説明

画像形成装置、画像表面処理装置、印刷物の製造方法、及びプログラム

【課題】普通紙のような表面層が熱溶解しない記録材であっても、記録材上で任意の形状に設定した領域に絞り込んで、目的とする表面性状を転写することができる画像形成装置を提供することを目的としている。
【解決手段】画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdと画像形成部Peは、有色トナー像と透明トナー像とを記録材Pに転写した後に、定着装置F1により同時に記録材に定着させる。光沢処理装置300は、サーマルヘッドと定着フィルムを用いて任意の形状に設定可能な記録材上の被加熱領域を加熱処理して定着装置F1による定着処理面とは異なる鏡面光沢を形成する。画像形成部Peは、有色トナー像の画像データと被加熱領域の指定データとに基づいて、記録材Pの画像面の被加熱領域における有色トナー像と透明トナー像の合計のトナー載り量が均一になるように透明トナー像を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
任意の形状に設定した記録材上の被加熱領域を選択的に加熱処理して定着面とは異なる表面性状に仕上げる画像形成装置、詳しくは記録材上の被加熱領域の表面性状の仕上げムラを軽減する構成及び制御に関する。
【背景技術】
【0002】
トナー像を転写された記録材を加熱加圧してトナー像を記録材に定着させる画像形成装置が広く用いられている。透明トナーを用いて現像した透明トナー像を記録材に転写して画像面の全面又は一部分を光沢処理する画像形成装置も実用化されている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1には、画像全体の有色トナー像のトナー載り量の段差を埋め合わせるように透明トナー像を形成して重ね合わせることで、記録材の画像面全体で均一な光沢面を形成する制御が示される。
【0004】
しかし、特許文献1ではローラ定着装置を用いているため、仕上げ光沢度に限界があり鏡面のような高度な光沢度を画像面に付与することができない。また、梨地やメッシュ地のような特殊な表面性状を画像面に付与することもできない。
【0005】
そこで、特許文献2に示されるように、ベルト部材から記録材の画像面へ鏡面や梨地といった表面性状を転写する画像表面処理装置が提案されている。ここでは、目的とする表面性状が形成されたベルト部材に記録材の画像面を重ね合わせて、一体にローラ加熱して表面性状を画像面に写し取り、冷却後に記録材をベルト部材から引き剥がしている。
【0006】
また、特許文献3には、目的とする表面性状が形成されたフィルム材料に、表面が熱融解する記録材を重ね合わせて、サーマルヘッドを用いて記録材上の任意の形状と面積に設定した領域に定着面とは異なる表面性状を転写する画像表面処理装置が開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−251058号公報
【特許文献2】特開2007−086747号公報
【特許文献3】特開2004−170548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献2に示される画像表面処理装置では、ベルト部材を介した加熱が画像全体に及んでしまうため、解像度のある局所的な加熱を行えない。そのため、文字やマークのような記録材上の任意の形状と面積に設定した領域に絞り込んで、目的とする表面性状を転写することができない。
【0009】
特許文献3に示される画像表面処理装置では、サーマルヘッドの加熱によって解像度のある局所的な加熱を実現できるが、表面層が熱溶解してフィルム材料に張り付くような特殊な記録材を使用する必要がある。
【0010】
ここで、従来の熱転写プリンタのように、フィルム材料に予め透明インク層を形成しておいて、特許文献3に示されるサーマルヘッドの加熱によって、透明インク層のパターンを画像面に重ね印刷する方法が考えられる。
【0011】
しかし、この場合、記録材上のトナー像が転写された部分にも、トナー像が転写されていない部分にも、一様な厚さの透明インク層が載ってしまい、画像の部分的なトナー載り量に応じた透明インク層の転写量の調整が行えない。そのため、透明インク層のパターンを転写した領域の表面性状の自然さが損なわれて画像面でパターンが目立ち過ぎる結果となる。透明インク層を形成したフィルム材料は、フィルム材料単体に比較してコストが高いという問題もある。
【0012】
本発明は、普通紙のような表面層が熱溶解しない記録材であっても、記録材上の任意の形状と面積に設定した領域に絞り込んで、目的とする表面性状を転写することができる画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の画像形成装置は、記録材上に有色トナー像を形成して定着させる有色画像形成手段と、前記有色トナー像が形成された記録材上において任意の形状に設定される被加熱領域を選択的に加熱処理して前記有色画像形成手段による定着処理面とは異なる表面性状を形成する像加熱装置と、前記像加熱装置による加熱処理前の記録材に対して、前記被加熱領域のうちで前記有色トナー像が前記表面性状の形成に必要なトナー載り量を満たさない領域に、前記表面性状の形成に必要なトナー載り量を満たすように透明トナー像を形成して定着させる透明画像形成手段とを備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明の画像形成装置では、被加熱領域のうちで有色トナー像では必要なトナー載り量が満たされない領域に、透明トナー像を形成するので、透明トナー像を像加熱装置により熱溶解させて記録材の素地面上でも定着面とは異なる表面性状を形成できる。そして、目的とする表面性状の形成に必要なトナー載り量を満たすように透明トナー像を形成するため、画像の局所的なトナー載り量と目的とする表面性状とに応じて透明トナー像のトナー載り量が調整される。
【0015】
したがって、普通紙のような表面層が熱溶解しない記録材であっても、記録材上の任意の形状と面積に設定した領域に絞り込んで目的とする表面性状を転写することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】画像形成装置の構成の説明図である。
【図2】画像形成部の構成の説明図である。
【図3】画像形成装置の制御系のブロック図である。
【図4】操作ディスプレイ部の平面図である。
【図5】定着装置の構成の説明図である。
【図6】光沢処理装置の構成の説明図である。
【図7】画像のトナー載り量と光沢処理された光沢度の関係の説明図である。
【図8】実施例1の光沢処理制御のフローチャートである。
【図9】透明トナー載り量制御のフローチャートである。
【図10】透明トナー載り量の設定の説明図である。
【図11】実施例2におけるフルカラー画像形成装置の構成の説明図である。
【図12】透明画像形成装置の構成の説明図である。
【図13】光沢処理装置の構成の説明図である。
【図14】実施例3の画像表面処理装置の構成の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。本発明は、被加熱領域の有色トナー像に覆われていない部分に絞り込んで透明トナー像を形成できる限りにおいて、実施形態の構成の一部または全部を、その代替的な構成で置き換えた別の実施形態でも実施できる。
【0018】
従って、記録材にトナー像を転写及び定着する画像形成装置であれば、モノクロ/フルカラー、枚葉型/記録材搬送型/中間転写型、一成分現像剤/二成分現像剤、タンデム型/1ドラム型、帯電形式、露光形式、転写方式等の区別無く実施できる。
【0019】
本実施形態では、トナー像の形成/転写に係る主要部のみを説明するが、本発明は、必要な機器、装備、筐体構造を加えて、プリンタ、各種印刷機、複写機、FAX、複合機等、種々の用途の画像形成装置で実施できる。
【0020】
なお、特許文献1、2、3に示される画像形成装置の一般的な事項については、図示を省略して重複する説明を省略する。
【0021】
<画像形成装置>
図1は画像形成装置の構成の説明図である。図2は画像形成部の構成の説明図である。図1に示すように、画像形成装置100は、記録材搬送ベルト7に沿ってイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、クリアの画像形成部Pa、Pb、Pc、Pd、Peを配列したタンデム型記録材搬送方式のフルカラープリンタである。
【0022】
第1記録材カセットE1又は第2記録材カセットE2からピックアップローラ31によって取り出された記録材Pは、分離ローラ32で1枚ずつに分離して、レジストローラ9へ給送される。レジストローラ9は、画像形成部Pa、Pb、Pc、Pd、Peで形成されるトナー像にタイミングを合わせて、記録材搬送ベルト7へ記録材Pを送り出す。
【0023】
有色画像形成部の一例である画像形成部Paでは、イエロートナー像が形成されて記録材搬送ベルト7に担持された記録材Pへ転写される。この転写により、記録材Pは記、録材搬送ベルト7上に静電吸着力でしっかりと保持され、引き続いて画像形成部Pb、Pc、Pd、Peの転写部へ順次に搬送される。画像形成部Pbでは、マゼンタトナー像が形成されて記録材搬送ベルト7に担持された記録材Pへ転写される。同様にして、画像形成部Pc、Pdでは、それぞれ感光ドラム1c、1dにシアントナー像、ブラックトナー像、クリアトナー像が形成されて記録材搬送ベルト7に担持された記録材Pへ転写される。
【0024】
透明画像形成部の一例である画像形成部Peでは、感光ドラム1eにクリアトナー像が形成されて記録材搬送ベルト7に担持された記録材Pへ転写される。記録材Pは、画像形成部Pb、Pc、Pd、Peで形成された各色のトナー像を順次転写されることにより、未定着の4色フルカラーのトナー像と、透明トナー像が合成形成される。
【0025】
分離帯電器10は、記録材Pを除電して記録材搬送ベルト7に対する吸着を緩和させる。記録材搬送ベルト7から曲率分離した記録材Pは、搬送ベルト12により、未定着のトナー像を記録材面に固着させる定着装置F1に導入される。定着装置F1は、後述するように、熱ローラ定着装置である。四色のフルカラートナー像とクリアトナー像を担持した記録材Pは、定着装置Fで加熱加圧を受けて、表面にトナー像を定着された後に、光沢処理装置300へ送り込まれる。光沢処理装置300は、任意の形状と面積に設定した記録材上の被加熱領域を加熱処理して、画像表面をほぼ鏡面状態にまで仕上げる。
【0026】
画像形成部Pa、Pb、Pc、Pd、Peは、現像装置4a、4b、4c、4d、4eで用いるトナーの色が異なる以外は、ほぼ同一に構成される。以下では、図2を参照して画像形成部Paの構成及び動作を説明し、画像形成部Pb、Pc、Pd、Peについては、構成に付した符号末尾のaをb、c、d、eに読み替えて説明されるものとする。
【0027】
図2に示すように、画像形成部Paは、感光ドラム1aの周囲に、コロナ帯電器2a、露光装置C、現像装置4a、転写帯電器5a、ドラムクリーニング装置6aを配置している。
【0028】
感光ドラム1aは、アルミニウムシリンダの外周面に帯電極性が負極性の感光層が形成され、所定のプロセススピードで矢印方向に回転する。コロナ帯電器2aは、感光ドラム1aの表面を一様な負極性の暗部電位VDに帯電させる。
【0029】
記録材Pが画像形成部Paの転写部へ向けて搬送されると同時に画像書き出し信号がオンとなり、それを基準として所定の制御タイミングで画像形成部Paの感光ドラム1aに対し画像形成がなされる。
【0030】
露光装置Cは、図1に示すように、画像形成部Pa、Pb、Pc、Pd、Peの上側に配設されて複数の光走査手段を有するレーザ走査機構(レーザスキャナ)である。露光装置Cは、感光ドラム1aの表面に画像信号に応じたレーザビーム走査露光Lを行って、それぞれの感光ドラム1aの表面に画像信号に応じた静電像を形成する。露光装置Cは、レーザ光源から発せられたレーザ光を、ポリゴンミラーPMを回転させて走査し、その走査光の光束を反射ミラーによって偏向し、fθレンズにより感光ドラム1aの母線上に集光して露光する。これにより、感光ドラム1a上に画像信号に応じた静電像が形成される。
【0031】
現像装置4aは、トナーとキャリアとを混合した二成分現像剤を撹拌して帯電させる。帯電した現像剤の磁気ブラシで感光ドラム1aを摺擦させて静電像を現像し、感光ドラム1aの表面にトナー像を形成する。
【0032】
感光ドラム1aの下面側の転写部で転写帯電器5aが電界又は電荷を付与することにより、感光ドラム1a上に形成されたイエロートナー画像が記録材P上に転写される。転写帯電器5aは、記録材搬送ベルト7の内側面を押圧して、感光ドラム1aと記録材搬送7上の記録材Pとの間にトナー像の転写部を形成する。ドラムクリーニング装置6aは、記録材Pへの転写を逃れて感光ドラム1aに残った転写残トナーを回収する。
【0033】
<部分光沢処理>
オフセット印刷の業界では、出力印刷物の付加価値を上げる手段として、部分光沢処理が用いられる。ここで、目的とする光沢度は、鏡面光沢度で表すと、80〜100%(60°)の光沢度であって、出力印刷物上に蛍光灯がはっきりと映り込むレベルの高度な光沢表面である(JISZ8741鏡面光沢度−測定方法に準拠)。
【0034】
このような高度な光沢表面を持つ部分光沢処理の用途の一例は、印刷インキのカラー画像の上に企業ロゴやブラントロゴなどを光沢マーキングで印字する用途であって、企業ロゴやブラントロゴが目立って宣伝効果が高い。
【0035】
オフセット印刷技術では、印刷インキの光沢が、30〜50%(60°)の光沢度であるため、80〜100%(60°)の光沢度を得るためには、紫外線硬化型の透明インクを用いて印刷後に紫外線硬化させる方式が一般的である。
【0036】
一方、トナー像を記録材に熱定着させる電子写真方式の画像形成装置でも、同様な効果を狙って、高度な部分光沢処理を可能にする方法が提案されている。一般的な電子写真方式では、出力画像の光沢度が10〜50%(60°)に過ぎないため、一度、トナー像の定着を行った画像に対して、光沢処理装置などと呼ばれる後処理装置によって80〜100%(60°)まで光沢度を高めている。
【0037】
特許文献3(特開2004−170548号公報)では、熱可塑性樹脂層を含む記録材を用いる方法が提案されている。高光沢な表面をもつ定着ベルトに画像面を圧接した状態でサーマルヘッドを用いて無端ベルト越しに熱可塑性樹脂層を軟化点温度以上の温度に加熱し、熱可塑性樹脂層を無端ベルトに張り付かせている。そして、記録材を定着ベルトに密着させたまま冷却して熱可塑性樹脂層を固化させた後に、記録材を定着ベルトから剥離している。これにより、トナー像は、定着ベルトの表面形状にならって表面が非常に平滑になるため、光沢性に優れたカラー画像が得られる。
【0038】
特許文献3には直接の開示が無いが、サーマルヘッドの場合は、熱転写プリンタで行われているように、解像度を持った任意の文字やパターンによる部分的な光沢処理も可能と考えられる。これに対して、特許文献2(特開2007−086747号公報)のように熱ローラ対を用いた場合には、画像面が一様に加熱されるため、部分的な光沢処理が難しい。
【0039】
しかし、特許文献3の方法では、電子写真用紙、普通紙、印刷用紙といった定着温度付近で表面が溶けない記録材を加熱しても光沢度が全く変わらないという問題が発生する。光沢化したい部分に、カラートナー像が載っている画像部は、光沢処理できるが、トナー像が載っていない記録材の白地部分は、光沢処理にならない。
【0040】
そのため、特許文献3では、記録材の表面に熱可塑性樹脂層を含む記録材を用いている。しかし、このような記録材は、一般的ではなく、ほとんど流通していないために記録材の種類がかなり限定され、記録材のコストアップに繋がってしまう。
【0041】
したがって、定着温度付近で表面が溶けない記録材であっても、光沢な画像が得られる画像形成装置が好ましい。このような目的を達成するための代表的な構成は、トナー像を形成する画像形成部と、加熱領域が可変な光沢処理装置を備える構成である。全面がトナー像の定着画像で覆われた記録材に対して、光沢処理を行う領域を示した光沢処理データに基づいて任意の形状と面積の被加熱領域を設定可能な光沢処理装置を用いて選択的な加熱を行う構成である。
【0042】
<トナー>
トナーは、ポリエステル系の樹脂を使用したトナーを用いた。本実施形態では、トナーは粉砕法によって製造した。トナーを製造する方法としては、懸濁重合法、界面重合法、分散重合法等の媒体中で直接トナーを製造する方法(重合法)も好ましい。しかし、トナーの成分、製造方法は、これに限定されるものではない。
【0043】
透明トナーの製造方法としては、カラートナーと同じポリエステル樹脂を用いて、カラー顔料を混ぜずに製造したものを用いている。ガラス転移点(Tg)は、特に限定されるわけではない。
【0044】
なお、透明トナーは、粉末状態では、必ずしも透明ではない。たとえば、ここで用いた透明トナーは、未定着状態では、白である。粒径5〜10μm程度に粉砕されたトナーは、トナー表面でほとんどの光が散乱され、透過、吸収が非常に少ないために白く見える。
【0045】
つまり、透明トナーは、定着でトナーに加えるエネルギーが少ない場合には、完全に透明にならず、白っぽく見えることもある。しかし、このような状態でも、透明トナーが剥がれてしまったりせずに、目標のグロスになっていれば、品質は満足されるといえる。
【0046】
<画像形成装置の制御系>
図3は画像形成装置の制御系のブロック図である。図4は操作ディスプレイ部の平面図である。
【0047】
図1に示すように、原稿読取り部(イメージスキャナ)Aと、操作ディスプレイ部Bが装置本体100の上面側に配設されている。原稿読み取り部Aにおいて、原稿押え板22は、原稿台ガラス21に対して開閉可能である。なお、原稿押え板22を原稿自動送り装置(ADF、RDF)にして原稿台ガラス21上にシート状原稿を自動的に給送する構成にすることもできる。転写ベルト機構Dは、画像形成部Pa、Pb、Pc、Pd、Peの下側に配設されている。定着装置F1は、転写ベルト機構Dよりも記録材搬送方向下流側に配設されている。
【0048】
第1記録材カセット(カセット給紙部)E1及び第2記録材カセットE2は、転写ベルト機構Dよりも下側に上下2段に配設されている。手差し給紙トレイ(手差し給紙部)E3は、画像形成装置100に対して畳み込んで格納自在であって、使用時は倒して開き状態にする。第1記録材カセットE1、第2記録材カセットE2、手差し給紙トレイE3の内で選択指定された給紙部が駆動されると、その給紙部に収納されている記録材Pが1枚分離給紙される。
【0049】
図1を参照して図3に示すように、コントローラ(制御回路部、制御基板部)Kは、画像形成装置100を統括制御するコンピュータである。外部入力装置(外部ホスト装置)1000は、パーソナルコンピュータ、ファクシミリ装置等であり、コントローラKとインターフェイスを介して電気的に接続されている。
【0050】
原稿読み取り部Aは、原稿台ガラス21に載置された原稿を光学的に走査して原稿画像を色分解光電読み取りする。コピー(原稿複写)モードの場合は、原稿台ガラス21上にコピーするカラー原稿(又はモノカラー原稿)を画像面下向きで所定の載置基準に従って載置し、その上に原稿押え板22を被せることで原稿をセットする。
【0051】
操作ディスプレイ部Bは、操作者からのコマンド入力や、操作者への装置の状態報知等を行う。図4に示すように、操作ディスプレイ部Bは、液晶画面のタッチパネル406と各種の操作スイッチ(400〜409)とを配置している。操作者は、操作ディスプレイ部Bを操作して、所望のコピー条件を設定した後、コピースタートキー400(図5)を押す。
【0052】
図1を参照して図3に示すように、移動光学系23が原稿台ガラス21の下面に沿って移動して、原稿台ガラス21上の原稿の下向き画像面が光学的に走査される。その原稿走査光が光電変換素子(固体撮像素子)であるCCD24に結像されて、RGB(レッド・グリーン・ブルー)の三原色で色分解読み取りされる。読み取られたRGBの各信号が画像処理部25に入力される。
【0053】
そして、画像処理部25で、C、M、Y、Kに処理された電気的画像情報がコントローラKに入力する。コントローラKは、露光装置Cを制御して、電気的画像情報に対応して変調したレーザ光を画像形成部Pa、Pb、Pc、Pd、Peに対してそれぞれ出力させる。
【0054】
プリンタモードの場合は、外部入力装置1000であるパーソナルコンピュータから装置本体100のコントローラKに電気的画像情報が入力されて、画像形成装置がプリンタとして機能する。一方、ファクシミリ受信モードの場合は、外部入力装置1000である相手方ファクシミリ装置から画像形成装置100のコントローラKに電気的画像情報が入力されて、画像形成装置100がファクシミリ受信機として機能する。
【0055】
なお、画像形成装置100は、フルカラー画像形成物のみならず、モノカラー画像形成物の出力も可能である。モノカラー画像形成の場合は、その画像形成モードが選択されることで、画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdのうち、選択された画像形成モードに対応した画像形成部だけが画像形成動作する。他の画像形成部は、感光ドラム1の回転駆動はなされるけれども画像形成動作はなされない。そして、画像形成動作した画像形成部の転写部において、転写ベルト機構Dで搬送される記録材Pにトナー画像を転写するシーケンスが実行される。
【0056】
<定着装置>
図5は定着装置の構成の説明図である。図5に示すように、定着ローラ(定着部材)51と加圧ローラ(加圧部材)52は、それぞれ回転自在に軸受支持させた回転体であり、上下に並行に配列して、かつ圧接させて、定着ニップ部Nを形成させている。定着ローラ51と加圧ローラ52は、駆動モータ(不図示)に駆動されて矢印の方向に互いに圧接しながら回転する。
【0057】
定着ローラ51は、同心円状に3層構造を採用しており、コア部分51a、弾性層51b、離型層51cを有する。コア部分51aは、直径44mm、厚さ5mmのアルミニウム製中空パイプにより構成される。弾性層51bは、JIS−A硬度50度、厚さ2.5mmのシリコンゴムにより構成される。離型層51cは、厚さ50μmのPFAにより構成される。
【0058】
加圧ローラ52も、定着ローラ51と同様に、コア部分52a、弾性層52b、離型層52cの3層構造である。ただし、弾性層52bは、厚さ3mmのシリコンゴムを用いる。これは弾性層52bにより定着ニップ部Nの幅を稼ぐためである。加圧ローラ52は、所定の押圧力で定着ローラ51に圧接させて、記録材搬送方向において所定幅の加熱・加圧部としての定着ニップ部Nを形成させている。加圧ローラ52の加圧力は、総圧で294N(30kgf)とした。このときの定着ニップ部Nの幅は7mmであった。
【0059】
定着ローラ51のコア部分51aの中空パイプ内部には、熱源(ローラ加熱ヒータ)としてのハロゲンランプH1が配設されている。加圧ローラ52のコア部分52aの中空パイプ内部には、熱源(ローラ加熱ヒータ)としてのハロゲンランプH2が配設されている。定着ローラ51と加圧ローラ52は、ハロゲンランプH1、H2の発熱により、それぞれ内側から加熱される。ハロゲンランプH1は800W、ハロゲンランプH2は、500Wのものを用いた。
【0060】
図3に示すように、ハロゲンランプH1、H2は、それぞれ電源回路(Q1、Q2:図3)から電力が供給されて発熱する。定着ローラ51と加圧ローラ52の表面温度は、それぞれに接触させたサーミスタ等の温度センサTH1、TH2によりモニタされ、その検知温度に関する電気的情報がコントローラKの定着制御部K1に入力する。
【0061】
定着制御部K1は、その入力情報に基づいて、定着ローラ51と加圧ローラ52の表面温度(定着温度)が所定の制御温度(目標温度)に維持されるように、電源回路Q1、Q2からハロゲンランプH1、H2への供給電力を制御する。定着制御部K1は、定着ローラ51と加圧ローラ52を所定の制御温度に温調管理することで、定着ニップ部Nの温度を管理する。
【0062】
定着制御部K1は、定着ローラ51と加圧ローラ52とを回転駆動させ、ハロゲンランプH1、H2により表面温度をそれぞれの所定の制御温度に立ち上げて温調する。この状態において、転写ベルト機構D側から、未定着トナー画像が形成された記録材Pが搬送ベルト12により定着装置F1内に導入される。
【0063】
定着装置F1に導入された記録材Pは、定着ローラ51と加圧ローラ52との圧接部である定着ニップ部Nに進入して挟持搬送される。これにより、記録材Pが加熱・加圧されて、各色トナー像の混色及び記録材Pへの定着が行われる。定着ニップ部Nを通った記録材Pは、定着排紙ローラ56により排出搬送され、排紙トレイ19に積載される。記録材Pは、定着ニップ部Nに進入して挟持搬送されていく過程で、定着ローラ51と加圧ローラ52により加熱され、ニップ圧により加圧される。これにより、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色トナー像が溶融混色して、フルカラー画像が記録材P表面に定着される。定着ニップ部Nから出た記録材Pは、不図示の分離爪によって定着ローラ51または加圧ローラ52から分離され、定着排紙ローラ56に中継ぎされて、定着装置F1から送り出される。
【0064】
離型剤塗布装置53は、定着ローラ51の表面に離型剤としてのジメチルシリコーンオイル等を塗布する。離型剤塗布装置53は、定着ローラ51の表面にシリコーンオイルを塗布して、記録材Pが定着ニップ部Nを通過する際に、トナーが定着ローラ51の表面に付着しないようにしている。
【0065】
ウエブ方式のクリーニング装置54は、耐熱性クリーニング部材のウエブで定着ローラ51の表面を拭掃して清掃する。ウエブ方式のクリーニング装置55は、耐熱性クリーニング部材のウエブで加圧ローラ52の表面を拭掃して清掃する。クリーニング装置54、55は、それぞれ定着ローラ51と加圧ローラ52の表面にオフセットしたトナーを除去する。
【0066】
定着装置F1は、未定着トナー像を定着するため、トナー像が十分に溶けて、記録材Pの組織に染み込むようにするために、十分な熱量と、圧力が必要である。記録材P上のトナー像は、約110℃程度に温められて、ほぼその温度で、定着ローラ51表面から分離して、搬送中に徐々に冷却される。トナーの粘弾性特性は、ガラス転移点温度は約55℃、溶融開始温度が約90℃なので、定着ローラ表面から分離した直後は、トナー像はまだ柔らかい。したがって、搬送中に徐々に冷却される間に、記録材Pの表面の組織の凹凸に倣って、トナー像の表面に微細な凹凸が形成されて入射光の散乱面が形成されてしまう。
【0067】
そのような理由から、出力画像の光沢度を高めようとして、定着ローラ51表面の表面性を上げても、ある表面性を越えると、それ以上に表面性を上げても、出力画像の光沢度が高くならない。このため、定着装置F1で仕上げた一般的な電子写真の成果物の表面光沢度は、10〜50%(60°)止まりである。
【0068】
<光沢処理装置>
図6は光沢処理装置の構成の説明図である。図7は画像のトナー載り量と光沢処理された光沢度の関係の説明図である。本願出願人は、特願2010−149183号、同−149184号において、フィルムとサーマルヘッドとを組み合わせた光沢処理装置について出願を行っている。本実施例は、これらの出願に係る光沢処理装置をオプション装置として組み込んだ画像形成システムの例である。
【0069】
図6の(a)に示すように、像加熱装置の一例である光沢処理装置300は、有色トナー像と透明トナー像が形成された記録材上において任意の形状に設定される被加熱領域を選択的に加熱処理して定着装置F1のものとは異なる表面性状を形成する。
【0070】
フィルム材料供給手段の一例である定着フィルムカセット309は、目的とする表面性状が形成されたフィルム材料の一例である定着フィルム305を供給する。搬送手段の一例であるグリップローラ306及びピンチローラ307は、有色トナー像及び透明トナー像が定着された記録材Pの画像面に定着フィルム305を重ねて一体に搬送する。サーマルヘッド302は、定着フィルム305と記録材Pとを一体に加圧した位置で定着フィルム305を介して被加熱領域を加熱する。
【0071】
光沢処理装置300の光沢処理部F2には、光沢処理データに基づいて、画像上の光沢処理領域を文字や画像の任意に設定可能なパターンで加熱するサーマルヘッド302が設けられている。サーマルヘッド302は、一般的なサーマルプリントヘッドに用いられるものと同様な発熱素子構成のラインタイプの記録ヘッドである。サーマルヘッド302のフェイス面(図示の底面)の回路基板上に、図面に垂直方向(副走査方向)に複数個の発熱素子が所定ピッチで配列されている。このライン状に配列された発熱体と対向する位置に、記録材P及び定着フィルム305を挟圧するための対向部材としてのプラテンローラ303が配置されている。
【0072】
プラテンローラ303は、その両端部で回転可能に支持されている。また、プラテンローラ303は、その両端部で、サーマルヘッド302に対して圧接離間するように移動可能に支持されている。プラテンローラ303の位置は、記録動作(印刷動作)に際してサーマルヘッド302に圧接されているときの位置である。サーマルヘッド302のフェイス面には、サーマルヘッド302の回路上に設けられたサーミスタ等の電気部品と定着フィルム305との接触を防ぐための保護部材311が設けられている。
【0073】
加熱の際には、サーマルヘッド302とプラテンローラ303により、記録材P及び定着フィルム305が圧接狭持されている。そこで、サーマルヘッド302の発熱体を駆動して発熱させることにより、記録材P上のトナー像が溶融し、定着フィルム305に倣う。ラインタイプのサーマルヘッド302の場合、1回の発熱駆動により一括して副走査方向の1ライン分の加熱が行われる。
【0074】
記録材Pは、グリップローラ306及びピンチローラ307からなるローラ対によって狭持され、加熱動作のときには、グリップローラ306の回転により矢印A方向に搬送される。これと同時に、定着フィルム305も、巻取り機構を駆動することにより巻取り軸308に巻き取られ、同じく矢印A方向に搬送される。記録材P及び定着フィルム305の矢印A方向への搬送に同期して、サーマルヘッド302の各発熱体を画像情報に基づいて選択的に繰り返し駆動することにより、1ライン分ずつの光沢処理データが順次記録されていく。
【0075】
その後、記録材Pの方は搬送ローラ対6、7により排紙口へ向けて搬送されていく。一方、定着フィルム305の方は巻取り軸308に巻取られていくことで、定着フィルムカセット309の巻取り側に収納される。このため、記録材Pの搬送路と定着フィルム305の搬送路は、サーマルヘッド302の搬送方向下流側で分岐される。分岐されるとき、それまで貼り付いていた記録シートと定着フィルムは引き剥がされることになる。
【0076】
図6の(b)に示すように、サーマルヘッド302の基板302aに断熱層302dを介して1ラインにおける画素ごとの発熱体302hが形成され、発熱体302hはガラス層302cで覆われている。発熱体302hは、電極302bから電流供給を受けて発熱して、ガラス層302cに摺擦する定着フィルムを介して記録材面のトナー像を加熱して溶融させる。
【0077】
図6の(c)に示すように、記録材の搬送方向と直角に1列に配置された発熱体302hは、1ラインごとの加熱パターン画像信号を用いて駆動される。1ライン分の多数の画素のうち加熱パターンの被加熱領域に位置するもののみが、一括電流供給されて発熱する。
【0078】
定着フィルム305は、ポリイミド、PE、PETなどの樹脂の薄層フィルムが用いられる。ここでは、10μmのポリイミドフィルムを用いている。定着フィルム305の熱容量を小さくするためには、ハンドリングなどの問題が出ない程度に薄くすることが好ましい。
【0079】
光沢処理装置F2でも、トナー像の表面を溶かすためにトナー像が定着フィルム305とともに約110℃程度に温められる。その後、定着フィルム305と密着したまま、ガラス転移点温度付近まで冷やされた後に、定着フィルム305がトナー像から剥がされる。ガラス転移点温度付近まで冷やされたトナー像は、定着フィルム305の表面性をトナー像の表面に写し取って、ほぼ完全に固まっている。そのため、定着フィルム305の表面性が高いほど、トナー像の表面も高い光沢度を示す。
【0080】
図7に示すように、光沢処理装置F2を用いて光沢処理することで、定着装置F1で仕上げた10〜50%よりも視覚的な光沢度が桁違いに高い90〜100%(60°)の表面光沢度を電子写真の成果物に付与できる。
【0081】
図7は、坪量が150g/mのA2グロスコート紙に透明トナーのみで画像形成、定着、光沢処理を行った結果であるが、記録材が普通紙の場合にもほぼ同様な結果となることが確認されている。また、透明トナーだけでなく、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色トナーでも、図7とほぼ同じトナー載り量と光沢度との関係が見られることが確認されており、光沢処理装置F2通紙後の光沢度には、色による差が少ない。
【0082】
しかし、フルカラー画像のトナー像が転写されていない記録材の素地の表面については、そのような高い光沢度を付与することができない。フルカラー画像の各色合計のトナー載り量が0.3mg/cmに満たない記録材表面でも、トナー載り量が0.3mg/cm以上ある記録材表面に比較すると、視覚的な光沢度が大きく見劣りしてしまう。
【0083】
そこで、実施例1では、フルカラー画像のトナー像の合計トナー載り量が0.3mg/cmに満たない記録材表面には、その不足分を補うように、相当量のトナー載り量の透明トナー像を形成している。トナー像が無い部分を透明トナー像で覆って、定着温度付近で表面が溶けない記録材であっても、光沢度の高いパターンを形成する。
【0084】
<実施例1>
図8は実施例1の光沢処理制御のフローチャートである。図9は透明トナー載り量制御のフローチャートである。図10は透明トナー載り量の設定の説明図である。
【0085】
図1に示すように、有色画像形成手段の一例である画像形成部Pa、Pb、Pc、Pd及び定着装置F1は、記録材上に有色トナー像を形成して定着させる。透明画像形成手段の一例である画像形成部Pe及び定着装置F1は、記録材上に透明トナー像を形成して定着させる。画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdと画像形成部Peは、有色トナー像と透明トナー像とを記録材Pに転写した後に、定着装置F1により同時に記録材に定着させる。
【0086】
透明画像の画像形成部Peは、光沢処理装置300による加熱処理前の記録材に対して、被加熱領域のうちで目的とする表面性状の形成に必要なトナー載り量を満たさない領域に、必要なトナー載り量を満たすように透明トナー像を形成して定着させる。画像形成部Peは、有色トナー像の画像データと被加熱領域の指定データとに基づいて、記録材Pの画像面の被加熱領域における有色トナー像と透明トナー像の合計のトナー載り量が均一になるように透明トナー像を形成する。
【0087】
実施例1では、フルカラーの画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdに加えて、透明トナーを用いる画像形成部Peを備える画像形成装置100を用いて、サーマルヘッドを用いた光沢処理装置F2を付設した。
【0088】
図3を参照して図8に示すように、コントローラKは、プログラムの第1ステップにおいて、記録材上の有色トナー像の画像形成領域の情報を含む画像情報と、記録材上の被加熱領域を特定する加熱領域情報とを取得する。コントローラKは、プログラムの第2ステップにおいて、被加熱領域に位置して有色トナー像の画像形成領域に位置しない領域に透明トナー像の画像形成領域を設定する。第2ステップでは、被加熱領域に位置して有色トナー像の画像形成領域のトナー載り量が所定量に満たない領域にも透明トナー像の画像形成領域を設定する。コントローラKは、プログラムの第3ステップにおいて、第2ステップにて設定された透明トナー像の画像形成領域における有色トナー像と透明トナー像の合計のトナー載り量が前記所定量になるように透明トナー像の画像形成量を設定する。
【0089】
ユーザは、外部入力装置1000から画像形成装置100のコントローラKへ、4色のフルカラー画像データと、光沢化したい領域を示した画像データを送信する。光沢処理を行いたい部分を示した画像データを光沢処理データと呼ぶ。したがって、ユーザは、画像形成装置100に、4色のフルカラー画像データとともに、光沢処理データを送信する。
【0090】
コントローラKは、4色のフルカラー画像データと、光沢処理データが入力されると(S101)、透明トナー像の形成に必要な透明トナー像データを生成する(S102)。コントローラKは、フルカラー画像データと、光沢処理データとを比較して、光沢処理したい部分であってフルカラー画像データが無い部分を計算する。そして、光沢なマーキングを得るために必要なトナー載り量を満たしていない部分には、適切なトナー載り量の透明トナー像が画像形成されるように透明トナー像データを生成する。透明トナー像データの生成については、さらに詳しく後述する。
【0091】
コントローラKは、フルカラー画像データを用いて画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdを制御してフルカラー画像のトナー像を形成する(S103)。フルカラー画像データをもとに、フルカラーの画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdによって画像形成が行われる。続いてコントローラKは、透明トナー像データを用いて画像形成部Peを制御して透明トナー像を形成する(S104)。
【0092】
コントローラKは、フルカラー画像のトナー像と透明画像のトナー像が転写された記録材Pを定着装置F1によって定着処理する(S105)。続いてコントローラKは、光沢処理装置F2によって、光沢処理を行う(S106)。コントローラKは、光沢処理装置F2のサーマルヘッドを光沢処理データにあわせて作動させる。トナー像が定着された記録材Pが、光沢処理データに応じて加熱溶融されて、部分的に定着フィルムに張り付いて平滑面となる。
【0093】
これにより、光沢処理データで指定された所望の場所又は所望のパターンに、周囲よりも一段光沢度が高い光沢マーキングが形成される。フルカラー画像データと光沢処理データをもとに、透明トナー像を形成した後に、光沢処理装置F2による光沢処理を行うことで、光沢処理データどおりの光沢マーキングが形成される。
【0094】
<透明トナー像データの生成>
コントローラKは、フルカラー画像データを、原稿となる画像のC、M、Y、Kの各色版に分解して、各色版ごとに画像上の各画素の濃度に応じた画像データ量を計算する。画像データ量とは、原稿となる画像のC、M、Y、Kの各色に分解された画像情報の1画素当たりのデータ量であって、各色の最大の画像データ量を100%として表している。この0〜100%の画像データ量に応じて、画像形成すべき各色のトナー量が計算される。
【0095】
ここで、トナー量とは、記録材上に画像形成される1画素当たりのトナーの量である。トナー量も、画像データ量と同様に、0〜100%で表す。一方、1cmに画像形成した場合のトナーの重量をトナー載り量(mg/cm)と呼ぶ。
【0096】
単色で100%のトナー量のときに、その色の最大濃度となる。色ごとの最大濃度は、画像設計、トナーの特性、定着装置F1の定着条件、記録材Pの種類などによって決定される。実施例1では、画像形成条件は、プロセススピードを100mm/secとし、定着ローラ51、加圧ローラ52の制御温度(目標温度)を、ともに160℃としている。この画像形成条件において光沢処理装置F2による光沢処理を行わない場合、坪量150g/mのA2グロスコート紙を用いて、トナー載り量0.5mg/cmのときに、全色ともに、濃度1.8が得られた。そこで、このときのトナー載り量0.5mg/cmを1色の最大トナー載り量と定義した。
【0097】
そして、入力画像の各色の画像データ量に対して、色調が一致するように、いわゆるガンマ補正などの画像補正を行って、各々の画素ごとのトナー量を算出して、画像形成が行われる。このようにトナー載り量が調整された各色のトナー像を4色重ね合わせて、様々な色を表現する。
【0098】
このとき、理論上は、カラー画像情報としては、最大でC、M、Y、K合計400%の画像データ量となる。しかし、定着装置が定着できるトナー量の条件や、色再現範囲などを考慮して、最大で240%の画像データ量となるように画像処理が行われる。
【0099】
一方、光沢処理データは、画像上の各画素に光沢を付与する/しないを示す二値の画像データ量である。透明トナー像は、濃度ではなく、光沢処理装置F2の通紙後で所望の光沢度になるトナー載り量として設定される。
【0100】
図7に示すように、透明トナー像を光沢処理装置F2で光沢処理した場合、光沢度は、透明トナーのトナー載り量が0.3mg/cm以上で、光沢度100%になっている。このため、記録材の素地部分に形成する透明トナー像のトナー載り量は0.3mg/cmとした。上述したように、トナー載り量0.5mg/cmをトナー量100%と定義しているので、トナー載り量0.3mg/cmの画像データ量は60%である。実施例1では、透明トナー像データの生成は、図9のフローチャートの手順に従って実行される。
【0101】
図3を参照して図9に示すように、コントローラKは、フルカラー画像データが入力されると(S201)、フルカラー画像上の各画素の各色トナーの画像データ量を計算する(S202)。
【0102】
コントローラKは、次に光沢処理データが入力されると(S203)、光沢処理したい画素について、光沢処理に必要なトナー量と各色合計のトナー量とを比較する(S204)。そして、各色トナーが足らない画素(S204のNo)については、透明トナー像を画像形成するための透明トナー像データを作成する(S206)。
【0103】
すなわち、光沢処理したい部分の画像データ量が下記式を満たさないとき、透明トナー像を形成して部分的にトナー載り量を補う必要がある。
(フルカラー画像データの画像データ量)−(光沢処理に必要なトナー量)≧0
しかし、画像上で、各色トナーが足りている画素(S204のYes)及び光沢処理しない画素については、透明トナー像を形成しない(S205)。例えば、ある画素がY=0%、M=100%、C=100%、K=0%であれば、画像データ量は200%になる。これに対して、光沢処理に必要トナー量は、60%である。したがって、この例では、200−60=140となるので、透明トナー像をさらに重ねる必要が無く、透明トナー像データは0である。
【0104】
図10に示すように、(フルカラー画像データの画像データ量)<60%、の場合は、透明トナー像を重ねる必要が有るため、次式により透明トナー像データを計算する。図10の線図は、この式をグラフにしたものである。
透明トナー量 =(光沢処理に必要なトナー量)−(画像データ量)
【0105】
このような判断と演算を画像上のすべての画素について行い、画像の透明トナー像データが得られる。画像全体について各画素の透明トナー像データを設定し終わると(S207)、画像形成の準備が完了する(S208)。
【0106】
図1に示す画像形成装置において、実施例1の制御を実行させた。坪量150g/mのA2グロスコート紙を用いて、部分光沢処理を行ったところ、良好な光沢画像が得られた。
【0107】
つまり、定着温度付近で表面が溶けない普通紙やコート紙等の記録材であっても、文字やパターン状に光沢度を高めた出力画像が得られる画像形成装置100を提供することができた。
【0108】
<実施例2>
図11は実施例2におけるフルカラー画像形成装置の構成の説明図である。図12は透明画像形成装置の構成の説明図である。図13は光沢処理装置の構成の説明図である。実施例2では、それぞれ独立したフルカラー画像形成装置と透明画像形成装置と光沢処理装置とを用いて画像面にパターン光沢処理を行う。
【0109】
図11に示すように、画像形成装置100Bは、記録材搬送ベルト7に沿ってイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdを配列したタンデム型記録材搬送方式のフルカラープリンタである。図1の画像形成装置100と図11の画像形成装置100Bとは、透明トナー像の画像形成部Peの有無以外は等しく構成されている。そのため、図11中、図1、2と共通する構成には共通の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0110】
画像形成装置100Bは、第1記録材カセットE1又は第2記録材カセットE2から取り出した記録材Pを記録材搬送ベルト7に担持させて画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdにて各色のトナー像を転写される。未定着の4色フルカラーのトナー像を担持した記録材Pは、記録材搬送ベルト7から曲率分離されて定着装置F1に導入され、加熱加圧を受けて、フルカラー画像を記録材Pの表面に定着される。フルカラー画像を定着された記録材Pは、画像形成装置100Bの排出トレイ34に排出して積載される。
【0111】
図12に示すように、透明画像形成装置100Eは、感光ドラム1eに透明トナー像を形成して、記録材カセットE3から取り出した記録材Pに転写する。未定着の透明トナー像を担持した記録材Pは、定着装置FEに導入され、加熱加圧を受けて、透明画像を記録材Pの表面に定着される。なお、透明トナー像の形成、転写については、図1、図2を参照して説明したとおりであるため、図12中、図1、図2と共通する構成には共通の符号を付して重複する説明を省略する。
【0112】
図11の画像形成装置100Bと図12の透明画像形成装置100Eは、別々の筐体を備えて装置自体は独立している。しかし、透明画像形成装置100Eは、実施例1と同様なコントローラKに接続されて、有色トナー像の画像データと被加熱領域の指定データとに基づいて透明画像形成を制御される。
【0113】
図13に示すように、光沢処理装置300は、記録材カセットE4から取り出した記録材Pの表面にパターン状の光沢処理を行う。定着画像を担持した記録材Pは、定着フィルム305に重ね合わせた状態でサーマルヘッド302によってパターン状に加熱されてパターン部分のみが定着フィルム305に溶融付着して光沢面を転写される。なお、光沢処理については、図6を参照して説明したとおりであるため、図13中、図6、図1と共通する構成には共通の符号を付して重複する説明を省略する。
【0114】
図12に示すように、実施例2では、画像形成装置100Bを用いて記録材Pにフルカラー画像又はモノクロ画像を形成した後、出力された記録材Pを透明画像形成装置100Eにセットして、透明トナーによるいわゆる追い刷りをする。透明画像形成装置100Eでは、画像の白地部に相当して記録材P上にトナー像が転写されていないパターン部分に透明画像を形成する。
【0115】
フルカラー画像が形成された記録材Pは、ユーザが、透明画像形成装置100Eの給紙部にセッティングする。透明画像形成装置100Eの操作部には、「画像形成された記録材Pを記録材カセットE3に入れてください。」といった表示がでるようになっている。
【0116】
このとき、予め光沢処理データもコントローラKに送られており、透明トナー像データも生成されている。そして、ユーザが、透明画像形成装置100Eの操作部のスタートボタンを押すと、生成されている透明トナー像が形成される。
【0117】
図13に示すように、その後、光沢処理装置300の給紙部に、透明トナー像の形成が終わった記録材をセットする。透明画像を形成された記録材Pを光沢処理装置300にセットして、加熱パターンに応じた部分的な加熱処理を行って高光沢を付与する。このように、画像形成及び画像表面処理を行うことによって、定着温度付近で表面が溶けない記録材Pであっても、高光沢な画像パターンが得られる画像形成システムを提供することができた。
【0118】
以上説明したように、実施例2では、画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdと、画像形成部Peと、光沢処理装置300とが個別の筐体を備える。画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdの筐体に付設された制御部の一例であるコントローラKは、受信した画像形成ジョブの画像データに基づいて画像形成部Pe及び光沢処理装置300を制御する。
【0119】
実施例2では、有色トナー像の画像データと光沢領域の指定データとに基づいて、部分光沢画像を含む画像を記録材に形成する印刷物の製造方法を実行する。
【0120】
第1の工程では、通常の画像形成装置を通常に作動させて、フルカラー画像データに基づいて形成された有色トナー像を記録材に転写して定着させる。
【0121】
第2の工程では、画像データと光沢領域の指定データとに基づいて形成された透明トナー像を記録材の白地部に転写して定着させる。透明トナー像は、画像データに該当しない領域であって光沢領域の指定データに該当する領域、すなわち光沢処理すべき部分のうち有色トナー像が形成されない領域にのみ形成される。あるいは、光沢処理すべき部分のうち有色トナー像が形成されない領域と有色トナー像だけではトナー載り量が不足して光沢面にならない領域とにのみ形成される。
【0122】
第3の工程では、光沢領域の指定データに基づいてサーマルヘッド302を作動させて光沢領域を平滑な定着フィルム305に溶着させ、冷却硬化後に定着フィルム305から引き剥がす。
【0123】
なお、逆に、最初に透明画像形成装置100Eを用いて印刷前の白紙に対して装飾的な目的で透明トナーによる画像パターンを印刷し、その後に画像形成装置100Bによるフルカラー画像形成を行ってもよい。
【0124】
<実施例3>
図14は実施例3の画像表面処理装置の構成の説明図である。実施例3は、単独の透明画像形成装置100Fに図13に示す光沢処理装置300を接続した構成の画像表面処理システムである。実施例3では、画像形成ジョブの画像データが、透明画像形成装置100Fには送られて来ないため、記録材の画像を画像読み取り装置で読み取って、独自に画像データを形成する。これにより、予め別の画像形成装置100Bによって、モノクロ画像やフルカラー画像が形成された記録材Pに対して、加熱パターンに応じた部分的な透明トナー像を転写して定着し、続いてサーマルヘッドと定着フィルムを用いた部分的な光沢処理を行う。
【0125】
図14に示すように、透明画像形成装置100Fは、画像形成部Peで形成した透明トナー像を中間転写ベルト8に転写し、中間転写ベルト8の回転に伴って二次転写部T2へ搬送して記録材Pへ二次転写する。透明トナー像が転写された記録材Pは、定着装置F1で加熱加圧を受けて記録材Pの表面に透明トナー像が定着される。
【0126】
透明画像形成装置100Fは、記録材Pの白地部に加熱パターンに応じた透明画像を形成するために、原稿読み取り部A1と原稿流し読み部A2とのいずれか一方を用いて記録材P上の画像を読み取る。コントローラKFは、部分光沢処理を行いたい記録材Pを読み取って、記録材Pのどの部分にトナー像があるかを認識して、透明トナー像の画像データを形成する。コントローラKFは、加熱パターンで示される被加熱領域のうちで画像に覆われていない記録材の白地部に透明トナー像を形成する。
【0127】
原稿読み取り部A1で読み取った画像濃度データから、記録材P上のトナー像のトナー載り量を計算する方法は、図1の画像形成装置100で、画像のコピーを行う場合の制御と同様である。
【0128】
すなわち、原稿読み取り部A1は、図1を参照して説明したように、原稿台ガラスに載置された原稿を光学的に走査して原稿画像を色分解光電読み取りする。原稿台ガラス上に部分光沢画像を形成するカラー原稿を画像面下向きで所定の載置基準に従って載置し、その上に原稿押え板を被せることで原稿をセットする。
【0129】
移動光学系が原稿台ガラスの下面に沿って移動して、原稿台ガラス上の原稿の下向き画像面が光学的に走査される。その原稿走査光が光電変換素子に結像されて、RGB(レッド・グリーン・ブルー)の三原色に色分解して読み取られる。
【0130】
一方、原稿流し読み部A2は、光沢処理装置300のサーマルヘッド以上の解像度を持つリニア光学センサ(CCDアレイ)を用いて、画像形成が行われた記録材上のトナー量を検出する。記録材カセットE1、E2から引き出して搬送される記録材Pの原稿面の画像は、原稿流し読み部A2によって、RGB(レッド・グリーン・ブルー)の三原色に色分解して読み取られる。
【0131】
トナー量の検知結果であるRGBの各信号が画像処理部に入力されてC、M、Y、Kに処理された画像データに変換される。コントローラKFは、画像データと光沢処理データとに基づいて透明トナー像の画像データを計算する。そして、光沢処理データと画像データに基づいて、図8、図9のフローチャートの制御と同様の計算を行って、対応する部分のトナー載り量が所定量以上になるように、付加すべき透明トナー量を計算する。そして、透明トナー像の画像データによって、透明トナー像を記録材の画像面に形成されると、続いて、光沢処理装置300を用いて光沢処理データによって選択された領域にのみ光沢処理を行い出力する。
【0132】
以上説明したように、実施例3の画像表面処理装置は、トナー像が転写及び定着された記録材を加熱処理して画像面に目的とする表面性状を付与する。透明画像形成装置100Fは、光沢処理装置300による加熱処理前の記録材に対して、被加熱領域のうちで目的とする表面性状の形成に必要なトナー載り量を満たさない領域に必要なトナー載り量を満たすように透明トナー像を形成して定着させる。
【0133】
光沢処理装置300は、任意の形状に設定可能な記録材上の被加熱領域を加熱処理して定着装置F1による定着処理面とは異なる表面性状を形成する。
【0134】
画像読み取り手段の一例である原稿読み取り部A1と原稿流し読み部A2は、トナー像が転写及び定着された記録材上の画像を読み取る。透明画像形成装置100Fは、原稿読み取り部A1又は原稿流し読み部A2による画像の読み取り結果に基づいて、被加熱領域におけるトナー像が転写されていない領域に透明トナー像を形成する。
【0135】
このように、トナー像を形成する画像形成部と、加熱領域が可変な光沢処理装置を備える画像形成装置において、光沢処理を行う領域を示した光沢処理データに基づいて、トナー像を形成する。透明画像形成及び光沢処理を行うことによって、定着温度付近で表面が溶けない記録材であっても、高光沢な画像が得られる。
【符号の説明】
【0136】
1a、1b、1c、1d、1e 感光ドラム
2a、2b、2c、2d、2e コロナ帯電器
3e、C 露光装置
4a、4b、4c、4d、4e 現像装置
5a、5b、5c、5d、5e 転写帯電器
7 記録材搬送ベルト、8 中間転写ベルト
100、100B 画像形成装置
100C、100E、100F 透明画像形成装置
300 光沢処理装置、303 プラテンローラ、302 サーマルヘッド
305 定着フィルム、306 グリップローラ、307 ピンチローラ
308 巻取り軸、309 定着フィルムカセット、311 保護部材
F1、F1A、F1B 定着装置、K、KF コントローラ
Pa、Pb、Pc、Pd 画像形成部(有色トナー)
Pe 画像形成部(透明トナー)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録材上に有色トナー像を形成して定着させる有色画像形成手段と、
前記有色トナー像が形成された記録材上において任意の形状に設定される被加熱領域を選択的に加熱処理して前記有色画像形成手段による定着処理面とは異なる表面性状を形成する像加熱装置と、
前記像加熱装置による加熱処理前の記録材に対して、前記被加熱領域のうちで前記有色トナー像が前記表面性状の形成に必要なトナー載り量を満たさない領域に、前記表面性状の形成に必要なトナー載り量を満たすように透明トナー像を形成して定着させる透明画像形成手段と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記像加熱装置は、前記表面性状が形成されたフィルム材料を供給するフィルム材料供給手段と、前記有色トナー像及び前記透明トナー像が定着された記録材の画像面に前記フィルム材料を重ねて一体に搬送する搬送手段と、前記フィルム材料と記録材とを一体に加圧した位置で前記フィルム材料を介して前記被加熱領域を加熱するサーマルヘッドとを有することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記透明画像形成手段は、前記有色トナー像の画像データと前記被加熱領域の指定データとに基づいて、記録材の画像面の前記被加熱領域における有色トナー像と透明トナー像の合計のトナー載り量が均一になるように前記透明トナー像を形成することを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記有色画像形成手段と前記透明画像形成手段は、前記有色トナー像と前記透明トナー像とを記録材に転写した後に同時に記録材に定着させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記有色画像形成手段と、前記透明画像形成手段と、前記像加熱装置とが個別の筐体を備え、
前記有色画像形成手段の筐体に付設された制御部は、受信した画像形成ジョブの画像データに基づいて前記透明画像形成手段及び前記像加熱装置を制御することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
トナー像が転写及び定着された記録材を加熱処理して画像面に目的とする表面性状を付与する画像表面処理装置において、
トナー像が転写及び定着された記録材上において任意の形状に設定される被加熱領域を選択的に加熱処理してトナー像が定着された記録材の表面とは異なる表面性状を形成する像加熱装置と、
前記像加熱装置による加熱処理前の記録材に対して、前記被加熱領域のうちで前記表面性状の形成に必要なトナー載り量を満たさない領域に、前記表面性状の形成に必要なトナー載り量を満たすように透明トナー像を形成して定着させる透明画像形成手段と、を備えたことを特徴とする画像表面処理装置。
【請求項7】
トナー像が転写及び定着された記録材上の画像を読み取る画像読み取り手段を備え、
前記透明画像形成手段は、前記画像読み取り手段による画像の読み取り結果に基づいて、前記被加熱領域におけるトナー像が転写されていない領域に透明トナー像を形成することを特徴とする請求項6記載の画像表面処理装置。
【請求項8】
有色トナー像の画像データと光沢領域の指定データとに基づいて、部分光沢画像を含む画像を記録材に形成する印刷物の製造方法において、
前記画像データに基づいて形成された有色トナー像を記録材に転写して定着させる第1の工程と、
前記画像データと前記指定データとに基づいて形成された透明トナー像を記録材の白地部に転写して定着させる第2の工程と、
前記指定データに基づいてサーマルヘッドを作動させて前記光沢領域を平滑なフィルム材料に溶着させ、冷却硬化後に前記フィルム材料から引き剥がす第3の工程と、を有することを特徴とする印刷物の製造方法。
【請求項9】
有色トナー像を形成する有色画像形成部と透明トナー像を形成する透明画像形成部とを有する画像形成装置において、トナー像が転写及び定着された記録材上において任意の形状に設定される被加熱領域を選択的に加熱処理するために、前記透明画像形成部を制御するプログラムにおいて、
記録材上の有色トナー像の画像形成領域の情報を含む画像情報と、記録材上の前記被加熱領域を特定する加熱領域情報とを取得する第1ステップと、
前記被加熱領域に位置して前記有色トナー像の画像形成領域に位置しない領域に透明トナー像の画像形成領域を設定する第2ステップと、を有することを特徴とするプログラム。
【請求項10】
前記第2ステップは、前記被加熱領域に位置して前記有色トナー像の画像形成領域のトナー載り量が所定量に満たない領域にも透明トナー像の画像形成領域を設定することを特徴とする請求項9記載のプログラム。
【請求項11】
前記第2ステップにて設定された透明トナー像の画像形成領域における有色トナー像と透明トナー像の合計のトナー載り量が前記所定量になるように透明トナー像の画像形成量を設定する第3ステップを有することを特徴とする請求項10記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−226126(P2012−226126A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−93900(P2011−93900)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】