説明

画像形成装置と、その制御方法及びプログラム

【課題】 メモリ受信モードが解除されたとき、蓄積されている受信データの出力先を任意に指定できないため、その出力先でエラーが発生していると、メモリ受信モードを解除できない。
【解決手段】 ファクシミリ受信が可能な画像形成装置及びその制御方法であって、ファクシミリ受信した受信データを記憶手段に記憶するメモリ受信モードが解除されたとき、その記憶手段に記憶された受信データの出力先を指定するための出力先一覧を表示し、出力先一覧から選択された出力先に前記受信データを出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファクシミリ受信機能を有する画像形成装置と、その制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンパクトなサイズの画像形成装置の分野では、コスト競争が激しいだけでなく、更なる小型化かつ高機能が求められている。また、パーソナルコンピュータ(PC)やネットワークが広く普及しているため、PCと画像形成装置とが連携して、より利便性の高い機能を提供することが検討されている。例えばファクシミリ機能を内蔵した画像形成装置にPCから画像データを送付し、その画像形成装置がその画像データをファクシミリ画像としてFAX回線に送信できるものもある。また、逆に、画像形成装置がファクシミリ回線より受信した画像データをPCに送信し、PCではその画像データを印刷せずに利用する機能もある。
【0003】
例えば、特許文献1では、受信したファクシミリデータがPCへ転送されずに未転送となった場合に、記憶されている未転送データの数(その現在時刻と日付)をディスプレイに表示することが記載されている。この文献によれば、受信データの中から、ユーザが選択したデータだけがPCへ転送可能であり、不必要なデータをプリントしないように指定することが出来る。
【0004】
特許文献1は、ファクシミリ受信画像を印刷しないドライバをPCにインストールする。そして専用のドライバを起動すると、画像形成装置はポーリングによって、そのドライバがインストールされているPCを捜索することが可能となる。PC側のドライバの設定としては、ファクシミリデータの保存先、保存データの格納フォーマットの指定があり、ファクシミリデータの受信を検知するとタスクバー上に表示されているアイコンが点滅することで、ユーザに受信データの有無を通知する。
【0005】
本実施形態に係る、受信したファクシミリ画像をPCに送信するFAX機能も、特許文献1と同様に、PCでは、このFAX機能専用のドライバを使用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−041910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のファクシミリ機能には、強制メモリ受信(強制代行受信)という機能がある。この強制メモリ受信とは、受信画像の自動印刷を禁止する機能であり、出力レポート(受信結果)の印刷も禁止される。
【0008】
この強制メモリ受信モードでは、全てのファクシミリ受信データがメモリに蓄積され、強制メモリ受信モードが解除されると、受信画像及びレポートが自動的に印刷される。この機能は、例えば、夜間に受信したファクシミリ画像を印刷したくない場合等に使用され、必要な時に印刷することを可能にしている。
【0009】
強制メモリ受信モードが解除されると、その受信モードの間にメモリに蓄積されたデータは全てプリントアウトされる。この際、蓄積されているデータの出力先を任意に指定できないため、その出力先で例えば、用紙なし、トナーなし等のエラーが発生していると、強制メモリ受信モードを解除できない。通常のファクシミリ受信モードの場合は、複数の出力先を指定できるのに対して、強制メモリ受信モードでは、受信データの出力先が固定されてしまう。
【0010】
廉価な画像形成装置では、メモリ容量が少ないため受信可能なファクシミリのジョブ数が制限されており、最大受信ジョブ数を超えると新規のファクシミリ受信データは受け付けない(ファクシミリが繋がらない)。このため、強制メモリ受信モードを解除できないと、ファクシミリの受信に支障をきたす恐れがある。更に、受信したファクシミリデータは揮発性のRAMに保存されるため、電源のOFF/ONによりデータが消失してしまう。
【0011】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決することにある。
【0012】
本願発明の特徴は、メモリ受信モードを解除した場合に、メモリに蓄積されていた受信データを指定された出力先に転送する技術を提供することにある。
【0013】
また、メモリ受信モードを解除した場合に、メモリに蓄積されていた受信データのそれぞれの出力先を指定し、その指定された出力先に各受信データを出力する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために本発明の一態様に係る画像形成装置は以下のような構成を備える。即ち、
ファクシミリ受信が可能な画像形成装置であって、
ファクシミリ受信した受信データを記憶する記憶手段と、
ファクシミリ受信した受信データを前記記憶手段に記憶するメモリ受信モードが解除されたとき、前記記憶手段に記憶された前記受信データの出力先を指定するための出力先一覧を表示する表示制御手段と、
前記出力先一覧から選択された出力先に前記受信データを出力するように制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、メモリ受信モードを解除した場合に、メモリに蓄積されていた受信データを指定された出力先に出力できる。
【0016】
また、メモリ受信モードを解除した場合に、メモリに蓄積されていた受信データのそれぞれの出力先を指定し、その指定された出力先に各受信データを出力できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施形態1に係る画像形成装置のハードウェア構成を示すブロック図。
【図2】実施形態1に係る画像形成装置の操作パネルの上面図。
【図3】操作パネルの表示部に表示されるFAX機能の画面の例を示す図。
【図4】画像形成装置における通信管理設定のための画面例を示す図。
【図5】メモリ受信設定の画面例を示す図。
【図6】実施形態に係るメモリ受信モードの解除時の画面例を示す図。
【図7】図6に対応したメモリ受信モード解除時のポップアップ画面例を示す図。
【図8】実施形態に係る画像形成装置において、受信したFAXをPCに転送するモードを設定する処理を説明するフローチャート。
【図9】本実施形態に係る画像形成装置におけるメモリ受信を設定する処理を説明するフローチャート。
【図10】本実施形態に係る画像形成装置におけるファクシミリ受信処理を説明するフローチャート。
【図11】画像形成装置による画像出力処理を説明するフローチャート。
【図12】本実施形態に係るPCの処理を説明するフローチャート。
【図13】実施形態1に係る画像形成装置において、ユーザがメモリ受信モードを解除するように指示した場合の処理を説明するフローチャート。
【図14】実施形態2に係る画像形成装置において、ユーザがメモリ受信モードを解除するように指示した場合の処理を説明するフローチャート。
【図15】実施形態2において、操作パネルに表示される画面例を説明する図。
【図16】図14のS1403のステータスチェックに基づく操作パネルへの表示例を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る本発明を限定するものでなく、また本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0019】
図1は、本発明の実施形態1に係る画像形成装置100のハードウェア構成を示すブロック図である。各ブロックはモジュールを示しており、ブロック間の矢印は、データもしくは指示の流れを示している。
【0020】
画像形成装置100は、印刷部107、読取部109、操作パネル110、回線I/F112、及び、これらの制御を司るコントローラ部101を有している。コントローラ部101は、CPU102,RAM103,ROM104、印刷部I/F106、読取部I/F108、MODEM111、USBI/F115、ネットワークI/F118を含み、各部はシステムバス105を介して接続されている。CPU102は、各種制御プログラムに従って上記各部の動作を総括的に制御する。各種制御プログラムは、ROM104のプログラムROMに記憶されており、CPU102がその制御プログラムを読み出して実行する。或いは、ROM104のプログラムROMに記憶された圧縮されたデータをRAM103へ伸張、展開することにより実行される。また、図示しないハードディスクドライブ(HDD)に前述の各種制御プログラムを圧縮状態/非圧縮状態で格納しておき、実行時にRAM103に展開して実行してもよい。
【0021】
ネットワークI/F118は、ネットワーク(例えばLAN)120などを介してホストコンピュータ(情報処理装置)200(図中、PC)との通信処理を行う。ネットワークI/F118とネットワーク網120とは、LANケーブル119などの通信ケーブルで接続される。MODEM(モデム)111は、回線I/F112を介して公衆回線網114と接続し、図示しない他の画像形成装置やファクシミリ装置、電話機などと通信処理を行う。回線I/F112と公衆回線網114とは、一般的に電話線113などで接続される。またPC200はUSBケーブル116を介して画像形成装置100と接続されてもよいし、無線通信等によって通信可能になっていてもよい。
【0022】
印刷部I/F106は、印刷部107(プリンタエンジン)に画像信号を出力するインターフェースを担う。また、読取部I/F108は、読取部109(スキャナエンジン)から、原稿を読み取って得られた画像信号を入力するインターフェースを担う。CPU102は、読取部I/F109より入力された画像信号を処理し、印刷用の画像信号として印刷部I/F106へ出力する。
【0023】
またCPU102は、ROM104のフォントROMに記憶されたフォント情報を用いて、操作パネル110の表示部に文字や記号を表示したり、ユーザの指示を受けた操作パネル110からの指示情報を受けたりする。また、ROM104のデータROMには、CPU102によって画像形成装置100の装置情報や、ユーザの電話帳情報、部門管理情報などが記憶され、CPU102により必要に応じて読み出され、必要に応じて更新される。
【0024】
尚、図1では、読取部109及び印刷部107を複写機100の内部にある構成としたが、それぞれもしくは両方とも外部にある構成でもよい。
【0025】
PC200はCPU201を有し、CPU201は、プログラムを実行してPC200の各部を制御する。外部I/F202は、他の装置と通信を行う。メモリ203は、外部I/F202を通して入力されたデータを蓄積したり、外部I/F2020を通して送出するデータの一時格納を行う。画像処理アプリケーション210は、プロファイルDB220の設定に応じた画像処理やプロファイルデータの管理を行う。
【0026】
図2は、実施形態1に係る画像形成装置の操作パネル110の上面図である。
【0027】
211から214はそれぞれ「コピー」「ファックス」「スキャン」「メディアプリント」各ジョブのファンクションキーである。これらキーのいずれかが押下されることにより、そのジョブの基本画面に遷移する。選択されているファンクションは、対応するファンクションキーが点灯することにより明示される。
【0028】
215はOKキーであり、項目の選択時に使用する。216から219は上下左右の矢印キーであり、項目の移動に使用する。224は表示部(LCD)であり、操作画面を表示する。白黒のスタートキー221は、押下可能な状態ではスタートキーが点灯し、モノクロでのコピーや原稿の読取、ファクシミリ送信などの開始を指示するのに使用される。またカラーのスタートキー222は、押下可能な状態ではスタートキーが点灯し、カラーでのコピーや原稿の読取の開始を指示するのに使用される。ファクシミリ送信時は白黒のスタートキー221のみが点灯する。ストップキー223は、ジョブの停止などを指示するのに使用される。
【0029】
図3(A)〜(D)は、画像形成装置100の操作パネル110の表示部224に表示されるFAX機能の画面の例を示す図である。
【0030】
図3(A)は、操作パネル110の表示部224に表示されるファクシミリ機能の画面の一例を示す図である。
【0031】
図3(A)はファクシミリの基本画面を示し、5行から構成され、最初の1行目に現在の状態を表示する。2行目には現在の日時を表示する。3行目は、ファクシミリ送信の宛先の入力箇所であり、OKキー215の押下で宛先が入力可能となる。4行目から5行目は、ファクシミリジョブに指定可能な動作モード項目301を表示する。表示しきれない場合は、画面のスクロールを指示するためのスクロールバー302を右端に表示する。
【0032】
図3(B)は、ファクシミリ機能の動作モード項目の一つである受信モードの画面例を示す。カーソルによりPC受信モード(PC転送モード)311が指定されている。図3(B)の状態でOKキー215が押下されると、PC転送モードの選択画面(図3(C))へ遷移する。
【0033】
尚、このPC転送モードでは、ファクシミリ受信したデータを、登録されているPCへ転送する。ファクシミリデータの転送完了後、受信データは画像形成装置100のメモリから削除される。
【0034】
図3(C)は、PC転送モードにおけるPCの選択画面例を示す。ネットワーク障害やドライバ設定の不備があった場合は、PCの名称などが画面に表示されない。ポーリングパケットの受信を検知したPCのみの名前が表示される。図3(C)では、転送先のPCとして「Host1」が選択されている。
【0035】
図3(D)は、転送先のホストPCを選択して設定を完了した後のポップアップ画面例を示している。
【0036】
図4(A)〜(C)は、実施形態に係る画像形成装置における通信管理設定のための画面例を示す図である。
【0037】
図4(A)は、メニュー画面を示し、システム管理設定401がメニュー項目中に表示される。
【0038】
図4(B)は、システム管理設定画面の一例を示し、通信管理設定411がシステム管理の項目中に表示される。この画面においてOKキー215が押下されると、通信管理設定画面(図4(C))へと遷移する。
【0039】
図4(C)は、通信管理設定画面例を示し、ファックス受信設定とメモリ受信設定421が項目中に表示される。
【0040】
図5(A)(B)は、メモリ受信設定の画面例を示す図である。
【0041】
図5(A)は、メモリ受信設定の画面例を示し、いま「ON」531にカーソルを合わせてOKキー215を押下すると、メモリ受信設定の図5(B)の詳細画面へと遷移する。
【0042】
図5(B)は、メモリ受信設定の詳細設定画面例を示す図である。図示のように、2行目の確定541を選択し、OKキー215を押下するとメモリ受信が設定される。
【0043】
図6(A)〜(F)は、本実施形態に係るメモリ受信モードの解除時の画面例を示す図である。
【0044】
図6(A)は、メモリ受信設定の画面である。ここでは「OFF」632にカーソルを移動してOKキー215を押下することにより、メモリ受信設定が解除される。
【0045】
図6(B)は、図6(A)でメモリ受信設定が解除されたときに、画像形成装置100のメモリに受信データが格納されていた場合に表示されるポップアップ画面例を示す。ここでは、受信データが存在しているため、その受信データの出力先を指定することを促すメッセージが表示されている。
【0046】
図6(C)は、図6(B)の表示後に、データの送信先(出力先)を表示する画面(全ての出力先を指定可能)例を示す。図6(C)では、データの出力先として用紙を選択し「確定」641を更に選択することにより、データ出力先が用紙に決定される。
【0047】
図6(D)は、図6(B)の表示後に、データの転送先(出力先)を表示する画面(外部メモリ退避不可能な場合)例を示す図である。図6(D)では、データ転送先としてPCが選択されており、「確定」651を更に選択することにより、データの転送先がPCに決定される。尚、出力先として選択できない場合は、その名称(図では、「外部メモリ退避」)をグレーアウトで表示する(652)。
【0048】
図6(E)は、図6(B)の表示後に、データの転送先を表示する画面(全ての転送出力先を指定可能)例を示す図である。ここでは、データの転送先として、外部メモリ退避661が指定されている。
【0049】
図6(F)は、図6(B)の表示後に、データの転送先を表示する画面(データ転送出力先が無い場合)例を示す図である。ここでは、671で示すように、全ての転送先がグレーアウトされて表示さている。この場合、エラー表示をポップアップで通知しても良い。尚、エラー通知方法は任意である。
【0050】
図7(A)〜(E)は、図6(C)〜(F)に対応したメモリ受信モード解除時のポップアップ画面例を示す図である。
【0051】
図7(A)は、図6(C)に対応するポップアップ画面で、全てのデータを印刷中であることを示すメッセージが表示されている。図7(B)は、図6(D)に対応するポップアップ画面で、全てのデータをPCに転送中であることを示すメッセージが表示されている。図7(C)は、図6(E)に対応するポップアップ画面で、全てのデータを外部メモリ退避中であることを示すメッセージが表示されている。図7(D)は、図6(F)に対応するポップアップ画面で、データの転送先が指定できないため、メモリ受信モードを解除できないことを示すメッセージが表示されている。図7(E)は、メモリ受信モードを解除できたことを示すメッセージを表示する画面例を示す。
【0052】
図8は、実施形態に係る画像形成装置100において、受信したFAXをPCに転送するモードを設定する処理を説明するフローチャートである。この処理を実行するプログラムは、ROM104のプログラムROMに記憶されており、CPU102の制御の下に実行される。
【0053】
この処理は画像形成装置100の電源投入により開始され、まずS801で、操作部パネル110のファクシミリキー212が押下されると、ファクシミリ機能のトップ画面(図3(A))を表示する。次にS802で、ファクシミリ機能トップ画面のメニュー項目の中から受信モードの設定画面(図3(B))を表示する。そしてS803に進み、この受信モードの設定画面の項目の中から「PC受信」311が選択されてOKキー215が押下されると、ファクシミリ受信したデータをPCに転送するPC転送モードが設定される。次にS804に進み、図3(C)に示す、転送先のPCを選択するための画面を表示する。ここでは、画像形成装置100と接続されているPCの一覧が表示されるので、ユーザはその一覧から一つのPCを選択する。尚、画像形成装置100は、接続されているPCに対して定期的にポーリングを行っており、ポーリングパケットの受信を検知したPCだけが表示部224に表示される。そしてS805に進み、その選択されたPCとの通信を確立し、通信が確立できれば処理を終了し、そうでないときはS807に進んで、通信エラーが発生した旨を表示してS802に進む。
【0054】
このようにして、受信したFAXをPCに転送するモードの設定、及び、転送先となるPCを指定することができる。
【0055】
図9は、本実施形態に係る画像形成装置におけるメモリ受信を設定する処理を説明するフローチャートである。この処理を実行するプログラムは、ROM104のプログラムROMに記憶されており、CPU102の制御の下に実行される。
【0056】
この処理は画像形成装置100の電源投入により開始され、まずS901で、操作パネル110の表示部224にメニュー画面(図4(A))を表示する。次にS902に進み、ユーザはこのメニュー画面の項目の中から「システム管理設定」401を選択してOKキー215を押下する。これにより図4(B)に示すシステム管理設定画面を表示する。ここで、このシステム管理設定の項目の中から「通信管理設定」411が選択されてOKキー215が押下されると、図4(C)に示す通信管理設定画面を表示する(S903)。次にS904で、通信管理設定画面の項目中の「メモリ受信設定」421が選択されると、図5(A)に示すメモリ受信設定画面を表示する。
【0057】
S905では、図5(A)のメモリ受信の設定画面でON、OFF設定のどちらかを選択するように提示する。ここでONが指定されるとS906に進み、図5(B)のメモリ受信設定画面を表示する。S907では、カーソルにより「確定」541が指示されてOKキー215が押下されると、メモリ受信モードの設定を完了する。一方、S905で、「OFF」が指定されると、メモリ受信の設定解除処理を実行する。
【0058】
このようにして、画像形成装置100の操作パネル100を使用して、メモリ受信モードを設定することができる。
【0059】
図10は、本実施形態に係る画像形成装置100におけるファクシミリ受信処理を説明するフローチャートである。この処理を実行するプログラムは、ROM104のプログラムROMに記憶されており、CPU102の制御の下に実行される。
【0060】
この処理は画像形成装置100の電源投入により開始され、まずS1001で、ファクシミリデータの受信を検知する。次にS1002に進み、受信したファクシミリデータをメモリに保存する。次にS1003に進み、メモリ受信の設定を確認し、設定されていなければS1004に進み、受信モード設定に応じてファクシミリデータを出力する。一方S1004で、メモリ受信が設定いると判定するとS1005に進み、メモリにデータを保持したまま、その受信データを出力せずにS100に進み、次の受信データを待つ。
【0061】
図11は、実施形態に係る画像形成装置による画像出力処理を説明するフローチャートである。この処理を実行するプログラムは、ROM104のプログラムROMに記憶されており、CPU102の制御の下に実行される。
【0062】
まずS1101で、公衆回線網114からの回線I/F113を介して受信されるファクシミリデータの受信を待つ。ファクシミリデータを受信するとS1102に進み、メモリ(RAM103)に、その受信したファクシミリデータを保存する。次にS1103に進み、ファクシミリデータをPCに転送するPC転送モードが設定されているかどうかを判定し、PC転送モードが設定されていなければS1104に進み、そのファクシミリデータを印刷部107で印刷する。一方、S1103で、PC転送モードが設定されている場合はS1106に進み、その記憶しているファクシミリデータを、図3で説明したようにして、予め設定されているPCへ送信する。こうしてS1105で、後続するジョブがなければ、ジョブを終了する。
【0063】
図12は、本実施形態に係るPCの処理を説明するフローチャートである。この処理を実行するプログラムは、メモリ203に展開されており、CPU201の制御の下に実行される。
【0064】
まずS1201で、画像形成装置100からのアクセス要求(イベント)を待つ。イベントが発生するとS1202に進み、画像形成装置100からのファクシミリデータの受信かどうかを判定する。ファクシミリデータの受信でない場合はS1201に戻る。ファクシミリデータの受信であればS1203に進み、その受信データをメモリ203に格納する。そしてプロファイルDB220にアクセスして、PC転送モード設定のプロファイル情報を検索する。次にS1204に進み、画像処理アプリケーション210が、その受信データに対してプロファイル情報に基づいた画像処理を行い、その処理済の画像データを指定された場所へ保存する。
【0065】
図13は、実施形態1に係る画像形成装置において、ユーザがメモリ受信モードを解除するように指示した場合の処理を説明するフローチャートである。この処理を実行するプログラムは、ROM104のプログラムROMに記憶されており、CPU102の制御の下に実行される。この実施形態1では、メモリ受信モードでメモリに蓄積された全ての受信データを、所望の出力先へ一括送信する。
【0066】
まずS1301で、図6(A)のメモリ受信設定画面において「OFF」が選択されてメモリ受信設定の解除要求が発行される。これによりS1302に進み、メモリ(RAM103)にファクシミリデータが蓄積されているか否かを判断し、蓄積されていればS1303に進み、画像形成装置100のステータスをチェックする。S1302で、ファクシミリデータが蓄積されていないときはS1313に進み、メモリ受信モードを解除する。
【0067】
S1303に続いてS1304に進み、画像形成装置100のステータスチェックの結果、その記憶しているファクシミリデータの印刷が可能かどうかを判断する。印刷が可能であればS1305に進み、プリントフラグ(RAM103に設けている)をオンにしてS1306に進む。一方、S1304で印刷可能でないと判断されたときはS1306に進み、PCに転送可能かどうかを判定する。転送可能であればS1307に進み、PC転送フラグ(RAM103に設けている)をオンにしてS1308に進む。S1306でPCに転送できないと判断されたとき、あるいはS1307を実行した後、S1308に進み、外部メモリに退避可能かどうかを判定する。退避可能でないと判断されたときはS1310に進むが、退避可能であると判断されればS1309に進み、外部メモリ退避フラグ(RAM103に設けている)をオンにする。
【0068】
こうしてS1310に進み、上述した各フラグをチェックし、図6のように、フラグがオンである出力先を表示するように表示制御する(S1311)。ここで、オフであるフラグがあれば、そのフラグに対応する出力先をグレーアウトで表示して(図6(D)参照)、その出力先を選択できないようにする。これによりS1312で、ユーザは所望の出力先を選択すると、その指定された出力先に、その蓄積されているファクシミリデータを出力する。こうしてS1313に進み、メモリ受信モードを解除する。
【0069】
以上説明したように本実施形態1によれば、メモリ受信モードで記憶したファクシミリデータを、ユーザが所望する出力先に出力することができる。また、画像形成装置で実行できない出力処理をユーザが誤って選択することを防ぐことができる。
【0070】
[実施形態2]
次に本発明の実施形態2について説明する。この実施形態2では、メモリ受信モードでメモリに蓄積されたファクシミリデータを、各データ毎に出力先を指定して送信する場合を説明する。尚、この実施形態2にかかる画像形成装置100、PC200の構成は前述の実施形態1と同様であるため、その説明を省略する。
【0071】
図14は、実施形態2に係る画像形成装置において、ユーザがメモリ受信モードを解除するように指示した場合の処理を説明するフローチャートである。この処理を実行するプログラムは、ROM104のプログラムROMに記憶されており、CPU102の制御の下に実行される。
【0072】
まずS1401で、図6(A)のメモリ受信設定画面においてOFFが選択されると、メモリ受信設定の解除要求を発行する。次にS1402に進み、メモリ(RAM103)にファクシミリデータが蓄積されているかを判断し、蓄積されていなければS1408に進むが、蓄積されていればS1403に進み、画像形成装置100のステータスのチェック及び各種フラグの設定を行う。このS1403の処理は、前述の図13のS1303〜S1310までの処理と同じであるため、ここではその説明を省略する。
【0073】
次にS1404に進み、画像形成装置100のステータス、及び各種フラグに基づいて、蓄積しているファクシミリデータを出力可能な出力先の一覧を操作パネル110の表示部224に表示する。ここまでは実施形態1と同じである。
【0074】
次にS1405に進み、図15(A)に示す、データの一覧画面を表示する。こうしてS1405で、出力先が一つ選択されるとS1406で、その出力先に送信する受信データを選択するための画面を表示する。
【0075】
図15(A)〜(F)は、実施形態2において、操作パネル110に表示される画面例を説明する図である。
【0076】
図15(A)は、メモリに格納されている受信データを選択するための画面例を示す。この画面は、メモリ受信の解除が指示された後、受信データがメモリに蓄積されていた場合は、図6(B)のポップアップ画面が表示される。その画面が表示された後、蓄積されている受信ファイル(ファクシミリ受信データ)を個別に指定する場合に表示される画面である。1501は、用紙に印刷すると指定されているファクシミリデータ(FAX−1)を示す。
【0077】
図15(B)は、メモリに蓄積されている受信データの中で、出力先が指定されていないデータが存在する場合に表示するポップアップ画面を示す。図15(C)は、出力先が選択されていない受信データの出力先を指定する場合の出力先設定画面例を示す。ここでは、用紙出力1511は選択済なので、選択不可能(グレーアウト表示)となっている。図15(C)では、PC転送1512が選択されている。しかしながら、各データに対して同じ出力先を設定できるようにすれば、図15(C)のように、選択済の出力先を選択できないようにする必要はない。
【0078】
図15(D)は、図15(C)で選択したPC転送を行う受信データを選択する画面例を示す。既に出力先が確定されているデータ1521は、グレーアウトで表示される。それ以外のデータ1522は選択可能である。
【0079】
図15(E)は、図15(D)でPC転送を指定したデータ1522を、図15(A)の画面に追加した受信データ一覧画面を示す。出力先の提示の仕方は特に問わない。
【0080】
図15(F)は、図15(A)〜図15(E)ののようにして、全ての受信データの出力先が確定し、その記憶されている受信データを実際に出力している間に表示されるポップアップ画面(実行中画面)例を示す。
【0081】
再び図14に戻り、こうして各データの出力先が決定されるとS1407で、メモリに蓄積されている全ての受信データの出力先が指定されたか否かを判断する。全てのデータの出力先が指定されていないときはS1404に戻って、前述の処理を繰り返す。
【0082】
こうして全ての受信データの出力先が指定されるとS1408に進み、それぞれの受信データを、それぞれ指定された出力先に出力する。こうして出力が完了するとメモリ受信モードを解除する。
【0083】
以上説明したように本実施形態2によれば、蓄積されている各受信データごとに、その出力先を指定して、その指定した出力先に受信データを出力することができる。
【0084】
尚、上述の実施形態では説明していないが、受信データ出力せずにメモリから削除することも、一つの選択肢として設けても良い。またデータ出力先の一覧の表示は、実施形態に限定されない。
【0085】
図16は、図14のS1403のステータスチェックに基づく操作パネル110への表示例を説明する図である。
【0086】
「用紙出力」に関して、画像形成装置100が印刷可能な状態か否かを判定し、可能であれば「プリントOK」、そうでないときは「プリントNG」となる。また「PC転送」に関しては、データを転送可能なPCが選択可能か否かを判定し、可能であれば「可能」、そうでないときは「不可能」となる。更に「外部メモリ退避」に関しては、外部メモリの接続有無を判定し、可能であれば「退避可能」、そうでないときは「退避不可能」となる。これらの判定結果に基づいて、操作部110の表示部224に表示する出力先一覧を決定する。
【0087】
例えば、「プリントNG」、「PC転送不可能」、「退避不可能」であれば、その受信データをメモリに保持したままにする。また「プリントNG」、「PC転送不可能」、「退避可能」であれば、その受信データを外部メモリに退避するように表示する。以下同様にして、受信データの出力が可能な出力先を、出力先一覧として操作部110の表示部224に表示する。
【0088】
(その他の実施例)
上記実施例における画面表示は一例であり、これに限定されるものではない。例えば、上記実施例の説明における、“グレーアウト表示”に代えて“非表示”としたり、その他の表示方法によってユーザに選択させないようにしてもよい。
【0089】
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファクシミリ受信が可能な画像形成装置であって、
ファクシミリ受信した受信データを記憶する記憶手段と、
ファクシミリ受信した受信データを前記記憶手段に記憶するメモリ受信モードが解除されたとき、前記記憶手段に記憶された前記受信データの出力先を指定するための出力先一覧を表示する表示制御手段と、
前記出力先一覧から選択された出力先に前記受信データを出力するように制御する制御手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
ファクシミリ受信が可能な画像形成装置であって、
ファクシミリ受信した受信データを記憶する記憶手段と、
ファクシミリ受信した受信データを前記記憶手段に記憶するメモリ受信モードが解除されたとき、前記記憶手段に記憶された前記受信データのそれぞれ出力先を指定するための出力先一覧を表示する表示制御手段と、
前記出力先一覧から選択された出力先に前記受信データのそれぞれを出力するように制御する制御手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成装置が前記受信データを出力可能な出力先を判定する判定手段を更に有し、
前記表示制御手段は、前記判定手段が出力可能であると判定した出力先の一覧を前記出力先一覧として表示することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記出力先は、前記画像形成装置と接続された情報処理装置、用紙、及び前記画像形成装置と接続された外部メモリの少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
ファクシミリ受信が可能な画像形成装置を制御する画像形成装置の制御方法であって、
ファクシミリ受信した受信データをメモリに記憶するメモリ受信モードが解除されたとき、前記メモリに記憶された前記受信データの出力先を指定するための出力先一覧を表示する表示制御工程と、
前記出力先一覧から選択された出力先に前記受信データを出力するように制御する制御工程と、
を有することを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【請求項6】
ファクシミリ受信が可能な画像形成装置を制御する画像形成装置の制御方法であって、
ファクシミリ受信した受信データをメモリに記憶するメモリ受信モードが解除されたとき、前記メモリに記憶された前記受信データのそれぞれ出力先を指定するための出力先一覧を表示する表示制御工程と、
前記出力先一覧から選択された出力先に前記受信データのそれぞれを出力するように制御する制御工程と、
を有することを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の画像形成装置の制御方法の各工程をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−238923(P2012−238923A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104736(P2011−104736)
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】