説明

画像形成装置および検知補助装置

【課題】定着後の記録媒体の搬送バタつきを検知する手段によることなく、記録媒体の搬送バタつき自体を抑制することにより、正確に定着画像の濃度を検知し、狙いの画質を安定して得ること。
【解決手段】搬送路に沿って搬送される用紙YSの紙面上に形成された画像の濃度を検知する濃度センサ54と、濃度センサの近傍に配置され、用紙YSが紙面に垂直な方向に変動することを抑制する遮光ガイド81と、濃度センサで検知した画像の濃度に基づいて画像形成条件を補正する制御手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式などにより記録媒体上に画像を形成する画像形成装置、および形成された画像の濃度を検知する濃度センサの検知補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電子写真方式、静電記録方式、イオノグラフィー、または磁気記録方式(本明細書ではこれらを含めて「電子写真方式」という)などにより画像形成を行う複写機、プリンタ、ファクシミリ、複合機またはMFP(Multi Function Peripherals)と呼称される多機能機などの画像形成装置が用いられている。
【0003】
一般に、画像形成装置においては、環境の変化、使用による経時変化などによって画質が変動する。このような変動に対して、常に適切な画質の画像が形成されるよう、フィードバック制御(画像安定化制御)が行われている。画像安定化制御においては、テスト用のパッチ画像を形成し、その画像の濃度を濃度センサによって検知する。得られた検知信号に基づいて、画像が狙いの画質範囲内にあるかどうかを判断し、画像が狙いの画質範囲内にない場合には、各種画像形成条件を補正しまたは調整する。
【0004】
画像安定化制御のための画像の濃度の検知は、現像後の感光体ドラム上のトナー像、中間転写ベルト上に形成されたトナー像、二次転写後の未定着の用紙上のトナー像、または記録媒体上に定着された画像(定着画像)に対して行われる。定着画像に対して画像の濃度の検知を行う場合、他の画像に対して行う場合と比して、記録媒体をテストのために消費するというデメリットがある一方で、二次転写工程および定着工程における変動をも含んだ画像の濃度を検知できるというメリットがあり、より精度の高い画像の安定化を図ることができる。
【0005】
ところで、定着工程より下流の搬送路上で、記録媒体に形成された定着画像の濃度の検知を行う場合、検知対象物である記録媒体の検知面(媒体面)のバタつき、つまり、記録媒体の搬送方向に垂直な方向の変動が問題となり、正確に検知できないおそれがある。
【0006】
例えば、濃度センサとして一般的な光学的反射型センサを用いる場合、濃度センサと検知面との間の検知距離が変動すると、検知面からの反射成分の受光量が大きく変化してしまい、正確な検知ができない。検知が正確にできなかった場合には、画像形成条件を正確に補正しまたは調整することができず、狙いの画質は得られない。
【0007】
従来において、定着画像の濃度を検知するカラーセンサとは別に、記録媒体の浮き量および傾きをそれぞれ検知するセンサを設け、それら記録媒体の状態を検知するセンサの出力に応じて、カラーセンサの出力を補正した後に画像データの補正を行う技術が提案されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2008−89697
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1に記載された発明では、各種状態を検知するためのセンサを複数個設ける必要がある。それら複数個のセンサが検知した情報に基づいて画像形成条件の補正を行うためには複雑な演算処理を行う必要があり、演算過程でそれぞれの検出誤差による誤差の伝播が起こり、誤差範囲を大きくしてしまう可能性が高い。また、各種状態を検知してから画像形成条件の補正を完了するまでにタイムロスが生じ、その間は狙いの画質に適合した画像形成が行われないこととなり、新たな画像形成動作をストップさせることも考慮しなければならない。そのような場合は、生産性の点で大きなデメリットとなる。
【0009】
本発明は、上記の問題点に鑑み、定着後の記録媒体の搬送バタつきを検知する手段によることなく、記録媒体の搬送バタつき自体を抑制することにより、正確に定着画像の濃度を検知し、狙いの画質を安定して得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る画像形成装置は、記録媒体の媒体面上に画像を形成する画像形成装置において、搬送路に沿って搬送される記録媒体の媒体面上に形成された画像の濃度を検知する濃度センサと、前記濃度センサの近傍に配置され、前記記録媒体が前記媒体面に垂直な方向に変動することを抑制するバタつき抑制手段と、前記濃度センサで検知した画像の濃度に基づいて画像形成条件を補正する制御手段と、を有する。
【0011】
好ましくは、前記濃度センサは、前記媒体面に光を照射する投光部と、前記投光部の照射による前記媒体面からの反射光を受光する受光部と、を有し、前記バタつき抑制手段は、前記受光部への外光の入射を遮るように前記濃度センサの外周囲の少なくとも一部を取り囲む形状の遮光部を有する。
【0012】
また、前記バタつき抑制手段は、前記濃度センサを内部に収容し前記濃度センサの投受光面側に開口する開口部を有する容器状の前記遮光部と、前記開口部の端部に設けられ、前記記録媒体を前記搬送路に沿って案内する第1のガイド部とを有していてもよい。
【0013】
また、前記第1のガイド部は、前記記録媒体の搬送方向に対して鋭角に傾斜する傾斜面を有していてもよい。または、前記第1のガイド部は、先端部が前記媒体面と接するように設けられた柔軟なブラシ状の部材を有していてもよい。
【0014】
バタつき抑制手段によって、記録媒体が搬送されるときに起こりやすいバタつき自体が抑制される。このようなバタつき抑制手段が濃度センサの近傍に配置されているので、濃度センサによる検知が正確に行われる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、定着後の記録媒体の搬送バタつき自体を抑制することにより、正確に定着画像の濃度を検知し、狙いの画質を安定して得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
〔画像形成装置の全体の説明〕
図1は本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の概略の内部構成を示す図、図2は画像形成装置1の一部である画像形成部20を拡大して示す図、図3は画像形成装置1の主要な制御系を示すブロック図である。
【0017】
図1に示すように、画像形成装置1は、タンデム型のプリントエンジンを内蔵した電子写真方式のフルカラー複写機である。このような画像形成装置1は、複合機またはMFP(Multi Function Peripherals)と呼称されることもある。
【0018】
図1において、画像形成装置1は、画像読取部10、画像形成部20、用紙供給部60、および制御部100などを有する。
【0019】
図2をも参照して、画像読取部10は、原稿ガラス台の上に載置された原稿の画像を、スキャナを移動させて読取る。すなわち、スキャナに設置された露光ランプで原稿を照射し、その反射光による像を、レッド(R) 、グリーン(G) 、ブルー(B)の3原色に対応したCCDイメージセンサで読み取る。これにより、原稿画像に対応したR、G、Bの各画像データが得られる。
【0020】
画像読取部10で得られた画像データは、制御部100において各種の処理が施され、さらにイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各再現色の画像データに変換される。変換された画像データは、制御部100に設けられた画像メモリに各再現色ごとに格納される。用紙供給部60から供給される用紙YSの搬送状態に同期して、画像メモリから画像データが1走査ラインごとに読み出され、感光体ドラムを露光するレーザダイオードの駆動信号として出力される。
【0021】
なお、用紙YSとして、紙、プラスチックシート、その他の記録媒体を用いることが可能である。つまり、用紙は、記録紙、記録材、記録媒体、または転写媒体などと言い換えることができる。
【0022】
画像形成部20は、電子写真方式によって用紙上に画像を形成するものであって、イメージングユニットU、中間転写部40、および定着部50などが設けられている。
【0023】
イメージングユニットUとして、Y、M、C、Kの4色のイメージングユニットUY、UM、UC、UKが設けられ、この順で中間転写ベルト41に沿って配置されている。各イメージングユニットUには、感光体ドラム21、帯電チャージャ22、感光体ドラム21の表面を露光して静電潜像を形成する露光部23、静電潜像を各色のトナーで現像してトナー像を形成する現像部24、トナー像を中間転写ベルト41に転写(一次転写)するための転写チャージャ25、図示しない転写ローラ、および感光体ドラム21の表面をクリーニングするクリーナ26などが設けられる。
【0024】
これらのイメージングユニットUで形成された各色のトナー像(トナー画像)が、走行する中間転写ベルト41上の同じ位置に重ね合わされて転写され、合成される。
【0025】
中間転写部40には、中間転写ベルト41を走行可能に支持する複数のローラ42、43、44が設けられる。ローラ44に対向する位置に、転写ローラ45が設けられる。転写ローラ45は、中間転写ベルト41に対して接離可能に設けられており、中間転写ベルト41に圧接することによって転写ニップ部を形成する。また、転写ローラ45には、転写のためのバイアス電圧が印加される。
【0026】
転写ニップ部には、中間転写ベルト41の走行と同期して用紙YSが給送されてきており、転写ニップ部において、中間転写ベルト41上に形成されたトナー像が用紙YS上に転写(二次転写)される。二次転写された後に中間転写ベルト41上に残留したトナーは、クリーナ46によって除去される。
【0027】
定着部50には、定着ローラ51、加熱ローラ52、および用紙搬送ガイド53などが設けられる。二次転写によってトナー像が形成された用紙YSは、用紙搬送ガイド53に案内されて搬送路HR上を搬送され、定着ローラ51と加熱ローラ52との間を通過することによって定着される。定着された用紙YSは、搬送路HR上を搬送されてトレイ65上に排出される。
【0028】
搬送路HR上には、用紙YS上に形成された画像の濃度を検知するための濃度センサ(IDCセンサ)54が設けられている。濃度センサ54として、光学式反射型センサが用いられる。濃度センサ54によって、画像安定化制御(IDC)のために用紙YS上に形成されたテスト用のパッチ画像(テストパターン)の濃度が検知される。例えば、Y、M、C、Kそれぞれ4色の濃度(トナー濃度、トナー付着量)が検知される。濃度センサ54の近傍には、用紙YSのバタつきを抑制するためのバタつき抑制装置80が設けられている。
【0029】
用紙供給部60には、種々のサイズの用紙YSが収容されており、ローラ61〜63などからなる給紙搬送手段によって所定のタイミングで搬送路HRに送り出される。搬送路HRの途中には、図示しない中間ローラおよびレジストローラなどが設けられ、これらによって用紙YSは二次転写位置に搬送される。
【0030】
図3において、制御部100は、CPU、半導体メモリおよび磁気記憶装置などからなる記憶部、制御用回路、種々のインタフェースなどからなる通信部などから構成されている。画像読取部10で読み取った画像データ、または図示しないパーソナルコンピュータなどから出力された画像データに対して画像処理を行い、また、画像形成装置1の各部の動作を制御する。
【0031】
図3に示すように、画像形成装置1には、帯電チャージャ22に帯電バイアス電圧Vgを印加する帯電グリッド高圧電源71、現像部24の現像ローラに現像バイアス電圧Vdcを印加する現像バイアス高圧電源72、および、転写ローラ45にバイアス電圧を印加する二次転写高圧電源73が設けられている。また、上に述べた濃度センサ54の他に、温湿度センサ55およびPH温度センサ56などが設けられている。
【0032】
制御部100は、これら、帯電グリッド高圧電源71、現像バイアス高圧電源72、二次転写高圧電源73に対し、それぞれ適切な電圧または電流を出力するように制御する。また、露光部23のレーザダイオードに対し、駆動信号を出力する。この駆動信号は、レーザダイオードの発光強度を調整するために種々の方式によって変調されている。
【0033】
制御部100は、ユーザによる操作部11からの入力信号を受け付け、また操作部11に種々の信号を出力する。なお、操作部11には、画像形成装置1の動作の切り替えのための押しボタンなどからなる切替部、画像やメッセージを表示するための表示パネルまたはタッチパネルなどが設けられている。
【0034】
また、制御部100は、上に述べた濃度センサ54からの検知信号S1、その他、温湿度センサ55およびPH温度センサ56などからの検知信号を入力し、種々の制御のために用いる。
〔画像安定化制御〕
画像形成装置1においては、環境の変化、使用による経時変化などによって画質が変動する。このような変動に対して、常に適切な画質の画像が形成されるよう、画像安定化制御(画像安定化処理)が行われる。本実施形態における画像安定化制御では、テスト用のパッチ画像を用紙YS上に形成し、その画像の濃度を濃度センサ54によって検知する(測定する)。濃度センサ54により検知された検知信号に基づいて、画像が狙いの画質範囲内にあるかどうかを判断する。画像が狙いの画質範囲内にない場合には、その検知信号に基づいて、各画像形成条件を補正しまたは調整する。
【0035】
画像安定化制御は、例えば、画像形成装置1の電源オン時、省エネルギーモードからの復帰時、前回の画像安定化処理を実施してからの装置内の温度変化や湿度変化が各閾値を超えたとき、または、累計印刷枚数が閾値を超えたときに行われる。
【0036】
図4は濃度センサ54の構造の例を示す図である。
【0037】
図4において、ケース544内には、投光素子541および受光素子542,543が設けられる。投光素子541は例えばLEDランプであり、受光素子542,543は例えばフォトダイオードである。投光素子541からパッチ画像に対して光SKを照射し、照射による反射光HKのうち正反射光を受光素子543で、乱反射光を受光素子542で、それぞれ受光する。濃度センサ54は、受光量に応じた検知信号S1を出力し制御部100へ送信する。
【0038】
なお、ケース544は、合成樹脂材料によってほぼ円錐台状に形成されている。ケース544は、光SKの照射および反射光HKの入射を行う開口部KBは、ほぼ円形である。開口部KBには透明の窓が設けられている。ケース544の開口部KB以外は、遮光性を有している。
【0039】
制御部100は、濃度センサ54から受信した検知信号S1に基づいて、各種の画像形成条件を補正しまたは設定する。ここでの画像形成条件とは、帯電量、露光量、現像バイアス電圧、転写電圧、転写電流、定着温度、および定着速度など、多岐にわたる。
【0040】
このように、濃度センサ54が検知した情報を各種の画像形成条件にフィードバックさせて補正を行うことで、環境の変化、使用による経時変化などの影響を受けることなく、常に適切な画質の画像を形成することができる。
【0041】
さて、濃度センサ54がパッチ画像の検知を行う際に、用紙YSがバタついた状態であると正確にパッチ画像の濃度の検知ができないため、用紙YSのバタつきを抑制する手段が講じられている。
〔バタつき抑制装置の実施例1〕
図5は図2に示すバタつき抑制装置80を拡大して示す断面図、図6はバタつき抑制装置80を図5の矢印Aの方向から見た図、図7はバタつき抑制装置80を構成する遮光ガイド81の外観を示す斜視図、図8は遮光ガイド81に設けられるガイド部812の形状を拡大して示す断面図である。
【0042】
なお、図7においては、便宜上、遮光部811が上側、ガイド部812が下側となるように置いた状態が示されている。
【0043】
バタつき抑制装置80は、濃度センサ54の近傍に配置され、用紙YSがその紙面に垂直な方向に変動することを抑制するものである。
【0044】
図5に示すように、バタつき抑制装置80は、遮光ガイド81および補助ガイド82を備えている。
【0045】
まず、遮光ガイド81の構成について説明する。
【0046】
遮光ガイド81は、遮光部811およびガイド部812を有し、それらが合成樹脂によって一体的に形成されている。また、複数の部品を組み立てて構成してもよい。遮光ガイド81に用いる合成樹脂は、遮光性を有したものが好ましく、また定着ローラ51の近傍に配置されるものであるからある程度の耐熱性を有したものが好ましい。したがって、遮光ガイド81の材料として透明の合成樹脂を用いた場合には、黒色または適当な色の塗料などを塗布することによって、または適当なコーティングを施すことによって、遮光性を付与すればよい。なお、遮光ガイド81は、鋼板などを用いた板金加工によって形成することも可能である。
【0047】
図7において、遮光部811は、底面に開口部KKを有した直方体の容器状のものである。つまり、遮光部811は、上面部811a、および側面部811c〜811fを有する。上面部811aおよび開口部KKは、1つのパッチ画像TPに対応する程度の大きさの正方形状である。側面部811c〜811fの高さH1は、濃度センサ54を収容しかつその検知距離を見込んで余裕のある寸法とされる。
【0048】
ガイド部812は、開口部KKの端部に設けられ、用紙YSを搬送路HRに沿って案内する。つまり、ガイド部812は、側面部811cの端縁に設けられるガイド面813、および側面部811eの端縁に設けられるガイド面814を有する。
【0049】
ガイド面813および814の図の鉛直方向における高さH2は、数ミリメ−トル〜数センチメ−トル程度である。本実施例では、ガイド面813および814は、遮光部811の2ヵ所の端縁にのみ設けられているが、4ヵ所の端縁を含む全周に設けてもよい。
【0050】
図8(A)に示すように、ガイド面813は、平面状であり、側面部811cに対して角度αを有して傾斜している。角度αは、例えば30〜60度程度である。ガイド面814についても、側面部811eに対して同じ角度αで傾斜している。ただし、ガイド面813、814の角度αおよび傾斜方向は、必ずしも同じでなくともよい。
【0051】
ガイド面813の外壁面には、摺動性のよいコーティング剤を塗布することによって摺動層815が形成されている。ガイド面814の内壁面にも、同様の摺動層815が形成されている。なお、遮光ガイド81それ自体を、摺動性のよい合成樹脂で形成し、摺動層815を省略してもよい。
【0052】
上の例では、ガイド面813は平面であるが、これ以外の形状としてもよい。ガイド面814についても同様である。
【0053】
例えば、図8(B)に示すガイド面813Bは、側面部811cに対して傾斜した角度が図8(A)のように一定ではなく、位置によって変化するようにつまり曲率をもつように傾斜している。つまり、ガイド面813Bは、遮光ガイド81の内側に向かって円弧状に滑らかにカーブしている。
【0054】
また、図8(C)に示すガイド面813Cは、側面部811cの外側に円弧状に反り返りながら側面部811cの外壁面にまで延びた形状である。つまり、遮光ガイド81の外側に円弧を描くように張り出している。例えて言えば、断面がカップの取っ手に近い形状である。
【0055】
また、図8(D)において、側面部811cの端部には、ブラシ816が接着剤またはビスなどにより取り付けられている。ブラシ816は、基材817に弾性力を有する多数の線状の毛材818が植毛されたものである。ブラシ816は、側面部811cおよび811eの2ヵ所の端縁に取り付けられており、通常はこれで十分であるが、側面部811dおよび811fの端縁をも含む全周に取り付けてもよい。
【0056】
また、図8(A)〜(D)に示すように、遮光ガイド81の内壁面の全面には、低反射性のコーティング剤を塗布することによって反射防止層819が形成されている。反射防止層819により、投光素子541の照射による反射光または外光などが遮光ガイド81の内部で反射して不測に受光素子542、543に入射することが防止される。
【0057】
図5に戻って、遮光ガイド81の上面部811aの内壁面側には、基板55が、嵌め込みによりまたはビスなどを用いて取り付けられている。基板55には、上に述べた濃度センサ54が実装されており、したがって、濃度センサ54が基板55を介して遮光ガイド81に取り付けられている。
【0058】
濃度センサ54は、その投光素子541および受光素子542,543の投受光面、つまり開口部KBが、遮光ガイド81の開口部KKを向くように配置される。なお、基板55は、遮光ガイド81の外部の適当な場所に設けるようにしてもよい。その場合には、例えば、上面部811aの内壁面に、外部の基板55とリード線などで接続された濃度センサ54が取り付けられることとなる。
【0059】
遮光ガイド81は、上に述べたように遮光性のある合成樹脂で形成されているため、遮光ガイド81が濃度センサ54の開口部KBを除いた外周囲を取り囲むことにより、受光素子542および543に外光が不測に入射するのを防ぐことができる。なお、ここでの外光とは、画像形成装置1に機外から入ってくる光、および濃度センサ54による検知以外の目的で画像形成装置1の内部で発せられた光を含む。なお、濃度センサ54が設けられる位置は用紙YSを機外へ排出する箇所に近いため、濃度センサ54は、特に機外からの外光による影響を受けやすいといえる。
【0060】
なお、濃度センサ54と遮光ガイド81とによって定着画像検知部TYが構成されている。
【0061】
次に、補助ガイド82について説明する。
【0062】
図5に示すように、補助ガイド82は、平面部821およびその両側の傾斜面部822を有する。補助ガイド82は、例えば鋼板またはステンレス鋼板などの金属板を、その両端部分を折り曲げて傾斜させることによって製作される。また、合成樹脂などを用いて形成することも可能である。
【0063】
傾斜面部822は、平面部821に対して角度βを有して傾斜している。角度βとしては、用紙YSの種類などにもよるが、30〜45度程度である。
【0064】
図6に示すように、補助ガイド82の幅Wは、用紙YSの横幅よりも若干広めとしておくのが望ましい。平面部821の長さL1は、数個のパッチ画像TPに対応する寸法であり、傾斜面部822の長さL2は、1〜数センチメ−トル程度である。
【0065】
次に、遮光ガイド81および補助ガイド82の配置関係について説明する。
【0066】
図5において、遮光ガイド81と補助ガイド82とは、濃度センサ54の検知範囲において対向する位置に設けられ、画像形成装置1の本体フレームなどにネジなどによって取り付けられる。遮光ガイド81のガイド面813、814の端面、つまり開口部KKと、補助ガイド82の平面部821とは、用紙YSを挟んで近接する。近接部分の間隙Gは、使用される用紙YSの最大厚さに比して余裕を持って大きい寸法に設定されている。この状態では、ガイド面813、814が、用紙YSの搬送路HRの進行方向に沿ってなびいた状態である。また、上流側の傾斜面部822が、用紙YSを平面部821上に滑らかに搬送するよう開いた状態である。
【0067】
なお、ガイド部812に代えて図8(D)に示すブラシ816を用いた場合には、間隙Gをほぼゼロとする。つまり、用紙YSが間隙Gを通過する際に、毛材818の先端部分が用紙YSに接するようにする。ただし、定着前の用紙YSを通過させる場合などにおいては接しないようにする。
【0068】
上に述べたように遮光ガイド81および補助ガイド82を配置することにより、画像安定化制御時に用紙YSがバタついた状態で搬送されてきた場合であっても、ガイド面813、814の先端部分により濃度センサ54の検知範囲にある用紙YSの浮き上がりや傾きを抑えることができる。
【0069】
また図8(D)に示したブラシ816を用いた場合は、ブラシ816の先端が用紙YSに接して用紙YSを押さえるため、用紙YSの浮き上がりや傾きを抑える効果がより高まる。また、ガイド面813、814の傾斜および摺動性によって、用紙YSを間隙Gに滑らかに進入させまたは排出させることができる。
【0070】
また、用紙YSは、定着ローラ51と加熱ローラ52との間を通過することによってカールしてしまうこともあるが、その場合においても、濃度センサ54の検知範囲にある用紙YSの浮き上がりを抑えることができ、用紙YSを間隙Gに滑らかに進入させまたは排出させることができる。
【0071】
したがって、濃度センサ54の検知範囲にある用紙YSは所定の検知位置に収まり、濃度センサ54はパッチ画像TPの濃度を正確に検知することができる。
【0072】
さらに、遮光ガイド81は、遮光性を有し、その内壁面には反射防止層819が形成されているため、濃度センサ54が外光および用紙YSのバタつきに起因する乱反射光を受光するのを防止することができ、濃度センサ54はより正確にパッチ画像TPの濃度を検知することができる。
〔バタつき抑制装置の実施例2〕
一般的に、定着装置は、ローラ対で記録媒体を挟みつつ加熱圧着するため、記録媒体がカールするおそれがある。定着工程で発生したカールを除去するために、ローラ対を用いてカール(巻き癖)を補正・除去する装置(デカーラと呼称される)を定着装置の排出側に設けることが行われている(特開平5−221574)。
【0073】
図9は、用紙YSの搬送方向において定着部50の下流にデカーラ90を設けた場合の一例を示す断面図である。図9はデカーラ90をバタつき抑制装置として用いた例である。
【0074】
図9に示すように、デカーラ90は、硬質性のローラ901および、ローラ901より外径が大きく弾性を有した軟質性のローラ902で構成される。本実施例では、デカーラは一対のローラで構成されているが、3個以上のローラで構成されていてもよい。
【0075】
そして、実施例1で述べた濃度センサ54を、デカーラ90の下流に設ける。さらに、濃度センサ54と対向する位置に、実施例1で述べた補助ガイド82を設ける。ローラ901、902は、デカーラ90から用紙YSが送り出される方向が補助ガイド82の平面部821に沿うこととなるように配置される。
【0076】
デカーラ90は、定着工程で生じた用紙YSのカールを除去するため、カールの湾曲と逆向きに湾曲させるように用紙YSをローラ901およびローラ902により押圧する。押圧された用紙YSは、補助ガイド82の平面部821に沿うように送り出される。
【0077】
これにより、画像安定化制御時に用紙YSがバタついた状態でデカーラ90へ搬送されてきた場合であっても、用紙YSは、ローラ901およびローラ902の圧接面に固定され、補助ガイド82の平面部821に沿うように送り出されるため、濃度センサ54の検知範囲において用紙YSの浮き上がりや傾きを抑えることができる。
【0078】
つまり、デカーラ90の直後の搬送路上に濃度センサ54を配置することで、デカーラ90は、定着工程で生じた用紙YSのカールを除去する手段として機能するだけでなく、濃度センサ54がパッチ画像の検知を行う際に用紙YSがバタつくのを抑制するバタつき抑制装置としても機能する。
【0079】
したがって、濃度センサ54の検知範囲にある用紙YSは所定の検知位置に収まることとなり、濃度センサ54はパッチ画像の濃度を正確に検知することができる。
【0080】
また、実施例1の場合と同様に、さらに遮光ガイド81を濃度センサ54を取り囲むように設けることにより、バタつきを抑制する効果が一層高まるとともに、外光および乱反射光が濃度センサ54に及ぼす悪影響を防止することができ、濃度センサ54はより正確にパッチ画像の濃度を検知することができる。
【0081】
なお、デカーラ90は、定着後の用紙YSの仕上げを行うフィニッシャ装置に設けてもよい。その場合には、濃度センサ54などを同じフィニッシャ装置に設けることとなる。
〔画像安定化制御のフローチャートによる説明〕
図10はパッチ画像の濃度検知に基づく画像安定化制御の例の概略を示すフローチャートである。
【0082】
図10に示すように、電源オン時などをトリガーとして画像安定化制御が開始されると、まず、テスト用のパッチ画像が用紙YS上に形成される(#11)。パッチ画像の濃度が濃度センサ54により検知され(#12)、検知された濃度値に基づいて、狙いの画質を得るのに最適な画像形成条件が算出される(#13)。そして、算出した画像形成条件が、制御部100の記憶部に設定される(#14)。
【0083】
実施例1、2で説明したように、バタつき抑制装置80またはデカーラ90を設けることにより、濃度センサ54の検知範囲にある用紙YSのバタつきを抑えることができる。また、バタつき抑制装置80が実施例1に示すような遮光ガイド81を有することにより、外光および乱反射光が濃度センサ54に及ぼす悪影響をも同時に防止することができる。
【0084】
このように、本実施形態によると、濃度センサ54は定着画像の濃度を正確に検知し、制御部100は適切な画像形成条件を算出することができ、画像形成装置1は狙いの画質を安定して供給することができる。
【0085】
上に述べた実施形態において、遮光ガイド81が本発明の検知補助装置に相当する。遮光ガイド81、または遮光ガイド81と補助ガイド82のセット、またはデカーラ90、またはデカーラ90と遮光ガイド81と補助ガイド82のセットなどが、本発明のバタつき抑制手段に相当する。ガイド部812が本発明の第1のガイド部に、補助ガイド82が本発明の第2のガイド部に、それぞれ相当する。
【0086】
上に述べた実施形態において、濃度センサ54、遮光部811、ガイド部812、遮光ガイド81、補助ガイド82、バタつき抑制装置80、デカーラ90、制御部100、または画像形成装置1の各部または全体の構成、構造、形状、寸法、個数、配置、回路などは、本発明の主旨に沿って適宜変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略の内部構成を示す図である。
【図2】画像形成装置の一部である画像形成部を拡大して示す図である。
【図3】画像形成装置の主要な制御系を示すブロック図である。
【図4】濃度センサの構造の例を示す図である。
【図5】バタつき抑制装置を拡大して示す断面図である。
【図6】バタつき抑制装置を図5の矢印Aの方向から見た図である。
【図7】バタつき抑制装置を構成する遮光ガイドの外観を示す斜視図である。
【図8】遮光ガイドに設けられるガイド部の形状を拡大して示す断面図である。
【図9】デカーラをバタつき抑制装置として用いた例を示す断面図である。
【図10】画像安定化制御の例の概略を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0088】
1 画像形成装置
54 濃度センサ
80 バタつき抑制装置(バタつき抑制手段)
81 遮光ガイド(検知補助装置)
82 補助ガイド(第2のガイド部)
90 デカーラ(バタつき抑制手段)
100 制御部(制御手段)
541 投光素子(投光部)
542 受光素子(受光部)
543 受光素子(受光部)
811 遮光部
812 ガイド部(第1のガイド部)
819 反射防止層
YS 用紙(記録媒体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体の媒体面上に画像を形成する画像形成装置において、
搬送路に沿って搬送される記録媒体の媒体面上に形成された画像の濃度を検知する濃度センサと、
前記濃度センサの近傍に配置され、前記記録媒体が前記媒体面に垂直な方向に変動することを抑制するバタつき抑制手段と、
前記濃度センサで検知した画像の濃度に基づいて画像形成条件を補正する制御手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記濃度センサは、
前記媒体面に光を照射する投光部と、
前記投光部の照射による前記媒体面からの反射光を受光する受光部と、
を有し、
前記バタつき抑制手段は、前記受光部への外光の入射を遮るように前記濃度センサの外周囲の少なくとも一部を取り囲む形状の遮光部を有する、
請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記バタつき抑制手段は、
前記濃度センサを内部に収容し前記濃度センサの投受光面側に開口する開口部を有する容器状の前記遮光部と、
前記開口部の端部に設けられ、前記記録媒体を前記搬送路に沿って案内する第1のガイド部と、
を有する請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1のガイド部は、前記記録媒体の搬送方向に対して鋭角に傾斜する傾斜面を有する、
請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1のガイド部は、先端部が前記媒体面と接するように設けられた柔軟なブラシ状の部材を有する、
請求項3記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記遮光部は、その内側面に反射防止層が形成されている、
請求項2ないし5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記バタつき抑制手段は、前記記録媒体を挟んで前記第1のガイド部と対向する位置に設けられ前記記録媒体を前記搬送路に沿って案内する第2のガイド部をさらに有する、
請求項2ないし6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記バタつき抑制手段は、前記記録媒体の巻き癖を除去するデカーラであって、前記記録媒体の搬送方向において前記濃度センサの検知位置よりも上流側に配置される、
請求項1記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記バタつき抑制手段として、前記濃度センサへの外光の入射を遮るように前記濃度センサの外周囲の少なくとも一部を取り囲む形状の遮光部をさらに有する、
請求項8記載の画像形成装置。
【請求項10】
搬送路に沿って搬送される記録媒体上に形成された画像の濃度を検知する濃度センサの近傍に配置される検知補助装置であって、
前記濃度センサへの外光の入射を遮るように前記濃度センサを内部に収容し前記濃度センサの投受光面側に開口する開口部を有する容器状の遮光部と、
前記開口部の端部に設けられ、前記記録媒体を前記搬送路に沿って案内するガイド部と、
有することを特徴とする検知補助装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−145605(P2010−145605A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−320887(P2008−320887)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】