説明

画像形成装置および感光体カートリッジ

【課題】ガイド部材における用紙搬送方向下流側のガイドを感光体に接触または離間させる機構が簡易な構成で実現できる、感光体カートリッジ、および、その感光体カートリッジが装備される画像形成装置を提供すること。
【解決手段】感光ドラム23の上流側に、用紙3の通過時には用紙当接部65が傾倒する通過位置に配置され、用紙3の非通過時には用紙当接部65が直立する非通過位置に配置されるように、第1回転軸64を中心として揺動する第1揺動部材62を設ける。感光ドラム23と第1揺動部材62との間に、第2回転軸81を中心として第1揺動部材62の揺動に連動して揺動する第2揺動部材63を設ける。第2揺動部材63は、第1揺動部材62が通過位置または非通過位置に位置されたときに、感光ドラム23に対してフィルム部材86が近接または離間する近接位置または離間位置に位置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザプリンタなどの画像形成装置、その画像形成装置に装備されるドラムカートリッジなどの感光体カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
レーザプリンタなどの画像形成装置には、通常、静電潜像の現像により形成されるトナー像が担持されている感光ドラムを備えるプロセスカートリッジが、画像形成装置に着脱自在に装着されている。感光ドラムは、画像形成装置において、転写ローラと接触するように対向配置される。
【0003】
この画像形成装置では、感光ドラムと転写ローラとの間のニップ位置を用紙が通過する間に、感光ドラムに担持されているトナー像が、転写ローラの転写バイアスによって用紙に転写されるように構成された転写装置を備えている。
【0004】
このような転写装置には、感光ドラムと転写ローラとの間のニップ位置よりも用紙の搬送方向上流側に、用紙をニップ位置に案内するためのガイド部材が、感光ドラムと近接して設けられている。
【0005】
このガイド部材は、転写紙搬送用ガイドと、その転写紙搬送用ガイドを揺動させる偏心カムと、フォトセンサと、を備え、フォトセンサで転写紙の先端を検知したときは、偏心カムを回転させて転写紙搬送用ガイドを感光体に近接させ、フォトセンサで転写紙の後端を検知したときは、偏心カムを回転させて、転写紙搬送用ガイドを感光体から離間させるように構成されている(たとえば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平5−53449号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載される転写装置では、下側ガイド部材の用紙搬送方向下流側部分を感光体に対して接触または離間させるために、フォトセンサや偏心カムが必要であり、さらには、偏心カムを回転させるためのモータや、フォトセンサからの信号を受信してモータを所定のタイミングで駆動制御するための制御部が必要となり、部品点数が多く、構成が複雑となる。
【0007】
また、フォトセンサや制御部に設けられる制御基板などの電子機器は、電気的要因により故障するなど、信頼性に欠ける場合がある。
【0008】
本発明の目的は、ガイド部材における用紙搬送方向下流側のガイドを感光体に接触または離間させる機構が簡易な構成で実現でき、かつ、下側ガイド部材の感光体側端部を可撓性部材で構成した場合には、用紙後端がこの可撓性部材から離間したときに、この可撓性部材の上方向への戻りにより異音の発生が低減できる、感光体カートリッジ、および、その感光体カートリッジが装備される画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、画像形成装置であって、現像剤像を担持する像担持体と、前記像担持体と接触可能に対向配置され、前記像担持体との接触位置で前記現像剤像を記録媒体に転写する転写部材と、前記接触位置に対して前記記録媒体の搬送方向上流側に設けられ、前記記録媒体の通過時には、前記接触位置側に向かう記録媒体を前記接触位置に至る途中まで案内するために、第1位置に配置され、前記記録媒体の非通過時には、第2位置に配置されるように、第1支点を中心として揺動される第1揺動部材と、前記記録媒体の搬送方向において前記第1揺動部材から前記接触位置へ至る途中に設けられ、第2支点を中心として前記第1揺動部材の揺動に連動して揺動され、前記第1揺動部材が前記第1位置に配置されたときに、前記第1揺動部材から案内された前記記録媒体を前記像担持体へ案内するために、前記像担持体に近接する近接位置に配置され、前記第1揺動部材が前記第2位置に配置されたときに、前記像担持体から離間する離間位置に配置される第2揺動部材とを備えていることを特徴としている。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記第1揺動部材は、前記第1支点を中心として回転する第1回転軸と、前記第1回転軸から前記記録媒体の搬送経路に臨むように突出され、前記記録媒体と当接する記録媒体当接部と、前記第1回転軸から前記第2揺動部材に向かって突出される第1当接部とを備え、前記第2揺動部材は、前記第2支点を中心として回転する第2回転軸と、前記第2回転軸から前記像担持体に向かって突出され、前記記録媒体を前記像担持体へ案内する記録媒体案内部と、前記第2回転軸から前記第1当接部に向かって突出され、前記第1当接部に追従する第2当接部とを備えていることを特徴としている。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記記録媒体案内部は、前記第2回転軸から前記接触位置側に向けて延出される案内支持部と、前記案内支持部の延出方向端部から、前記接触位置側に向かって延びる可撓性部材とを備えていることを特徴としている。
【0012】
また、請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の発明において、前記第1当接部は、前記第1回転軸から径方向外方に延びる突出部と、前記突出部から前記第2当接部に向かって突出する係止部とを備え、前記第2当接部は、前記第2回転軸から前記記録媒体の搬送方向上流側に向かって延び、自重によって前記係止部に当接することを特徴としている。
【0013】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記第2揺動部材では、前記第2支点から前記案内支持部の遊端部までの距離をL1とし、その案内支持部の遊端部にかかる荷重をF1とし、前記第2支点から前記第2当接部の遊端部までの距離をL2とし、その第2当接部の遊端部にかかる荷重をF2としたときに、次式:L1・F1<L2・F2を満足することを特徴としている。
【0014】
また、請求項6に記載の発明は、請求項4または5に記載の発明において、前記記録媒体の非通過時に、前記第1位置から前記第2位置へ揺動する前記第1揺動部材の前記第2位置を超過する揺動を規制する規制部材を備え、前記第1揺動部材は、前記記録媒体の非通過時に前記第2位置に配置されたときに、前記規制部材に当接する被規制部材を備えていることを特徴としている。
【0015】
また、請求項7に記載の発明は、請求項2または3に記載の発明において、前記第1当接部は、前記第1回転軸から径方向外方に延びる突出部と、前記突出部から前記突出部の長手方向と交差する方向に突出する突起部とを備え、前記第2当接部には、前記突起部をスライド自在に受け入れる受入溝が、前記第1揺動部材の前記第1位置と前記第2位置との間の揺動に対応する前記突起部のスライドを許容できるように、前記第2当接部の延出方向に沿って形成されていることを特徴としている。
【0016】
また、請求項8に記載の発明は、請求項1ないし7のいずれかに記載の発明において、前記第1揺動部材は、前記第1回転軸から径方向外方に延び、前記第1揺動部材の前記第1位置と前記第2位置との間の揺動により検知位置に対して重複または離間して、前記記
録媒体が前記記録媒体当接部と当接したことを検知させる検知部を備えており、前記検知部の検知位置に対する重複状態または離間状態を検知する検知手段を備えていることを特徴としている。
【0017】
また、請求項9に記載の発明は、請求項1ないし8のいずれかに記載の発明において、ケーシングと、前記ケーシングに対して着脱可能な感光体カートリッジとを備え、前記像担持体は、前記感光体カートリッジに設けられていることを特徴としている。
【0018】
また、請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の発明において、前記第1揺動部材は、前記ケーシングにおいて、揺動自在に支持されていることを特徴としている。
【0019】
また、請求項11に記載の発明は、請求項9または10に記載の発明において、前記第2揺動部材は、前記感光体カートリッジにおいて、揺動自在に支持されていることを特徴としている。
【0020】
また、請求項12に記載の発明は、ケーシングに対して着脱可能な感光体カートリッジであって、現像剤像を担持する像担持体と、前記像担持体と接触可能に対向配置され、前記像担持体との接触位置で前記現像剤像を記録媒体に転写する転写部材と、前記接触位置に対して前記記録媒体の搬送方向上流側に設けられており、前記像担持体に対して近接する近接位置と、前記像担持体に対して離間する離間位置とに、第2支点を中心として揺動される第2揺動部材とを備え、前記第2揺動部材は、前記ケーシングに設けられ、前記記録媒体の通過時には、前記接触位置側に向かう記録媒体を前記接触位置に至る途中まで案内するために、第1位置に配置され、前記記録媒体の非通過時には、第2位置に配置されるように、第1支点を中心として揺動される第1揺動部材に連動して揺動され、前記第1揺動部材が前記第1位置に配置されたときに、前記第1揺動部材から案内された前記記録媒体を前記像担持体へ案内するために、前記近接位置に配置され、前記第1揺動部材が前記第2位置に配置されたときに、前記離間位置に配置されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に記載の発明によれば、記録媒体が、像担持体と転写部材との接触位置に向けて搬送されると、まず、接触位置に対して記録媒体の搬送方向上流側に設けられている第1揺動部材を通過する。記録媒体が第1揺動部材を通過するときには、第1揺動部材が第1支点を中心として揺動して第1位置に配置される。これによって、記録媒体は、接触位置側に向かう記録媒体を接触位置に至る途中まで案内される。次いで、記録媒体は、記録媒体の搬送方向において第1揺動部材から接触位置へ至る途中に設けられる第2揺動部材を通過する。このとき、第2揺動部材は、第1揺動部材の揺動に連動して、第2支点を中心として揺動して像担持体に近接する近接位置に配置されている。そのため、第1揺動部材から案内された記録媒体は、第2揺動部材に案内されながら像担持体に搬送されることになる。
【0022】
一方、記録媒体が第1揺動部材を通過した後は、第1揺動部材が第1支点を中心として揺動して第2位置に配置されるので、第2揺動部材は、第1揺動部材の揺動に連動して、第2支点を中心として揺動して像担持体から離間する離間位置に配置される。そのため、記録媒体の後端部が第2揺動部材から離れるときに、この第2揺動部材の戻りによる異音の発生を防止することができる。
【0023】
さらに、このような構成では、記録媒体の通過または非通過により、第1揺動部材および第2揺動部材を揺動させるのみであるため、検知手段、駆動源、さらには制御手段などの複雑な機構および制御が不要である。そのため、部品点数の低減化および構成の簡略化を図ることができる。
【0024】
請求項2に記載の発明によれば、記録媒体が第1揺動部材を通過するときには、搬送経路に臨む第1揺動部材の記録媒体当接部と当接する。すると、第1揺動部材では、第1支点を中心として第1回転軸が回転して、第1当接部が揺動され、第1揺動部材が第1位置に配置される。また、第1当接部の揺動に第2揺動部材の第2当接部が追従するので、第2揺動部材では、第2支点を中心として第2回転軸が回転して、記録媒体案内部が揺動され、第2揺動部材が近接位置に配置される。
【0025】
一方、記録媒体が第1揺動部材を通過した後は、記録媒体当接部の、記録媒体との当接が解除される。すると、第1揺動部材では、第1支点を中心として第1回転軸が回転して、第1当接部が揺動され、第1揺動部材が第2位置に配置される。また、第1当接部の揺動に第2揺動部材の第2当接部が追従するので、第2揺動部材では、第2支点を中心として第2回転軸が回転して、記録媒体案内部が揺動され、第2揺動部材が離間位置に配置される。
【0026】
その結果、第1揺動部材および第2揺動部材を簡易に形成しつつ、確実な動作を確保することができる。
【0027】
請求項3に記載の発明によれば、記録媒体案内部において、記録媒体は、可撓性部材を通過して、像担持体に搬送される。そのため、記録媒体を像担持体に確実に密着させることができる。
【0028】
請求項4に記載の発明によれば、第2当接部が自重によって係止部に当接する。そのため、常には、第2揺動部材は、第2当接部の自重によって離間位置に配置される。一方、記録媒体が記録媒体当接部と当接すると、第1揺動部材は、第1位置に位置されるので、第2揺動部材は、第2当接部の自重によって係止部に追従して、近接位置に配置される。
【0029】
そのため、第1当接部と第2当接部との連結手段を不要とした簡易な構成により、第1揺動部材の揺動に連動させて、第2揺動部材を、近接位置または離間位置に揺動させることができる。
【0030】
請求項5に記載の発明によれば、L1・F1<L2・F2を満足するので、常には、第2揺動部材を、第2当接部の自重によって、確実に第1当接部に当接させることができる。
【0031】
請求項6に記載の発明によれば、記録媒体が第1揺動部材を通過した後、記録媒体当接部の、記録媒体との当接が解除されると、第1揺動部材が、第1支点を中心とする第1回転軸の回転により、揺動して、被規制部材が規制部材に当接することにより、第2位置に配置される。そのため、第1揺動部材を特定の第2位置に配置することができるとともに、第2揺動部材を特定の離間位置に配置することができる。
【0032】
請求項7に記載の発明によれば、記録媒体が第1揺動部材を通過するときに、第1回転軸が第1支点を中心として回転すると、第1当接部の突起部が、第2当接部の受入溝を、第2位置から第1位置へ向かう方向と対応する方向へスライドされる。すると、第2回転軸が第2支点を中心として回転し、第2揺動部材が近接位置に配置される。一方、記録媒体が第1揺動部材を通過した後、第1回転軸が第1支点を中心として回転すると、第1当接部の突起部が、第2当接部の受入溝を、第1位置から第2位置へ向かう方向と対応する方向へスライドされる。すると、第2回転軸が第2支点を中心として回転し、第2揺動部材が離間位置に配置される。
【0033】
そのため、簡易な構成により、第1揺動部材を第1位置または第2位置に確実に配置させることができるとともに、第2揺動部材を近接位置または離間位置に確実に配置させることができる。
【0034】
請求項8に記載の発明によれば、第1回転軸の回転により、検知部が、検知位置に対して重複または離間するように、第1位置と第2位置との間を揺動する。そのため、検知手段によって、検知部の検知位置に対する重複状態または離間状態を検知すれば、像担持体への画像の書き込み開始のタイミングを検知することができる。これによって、第2揺動部材の揺動による記録媒体の像担持体への確実な案内と、像担持体への画像の書き込み開始のタイミングの検知の両方を、第1揺動部材の揺動により同時に達成することができる。
【0035】
請求項9に記載の発明によれば、感光体カートリッジが、ケーシングに対して着脱自在に装着される。そのため、記録媒体のジャム処理や、感光体カートリッジの交換の容易化を図ることができる。
【0036】
請求項10に記載の発明によれば、第1揺動部材が、消耗品である感光体カートリッジに設けられることなく、ケーシングに設けられているので、感光体カートリッジのコストの低減化を図ることができる。また、感光体カートリッジに第1揺動部材を設けると、感光体カートリッジの着脱時に、第1揺動部材が損傷するおそれがある。しかし、第1揺動部材をケーシングに設ければ、かかる損傷のおそれを回避することができる。
【0037】
請求項11に記載の発明によれば、第2揺動部材が、感光体カートリッジに設けられている。そのため、像担持体に対する第2揺動部材の近接位置および離間位置の位置精度を向上させることができる。その結果、記録媒体に対する現像剤像の確実な転写を達成することができる。
【0038】
請求項12に記載の発明によると、感光体カートリッジには、ケーシングに設けられる第1揺動部材の揺動に連動して揺動する第2揺動部材が設けられている。そして、記録媒体の通過時に第1揺動部材が第1位置に配置されると、第2揺動部材は近接位置に配置される。また、記録媒体の非通過時に第1揺動部材が第2位置に配置されると、第2揺動部材は離間位置に配置される。そのため、部品点数の低減化および構成の簡略化を図ることができながら、記録媒体に対する現像剤像の確実な転写を達成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
1.レーザプリンタの全体構成
図1は、本発明の画像形成装置としてのレーザプリンタの一実施形態を示す要部側断面図である。図2は、プロセスカートリッジの側断面図である。
【0040】
図1において、レーザプリンタ1は、ケーシングとしての本体ケーシング2内に、記録媒体としての用紙3を給紙するための給紙部4や、給紙された用紙3に画像を形成するための画像形成部5などを備えている。
(1)本体ケーシング
本体ケーシング2において、一方側の側壁には、プロセスカートリッジ16を着脱するための着脱開口部6が形成されており、その着脱開口部6を開閉するためのフロントカバー7が設けられている。
【0041】
フロントカバー7は、その下端部に挿通される図示しないカバー軸に回動自在に支持されている。フロントカバー7を、カバー軸を中心として閉じると、フロントカバー7によって着脱開口部6が閉鎖される。フロントカバー7を、カバー軸を支点として開くと(傾倒させると)、着脱開口部6が開放される。開放された着脱開口部6を介して、プロセスカートリッジ16を本体ケーシング2に対して着脱させることができる。
【0042】
なお、以下の説明では、レーザプリンタ1およびプロセスカートリッジ16において、フロントカバー7が設けられる側を「前側」とし、その反対側を「後側」とする。また、図1の紙面手前側を「左側」とし、紙面奥側を「右側」とする。
(2)給紙部
給紙部4は、本体ケーシング2内の下部に設けられている。給紙部4は、着脱自在に装着される給紙トレイ8と、給紙トレイ8の前端部の上方に設けられる給紙ローラ9および分離パッド10と、給紙ローラ9の後方に設けられるピックアップローラ11と、給紙ローラ9の前側下方に対向配置されるピンチローラ12と、給紙ローラ10の後側上方に設けられる上下1対のレジストローラ13とを備えている。
【0043】
給紙トレイ8内には、用紙押圧板14の上に用紙3が積層状に載置されている。最上位の用紙3は、ピックアップローラ11の回転によって、給紙ローラ9と分離パッド10との間に搬送され、給紙ローラ9と分離パッド10との間に挟まれたときに、給紙ローラ9の回転によって1枚ごとに捌かれて給紙される。
【0044】
給紙された用紙3は、給紙ローラ9とピンチローラ12との間を通過して、レジストローラ13に搬送される。
【0045】
レジストローラ13は、用紙3を、レジスト後に、画像形成部5の接触位置としての転写位置(感光ドラム23と転写ローラ26とのニップ位置、以下同じ。)へ搬送する。
【0046】
なお、本体ケーシング2には、レジストローラ13から転写位置を通過して定着部17へ至る用紙3の搬送経路に沿って、用紙案内板55が設けられている。用紙案内板55は、平面視平板形状に形成され、給紙トレイ8の上方において前後方向に沿って設けられている。
【0047】
用紙案内板55には、後述するドラムカートリッジ21の転写ローラ収容部29を受ける凹部56が、前後方向途中において幅方向(左右方向、以下同じ。)に沿って形成されている。
【0048】
用紙案内板55は、その前端部から凹部56までが、レジストローラ13から転写位置まで用紙3を搬送する前側案内板57として区画されている。前側案内板57は、後方に向かうに従って下方へ傾斜するように配置されている。前側案内板57の後端部から凹部56の前端部にかけては、前後方向に延びる本体側スリット59(図7参照)が開口されている。この本体側スリット59は、用紙案内板55の幅方向中央に配置され、平面視略矩形状に形成されている。
【0049】
また、凹部56から用紙案内板55の後端部までが、転写位置から定着部17まで用紙3を搬送する後側案内板58として区画されている。後側案内板58は、後方に向かうに従って上方へ傾斜するように配置されている。
【0050】
レジストローラ13から搬送される用紙3は、前側案内板57によって、転写位置へ向けて案内される。
(3)画像形成部
画像形成部5は、スキャナ部15、プロセスカートリッジ16および定着部17を備えている。
(3−1)スキャナ部
スキャナ部15は、本体ケーシング2内の上部に設けられている。スキャナ部15は、図示しないレーザ光源、回転駆動されるポリゴンミラー18、レンズ19および反射鏡20を備えている。レーザ光源から発光される画像データに基づくレーザビームは、破線で示すように、ポリゴンミラー18で偏向されて、レンズ19および反射鏡20を通過または反射した後、プロセスカートリッジ16の感光ドラム23の表面上に照射される。
(3−2)プロセスカートリッジ
プロセスカートリッジ16は、スキャナ部19の下方において、本体ケーシング2に対して着脱自在に装着されている。
【0051】
プロセスカートリッジ16は、本体ケーシング2に対して着脱自在に装着される感光体カートリッジとしてのドラムカートリッジ21と、ドラムカートリッジ21に対して着脱自在に装着される現像カートリッジ32とを備えている。
(3−2−1)ドラムカートリッジ
図2に示すように、ドラムカートリッジ21は、ドラムフレーム22と、そのドラムフレーム22に設けられる、像担持体としての感光ドラム23、スコロトロン型帯電器24、クリーニングブラシ25および転写部材としての転写ローラ26とを備えている。
【0052】
ドラムフレーム22は、図5に示すように、前後方向に延びるように形成されており、その前側部分が、現像カートリッジ32を収容する現像カートリッジ収容部27として区画されている。また、その後側部分が、感光ドラム23を収容する感光ドラム収容部28として区画されている。また、ドラムフレーム22には、図2および図5に示すように、感光ドラム収容部28の下方において、転写ローラ26を収容する転写ローラ収容部29が設けられている。また、ドラムフレーム22には、図2に示すように、感光ドラム収容部28の後側上方において、スコロトロン型帯電器24を支持するための帯電器支持部31が設けられている。
【0053】
さらに、ドラムフレーム22には、図2および図5に示すように、用紙3を転写位置に案内するためのシュート板30が設けられている。
【0054】
シュート板30は、現像カートリッジ収容部27の後側部分の底壁として区画されている。シュート板30は、転写ローラ収容部29の前端部から間隔を隔てて配置され、前後方向に沿って延び、前方に向かうに従って下方に傾斜するように設けられている。また、シュート板30は、現像カートリッジ収容部27の前側部分の底壁よりも、一段低く形成されており、シュート板30の前端部と、現像カートリッジ収容部27の前側部分の底壁との間には、用紙3をドラムカートリッジ21内へ搬入するための用紙搬入口46が形成されている。
【0055】
また、シュート板30の、本体側スリット59と対向する部分には、ドラム側スリット53が形成されている。ドラム側スリット53は、シュート板30の幅方向中央に配置され、平面視略矩形状に形成されている。
【0056】
また、転写ローラ収容部29の、転写位置と前後方向に対向する後端部には、用紙3を転写位置から搬出するための用紙搬出口47が形成されている。
【0057】
ドラムフレーム22の本体ケーシング2に対する装着状態では、図1に示すように、転写ローラ収容部29およびシュート板30が、用紙案内板55の凹部56に受け入れられている。また、現像カートリッジ収容部27の底壁の前側部分が、前側案内板57とわずかな間隔を隔てて対向配置される。
【0058】
また、用紙搬出口47が、前側案内板57の後方において、その前側案内板57と前後方向において対向配置されている。また、用紙搬出口47が、後側案内板58の前方において、その後側案内板58と前後方向において対向配置されている。
【0059】
感光ドラム23は、図2に示すように、ドラム収容部28内に配置されている。感光ドラム23は、ドラム本体33と、ドラム軸34とを備えている。
【0060】
ドラム本体33は、円筒形状に形成され、最表層がポリカーボネートなどからなる正帯電性の感光層により形成されている。
【0061】
ドラム軸34は、ドラム本体33の軸心に配置され、ドラム本体33の軸線方向に延び、ドラム収容部28の左右側壁に回転不能に支持されている。一方、ドラム軸34は、ドラム本体33を相対回転可能に支持している。これによって、ドラム本体33がドラム軸34に対して回転自在に支持される。
【0062】
ドラム本体33は、図示しないが、接地されており、画像形成時には、本体ケーシング2に設けられるモータ(図示せず)からの駆動力により回転駆動される。
【0063】
スコロトロン型帯電器24は、感光ドラム23の後側斜め上方において、帯電器支持部31に支持されている。スコロトロン型帯電器24は、感光ドラム29と間隔を隔てて対向配置されている。このスコロトロン型帯電器24には、画像形成時に、高電圧が印加され、ドラム本体33の表面が一様に正極性に帯電される。
【0064】
クリーニングブラシ25は、感光ドラム23の後方において、ドラム収容部102に支持されている。クリーニングブラシ25は、幅方向に沿って延びる略矩形細長形状の支持板に多数のブラシが植設されている。クリーニングブラシ25は、ドラム本体33の表面にブラシが幅方向に沿って接触するように、感光ドラム23に対して前後方向に対向配置されている。クリーニングブラシ25には、画像形成時に、クリーニングバイアスが印加される。
【0065】
転写ローラ26は、感光ドラム23の下方から、感光ドラム23と接触可能に対向配置され、転写ローラ収容部29内に配置されている。転写ローラ26は、ローラ軸36と、ゴムローラ35を備えている。ローラ軸36は、金属材料から形成されており、転写ローラ収容部29の左右側壁において、回転自在に支持されている。ゴムローラ35は、イオン導電性のゴム材料から形成されており、ローラ軸36の周りを被覆するように設けられている。
【0066】
ローラ軸36には、画像形成時に、本体ケーシング2に設けられるモータ(図示せず)からの駆動力が伝達され、転写ローラ26は、その駆動力により回転駆動される。また、ローラ軸36には、画像形成時に、転写バイアスが印加される。
(3−2−2)現像カートリッジ
現像カートリッジ32は、ドラムカートリッジ21の現像カートリッジ収容部27に対して、着脱自在に設けられている。
【0067】
現像カートリッジ32は、現像フレーム37と、その現像フレーム37内に設けられる、アジテータ38、供給ローラ39、現像ローラ40および層厚規制ブレード41と、を備えている。
【0068】
現像フレーム37は、後方が開放されるボックス状に形成されている。現像フレーム37は、隔壁42によって、前側のトナー収容室43と後側の現像室44とに区画されている。隔壁42には、トナー収容室43と現像室44とを連通する連通口45が形成されている。
【0069】
トナー収容室43には、現像剤として、トナーが収容されている。トナーとしては、正帯電性の非磁性1成分の重合トナーが用いられている。重合トナーは、略球形に形成されており、流動性に優れている。
【0070】
アジテータ38は、トナー収容室43内に設けられている。画像形成時において、アジテータ38は、本体ケーシング2に設けられるモータ(図示せず)からの駆動力により回転駆動される。
【0071】
供給ローラ39は、現像室44内において、連通口45の後方に設けられている。画像形成時において、供給ローラ39は、本体ケーシング2に設けられるモータ(図示せず)からの駆動力により回転駆動される。
【0072】
現像ローラ40は、現像室44内において、供給ローラ39の後方に設けられている。現像ローラ40と供給ローラ39とは、互いに圧接するように配置されている。画像形成時において、現像ローラ40は、本体ケーシング2に設けられるモータ(図示せず)からの駆動力により回転駆動される。また、現像ローラ40には、画像形成時に、現像バイアスが印加される。
【0073】
層厚規制ブレード41は、現像室44内において、現像ローラ40の前方側方から圧接するように設けられている。
(3−2−3)プロセスユニットの動作
現像カートリッジ32では、トナー収容室43に収容されているトナーが、アジテータ38によって攪拌されながら、連通口45を介して現像室44へ放出される。
【0074】
放出されたトナーは、供給ローラ39に供給される。供給ローラ39に供給されたトナーは、供給ローラ39の回転により、現像ローラ40に供給され、このとき、供給ローラ39と、現像バイアスが印加されている現像ローラ40との間で正極性に摩擦帯電される。現像ローラ40に供給されたトナーは、現像ローラ40の回転に伴って、層厚規制ブレード41と現像ローラ40との間に進入し、その後、現像ローラ40の表面に、薄層として担持される。
【0075】
一方、ドラム本体33の表面は、ドラム本体33の回転に伴なって、スコロトロン型帯電器24により一様に正帯電された後、スキャナ部19からのレーザビームの高速走査により露光され、用紙3に形成すべき画像に対応した静電潜像が形成される。
【0076】
さらにドラム本体33が回転すると、現像ローラ40の表面に担持されかつ正帯電されているトナーが、現像ローラ40の回転により、ドラム本体33と対向して接触するときに、ドラム本体33の表面に形成されている静電潜像、すなわち、一様に正帯電されているドラム本体33の表面のうち、レーザビームによって露光され電位が下がっている露光部分に供給される。これにより、ドラム本体33の静電潜像は、可視像化され、ドラム本体33の表面には、反転現像による現像剤像としてのトナー像が担持される。
【0077】
一方、レジストローラ13から搬送されてくる用紙3は、前側案内板57を通過した後、用紙搬入口46からドラムカートリッジ21内に搬入され、シュート板30を通過して転写位置に案内される。
【0078】
トナー像が担持されたドラム本体33がさらに回転して、転写ローラ26が転写位置において対向すると、トナー像は、シュート板30から案内される用紙3が転写位置を通過
する間に、ドラム本体33とゴムローラ35との間で挟まれて、ローラ軸36に印加されている転写バイアスによって、用紙3に転写される。トナー像が転写された用紙3は、用紙搬出口47からドラムカートリッジ21外に搬出され、後側案内板58を通過した後、定着部21に搬送される。
【0079】
さらにドラム本体33が回転し、クリーニングブラシ25と対向すると、転写後にドラム本体33の表面に付着する用紙3からの紙粉が、クリーニングブラシ25のクリーニングバイアスによって吸引されながら、ブラシによって絡め取られる。なお、転写後にドラム本体33の表面に残存する転写残トナーは、現像ローラ40に回収される。
(3−3)定着部
定着部17は、図1に示すように、本体ケーシング2内において、プロセスカートリッジ16の後方に設けられている。定着部17は、加熱ローラ48および加圧ローラ49を備えている。
【0080】
加熱ローラ48は、金属素管と、その金属素管内に設けられるハロゲンランプとを備え、図示しないモータからの駆動力により回転駆動される。加圧ローラ49は、加熱ローラ48を下方から押圧するように、加熱ローラ48と対向配置されている。この加圧ローラ49は、加熱ローラ48の回転駆動に従って従動される。
【0081】
定着部17では、転写位置において用紙3上に転写されたトナー像を、用紙3が加熱ローラ48と加圧ローラ49との間を通過する間に熱定着させる。
【0082】
トナーが定着された用紙3は、本体ケーシング2の上面に向かって上下方向に延びた排紙パス50に搬送される。排紙パス50に搬送された用紙3は、排紙パス50の下流側端部に設けられる排紙ローラ51によって、本体ケーシング2の上面に形成された排紙トレイ52上に排紙される。
2.転写位置案内機構
このレーザプリンタ1は、用紙3を転写位置に案内するための転写位置案内機構61が設けられている。
【0083】
図3は、ドラムカートリッジおよび用紙案内板の側断面図(非転写時)である。図4は、ドラムカートリッジおよび用紙案内板の側断面図(転写時)である。図5は、ドラムフレームおよび用紙案内板の平面視側斜視図(非転写時)である。図6は、ドラムフレームおよび用紙案内板の平面視側斜視図(転写時)である。図7は、用紙案内板の平面視側斜視図(転写時)である。図8は、用紙案内板の底面視側斜視図(転写時)である。図9は、転写位置案内機構の要部動作図(非転写時)である。図10は、転写位置案内機構の要部動作図(転写時)である。以下、図3ないし図10を参照して、転写位置案内機構61を説明する。
【0084】
転写位置案内機構61は、図3に示すように、第1揺動部材62および第2揺動部材63を備えている。
(1)第1揺動部材
第1揺動部材62は、図3および図8に示すように、転写位置側へ向かう用紙3を、転写位置に至る途中の第2揺動部材63へ案内するために設けられており、転写位置に対して前方に配置され、用紙案内板55において揺動自在に支持されている。第1揺動部材62は、第1回転軸64、記録媒体当接部としての用紙当接部65、第1当接部66、検知部としてのセンサアーム67、および、被規制部材としての揺動規制突起68を備えている。
【0085】
第1回転軸64は、図8に示すように、前側案内板57の下方において、幅方向に沿って配置されている。
【0086】
より具体的には、用紙案内板55の下面には、幅方向途中であって、本体側スリット59の右側に、本体側スリット59と幅方向において対向する右側軸受部69が設けられている。また、用紙案内板55の左側端部には、下方に延びる側板80が設けられている。その側板80には、右側軸受部69と幅方向において対向する左側軸受部70が設けられている。
【0087】
第1回転軸64の右側端部は、右側軸受部69によって回転自在に支持されている。第1回転軸64の途中部分は、左側軸受部70に挿通され、その左側軸受部70によって回転自在に支持されている。第1回転軸64の左側端部は、左側軸受部70(用紙案内板55の左側端部)から、さらに左方に突出されている。
【0088】
これによって、第1回転軸64は、幅方向に沿って配置され、その右側端部が前側案内板57の幅方向途中まで延び、その左側端部が前側案内板57の左側端部から左方に突出して延び、右側軸受部69および左側軸受部70において、回転自在に支持されている。また、第1回転軸64は、平面視において、本体側スリット59を直交方向に横切るように配置されている。第1回転軸64は、右側軸受部69および左側軸受部70に支持され、第1回転軸64の軸心を第1支点として、その軸心周りに回転される。
【0089】
用紙当接部65は、図3および図7に示すように、第1回転軸64から径方向外方に突出するように設けられている。用紙当接部65は、本体側スリット59よりやや幅狭の細長平板片からなり、第1回転軸64において、本体側スリット59と対向する部分に設けられている。用紙当接部65は、第1回転軸64から本体側スリット59を介して前側案内板57の上面よりも突出するように設けられている。これによって、用紙当接部65は、常には、前側案内板57上の用紙3の搬送経路に臨むように配置される。
【0090】
第1当接部66は、図3および図8に示すように、用紙当接部65とは異なる方向、より具体的には、用紙当接部65に対して鈍角(たとえば、100〜130°)となる角度で、第1回転軸64から径方向外方に突出するように設けられている。
【0091】
第1当接部66は、用紙当接部65とほぼ同幅の細長平板片からなり、第1回転軸64において、本体側スリット59と対向する部分、すなわち、用紙当接部65と同じ幅方向位置に設けられている。
【0092】
第1当接部66は、側面視略J字形状に形成されている。より具体的には、第1当接部66は、第1回転軸64から径方向外方に真っ直ぐに突出する突出部としての突出杆71と、その突出杆71の遊端部から第2当接部83(後述)に向かって鋭角(たとえば、30〜60°)に屈曲する係止部としての係止片72とを備えている。係止片72は、突出杆71より短く形成されており、その遊端部が側面視円形状に丸みを帯びている。
【0093】
センサアーム67は、図8に示すように、第1回転軸64の左側端部に設けられている。センサアーム67は、第1回転軸64の左側端部に設けられるアーム部73と、そのアーム部73の遊端部に設けられる遮光片74とを備えている。
【0094】
アーム部73は、図9および図10に示すように、側面視において、用紙当接部65とは異なる方向、より具体的には、用紙当接部65に対して鋭角(たとえば、5〜45°)となる角度で、第1回転軸64の左側端部から径方向外方に真っ直ぐに突出するように設けられている。
【0095】
遮光片74は、図5に示すように、平面視略L字形状に形成されている。遮光片74は、アーム部73の遊端部から左側にわずかに延びた後、前後方向に沿って屈曲して、第1回転軸64を中心として周方向に延びる円弧形状に形成されている。
【0096】
遮光片74は、図9および図10に示すように、第1回転軸64の回転により、第1回転軸64を揺動中心として、周方向に揺動される。
【0097】
一方、本体ケーシング2には、遮光片74が進退自在に介在される検知手段としてのフォトセンサ75が設けられている。
【0098】
フォトセンサ75は、図5および図6に示すように、幅方向においては、遮光片74と同じ位置に配置され、前後方向においては、第1回転軸64の回転により遮光片74が進退自在に介在するように配置されている。
【0099】
フォトセンサ75は、正面視略コ字形状に形成されており、上下方向に互いに間隔を隔てて対向配置される発光素子76および受光素子77を備えている。このフォトセンサ75では、発光素子76と受光素子77との間が、検知光を検知するための検知位置P(図9および図10参照)とされている。
【0100】
遮光片74は、図9に示すように、第1回転軸64の回転により、発光素子76と受光素子77との間から退避する退避位置と、図10に示すように、発光素子76と受光素子77との間へ進出する進出位置とに揺動される。
【0101】
遮光片74が、図9に示すように、退避位置に配置されると、遮光片74は検知位置Pから離間しており、発光素子76から発光される検知光は、受光素子77によって受光される。
【0102】
遮光片74が、図10に示すように、進出位置に配置されると、遮光片74は検知位置Pと重複しており、発光素子76から発光される検知光は、遮光片74によって遮光され、受光素子77による受光が阻止される。
【0103】
揺動規制突起68は、図8に示すように、略矩形平板に形成されており、第1回転軸64において、左側軸受部70の右側近傍に設けられている。揺動規制突起68は、図9および図10に示すように、側面視において、用紙当接部65とは異なる方向、より具体的には、用紙当接部65に対して鈍角(たとえば、120〜180°)となる角度で、第1回転軸64から径方向外方に突出するように設けられている。
【0104】
一方、用紙案内板55の下面には、図8に示すように、揺動規制突起68と当接可能な規制部材としてのストッパ78が設けられている。ストッパ78は、左側軸受部70の右側近傍であって、幅方向において、揺動規制突起68と同じ位置に設けられている。ストッパ78は、前後方向に沿って延びる平面視略矩形状に形成されている。ストッパ78は、図9に示すように、第1回転軸64の回転により、用紙当接部65が上下方向に直立するように配置されたときに、揺動規制突起68と当接する角度で、用紙案内板55の下面に設けられている。
【0105】
また、第1揺動部材62には、第1揺動部材62を付勢して、常には第2位置としての非通過位置に配置させるための付勢手段としてのばね79が設けられている。
【0106】
ばね79は、図8に示すように、コイルばね(引張ばね)からなり、用紙案内板55の左側端部の側板80とストッパ78との間において、前後方向に沿って配置されている。
【0107】
ばね79の一端部は、第1回転軸64から揺動規制突起68とほぼ同一径方向に突出するばね係止部(図示せず)に係止されている。
【0108】
ばね79の他端部は、用紙案内板55の左側端部の側板80に係止されている。
【0109】
第1揺動部材62は、ばね79の付勢力によって、常には、図9において、第1回転軸64が時計回りに回転される方向に付勢される。これによって、第1揺動部材62は、常には(用紙3の非通過時には)、第1回転軸64の時計回りの回転により、揺動規制突起68とストッパ78とが当接する非通過位置に配置される。揺動規制突起68のストッパ78に対する当接により、第1回転軸64の非通過位置を超過する時計回りの回転が規制される。
【0110】
第1揺動部材62が非通過位置に配置されると、図3に示すように、用紙当接部65は、直立して、本体側スリット59を介して前側案内板57から上方へ突出し、ドラム側スリット53に受け入れられる(図5参照)。また、第1当接部66は、突出杆71が後方に向かって延びるように配置される。さらに、センサアーム67は、図9に示すように、遮光片74が退避位置に位置するように、配置される。
(2)第2揺動部材
第2揺動部材63は、図3に示すように、第1揺動部材62から案内された用紙3を感光ドラム23へ案内するために設けられており、前後方向において、第1揺動部材62から転写位置へ至る途中に配置され、シュート板30において揺動自在に支持されている。第2揺動部材63は、図3および図5に示すように、第2回転軸81と、第2回転軸81から後方に向かって突出する記録媒体案内部材としての転写案内部82と、第2回転軸81から前方に向かって突出する第2当接部83を備えている。
【0111】
第2回転軸81は、シュート板30の後端部に設けられる軸支持部84に回転自在に支持されている。
【0112】
軸支持部84は、シュート板30の幅方向中央の、ドラム側スリット53の後端部に設けられている。軸支持部84は、ドラム側スリット53を幅方向に挟んで設けられている。
【0113】
第2回転軸81は、幅方向においてドラム側スリット53よりもやや長く形成されている。第2回転軸81は、各軸支持部84に挿通され、第2回転軸81の軸心を第2支点として、その軸心周りに回転される。
【0114】
転写案内部82は、第2回転軸81から定着位置側に向けて延出される案内支持部85と、案内支持部85の後端部にその前端部を支持されてその後端部が転写位置側に向かって案内支持部85から突出する可撓性部材としてのフィルム部材86とを備えている。
【0115】
案内支持部85は、幅方向に延びる平面視平板形状に形成されている。案内支持部85の前端部は、シュート板30の後端部と対向配置されている。案内支持部85の前端部中央は、取付板87を介して第2回転軸81に固定されている。案内支持部85の後端部は、第2回転軸81と感光ドラム23との途中まで延びており、感光ドラム23と間隔を隔てて対向配置されている。
【0116】
フィルム部材86は、案内支持部85の幅方向中央で間隔を隔てて、幅方向両端部に2つ設けられている。各フィルム部材86は、樹脂フィルムなどの可撓性フィルムからなり、平面視略長方形に形成されている。各フィルム部材86の前端部は、案内支持部85の後端部の上面に、幅方向に沿って貼着されている。各フィルム部材86の後端部は、感光ドラム23に向かって延びるように突出して配置されている。
【0117】
第2当接部83は、ドラム側スリット53よりもやや幅狭の、前後方向に延びる平面視略矩形状に形成されている。第2当接部83は、ドラム側スリット53内に配置されており、第2当接部83の後端部は、取付板87を介して第2回転軸81に固定されている。第2当接部83は、第2回転軸81から第1当接部66に向かって突出され、その前側部分には、第1揺動部材62の係止片72が下方から当接自在に設けられている。
【0118】
第2揺動部材63において、転写案内部82と第2当接部83とは、第2回転軸81に対して、側面視略逆V字形状に形成されている。
【0119】
また、図9に示すように、第2回転軸81から案内支持部85の後端部までの距離をL1とし、その後端部にかかる案内支持部85の自重をF1とし、第2回転軸81から第2当接部83の前端部までの距離をL2とし、その前端部にかかる第2当接部83の荷重をF2としたときに、次式:L1・F1<L2・F2を満足するように、第2揺動部材63が形成されている。
【0120】
これによって、第2揺動部材63では、第2回転軸81を中心として、転写案内部82が上方へ揺動し、第2当接部83が下方へ揺動するように、常には、図9において、第2回転軸81が時計回りに回転される方向に付勢される。これによって、第2当接部83は、自重によって第1揺動部材62の係止片72に上方から当接自在に設けられている。
【0121】
一方、第1揺動部材62は、上記したように、ばね79の付勢力によって図9に示すような非通過位置に配置されているため、第1当接部66は、突出杆71が後方に向かって延び、係止片72が上方に向かって突出するように配置されている。
【0122】
そのため、第2揺動部材63は、第1揺動部材62が非通過位置に配置されているときには、フィルム部材86が感光ドラム23から離間する離間位置に配置される。第2揺動部材63が離間位置に配置されると、図3に示すように、転写案内部82は、第2回転軸81から後方に向かってやや下向きに突出するように配置される。フィルム部材86の後端部は、感光ドラム23から離間して転写ローラ26と対向配置される。また、第2当接部83は、第2回転軸81から前方に向かって略水平方向に突出するように配置される。第2当接部83の前端部は、第1回転軸64と対向配置される。また、第2当接部83の前後方向中央が、係止片72に上方から当接する。
(3)転写位置案内機構の動作
上記したように、用紙3が通過していないときは、第1揺動部材62は、非通過位置に配置され、第2揺動部材63は、感光ドラム23から離間した離間位置に配置されている。
【0123】
そして、レジストローラ13から用紙3が搬送されてくると、その用紙3の搬送方向先端(以下、単に「先端」とする。)は、図9に示すように、直立している用紙当接部65に当接する。すると、用紙3によって用紙当接部65が用紙搬送方向下流側に向かって押圧され、第1回転軸64が、ばね79の付勢力に抗して反時計回りに回転される。
【0124】
すると、図10に示すように、用紙当接部65が、第1回転軸64を中心として傾倒するように、後方に向かって揺動されるので、用紙3は、その傾倒した用紙当接部65を乗り越えて、感光ドラム23に向かって搬送される。
【0125】
これによって、第1揺動部材62は、非通過位置から第1位置としての通過位置へ揺動される。
【0126】
用紙3が用紙当接部65を乗り越えて通過している間は、第1揺動部材62は、通過位置に配置される。第1揺動部材62が通過位置に配置されると、図4に示すように、用紙当接部65は、後方へ傾倒して、その上方に用紙3が通過可能な空間が形成される。また、第1当接部66は、突出杆71が下方に向かって延びるように配置される。さらに、センサアーム67は、図10に示すように、遮光片74が進出位置に位置するように、配置される。
【0127】
遮光片74が進出位置に配置されると、遮光片74は、検知光の光路において検知位置Pと重複するので、受光素子77による受光が阻止される。フォトセンサ75では、受光素子77により受光が阻止されたことを、遮光信号として、本体ケーシング2に設けられる図示しないCPUに入力する。遮光信号は、用紙3が用紙当接部65と当接している間、CPUに入力される。
【0128】
CPUでは、遮光信号が入力されたタイミングで、スキャナ部15を制御して、レーザビームの高速走査を開始する。これによって、用紙3が感光ドラム23と接触するまでの間に、感光ドラム23に静電潜像が形成され、次いで、その静電潜像が現像されて、感光ドラム23にトナー像が担持される。
【0129】
一方、第2揺動部材63においては、第2当接部83が自重によって係止片72に当接しているので、第1揺動部材62の揺動により突出杆71が下方へ揺動されるに従って、係止片72が、下方へ揺動され、これに追従して、第2当接部83が自重により下方へ揺動される。すると、第2回転軸81が時計回りに回転するので、第2揺動部材63も、第1揺動部材62の揺動に連動して、離間位置から近接位置へ揺動される。
【0130】
つまり、用紙3が用紙当接部65を乗り越えて通過している間は、第2揺動部材63は、近接位置に配置される。第2揺動部材63が近接位置に配置されると、図4に示すように、転写案内部82は、第2回転軸81から後方に向かって上向きに突出するように配置される。フィルム部材86の後端部は、感光ドラム23に近接して配置され、転写位置よりも前方で感光ドラム23と対向配置される。また、第2当接部83は、第2回転軸81から前方に向かって斜め下向きに突出するように配置される。第2当接部83の前端部は、突出杆71の遊端部と対向配置される。また、第2当接部83の前端部が、係止片72に上方から当接する。
【0131】
そのため、用紙当接部65を乗り越えた用紙3の先端は、フィルム部材86によって案内されて、転写位置よりも上流側で感光ドラム23と接触する。これによって、用紙3は、転写位置よりも上流側において、感光ドラム23との間で隙間を形成することなく、密着した状態で、転写位置に搬送される。
【0132】
その後、用紙3の搬送方向後端(以下、単に「後端」とする。)が、用紙当接部65を乗り越えると、用紙3の用紙当接部65に対する押圧力が除去される。すると、第1回転軸64が、ばね79の付勢力によって時計回りに回転される。これによって、第1揺動部材62は、通過位置から非通過位置へ揺動され、再度、図3に示すように、非通過位置に配置される。
【0133】
また、第2揺動部材63においても、第1揺動部材62の揺動により突出杆71が上方へ揺動されるに従って、係止片72が、第2当接部83に対して後方へ摺動しながら、上方へ揺動され、この係止片72の押圧力に追従して、第2当接部83が自重に抗して上方へ揺動される。すると、第2回転軸81が反時計回りに回転するので、第2揺動部材63も、第1揺動部材62の揺動に連動して、近接位置から離間位置へ揺動され、再度、図3
に示すように、離間位置に配置される。
【0134】
第2揺動部材63が離間位置に配置されると、遮光片74が退避位置に配置される。すると、遮光片74は、検知位置Pから離間するので、検知光が受光素子77により受光される。フォトセンサ75では、受光素子77により検知光が受光されたことを、透過信号として、本体ケーシング2に設けられる図示しないCPUに入力する。透過信号は、用紙3が用紙当接部65と当接していない間、CPUに入力される。
【0135】
CPUには、用紙3が用紙当接部65と当接していない間、透過信号が入力されており、用紙3が用紙当接部65と当接すると、遮光信号が入力される。つまり、CPUには、用紙3が通過する毎に、遮光信号が入力されるので、その遮光信号が入力されたタイミングで、スキャナ部15を制御して、レーザビームの高速走査を開始する。
【0136】
また、第2揺動部材63が離間位置に配置されると、フィルム部材86が感光ドラム23から離間して、そのフィルム部材86の後端部が、転写ローラ26と対向配置される。
3.転写位置案内機構の作用効果
(1)転写位置案内機構61では、レジストローラ13から用紙3が搬送されてくると、その用紙3は、まず、用紙当接部65を乗り越えて通過する。用紙3が用紙当接部65を通過しているときには、第1揺動部材62が第1回転軸64を中心として揺動して、通過位置に配置される。
【0137】
次いで、用紙3の先端は、フィルム部材86を通過する。このとき、第2揺動部材63は、第1揺動部材62の揺動に連動して、第2回転軸81を中心として揺動して近接位置に配置されている。そのため、用紙3は、フィルム部材86に案内されながら感光ドラム23に搬送されることになる。
【0138】
一方、用紙3の後端が、用紙当接部65を通過した後は、第1揺動部材62が第1回転軸64を中心として揺動して非通過位置に配置されるので、第2揺動部材63は、第1揺動部材62の揺動に連動して、第2回転軸81を中心として揺動して感光ドラム23から離間する離間位置に配置される。用紙3の後端がフィルム部材86から離れるときにも、フィルム部材86は離間位置のままであり、用紙3の後端がフィルム部材86の後端部を下方に押し下げることがないのでフィルム部材86の戻りによる異音の発生を防止することができる。
【0139】
さらに、この転写位置案内機構61では、用紙3の通過または非通過により、第1揺動部材62および第2揺動部材63を揺動させるのみであるため、センサ、モータ、さらにはCPUなどの複雑な機構および制御が不要である。そのため、部品点数の低減化および構成の簡略化を図ることができる。
(2)また、転写位置案内機構61では、用紙3は、前側案内板57上の用紙3の搬送経路に臨む用紙当接部65と当接する。すると、第1揺動部材62では、第1回転軸64が軸心周りに回転して、第1当接部66が揺動され、第1揺動部材62が通過位置に配置される。また、第1当接部66の揺動に追従して、第2揺動部材63の第2当接部83が、係止片72と摺動する。すると、第2揺動部材63では、第2回転軸が軸心周りに回転して、転写案内部82が揺動され、第2揺動部材63は、転写案内部82のフィルム部材86が感光ドラム23に近接する近接位置に配置される。
【0140】
一方、用紙3の後端が用紙当接部65を通過した後は、用紙当接部65の、用紙3との当接が解除される。すると、第1揺動部材62では、第1回転軸64が軸心周りに回転して、第1当接部66が揺動され、第1揺動部材62が非通過位置に配置される。
【0141】
また、第1当接部66の揺動に追従して、第2揺動部材63の第2当接部83が、係止片72と摺動する。すると、第2揺動部材63では、第2回転軸81が軸心周りに回転して、転写案内部82が揺動され、第2揺動部材63は、転写案内部82のフィルム部材86が感光ドラム23から離間する離間位置に配置される。
【0142】
その結果、第1揺動部材62および第2揺動部材63を簡易に形成しつつ、確実な動作を確保することができる。
(3)また、転写位置案内機構61では、転写案内部82において、用紙3は、フィルム部材86を通過して、感光ドラム23に搬送される。そのため、用紙3を感光ドラム23に確実に密着させることができる。
(4)また、転写位置案内機構61では、第1揺動部材62は、ばね79の付勢力によって、常には、第1回転軸64が時計回りに回転される方向に付勢される。また、第2当接部83は自重によって係止片72に当接する。そのため、常には、第2揺動部材63は、第2当接部83の自重によって離間位置に配置される。一方、用紙3が用紙当接部65と当接すると、ばね79の付勢力よりも大きな力で(ばね79の付勢力に抗して)用紙3が用紙当接部65を押圧する。その結果、第1揺動部材62は、通過位置に位置され、第2揺動部材63は、係止片72の揺動に追従して揺動することによって、近接位置に配置される。
【0143】
そのため、第1当接部66と第2当接部83とを連結するための連結部材を不要とした簡易な構成により、第1揺動部材62の揺動に連動させて、第2揺動部材63を、近接位置または離間位置に揺動させることができる。
(5)また、転写位置案内機構61では、第2回転軸81から案内支持部85の後端部までの距離をL1とし、その後端部にかかる案内支持部85の自重をF1とし、第2回転軸81から第2当接部83の前端部までの距離をL2とし、その前端部にかかる第2当接部83の荷重をF2としたときに、次式:L1・F1<L2・F2を満足するように、第2揺動部材63が形成されている。そのため、常には、第2揺動部材63を、第2当接部83の自重によって、確実に第1当接部66に当接させることができる。
(6)また、転写位置案内機構61では、用紙3が用紙当接部65を通過した後、用紙当接部65の、用紙3との当接が解除されると、第1揺動部材62が、第1回転軸64の軸心周りの回転により、揺動して、揺動規制突起68がストッパ78に当接することにより、非通過位置に配置される。そのため、第1揺動部材62を特定の非通過位置に配置することができるとともに、第2揺動部材63を特定の離間位置に配置することができる。
(7)また、転写位置案内機構61では、第1回転軸64の回転により、センサアーム67の遮光片74が、検知位置Pに対して重複または離間するように、通過位置と非通過位置との間を揺動する。そのため、フォトセンサ75によって、遮光片74の検知位置Pに対する重複状態または離間状態を検知して、その検知状態を、フォトセンサ75から遮光信号または透過信号としてCPUに入力すれば、CPUにおいて、遮光信号が入力されたタイミングで、感光ドラム23への画像の書き込み開始のタイミングを検知することができる。そして、スキャナ部15を制御して、遮光信号が入力されたタイミングでレーザビームの高速走査を開始すれば、用紙3に対するトナー像の確実な転写を達成することができる。その結果、第2揺動部材63の揺動による用紙3の感光ドラム23への確実な案内と、感光ドラム23への画像の書き込み開始のタイミングの検知の両方を、第1揺動部材62の揺動により同時に達成することができる。
(8)また、このレーザプリンタ1では、ドラムカートリッジ21が、本体ケーシング2に対して着脱自在に装着されている。そのため、用紙3のジャム処理や、ドラムカートリッジ21の交換の容易化を図ることができる。
(9)そして、第1揺動部材62が、消耗品であるドラムカートリッジ21に設られることなく、本体ケーシング2に設けられているので、ドラムカートリッジ21のコストの低減化を図ることができる。また、ドラムカートリッジ21に第1揺動部材62を設けると、ドラムカートリッジ21の着脱時に、第1揺動部材62が損傷するおそれがある。しかし、第1揺動部材62を本体ケーシング2に設ければ、かかる損傷のおそれを回避することができる。
(10)一方、第2揺動部材63は、ドラムカートリッジ21に設けられている。そのため、感光ドラム23に対する第2揺動部材63の近接位置および離間位置の位置精度を向上させることができる。その結果、用紙3に対するトナー像の確実な転写を達成することができる。
4.転写位置案内機構の変形例
上記の実施形態では、第2当接部83を自重によって第1当接部66の係止片72に当接させたが、たとえば、図11に示すように、第2当接部83において、第1当接部66をスライド自在に係止させることもできる。なお、図11において、上記した部材と同様の部材には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0144】
図11において、第1当接部66は、側面視略J字形状に形成されており、第1回転軸64から径方向外方に真っ直ぐに突出する突出部としての突出杆91と、その突出杆91の遊端部から第2当接部83に向かって所定角度(たとえば、45〜135°)に屈曲する突起部としての係止片92とを備えている。係止片92は、突出杆91より短く形成されており、その遊端部の幅方向両端部が幅方向外方にやや突出するように形成されている。
【0145】
第2当接部83は、ドラム側スリット53よりもやや幅狭の、前後方向に延びる平面視略矩形状の係合片93を備えている。係合片93の長手方向途中には、係止片92を受け入れる受入溝としてのスライド溝94が、長手方向に沿って形成されている。
【0146】
スライド溝94は、第1揺動部材62が非通過位置と通過位置とを揺動する範囲に対応する前後方向長さで形成されている。スライド溝94には、係止片92の遊端部が貫通するように係止されており、これによって、係止片92がスライド自在に嵌合されている。これによって、係止片92は、スライド溝94において、第1揺動部材62の非通過位置と通過位置との間の揺動に対応するスライドが許容される。
【0147】
そして、図11に示す転写位置案内機構61では、用紙3が用紙当接部65を乗り越えて通過するときに、第1回転軸64が軸心周りに回転すると、第1当接部66の係止片92が、第2当接部83のスライド溝94に対して後方へスライドされる。すると、第2回転軸81が軸心周りに回転し、第2揺動部材63が近接位置に配置される。
【0148】
一方、用紙3が用紙当接部65を通過した後、第1回転軸64が軸心周りに回転すると、第1当接部66の係止片92が、第2当接部83のスライド溝94に対して前方へスライドされる。すると、第2回転軸81が軸心周りに回転し、第2揺動部材63が離間位置に配置される。
【0149】
そして、図11に示す転写位置案内機構61では、スライド溝94が、第1揺動部材62が非通過位置と通過位置とを揺動する範囲に対応する前後方向長さで形成されている。そのため、係止片92が、スライド溝94を後方へ向かってスライドして、スライド溝94の後端縁に当接すると、第2揺動部材63が近接位置に配置される。また、係止片92が、スライド溝94を前方へ向かってスライドして、スライド溝94の前端縁に当接すると、第2揺動部材63が離間位置に配置される。
【0150】
その結果、上記した実施形態のように、揺動規制突起68とストッパ78との当接により位置決めせずとも、簡易な構成により、第1揺動部材62を非通過位置または通過位置に確実に配置させることができるとともに、第2揺動部材63を近接位置または離間位置に確実に配置させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0151】
【図1】本発明の画像形成装置としてのレーザプリンタの一実施形態を示す要部側断面図である。
【図2】プロセスカートリッジの側断面図である。
【図3】ドラムカートリッジおよび用紙案内板の側断面図(非転写時)である。
【図4】ドラムカートリッジおよび用紙案内板の側断面図(転写時)である。
【図5】ドラムフレームおよび用紙案内板の平面視側斜視図(非転写時)である。
【図6】ドラムフレームおよび用紙案内板の平面視側斜視図(転写時)である。
【図7】用紙案内板の平面視側斜視図(転写時)である。
【図8】用紙案内板の底面視側斜視図(転写時)である。
【図9】転写位置案内機構の要部動作図(非転写時)である。
【図10】転写位置案内機構の要部動作図(転写時)である。
【図11】転写位置案内機構の他の実施形態を示す斜視図(非転写時)である。
【符号の説明】
【0152】
1 レーザプリンタ
2 本体ケーシング
3 用紙
21 ドラムカートリッジ
23 感光ドラム
62 第1揺動部材
63 第2揺動部材
64 第1回転軸
65 用紙当接部
66 第1当接部
67 センサアーム
68 揺動規制突起
71 突出杆
72 係止片
78 ストッパ
75 フォトセンサ
81 第2回転軸
82 転写案内部
83 第2当接部
85 案内支持部
86 フィルム部材
91 突出杆
92 係止片
94 スライド溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤像を担持する像担持体と、
前記像担持体と接触可能に対向配置され、前記像担持体との接触位置で前記現像剤像を記録媒体に転写する転写部材と、
前記接触位置に対して前記記録媒体の搬送方向上流側に設けられ、前記記録媒体の通過時には、前記接触位置側に向かう記録媒体を前記接触位置に至る途中まで案内するために、第1位置に配置され、前記記録媒体の非通過時には、第2位置に配置されるように、第1支点を中心として揺動される第1揺動部材と、
前記記録媒体の搬送方向において前記第1揺動部材から前記接触位置へ至る途中に設けられ、第2支点を中心として前記第1揺動部材の揺動に連動して揺動され、前記第1揺動部材が前記第1位置に配置されたときに、前記第1揺動部材から案内された前記記録媒体を前記像担持体へ案内するために、前記像担持体に近接する近接位置に配置され、前記第1揺動部材が前記第2位置に配置されたときに、前記像担持体から離間する離間位置に配置される第2揺動部材と
を備えていることを特徴とする、画像形成装置。
【請求項2】
前記第1揺動部材は、
前記第1支点を中心として回転する第1回転軸と、
前記第1回転軸から前記記録媒体の搬送経路に臨むように突出され、前記記録媒体と当接する記録媒体当接部と、
前記第1回転軸から前記第2揺動部材に向かって突出される第1当接部と
を備え、
前記第2揺動部材は、
前記第2支点を中心として回転する第2回転軸と、
前記第2回転軸から前記像担持体に向かって突出され、前記記録媒体を前記像担持体へ案内する記録媒体案内部と、
前記第2回転軸から前記第1当接部に向かって突出され、前記第1当接部に追従する第2当接部と
を備えていることを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記記録媒体案内部は、
前記第2回転軸から前記接触位置側に向けて延出される案内支持部と、
前記案内支持部の延出方向端部から、前記接触位置側に向かって延びる可撓性部材とを備えていることを特徴とする、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1当接部は、前記第1回転軸から径方向外方に延びる突出部と、前記突出部から前記第2当接部に向かって突出する係止部とを備え、
前記第2当接部は、前記第2回転軸から前記記録媒体の搬送方向上流側に向かって延び、自重によって前記係止部に当接することを特徴とする、請求項2または3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第2揺動部材では、前記第2支点から前記案内支持部の遊端部までの距離をL1とし、その案内支持部の遊端部にかかる荷重をF1とし、前記第2支点から前記第2当接部の遊端部までの距離をL2とし、その第2当接部の遊端部にかかる荷重をF2としたときに、次式:L1・F1<L2・F2を満足することを特徴とする、請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記記録媒体の非通過時に、前記第1位置から前記第2位置へ揺動する前記第1揺動部材の前記第2位置を超過する揺動を規制する規制部材を備え、
前記第1揺動部材は、前記記録媒体の非通過時に前記第2位置に配置されたときに、前記規制部材に当接する被規制部材を備えていることを特徴とする、請求項4または5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第1当接部は、前記第1回転軸から径方向外方に延びる突出部と、前記突出部から前記突出部の長手方向と交差する方向に突出する突起部とを備え、
前記第2当接部には、前記突起部をスライド自在に受け入れる受入溝が、前記第1揺動部材の前記第1位置と前記第2位置との間の揺動に対応する前記突起部のスライドを許容できるように、前記第2当接部の延出方向に沿って形成されていることを特徴とする、請求項2または3に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第1揺動部材は、前記第1回転軸から径方向外方に延び、前記第1揺動部材の前記第1位置と前記第2位置との間の揺動により検知位置に対して重複または離間して、前記記録媒体が前記記録媒体当接部と当接したことを検知させる検知部を備えており、
前記検知部の検知位置に対する重複状態または離間状態を検知する検知手段を備えていることを特徴とする、請求項1ないし7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
ケーシングと、前記ケーシングに対して着脱可能な感光体カートリッジとを備え、
前記像担持体は、前記感光体カートリッジに設けられていることを特徴とする、請求項1ないし8のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記第1揺動部材は、前記ケーシングにおいて、揺動自在に支持されていることを特徴とする、請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記第2揺動部材は、前記感光体カートリッジにおいて、揺動自在に支持されていることを特徴とする、請求項9または10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
ケーシングに対して着脱可能な感光体カートリッジであって、
現像剤像を担持する像担持体と、
前記像担持体と接触可能に対向配置され、前記像担持体との接触位置で前記現像剤像を記録媒体に転写する転写部材と、
前記接触位置に対して前記記録媒体の搬送方向上流側に設けられており、前記像担持体に対して近接する近接位置と、前記像担持体に対して離間する離間位置とに、第2支点を中心として揺動される第2揺動部材とを備え、
前記第2揺動部材は、
前記ケーシングに設けられ、前記記録媒体の通過時には、前記接触位置側に向かう記録媒体を前記接触位置に至る途中まで案内するために、第1位置に配置され、前記記録媒体の非通過時には、第2位置に配置されるように、第1支点を中心として揺動される第1揺動部材に連動して揺動され、前記第1揺動部材が前記第1位置に配置されたときに、前記第1揺動部材から案内された前記記録媒体を前記像担持体へ案内するために、前記近接位置に配置され、前記第1揺動部材が前記第2位置に配置されたときに、前記離間位置に配置されることを特徴とする、感光体カートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−139855(P2008−139855A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−286563(P2007−286563)
【出願日】平成19年11月2日(2007.11.2)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】