説明

画像形成装置、階調補正方法、および階調補正プログラム

【課題】より少ないデータを用いて簡単な処理で複数の階調表現方法について階調補正を行う。
【解決手段】画像形成装置は、第1の階調表現方法による複数の異なる中間調パッチの濃度を測定する。続いて、画像形成装置は、第1の階調表現方法による基準環境における階調特性からの濃度変動量、および第1の階調表現方法とは異なる第2の階調表現方法による基準環境における階調特性からの濃度変動量の相関を取得する(S203)。そして、画像形成装置は、測定された濃度の、第1の階調表現方法による基準環境における階調特性からの濃度変動量を、取得した相関にしたがって、第2の階調表現方法による基準環境における階調特性からの濃度変動量に換算し(S204)、換算された濃度変動量と第2の階調表現方法による基準環境における階調特性とを用いて、第2の階調表現方法により画像が形成される場合の中間調パッチの濃度を算出(推定)する(S205)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、階調補正方法、および階調補正プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば電子写真式の画像形成装置では、印刷画素単位での階調表現が困難である。したがって、かかる画像形成装置は、中間調を含む画像に対してディザ法や誤差拡散法等の階調表現方法による2値化処理を施すことにより、印刷において中間調を表現している。
【0003】
また、階調性が重視される写真画像や解像度が重視される文字画像等の種々の画像のデータに対して良好な結果を得るために、複数の階調表現方法を実施できる機能を備えた画像形成装置が存在する。
【0004】
ところが、複数の階調表現方法について階調補正を行う場合には、複数の異なる中間調パッチの濃度を測定する動作が複数回必要となる。このため、階調補正のための時間が増大するとともに、階調補正のために消費される印刷色材(トナー、インク)の量も増加するという問題があった。
【0005】
この問題を解決するために、「代表的な階調表現方法による階調特性」とこれに対応する「他の階調表現方法による階調特性」との組合せを予め複数記憶しておいて、実測された「代表的な階調表現方法による階調特性」に基づいて、複数の階調表現方法について階調補正を行う画像形成装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0006】
この場合、予め記憶されている複数の「代表的な階調表現方法による階調特性」の中から、実測された「代表的な階調表現方法による階調特性」に近いものが先ず選択される。続いて、選択された「代表的な階調表現方法による階調特性」に対応する「他の階調表現方法による階調特性」が採用される。そして、採用された「他の階調表現方法による階調特性」を用いて、他の階調表現方法についての階調補正が行われる。
【特許文献1】特開平8−156330号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載の画像形成装置は、多くの「階調特性の組合せ」のデータを記憶する必要がある、という問題を有している。さらに、予め記憶されている複数の「代表的な階調表現方法による階調特性」の中から、実測された「代表的な階調表現方法による階調特性」に近いものを選択する処理は、煩雑であり時間もかかる。
【0008】
本発明は上記従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、より少ないデータを用いて簡単な処理で、複数の階調表現方法について階調補正を行うことができる、画像形成装置、階調補正方法、および階調補正プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0010】
(1)第1の階調表現方法により画像が形成されてなる複数の異なる中間調パッチの濃度を測定する測定部と、前記第1の階調表現方法による基準環境における階調特性からの濃度変動量と前記第1の階調表現方法とは異なる第2の階調表現方法による基準環境における階調特性からの濃度変動量との相関を記憶する記憶部と、前記測定部により測定された濃度の、前記第1の階調表現方法による基準環境における階調特性からの濃度変動量を、前記相関にしたがって、前記第2の階調表現方法による基準環境における階調特性からの濃度変動量に換算する換算部と、前記換算部により換算された濃度変動量と前記第2の階調表現方法による基準環境における階調特性とを用いて、前記第2の階調表現方法により画像が形成される場合の複数の異なる中間調パッチの濃度を算出する算出部と、を有することを特徴とする画像形成装置。
【0011】
(2)前記測定部により測定された濃度から、前記第1の階調表現方法による画像形成において所定の階調特性を得るための第1の階調補正テーブルを生成する第1生成部と、前記算出部により算出された濃度から、前記第2の階調表現方法による画像形成において所定の階調特性を得るための第2の階調補正テーブルを生成する第2生成部と、をさらに有することを特徴とする上記(1)に記載の画像形成装置。
【0012】
(3)前記基準環境における階調特性は、画像形成に関する予め決められた一の条件下における濃度測定により取得された階調特性であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の画像形成装置。
【0013】
(4)前記基準環境における階調特性は、予め決められた一の階調特性であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の画像形成装置。
【0014】
(5)前記第1の階調表現方法および前記第2の階調表現方法はそれぞれ、スクリーン線数またはディザドット形状の異なるディザ法であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【0015】
(6)前記第1の階調表現方法および前記第2の階調表現方法はそれぞれ、スクリーン線数の異なるディザ法であって、前記相関は、よりスクリーン線数の低い方によるものを基準とした比率として設定されることを特徴とする上記(5)に記載の画像形成装置。
【0016】
(7)前記第1の階調表現方法および前記第2の階調表現方法はそれぞれ、ディザ法および誤差拡散法であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【0017】
(8)前記相関は、ディザ法によるものを基準とした比率として設定されることを特徴とする上記(7)に記載の画像形成装置。
【0018】
(9)第1の階調表現方法により画像が形成されてなる複数の異なる中間調パッチの濃度を測定するステップ(a)と、記憶部に記憶された、前記第1の階調表現方法による基準環境における階調特性からの濃度変動量と前記第1の階調表現方法とは異なる第2の階調表現方法による基準環境における階調特性からの濃度変動量との相関を取得するステップ(b)と、前記ステップ(a)において測定された濃度の、前記第1の階調表現方法による基準環境における階調特性からの濃度変動量を、前記相関にしたがって、前記第2の階調表現方法による基準環境における階調特性からの濃度変動量に換算するステップ(c)と、前記ステップ(c)において換算された濃度変動量と前記第2の階調表現方法による基準環境における階調特性とを用いて、前記第2の階調表現方法により画像が形成される場合の複数の異なる中間調パッチの濃度を算出するステップ(d)と、を有することを特徴とする階調補正方法。
【0019】
(10)前記ステップ(a)において測定された濃度から、前記第1の階調表現方法による画像形成において所定の階調特性を得るための第1の階調補正テーブルを生成するステップ(e)と、前記ステップ(d)において算出された濃度から、前記第2の階調表現方法による画像形成において所定の階調特性を得るための第2の階調補正テーブルを生成するステップ(f)と、をさらに有することを特徴とする上記(9)に記載の階調補正方法。
【0020】
(11)第1の階調表現方法により画像が形成されてなる複数の異なる中間調パッチの濃度を測定部に測定させる手順(a)と、記憶部に記憶された、前記第1の階調表現方法による基準環境における階調特性からの濃度変動量と前記第1の階調表現方法とは異なる第2の階調表現方法による基準環境における階調特性からの濃度変動量との相関を取得する手順(b)と、前記手順(a)において測定された濃度の、前記第1の階調表現方法による基準環境における階調特性からの濃度変動量を、前記相関にしたがって、前記第2の階調表現方法による基準環境における階調特性からの濃度変動量に換算する手順(c)と、前記手順(c)において換算された濃度変動量と前記第2の階調表現方法による基準環境における階調特性とを用いて、前記第2の階調表現方法により画像が形成される場合の複数の異なる中間調パッチの濃度を算出する手順(d)と、を含む処理をコンピュータに実行させるための階調補正プログラム。
【0021】
(12)前記処理は、前記手順(a)において測定された濃度から、前記第1の階調表現方法による画像形成において所定の階調特性を得るための第1の階調補正テーブルを生成する手順(e)と、前記手順(d)において算出された濃度から、前記第2の階調表現方法による画像形成において所定の階調特性を得るための第2の階調補正テーブルを生成する手順(f)と、をさらに有することを特徴とする上記(11)に記載の階調補正プログラム。
【0022】
(13)上記(11)または(12)に記載の階調補正プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、より少ないデータを用いて簡単な処理で、第1の階調表現方法により画像が形成されてなる複数の異なる中間調パッチの実測された濃度から、第2の階調表現方法により画像が形成される場合の複数の異なる中間調パッチの濃度が精度よく算出される。これにより、代表となる一の階調表現方法による階調特性の実測のみで、他の異なる階調表現方法による画像形成において所定の階調特性を得るための階調補正テーブルを生成することが可能となる。その結果、より少ない中間調パッチの印刷および補正計算で済むため階調補正処理に要する時間が短縮され、かつ印刷色材の消費量も抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる画像形成装置1の構成を示すブロック図である。本実施形態では、画像形成装置1は、電子写真式のレーザプリンタである。
【0026】
画像形成装置1は、画像形成装置1内各部の制御や各種の演算処理を行うCPU11、作業領域として一時的にプログラムやデータを記憶するRAM12、各種プログラムや各種データを格納するROM13、入力された印刷データの解析により得られたイメージデータを記憶するイメージメモリ14、イメージメモリ14からイメージデータを順次送出させるメモリアクセス制御部(Memory Access Control)15、イメージメモリ14からのイメージデータに対して階調表現方法による2値化処理を施して画像形成可能な画像データを生成するスクリーニングモジュール50、送られた画像データに基づいて印刷を行う印刷部30、およびDA/ADコンバータ21を介してCPU11と接続され中間調パッチの濃度を測定するために使用される濃度センサ22を有している。
【0027】
イメージメモリ14には、印刷解像度でビットマップ状に展開された、階調を持つイメージデータが予め記憶されている。本実施形態では、イメージデータは、1画素あたり8ビットで、256階調を持つものとする。
【0028】
メモリアクセス制御部15は、CPU11からの指令により、イメージメモリ14から画素データを順次送出するよう制御するとともに、画素データ送出に同期して、送出中の画素の座標を出力する。イメージメモリ14からの画素データ送出およびメモリアクセス制御部15からの画素座標出力は、図示しないクロック信号に同期して実行される。
【0029】
イメージメモリ14から送出された画素データおよびメモリアクセス制御部15から出力された画素座標は、スクリーニングモジュール50に入力される。
【0030】
スクリーニングモジュール50は、ディザモジュール40とLUT(ルックアップテーブル)16とで構成される。
【0031】
LUT16は順次入力される画素の濃度データを、後段のディザモジュール40における処理で参照するディザパターン番号Pnに置換する。ディザパターン番号Pnは、ディザマトリックス中Pn個の画素がONとなった、ディザパターンを指す。LUT16には、処理の開始に先立ち、CPU11により、後述する階調補正テーブル(印刷濃度補正テーブル)のデータが設定される。
【0032】
ディザモジュール40は、ディザマトリックスを格納するディザマトリックスメモリ19、入力される画素座標をディザマトリックスを参照するアドレスに変換するアドレス変換回路17,18、およびLUT16により置換されたディザパターン番号Pnとディザマトリックスメモリ19から読み出される配列要素データとを比較する比較器(CMP)20で構成されている。
【0033】
ディザモジュール40には、処理の開始に先立ち、CPU11により、ディザマトリックスのデータとそのサイズ(m,n)が格納される。
【0034】
図2は、ディザ法による2値化処理画像の階調特性の一例を示す図、図3は、図2の階調特性に対応するディザマトリックスを示す図である。
【0035】
図3に示すディザマトリックスは、24×24画素の配列で与えられる。ディザマトリックスの各画素には0から575の番号が割り当てられている。ディザマトリックスにおける画素番号の0から順番に画素をONとすることで、論理的に577階調の表現が可能である。
【0036】
図4は、図3のディザマトリックスによる中間調パターンの一部を示す図である。図4において、(a)はディザマトリックスの全画素576画素のうち25%の画素がONとなったドット率(Dot Ratio)25%の中間調パターンを示し、同様に(b)はドット率50%の中間調パターンを示し、(c)はドット率75%の中間調パターンを示す。
【0037】
図2において、横軸は上述のドット率を表しており、縦軸はドット率0%の時の濃度を0%、ドット率100%の時の濃度を100%と正規化した濃度を表している。一般に、電子写真式の画像形成装置では、印刷画素の安定性、斜線の印刷再現性などを考慮して、実際に印刷される画素は、図5の(a)において黒丸で示すように、印刷画素ピッチよりも大きい、具体的には印刷画素ピッチの概ね1.5倍の直径を持つ円形とされる。このため、図5の(a)に示す画素パターンを印刷すると、図5の(b)に示すように、ドット率で表現される面積以上の領域をドット(印刷画素)が覆うことになる。結果的に、印刷画像の階調特性は、図2中に破線で示したドット率に比例した階調特性ではなく、実線(上に凸の曲線)で示した特性となる。
【0038】
図1の説明に戻って、アドレス変換回路17,18は、イメージメモリ14から順次読み出される画素の座標X,Yを、
Mx=X mod m
My=Y mod n
(「mod」は剰余計算の関数である。すなわちMx=X−m*Floor(X/m)である。ここで「Floor」は整数部分を示す。)
の式にしたがい、参照するディザマトリックス要素の座標(Mx,My)に変換する。
【0039】
配列要素座標(Mx,My)で示されるディザマトリックス要素の値Dnが、ディザマトリックスメモリ19から出力される。
【0040】
CMP20は、入力される2つの値である、ディザパターン番号Pnとディザマトリックス要素の値Dnとを比較し、
Pn>Dnのとき、「1」(ドットあり)
Pn≦Dnのとき、「0」(ドットなし)
を出力する。
【0041】
なお、図2に示したような階調特性は、必ずしも中間調画像の印刷に適した階調特性にはなっていない。スクリーニングモジュール50のLUT16に、適切な階調補正テーブルデータを設定することで、所望の階調特性を得ることができる。
【0042】
例えば、図3に示したディザマトリックスが実装されて図2の実線で示した階調特性を示すとき、入力値である8ビット濃度値をディザパターン番号Pnである出力値に変換する、図6に示す階調補正テーブルデータを設定することにより、入力値である8ビット濃度値に比例した印刷出力濃度を得ることができる。
【0043】
中間調画像の印刷においては、入力画像の中間調階調を忠実に再現することが望ましい。また、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色の画像を重ね合わせて色再現するカラーの画像形成装置では、各色の濃度の階調特性がさらに重要である。これは、1色でも濃度階調特性が狂うと、所望の色とは異なる色で印刷出力されてしまうからである。
【0044】
しかしながら、電子写真式の画像形成装置は、温度、湿度、静電潜像を形成する感光体の感度などの広義の環境条件の影響を受け、常に一定の階調特性を示すとは限らない。例えば、先に例示した図3に示す第1のディザマトリックスを用いたディザ法による2値化処理画像の階調特性は、図7の(a)(b)(c)のような環境条件の影響による変動を示す。
【0045】
したがって、所望の階調特性を持つ印刷出力を得るためには、スクリーニングモジュール50のLUT16に設定する階調補正テーブルデータを、2値化処理画像(ディザ画像)の階調特性に応じて、適切に設定する必要がある。本実施形態では、一の階調表現方法による階調特性を取得する方法として、予め定められた複数の異なる中間調パターンの画像(中間調パッチ)を当該一の階調表現方法により作成し、その濃度を測定(検出)する方法が採用されている。
【0046】
図8は、本実施形態の画像形成装置1の機構構成の一例を示す図である。
【0047】
画像形成装置1は像担持体としての感光ドラム33を備えており、感光ドラム33は帯電装置34により一様に帯電される。印刷データは、多値のイメージデータとしてLUT16に入力され、ディザモジュール40により2値化処理が施されて画像形成可能な画像データとしてレーザ駆動部31に入力される。レーザ駆動部31より送出されたレーザ光はポリゴンミラー32により感光ドラム33に反射されて露光が行われ、感光ドラム33上に静電潜像が形成される。静電潜像は現像装置35により現像されて、トナー像が感光ドラム33上に形成される。トナー像は転写ローラ36により用紙上に転写され、残留トナーはクリーナ37により除去される。
【0048】
本実施形態では、感光ドラム33上に、図9に例示するような一連の中間調パターンの画像(中間調パッチ)が作成され、その濃度が濃度センサ22を用いて測定される。
【0049】
図10は、濃度センサ22の構成の一例を示す図である。
【0050】
濃度センサ22は、光を発する発光素子22aと、発光素子22aから発せられた光の、感光ドラム33面での反射光を受ける受光素子22bとを有している。感光ドラム33上に作成されたトナー像T上では光の乱反射および吸収が行われ、これにより受光素子22bに入る反射光量が減る。その結果として、濃度センサ22は、トナー像が感光ドラム33を覆っている割合を検知することができる。発光素子22aはDAコンバータ(DAC)を介してCPU11と接続されており、CPU11からの指令により、発光量を調整することができる。受光素子22bでの受光量は、ADコンバータ(ADC)でデジタルデータに変換され、CPU11に伝達される。
【0051】
CPU11は、中間調パッチの濃度検出に先立ち、図9の「A」で示す期間に、感光ドラム面での反射光量が所定量になるように、発光素子22aの発光量を調整する。次に、CPU11は、図9の「B」で示す期間に、最初の中間調パッチのエッジを発光量の変動で捉え、エッジ検出後、所定のタイミングで各中間調パッチの反射光量を検知する。
【0052】
ドット率(Dot Ratio)が例えば100%、87.5%、75.0%、62.5%、50.0%、37.5%、25.0%、12.5%の8個の中間調パッチが作成される。そして、各中間調パッチの濃度が測定され、測定された濃度をスプライン等の補間処理を施すことにより、図2に示したような階調特性のカーブが求められ得る。求められた階調特性のカーブから、所望の階調特性を持つ印刷出力を得るための、スクリーニングモジュール50のLUT16に設定される階調補正テーブルデータが生成される。
【0053】
本実施形態の画像形成装置1は、複数の階調表現方法としての2値化処理方法を実施する機能を備えている。
【0054】
例えば本実施形態は、「写真モード」と「文字モード」のような複数の印刷モードを備えており、印刷モードの設定により、適用する2値化処理方法が切り替えられる。この場合、「写真モード」では、電子写真機構のプロセスノイズの影響が少なくスムーズな階調表現に適した低線数のディザスクリーンによる2値化処理が行われる。一方、「文字モード」では、シャープな文字エッジの再現などを重視した高線数のディザスクリーンによる2値化処理が行われる。ここで、低線数とはスクリーン線数が低い(小さい)ことをいい、高線数とはスクリーン線数が高い(大きい)ことをいう。スクリーン線数とは、網点の細かさ(1インチに網点が何個入るか)を指し、単位はlpi(line per inch)である。
【0055】
また、印刷対象となるオブジェクトの属性にしたがって、適用する2値化処理方法を随時(ダイナミックに)切り替える構成が採用されてもよい。この方式では、印刷する画素毎にその属性情報を持っている。この場合、電子写真機構のプロセスノイズの影響が少なくスムーズな階調表現に適した低線数のディザスクリーンによる2値化処理が「イメージオブジェクト」に適用される。一方、シャープなエッジの再現を重視した高線数のディザスクリーンによる2値化処理が「テキストオブジェクト」と「グラフィックスオブジェクト」に適用される。
【0056】
また、画像形成装置1が複写機能とプリンタ機能を備えたMFP(多機能周辺機器)である場合において、プリンタモードと複写モードとで適用する2値化処理方法が切り替えられる構成が採用されてもよい。この場合、プリンタモード時には、ディザ法による2値化処理が適用され、複写モード時には、原稿のディザスクリーンとの干渉(モアレ)が起こりにくい誤差拡散法による2値化処理が適用される。
【0057】
ここで、図3に示した第1のディザマトリックスよりも高線数となる第2のディザマトリックスを図11に例示する。
【0058】
図12は、図11のディザマトリックスによる中間調パターンの一部を示す図である。図12において、(a)はディザマトリックスの全画素576画素のうち25%の画素がONとなったドット率25%の中間調パターンを示し、同様に(b)はドット率50%の中間調パターンを示し、(c)はドット率75%の中間調パターンを示す。
【0059】
図13は、図11に示す第2のディザマトリックスを用いたディザ法による2値化処理画像の階調特性の環境条件の影響による変動を示す。ここで、図13における階調特性(a)(b)(c)は、それぞれ図7における階調特性(a)(b)(c)と同環境で採取されたものである。
【0060】
図14は、各環境下における図7と図13に示した階調特性値の比率を示す図である。図14から判るように、異なる2値化処理方法間における階調特性値の比率の相関は、一意に定めることができない。図15は、第1のディザマトリックスによる図7の(a)の階調特性値と第2のディザマトリックスによる図13の(a)の階調特性値の比率を用いて、第1のディザマトリックスによる実測値から第2のディザマトリックスによる階調特性を推測計算した場合の誤差率(エラー比率)を示す図である。すなわち、図15は、上記両階調特性値の比率を用いて、第1のディザマトリックスによる実測値である図7の(b)、(c)から第2のディザマトリックスによる階調特性を推測計算した結果の、実測値である図13の(b)、(c)の階調特性値に対する比率を示している。図15から判るように、ドット率の小さいハイライト部で誤差が大きく、この場合、特にカラープリンタでのシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の3色でグレーを表現するコンポジットブラック方式において、グレーのバランスが崩れてしまうことになる。
【0061】
図7および図13に例示した階調特性の変動は、実際に印刷されるドットがカバーする面積が変動している結果を示している。すなわち、図16に示すように実際に印刷されているドットのサイズが変動しているものとみなすことができる。
【0062】
図16は、実際に印刷されているドットのサイズの変動によってドットがカバーする面積が変動する様子を示す図である。図16において、(a)はサイズの異なる3種類のドットを示し、(b)〜(d)は各サイズのドットにより、同一の画素パターンを印刷した結果を示す。
【0063】
図16から、ドットサイズの変動によるドットがカバーする面積の変動は、画素パターンの外周部で発生していることが判る。すなわち、ドットサイズの変動による濃度変動は、画素パターンの外周部で発生する。また、ディザ法による2値化処理された画像では、ディザマトリックスによって各ドット率における画素パターンが一意に決定され、誤差拡散法による2値化処理された画像でも、十分広い面では各ドット率における画素パターンは概ね確定する、ということが既に判っている。このような知見に基づいて、本実施形態は、以下のステップを有する階調補正方法を提供する。
【0064】
(1)第1および第2の異なる画像2値化処理方法(階調表現方法)による基準環境における(基準)階調特性を予め取得して記憶する。
【0065】
(2)第1の画像2値化処理方法による基準環境における階調特性からの濃度変動量と第2の画像2値化処理方法による基準環境における階調特性からの濃度変動量との相関を予め取得して記憶する。
【0066】
(3)第1の画像2値化処理方法により画像が形成されてなる複数の異なる中間調パッチの濃度を実測し、その基準環境における(基準)階調特性からの変動量を算出する。
【0067】
(4)算出した第1の画像2値化処理方法による中間調パッチの濃度変動量と、濃度変動量の相関とから、第2の画像2値化処理方法による中間調パッチの濃度変動量を算出(推定)する。
【0068】
(4)算出した第2の画像2値化処理方法による中間調パッチの濃度変動量と第2の画像2値化処理方法における(基準)階調特性とから、第2の画像2値化処理方法による中間調パッチの濃度を算出(推定)する。
【0069】
(5)算出した第2の画像2値化処理方法による中間調パッチの濃度から、第2の画像2値化処理方法による階調特性を生成する。
【0070】
(6)生成された第2の画像2値化処理方法による階調特性から、第2の画像2値化処理に適用する、所望の階調特性を持つ印刷出力を得るための、スクリーニングモジュール50のLUT16に設定する階調補正テーブルのデータを生成する。
【0071】
次に、本実施形態の画像形成装置における階調補正に関する動作について説明する。
【0072】
画像形成装置1のROM13には、CPU11が実行するレーザプリンタ制御プログラムと、当該プログラムの実行に必要な各種データが予め格納されている。
【0073】
ROM13に格納されているプログラム実行に必要な各種データには、図3に示す第1のディザマトリックス、図11に示す第2のディザマトリックス、図17の(a)に示す第1のディザマトリックスによる中間調パッチの基準環境における第1の基準階調特性、図17の(b)に示す第2のディザマトリックスによる中間調パッチの基準環境における第2の基準階調特性、図18に示す第1のディザマトリックスによる中間調パッチの第1の基準階調特性からの変動量に対する、第2のディザマトリックスによる中間調パッチの第2の基準階調特性からの変動量の比率を示す相関、および図19に示す印刷出力時の目標とする階調特性、が含まれる。第1の基準階調特性、第2の基準階調特性、および変動量の相関として、予め実測により求められたデータが格納される。
【0074】
図20は、画像形成装置1における階調補正テーブル(1)の生成処理の手順を示すフローチャートである。なお、図20のフローチャートにより示されるアルゴリズムは、画像形成装置1のROM13などの記憶部にプログラムとして記憶されており、当該プログラムはCPU11によって実行される。
【0075】
階調補正テーブル(1)は、第1の画像2値化処理方法(階調表現方法)に適用するための変換テーブルである。この階調補正テーブル(1)は、所望の階調特性を持つ印刷出力を得るために、スクリーニングモジュール50のLUT16に設定される。
【0076】
まず、ドット率100%、87.5%、75.0%、62.5%、50.0%、37.5%、25.0%、12.5%の8個の、第1のディザマトリックスにより2値化処理した中間調パッチ(トナー像)が感光ドラム33上に形成される(S101)。
【0077】
続いて、感光ドラム33上に形成された各中間調パッチの濃度(1)が濃度センサ22を用いて測定され(S102)、RAM12に保存される(S103)。
【0078】
測定された各中間調パッチの濃度に対してスプライン補間処理が施されて、第1の画像2値化処理方法による階調特性(1)が算出される(S104)。ここで、階調特性(1)はテーブルで与えられる。
【0079】
続いて、ROM13に保存されている目標階調特性が取得される(S105)。
【0080】
そして、算出された階調特性(1)から、第1のディザマトリックスによる画像2値化処理適用時に所望の目標階調特性の印刷出力を得るための、階調補正テーブル(1)のデータが生成され(S106)、RAM12に保存される(S107)。
【0081】
図21は、画像形成装置1における階調補正テーブル(2)の生成処理の手順を示すフローチャートである。なお、図21のフローチャートにより示されるアルゴリズムは、画像形成装置1のROM13などの記憶部にプログラムとして記憶されており、当該プログラムはCPU11によって実行される。
【0082】
階調補正テーブル(2)は、第2の画像2値化処理方法(階調表現方法)に適用するための変換テーブルである。この階調補正テーブル(2)は、所望の階調特性を持つ印刷出力を得るために、スクリーニングモジュール50のLUT16に設定される。
【0083】
まず、ROM13から、第1の画像2値化処理方法(階調表現方法)による基準環境における第1の基準階調特性が取得される(S201)。
【0084】
続いて、ステップS103で保存された各中間調パッチの濃度(1)の第1の基準階調特性からの変動量(差分)(1)が算出される(S202)。
【0085】
続いて、ROM13から、変動量の相関が取得される(S203)。
【0086】
そして、取得された変動量の相関にしたがって、ステップS202で算出された変動量(1)が、第2の基準階調特性からの変動量(2)に変換される(S204)。
【0087】
換算された変動量(2)と第2の基準階調特性とから、第2のディザマトリックスにより2値化処理した中間調パッチの濃度が算出(推定)され(S205)、RAM12に保存される(S206)。
【0088】
算出された各中間調パッチの濃度に対してスプライン補間処理が施されて、第2の画像2値化処理方法による階調特性(2)が算出される(S207)。ここで、階調特性(2)はテーブルで与えられる。
【0089】
そして、算出された階調特性(2)から、第2のディザマトリックスによる画像2値化処理適用時に所望の目標階調特性の印刷出力を得るための、階調補正テーブル(2)のデータが生成され(S208)、RAM12に保存される(S209)。
【0090】
図20および図21のフローチャートで示す処理により生成された階調補正テーブル(1)および(2)は、上述のようにRAM12に保存される。そして、第1のディザマトリックスによる画像2値化処理を適用する印刷を実施する場合、ディザモジュール40のディザマトリックスメモリ19に図3に示す第1のディザマトリックスが設定され、同時にスクリーニングモジュール50のLUT16に階調補正テーブル(1)のデータが設定される。一方、第2のディザマトリックスによる画像2値化処理を適用する印刷を実施する場合、ディザモジュール40のディザマトリックスメモリ19に図11に示す第2のディザマトリックスが設定され、同時にスクリーニングモジュール50のLUT16に階調補正テーブル(2)のデータが設定される。
【0091】
次に、第1の実施形態による効果について説明する。
【0092】
図22は、2つの異なる環境(ケース1、ケース2)で実測された、第1のディザマトリックスにより2値化処理した中間調パッチの濃度の一例を示す。ここで、中間調パッチは、ドット率100%、87.5%、75.0%、62.5%、50.0%、37.5%、25.0%、12.5%の8個のパッチから構成される。
【0093】
そして、図23は、図22に示される中間調パッチの実測濃度から算出される、第2のディザマトリックスにより2値化処理した中間調パッチの(予測)濃度を示す。
【0094】
一方、図24は、上記2つの異なる環境(ケース1、ケース2)で実測された、第2のディザマトリックスにより2値化処理した中間調パッチの濃度を示す。
【0095】
図25は、実測された中間調パッチの濃度に対する、算出された中間調パッチの濃度の比率(エラー比率)を示す図である。図25から、濃度変動が特に目立ちやすい低濃度部において十分小さい誤差に収まっていることが判る。
【0096】
なお、図7および図13に示すように、より高線数である第2のディザマトリックスの方が、ドット率が高くなるにしたがって、より早く濃度100%近くに飽和する傾向にある。したがって、本実施形態では、変動量の相関は、よりスクリーン線数の低い方によるものを基準とした比率として設定される。すなわち、変動量の相関の基準となる第1のディザマトリックスは、スクリーン線数の低いものの方が選択される。これにより、高濃度部においても、好ましい階調補正テーブルを得ることが可能となる。また、ディザ法と誤差拡散法とを組み合わせる場合、誤差拡散法は非常に高い線数のディザスクリーンとみなすことができるので、変動量の相関は、ディザ法によるものを基準とした比率として設定される。
【0097】
このように本実施形態では、画像形成装置1は、第1の階調表現方法により画像が形成されてなる複数の異なる中間調パッチの濃度を測定する。続いて、画像形成装置1は、ROM13に記憶された、第1の階調表現方法による基準環境における階調特性からの濃度変動量と第1の階調表現方法とは異なる第2の階調表現方法による基準環境における階調特性からの濃度変動量との相関を取得する。そして、画像形成装置1は、測定された濃度の、第1の階調表現方法による基準環境における階調特性からの濃度変動量を、取得した相関にしたがって、第2の階調表現方法による基準環境における階調特性からの濃度変動量に換算し、換算された濃度変動量と第2の階調表現方法による基準環境における階調特性とを用いて、第2の階調表現方法により画像が形成される場合の複数の異なる中間調パッチの濃度を算出(推定)する。
【0098】
したがって、本実施形態によれば、より少ないデータを用いて簡単な処理で、第1の階調表現方法により画像が形成されてなる複数の異なる中間調パッチの実測された濃度から、第2の階調表現方法により画像が形成される場合の複数の異なる中間調パッチの濃度が精度よく算出される。これにより、代表となる一の階調表現方法による階調特性の実測のみで、他の異なる階調表現方法による画像形成において所定の階調特性を得るための階調補正テーブルを生成することが可能となる。その結果、より少ない中間調パッチの印刷および補正計算で済むため階調補正処理に要する時間が短縮され、かつ印刷色材の消費量も抑えることができる。
【0099】
次に、第2の実施形態について説明する。
【0100】
第2の実施形態の画像形成装置は、第1の実施形態と同構成であるが、ROM13に格納されているプログラム実行に必要な各種データのうち、以下のものが第1の実施形態と異なる。
【0101】
すなわち、第2の実施形態の画像形成装置のROM13には、図26の(a)に示す第1のディザマトリックスによる中間調パッチの基準環境における第1の基準階調特性、図26の(b)に示す第2のディザマトリックスによる中間調パッチの基準環境における第2の基準階調特性、および図27に示す第1のディザマトリックスによる中間調パッチの第1の基準階調特性からの変動量に対する、第2のディザマトリックスによる中間調パッチの第2の基準階調特性からの変動量の比率を示す相関が格納される。
【0102】
第2の実施形態では、第1の基準階調特性、および第2の基準階調特性は、ドット率が中間調パッチの濃度と一致する、仮想的な理想状態を表している。一方、変動量の相関として、予め基準環境下で第1および第2のディザマトリックスによる中間調パッチの濃度をそれぞれ実測することにより求められたデータが格納される。
【0103】
次に、第2の実施形態による効果について説明する。
【0104】
図28は、2つの異なる環境(ケース1、ケース2)で実測された、第1のディザマトリックスにより2値化処理した中間調パッチの濃度の一例を示す。ここで、中間調パッチは、ドット率100%、87.5%、75.0%、62.5%、50.0%、37.5%、25.0%、12.5%の8個のパッチから構成される。
【0105】
そして、図29は、図28に示される中間調パッチの実測濃度から算出される、第2のディザマトリックスにより2値化処理した中間調パッチの(予測)濃度を示す。
【0106】
一方、図30は、上記2つの異なる環境(ケース1、ケース2)で実測された、第2のディザマトリックスにより2値化処理した中間調パッチの濃度を示す。
【0107】
図31は、実測された中間調パッチの濃度に対する、算出された中間調パッチの濃度の比率(エラー比率)を示す図である。図31から、濃度変動が特に目立ちやすい低濃度部において、第1の実施形態と比較して若干大きいものの十分小さい誤差に収まっていることが判る。
【0108】
このように第2の実施形態によれば第1の実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0109】
また、第1の実施形態では、少なくとも基準環境下および基準環境とは異なる環境下の2つの環境下で、第1および第2のディザマトリックスによる中間調パッチの濃度をそれぞれ実測して変動量の相関を求める必要がある。一方、第2の実施形態では、仮想的な理想状態が基準階調特性とされる。したがって、第2の実施形態では、1つの環境下で第1および第2のディザマトリックスによる中間調パッチの濃度をそれぞれ実測して変動量の相関を求めるだけで済む利点がある。
【0110】
本発明は、上記した実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内において、種々改変することができる。
【0111】
例えば、上記実施形態では、複数の階調表現方法として、スクリーン線数の異なるディザ法が挙げられている。また、複数の階調表現方法として、ディザ法と誤差拡散法との組合せの例が挙げられている。但し、本発明は、複数の階調表現方法が、ディザドット形状の異なるディザ法である場合にも適用可能である。図32は、図4とはディザドット形状の異なる中間調パターンの一部を例示する図である。図4および図32に示されるディザドット形状の異なる中間調パターンが得られるような複数の階調表現方法が実施される場合にも、本発明による効果を得ることが可能である。
【0112】
また、本発明は、電子写真式の作像方式のみならず、インクジェット式等の他の作像方式にも適用可能である。
【0113】
また、上記実施形態では、画像2値化処理方法(階調表現方法)を実現するための画像2値化回路が画像形成装置の中に内包された構成の場合について述べたが、画像2値化回路を含む画像処理装置と画像形成装置とが分離されて互いに接続された構成であってもよい。
【0114】
また、上記実施形態では、画像形成装置としてプリンタが例示されているが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、例えばMFP(Multi−Function Peripheral)、複写機等の他の画像形成装置にも適用可能である。
【0115】
本実施形態の画像形成装置における各種処理を行う手段および方法は、専用のハードウェア回路、またはプログラムされたコンピュータのいずれによっても実現することが可能である。上記プログラムは、たとえばフレキシブルディスクやCD−ROMなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ハードディスク等の記憶部に転送されて記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、装置の一機能としてその装置のソフトウェアに組み込まれてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】ディザ法による2値化処理画像の階調特性の一例を示す図である。
【図3】図2の階調特性に対応するディザマトリックスを示す図である。
【図4】図3のディザマトリックスによる中間調パターンの一部を示す図である。
【図5】印刷画素ピッチの概ね1.5倍の直径を持つ円形のドットで印刷される様子を示す図である。
【図6】階調補正テーブルデータの一例を示す図である。
【図7】図3に示す第1のディザマトリックスを用いたディザ法による2値化処理画像の階調特性の環境条件の影響による変動を示す図である。
【図8】画像形成装置の機構構成の一例を示す図である。
【図9】感光ドラム上に形成される一連の中間調パッチの一例を示す図である。
【図10】濃度センサの構成の一例を示す図である。
【図11】図3に示す第1のディザマトリックスよりも高線数となる第2のディザマトリックスの一例を示す図である。
【図12】図11のディザマトリックスによる中間調パターンの一部を示す図である。
【図13】図11に示す第2のディザマトリックスを用いたディザ法による2値化処理画像の階調特性の環境条件の影響による変動を示す図である。
【図14】各環境下における図7と図13に示した階調特性値の比率を示す図である。
【図15】第1のディザマトリックスによる図7の(a)の階調特性値と第2のディザマトリックスによる図13の(a)の階調特性値の比率を用いて、第1のディザマトリックスによる実測値から第2のディザマトリックスによる階調特性を推測計算した場合の誤差率(エラー比率)を示す図である。
【図16】実際に印刷されているドットのサイズの変動によってドットがカバーする面積が変動する様子を示す図である。
【図17】第1のディザマトリックスによる中間調パッチの基準環境における第1の基準階調特性、および第2のディザマトリックスによる中間調パッチの基準環境における第2の基準階調特性を示す図である。
【図18】第1のディザマトリックスによる中間調パッチの第1の基準階調特性からの変動量に対する、第2のディザマトリックスによる中間調パッチの第2の基準階調特性からの変動量の比率である相関を示す図である。
【図19】印刷出力時の目標とする階調特性を示す図である。
【図20】画像形成装置における階調補正テーブル(1)の生成処理の手順を示すフローチャートである。
【図21】画像形成装置における階調補正テーブル(2)の生成処理の手順を示すフローチャートである。
【図22】2つの異なる環境で実測された、第1のディザマトリックスにより2値化処理した中間調パッチの濃度の一例を示す図である。
【図23】図22に示される中間調パッチの実測濃度から算出される、第2のディザマトリックスにより2値化処理した中間調パッチの(予測)濃度を示す図である。
【図24】2つの異なる環境で実測された、第2のディザマトリックスにより2値化処理した中間調パッチの濃度を示す図である。
【図25】実測された中間調パッチの濃度に対する、算出された中間調パッチの濃度の比率(エラー比率)を示す図である。
【図26】第2の実施形態における、第1のディザマトリックスによる中間調パッチの基準環境における第1の基準階調特性、および第2のディザマトリックスによる中間調パッチの基準環境における第2の基準階調特性を示す図である。
【図27】第2の実施形態における、第1のディザマトリックスによる中間調パッチの第1の基準階調特性からの変動量に対する、第2のディザマトリックスによる中間調パッチの第2の基準階調特性からの変動量の比率である相関を示す図である。
【図28】第2の実施形態における、2つの異なる環境で実測された、第1のディザマトリックスにより2値化処理した中間調パッチの濃度の一例を示す図である。
【図29】図28に示される中間調パッチの実測濃度から算出される、第2のディザマトリックスにより2値化処理した中間調パッチの(予測)濃度を示す図である。
【図30】第2の実施形態における、2つの異なる環境で実測された、第2のディザマトリックスにより2値化処理した中間調パッチの濃度を示す図である。
【図31】第2の実施形態における、実測された中間調パッチの濃度に対する、算出された中間調パッチの濃度の比率(エラー比率)を示す図である。
【図32】図4とはディザドット形状の異なる中間調パターンの一部を例示する図である。
【符号の説明】
【0117】
1 画像形成装置、
11 CPU
12 RAM、
13 ROM、
14 イメージメモリ、
15 メモリアクセス制御部、
16 LUT、
17,18 アドレス変換回路、
19 ディザマトリックスメモリ、
20 CMP、
21 DA/ADコンバータ、
22 濃度センサ、
22a 発光素子、
22b 受光素子、
30 印刷部、
33 感光ドラム、
40 ディザモジュール、
50 スクリーニングモジュール、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の階調表現方法により画像が形成されてなる複数の異なる中間調パッチの濃度を測定する測定部と、
前記第1の階調表現方法による基準環境における階調特性からの濃度変動量と前記第1の階調表現方法とは異なる第2の階調表現方法による基準環境における階調特性からの濃度変動量との相関を記憶する記憶部と、
前記測定部により測定された濃度の、前記第1の階調表現方法による基準環境における階調特性からの濃度変動量を、前記相関にしたがって、前記第2の階調表現方法による基準環境における階調特性からの濃度変動量に換算する換算部と、
前記換算部により換算された濃度変動量と前記第2の階調表現方法による基準環境における階調特性とを用いて、前記第2の階調表現方法により画像が形成される場合の複数の異なる中間調パッチの濃度を算出する算出部と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記測定部により測定された濃度から、前記第1の階調表現方法による画像形成において所定の階調特性を得るための第1の階調補正テーブルを生成する第1生成部と、
前記算出部により算出された濃度から、前記第2の階調表現方法による画像形成において所定の階調特性を得るための第2の階調補正テーブルを生成する第2生成部と、
をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記基準環境における階調特性は、画像形成に関する予め決められた一の条件下における濃度測定により取得された階調特性であることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記基準環境における階調特性は、予め決められた一の階調特性であることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1の階調表現方法および前記第2の階調表現方法はそれぞれ、スクリーン線数またはディザドット形状の異なるディザ法であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1の階調表現方法および前記第2の階調表現方法はそれぞれ、スクリーン線数の異なるディザ法であって、前記相関は、よりスクリーン線数の低い方によるものを基準とした比率として設定されることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第1の階調表現方法および前記第2の階調表現方法はそれぞれ、ディザ法および誤差拡散法であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記相関は、ディザ法によるものを基準とした比率として設定されることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
第1の階調表現方法により画像が形成されてなる複数の異なる中間調パッチの濃度を測定するステップ(a)と、
記憶部に記憶された、前記第1の階調表現方法による基準環境における階調特性からの濃度変動量と前記第1の階調表現方法とは異なる第2の階調表現方法による基準環境における階調特性からの濃度変動量との相関を取得するステップ(b)と、
前記ステップ(a)において測定された濃度の、前記第1の階調表現方法による基準環境における階調特性からの濃度変動量を、前記相関にしたがって、前記第2の階調表現方法による基準環境における階調特性からの濃度変動量に換算するステップ(c)と、
前記ステップ(c)において換算された濃度変動量と前記第2の階調表現方法による基準環境における階調特性とを用いて、前記第2の階調表現方法により画像が形成される場合の複数の異なる中間調パッチの濃度を算出するステップ(d)と、
を有することを特徴とする階調補正方法。
【請求項10】
前記ステップ(a)において測定された濃度から、前記第1の階調表現方法による画像形成において所定の階調特性を得るための第1の階調補正テーブルを生成するステップ(e)と、
前記ステップ(d)において算出された濃度から、前記第2の階調表現方法による画像形成において所定の階調特性を得るための第2の階調補正テーブルを生成するステップ(f)と、
をさらに有することを特徴とする請求項9に記載の階調補正方法。
【請求項11】
第1の階調表現方法により画像が形成されてなる複数の異なる中間調パッチの濃度を測定部に測定させる手順(a)と、
記憶部に記憶された、前記第1の階調表現方法による基準環境における階調特性からの濃度変動量と前記第1の階調表現方法とは異なる第2の階調表現方法による基準環境における階調特性からの濃度変動量との相関を取得する手順(b)と、
前記手順(a)において測定された濃度の、前記第1の階調表現方法による基準環境における階調特性からの濃度変動量を、前記相関にしたがって、前記第2の階調表現方法による基準環境における階調特性からの濃度変動量に換算する手順(c)と、
前記手順(c)において換算された濃度変動量と前記第2の階調表現方法による基準環境における階調特性とを用いて、前記第2の階調表現方法により画像が形成される場合の複数の異なる中間調パッチの濃度を算出する手順(d)と、
を含む処理をコンピュータに実行させるための階調補正プログラム。
【請求項12】
前記処理は、前記手順(a)において測定された濃度から、前記第1の階調表現方法による画像形成において所定の階調特性を得るための第1の階調補正テーブルを生成する手順(e)と、
前記手順(d)において算出された濃度から、前記第2の階調表現方法による画像形成において所定の階調特性を得るための第2の階調補正テーブルを生成する手順(f)と、をさらに有することを特徴とする請求項11に記載の階調補正プログラム。
【請求項13】
請求項11または12に記載の階調補正プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−302669(P2009−302669A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−152057(P2008−152057)
【出願日】平成20年6月10日(2008.6.10)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】