説明

画像形成装置およびその運搬装置

【課題】 胴内空間支持部材を廃棄・破棄することなく、半永久的に使用することが可能な手段を提供する。
【解決手段】 画像形成装置Aを装着している状態の運搬装置Bの開梱の際には、先ず、天板Bfを外し、次いで支柱Ba、Bb、Bcを抜いた後、画像形成装置Aを取り出すことになる。画像形成装置Aを所定の場所に設置後、運搬装置Bは回収される。この際、保持部材2内に形成された着脱溝2aに除去した支持部材1を装着・収納して運搬装置Bを回収することにより、支持部材1を廃棄することなく、次回の画像形成装置Aの閉梱・梱包時に再利用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、複写機、ファクシミリ等の機能を備えた胴内排紙型の画像形成装置またはそれら複数の機能を備えた複合機等の画像形成装置、およびその画像形成装置を運搬および/または保管するために繰り返し使用可能な再利用循環型の運搬装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の画像形成装置の構成は、画像形成装置の省スペース化を図るために、原稿読取部と画像作像部との間に転写紙排紙部の空間を設けた胴内排紙型と呼ばれる省スペース型のものが大半を占めるようになってきた。このような胴内排紙型の画像形成装置においては、原稿読取部の支持は、転写紙除去の操作性を考慮し、操作者に対向する前面および片側側面が開放された前1点後2点の3点支持構成となっている。
【0003】
このような不規則な3点支持構成の画像形成装置であるため、その移動中の振動・衝撃や、不測の外力などにより、支持していない部分で原稿読取部が下降してねじれ変形傾向になる。これは、特に再利用循環型の運搬装置ではハード部品による構成が大部分を占め、外部からの衝撃を吸収しにくいためである。この状況下では、画像形成装置で形成される画像がスキュー画像として表れる(以下、「スキュー画像不具合」という)。
【0004】
【特許文献1】特開2000−72310号公報
【特許文献2】特開2002−80161号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これに対し、3点支持構成の画像形成装置の移動・保管時には、転写紙排出空間である胴内空間部に胴内空間支持部材と呼ばれる支持部材を装着しその変形を抑制するが、この支持部材は画像形成装置の稼働時には転写紙排出の妨げとなって不要の部品であり、廃棄ないしは破棄されることが多い。
上記支持部材は廃棄・破棄されるとはいえ、原稿読取部の姿勢維持を外力から守るための部品であるため、必要な剛性を持った部品であり廃棄・破棄コストは安くはなく、また省資源という観点からも廃棄・破棄してしまうことは問題となってきている。
【0006】
そこで、本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、胴内空間支持部材を廃棄・破棄(以下、破棄することも含めて単に「廃棄」という)することなく、半永久的に使用することが可能な手段を提供することを第1の目的とする。その他の目的を挙げれば次のようである。
【0007】
上述の画像形成装置において、保管・運搬から稼動へと設置・開梱する際に、胴内空間支持部材の除去を忘れて転写紙排出の障害(以下、「排紙不具合」というときがある)となることがある。そこで、本発明は、開梱時において胴内空間支持部材を確実に除去する手段を提供することを第2の目的とする。
【0008】
上述の画像形成装置において、稼動から保管・運搬へと閉梱・梱包する際に、胴内空間支持部材の設置を忘れて上述したスキュー画像不具合を発生する可能性がある。そこで、本発明は、閉梱時において胴内空間支持部材を確実に設置する手段を提供することを第3の目的とする。
【0009】
上述の画像形成装置において、あるいは稼動から保管・運搬へと閉梱・梱包する際に、循環型の運搬装置が調達できない地域・領域がある場合がある。そこで、本発明は、循環型の運搬装置が存在しない地域・領域において、胴内空間支持部材をリサイクル調達する手段を提供することを第4の目的とする。
【0010】
上述の第4の目的において、設置開梱から保管・運搬までの間に胴内空間支持部材が紛失する場合がある。そこで、本発明は、稼働中の画像形成装置内への胴内空間支持部材の維持保管をする手段を提供することを第5の目的とする。
【0011】
循環型の運搬装置を調達・運用できる地域・領域であっても、ユーザの都合により上述の画像形成装置を移動・運搬したり、保管したりすることが想定される。そこで、本発明は、循環型の運搬装置を調達・運用できる地域・領域においても、ユーザの要望に応えて、少なくとも第1ないし第5の何れか一つの目的を達成する手段を提供することを第6の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決するとともに上述した目的を達成するために、各請求項ごとの発明では、以下のような特徴ある手段・発明特定事項(以下、「構成」という)を採っている。
請求項1記載の発明は、原稿読取部と、画像作像部と、該原稿読取部と該画像作像部との間に画像形成済みのシート状記録媒体を排出する排出部とを具備する画像形成装置を運搬および/または保管するために繰り返し使用可能な再利用循環型の画像形成装置用の運搬装置において、上記原稿読取部と上記画像作像部との間に着脱自在に設けられ、該原稿読取部の姿勢を維持するとともに上記排出部の空間を確保する胴内空間支持部材を、上記運搬装置内に着脱自在に収納する運搬装置内着脱手段を有することを特徴とする。
ここで、「原稿読取部と画像作像部との間に画像形成済みのシート状記録媒体を排出する排出部とを具備する画像形成装置」であるため、いわゆる胴内排紙型であって、かつ、省スペース型の画像形成装置が対象となる。
「胴内空間支持部材を、運搬装置内に着脱自在に収納する運搬装置内着脱手段を有する」とは、運搬装置側に胴内空間支持部材を着脱自在に収納する運搬装置内着脱手段を有すると同義である。したがって、運搬装置内着脱手段の配設部位は、請求項5の保持部材に配設されていることに限らず、運搬装置側であれば配設部位を問わない。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の運搬装置において、上記胴内空間支持部材は、上記運搬装置とともに繰り返し使用されることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の運搬装置において、上記画像形成装置を上記運搬装置に装着する場合であって、上記胴内空間支持部材を上記運搬装置内着脱手段に装着する際に、上記胴内空間支持部材が上記運搬装置への上記画像形成装置の装着を阻止する向きに突出することを特徴とする。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項1、2または3記載の運搬装置において、上記胴内空間支持部材と上記運搬装置とを連結部材で連結したことを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項1ないし4の何れか一つに記載の運搬装置において、上記運搬装置は、上記画像形成装置をその高さ方向に支持する支柱と、該支柱に取り付けられ、上記排出部の空間近傍の上記画像形成装置の側壁を支持する保持部材とを有し、上記運搬装置内着脱手段は、上記保持部材に配設されていることを特徴とする。
【0015】
請求項6記載の発明は、請求項1ないし5の何れか一つに記載の運搬装置において、上記画像形成装置内に、上記胴内空間支持部材を着脱自在に収納する画像形成装置内着脱手段を有することを特徴とする。
請求項7記載の発明は、請求項6記載の運搬装置において、上記画像形成装置内着脱手段への上記胴内空間支持部材の装着有無を検知する検知手段を有することを特徴とする。
請求項8記載の発明は、請求項6または7記載の運搬装置において、上記胴内空間支持部材が、補用品であることを特徴とする。
【0016】
請求項9記載の発明は、原稿読取部と、画像作像部と、該原稿読取部と該画像作像部との間に画像形成済みのシート状記録媒体を排出する排出部と、上記原稿読取部と上記画像作像部との間に着脱自在に設けられ、上記原稿読取部の姿勢を維持するとともに上記排出部の空間を確保する胴内空間支持部材とを具備する画像形成装置において、上記画像形成装置内に、上記胴内空間支持部材を着脱自在に収納する画像形成装置内着脱手段を有することを特徴とする。
請求項10記載の発明は、請求項9記載の画像形成装置において、上記画像形成装置内着脱手段への上記胴内空間支持部材の装着有無を検知する検知手段を有することを特徴とする。
請求項11記載の発明は、請求項9または10記載の画像形成装置において、上記胴内空間支持部材が、上記画像形成装置の構成部品であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、上記課題を解決して新規な画像形成装置用の運搬装置および画像形成装置を提供することができる。主な発明の効果を挙げれば、以下のとおりである。
本発明によれば、原稿読取部と画像作像部との間に着脱自在に設けられ、原稿読取部の姿勢を維持するとともに排出部の空間を確保する胴内空間支持部材を、運搬装置内に有する運搬装置内着脱手段に装着・収納することにより、運搬装置とともに胴内空間支持部材を回収することが可能となり、胴内空間支持部材を廃棄することなく、安価でリサイクル使用することが実現できる(請求項1、2)。
【0018】
本発明によれば、画像形成装置を運搬装置に装着する場合であって、胴内空間支持部材を運搬装置内着脱手段に装着する際に、胴内空間支持部材が運搬装置への画像形成装置の装着を阻止する向きに突出することにより、運搬装置への画像形成装置の装着・閉梱作業時の障害を強いられることで、閉梱時における原稿読取部と画像作像部との間への胴内空間支持部材の設置を確実に実施することができ、画像形成装置の外観品質とこれに関わる画像品質を維持することができる(請求項3)。
【0019】
本発明によれば、胴内空間支持部材と運搬装置とを連結部材で連結したことにより、運搬装置の開梱時における胴内空間支持部材の除去を確実に実施できるため、排紙不具合の発生を未然に防止して転写紙排紙品質を維持することができる(請求項4)。
【0020】
本発明によれば、画像形成装置内にも、胴内空間支持部材を着脱自在に収納する画像形成装置内着脱手段を有することにより、循環型の運搬装置の適用領域(地域)においてユーザが画像形成装置を運搬および/または保管するような場合、胴内空間支持部材を独立してリサイクル使用することが実現できる(請求項6)。
【0021】
本発明によれば、画像形成装置内着脱手段への胴内空間支持部材の装着有無を検知する検知手段を有することにより、循環型の運搬装置の適用領域(地域)においてユーザが画像形成装置を運搬および/または保管するような場合、胴内空間支持部材の紛失防止が実現できることで、より確実なリサイクル使用することが実現できる(請求項7)。
【0022】
本発明によれば、画像形成装置内に、胴内空間支持部材を着脱自在に収納する画像形成装置内着脱手段を有することにより、循環型の運搬装置の適用外領域(地域)においても、胴内空間支持部材を独立してリサイクル使用することが実現できる(請求項9)。
【0023】
本発明によれば、画像形成装置内着脱手段への胴内空間支持部材の装着有無を検知する検知手段を有することにより、循環型の運搬装置の適用外領域(地域)においても、胴内空間支持部材の紛失防止が実現できることで、より確実なリサイクル使用することが実現できる(請求項10)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図を参照して、本発明を実施するための最良の形態を含む実施形態を説明する。各実施形態および変形例等に亘り、同一の機能および形状等を有する部材や構成部品等の構成要素については、同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明をできるだけ省略する。図および説明の簡明化を図るため、図に表されるべき工程や情報あるいは構成要素であっても、その図において特別に説明する必要がないものは適宜断わりなく省略することがある。
【0025】
まず、図6および図7を参照して、本発明を適用する胴内排紙型の画像形成装置の全体構成を説明する。
図7に示すように、画像形成装置Aは、原稿(図示せず)の画像を読み取る原稿読取部10と、原稿読取部10で読み取られた画像情報に応じて画像を形成する画像作像部11と、画像作像部11にシート状記録媒体としての転写紙を給送する給紙部17と、原稿読取部10と画像作像部11との間に画像形成済みの転写紙を排出する排出部としての胴内排紙部13と、画像形成装置Aの上記各部に動作指示を与えたり上記各部等の状態を確認したりするための操作パネル14とから主に構成されている。
【0026】
原稿読取部10と画像作像部11との間には、画像形成済みの転写紙を排出するための排出部の空間として転写紙排出空間12が形成されている。このように画像形成装置Aは、いわゆる省スペース型、かつ、胴内排紙型の装置構成となっている。換言すれば、画像形成装置Aには、その小型化および省スペース化を図るために、原稿読取部10と画像作像部11との間に転写紙排出空間12が確保され設けられていて、図示しない転写紙の排出操作性を向上すべく開放されている。それ故に、原稿読取部10の支持構成は、転写紙除去の操作性を考慮して、図6および図7における前面(紙面の手前側)および左側の片側側面が開放された前1点後2点の計3点となっている。
【0027】
画像作像部11は、画像形成装置Aの本体のほぼ中央部に配置され、その直ぐ下方に給紙部17が配置されている。この給紙部17は、2段の給紙カセットからなるように図示されているが、必要に応じてカセット段数を増減することは勿論自在である。画像作像部11の上方には、転写紙排出空間12を隔ててスキャナ部とも呼ばれる原稿読取部10が配置されている。
【0028】
画像作像部11内では、像担持体としての、例えば有機感光体からなる感光体ドラム25の周囲に、感光体ドラム25の表面に帯電処理を行う帯電チャージャ26、画像情報を感光体ドラム25上にレーザ光で照射し静電潜像を形成する露光装置27、感光体ドラム25上の静電潜像を可視像化する現像装置28、感光体ドラム25上のトナー像を転写紙に転写する転写ローラ29、感光体ドラム25上の残留トナーを除去回収するクリーニング装置30等が配置されている。さらに、画像転写後の転写紙に対して定着処理を施す定着装置31が、上述した電子写真プロセス手段の転写紙搬送下流側に配設されている。
【0029】
給紙部17は、上下2段の給紙カセット41、41からなり、それぞれの給紙カセット41に異なるサイズの、あるいは載置向きの異なる転写紙を収容している。この給紙カセット41内には、呼び出しローラ43ヘ転写紙先端を持ち上げるための底板42が取り付けられている。呼び出しローラ43によってカセットから引き出された転写紙は、送り出しローラ44を介してレジストローラ対34へ引き渡される。場合によっては、画像作像部11の装置筐体35側方に蝶番支持され所定角度の範囲で回動開閉自在な手差トレイ36(二点鎖線および実線で示す)からレジストローラ対34へ給紙される。
【0030】
原稿読取部10では、コンタクトガラス22上に載置された原稿(図示せず)の読取走査を行うために、原稿照明用光源とミラーよりなる読取走行体21が移動するようになっている。この読取走行体21により走査された画像情報は、レンズの後方に設けられた画像読取装置23に、画像信号として読み込まれる。読み込まれた画像信号は、デジタル化されて画像処理される。
画像処理された信号に基づいて、露光装置27のレーザダイオード(LD、図示せず)を駆動し、当該LDからのレーザ光をポリゴンミラーで反射した後、反射ミラーを介して、感光体ドラム25上に照射して、当該ドラム上に静電潜像を形成するものである。
【0031】
操作パネル14には、画像形成装置Aの上記各部に動作指示を与える各種キー、LED(発光ダイオード)やLCD(液晶表示装置)等からなる各種表示部、警告ブザー等が配設されている。
【0032】
画像作像部11上の胴内排紙部13は、図7で見て紙面の手前側(正面)の大部分および左側の大部分を除く二方が装置筐体35の一部を形成する壁面によって取り囲まれて構成されており、原稿読取部10を上方に持ち上げ支持する状態となっている。その結果、画像形成済みの転写紙は画像形成装置Aの胴内に排紙されることになり、コピー対象が例えば機密文書であっても、その内容が近くの人に盗み見され難くなる。本実施形態においては作像部11における転写紙搬送の向きの関係から裏面排紙されるので、特に機密性保持の点で優れている。
【0033】
この胴内排紙部13には、装置筐体35の上面に形成された排紙トレイ50が設けられている。なお、図7において、符号47は搬送ローラ、符号49は排紙コロである。定着装置31で定着された画像形成済みの転写紙は、搬送ローラ47で搬送され、さらに排紙コロ49を介して排紙トレイ50上に排紙される。このとき、本実施形態では中央基準で転写紙が排紙トレイ50に排紙される。
【0034】
原稿読取部10と画像作像部11との間に着脱自在に設けられ、原稿読取部10の姿勢を維持するとともに転写紙排出空間12を確保するための胴内空間支持部材(図6および図7には図示せず、図1に示す胴内空間支持部材1参照)は、排紙トレイ50上に排出される図示しない転写紙の先端を規制するエンドフェンス15の取付け部16(図6(b)参照)を利用し設置されている場合が多い。エンドフェンス15は、排紙トレイ50に対して起倒可能であり、かつ、エンドフェンス15の取付け部16に対して着脱自在に構成されている。
従来、胴内空間支持部材1は、図1を借りて説明すると、取付け部16からエンドフェンス15を取り外した状態で、原稿読取部10側筐体の下端部と装置筐体35における画像作像部11の取付け部16との間に、胴内空間支持部材1に一体的に形成された上下の段部が当接するように挿入して装着・設置していた。
したがって、胴内空間支持部材1を取付け部16に設置したまま画像形成装置Aを稼動して、大サイズの転写紙(図示せず)を排紙トレイ50上に排出した場合、その転写紙の先端と胴内空間支持部材1とが干渉することにより、転写紙の折れや巻き付きなどの排紙不具合が発生して排紙品質の低下を招いてしまう。そこで、胴内空間支持部材1は、画像形成装置Aの稼動時には除去する必要があるため、本発明に係る以下の実施形態を創作した。
【0035】
(第1の実施形態)
図1および図2を参照して、本発明の第1の実施形態を説明する。
図1において、符号Bは画像形成装置A用の循環型の運搬装置を、符号1は胴内空間支持部材を、符号2は保持部材を、それぞれ示す。
【0036】
運搬装置Bは、図1、図6および図7に示した画像形成装置Aを運搬および保管に用いるものであって、繰り返し使用可能、かつ、リサイクル使用可能に構成されている。運搬装置Bは、画像形成装置Aを運搬・移動中の振動・衝撃や、不測の外力などから保護するために、剛性の高い部品群から構成されている。すなわち、運搬装置Bは、画像形成装置Aをその高さ方向に支持するために、その四隅に配置される支柱Ba、Bb、Bc(但し、残りの1箇所は紙面の奥側のため図示せず)と、これらの支柱Ba、Bb、Bcを挟んで上下に配置される底板Beおよび天板Bfと、支柱Baに取り付けられ、転写紙排出空間12近傍の画像形成装置Aの各外側壁を支持する保持部材2とから主に構成されている。
【0037】
運搬装置Bの上記各部品群(支柱Ba、Bb、Bc、底板Be、天板Bf、保持部材2)は、適宜の樹脂(実施例的には例えばABS樹脂)で形成されていて、その寿命等により使用不可能になった際にも、いわゆるクローズドループマテリアルリサイクルであるプラスチックリサイクル可能に構成されている。
【0038】
画像形成装置Aは、底板Be上において四隅に配置された支柱Ba、Bb、Bc(但し、残りの1箇所は紙面の奥側のため図示せず)に差し込み・取り付けられた保持部材2でその外側壁が支持され、底板Beと天板Bfとで上下に覆われて運搬装置B内に支持・装着される。
【0039】
図1において、紙面一番手前側の支柱Bbおよび右側の支柱Bcは、画像形成装置Aの各外側壁コーナ部の外側に配置されて支持・保護するようになっている。これと同様に、天板Bfは、原稿読取部10上面(コンタクトガラス22を含む上面)および操作パネル14上面を覆うようにそれらを支持・保護するようになっている。
【0040】
胴内空間支持部材1(以下、単に「支持部材1」というときがある)は、図1に示すように上下の段部を一体的に形成され、その断面が概略ハット形状をなし、運搬装置Bと同様に、適宜の樹脂(実施例的には例えばABS樹脂)で形成されていて、運搬装置Bとともに繰り返し使用される循環型の部材である。そして、支持部材1は、運搬装置Bと同様に、その寿命等により使用不可能になった際にも、いわゆるプラスチックリサイクル可能に構成されている。支持部材1は、上述したようにエンドフェンス15の取付け部16を利用し装着・設置される。
なお、胴内空間支持部材としては、支持部材1に限らず、原稿読取部10と画像作像部11との間に着脱自在に設けられ、原稿読取部10の姿勢を維持するとともに転写紙排出空間12を確保するための形状・機能・必要な強度および剛性等を備え、安価なものであれば上記材質の樹脂や樹脂製に限定されないことはいうまでもない。これは、運搬装置Bの上記各部品群も同様である。
【0041】
保持部材2は、支柱Ba(他の支柱Bb、Bc等に対する図示は省略している)に差し込まれ、図2に詳しく示すように、保持部材2に一体的に形成されたほぼ直角をなす角部の当接支持面2bが画像形成装置Aの四隅コーナ部の外側壁面に接触して保持する。また、保持部材2には、支持部材1を着脱自在に収納するための、運搬装置内着脱手段としての着脱溝2aが形成されている。なお、本実施形態では、保持部材2の着脱溝2a内に除去した支持部材1を装着・収納した状態では、支持部材1は当接支持面2bよりも画像形成装置A側に突出しない形状・大きさで形成されている。図1では、図の簡明化のため着脱溝2aの図示を省略している。
【0042】
なお、保持部材2またはその近傍の見やすい部位には、「運搬装置Bから画像形成装置Aを開梱した後であって、少なくとも画像形成装置Aを稼動する前には支持部材1を保持部材2の着脱溝2aに装着・収納して下さい」という旨を記載したラベルや表示がなされていることが望ましい。
【0043】
画像形成装置Aを装着している状態の運搬装置Bの開梱の際には、先ず、天板Bfを外し、次いで支柱Ba、Bb、Bcを抜いた後、画像形成装置Aを取り出すことになる。画像形成装置Aを所定の場所に設置後、運搬装置Bは回収される。この際、保持部材2内に形成された着脱溝2aに画像形成装置Aの上記設置箇所から除去した支持部材1を装着・収納して運搬装置Bを回収することにより、支持部材1を廃棄することなく、次回の画像形成装置Aの閉梱・梱包時に再利用することができる。しかも、安価でリサイクル使用が実現できるという利点もある。
【0044】
運搬装置内着脱手段は、着脱溝2aに限らず、例えば胴内空間支持部材側に差し込み用のピンを植設するとともに、保持部材側に胴内空間支持部材側のピンを差し込み嵌合する嵌合孔との組み合わせや、例えば胴内空間支持部材側にフックを固着するとともに、保持部材側に胴内空間支持部材側のフックを引っ掛けるための引っ掛け部との組み合わせ等、胴内空間支持部材を着脱自在にできるものならばどのような着脱手段や収納手段でもよい。
【0045】
(第2の実施形態)
第1の実施形態においては、運搬装置Bの開梱時、支持部材1を取り外し・除去することなく、すなわち支持部材1の除去を忘れて運搬装置Bを回収してしまう可能性がある。支持部材1を設置したまま画像形成装置Aを稼動すると、上述した排紙不具合が発生して排紙品質の低下を招いてしまうから、これを解決するために第2の実施形態を創作した。
【0046】
第2の実施形態は、第1の実施形態と比較して、図3に示すように、支持部材1と保持部材2とを連結部材3で連結した点が主に相違する。
支持部材1および保持部材2には、連結部材3で連結されるための半割ドーナツ状の被連結部が形成されている。連結部材3としては、運搬装置Bと同様、適宜の樹脂製で可撓性を有して形成してもよいし、容易に切れたりしない材質のひも等を含む索条でもよい。
【0047】
第2の実施形態では、運搬装置Bの開梱の際に支柱Baを抜こうとしたときに、これに連動して連結部材3を介して連結されている支持部材1が引っ張られるため、開梱者が支持部材1の取り外し・除去の必要性を認識することができる。したがって、第1の実施形態よりも運搬装置Bの開梱時における支持部材1の除去を確実に実施できるため、排紙不具合の発生を未然に防止して転写紙排紙品質を維持することができる。
【0048】
(第3の実施形態)
第2の実施形態においては、逆に、閉梱・梱包時において支持部材1の設置を忘れることも考えられる。そこで、開梱時における支持部材1の取り外し・除去に加えて、閉梱時における支持部材1の設置忘れを考慮してそれらの忘れを防止するための第3の実施形態を創作した。
【0049】
第3の実施形態は、第2の実施形態と比較して、図4に示すように、支持部材1に代えた支持部材1Aを有する点のみ相違する。
支持部材1Aは、支持部材1と比較して、図4に符号Xで示す方向の寸法・形状を大きくすることにより、画像形成装置Aを運搬装置Bに装着・閉梱する場合であって、支持部材1Aを保持部材2の着脱溝2aに装着する際に、支持部材1Aが運搬装置Bへの画像形成装置Aの装着を阻止する向きに突出するように構成した点が相違する。
【0050】
これにより、画像形成装置Aを底板Be上に載置した後、他の支柱Bb等とともに支柱Baを底板Beへ装着する際に、支持部材1Aが当接支持面2bよりも符号Xで示す方向に突出して障害となり支柱Baを装着できず、支持部材1Aの設置の必要性を認識できる。したがって、第3の実施形態によれば、閉梱時における支持部材1Aの設置を確実に実施することができ、画像形成装置Aの外観品質とこれに関わる画像品質を維持することができる。
【0051】
図4に示した例に限らず、胴内空間支持部材の形状・寸法を変更せずに支持部材1としたままで、保持部材側の形状・寸法およびその着脱溝の大きさ・寸法を変えて対応することも勿論できる。
また、開梱時における支持部材1Aの取り外し・除去を忘れないような条件が整っている場合には、第3の実施形態を示す図4において、支持部材1Aと保持部材2とを連結している連結部材3を除去してもよい。
【0052】
上述したように、第1ないし第3の実施形態等では、運搬装置内着脱手段としての着脱溝2aは、転写紙排出空間12近傍の画像形成装置Aの側壁を支持する保持部材2に配設されていることにより、支持部材1、1Aの装着・収納場所が開梱者等に見やすく分かりやすいとともに、運搬装置内着脱手段を構成するために新たな部材の追加をすることなく、胴内空間支持部材および運搬装置内着脱手段の少なくとも一方の形状等を変更するだけで済むため、安価なリサイクル使用の実現により一層寄与できるという利点も有する。
【0053】
(第4の実施形態)
第1ないし第3の実施形態等では、循環型の運搬装置Bを運用することができる国内等を始めとする地域での適用例であったが、循環型の運搬装置が調達・運用できない地域(例えば比較的後進国等を含む輸出国)がある。この地域では、通常、画像形成装置の運搬および保管は段ボール梱包となるため、このような地域では設置開梱から保管・運搬までの間に胴内空間支持部材が紛失する場合がある。そこで、この問題点を解決すべく、図5に示す第4の実施形態を創作した。
【0054】
第4の実施形態は、図5に示すように、画像形成装置A内に、支持部材1を着脱自在に収納する画像形成装置内着脱手段としての支持部材収納部5を有する点、および支持部材収納部5への支持部材1の装着有無を検知する検知手段としてのセット検知センサ6を有する点が特徴である。第4の実施形態においては、支持部材1は、画像形成装置Aの構成部品となっている。
【0055】
支持部材収納部5は、支持部材1を着脱自在に収納すべく、適度の嵌合力・クリック感をもって装着・セットされる凹部形状に形成されている。セット検知センサ6は、例えばプッシュオン・スイッチであり、支持部材収納部5の凹部の奥側に配置されている。セット検知センサ6は、画像形成装置A内の図示しない電気・電子回路を介して図示しない制御装置に電気的に接続されている。この制御装置には、図示しない電気・電子回路を介して操作パネル14の上記ブザーや、LED,LCD等に電気的に接続されている。
【0056】
段ボール梱包となる循環型の運搬装置の適用外領域(地域)では、段ボール梱包からの開梱時には支持部材1を支持部材収納部5に装着・セットするようにして、もしも支持部材1を除去せずに画像形成装置Aの電源を投下した(電源スイッチをオンした)際には、セット検知センサ6からの支持部材1の未セット信号に基づいて、上記制御装置を介して上記ブザーによる警告・吹鳴や、LEDの表示部による警告・点灯点滅、あるいはLCDの表示部による文字による警告表示等がなされることにより、支持部材1の除去と支持部材収納部5への装着・収納とを促すことができる。また、これにより、支持部材1を紛失する事態を防ぐことができる。
【0057】
したがって、第4の実施形態によれば、循環型の運搬装置の適用外領域においても、支持部材1を独立してリサイクル使用実現することができるとともに、支持部材1の紛失防止が実現できることで、より確実なリサイクル使用を実現することができる。
【0058】
なお、第4の実施形態において、支持部材1の紛失防止をさらに確実にするために、第2の実施形態で採用した連結部材3等によって、支持部材1と支持部材収納部5配置部の近傍とを連結するようなことも考えられる。
【0059】
本発明の実施形態は、第1ないし第4の実施形態等に限らず、循環型の運搬装置Bの適用領域(地域)において、例えばユーザによっては運搬装置Bから画像形成装置Aを開梱・取り出した後であってもその画像形成装置Aの運搬および/または保管するような場合があって、支持部材1を使用したいという要望が想定される。このような場合には、第1ないし第3の実施形態の何れか一つと、第4の実施形態とを組み合わせ適用してもよい。その場合、支持部材1は、画像形成装置Aの構成部品としてもよいし、ユーザの要望により補用品(サービス部品)としてもよい。
【0060】
本発明が適用される画像形成装置Aは、これに限らず、例えば特開2000−72310号公報の図1に示されているように、上下に複数の排紙トレイを備えた画像形成装置や、例えば特開2002−62711号公報の図1に示されている画像形成装置(プリンタ)本体1の上部に原稿読取部を追加・搭載したような画像形成装置、すなわち省スペース型、かつ、胴内排紙型の画像形成装置であればよい。
【0061】
以上述べたとおり、本発明を特定の実施形態等について説明したが、本発明が開示する技術的範囲は、上述した各実施形態等に例示されているものに限定されるものではなく、それらを適宜組み合わせて構成してもよく、本発明の範囲内において、その必要性および用途等に応じて種々の実施形態や変形例あるいは実施例を構成し得ることは当業者ならば明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る運搬装置に画像形成装置が装着・梱包されている状態を示す斜視図である。
【図2】第1の実施形態に係る運搬装置の保持部材に支持部材が装着・収納されている状態を示す要部の拡大斜視図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る運搬装置に画像形成装置が装着・梱包されている状態を示す斜視図である。
【図4】本発明の第3の実施形態に係る運搬装置の保持部材に支持部材が連結部材を介して装着・収納されている状態を示す要部の拡大斜視図である。
【図5】本発明の第4の実施形態に係る画像形成装置の要部を示す拡大斜視図である。
【図6】(a)は本発明を適用する胴内排紙型の従来の画像形成装置全体の外観構成を示す斜視図、(b)は同装置の転写紙排出空間周りを拡大して示す斜視図である。
【図7】図6の画像形成装置の全体構成を示す簡略的な正面図である。
【符号の説明】
【0063】
1、1A 支持部材(胴内空間支持部材)
2 保持部材
2a 着脱溝(運搬装置内着脱手段)
3 連結部材
5 支持部材収納部(画像形成装置内着脱手段)
6 セット検知センサ(検知手段)
10 原稿読取部
11 画像作像部
12 転写紙排出空間(排出部の空間)
13 胴内排紙部
15 エンドフェンス
16 取付け部
A 画像形成装置
B 運搬装置
Ba、Bb、Bc 支柱(運搬装置の構成要素)
Be 底板(運搬装置の構成要素)
Bf 天板(運搬装置の構成要素)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿読取部と、画像作像部と、該原稿読取部と該画像作像部との間に画像形成済みのシート状記録媒体を排出する排出部とを具備する画像形成装置を運搬および/または保管するために繰り返し使用可能な画像形成装置用の運搬装置において、
上記原稿読取部と上記画像作像部との間に着脱自在に設けられ、該原稿読取部の姿勢を維持するとともに上記排出部の空間を確保する胴内空間支持部材を、上記運搬装置内に着脱自在に収納する運搬装置内着脱手段を有することを特徴とする運搬装置。
【請求項2】
請求項1記載の運搬装置において、
上記胴内空間支持部材は、上記運搬装置とともに繰り返し使用されることを特徴とする運搬装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の運搬装置において、
上記画像形成装置を上記運搬装置に装着する場合であって、上記胴内空間支持部材を上記運搬装置内着脱手段に装着する際に、上記胴内空間支持部材が上記運搬装置への上記画像形成装置の装着を阻止する向きに突出することを特徴とする運搬装置。
【請求項4】
請求項1、2または3記載の運搬装置において、
上記胴内空間支持部材と上記運搬装置とを連結部材で連結したことを特徴とする運搬装置。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れか一つに記載の運搬装置において、
上記運搬装置は、上記画像形成装置をその高さ方向に支持する支柱と、該支柱に取り付けられ、上記排出部の空間近傍の上記画像形成装置の側壁を支持する保持部材とを有し、
上記運搬装置内着脱手段は、上記保持部材に配設されていることを特徴とする運搬装置。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れか一つに記載の運搬装置において、
上記画像形成装置内に、上記胴内空間支持部材を着脱自在に収納する画像形成装置内着脱手段を有することを特徴とする運搬装置。
【請求項7】
請求項6記載の運搬装置において、
上記画像形成装置内着脱手段への上記胴内空間支持部材の装着有無を検知する検知手段を有することを特徴とする運搬装置。
【請求項8】
請求項6または7記載の運搬装置において、
上記胴内空間支持部材が、補用品であることを特徴とする運搬装置。
【請求項9】
原稿読取部と、画像作像部と、該原稿読取部と該画像作像部との間に画像形成済みのシート状記録媒体を排出する排出部と、上記原稿読取部と上記画像作像部との間に着脱自在に設けられ、上記原稿読取部の姿勢を維持するとともに上記排出部の空間を確保する胴内空間支持部材とを具備する画像形成装置において、
上記画像形成装置内に、上記胴内空間支持部材を着脱自在に収納する画像形成装置内着脱手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項9記載の画像形成装置において、
上記画像形成装置内着脱手段への上記胴内空間支持部材の装着有無を検知する検知手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項9または10記載の画像形成装置において、
上記胴内空間支持部材が、上記画像形成装置の構成部品であることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−195005(P2006−195005A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−4355(P2005−4355)
【出願日】平成17年1月11日(2005.1.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】