説明

画像形成装置、画像形成システムおよび画像形成プログラム

【課題】ページ抜けやページの入れ替わりを自動的に検出した際に、出力の継続を可能にする。
【解決手段】複数ページのそれぞれに対応する画像を複数の用紙上に順に形成する画像形成部と、画像に基づく画像固有値の演算処理を出力単位毎に行う制御部と、複数部数の出力単位のうち、特定の1部を基準部として該基準部の出力単位について行われた前記演算処理の結果を記憶する第1記憶部と、複数部数の出力単位のうち、基準部以外の出力単位について行われた演算処理の結果を記憶する第2記憶部と、を有し、制御部は、第1記憶部に記憶された演算処理結果と第2記憶部に記憶された演算処理結果とを比較して、基準部以外の出力単位について、複数の用紙に画像が正常に形成されている否かを判定し、否と判定した場合、否と判断された箇所を記憶するとともに出力を中断することなく継続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、順序が定められた複数ページによって構成される出力単位を1部として、複数部数の出力単位を出力可能な画像形成装置、該画像形成装置を備える画像形成システムおよび画像形成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像データに基づいて、用紙上に画像を形成した上で、画像が形成された用紙を排出する画像形成装置が知られている。画像形成装置は、例えば、複写機やプリンター、ファクシミリ、複合機などである。画像形成装置が複写機である場合には、画像形成装置は、原稿から画像を読み取ることによって画像データを取得する。一方で、画像形成装置がプリンターである場合には、画像形成装置は、パーソナルコンピューターなどの外部装置から画像データを取得する。
【0003】
画像形成装置の利用方法としては、複数ページによって構成される出力単位を画像形成装置が出力するケースが考えられる。このようなケースにおいて、用紙上に画像が正常に形成されているか否かを確認する確認作業が重要である。例えば、確認作業では、落丁や乱丁などが生じていないかを確認する。
【0004】
ここで、複数部数の出力単位が出力される場合、特に大量印刷を行うプロダクション系印刷において、出力物の落丁、乱丁確認は出力後に手作業による確認を行うものとすると膨大な工数を要し、万一落丁、乱丁した出力物を顧客へ納品した場合、著しく顧客の信頼を失墜する結果となる。
従って、確認作業を自動化することが好ましく、印刷時に落丁を検知する技術が特許文献1や特許文献2などで提案されている。
【0005】
特許文献1では、複数ページのそれぞれに対応する識別情報をページデータに付与し、ページデータの読み出し順序に依存した演算処理を行って、n部目とn部目以外の演算処理結果を比較してn部目以外の出力単位について複数の用紙に画像が正常に形成されたか否かを判定する画像形成装置が提案されている。具体的には、n部目以外の演算処理結果がn部目の演算処理結果と一致した場合、n部目以外の出力単位には落丁や乱丁などが生じていないと判定し、上記演算処理結果が一致しない場合、落丁や乱丁などが生じていると判定し、異常処理をして出力を中断する。
【0006】
特許文献2では、n部目の出力単位を構成する複数ページの画素数の合計値とn+1部目以降の出力単位を構成する複数ページの画素数の合計値とを比較する技術(以下、第1技術と称す)が提案されている。具体的には、画像形成装置は、画素数の合計値が一致した場合には、n+1部目以降の出力単位には落丁や乱丁などが生じていないと判定する。一方で、画像形成装置は、画素数の合計値が一致しなかった場合には、n+1部目以降の出力単位には落丁や乱丁などが生じていると判定し、異常処理をして出力を中断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−248319号公報
【特許文献2】特開2007−189315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のように従来の技術では、落丁、乱丁による異常検知時に出力を停止し、オペレーターによる確認を期待している。一方、大量出力が行われるセグメントにおいては、機械稼働率が収益に直結するため、機械停止による稼働率の低下は極力避けるべきである。
例えば、夜間稼働時、あるいは一人のオペレーターが複数の画像形成装置を管理・オペレーションしている場合、機械停止時に長時間機械が停止する可能性がある。結果として、その出力の再開までに時間を費やしてしまい、画像形成装置の稼働時間を低減させ生産性が下がり、納期遅延を生じてしまう可能性がある。
一方で、落丁/乱丁は一度発生した後は常時落丁/乱丁状態で出力し続けるケースは少なく、用紙重送の搬送途中での泣き別れや用紙反転時のすり抜けなど、ごく一部で発生する場合が多い。
そのため、一旦異常が発生した場合でも、次部以降正常に戻る場合があり、出力を継続できる場合が多い。
【0009】
本発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、落丁、乱丁の異常検出を自動的に行うことを可能にするとともに、異常検出時にも出力を継続して稼働率を高めることができる画像形成装置、画像形成システムおよび画像形成プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本発明の画像形成装置のうち、第1の本発明は、順序が定められた複数ページによって構成される出力単位を1部として、複数部数の出力単位をJOBとして出力する画像形成装置であって、
前記複数ページのそれぞれに対応する画像を複数の用紙上に順に形成する画像形成部と、
前記画像に基づく画像固有値の演算処理を前記出力単位毎に行う制御部と、
前記複数部数の出力単位のうち、特定の1部を基準部として該基準部の出力単位について行われた前記演算処理の結果を記憶する第1記憶部と、
前記複数部数の出力単位のうち、前記基準部以外の出力単位について行われた前記演算処理の結果を記憶する第2記憶部と、を有し、
前記制御部は、前記第1記憶部に記憶された前記演算処理の結果と前記第2記憶部に記憶された前記演算処理の結果との比較結果によって、前記基準部以外の出力単位について、前記複数の用紙に画像が正常に形成されている否かを判定し、否と判定した場合、否と判断された箇所を記憶するとともに前記JOBの出力を中断することなく継続することを特徴とする。
【0011】
上記本発明によれば、部単位で異なる画像を含む場合でも、基準部の出力単位と基準部以外の出力単位とについて、画像固有値の演算処理比較に基づいて画像形成が正常に行われた否かを判定し、正常でない場合にも異常の箇所を記憶した上で、出力を継続することができる。否とされる箇所は、部で示されるものであってよく、さらにページを含むものであってもよい。
【0012】
基準部には、例えば、確認出力した部を基準部としたり、1部目を基準部としたり、連続する2部間で先の部を基準部としたりすることができ、本発明としては基準部が特定の部に限定されるものではない。
【0013】
画像固有値は、種々の方法により求めることができる。例えば、画像データに対するCRC32コードや、チェックサム、印字率などの手法を用いることができ、本発明としては特定のものに限定されない。
画像に基づいて画像固有値を算出する固有値算出部は、制御部とは別個に備えるものであってもよく、また、制御部で兼用するものであってもよい。さらに画像形成装置で画像固有値の算出を行わず、ネットワークに接続された外部装置で算出された画像固有値を取得して演算に用いるものであってもよい。固有値算出部は、画像全体に基づいて算出を行うものであってもよく、また画像の一部を除外して算出を行うものであってもよい。
【0014】
第2の本発明の画像形成装置は、前記第1の本発明において、否と判断された前記箇所を記憶する第3記憶部を有することを特徴とする。
【0015】
上記本発明によれば、否と判断された箇所を第3記憶部に記憶して必要に応じて読み出すことができ、異常な箇所をオペレーターが容易に、また必要なときに把握することが可能になる。
【0016】
第3の本発明の画像形成装置は、前記第1または第2の本発明において、前記画像形成時あるいは前記画像形成前にそれぞれの前記画像に対して、画像固有値を算出する固有値算出部を有することを特徴とする。
【0017】
上記本発明によれば、画像固有値が画像形成装置に備える固有値算出部によって算出される。
【0018】
第4の本発明の画像形成装置は、前記第1〜第3の本発明のいずれかにおいて、前記制御部は、前記演算処理を前記画像固有値の順序に依存して行うことを特徴とする。
【0019】
上記本発明によれば、部毎にページ単位で画像が正常に形成されているか否かの判定を行うことができ、これにより落丁のほかページ順がくるった乱丁も検出することができる。なお、第1の本発明においては、ページ単位の他に、部単位で画像が正常に形成されているか否かを判定するものであってもよい。このようなものとして例えば部全体のチェックサムを行うものが挙げられる。チェックサムのような部単位の検出では、ページ順が変わっても同じ固有値となるため乱丁を検出することはできないが落丁は検出することができ、この形態も本発明に含まれるものである。
【0020】
第5の本発明の画像形成装置は、前記第1〜第4の本発明のいずれかにおいて、前記複数ページのそれぞれに対応する画像のデータを格納する画像データ記憶部を有し、前記制御部は、前記複数部数の出力に際し、前記画像データ記憶部から前記画像データを指定部数分繰り返し読み出すことを特徴とする。
【0021】
上記本発明によれば、画像データ記憶部に一旦格納された画像データに基づいて、画像の形成、画像の正常、異常の判定が行われる。
【0022】
第6の本発明の画像形成装置は、前記第3の本発明において、外部から画像用のデータを受信して印刷用の画像データに処理するプリンターコントローラー部を備えており、
前記固有値算出部は、前記プリンターコントローラー部から送信される各ページの画像データに基づいて画像固有値を算出することを特徴とする。
【0023】
上記本発明によれば、外部から送信される画像データを用いて、出力が正常か否かの判定を行うことができる。
【0024】
第7の本発明の画像形成装置は、前記第1〜第6の本発明のいずれかにおいて、前記制御部は、前記判定で否と判定された場合、異常通知処理を行うことを特徴とする。
【0025】
上記本発明によれば、正常でないと判定される場合、異常通知の処理が行われ、正常でない状態をオペレータなどが把握することができる。異常通知は、画像形成装置に備える表示部に表示を行ったり、音や音声で通知を行うものであってもよく、また、ネットワークを介して外部の装置に通知するものであってもよい。
【0026】
第8の本発明の画像形成装置は、前記第7の本発明において、前記制御部は、前記異常通知処理において、否と判断された前記箇所の通知を行うことを特徴とする。
【0027】
上記本発明によれば、異常通知処理の一環として否と判断された箇所の通知がなされ、異常箇所をオペレーターなどが把握して、その後の異常の部の排除などの処理を容易にする。
【0028】
第9の本発明の画像形成装置は、前記第1〜第8の本発明のいずれかにおいて、前記制御部は、前記否の判定が所定部数に亘って連続する場合、前記JOBの出力を停止することを特徴とする。
【0029】
上記本発明によれば、異常が部で連続する場合、その後の異常の発生の蓋然性が高いものとして出力を停止することができる。なお、所定部数は予め設定しておき、この設定に従って判定を行うものであってもよく、オペレーターが画像形成装置に備える操作部で設定した部数を用いて判定を行うものであってもよい。また、所定部数は設定したものを操作部を通して変更できるようにしてもよい。
【0030】
第10の本発明の画像形成装置は、前記第1〜第9の本発明のいずれかにおいて、前記制御部は、前記判定で否と判定された場合、所定の条件によってJOBの出力を継続するか否かを判断し、該判断結果に基づいてJOB出力の継続または停止を行うことを特徴とする。
【0031】
上記本発明によれば、判定の結果、画像が正常に形成されなかったと判定される場合、単に出力を継続するなり、出力を停止するなりするのではなく、所定の条件に応じて継続するか停止するかを選択することができ、状況などに応じた選択をすることができる。
【0032】
第11の本発明の画像形成装置は、前記第10の本発明において、前記所定の条件が、当該画像形成装置から所定の距離内にオペレーターを検知しているか否かであることを特徴とする。
【0033】
上記本発明によれば、判定の結果、画像が正常に形成されなかったと判定される場合、オペレータが所定距離内に居るときと、そうでないときとで、出力の継続と停止とを選択することができ、ページ抜けやページの入れ替わり検知時にオペレーターが不在でも、稼働率の低下を最低限に抑えることが可能になる。
例えば、所定距離内にオペレーターがいれば、比較的迅速に正常でない出力に対応できるので、出力を停止し、所定距離内にオペレーターがいなければ、出力を停止することなく継続するようにできる。なお、所定距離は予め設定しておき、この設定に従って判定を行うものであってもよく、オペレーターが画像形成装置に備える操作部で設定した距離を用いて判定を行うものであってもよい。また、所定距離に関する設定データは、操作部を通して変更できるようにしてもよい。
オペレータが所定距離内にいるか否かは、人体検出機能を用いてもよく、本発明としては特定のものに限定されない。
【0034】
第12の本発明の画像形成装置は、前記第10または第11の本発明において、前記所定の条件が、当該画像形成装置の操作または稼働から所定時間経過しているか否かであることを特徴とする。
【0035】
上記本発明によれば、判定の結果、画像が正常に形成されなかったと判定される場合、経過時間に応じて出力の継続と停止とを選択することができる。例えば、所定の経過時間前であれば、十分な出力がなされていないため出力を継続し、所定の経過時間以降であれば、或る程度の出力はなされているため出力を停止することができる。なお、経過時間は予め設定しておき、この設定に従って判定を行うものであってもよく、オペレーターが画像形成装置に備える操作部で設定した時間を用いて判定を行うものであってもよい。また、経過時間に関する設定データは、操作部を通して変更できるようにしてもよい。
【0036】
第13の本発明の画像形成装置は、前記第10〜第12の本発明のいずれかにおいて、画像が正常に形成されていないと判定した部数目が所定部数目であるか否かであることを特徴とする。
【0037】
上記本発明によれば、判定の結果、画像が正常に形成されなかったと判定される場合、所定の部数目以降で異常が検知されたか否かによって出力の継続と停止とを選択することができる。例えば、所定の部数目まで正常に出力されていれば出力を継続し、所定の部数目(例えば2部目)前に異常が検知されれば出力を停止するようにできる。なお、所定の部数は予め設定しておき、この設定に従って判定を行うものであってもよく、オペレーターが画像形成装置に備える操作部で設定した所定部数目を用いて判定を行うものであってもよい。また、所定部数目に関する設定データは、操作部を通して変更できるようにしてもよい。
【0038】
第14の本発明の画像形成装置は、前記第10〜第13の本発明のいずれかにおいて、前記所定の条件が、画像が正常に形成されていないと判定した部数目が所定の部数連続したか否かであることを特徴とする。
【0039】
上記本発明によれば、判定の結果、画像が正常に形成されなかったと判定される場合、画像が正常に形成されていないと判定した部数目が所定の部数連続したか否かによって出力の継続と停止とを選択することができる。例えば、画像が正常に形成されていないと判定した部数目以降、例えば2部連続するなどの場合に、出力を停止し、それ以外では継続することができる。所定部数目に関する設定データは、操作部を通して変更できるようにしてもよく、連続する所定の部数を同様に操作部を通して変更できるようにしてもよい。
【0040】
第15の本発明の画像形成装置は、前記第10〜第14の本発明のいずれかにおいて、前記所定の条件が、現在の時刻が所定の時刻であるか否かであることを特徴とする。
【0041】
上記本発明によれば、判定の結果、画像が正常に形成されなかったと判定される場合、現在の時刻が所定の時刻か否かで出力の継続と停止とを選択することができる。例えば、昼間の時間に異常が検知されると、オペレーターが対応可能であるので、出力を継続し、夜間の時間に異常が検知されると、オペレーターの対応が困難である可能性があるので、出力を停止する。
【0042】
第16の本発明の画像形成装置は、前記第1〜第15の本発明のいずれかにおいて、 操作入力を受ける操作部を備え、前記制御部は、前記操作部を通して前記基準部の設定を可能にすることを特徴とする。
【0043】
上記本発明によれば、基準部の設定を操作部を通して行うことができる。
【0044】
第17の本発明の画像形成システムは、順序が定められた複数ページによって構成される出力単位を1部として、複数部数の出力単位をJOBとして出力する画像形成装置であって、前記複数ページのそれぞれに対応する画像を複数の用紙上に順に形成する画像形成部を備える画像形成装置と、
順序が定められた複数ページのそれぞれに対応する画像の送信が可能な外部装置と、
前記画像形成装置と前記外部装置とが接続されるネットワークと、
それぞれの前記画像に対して画像固有値を算出する固有値算出部と、を備え、
前記画像形成装置は、前記画像固有値の演算処理を前記出力単位毎に行う制御部と、
前記複数部数の出力単位のうち、特定の1部を基準部として該基準部の出力単位について行われた前記演算処理の結果を記憶する第1記憶部と、
前記複数部数の出力単位のうち、基準部以外の出力単位について行われた前記演算処理の結果を記憶する第2記憶部とを有し、
前記制御部は、前記第1記憶部に記憶された前記演算処理の結果と前記第2記憶部に記憶された前記演算処理の結果との比較結果によって、前記基準部以外の出力単位について、前記複数の用紙に画像が正常に形成されている否かを判定し、否と判定した場合、否と判断された箇所を記憶するとともに前記JOBの出力を中断することなく継続することを特徴とする。
【0045】
上記本発明によれば、外部装置から画像形成装置に送信される画像に基づいて画像形成が行われる際に、基準部の出力単位と基準部以外の出力単位とについて、画像固有値の比較に基づいて画像形成が正常に行われた否かを判定し、否の場合にも出力を継続することができる。
【0046】
第18の本発明の画像形成システムは、前記第17の本発明において、前記固有値算出部が、前記外部装置または前記画像形成装置に備えられていることを特徴とする。
【0047】
上記本発明によれば、画像固有値の算出を外部装置または画像形成装置に備える固有値算出部により行うことができる。
【0048】
第19の本発明の画像形成プログラムは、画像形成装置を制御するコンピューターに、順序が定められた複数ページによって構成される出力単位を1部として、複数部数の出力単位を出力する機能を実行させるプログラムであって、
前記複数ページのそれぞれに対応する画像を複数の用紙上に順に画像形成する機能と、
画像に基づいて算出された画像固有値の演算処理を前記出力単位毎に行う機能と、
前記複数部数の出力単位のうち、特定の1部を基準部として出力単位について行われた前記演算処理の結果を第1記憶部に記憶する機能と、
前記複数部数の出力単位のうち、基準部以外の出力単位について行われた前記演算処理の結果を記憶する第2記憶部に記憶する機能と、
前記第1記憶部に記憶された前記演算処理の結果と前記第2記憶部に記憶された前記演算処理の結果との比較結果によって、前記基準部以外の出力単位について、前記複数の用紙に画像が正常に形成されている否かを判定し、否と判定した場合、否と判断された箇所を記憶するとともに前記JOBの出力を中断することなく継続する機能とを実現させることを特徴とする。
【0049】
上記本発明によれば、画像形成装置の制御部に対し、部単位で異なる画像を含む場合でも、基準部の出力単位と基準部以外の出力単位とについて、画像固有値の比較に基づいて画像形成が正常に行われた否かを判定し、否の場合にも出力を継続する処理を実現させることができる。
【0050】
第20の本発明の画像形成プログラムは、前記第19の本発明において、さらに、前記画像形成時あるいは前記画像形成前にそれぞれの前記画像に対して画像固有値を算出する機能を実現させることを特徴とする。
【0051】
上記本発明によれば、画像固有値の算出を画像形成装置のコンピューターに実現させることができる。
【発明の効果】
【0052】
以上説明したように本発明によれば、部単位で複数部数を出力する際に、部単位での画像比較によりページ抜けやページ入れ替わりによる乱丁、落丁を自動的に検出することを可能にし、さらに、正常に画像が形成されていない場合にも、出力を継続することを可能にし、効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施形態の画像形成装置を示す概略図である。
【図2】同じく、制御ブロックを示す図である。
【図3】同じく、部単位でのCRCコード演算処理の例を示す図である。
【図4】同じく、ページ単位でのCRCコード演算処理の例を示す図である。
【図5】同じく、部単位でのページ狂いを表示する画面の例を示す図である。
【図6】同じく、複数部数の出力単位を出力してページ狂いを判定する手順を示すフローチャートである。
【図7】同じく、画像形成処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】同じく、排紙処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】同じく、複数部数の出力単位を出力してページ狂いを判定するとともに、ページ狂いがある場合に出力継続可否を判定する手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下に、本発明の一実施形態を説明する。
画像形成装置100は、図1に示すように画像形成装置本体1と、これに付設した大容量トレイユニット2と後処理装置3とを備えている。
大容量トレイユニット2は、第3給紙トレイ20、第4給紙トレイ21、第5給紙トレイ22を備えており、各給紙トレイから画像形成装置本体1への給紙が可能になっている。
【0055】
画像形成装置本体1は、第1給紙トレイ10と第2給紙トレイ11とを下部に備えており、前記大容量トレイユニット2との選択的な使用が可能になっている。
画像形成装置本体1には、各給紙トレイから給紙された用紙に印刷を行うプリンター部150と、原稿から画像を読み込むスキャナー部130とを備えており、さらに前記スキャナー部130に原稿を自動的に給送する流し込みtype自動原稿給送装置(ADF)135を画像形成装置本体1の上部に備えている。また、画像形成装置本体1の上部には、操作者の操作入力を受け、また情報を表示することができる操作部140を備えている。操作部140は、操作部分と表示部分とが一体になったタッチパネルなどによって構成することができ、また、操作部分と表示部分とを別体に構成してもよい。
【0056】
後処理装置3は、画像形成装置本体1で印刷されて出力された用紙をスタックするスタック部30と、印刷された前記用紙に挿入する挿入紙を給紙する挿入紙給紙部31を備えている。
【0057】
次に、画像形成装置100の機能を図2の制御ブロック図に基づいて説明する。
画像形成装置100は、状態管理部110とスキャナー部130と操作部140とプリンター部150とを有し、LANなどの通信回線4を通してPCなどの外部装置5から入力される画像データを処理し、またはスキャナー部130で得た画像データを、通信回線4を通して外部装置5に転送可能にするプリンターコントローラー部160とを備えている。
外部装置5は、プリンタードライバーやアプリケーションソフトが搭載されたパーソナルコンピューターやサーバーなどによって構成されるものである。
上記画像形成装置100、通信回線4、外部装置5は、本発明の画像形成システムを構成している。
【0058】
状態管理部110には、プリンターコントローラー部160に接続されたPCIバス112を有しており、該PCIバス112にDRAM制御IC111が接続されている。DRAM制御IC111には、画像メモリー120が接続されている。画像メモリー120は、圧縮メモリー121とページメモリー122とを有している。圧縮メモリー121は、圧縮画像データを格納するためのメモリーであり、ページメモリー121は、画像形成前にプリント対象の非圧縮画像データを一時的に格納するためのメモリーである。画像メモリー120は、本発明の画像データ格納部に相当する。
上記プリンターコントローラー部160で取得される画像データは、プリント動作に伴ってPCIバス112を通してDRAM制御IC111へと送信される。
【0059】
また、状態管理部110には、画像制御CPU113を備えており、該画像制御CPU113に前記DRAM制御IC111が接続されている。
また、画像制御CPU113には、ROMなどの不揮発のメモリーで構成されプログラムが格納されるプログラムメモリー114、RAMで構成され作業エリアやデータの一時格納に用いられるシステムメモリー115、フラッシュメモリーなどにより構成される不揮発メモリー116が接続されている。該不揮発メモリー116には、画像形成装置100の初期印刷設定情報や、プロセス制御パラメータ等の機械設定情報、画像固有値を算出する算出式などが読み出し可能に格納される。
【0060】
画像制御CPU113は、プログラムメモリー114、システムメモリー115、不揮発メモリー116のデータを読み取り可能であり、また、所望のデータをシステムメモリー115、不揮発メモリー116に書き込むことが可能である。
画像制御CPU113は、上記機械設定情報や印刷設定情報などに従って画像形成装置100の各部を動作制御する。したがって、画像制御CPU113は、画像形成装置100を制御するコンピューターに相当する。
【0061】
次に、前記スキャナー部130は、光学読み取りを行うCCD131と、スキャナー部130全体の制御を行うスキャナー制御部132とを備えている。スキャナー制御部132は、前記画像制御CPU113とシリアル通信可能に接続されている。また、前記CCD131は、該CCD131で読み取った画像データを処理する読取り処理部117に接続され、該読取り処理部117は前記したDRAM制御IC111に制御可能に接続されている。また、流し込みtype自動原稿給送装置(ADF)135は、流し込みtype自動原稿給送装置(ADF)135全体を制御するADF制御部136を備えている。ADF制御部136は、前記画像制御CPU113とシリアル通信可能に接続されている。
【0062】
前記操作部140は、表示部を兼ね、タッチパネルで構成されるLCD141と、操作部140全体を制御する操作部制御部142とを備えており、該操作部制御部142は前記画像制御CPU113にシリアル通信可能に接続されている。操作部140では、画像制御CPU113の制御を受けて、LCD141によって、乱丁、落丁が検知された際に、出力の継続、停止を決定する所定の条件の設定を行うことができる。
【0063】
また、DRAM制御IC111には、画像データを圧縮し、また、圧縮された画像データを伸長する圧縮・伸長IC118が接続されている。さらにDRAM制御IC111には書き込み処理部119が接続されている。
書き込み処理部119は、プリンター部150に接続され、LD部151の動作に用いられる書き込みデータの処理を行う。プリンター部150には、LD部151などによって構成される画像形成部や用紙の搬送機構を含んでいる。画像形成部は、その他に、図示しない感光体や転写部、定着部などを備えている。
【0064】
プリンター部150は、プリンター部150の全体(給紙、画像形成、排紙、後処理など)を制御するプリンター制御部152を備えており、プリンター制御部152は前記した画像制御CPU113に接続されている。プリンター制御部152は画像制御CPU113の制御指令に従って動作してプリンター部150を制御する。プリンター制御部152には、後処理装置3全体を制御する後処理装置制御部33が接続されており、プリンター制御部152を介して後処理装置3の制御がなされる。後処理装置3では、画像形成装置本体1から排紙される用紙に対し、所望によりステープル、パンチなどの後処理がなされる。
【0065】
DRAM制御IC111が接続されたPCIバス112には、前記プリンターコントローラー部160が接続されている。プリンターコントローラー部160は、画像形成装置100をネットワークプリンターやネットワークスキャナーとして使用する場合に、通信回線4に接続される外部装置5などから画像データ等を受信したり、スキャナー部130で取得した画像データを通信回線4に接続される外部装置5などに送信したりするものである。プリンターコントローラー部160では、DRAM制御IC111に、DRAMなどで構成される画像メモリー(図示しない)が接続されている。また、プリンターコントローラー部160では、共通バスにコントローラー制御CPUや通信回線インターフェースなどが接続されている。通信回線インターフェースは、通信回線4に接続される。
【0066】
また、画像制御CPU113には、IO125が接続されている。IO125は、画像形成装置100内の各部との間で情報の授受を行うインターフェースとして動作する。
【0067】
次に、上記画像形成システムの基本的動作について説明する。
先ず、画像形成装置100において画像データを蓄積する手順について説明する。
画像形成装置100において、スキャナー部130で画像を読み取り画像データを生成する場合について説明する。スキャナー部130において原稿からCCD131により画像を光学的に読み取る。この際には、画像制御CPU113から指令を受けるスキャナー制御部132によってCCD131の動作制御を行う。原稿の読み取りは、流し込みtype自動原稿給送装置(ADF)135によって原稿を給送しつつ行ってもよく、また、プラテンガラス上に原稿を置いて行ってもよい。
【0068】
画像制御CPU113は、プログラムによって動作し、操作部140による操作に基づいてスキャナー部130への指令を発行する。CCD131で読み取られた画像は、読取り処理部117でデータ処理がなされ、DRAM制御IC111に送られた後、圧縮・伸長IC118で圧縮され、DRAM制御IC111を介して圧縮メモリー121に格納される。
【0069】
また、画像データは、通信回線4を介して外部装置5から画像形成装置100に入力することができる。上記画像データとしては、外部装置5のアプリケーションソフト等により生成されたものや他の画像形成装置により生成されたものが挙げられる。該データは、通信回線4、プリンターコントローラー部160を通して受信され、DRAM制御IC111を介して圧縮・伸長IC118で圧縮された後、DRAM制御IC111を介して圧縮メモリー121に格納される。
【0070】
さらに画像形成装置100で出力を行う場合、圧縮メモリー121に格納されているデータは、DRAM制御IC111を介して圧縮・伸長IC118に送出してデータを伸長し、書き込み処理部119に送出して書き込みデータを生成し、LD部151への書き込みを行う。この際に、画像制御CPU113では、複数部数の出力を行う際には、前記圧縮メモリー121から前記画像データを指定部数分繰り返し読み出す制御を行う。
【0071】
プリンター部150では、画像制御CPU113の指令を受けたプリンター制御部152によって各給紙トレイからの給紙、搬送機構における搬送などの各部の制御が行われる。プリンター部150において、さらに画像形成、用紙への転写、定着、排紙が行われ、後処理装置3に排出される。後処理装置3では、プリンター制御部152による指令を受ける後処理装置制御部33による制御がなされ、指令内容に応じた後処理がなされて排紙され、または、後処理の指令がない場合には、後処理を行うことなく用紙の排紙がなされる。
【0072】
上記画像形成システムでは、画像形成時あるいは画像形成前にそれぞれの画像に対して、画像全体、あるいは画像の一部を除外した画像について画像固有値を算出可能となっている。該算出は、画像形成装置100の書き込み処理部119で行うことができる。この場合、書き込み処理部119は、画像形成装置100を制御するコンピューターの一部を構成する。また、該算出はアプリケーションソフトで算出が可能になっていれば、外部装置5で行うこともできる。
この実施形態では、画像形成時に書き込み処理部119にて書込画像の画像固有値を算出する。算出対象情報は画像入力元(プリンターコントローラー部160)からの指定や、画像形成装置100の持つ操作部140などで設定することも可能である。
書き込み処理部119は、本発明の固有値算出部として機能する。算出された画像固有値は、システムメモリー115に順次格納される。
【0073】
また、本発明では、画像データをCRC32コード演算処理に順次かけることができる。この際には、演算処理を読み出し順序に依存して行うようにしてもよい。該処理は、画像制御CPU113によって行われる。CRC32コード演算処理は本発明の演算処理に相当する。したがって、画像制御CPU113は、本発明の制御部として機能する。
上記CRC32コード演算処理では、画像形成を行って用紙を排出するときに該用紙に係わる画像データに含まれる情報をCRC32コード演算処理にかけ、結果をシステムメモリー115に保存する。部最終紙が排出されるまで繰り返す。
演算処理に際しては、システムメモリー115に格納された画像固有値を読み出し、画像制御CPU113で演算処理を行い、演算処理結果をシステムメモリー115に格納する。演算処理に際しては、演算式などを不揮発メモリー116に格納しておき、これを読み出して演算処理を行う。
【0074】
複数部数のうち1部目の最終紙の排出時に算出したCRC32コード演算結果は基準値として、他の演算処理結果と区別してシステムメモリー115に格納することができる。したがって、1部目の演算データを格納するシステムメモリー115は、第1記憶部に相当する。
2部目以降に演算データは、1部目と同様に、演算したCRC32コード演算結果を比較データとして、1部目の演算データとは別エリアにおいてシステムメモリー115に保存する。この場合、システムメモリー115は、n部目の演算処理結果を格納する第2記憶部に相当する。
なお、どの部を基準部とするかは、前記したように本発明としては1部目に限定されない。
【0075】
画像制御CPU113は、第1記憶部に相当するシステムメモリー115に保存された1部目の演算データを読み出すとともに、第2記憶部に相当するシステムメモリー115に保存された2部目以降の演算データを読み出し、両者のCRCコードを比較して、基準部以外の出力が正常出力であるかチェックする。
【0076】
画像制御CPU113では、比較の結果が不一致の場合、不一致と判断された箇所を上記各演算データとは別エリアにおいてシステムメモリー115に格納する。この場合、システムメモリー115は、第3記憶部に相当する。
さらに、画像制御CPU113では、上記不一致の場合においても、出力を継続することができる。すなわち、比較した結果、上記演算データが不一致であると判断された場合、プリンター制御部152および後処理装置制御部33に通常通り指令を出し、新たな給紙を行って画像形成装置本体1内での画像形成および後処理装置3内で必要な後処理を行う。
また、上記不一致の場合、異常通知処理を行ってもよい。すなわち、画像制御CPU113の制御によって操作部140において、上記不一致が生じたことや、不一致の箇所などを表示してオペレーターに通知することができる。
さらに、上記不一致の場合、所定の条件に基づいて出力を継続するか停止するかを決定することができる。この場合、所定の条件情報は、不揮発メモリー116に格納しておき、画像制御CPU113で読み出す。所定の条件情報を読み出した画像制御CPU113では、所定の条件に該当するか否かを判定し、該条件に従って出力の継続か停止かを判定し、判定結果に基づいて画像出力等を制御する。
【0077】
図3に部単位でのCRC32コード演算処理の例を示す。なお、CRC32コードとは、strの32ビット長のCRC(cyclic redundancy check)チェックサムを生成し、受信されたデータの整合性を検証するために通常使用されるものである。
図3は、固有値としての識別コードを算出し、この値を用いてCRC32コードの演算を行っている。なお、この例の識別コードは、32bitの画像チェックサムをわかりやすくするために1〜8としているが、実際にはこのようにインクリメンタルに並ぶ値とすることが必要とされるものではない。
図3に示すように、ページの順序が狂うとCRC32コード演算結果が異なる値になり、ページの順序に狂いが生じていることが分かる。
【0078】
図4は、ページ単位で演算処理を行って、ページ単位での判定を行う際のCRC32コード演算処理の例を示すものである。CRCコードの演算では、各部のページ単位での排出毎にCRC演算処理が行われ、演算処理結果がページ毎に格納されている。この例では、1部目において基準データ用のCRCコードが演算されており、ページ毎に第1記憶部に格納される。n部目では、比較用のCRCコードが演算されており、ページ毎に第2記憶部に格納される。その際にはページ毎に第1記憶部のデータと第2記憶部のデータとが比較され、部が変わると第2記憶部ではCRCコードの演算結果が上書きで書き換えられている。
【0079】
図5は、正常出力であるか否かを判定した結果、正常でないとされた場合、すなわち異常が検知された場合に、操作部140に異常通知がされた表示画面1400を示すものである。
表示画面1400への異常通知に際し、部単位で前記判定を行い、ページ狂い発生時のメッセージを表示している。表示画面1400は、操作部140などに表示することができる。表示画面1400は、メッセージ欄1401を有しており、メッセージでは3部目で異常が発生しているため、オペレーターに確認を求めており、また、「プリント中」の表示によって出力が継続中であることを示している。
【0080】
次に、図6〜図9のフローチャートに基づいてページ単位で画像の一致、不一致を判定しつつ処理を行う手順について説明する。以下の手順は、画像制御CPU113によって実行される。
図6に示すように、先ず、プリント開始処理(ステップs1)が行われる。プリント開始処理に次いで給紙処理(ステップs2)、画像形成処理(ステップs3)、排紙処理(ステップs4)が順次行われる。画像形成処理では、後述するように画像固有値の算出が行われる。排紙処理では、部最終紙が排紙された後は、ページ単位での画像一致、不一致の判定がなされる。詳細は後述する。
【0081】
排紙処理(ステップs4)後、ページ狂いが発生しているか否かの判定がなされる(ステップs5)。ページ狂いは、後述するページ狂い状態セットの有無によって判定される。ページ狂いが発生していなければ(ステップs5、NO)、設定部数分の出力が完了したか判定され(ステップs6)、設定部数分の出力が完了していなければ(ステップs6、NO)、ステップs2の給紙処理に戻って出力を継続する。一方、設定部数分の出力が完了していれば(ステップs6、YES)、プリント終了処理を行う(ステップs7)。ステップs5でページ狂いが発生していれば、ページ狂いの発生箇所をシステムメモリ115に保存し(ステップs7)、ページ狂い発生時のメッセージを図5に示すように操作部140等に表示する(ステップs8)。その後、ステップs6に移行し、設定部数の出力が完了したか否か判定し、設定部数の出力が完了していなければ、上記したように出力を継続する。
上記により、ページ狂いが発生している場合は、その箇所を保存するとともにメッセージを表示し、出力を継続することで、効率を損なうことなくページ狂いに対する対応を容易に行うことができる。
【0082】
次に、上記画像形成処理(ステップs3)の手順を図7のフローチャートに基づいて説明する。
先ず、通常画像形成処理を行い(ステップs20)、画像に対するチェックサム演算を行い画像固有値(識別コード)を取得する(ステップs21)。算出された識別コードを画像情報に付加し(ステップs22)、処理を終了する。
【0083】
次に、上記排紙処理(ステップs4)の詳細な手順を図8のフローチャートに基づいて説明する。
先ず、通常排紙処理を行い(ステップs30)、画像の比較となる基準データが確定済みか否かの判定がなされる(ステップs31)。
基準データが確定済みでなければ(ステップs31、NO)、基準データ用CRC32コードが格納されているシステムメモリー115から該コードデータを読み出して取得する(ステップs32)。次いで、排紙された用紙に関し画像情報に含まれる画像付加情報を取得し(ステップs33)、ステップs32で取得した格納データと、画像付加情報、ここでは画像形成処理で算出した識別コードとをCRC32コード演算処理にかけ、演算処理結果を第1記憶部としてのシステムメモリー115の所定のエリアに格納する(ステップs34)。次いで、部の最終紙かどうかを判定する(ステップs40)。
【0084】
ステップs31で、基準データが確定済みである場合(ステップs31、YES)、比較用CRC32コードが格納されているシステムメモリー115から該コードデータを読み出して取得する(ステップs35)。次いで、排紙された用紙に関し画像情報に含まれる画像付加情報を取得し(ステップs36)、ステップs35で取得した格納データと、画像付加情報、ここでは画像形成処理で算出した識別コードとをCRCコード演算処理にかけ、演算処理結果を第2記憶部としてのシステムメモリー115の所定のエリアに格納する(ステップs37)。
【0085】
次いで、排紙された用紙について第1記憶部および第2記憶部であるシステムメモリー115から基準データ用と比較用のCRCコードを読み出して、一致するか否かの判定を行う(ステップs38)。一致していれば(ステップs38、YES)、部の最終紙かどうかを判定する(ステップs40)。比較の結果、一致していなければ(ステップs38、NO)、当該ページでページ狂いが生じているものとしてページ狂い停止状態をセットし(ステップs44)、処理を終了する。
【0086】
排紙された用紙が部の最終紙かどうかの判定(ステップs40)において、部の最終紙でなければ(ステップs40、NO)、処理を終了する。
排紙された用紙が部の最終紙であれば(ステップs40、YES)、基準データが確定済みであるか判定し(ステップs41)、確定済みでなければ(ステップs41、NO)、基準データ確定済み状態をセットし(ステップs42)、処理を終了する。確定済みであれば(ステップs41、YES)、第2記憶部であるシステムメモリー115に格納されている比較用CRC32コードのデータをクリアし(ステップs43)、処理を終了する。
【0087】
次に、ページ狂いを検出し、ページ狂いを検出した際に出力継続の可否判定を行う手順を図9のフローチャートに基づいて説明する。以下の手順は画像制御CPU113の制御によって実行される。
先ず、プリント開始処理(ステップs50)が行われる。プリント開始処理に次いで給紙処理(ステップs51)、画像形成処理(ステップs52)、排紙処理(ステップs53)が順次行われる。上記ステップs50〜s53では、前記したステップs1〜s4と同様の処理がなされる。すなわち、画像形成処理では、画像固有値の算出が行われ、排紙処理では、部最終紙が排紙された後、ページ単位での画像一致、不一致の判定がなされる。
【0088】
排紙処理(ステップs53)後、ページ狂いが発生しているか否かの判定がなされる(ステップs54)。ページ狂いは、後述するページ狂い状態セットの有無によって判定される。ページ狂いが発生していなければ(ステップs54、NO)、設定部数分の出力が完了したか判定され(ステップs55)、設定部数分の出力が完了していなければ(ステップs55、NO)、ステップs51の給紙処理に戻って出力を継続する。
【0089】
一方、設定部数分の出力が完了していれば(ステップs55、YES)、プリント終了処理を行う(ステップs56)。ステップs54でページ狂いが発生していれば、ページ狂いの発生箇所をシステムメモリー115に保存し(ステップs57)、ページ狂い発生時のメッセージを図5に示すように操作部140等に表示する(ステップs58)。次いで、所定の条件に応じて継続モードであるか否かの判定がなされる(ステップs59)。継続モードに該当すれば(ステップs59、YES)、その後、ステップs55に移行し、設定部数の出力が完了したか否か判定し、設定部数の出力が完了していなければ、上記したように出力を継続する。継続モードに該当しなければ(ステップs59、NO)、プリント終了処理に移行する(ステップs56)。
【0090】
なお、継続モードに該当するか否かを判定する所定の条件は、本発明としては特定のものに限定されないが、以下のものを例示することができる。
例えば、
1.画像形成装置から所定の距離にオペレーターがいるか否かによって判定し、オペレーターがいない場合に継続モードと判定し、オペレータがいる場合に継続モードに該当しないものとする。オペレーター検出は人体検出機能などを用いることができる。
2.画像形成装置の操作、稼動から所定時間経過しているか否かによって判定し、所定時間経過していない場合に継続モードと判定し、所定時間経過していれば、継続モードに該当しないものとする。
3.ページ狂い発生の部数によって判定し、2部目以前に発生した場合には、停止モードと判定し、2部目以降で発生した場合に、継続モードに該当するものとする。
4.所定の部数連続して画像が正常に形成されていないと検知した場合には、停止モードと判定し、それ以外では継続モードと判定する。
5.現在の時刻によって判定し、昼間であれば継続モードと判定し、昼間以外では停止モードと判定する。
上記の例では、それぞれの条件に応じて継続モードか否かを判定してもよく、また、複数の条件に優先順位を設けて継続モードが否かを判定するようにしてもよい。
【0091】
上記により、ページ狂いが発生している場合は、その箇所を保存するとともにメッセージを表示し、さらには所定の条件に応じて出力を継続するか出力を停止するかが選定されるのことで、状況に応じて効率を損なうことなく出力を継続することができる。
【0092】
以上、本発明について上記実施形態について説明を行ったが、本発明は上記実施形態の内容に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りは適宜の変更が可能である。
【符号の説明】
【0093】
1 画像形成装置本体
2 大容量トレイユニット
3 後処理装置
4 通信回線
5 外部装置
100 画像形成装置
113 画像制御CPU
115 システムメモリー
116 不揮発メモリー
119 書き込み処理部
120 画像メモリー
130 スキャナー部
140 操作部
150 プリンター部
160 プリンターコントローラー部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
順序が定められた複数ページによって構成される出力単位を1部として、複数部数の出力単位をJOBとして出力する画像形成装置であって、
前記複数ページのそれぞれに対応する画像を複数の用紙上に順に形成する画像形成部と、
前記画像に基づく画像固有値の演算処理を前記出力単位毎に行う制御部と、
前記複数部数の出力単位のうち、特定の1部を基準部として該基準部の出力単位について行われた前記演算処理の結果を記憶する第1記憶部と、
前記複数部数の出力単位のうち、前記基準部以外の出力単位について行われた前記演算処理の結果を記憶する第2記憶部と、を有し、
前記制御部は、前記第1記憶部に記憶された前記演算処理の結果と前記第2記憶部に記憶された前記演算処理の結果との比較結果によって、前記基準部以外の出力単位について、前記複数の用紙に画像が正常に形成されている否かを判定し、否と判定した場合、否と判断された箇所を記憶するとともに前記JOBの出力を中断することなく継続することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
否と判断された前記箇所を記憶する第3記憶部を有することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成時あるいは前記画像形成前にそれぞれの前記画像に対して、画像固有値を算出する固有値算出部を有することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記演算処理を前記画像固有値の順序に依存して行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記複数ページのそれぞれに対応する画像のデータを格納する画像データ記憶部を有し、
前記制御部は、前記複数部数の出力に際し、前記画像データ記憶部から前記画像データを指定部数分繰り返し読み出すことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
外部から画像用のデータを受信して印刷用の画像データに処理するプリンターコントローラー部を備えており、
前記固有値算出部は、前記プリンターコントローラー部から送信される各ページの画像データに基づいて画像固有値を算出することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記判定で否と判定された場合、異常通知処理を行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記異常通知処理において、否と判断された前記箇所の通知を行うことを特徴とする請求項7記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記否の判定が所定部数に亘って連続する場合、前記JOBの出力を停止することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記判定で否と判定された場合、所定の条件によってJOBの出力を継続するか否かを判断し、該判断結果に基づいてJOB出力の継続または停止を行うことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記所定の条件が、当該画像形成装置から所定の距離内にオペレーターを検知しているか否かであることを特徴とする請求項10記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記所定の条件が、当該画像形成装置の操作または稼働から所定時間経過しているか否かであることを特徴とする請求項10または11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記所定の条件が、画像が正常に形成されていないと判定した部数目が所定部数目であるか否かであることを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記所定の条件が、画像が正常に形成されていないと判定した部数目が所定の部数連続したか否かであることを特徴とする請求項10〜13のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記所定の条件が、現在の時刻が所定の時刻であるか否かであることを特徴とする請求項10〜14のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項16】
操作入力を受ける操作部を備え、前記制御部は、前記操作部を通して前記基準部の設定を可能にすることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項17】
順序が定められた複数ページによって構成される出力単位を1部として、複数部数の出力単位をJOBとして出力する画像形成装置であって、前記複数ページのそれぞれに対応する画像を複数の用紙上に順に形成する画像形成部を備える画像形成装置と、
順序が定められた複数ページのそれぞれに対応する画像の送信が可能な外部装置と、
前記画像形成装置と前記外部装置とが接続されるネットワークと、
それぞれの前記画像に対して画像固有値を算出する固有値算出部と、を備え、
前記画像形成装置は、前記画像固有値の演算処理を前記出力単位毎に行う制御部と、
前記複数部数の出力単位のうち、特定の1部を基準部として該基準部の出力単位について行われた前記演算処理の結果を記憶する第1記憶部と、
前記複数部数の出力単位のうち、基準部以外の出力単位について行われた前記演算処理の結果を記憶する第2記憶部と、を有し、
前記制御部は、前記第1記憶部に記憶された前記演算処理の結果と前記第2記憶部に記憶された前記演算処理の結果との比較結果によって、前記基準部以外の出力単位について、前記複数の用紙に画像が正常に形成されている否かを判定し、否と判定した場合、否と判断された箇所を記憶するとともに前記JOBの出力を中断することなく継続することを特徴とする画像形成システム。
【請求項18】
前記固有値算出部が、前記外部装置または前記画像形成装置に備えられていることを特徴とする請求項17記載の画像形成システム。
【請求項19】
画像形成装置を制御するコンピューターに、順序が定められた複数ページによって構成される出力単位を1部として、複数部数の出力単位を出力する機能を実行させるプログラムであって、
前記複数ページのそれぞれに対応する画像を複数の用紙上に順に画像形成する機能と、
画像に基づいて算出された画像固有値の演算処理を前記出力単位毎に行う機能と、
前記複数部数の出力単位のうち、特定の1部を基準部として出力単位について行われた前記演算処理の結果を第1記憶部に記憶する機能と、
前記複数部数の出力単位のうち、基準部以外の出力単位について行われた前記演算処理の結果を記憶する第2記憶部に記憶する機能と、
前記第1記憶部に記憶された前記演算処理の結果と前記第2記憶部に記憶された前記演算処理の結果との比較結果によって、前記基準部以外の出力単位について、前記複数の用紙に画像が正常に形成されている否かを判定し、否と判定した場合、否と判断された箇所を記憶するとともに前記JOBの出力を中断することなく継続する機能とを実現させることを特徴とする画像形成プログラム。
【請求項20】
さらに、前記画像形成時あるいは前記画像形成前にそれぞれの前記画像に対して画像固有値を算出する機能を実現させることを特徴とする請求項19記載の画像形成プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−25109(P2013−25109A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160140(P2011−160140)
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】