説明

画像形成装置およびそのジョブ管理方法

【課題】予約ジョブ機能を備えた画像形成装置であって,不要なジョブの登録を解除する手間を省くとともに,不要な印刷物の出力を防止した画像形成装置およびそのジョブ管理方法を提供すること。
【解決手段】現在実行中のジョブの有無を判断する。実行中のジョブが無いと判断した場合には,待機ジョブが存在するか否かを判断する。待機ジョブがあると判断した場合には,そのジョブの実行を開始する。一方,待機ジョブが無いと判断した場合には,期限切れの予約ジョブが存在するか否かを判断する。期限切れの予約ジョブがあると判断した場合には,予約ジョブ管理テーブルからその予約ジョブに対応するレコードを削除する。一方,期限切れの予約ジョブが無いと判断した場合には,最優先の予約ジョブを実行ジョブ管理テーブルに登録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,ネットワークを介して送信されてくるジョブ,あるいは操作部から入力されるジョブの情報に従って画像を形成する画像形成装置およびそのジョブ管理方法に関する。さらに詳細には,画像形成装置の稼働率が低いときにジョブを実行する予約ジョブ機能を設けた画像形成装置およびそのジョブ管理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年,複写機,FAX,プリンタ等の機能が統合された多機能の画像形成装置が数多く商品化されている。このような画像形成装置は,多くの情報端末機器とネットワークを介して接続されており,プリントジョブを装置に設けられた操作部からだけではなく外部機器からも指示することが可能になっている。これに伴い,ジョブ管理が複雑化するとともに,画像形成装置自体の稼働率も高くなっている。そのため,ジョブが一時期に集中すると,入力したジョブがなかなか実行されないという状況が発生してしまう。
【0003】
この問題を解決する手段として,例えば画像形成装置の稼働率が低いときに実行されるジョブの設定を可能とする予約ジョブ機能を有する画像形成装置が提供されている(例えば,特許文献1)。予約ジョブ機能を有する画像形成装置では,大量部数のプリントジョブを送る際に,そのジョブを予約ジョブとすることでジョブの集中を回避することができる。
【特許文献1】特開平6−268781号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら,従来の予約ジョブ機能付き画像形成装置には,次のような問題があった。例えば,会議での大量部数の資料配布を目的として,画像データを印刷するプリントジョブを予約ジョブとして設定したとする。その場合,画像形成装置のジョブの受付状況によっては,予定していた会議の直前になっても予約ジョブが実行されず,会議終了後になってようやく予約ジョブが実行されることがある。このような状況になると,不要な印刷物が大量に作られる。
【0005】
上記の状況を回避するには,画像形成装置のジョブの受付状況をこまめに監視しなければならない。そして,会議の開始時間に間に合いそうにない場合には,予約ジョブの登録を解除しなければならい。このような作業は極めて面倒である。
【0006】
本発明は,前記した従来の画像形成装置が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,予約ジョブ機能を備えた画像形成装置であって,不要なジョブの登録を解除する手間を省くとともに,不要な印刷物の出力を防止した画像形成装置およびそのジョブ管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題の解決を目的としてなされた画像形成装置は,ジョブの情報に従って画像を形成する画像形成装置であって,実行可能なジョブが登録され,登録されているジョブの処理状況を監視するとともにジョブの実行を指示する第1ジョブ管理部と,有効期限が付されたジョブが登録され,第1ジョブ管理部に登録されているジョブに待機中のジョブがなければ,登録されているジョブのうち,最優先のジョブを第1ジョブ管理部に登録する第2ジョブ管理部とを有し,第2ジョブ管理部は,ジョブに付されている有効期限と,ジョブが実行される時刻とを基に期限切れのジョブを抽出し,抽出したジョブの登録を解除することを特徴とするものである。
【0008】
本発明の画像形成装置では,第1ジョブ管理部に実行可能なジョブが登録されており,第1ジョブ管理部からの指示により登録されているジョブが順次実行される。また,第1ジョブ管理部は,登録されている各ジョブの処理状況を監視している。すなわち,各ジョブについて,実行中(処理中)であるか,実行後(完了)であるか,実行前(待機中)であるかを常に認識している。また,第2ジョブ管理部にもジョブが登録されている。第2ジョブ管理部に登録されているジョブは,第1ジョブ管理部に管理されているジョブに待機中のジョブがなければ第1ジョブ管理部に登録され,第1ジョブ管理部により実行される。すなわち,第2ジョブ管理部に登録されているジョブは,画像形成装置の稼働率が低いときに実行されるジョブ(予約ジョブ)である。つまり,本発明の画像形成装置は,予約ジョブ機能を備えている。なお,ジョブを,通常のジョブ,すなわち始めから第1ジョブ管理部に登録されるジョブとするか,予約ジョブ,すなわち第2ジョブ管理部に登録されるジョブとするかは,ユーザの選択によって,あるいは各種機能の仕様によって決められる。
【0009】
さらに,第2ジョブ管理部に登録されているジョブには,有効期限の情報が付されている。そして,第2ジョブ管理部は,その有効期限と,ジョブが実行される時刻とを基に有効期限が過ぎたジョブ,すなわち期限切れのジョブを抽出している。さらには,その抽出した期限切れのジョブの登録を解除している。これにより,期限切れのジョブの実行を回避することができる。つまり,不要となった印刷物が出力される状況を回避することができる。この有効期限の判断を定期的に,あるいは第2ジョブ管理部に登録されているジョブを第1ジョブ管理部に転記する際に行うことで,自動的に期限切れのジョブの登録を解除することができる。よって,ユーザによるジョブの監視を回避し,期限切れのジョブを解除する手間を省くことができる。
【0010】
また,第2ジョブ管理部に登録されているジョブには,そのジョブの所要時間が付されており,第2ジョブ管理部は,ジョブの有効期限から所要時間を差し引いた時刻とジョブが実行される時刻とを比較し,その比較結果を基にそのジョブが期限切れであるか否かを決定することとするとよりよい。また,第1ジョブ管理部に登録されているジョブには,そのジョブの所要時間情報が付されており,第2ジョブ管理部は,現在時刻に,第1ジョブ管理部に登録されているジョブのうち,待機中のジョブの所要時間を加えた時刻をジョブが実行される時刻とすることとしてもよい。これにより,予約ジョブの期限切れについてより正確な判断が可能になる。なお,ジョブの所要時間は,出力画像のページ数や部数等から予測し,そのジョブの付加情報としてあらかじめ登録しておく。
【0011】
また,本発明の画像形成装置のジョブ管理方法は,ジョブの情報に従って画像を形成する画像形成装置のジョブ管理方法であって,ジョブの情報を第1ジョブ管理部に登録するステップと,第1ジョブ管理部に登録されているジョブを優先順位が高い順に実行するステップと,有効期限が付されたジョブの情報を第2ジョブ管理部に登録するステップと,第1ジョブ管理部に登録されているジョブの実行状況を監視し,待機中のジョブがあれば,その待機中のジョブを実行し,待機中のジョブがなければ,第2ジョブ管理部に管理されているジョブのうち,最優先のジョブを第1ジョブ管理部に登録するステップと,第2ジョブ管理部に管理されているジョブの有効期限と,ジョブが実行される時刻とを基に期限切れのジョブを抽出し,抽出したジョブの登録を解除するステップとを含むことを特徴している。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば,予約ジョブに有効期限を付し,期限切れのジョブについては自動的にその登録を解除することとしている。そのため,有効期限が過ぎてから不要となった印刷物が出力される状況を回避することができる。また,期限切れのジョブの登録を解除する手間を省くことができる。よって,予約ジョブ機能を備えた画像形成装置であって,不要なジョブを解除する手間を省くとともに,不要な印刷物の出力を防止した画像形成装置およびそのジョブ管理方法が提供されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下,本発明を具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。なお,本実施の形態は,複写機としての機能とプリンタとしての機能とを有する複合機に本発明を適用したものである。
【0014】
実施の形態に係る画像形成システムは,図1に示すように構成されている。すなわち,画像形成システムには,複合機1と,パーソナルコンピュータ(PC)2と,デジタルカメラ3と,デジタルビデオカメラ4と,携帯情報端末機器(PDA)5と,ファクシミリ装置(FAX)6とがネットワーク(LAN)7を介して接続されている。そして,各構成機器は,互いにデータの送受信が可能になっている。
【0015】
複合機1は,装置内の所定の箇所にセットされた原稿の画像を読み撮って記録紙にプリントする機能(コピー機能)や,LAN7に接続された外部端末機器から印刷指示を受け取りその指示に従って記録紙にプリントする機能(プリント機能)を有している。また,これらの他にも,外部端末機器から送られてきた画像データを保管する機能や,保管されている画像データを記録紙にプリントする機能等,複数の機能を有している。
【0016】
PC2は,CPU,メモリ,ハードディスクドライブ(HDD)等からなる本体と,モニタ装置と,キーボードやマウス等の入力装置とを備えている。また,PC2には,文書,図面等の作成が可能なアプリケーションソフトが組み込まれており,作成した文書等のプリントあるいは保存を複合機1に指示することができる。
【0017】
デジタルカメラ3,デジタルビデオカメラ4,携帯端末機器5,ファクシミリ装置6は,それぞれ公知の装置であり,撮影した画像のプリントあるいは保存を複合機1に指示することができる。
【0018】
図2は,複合機1の本体の断面を示す図である。複合機1は,電子写真方式のデジタル複合機であり,原稿を1枚ずつ分離した状態で自動的に搬送する原稿自動搬送部10と,原稿の画像を読み撮る画像読撮部30と,記録紙上に画像を形成する画像形成部50と,記録紙を供給する給紙部70とを備えている。
【0019】
原稿自動搬送部10は,原稿給紙トレイ11と,排紙トレイ12と,プラテンガラス20とを備えている。原稿自動搬送部10では,原稿給紙トレイ11上にセットされた原稿が1枚ずつ自動的にプラテンガラス20上の所定の位置に搬送される。そして,原稿読撮部30にて原稿の画像を読み撮った後,その原稿が排紙トレイ12上に排出される。
【0020】
画像読撮部30は,プラテンガラス20の下方を図2中の矢印A方向に走行する第1スライダユニット31を備えている。第1スライダユニット31は,移動の開始位置(走査開始位置,シェーディング補正板22の真下の位置)を左端とし,原稿読み撮り位置に搬送された原稿の大きさ等に応じた所定の距離を矢印Aで示した方向に移動することによって原稿の画像を読み撮ることができる。画像読撮部30は,露光ランプ311の照射によって得られる原稿の反射光を第1ミラー312,第2ミラー321,第3ミラー322によって光路変更しつつ,レンズ34を介してCCDセンサ33に結像させる。CCDセンサ33では,入射光が電気信号に変換され,その電気信号が原稿データとして制御部100に送られる。
【0021】
制御部100では,送られてきた原稿データに対してシェーディング補正,位置ずれ補正,明度/色空間変換,ガンマ補正,枠消し,色/移動編集等の画像処理が施され,画像処理後のデータが画像データとしてプリントデータ格納部に記憶される。そして,画像形成時には画像データがプリントデータ格納部から読み出され,その画像データが階調データに変換される。そして,その階調データを基に記録紙の搬送と同期してレーザダイオード58が駆動される。なお,制御部100の詳細については後述する。
【0022】
画像形成部50は,感光体ドラム51,レーザダイオード58,ポリゴンミラー59,帯電チャージャ53,現像器54,転写チャージャ55,分離チャージャ56,クリーナ52等を備えている。そして,制御部100から出力された駆動信号を基にレーザダイオード58からレーザ光が射出される。射出されたレーザ光は,一定速度で回転駆動されるポリゴンミラー59にて偏向走査され,図2中の矢印B方向に回転駆動される感光体ドラム51上に照射される。
【0023】
また,感光体ドラム51の表面は,クリーナ52によって残留トナーが除去され,帯電チャージャ53により一様に帯電されている。そして,感光体ドラム51の表面は,レーザ光が照射されることにより露光走査され,静電潜像が形成される。そして,その静電潜像は,現像器54により現像されてトナー像となり,転写チャージャ55により給紙部70から搬送されてくる記録紙上に転写される。
【0024】
トナー像が転写された記録紙は,分離チャージャ56により感光体ドラム51から分離し,搬送ベルト57により定着部60に搬送される。そして,定着部60での加熱圧着作用により,トナー像が記録紙上に定着する。定着後の記録紙は,排紙ローラ62により排紙トレイ63上に排出される。
【0025】
給紙部70は,記録紙を収納する給紙カセット71,72と,この記録紙を送り出すためのピックアップローラ711,721を備え,画像形成部50に指示されたサイズの記録紙を供給する。
【0026】
また,複合機1の前面には,操作パネル90が設置されている。図3は,操作パネル90の構成を示している。操作パネル90は,コピー開始の指示等を行うためのスタートキー91と,コピー枚数等の値を入力するためのテンキー92と,入力されたコピー枚数の値をゼロに戻すためのクリアキー93と,コピー動作の中断を指示するためのストップキー94と,各種機能の設定やメッセージの表示を行うための液晶表示部95とを備えている。
【0027】
液晶表示部95は,表面にタッチパネルが積層されており,コピー濃度,コピー倍率,用紙選択,コピーモード,予約コピー等の設定の入力を受け付けるものである。さらには,コピー枚数や複合機1の状態を示すメッセージの表示を行うものである。なお,図3は,メッセージとして「コピーできます」,コピー倍率として「1.000」倍,用紙サイズとして「A4」サイズ,コピー枚数として「1」枚等が表示されている例を示している。
【0028】
続いて,複合機1の制御部100について説明する。制御部100は,図4に示すようにCPU101と,通信インターフェース(I/F)部102と,ROM103と,RAM104と,プリントデータ格納部105と,実行ジョブ管理テーブル106と,予約ジョブ管理テーブル107と,時計部108と,メッセージデータ格納部109とを備えている。
【0029】
通信I/F部102は,LANカード,LANボードといったLAN7に接続するためのものである。プリントデータ格納部105は,HDDや半導体メモリ等からなるデータ記憶装置であり,PC2から送られてくる画像データや画像読撮部30にて読み撮った画像データを保存するためのものである。時計部108は,現在時刻情報を保持しており,その情報はCPU101から常に読出し可能になっている。メッセージデータ格納部109は,各種のメッセージのデータを格納するデータベースを有している。
【0030】
実行ジョブ管理テーブル106は,受け付けたジョブの実行順序等を管理するためのデータテーブルである。具体的に,実行ジョブ管理テーブル106には,図5に示すようにジョブ番号,ID番号,受付日時,印刷情報,処理情報の各欄が設けられている。この実行ジョブ管理テーブル106は,ジョブの実行履歴を示す機能も兼ねており,ジョブを受け付けるごとにそのジョブの情報が1つのレコードとなってテーブルの末尾に追加される。そして,通常,受付け順にジョブが実行されるようになっている。
【0031】
実行ジョブ管理テーブル106中のジョブ番号欄には,ジョブを受け付けるごとにそのジョブを識別するための番号が書き込まれる。本実施の形態では,受付け順に連番が付与される。また,受付日付欄には,ジョブを受け付けた日付と時刻が書き込まれる。この日付と時刻には,時計部108から読み出されたデータが使用される。また,ID番号欄には,ジョブを発行したユーザの識別番号が書き込まれる。この識別番号は,ユーザごとに当該ユーザを識別するための番号として予め付与されたものである。また,印刷情報欄には,各ジョブについて,用紙サイズ,ページ数,部数,予測印刷時間等のプリントに必要な情報(以下,これらの情報を「印刷情報」とする)が書き込まれる。また,処理情報欄には,ジョブの処理状況,例えば「処理中」,「待機中」等が書き込まれる。なお,完了したジョブについては完了時の日時が書き込まれる。
【0032】
実行ジョブ管理テーブル106には,次のようにしてジョブ情報が登録される。以下,PC2から送られてくるプリントジョブを登録することとする。まず,ユーザがPC2にて印刷を指示する。その際,ユーザは,自己の識別番号を入力する。次に,PC2では,複合機1に対してプリント指示を送り出す前に,プリントデータに印刷情報およびユーザの識別番号を付与する。そして,これらの情報をジョブ情報として複合機1に送信する。複合機1では,制御部100にてPC2から送られてくるこれらのジョブ情報を受信し,当該ジョブに新たなジョブ番号を付与する。さらに,予測印刷時間をプリントデータと部数とを基に算出する。そして,制御部100は,PC2から送られてきた印刷情報および識別番号と,複合機1にて付与されたジョブ番号および受付日時とを1レコードとして,そのレコードを実行ジョブ管理テーブル106に登録する。また,プリントデータは,プリントデータ格納部105に一時的に保存される。
【0033】
また,原稿給紙トレイ11上にセットされた原稿を複写するコピージョブ,あるいはプリントデータ格納部105に記憶されているプリントデータを印刷するプリントジョブのジョブ情報は,次のようにして実行ジョブ管理テーブル106に登録される。まず,ユーザが操作パネル90にて印刷を指示する。具体的には,原稿を原稿給紙トレイ11上にセットし,スタートキー91を押下する。あるいは,液晶表示部95にて印刷するプリントデータを選択し,スタートキー91を押下する。その際,ユーザは,スタートキー91を押下する前に,自己の識別番号を入力する。そして,スタートキー91の押下とともにジョブ番号が付与され,そのジョブのレコードが実行ジョブ管理テーブル106に登録される。
【0034】
予約ジョブ管理部107は,受け付けた予約ジョブの実行順序等を管理するためのデータテーブルである。具体的に,予約ジョブ管理テーブル107には,図6に示すようにジョブ番号,ID番号,受付日時,印刷情報,有効期限の各欄が設けられている。この予約ジョブ管理テーブル107は,ジョブの蓄積状況を示す機能も兼ねており,ジョブを受け付けるごとにそのジョブの情報が1つのレコードとなってテーブルの末尾に追加される。また,実行ジョブ管理テーブル106を監視し,実行ジョブ管理テーブル106に処理中あるいは待機中のジョブがない状態のとき,最優先の予約ジョブを実行ジョブ管理テーブル106に書き込み,そのレコードを削除するようになっている。なお,本実施の形態における予約ジョブの優先順位は,ジョブ番号によって決定する。
【0035】
予約ジョブ管理テーブル107中のジョブ番号欄には,予約ジョブを受け付けるごとにその予約ジョブを識別するための番号が書き込まれる。本実施の形態では,受付け順に連番が付与される。また,受付日付欄には,予約ジョブを受け付けた日付と時刻が書き込まれる。この日付と時刻には,時計部108から読み出されたデータが使用される。また,ID番号欄には,予約ジョブを発行したユーザの識別番号が書き込まれる。また,印刷情報欄には,各予約ジョブの印刷情報が書き込まれる。また,有効期限欄には,予約ジョブの有効期限の有無が書き込まれる。本実施の形態では,有効期限が無いジョブについては「無期限」と書き込まれ,期限の指定が有るジョブについては指定された「日時」が書き込まれる。
【0036】
予約ジョブ管理テーブル107には,次のようにして予約ジョブ情報が登録される。以下,PC2から送られてくるプリント予約ジョブを登録することとする。まず,ユーザがPC2にて印刷を指示する。その際,ユーザは,自己の識別番号を入力するとともに予約設定を行う。予約設定としては,そのプリントジョブが予約ジョブである旨の設定と,その予約ジョブの有効期限の設定とが行われる。次に,PC2では,複合機1に対してプリント指示を送り出す前に,プリントデータに印刷情報およびユーザの識別番号を付与する。そして,これらの情報をジョブ情報として複合機1に送信する。複合機1では,制御部100にてPC2から送られてくるこれらのジョブ情報を受信し,当該ジョブに新たなジョブ番号を付与する。さらに,予測印刷時間をプリントデータと部数とを基に算出する。そして,制御部100は,PC2から送られてきた印刷情報および識別番号と,複合機1にて付与されたジョブ番号および受付日時とを1レコードとして,そのレコードを予約ジョブ管理テーブル107に登録する。また,プリントデータは,プリントデータ格納部105に一時的に保存される。
【0037】
また,原稿給紙トレイ11上にセットされた原稿を複写するコピージョブ,あるいはプリントデータ格納部105に記憶されているプリントデータを印刷するプリントジョブのジョブ情報は,次のようにして予約ジョブ管理テーブル107に登録される。まず,ユーザが操作パネル90にて印刷を指示する。具体的には,原稿を原稿給紙トレイ11上にセットし,スタートキー91を押下する。あるいは,液晶表示部95にて印刷するプリントデータを選択し,スタートキー91を押下する。その際,ユーザは,スタートキー91を押下する前に,自己の識別番号を入力するとともに予約設定を行う。具体的に予約設定として,液晶表示部95に表示されている予約設定ボタンを押下して予約ジョブ設定モードに移行し,有効期限等の設定を行う。そして,スタートキー91の押下とともにジョブ番号が付与され,そのジョブのレコードが予約ジョブ管理テーブル107に登録される。
【0038】
CPU101は,ROM103から必要なプログラムを読み出して,各部の動作タイミングを統一的に制御し,円滑なコピージョブ,プリントジョブ等の各ジョブの動作を実現させるものである。また,エラー検出時には,表示させるべきメッセージのデータをメッセージデータ格納部109から読み出し,操作パネル90の液晶表示部95にそのメッセージを表示させるものである。
【0039】
また,CPU101は,送られてきたジョブが通常のジョブであるか予約ジョブであるかを判断する。通常のジョブを受け付けた場合には,受付日時,そのジョブについての印刷情報,識別番号,処理情報等を実行ジョブ管理テーブル106に書き込む。また,予約ジョブを受け付けた場合には,受付日時,そのジョブについての印刷情報,識別番号に加えて,当該ジョブの有効期限を予約ジョブ管理テーブル107に書き込む。さらに,予約ジョブ管理テーブル107の予約ジョブが実行可能となった際に,実行ジョブ管理テーブル106に当該予約ジョブの内容を実行ジョブ管理テーブル106に転記する。
【0040】
この他,ROM103は,不揮発性のメモリであり,ジョブ処理等の各種のプログラムが格納されている。RAM104は,揮発性のメモリであり,CPU101のプログラムの実行時のワークエリアとなる。
【0041】
続いて,制御部100の制御動作について,図7のフローチャートを基に説明する。まず,電源スイッチがオンされると,初期化処理を行う(S1)。この初期化処理では,RAM104のクリアや各種レジスタの設定等が行われる。次に,コピー枚数の設定値を「1」,コピー倍率を「等倍」とする等のモード初期化処理を行う(S2)。その後,内部タイマをスタートさせる(S3)。
【0042】
次に,操作パネル90の液晶表示部95や各種のキーにより入力された入力情報を受け付ける入力受付処理を行う(S4)。さらに,入力された情報の誤りを検出するエラー検出処理を行う(S5)。
【0043】
次に,PC2等の外部端末機器からの指示と操作パネル90からの指示とを区別することなく,コピージョブやプリントジョブ等の各種ジョブの受付け処理を行う(S6)。ジョブの受付け処理では,実行ジョブ管理テーブル106にそのジョブに関する印刷情報や受付日時等を書き込む。また,あわせて予約ジョブの受付け処理も行う。そして,予約ジョブであれば予約ジョブ管理テーブル107にそのジョブに関する印刷情報や受付日時等を書き込む。
【0044】
次に,ジョブを実行するシステム制御処理を実行する(S7)。このシステム制御処理については後述する。その後,内部タイマのカウントを終了させるか否かを判断する(S8)。この判断は,タイマのカウント値が初期化処理にて1ルーチンの処理時間として予め規定された時間に達しているか否かによって行われる。その時間に達していると(S8:YES),内部タイマの終了と判断して処理をS3の処理に戻す。その時間に達していないと(S8:NO),その時間に達するまで待機する。
【0045】
続いて,システム制御処理(S7)の内容について,図8のフローチャートを基に説明する。まず,現在実行中のジョブの有無を判断する(S71)。このS71の処理は,RAM104にあらかじめ設定されたステータス情報を参照することにより行われる。実行中のジョブがあると判断した場合(S71:YES)には,そのままシステム制御処理を終了する。実行中のジョブが無いと判断した場合(S71:NO)には,現在の日時(日付と時刻)を取得する(S72)。
【0046】
S72の処理後,実行が完了しているジョブ(終了ジョブ)が存在するか否かを判断する(S73)。終了ジョブの存在は,実行ジョブ管理テーブル106の処理情報欄に書き込まれている内容を参照することにより判断できる。具体的には,処理情報欄が「処理中」となっているジョブが終了ジョブであり,そのジョブの有無によって判断できる。
【0047】
終了ジョブがあると判断した場合(S73:YES)には,そのジョブの処理情報欄にS72の処理で取得した日時を書き込む(S74)。一方,終了ジョブが無いと判断した場合(S73:NO)には,そのままS75の処理に移行する。
【0048】
S73あるいはS74の処理後,待機ジョブが存在するか否かを判断する(S75)。待機ジョブの存在も,実行ジョブ管理テーブル106の処理情報欄に書き込まれている内容を参照することにより判断できる。具体的には,処理情報欄が「待機中」となっているジョブが待機ジョブであり,そのジョブの有無によって判断できる。
【0049】
待機ジョブがあると判断した場合(S75:YES)には,待機ジョブのうちのジョブ番号が最も小さいものを実行すべきジョブに決定し,そのジョブの処理情報欄に「処理中」を書き込む(S76)。そして,そのジョブの実行を開始し(S77),システム制御処理を終了する。
【0050】
一方,待機ジョブが無いと判断した場合(S75:NO)には,期限切れの予約ジョブが存在するか否かを判断する(S78)。期限切れの予約ジョブの存在は,予約ジョブ管理テーブル107の有効期限欄に書き込まれている内容を参照することにより判断できる。すなわち,S72の処理で取得した日時が有効期限欄の時刻より進んでいれば,その予約ジョブは既に期限切れであると判断できる。なお,有効期限欄に「無期限」と書き込まれているジョブは,有効期限の設定が無期限であって期限切れにならない。
【0051】
また,S72の処理で取得した日時に,すべての待機ジョブの所要時間を加算した日時を終了予定日時とし,予約ジョブ管理テーブル107の各予約ジョブの,有効期限欄の時刻からそれぞれの所要時間を差し引いた時刻を開始有効期限日時として,終了予定日時と開始有効日時とを比較すれば,予約ジョブの期限切れについてより正確な判断が可能になる。
【0052】
期限切れの予約ジョブがあると判断した場合(S78:YES)には,予約ジョブ管理テーブル107からその期限切れの予約ジョブに対応するレコードを削除する(S79)。一方,期限切れの予約ジョブが無いと判断した場合(S78:NO)には,予約ジョブが存在するか否かを判断する(S80)。予約ジョブの存在は,予約ジョブ管理テーブル107のレコードの存在を確認することにより判断できる。
【0053】
予約ジョブがあると判断した場合(S80:YES)には,予約ジョブのうちのジョブ番号が最も小さいものを抽出し,新たなジョブ番号を付与してその予約ジョブの内容を実行ジョブ管理テーブル106に登録する(S81)。さらに,新たに登録したジョブの処理情報欄に「待機中」を書き込む。そして,実行ジョブ管理テーブル106に転記した予約ジョブのレコードを予約ジョブ管理テーブル107から削除する(S82)。S82の処理後,システム制御処理を終了する。一方,予約ジョブが無いと判断した場合(S80:NO)にも,システム制御処理を終了する。
【0054】
以上詳細に説明したように本形態の複合機1は,実行ジョブ管理テーブル106にてジョブの実行指示およびジョブの管理をすることとしている。また,予約ジョブ機能を備え,予約ジョブ管理テーブル107により予約ジョブを管理することとしている。さらに,予約ジョブ管理部107にて管理される予約ジョブには有効期限が付されている。そして,実行ジョブ管理テーブル106に登録されているジョブに待機中のジョブがなければ,予約ジョブ管理テーブル107に登録されているジョブのうちジョブ番号が最も小さいジョブ,すなわち優先度が最も高いジョブを実行ジョブ管理テーブル106に登録するとともにそのジョブを予約ジョブ管理テーブル107から削除することとしている。
【0055】
また,予約ジョブ管理部107では,予約ジョブを実行ジョブ管理テーブル106に転記する前に,有効期限を確認し,期限切れの予約ジョブを抽出することとしている。そして,抽出した予約ジョブのレコードを予約ジョブ管理テーブル107から削除することとしている。これにより,有効期限が過ぎたにも拘わらず不要となった印刷物が出力される状況を回避することができる。また,期限切れの予約ジョブのレコードが自動的に予約ジョブ管理テーブル107から削除されるため,期限切れの予約ジョブを解除する手間を省くことができる。よって,予約ジョブ機能を備えた画像形成装置であって,不要なジョブの登録を解除する手間を省くとともに,不要な印刷物の出力を防止した画像形成装置およびそのジョブ管理方法が実現している。
【0056】
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,実施の形態ではカラー複合機に本発明を適用しているがこれに限るものではない。すなわち,複写機,プリンタ,スキャナ,FAXあるいはワードプロセッサ等であっても適用可能である。また,モノクロに限らず,カラー画像の形成が可能なものであってもよい。また,カラー複合機の場合には,タンデム方式であっても4サイクル方式であってもよい。
【0057】
また,実行ジョブ管理テーブル106の内容を操作パネル90の液晶表示部95に表示することが可能であるとよりよい。実行ジョブ管理テーブル106の内容を表示することにより,ユーザがジョブの処理状況を確認することができる。また,実行ジョブ管理テーブル106の内容を,PC2等の外部端末装置の表示部に表示することが可能であってもよい。また,予約ジョブ管理テーブル107の内容を操作パネル90や外部端末装置の表示部に表示することが可能であるとよりよい。また,予約ジョブの処理状況を表示する場合,表示された予約ジョブの削除や有効期限の変更等が可能であるとよりよい。
【0058】
また,実施の形態では,期限切れの予約ジョブについては,予約ジョブ管理テーブル107からその予約ジョブに対応するレコードを削除しているが,レコードの有効期限欄に「期限切れ」と書き込み,「期限切れ」と書き込まれた予約ジョブについては実行ジョブ管理テーブル106に転記しないとしてもよい。この場合,予約ジョブ管理テーブル107の内容を操作パネル90や外部端末装置の表示部に表示することで,予約ジョブが期限切れになってしまったことをユーザが認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】実施の形態に係る画像形成システムの全体構成図である。
【図2】実施の形態に係るカラー複合機を示す断面図である。
【図3】実施の形態に係るカラー複合機の操作パネルを示す図である。
【図4】実施の形態に係るカラー複合機の制御部の構成を示すブロック図である。
【図5】実行ジョブ管理テーブルの一例を示す図である。
【図6】予約ジョブ管理テーブルの一例を示す図である。
【図7】カラー複合機に係る制御部での制御手順(メインルーチン)を示すフローチャートである。
【図8】カラー複合機に係る制御部での制御手順(システム制御処理)を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0060】
1 複合機
2 パーソナルコンピュータ
7 LAN
90 操作パネル
100 制御部
101 CPU
106 実行ジョブ管理テーブル
107 予約ジョブ管理テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジョブの情報に従って画像を形成する画像形成装置において,
実行可能なジョブが登録され,登録されているジョブの処理状況を監視するとともにジョブの実行を指示する第1ジョブ管理部と,
有効期限が付されたジョブが登録され,前記第1ジョブ管理部に登録されているジョブに待機中のジョブがなければ,登録されているジョブのうち,最優先のジョブを前記第1ジョブ管理部に登録する第2ジョブ管理部とを有し,
前記第2ジョブ管理部は,ジョブに付されている有効期限と,ジョブが実行される時刻とを基に期限切れのジョブを抽出し,抽出したジョブの登録を解除することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載する画像形成装置において,
前記第2ジョブ管理部に登録されているジョブには,そのジョブの所要時間情報が付されており,
前記第2ジョブ管理部は,ジョブの有効期限から所要時間を差し引いた時刻とジョブが実行される時刻とを比較し,その比較結果を基にそのジョブが期限切れであるか否かを決定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載する画像形成装置において,
前記第1ジョブ管理部に登録されているジョブには,そのジョブの所要時間情報が付されており,
前記第2ジョブ管理部は,現在時刻に,前記第1ジョブ管理部に登録されているジョブのうち,待機中のジョブの所要時間を加えた時刻をジョブが実行される時刻とすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
ジョブの情報に従って画像を形成する画像形成装置のジョブ管理方法において,
ジョブの情報を第1ジョブ管理部に登録するステップと,
第1ジョブ管理部に登録されているジョブを優先順位が高い順に実行するステップと,
有効期限が付されたジョブの情報を第2ジョブ管理部に登録するステップと,
第1ジョブ管理部に登録されているジョブの実行状況を監視し,待機中のジョブがあれば,その待機中のジョブを実行し,待機中のジョブがなければ,第2ジョブ管理部に管理されているジョブのうち,最優先のジョブを第1ジョブ管理部に登録するステップと,
第2ジョブ管理部に管理されているジョブの有効期限と,ジョブが実行される時刻とを基に期限切れのジョブを抽出し,抽出したジョブの登録を解除するステップとを含むことを特徴とする画像形成装置のジョブ管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−25137(P2006−25137A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−200883(P2004−200883)
【出願日】平成16年7月7日(2004.7.7)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】