説明

画像形成装置および画像形成方法

【課題】2液反応インクを用いて画像形成を行う場合に反応後の不要な液体を除去するとともに廃液量を低減すること。
【解決手段】インク液を中間転写体14へ向けて吐出するヘッド12と、インク液中の色材を不溶化または非分散化させる処理液を中間転写体14へ付与する処理液塗布部13(処理液付与手段)と、処理液が付与され且つインク液が付与された中間転写体14の表面から固液分離後の液体を除去する液体吸収ローラ21と、中間転写体14の表面から除去された液体を回収し、処理液塗布部13へ供給する再利用手段(フィルタ24、プール46、42、液体物性センサ28、29、バルブ410、440、460のうち少なくとも何れかを含み構成される)を備えた。処理液およびインク液を記録媒体16へ直接付与し、記録媒体16の表面から固液分離後の液体成分を除去する構成としてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置および画像形成方法に関し、詳細には、中間転写体に向けてインク液を吐出して中間転写画像を形成し記録媒体に転写するいわゆる中間転写式の画像形成装置、記録媒体に向けてインク液を吐出して記録媒体に直接的に画像を形成するいわゆる直接記録式の画像形成装置、並びに、中間転写式および直接記録式の画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
色材および溶媒からなるインク液を中間転写体や記録媒体などの被吐出体へ向けて吐出する前に、インク液中の色材を凝集させる機能を有する処理液を被吐出体へ予め付与するようにした、いわゆる2液反応系のインクジェット記録装置(画像形成装置)が知られている。
【0003】
また、画像記録速度を向上させても画像品質が低下しないようにすることを目的として、画像形成後の被吐出体から液体溶媒を吸収するようにしたものが知られている。
【0004】
特許文献1には、中間転写式のインクジェット記録装置において、中間転写体上の過剰液体を除去するようにしたものが記載されている。
【0005】
特許文献2には、直接記録式のインクジェット記録装置において、液体溶媒吸収体によって液体溶媒を吸収するようにしたものが記載されている。
【特許文献1】特開2003―136689号公報
【特許文献2】特開2001―179959号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
画像形成を高速高画質で行うには2液反応インクを用いることが好ましく、また、反応後の余剰な液体を除去することが好ましい。しかしながら、除去した液体は廃液としてインクジェット記録装置の外部へ廃棄しなければならず、ユーザの利便性を損なうという課題がある。
【0007】
高速高画質を追求して、インク液および処理液の時間当たりの消費量が多くなるほど、廃液量も増えてしまい、インクジェット記録装置の商品性を下げることになる。
【0008】
なお、特許文献1、2には、余剰な液体溶媒を除去する技術について開示されているが、除去した液体溶媒の再利用については、記載がない。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、2液反応インクを用いて画像形成を行う場合に反応後の不要な液体を除去できるとともに廃液量を低減することができる画像形成装置および画像形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、色材および溶媒を含むインク液を所定の被吐出体へ向けて吐出して該被吐出体に画像を形成するインク吐出手段と、前記インク液中の色材を不溶化または非分散化させる機能を有する処理液を、前記被吐出体へ付与する処理液付与手段と、前記処理液付与手段により前記処理液が付与され且つ前記インク吐出手段により前記インク液が付与されて前記インク液中の色材が不溶化または非分散化した状態の前記被吐出体の表面から液体を除去する液体除去手段と、前記被吐出体の表面から除去された液体を回収し、前記インク吐出手段および前記処理液付与手段のうちで少なくとも一方へ供給する再利用手段と、を備えたことを特徴とする画像形成装置を提供する。
【0011】
インク液としては、分子(またはイオン)レベルで色材が溶解しているインク(いわゆる染料インク)、粒子状(分子の塊の状態)で色材が分散しているインク(いわゆる顔料インク)が挙げられる。
【0012】
処理液は、インク液中の色材を不溶化または非分散化させる機能、すなわち色材が液体溶媒に溶解または分散した状態を脱した状態に変化させる機能を有する。処理液が付与され且つインク液が付与された被吐出体上では、固液分離が生じる。例えば、インク中の顔料同士が凝集する。
【0013】
処理液の付与の具体例としては、第1に、ローラ等による塗布、第2に、液体吐出ヘッドによる吐出、が挙げられる。
【0014】
被吐出体の一例としては、処理液およびインク液が直接的に付与されることにより画像が記録されるいわゆる記録媒体が挙げられる。後述する中間転写体であってもよい。
【0015】
この発明によれば、処理液およびインク液を用いる2液反応系の画像形成装置において、処理液およびインク液が被吐出体上で混合し色材が不溶化または非分散化した固液分離状態で、液体除去手段により被吐出体の表面からインク液の溶媒や処理液の溶媒が除去され、再利用手段により回収されてインク吐出手段および処理液付与手段のうちで少なくとも一方へ供給されるので、被吐出体から除去した液体を廃棄する構成の従来の画像形成装置と比較して、高速高画質で画像形成できるとともに装置の外部へ廃棄しなければならない液体量(廃液量)を低減できる。
【0016】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記被吐出体は、中間転写体であり、前記中間転写体に形成された画像を所定の記録媒体に転写することを特徴とする画像形成装置を提供する。
【0017】
この発明によれば、繰り返し再利用される中間転写体に中間転写画像を形成する場合においても、記録媒体に高速高画質で記録を行うことができるとともに廃液量を低減することができる。
【0018】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記液体除去手段は、多孔質体を表面に有することを特徴とする画像形成装置を提供する。
【0019】
この発明によれば、被吐出体から除去される液体は、多孔質体の有する毛細管力により吸収される液体に限定されるので、除去および回収後に液体(回収液)の成分および物性の基本を変えずに再利用することも可能となる。
【0020】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れか1項に記載の発明において、前記再利用手段は、前記液体除去手段によって除去された液体を濾過するフィルタを有することを特徴とする画像形成装置を提供する。
【0021】
この発明によれば、被吐出体から除去し回収した液体(回収液)中に再利用に適さない不純物が含まれてしまうような場合であっても、フィルタにより回収液から不純物が除去されるので、吐出されるインク液、及び、付与される処理液のうちで少なくとも一方の品質を低下させずに高画質を維持できる。
【0022】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れか1項に記載の発明において、前記再利用手段は、前記液体除去手段によって除去された液体の中から特定の沸点の溶媒のみを蒸留する蒸留手段を有することを特徴とする画像形成装置を提供する。
【0023】
この発明によれば、被吐出体から除去し回収した液体(回収液)に再利用に適さない液体成分が含まれている場合であっても、再利用に適した高純度の溶媒(例えば蒸留水)のみを得ることができるので、吐出されるインク液、及び、付与される処理液のうちで少なくとも一方の品質を低下させずに高画質を維持できる。
【0024】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5の何れか1項に記載の発明において、前記再利用手段は、前記液体除去手段によって除去された液体の物性を検知する物性検知手段と、前記物性検知手段によって検知された物性に基づいて前記液体の物性を調整する物性調整手段と、を有することを特徴とする画像形成装置を提供する。
【0025】
この発明によれば、再利用するために回収された液体の物性値を確認することが出来、回収した液体に最適の物性調整を行うことが可能になり、再利用液が含まれる液の品質を低下させずに高画質を維持することが可能になる。
【0026】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、前記物性検知手段によって検知され前記物性調整手段によって調整される前記液体の物性は、ペーハー、表面張力、粘度、金属イオン濃度のうちで少なくともひとつであることを特徴とする画像形成装置を提供する。
【0027】
この発明によれば、回収液のpH(ペーハー)値、表面張力、粘度、金属イオン濃度のうちで少なくともひとつの物性が検知され調整されるので、再利用する液体の物性の中で2液反応系に関わる必要な物性値が適切にコントロールされ、高画質が維持される。
【0028】
請求項8に記載の発明は、請求項1、3乃至7の何れか1項に記載の発明において、前記被吐出体は、前記画像を保持する記録媒体であり、前記記録媒体の種別を判別する記録媒体種別判別手段と、前記記録媒体の種別に基づいて前記記録媒体の液体浸透速度を判定する浸透速度判定手段と、を備え、前記記録媒体の液浸透速度が所定の閾値よりも小さいときのみ、前記液体除去手段により前記記録媒体から液体除去を行って再利用することを特徴とする画像形成装置を提供する。
【0029】
この発明によれば、液体を回収する記録媒体を非浸透性媒体と緩浸透性媒体に制限し、浸透速度の大きな浸透性媒体からの液体除去を排除することができるので、被吐出体からの液体除去後の液体回収、物性調整などの機構を簡略化でき、また、画像への不要な影響を回避できる。
【0030】
請求項9に記載の発明は、インク液を所定の被吐出体へ向けて吐出するとともに該インク液中の色材を不溶化または非分散化させる機能を有する処理液を前記被吐出体へ付与して該被吐出体に画像を形成する画像形成方法において、前記処理液が付与され且つ前記インク液が吐出されて前記インク液中の色材を不溶化または非分散化した状態の前記被吐出体の表面から液体を除去し、前記被吐出体の表面から除去された液体を回収し、該液体の物性を調整し、前記インクおよび前記処理液のうちで少なくとも一方の一部として再利用することを特徴とする画像形成方法を提供する。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、2液反応インクを用いて画像形成を行う場合に反応後の不要な液体を除去できるとともに廃液量を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、添付図面に従って、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
【0033】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るインクジェット記録装置10a(画像形成装置)の全体構成図である。
【0034】
図1に示す本実施形態のインクジェット記録装置10aは、中間転写式であり、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、黒(K)の各インク液を後述の中間転写体14へ向けてそれぞれ吐出する複数のインク吐出ヘッド(以下単に「ヘッド」という)12C、12M、12Y、12Kからなるインク吐出部12と、インク液中の色材を不溶化または非分散化させる処理液を後述の中間転写体14へ塗布する処理液塗布部13(処理液付与部)と、インク吐出部12によって吐出されたインク液中の色材を主材料とする中間転写画像が形成される中間転写体14と、中間転写体14に対向して配置され、記録媒体16の平面性を保持しながら記録媒体16を搬送するとともに、中間転写体14上の中間転写画像を記録媒体16へ転写する搬送転写部15を備える。
【0035】
インク液および処理液の具体例については、後に詳説する。本実施形態において、インク液は顔料が粒子状で液体溶媒に分散して成り、処理液はインク液中の顔料を凝集(非分散化)させる機能を有する場合を例に、説明する。なお、本発明におけるインク液は、色材が粒子状で液体溶媒に分散して成るいわゆる顔料系インクに限定されず、色材が分子(またはイオン)レベルで液体溶媒に溶解して成るいわゆる染料系インクであってもよい。本発明における処理液の機能は、粒子状の色材を凝集する場合に限定されず、分子(またはイオン)レベルの色材を不溶化させる機能であってもよい。
【0036】
処理液塗布部13は、複数のローラ13a、13b(処理液塗布ローラ)が組み合わされて構成されている。なお、本実施形態における処理液塗布部13は、中間転写体14の表面(転写面)に処理液を均一に塗布する構成であれば、ローラを用いたものに特に限定されない。
【0037】
また、本実施形態のインクジェット記録装置10aは、中間転写体14の表面から液体を吸収して除去する液体吸収ローラ21と、液体吸収ローラ21に吸収された液体を液体吸収ローラ21から吸引して回収する液体吸引回収部22と、液体吸引回収部22によって吸引回収された液体(以下「回収液」という)を貯蔵する第1の回収液プール45と、第1の回収液プール45から後述のフィルタ部24へ回収液を送液するフィルタ部給送ポンプ23と、第1の回収液プール45に貯蔵されフィルタ部給送ポンプ23によって送液された回収液を濾過するフィルタ部24と、フィルタ部24で濾過された回収液を貯蔵する第2の回収液プール46を備える。第1の回収液プール45からフィルタ部24へ至る連通流路にはバルブ450(フィルタ部連通流路開閉バルブ)が設けられている。フィルタ部24の底面にはフィルタ部24によって取り除かれた廃棄物質を含む液体(廃回収液)を排出するためのバルブ241(廃回収液排出バルブ)が設けられている。
【0038】
なお、液体吸収ローラ21および液体吸引回収部22の詳細については、後に説明する。
【0039】
また、本実施形態のインクジェット記録装置10aは、初期充填用および補充用の処理液(以下「原処理液」という)を貯蔵する第1の処理液プール41と、第1の処理液プール41から補充される処理液に対して、第2の回収液プール46内の液体(回収液)を混合し、さらに物性調整液プール44内の液体(物性調整液)が混合されることにより、物性が調整された処理液を貯蔵する第2の処理液プール42を備える。第2の処理液プール42には、第2の処理液プール42内の処理液を攪拌する液体攪拌部27が設けられている。液体攪拌部27は、例えばモータ(図5の液体攪拌モータ128)で回転させるプロペラ状の部材が用いられる。また、第2の回収液プール46には第2の回収液プール46内の回収液の物性(例えばpH値)を検知する第1の液体物性センサ28が設けられ、第2の処理液プール42には第2の処理液プール42内の処理液の物性(例えばpH値)を検知する第2の液体物性センサ29が設けられている。
【0040】
第1の処理液プール41と第2の処理液プール42との間には原処理液の補充量を調整するためのバルブ410(原処理液量調整バルブ)が設けられており、第2の回収液プール46と第2の処理液プール42との間には回収液の混合量を調整するためのバルブ460(回収液量調整バルブ)が設けられており、物性調整液プール44と第2の処理液プール42との間には物性調整液の添加量を調整するためのバルブ440(物性調整液量調整バルブ)が設けられおり、第2の処理液プール42の底面には老朽した処理液を排出するためのバルブ421(老朽処理液排出バルブ)が設けられている。
【0041】
原処理液量調整バルブ410、物性調整液量調整バルブ440、回収液量調整バルブ460、および、老朽処理液排出バルブ421によって物性(例えばpH値)が調整された第2の処理液プール42内の処理液、すなわち第2の回収液プール46に貯蔵されていた回収液を含み且つ物性が調整された処理液は、処理液供給バルブ420を介して、第3の処理液プール43P(「処理液タンク」ともいう)へ供給される。
【0042】
中間転写体14は、無端状であって複数の搬送ローラ34(34a、34b、34c、34d)により張架されている。
【0043】
中間転写体14は、その材質としては、例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリイミド樹脂等の通常の無端ベルト形状の転写体に用いられる公知の材質が好適に挙げられる。これらの材料からなる無端ベルトの表面に、適当な導電性材料を分散させた抵抗調整層を設けてもよく、その構成も、通常の中間転写体における構成が好適に挙げられる。また、電鋳ニッケルで形成された無端状ベルトで、表面にはシリコンまたはフッソ系の薄膜を有し、剥離特性を付与したものも、中間転写体14として好適に用いられる。本実施形態においては無端ベルト形状のものを用いたが、本発明においてはこれに限定されず、例えば、ドラム形状(回転体形状)のものであってもよい。
【0044】
搬送転写部15は、複数の搬送ローラ35(35a、35b、35c)間に無端状のベルト17が張架された構造を有し、この搬送転写部15により記録媒体16が搬送される。ベルト17が巻かれている複数の搬送ローラ35(35a、35b、35c)のうちで少なくとも一つにモータ(図5の搬送モータ112)の動力が伝達されることにより、ベルト17は図1中の時計回り方向に駆動され、ベルト17上に保持された記録媒体16は図1中の左から右へと搬送される。
【0045】
なお、ベルト搬送に代えて、ローラ・ニップ搬送機構を用いる態様も考えられるが、画像記録領域をローラ・ニップ搬送すると、画像転写直後に記録媒体の画像記録面をローラが接触するので画像が滲み易いという問題がある。したがって、本例のように、画像記録領域には非接触で吸着搬送する態様が好ましい。
【0046】
また、転写時の転写率を向上させたり画像表面の光沢度を制御するために、転写時に加熱しながら転写を行っても良い。
【0047】
インク液タンク43C、43M、43Y、43Kは、各ヘッド12C、12M、12Y、12Kへ、それぞれシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、黒(K)の各インク液を供給する。
【0048】
インク吐出部12の各ヘッド12C、12M、12Y、12Kは、本インクジェット記録装置10aで記録対象とする記録媒体16の最大記録幅に対応する長さを有し、その液体吐出面には最大サイズの記録媒体16の少なくとも一辺を超える長さ(記録可能範囲の全幅)にわたりインク吐出用のノズルが複数配列されたフルライン型のヘッドとなっている(図4(A)参照)。
【0049】
このように、転写により画像が記録される記録媒体16の幅全域をカバーするノズル列を有するフルライン型のヘッド12C、12M、12Y、12Kを色別に設ける構成によれば、中間転写体14に対してインク吐出部12を相対的に移動させる動作を1回行うだけで(すなわち1回の副走査で)、記録媒体16の全面に画像を記録することができる。これにより、ヘッドが副走査方向と直交する主走査方向に往復動作するシャトル型(シリアル型)ヘッドに比べて、高速で画像記録が可能であり、生産性を向上させることができる。
【0050】
ヘッド12C、12M、12Y、12Kは、中間転写体14の搬送方向に沿って上流側からシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、黒(K)の順に配置され、それぞれのヘッド12C、12M、12Y、12Kが中間転写体14の搬送方向と略直交する方向に沿って延在するように設けられている。
【0051】
本例では、KCMYの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組合せについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。また、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。 液体吸収ローラ21は、その表面が、微細な多数の孔を有する多孔質部材で構成されており、中間転写体14の画像形成領域の最大幅(本例では記録媒体16の最大幅である)に対応する長さを有している。液体吸収ローラ21の回転軸は、中間転写体14の搬送方向と直行する方向(主走査方向)に沿って配置されている。回転軸を中心に回転自在に支持された液体吸収ローラ21は、中間転写体14の搬送速度に合わせて、中間転写体14との相対速度が0となるように従動することができ、インクの擦れによる記録媒体16上の画像への影響を防いでいる。
【0052】
なお、液体吸収ローラ21は、本実施形態のように1本の(単一の)長尺ローラ部材によって中間転写体14の全幅に対応する長さを実現してもよいし、中間転写体14の搬送方向と略直交する方向(主走査方向)に沿って複数個のローラモジュールに分割し、これらを並べて所要の長さを実現してもよい。
【0053】
また、液体吸収ローラ21を中間転写体14の転写面に対して上下させるための上下動機構116が設けられている。後述する液体除去制御部(図5の118)の指令に応じて上下動機構116が制御され、これにより液体吸収ローラ21と中間転写体14の転写面との相対位置(中間転写体14の転写面に直交する方向の相対位置)が調整され、もって中間転写体14との接触圧力や中間転写体14とのクリアランスを可変させることができる。
【0054】
そして、中間転写体14上に形成されたインク液と処理液との混合液に、すなわち固液分離後の液体溶媒(インク液中の色材と分離した液体溶媒、および、処理液中の液体溶媒)を主成分とする液体に、液体吸収ローラ21を接触させながら中間転写体14を搬送方向に移動させる。これにより、液体吸収ローラ21の表面に形成されている多孔質部材の毛細管力によって、中間転写体14の転写面の液体溶媒が液体吸収ローラ21に吸収される。こうして液体吸収ローラ21によって固液分離後の不要な液体溶媒が除去された色材凝集体は、色材同士の結合力が増し、中間転写体14から記録媒体16に転写される。また、図には示さないが、転写後の記録媒体16にさらに加熱することで記録媒体16上での色材凝集体の定着強度を上げるような構成を付加してもよい。
【0055】
なお、図1では、液体吸収ローラ21を中間転写体14の搬送方向に沿ってひとつのみ配置した場合を示しているが、このような場合に特に限定されず、中間転写体14の搬送方向に沿って液体吸収ローラ21を複数配置する構成としてもよい。また、例えば、複数配置した第1の液体吸収ローラおよび第2の液体吸収ローラが中間転写体14から退避し待機する位置および中間転写体14と接触する位置をそれぞれ同じとし、交互に配置転換させる形態としてよい。または、第1の液体吸収ローラおよび第2の液体吸収ローラが中間転写体14を挟んで幅方向に配置されスライドさせることにより、交互に中間転写体14に接触させる形態としてもよい。
【0056】
本実施形態では、回収液を濾過するフィルタ部24と、フィルタ部24で濾過された回収液の物性を検知する第1の液体物性センサ28と、回収液および物性調整液および原処理液の混合量を調整するバルブ(回収液量調整バルブ460、物性調整液量調整バルブ440、原処理液量調整バルブ410)と、回収液および物性調整液および原処理液が混合されて成る処理液の物性を検知する第2の液体物性センサ29と、老朽した処理液を排出するバルブ(老朽処理液排出バルブ421)を含み、本発明における再利用手段が構成されている。
【0057】
なお、本実施形態では、回収液を処理液の一部としてのみ利用する場合を例に説明するが、本発明はこのような場合に限定されず、回収液を処理液およびインク液の両液の一部として再利用する構成としてもよく、また、回収液をインク液の一部としてのみ再利用する構成としてもよい。
【0058】
図2は、液体吸収ローラ21と液体吸引回収部22の一部とを示した構成図である。図3は、液体吸収ローラ21と液体吸引回収部22の一部とを示した斜視図である。 図2および図3に示すように、液体吸収ローラ21の表面に、矩形の吸引口22cを有する当接部22aが当接するようになっている。この当接部22aの吸引口22cには、図1に示す第1の回収液プール45へ連通する連通路22dが連結されており、この連通路22dには、図1に示す液体吸引ポンプ22bが設けられている。なお、図3において、図示の便宜上、連通路22dは破線で示し一部透写図としてある。
【0059】
第1液体吸収ローラが吸収した液体は、図1の液体吸引ポンプ22bの吸引力により、吸引口22cを介して吸引され、連通路22Dを介して図1の第1の回収液プール45へ回収されて貯蔵される。
【0060】
図4(A)は、図1のヘッド12C、12M、12Y、12Kの一例として符号50を付したヘッド50の全体構成を示す平面透視図である。
【0061】
図4(A)に一例として示すヘッド50は、いわゆるフルライン型のヘッドであり、中間転写体14のヘッド50に対する相対移動方向(図中に矢印Sで示す副走査方向)と直交する方向(図中に矢印Mで示す主走査方向)において、中間転写体14の最大記録領域幅Wmに対応する長さにわたり、中間転写体14に向けてインクを打滴する多数のノズル51を2次元的に配列させた構造を有している。
【0062】
ヘッド12は、ノズル51、ノズル51に連通する圧力室52、および、液体供給口53を含んでなる複数の吐出素子54が、主走査方向Mおよび主走査方向Mに対して所定の鋭角θ(0度<θ<90度)をなす斜め方向の2方向に沿って配列されている。なお、図4(A)では、図示の便宜上、一部の吐出素子54のみ描いている。
【0063】
ノズル51は、具体的には、主走査方向Mに対して所定の鋭角θをなす斜め方向において、一定のピッチdで配列されており、これにより、主走査方向Mに沿った一直線上に「d×cosθ」の間隔で配列されたものと等価に取り扱うことができる。
【0064】
ヘッド50を構成するひとつの吐出素子54について、図4(A)中のB−B線に沿った断面図を図4(B)に示す。なお、図4(B)では、吐出素子54をひとつだけ示ししているので液体吐出面501aにノズル51がひとつだけ配置されているが、実際には、図4(A)に示すようにヘッド12には多数の吐出素子54が2次元配列されており、液体吐出面501aには多数のノズル51が二次元配列されている。
【0065】
図4(B)において、ヘッド50は、主として、ノズル51が形成されているノズル板501と、圧力室52、共通液室55などが形成されている流路構造体502と、圧力室52の天面板を構成しているとともに圧電素子58が形成されている振動板56を含み構成されている。
【0066】
各圧力室52は液体供給口53を介して共通液室55と連通している。共通液室55は、インク供給源としてのインク液タンク(図1の43C、43M、43Y、43K)と連通している。言い換えると、インク液タンクから供給されるインクが、共通液室55を介して各圧力室52へ分配供給される。
【0067】
圧力室52の天面を構成する振動板56の上には、圧力室52内に圧力を発生させる手段としての圧電素子58が構成されている。
【0068】
圧電素子58に後述のヘッドドライバ(図5の156)によって生成された駆動信号が与えられると、圧電素子58が変形して圧力室52の容積が変化し、これに伴う圧力室52内の圧力の変化によって、ノズル51からインクが吐出(打滴)される。インクの打滴にともなって、共通液室55から液体供給口53を通って新しいインクが圧力室52に供給される。
【0069】
なお、図4(A)および図4(B)に示す吐出素子54は、一例であって、このような場合に特に限定されない。例えば、圧力室52よりも下(すなわち圧力室52よりも液体吐出面501a側)に共通液室55を配置する代りに、圧力室52よりも上(すなわち液体吐出面501aとは反対側)に共通液室55を配置してもよい。
【0070】
図5は、本実施形態に係る画像形成装置10aの制御系の構成を示すブロック図である。
【0071】
図5において、本実施形態の画像形成装置10aは、主として、通信インターフェース102、システムコントローラ104、画像メモリ106、ROM(Read Only Memory)108、搬送モータ112、搬送転写制御部114、上下動機構116、液体除去制御部118、液体回収制御部122、液体物性情報メモリ124、液体物性判定部126、液体攪拌モータ128、液体物性調整部130、処理液塗布モータ142、処理液塗布制御部144、プリント制御部150、画像バッファメモリ152、画像処理部154、ヘッドドライバ156、速度変動検出部158、を含んで構成されている。
【0072】
通信インターフェース102は、ホストコンピュータ190から送られてくる画像データを受信する画像入力手段として機能する。通信インターフェース102には、USB(Universal Serial Bus)、IEEE1394、イーサネット(登録商標)、無線ネットワークなどの各種のインターフェースを適用することができる。ホストコンピュータ190から送出された画像データは、通信インターフェース102を介してインクジェット記録装置10aに取り込まれ、画像メモリ106に一旦記憶される。
【0073】
システムコントローラ104は、マイクロコンピュータおよびその周辺回路によって構成されている。
【0074】
画像メモリ106は、例えば、RAM(Random Access Memory)によって構成されている。ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。また、画像メモリ106は、画像データの記憶領域として利用されるだけでなく、システムコントローラ104が実行するプログラムの展開領域および作業領域としても利用される。
【0075】
ROM(Read Only Memory)108には、システムコントローラ104が実行するプログラム及びその実行に必要な各種データが格納されている。ROM108は、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable ROM)のような書換可能な記憶手段であってもよい。
【0076】
搬送モータ112は、図1の中間転写体14の搬送ローラ34(34a、34b、34c、34d)、および、図1の搬送転写部15の搬送ローラ35(35a、35b、35c)を駆動する。搬送転写制御部114は、搬送モータ112の駆動回路を含んで構成されており、システムコントローラ104の指示に従って、搬送モータ112の駆動を制御する。
【0077】
液体除去制御部118は、液体吸収ローラ(図1の21)を上下動させる上下動機構116の駆動回路を含んで構成されており、システムコントローラ104の指示に従って、上下動機構116の上下動を制御する。
【0078】
液体回収制御部122は、液体吸引ポンプ22bの駆動回路を含んで構成されており、システムコントローラ104の指示に従って、液体吸引ポンプ22bの駆動を制御する。
【0079】
液体物性情報メモリ124は、例えばEEPROMによって構成されており、処理液の物性の許容範囲を液体物性情報として記憶する。液体物性判定部126は、マイクロコンピュータを含んで構成されており、第2の回収液プール46に設けられている第1の液体物性センサ28によって検知された第2の回収液プール46内の回収液の物性と、液体物性情報メモリ124に予め記憶されている液体物性情報とに基づいて、第2の回収液プール46内の回収液の物性が許容範囲内であるか否かを判定する。また、液体物性判定部126は、第2の処理液プール42に設けられている第2の液体物性センサ29によって検知された第2の処理液プール42内の処理液の物性と、液体物性情報メモリ124に予め記憶されている液体物性情報とに基づいて、第2の処理液プール42内の処理液の物性が許容範囲内であるか否かを判定する。 第1の液体物性センサ28および第2の液体物性センサ29は、液体の物性として、例えば、pH値、表面張力、粘度、金属イオン濃度(多価金属イオン濃度)などを検知する。
【0080】
液体物性調整部130は、システムコントローラ104の指示に従って、フィルタ部給送ポンプ23の駆動を制御する。 また、液体物性調整部130は、マイクロコンピュータと、図1のフィルタ部連通路開閉バルブ450の開閉を駆動する駆動回路と、図1のフィルタ部給送ポンプ23を駆動する駆動回路と、図1の回収液量調整バルブ460、物性調整液量調整バルブ440、原処理液量調整バルブ410、老朽処理液排出バルブ421などの液体物性調整に係るバルブの開閉を駆動する駆動回路と、液体攪拌モータ128を駆動する駆動回路を含んで構成されている。液体物性調整部130は、システムコントローラ104の指示に従って、フィルタ部給送ポンプ23を駆動してフィルタ部24による回収液の濾過を行う。また、液体物性調整部130は、システムコントローラ104の指示に従って、第2の処理液プール46内の回収液を、第2の処理液プール42内の処理液(すなわち第1の処理液プール41から補充された原処理液を含む処理液)に対して混合するとともに、さらに物性調整液プール44内の物性調整液を混合する。また、液体物性調整部130は、システムコントローラ104の指示に従って、液体攪拌モータ128を駆動し、第2の処理液プール42内の処理液を攪拌する。また、また、液体物性調整部130は、システムコントローラ104の指示に従って、老朽処理液排出バルブ421の開閉を行い、第2の処理液プール42内の老朽した処理液を排出させる。
【0081】
処理液塗布モータ142は、処理液塗布ローラ13a、13bの少なくとも一方を駆動する。処理液塗布制御部144は、処理液供給バルブ420の開閉を駆動する駆動回路、および、処理液塗布モータ142を駆動する駆動回路を含んで構成されており、システムコントローラ104の指示に従って、処理液供給バルブ420および処理液塗布モータ142の駆動を制御する。
【0082】
プリント制御部150には画像バッファメモリ152が備えられており、画像処理部154における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリ152に一時的に格納される。なお、図5において画像バッファメモリ152はプリント制御部150に付随する態様で示されているが、画像メモリ106と兼用することも可能である。また、プリント制御部150とシステムコントローラ104とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
【0083】
また、プリント制御部150には、中間転写体14の搬送速度の変動を検出する速度変動検出部158が付随している。
【0084】
画像入力から印字出力までの処理の流れを概説すると、形成すべき画像のデータは、通信インターフェース102を介して外部から入力され、画像メモリ106に蓄えられる。この段階では、例えば、RGBの多値の画像データが画像メモリ106に記憶される。
【0085】
インクジェット記録装置10aでは、インク(色材)による微細なドットの打滴密度やドットサイズを変えることによって、人の目に疑似的な連続階調の画像を形成するため、入力されたデジタル画像の階調(画像の濃淡)をできるだけ忠実に再現するようなドットパターンに変換する必要がある。そのため、画像メモリ106に蓄えられた元画像(RGB)のデータは、システムコントローラ104を介してプリント制御部150に送られ、該プリント制御部150を経てインク色ごとのドットデータに変換される。
【0086】
インクジェット記録装置10aでは、インク(色材)による微細なドットの打滴密度やドットサイズを変えることによって、人の目に疑似的な連続階調の画像を形成するため、入力されたデジタル画像の階調(画像の濃淡)をできるだけ忠実に再現するようなドットパターンに変換する必要がある。そのため、画像メモリ106に記憶された元画像データ(RGB画像データ)は、システムコントローラ104を介してプリント制御部150に送られ、画像処理部154によりインク色ごとのドットデータに変換される。すなわち、プリント制御部150から指令を受けた画像処理部154は、入力されたRGB画像データをC、M、Y、Kの4色のインク液のドットデータに変換する処理を行う。こうして、画像処理部154で生成されたドットデータは、画像バッファメモリ152に蓄えられる。この色別ドットデータは、ヘッド12C、12M、12Y、12Kのノズルからインクを吐出するためのCMYK打滴データに変換され、インク吐出に用いる吐出データが確定する。
【0087】
ヘッドドライバ156は、プリント制御部150から与えられるドットデータに基づき、画像記録内容に応じてヘッド12C、12M、12Y、12Kの各ノズル51に対応する圧電素子58を駆動するための駆動信号を出力する。ヘッドドライバ156にはヘッドの駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
【0088】
こうして、ヘッドドライバ156から出力された駆動信号がヘッド12C、12M、12Y、12Kに加えられることによって、該当するノズル51からインクが吐出される。
【0089】
上記のように、プリント制御部150における所要の信号処理を経て生成されたインク吐出データに基づき、ヘッドドライバ156を介して各ノズルからのインク液滴の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。 以下、図1および図5を用いて、図5のシステムコントローラ104によって統括制御される各制御処理について説明する。
【0090】
まず、液体初期充填について、説明する。
【0091】
図1の第1の処理液プール41に原処理液(初期充填用および補充用の処理液である)が初期充填されると、図5の液体物性調整部130によってバルブ開閉制御(具体的には、図1の第1の処理液プール41と第2の処理液プール42との間のバルブ410の開閉制御、および、第2の処理液プール42と第3の処理液プール43Pとの間のバルブ420の開閉制御である)が行われ、第1の処理液プール41内の原処理液は、第2の処理液プール42および第3の処理液プール43Pへ、滴量、充填される。
【0092】
処理液としては、例えば、次の成分からなる処理液を調製して使用する。
・2−ピロリドン−5−カルボン酸 10重量%
・ジエチレングリコール 10重量%
・グリセリン 10重量%
・オルフィンE1010(界面活性剤、日信化学工業製) 1重量%
・水酸化ナトリウム 2重量%
・イオン交換水 残りの重量%
ここで、イオン交換水は、イオン交換樹脂を通して脱イオン処理をした水である。
【0093】
次に、処理液塗布(処理液付与)について、説明する。
【0094】
第3の処理液プール43Pに貯蔵されている処理液は、処理液塗布部13により、適量、中間転写体14の転写面に塗布される。なお、処理液の付与量は、塗布厚により調整される。例えば、塗布厚が望ましくは1μm〜10μm厚となるように、より望ましくは2〜5μm厚になるように、制御されて、中間転写体14の転写面に塗布される。
【0095】
次に、中間転写画像形成について、説明する。
【0096】
処理液が塗布されている中間転写体14の転写面に向けて、インク吐出部12によりインクが吐出されることにより、中間転写体14の転写面に中間転写画像が形成される。ここで、処理液が塗布されている領域内にインク滴を着弾させる。
【0097】
インク液は処理液と反応することで、インク中の顔料(色材)の分散状態が破壊され、顔料成分が凝集する。すなわち、中間転写体14上では、顔料成分と液体溶媒が分離した状態となる。
【0098】
例えば、次の成分からなるインクを調製して使用する。
・顔料 3重量%
・ジエチレングリコール 10重量%
・グリセリン 10重量%
・オルフィンE1010(界面活性剤、日信化学工業製) 1重量%
・イオン交換水 残りの重量%
次に、液体除去について、説明する。
【0099】
中間転写体14の転写面上で顔料成分と分離した液体溶媒は、液体吸収ローラ21により、中間転写体14の転写面から除去される。液体吸収ローラ21は、多孔質体であり、液体吸収ローラ21の表面の多孔質体の毛細管力によって液体溶媒が吸収される。
【0100】
次に、液体回収について、説明する。
【0101】
液体吸収ローラ21によって除去された液体溶媒は、液体吸引回収部22により吸引回収される。吸引回収された液体溶媒は、第1の回収液プール45に貯蔵される。
【0102】
次に、液体濾過について、説明する。
【0103】
第1の回収液プール45に貯蔵されている液体溶媒のpH値、粘度、表面張力等の液体物性は、処理液の液体溶媒の液体物性に近いので、不純物を取り除く濾過を行うことにより、ある程度繰り返し処理液の液体溶媒として使用することが可能である。
【0104】
第1の回収液プール45に貯蔵されている液体溶媒は、適時、フィルタ部給送ポンプ23により、フィルタ部24に送り込まれ、フィルタ部24により、濾過される。濾過後の液体溶媒は、第2の回収液プール46に貯蔵される。
【0105】
濾過は、細孔を有するいわゆる精密濾過フィルタに対してポンプ加圧により液体を送りこむ精密濾過方式で行う。ここで、フィルタ部24に対するポンプ加圧は0.1MPa程度に調整されることが望ましく、濾過膜は細孔径0.1〜10μm程度が望ましい。また、濾過膜の細孔径は、1〜5μm程度がより望ましい。
【0106】
濾過フィルタの種類としては、平膜型フィルタ、中空糸膜型フィルタ、中空紙フィルタ、セラミックフィルタ、金属フィルタ等、種々のフィルタを使用することが出来る。また、フィルタは、フィルタ膜表面の堆積層を定期的に洗浄し、長期間使用する形態にすることが望ましい。洗浄により、フィルタ部24から取り除かれた廃棄物は回収蓄積し、別途、廃棄する等の適切な処理を行う。
【0107】
次に、回収液体測定について、説明する。
【0108】
第2の回収液プール46に貯蔵されている液体溶媒に対して、第1の液体物性センサ28により、処理液としての物性の検知が行われる。
【0109】
処理液が、色材凝集剤としてpH調整剤を含んで構成されている場合には、回収液のpH値が測定されて、図5の液体物性情報メモリ124に予め記憶されている許容範囲内に入っているか判断される。
【0110】
図1の液体物性センサ28は、ガラス電極を用いたpHメータを用いて自動的にpH測定を行う構成になっている。pH値の基準範囲は、例えば3〜4の値であれば基準内とする。
【0111】
なお、液体物性センサ28によって検知される液体物性は、pH値に特に限定されない。例えば、粘度、及び、表面張力を検知してもよい。粘度、表面張力の検知機構はいずれも図示しないが、別途、粘度、及び、表面張力測定用のプールを設けて検知する。粘度に関しては、音叉型振動子粘度計により測定する。表面張力に関しては、Wilhelmy Plate法等で測定する。粘度、及び、表面張力の基準範囲としては、粘度に関しては10mPa・s以下であれば基準範囲内とし、表面張力に関しては35mN/m以下であれば基準範囲内とする。また、pH、粘度、表面張力以外の物性(例えば金属イオン濃度)を検知するようにしてもよい。
【0112】
次に、液体物性の調整について、説明する。
【0113】
第2の回収液プール46内の液体溶媒のpH値が基準範囲に入っている場合には、バルブ開閉制御(具体的には、第2の回収液プール46と第2の処理液プール42との間のバルブ460の開閉制御である)を行って、第2の回収液プール46に貯蔵されている液体を第2の処理液プール42へ送る。そして、第2の処理液プール42に貯蔵されて、そのまま処理液として使用される。
【0114】
第2の回収液プール46内の液体溶媒のpH値が例えば「4」を超えて基準範囲外である場合には、バルブ開閉制御(具体的には、物性調整液プール44と第2の処理液プール42との間のバルブ440の開閉制御である)を行って、物性調整液プール44からpH調整液を所定量だけ第2の処理液プール42へ流入させ、さらに液体攪拌部27により第2の処理液プール42内で処理液の攪拌を行い、第2の処理液プール42内の処理液が所定のpH値になるように調整される。
【0115】
また、第2の処理液プール42内の液体物性センサ29によって、第2の処理液プール42内の処理液のpH値が測定される。
【0116】
また、本実施形態においては、物性調整液プール44には、濃縮処理液が貯蔵されている。
【0117】
また、表面張力に関して規定値よりも大きくなっている場合は、不図示である表面張力調整用の別の物性調整液プールから「表面張力調整液」を数ml程度添加する。
【0118】
粘度に関して規定値より大きくなっている場合は、不図示である粘度調整用の別の物性調整液プールから粘度を低下させる液体を添加してもよいし、処理液として再度使用せず、老朽液として排出するようにしてもよい。
【0119】
また、pH値に関しても、第2の液体物性センサ29による測定値がph調整液による調整が出来ないレベルにあると判断された場合は、老朽液として排出する。
【0120】
また、出力画像数や出力画像情報量等をカウントし、処理画像数に応じて各種添加剤を添加する量とタイミングをテーブル値として管理し、事前に定めたテーブル値に基づいた制御を行ってもよい。
【0121】
(第2実施形態)
図6は、本発明の第2実施形態に係るインクジェット記録装置10bの全体構成図である。
【0122】
なお、図1に示した第1実施形態に係るインクジェット記録装置10aの構成要素と同じ構成要素には、同じ符号が付してあり、既に説明した内容についてはここではその説明を省略する。
【0123】
図6において、本実施形態に係るインクジェット記録装置10bは、図1の第1実施形態に係るインクジェット記録装置10aと同様に、中間転写式であり、中間転写画像が形成される中間転写体14と、記録媒体16を搬送するとともに中間転写体14上の中間転写画像を記録媒体16へ転写する搬送転写部15を備える。
【0124】
インクおよび処理液の具体例については、後に詳説する。本実施形態において、インク液は色材としての顔料が粒子状で液体溶媒に分散して成り、処理液はインク液中の顔料を凝集(非分散化)させる機能を有する場合を例に、説明する。
【0125】
本実施形態のインクジェット記録装置10bは、第1実施形の画像形成装置10aとは異なり、処理液を中間転写体14に付与する手段(処理液付与手段)として、処理液を中間転写体14へ向けて吐出する処理液吐出用のヘッド12P(処理液吐出ヘッド)を備え、この処理液吐出ヘッド12Pに処理液タンク43Pが接続されている。処理液吐出ヘッド12Pは、インク液吐出ヘッド12C、12M、12Y、12Kの構造と同様でもよく、例えば図4(a)および(b)に示す構造を有している。以下では、処理液吐出ヘッド12Pおよびインク液吐出ヘッド12C、12M、12Y、12Kを単に「ヘッド」ということもある。
【0126】
本実施形態のインクジェット記録装置10bは、第1実施形態の画像形成装置10aと同様に、中間転写体14の転写面から液体を吸収して除去する液体吸収ローラ21と、液体吸収ローラ21に吸収されている液体を液体吸収ローラ21から吸引して回収する液体吸引回収部22を備える。これらの液体吸収ローラ21および液体吸引回収部22は第1実施形態において説明した通りである。
【0127】
本実施形態では、液体吸引回収部22によって吸引回収されて第1の回収液プール45に貯蔵されている回収液の中から、特定の沸点を有する液体溶媒(例えば水)のみを蒸留して抽出する蒸留室25(溶媒抽出手段)を備える。この蒸留室25で蒸留された液体溶媒は、第2の回収液プール46に貯蔵される。
【0128】
第1の回収液プール45から蒸留室25へ至る連通流路には、連通流路開閉バルブ450が設けられている。
【0129】
蒸留室25の上部には蒸留液収集板25aが設けられており、蒸留により抽出された特定の沸点を有する液体溶媒は、蒸留液収集板25aの近傍に設けられている連通口25bを介して、第2の回収液プール46へ流入し、第2の回収液プール46に貯蔵される。
【0130】
また、蒸留室25の底部には廃液口25cが設けられており、この廃液口25cに繋がる流路(廃回収液排出流路)には、廃回収液排出バルブ251が設けられている。
【0131】
また、本実施形態のインクジェット記録装置10bは、処理液吐出ヘッド12Pへ供給される処理液を貯蔵する処理液タンク43Pと、インク液吐出ヘッド12C、12M、12Y、12Kへ供給されるインク液を貯蔵するインク液タンク43C、43M、43Y、43Kと、処理液およびインク液で共通の主たる液体溶媒(例えば水)を含む希釈液を貯蔵する希釈液プール47と、処理液の濃縮液を貯蔵する濃縮液プール48Pと、各色のインク液の濃縮液を貯蔵する48C、48M、48Y、48Kを備える。処理液の濃縮液は、処理液吐出ヘッド12Pへ供給されるべき処理液よりも、処理液およびインク液で共通の主たる液体溶媒であって蒸留室25で蒸留される特定の沸点の液体溶媒(例えば水)の量(重量%)が少ない処理液である。インク液の濃縮液は、インク液吐出ヘッド12C、12M、12Y、12Kへ供給されるべきインク液よりも、処理液およびインク液で共通の主たる液体溶媒(例えば水)の量(重量%)が少ないインク液である。
【0132】
第2の回収液プール46の出口の近傍(第2の回収液プール46から処理液タンク43Pおよびインク液タンク43C、43M、43Y、43Kへ至る共通の流路の上流部)には、流路の開閉により回収液量の供給量を調整するバルブ460(回収液量主調整バルブ)が設けられている。希釈液プール47の出口の近傍(希釈液プール47から処理液タンク43Pおよびインク液タンク43C、43M、43Y、43Kへ至る共通の流路の上流部)には、流路の開閉により希釈液量の供給量を調整するバルブ470(希釈液量主調整バルブ)が設けられている。これらの回収液量主調整バルブ460および希釈液量主調整バルブ470と、処理液タンク43Pおよびインク液タンク43C、43M、43Y、43Kとの間には、それぞれ、希釈液および回収液の混合液の供給量を個別に調整する希釈回収液量調整バルブ471P、471C、471M、471Y、471Kが設けられている。また、処理液濃縮プール48Pおよびインク濃縮液プール48C、48M、48Y、48Kと、処理液タンク43Pおよびインク液タンク43C、43M、43Y、43Kとの間には、それぞれ濃縮液量調整バルブ481P、481C、481M、481Y、481Kが設けられている。
【0133】
液体吸収ローラ21により中間転写体14の転写面から除去された液体溶媒を含む液体のうちで、特定の沸点を有する液体溶媒のみが、蒸留室25で蒸留される。蒸留された液体溶媒は、希釈液プール47および濃縮液プール48内の液体と混合されることにより、物性が調整されて、インクおよび処理液の液体溶媒として再利用される。 本実施形態では、回収液から特定の沸点の液体溶媒を蒸留する蒸留室25と、回収液および希釈液および濃縮液の混合量を調整するバルブ(回収液量調整バルブ460、希釈液量調整バルブ470、希釈回収液量調整バルブ471、濃縮液量調整バルブ481)とを含み、本発明における再利用手段が構成されている。
【0134】
なお、本実施形態では、回収液を処理液およびインク液の両液の一部として再利用する場合を例に説明するが、本発明はこのような場合に限定されず、回収液を処理液の一部としてのみ利用する構成としてもよく、回収液をインク液の一部としてのみ再利用する構成としてもよい。
【0135】
図7は、本実施形態に係る画像形成装置10bの制御系の構成を示すブロック図である。なお、図7において、図5に示す第1実施形態に係るインクジェット記録装置10aの構成要素と同じ構成要素は同じ符号が付してあり、既に説明した内容についてはここではその説明を省略する。
【0136】
図7において、液体物性調整部130は、マイクロコンピュータと、図6の蒸留室25内の回収液の加熱を行うヒータと、回収液量調整バルブ460、希釈液量調整バルブ470、希釈回収液量調整バルブ471(471P、471C、471M、471Y、471K)、濃縮液量調整バルブ481(481P、481C、481M、481Y、481K)、老朽処理液排出バルブ421などの液体物性調整に係るバルブの開閉を駆動する駆動回路を含んで構成されている。液体物性調整部130は、システムコントローラ104の指示に従って、蒸留室25内の回収液の加熱を行って回収液の中から特定の沸点の液体溶媒のみを蒸留する。また、液体物性調整部130は、システムコントローラ104の指示に従って、第2の処理液プール46内の回収液と、希釈液プール47内の希釈液と、処理液の濃縮液プール48P内の処理液の濃縮液とを混合する。また、液体物性調整部130は、システムコントローラ104の指示に従って、第2の処理液プール46内の回収液と、希釈液プール47内の希釈液と、インク液の濃縮液プール48C、48M、48Y、48K内のインク液の濃縮液とを混合する。
【0137】
画像処理部154は、画像メモリ106に記憶されている元画像データ(RGB画像データ)に基づいて、処理液のドットデータと、C、M、Y、Kの4色のインク液のドットデータを生成する処理を行う。ヘッドドライバ156は、画像処理部154によって生成され、プリント制御部150から与えられるドットデータに基づいて、ヘッド12P、12C、12M、12Y、12Kの各ノズル51に対応する圧電素子58を駆動するための駆動信号を出力する。
【0138】
以下、図6および図7を用いて、各制御処理について説明する。
【0139】
まず、液体初期充填について、説明する。
【0140】
濃縮液プール48P、48C、48M、48Y、48Kに濃縮液が初期充填されると、図5の液体物性調整部130によってバルブ開閉制御(具体的には図1の470、471P、471C、471M、471Y、471K、481P、481C、481M、481Y、481Kを付したバルブの開閉制御である)が行われ、希釈液プール47の希釈液と、濃縮液プール48P、48C、48M、48Y、48Kの濃縮液とがそれぞれ混合されて、処理液タンク43Pおよび各色のインク液タンク43C、43M、43Y、43Kへそれぞれ供給され、貯蔵される。
【0141】
処理液、及び、インク液の成分は、第1実施形態に示した例と同様とする。
【0142】
また、希釈液プール47に貯蔵されている希釈液は、水を主成分として、表面張力調整剤、粘度調整剤、防腐剤、等の添加剤を含んだ液体である。
【0143】
次に、処理液吐出(処理液付与)について、説明する。
【0144】
処理液タンク43Pに貯蔵されている処理液は、処理液吐出ヘッド12Pにより、適量、中間転写体14の転写面へ向けて吐出される。なお、処理液の付与量は、ヘッド12Pの各ノズル51からの吐出量により調整される。
【0145】
次に、中間転写画像形成について、説明する。
【0146】
処理液が付与されている中間転写体14の転写面に向けて、インク液吐出ヘッド12K、12Y、12M、12Cによりインク液が吐出されることにより、中間転写体14の転写面に中間転写画像が形成される。ここで、処理液が着弾している領域内にインク滴を着弾させる。
【0147】
インク液は処理液と反応することで、インク中の顔料(色材)の分散状態が破壊され、顔料成分が凝集する。すなわち、中間転写体14の転写面上では、顔料成分と液体溶媒が分離された状態になる。
【0148】
次に、液体除去について、説明する。
【0149】
中間転写体14上で顔料成分と分離した液体溶媒は、第1実際形態と同様に、液体吸収ローラ21により、中間転写体14上から除去される。液体吸収ローラ21は、多孔質体であり、液体吸収ローラ21の表面の多孔質体の毛細管力によって液体溶媒が吸収される。
【0150】
次に、液体回収について、説明する。
【0151】
液体吸収ローラ21によって除去された液体溶媒は、液体吸引回収部22により吸引回収される。吸引回収された液体溶媒は、第1の回収液プール45に貯蔵される。
【0152】
回収された液体の成分は、半分以上、水であるため、水を他の成分から分離し、処理液およびインク液に再利用することは、有効な資源再利用法となる。
【0153】
次に、蒸留(水分分離)について、説明する。
【0154】
蒸留室25において、回収液を加熱し、回収液の中で水分のみを蒸発させ、水分のみを分離回収し、第2の回収液プール46に貯蔵する。回収液体には、水以外の成分も含まれているが、ジエチレングリコールやグリセリン等の有機溶媒が揮発しない温度、具体的には、蒸留しようとする水の沸点以上であってジエチレングリコールやグリセリン等の有機溶媒の沸点よりも低い温度で回収液を加熱することにより、水のみを分離する。水を分離したのちの残存溶媒や不純物は、別途、廃棄液として回収する。
【0155】
次に、液体物性の調整について、説明する。
【0156】
第2の回収液プール46内の液体(すなわち水)と、濃縮液プール48(48P、48K、48Y、48M、48C)内の濃縮液と、希釈液プール47内の希釈液とを、バルブ開閉制御(具体的には、回収液量調整バルブ460、希釈液量調整バルブ470、希釈回収液調整バルブ471P、471C、471M、471Y、471K、濃縮液調整バルブ481P、481C、481M、481Y、481Kの開閉制御である)により、適度の分量で混合することにより、ヘッド12P、12K、12Y、12M、12Cの吐出に用いる処理液及びインク液を生成する。生成された処理液は処理液タンク43Pに貯蔵し、生成されたインク液は、インク液タンク43C、43M、43Y、43Kに貯蔵する。
【0157】
(第3実施形態)
図8は、本発明の第3実施形態に係るインクジェット記録装置10cの全体構成図である。なお、図8において、図1に示す第1実施形態に係るインクジェット記録装置10aの構成要素と同じ構成要素は同じ符号が付してあり、既に説明した内容についてはここではその説明を省略する。
【0158】
図8に示す本実施形態のインクジェット記録装置10cは、処理液塗布部13が記録媒体16へ処理液を塗布するとともに、インク吐出部12(ヘッド12C、12M、12Y、12K)が記録媒体16へ向けてインクを直接吐出する、いわゆる直接記録式の画像形成装置である。
【0159】
本実施形態において、処理液塗布部14およびインク吐出部12(ヘッド12C、12M、12Y、12K)に記録媒体16を対向させた状態で記録媒体16を搬送するベルト17と、このベルト17が張架された搬送ローラ36a、36b、36c、36dを含んで搬送部18が構成されている。
【0160】
図9は、本実施形態に係る画像形成装置10cの制御系の構成を示すブロック図である。なお、図9において、図5に示す第1実施形態に係るインクジェット記録装置10aの構成要素と同じ構成要素は同じ符号が付してあり、既に説明した内容についてはここではその説明を省略する。
【0161】
図9において、本実施形態のインクジェット記録装置10cは、記録媒体16の種別(記録媒体種別)を判別する記録媒体種別判別部172と、記録媒体種別と記録媒体へ浸透する速度(以下「液体浸透速度」)との対応関係を示す液体浸透性情報を予め記憶する液体浸透性情報メモリ174と、記録媒体種別判別部172により判別された記録媒体種別に基づいて記録媒体16の液体浸透性を判定する液体浸透性判定部176を備える。
【0162】
記録媒体種別判別部172による記録媒体種別判別態様には各種ある。例えば、第1に、通信インターフェース102を介してホストコンピュータ190から記録媒体種別情報を取得する態様、第2に、記録媒体16が載置されるカセット(図示を省略)または記録媒体16から記録媒体種別情報を読み取る態様、第3に、インクジェット記録装置10cに設けられた操作手段(図示を省略)によりユーザ入力の記録媒体種別情報を取得する態様、などが挙げられる。
【0163】
液体浸透性判定部176は、具体的には、記録媒体種別判別部172により判定された液体浸透速度が、予め決められた閾値よりも小さいか否かを判定する。
【0164】
液体除去制御部118は、システムコントローラ104の指示に従って、液体浸透速度が閾値よりも小さいときのみ、すなわち液体浸透が遅いときのみ、上下動機構116により図8の液体吸収ローラ21を記録媒体16に接触回転する位置に設定する一方で、液体浸透速度が閾値以上であるときには、すなわち液体浸透が速いときには、液体除去制御部118が上下動機構116により図8の液体吸収ローラ21を記録媒体16に非接触の位置を設定する。また、液体浸透速度が閾値よりも小さいときのみ、すなわち液体浸透が遅いときのみ、液体回収制御部122が液体吸引ポンプ22bを駆動して、液体吸収ローラ21から液体を吸引し第1の回収液プール45に回収する。したがって、液体浸透が遅いときのみ、記録媒体16から除去された液体が再利用される。
【0165】
(第4実施形態)
図10は、本発明の第4実施形態に係るインクジェット記録装置10dの全体構成図である。なお、図10において、図6に示す第2実施形態に係るインクジェット記録装置10bの構成要素と同じ構成要素は同じ符号が付してあり、既に説明した内容についてはここではその説明を省略する。また、図10において、図8に示す第3実施形態に係るインクジェット記録装置10cの構成要素と同じ構成要素は同じ符号が付してあり、既に説明した内容についてはここではその説明を省略する。
【0166】
図10に示す本実施形態のインクジェット記録装置10dは、吐出部12(処理液吐出ヘッド12P、および、インク液吐出ヘッド12C、12M、12Y、12K)が記録媒体16へ向けて処理液およびインクを吐出する、いわゆる直接記録式の画像形成装置である。
【0167】
図11は、本実施形態に係るインクジェット記録装置10dの制御系の構成を示すブロック図である。なお、図11において、図7に示す第2実施形態に係るインクジェット記録装置10bの構成要素と同じ構成要素は同じ符号が付してあり、既に説明した内容についてはここではその説明を省略する。また、図11において、図9に示す第3実施形態に係るインクジェット記録装置10cの構成要素と同じ構成要素は同じ符号が付してあり、既に説明した内容についてはここではその説明を省略する。
【0168】
本実施形態においても、第3実施形態と同様に、液体浸透速度が所定の閾値よりも小さいときのみ、すなわち液体浸透が遅いときのみ、記録媒体16上で処理液とインク液とが反応後の固液分離した液体が液体吸収ローラ21により吸引されるとともに、液体吸引回収部22により吸引回収される。したがって、液体浸透が遅いときのみ、記録媒体16から除去された液体が再利用される。
【0169】
[インクセットの説明]
次に、本発明に係るインクジェット記録装置に適用されるインクセット(処理液およびインク液)について詳述する。
【0170】
<インク>
インクは、溶媒としての水、色材(有機顔料)、水溶性有機溶媒、表面張力調整剤(界面活性剤)、及び、その他の添加剤を含んで構成される。
【0171】
(有機顔料)
本実施の形態に用いられるインクは、単色の画像形成のみならず、フルカラーの画像形成に用いることができる。フルカラー画像を形成するために、マゼンタ色調インク、シアン色調インク、及びイエロー色調インクを用いることができ、また、色調を整えるために、更にブラック色調インクを用いてもよい。また、イエロー、マゼンタ、シアン色調インク以外のレッド、グリーン、ブルー、白色インクやいわゆる印刷分野における特色インク等を用いることができる。
【0172】
本実施の形態に用いられる顔料の具体的な例を以下に示す。
【0173】
オレンジ又はイエロー用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185等が挙げられる。
【0174】
マゼンタまたはレッド用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメント
ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
【0175】
グリーンまたはシアン用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
【0176】
また、ブラック用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック6、C.I.ピグメントブラック7等が挙げられる。
【0177】
また、有機顔料の平均粒径は、透明性・色再現性の観点からは小さいほどよいが、耐光性の観点からは大きい方が好ましい。これらを両立する平均粒子径としては、10〜200nmが好ましく、10〜150nmがより好ましく、10〜100nmがさらに好ましい。また、有機顔料の粒径分布に関しては、特に制限は無く,広い粒径分布を持つもの、又は単分散の粒径分布を持つもの、いずれでもよい。また、単分散の粒径分布を持つ有機顔料を、2種以上混合して使用してもよい。
【0178】
また、有機顔料の添加量は、インクに対して、1〜25質量%であることが好ましく、2〜20質量%がより好ましく、5〜20質量%がさらに好ましく、5〜15質量%が特に好ましい。
【0179】
(水溶性有機溶媒)
本実施の形態に用いられる水溶性有機溶媒は、乾燥防止や湿潤促進などの目的で、使用される。また、乾燥防止剤は、インクジェット記録方式におけるノズルのインク噴射口において好適に使用され、インクジェット用インクが乾燥することによる目詰まりを防止する。
【0180】
乾燥防止剤は、水より蒸気圧の低い水溶性有機溶媒であることが好ましい。乾燥防止剤の具体的な例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、アセチレングリコール誘導体、グリセリン、トリメチロールプロパン等に代表される多価アルコール類、エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−エチルモルホリン等の複素環類、スルホラン、ジメチルスルホキシド、3−スルホレン等の含硫黄化合物、ジアセトンアルコール、ジエタノールアミン等の多官能化合物、尿素誘導体が挙げられる。このうち、乾燥防止剤は、グリセリン、ジエチレングリコール等の多価アルコールが好ましい。また、上記の乾燥防止剤は単独で用いても、2種以上併用しても良い。これらの乾燥防止剤は、インク中に、10〜50質量%含有されることが好ましい。
【0181】
また、水溶性有機溶媒は、上記以外にも、粘度の調整にも用いられる。粘度の調整に用いることができる水溶性有機溶媒の具体的な例としては、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール)、グリコール誘導体(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングルコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル)、アミン(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ポリエチレンイミン、テトラメチルプロピレンジアミン)及びその他の極性溶媒(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、アセトニトリル、アセトン)が含まれる。なお、水溶性有機溶媒は、単独で用いてもよく、二種類以上を併用してもよい。
【0182】
(表面張力調整剤)
本実施の形態に用いられる表面張力調整剤としては、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、ベタイン界面活性剤等が挙げられる。
【0183】
また、表面張力調整剤の添加量は、インクジェットで良好に打滴するために、インクの表面張力を20〜60mN/mに調整する添加量が好ましく、20〜45mN/mに調整する添加量がより好ましく、25〜40mN/mに調整する添加量がさらに好ましい。
【0184】
界面活性剤の具体的な例としては、炭化水素系では脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等のノニオン系界面活性剤が好ましい。また、アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド界面活性剤であるSURFYNOLS(AirProducts&Chemicals社)も好ましく用いられる。また、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのようなアミンオキシド型の両性界面活性剤等も好ましい。
【0185】
更に、特開昭59−157636号の第(37)〜(38)頁、リサーチ・ディスクロージャーNo.308119(1989年)記載の界面活性剤として挙げたものも用いることができる。
【0186】
また、特開2003−322926号、特開2004−325707号、特開2004−309806号の各公報に記載されているようなフッ素(フッ化アルキル系)系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等を用いることにより、耐擦性を良化することもできる。
【0187】
また、これら表面張力調整剤は、消泡剤としても使用することができ、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、及びEDTAに代表されるキレート剤等、も使用することができる。
【0188】
(その他の添加剤)
本実施の形態に用いられるその他の添加剤としては、例えば、乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。これらの各種添加剤は、水溶性インクの場合は、インクに直接添加する。油溶性染料を分散物の形で用いる場合は、染料分散物の調製後、分散物に添加するのが一般的であるが、調製時に油相又は水相に添加してもよい。
【0189】
紫外線吸収剤は、画像の保存性を向上させる目的で使用される。紫外線吸収剤としては、特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤も用いることができる。
【0190】
褪色防止剤は、画像の保存性を向上させる目的で使用される。褪色防止剤としては、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。有機の褪色防止剤としてはハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類などがあり、金属錯体としてはニッケル錯体、亜鉛錯体などがある。より具体的にはリサーチディスクロージャーNo.17643の第VIIのIないしJ項、同No.15162、同No.18716の650頁左欄、同No.36544の527頁、同No.307105の872頁、同No.15162に引用された特許に記載された化合物や特開昭62−215272号公報の127頁〜137頁に記載された代表的化合物の一般式及び化合物例に含まれる化合物を用いることができる。
【0191】
防黴剤としては、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン及びその塩等が挙げられる。これらはインク中に0.02〜1.00重量%使用するのが好ましい。
pH調整剤としては、中和剤(有機塩基、無機アルカリ)を用いることができる。pH調整剤はインクジェット用インクの保存安定性を向上させる目的で、該インクジェット用インクがpH6〜10となるように添加するのが好ましく、pH7〜10となるように添加するのがより好ましい。
【0192】
<処理液>
本例で用いる処理液は、溶媒としての水、水溶性有機溶媒、表面張力調整剤(界面活性剤)、色材凝集剤(例えば、pH調整剤又は多価金属塩)を含んで構成される。
【0193】
色材凝集剤としてpH調整剤を含有する処理液は、インクのpHを変化させることにより凝集物を生じさせる。このとき、処理液のpHは1〜6であることが好ましく、pHは2〜5であることがより好ましく、pHは3〜5であることがさらに好ましい。また、処理液を酸性にするために、フラン、ピロール、ピロリン、ピロリドン、ピロン、ピロール、チオフェン、インドール、ピリジン、キノリン構造を有し、更に官能基としてカルボキシル基を有する化合物等、例えば、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ビリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、若しくはこれらの化合物の誘導体、又はこれらの塩等が、処理液に添加される。
【0194】
また、上記の化合物としては、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、フランカルボン酸、クマリン酸、若しくはこれらの化合物誘導体、又は、これらの塩であることが好ましい。なお、これらの化合物は、1種類で使用されてもよく、2種類以上併用されてもよい。
【0195】
また、上記の化合物に代えて、凝集剤が処理液に添加されてもよい。このような凝集剤としては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン及び、アルミニウムイオン、バリウムイオン、カルシウムイオン、銅イオン、鉄イオン、マグネシウムイオン、マンガンイオン、ニッケルイオン、スズイオン、チタンイオン、亜鉛イオン等の多価金属イオンと、塩酸、臭酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、チオシアン酸、および、酢酸、蓚酸、乳酸、フマル酸、フマル酸、クエン酸、サリチル酸、安息香酸等の有機カルボン酸及び、有機スルホン酸の塩等が挙げられる。
【0196】
また、本実施の形態に用いられる処理液は、インクに溶解及び/又は分散されている色材(有機顔料)を凝集させるものであれば、上述のものに制限されない。処理液の具体的な例としては、インクのpHを変化させることにより凝集させる処理液(例えば 特開平7−1837号、特開2004−359841号記載の処理液)、インクに無機塩を添加し凝集させる処理液(例えば、特開平5−202328号、特開平5−208548号、特開平9−29950号記載の処理液)、荷電を持つインクの色材と逆の荷電を持つ化合物とアニオン・カチオンとで反応させ凝集させる処理液(例えば、特登2667401号、特登3466756号、特開平8−174997号、特開2001−199151号記載の処理液)、インクの溶剤組成を変化させることにより凝集させる処理液などが挙げられる。
【0197】
また、処理液は、本発明の効果を害しない範囲内で、その他の添加剤を含有してもよい。その他の添加剤としては、例えば、乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられ、前述のインクに含まれるその他の添加剤の具体的な例に示したものが適用できる。
【0198】
なお、第2実施形態および第4実施形態では、蒸留室25で水のみ蒸留して再利用し、水よりも沸点高い液体溶媒は廃棄する場合を例に説明した。このように水のみ蒸留して再利用する場合には、水以外の液体溶媒は水よりも沸点が高いものを用いる。
【0199】
本発明は、本明細書において説明した例や図面に図示された例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の設計変更や改良を行ってよいのはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0200】
【図1】第1実施形態に係る画像形成装置の全体構成図
【図2】液体吸収ローラおよび液体吸引回収部の構成例を示す側面図
【図3】液体吸収ローラおよび液体吸引回収部の構成例を示す斜視図
【図4】(A)はヘッドの全体構造例を示す平面透視図、(B)はそのB−B線に沿う断面図
【図5】第1実施形態に係る画像形成装置のブロック図
【図6】第2実施形態に係る画像形成装置の全体構成図
【図7】第2実施形態に係る画像形成装置のブロック図
【図8】第3実施形態に係る画像形成装置の全体構成図
【図9】第3実施形態に係る画像形成装置のブロック図
【図10】第4実施形態に係る画像形成装置の全体構成図
【図11】第4実施形態に係る画像形成装置のブロック図
【符号の説明】
【0201】
10…インクジェット記録装置(画像形成装置)、12…液体吐出ヘッド、12C、12M、12Y、12K…インク液吐出ヘッド、12P…処理液吐出ヘッド、13…処理液塗布部、14…中間転写体、15…搬送転写部、16…記録媒体、17…搬送ベルト、21…液体吸収ローラ、22…液体吸引回収部、22a…液体吸引回収部の当接部、22b…液体吸引回収部の液体吸引ポンプ、23…フィルタ部給送ポンプ、24…フィルタ部、25…蒸留室、28…第1の液体物性センサ、29…第2の液体物性センサ、41…第1の処理液プール、42…第2の処理液プール、43(43C、43M、43Y、43K)…インク液タンク、43P…処理液タンク(第3の処理液プール)、44…物性調整液プール、45…第1の回収液プール、46…第2の回収液プール、47…希釈液プール、48(48P、48C、48M、48Y、48K)…濃縮液プール、104…システムコントローラ、112…搬送モータ、114…搬送転写制御部、116…上下動機構、118…液体除去制御部、122…液体回収制御部、124…液体物性情報メモリ、126…液体物性判定部、128…液体攪拌モータ、130…液体物性調整部、142…処理液塗布モータ、144…処理液塗布制御部、150…プリント制御部、172…記録媒体種別判別部、174…液体浸透性情報メモリ、176…液体浸透性判定部、241、251…廃回収液排出バルブ、410…原処理液量調整バルブ、420…処理液供給バルブ、440…物性調整液量調整バルブ、450…フィルタ部連通流路開閉バルブ、421…老朽処理液排出バルブ、460…回収液量調整バルブ、470…希釈液量調整バルブ、471(471P、471C、471M、471Y、471K)…希釈回収液量調整バルブ、481(481P、481C、481M、481Y、481K)…濃縮液量調整バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
色材および溶媒を含むインク液を所定の被吐出体へ向けて吐出して該被吐出体に画像を形成するインク吐出手段と、
前記インク液中の色材を不溶化または非分散化させる機能を有する処理液を、前記被吐出体へ付与する処理液付与手段と、
前記処理液付与手段により前記処理液が付与され且つ前記インク吐出手段により前記インク液が付与されて前記インク液中の色材が不溶化または非分散化した状態の前記被吐出体の表面から液体を除去する液体除去手段と、
前記被吐出体の表面から除去された液体を回収し、前記インク吐出手段および前記処理液付与手段のうちで少なくとも一方へ供給する再利用手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記被吐出体は、中間転写体であり、
前記中間転写体に形成された画像を所定の記録媒体に転写することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記液体除去手段は、多孔質体を表面に有することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記再利用手段は、前記液体除去手段によって除去された液体を濾過するフィルタを有することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記再利用手段は、前記液体除去手段によって除去された液体の中から特定の沸点の溶媒のみを蒸留する蒸留手段を有することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記再利用手段は、前記液体除去手段によって除去された液体成分の物性を検知する物性検知手段と、
前記物性検知手段によって検知された物性に基づいて前記液体成分の物性を調整する物性調整手段と、
を有することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記物性検知手段によって検知され前記物性調整手段によって調整される前記液体の物性は、pH値、表面張力、粘度、金属イオン濃度のうちで少なくともひとつであることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記被吐出体は、前記画像を保持する記録媒体であり、
前記記録媒体の種別を判別する記録媒体種別判別手段と、
前記記録媒体の種別に基づいて前記記録媒体の液体浸透速度を判定する浸透速度判定手段と、
を備え、
前記記録媒体の液浸透速度が所定の閾値よりも小さいときのみ、前記液体除去手段により前記記録媒体から液体除去を行って再利用することを特徴とする請求項1、3乃至7の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
インク液を所定の被吐出体へ向けて吐出するとともに該インク液中の色材を不溶化または非分散化させる機能を有する処理液を前記被吐出体へ付与して該被吐出体に画像を形成する画像形成方法において、
前記処理液が付与され且つ前記インク液が付与されて前記インク液中の色材が不溶化または非分散化した状態の前記被吐出体の表面から液体を除去し、前記被吐出体の表面から除去された液体を回収し、前記インク液および前記処理液のうちで少なくとも一方の一部として再利用することを特徴とする画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−80655(P2008−80655A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−263479(P2006−263479)
【出願日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】