイミングの一例の説明図である。なお、立ち上がりとは、電位差のない状態(0kV)から、プラスマイナスを問わず電位差のある状態になることである。また、参考まで、立ち下がりとは、プラスマイナスを問わず電位差のある状態から、電位差のない状態(0kV)になることである。図4に示すように、二次転写電源200にDCバイアスのみで高圧出力させる場合、二次転写電源200にDCバイアスの出力指示(二次転写電源200へのDCバイアス出力信号の出力)が行われてから、二次転写電源200のバイアス値が狙いの値(−10kV)となるまでに、50ms要している。一方、二次転写電源200に重畳バイアスで高圧出力させる場合、二次転写電源200に重畳バイアスの出力指示(二次転写電源200へのDCバイアス出力信号及びACバイアス出力信号の出力)が行われてから、二次転写電源200のバイアス値が狙いの値(−10kV)となるまでに、600ms要している。
【0044】
このように、二次転写電源200に重畳バイアスで高圧出力させる場合、バイアスの出力値が大きいDCにACを重畳するため、DCバイアスのみで高圧出力させる場合に比べ、バイアス値が狙いの値となるまでに(電圧が立ち上がるまでに)時間を要してしまう。
【0045】
このため本実施形態では、二次転写電源200に重畳バイアスで高圧出力させる場合に、二次転写電源200に重畳バイアスの出力指示(二次転写電源200へのDCバイアス出力信号及びACバイアス出力信号の出力)を行うタイミングを第1タイミングとしている。特定情報は、この第1タイミングをCPU140が印刷開始基準信号(図示省略)を受信してからの経過時間で特定している。また本実施形態では、二次転写電源200にDCバイアスのみで高圧出力させる場合に、二次転写電源200にDCバイアスの出力指示(二次転写電源200へのDCバイアス出力信号の出力)を行うタイミングを第2タイミングとしている。間隔情報は、この第2タイミングを第1タイミングとの間隔で特定している。つまり本実施形態では、間隔情報が示す間隔は、550msとなり、二次転写電源200に重畳バイアスで高圧出力させる場合、二次転写電源200にDCバイアスのみで高圧出力させる場合よりも550ms早く二次転写電源200への出力指示が行われる。
【0046】
図3に戻り、CPU140は、印刷開始基準信号の入力を受け付けたり、オペレーションパネルなどの操作部(図示省略)から高圧出力のユーザ設定を受け付けたりする。ユーザは、例えば、記録紙が凹凸の大きいレザック紙である場合、操作部から、高圧出力のユーザ設定として「重畳バイアスで高圧出力」を入力し、記録紙が普通紙である場合、操作部から、高圧出力のユーザ設定として「DCバイアスのみで高圧出力」を入力する。そしてCPU140は、I/O制御部110を介して、ユーザ設定に応じた高圧出力を二次転写電源200に行わせる。CPU140は、電源制御部142を含む。
【0047】
電源制御部142は、ユーザ設定が「重畳バイアスで高圧出力」である場合、即ち、二次転写電源200に重畳電圧で高圧出力させる場合、第1タイミングで二次転写電源200に高圧出力を指示する。
【0048】
図5は、重畳バイアスで高圧出力を行う場合の一例のタイミングチャート図である。電源制御部142は、ユーザ設定が「重畳バイアスで高圧出力」である場合、CPU140により印刷開始基準信号の入力が受け付けられると、経過時間を計測し、特定情報を参照して第1タイミングを特定する。そして電源制御部142は、図5に示すように、第1タイミングになると、I/O制御部110から二次転写電源200への逆バイアス出力信号の出力を停止させ、I/O制御部110から二次転写電源200へ重畳バイアス用のDCバイアス出力信号である重畳バイアス(DC)出力信号及び重畳バイアス用のACバイアス出力信号である重畳バイアス(AC)出力信号を出力させる。二次転写電源200は、I/O制御部110から重畳バイアス(DC)出力信号及び重畳バイアス(AC)出力信号が入力されると、二次転写部対向ローラ63に対して重畳バイアスでの高圧出力を開始する。これにより、二次転写電源200は、600ms経過後、即ち、二次転写部対向ローラ63及び二次転写ローラ64がフルカラーのトナー像を記録紙P上に転写するまでに、狙いのバイアス値(−10kV)を二次転写部対向ローラ63に印加できる。なお、電源制御部142は、重畳バイアス(AC)出力信号を重畳バイアス(DC)出力信号と同時に出力させる必要はない。電源制御部142は、重畳バイアス(AC)出力信号を重畳バイアス(DC)出力信号と略同時のタイミングで出力させてもよいし、重畳バイアス(AC)出力信号を重畳バイアス(DC)出力信号出力後に出力させてもよい。
【0049】
電源制御部142は、ユーザ設定が「DCバイアスのみで高圧出力」である場合、即ち、二次転写電源200にDC電圧のみで高圧出力させる場合、第2タイミングで二次転写電源200に高圧出力を指示する。
【0050】
図6は、DCバイアスのみで高圧出力を行う場合の一例のタイミングチャート図である。電源制御部142は、ユーザ設定が「DCバイアスのみで高圧出力」である場合、CPU140により印刷開始基準信号の入力が受け付けられると、経過時間を計測し、特定情報及び間隔情報を参照して第2タイミングを特定する。そして電源制御部142は、図6に示すように、第2タイミングになると、I/O制御部110から二次転写電源200への逆バイアス出力信号の出力を停止させ、I/O制御部110から二次転写電源200へDCバイアスのみ用のDCバイアス出力信号を出力させる。二次転写電源200は、I/O制御部110からDCバイアスのみ用のDCバイアス出力信号が入力されると、二次転写部対向ローラ63に対してDCバイアスのみでの高圧出力を開始する。これにより、二次転写電源200は、50ms経過後、即ち、二次転写部対向ローラ63及び二次転写ローラ64がフルカラーのトナー像を記録紙P上に転写するまでに、狙いのバイアス値(−10kV)を二次転写部対向ローラ63に印加できる。
【0051】
図7は、本実施形態の二次転写電源200の電気的構成の一例を示すブロック図である。図7に示すように、二次転写電源200は、重畳電源210と、DC電源230とを、備えている。本実施形態では、重畳電源210は、二次転写電源200に着脱可能であるものとするが、これに限定されるものではない。
【0052】
重畳電源210は、D/A変換部211と、駆動部212と、昇圧部213と、D/A変換部214と、駆動部215と、昇圧部216と、出力部217と、入力部218と、入力部219と、出力部220とを、備える。
【0053】
D/A変換部211は、I/O制御部110から、昇圧部213のDC高圧出力の電流又は電圧を設定するPWM信号(DCバイアス出力信号)が入力され、入力されたPWM信号をデジタルからアナログに変換する。
【0054】
駆動部212は、D/A変換部211によりアナログに変換されたPWM信号に従って、昇圧部213を駆動する。また駆動部212は、昇圧部213のDC高圧出力の出力電流値及び出力電圧値をI/O制御部110に出力する。これは、エンジン制御部100において、負荷状態を監視するためである。
【0055】
昇圧部213は、駆動部212により駆動され、重畳電源210からのDC電圧を変圧して、DC高圧出力を行う。また昇圧部213は、DC高圧出力の出力電流値及び出力電圧値を駆動部212に出力する。
【0056】
D/A変換部214は、I/O制御部110から、昇圧部216のAC高圧出力の電流又は電圧を設定するPWM信号(ACバイアス出力信号)が入力され、入力されたPWM信号をデジタルからアナログに変換する。
【0057】
駆動部215は、D/A変換部214によりアナログに変換されたPWM信号に従って、昇圧部216を駆動する。また駆動部215は、昇圧部216のAC高圧出力の出力電流値及び出力電圧値をI/O制御部110に出力する。これは、エンジン制御部100において、負荷状態を監視するためである。
【0058】
昇圧部216は、駆動部215により駆動され、重畳電源210からのAC電圧を変圧し、AC高圧出力と昇圧部213からのDC高圧出力を重畳して重畳高圧出力を行う。また昇圧部216は、AC高圧出力の出力電流値及び出力電圧値を駆動部215に出力する。
【0059】
出力部217は、昇圧部216の重畳高圧出力をDC電源230に出力する。なお出力部217は、負荷調整用のコンデンサを有する。
【0060】
入力部218には、出力部217により出力された重畳高圧出力がDC電源230から入力される。
【0061】
入力部219には、DC電源230からのDC高圧出力が入力される。
【0062】
出力部220は、入力部218に重畳高圧出力が入力されている場合、当該重畳高圧出力を二次転写部対向ローラ63に対して行う。また出力部220は、入力部219にDC高圧出力が入力されている場合、当該DC高圧出力を二次転写部対向ローラ63に対して行う。
【0063】
DC電源230は、D/A変換部231と、駆動部232と、昇圧部233と、D/A変換部234と、駆動部235と、昇圧部236と、出力部237と、DC用リレー238と、AC用リレー239とを、備える。
【0064】
D/A変換部231は、I/O制御部110から、昇圧部233のDC高圧出力(−)の電流又は電圧を設定するPWM信号(DCバイアス出力信号)が入力され、入力されたPWM信号をデジタルからアナログに変換する。
【0065】
駆動部232は、D/A変換部231によりアナログに変換されたPWM信号に従って、昇圧部233を駆動する。また駆動部232は、昇圧部233のDC高圧出力(−)の出力電流値及び出力電圧値をI/O制御部110に出力する。これは、エンジン制御部100において、負荷状態を監視するためである。
【0066】
昇圧部233は、駆動部232により駆動され、DC電源230からのDC電圧を変圧して、DC高圧出力(−)を行う。また昇圧部233は、DC高圧出力(−)の出力電流値及び出力電圧値を駆動部232に出力する。
【0067】
D/A変換部234は、I/O制御部110から、昇圧部236のDC高圧出力(+)の電流又は電圧を設定するPWM信号(DCバイアス出力信号)が入力され、入力されたPWM信号をデジタルからアナログに変換する。
【0068】
駆動部235は、D/A変換部234によりアナログに変換されたPWM信号に従って、昇圧部236を駆動する。また駆動部235は、昇圧部236のDC高圧出力(+)の出力電流値及び出力電圧値をI/O制御部110に出力する。これは、エンジン制御部100において、負荷状態を監視するためである。
【0069】
昇圧部236は、駆動部235により駆動され、DC電源230からのDC電圧を変圧して、DC高圧出力(+)を行う。また昇圧部236は、DC高圧出力(+)の出力電流値及び出力電圧値を駆動部235に出力する。
【0070】
出力部237は、昇圧部233のDC高圧出力(−)と昇圧部236のDC高圧出力(+)とを合成して、DC用リレー238に出力する。
【0071】
DC用リレー238は、高圧出力をDC高圧出力に切り替えるリレーであり、I/O制御部110から入力されるDCRY信号によりオン/オフが切り替えられる。DC用リレー238は、オンである場合、出力部237からのDC高圧出力を重畳電源210に出力する。
【0072】
AC用リレー239は、高圧出力を重畳高圧出力に切り替えるリレーであり、I/O制御部110から入力されるACRY信号によりオン/オフが切り替えられる。AC用リレー239は、オンである場合、DC電源230からの重畳高圧出力を重畳電源210に出力する。
【0073】
このように、本実施形態の二次転写電源200では、DC高圧出力と重畳高圧出力とをリレーで切り替える。
【0074】
なお前述したように、二次転写電源200に重畳バイアスで高圧出力させる場合、DCバイアスのみで高圧出力させる場合に比べ、バイアス値が狙いの値となるまでに(電圧が立ち上がるまでに)時間を要してしまう。これは、出力部217が有している負荷調整用のコンデンサは、ある程度の容量を備えることでACの波形を維持しているが、重畳バイアス(DC)の昇圧部213は、定電流制御され、突入防止のために所定の低い電流で出力を行っており、負荷調整用のコンデンサによる重畳バイアス(DC)のチャージに時間がかかるためである。この結果、電圧の立ち上がり時間に遅れが生じる。なお、重畳バイアス(AC)も負荷調整用のコンデンサにチャージされるが、重畳バイアス(AC)の昇圧部216は、定電圧制御されており、はじめから大きな電圧を重畳しても問題が起きないため、負荷調整用のコンデンサのチャージに時間があまりかからない。このため、電源制御部142は、重畳バイアス(AC)出力信号を重畳バイアス(DC)出力信号出力後に出力させたり、重畳バイアス(AC)出力信号を重畳バイアス(DC)出力信号と略同時のタイミングで出力させたりすることができる。
【0075】
図8は、本実施形態の二次転写電源200で重畳バイアスを二次転写部対向ローラ63に印加した場合の記録紙Pへのトナー付着原理の一例の説明図である。重畳バイアスを二次転写部対向ローラ63に印加した場合、交流波形となるため、二次転写部対向ローラ63から二次転写ローラ64へ向かう電圧及び二次転写ローラ64から二次転写部対向ローラ63へ向かう電圧が所定周期で切り替わる。この結果、図8に示すように、中間転写ベルト60(図示省略)に形成されたフルカラーのトナー像のトナーTが記録紙Pへ向かう方向及びその反対方向に動きだし、ある程度の電圧レベルになると、記録紙Pの凹部にトナーが付着する。
【0076】
次に、第1実施形態の印刷装置の動作について説明する。
【0077】
図9は、本実施形態の印刷装置1で行われる転写制御処理の一例を示すフローチャートである。
【0078】
まず、CPU140は、二次転写電源200に重畳電源210が取り付けられているか否かを確認する(ステップS100)。
【0079】
二次転写電源200に重畳電源210が取り付けられている場合(ステップS100でYes)、CPU140は、高圧出力のユーザ設定から、重畳バイアスによる高圧出力を行うか否か確認する(ステップS102)。
【0080】
重畳バイアスによる高圧出力を行う場合(ステップS102でYes)、電源制御部142は、逆バイアス出力信号をオンし、I/O制御部110から二次転写電源200へ逆バイアス出力信号を出力させる(ステップS104)。
【0081】
続いて、電源制御部142は、印刷開始基準信号の入力が受け付けられてからの経過時間及び特定情報から第1タイミングを特定する(ステップS106でNo)。
【0082】
続いて、電源制御部142は、第1タイミングになると(ステップS106でYes)、逆バイアス出力信号をオフし、I/O制御部110から二次転写電源200への逆バイアス出力信号の出力を停止させる(ステップS108)。
【0083】
続いて、電源制御部142は、DCバイアス出力信号をオンし、I/O制御部110から二次転写電源200へDCバイアス出力信号を出力させるとともに(ステップS110)、ACバイアス出力信号をオンし、I/O制御部110から二次転写電源200へACバイアス出力信号を出力させる(ステップS112)。
【0084】
これにより、二次転写電源200は、重畳バイアスで高圧出力する場合であっても、二次転写部対向ローラ63及び二次転写ローラ64がフルカラーのトナー像を記録紙P上に転写するまでに、狙いのバイアス値(−10kV)を二次転写部対向ローラ63に印加できる。
【0085】
一方、二次転写電源200に重畳電源210が取り付けられていない場合(ステップS100でNo)、又は、重畳バイアスによる高圧出力を行わない場合(ステップS102でNo)、電源制御部142は、逆バイアス出力信号をオンし、I/O制御部110から二次転写電源200へ逆バイアス出力信号を出力させる(ステップS114)。
【0086】
続いて、電源制御部142は、印刷開始基準信号の入力が受け付けられてからの経過時間及び特定情報から第1タイミングを特定する(ステップS116でNo)。
【0087】
続いて、電源制御部142は、第1タイミングになると(ステップS116でYes)、第1タイミングからの経過時間及び間隔情報から第2タイミングを特定する(ステップS118でNo)。
【0088】
続いて、電源制御部142は、第2タイミングになると(ステップS118でYes)、逆バイアス出力信号をオフし、I/O制御部110から二次転写電源200への逆バイアス出力信号の出力を停止させる(ステップS120)。
【0089】
続いて、電源制御部142は、DCバイアス出力信号をオンし、I/O制御部110から二次転写電源200へDCバイアス出力信号を出力させる(ステップS122)。
【0090】
これにより、二次転写電源200は、DCバイアスのみで高圧出力する場合であっても、二次転写部対向ローラ63及び二次転写ローラ64がフルカラーのトナー像を記録紙P上に転写するまでに、狙いのバイアス値(−10kV)を二次転写部対向ローラ63に印加できる。
【0091】
以上のように第1実施形態では、重畳バイアスで高圧出力を行う場合、DCバイアスで高圧出力を行う場合よりも電圧の立ち上がりが遅いことを考慮して、二次転写電源への出力指示を早めている。このため第1実施形態によれば、重畳バイアスで高圧出力を行う場合であっても二次転写を行うまでに、狙いのバイアス値を二次転写部対向ローラに印加できるので、画像の濃度ムラや濃度の希薄化を低減することができる。
【0092】
なお、重畳バイアスで高圧出力を行う場合に、DCバイアスで高圧出力を行う場合と同様のタイミングで二次転写電源への出力指示を行ってしまうと、二次転写電源のバイアス値が二次転写を行うまでに狙いのバイアス値に達せず、二次転写部対向ローラに狙いのバイアス値を印加できないため、画像の濃度ムラや濃度の希薄化が発生してしまう。
【0093】
また第1実施形態によれば、高圧出力の出力タイミングをソフトウェアにより特定しているため、高圧出力の出力タイミングを特定するハードウェアを組む必要がなく、印刷装置を小型化することができる。
【0094】
(第2実施形態)
第2実施形態では、重畳バイアスで高圧出力を行う場合にDCバイアス出力信号出力後にACバイアス出力信号を出力させる例について説明する。以下では、第1実施形態との相違点の説明を主に行い、第1実施形態と同様の機能を有する構成要素については、第1実施形態と同様の名称・符号を付し、その説明を省略する。
【0095】
図10は、本実施形態の印刷装置301の電気的構成の一例を示すブロック図である。図10に示すように、第2実施形態の印刷装置301では、エンジン制御部300のROM330及びCPU340の電源制御部342が第1実施形態の印刷装置1と相違する。
【0096】
ROM330は、例えば、二次転写電源200に重畳バイアスで高圧出力させる場合の二次転写電源200へのDCバイアス出力信号の出力タイミングである第1タイミングを特定する特定情報を記憶する。またROM330は、第1タイミングと前述の第2タイミングとの間隔、及び第1タイミングと二次転写電源200に重畳バイアスで高圧出力させる場合の二次転写電源200へのACバイアス出力信号の出力タイミングである第3タイミングとの間隔を示す間隔情報を記憶する。
【0097】
ここで、第1〜第3タイミングについて説明する。図11は、重畳バイアスによる高圧出力とDCバイアスによる高圧出力との立ち上がりタイミングの一例の説明図である。図11に示すように、二次転写電源200にDCバイアスのみで高圧出力させる場合、二次転写電源200にDCバイアスの出力指示(二次転写電源200へのDCバイアス出力信号の出力)が行われてから、二次転写電源200のバイアス値が狙いの値(−10kV)となるまでに、50ms要している。一方、二次転写電源200に重畳バイアスで高圧出力させる場合、二次転写電源200に重畳バイアス(DC)の出力指示(二次転写電源200へのDCバイアス出力信号の出力)が行われてから、二次転写電源200のバイアス値が狙いの値(−10kV)となるまでに、600ms要している。また、二次転写電源200に重畳バイアス(AC)の出力指示(二次転写電源200へのACバイアス出力信号の出力)が行われてから、二次転写電源200のバイアス値が狙いの値(10kVpp)となるまでに、45ms要している。
【0098】
このように、二次転写電源200に重畳バイアスで高圧出力させる場合、バイアスの出力値が大きいDCにACを重畳するため、DCバイアスのみで高圧出力させる場合に比べ、重畳バイアス(DC)のバイアス値が狙いの値となるまでに(電圧が立ち上がるまでに)時間を要してしまう。なお、重畳バイアス(AC)のバイアス値が狙いの値となるまでの時間は、DCバイアスのみで高圧出力させる場合よりも5ms早い。
【0099】
このため本実施形態では、二次転写電源200に重畳バイアスで高圧出力させる場合に、二次転写電源200に重畳バイアス(DC)の出力指示(二次転写電源200へのDCバイアス出力信号の出力)を行うタイミングを第1タイミングとしている。特定情報は、この第1タイミングをCPU140が印刷開始基準信号(図示省略)を受信してからの経過時間で特定している。また本実施形態では、二次転写電源200に重畳バイアス(AC)の出力指示(二次転写電源200へのACバイアス出力信号の出力)を行うタイミングを第3タイミングとしている。また本実施形態では、二次転写電源200にDCバイアスのみで高圧出力させる場合に、二次転写電源200にDCバイアスの出力指示(二次転写電源200へのDCバイアス出力信号の出力)を行うタイミングを第2タイミングとしている。間隔情報は、この第2タイミング及び第3タイミングを第1タイミングとの間隔で特定している。つまり本実施形態では、間隔情報が示す第1タイミングと第2タイミングとの間隔は、550msとなり、間隔情報が示す第1タイミングと第3タイミングとの間隔は、555msとなる。このため、二次転写電源200に重畳バイアスで高圧出力させる場合、二次転写電源200にDCバイアスのみで高圧出力させる場合よりも550ms早く二次転写電源200へのDCバイアスの出力指示が行われ、555ms経過後に二次転写電源200へのACバイアスの出力指示が行われる。
【0100】
電源制御部342は、ユーザ設定が「重畳バイアスで高圧出力」である場合、即ち、二次転写電源200に重畳電圧で高圧出力させる場合、第1及び第3タイミングで二次転写電源200に高圧出力を指示する。
【0101】
図12は、重畳バイアスで高圧出力を行う場合の一例のタイミングチャート図である。電源制御部342は、ユーザ設定が「重畳バイアスで高圧出力」である場合、CPU340により印刷開始基準信号の入力が受け付けられると、経過時間を計測し、特定情報を参照して第1タイミングを特定するとともに間隔情報を参照して第3タイミングを特定する。そして電源制御部342は、図12に示すように、第1タイミングになると、I/O制御部110から二次転写電源200への逆バイアス出力信号の出力を停止させ、I/O制御部110から二次転写電源200へ重畳バイアス用のDCバイアス出力信号である重畳バイアス(DC)出力信号を出力させる。また電源制御部342は、図12に示すように、第3タイミングになると、I/O制御部110から二次転写電源200へ更に重畳バイアス用のACバイアス出力信号である重畳バイアス(AC)出力信号を出力させる。二次転写電源200は、I/O制御部110から重畳バイアス(DC)出力信号が入力されると、二次転写部対向ローラ63に対して重畳バイアス(DC)での高圧出力を開始し、I/O制御部110から重畳バイアス(AC)出力信号が更に入力されると、二次転写部対向ローラ63に対して重畳バイアス(AC)での高圧出力を更に開始する。これにより、二次転写電源200は、555ms経過後、重畳バイアスでの高圧出力を開始し、600ms経過後、即ち、二次転写部対向ローラ63及び二次転写ローラ64がフルカラーのトナー像を記録紙P上に転写するまでに、狙いのバイアス値(DC:−10kV、AC:10kVpp)を二次転写部対向ローラ63に印加できる。
【0102】
図13は、本実施形態の印刷装置301で行われる転写制御処理の一例を示すフローチャートである。
【0103】
まず、ステップS200〜S210までの処理は、図9のフローチャートのステップS100〜S110までの処理と同様である。
【0104】
続いて、電源制御部342は、第1タイミングからの経過時間及び間隔情報から第3タイミングを特定する(ステップS211でNo)。
【0105】
続いて、電源制御部342は、第3タイミングになると(ステップS211でYes)、ACバイアス出力信号をオンし、I/O制御部110から二次転写電源200へACバイアス出力信号を出力させる(ステップS212)。
【0106】
これにより、二次転写電源200は、重畳バイアスで高圧出力する場合であっても、二次転写部対向ローラ63及び二次転写ローラ64がフルカラーのトナー像を記録紙P上に転写するまでに、狙いのバイアス値(DC:−10kV、AC:10kVpp)を二次転写部対向ローラ63に印加できる。
【0107】
一方、ステップS214〜S222までの処理は、図9のフローチャートのステップS114〜S122までの処理と同様である。
【0108】
以上のように第2実施形態においても第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0109】
(ハードウェア構成)
上記各実施形態の印刷装置1、301は、CPU(Central Processing Unit)などの制御装置と、ROMやRAMなどの記憶装置と、HDDやSSDなどの外部記憶装置と、ディスプレイなどの表示装置と、マウスやキーボードなどの入力装置と、通信I/Fなどの通信装置とを備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
【0110】
上記各実施形態の印刷装置1、301で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、CD−R、メモリカード、DVD、フレキシブルディスク(FD)等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記憶されて提供される。
【0111】
また、上記各実施形態の印刷装置1、301で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するようにしてもよい。また、上記各実施形態の印刷装置1、301で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワーク経由で提供または配布するようにしてもよい。また、上記各実施形態の印刷装置1、301で実行されるプログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するようにしてもよい。
【0112】
上記各実施形態の印刷装置1、301で実行されるプログラムは、上述した各部をコンピュータ上で実現させるためのモジュール構成となっている。実際のハードウェアとしては、例えば、CPUがROMからプログラムをRAM上に読み出して実行することにより、上記各部がコンピュータ上で実現されるようになっている。
【0113】
(変形例)
なお、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0114】
(変形例1)
上記第1実施形態では、第1タイミングを特定する特定情報及び第1タイミングと第2タイミングとの間隔を示す間隔情報を用いて高圧出力の出力タイミングを特定していたが、高圧出力の出力タイミングの特定手法は、これに限定されるものではない。例えば、特定情報は、第1タイミングではなく第2タイミングを特定していてもよい。また、特定情報は、第1タイミングだけでなく第2タイミングも特定していてもよい。この場合は、間隔情報は不要である。
【0115】
(変形例2)
上記第2実施形態では、第1タイミングを特定する特定情報、並びに第1タイミングと第2タイミングとの間隔及び第1タイミングと第3タイミングとの間隔を示す間隔情報を用いて高圧出力の出力タイミングを特定していたが、高圧出力の出力タイミングの特定手法は、これに限定されるものではない。例えば、特定情報は、第1タイミングではなく第2タイミングを特定していてもよいし、第3タイミングを特定していてもよい。また、特定情報は、第1タイミングだけでなく第2タイミング及び第3タイミングも特定していてもよい。この場合は、間隔情報は不要である。つまり、特定情報は、第1〜第3タイミングの少なくともいずれかのタイミングを特定していればよい。
【0116】
(変形例3)
上記各実施形態では、レザック紙などの凹凸の大きい記録紙に画像を転写する場合に直流電圧と交流電圧とを重畳した重畳バイアスによる高圧出力を行う例について説明したが、これに限定されるものではない。凹凸の大きい記録紙に画像を転写する場合に、例えば、交流電圧(交流バイアス)のみによる高圧出力を行ってもよく、少なくとも交流電圧を用いた高圧出力を行えばよい。
【0117】
(変形例4)
上記各実施形態では、転写バイアス用の二次転写電源200を二次転写部対向ローラ63に接続して転写バイアスを印加する例について説明したが、転写バイアス用の二次転写電源200を二次転写ローラ64に接続して転写バイアスを印加するようにしても、問題なく記録紙へトナー像を転写することができる。また例えば、転写バイアス用の二次転写電源200の一方を二次転写部対向ローラ63に接続し、他方を二次転写ローラ64に接続する形態でも、問題なく記録紙へトナー像を転写することができる。
【0118】
(変形例5)
上記各実施形態では、高圧出力の出力タイミングをソフトウェアにより特定していたが、ハードウェアで特定するようにしてもよい。
【0119】
(変形例6)
例えば、図14に示すように、感光体ドラム1103に中抵抗の転写ローラ1102を接触させ、転写ローラ1102に電源1101からバイアスを印加し、トナーを用紙1104に転写させ、かつ用紙1104を搬送させる構成において、電源1101に上記各実施形態と同様の電源構成を採用してもよい。
【0120】
なお、感光体ドラム1103などを有する作像部の構成は、上記各実施形態と同様であり、転写ローラ1102は、ステンレスやアルミニウム等からなる芯金上に導電性のスポンジからなる抵抗層が形成される。なお、抵抗層の表面にフッ素樹脂等からなる表層を設けてもよい。
【0121】
また、感光体ドラム1103及び転写ローラ1102が当接して転写ニップ(図示省略)が形成されている。感光体ドラム1103は接地され、転写ローラ1102は、電源1101が接続され、転写バイアスが印加される。これにより、感光体ドラム1103と転写ローラ1102との間に、感光体ドラム1103から転写ローラ1102側に向けてトナーを静電移動させる転写電界が形成され、感光体ドラム1103上のトナー像は、転写電界やニップ圧の作用によって転写ニップに向けて送り出された用紙1104に転写される。
【0122】
(変形例7)
例えば、図15に示すように、感光体ドラムに中抵抗の転写ベルト1204を接触させ、転写ベルト1204に電源1201からバイアスを印加し、トナーを用紙に転写させ、かつ用紙を搬送させる構成において、電源1201に上記各実施形態と同様の電源構成を採用してもよい。
【0123】
なお、感光体ドラムなどを有する作像部の構成は、上記各実施形態と同様である。転写ベルト1204は、駆動ローラ1202と従動ローラ1203との間に架け回されて支持され、駆動ローラ1202によって図中矢印で示す方向に走行する。転写ベルト1204は駆動ローラ1202と従動ローラ1203との間の位置で感光体ドラムと当接する。転写ベルト1204のループ内側には転写バイアスローラ1205とバイアスブラシ1206とが設けられ、感光体ドラムと転写ベルト1204とが当接する領域よりも下流側の位置でベルトに当接する。
【0124】
また、感光体ドラム及び転写バイアスローラ1205が当接して転写ニップ(図示省略)が形成されている。感光体ドラムは接地され、転写バイアスローラ1205は、電源1201が接続され、転写バイアスが印加される。これにより、感光体ドラムと転写バイアスローラ1205との間に、感光体ドラムから転写バイアスローラ1205側に向けてトナーを静電移動させる転写電界が形成され、感光体ドラム上のトナー像は、転写電界やニップ圧の作用によって転写ニップに向けて送り出された用紙に転写される。
【0125】
なお、転写バイアスローラ1205及びバイアスブラシ1206は、いずれか一方のみを設けるようにしてもよい。また、転写バイアスローラ1205及びバイアスブラシ1206のいずれかを転写ニップ直下に設けてもよい。また、転写バイアスローラ1205及びバイアスブラシ1206に替えて、転写チャージャを用いてもよい。
【0126】
(変形例8)
例えば、図16に示すように、CMYK各色の感光体ドラムに中抵抗の転写ベルト1303を介してCMYK各色の転写ローラ1304C、1304M、1304Y、及び1304Kを接触させ、転写ローラ1304C、1304M、1304Y、及び1304Kそれぞれに電源1301C、1301M、1301Y、1301Kからバイアスを印加し、トナーを用紙に転写させ、かつ用紙を搬送させる構成において、電源1301C、1301M、1301Y、1301Kに上記各実施形態と同様の電源構成を採用してもよい。
【0127】
CMYK各色の感光体ドラムなどを有する各色作像部の構成は、トナー色が異なる点を除き、上記各実施形態と同様である。
【0128】
転写ベルト1303は、複数のローラの間に架け回されて支持され、図中反時計周りに走行する。転写ベルト1303は、各色の感光体ドラムそれぞれと当接する。転写ベルト1303のループ内側には各色の転写ローラ1304C、1304M、1304Y、及び1304Kが設けられ、各色の感光体ドラムに対向して転写ベルト1303に当接する。
【0129】
転写ローラ1304CとC色の感光体ドラムとが当接して転写ニップが形成されている。C色の感光体ドラムは、接地され、転写ローラ1304Cは、電源1301Cが接続され、転写バイアスが印加される。転写ローラ1304Cには、電源1301Cによって転写バイアスが印加される。これにより、転写ニップにおいてC色の感光体ドラムから転写ローラ1304C側に向けてC色のトナーを静電移動させる転写電界が形成される。なお、他の色の感光体ドラム、転写ローラ及び電源においても、上述と同様の動作が行われる。
【0130】
用紙は、図右下側から搬送され、バイアス印加された紙吸着ローラと転写ベルト1303の間を通過することで転写ベルト1303に吸着した後、各色の転写ニップへ搬送される。感光体ドラム上の各色のトナー像は、転写電界やニップ圧の作用によって、転写ニップへ搬送された用紙に順次転写され、用紙にフルカラートナー像が形成される。
【0131】
なお、電源1301C、1301M、1301Y、及び1301Kを色毎に用意せずに、1つの電源とし、転写ローラ1304C、1304M、1304Y、及び1304Kにバイアスを印加してもよい。
【0132】
(変形例9)
例えば、図17に示すように、感光体ドラムの近傍に転写チャージャ1402及び分離チャージャ1404を配置して、紙を転写・分離させて搬送させる方式において、転写チャージャ1402のワイヤーに電源1401からバイアスを印加し、トナーを用紙に転写させ、かつ用紙を搬送させる場合に、電源1401に上記各実施形態と同様の電源構成を採用してもよい。
【0133】
用紙は、レジストローラ1403通過後、転写チャージャ1402にて転写され、分離チャージャ1404にて分離されて定着部へと搬送される。
【0134】
(変形例10)
例えば、図18に示すように、中間転写ベルト1502に二次転写ベルト1504を接触させて、用紙を転写・分離させて搬送させる方式において、対向ローラ1503に電源1501からバイアスを印加し、トナーを用紙に転写させ、かつ用紙を搬送させる場合に、電源1501に上記各実施形態と同様の電源構成を採用してもよい。
【0135】
CMYK各色の感光体ドラムなどを有する各色作像部の構成は、トナー色が異なる点を除き、上記各実施形態と同様である。
【0136】
二次転写ベルト1504は、駆動ローラ1505と従動ローラ1506との間に架け回されて支持され、駆動ローラ1505によって図中反時計周りに走行する。二次転写ベルト1504は、中間転写ベルト1502と当接する。
【0137】
二次転写ベルト1504と中間転写ベルト1502とが当接して二次転写ニップが形成されている。駆動ローラ1505は、接地され、対向ローラ1503は、電源1501が接続され、転写バイアスが印加される。これにより、二次転写ニップにおいて中間転写ベルト1502から二次転写ベルト1504側に向けてトナーを静電移動させる転写電界が形成される。中間転写ベルト1502上のトナー像は、二次転写電界やニップ圧の作用によって、二次転写ニップに進入した用紙に転写される。
【0138】
なお、対向ローラ1503も接地するとともに、ローラCを設け、ローラCに電源1501を接続し、転写バイアスを印加するようにしてもよい。
【0139】
(変形例11)
また例えば、上記各実施形態において、印刷装置に加えサーバ装置を備えた印刷システムとし、サーバ装置が、電源制御部を備えるようにしてもよい。
【0140】
図19は、変形例11の印刷システム900の一例を示す外観図である。印刷システム900は、プロダクションプリンティング機であり、サーバ装置920を備える。サーバ装置920は、例えば、外付けサーバやDFE(Digital Front End)などと呼ばれる外部コントローラが該当する。印刷システム900は、印刷装置901に、給紙を行う大容量給紙ユニット902、表紙等の利用に使われるインサータ903、折りを行う折りユニット904、ステープルやパンチなどを行うフィニッシャー905、及び裁断を行う断裁機906などの周辺機が用途に合わせて組み合わされる。
【0141】
図20は、変形例11のサーバ装置920の一例を示すハードウェア構成図である。図20に示すように、サーバ装置920は、通信I/F部930と、記憶部940(HDD942、ROM944、RAM946)と、画像処理部950と、CPU990と、I/F部960とを備え、それぞれがバスB2で相互に接続されている。CPU990は、電源制御部991を含む。
【0142】
図20の例では、サーバ装置920は専用線1000を介して印刷装置901と接続される。但し、サーバ装置920と印刷装置901との接続形態はこれに限定されず、例えば、サーバ装置920と印刷装置901との必要な通信速度を担保できれば、サーバ装置920と印刷装置901とをネットワークを介して接続してもよい。
【0143】
図20に示すように、印刷装置901は、I/F部1010と、印刷部1002と、操作表示部1060と、その他I/F部1070と、二次転写電源1080とを備え、それぞれがバスB3で接続されている。I/F部1010は、印刷装置901をサーバ装置920に接続するための手段であり、I/F部1010には専用線1000が接続される。印刷装置901は、サーバ装置920のCPU990の制御の下、印刷ジョブを実行する。
【0144】
そして、サーバ装置920に搭載された電源制御部991が、上記各実施形態の印刷装置の電源制御部が実行している処理を実行する。
【0145】
(変形例12)
なお、上述した各実施形態及び各変形例は、一例を示すものであり、構成やプロセス条件が変わっても本発明を実現できることを他の画像形成装置や種々の画像形成環境で確認している。
【符号の説明】
【0146】
1、301 印刷装置
10Y、10M、10C、10K 画像形成部
11Y、11M、11C、11K 感光体ドラム
20Y、20M、20C、20K 帯電装置
30Y、30M、30C、30K 現像装置
31Y 収容容器
32Y 現像スリーブ
33Y スクリュー部材
40Y、40M、40C、40K 一次転写ローラ
50Y、50M、50C、50K クリーニング装置
51Y クリーニングブレード
52Y クリーニングブラシ
60 中間転写ベルト
61、62 支持ローラ
63 二次転写部対向ローラ
64 二次転写ローラ
70 用紙カセット
71 給紙ローラ
72 搬送ローラ対
90 定着装置
100、300 エンジン制御部
110 I/O制御部
120 RAM
130、330 ROM
140、340 CPU
142、342 電源制御部
200 二次転写電源
210 重畳電源
211 D/A変換部
212 駆動部
213 昇圧部
214 D/A変換部
215 駆動部
216 昇圧部
217 出力部
218 入力部
219 入力部
220 出力部
230 DC電源
231 D/A変換部
232 駆動部
233 昇圧部
234 D/A変換部
235 駆動部
236 昇圧部
237 出力部
238 DC用リレー
239 AC用リレー
900 印刷システム
902 大容量給紙ユニット
903 インサータ
904 折りユニット
905 フィニッシャー
906 断裁機
920 サーバ装置
930 通信I/F部
940 記憶部
942 HDD
944 ROM
946 RAM
950 画像処理部
960 I/F部
990 CPU
991 電源制御部
1000 専用線
1002 印刷部
1010 I/F部
1060 操作表示部
1070 その他I/F部
1080 二次転写電源
B2 バス
B3 バス
【先行技術文献】
【特許文献】
【0147】
【特許文献1】特開2007−304492号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を被転写体に転写する転写手段と、
交流電圧と第1直流電圧とを重畳した重畳電圧及び第2直流電圧のいずれかを出力して前記転写手段に印加する電源手段と、
前記電源手段に前記重畳電圧を出力させる場合、少なくとも前記第1直流電圧については、第1タイミングで前記電源手段に出力を指示し、前記電源手段に前記第2直流電圧を出力させる場合、前記第1タイミングよりも遅い第2タイミングで前記電源手段に出力を指示する電源制御手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記電源制御手段は、前記電源手段に前記重畳電圧を出力させる場合、前記交流電圧については、前記第1タイミングと略同時のタイミングで前記電源手段に出力を指示することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1タイミング又は前記第2タイミングを特定する特定情報、及び前記第1タイミングと前記第2タイミングとの間隔を示す間隔情報を記憶する記憶手段を更に備え、
前記電源制御手段は、前記特定情報及び前記間隔情報に基づいて、前記第1直流電圧の出力を前記第1タイミングで前記電源手段に開始させ、前記第2直流電圧の出力を前記第2タイミングで前記電源手段に開始させることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1タイミング及び前記第2タイミングを特定する特定情報を記憶する記憶手段を更に備え、
前記電源制御手段は、前記特定情報に基づいて、前記第1直流電圧の出力を前記第1タイミングで前記電源手段に開始させ、前記第2直流電圧の出力を前記第2タイミングで前記電源手段に開始させることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記特定情報は、印刷開始基準信号を基準として前記第1タイミング及び前記第2タイミングの少なくともいずれかを特定することを特徴とする請求項3又は4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記電源制御手段は、前記電源手段に前記重畳電圧を出力させる場合、前記交流電圧については、前記第1タイミングよりも遅い第3タイミングで前記電源手段に出力を指示することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第1タイミングを特定する特定情報、並びに前記第1タイミングと前記第2タイミングとの間隔及び前記第1タイミングと前記第3タイミングとの間隔を示す間隔情報を記憶する記憶手段を更に備え、
前記電源制御手段は、前記特定情報及び前記間隔情報に基づいて、前記第1直流電圧の出力を前記第1タイミングで前記電源手段に開始させ、前記交流電圧の出力を前記第3タイミングで前記電源手段に開始させ、前記第2直流電圧の出力を前記第2タイミングで前記電源手段に開始させることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第1タイミング、前記第2タイミング、及び前記第3タイミングを特定する特定情報を記憶する記憶手段を更に備え、
前記電源制御手段は、前記特定情報に基づいて、前記第1直流電圧の出力を前記第1タイミングで前記電源手段に開始させ、前記交流電圧の出力を前記第3タイミングで前記電源手段に開始させ、前記第2直流電圧の出力を前記第2タイミングで前記電源手段に開始させることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記特定情報は、印刷開始基準信号を基準として前記第1タイミング、前記第2タイミング、及び前記第3タイミングの少なくともいずれかを特定することを特徴とする請求項7又は8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
画像形成装置を含む画像形成システムであって、
前記画像形成装置は、
トナー像を被転写体に転写する転写手段と、
交流電圧と第1直流電圧とを重畳した重畳電圧及び第2直流電圧のいずれかを出力して前記転写手段に印加する電源手段と、
を備え、
前記画像形成システムは、
前記電源手段に前記重畳電圧を出力させる場合、少なくとも前記第1直流電圧については、第1タイミングで前記電源手段に出力を指示し、前記電源手段に前記第2直流電圧を出力させる場合、前記第1タイミングよりも遅い第2タイミングで前記電源手段に出力を指示する電源制御手段を備えること、
を特徴とする画像形成システム。
【請求項11】
転写手段が、トナー像を被転写体に転写する転写ステップと、
電源手段が、交流電圧と第1直流電圧とを重畳した重畳電圧及び第2直流電圧のいずれかを出力して前記転写手段に印加する印加ステップと、
電源制御手段が、前記電源手段に前記重畳電圧を出力させる場合、少なくとも前記第1直流電圧については、第1タイミングで前記電源手段に出力を指示し、前記電源手段に前記第2直流電圧を出力させる場合、前記第1タイミングよりも遅い第2タイミングで前記電源手段に出力を指示する電源制御ステップと、
を含むことを特徴とする転写方法。
【請求項12】
トナー像を被転写体に転写する転写手段と、電圧を出力して前記転写手段に印加する電源手段と、を備える画像形成装置のコンピュータに、
前記電源手段に交流電圧と第1直流電圧とを重畳した重畳電圧を出力させる場合、少なくとも前記第1直流電圧については、第1タイミングで前記電源手段に出力を指示し、前記電源手段に第2直流電圧を出力させる場合、前記第1タイミングよりも遅い第2タイミングで前記電源手段に出力を指示する電源制御ステップを実行させるための転写プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−29809(P2013−29809A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−110832(P2012−110832)
【出願日】平成24年5月14日(2012.5.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】