画像形成装置、画像形成装置用の人検知装置および画像形成装置用の制御装置
【課題】複数の人検知手段を、人を検知可能な状態で常時起動させておく場合と比べて、消費電力を低減させることができる技術を提供する。
【解決手段】節電状態にある画像形成装置において、画像形成装置の水平面に対して斜め下方の領域において人を検出する第1の人検知部600と、第1の人検知部600より高い消費電力を必要とし、第1の人検知部600の検知領域より上方の領域において人を検出する第2の人検知部700と、第1の人検知部600が人を検知した場合に、第2の人検知部700を節電状態から復帰する指示をする判断部740と、を含む画像形成装置。
【解決手段】節電状態にある画像形成装置において、画像形成装置の水平面に対して斜め下方の領域において人を検出する第1の人検知部600と、第1の人検知部600より高い消費電力を必要とし、第1の人検知部600の検知領域より上方の領域において人を検出する第2の人検知部700と、第1の人検知部600が人を検知した場合に、第2の人検知部700を節電状態から復帰する指示をする判断部740と、を含む画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成装置用の人検知装置、画像形成装置用の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、省エネを実現するために、使用されない場合には、使用される際の消費電力量よりも少ない消費電力状態で待機し、人が近づいたのをセンサにて検知したら待機状態から復帰する装置が提案されている。
例えば、特許文献1に記載の画像形成装置は、焦電型赤外線センサを備え、この焦電型赤外線センサのセンサ信号がONであれば、定着装置の温度を画像形成動作時の温度に設定し、省電力モードを解除する。
また、特許文献2の画像処理装置は、以下のように構成されている。すなわち、装置内部の電力供給の状態が異なる省エネモードと通常モードを含む複数の電力モードを有する画像処理装置において、省エネモードで動作可能でトリガを検知したときに電力モードを切り替える電源制御部を備える。また、トリガを入力するために装置に接近する人体を検知するよう配置された人体検知部と、トリガの入力とは異なる目的で装置に接近する人体を検知するよう配置された第二の人体検知部とを備える。電源制御部は、省エネモードにおいて人体検知部が人体を検知したときに第二の人体検知部が人体を検知していなければ、通常モードに切り替える。また、電源制御部は、人体検知部が人体を検知したときに第二の人体検知部が人体を検知していれば、省エネモードを維持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−242226号公報
【特許文献2】特開2010−217303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、節電モード(省エネモード)中に人を検知可能な状態で複数の人検知手段を起動させておく場合と比べて、消費電力量を低減させることができる装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、節電状態にある画像形成装置において、前記画像形成装置の水平面に対して斜め下方の領域において人を検出する第1の人検知手段と、前記第1の人検知手段より高い消費電力を必要とし、前記第1の人検知手段の検知領域より上方の領域において人を検出する第2の人検知手段と、前記第1の人検知手段が人を検知した場合に、前記第2の人検知手段を節電状態から復帰する指示をする指示手段と、を含む画像形成装置である。
【0006】
請求項2に記載の発明は、上方から見た場合に、前記第2の人検知手段の検知範囲は、前記第1の人検知手段の検知範囲の内側に存在することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置である。
請求項3に記載の発明は、前記第1の人検知手段および前記第2の人検知手段の少なくとも一方は、複数設けられ、それぞれの検知範囲が異なることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置である。
請求項4に記載の発明は、前記第1の人検知手段は、上方から見た場合に、装置の横方向における一方の端部側に配置され、他の端部側を当該第1の人検知手段の検知範囲とはしないことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像形成装置である。
請求項5に記載の発明は、前記第1の人検知手段は、人が発する赤外線を焦電効果を用いて検知する焦電型センサを有し、前記第2の人検知手段は、光を発光する発光部と光を受光する受光部とを有する反射型センサを有することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の画像形成装置である。
請求項6に記載の発明は、前記第2の人検知手段は、検知範囲として検知可能な距離が変更可能であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の画像形成装置である。
【0007】
請求項7に記載の発明は、節電状態にある画像形成装置に接続される画像形成装置用の人検知装置において、前記画像形成装置用の人検知装置は、前記画像形成装置の水平面に対して斜め下方の領域において人を検出する第1の人検知手段と、前記第1の人検知手段より高い消費電力を必要とし、前記第1の人検知手段の検知領域より上方の領域において人を検出する第2の人検知手段と、前記第1の人検知手段が人を検知した場合に、前記第2の人検知手段を節電状態から復帰する指示をする指示手段と、を含む画像形成装置用の人検知装置である。
【0008】
請求項8に記載の発明は、人を検知する人検知手段を備えた節電状態にある画像形成装置に接続され、前記人検知手段による人検知結果を基に前記画像形成装置の電力状態を制御する画像形成装置用の制御装置において、前記人検知手段は、前記画像形成装置の水平面に対して斜め下方の領域において人を検出する第1の人検知手段と、前記第1の人検知手段より高い消費電力を必要とし、前記第1の人検知手段の検知領域より上方の領域において人を検出する第2の人検知手段と、を含み、前記画像形成装置用の制御装置は、前記第1の人検知手段が人を検知した場合に、前記第2の人検知手段を節電状態から復帰する指示をする指示手段と、を含む画像形成装置用の制御装置である。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、節電状態中に人を検知可能な状態で複数の人検知手段を起動させておく場合と比べて、消費電力量を低減させることができる。
請求項2の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べて、誤検知を抑制しつつ消費電力を低減させることができる。
請求項3の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べて、誤検知がさらに生じにくくなる。
請求項4の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べて、装置を操作する意思がある人をより確度高く検知することができる。
請求項5の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べて、誤検知を抑制しつつ消費電力を低減させることができる。
請求項6の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べて、ユーザに対応して検知範囲を設定することができる。
請求項7の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べて、装置を使用する意思がある人の検知の確度がより高い画像形成装置用の人検知装置が提供できる。
請求項8の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べて、人を検知することで節電状態から通常の動作状態に切り替える制御を、誤検知をより低減して行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施の形態に係る画像形成装置の外観図である。
【図2】実施の形態に係る画像形成装置の内部構造を示す図である。
【図3】フロントカバーが開いた状態を示す図である。
【図4】支持部カバーの裏面側を示す図である。
【図5】(a)は、図1のVA部における拡大図である。(b)は、(a)のVB−VB部の断面図である。(c)は、(a)のVC−VC部の断面図である。
【図6】実施の形態に係る画像形成装置における人検知装置の検知範囲を示す図である。
【図7】第2の人検知部の概略構成を示す図である。
【図8】透過部材の概略構成を示す図である。
【図9】支持部カバーの外観を示す斜視図である。
【図10】図9におけるX−X部の断面図である。
【図11】人検知装置のブロック図である。
【図12】(a)は、反射型センサの発光部が光を発光する領域と受光部が光を受光する領域とを示す図である。(b)は、発光部の発光強度分布である。(c)は、受光部の受光強度分布である。
【図13】ユーザインタフェースを操作するユーザと、第1の積載トレイあるいは第2の積載トレイに積載された用紙を取るユーザと、が位置すると想定される位置を示す図である。
【図14】CPUが行う節電モード解除処理の手順を示すフローチャートである。
【図15】CPUが行う節電モードへの移行処理の手順を示すフローチャートである。
【図16】CPUが行う他の形態の節電モードへの移行処理の手順を示すフローチャートである。
【図17】他の形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
【図18】(a)〜(c)は、第1の人検知部を複数設けるとともに、それぞれの検知範囲を異なる範囲とした場合について説明した図である。
【図19】(a)〜(c)は、第2の人検知部を複数設けるとともに、それぞれの検知範囲を異なる範囲とした場合について説明した図である。
【図20】画像形成装置に搭載される基板と、人検知装置の焦電型センサを実装する第1の基板との関係を説明した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、実施の形態について詳細に説明する。
図1は、実施の形態に係る画像形成装置1の外観図である。図2は、実施の形態に係る画像形成装置1の内部構造を示す図である。
画像形成装置1は、被操作装置の一例であり、原稿の画像を読み取る画像読取装置100と、記録材(以下、代表して「用紙」と記す場合もある。)上に画像を記録する画像記録装置200と、を備えている。また、画像形成装置1は、CPU、ROM、RAMなどからなるマイクロコンピュータを有し、装置全体の動作を制御する制御装置300と、タッチパネル等により構成され、ユーザから受けた指示を制御装置300に出力するとともに制御装置300からの情報をユーザに提示するユーザインタフェース(UI)400を備えている。
画像読取装置100は、画像形成装置1の上部に配置され、画像記録装置200は、画像読取装置100の下側に配置され、制御装置300を内蔵している。ユーザインタフェース400は、人が操作する操作部の一例として機能し、画像形成装置1の上部の手前側、つまり画像読取装置100の後述する画像読取部110の手前側に配置されている。
【0012】
先ずは、画像読取装置100について説明する。
画像読取装置100は、原稿の画像を読み取る画像読取部110と、この画像読取部110に原稿を搬送する原稿搬送部120と、を備えている。原稿搬送部120は、画像読取装置100の上部に配置され、画像読取部110は、画像読取装置100の下部に配置されている。
原稿搬送部120は、原稿を収容する原稿収容部121と、この原稿収容部121から搬送された原稿が排出される原稿排出部122とを有し、原稿収容部121から原稿排出部122へ原稿を搬送する。
【0013】
画像読取部110は、プラテンガラス111と、光を原稿の被読取面(画像面)へ照射する光照射ユニット112と、光照射ユニット112から原稿の被読取面へ光Lが照射されて原稿の被読取面で反射した反射光Lを導く導光ユニット113と、導光ユニット113によって導かれた光Lの光学像を結像する結像レンズ114と、を備えている。また、画像読取部110は、結像レンズ114によって結像された光Lを光電変換するCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ等の光電変換素子で構成され、結像された光学像を検出する検出部115と、検出部115と電気的に接続されて、検出部115によって得られた電気信号が送られる画像処理部116と、を備えている。
画像読取部110は、原稿搬送部120によって搬送される原稿の画像、及びプラテンガラス111に載せられた原稿の画像を読み取る。
【0014】
次に、画像記録装置200について説明する。
画像記録装置200は、用紙上に画像を形成する画像形成部20と、画像形成部20に対して用紙Pを供給する用紙供給部60と、画像形成部20にて画像が形成された用紙Pを排出する用紙排出部70と、画像形成部20にて一方の面に画像が形成された用紙Pの表裏を反転させて再度画像形成部20に向けて搬送する反転搬送部80と、を備えている。
【0015】
画像形成部20は、一定の間隔を置いて並列的に配置されるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4つの画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kを備えている。各画像形成ユニット21は、感光体ドラム22と、感光体ドラム22の表面を一様に帯電する帯電器23と、後述する光学系ユニット50によるレーザ照射によって形成された静電潜像を予め定められた色成分トナーで現像し可視化する現像器24とを備えている。また、画像形成部20には、画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kの現像器24に対して各色のトナーを供給するためのトナーカートリッジ29Y,29M,29C,29Kが設けられている。
【0016】
画像形成部20は、画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kの下方に、画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kの感光体ドラム22に対してレーザ光を照射する光学系ユニット50を備えている。光学系ユニット50は、図示しない半導体レーザ、変調器の他、半導体レーザから出射されたレーザ光を偏向走査するポリゴンミラー(不図示)と、レーザ光を通過するガラス製のウィンドウ(不図示)と、各構成部材を密閉するためのフレーム(不図示)とを備えている。
【0017】
また、画像形成部20は、画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kの感光体ドラム22に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト31上に多重転写させる中間転写ユニット30と、中間転写ユニット30上に重畳されて形成されたトナー像を用紙Pに転写する二次転写ユニット40と、用紙P上に形成されたトナー像を加熱および加圧して定着する定着装置45と、を備えている。
【0018】
中間転写ユニット30は、中間転写ベルト31と、この中間転写ベルト31を駆動するドライブローラ32と、中間転写ベルト31に一定のテンションを付与するテンションローラ33と、を備えている。また、中間転写ユニット30は、各感光体ドラム22と中間転写ベルト31を挟んで対向して感光体ドラム22上に形成されたトナー像を中間転写ベルト31上に転写するための複数(本実施の形態においては4つ)の一次転写ローラ34と、中間転写ベルト31を介して後述する二次転写ローラ41と対向するバックアップローラ35とを備えている。
【0019】
中間転写ベルト31は、ドライブローラ32、テンションローラ33、複数の一次転写ローラ34、バックアップローラ35および従動ローラ36などの複数の回転部材に張りかけられている。そして、中間転写ベルト31は、駆動モータ(不図示)によって回転駆動されるドライブローラ32により、矢印方向に予め定められた速度で循環駆動される。この中間転写ベルト31は、例えば、ゴムまたは樹脂にて成形されたものが使用される。
また、中間転写ユニット30は、中間転写ベルト31上に存在する残留トナー等を除去するクリーニング装置37を備えている。クリーニング装置37は、トナー像の転写工程が終了した後の中間転写ベルト31の表面から残留トナーや紙粉等を除去する。
【0020】
二次転写ユニット40は、二次転写位置に設けられ中間転写ベルト31を介してバックアップローラ35を押圧し、用紙P上に画像を二次転写する二次転写ローラ41を備えている。二次転写ローラ41と、中間転写ベルト31を介して二次転写ローラ41と対向するバックアップローラ35とで、中間転写ベルト31に転写されたトナー画像が用紙Pに転写される二次転写位置が構成される。
定着装置45は、中間転写ユニット30によって二次転写された用紙P上の画像(トナー像)を、加熱定着ローラ46と加圧ローラ47とにより、熱および圧力を用いて用紙Pに定着させる。
【0021】
用紙供給部60は、画像が記録される用紙を収容する用紙収容部61と、用紙収容部61の各々に収容された用紙Pを送り出す送出ロール62と、送出ロール62にて送り出された用紙Pが搬送される搬送路63と、搬送路63に沿って配置され送出ロール62によって送り出された用紙Pを二次転写位置へ搬送する搬送ロール64、65、66と、を備えている。
【0022】
用紙排出部70は、画像形成部20の上方に設けられて、画像形成部20にて画像が形成された用紙を積載する第1の積載トレイ71と、この第1の積載トレイ71と画像読取装置100との間に設けられて、画像形成部20にて画像が形成された用紙を積載する第2の積載トレイ72と、を備えている。
用紙排出部70は、定着装置45よりも搬送方向下流側に設けられて、トナー画像が定着された用紙Pを搬送する搬送ロール75と、この搬送ロール75の搬送方向下流側に設けられて、用紙Pの搬送方向を切り替える切替ゲート76と、を備えている。また、用紙排出部70は、切替ゲート76の搬送方向下流側に、切替ゲート76によって切り替えられた搬送方向の一方側(図2における右側)に搬送される用紙Pを第1の積載トレイ71に排出する第1の排出ロール77を備えている。また、用紙排出部70は、切替ゲート76の搬送方向下流側に、切替ゲート76によって切り替えられた搬送方向の他方側( 図2における上側)に搬送される用紙Pを搬送する搬送ロール78と、搬送ロール78によって搬送される用紙Pを第2の積載トレイ72に排出する第2の排出ロール79と、を備えている。
【0023】
反転搬送部80は、定着装置45の側方に、搬送ロール78を第2の積載トレイ72に用紙Pを排出する方向とは反対の方向に回転させることで反転された用紙Pが搬送される反転搬送路81を備えている。この反転搬送路81には、反転搬送路81に沿って複数の搬送ロール82が設けられている。これらの搬送ロール82によって搬送された用紙Pは、搬送ロール82によって、再度二次転写位置へ送り込まれる。
【0024】
また、画像記録装置200は、画像形成部20、用紙供給部60、用紙排出部70、反転搬送部80および制御装置300を、直接的または間接的に支持する装置本体フレーム11と、この装置本体フレーム11に取り付けられて画像形成装置1の外面を形成する装置筐体12と、を備えている。
装置本体フレーム11は、画像形成装置1における横方向の一方の端部側で、内部に、切替ゲート76、第1の排出ロール77、搬送ロール78および第2の排出ロール79などを備えるとともに上下方向に伸びて、画像読取装置100を支持する読取装置支持部13を備えている。読取装置支持部13は、装置本体フレーム11における奥側の部位と協働して画像読取装置100を支持する。
【0025】
また、画像記録装置200は、装置筐体12の一部として、画像形成部20の手前側に設けられるとともに、装置本体フレーム11に対して開閉可能に装着されるフロントカバー15を備えている。
図3は、フロントカバー15が開いた状態を示す図である。
ユーザは、フロントカバー15を開くことで、画像形成部20の中間転写ユニット30やトナーカートリッジ29Y,29M,29C,29Kを新しい物と取り替えることが可能となっている。
【0026】
以上のように構成された画像形成装置1は、以下のように作用する。
画像読取装置100によって読み取られた原稿の画像や、図示しないパーソナルコンピュータ等から受信した画像データは、予め定められた画像処理が施され、画像処理が施された画像データは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4色の色材階調データに変換され、光学系ユニット50に出力される。
【0027】
光学系ユニット50は、入力された色材階調データに応じて、半導体レーザ(図示せず)から出射されたレーザ光を、f−θレンズ(不図示)を介してポリゴンミラーに出射する。ポリゴンミラーでは、入射されたレーザ光を各色の階調データに応じて変調し、偏向走査して、図示しない結像レンズおよび複数枚のミラーを介して画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kの感光体ドラム22に照射する。
【0028】
画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kの感光体ドラム22では、帯電器23で帯電された表面が走査露光され、静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、各々の画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kにて、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像として現像される。画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kの感光体ドラム22上に形成されたトナー像は、中間転写体である中間転写ベルト31上に多重転写される。
【0029】
一方、用紙供給部60では、画像形成のタイミングに合わせて送出ロール62が回転して用紙収容部61に収容されている用紙Pを取り上げ、搬送路63を介して搬送ロール64、65にて搬送される。その後、トナー像が形成された中間転写ベルト31の移動タイミングに合わせて搬送ロール66が回転し、用紙Pは、バックアップローラ35および二次転写ローラ41によって形成される二次転写位置に搬送される。二次転写位置にて、下方から上方に向けて搬送される用紙Pには、圧接力および予め定められた電界を用いて、4色が多重されているトナー像が副走査方向に順次、転写される。そして、各色のトナー像が転写された用紙Pは、定着装置45によって熱および圧力で定着処理を受けた後に排出され、第1の積載トレイ71あるいは第2の積載トレイ72に積載される。
【0030】
両面印刷の要求があった場合には、一方の面に画像が形成された用紙Pは、反転搬送部80にて表裏が反転するように搬送され、再度二次転写位置に送られる。そして、二次転写位置にて、用紙Pの他方の面にトナー像が転写され、定着装置45にて転写された画像が定着される。その後、両面に画像が形成された用紙Pは、排出され、第1の積載トレイ71あるいは第2の積載トレイ72に積載される。
【0031】
次に、画像形成装置1の電力モードについて説明する。
画像形成装置1は、消費電力の異なる複数の電力モード(動作モード)を有する。この電力モードの例としては、電源スイッチがオンになって画像形成装置1の電源が投入された時のウォームアップモードと、発生したジョブを実行するランモードと、ジョブの発生に備えて待機するスタンバイモードと、消費電力量を低減するための節電モードと、がある。以下、ランモードを、通常の動作状態で動作するモードとしての通常モードということがある。スタンバイモード及び節電モードにおいては、画像形成部20などに供給する電力を停止又は通常モードにおける電力量よりも低下させる。これにより節電モードの消費電力量は、通常モードの消費電力量よりも低い。
なお、画像形成装置1が、ユーザの認証を行うICカードリーダなどの認証装置を備えている場合には、スタンバイモードで認証装置に電力が供給されるようにすればよい。
【0032】
制御装置300は、予め定められた復帰条件が成立したときに節電モードから通常モードへ復帰する。この復帰条件としては、例えば、外部装置からのデータの受信(取得)、後述する人検知装置2の第2の人検知部700からの人を検知した旨の信号の受信(取得)であることを例示することができる。
一方、制御装置300は、予め定められた節電条件が成立したときに通常モードから節電モードへ移行する。この節電条件としては、例えば、外部装置から受信(取得)したデータについてのジョブの完了、人検知装置2の第2の人検知部700からの人を検知しなくなった旨の信号(非検知の信号)の受信(取得)、この第2の人検知部700から非検知の信号を受信(取得)してからの予め定められた期間の経過であることを例示することができる。
このように、制御装置300は、第1の電力状態としての通常モードと、第2の電力状態としての節電モードと、を切り替える切替手段の一例として機能する。
【0033】
次に、人(人体)を検知して節電モードから通常モードへ復帰する機構について説明する。
画像形成装置1は、人(人体)を検知する人検知装置2(図1参照)を備えている。人検知装置2は、節電モードにおいても常に電力が供給され、予め定められた領域内に人が入ってきたことを検知する第1の人検知手段の一例としての第1の人検知部600と、第1の人検知部600が人の進入を検知した場合に電力が供給され、予め定められた領域内に人が存在することを検知する第2の人検知手段の一例としての第2の人検知部700と、を備えている。そして、第2の人検知部700が、予め定められた領域内に人が存在することを検知した場合に、制御装置300に対して検知した旨の信号を出力する。
【0034】
ここで、画像形成装置1は、読取装置支持部13の手前側に、この読取装置支持部13の前面を覆う支持部カバー500を備えている。支持部カバー500は、装置筐体12の一部であり、ユーザインタフェース400を操作する人が位置すると想定される装置手前側の外面を形成する外面形成部材として機能する。支持部カバー500は、板状の部材であり、装置本体フレーム11に直接的または間接的に固定されている。そして、この支持部カバー500の裏側に、人検知装置2が装着されている。
【0035】
先ずは、第1の人検知部600について説明する。
第1の人検知部600は、人が発する特定波長の赤外線を焦電効果を用いて検知することにより予め定められた領域(図6に示す検知範囲A1)内に人が入ってきたことを検出する。第1の人検知部600は、焦電素子、レンズ、IC、プリント基板などを備え、人が動く際におこる赤外線の変化量を検出し、検出した変化量が予め定められた基準値を上回った場合に、予め定められた領域内に人が入ってきたことを検知する焦電型センサ610と、焦電型センサ610を実装するプリント基板である第1の基板630と、を備えている。
焦電型センサ610は、第1の基板630に実装されて、予め定められた領域内に人が入ってきたことを検知したときに、その旨の信号を出力する。
【0036】
図4は、支持部カバー500の裏面側を示す図である。
図4に示すように、第1の基板630は、支持部カバー500の裏面側にボルト640で固定されている。これにより、第1の基板630の手前側に実装された焦電型センサ610が装置本体フレーム11に間接的に固定される。
図5(a)は、図1のVA部における拡大図である、図5(b)は、図5(a)のVB−VB部の断面図である。図5(c)は、図5(a)のVC−VC部の断面図である。
図6は、本実施の形態に係る画像形成装置1における人検知装置2の検知範囲を示す図である。図6(a)は、画像形成装置1を手前側から見た図、図6(b)は、画像形成装置1を上方から見た図、図6(c)は、画像形成装置1を横方向から見た図である。
【0037】
支持部カバー500は、固定型とこの固定型に対して移動可能な可動型を用いて成形され、固定型に対する可動型の相対移動方向が奥側から手前側へ向かう水平方向と平行な方向となるように装置本体フレーム11に装着されている。また、支持部カバー500には、第1の基板630を締結するボルト640がねじ込まれる雌ねじ部501が、その中心線方向が固定型に対する可動型の相対移動方向と平行な方向となるように向けられている。
焦電型センサ610は、その中心線方向が雌ねじ部501の中心線方向、言い換えれば奥側から手前側へ向かう水平方向となるように第1の基板630を介して支持部カバー500に取り付けられている。そして、この焦電型センサ610の検知範囲は、中心方向に対して全方向に左右対称に予め定められた角度(図5、図6では角度αとして表示)範囲となる。つまり、検知面が向けられた方向を中心方向とした場合に、中心方向に対して全方向角度αの角度範囲が、焦電型センサ610の検知範囲となる。
【0038】
本実施の形態に係る画像形成装置1においては、この焦電型センサ610の検知範囲を、焦電型センサ610の手前側に支持部カバー500を配置することで、図6に斜線で示した範囲に限定し、この範囲を第1の人検知部600の検知範囲A1としている。
すなわち、焦電型センサ610の手前側に支持部カバー500を配置し、上下方向に関しては、その支持部カバー500における、焦電型センサ610の中心位置よりも下方に位置する部位にのみ内外を貫通する貫通孔の一例としての開口部502を形成し、その部位以外は焦電型センサ610を覆う。そして、図6に示すように、画像形成装置1を置いた床面における、画像形成装置1の前面からの、奥側から手前側へ向かう水平方向の距離が規定距離L1となるように、焦電型センサ610に対する開口部502の位置を定める。規定距離L1としては、例えば、0.8m〜1.3m(800mm〜1300mm)程度であることを例示することができる。また、支持部カバー500に、図1に示すように正面から見た場合に、水平面に対して斜め下方奥側に傾斜した傾斜部503を設け、開口部502を、この傾斜部503に形成する。
【0039】
横方向の検知範囲に関しては、開口部502の横方向の両端部の位置を、焦電型センサ610の検知面が向けられた中心方向に対して左右対称に予め定められた角度(図5、図6では角度αとして表示)の角度範囲を遮らない位置に設定している。ただ、開口部502の横方向の複数の部位には、その開口部502の上側の壁と下側の壁とをつなぐリブ502aを複数設けている。
これらにより、本実施の形態に係る画像形成装置1における第1の人検知部600の検知範囲A1を、図6に斜線で示した、水平面に対して斜め下方の領域に設定している。そして、このように焦電型センサ610の手前側に支持部カバー500を配置して焦電型センサ610の検知範囲の一部を覆い、焦電型センサ610が設けられた位置から斜め下方のみを検知可能な範囲にすることで、第1の人検知部600の検知範囲A1が広範囲になることに起因して、画像形成装置1を使用する予定のない、例えば通行人を検知することを抑制している。
【0040】
また、開口部502は支持部カバー500に設けられた水平面に対して斜め下方奥側に傾斜した傾斜部503に形成されているので、この開口部502および焦電型センサ610がユーザから見え難くなっており、開口部502が存在することに起因して画像形成装置1の外観の美観が損なわれることを抑制している。また、第1の人検知部600は、画像形成装置1の手前側の領域を検知範囲A1とし、第1の積載トレイ71および第2の積載トレイ72を検知範囲としないので、第1の人検知部600がこれらの積載トレイ71,72に向けて排出される用紙Pを検知することを抑制している。また、焦電型センサ610を、その中心方向が奥側から手前側へ向かう水平線と平行となるように配置しているので、中心方向が水平線に対して傾斜するように設置する構成と比べると、支持部カバー500に、焦電型センサ610および第1の基板630を組み付け易くすることができるとともに、支持部カバー500の形状を成形容易な形状とすることができる。
【0041】
次に、第2の人検知部700について説明する。
図7は、第2の人検知部700の概略構成を示す図である。また、図4には、支持部カバー500の裏面側に第2の人検知部700が取り付けられている状態をも示している。
第2の人検知部700は、発光素子と受光素子とを有する赤外線反射型の反射型センサ710と、この反射型センサ710を実装するプリント基板である反射型センサ基板720(図4参照)と、これら反射型センサ710および反射型センサ基板720を支持する支持部材730と、を備えている。
【0042】
反射型センサ710は、発光素子として赤外線発光ダイオードを用いて光を発光する発光部711と、受光素子としてフォトダイオードを用いた受光部712と、発光部711および受光部712を支持する筐体713と、発光部711および受光部712への給電、および受光部712からの出力信号を伝送するハーネス(不図示)と、を備えている。
図4に示すように、反射型センサ710および反射型センサ基板720が支持部材730に取り付けられ、支持部材730が支持部カバー500の裏面側にボルト731で固定されている。
【0043】
また、第2の人検知部700は、反射型センサ710から出力される電圧に基づいて人が存在するか否かを判断する判断部740(図11参照)を備えている。判断部740は、反射型センサ710からの出力電圧(この電圧を増幅した電圧でもよい)と、予め定められた基準電圧とを比較し、出力電圧が基準電圧を上回った場合に、人が存在すると判断する。そして、判断部740は、人が存在する旨の信号を制御装置300に対して出力する。加えて、判断部740からの人が存在する旨の信号を基に、反射型センサ710、後述する報知部751に電力が供給される。なお、後述するように、判断部740は、第1の基板630に設けられ、第1の人検知部600が人の進入を検知した場合に電力が供給される。
【0044】
第2の人検知部700は、判断部740が、反射型センサ710が人を検知したと判断した場合に発光することで人を検知した旨をユーザに対して報知する報知部751と、報知部751が発光した光を均一に面発光させる板である導光板752(図8参照)と、を備えている。報知部751は、発光する半導体素子である発光ダイオード(LED)751aと、この発光ダイオード751aを実装する制御基板である報知部基板751bとを有し、報知部基板751bが支持部カバー500の裏面側にボルト753で固定されることで画像形成装置1に装着される。
【0045】
また、第2の人検知部700は、反射型センサ710の手前側に、反射型センサ710が受発光する赤外線を透過する透過部材760を備えている。
図8は、透過部材760の概略構成を示す図である。
図9は、支持部カバー500の外観を示す斜視図である。
透過部材760は、人の目に対しては、反射型センサ710の発光部711および受光部712を見え難くする黒色の部材であり、ポリカーボネートにて成形されている。また、透過部材760は、板状の部材であり、手前側の面が支持部カバー500の表面と同じ高さとなるように支持部カバー500に取り付けられている。
【0046】
図10は、図9におけるX−X部の断面図である。
図6には、反射型センサ710の検知範囲A2をも示している。
反射型センサ710は、発光部711から、画像形成装置1のユーザインタフェース400の手前側の予め定められた領域に向けて赤外線の光を照射し、その反射光を、受光部712により受光する。そして、反射型センサ710の検知範囲A2は、ユーザインタフェース400を操作する人が位置すると想定される想定範囲に存在する人を検知する範囲に設定されている。また、上方から見た場合に、この反射型センサ710の検知範囲A2は、上述した第1の人検知部600の検知範囲A1内の領域である(図6(b)参照)。すなわち、反射型センサ710は、発光部711が発光する光および受光部712が受光する光の光軸が、奥側から手前側へ向かう水平線に対して、ユーザインタフェース400側へ、例えば、20度〜50度など予め定められた角度(図6では、角度βとして表示)傾くように、支持部カバー500に取り付けられている。言い換えれば、画像形成装置1のユーザインタフェース400の手前側に位置する人をより確度高く検知することができるように、画像形成装置1の横方向の検知範囲がより広くなるように、発光部711および受光部712が受発光する光の光軸が、奥側から手前側へ向かう水平線に対して傾くように取り付けられている。
そして、第2の人検知部700(反射型センサ710)の検知範囲A2は、画像形成装置1の前面からの、奥側から手前側へ向かう水平方向の距離が規定距離L2(図6参照)となるように設定されている。規定距離L2としては、例えば、0.3m〜0.5m(300mm〜500mm)程度であることを例示することができる。
【0047】
なお、この規定距離L2を、例えば、画像形成装置1に設けられたボタンを操作することにより変更可能にしてもよい。
例えば、車椅子利用者の場合は、画像形成装置1に対して正面方向でなく、正面方向に対し直角方向に対し体が向いて操作を行なう体勢となる。このとき反射型センサ710の検知範囲A2から外れることで、車椅子利用者が反射型センサ710により検知されないことがある。このような場合には、反射型センサ710の規定距離L2を長くすることが有効である。例えば、規定距離L2が、最初に0.3mに設定されていた場合、これを0.6m(600mm)に変更できるようにする。このようにすることで、車椅子利用者の場合でも反射型センサ710により、より検知されやすくなる。ただし車椅子利用者の場合は、このようにしても原稿セットやユーザインタフェース400を操作する等の操作位置が、検知範囲A2から外れてしまう場合がある。しかしながら反射型センサ710の規定距離L2を長くしているため、前に手をかざすことで、容易に反射型センサ710により検知され、操作位置を変えることなく作業することができる。また広いオフィス空間においては、反射型センサ710の規定距離L2を上記のように長くすることで、ユーザ(人)が急いで画像形成装置1にアクセスしてきた場合でも、より早く反射型センサ710により検知される。そのためユーザ(人)は、ユーザインタフェース400をより応答性良く操作することができる。
【0048】
図11は、人検知装置2のブロック図である。
第1の基板630と反射型センサ基板720とは、第1の基板630から反射型センサ710への給電、および反射型センサ710から第1の基板630に設けられた判断部740(指示手段)への出力を伝送する電線(ハーネス)(不図示)を介して接続されている。また、第1の基板630と報知部基板751bとは、第1の基板630から報知部751への給電を担う電線(ハーネス)(不図示)を介して接続されている。
【0049】
第1の基板630には、焦電型センサ610から出力された人体を検知した旨の信号を取得した場合に、予め定められた期間T1、反射型センサ710および判断部740に対する電力の供給を許容する電力供給許容部650(伝送手段)が備えられている。この電力供給許容部650は、焦電型センサ610からの人体を検知した旨の信号の立ち上がりエッジに同期して立ち上がるとともに、予め定められた期間T1、ハイレベルを保持した信号を発生する単安定マルチバイブレータであることを例示することができる。また、予め定められた期間T1としては、30秒間であることを例示することができる。
【0050】
また、上述したように、第1の基板630には、焦電型センサ610および判断部740が備えられている。判断部740は、反射型センサ710からの出力電圧と予め定められた基準電圧とを比較し、どちらが大きいかで出力が切り替わる素子であるコンパレータであることを例示することができる。判断部740は、反射型センサ710からの出力電圧に基づいて人が存在すると判断した場合、つまり反射型センサ710が人を検知した場合には、人が存在する旨の信号を制御装置300に対して出力する。加えて、判断部740からの人が存在する旨の信号を基に、反射型センサ710、報知部751、および自身に電力が供給される。
【0051】
以上のように構成された画像形成装置1においては、第1の人検知部600が人を検知すると、電力供給許容部650が、予め定められた期間T1、第2の人検知部700の反射型センサ710および判断部740に対する電力の供給を許容する。そして、第2の人検知部700が、予め定められた期間T1内に人を検知した場合、つまり、判断部740が反射型センサ710からの出力電圧が基準電圧を上回ったために人が存在すると判断した場合には、制御装置300に対して人を検知した旨の信号を出力する。これにより、制御装置300にて、画像形成装置1が節電モードから通常モードに復帰する。加えて、第2の人検知部700の反射型センサ710および判断部740に、上述した予め定められた期間T1を超えて電力が供給される。また、第2の人検知部700の報知部751に電力が供給される。
他方、第2の人検知部700が、予め定められた期間T1内に人を検知しない場合には、第2の人検知部700の反射型センサ710および判断部740に対する電力の供給が停止される。
【0052】
このように、本実施の形態に係る画像形成装置1においては、節電モード中にも第1の人検知部600の焦電型センサ610の電源をオンとし(焦電型センサ610に電力を供給し)、第1の人検知部600が人を検知した場合に第2の人検知部700の電源をオンにする(反射型センサ710などに電力を供給する)。そして、第1の人検知部600が人を検知してから予め定められた期間T1内に第2の人検知部700が人を検知したときに制御装置300にその旨の信号を出力し、節電モードから通常モードに復帰する。他方、期間T1内に第2の人検知部700が人を検知しなかった場合には第2の人検知部700の電源をオフにする。
【0053】
ここで、第1の人検知部600と第2の人検知部700とを比較する。
第2の人検知部700の反射型センサ710の消費電力が0.255Wであるのに対して、第1の人検知部600の焦電型センサ610の消費電力は0.006Wであり、反射型センサ710の消費電力の約2.4%である。電源がオフの状態から電力が供給され人体を検知可能になるまでの所要時間は、反射型センサ710が2、3秒のものもあれば1秒以下のものもあるのに対して、焦電型センサ610は約30秒程度であり、反射型センサ710と比べて長い。
図6に示すように、第1の人検知部600の検知範囲A1は、第2の人検知部700(反射型センサ710)の検知範囲A2よりも広く、上方から見た場合に第2の人検知部700の検知範囲A2は第1の人検知部600の検知範囲A1の領域内である。
【0054】
上述したように、第1の人検知部600の焦電型センサ610は、人が動く際におこる赤外線の変化量に基づいて検知範囲A1内に人が入ってきたことを検知するセンサであり、人が停止している場合には、その停止位置が検知範囲A1内であっても検知しない。したがって、第1の人検知部600は、画像形成装置1のユーザインタフェース400の手前側に人が存在していても停止していればその人を検知することができない場合がある。他方、第2の人検知部700の反射型センサ710は、ユーザインタフェース400の手前側を検知範囲A2とし、その検知範囲A2に人が存在する場合には、その人が停止していても検知する。
【0055】
これら第1の人検知部600の焦電型センサ610と第2の人検知部700の反射型センサ710との特性の違いにより、本実施の形態に係る画像形成装置1は、以下に述べる利点がある。
すなわち、本実施の形態に係る画像形成装置1のように、節電モード中に常に電源オンとされた第1の人検知部600が人を検知した場合に第2の人検知部700の電源をオンにし、第2の人検知部700が人を検知した場合に節電モードから復帰する構成とすることで、第2の人検知部700の電源を節電モード中常にオンとする構成と比べると消費電力を低減させることが可能となる。
【0056】
また、本実施の形態に係る画像形成装置1は、検知範囲が広い第1の人検知部600が人を検知したことを契機として節電モードから復帰する装置と比べると、使用する予定のない人や犬などを誤って検知して節電モードから復帰する、いわゆる誤検知を低減させることが可能となる。すなわち、本実施の形態に係る画像形成装置1は、検知範囲が広い第1の人検知部600が人を検知した場合に第2の人検知部700の電源をオンにし、検知範囲が狭い第2の人検知部700が人を検知した場合に節電モードから復帰する構成とすることで、誤検知を低減させることが可能となっている。つまり、本実施の形態に係る画像形成装置1によれば、画像形成装置1を使用する意思がある人をより確度高く検知して節電モードから復帰することが可能となる。
【0057】
また、第2の人検知部700の反射型センサ710は、電源オフの状態から電力が供給され人体を検知可能になるまでの所要時間が、例えば、1秒以下と短いので、例えば、ユーザインタフェース400内、あるいはユーザインタフェース400の傍に設けられた節電解除ボタンを押すことで節電モードから復帰する構成と比べて、より早く節電モードから復帰することが可能となる。また、節電解除ボタンを押す手間を削減することが可能となる。したがって、本実施の形態に係る画像形成装置1によれば、ユーザの利便性を向上させることが可能となり、商品性が増す。
【0058】
また、本実施の形態に係る画像形成装置1においては、人検知装置2を、読取装置支持部13における手前側の外面を形成する支持部カバー500に装着している。これに対して、画像形成装置1における手前側の部位には、ユーザインタフェース400やフロントカバー15が存在するので、これらに人検知装置2を装着することも考えられる。しかしながら、ユーザインタフェース400の中には、小さなスペースに、ボタン、画面、基板などの多くの部品が詰め込まれているため、さらに人検知装置2を配置するのは容易でない。また、フロントカバー15は、装置筐体12内に収納された、例えばトナーカートリッジ29Y,29M,29C,29Kなどを着脱するために開閉される。それゆえ、装置筐体12内に装着された部品の着脱経路と干渉させないようにフロントカバー15に装着するのは困難である。また、フロントカバー15が開いた状態をも考慮するとハーネスの長さが長くなるおそれがある。これらにより、人検知装置2を、読取装置支持部13に配置することで、ユーザインタフェース400やフロントカバー15に配置する構成と比べて、装置構成の簡略化を実現できる。
【0059】
また、本実施の形態に係る画像形成装置1においては、第2の人検知部700の反射型センサ710の発光部711と受光部712とを上下方向に並べることにより、以下に述べる利点がある。
図12(a)は、反射型センサ710の発光部711が光を発光する領域と受光部712が光を受光する領域とを示す図である。図12(b)は、発光部711の発光強度分布である。図12(c)は、受光部712の受光強度分布である。
反射型センサ710の発光部711の発光領域は、光軸を中心としたプラスマイナス5度の領域であり、受光部712の受光領域は、光軸を中心としたプラスマイナス5度の領域である。また、発光部711の発光強度分布は、図12(b)に示すように、光軸を中心とする中央部分の発光強度が大で、半径方向の外側に行くに従って発光強度が漸次減衰する分布となる。同様に受光部712の受光強度分布は、図12(c)に示すように、光軸を中心とする中央部分の受光強度が大で、半径方向の外側に行くに従って受光強度が漸次減衰する分布となる。
【0060】
ゆえに、発光部711と受光部712とが並ぶ方向において、発光領域ではあるが受光領域ではない領域が存在し(例えば図12(a)のA点)、かかる領域では、発光部711が発光する光が当たってはいるものの受光部712が光を受光し難いため人を検知し難くなる。同様に、受光領域ではあるが発光領域ではない領域が存在し(例えば図12(a)のB点)、かかる領域では、受光部712が光を受光するものの発光部711が発光する光が当たり難いため人を検知し難くなる。また、発光部711の発光強度は大であるが受光部712の受光強度が小である領域(例えば図12(a)のC点)では、受光部712の受光強度が小であるため光を受光し難く人を検知し難くなる。同様に、受光部712の受光強度は大であるが発光部711の発光強度が小である領域(例えば図12(a)のD点)では、発光部711の発光強度が小さいため人を検知し難くなる。
【0061】
これに対して、発光部711と受光部712との並び方向に直交する方向に関しては、発光部711の光軸と受光部712の光軸とは基本的に同じ直線上にあるため、この方向の発光領域と受光領域とは基本的に同じであり、発光強度および受光強度の強度分布も基本的には同じとなる。
以上のことにより、反射型センサ710は、発光部711と受光部712との並び方向よりも発光部711と受光部712との並び方向に直交する方向の方がより広範囲に確度高く人を検知することが可能となる。
【0062】
一方、画像形成装置1の使用形態について考えると、ユーザは、通常、画像形成装置1の横方向に移動して来て、あるいは手前側から近づいて来てユーザインタフェース400の手前に位置するものと考えられる。ユーザが、画像形成装置1の上下方向に移動して来ることは考え難い。
これらの事項に鑑み、本実施の形態に係る画像形成装置1においては、反射型センサ710を、発光部711と受光部712との並び方向が上下方向となるように配置している。これにより、反射型センサ710を、発光部711と受光部712との並び方向が横方向となるように配置する場合よりも、横方向に移動して来てユーザインタフェース400の手前に位置しようとするユーザを、より早く検知することが可能となる。
【0063】
また、本実施の形態に係る画像形成装置1においては、第2の人検知部700が人を検知した場合に報知部751が点灯することにより以下に述べる利点がある。
ユーザは、報知部751が点灯していることを見ることで、画像形成装置1の節電モードが解除され、節電モードよりも消費電力量が大きい状態であることを認識する。これにより、第2の人検知部700が人を検知したときに報知部751を点灯することで、ユーザに対して、どの位置に存在すれば第2の人検知部700が検知して節電モードが解除されるのかを学習することを期待することができる。その結果、ユーザに対して、第1の積載トレイ71あるいは第2の積載トレイ72に積載された用紙Pを取りに来るだけの場合に、第2の人検知部700に検知されないように移動することを促すことが可能となる。
【0064】
そして、本実施の形態に係る画像形成装置1においては、第2の人検知部700は、ユーザ(人)がユーザインタフェース400を操作するときには検知し易く、ユーザ(人)が第1の積載トレイ71あるいは第2の積載トレイ72に積載された用紙Pを取るときには検知し難い位置に設置されているので、積載トレイ71,72に積載された用紙Pを取りに来るだけのユーザが、第2の人検知部700に検知されないように移動することを可能としている。
【0065】
すなわち、本実施の形態に係る画像形成装置1は、第1の積載トレイ71および第2の積載トレイ72が画像形成部20と画像読取装置100との間に配置され、第1の排出ロール77および第2の排出ロール79は、横方向におけるいずれか一方の端部側(図1では左側)に配置された読取装置支持部13における積載トレイ71,72側に設けられてこれら積載トレイ71,72に向けて用紙Pを排出する。そして、第2の人検知部700は、発光部711および受光部712が、横方向における上記一方の端部側(図1では左側)に配置され、配置された端部側の手前側の領域を検知範囲A2とする。
【0066】
図13は、ユーザインタフェース400を操作するユーザと、第1の積載トレイ71あるいは第2の積載トレイ72に積載された用紙Pを取るユーザと、が位置すると想定される位置を示す図である。
本実施の形態に係る画像形成装置1は、上記した配置構成であるので、図13に示すように、第1の積載トレイ71あるいは第2の積載トレイ72に積載された用紙Pを取りに来るだけのユーザが、第2の人検知部700に検知されることなく行動することを期待することが可能である。したがって、積載トレイ71,72に積載された用紙Pを取りに来るだけのユーザを検知してしまう誤検知を抑制することができる。
【0067】
また、本実施の形態に係る画像形成装置1においては、第1の人検知部600は、ユーザ(人)がユーザインタフェース400に近づいているときには検知し易く、ユーザ(人)が横方向から第1の積載トレイ71あるいは第2の積載トレイ72に積載された用紙Pを取るときには検知し難い位置に設置されているので、積載トレイ71,72に積載された用紙Pを取りに来るだけのユーザが、第1の人検知部600に検知されないように移動することを可能としている。
【0068】
すなわち、本実施の形態に係る画像形成装置1は、第1の積載トレイ71および第2の積載トレイ72が画像形成部20と画像読取装置100との間に配置され、第1の排出ロール77および第2の排出ロール79は、横方向におけるいずれか一方の端部側(図1では左側)に配置された読取装置支持部13における積載トレイ71,72側に設けられてこれら積載トレイ71,72に向けて用紙Pを排出する。そして、第1の人検知部600は、横方向における上記一方の端部側(図1では左側)に配置され、配置された端部側の手前側の領域を検知範囲A1とする。そして第1の人検知部600は、他の端部側を第1の人検知部600の検知範囲とはしない。つまり第1の人検知部600は、上方から見た場合に、ユーザインタフェース400を挟み対向する位置を検知範囲A1とはしないように設けられている。これは、第1の人検知部600は、上方から見た場合に、積載トレイ71,72に隣接する位置を検知範囲A1とはしないように設けられると言い換えることもできる。
【0069】
本実施の形態に係る画像形成装置1は、このような配置構成であるので、図13に示すように、第1の積載トレイ71あるいは第2の積載トレイ72に積載された用紙Pを取りに来るだけのユーザが、第1の人検知部600に検知されることなく行動することを期待することが可能である。これにより、第1の人検知部600が、積載トレイ71,72に積載された用紙Pを取りに来るだけのユーザを検知してしまい、反射型センサ710などの電源をオンにしてしまうことを抑制することができる。
【0070】
加えて、第1の人検知部600は、画像形成装置1の手前側の領域を検知範囲A1とし、第1の積載トレイ71および第2の積載トレイ72を検知範囲としないので、第1の人検知部600がこれらの積載トレイ71,72に向けて排出される用紙Pを検知することを抑制している。これにより、第1の人検知部600が、積載トレイ71,72に向けて排出される用紙Pを検知してしまい、反射型センサ710などの電源をオンにしてしまうことを抑制することができる。
【0071】
なお、上述した実施の形態においては、判断部740、電力供給許容部650をハードウェアで構成した場合を例に挙げたが、必ずしもこのような構成に限定されることはなく、上述と同様な動作をすることが可能であれば、如何なる構成であってもよい。例えば、CPU(Central Processing Unit)とメモリとで構成し、ソフトウェアで動作する構成とすることもできる。CPUとメモリには、第1の人検知部600が人を検知した場合に電力が供給されるようにすればよい。
【0072】
判断部740および電力供給許容部650をCPUとメモリとで構成した場合の節電モード解除処理の手順について説明する。
図14は、CPUが行う節電モード解除処理の手順を示すフローチャートである。第1の人検知部600が人を検知したらCPUに電力が供給され電源オンとなり、CPUは電源オンとなったらこの節電モード解除処理を実行する。
【0073】
CPUは、先ず、予め定められた期間T1をタイマーセットし(ステップ(以下、単に、「S」と記す。)101)、反射型センサ710に電力を供給開始する(S102)。その後、反射型センサ710からの出力電圧が予め定められた基準電圧を上回ったか否かを判別する(S103)。そして、反射型センサ710からの出力電圧が予め定められた基準電圧を上回った場合(S103でYes)、制御装置300に対して第2の人検知部700が人を検知した旨の信号を出力する(S104)。これにより、節電モードが解除され、画像形成装置1が節電モードから復帰する。また、報知部751に電力を供給し、報知部751を点灯する(S105)。
【0074】
一方、反射型センサ710からの出力電圧が予め定められた基準電圧を上回っていない場合(S103でNo)、期間T1が経過した否かを判別する(S106)。そして、期間T1が経過した場合(S106でYes)、反射型センサ710への電力供給を停止し(S107)、CPU自身への電力供給も停止する(S108)。他方、期間T1が経過していない場合(S105でNo)、S103以降の処理を行う。
【0075】
図15は、CPUが行う節電モードへの移行処理の手順を示すフローチャートである。CPUは上述した節電モード解除処理により節電モードが解除した後、つまり、S104にて制御装置300に対して第2の人検知部700が人を検知した旨の信号を出力した後、この処理を予め定めた期間毎に繰り返し実行する。
CPUは、先ず、反射型センサ710からの出力電圧が予め定められた基準電圧以下となったか否かを判別する(S201)。そして、反射型センサ710からの出力電圧が予め定められた基準電圧以下となった場合(S201でYes)、制御装置300に対して第2の人検知部700が人を検知していない旨の信号(非検知信号)を出力する(S202)。これにより、画像形成装置1が節電モードに移行する。また、報知部751への電力供給を停止し、報知部751を消灯する(S203)。また、反射型センサ710への電力供給を停止し(S204)、CPU自身への電力供給も停止する(S205)。
【0076】
また、図15のフローチャートを用いて説明した節電モードへの移行処理とは異なり、第2の人検知部700が人を検知しなくなって予め定められた期間T2経過後に節電モードに移行するようにしてもよい。
図16は、CPUが行う他の形態の節電モードへの移行処理の手順を示すフローチャートである。
CPUは、先ず、反射型センサ710からの出力電圧が予め定められた基準電圧以下となったか否かを判別する(S301)。そして、反射型センサ710からの出力電圧が基準電圧以下となった場合(S301でYes)、第2の人検知部700の報知部751への電力供給を停止して報知部751を消灯し(S302)、期間T2をタイマーセットする(S303)。その後、期間T2が経過した否かを判別する(S304)。そして、期間T2が経過した場合(S304でYes)、制御装置300に対して第2の人検知部700が人を検知していない旨の信号を出力する(S305)。これにより、画像形成装置1が節電モードに移行する。また、反射型センサ710への電力供給を停止し(S306)、CPU自身への電力供給も停止する(S307)。
【0077】
一方、期間T2が経過していない場合(S304でNo)、反射型センサ710からの出力電圧が予め定められた基準電圧を上回ったか否かを判別する(S308)。そして、反射型センサ710からの出力電圧が基準電圧を上回った場合(S308でYes)、報知部751に電力を供給し、報知部751を点灯し(S309)、期間T2のタイマーをリセットする(S310)。他方、反射型センサ710からの出力電圧が予め定められた基準電圧を上回っていない場合(S308でNo)、S304以降の処理を行う。
【0078】
なお、図16のフローチャートを用いて説明した節電モードへの移行処理においては、CPUは、反射型センサ710からの出力電圧が基準電圧以下となった後、期間T2が経過後に制御装置300に対して第2の人検知部700が人を検知していない旨の信号を出力しているが特にかかる態様に限定されない。CPUは、反射型センサ710からの出力電圧が基準電圧以下となった場合(S301でYes)、制御装置300に対して第2の人検知部700が人を検知していない旨の信号を出力し、制御装置300は、その旨の信号を受信した後、自身で期間T2を計測し、期間T2内に再度第2の人検知部700が人を検知した旨の信号を受信しない場合に節電モードに移行してもよい。
【0079】
図17は、他の形態に係る画像形成装置1の概略構成を示す図である。
画像形成装置1が、床面に対して平行となるように設けられたユーザインタフェース400に加えて、床面に対して直交するように配置された他のユーザインタフェース450を備える場合には、この他のユーザインタフェース450を、人検知装置2がユーザインタフェース400と他のユーザインタフェース450との間に配置されるように配置するとよい。
【0080】
これにより、第1の人検知部600にて、ユーザインタフェース400に近づこうとする人と、他のユーザインタフェース450に近づこうとする人の両方を確度高く検知することが可能となる。また、第2の人検知部700にてユーザインタフェース400を操作しようとする人と、他のユーザインタフェース450を操作しようとする人との両方を確度高く検知することが可能となる。
【0081】
なお、上述した実施の形態においては、第2の人検知部700の反射型センサ710の発光部711および受光部712が受発光する光の光軸が、奥側から手前側へ向かう水平線に対してユーザインタフェース400側へ角度β傾くように配置されているが、複数のユーザインタフェースを有する場合には特にかかる態様に限定されない。第2の人検知部700の検知範囲A2が、ユーザインタフェース400の手前側の領域と他のユーザインタフェース450の手前側の領域との間の領域となるように配置するとよい。これにより、ユーザインタフェース400を操作しようとする人と、他のユーザインタフェース450を操作しようとする人との両方を確度高く検知することが可能となる。
【0082】
なお、上述した実施の形態においては、人検知装置2として、検知範囲および消費電力量の異なる第1の人検知部600と第2の人検知部700との2つの検知部を備える装置を例示したが特にかかる態様に限定されない。つまり、人検知装置2は、検知範囲および消費電力が異なる複数の人検知部を備えてもよい。例えば、検知範囲が異なる3つの人検知部を備え、検知範囲が最も広い人検知部が人を検知したことを契機として検知範囲が2番目に広い人検知部に電力を供給して人検知可能な状態とし、この検知範囲が2番目に広い人検知部が人を検知したことを契機として検知範囲が最も狭い人検知部に電力を供給して人検知可能な状態とする。そして、検知範囲が最も狭い人検知部が人を検知したら制御装置300にその旨を出力し、画像形成装置1を節電モードから復帰させるようにするとよい。また、かかる構成の場合、検知範囲が最も狭い人検知部の消費電力量がその他の人検知部の消費電力量よりも大きいと、節電モードであるときに常に検知範囲が最も狭い人検知部に電力を供給する構成と比べて消費電力量を低減させることが可能となる。
つまりこの形態では、第1の人検知部600および第2の人検知部700の少なくとも一方は、複数設けられ、それぞれの検知範囲が異なることになる。
【0083】
図18(a)〜(c)は、第1の人検知部600を複数設けるとともに、それぞれの検知範囲を異なる範囲とした場合について説明した図である。
図6の場合と比較すると、第2の人検知部700は、図6の場合と同様に1箇所に設けられ、その検知範囲A2についても同様である。
一方、第1の人検知部600は、同じ箇所に2つ設けられている。そしてその検知範囲A1については、それぞれ異なった範囲を占めている。図18では、説明の便宜上、その範囲を検知範囲A11および検知範囲A12として図示している。ここで検知範囲A11は、画像形成装置1を置いた床面における、画像形成装置1の前面からの、奥側から手前側へ向かう水平方向の距離が規定距離L11となるように設定されている。また検知範囲A12は、画像形成装置1を置いた床面における、画像形成装置1の前面からの、奥側から手前側へ向かう水平方向の距離が規定距離L12となるように設定されている。ここで規定距離L12は規定距離L11より大きく(L12>L11)、検知範囲A11よりも検知範囲A12の方が画像形成装置1の前面からより遠くの範囲を検知範囲とする。なお横方向の検知範囲に関しては、検知範囲A11および検知範囲A12ともに、左右対称の角度(図18では、角度αとして表示)範囲となっており、同様である。
【0084】
このように第1の人検知部600を複数設けるとともに、それぞれの検知範囲が異なるように設定することで、より迅速に画像形成装置1を節電モードから復帰させることができる。つまり画像形成装置1を使用する意思がある人は、まず第1の人検知部600の検知範囲A12に入った場合に検知される。そして次に第1の人検知部600の検知範囲A11に入った場合に検知され、さらに第2の人検知部700の検知範囲A2に入った場合に検知される。これによりユーザ(人)の接近を段階的に把握することができ、画像形成装置1を使用する意思がある人をより確実に判別できる。そして画像形成装置1内の各機構部において、立ち上がりが比較的遅いものを第1の人検知部600の検知範囲A11に入った場合にまず立ち上げ、そして立ち上がりが比較的速いものを第2の人検知部700の検知範囲A2に入った場合に立ち上げれば、より迅速に画像形成装置1を節電モードから復帰させることができる。
【0085】
なお第1の人検知部600の検知範囲について、その規定距離は、開口部502(図5参照)や傾斜部503(図5参照)の位置や大きさ、角度等を変更することで所望の値に設定が可能である。また横方向の検知範囲は、開口部502の位置や大きさを変更することで同様に所望の値に設定が可能である。
【0086】
また図19(a)〜(c)は、第2の人検知部700を複数設けるとともに、それぞれの検知範囲を異なる範囲とした場合について説明した図である。
図6の場合と比較すると、第1の人検知部600は、図6の場合と同様に1箇所に設けられ、その検知範囲A1についても同様である。
一方、第2の人検知部700は、同じ箇所に2つ設けられている。そしてその検知範囲A1については、それぞれ異なった範囲を占めている。図19では、説明の便宜上、その範囲を検知範囲A21および検知範囲A22として図示している。ここで検知範囲A21は、奥側から手前側へ向かう水平線に対してユーザインタフェース400側へ角度β傾くように配置されるとともに、画像形成装置1の前面からの、奥側から手前側へ向かう水平方向の距離が規定距離L21となるように設定されている。一方、検知範囲A21は、奥側から手前側へ向かう水平線に対して平行に配置されているとともに、画像形成装置1の前面からの、奥側から手前側へ向かう水平方向の距離が規定距離L22となるように設定されている。
【0087】
このように第2の人検知部700を複数設けるとともに、それぞれの検知範囲が異なるように設定することで、画像形成装置1に接近する人を複数の第2の人検知部700の何れかで検知すればよいことになる。そのため画像形成装置1を使用する意思がある人をより確実に検知できる。
【0088】
なお第2の人検知部700の検知範囲について、その角度については、反射型センサ710の取り付け方向を変更することで変更が可能である。また規定距離については、例えば判断部740が図11で説明したようにコンパレータだった場合、反射型センサ710からの出力電圧と比較される基準電圧を変更することで変更することができる。即ち基準電圧を低く設定することで規定距離は長くなり、逆に基準電圧を高く設定することで規定距離は短くなる。
【0089】
また、上述した実施の形態に係る人検知装置2においては、第2の人検知部700に電力を供給する契機として第1の人検知部600が人を検知することを用いているが、特に係る態様に限定されない。例えば、第2の人検知部700の検知範囲A2に人が近づいていることを検知する機器として、第1の人検知部600の代わりに、第2の人検知部700の検知範囲A2よりも広い範囲における振動を検知するとともに消費電力量が第2の人検知部700の消費電力量よりも小さい振動検知センサを備え、この振動検知センサが、人が近づく際の振動を検知したら第2の人検知部700に電力を供給するようにしてもよい。また、第1の人検知部600の代わりに、温度が変化することで人が近づいたことを検知する温度センサ、蛍光灯などが点灯することで画像形成装置1の周囲が明るくなったことを検知する明るさセンサなどを用いてもよい。
【0090】
なお、上述した実施の形態においては、第1の人検知部600と、第1の人検知部600の検知範囲A1よりも狭い範囲において人を検知する第2の人検知部700と、を備える人検知装置2であって、第1の人検知部600が人を検知するのに必要な電力量は、第2の人検知部700が人を検知するのに必要な電力量よりも小さく、第2の人検知部700は、第1の人検知部600が人を検知したのを契機として人を検知するのに必要な電力が供給されて人を検知可能な状態となり、人を検知した場合には検知した旨の信号を出力する人検知装置2を、画像読取装置100と画像記録装置200とを有する画像形成装置1に設けているが、画像形成装置1に特に限定されない。このような機能を有する人検知装置2を、使用しないときには使用するときと比べて消費電力量を低減させることができる装置の何れにも適用することが好適である。かかる装置としては、例えば、プリンタ、スキャナ、ファクシミリ等の画像形成装置あるいは画像出力装置、自動販売機、自動改札機などを例示することができる。
【0091】
また、オフィス、工場、倉庫、店舗、ホテル、駅、飛行場、港、駐車場、道端、通路、市場、感光施設、イベント会場、学校、図書館、役所、その他の公共施設など、装置を使用しない人がこの装置の近くを通過する可能性がある場所に設置された装置に、この人検知装置2を設けることが好適である。
つまり、人検知装置2を、使用するときには十分な電力を必要とし使用しないときには使用するときよりも消費電力量を低減させることができる装置であって、この装置を使用する人と使用せずにこの装置の近くを通過する人とが混在する場所に設置される装置に、適用することが好適である。
これらの場所に設置された装置にこの人検知装置2を設けることで、消費電力の低減と、利便性の向上とを図ることが可能となる。
【0092】
また、人検知装置2を、画像形成装置1などの上記装置に設ける際には、必ずしも装置に内蔵する必要はない。例えば、人検知装置2を、上記装置とは別体の装置として構成し、例えばハーネスなどで接続してもよい。また、人検知装置2の一部の部品、例えば第1の人検知部600を上記装置に内蔵し、他の部品を上記装置とは別体の装置としてもよい。なお、人検知装置2が上記装置とは別体の装置として構成された場合における人検知装置2と上記装置との接続形態は、人検知装置2が人を検知した旨を伝達することができれば何れの形態でも良く、有線であっても無線であってもよい。
【0093】
また画像形成装置1等の装置に内蔵する場合でも人検知装置2が単独で動作するようにすることが好ましい。
図20は、画像形成装置1に搭載される基板と、人検知装置2の焦電型センサ610を実装する第1の基板630(図4参照)との関係を説明した図である。
図20に示した基板としては、第1の基板630の他に、集中制御基板310と、集中制御基板310および第1の基板630の間に置かれる中継基板350とがある。
【0094】
第1の基板630には、焦電型センサ610と、電力供給許容部650と、判断部740とが設けられ、さらに第1の基板630には、反射型センサ710と報知部751とが接続されている。この構成は、図6で説明した第1の基板630と同様である。一方、図20の第1の基板630では、中継基板350からの情報を受信する分圧回路660が設けられている。
【0095】
集中制御基板310は、例えば、装置全体の動作を制御する制御装置300(図2参照)の基板であり、制御装置300の一部を構成する。そして中継基板350は、集中制御基板310と第1の基板630と間で情報のやりとりを行うための基板であり、図20では、1つのみ図示しているが、他にも集中制御基板310と画像形成装置1の各機構部に設けられた基板との情報のやりとりを行なうため、複数設けられるのが通常である。そして第1の基板630は、図4で説明したように例えば、支持部カバー500の裏面側に設けられ、集中制御基板310と中継基板350は、画像形成装置1内の他の場所に設けられている。
【0096】
ここで第1の基板630の分圧回路660が受け取る情報は、例えば、反射型センサ710の検知範囲A2の規定距離L2である。この規定距離L2が、前述したように例えば、ユーザが画像形成装置1に設けられたボタンを操作することにより変更された場合、その情報は、集中制御基板310から中継基板350の分圧回路351を介して、第1の基板630の分圧回路660に送信される。更にこの情報は、判断部740に伝えられる。そして例えば判断部740が図11で説明したようにコンパレータだった場合、反射型センサ710からの出力電圧と比較される基準電圧が変更される。これにより規定距離L2の変更を行なうことができる。
【0097】
一方、判断部740にて反射型センサ710で人が検知されたと判断された場合は、その情報は、人を検知した旨の信号として、中継基板350を介し、集中制御基板310に送信される。これにより制御装置300が画像形成装置1の各機構部を立ち上げ、画像形成装置1は、節電モードから通常モードに復帰する。
【0098】
このように第1の基板630を集中制御基板310とは別個に設けることで、節電モードにおいて制御装置300が動作していなくても、人検知装置2は単独で動作することが可能となる。そのためより消費電力量を低減させることができる。
【0099】
また第1の基板630を画像形成装置1等の装置に対し別体のものとして構成した場合、第1の基板630は、この装置を制御する制御装置として捉えることもできる。
この場合、第1の基板630は、人によって操作される画像形成装置1であって人を検知する人検知装置2を備えた画像形成装置1に接続され、人検知装置2による人検知結果を基に画像形成装置1の電力状態を制御する制御装置であり、人検知装置2は、第2の電力状態の時に電力が供給され、人を検知する第1の人検知部600と、第1の人検知部600の検知範囲よりも狭い範囲において人を検知すると共に、人を検知するのに必要な電力量が第1の人検知部600が人を検知するのに必要な電力量よりも大きい第2の人検知部700と、を有し、制御装置は、画像形成装置1が第2の電力状態にある時に第1の人検知部600が人を検知した場合に、第2の人検知部700に対して人を検知するのに必要な電力量を伝送する電力供給許容部650と、人を検知するのに必要な電力量が供給された第2の人検知部700が人を検知した場合に、画像形成装置1が第2の電力状態から第1の電力状態へと切り替わるよう指示する判断部740と、を有することを特徴とする制御装置として機能する。
【符号の説明】
【0100】
1…画像形成装置、2…人検知装置、11…装置本体フレーム、12…装置筐体、13…読取装置支持部、15…フロントカバー、20…画像形成部、30…中間転写ユニット、40…二次転写ユニット、45…定着装置、50…光学系ユニット、60…用紙供給部、70…用紙排出部、80…反転搬送部、100…画像読取装置、200…画像記録装置、300…制御装置、400,450…ユーザインタフェース(UI)、500…支持部カバー、600…第1の人検知部、700…第2の人検知部
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成装置用の人検知装置、画像形成装置用の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、省エネを実現するために、使用されない場合には、使用される際の消費電力量よりも少ない消費電力状態で待機し、人が近づいたのをセンサにて検知したら待機状態から復帰する装置が提案されている。
例えば、特許文献1に記載の画像形成装置は、焦電型赤外線センサを備え、この焦電型赤外線センサのセンサ信号がONであれば、定着装置の温度を画像形成動作時の温度に設定し、省電力モードを解除する。
また、特許文献2の画像処理装置は、以下のように構成されている。すなわち、装置内部の電力供給の状態が異なる省エネモードと通常モードを含む複数の電力モードを有する画像処理装置において、省エネモードで動作可能でトリガを検知したときに電力モードを切り替える電源制御部を備える。また、トリガを入力するために装置に接近する人体を検知するよう配置された人体検知部と、トリガの入力とは異なる目的で装置に接近する人体を検知するよう配置された第二の人体検知部とを備える。電源制御部は、省エネモードにおいて人体検知部が人体を検知したときに第二の人体検知部が人体を検知していなければ、通常モードに切り替える。また、電源制御部は、人体検知部が人体を検知したときに第二の人体検知部が人体を検知していれば、省エネモードを維持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−242226号公報
【特許文献2】特開2010−217303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、節電モード(省エネモード)中に人を検知可能な状態で複数の人検知手段を起動させておく場合と比べて、消費電力量を低減させることができる装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、節電状態にある画像形成装置において、前記画像形成装置の水平面に対して斜め下方の領域において人を検出する第1の人検知手段と、前記第1の人検知手段より高い消費電力を必要とし、前記第1の人検知手段の検知領域より上方の領域において人を検出する第2の人検知手段と、前記第1の人検知手段が人を検知した場合に、前記第2の人検知手段を節電状態から復帰する指示をする指示手段と、を含む画像形成装置である。
【0006】
請求項2に記載の発明は、上方から見た場合に、前記第2の人検知手段の検知範囲は、前記第1の人検知手段の検知範囲の内側に存在することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置である。
請求項3に記載の発明は、前記第1の人検知手段および前記第2の人検知手段の少なくとも一方は、複数設けられ、それぞれの検知範囲が異なることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置である。
請求項4に記載の発明は、前記第1の人検知手段は、上方から見た場合に、装置の横方向における一方の端部側に配置され、他の端部側を当該第1の人検知手段の検知範囲とはしないことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像形成装置である。
請求項5に記載の発明は、前記第1の人検知手段は、人が発する赤外線を焦電効果を用いて検知する焦電型センサを有し、前記第2の人検知手段は、光を発光する発光部と光を受光する受光部とを有する反射型センサを有することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の画像形成装置である。
請求項6に記載の発明は、前記第2の人検知手段は、検知範囲として検知可能な距離が変更可能であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の画像形成装置である。
【0007】
請求項7に記載の発明は、節電状態にある画像形成装置に接続される画像形成装置用の人検知装置において、前記画像形成装置用の人検知装置は、前記画像形成装置の水平面に対して斜め下方の領域において人を検出する第1の人検知手段と、前記第1の人検知手段より高い消費電力を必要とし、前記第1の人検知手段の検知領域より上方の領域において人を検出する第2の人検知手段と、前記第1の人検知手段が人を検知した場合に、前記第2の人検知手段を節電状態から復帰する指示をする指示手段と、を含む画像形成装置用の人検知装置である。
【0008】
請求項8に記載の発明は、人を検知する人検知手段を備えた節電状態にある画像形成装置に接続され、前記人検知手段による人検知結果を基に前記画像形成装置の電力状態を制御する画像形成装置用の制御装置において、前記人検知手段は、前記画像形成装置の水平面に対して斜め下方の領域において人を検出する第1の人検知手段と、前記第1の人検知手段より高い消費電力を必要とし、前記第1の人検知手段の検知領域より上方の領域において人を検出する第2の人検知手段と、を含み、前記画像形成装置用の制御装置は、前記第1の人検知手段が人を検知した場合に、前記第2の人検知手段を節電状態から復帰する指示をする指示手段と、を含む画像形成装置用の制御装置である。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、節電状態中に人を検知可能な状態で複数の人検知手段を起動させておく場合と比べて、消費電力量を低減させることができる。
請求項2の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べて、誤検知を抑制しつつ消費電力を低減させることができる。
請求項3の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べて、誤検知がさらに生じにくくなる。
請求項4の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べて、装置を操作する意思がある人をより確度高く検知することができる。
請求項5の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べて、誤検知を抑制しつつ消費電力を低減させることができる。
請求項6の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べて、ユーザに対応して検知範囲を設定することができる。
請求項7の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べて、装置を使用する意思がある人の検知の確度がより高い画像形成装置用の人検知装置が提供できる。
請求項8の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べて、人を検知することで節電状態から通常の動作状態に切り替える制御を、誤検知をより低減して行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施の形態に係る画像形成装置の外観図である。
【図2】実施の形態に係る画像形成装置の内部構造を示す図である。
【図3】フロントカバーが開いた状態を示す図である。
【図4】支持部カバーの裏面側を示す図である。
【図5】(a)は、図1のVA部における拡大図である。(b)は、(a)のVB−VB部の断面図である。(c)は、(a)のVC−VC部の断面図である。
【図6】実施の形態に係る画像形成装置における人検知装置の検知範囲を示す図である。
【図7】第2の人検知部の概略構成を示す図である。
【図8】透過部材の概略構成を示す図である。
【図9】支持部カバーの外観を示す斜視図である。
【図10】図9におけるX−X部の断面図である。
【図11】人検知装置のブロック図である。
【図12】(a)は、反射型センサの発光部が光を発光する領域と受光部が光を受光する領域とを示す図である。(b)は、発光部の発光強度分布である。(c)は、受光部の受光強度分布である。
【図13】ユーザインタフェースを操作するユーザと、第1の積載トレイあるいは第2の積載トレイに積載された用紙を取るユーザと、が位置すると想定される位置を示す図である。
【図14】CPUが行う節電モード解除処理の手順を示すフローチャートである。
【図15】CPUが行う節電モードへの移行処理の手順を示すフローチャートである。
【図16】CPUが行う他の形態の節電モードへの移行処理の手順を示すフローチャートである。
【図17】他の形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
【図18】(a)〜(c)は、第1の人検知部を複数設けるとともに、それぞれの検知範囲を異なる範囲とした場合について説明した図である。
【図19】(a)〜(c)は、第2の人検知部を複数設けるとともに、それぞれの検知範囲を異なる範囲とした場合について説明した図である。
【図20】画像形成装置に搭載される基板と、人検知装置の焦電型センサを実装する第1の基板との関係を説明した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、実施の形態について詳細に説明する。
図1は、実施の形態に係る画像形成装置1の外観図である。図2は、実施の形態に係る画像形成装置1の内部構造を示す図である。
画像形成装置1は、被操作装置の一例であり、原稿の画像を読み取る画像読取装置100と、記録材(以下、代表して「用紙」と記す場合もある。)上に画像を記録する画像記録装置200と、を備えている。また、画像形成装置1は、CPU、ROM、RAMなどからなるマイクロコンピュータを有し、装置全体の動作を制御する制御装置300と、タッチパネル等により構成され、ユーザから受けた指示を制御装置300に出力するとともに制御装置300からの情報をユーザに提示するユーザインタフェース(UI)400を備えている。
画像読取装置100は、画像形成装置1の上部に配置され、画像記録装置200は、画像読取装置100の下側に配置され、制御装置300を内蔵している。ユーザインタフェース400は、人が操作する操作部の一例として機能し、画像形成装置1の上部の手前側、つまり画像読取装置100の後述する画像読取部110の手前側に配置されている。
【0012】
先ずは、画像読取装置100について説明する。
画像読取装置100は、原稿の画像を読み取る画像読取部110と、この画像読取部110に原稿を搬送する原稿搬送部120と、を備えている。原稿搬送部120は、画像読取装置100の上部に配置され、画像読取部110は、画像読取装置100の下部に配置されている。
原稿搬送部120は、原稿を収容する原稿収容部121と、この原稿収容部121から搬送された原稿が排出される原稿排出部122とを有し、原稿収容部121から原稿排出部122へ原稿を搬送する。
【0013】
画像読取部110は、プラテンガラス111と、光を原稿の被読取面(画像面)へ照射する光照射ユニット112と、光照射ユニット112から原稿の被読取面へ光Lが照射されて原稿の被読取面で反射した反射光Lを導く導光ユニット113と、導光ユニット113によって導かれた光Lの光学像を結像する結像レンズ114と、を備えている。また、画像読取部110は、結像レンズ114によって結像された光Lを光電変換するCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ等の光電変換素子で構成され、結像された光学像を検出する検出部115と、検出部115と電気的に接続されて、検出部115によって得られた電気信号が送られる画像処理部116と、を備えている。
画像読取部110は、原稿搬送部120によって搬送される原稿の画像、及びプラテンガラス111に載せられた原稿の画像を読み取る。
【0014】
次に、画像記録装置200について説明する。
画像記録装置200は、用紙上に画像を形成する画像形成部20と、画像形成部20に対して用紙Pを供給する用紙供給部60と、画像形成部20にて画像が形成された用紙Pを排出する用紙排出部70と、画像形成部20にて一方の面に画像が形成された用紙Pの表裏を反転させて再度画像形成部20に向けて搬送する反転搬送部80と、を備えている。
【0015】
画像形成部20は、一定の間隔を置いて並列的に配置されるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4つの画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kを備えている。各画像形成ユニット21は、感光体ドラム22と、感光体ドラム22の表面を一様に帯電する帯電器23と、後述する光学系ユニット50によるレーザ照射によって形成された静電潜像を予め定められた色成分トナーで現像し可視化する現像器24とを備えている。また、画像形成部20には、画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kの現像器24に対して各色のトナーを供給するためのトナーカートリッジ29Y,29M,29C,29Kが設けられている。
【0016】
画像形成部20は、画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kの下方に、画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kの感光体ドラム22に対してレーザ光を照射する光学系ユニット50を備えている。光学系ユニット50は、図示しない半導体レーザ、変調器の他、半導体レーザから出射されたレーザ光を偏向走査するポリゴンミラー(不図示)と、レーザ光を通過するガラス製のウィンドウ(不図示)と、各構成部材を密閉するためのフレーム(不図示)とを備えている。
【0017】
また、画像形成部20は、画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kの感光体ドラム22に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト31上に多重転写させる中間転写ユニット30と、中間転写ユニット30上に重畳されて形成されたトナー像を用紙Pに転写する二次転写ユニット40と、用紙P上に形成されたトナー像を加熱および加圧して定着する定着装置45と、を備えている。
【0018】
中間転写ユニット30は、中間転写ベルト31と、この中間転写ベルト31を駆動するドライブローラ32と、中間転写ベルト31に一定のテンションを付与するテンションローラ33と、を備えている。また、中間転写ユニット30は、各感光体ドラム22と中間転写ベルト31を挟んで対向して感光体ドラム22上に形成されたトナー像を中間転写ベルト31上に転写するための複数(本実施の形態においては4つ)の一次転写ローラ34と、中間転写ベルト31を介して後述する二次転写ローラ41と対向するバックアップローラ35とを備えている。
【0019】
中間転写ベルト31は、ドライブローラ32、テンションローラ33、複数の一次転写ローラ34、バックアップローラ35および従動ローラ36などの複数の回転部材に張りかけられている。そして、中間転写ベルト31は、駆動モータ(不図示)によって回転駆動されるドライブローラ32により、矢印方向に予め定められた速度で循環駆動される。この中間転写ベルト31は、例えば、ゴムまたは樹脂にて成形されたものが使用される。
また、中間転写ユニット30は、中間転写ベルト31上に存在する残留トナー等を除去するクリーニング装置37を備えている。クリーニング装置37は、トナー像の転写工程が終了した後の中間転写ベルト31の表面から残留トナーや紙粉等を除去する。
【0020】
二次転写ユニット40は、二次転写位置に設けられ中間転写ベルト31を介してバックアップローラ35を押圧し、用紙P上に画像を二次転写する二次転写ローラ41を備えている。二次転写ローラ41と、中間転写ベルト31を介して二次転写ローラ41と対向するバックアップローラ35とで、中間転写ベルト31に転写されたトナー画像が用紙Pに転写される二次転写位置が構成される。
定着装置45は、中間転写ユニット30によって二次転写された用紙P上の画像(トナー像)を、加熱定着ローラ46と加圧ローラ47とにより、熱および圧力を用いて用紙Pに定着させる。
【0021】
用紙供給部60は、画像が記録される用紙を収容する用紙収容部61と、用紙収容部61の各々に収容された用紙Pを送り出す送出ロール62と、送出ロール62にて送り出された用紙Pが搬送される搬送路63と、搬送路63に沿って配置され送出ロール62によって送り出された用紙Pを二次転写位置へ搬送する搬送ロール64、65、66と、を備えている。
【0022】
用紙排出部70は、画像形成部20の上方に設けられて、画像形成部20にて画像が形成された用紙を積載する第1の積載トレイ71と、この第1の積載トレイ71と画像読取装置100との間に設けられて、画像形成部20にて画像が形成された用紙を積載する第2の積載トレイ72と、を備えている。
用紙排出部70は、定着装置45よりも搬送方向下流側に設けられて、トナー画像が定着された用紙Pを搬送する搬送ロール75と、この搬送ロール75の搬送方向下流側に設けられて、用紙Pの搬送方向を切り替える切替ゲート76と、を備えている。また、用紙排出部70は、切替ゲート76の搬送方向下流側に、切替ゲート76によって切り替えられた搬送方向の一方側(図2における右側)に搬送される用紙Pを第1の積載トレイ71に排出する第1の排出ロール77を備えている。また、用紙排出部70は、切替ゲート76の搬送方向下流側に、切替ゲート76によって切り替えられた搬送方向の他方側( 図2における上側)に搬送される用紙Pを搬送する搬送ロール78と、搬送ロール78によって搬送される用紙Pを第2の積載トレイ72に排出する第2の排出ロール79と、を備えている。
【0023】
反転搬送部80は、定着装置45の側方に、搬送ロール78を第2の積載トレイ72に用紙Pを排出する方向とは反対の方向に回転させることで反転された用紙Pが搬送される反転搬送路81を備えている。この反転搬送路81には、反転搬送路81に沿って複数の搬送ロール82が設けられている。これらの搬送ロール82によって搬送された用紙Pは、搬送ロール82によって、再度二次転写位置へ送り込まれる。
【0024】
また、画像記録装置200は、画像形成部20、用紙供給部60、用紙排出部70、反転搬送部80および制御装置300を、直接的または間接的に支持する装置本体フレーム11と、この装置本体フレーム11に取り付けられて画像形成装置1の外面を形成する装置筐体12と、を備えている。
装置本体フレーム11は、画像形成装置1における横方向の一方の端部側で、内部に、切替ゲート76、第1の排出ロール77、搬送ロール78および第2の排出ロール79などを備えるとともに上下方向に伸びて、画像読取装置100を支持する読取装置支持部13を備えている。読取装置支持部13は、装置本体フレーム11における奥側の部位と協働して画像読取装置100を支持する。
【0025】
また、画像記録装置200は、装置筐体12の一部として、画像形成部20の手前側に設けられるとともに、装置本体フレーム11に対して開閉可能に装着されるフロントカバー15を備えている。
図3は、フロントカバー15が開いた状態を示す図である。
ユーザは、フロントカバー15を開くことで、画像形成部20の中間転写ユニット30やトナーカートリッジ29Y,29M,29C,29Kを新しい物と取り替えることが可能となっている。
【0026】
以上のように構成された画像形成装置1は、以下のように作用する。
画像読取装置100によって読み取られた原稿の画像や、図示しないパーソナルコンピュータ等から受信した画像データは、予め定められた画像処理が施され、画像処理が施された画像データは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4色の色材階調データに変換され、光学系ユニット50に出力される。
【0027】
光学系ユニット50は、入力された色材階調データに応じて、半導体レーザ(図示せず)から出射されたレーザ光を、f−θレンズ(不図示)を介してポリゴンミラーに出射する。ポリゴンミラーでは、入射されたレーザ光を各色の階調データに応じて変調し、偏向走査して、図示しない結像レンズおよび複数枚のミラーを介して画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kの感光体ドラム22に照射する。
【0028】
画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kの感光体ドラム22では、帯電器23で帯電された表面が走査露光され、静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、各々の画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kにて、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像として現像される。画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kの感光体ドラム22上に形成されたトナー像は、中間転写体である中間転写ベルト31上に多重転写される。
【0029】
一方、用紙供給部60では、画像形成のタイミングに合わせて送出ロール62が回転して用紙収容部61に収容されている用紙Pを取り上げ、搬送路63を介して搬送ロール64、65にて搬送される。その後、トナー像が形成された中間転写ベルト31の移動タイミングに合わせて搬送ロール66が回転し、用紙Pは、バックアップローラ35および二次転写ローラ41によって形成される二次転写位置に搬送される。二次転写位置にて、下方から上方に向けて搬送される用紙Pには、圧接力および予め定められた電界を用いて、4色が多重されているトナー像が副走査方向に順次、転写される。そして、各色のトナー像が転写された用紙Pは、定着装置45によって熱および圧力で定着処理を受けた後に排出され、第1の積載トレイ71あるいは第2の積載トレイ72に積載される。
【0030】
両面印刷の要求があった場合には、一方の面に画像が形成された用紙Pは、反転搬送部80にて表裏が反転するように搬送され、再度二次転写位置に送られる。そして、二次転写位置にて、用紙Pの他方の面にトナー像が転写され、定着装置45にて転写された画像が定着される。その後、両面に画像が形成された用紙Pは、排出され、第1の積載トレイ71あるいは第2の積載トレイ72に積載される。
【0031】
次に、画像形成装置1の電力モードについて説明する。
画像形成装置1は、消費電力の異なる複数の電力モード(動作モード)を有する。この電力モードの例としては、電源スイッチがオンになって画像形成装置1の電源が投入された時のウォームアップモードと、発生したジョブを実行するランモードと、ジョブの発生に備えて待機するスタンバイモードと、消費電力量を低減するための節電モードと、がある。以下、ランモードを、通常の動作状態で動作するモードとしての通常モードということがある。スタンバイモード及び節電モードにおいては、画像形成部20などに供給する電力を停止又は通常モードにおける電力量よりも低下させる。これにより節電モードの消費電力量は、通常モードの消費電力量よりも低い。
なお、画像形成装置1が、ユーザの認証を行うICカードリーダなどの認証装置を備えている場合には、スタンバイモードで認証装置に電力が供給されるようにすればよい。
【0032】
制御装置300は、予め定められた復帰条件が成立したときに節電モードから通常モードへ復帰する。この復帰条件としては、例えば、外部装置からのデータの受信(取得)、後述する人検知装置2の第2の人検知部700からの人を検知した旨の信号の受信(取得)であることを例示することができる。
一方、制御装置300は、予め定められた節電条件が成立したときに通常モードから節電モードへ移行する。この節電条件としては、例えば、外部装置から受信(取得)したデータについてのジョブの完了、人検知装置2の第2の人検知部700からの人を検知しなくなった旨の信号(非検知の信号)の受信(取得)、この第2の人検知部700から非検知の信号を受信(取得)してからの予め定められた期間の経過であることを例示することができる。
このように、制御装置300は、第1の電力状態としての通常モードと、第2の電力状態としての節電モードと、を切り替える切替手段の一例として機能する。
【0033】
次に、人(人体)を検知して節電モードから通常モードへ復帰する機構について説明する。
画像形成装置1は、人(人体)を検知する人検知装置2(図1参照)を備えている。人検知装置2は、節電モードにおいても常に電力が供給され、予め定められた領域内に人が入ってきたことを検知する第1の人検知手段の一例としての第1の人検知部600と、第1の人検知部600が人の進入を検知した場合に電力が供給され、予め定められた領域内に人が存在することを検知する第2の人検知手段の一例としての第2の人検知部700と、を備えている。そして、第2の人検知部700が、予め定められた領域内に人が存在することを検知した場合に、制御装置300に対して検知した旨の信号を出力する。
【0034】
ここで、画像形成装置1は、読取装置支持部13の手前側に、この読取装置支持部13の前面を覆う支持部カバー500を備えている。支持部カバー500は、装置筐体12の一部であり、ユーザインタフェース400を操作する人が位置すると想定される装置手前側の外面を形成する外面形成部材として機能する。支持部カバー500は、板状の部材であり、装置本体フレーム11に直接的または間接的に固定されている。そして、この支持部カバー500の裏側に、人検知装置2が装着されている。
【0035】
先ずは、第1の人検知部600について説明する。
第1の人検知部600は、人が発する特定波長の赤外線を焦電効果を用いて検知することにより予め定められた領域(図6に示す検知範囲A1)内に人が入ってきたことを検出する。第1の人検知部600は、焦電素子、レンズ、IC、プリント基板などを備え、人が動く際におこる赤外線の変化量を検出し、検出した変化量が予め定められた基準値を上回った場合に、予め定められた領域内に人が入ってきたことを検知する焦電型センサ610と、焦電型センサ610を実装するプリント基板である第1の基板630と、を備えている。
焦電型センサ610は、第1の基板630に実装されて、予め定められた領域内に人が入ってきたことを検知したときに、その旨の信号を出力する。
【0036】
図4は、支持部カバー500の裏面側を示す図である。
図4に示すように、第1の基板630は、支持部カバー500の裏面側にボルト640で固定されている。これにより、第1の基板630の手前側に実装された焦電型センサ610が装置本体フレーム11に間接的に固定される。
図5(a)は、図1のVA部における拡大図である、図5(b)は、図5(a)のVB−VB部の断面図である。図5(c)は、図5(a)のVC−VC部の断面図である。
図6は、本実施の形態に係る画像形成装置1における人検知装置2の検知範囲を示す図である。図6(a)は、画像形成装置1を手前側から見た図、図6(b)は、画像形成装置1を上方から見た図、図6(c)は、画像形成装置1を横方向から見た図である。
【0037】
支持部カバー500は、固定型とこの固定型に対して移動可能な可動型を用いて成形され、固定型に対する可動型の相対移動方向が奥側から手前側へ向かう水平方向と平行な方向となるように装置本体フレーム11に装着されている。また、支持部カバー500には、第1の基板630を締結するボルト640がねじ込まれる雌ねじ部501が、その中心線方向が固定型に対する可動型の相対移動方向と平行な方向となるように向けられている。
焦電型センサ610は、その中心線方向が雌ねじ部501の中心線方向、言い換えれば奥側から手前側へ向かう水平方向となるように第1の基板630を介して支持部カバー500に取り付けられている。そして、この焦電型センサ610の検知範囲は、中心方向に対して全方向に左右対称に予め定められた角度(図5、図6では角度αとして表示)範囲となる。つまり、検知面が向けられた方向を中心方向とした場合に、中心方向に対して全方向角度αの角度範囲が、焦電型センサ610の検知範囲となる。
【0038】
本実施の形態に係る画像形成装置1においては、この焦電型センサ610の検知範囲を、焦電型センサ610の手前側に支持部カバー500を配置することで、図6に斜線で示した範囲に限定し、この範囲を第1の人検知部600の検知範囲A1としている。
すなわち、焦電型センサ610の手前側に支持部カバー500を配置し、上下方向に関しては、その支持部カバー500における、焦電型センサ610の中心位置よりも下方に位置する部位にのみ内外を貫通する貫通孔の一例としての開口部502を形成し、その部位以外は焦電型センサ610を覆う。そして、図6に示すように、画像形成装置1を置いた床面における、画像形成装置1の前面からの、奥側から手前側へ向かう水平方向の距離が規定距離L1となるように、焦電型センサ610に対する開口部502の位置を定める。規定距離L1としては、例えば、0.8m〜1.3m(800mm〜1300mm)程度であることを例示することができる。また、支持部カバー500に、図1に示すように正面から見た場合に、水平面に対して斜め下方奥側に傾斜した傾斜部503を設け、開口部502を、この傾斜部503に形成する。
【0039】
横方向の検知範囲に関しては、開口部502の横方向の両端部の位置を、焦電型センサ610の検知面が向けられた中心方向に対して左右対称に予め定められた角度(図5、図6では角度αとして表示)の角度範囲を遮らない位置に設定している。ただ、開口部502の横方向の複数の部位には、その開口部502の上側の壁と下側の壁とをつなぐリブ502aを複数設けている。
これらにより、本実施の形態に係る画像形成装置1における第1の人検知部600の検知範囲A1を、図6に斜線で示した、水平面に対して斜め下方の領域に設定している。そして、このように焦電型センサ610の手前側に支持部カバー500を配置して焦電型センサ610の検知範囲の一部を覆い、焦電型センサ610が設けられた位置から斜め下方のみを検知可能な範囲にすることで、第1の人検知部600の検知範囲A1が広範囲になることに起因して、画像形成装置1を使用する予定のない、例えば通行人を検知することを抑制している。
【0040】
また、開口部502は支持部カバー500に設けられた水平面に対して斜め下方奥側に傾斜した傾斜部503に形成されているので、この開口部502および焦電型センサ610がユーザから見え難くなっており、開口部502が存在することに起因して画像形成装置1の外観の美観が損なわれることを抑制している。また、第1の人検知部600は、画像形成装置1の手前側の領域を検知範囲A1とし、第1の積載トレイ71および第2の積載トレイ72を検知範囲としないので、第1の人検知部600がこれらの積載トレイ71,72に向けて排出される用紙Pを検知することを抑制している。また、焦電型センサ610を、その中心方向が奥側から手前側へ向かう水平線と平行となるように配置しているので、中心方向が水平線に対して傾斜するように設置する構成と比べると、支持部カバー500に、焦電型センサ610および第1の基板630を組み付け易くすることができるとともに、支持部カバー500の形状を成形容易な形状とすることができる。
【0041】
次に、第2の人検知部700について説明する。
図7は、第2の人検知部700の概略構成を示す図である。また、図4には、支持部カバー500の裏面側に第2の人検知部700が取り付けられている状態をも示している。
第2の人検知部700は、発光素子と受光素子とを有する赤外線反射型の反射型センサ710と、この反射型センサ710を実装するプリント基板である反射型センサ基板720(図4参照)と、これら反射型センサ710および反射型センサ基板720を支持する支持部材730と、を備えている。
【0042】
反射型センサ710は、発光素子として赤外線発光ダイオードを用いて光を発光する発光部711と、受光素子としてフォトダイオードを用いた受光部712と、発光部711および受光部712を支持する筐体713と、発光部711および受光部712への給電、および受光部712からの出力信号を伝送するハーネス(不図示)と、を備えている。
図4に示すように、反射型センサ710および反射型センサ基板720が支持部材730に取り付けられ、支持部材730が支持部カバー500の裏面側にボルト731で固定されている。
【0043】
また、第2の人検知部700は、反射型センサ710から出力される電圧に基づいて人が存在するか否かを判断する判断部740(図11参照)を備えている。判断部740は、反射型センサ710からの出力電圧(この電圧を増幅した電圧でもよい)と、予め定められた基準電圧とを比較し、出力電圧が基準電圧を上回った場合に、人が存在すると判断する。そして、判断部740は、人が存在する旨の信号を制御装置300に対して出力する。加えて、判断部740からの人が存在する旨の信号を基に、反射型センサ710、後述する報知部751に電力が供給される。なお、後述するように、判断部740は、第1の基板630に設けられ、第1の人検知部600が人の進入を検知した場合に電力が供給される。
【0044】
第2の人検知部700は、判断部740が、反射型センサ710が人を検知したと判断した場合に発光することで人を検知した旨をユーザに対して報知する報知部751と、報知部751が発光した光を均一に面発光させる板である導光板752(図8参照)と、を備えている。報知部751は、発光する半導体素子である発光ダイオード(LED)751aと、この発光ダイオード751aを実装する制御基板である報知部基板751bとを有し、報知部基板751bが支持部カバー500の裏面側にボルト753で固定されることで画像形成装置1に装着される。
【0045】
また、第2の人検知部700は、反射型センサ710の手前側に、反射型センサ710が受発光する赤外線を透過する透過部材760を備えている。
図8は、透過部材760の概略構成を示す図である。
図9は、支持部カバー500の外観を示す斜視図である。
透過部材760は、人の目に対しては、反射型センサ710の発光部711および受光部712を見え難くする黒色の部材であり、ポリカーボネートにて成形されている。また、透過部材760は、板状の部材であり、手前側の面が支持部カバー500の表面と同じ高さとなるように支持部カバー500に取り付けられている。
【0046】
図10は、図9におけるX−X部の断面図である。
図6には、反射型センサ710の検知範囲A2をも示している。
反射型センサ710は、発光部711から、画像形成装置1のユーザインタフェース400の手前側の予め定められた領域に向けて赤外線の光を照射し、その反射光を、受光部712により受光する。そして、反射型センサ710の検知範囲A2は、ユーザインタフェース400を操作する人が位置すると想定される想定範囲に存在する人を検知する範囲に設定されている。また、上方から見た場合に、この反射型センサ710の検知範囲A2は、上述した第1の人検知部600の検知範囲A1内の領域である(図6(b)参照)。すなわち、反射型センサ710は、発光部711が発光する光および受光部712が受光する光の光軸が、奥側から手前側へ向かう水平線に対して、ユーザインタフェース400側へ、例えば、20度〜50度など予め定められた角度(図6では、角度βとして表示)傾くように、支持部カバー500に取り付けられている。言い換えれば、画像形成装置1のユーザインタフェース400の手前側に位置する人をより確度高く検知することができるように、画像形成装置1の横方向の検知範囲がより広くなるように、発光部711および受光部712が受発光する光の光軸が、奥側から手前側へ向かう水平線に対して傾くように取り付けられている。
そして、第2の人検知部700(反射型センサ710)の検知範囲A2は、画像形成装置1の前面からの、奥側から手前側へ向かう水平方向の距離が規定距離L2(図6参照)となるように設定されている。規定距離L2としては、例えば、0.3m〜0.5m(300mm〜500mm)程度であることを例示することができる。
【0047】
なお、この規定距離L2を、例えば、画像形成装置1に設けられたボタンを操作することにより変更可能にしてもよい。
例えば、車椅子利用者の場合は、画像形成装置1に対して正面方向でなく、正面方向に対し直角方向に対し体が向いて操作を行なう体勢となる。このとき反射型センサ710の検知範囲A2から外れることで、車椅子利用者が反射型センサ710により検知されないことがある。このような場合には、反射型センサ710の規定距離L2を長くすることが有効である。例えば、規定距離L2が、最初に0.3mに設定されていた場合、これを0.6m(600mm)に変更できるようにする。このようにすることで、車椅子利用者の場合でも反射型センサ710により、より検知されやすくなる。ただし車椅子利用者の場合は、このようにしても原稿セットやユーザインタフェース400を操作する等の操作位置が、検知範囲A2から外れてしまう場合がある。しかしながら反射型センサ710の規定距離L2を長くしているため、前に手をかざすことで、容易に反射型センサ710により検知され、操作位置を変えることなく作業することができる。また広いオフィス空間においては、反射型センサ710の規定距離L2を上記のように長くすることで、ユーザ(人)が急いで画像形成装置1にアクセスしてきた場合でも、より早く反射型センサ710により検知される。そのためユーザ(人)は、ユーザインタフェース400をより応答性良く操作することができる。
【0048】
図11は、人検知装置2のブロック図である。
第1の基板630と反射型センサ基板720とは、第1の基板630から反射型センサ710への給電、および反射型センサ710から第1の基板630に設けられた判断部740(指示手段)への出力を伝送する電線(ハーネス)(不図示)を介して接続されている。また、第1の基板630と報知部基板751bとは、第1の基板630から報知部751への給電を担う電線(ハーネス)(不図示)を介して接続されている。
【0049】
第1の基板630には、焦電型センサ610から出力された人体を検知した旨の信号を取得した場合に、予め定められた期間T1、反射型センサ710および判断部740に対する電力の供給を許容する電力供給許容部650(伝送手段)が備えられている。この電力供給許容部650は、焦電型センサ610からの人体を検知した旨の信号の立ち上がりエッジに同期して立ち上がるとともに、予め定められた期間T1、ハイレベルを保持した信号を発生する単安定マルチバイブレータであることを例示することができる。また、予め定められた期間T1としては、30秒間であることを例示することができる。
【0050】
また、上述したように、第1の基板630には、焦電型センサ610および判断部740が備えられている。判断部740は、反射型センサ710からの出力電圧と予め定められた基準電圧とを比較し、どちらが大きいかで出力が切り替わる素子であるコンパレータであることを例示することができる。判断部740は、反射型センサ710からの出力電圧に基づいて人が存在すると判断した場合、つまり反射型センサ710が人を検知した場合には、人が存在する旨の信号を制御装置300に対して出力する。加えて、判断部740からの人が存在する旨の信号を基に、反射型センサ710、報知部751、および自身に電力が供給される。
【0051】
以上のように構成された画像形成装置1においては、第1の人検知部600が人を検知すると、電力供給許容部650が、予め定められた期間T1、第2の人検知部700の反射型センサ710および判断部740に対する電力の供給を許容する。そして、第2の人検知部700が、予め定められた期間T1内に人を検知した場合、つまり、判断部740が反射型センサ710からの出力電圧が基準電圧を上回ったために人が存在すると判断した場合には、制御装置300に対して人を検知した旨の信号を出力する。これにより、制御装置300にて、画像形成装置1が節電モードから通常モードに復帰する。加えて、第2の人検知部700の反射型センサ710および判断部740に、上述した予め定められた期間T1を超えて電力が供給される。また、第2の人検知部700の報知部751に電力が供給される。
他方、第2の人検知部700が、予め定められた期間T1内に人を検知しない場合には、第2の人検知部700の反射型センサ710および判断部740に対する電力の供給が停止される。
【0052】
このように、本実施の形態に係る画像形成装置1においては、節電モード中にも第1の人検知部600の焦電型センサ610の電源をオンとし(焦電型センサ610に電力を供給し)、第1の人検知部600が人を検知した場合に第2の人検知部700の電源をオンにする(反射型センサ710などに電力を供給する)。そして、第1の人検知部600が人を検知してから予め定められた期間T1内に第2の人検知部700が人を検知したときに制御装置300にその旨の信号を出力し、節電モードから通常モードに復帰する。他方、期間T1内に第2の人検知部700が人を検知しなかった場合には第2の人検知部700の電源をオフにする。
【0053】
ここで、第1の人検知部600と第2の人検知部700とを比較する。
第2の人検知部700の反射型センサ710の消費電力が0.255Wであるのに対して、第1の人検知部600の焦電型センサ610の消費電力は0.006Wであり、反射型センサ710の消費電力の約2.4%である。電源がオフの状態から電力が供給され人体を検知可能になるまでの所要時間は、反射型センサ710が2、3秒のものもあれば1秒以下のものもあるのに対して、焦電型センサ610は約30秒程度であり、反射型センサ710と比べて長い。
図6に示すように、第1の人検知部600の検知範囲A1は、第2の人検知部700(反射型センサ710)の検知範囲A2よりも広く、上方から見た場合に第2の人検知部700の検知範囲A2は第1の人検知部600の検知範囲A1の領域内である。
【0054】
上述したように、第1の人検知部600の焦電型センサ610は、人が動く際におこる赤外線の変化量に基づいて検知範囲A1内に人が入ってきたことを検知するセンサであり、人が停止している場合には、その停止位置が検知範囲A1内であっても検知しない。したがって、第1の人検知部600は、画像形成装置1のユーザインタフェース400の手前側に人が存在していても停止していればその人を検知することができない場合がある。他方、第2の人検知部700の反射型センサ710は、ユーザインタフェース400の手前側を検知範囲A2とし、その検知範囲A2に人が存在する場合には、その人が停止していても検知する。
【0055】
これら第1の人検知部600の焦電型センサ610と第2の人検知部700の反射型センサ710との特性の違いにより、本実施の形態に係る画像形成装置1は、以下に述べる利点がある。
すなわち、本実施の形態に係る画像形成装置1のように、節電モード中に常に電源オンとされた第1の人検知部600が人を検知した場合に第2の人検知部700の電源をオンにし、第2の人検知部700が人を検知した場合に節電モードから復帰する構成とすることで、第2の人検知部700の電源を節電モード中常にオンとする構成と比べると消費電力を低減させることが可能となる。
【0056】
また、本実施の形態に係る画像形成装置1は、検知範囲が広い第1の人検知部600が人を検知したことを契機として節電モードから復帰する装置と比べると、使用する予定のない人や犬などを誤って検知して節電モードから復帰する、いわゆる誤検知を低減させることが可能となる。すなわち、本実施の形態に係る画像形成装置1は、検知範囲が広い第1の人検知部600が人を検知した場合に第2の人検知部700の電源をオンにし、検知範囲が狭い第2の人検知部700が人を検知した場合に節電モードから復帰する構成とすることで、誤検知を低減させることが可能となっている。つまり、本実施の形態に係る画像形成装置1によれば、画像形成装置1を使用する意思がある人をより確度高く検知して節電モードから復帰することが可能となる。
【0057】
また、第2の人検知部700の反射型センサ710は、電源オフの状態から電力が供給され人体を検知可能になるまでの所要時間が、例えば、1秒以下と短いので、例えば、ユーザインタフェース400内、あるいはユーザインタフェース400の傍に設けられた節電解除ボタンを押すことで節電モードから復帰する構成と比べて、より早く節電モードから復帰することが可能となる。また、節電解除ボタンを押す手間を削減することが可能となる。したがって、本実施の形態に係る画像形成装置1によれば、ユーザの利便性を向上させることが可能となり、商品性が増す。
【0058】
また、本実施の形態に係る画像形成装置1においては、人検知装置2を、読取装置支持部13における手前側の外面を形成する支持部カバー500に装着している。これに対して、画像形成装置1における手前側の部位には、ユーザインタフェース400やフロントカバー15が存在するので、これらに人検知装置2を装着することも考えられる。しかしながら、ユーザインタフェース400の中には、小さなスペースに、ボタン、画面、基板などの多くの部品が詰め込まれているため、さらに人検知装置2を配置するのは容易でない。また、フロントカバー15は、装置筐体12内に収納された、例えばトナーカートリッジ29Y,29M,29C,29Kなどを着脱するために開閉される。それゆえ、装置筐体12内に装着された部品の着脱経路と干渉させないようにフロントカバー15に装着するのは困難である。また、フロントカバー15が開いた状態をも考慮するとハーネスの長さが長くなるおそれがある。これらにより、人検知装置2を、読取装置支持部13に配置することで、ユーザインタフェース400やフロントカバー15に配置する構成と比べて、装置構成の簡略化を実現できる。
【0059】
また、本実施の形態に係る画像形成装置1においては、第2の人検知部700の反射型センサ710の発光部711と受光部712とを上下方向に並べることにより、以下に述べる利点がある。
図12(a)は、反射型センサ710の発光部711が光を発光する領域と受光部712が光を受光する領域とを示す図である。図12(b)は、発光部711の発光強度分布である。図12(c)は、受光部712の受光強度分布である。
反射型センサ710の発光部711の発光領域は、光軸を中心としたプラスマイナス5度の領域であり、受光部712の受光領域は、光軸を中心としたプラスマイナス5度の領域である。また、発光部711の発光強度分布は、図12(b)に示すように、光軸を中心とする中央部分の発光強度が大で、半径方向の外側に行くに従って発光強度が漸次減衰する分布となる。同様に受光部712の受光強度分布は、図12(c)に示すように、光軸を中心とする中央部分の受光強度が大で、半径方向の外側に行くに従って受光強度が漸次減衰する分布となる。
【0060】
ゆえに、発光部711と受光部712とが並ぶ方向において、発光領域ではあるが受光領域ではない領域が存在し(例えば図12(a)のA点)、かかる領域では、発光部711が発光する光が当たってはいるものの受光部712が光を受光し難いため人を検知し難くなる。同様に、受光領域ではあるが発光領域ではない領域が存在し(例えば図12(a)のB点)、かかる領域では、受光部712が光を受光するものの発光部711が発光する光が当たり難いため人を検知し難くなる。また、発光部711の発光強度は大であるが受光部712の受光強度が小である領域(例えば図12(a)のC点)では、受光部712の受光強度が小であるため光を受光し難く人を検知し難くなる。同様に、受光部712の受光強度は大であるが発光部711の発光強度が小である領域(例えば図12(a)のD点)では、発光部711の発光強度が小さいため人を検知し難くなる。
【0061】
これに対して、発光部711と受光部712との並び方向に直交する方向に関しては、発光部711の光軸と受光部712の光軸とは基本的に同じ直線上にあるため、この方向の発光領域と受光領域とは基本的に同じであり、発光強度および受光強度の強度分布も基本的には同じとなる。
以上のことにより、反射型センサ710は、発光部711と受光部712との並び方向よりも発光部711と受光部712との並び方向に直交する方向の方がより広範囲に確度高く人を検知することが可能となる。
【0062】
一方、画像形成装置1の使用形態について考えると、ユーザは、通常、画像形成装置1の横方向に移動して来て、あるいは手前側から近づいて来てユーザインタフェース400の手前に位置するものと考えられる。ユーザが、画像形成装置1の上下方向に移動して来ることは考え難い。
これらの事項に鑑み、本実施の形態に係る画像形成装置1においては、反射型センサ710を、発光部711と受光部712との並び方向が上下方向となるように配置している。これにより、反射型センサ710を、発光部711と受光部712との並び方向が横方向となるように配置する場合よりも、横方向に移動して来てユーザインタフェース400の手前に位置しようとするユーザを、より早く検知することが可能となる。
【0063】
また、本実施の形態に係る画像形成装置1においては、第2の人検知部700が人を検知した場合に報知部751が点灯することにより以下に述べる利点がある。
ユーザは、報知部751が点灯していることを見ることで、画像形成装置1の節電モードが解除され、節電モードよりも消費電力量が大きい状態であることを認識する。これにより、第2の人検知部700が人を検知したときに報知部751を点灯することで、ユーザに対して、どの位置に存在すれば第2の人検知部700が検知して節電モードが解除されるのかを学習することを期待することができる。その結果、ユーザに対して、第1の積載トレイ71あるいは第2の積載トレイ72に積載された用紙Pを取りに来るだけの場合に、第2の人検知部700に検知されないように移動することを促すことが可能となる。
【0064】
そして、本実施の形態に係る画像形成装置1においては、第2の人検知部700は、ユーザ(人)がユーザインタフェース400を操作するときには検知し易く、ユーザ(人)が第1の積載トレイ71あるいは第2の積載トレイ72に積載された用紙Pを取るときには検知し難い位置に設置されているので、積載トレイ71,72に積載された用紙Pを取りに来るだけのユーザが、第2の人検知部700に検知されないように移動することを可能としている。
【0065】
すなわち、本実施の形態に係る画像形成装置1は、第1の積載トレイ71および第2の積載トレイ72が画像形成部20と画像読取装置100との間に配置され、第1の排出ロール77および第2の排出ロール79は、横方向におけるいずれか一方の端部側(図1では左側)に配置された読取装置支持部13における積載トレイ71,72側に設けられてこれら積載トレイ71,72に向けて用紙Pを排出する。そして、第2の人検知部700は、発光部711および受光部712が、横方向における上記一方の端部側(図1では左側)に配置され、配置された端部側の手前側の領域を検知範囲A2とする。
【0066】
図13は、ユーザインタフェース400を操作するユーザと、第1の積載トレイ71あるいは第2の積載トレイ72に積載された用紙Pを取るユーザと、が位置すると想定される位置を示す図である。
本実施の形態に係る画像形成装置1は、上記した配置構成であるので、図13に示すように、第1の積載トレイ71あるいは第2の積載トレイ72に積載された用紙Pを取りに来るだけのユーザが、第2の人検知部700に検知されることなく行動することを期待することが可能である。したがって、積載トレイ71,72に積載された用紙Pを取りに来るだけのユーザを検知してしまう誤検知を抑制することができる。
【0067】
また、本実施の形態に係る画像形成装置1においては、第1の人検知部600は、ユーザ(人)がユーザインタフェース400に近づいているときには検知し易く、ユーザ(人)が横方向から第1の積載トレイ71あるいは第2の積載トレイ72に積載された用紙Pを取るときには検知し難い位置に設置されているので、積載トレイ71,72に積載された用紙Pを取りに来るだけのユーザが、第1の人検知部600に検知されないように移動することを可能としている。
【0068】
すなわち、本実施の形態に係る画像形成装置1は、第1の積載トレイ71および第2の積載トレイ72が画像形成部20と画像読取装置100との間に配置され、第1の排出ロール77および第2の排出ロール79は、横方向におけるいずれか一方の端部側(図1では左側)に配置された読取装置支持部13における積載トレイ71,72側に設けられてこれら積載トレイ71,72に向けて用紙Pを排出する。そして、第1の人検知部600は、横方向における上記一方の端部側(図1では左側)に配置され、配置された端部側の手前側の領域を検知範囲A1とする。そして第1の人検知部600は、他の端部側を第1の人検知部600の検知範囲とはしない。つまり第1の人検知部600は、上方から見た場合に、ユーザインタフェース400を挟み対向する位置を検知範囲A1とはしないように設けられている。これは、第1の人検知部600は、上方から見た場合に、積載トレイ71,72に隣接する位置を検知範囲A1とはしないように設けられると言い換えることもできる。
【0069】
本実施の形態に係る画像形成装置1は、このような配置構成であるので、図13に示すように、第1の積載トレイ71あるいは第2の積載トレイ72に積載された用紙Pを取りに来るだけのユーザが、第1の人検知部600に検知されることなく行動することを期待することが可能である。これにより、第1の人検知部600が、積載トレイ71,72に積載された用紙Pを取りに来るだけのユーザを検知してしまい、反射型センサ710などの電源をオンにしてしまうことを抑制することができる。
【0070】
加えて、第1の人検知部600は、画像形成装置1の手前側の領域を検知範囲A1とし、第1の積載トレイ71および第2の積載トレイ72を検知範囲としないので、第1の人検知部600がこれらの積載トレイ71,72に向けて排出される用紙Pを検知することを抑制している。これにより、第1の人検知部600が、積載トレイ71,72に向けて排出される用紙Pを検知してしまい、反射型センサ710などの電源をオンにしてしまうことを抑制することができる。
【0071】
なお、上述した実施の形態においては、判断部740、電力供給許容部650をハードウェアで構成した場合を例に挙げたが、必ずしもこのような構成に限定されることはなく、上述と同様な動作をすることが可能であれば、如何なる構成であってもよい。例えば、CPU(Central Processing Unit)とメモリとで構成し、ソフトウェアで動作する構成とすることもできる。CPUとメモリには、第1の人検知部600が人を検知した場合に電力が供給されるようにすればよい。
【0072】
判断部740および電力供給許容部650をCPUとメモリとで構成した場合の節電モード解除処理の手順について説明する。
図14は、CPUが行う節電モード解除処理の手順を示すフローチャートである。第1の人検知部600が人を検知したらCPUに電力が供給され電源オンとなり、CPUは電源オンとなったらこの節電モード解除処理を実行する。
【0073】
CPUは、先ず、予め定められた期間T1をタイマーセットし(ステップ(以下、単に、「S」と記す。)101)、反射型センサ710に電力を供給開始する(S102)。その後、反射型センサ710からの出力電圧が予め定められた基準電圧を上回ったか否かを判別する(S103)。そして、反射型センサ710からの出力電圧が予め定められた基準電圧を上回った場合(S103でYes)、制御装置300に対して第2の人検知部700が人を検知した旨の信号を出力する(S104)。これにより、節電モードが解除され、画像形成装置1が節電モードから復帰する。また、報知部751に電力を供給し、報知部751を点灯する(S105)。
【0074】
一方、反射型センサ710からの出力電圧が予め定められた基準電圧を上回っていない場合(S103でNo)、期間T1が経過した否かを判別する(S106)。そして、期間T1が経過した場合(S106でYes)、反射型センサ710への電力供給を停止し(S107)、CPU自身への電力供給も停止する(S108)。他方、期間T1が経過していない場合(S105でNo)、S103以降の処理を行う。
【0075】
図15は、CPUが行う節電モードへの移行処理の手順を示すフローチャートである。CPUは上述した節電モード解除処理により節電モードが解除した後、つまり、S104にて制御装置300に対して第2の人検知部700が人を検知した旨の信号を出力した後、この処理を予め定めた期間毎に繰り返し実行する。
CPUは、先ず、反射型センサ710からの出力電圧が予め定められた基準電圧以下となったか否かを判別する(S201)。そして、反射型センサ710からの出力電圧が予め定められた基準電圧以下となった場合(S201でYes)、制御装置300に対して第2の人検知部700が人を検知していない旨の信号(非検知信号)を出力する(S202)。これにより、画像形成装置1が節電モードに移行する。また、報知部751への電力供給を停止し、報知部751を消灯する(S203)。また、反射型センサ710への電力供給を停止し(S204)、CPU自身への電力供給も停止する(S205)。
【0076】
また、図15のフローチャートを用いて説明した節電モードへの移行処理とは異なり、第2の人検知部700が人を検知しなくなって予め定められた期間T2経過後に節電モードに移行するようにしてもよい。
図16は、CPUが行う他の形態の節電モードへの移行処理の手順を示すフローチャートである。
CPUは、先ず、反射型センサ710からの出力電圧が予め定められた基準電圧以下となったか否かを判別する(S301)。そして、反射型センサ710からの出力電圧が基準電圧以下となった場合(S301でYes)、第2の人検知部700の報知部751への電力供給を停止して報知部751を消灯し(S302)、期間T2をタイマーセットする(S303)。その後、期間T2が経過した否かを判別する(S304)。そして、期間T2が経過した場合(S304でYes)、制御装置300に対して第2の人検知部700が人を検知していない旨の信号を出力する(S305)。これにより、画像形成装置1が節電モードに移行する。また、反射型センサ710への電力供給を停止し(S306)、CPU自身への電力供給も停止する(S307)。
【0077】
一方、期間T2が経過していない場合(S304でNo)、反射型センサ710からの出力電圧が予め定められた基準電圧を上回ったか否かを判別する(S308)。そして、反射型センサ710からの出力電圧が基準電圧を上回った場合(S308でYes)、報知部751に電力を供給し、報知部751を点灯し(S309)、期間T2のタイマーをリセットする(S310)。他方、反射型センサ710からの出力電圧が予め定められた基準電圧を上回っていない場合(S308でNo)、S304以降の処理を行う。
【0078】
なお、図16のフローチャートを用いて説明した節電モードへの移行処理においては、CPUは、反射型センサ710からの出力電圧が基準電圧以下となった後、期間T2が経過後に制御装置300に対して第2の人検知部700が人を検知していない旨の信号を出力しているが特にかかる態様に限定されない。CPUは、反射型センサ710からの出力電圧が基準電圧以下となった場合(S301でYes)、制御装置300に対して第2の人検知部700が人を検知していない旨の信号を出力し、制御装置300は、その旨の信号を受信した後、自身で期間T2を計測し、期間T2内に再度第2の人検知部700が人を検知した旨の信号を受信しない場合に節電モードに移行してもよい。
【0079】
図17は、他の形態に係る画像形成装置1の概略構成を示す図である。
画像形成装置1が、床面に対して平行となるように設けられたユーザインタフェース400に加えて、床面に対して直交するように配置された他のユーザインタフェース450を備える場合には、この他のユーザインタフェース450を、人検知装置2がユーザインタフェース400と他のユーザインタフェース450との間に配置されるように配置するとよい。
【0080】
これにより、第1の人検知部600にて、ユーザインタフェース400に近づこうとする人と、他のユーザインタフェース450に近づこうとする人の両方を確度高く検知することが可能となる。また、第2の人検知部700にてユーザインタフェース400を操作しようとする人と、他のユーザインタフェース450を操作しようとする人との両方を確度高く検知することが可能となる。
【0081】
なお、上述した実施の形態においては、第2の人検知部700の反射型センサ710の発光部711および受光部712が受発光する光の光軸が、奥側から手前側へ向かう水平線に対してユーザインタフェース400側へ角度β傾くように配置されているが、複数のユーザインタフェースを有する場合には特にかかる態様に限定されない。第2の人検知部700の検知範囲A2が、ユーザインタフェース400の手前側の領域と他のユーザインタフェース450の手前側の領域との間の領域となるように配置するとよい。これにより、ユーザインタフェース400を操作しようとする人と、他のユーザインタフェース450を操作しようとする人との両方を確度高く検知することが可能となる。
【0082】
なお、上述した実施の形態においては、人検知装置2として、検知範囲および消費電力量の異なる第1の人検知部600と第2の人検知部700との2つの検知部を備える装置を例示したが特にかかる態様に限定されない。つまり、人検知装置2は、検知範囲および消費電力が異なる複数の人検知部を備えてもよい。例えば、検知範囲が異なる3つの人検知部を備え、検知範囲が最も広い人検知部が人を検知したことを契機として検知範囲が2番目に広い人検知部に電力を供給して人検知可能な状態とし、この検知範囲が2番目に広い人検知部が人を検知したことを契機として検知範囲が最も狭い人検知部に電力を供給して人検知可能な状態とする。そして、検知範囲が最も狭い人検知部が人を検知したら制御装置300にその旨を出力し、画像形成装置1を節電モードから復帰させるようにするとよい。また、かかる構成の場合、検知範囲が最も狭い人検知部の消費電力量がその他の人検知部の消費電力量よりも大きいと、節電モードであるときに常に検知範囲が最も狭い人検知部に電力を供給する構成と比べて消費電力量を低減させることが可能となる。
つまりこの形態では、第1の人検知部600および第2の人検知部700の少なくとも一方は、複数設けられ、それぞれの検知範囲が異なることになる。
【0083】
図18(a)〜(c)は、第1の人検知部600を複数設けるとともに、それぞれの検知範囲を異なる範囲とした場合について説明した図である。
図6の場合と比較すると、第2の人検知部700は、図6の場合と同様に1箇所に設けられ、その検知範囲A2についても同様である。
一方、第1の人検知部600は、同じ箇所に2つ設けられている。そしてその検知範囲A1については、それぞれ異なった範囲を占めている。図18では、説明の便宜上、その範囲を検知範囲A11および検知範囲A12として図示している。ここで検知範囲A11は、画像形成装置1を置いた床面における、画像形成装置1の前面からの、奥側から手前側へ向かう水平方向の距離が規定距離L11となるように設定されている。また検知範囲A12は、画像形成装置1を置いた床面における、画像形成装置1の前面からの、奥側から手前側へ向かう水平方向の距離が規定距離L12となるように設定されている。ここで規定距離L12は規定距離L11より大きく(L12>L11)、検知範囲A11よりも検知範囲A12の方が画像形成装置1の前面からより遠くの範囲を検知範囲とする。なお横方向の検知範囲に関しては、検知範囲A11および検知範囲A12ともに、左右対称の角度(図18では、角度αとして表示)範囲となっており、同様である。
【0084】
このように第1の人検知部600を複数設けるとともに、それぞれの検知範囲が異なるように設定することで、より迅速に画像形成装置1を節電モードから復帰させることができる。つまり画像形成装置1を使用する意思がある人は、まず第1の人検知部600の検知範囲A12に入った場合に検知される。そして次に第1の人検知部600の検知範囲A11に入った場合に検知され、さらに第2の人検知部700の検知範囲A2に入った場合に検知される。これによりユーザ(人)の接近を段階的に把握することができ、画像形成装置1を使用する意思がある人をより確実に判別できる。そして画像形成装置1内の各機構部において、立ち上がりが比較的遅いものを第1の人検知部600の検知範囲A11に入った場合にまず立ち上げ、そして立ち上がりが比較的速いものを第2の人検知部700の検知範囲A2に入った場合に立ち上げれば、より迅速に画像形成装置1を節電モードから復帰させることができる。
【0085】
なお第1の人検知部600の検知範囲について、その規定距離は、開口部502(図5参照)や傾斜部503(図5参照)の位置や大きさ、角度等を変更することで所望の値に設定が可能である。また横方向の検知範囲は、開口部502の位置や大きさを変更することで同様に所望の値に設定が可能である。
【0086】
また図19(a)〜(c)は、第2の人検知部700を複数設けるとともに、それぞれの検知範囲を異なる範囲とした場合について説明した図である。
図6の場合と比較すると、第1の人検知部600は、図6の場合と同様に1箇所に設けられ、その検知範囲A1についても同様である。
一方、第2の人検知部700は、同じ箇所に2つ設けられている。そしてその検知範囲A1については、それぞれ異なった範囲を占めている。図19では、説明の便宜上、その範囲を検知範囲A21および検知範囲A22として図示している。ここで検知範囲A21は、奥側から手前側へ向かう水平線に対してユーザインタフェース400側へ角度β傾くように配置されるとともに、画像形成装置1の前面からの、奥側から手前側へ向かう水平方向の距離が規定距離L21となるように設定されている。一方、検知範囲A21は、奥側から手前側へ向かう水平線に対して平行に配置されているとともに、画像形成装置1の前面からの、奥側から手前側へ向かう水平方向の距離が規定距離L22となるように設定されている。
【0087】
このように第2の人検知部700を複数設けるとともに、それぞれの検知範囲が異なるように設定することで、画像形成装置1に接近する人を複数の第2の人検知部700の何れかで検知すればよいことになる。そのため画像形成装置1を使用する意思がある人をより確実に検知できる。
【0088】
なお第2の人検知部700の検知範囲について、その角度については、反射型センサ710の取り付け方向を変更することで変更が可能である。また規定距離については、例えば判断部740が図11で説明したようにコンパレータだった場合、反射型センサ710からの出力電圧と比較される基準電圧を変更することで変更することができる。即ち基準電圧を低く設定することで規定距離は長くなり、逆に基準電圧を高く設定することで規定距離は短くなる。
【0089】
また、上述した実施の形態に係る人検知装置2においては、第2の人検知部700に電力を供給する契機として第1の人検知部600が人を検知することを用いているが、特に係る態様に限定されない。例えば、第2の人検知部700の検知範囲A2に人が近づいていることを検知する機器として、第1の人検知部600の代わりに、第2の人検知部700の検知範囲A2よりも広い範囲における振動を検知するとともに消費電力量が第2の人検知部700の消費電力量よりも小さい振動検知センサを備え、この振動検知センサが、人が近づく際の振動を検知したら第2の人検知部700に電力を供給するようにしてもよい。また、第1の人検知部600の代わりに、温度が変化することで人が近づいたことを検知する温度センサ、蛍光灯などが点灯することで画像形成装置1の周囲が明るくなったことを検知する明るさセンサなどを用いてもよい。
【0090】
なお、上述した実施の形態においては、第1の人検知部600と、第1の人検知部600の検知範囲A1よりも狭い範囲において人を検知する第2の人検知部700と、を備える人検知装置2であって、第1の人検知部600が人を検知するのに必要な電力量は、第2の人検知部700が人を検知するのに必要な電力量よりも小さく、第2の人検知部700は、第1の人検知部600が人を検知したのを契機として人を検知するのに必要な電力が供給されて人を検知可能な状態となり、人を検知した場合には検知した旨の信号を出力する人検知装置2を、画像読取装置100と画像記録装置200とを有する画像形成装置1に設けているが、画像形成装置1に特に限定されない。このような機能を有する人検知装置2を、使用しないときには使用するときと比べて消費電力量を低減させることができる装置の何れにも適用することが好適である。かかる装置としては、例えば、プリンタ、スキャナ、ファクシミリ等の画像形成装置あるいは画像出力装置、自動販売機、自動改札機などを例示することができる。
【0091】
また、オフィス、工場、倉庫、店舗、ホテル、駅、飛行場、港、駐車場、道端、通路、市場、感光施設、イベント会場、学校、図書館、役所、その他の公共施設など、装置を使用しない人がこの装置の近くを通過する可能性がある場所に設置された装置に、この人検知装置2を設けることが好適である。
つまり、人検知装置2を、使用するときには十分な電力を必要とし使用しないときには使用するときよりも消費電力量を低減させることができる装置であって、この装置を使用する人と使用せずにこの装置の近くを通過する人とが混在する場所に設置される装置に、適用することが好適である。
これらの場所に設置された装置にこの人検知装置2を設けることで、消費電力の低減と、利便性の向上とを図ることが可能となる。
【0092】
また、人検知装置2を、画像形成装置1などの上記装置に設ける際には、必ずしも装置に内蔵する必要はない。例えば、人検知装置2を、上記装置とは別体の装置として構成し、例えばハーネスなどで接続してもよい。また、人検知装置2の一部の部品、例えば第1の人検知部600を上記装置に内蔵し、他の部品を上記装置とは別体の装置としてもよい。なお、人検知装置2が上記装置とは別体の装置として構成された場合における人検知装置2と上記装置との接続形態は、人検知装置2が人を検知した旨を伝達することができれば何れの形態でも良く、有線であっても無線であってもよい。
【0093】
また画像形成装置1等の装置に内蔵する場合でも人検知装置2が単独で動作するようにすることが好ましい。
図20は、画像形成装置1に搭載される基板と、人検知装置2の焦電型センサ610を実装する第1の基板630(図4参照)との関係を説明した図である。
図20に示した基板としては、第1の基板630の他に、集中制御基板310と、集中制御基板310および第1の基板630の間に置かれる中継基板350とがある。
【0094】
第1の基板630には、焦電型センサ610と、電力供給許容部650と、判断部740とが設けられ、さらに第1の基板630には、反射型センサ710と報知部751とが接続されている。この構成は、図6で説明した第1の基板630と同様である。一方、図20の第1の基板630では、中継基板350からの情報を受信する分圧回路660が設けられている。
【0095】
集中制御基板310は、例えば、装置全体の動作を制御する制御装置300(図2参照)の基板であり、制御装置300の一部を構成する。そして中継基板350は、集中制御基板310と第1の基板630と間で情報のやりとりを行うための基板であり、図20では、1つのみ図示しているが、他にも集中制御基板310と画像形成装置1の各機構部に設けられた基板との情報のやりとりを行なうため、複数設けられるのが通常である。そして第1の基板630は、図4で説明したように例えば、支持部カバー500の裏面側に設けられ、集中制御基板310と中継基板350は、画像形成装置1内の他の場所に設けられている。
【0096】
ここで第1の基板630の分圧回路660が受け取る情報は、例えば、反射型センサ710の検知範囲A2の規定距離L2である。この規定距離L2が、前述したように例えば、ユーザが画像形成装置1に設けられたボタンを操作することにより変更された場合、その情報は、集中制御基板310から中継基板350の分圧回路351を介して、第1の基板630の分圧回路660に送信される。更にこの情報は、判断部740に伝えられる。そして例えば判断部740が図11で説明したようにコンパレータだった場合、反射型センサ710からの出力電圧と比較される基準電圧が変更される。これにより規定距離L2の変更を行なうことができる。
【0097】
一方、判断部740にて反射型センサ710で人が検知されたと判断された場合は、その情報は、人を検知した旨の信号として、中継基板350を介し、集中制御基板310に送信される。これにより制御装置300が画像形成装置1の各機構部を立ち上げ、画像形成装置1は、節電モードから通常モードに復帰する。
【0098】
このように第1の基板630を集中制御基板310とは別個に設けることで、節電モードにおいて制御装置300が動作していなくても、人検知装置2は単独で動作することが可能となる。そのためより消費電力量を低減させることができる。
【0099】
また第1の基板630を画像形成装置1等の装置に対し別体のものとして構成した場合、第1の基板630は、この装置を制御する制御装置として捉えることもできる。
この場合、第1の基板630は、人によって操作される画像形成装置1であって人を検知する人検知装置2を備えた画像形成装置1に接続され、人検知装置2による人検知結果を基に画像形成装置1の電力状態を制御する制御装置であり、人検知装置2は、第2の電力状態の時に電力が供給され、人を検知する第1の人検知部600と、第1の人検知部600の検知範囲よりも狭い範囲において人を検知すると共に、人を検知するのに必要な電力量が第1の人検知部600が人を検知するのに必要な電力量よりも大きい第2の人検知部700と、を有し、制御装置は、画像形成装置1が第2の電力状態にある時に第1の人検知部600が人を検知した場合に、第2の人検知部700に対して人を検知するのに必要な電力量を伝送する電力供給許容部650と、人を検知するのに必要な電力量が供給された第2の人検知部700が人を検知した場合に、画像形成装置1が第2の電力状態から第1の電力状態へと切り替わるよう指示する判断部740と、を有することを特徴とする制御装置として機能する。
【符号の説明】
【0100】
1…画像形成装置、2…人検知装置、11…装置本体フレーム、12…装置筐体、13…読取装置支持部、15…フロントカバー、20…画像形成部、30…中間転写ユニット、40…二次転写ユニット、45…定着装置、50…光学系ユニット、60…用紙供給部、70…用紙排出部、80…反転搬送部、100…画像読取装置、200…画像記録装置、300…制御装置、400,450…ユーザインタフェース(UI)、500…支持部カバー、600…第1の人検知部、700…第2の人検知部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
節電状態にある画像形成装置において、
前記画像形成装置の水平面に対して斜め下方の領域において人を検出する第1の人検知手段と、
前記第1の人検知手段より高い消費電力を必要とし、前記第1の人検知手段の検知領域より上方の領域において人を検出する第2の人検知手段と、
前記第1の人検知手段が人を検知した場合に、前記第2の人検知手段を節電状態から復帰する指示をする指示手段と、
を含む画像形成装置。
【請求項2】
上方から見た場合に、前記第2の人検知手段の検知範囲は、前記第1の人検知手段の検知範囲の内側に存在することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1の人検知手段および前記第2の人検知手段の少なくとも一方は、複数設けられ、それぞれの検知範囲が異なることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1の人検知手段は、上方から見た場合に、装置の横方向における一方の端部側に配置され、他の端部側を当該第1の人検知手段の検知範囲とはしないことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1の人検知手段は、人が発する赤外線を焦電効果を用いて検知する焦電型センサを有し、
前記第2の人検知手段は、光を発光する発光部と光を受光する受光部とを有する反射型センサを有することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第2の人検知手段は、検知範囲として検知可能な距離が変更可能であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
節電状態にある画像形成装置に接続される画像形成装置用の人検知装置において、
前記画像形成装置用の人検知装置は、
前記画像形成装置の水平面に対して斜め下方の領域において人を検出する第1の人検知手段と、
前記第1の人検知手段より高い消費電力を必要とし、前記第1の人検知手段の検知領域より上方の領域において人を検出する第2の人検知手段と、
前記第1の人検知手段が人を検知した場合に、前記第2の人検知手段を節電状態から復帰する指示をする指示手段と、
を含む画像形成装置用の人検知装置。
【請求項8】
人を検知する人検知手段を備えた節電状態にある画像形成装置に接続され、前記人検知手段による人検知結果を基に前記画像形成装置の電力状態を制御する画像形成装置用の制御装置において、
前記人検知手段は、
前記画像形成装置の水平面に対して斜め下方の領域において人を検出する第1の人検知手段と、
前記第1の人検知手段より高い消費電力を必要とし、前記第1の人検知手段の検知領域より上方の領域において人を検出する第2の人検知手段と、
を含み、
前記画像形成装置用の制御装置は、
前記第1の人検知手段が人を検知した場合に、前記第2の人検知手段を節電状態から復帰する指示をする指示手段と、
を含む画像形成装置用の制御装置。
【請求項1】
節電状態にある画像形成装置において、
前記画像形成装置の水平面に対して斜め下方の領域において人を検出する第1の人検知手段と、
前記第1の人検知手段より高い消費電力を必要とし、前記第1の人検知手段の検知領域より上方の領域において人を検出する第2の人検知手段と、
前記第1の人検知手段が人を検知した場合に、前記第2の人検知手段を節電状態から復帰する指示をする指示手段と、
を含む画像形成装置。
【請求項2】
上方から見た場合に、前記第2の人検知手段の検知範囲は、前記第1の人検知手段の検知範囲の内側に存在することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1の人検知手段および前記第2の人検知手段の少なくとも一方は、複数設けられ、それぞれの検知範囲が異なることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1の人検知手段は、上方から見た場合に、装置の横方向における一方の端部側に配置され、他の端部側を当該第1の人検知手段の検知範囲とはしないことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1の人検知手段は、人が発する赤外線を焦電効果を用いて検知する焦電型センサを有し、
前記第2の人検知手段は、光を発光する発光部と光を受光する受光部とを有する反射型センサを有することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第2の人検知手段は、検知範囲として検知可能な距離が変更可能であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
節電状態にある画像形成装置に接続される画像形成装置用の人検知装置において、
前記画像形成装置用の人検知装置は、
前記画像形成装置の水平面に対して斜め下方の領域において人を検出する第1の人検知手段と、
前記第1の人検知手段より高い消費電力を必要とし、前記第1の人検知手段の検知領域より上方の領域において人を検出する第2の人検知手段と、
前記第1の人検知手段が人を検知した場合に、前記第2の人検知手段を節電状態から復帰する指示をする指示手段と、
を含む画像形成装置用の人検知装置。
【請求項8】
人を検知する人検知手段を備えた節電状態にある画像形成装置に接続され、前記人検知手段による人検知結果を基に前記画像形成装置の電力状態を制御する画像形成装置用の制御装置において、
前記人検知手段は、
前記画像形成装置の水平面に対して斜め下方の領域において人を検出する第1の人検知手段と、
前記第1の人検知手段より高い消費電力を必要とし、前記第1の人検知手段の検知領域より上方の領域において人を検出する第2の人検知手段と、
を含み、
前記画像形成装置用の制御装置は、
前記第1の人検知手段が人を検知した場合に、前記第2の人検知手段を節電状態から復帰する指示をする指示手段と、
を含む画像形成装置用の制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2013−33050(P2013−33050A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−195060(P2012−195060)
【出願日】平成24年9月5日(2012.9.5)
【分割の表示】特願2011−245931(P2011−245931)の分割
【原出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年9月5日(2012.9.5)
【分割の表示】特願2011−245931(P2011−245931)の分割
【原出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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