説明

画像形成装置、画像形成装置の制御装置、および画像形成システム

【課題】印刷停止による給紙トレイ切り替え動作の効率低下を防止する。
【解決手段】用紙を収納する複数の給紙トレイ104〜106を有し、画像形成手段へ用紙を供給している用紙供給中の給紙トレイの用紙切れを検知した場合に、他の給紙トレイから選択される切替先給紙トレイへ用紙供給元を切り替える画像形成装置において、給紙トレイ104〜106内の用紙残量を検知する残量検知手段142と、給紙手段の外部からの開放操作を不可とするロック手段140と、印刷中のジョブについての後続印刷ページ数が、残量検知手段142により検知される用紙供給中の給紙手段における用紙残量による印刷可能ページ数よりも多くなる場合に、切替先給紙トレイのロック手段140を制御して、切替先給紙トレイの外部からの開放操作を不可とする制御手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成装置の制御装置、および画像形成システムに関する。さらに詳述すると、印刷中に給紙トレイの自動切り替えを行う画像形成装置、該画像形成装置の制御装置、および該画像形成装置を有する画像形成システムに好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の給紙手段(給紙トレイ)を有する複写機、プリンタ、ファクシミリ、これらの複合機等の画像形成装置において、印刷で使用中の給紙トレイが用紙切れになった場合、ユーザに用紙切れ状態を通知し、用紙切れとなった給紙トレイへの用紙補充を行うことで印刷業務の継続が可能であった。
【0003】
すなわち、給紙トレイの用紙切れを検知した時は、該当する給紙トレイへの用紙補充が行われない限り印刷業務が停止したままとなっていた。ユーザが画像形成装置の傍にいる場合等は、すぐに用紙補充を行うことができるものの、ユーザが傍にいない場合等は、印刷業務の停止が長時間となり、印刷業務の効率低下を引き起こしていた。
【0004】
このような問題に対して、複数の給紙トレイを有する画像形成装置では、印刷業務で使用する用紙属性が共通する給紙トレイをグルーピングすることで複数の給紙トレイを使用可能状態にした技術が知られている(例えば、特許文献1)。なお、用紙属性とは、用紙サイズ、用紙厚み等の印刷業務で使用する用紙の種類をいう。
【0005】
このような画像形成装置では、使用中の給紙トレイの用紙切れ検知時に、グルーピングされた給紙トレイの中から用紙属性、用紙量を考慮して使用可能な給紙トレイに切り替え、使用可能な給紙トレイへ給紙先を切り替えることで、印刷業務の継続を可能とし、印刷効率の低下を防止する制御を行っている。
【0006】
また、例えば、特許文献2には、給紙トレイの切り替え動作の稼働性を高めることを目的として、各給紙トレイの優先度と用紙残量を操作パネルに表示させ、ユーザに対して給紙トレイ切り替わり情報を事前に知らせる画像形成装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献に記載されるような、従来の給紙トレイの切り替え制御では、用紙切れ検知後の切り替え先の給紙トレイでの印刷動作実行時に、切り替え先の給紙トレイが使用不可の状態にある場合、印刷が停止してしまうという問題があった。また、印刷が停止してしまうことにより、印刷装置を用いた業務等の効率が低下してしまうという問題があった。
【0008】
すなわち、例えば、2つの給紙トレイをグルーピングして給紙トレイの切り替えを行う場合において、一方の給紙トレイが印刷業務に使われていて、他方の給紙トレイ(次の切り替え先給紙トレイ)に対して、あるユーザが自分のジョブを印刷するための用紙入れ替え作業や、用紙補充作業等を行っている場合、印刷業務に使用されていた給紙トレイが用紙切れになってしまうと、ユーザの操作により切り替え先給紙トレイが使用不可状態になったことで印刷停止してしまう。
【0009】
また、用紙入れ替え作業が完了している場合でも、印刷中のジョブと異なる属性の用紙に入れ替えられてしまった場合は、切り替え予定の給紙トレイが使用不可になるので印刷停止したり、正しく印刷できなかったりするという問題があった。
【0010】
そこで本発明は、印刷停止による効率低下を防止することができる画像形成装置、画像形成装置の制御装置、および画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる目的を達成するため、本発明に係る画像形成装置は、用紙を収納する複数の給紙手段を有し、該給紙手段のうち画像形成手段へ用紙を供給している用紙供給中の給紙手段の用紙切れを検知した場合に、用紙供給中の給紙手段を除く他の給紙手段から選択される切替先給紙手段へ用紙供給元を切り替える画像形成装置において、給紙手段内の用紙残量を検知する残量検知手段と、給紙手段の外部からの開放操作を不可とする開放操作制御手段と、印刷中のジョブについての後続印刷ページ数が、残量検知手段により検知される用紙供給中の給紙手段における用紙残量による印刷可能ページ数よりも多くなる場合に、切替先給紙手段の開放操作制御手段を制御して、該切替先給紙手段の外部からの開放操作を不可とする制御手段と、を備えるものである。
【0012】
また、本発明に係る画像形成装置の制御装置は、用紙を収納する複数の給紙手段と、給紙手段内の用紙残量を検知する残量検知手段と、給紙手段の外部からの開放操作を不可とする開放操作制御手段と、を備えており、給紙手段のうち画像形成手段へ用紙を供給している用紙供給中の給紙手段の用紙切れを検知した場合に、用紙供給中の給紙手段を除く他の給紙手段から選択される切替先給紙手段へ用紙供給元を切り替える画像形成装置の制御装置であって、印刷中のジョブについての後続印刷ページ数が、残量検知手段により検知される用紙供給中の給紙手段における用紙残量による印刷可能ページ数よりも多くなる場合に、切替先給紙手段の開放操作制御手段を制御して、該切替先給紙手段の外部からの開放操作を不可とするよう制御するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、印刷停止による給紙トレイ切り替え動作の効率低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施形態である印刷装置を有する印刷システムの全体構成を示す概略図である。
【図2】印刷システムの機能ブロック図の一例である。
【図3】操作パネルに表示される表示画面の例を示す模式図である。
【図4】ロック手段の概略構成を示す模式図である。
【図5】印刷システムにおける用紙切れ発生時の給紙トレイ切り替え処理を示すシーケンスチャートである。
【図6】印刷装置における給紙トレイ切り替え処理の一例を示すフローチャートである。
【図7】本発明に係る画像形成装置の制御装置の一実施形態である印刷制御装置を有する印刷システムの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る構成を図1から図7に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。本実施形態に係る画像形成装置(印刷装置101)は、用紙を収納する複数の給紙手段(給紙トレイ104〜106)を有し、該給紙手段のうち画像形成手段(画像形成部118等)へ用紙を供給している用紙供給中の給紙手段の用紙切れを検知した場合に、用紙供給中の給紙手段を除く他の給紙手段から選択される切替先給紙手段へ用紙供給元を切り替える画像形成装置において、給紙手段内の用紙残量を検知する残量検知手段(用紙残量検知部115、残量検知手段142)と、給紙手段の外部からの開放操作を不可とする開放操作制御手段(ロック制御部114、ロック手段140)と、印刷中のジョブについての後続印刷ページ数が、残量検知手段により検知される用紙供給中の給紙手段における用紙残量による印刷可能ページ数よりも多くなる場合に、切替先給紙手段の開放操作制御手段を制御して、該切替先給紙手段の外部からの開放操作を不可とする制御手段(プリンタコントローラ102の給紙トレイ制御部125等)と、を備えるものである。
【0016】
[第1の実施形態]
(印刷システム構成)
図1は、本発明に係る画像形成装置の一実施形態である印刷装置101を用いて構成される印刷システム(画像形成システム)100の概略構成の一例を示している。
【0017】
印刷システム100を構成する印刷装置101は、用紙への印刷動作を実行する画像形成手段(図2に示す画像形成部118等で構成される)等を有し、また、外部との通信制御、給紙手段の制御、表示手段への表示制御等を行う制御手段としてのプリンタコントローラ102を備えている。また、表示手段としての操作パネル103を有し、操作パネル103への用紙残量情報や給紙トレイのロック情報等の表示制御や、ユーザによる操作パネル103の操作を検知して、操作内容に応じた各種制御を行う。
【0018】
また、印刷装置101は、複数の給紙手段としての給紙トレイ104〜106を有している。図1に示す例では、印刷装置101は、1段目の第1給紙トレイ104と2段目の第2給紙トレイ105と3段目の第3給紙トレイ106を備えている。この給紙トレイ104〜106より画像形成手段に用紙が給紙され、印刷動作が実施された印刷後の用紙は、排紙装置107に排紙格納される。
【0019】
なお、本実施形態では、第1〜第3給紙トレイ104〜106には、用紙属性が共通する用紙が収容されているものとし、印刷の進行により、第1給紙トレイ104が用紙切れになると第2給紙トレイ105から給紙され、第2給紙トレイ105が用紙切れになると第3給紙トレイ106から給紙される用紙供給先の切り替えについてのグルーピング設定がなされている。また、全ての給紙トレイ104〜106が用紙切れになると操作パネル103に用紙切れエラーを表示して印刷停止する。
【0020】
また、印刷システム100において印刷装置101は、有線または無線のネットワーク109を介して複数台の情報処理端末(PCなど)108等と接続されている。
【0021】
このように構成された印刷システム100では、ユーザが情報処理端末108を操作することにより、印刷するためのジョブが、ネットワーク109経由で印刷装置101のプリンタコントローラ102にて受信され、プリンタコントローラ102は送られてきた順番で逐次ジョブについての処理を行い、画像形成手段での印刷が実行される。
【0022】
図2は、図1に示した本実施形態に係る印刷システム100の機能ブロックを示している。なお、図2では、第1給紙トレイ104のみ図示しているが、第2、第3給紙トレイ105,106も第1給紙トレイ104と同様に構成される。
【0023】
プリンタコントローラ102は、バスラインに接続される演算手段(CPU等)、記憶手段(RAM、ROM等)、入出力インタフェース等のハードウェアにより構成される。また、印刷装置101全体を制御し、かつプリンタエンジン110側との各種情報の送受信を行うコントローラ制御部120、操作パネル103への表示制御および操作パネル103の操作内容を検知する表示制御部121、ネットワーク109を介して各情報処理端末108との間で各種情報の送受信(例えば、各情報処理端末108からのジョブ(印刷ページ)の受信)を行う通信制御部122、描画データへの変換を行う印刷データ描画部123、コントローラ制御部120から給紙トレイ104〜106の制御に要する各種情報を抽出する状態制御部124、給紙トレイ104〜106の切り替えや、給紙トレイ104〜106のロック指令等を行う給紙トレイ制御部125、等を備えている。
【0024】
また、プリンタエンジン110は、プリンタエンジン110全体を制御し、かつプリンタコントローラ102側との各種情報の送受信を行うエンジン制御部111、光走査装置、現像装置等により構成される画像形成部118を制御して印刷動作を実行させる書込み制御部112、各給紙トレイ104〜106が備えるロック手段140を制御するロック制御部114、各給紙トレイ104〜106の用紙切れ検知手段141、残量検知手段142からの検知結果を受けて、これをプリンタコントローラ102側に送る用紙残量検知部115、給紙トレイの切り替えを制御する給紙トレイ切り替え制御部116、および排紙装置107への排紙を制御する排紙制御部117、等を備えている。
【0025】
また、各給紙トレイ104〜106は、各給紙トレイの扉をロック(施錠)等して、ユーザによる装置外部からの開放動作(給紙トレイの引き出し動作)ができないようにするロック手段140と、各給紙トレイの用紙切れを検知する用紙切れ検知手段141と、トレイ内の用紙の残枚数が所定枚数以下となり用紙切れが近い状態(ニアエンド状態という)を含む用紙残量状態を数段階で検出可能な残量検知手段142、等を備えている。
【0026】
以下、各部の動作について説明する。プリンタコントローラ102では、印刷ジョブを各情報処理端末108からネットワーク109を介して通信制御部122で受信する。また、コントローラ制御部120は、受信したジョブの印刷ページを印刷データ描画部123に渡す。また、印刷データ描画部123は、当該印刷ページを描画データに変換し、さらに、変換された描画データはコントローラ制御部120を介してプリンタエンジン110側に渡され、印刷が実行される。
【0027】
また、プリンタコントローラ102の表示制御部121は、給紙トレイ104〜106の用紙残量情報や、給紙トレイ104〜106がロックされているかどうかを示す情報等の各状態を必要に応じて操作パネル103に表示させる。
【0028】
プリンタコントローラ102の状態制御部124は、プリンタエンジン110側からコントローラ制御部120に渡される情報のうち給紙トレイ104〜106の制御に必要な情報をフィルタリングして、給紙トレイ制御部125へ渡す。例えば、用紙切れ検知手段141、残量検知手段142からの検知結果(給紙トレイ104〜106の用紙残量等)が給紙トレイ制御部125に渡される。また、操作パネル103の操作内容等についても、状態制御部124に渡される。
【0029】
プリンタコントローラ102の給紙トレイ制御部125は、状態制御部124から渡された情報等に基づいて給紙トレイの切り替えが必要であるか否かを判断し、給紙トレイの切り替えが必要な場合は、その指示を給紙トレイ切替制御部116に渡すことにより、給紙トレイの切り替えを実施する。この場合は、併せて、ロック制御部114にも通知し、これを受けたロック制御部114は、各給紙トレイ104〜106のロック手段140の制御(施錠/解錠)を行うものである。
【0030】
プリンタエンジン110の用紙残量検知部115は、給紙トレイ104〜106の用紙切れ検知手段141の検知結果に基づいて給紙トレイの用紙切れ、および残量検知手段142の検知結果に基づいて給紙トレイの用紙残量を検知し、エンジン制御部111を通してプリンタコントローラ102側にその旨を通知する。
【0031】
なお、残量検知手段142によりニアエンドが通知される残用紙枚数は、例えば、数10枚程度である。また、用紙切れ検知手段141、残量検知手段142の構成は特に限られるものではなく、公知または新規のセンサ等を用いて構成されるもので有れば良い、また、双方の手段を1つの検知センサにより構成するものであっても、別の検知センサにより構成するものであっても良い。
【0032】
プリンタエンジン110の給紙トレイ切替制御部116は、給紙トレイ制御部125から給紙トレイ104〜106の切り替え指示を受けると、用紙の供給先の給紙トレイの切り替え制御を行う。
【0033】
プリンタエンジン110のロック制御部114は、給紙トレイ制御部125から給紙トレイ104〜106の切り替え指示を受けると、各給紙トレイ104〜106のロック手段140の制御(施錠/解錠)を行う。
【0034】
その他、操作パネル103、給紙トレイ104〜106、排紙装置107、画像形成部118等の制御に必要な各種指示は、コントローラ制御部120、および/またはエンジン制御部111を介して、印刷装置101の各制御部に渡される。
【0035】
(操作パネル表示)
図3は、操作パネル103に表示される表示画面の一例を示している。画面左上131には印刷装置101の状態が示され、印刷中を示す「インサツチュウ」の文字が表示されている。また、画面右上132には給紙トレイ104〜106の動作モードが示され、給紙トレイの自動切り替えモードである旨を示している。
【0036】
画面中段には、各給紙トレイ106〜106(Tray1〜3)の状態が示され、アイコン133に表示される線の数が各給紙トレイ内の用紙残量を視覚的に示している。また、その下部には、各給紙トレイの状態134が表示されている。給紙トレイの状態としては例えば、トレイの用紙属性、状態(印刷に使用中、次の切替先である旨)、ロック状態の有無、用紙量(ニアエンドなど)が示される。
【0037】
図3の例では、第1給紙トレイ(Tray1)104が印刷に使用中でロックされており、さらに次の切替先である第2給紙トレイ(Tray2)105もロックされていることを示している。
【0038】
なお、右下のボタン135は、印刷開始/停止ボタンを示しており、印刷中は「STOP」表示、印刷停止中は、「START」表示がなされるものである。
【0039】
なお、図3に示す表示例は一例であって、操作パネル103には、切替先の給紙トレイがロックされている旨、および/または給紙トレイの用紙残量情報が表示されるものであれば、これに限られるものではない。また、情報処理端末108側にも同様の表示制御を行うようにしても良い。
【0040】
(ロック手段)
図4は、第1給紙トレイ104の扉を施錠等して引き出し動作を不可とするロック手段140の断面図である。なお、第2、第3給紙トレイ105,106のロック手段140についても第1給紙トレイ104と同様に構成される。
【0041】
第1給紙トレイ104は、印刷装置101の筺体101aに収容され、用紙の補充時等にはユーザがハンドル143を掴んで給紙トレイ104を矢印方向に引き出すことが可能に構成されている。
【0042】
第1給紙トレイ104の用紙収容部の奥側にロック手段140が設けられている。図4の例では、ロック手段140は、第1給紙トレイ104の底部に設けられるフック部材144と電磁スイッチ(ソレノイド)145により構成されている。また、印刷装置筺体101aには、フック部材144を受ける切り欠け部101bが形成されている。
【0043】
ここで、印刷制御装置102の給紙トレイ制御部125からのオンオフ指令を受けた印刷装置101のロック制御部114により、電磁スイッチ145をオンにする制御がされると、フック部材144の先端が切り欠け部101bに嵌る(図中の点線で示す状態)ことにより、給紙トレイ104の引き出し操作が不可(ロック状態)となる。
【0044】
また、電磁スイッチ145をオフにする制御がされると、フック部材144が元の位置に戻り(図中の実線で示す状態)、給紙トレイ104の引き出し操作が可能(ロック解除)となる。
【0045】
なお、図4に示すロック手段140の構成例は一例であって、印刷制御装置102からの指令に基づいて給紙トレイ104〜106の引き出し操作が不可となるものであれば、ロック手段140として公知または新規の各種ロック機構を適用することができる。
【0046】
(給紙トレイ切り替え処理)
図5は、本実施形態に係る印刷システム100における用紙切れ発生時の給紙トレイ切り替え処理を示すシーケンスチャートである。
【0047】
図5は、印刷システム100において、あるジョブの印刷中に給紙元である第1給紙トレイ104で用紙切れが発生し、第2給紙トレイ105へ給紙元を切り替えて後続の印刷ページを継続印刷する処理を示している。
【0048】
先ず、印刷制御装置102は、情報処理端末108側よりジョブ実行指令を受信する(S101)と、印刷制御装置102は実行するジョブが印刷のためのジョブであることを認識し、印刷装置101に対してページ単位で印刷実行指示を出す(S102−1〜n)。
【0049】
このジョブの実行中に第1給紙トレイ104の用紙残量が所定枚数以下になると、印刷装置101から第1給紙トレイ104の用紙ニアエンドが通知される(S103)。
【0050】
印刷制御装置102は、印刷装置101から第1給紙トレイ104の用紙ニアエンドを通知されると、第1給紙トレイ104内の残用紙枚数と実行中のジョブの後続印刷枚数を比較し、現在実行しているジョブ実行において給紙トレイの切り替えが発生するかを判定する(S104)。
【0051】
後続印刷枚数の方が、給紙トレイ内の残用紙枚数よりも多い場合は、給紙トレイの切り替えが発生することになるため、印刷制御装置102は、印刷装置101に対して次に印刷に使用予定の第2給紙トレイ105に対する扉施錠を指示する(S105)。
【0052】
また、これに併せて、操作パネル103に第1給紙トレイ104が用紙ニアエンド状態により、次に使用予定である第2給紙トレイ105が扉施錠状態にある旨を表示させる(S106)。
【0053】
印刷制御装置102は、nページ印刷指示(S102−n)後に、印刷装置101より1段目の給紙トレイ用紙切れ通知を受信すると(S107)、情報処理端末108に、第1給紙トレイ104の用紙切れを通知すると共に(S108)、第2給紙トレイ105への給紙先切り替えを印刷装置101へ指示し(S109)、印刷装置101は後続のnページ目から印刷実行指示して印刷を継続させる(S110)。なお、ジョブの実行後に第2給紙トレイ105の扉施錠は解除される。また、ジョブの印刷中に第2給紙トレイ105から、さらに第3給紙トレイ106への切り替えが行われた場合も、同様に第2給紙トレイ105の扉施錠は解除される。
【0054】
図6は、印刷装置101が実行する給紙トレイ切り替え処理の処理フローチャートの一例である。以下、印刷装置101で処理中のジョブが使用する給紙トレイ(第1給紙トレイ104を例とする)が用紙ニアエンドとなった例について説明する。
【0055】
先ず、用紙残量検知部115からの検知結果に基づいて、状態制御部124がジョブ印刷中に用紙を供給している第1給紙トレイ104の用紙ニアエンドを検出すると、状態制御部124は、用紙ニアエンド状態を記憶しておく(S201)と共に、印刷中のジョブの残りのページ数を計算する(S202)。
【0056】
なお、ジョブの総ページ数は、例えば、印刷ページ描画部123において変換された印刷データに基づいて認識することができ、また、当該ジョブの残りのページ数は、当該ジョブの総ページ数から印刷完了枚数を引くことで算出することができる。
【0057】
次に、給紙トレイ制御部125は、状態制御部124から渡された当該ジョブの残りのページ数と、予め設定された用紙ニアエンド時の規定残用紙枚数と、を比較し(S203)、残りのページ数が用紙ニアエンド時の規定残用紙枚数よりも多い場合(S203:YES)は、ロック制御部114に対し、第1給紙トレイ104の用紙切れ発生後に切り替えられる給紙トレイ(第2給紙トレイ105)についての扉施錠を指示し(S204)、リック手段140による第2給紙トレイ105の扉施錠が実施される。併せて、表示制御部121により、第2給紙トレイ105がロック中である旨が操作パネル103に表示される(S205)。
【0058】
一方、後続ページ数が用紙ニアエンド時の規定残用紙枚数よりも少ない場合(S203:NO)は、当該ジョブ終了までに給紙トレイ用紙切れは発生しないので、次に使用予定の第2給紙トレイ105に対するロック処理等(S204〜S205)は実行されず、当該ジョブの印刷終了まで通常通り印刷される。
【0059】
また、印刷ジョブの後続ジョブにおいて、再び、同じ給紙トレイグルーピング情報により印刷を実行する場合は、格納した用紙ニアエンド情報(S201)を用いて、図6の処理フローを通すことで、次に使用する給紙トレイに対するロック処理を行うことが好ましい。この場合、用紙ニアエンド時の規定残用紙枚数と比較する処理において(S203)、前ジョブにおいて印刷済みの枚数を差し引いた残用紙枚数にて比較することで細切れの複数ジョブにも本実施形態による処理フローを適用することが可能である。
【0060】
以上説明したように、本実施形態に係る画像形成装置によれば、用紙切れ時における給紙トレイ切り替え動作に際し、予め設定されているグルーピングされた給紙トレイ情報に基づき給紙トレイの切り替え動作を実行する場合において、使用中の給紙トレイに存在する用紙量がニアエンドになった段階で実行中ジョブの残り印刷枚数と給紙トレイに存在する残り用紙枚数を比較し、実行中ジョブの残り印刷枚数が多い場合は給紙トレイの切り替え動作が実行するものである。この際、操作パネルに切り替え先給紙トレイを表示すると共に、切り替え先給紙トレイの施錠指示を行なうことにより、ユーザの用紙補充動作等を該当する給紙トレイに行えないようにすることで、給紙トレイ切り替え動作を確実に実行することが可能となる。さらに、ユーザに対しても操作パネルに給紙トレイの状態を表示させることにより、使用予定の無い給紙トレイへ給紙を促すことができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0061】
[第2の実施形態]
以下、第2の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同様の点についての説明は省略する。
【0062】
上記第1の実施形態では、プリンタコントローラ102が印刷装置101と一体として構成される例(プリンタコントローラ102が印刷装置101の内部コントローラである例)について説明したが、本実施形態では、プリンタコントローラ102は印刷制御装置102として、印刷装置101とは別個独立したハードウェアとして構成される(プリンタコントローラ102が印刷装置101の外部コントローラである)。
【0063】
図7は、本発明に係る画像形成装置の制御装置の一実施形態である印刷制御装置102を用いて構成される印刷システム(画像形成システム)100の概略構成の一例を示す。なお、図7に示す例では、印刷制御装置102は、描画機能を有するDFE(Digital
Front End)装置130と一体として構成される例を示しているが、これに限られるものではなく、印刷制御装置102を独立したハードウェアとして構成しても良い。
【0064】
本実施形態に係る印刷制御装置102は、複数の給紙トレイ104〜106を有する印刷装置101の印刷制御装置102であって、印刷中のジョブの残ページ数が、用紙供給中の給紙トレイの用紙残量よりも多くなる場合に、切替先給紙トレイのロック手段140に対し、切替先給紙トレイの外部からの開放操作を不可とする制御するものである。
【0065】
なお、印刷制御装置102は、図2に示したプリンタコントローラ102と同様の構成によるが、第2の実施形態では、印刷制御装置102と印刷装置101とは、専用線等の所定のインタフェースにより接続され、各種の情報通信が行われる。また、印刷制御装置102の表示制御部121は、情報処理端末108への表示制御に併せて、印刷制御装置102が備える表示手段(ディスプレイ等、図示せず)に対して、操作パネル103と同様の表示制御をするようにしても良い。
【0066】
以上説明したように、本実施形態に係る画像形成装置の印刷制御装置によれば、各給紙トレイについて引き出し防止のロック手段を備えた画像形成装置について、上述したような切替先給紙トレイに対するロック制御を行うことができ、第1の実施形態と同様に、印刷停止による給紙トレイ切り替え動作の効率低下を防止することができる。
【0067】
尚、上述の実施形態は本発明の好適な実施の例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
【符号の説明】
【0068】
100 印刷システム(画像形成システム)
101 印刷装置(画像形成装置)
102 プリンタコントローラ(制御手段、印刷制御装置)
103 操作パネル(表示手段)
104 第1給紙トレイ(給紙手段)
105 第2給紙トレイ(給紙手段)
106 第3給紙トレイ(給紙手段)
107 排紙装置
108 情報処理端末
109 ネットワーク
110 プリンタエンジン
111 エンジン制御部
112 書き込み制御部
114 ロック制御部
115 用紙残量検知部
116 給紙トレイ切替制御部
117 排紙制御部
118 画像形成部(画像形成手段)
120 コントローラ制御部
121 表示制御部
122 通信制御部
123 印刷データ描画部
124 状態制御部
125 給紙トレイ制御部
130 DFE装置
140 ロック手段
141 用紙切れ検知手段
142 残量検知手段
【先行技術文献】
【特許文献】
【0069】
【特許文献1】特開2007− 76868号公報
【特許文献2】特開2010− 44141号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を収納する複数の給紙手段を有し、
該給紙手段のうち画像形成手段へ用紙を供給している用紙供給中の給紙手段の用紙切れを検知した場合に、前記用紙供給中の給紙手段を除く他の給紙手段から選択される切替先給紙手段へ用紙供給元を切り替える画像形成装置において、
前記給紙手段内の用紙残量を検知する残量検知手段と、
前記給紙手段の外部からの開放操作を不可とする開放操作制御手段と、
印刷中のジョブについての後続印刷ページ数が、前記残量検知手段により検知される前記用紙供給中の給紙手段における用紙残量による印刷可能ページ数よりも多くなる場合に、前記切替先給紙手段の前記開放操作制御手段を制御して、該切替先給紙手段の外部からの開放操作を不可とする制御手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
更に、表示手段を有し、
前記制御手段は、前記表示手段に、前記切替先給紙手段がロックされている旨、および/または前記用紙供給中の給紙手段の用紙残量情報、を表示させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
用紙を収納する複数の給紙手段と、
前記給紙手段内の用紙残量を検知する残量検知手段と、
前記給紙手段の外部からの開放操作を不可とする開放操作制御手段と、を備えており、
前記給紙手段のうち画像形成手段へ用紙を供給している用紙供給中の給紙手段の用紙切れを検知した場合に、前記用紙供給中の給紙手段を除く他の給紙手段から選択される切替先給紙手段へ用紙供給元を切り替える画像形成装置の制御装置であって、
印刷中のジョブについての後続印刷ページ数が、前記残量検知手段により検知される前記用紙供給中の給紙手段における用紙残量による印刷可能ページ数よりも多くなる場合に、前記切替先給紙手段の前記開放操作制御手段を制御して、該切替先給紙手段の外部からの開放操作を不可とするよう制御することを特徴とする画像形成装置の制御装置。
【請求項4】
前記画像形成装置は、更に、表示手段を有しており、
前記表示手段に対し、前記切替先給紙手段がロックされている旨、および/または前記用紙供給中の給紙手段の用紙残量情報、の表示を制御することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置の制御装置。
【請求項5】
請求項3または4のいずれかに記載の画像形成装置の制御装置と、前記画像形成装置と、が接続されたことを特徴とする画像形成システム。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図1】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−50602(P2013−50602A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188807(P2011−188807)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】