説明

画像形成装置および画像形成方法

【課題】転写後に像担持体に残留する転写残りトナーと外添剤をより効果的に除去する。
【解決手段】転写後に感光体2に残留する転写残りトナーと外添剤を、バイアスが印加された第1ブラシローラ3aで帯電状態にする第1の帯電工程と、第1の帯電工程により帯電された転写残りトナーと外添剤を、これらを引き寄せるバイアスが印加された第2ブラシローラ4aに引き寄せる第1の除去工程と、第2ブラシローラ4aで除去されない転写残りトナーと外添剤を、コロナ帯電器5でトナーの極性と逆の極性に帯電する第2の帯電工程と、第2の帯電工程で帯電された転写残りトナーと外添剤を、感光体2の2周目に第1ブラシローラ3aおよび第2ブラシローラ4aの少なくとも一方に引き寄せる第2の除去工程とを少なくとも備える像担持体のクリーニング方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転写後に残留する転写残りトナーを除去する像担持体のクリーニング方法、およびこれを行う、静電複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真装置からなる画像形成装置の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置においては、高画質化を図るために小粒径で高円形度のトナーが用いられている。しかし、小粒径で高円形度のトナーが用いられた場合、トナー母粒子に対する外添剤の外添強度が十分に得られない場合がある。特に、外添剤の種類あるいは粒径によってこの外添強度が大きく変化する。このため、長期に渡る画像形成時には、トナー母粒子から遊離した外添剤が感光体上に残留してしまう。外添剤は、その粒径がきわめて小さく、クリーニングブレードで効果的に除去することは困難である。
【0003】
そこで、従来から、転写後に感光体上に残留する転写残りトナーおよび外添剤をクリーニング前で電界により所定の極性に帯電させ、帯電された転写残りトナーおよび外添剤をローラブラシで除去する電界クリーニング方式が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この電界クリーニング方式では、図4に示すように小粒径(体積平均粒径)で高円形度のトナーを用いた場合の感光体のクリーニング性が良好になる。特に、粒径(体積平均粒径)が5μm以下のトナーを用いた場合、あるいは円形度0.96以上のトナーを用いた場合のクリーニング性が良好である。
【特許文献1】特開平5−107988号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述のように外添剤の粒径がきわめて小さいことから、転写後の感光体上の外添剤には、ブラシローラのブラシ毛に接触しない外添剤がどうしても存在してしまう。また、転写残りトナーもブラシローラのブラシ毛に接触しない場合が生じる、このため、このような転写残りトナーと外添剤はブラシローラによって除去され難い。そして、これらの転写残りトナーと外添剤は画像形成時に現像装置に混入したり、転写装置によって転写媒体に転写されたりする。また、長期にわたる画像形成後には、これらの転写残りトナーと外添剤が感光体上に滞留蓄積するようになる。その結果、転写残りトナーおよび外添剤により、感光体の帯電特性および露光特性、現像装置の現像特性、および転写装置の転写特性が影響される。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、転写後に像担持体に残留する転写残りトナーと外添剤をより効果的に除去することが可能な像担持体のクリーニング方法およびこれを行う画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述の課題を解決するために、本発明に係る像担持体のクリーニング方法および画像形成装置では、転写後に像担持体に残留する転写残りトナーと外添剤が、バイアスが印加されたローラ帯電器で帯電状態にされる。そして、第1の帯電工程により帯電された転写残りトナーと外添剤は、これらを引き寄せるバイアスが印加されたクリーニング部材に引き寄せられて除去される。更に、クリーニング部材で除去されない転写残りトナーと外添剤
はコロナ帯電器でトナーの極性と逆の極性に帯電され、像担持体の2周目の回転でローラ帯電器およびクリーニング部材の少なくとも一方に引き寄せられて除去される。これにより、転写残りトナーと外添剤を像担持体から確実に除去することが可能となる。
【0008】
したがって、転写残りトナーおよび遊離した外添剤が長期にわたって像担持体に滞留し続けて蓄積することを効果的に防止することができる。また、転写残りトナーおよび外添剤が現像装置に混入するのが防止されるとともに、転写装置により転写媒体に転写されるのも防止される。その結果、転写残りトナーおよび外添剤による像担持体の帯電特性および露光特性、現像装置の現像特性、および転写装置の転写特性への影響をいずれも抑制することができ、長期にわたって安定した高画質の画像形成を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を用いて本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明にかかる像担持体のクリーニング方法を行う画像形成装置の実施の形態の一例を模式的にかつ部分的に示す図である。
この例の画像形成装置1においては、負帯電トナーを用いて画像形成が行われる。もちろん、正帯電トナーを用いて画像形成を行うこともできる。以下の説明では、画像形成装置1は負帯電トナーを用いるものとして説明するが、正帯電トナーを用いる場合には、以下の説明の各部材の帯電の電位を逆極性とすればよい。また、トナーは、トナー母粒子とこのトナー母粒子に外添される外添剤とを有しているが、以下の説明では、トナー母粒子を単にトナーという。
【0010】
図1に示すように、この例の画像形成装置1は静電潜像およびトナー像が形成される像担持体である感光体2を備えている。この感光体2は感光体ドラムからなり、従来公知の感光体ドラムと同様に円筒状の金属素管の外周面に所定膜厚の感光層が形成されている。この感光体2における金属素管には、例えばアルミニウム等の導電性の管が用いられるとともに、感光層には、従来公知の有機感光体が使用される。
【0011】
感光体2の周囲には、ローラ帯電器3、クリ−ニング装置4、コロナ帯電器5、露光装置6、現像装置7、および転写装置8が、それぞれこれらの順に感光体2の回転方向A(図1では、時計回り)に沿って配設されている。
【0012】
ローラ帯電器3は、回転可能に設けられた第1ブラシローラ3aを有している。この第1ブラシローラ3aは多数のブラシ毛3bを有しており、これらのブラシ毛3bが感光体2の表面に近接または当接して配設されている。第1ブラシローラ3aは、感光体2の回転と順回転(感光体2とブラシ毛3bとの当接部で感光体2の回転の接線方向の速度の向きとブラシ毛3bの回転の接線方向の速度の向きとが同じ向き)または感光体2の回転と逆回転(感光体2の前述の速度の向きとブラシ毛3bの前述の速度の向きとが逆向き)で回転するようにされている。
【0013】
第1ブラシローラ3aは従来から用いられている公知の帯電ブラシローラを用いることができる。第1ブラシローラ3aの一例として、ブラシ毛3bは、材料が6ナイロン、繊度が220T/96F、密度240kf/inch2、原糸抵抗が7.1LogΩ、パイル長が5mmであり、また、帯電ブラシローラ3aの感光体2の軸方向に沿う長さ)は300mmある。この第1ブラシローラ3aには東英産業株式会社製のブラシローラを用いることができる。
【0014】
第1ブラシローラ3aには、感光体2の表面電位に対して放電開始電圧を超えかつ比較的強い正負いずれかの極性の直流(DC)のローラ帯電バイアスV1(V)が印加される。これにより、感光体2と第1ブラシローラ3aとの間に電界が形成され、転写工程終了
後の感光体2の表面がローラ帯電バイアスV1(V)と同極性の比較的強い電位に帯電される。また、感光体2の表面に残留する転写残りトナーとこのトナーから遊離した外添剤は、それらの帯電極性が正負不揃いである(負帯電トナーを用いているので、ほとんどの転写残りトナーと外添剤は0V(未帯電)または正帯電である)。しかし、これらの転写残りトナーおよび外添剤のうち、ローラ帯電バイアスV1(V)と逆極性に比較的強く帯電されている転写残りトナーおよび外添剤は、第1ブラシローラ3aに静電気的に引き寄せられてブラシ毛3bに付着する。
【0015】
また、第1ブラシローラ3aによって除去されない感光体2上の転写残りトナーおよび外添剤は、感光体2の帯電と同時に0Vないし感光体2の帯電極性と同極性に帯電される。このとき、これらの転写残りトナーと外添剤は正負のいずれの極性に帯電されていても、それらの電位の絶対値が小さいため確実に0V(未帯電)ないし感光体2の帯電極性と同極性に帯電される。
なお、ローラ帯電器3には、ブラシローラ3a以外に、帯電ゴムローラ等の他のローラ帯電器を用いることができる。
【0016】
更に、ローラ帯電器3は、第1ブラシローラ3aのブラシ毛3bに当接するクリーニングブレード3cを有している。クリーニングブレード3cは、ブラシ毛3bに付着する転写残りトナーおよび外添剤を除去し回収する。このクリーニングブレード3cには、従来周知慣用のクリーニングブレードを用いることができる。
【0017】
クリーニング装置4は、回転可能に設けられた第2ブラシローラ4a(本発明のクリーニング部材に相当)を有している。この第2ブラシローラ4aは多数のブラシ毛4bを有しており、これらのブラシ毛4bが感光体2の表面に当接して配設されている。第2ブラシローラ4aは、感光体2の回転と順回転(感光体2とブラシ毛4bとの当接部で感光体2の回転の接線方向の速度の向きとブラシ毛4bの回転の接線方向の速度の向きとが同じ向き)または感光体2の回転と逆回転(感光体2の前述の速度の向きとブラシ毛4bの前述の速度の向きとが逆向き)で回転するようにされている。この第2ブラシローラ4aにも、前述の第1ブラシローラ3aと同様のブラシローラを用いることができる。
【0018】
この第2ブラシローラ4aには、ローラ帯電器3で帯電されたトナーと外添剤とを引き寄せる直流(DC)のクリーニングバイアスVbr2(V)が印加される。その場合、クリーニングバイアスVbr2(V)は、感光体2と第1ブラシローラ3aとの間に形成される電界とは逆方向の電界が感光体2と第2ブラシローラ4aとの間に形成されるように設定される。これにより、ローラ帯電器3を通過した感光体2上の転写残りトナーと外添剤のうち、第1ブラシローラ3aに引き寄せられた転写残りトナーと外添剤とは逆極性に比較的強く帯電された転写残りトナーと外添剤が静電気的に第2ブラシローラ4aの方へ引き寄せられる。そして、引き寄せられたトナーと外添剤はブラシ毛4bに付着する。なお、クリーニング装置4には、ブラシローラ以外に導電性ゴムローラ等の他の導電性のクリーニングローラを用いることができる。
【0019】
更に、クリーニング装置4は、第2ブラシローラ4aのブラシ毛4bに当接するクリーニングブレード4cを有している。クリーニングブレード4cは、ブラシ毛4bに付着する転写残りトナーおよび外添剤を除去し回収する。このクリーニングブレード4cには、従来周知慣用のクリーニングブレードを用いることができる。
【0020】
コロナ帯電器5は感光体2の表面に接触しないものであり、このコロナ帯電器5には、従来周知慣用のコロナ帯電器を用いることができる。コロナ帯電器5にスコロトロン帯電器を用いた場合には、スコロトロン帯電器のチャージワイヤには正のワイヤ電流Iw(μA)が流されるとともに、グリッドには負の直流(DC)のグリッド帯電バイアスVg(
V)が印加される。これにより、コロナ帯電器5はトナーと逆極性(正極性)のコロナ放電で感光体2が正極性(トナーと逆極性)に帯電されることで、感光体2の表面の電位が下げられて均され、感光体表面電位が画像形成時に設定される電位に設定される。このとき、第2ブラシローラ4aを通過した転写残りトナーおよび外添剤も正極性に帯電される。
【0021】
この例の画像形成装置1の現像装置7は、現像ローラ7aが感光体2に接触しない非接触現像器である。この現像装置7には従来周知慣用の非接触現像器を用いることができる。また同様に、露光装置6および転写装置8には、それぞれ、従来周知慣用の露光装置および転写装置を用いることができる。
【0022】
次に、この例の画像形成装置1の動作(感光体2のクリーニング方法も含む)について説明する。
画像形成装置1の画像形成動作が開始されると、感光体2が回転され、コロナ帯電器5によって感光体2の表面が画像形成時に設定される負極性電位に一様に帯電される。次いで、露光装置6によって感光体2の表面が露光されて像の書込みが行われ、感光体2上に負極性電位が低下した静電潜像が形成される。この感光体2上の静電潜像が現像装置7からの負帯電トナーによって非接触現像され、感光体2上にトナー像が形成される。感光体2上のトナー像は、転写装置8による転写工程で紙等の転写材や中間転写媒体等の転写媒体9に転写される。従来の画像形成装置と同様に、転写媒体9が紙等の転写材である場合には、図示しない定着装置によって定着されて転写材に定着画像が形成される。また、転写媒体9が中間転写媒体である場合には、中間転写媒体上に転写されたトナー像が第2の転写装置(不図示)によって更に転写材に転写された後、前述と同様に定着装置によって定着されて転写材に定着画像が形成される。
【0023】
転写工程終了後に、感光体2上には転写残りトナーおよび外添剤が残留する。これらの転写残りトナーおよび外添剤の極性は正負不揃いとなっている。そして、ローラ帯電器3の感光体2の表面電位に対して放電開始電圧を超えかつ比較的強い正負いずれかの極性のバイアスV1(V)によって、感光体2の表面が帯電されると同時に、感光体2上の転写残りトナーと外添剤とが0VないしバイアスV1(V)と同極性に帯電される(第1の帯電工程)。また同時に、バイアスV1(V)と逆極性の転写残りトナーと外添剤が第1ブラシローラ3aに引き寄せられる。
【0024】
第1ブラシローラ3aを通過した転写残りトナーと外添剤は、第2ブラシローラ4aへのクリーニングバイアスVbr2(V)の印加によって、感光体2と第2ブラシローラ4aとの間に、第1ブラシローラ3aとは逆方向の電界が形成されるため、第1ブラシローラ3aによってそのバイアスV1(V)と同極性に帯電された転写残りトナーと外添剤が第2ブラシローラ4aに引き寄せられる(第1の除去工程)。
【0025】
コロナ帯電器5に到達した感光体2の部分は、このコロナ帯電器5によって前述のように画像形成時に設定される電位に一様帯電される。これにより、次の画像形成のためのプロセスが開始される。同時に、第2ブラシローラ4aを通過した転写残りトナーと外添剤は、負帯電トナーと逆極性の正極性に帯電される(第2の帯電工程)。更に、露光装置6により感光体2に次の画像の書込みが行われて静電潜像が形成され、この静電潜像が現像装置7によって現像され、負帯電のトナー像が形成される。この間、正極性に帯電された転写残りトナーと外添剤は感光体2の回転とともに移動し、非接触現像器の現像ローラ7aと感光体2との間のギャップを通過する。このとき、転写残りトナーと外添剤は現像ローラ7aの方へ引き寄せられない。
【0026】
更に、現像ローラ7aを通過後の感光体2上には、負帯電のトナー像、負極性に帯電さ
れた新たな遊離外添剤、転写残りトナーと外添剤正極性に帯電された転写残りトナーと外添剤など、正負極性のいずれかに帯電されたトナーおよび外添剤と未帯電のトナーおよび外添剤とが混在するようになる。これらのトナーおよび外添剤は、転写装置8の方へ移動する。そして、負帯電のトナー像は転写装置8によって転写媒体9に転写される。しかし、正極性に帯電された転写残りトナーと外添剤、未帯電のトナーと外添剤は転写媒体9に転写されず、転写後に新たに残留する転写残りトナーと外添剤とともにローラ帯電器3の方へ移動する。そして、正極性に帯電された転写残りトナーと外添剤はローラ帯電器3の第1ブラシローラ3aに引き寄せられる(第2の除去工程)。このようにして、転写後に感光体2に残留する転写残りトナーと外添剤は1周目に除去されなくても、感光体2の2周目に確実に除去されるようになる。したがって、転写残りトナーと外添剤が長期にわたって感光体2に滞留し続けて蓄積することは防止される。
【0027】
この例の感光体2のクリーニング方法および画像形成装置1によれば、転写後に感光体2に残留する転写残りトナーと外添剤を第1ブラシローラ3aで0Vまたは正負いずれか一方の極性に帯電する。そして、一方の極性に帯電された転写残りトナーと外添剤を第2ブラシローラ4aに引き寄せて除去する。更に、第2ブラシローラ4aで除去されない転写残りトナーと外添剤をコロナ帯電器5で正極性に帯電し、感光体2の2周目の回転で第1ブラシローラ3aおよび第2ブラシローラ4aのいずれかに引き寄せて除去する。これにより、転写残りトナーと外添剤を感光体2から確実に除去することが可能となる。
【0028】
したがって、転写残りトナーおよび遊離した外添剤が長期にわたって感光体2に滞留し続けて蓄積することを効果的に防止することができる。また、転写残りトナーおよび外添剤が現像装置7に混入するのが防止されるとともに、転写装置8により転写媒体9に転写されるのも防止される。その結果、転写残りトナーおよび外添剤による感光体2の帯電特性および露光特性、現像装置7の現像特性、および転写装置8の転写特性への影響をいずれも抑制することができ、長期にわたって安定した高画質の画像形成を行うことが可能となる。
【0029】
また、非接触の現像装置7を用いているので、現像時に外添剤が遊離し難く、遊離外添剤の発生を抑制可能となる、特に、現像ローラ7aの表層を無電界ニッケルめっきなどで構成することにより、外添剤の脱離が抑制され、遊離外添剤の発生をより効果的に抑制可能となる。これにより、現像特性をより一層向上することが可能となる。
【0030】
次に、本発明の画像形成装置1および感光体2のクリーニング方法の実施例1および2について説明する。その場合、実施例1および2は、いずれも、負帯電トナーを用いたセイコーエプソン株式会社製カラープリンタLP9000C(放電開始電圧Vth(V):−600V)に適用した場合の実施例である。
まず、実施例1について表1に示す。
【0031】
【表1】

【0032】
表1および図2に示すように、実施例1では、ローラ帯電器3の第1ブラシローラ3aに印加するローラ帯電バイアスV1(V)が負極性のバイアスの例である。すなわち、ローラ帯電バイアスV1(V)が感光体2の表面電位に対して放電開始電圧を超える−1500Vであり、またクリーニング装置4の第2ブラシローラ4aに印加するクリーニングバイアスVbr2(V)が−700Vである。更に、コロナ帯電器5であるスコロトロン帯電器のグリッド帯電バイアスVg(V)が−500Vであり、またワイヤ電流Iw(μA)が+200μAである。更に、現像装置7のトナー帯電電圧Vavg(V)が−150Vであり、現像バイアスVpp(V)が1300Vである。更に、転写装置8の転写バイアスVt1(V)が+400Vである。
【0033】
転写後の感光体2の表面電位は露光部でー100V、非露光部で−500Vであり、このとき感光体2に残留する転写残りトナーと外添剤のほとんどは若干正極性に帯電されているか、0Vの未帯電である。前述のローラ帯電バイアスV1(V)が印加された第1ブラシローラ3aで感光体2が帯電されると、感光体2の表面電位は−900Vとなる。このとき、転写残りトナーと外添剤も若干負極性に帯電されるか、0Vの未帯電となる。これらの転写残りトナーと外添剤が第2ブラシローラ4aに来ると、負極性に帯電された転写残りトナーと外添剤が、前述のクリーニングバイアスVbr2(V)が印加された第2ブラシローラ4aに引き寄せられ、感光体2から除去される。
【0034】
そして、第2ブラシローラ4aを通過した未帯電(0V)の転写残りトナーと外添剤がコロナ帯電器5に来ると、これらの転写残りトナーと外添剤は前述のコロナ帯電器5の正極性のコロナ放電により正極性に帯電される。これにより、感光体2の表面電位は、−500Vとなる。その後、露光装置6によって感光体2が露光される。このときの感光体2の露光部位の電位は−100V、非露光部の電位はー500Vとなる。また、正極性に帯電された転写残りトナーと外添剤は露光装置6、非接触現像装置7の現像ギャップを通過して転写装置8の方へ移動する。このとき、正極性の転写残りトナーと外添剤は感光体2の非露光部と現像ローラ7aとの間の電界により現像ローラ7aに引き寄せられることはない。また、露光装置6によって形成された静電潜像が前述の現像バイアスが印加された現像装置7によって現像されて負帯電のトナー像とされる。この新たな現像によっても、
感光体2上に未帯電トナーと外添剤が存在するようになる。
【0035】
転写装置8に到達した負帯電のトナー像、未帯電のトナーと外添剤、正極性の転写残りトナーと外添剤のうち、負帯電のトナー像は前述の転写バイアスが印加された転写装置8によって転写媒体9に転写される。しかし、正極性の転写残りトナーと外添剤は転写媒体9に転写されない。そして、転写装置8を通過した未帯電の新たな転写残りトナーと外添剤、正極性の転写残りトナーと外添剤は前述のローラ帯電バイアスが印加された第1ブラシローラ3aに来る。すると、正極性の転写残りトナーと外添剤はこの第1ブラシローラ3aに引き寄せられて感光体2から除去される。また、未帯電の新たな転写残りトナーと外添剤は第1ブラシローラ3aを通過して、第2ブラシローラ4aの方へ移動する。以後前述と同様である。こうして、感光体2の1周目で除去されない転写残りトナーと外添剤は感光体2の2周目で確実に除去され、感光体2に蓄積されない。
次に、実施例2について表2に示す。
【0036】
【表2】

【0037】
表2および図3に示すように、実施例2では、ローラ帯電器3の第1ブラシローラ3aに印加するローラ帯電バイアスV1(V)が正極性のバイアスの例である。すなわち、ローラ帯電バイアスV1(V)が感光体2の表面電位に対して放電開始電圧を超える+1000Vであり、また第2ブラシローラ4aのクリーニングバイアスVbr2(V)が感光体2の表面電位に対して放電開始電圧を超える−1300Vである。更に、スコロトロン帯電器のグリッド帯電バイアスVg(V)が−500Vであり、またワイヤ電流Iw(μA)が+200μAである。更に、現像装置7のトナー帯電電圧Vavg(V)が−150Vであり、現像バイアスVpp(V)が1300Vである。更に、転写装置8の転写バイアスVt1(V)が+400Vである。
【0038】
転写後の感光体2の表面電位は露光部で−100V、非露光部で−500Vであり、このとき感光体2に残留する転写残りトナーと外添剤のほとんどは若干正極性に帯電されているか、0Vの未帯電である。前述のローラ帯電バイアスV1(V)が印加された第1ブラシローラ3aで感光体2が帯電されると、感光体2の表面電位は0Vとなる。このとき、転写残りトナーと外添剤も若干正極性に帯電されるか、0Vの未帯電のままとなる。こ
れらの転写残りトナーと外添剤が第2ブラシローラ4aに来ると、正極性に帯電された転写残りトナーと外添剤が、前述のクリーニングバイアスVbr2(V)が印加された第2ブラシローラ4aに引き寄せられ、感光体2から除去される(第1の除去工程)。
【0039】
そして、第2ブラシローラ4aを通過した未帯電(0V)の転写残りトナーと外添剤がコロナ帯電器5に来ると、これらの転写残りトナーと外添剤は前述のコロナ帯電器5の正極性のコロナ放電により正極性に帯電される(第2の帯電工程)。これにより、感光体2の表面電位は、−500Vとなる。その後、露光装置6によって感光体2が露光される。このときの感光体2の露光部位の電位は−100V、非露光部位の電位は−500Vとなる。また、正極性に帯電された転写残りトナーと外添剤は露光装置6、非接触現像装置7の現像ギャップを通過して転写装置8の方へ移動する。このとき、正極性の転写残りトナーと外添剤は感光体2の非露光部と現像ローラ7aとの間の電界により現像ローラ7aに引き寄せられることはない。また、露光装置6によって形成された静電潜像が前述の現像バイアスが印加された現像装置7によって現像されて負帯電のトナー像とされる。この新たな現像によっても、感光体2上に未帯電トナーと外添剤が存在するようになる。
【0040】
転写装置8に到達した負帯電のトナー像、未帯電の転写残りトナーと外添剤、正極性の転写残りトナーと外添剤のうち、負帯電のトナー像は前述の転写バイアスが印加された転写装置8によって転写媒体9に転写される。しかし、未帯電の転写残りトナーと外添剤、正極性の転写残りトナーと外添剤は転写媒体9に転写されない。そして、転写装置8を通過した未帯電の転写残りトナーと外添剤、正極性の転写残りトナーと外添剤は前述のローラ帯電バイアスが印加された第1ブラシローラ3aに来るが、正極性のバイアスが印加された第1ブラシローラ3aには引き寄せられない。このとき、正極性の転写残りトナーと外添剤は更に正極性に帯電される(第1の帯電工程)。また、未帯電の転写残りトナーと外添剤も正極性に帯電される。そして、正極性の転写残りトナーと外添剤は第1ブラシローラ3aを通過して、第2ブラシローラ4aに来ると、正極性の転写残りトナーと外添剤は負極性のバイアスが印加された第2ブラシローラ4aに引き寄せられて感光体2から除去される(第2の除去工程)。以後、前述と同様である。こうして、感光体2の1周目で除去されない転写残りトナーと外添剤は感光体2の2周目で確実に除去され、感光体2に蓄積されない。
【0041】
本発明の像担持体のクリーニング方法は、外添強度が十分得られなく遊離し易い外添剤を用いたトナーに対して、特に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明にかかる像担持体のクリーニング方法を行う画像形成装置の実施の形態の一例を模式的にかつ部分的に示す図である。
【図2】本発明の実施例を説明する図である。
【図3】本発明の他の実施例を説明する図である。
【図4】電界クリーニングのクリーニング性を説明する図である。
【符号の説明】
【0043】
1…画像形成装置、2…感光体、3…ローラ帯電器、3a…第1ブラシローラ、4…クリーニング装置、4a…第2ブラシローラ(クリーニング部材)、5…コロナ帯電器、6…露光装置、7…現像装置、8…転写装置、9…転写媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
転写後に像担持体に残留する転写残りトナーと外添剤を、バイアスが印加されたローラ帯電器で帯電状態にする第1の帯電工程と、
前記第1の帯電工程により帯電された転写残りトナーと外添剤を、これらを引き寄せるバイアスが印加されたクリーニング部材に引き寄せる第1の除去工程と、
前記クリーニング部材で除去されない転写残りトナーと外添剤を、コロナ帯電器でトナーの極性と逆の極性に帯電する第2の帯電工程と、
第2の帯電工程で帯電された転写残りトナーと外添剤を、前記像担持体の2周目に前記ローラ帯電器および前記クリーニング部材の少なくとも一方に引き寄せる第2の除去工程と、
を少なくとも備えることを特徴とする像担持体のクリーニング方法。
【請求項2】
前記ローラ帯電器に印加するバイアスの極性が正負のいずれか一方であることを特徴とする請求項1に記載の像担持体のクリーニング方法。
【請求項3】
回転可能に設けられかつ潜像が形成される像担持体と、
前記像担持体に潜像を書き込む露光装置と、
前記像担持体の潜像を、所定の極性に帯電されかつ外添剤が外添されたトナーで非接触現像する非接触現像装置と、
前記像担持体上の現像されたトナー像を転写媒体に転写する転写装置と、
バイアスが印加されて、転写後に前記像担持体に残留する転写残りトナーおよび外添剤を、帯電状態にするローラ帯電器と、
前記ローラ帯電器により帯電された転写残りトナーおよび外添剤を引き寄せるバイアスが印加されて、これらの転写残りトナーおよび外添剤を引き寄せるクリーニング部材と、
前記クリーニング部材で除去されない転写残りトナーと外添剤を、前記トナーの極性と逆の極性に帯電するコロナ帯電器と、
を少なくとも備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
前記ローラ帯電器は第1のブラシローラであることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記クリーニング部材は第2のブラシローラであることを特徴とする請求項3または4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記トナーの体積平均粒径が5μm以下であることを特徴とする請求項3ないし5のいずれか1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記トナーの円形度が0.96以上であることを特徴とする請求項3ないし6のいずれか1に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−20203(P2010−20203A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−182267(P2008−182267)
【出願日】平成20年7月14日(2008.7.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】