説明

画像形成装置およびフィニッシャ

【課題】排紙積載部の長さを好適に伸縮することができるようにする。
【解決手段】本発明の画像形成装置においては、用紙装填部は、少なくとも第1の用紙サイズと第2の用紙サイズを含む複数の異なるサイズの用紙を装填し、搬送部は、用紙のサイズ情報に従い、用紙装填部が装填する複数のサイズの用紙の中からいずれかのサイズの用紙を搬送し、画像印刷部は、搬送部が搬送する用紙に画像を印刷し、第1の積載部は、画像印刷部によって画像が印刷された用紙を積載し、第2の積載部は、画像印刷部によって画像が印刷された用紙を積載し、格納部は第2の積載部を格納し、伸縮部は、用紙のサイズ情報に基づいて用紙サイズが第1の用紙サイズである場合、格納部が格納する第2の積載部を取り出し、用紙のサイズ情報に基づいて用紙サイズが第2の用紙サイズである場合、格納部が格納する第2の積載部を取り出さない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置およびフィニッシャに係り、特に、排紙積載部の長さを印刷用紙サイズに合わせて伸縮することができるようにした画像形成装置およびフィニッシャに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、画像形成装置は、画像が印刷された用紙を排出して積載する排紙積載部を備える。ユーザは、手動によって、印刷用紙のサイズに合わせて排紙積載部の長さを伸縮することができる。これにより、画像形成装置の設置面積を小さく抑えることができ、排紙積載部の排紙トレイの長さよりも長い用紙を印刷する場合にのみ排紙積載部の排紙トレイの長さを伸張し、画像形成装置が有する排紙積載部における用紙の整列性(特に縦整合)を高めることができる。
【0003】
なお、排紙積載部の長さの伸縮技術に関し、次のような技術が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1に提案されている技術によれば、プリンタはプリント画像を異なるサイズの印刷媒体に印刷可能なプリンタであり、複数種類の異なるサイズの印刷媒体を保持する印刷媒体装填部と、印刷媒体のサイズを指定するサイズ指定手段と、指定されたサイズの印刷媒体を印刷部に供給する印刷媒体搬送部と、印刷部と、印刷された印刷媒体を排出トレイに排出する印刷媒体排出部と、この印刷媒体排出部から排出される各種のサイズの印刷媒体のうち、最も長い印刷媒体のサイズに対応して排出トレイの長さを自動的に伸長または縮小するトレイ長さ調整装置とを有する。これにより、通常は排出トレイを短くして必要な有香面積を小さくし、大きいサイズの印刷媒体が使用されるときのみに排出トレイを伸ばして、大きいサイズの印刷媒体でも確実に排出トレイで保持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−95515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の画像形成装置の場合、排紙積載部の長さを伸張する主体はユーザであり、排紙積載部の排紙トレイの伸縮作業はユーザの意識に委ねられている。そのため、ユーザが用紙印刷時に排紙積載部の長さの伸縮作業を忘れてしまうと、印刷後の用紙の整列性が極端に悪化してしまう。その結果、積載枚数が多い場合や用紙サイズが排紙積載部の長さに対して大きい場合には、印刷後の用紙が排紙積載部から落下してしまう。特に、多数のユーザが存在するオフィスなどで、多数のユーザが画像形成装置を共有して使用する場合、複数のユーザが各自のデスクに設置されるパーソナルコンピュータなどを用いてネットワークを経由して印刷コマンドを画像形成装置に送信する。このような状況下においては、各ユーザが印刷の前に手動で排紙積載部の排紙トレイを伸縮することは困難となる。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、排紙積載部の長さを好適に伸縮することができる画像形成装置およびフィニッシャを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像形成装置は、上述した課題を解決するために、少なくとも第1の用紙サイズと第2の用紙サイズを含む複数の異なるサイズの用紙を装填する用紙装填部と、用紙のサイズ情報に従い、用紙装填部が装填する複数のサイズの用紙の中からいずれかのサイズの用紙を搬送する搬送部と、搬送部が搬送する用紙に画像を印刷する画像印刷部と、画像印刷部によって画像が印刷された用紙を積載する第1の積載部と、画像印刷部によって画像が印刷された用紙を積載する第2の積載部と、第2の積載部を格納する格納部と、用紙のサイズ情報に基づいて用紙サイズが第1の用紙サイズである場合、格納部が格納する第2の積載部を取り出し、用紙のサイズ情報に基づいて用紙サイズが第2の用紙サイズである場合、格納部が格納する第2の積載部を取り出さない伸縮部とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明のフィニッシャは、上述した課題を解決するために、少なくとも第1の用紙サイズと第2の用紙サイズを含む複数の異なるサイズの用紙の中からいずれかのサイズの用紙に画像を形成する画像形成装置と接続するフィニッシャにおいて、フィニッシャは、画像形成装置によって画像が形成された用紙を積載する第1の積載部と、画像形成装置によって画像が印刷された用紙を積載する第2の積載部と、第2の積載部を格納する格納部と、用紙のサイズ情報に基づいて用紙サイズが第1の用紙サイズである場合、格納部が格納する第2の積載部を取り出し、用紙のサイズ情報に基づいて用紙サイズが第2の用紙サイズである場合、格納部が格納する第2の積載部を取り出さない伸縮部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、画像形成装置が有する排紙積載部の長さを好適に伸縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】用紙の種別とラージサイズまたはショートサイズとの対応関係を示す図。
【図2】用紙の印刷モードがショートサイズモードである場合における画像形成装置での用紙排出の様子を示す図。
【図3】用紙の印刷モードがラージサイズモードである場合における画像形成装置での用紙排出の様子を示す図。
【図4】本実施形態に係る画像形成装置の断面図。
【図5】本実施形態に係る画像形成装置およびフィニッシャの内部の構成を示すブロック図。
【図6】図5の画像形成装置におけるトレイ伸縮処理を説明するフローチャート。
【図7】(A)と(B)は、トレイ伸縮部を用いた延長トレイの伸縮方法(取り出し格納方法)を示す図。
【図8】図5の画像形成装置における他のトレイ伸縮処理を説明するフローチャート。
【図9】用紙の種別とラージサイズまたはショートサイズとの対応関係を示す図。
【図10】用紙の印刷モードがショートサイズモードである場合におけるフィニッシャでの用紙排出の様子を示す図。
【図11】用紙の印刷モードがラージサイズモードである場合におけるフィニッシャでの用紙排出の様子を示す図。
【図12】本実施形態に係る他の画像形成装置とフィニッシャの内部の構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0012】
本実施形態における画像形成装置は、ユーザが印刷用紙のサイズを指定することにより、印刷画像に付与されたサイズ情報とその他の印刷条件情報に基づいて印刷用紙のサイズを決定する。また、本実施形態における画像形成装置は、ユーザが直接選択指定した印刷用紙のサイズ情報に基づいて印刷用紙のサイズを決定するようにしてもよい。印刷用紙がA3、B4、LD、およびLGなどである場合、印刷用紙の長さが画像形成装置の排紙積載部の排紙トレイの長さよりも用紙搬送方向に長い。この場合、画像形成装置の排紙積載部の排紙トレイの長さを伸張(延長)する必要があることから、印刷用紙を「ラージサイズ」と称し、用紙の印刷モードを「ラージサイズモード」と定義する。一方、印刷用紙がA4、B5、およびLTなどである場合、印刷用紙の長さが画像形成装置の排紙積載部の排紙トレイの長さよりも用紙搬送方向に短い。この場合、画像形成装置の排紙積載部の排紙トレイの長さを伸張(延長)する必要がないことから、印刷用紙を「ショートサイズ」と称し、用紙の印刷モードを「ショートサイズモード」と定義する。図1は、用紙の種別とラージサイズまたはショートサイズとの対応関係を示す。
【0013】
なお、排紙積載部が画像形成装置に設けられる場合と、排紙積載部がフィニッシャ(後処理装置)に設けられる場合が考えられる。そこで、まず、排紙積載部が画像形成装置に設けられる場合について説明する。勿論、画像形成装置とフィニッシャの両方に排紙積載部が設けられている場合も考えられ、このような場合、画像形成装置ないしフィニッシャは、印刷条件によって一意に定められる排紙積載部の排紙トレイか、あるいは、ユーザが予め指定した排紙積載部の排紙トレイの伸縮動作を行うことが好ましい。
【0014】
図2は、用紙の印刷モードがショートサイズモードである場合における画像形成装置1での用紙排出の様子を示す。図2が示すように、印刷用紙がショートサイズであることから、画像形成装置1は、排紙積載部の排紙トレイの長さを伸張(延長)しない。すなわち、画像形成装置1は、排紙積載部の排紙トレイの内部に格納されている延長トレイを伸張しない。図3は、用紙の印刷モードがラージサイズモードである場合における画像形成装置1での用紙排出の様子を示す。図3が示すように、印刷用紙がラージサイズであることから、画像形成装置1は、排紙積載部の排紙トレイの長さを伸張(延長)する。すなわち、画像形成装置1は、印刷用紙のサイズに合わせて、排紙積載部の排紙トレイの内部に格納されている延長トレイを伸張する。
【0015】
図4は、本実施形態に係る画像形成装置の断面図を示す。画像形成装置1は、用紙装填部11aと11bを備える。用紙装填部11aと11bは、それぞれ異なるサイズの印刷用紙12あるいは13を装填することが可能である。なお、印刷用紙12は、ショートサイズの用紙であり、排紙積載部が有する排紙トレイ16の長さよりも用紙搬送方向に短い。そのため、たとえ排紙積載部が延長トレイ17を排紙トレイ16の内部の格納部81に格納した場合であっても、画像形成装置1は、印刷用紙12を排紙トレイ16上で十分に縦整合することができ、印刷用紙の整列性を確保することができる。一方、印刷用紙13は、ラージサイズの用紙であり、排紙積載部が有する排紙トレイ16の長さよりも用紙搬送方向に長い。そのため、排紙積載部が延長トレイ17を排紙トレイ16の外部に露出させて延長しなければ、画像形成装置1は、印刷用紙12を排紙トレイ16上で十分に縦整合することができず、印刷用紙の整列性を確保することができない。
【0016】
画像形成装置1は、印刷条件により決定される印刷用紙のサイズ情報またはユーザにより直接指定される印刷用紙のサイズ情報に従って、用紙装填部11aまたは11bに装填される印刷用紙12または13を給紙搬送部14を用いて画像印刷部15に搬送する。なお、画像印刷部15は、画像形成部23と画像定着部24を有する。画像形成部23は、トナーによって形成される画像を印刷用紙に転写する。画像定着部24は、転写画像を印刷用紙に熱によって定着(固定)する。勿論、画像印刷部15における印刷方式は、上述した方式以外の他の方式を用いるようにしてもよい。印刷用紙12または13は、搬送ローラ22b乃至22dが配置される搬送経路を通過して排紙トレイ16に案内される。
【0017】
画像形成装置1は、排紙積載部27を備える。排紙積載部27は、排紙トレイ16、排紙トレイ16の内部の格納部(図7(A)と(B)における格納部81)に格納される延長トレイ17、排紙検知センサ18、ポジション検知センサ19、ラックピニオン機構によるトレイ伸縮部20と21、トレイ伸縮部20と21を駆動するトレイ伸縮部駆動モータ25を有する。排紙検知センサ18は、例えば反射式または遮光式のセンサであり、延長トレイ17の表面近傍に設けられる。排紙検知センサ18は、延長トレイ17が延長された後の排紙トレイ16上に印刷後の印刷用紙(特にラージサイズの印刷用紙)が積載されているか否か、延長トレイ17が格納状態にあるかを検知する。排紙検知センサ18は、延長トレイ17が延長された後の排紙トレイ16上に印刷後の印刷用紙(ラージサイズの印刷用紙)が積載されているか、または延長トレイ17が排紙トレイ16の内部の格納部81に格納されているとき、ONの検知信号を生成し、延長トレイ17が延長された状態で排紙検知センサ18のセンサ面上に何も物体が存在しないとき、OFFの検知信号を生成する。ポジション検知センサ19は、延長トレイ17が排紙トレイ16の内部の格納部81に格納された格納状態にあるのか、または延長トレイが排紙トレイ16の外部に延長された延長状態にあるのかを検知する。ポジション検知センサ19は、例えば反射式または遮光式のセンサであり、延長トレイ17が排紙トレイ16の内部の格納部81に格納された格納状態にある場合、ONの検知信号を生成し、延長トレイが排紙トレイ16の外部に延長された延長状態にある場合、OFFの検知信号を生成する。ピニオンとしてのトレイ伸縮部20とラックとしてのトレイ伸縮部21は、ラックピニオン機構を介し、排紙トレイ16内部に設けられたトレイ伸縮部駆動モータ25の正転または逆転によって延長トレイ17を延長または格納する。
【0018】
図5は、本実施形態に係る画像形成装置1とフィニッシャ2の内部の構成を表している。図5が示すように、画像形成装置1は、制御部41、プリンタ部42、画像データインタフェース43、ページメモリ44、画像処理部45、スキャナ部46、および操作パネル47を備える。制御部41は、CPU(Central Processing Unit)51、ROM(Read Only Memory)52、RAM(Random Access Memory)53、バス54、HDD(Hard Disk Drive)55、および外部通信部56からなる。CPU51は、ROM52に記憶されているプログラムまたはHDD55からRAM53にロードされた各種のアプリケーションプログラムに従って各種の処理を実行するとともに、種々の制御信号を生成し、各部に供給することにより画像処理装置1を統括的に制御する。RAM53は、CPU51が各種の処理を実行する上において必要なデータなどを適宜記憶する。CPU51、ROM52、RAM53、およびHDD55は、バス54を介して相互に接続する。また、モデム、ターミナルアダプタ、およびネットワークインタフェースなどより構成される外部通信部56は、バス54に接続する。外部通信部56は、ネットワーク57を介しての通信処理を行う。
【0019】
制御部41は、プリンタ部42、操作パネル47、および画像データインタフェース43に接続する。操作パネル47は、パネル制御部61、表示部62、および操作キー63を有する。表示部62は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)などからなる。画像データインタフェース43は、画像処理部45とページメモリ44に接続する。画像処理部45は、スキャナ部46に接続する。ここで、画像形成装置1が画像を形成する際の画像データの流れについて説明する。原稿が原稿台ガラス上にセットされると、スキャナ部46は、原稿の画像信号を読み取り、読み取られた画像信号を画像処理部45に供給する。画像処理部45は、例えばASICなどにより構成される。画像処理部45は、スキャナ部46から供給された原稿の画像信号を取得し、取得された画像信号に対して例えばシェーディング補正や各種のフィルタリング処理、階調処理、ガンマ補正などを施す。画像処理部45は、ソフトウェアとして制御部51などに実装されるようにしてもよい。これらの処理後の画像信号は、必要に応じて画像データインタフェース43を介してページメモリ14に格納される。プリンタ部42は、制御部41の制御に従って駆動する。プリンタ部42は、プリンタ部42を統括的に制御するプリンタ制御部71、用紙装填部11aと11b、画像印刷部15、排紙積載部27などを備える。
【0020】
図6のフローチャートを参照して、図5の画像形成装置1におけるトレイ伸縮処理について説明する。
【0021】
ステップS1において、制御部41は、ユーザにより操作パネル47が操作されることにより、印刷条件により決定される印刷用紙のサイズ情報を取得するか、またはユーザにより直接指定される印刷用紙のサイズ情報を取得する。ステップS2において、制御部41は、取得されたサイズ情報に基づいて印刷用紙のサイズはラージサイズであるか否かを判定する。ステップS2において制御部41が印刷用紙のサイズはラージサイズであると判定した場合、制御部41は、プリンタ部42の用紙装填部11aと11bの中から用紙装填部11bを選択する。制御部41が用紙装填部11bを選択した場合、印刷ジョブモードはラージサイズモードとなる。その後、制御部41は、印刷ジョブの実行時に、プリンタ部42の用紙装填部11bを制御してラージサイズの印刷用紙を給紙搬送部14を用いて画像印刷部15に搬送する。ステップS3において、制御部41は、プリンタ部42の排紙積載部27が備えるポジション検知センサ19を用いて、延長トレイ17が格納状態にあるか否かを判定する。すなわち、制御部41は、プリンタ制御部71を介して排紙積載部27のポジション検知センサ19が供給する検知信号に基づいて、延長トレイ17が格納状態にあるか否かを判定する。ポジション検知センサ19は、延長トレイ17が排紙トレイ16の内部の格納部81に格納された格納状態にある場合、ONの検知信号を生成し、延長トレイ17が排紙トレイ16の外部に延長された延長状態にある場合、OFFの検知信号を生成する。従って、制御部41は、ポジション検知センサ19が供給する検知信号がONの検知信号である場合、延長トレイ17が排紙トレイ16の内部の格納部81に格納された格納状態にあると認識する。一方、制御部41は、ポジション検知センサ19が供給する検知信号がOFFの検知信号である場合、延長トレイ17が排紙トレイ16の外部に延長された延長状態にあると認識する。なお、延長トレイ17がすでに排紙トレイ16の外部に延長された延長状態にある場合とは、例えば他のユーザによる印刷ジョブが実行されたときに、実行される印刷ジョブモードがラージサイズモードであり、延長トレイ17がそれに伴って格納部81から延長された(取り出された)ことを意味する。
【0022】
ステップS3において制御部41が、延長トレイ17が格納状態にあると判定した場合、制御部41はステップS4で、ラージサイズモードに伴って延長トレイ17を延長する(取り出す)必要があることから、排紙積載部27のトレイ伸縮部駆動モータ25を駆動し、トレイ伸縮部20と21を用いて延長トレイ17を延長する(取り出す)。図7(A)と(B)は、トレイ伸縮部20と21用いた延長トレイ17の伸縮方法(取り出し格納方法)を示す。具体的には、図7(B)が示すように、ピニオンとしてのトレイ伸縮部20とラックとしてのトレイ伸縮部21が延長トレイ17を延長する場合、トレイ伸縮部20とトレイ伸縮部21は、ラックピニオン機構を介し、トレイ伸縮部駆動モータ25の正転によってピニオンとしてのトレイ伸縮部20の臨席したギアが回転し、延長トレイ17を所定の長さまで延長する。これにより、排紙積載部27は、排紙トレイ16に加えて延長トレイ17の部分まで印刷用紙を積載することができる。
【0023】
一方、ステップS3において制御部41が、延長トレイ17が延長状態にあると判定した場合、ステップS4の処理はスキップされる。また、ステップS2において制御部41が印刷用紙のサイズはスモールサイズであると判定した場合、制御部41は、プリンタ部42の用紙装填部11aと11bの中から用紙装填部11aを選択する。制御部41が用紙装填部11aを選択した場合、印刷ジョブモードはショートサイズモードとなる。なお、印刷ジョブモードはショートサイズモードであることから、排紙積載部27は延長トレイ17を延長する必要はない。そのため、ステップS3およびステップS4の処理はスキップされる。その後、制御部41は、印刷ジョブの実行時に、プリンタ部42の用紙装填部11aを制御してショートサイズの印刷用紙を給紙搬送部14を用いて画像印刷部15に搬送する。
【0024】
ステップS5において、制御部41は、プリンタ部42を制御し、印刷ジョブの実行を開始し、印刷用紙に画像を印刷する。なお、上述したように、印刷ジョブモードがラージサイズモードである場合、排紙積載部27が延長トレイ17を延長した状態で、プリンタ部42は、印刷用紙に画像を印刷する。一方、印刷ジョブモードがショートサイズモードである場合、排紙積載部27が延長トレイ17を延長した状態で、プリンタ部42は、印刷用紙に画像を印刷する。
【0025】
ステップS6において、制御部41は、プリンタ制御部71を介して排紙積載部27の排紙検知センサ18が供給する検知信号に基づいて、延長トレイ17の格納を実行するか否かを判定する。すなわち、制御部41は、プリンタ制御部71を介して排紙積載部27の排紙検知センサ18が供給する検知信号に基づいて、排紙検知センサ18のセンサ面上に印刷用紙が存在するか、あるいは延長トレイ17が排紙トレイ16の内部の格納部81に格納されているか否かを判定する。排紙検知センサ18は、延長トレイ17が延長された後の排紙トレイ16上に印刷後の印刷用紙(ラージサイズの印刷用紙)が積載されているか、または延長トレイ17が排紙トレイ16の内部の格納部81に格納されているとき、ONの検知信号を生成し、延長トレイ17が延長された状態で排紙検知センサ18のセンサ面上に何も物体が存在しないとき、OFFの検知信号を生成する。従って、制御部41は、排紙検知センサ18が供給する検知信号がONの検知信号である場合、延長トレイ17が延長された後の排紙トレイ16上に印刷後の印刷用紙(ラージサイズの印刷用紙)が積載されているか、または延長トレイ17が排紙トレイ16の内部の格納部81に格納されていると認識する。一方、制御部41は、排紙検知センサ18が供給する検知信号がOFFの検知信号である場合、延長トレイ17が延長された状態で排紙検知センサ18のセンサ面上に何も物体が存在せず、延長トレイ17が延長されたままの状態であると認識し、延長トレイ17の格納を実行すると判断する。
【0026】
ステップS6において制御部41が、排紙検知センサ18のセンサ面上に印刷用紙が存在せず、かつ延長トレイ17が排紙トレイ16の内部の格納部81に格納されていないと判定した場合、制御部41はステップS7で、延長トレイ17を排紙トレイ16の内部の格納部81に格納する必要があることから、排紙積載部27のトレイ伸縮部駆動モータ25を駆動し、トレイ伸縮部20と21を用いて延長トレイ17を収縮して排紙トレイ16の内部の格納部81に格納する。具体的には、図7(A)が示すように、ピニオンとしてのトレイ伸縮部20とラックとしてのトレイ伸縮部21が延長トレイ17を収縮する場合、トレイ伸縮部20とトレイ伸縮部21は、ラックピニオン機構を介し、トレイ伸縮部駆動モータ25の逆転によってピニオンとしてのトレイ伸縮部20の臨席したギアが回転し、延長トレイ17を排紙トレイ16の内部の格納部81に格納する。
【0027】
一方、ステップS6において制御部41が、排紙検知センサ18のセンサ面上に印刷用紙が存在するか、あるいは延長トレイ17が排紙トレイ16の内部の格納部81に格納されていると判定した場合、制御部41はステップS8で、排紙検知センサ18のセンサ面上に印刷用紙が存在するか、あるいは延長トレイ17が排紙トレイ16の内部の格納部81に格納されているかを判別するために、プリンタ部42の排紙積載部27が備えるポジション検知センサ19を用いて、延長トレイ17が格納状態にあるか否かを判定する。すなわち、制御部41は、プリンタ制御部71を介して排紙積載部27のポジション検知センサ19が供給する検知信号に基づいて、延長トレイ17が格納状態にあるか否かを判定する。ステップS8において制御部41が、延長トレイ17が格納状態にあると判定した場合、制御部41は、延長トレイ17はすでに格納されており、印刷ジョブモードがショートサイズモードであるために延長トレイ17の延長が行われずに印刷ジョブが実行されたと認識し、ステップS7の延長トレイ17の格納処理をスキップする。
【0028】
一方、ステップS8において制御部41が、延長トレイ17が格納状態にはなく、排紙検知センサ18のセンサ面上に印刷用紙が存在すると判定した場合、制御部41は、印刷ジョブモードがラージサイズモードであるために延長トレイ17の延長が行われて印刷ジョブが実行されたが、印刷用紙が排紙トレイ16と延長トレイ17上に積載されたままの状態であると認識し、延長トレイ17を格納するべきではないと判断する。その後、処理はステップS6に戻り、ステップS6以降の処理が実行される。これにより、ユーザが排紙トレイ16と延長トレイ17に積載された印刷用紙を取りに行くまでの間、印刷用紙は排紙トレイ16と延長トレイ17に積載されたままの状態となり、排紙積載部27は、排紙トレイ16と延長トレイ17上に印刷用紙を積載することができる。
【0029】
本実施形態においては、画像形成装置1は、ユーザの手に委ねられていた排紙トレイ16の伸縮作業を、印刷用紙のサイズに合わせて自動的に行うことができる。これにより、排紙トレイ16の延長作業を忘れることによって引き起こされる印刷用紙の積載整列性の悪化を防止することができ、また、印刷用紙の落下を防止することができる。多数のユーザが存在するオフィスなどで多数のユーザが画像形成装置を共有して使用する場合に、ネットワークを介して画像形成装置1から離れた場所から印刷コマンドを画像形成装置1に送信したときであっても、画像形成装置1は、ユーザがわざわざ手作業をしなくても排紙トレイ16の延長作業を事前に行うことができ、画像形成装置1の利便性を向上させることができる。さらに、排紙トレイ16の延長作業は印刷用紙のサイズに合わせて行うことができるため、排紙トレイ16の延長が必要ない印刷用紙の場合には排紙トレイ16の延長を行わないようにすることができ、画像形成装置1の設置面積を削減することができる。
【0030】
なお、図6のトレイ伸縮処理の場合、印刷用紙のサイズを「ラージサイズ」と「ショートサイズ」の2種類に区分した上で延長トレイ17を延長するか否かを判別するようにしたが、このような場合に限られず、例えば印刷用紙のサイズを3段階以上の種類に区分して、延長トレイ17を延長するか否かだけでなく、延長トレイ17の延長距離を多段階に設定するようにしてもよい。これにより、排紙トレイ16の延長が必要ない印刷用紙の場合には排紙トレイ16の延長を行わないようにすることができだけでなく、印刷用紙のサイズに合わせて画像形成装置1の設置面積をより好適に削減することができる。この場合におけるトレイ伸縮処理は、図8に示される。
【0031】
図8のフローチャートを参照して、図5の画像形成装置1における他のトレイ伸縮処理について説明する。なお、図8の場合、図9が示すように、印刷用紙がA3、B4、LD、およびLGなどである場合、印刷用紙の長さが画像形成装置の排紙積載部の排紙トレイの長さよりも用紙搬送方向に長い。この場合、画像形成装置の排紙積載部の排紙トレイの長さを伸張(延長)する必要があるが、LDとA3の印刷用紙を「ラージサイズ」と称し、LGとB4の印刷用紙を「ミドルサイズ」と称し、用紙の印刷モードを「ラージサイズモード」と「ミドルサイズモード」とそれぞれ定義する。また、図8の場合、用紙装填部11には、それぞれのサイズ(ショートサイズ、ミドルサイズ、およびラージサイズ)に合わせて少なくとも3つ以上の装填部を有するものとする。図8のステップS21、およびステップS27乃至S30の処理は、図6のステップS1、およびステップS5乃至S8の処理と同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。
【0032】
ステップS22において制御部41が印刷用紙のサイズはショートサイズであると判定した場合、制御部41は、プリンタ部42の用紙装填部11のうちショートサイズの用紙が装填されている装填部を選択する。このとき、印刷ジョブモードはショートサイズモードとなる。その後、制御部41は、印刷ジョブの実行時に、プリンタ部42の用紙装填部11を制御してショートサイズの印刷用紙を給紙搬送部14を用いて画像印刷部15に搬送する。そして、印刷ジョブモードはショートサイズモードであることから、排紙積載部27は延長トレイ17を延長する必要はない。そのため、ステップS23乃至ステップS26の処理はスキップされる。
【0033】
ステップS23において、制御部41は、プリンタ部42の排紙積載部27が備えるポジション検知センサ19を用いて、延長トレイ17が格納状態にあるか否かを判定する。すなわち、制御部41は、プリンタ制御部71を介して排紙積載部27のポジション検知センサ19が供給する検知信号に基づいて、延長トレイ17が格納状態にあるか否かを判定する。ステップS23において制御部41が、延長トレイ17が格納状態にあると判定した場合、制御部41はステップS24で、制御部41は、取得されたサイズ情報に基づいて印刷用紙のサイズはラージサイズであるか否かを判定する。ステップS24において制御部41が印刷用紙のサイズはラージサイズであると判定した場合、制御部41はステップS25で、ラージサイズモードに伴って延長トレイ17を延長する必要があることから、排紙積載部27のトレイ伸縮部駆動モータ25を駆動し、トレイ伸縮部20と21を用いて延長トレイ17を第1の距離だけ延長する。トレイ伸縮部20とトレイ伸縮部21は、ラックピニオン機構を介し、トレイ伸縮部駆動モータ25の正転によってピニオンとしてのトレイ伸縮部20の臨席したギアが回転し、延長トレイ17を第1の距離だけ延長する。これにより、排紙積載部27は、排紙トレイ16に加えて延長トレイ17の部分まで印刷用紙を積載することができ、ラージサイズの印刷用紙に最適な長さの排紙トレイ16にラージサイズの印刷用紙を積載することができる。
【0034】
一方、ステップS24において制御部41が印刷用紙のサイズはラージサイズではなく、ミドルサイズであると判定した場合、制御部41はステップS26で、ミドルサイズモードに伴って延長トレイ17を延長する必要があることから、排紙積載部27のトレイ伸縮部駆動モータ25を駆動し、トレイ伸縮部20と21を用いて延長トレイ17を第2の距離だけ延長する。トレイ伸縮部20とトレイ伸縮部21は、ラックピニオン機構を介し、トレイ伸縮部駆動モータ25の正転によってピニオンとしてのトレイ伸縮部20の臨席したギアが回転し、延長トレイ17を第2の距離だけ延長する。第2の距離は、ミドルサイズの印刷用紙に合わせた延長トレイ17の延長距離であり、第1の距離よりも短い。これにより、排紙積載部27は、排紙トレイ16に加えて延長トレイ17の部分まで印刷用紙を積載することができ、ミドルサイズの印刷用紙に最適な長さの排紙トレイ16にミドルサイズの印刷用紙を積載することができる。これにより、印刷用紙のサイズに合わせて画像形成装置1の設置面積をより好適に削減することができる。
【0035】
なお、排紙積載部がフィニッシャ(後処理装置)に設けられる場合も考えられる。図10と図11を用いて、排紙積載部が画像形成装置に設けられる場合について説明する。図10は、用紙の印刷モードがショートサイズモードである場合におけるフィニッシャ2での用紙排出の様子を示す。図10が示すように、印刷用紙がショートサイズであることから、フィニッシャ2は、排紙積載部の排紙トレイの長さを伸張(延長)しない。すなわち、フィニッシャ2は、排紙積載部の排紙トレイの内部に格納されている延長トレイを伸張しない。図11は、用紙の印刷モードがラージサイズモードである場合におけるフィニッシャ2での用紙排出の様子を示す。図11が示すように、印刷用紙がラージサイズであることから、フィニッシャ2は、排紙積載部の排紙トレイの長さを伸張(延長)する。すなわち、フィニッシャ2は、印刷用紙のサイズに合わせて、排紙積載部の排紙トレイの内部に格納されている延長トレイを伸張する。
【0036】
図12は、本実施形態に係る他の画像形成装置1とフィニッシャ2の内部の構成を表している。図12が示すように、フィニッシャ2は、フィニッシャ2を統括制御するフィニッシャ制御部91と、排紙積載部92を備える。なお、排紙積載部92の構成については図4を用いて説明した排紙積載部27と基本的に同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。また、トレイ伸縮処理は、図6または図8を用いて説明したトレイ伸縮処理と基本的に同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。
【符号の説明】
【0037】
1…画像形成装置、2…フィニッシャ、11(11aと11b)…用紙装填部、14…給紙搬送部、15…画像印刷部、16…排紙トレイ、17…延長トレイ、18…排紙検知センサ、19…ポジション検知センサ、20…トレイ伸縮部、21…トレイ伸縮部、22(22a、22b、22c、および22d)…搬送ローラ、23…画像形成部、24…画像定着部、25…延長トレイ駆動モータ、27…排紙積載部、41…制御部、42…プリンタ部、43…画像データインタフェース、44…ページメモリ、45…画像処理部、46…スキャナ部、47…操作パネル、51…CPU,52…ROM,53…RAM、54…バス、55…HDD、56…外部通信部、57…ネットワーク、61…パネル制御部、62…表示部、63…操作キー、71…プリンタ制御部、81…格納部、91…フィニッシャ制御部、92…排紙積載部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1の用紙サイズと第2の用紙サイズを含む複数の異なるサイズの用紙を装填する用紙装填部と、
用紙のサイズ情報に従い、前記用紙装填部が装填する複数のサイズの用紙の中からいずれかのサイズの用紙を搬送する搬送部と、
前記搬送部が搬送する用紙に画像を印刷する画像印刷部と、
前記画像印刷部によって画像が印刷された用紙を積載する第1の積載部と、
前記画像印刷部によって画像が印刷された用紙を積載する第2の積載部と、
前記第2の積載部を格納する格納部と、
用紙のサイズ情報に基づいて用紙サイズが前記第1の用紙サイズである場合、前記格納部が格納する前記第2の積載部を取り出し、用紙のサイズ情報に基づいて用紙サイズが前記第2の用紙サイズである場合、前記格納部が格納する前記第2の積載部を取り出さない伸縮部とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記伸縮部を駆動する駆動部をさらに備え、
前記伸縮部は、前記駆動部の駆動により、前記格納部が格納する前記第2の積載部を取り出し、または前記第2の積載部を前記格納部に格納することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記駆動部はモータであり、前記伸縮部は、前記駆動部の正転または逆転により、前記格納部が格納する前記第2の積載部を取り出し、または前記第2の積載部を前記格納部に格納することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
伸縮部は、ラックピニオン機構からなることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第2の積載部が用紙を積載するか否かを検知する積載検知部をさらに備え、
前記積載検知部が、前記第2の積載部が用紙を積載しないと検知した場合、前記伸縮部は、前記第2の積載部を前記格納部に格納することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記格納部が前記第2の積載部を格納するか否かを検知する格納検知部をさらに備え、
前記格納検知部が、前記格納部が前記第2の積載部を格納していないと検知した場合、前記伸縮部は、用紙のサイズ情報に基づいて用紙サイズが前記第1の用紙サイズであっても、前記格納部が格納する前記第2の積載部を取り出さないことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
少なくとも第1の用紙サイズと第2の用紙サイズを含む複数の異なるサイズの用紙の中からいずれかのサイズの用紙に画像を形成する画像形成装置と接続するフィニッシャにおいて、
前記フィニッシャは、
前記画像形成装置によって画像が形成された用紙を積載する第1の積載部と、
前記画像形成装置によって画像が印刷された用紙を積載する第2の積載部と、
前記第2の積載部を格納する格納部と、
用紙のサイズ情報に基づいて用紙サイズが前記第1の用紙サイズである場合、前記格納部が格納する前記第2の積載部を取り出し、用紙のサイズ情報に基づいて用紙サイズが前記第2の用紙サイズである場合、前記格納部が格納する前記第2の積載部を取り出さない伸縮部とを備えることを特徴とするフィニッシャ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−298596(P2009−298596A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−142483(P2009−142483)
【出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】