説明

画像形成装置のバネ接点構造

【課題】抜け止めリングを用いることなく接点バネを確実に固定して部品点数と組付工数の削減及びコストダウンを図ることができる画像形成装置の接点バネ構造を提供すること。
【解決手段】一体化された圧縮バネ2とコイルバネ3から成るバネ接点1の前記圧縮バネ2を本体フレーム10に形成された円孔11aに通し、前記コイルバネ3を本体フレーム10に突設されたボス13に嵌合して成る画像形成装置のバネ接点構造において、前記バネ接点1の圧縮バネ2を、外径d1が本体フレーム10の円孔11aの内径Dよりも小さな小径部2Aと外径d2が円孔11aの内径Dよりも大きな大径部2Bとで一体に構成し、該圧縮バネ2の小径部2Aを本体フレーム10の円孔11aに通し、大径部2Bを本体フレーム10の円孔11aと壁12との間の取付部14に縮装する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタや複写機等の画像形成装置のバネ接点構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式によって用紙に画像を形成する複写機やプリンタ等の画像形成装置には、電気的な接続手段としてバネ接点が使用されているが、その一例を図10に示す。
【0003】
即ち、図10は画像形成装置のバネ接点構造の従来例を示す部分斜視図であり、図示のバネ接点101は、金属製の圧縮バネ102とコイルバネ103とを一体化して構成され、圧縮バネ102が本体フレーム110の壁111に形成された円孔111aに通され、コイルバネ103が本体フレーム110に突設されたボス113に嵌め込まれることによって本体フレーム110に固定されていた。
【特許文献1】特開2004−167626号公報
【特許文献2】特開平11−167335号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、図10に示す従来のバネ接点構造においては、バネ接点101のコイルバネ103に内側方向(図10の矢印方向)の力が作用すると、該コイルバネ103にボス113から抜ける方向(図10の矢印方向)の力が作用し、コイルバネ103がボス113から抜け出てしまうという問題があった。この対策として、抜け止めリングをボス13の外周に嵌着する方法が採用されているが、この方法では部品点数と組付工数の増加及びコストアップを招いていた。
【0005】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、抜け止めリングを用いることなく接点バネを確実に固定して部品点数と組付工数の削減及びコストダウンを図ることができる画像形成装置の接点バネ構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、一体化された圧縮バネとコイルバネから成るバネ接点の前記圧縮バネを本体フレームに形成された孔に通し、前記コイルバネを本体フレームに突設されたボスに嵌合して成る画像形成装置のバネ接点構造において、前記バネ接点の圧縮バネを、外径が本体フレームの孔の内径よりも小さな小径部と大きな大径部とで一体に構成し、該圧縮バネの小径部を本体フレームの孔に通し、大径部を本体フレームの孔と壁との間の取付部に縮装したことを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記圧縮バネの大径部の自然長を前記取付部の長さよりも長くしたことを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記圧縮バネの大径部のバネ定数を小径部のバネ定数よりも大きくしたことを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明において、前記圧縮バネの大径部のピッチを小径部のピッチよりも小さくしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、圧縮バネとコイルバネとを一体化して成るバネ接点の圧縮バネを小径部と大径部との2段バネとするとともに、該圧縮バネの大径部を本体フレームの孔と壁との間の取付部に縮装したため、該大径部に作用する圧縮荷重によってバネ接点の本体フレームへの固定が可能となるとともに、コイルバネの一方の支点が本体フレームに固定される。このため、コイルバネに他の電気接点が当接して該コイルバネが内側方向に変形し、このコイルバネにボスから抜ける方向の力が作用しても、該コイルバネがボスから抜けることがない。従って、抜け止めリングを用いることなく接点バネを本体フレームに確実に固定することができ、部品点数と組付工数の削減及びコストダウンを図ることができる。尚、2段バネを構成する圧縮バネの小径部は、本体フレームに形成された孔に通されて自由状態にあるため、従来と同様に接点を取る機能を果たす。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、圧縮バネの大径部の自然長を本体フレームの孔と壁との間の取付部の長さよりも長くしたため、該大径部が取付部において圧縮された状態で固定され、該大径部に連なるコイルバネの一方の支点が大径部に作用する圧縮荷重によって確実に固定され、コイルバネの本体フレームからの抜けが確実に防がれる。
【0012】
請求項3及び4記載の発明によれば、例えば圧縮バネの大径部のピッチを小径部のピッチよりも小さくすることによって大径部のバネ定数を小径部のバネ定数よりも大きくしたため、小径部に作用する圧縮荷重よりも大きな圧縮荷重が大径部に作用し、大径部の固定が小径部に作用する圧縮荷重によって受ける影響を最小限に抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0014】
図1は画像形成装置の本体フレームの部分斜視図、図2は図1のA部(バネ接点取付部)拡大詳細図、図3は画像形成装置の搬送ユニットの斜視図、図4はバネ接点の側面図、図5は同バネ接点の正面図(図4の矢視B方向の図)、図6〜図8は本体フレームのバネ接点取付部の斜視図、図9は本体フレームのバネ接点取付部の断面図である。
【0015】
本実施の形態に係る画像形成装置はカラーレーザープリンタであって、図1に示すように、本体フレーム10の幅方向一端面(右端面)には、図4及び図5に示すバネ接点1を取り付けるための取付部が形成されている。この取付部は、図2に詳細に示すように、本体フレーム10の側面に垂直に立設された2つの壁11,12と、一方の壁11の形成された円孔11aと、本体フレーム10の側面に一体に立設された円柱状のボス13で構成されている。
【0016】
又、画像形成装置の前部には、図3に示す搬送ユニット20が開閉可能に設けられており、この搬送ユニット20の内面側(後面側)の上下には二次転写ローラ21とレジストローラ22がそれぞれ回転可能に支持されている。そして、この搬送ユニット20の右側面上部には、図4及び図5に示すバネ接点1に当接して電気的に導通する接点23が突設されている。
【0017】
ところで、バネ接点1は、図4及び図5に示すように、互いに直交する方向に巻回された圧縮バネ2とコイルバネ3を一体化して構成されているが、本実施の形態では、圧縮バネ2は、外径d1が本体フレーム10の壁11に形成された円孔11aの内径D(図2及び図9参照)よりも小さな(d1<D)長さL1の小径部2Aと、外径(最小径)d2が円孔の内径Dよりも大きな(d2>D)長さL2(<L1)の大径部2Bとで一体を成す2段バネとして構成されている。尚、大径部2Bは円錐バネを構成している。
【0018】
又、バネ接点1のコイルバネ3の自由端3aは、図5に示すように、コの字状に折り曲げられており、これに図3に示す搬送ユニット20の接点23が当接していない自由状態においては、該自由端3aは図4及び図5に実線にて示す位置にあり、これに搬送ユニット20の接点23が当接するとコイルバネ3が捩り変形するために図4及び図5に鎖線にて示す位置まで移動する。
【0019】
ここで、圧縮バネ2の大径部2Bは後述のように図2に示す本体フレーム10の壁11(円孔11a)と壁12との間の取付部14に縮装されるが、その自然長(無負荷時の長さ)L2は、本体フレーム10の取付部14の長さLよりも長く(L2>L)設定されている。
【0020】
又、圧縮バネ2の大径部2Bのバネ定数は小径部2Aのバネ定数よりも大きく設定されている。具体的には、圧縮バネ2の大径部2BのピッチP2は小径部2AのピッチP1よりも小さく(P2<P1)設定されている。
【0021】
以上のように構成されたバネ接点1は、図6〜図9に示すように、圧縮バネ2の小径部2Aを本体フレーム10の壁11に形成された円孔11aに通し、大径部2Bを本体フレーム10の壁11(円孔11a)と壁12との間の取付部14に縮装した後、コイルバネ3を本体フレーム10のボス13に嵌め込むことによって本体フレーム10に取り付けられる。
【0022】
而して、図3に示す搬送ユニット20が下端部の回動支点を中心として回動してこれが閉じられると、該搬送ユニット20に突設された接点23が図6に示すようにバネ接点1のコイルバネ3の自由端3aに当接して該コイルバネ3を捩り変形させる。この結果、コイルバネ3の自由端3aは図4及び図5に示す実線位置から鎖線位置へと移動し、該コイルバネ3に内側方向(図4の矢印方向)の力Fが作用する。このため、コイルバネ3にはこれをボス13から抜く方向(図6の矢印方向)の力が作用することとなる。
【0023】
然るに、本実施の形態では、圧縮バネ2とコイルバネ3とを一体化して成るバネ接点1の圧縮バネ2を小径部2Aと大径部2Bとの2段バネとするとともに、該圧縮バネ2の大径部2Bを本体フレーム10の壁11(円孔11a)と壁12との間の取付部14に縮装したため、該大径部2Bに作用する圧縮荷重によってバネ接点1の本体フレーム10への固定が可能となるとともに、コイルバネ3の一方の支点が本体フレーム10に固定される。このため、コイルバネ3の自由端3aに搬送ユニット20の接点23が図6に示すように当接して該コイルバネ3が内側方向に変形し、このコイルバネ3にボス13から抜ける方向の力が作用しても、該コイルバネ3がボス13から抜けることがない。従って、従来必要であった抜け止めリングを用いることなく接点バネ1を本体フレーム10に確実に固定することができ、部品点数と組付工数の削減及びコストダウンを図ることができる。尚、2段バネを構成する圧縮バネ2の小径部2Aは、本体フレーム10の壁11に形成された円孔11aに通されて自由状態にあるため、従来と同様に接点を取る機能を果たす。
【0024】
そして、本実施の形態では、圧縮バネ2の大径部2Bの自然長L2を本体フレーム10の壁11(円孔11a)と壁12との間の取付部14の長さLよりも長く(L2>L)したため、該大径部2Bが取付部14において圧縮された状態で固定され、該大径部2Bに連なるコイルバネ3の一方の支点が大径部2Bに作用する圧縮荷重によって確実に固定され、コイルバネ3の本体フレーム10からの抜けが確実に防がれる。
【0025】
又、本実施の形態では、圧縮バネ2の大径部2BのピッチP2を小径部2AのピッチP1よりも小さく(P2<P1)したため、大径部2Bのバネ定数が小径部2Aのバネ定数よりも大きくなる。このため、圧縮バネ2の小径部2Aに作用する圧縮荷重よりも大きな圧縮荷重が大径部2Bに作用することとなり、大径部2Bの固定が小径部2Aに作用する圧縮荷重によって受ける影響が最小限に抑えられる。
【0026】
又、以上は本発明をカラーレーザープリンタのバネ接点構造に適用した形態について説明したが、本発明は、プリンタの他、複写機やファクシミリ等の他の画像形成装置のバネ接点構造に対しても同様に適用可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】画像形成装置の本体フレームの部分斜視図である。
【図2】図1のA部(バネ接点取付部)拡大詳細図である。
【図3】画像形成装置の搬送ユニットの斜視図である。
【図4】本発明に係るバネ接点の側面図である。
【図5】本発明に係るバネ接点の正面図(図4の矢視B方向の図)である。
【図6】本体フレームのバネ接点取付部の斜視図である。
【図7】本体フレームのバネ接点取付部の斜視図である。
【図8】本体フレームのバネ接点取付部の斜視図である。
【図9】本体フレームのバネ接点取付部の断面図である。
【図10】従来のバネ接点構造を示す本体フレームのバネ接点取付部の斜視図である。
【符号の説明】
【0028】
1 バネ接点
2 圧縮バネ
2A 圧縮バネの小径部
2B 圧縮バネの大径部
3 コイルバネ
3a コイルバネの自由端
10 本体フレーム
11,12 本体フレームの壁
11a 壁の円孔(孔)
13 本体フレームのボス
14 本体フレームの取付部
20 搬送ユニット
21 二次転写ローラ
22 レジストローラ
23 接点
d1 圧縮バネの小径部の外径
d2 圧縮バネの大径部の外径
D 円孔の内径
L 本体フレームの取付部の長さ
L1 圧縮バネの小径部の長さ(自由長)
L2 圧縮バネの大径部の長さ(自由長)
P1 圧縮バネの小径部のピッチ
P2 圧縮バネの大径部のピッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一体化された圧縮バネとコイルバネから成るバネ接点の前記圧縮バネを本体フレームに形成された孔に通し、前記コイルバネを本体フレームに突設されたボスに嵌合して成る画像形成装置のバネ接点構造において、
前記バネ接点の圧縮バネを、外径が本体フレームの孔の内径よりも小さな小径部と大きな大径部とで一体に構成し、該圧縮バネの小径部を本体フレームの孔に通し、大径部を本体フレームの孔と壁との間の取付部に縮装したことを特徴とする画像形成装置のバネ接点構造。
【請求項2】
前記圧縮バネの大径部の自然長を前記取付部の長さよりも長くしたことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置のバネ接点構造。
【請求項3】
前記圧縮バネの大径部のバネ定数を小径部のバネ定数よりも大きくしたことを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置のバネ接点構造。
【請求項4】
前記圧縮バネの大径部のピッチを小径部のピッチよりも小さくしたことを特徴とする請求項3記載の画像形成装置のバネ接点構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−169131(P2009−169131A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−7572(P2008−7572)
【出願日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】