説明

画像形成装置および画像形成プログラム

【課題】 画像データにおける幅方向の解像度と高さ方向の解像度が同一ではない場合でも、画像データでの本来の画像アスペクト比と同一の画像アスペクト比で画像が印刷されるようにする。
【解決手段】 画像形成装置1では、画像データ解析部33は、画像データにおける幅方向の解像度と高さ方向の解像度とを特定し、画像変換部34は、幅方向の解像度と高さ方向の解像度が同一ではない場合、幅方向と高さ方向の少なくとも一方の画素数を変更して、印刷時の画像アスペクト比を画像データの画像アスペクト比に一致させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置および画像形成プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、TIFF(Tagged Image File Format)形式やJPEG(Joint Photographic Experts Group)形式の画像データファイルを、PDL(Page Description Language)データなどに変換することなく、そのまま、プリンターなどの画像形成装置へ供給して、画像の印刷を実行させることが可能となっている。
【0003】
そのような画像形成装置には、画像データのヘッダー部分を解析して、画像における幅方向および高さ方向のドット数(画素数)を特定し、印刷用紙のサイズに応じて、画像データの画素数を変更するものがある(例えば特許文献1参照)。
【0004】
また、ディジタルカメラの総画素数、画像アスペクト比、および印刷解像度から、印刷時の画像の最大サイズを計算する装置がある(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−186948号公報
【特許文献2】特開平10−304187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の技術によれば、画像データにおける幅方向の解像度と高さ方向の解像度が同一である場合には、印刷される画像のアスペクト比は、画像データの画像アスペクト比と同一となるが、画像データにおける幅方向の解像度と高さ方向の解像度が同一ではない場合には、印刷される画像のアスペクト比が、画像データの画像アスペクト比とは異なってしまい、印刷される画像が、幅方向または高さ方向に潰れたものとなってしまう。
【0007】
例えば、図5に示すように、画像データの解像度が幅方向および高さ方向ともに200dpiである場合、画像データにおける幅方向の画素数が1200であり高さ方向の画素数が800であるときには、画像の幅は6インチとなり、画像の高さは4インチである。このため、画像のアスペクト比は、3:2となる。画像を拡大率mで拡大した場合には、画像の幅は6mインチとなり、画像の高さは4mインチである。画像のアスペクト比は、3:2のままである。そして、解像度600dpiで印刷を行うと、印刷される画像の幅方向のサイズは、2mインチ(=1200×m/600dpi)となり、印刷される画像の高さ方向のサイズは、(4/3)×mインチ(=800×m/600dpi)となる。このため、印刷される画像のアスペクト比は、3:2のままである。
【0008】
一方、図5に示すように、画像データの幅方向の解像度が200dpiであり高さ方向の解像度が100dpiである場合、画像データにおける幅方向の画素数が1200であり高さ方向の画素数が400であるときには、画像の幅は6インチとなり、画像の高さは4インチである。このため、画像のアスペクト比は、3:2となる。画像を拡大率mで拡大した場合には、画像の幅は6mインチとなり、画像の高さは4mインチである。画像のアスペクト比は、3:2のままである。そして、解像度600dpiで印刷を行うと、印刷される画像の幅方向のサイズは、2mインチ(=1200×m/600dpi)となり、印刷される画像の高さ方向のサイズは、(2/3)×mインチ(=400×m/600dpi)となる。このため、印刷される画像のアスペクト比は、3:1となり、画像データにおけるアスペクト比から変化してしまい、印刷される画像が図5に示すように潰れてしまう。
【0009】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、画像データにおける幅方向の解像度と高さ方向の解像度が同一ではない場合でも、画像データでの本来の画像アスペクト比と同一の画像アスペクト比で画像が印刷される画像形成装置および画像形成プログラムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明では以下のようにした。
【0011】
本発明に係る画像形成装置は、画像データにおける幅方向の解像度と高さ方向の解像度とを特定する画像データ解析部と、幅方向の解像度と高さ方向の解像度が同一ではない場合、幅方向と高さ方向の少なくとも一方の画素数を変更して、印刷時の画像アスペクト比を画像データの画像アスペクト比に一致させる画像変換部とを備える。
【0012】
これにより、画像データにおける幅方向の解像度と高さ方向の解像度が同一ではない場合でも、画像データでの本来の画像アスペクト比と同一の画像アスペクト比で画像が印刷される。
【0013】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置に加え、次のようにしてもよい。この場合、画像変換部は、画像データの幅方向の画像サイズと、画像データの高さ方向の画像サイズとに、それぞれ、幅方向の解像度と高さ方向の解像度のうちの低いほうを乗算して、幅方向および高さ方向の変更後の画素数を計算する。
【0014】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置に加え、次のようにしてもよい。この場合、画像変換部は、印刷用紙の最大印字領域の画素数と変更後の前記画素数とに基づいて画像サイズの拡大率を計算し、その拡大率で、画素数変更後の画像データの画像サイズの幅および高さの両方を増加させる。
【0015】
これにより、画像アスペクト比を維持しつつ可能な範囲で、印刷される画像のサイズが最大となる。
【0016】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置に加え、次のようにしてもよい。この場合、画像変換部は、印刷用紙の最大印字領域の幅方向の画素数を、画像データによる幅方向の変更後の画素数で除算して得られる第1の比率、および印刷用紙の最大印字領域の高さ方向の画素数を、画像データによる高さ方向の変更後の画素数で除算して得られる第2の比率のうちの小さいほうを、その拡大率とする。
【0017】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置に加え、次のようにしてもよい。この場合、画像変換部は、印刷用紙の向きと画像データによる画像の向きとが異なる場合には、画像データによる画像を90度回転させたときの第1の比率および第2の比率のうちの小さいほうを、その拡大率とする。
【0018】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置に加え、次のようにしてもよい。この場合、画像データ解析部は、幅方向の解像度と高さ方向の解像度の少なくとも一方がゼロまたは不正値である場合には、エラーメッセージを出力する。
【0019】
本発明に係る画像形成プログラムは、コンピューターを、画像データにおける幅方向の解像度と高さ方向の解像度とを特定する画像データ解析部、および幅方向の解像度と高さ方向の解像度が同一ではない場合、幅方向と高さ方向の少なくとも一方の画素数を変更して、印刷時の画像アスペクト比を画像データの画像アスペクト比に一致させる画像変換部として機能させる。
【0020】
これにより、画像データにおける幅方向の解像度と高さ方向の解像度が同一ではない場合でも、画像データでの本来の画像アスペクト比と同一の画像アスペクト比で画像が印刷される。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、画像データにおける幅方向の解像度と高さ方向の解像度が同一ではない場合でも、画像データでの本来の画像アスペクト比と同一の画像アスペクト比で画像が印刷される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、図1に示す画像形成装置の動作について説明するフローチャート(1/2)である。
【図3】図3は、図1に示す画像形成装置の動作について説明するフローチャート(2/2)である。
【図4】図4は、画像データにおける幅方向の解像度と高さ方向の解像度とが異なる場合の、図1に示す画像形成装置による印刷画像の一例を示す図である。
【図5】図5は、画像データにおける幅方向の解像度と高さ方向の解像度とが異なる場合の、従来の技術による印刷画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0024】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。図1に示す画像形成装置は、複合機であるが、プリンター、コピー機、ファクシミリ機などの印刷機能を有する他の装置でもよい。
【0025】
図1に示す画像形成装置1は、プリンター11と、スキャナー12と、ファクシミリ装置13と、操作パネル14と、通信装置15と、演算処理装置16と、記憶装置17とを備える。
【0026】
プリンター11は、印刷用紙に画像を印刷する内部デバイスである。スキャナー12は、原稿から原稿画像を光学的に読み取り、原稿画像の画像データを生成する内部デバイスである。ファクシミリ装置13は、送信すべき原稿画像の画像データからファクシミリ信号を生成し送信するとともに、ファクシミリ信号を受信し画像データに変換する内部デバイスである。
【0027】
また、操作パネル14は、画像形成装置1の筐体表面に配置され、ユーザーに対して各種情報を表示する表示装置と、ユーザー操作を検出する入力装置とを有する。表示装置としては例えば液晶ディスプレイが使用される。入力装置としては、キースイッチ、タッチパネルなどが使用される。キースイッチはハードウェアキーであり、表示装置およびタッチパネルによりソフトウェアキーが実現される。このように、操作パネル14は、画像形成装置1のユーザーインターフェースである。
【0028】
また、通信装置15は、ネットワークや周辺機器ネットワークを介して、端末装置、USB(Universal Serial Bus)メモリーなどのソース機器2に接続され、所定の通信プロトコルでデータ通信を行う装置である。通信装置15としては、ネットワークインターフェース、モデム、USBなどの周辺機器インターフェースなどが使用される。ソース機器2は、TIFF、JPEGなどの画像データ形式の画像データファイルを画像形成装置1へ供給する機器である。
【0029】
また、演算処理装置16は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを有するコンピューターであり、図示せぬ記憶装置、ROMなどからRAMへプログラムをロードし、そのプログラムをCPUで実行することにより、各種処理部を実現する。記憶装置17は、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリーなどといった不揮発性の記憶装置であって、演算処理装置16により実行されるプログラム17aが格納されている。
【0030】
画像形成装置1の起動後に、プログラム17aなどのプログラムが演算処理装置16により適宜実行される。この実施の形態では、演算処理装置16により、図示せぬオペレーティングシステムが実現されるとともに、プログラム17aが実行されることにより、コントローラー31、通信処理部32、画像データ解析部33、画像変換部34、描画処理部35などの処理部が実現される。
【0031】
コントローラー31は、プリンター11、スキャナー12、ファクシミリ装置13、操作パネル14などといった内部デバイスを監視および制御する処理部である。
【0032】
通信処理部32は、通信装置15を制御して、所定の通信プロトコルでソース機器2とデータ通信を実行する処理部である。
【0033】
画像データ解析部33は、画像データにおける幅方向の解像度と高さ方向の解像度とを特定する。画像データ解析部33は、まず、画像データの画像データ形式(TIFF、JPEGなど)を特定し、その画像データ形式において予め規定されているその画像データ内の位置から、画像データの幅方向および高さ方向の解像度を抽出する。
【0034】
画像変換部34は、画像データ解析部33により特定された幅方向の解像度Rxと高さ方向の解像度Ryが同一ではない場合、幅方向と高さ方向の少なくとも一方の画素数を変更して、印刷時の画像アスペクト比を画像データの画像アスペクト比に一致させる。
【0035】
この実施の形態では、画像変換部34は、印刷用紙の最大印字領域の画素数と、変更後の前記画素数とに基づいて、画像サイズの拡大率mを計算し、その拡大率mで、画素数変更後の画像データの画像サイズの幅および高さの両方を増加させる。
【0036】
また、この実施の形態では、画像変換部34は、印刷用紙の最大印字領域の幅方向の画素数Pxを、画像データによる幅方向の変更後の画素数で除算して得られる比率mx、および印刷用紙の最大印字領域の高さ方向の画素数Pyを、画像データによる高さ方向の変更後の画素数で除算して得られる比率myのうちの小さいほうを、その拡大率mとする。
【0037】
また、画像変換部34は、印刷用紙の向きと画像データによる画像の向きとが異なる場合には、画像データによる画像を90度回転させたときの比率mx,myのうちの小さいほうを、その拡大率mとする。
【0038】
描画処理部35は、画像変換部34により変換された後の画像データに基づき、ハーフトーニングなどの描画処理を行う。描画処理部35による描画処理後のデータは、コントローラー31により読み出され、そのデータに基づいてプリンター11が制御される。
【0039】
次に、上記画像形成装置1の動作について説明する。図2および図3は、図1に示す画像形成装置1の動作について説明するフローチャートである。
【0040】
通信処理部32が通信装置15でソース機器2から画像データファイルを取得すると(ステップS1)、画像データ解析部33は、その画像データファイルを解析する(ステップS2)。
【0041】
画像データ解析部33は、まず、画像データファイルの画像データ形式を特定し、その画像データ形式が当該画像形成装置1でサポートしている形式であるか否かを判定する(ステップS3)。
【0042】
その画像データファイルの画像データ形式が当該画像形成装置1でサポートしている形式である場合、画像データ解析部33は、その画像データファイル内の所定の位置(例えばデータのヘッダー部分の所定の位置)から、画像データの幅方向および高さ方向の解像度Rx,Ryを読み出すとともに、画像データの幅方向および高さ方向の画素数X,Yを特定する(ステップS4)。画像データの幅方向および高さ方向の画素数X,Yの値が画像データファイル内の所定の位置に記述されている場合には、画像データ解析部33は、その値を読み出す。
【0043】
そして、画像データ解析部33は、読み出した解像度Rx,Ryが適切な値であるか否かを判定する(ステップS5)。例えば、解像度Rx,Ryの一方または両方が、ゼロまたは不正値である場合には、解像度Rx,Ryが適切な値ではないと判定される。
【0044】
ステップS3において画像データファイルの画像データ形式が当該画像形成装置1でサポートしている形式ではない場合、およびステップS5において解像度Rx,Ryが適切な値ではない場合には、画像データ解析部33は、コントローラー31に対して、エラーメッセージの出力を要求する。その場合、コントローラー31は、エラーメッセージをプリンター11に印刷させたり印刷操作パネル14に表示させたりする(ステップS6)。
【0045】
解像度Rx,Ryが適切な値である場合、画像変換部34は、次式に従って、画像データファイルによる画像の幅Axおよび高さAyを計算する(ステップS7)。
【0046】
Ax[inch]=X/Rx[dpi],
Ay[inch]=Y/Ry[dpi]
【0047】
次に、画像変換部34は、解像度Rxが解像度Ry以上であるか否かを判定する(ステップS8)。
【0048】
解像度Rxが解像度Ry以上である場合、画像変換部34は、解像度Rx(つまり小さいほうの解像度)で、次式に従って、補正後の幅方向および高さ方向の画素数Cx,Cyを計算する(ステップS9)。
【0049】
Cx=Ax[inch]×Rx[dpi]=X,
Cy=Ay[inch]×Rx[dpi]
【0050】
一方、解像度Rxが解像度Ry以上ではない場合、画像変換部34は、解像度Ry(つまり小さいほうの解像度)で、次式に従って、補正後の幅方向および高さ方向の画素数Cx,Cyを計算する(ステップS10)。
【0051】
Cx=Ax[inch]×Ry[dpi],
Cy=Ay[inch]×Ry[dpi]=Y
【0052】
このようにして得られた画素数Cx,Cyへ、幅方向および高さ方向の一方における画素数が、画像変換部34により補正される。これにより、印刷される画像のアスペクト比が、画像データファイルにおける画像アスペクト比と同一になる。
【0053】
次に、画像変換部34は、コントローラー31を介して、プリンター11において選択されている印刷用紙の用紙サイズ情報を取得する(ステップS11)。用紙サイズ情報は、印刷用紙の最大印字可能領域の幅方向の画素数Pxと高さ方向の画素数Pyとを有する。
【0054】
また、画像変換部34は、コントローラー31を介して、プリンター11において選択されている印刷用紙の向き(ポートレートまたはランドスケープ)の情報を取得するとともに、画像データファイルによる画像の向きがポートレートであるかランドスケープであるかを特定する。そして、画像変換部34は、用紙の向きと画像の向きが同一であるか否かを判定する(ステップS12)。
【0055】
用紙の向きと画像の向きが同一である場合、画像変換部34は、次式に従って、幅方向の比率mxと幅方向の比率myとを計算する。
【0056】
mx=Px/Cx,
my=Py/Cy
【0057】
一方、用紙の向きと画像の向きが同一ではない場合、画像変換部34は、次式に従って、幅方向の比率mxと幅方向の比率myとを計算する。
【0058】
mx=Px/Cy,
my=Py/Cx
【0059】
そして、画像変換部34は、比率mxが比率myより大きいか否かを判定する(ステップS15)。画像変換部34は、比率mxが比率myより大きい場合には、比率my(つまり、小さいほう)を拡大率mとし(ステップS16)、比率mxが比率myより大きくない場合には、比率mx(つまり、小さいほう)を拡大率mとする(ステップS17)。
【0060】
その後、画像変換部34は、次式に従って、拡大率と、印刷解像度Rpと、補正後の画素数Cx,Cyとから、印刷される画像サイズ(幅方向のサイズOx,高さ方向のサイズOy)を計算する。
【0061】
Ox=Cx×m/Rp,
Oy=Cy×m/Rp
【0062】
そして、描画処理部35は、画像変換部34により補正された後の画像データおよび画像サイズOx,Oyに基づき描画処理を行う(ステップS19)。
【0063】
描画処理部35による描画処理後のデータは、コントローラー31によりプリンター11に出力される。描画処理部35による描画処理後のデータは、コントローラー31により読み出され、そのデータに基づいてプリンター11が制御される(ステップS20)。$
なお、ステップS12において用紙の向きと画像の向きとが同一ではないと判定された場合、画像変換部34または描画処理部35は、描画処理の前に、画像を90度回転させる画像処理を画像データに施す。
【0064】
図4は、画像データにおける幅方向の解像度と高さ方向の解像度とが異なる場合の、図1に示す画像形成装置1による印刷画像の一例を示す図である。
【0065】
例えば、図4に示すように、画像データの解像度が幅方向および高さ方向ともに200dpiである場合、画像データにおける幅方向の画素数が1200であり高さ方向の画素数が800であるときには、画像の幅は6インチとなり、画像の高さは4インチである。このため、画像のアスペクト比は、3:2となる。画像を拡大率mで拡大した場合には、画像の幅は6mインチとなり、画像の高さは4mインチである。画像のアスペクト比は、3:2のままである。そして、解像度600dpiで印刷を行うと、印刷される画像の幅方向のサイズは、2mインチ(=1200×m/600dpi)となり、印刷される画像の高さ方向のサイズは、(4/3)×mインチ(=800×m/600dpi)となる。このため、印刷される画像のアスペクト比は、3:2のままである。
【0066】
一方、図4に示すように、画像データの幅方向の解像度が200dpiであり高さ方向の解像度が100dpiである場合、画像データにおける幅方向の画素数が1200であり高さ方向の画素数が400であるときには、画像の幅は6インチとなり、画像の高さは4インチである。このため、画像のアスペクト比は、3:2となる。画像を拡大率mで拡大した場合には、画像の幅は6mインチとなり、画像の高さは4mインチである。画像のアスペクト比は、3:2のままである。このとき、RxがRyより大きいので、Cx=6[inch」×200[dpi]=1200,Cy=4[inch」×200[dpi]=800となる。したがって、Ox=1200×m/600[dpi]=2m[inch],Oy=800×m/600[dpi]=(4/3)×m[inch]となり、印刷される画像のアスペクト比は、3:2となる。
【0067】
このように、画像データファイルにおいて幅方向の解像度と高さ方向の解像度とが互いに異なる場合にも、印刷される画像のアスペクト比は、画像データファイルによる画像のアスペクト比のままとなる。
【0068】
以上のように、上記実施の形態によれば、画像データ解析部33は、画像データにおける幅方向の解像度と高さ方向の解像度とを特定し、画像変換部34は、幅方向の解像度と高さ方向の解像度が同一ではない場合、幅方向と高さ方向の少なくとも一方の画素数を変更して、印刷時の画像アスペクト比を画像データの画像アスペクト比に一致させる。
【0069】
これにより、画像データにおける幅方向の解像度と高さ方向の解像度が同一ではない場合でも、画像データでの本来の画像アスペクト比と同一の画像アスペクト比で画像が印刷される。
【0070】
なお、上述の実施の形態は、本発明の好適な例であるが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【0071】
例えば、上記実施の形態において、画像変換部34は、画像データにおける幅方向および高さ方向の両方における画素数を変更してアスペクト比を維持するようにしてもよい。
【0072】
また、上記実施の形態において、Rx=Ryの場合、Rx>Ryの場合と同様にステップS9またはステップS10の処理が行われるが、Cxの代わりにXを使用し、かつCyの代わりにYを使用するだけでもよい。
【0073】
また、上記実施の形態においては、RxとRyのうちの小さいほうを選択し、ステップS9またはステップS10において画素数を補正しているが、その代わりに、RxとRyのうちの大きいほうを選択し、ステップS9またはステップS10において画素数を補正するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、例えば、プリンター、複合機などの画像形成装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0075】
1 画像形成装置
16 演算処理装置(コンピューターの一例)
17a プログラム(画像形成プログラムの一例)
33 画像データ解析部
34 画像変換部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データにおける幅方向の解像度と高さ方向の解像度とを特定する画像データ解析部と、
前記幅方向の解像度と前記高さ方向の解像度が同一ではない場合、幅方向と高さ方向の少なくとも一方の画素数を変更して、印刷時の画像アスペクト比を前記画像データの画像アスペクト比に一致させる画像変換部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像変換部は、前記画像データの幅方向の画像サイズと、前記画像データの高さ方向の画像サイズとに、それぞれ、前記幅方向の解像度と前記高さ方向の解像度のうちの低いほうを乗算して、幅方向および高さ方向の変更後の画素数を計算することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像変換部は、印刷用紙の最大印字領域の画素数と変更後の前記画素数とに基づいて画像サイズの拡大率を計算し、前記拡大率で、画素数変更後の前記画像データの画像サイズの幅および高さの両方を増加させることを特徴とする請求項1または請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像変換部は、印刷用紙の最大印字領域の幅方向の画素数を、前記画像データによる幅方向の変更後の画素数で除算して得られる第1の比率、および印刷用紙の最大印字領域の高さ方向の画素数を、前記画像データによる高さ方向の変更後の画素数で除算して得られる第2の比率のうちの小さいほうを、前記拡大率とすることを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像変換部は、印刷用紙の向きと前記画像データによる画像の向きとが異なる場合には、前記画像データによる画像を90度回転させたときの前記第1の比率および前記第2の比率のうちの小さいほうを、前記拡大率とすることを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画像データ解析部は、前記幅方向の解像度と前記高さ方向の解像度の少なくとも一方がゼロまたは不正値である場合には、エラーメッセージを出力することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項7】
コンピューターを、
画像データにおける幅方向の解像度と高さ方向の解像度とを特定する画像データ解析部、および
前記幅方向の解像度と前記高さ方向の解像度が同一ではない場合、幅方向と高さ方向の少なくとも一方の画素数を変更して、印刷時の画像アスペクト比を前記画像データの画像アスペクト比に一致させる画像変換部、
として機能させるための画像形成プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−95007(P2012−95007A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−238995(P2010−238995)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】