説明

画像形成装置及び印刷制御プログラム

【課題】 複写禁止原稿を検出した場合、動作モードに応じて複写を禁止するとともに複写出力前にユーザが複写禁止原稿の有無を把握できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 複写禁止情報検出手段8において、画像データ格納部100に格納された画像データに複写禁止情報が含まれているかを判定し、複写禁止情報を検知した場合、動作設定格納手段101に格納されている動作モードを読み込む。
動作モードが継続モードの場合、複写禁止情報を含む画像データを画像データ格納部100から削除し、原稿の読み込みを継続する。一方、動作モードが中断モードの場合、プレビュー表示部910へ中断した原稿の画像データと中断したメッセージを表示する。
全ての原稿を読み込んだ場合、読み込んだ原稿の中に複写禁止原稿が存在するかを判定し、複写禁止原稿が存在する場合、プレビュー表示部910へ複写禁止原稿の枚数を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び印刷制御プログラムに関し、特に、複写を禁止された原稿の複写を禁止する機能を備えた画像形成装置及び印刷制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、機密文書等の複写禁止原稿について複写を制限するコピーガード技術を用いた画像形成装置が知られている。
このような複写を制限するための技術として、例えば、特許文献1記載の発明があった。この特許文献1には、原稿に埋め込まれた機密文書を示す特定の地紋パターンを検知したときに、複写動作を一時中断し、中断した以降の複写動作はオペレータが再開あるいは中止を手動で指示することで、画像形成装置の複写制御を行う技術が記載されている。これによって、機密文書の複写が行われず、無駄な複写も防ぐことができる。
【0003】
【特許文献1】特開2007−251634号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、複写禁止の原稿が存在し、複写動作を中断するときは、その都度オペレータが再開または中止を手動で指示する必要があり、効率が悪いといった問題があった。
【0005】
本発明は、上記のような従来の技術が有する問題を解決するために提案されたものであり、複写禁止原稿を検出した場合、選択された動作モードに従って複写を自動で制御するとともに、複写出力前にユーザが複写禁止原稿の有無を確認することができる画像形成装置及び印刷制御プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、原稿に描かれた画像を画像データとして読み取る読取り手段と、読取り手段によって読み取られた画像データから複写禁止情報の有無を検出する検出手段と、検出手段が複写禁止情報を検出したときに、中断せずに続きの原稿の読み込みを行う継続モードと、複写禁止情報を含む原稿で読み込みを中断する中断モードとを含む動作モードの選択をする動作モード選択手段とを具備した構成としてある。
【0007】
このような構成を有する上記の画像形成装置によれば、継続モードと中断モードを選択可能とする動作モード選択手段を備えたため、継続モードが選択されることで、原稿の読み込み中に複写禁止情報が検出された場合でもオペレータが再開や中止を手動で指示する必要がなくなる。これによって、作業効率を高めることができる。
さらに、継続モードと中断モードのいずれかを選択可能とするため、ユーザの使用環境にあった印刷処理を実現できる。特に、複写禁止原稿は印刷出力がされないとともに、中断モードが選択されたときは、検出された複写禁止原稿で読み込みが中断されることで、無駄となる複写出力の発生を防止することができる。
【0008】
また、本発明の画像形成装置は、上記の画像形成装置の構成に加えて、動作モード選択手段が、継続モードを選択するか、または中断モードを選択するかを、原稿の読み込み実行前に予め設定可能としたことを含む構成としてある。
【0009】
このような構成を有する上記の画像形成装置によれば、継続モード又は中断モードのいずれかを選択可能な動作モード選択手段を備えたため、複写禁止情報を検出したときだけでなく、原稿の読み込み実行前など任意のタイミングで動作モードを選択できる。
また、継続モードは、複写禁止情報を検出したときでも中断することなく継続して以降の原稿を読み込むモードであることから、オペレータは、複写禁止情報の検出時に、再開や中止を手動で指示する必要がなくなる。これによって、作業効率を落とすことなく読み取り処理を実行できる。
【0010】
また、本発明の画像形成装置は、上記の画像形成装置の構成に加えて、動作モード選択手段は、中断モードが選択された状態で、読み込み継続の指示をする継続操作部が操作されたとき、中断モードを継続モードへ変更することを含む構成としてある。
【0011】
このような構成を有する上記の画像形成装置によれば、中断モードが選択されていた場合でも、継続操作部の操作により継続モードに切り換えることで、以降の原稿を継続して読み込みを行うことができる。
【0012】
本発明の画像形成装置は、上記の画像形成装置の構成に加えて、ユーザへ情報を表示する表示手段を有し、表示手段が、動作モード選択手段によって継続モードが選択され、少なくとも原稿の読み込みが継続されたときに、複写許可原稿の枚数及び/又は複写禁止原稿の枚数の表示を含む読み込み継続画面を表示することを含む構成としてある。
【0013】
このような構成を有する上記の画像形成装置によれば、ユーザは原稿の読み込み状況を容易に把握できるとともに、複写禁止原稿の有無を確認できる。
【0014】
本発明の画像形成装置は、上記の画像形成装置の構成に加えて、ユーザへ情報を表示する表示手段を有し、表示手段が、動作モード選択手段によって中断モードが選択され、原稿の読み込みが中断されたときに、原稿の読み込みを中断した旨のメッセージの表示と継続操作部の表示を含む読み込み中断画面を表示することを含む構成としてある。
【0015】
このような構成を有する上記の画像形成装置によれば、ユーザは原稿が複写禁止原稿であることを容易に把握できるとともに、中断された以降の原稿についての処理方法を選択できる。これによって、ユーザの用途に応じた複写が可能になる。
【0016】
本発明の画像形成装置は、上記の画像形成装置の構成に加えて、読取り手段によって読み込まれた原稿のプレビュー表示を行うプレビュー表示部と、プレビュー表示部へプレビュー表示を行わせるプレビュー操作部とを有し、プレビュー表示部は、プレビュー操作部が操作されたとき、選択されている動作モードに基づいて、読み込みが中断された原稿の画像データ又は複写禁止原稿の枚数を表示することを含む構成としてある。
【0017】
このような構成を有する上記の画像形成装置によれば、選択されている動作モードに基づいて、読み込まれた結果を複写出力前に確認することができる。そのため、ユーザは実際に複写することなく読み込まれた画像を把握できるとともに、無駄となる複写出力を防ぐことができる。
【0018】
本発明の画像形成装置は、上記の画像形成装置の構成に加えて、プレビュー表示部は、動作モード選択手段によって継続モードが選択されたときは、複写禁止原稿の枚数を表示し、動作モード選択手段によって中断モードが選択されたときは、読み込みが中断された複写禁止情報を含む原稿の画像データとともに複写ができない旨のメッセージを表示することを含む構成としてある。
【0019】
このような構成を有する上記の画像形成装置によれば、ユーザは読み込み状況を容易に把握できる。また、中断された原稿がプレビュー表示で把握できるとともに、無駄となる複写出力の発生を事前に防ぐことができる。
【0020】
本発明の印刷制御プログラムは、原稿に描かれた画像を画像データとして読み取る読取り手順と、読取り手順によって読み取られた画像データから複写禁止情報の有無を検出する検出手順と、検出手順が複写禁止情報を検出したときに、中断せずに続きの原稿の読み込みを行う継続モードと、複写禁止情報を含む原稿で読み込みを中断する中断モードとを含む動作モードの選択をする動作モード選択手順とを画像形成装置に実行させるための印刷制御プログラムとしてある。
【0021】
このように本発明は装置の発明だけでなく、プログラムとしても実現化できる。これにより、いわゆる複合機(MFP)のみならず単独の機能を備えた他の装置に印刷制御プログラムをインストールすることによって本発明を実現することが可能となり、汎用性、拡張性に優れた印刷制御プログラムとして提供することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、複写禁止原稿の複写動作について動作モードを設けることにより、ユーザの使用環境に応じた複写制御をすることができる。また、読み込んだ原稿がプレビュー表示されることで、ユーザは出力前に複写禁止原稿の有無を把握することができる。
これによって、ユーザの作業効率を落とすことなく、複写禁止原稿を不正に複写するのを確実に防止できるとともに無駄となる複写出力を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明に係る画像形成装置の実施形態について図面を参照して説明する。
[第一実施形態]
まず、図1を参照して、本発明に係る画像形成装置の第一実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【0024】
画像形成装置1は、制御手段(CPU)2、ROM3、RAM4、I/F部5、読取り手段6、出力手段7、複写禁止情報検出手段8、操作パネル9、記憶手段10を有している。これらROM3、RAM4、I/F部5、読取り手段6、出力手段7、複写禁止情報検出手段8、操作パネル9、記憶手段10は、各々制御バスを介し制御手段2に接続されていて、互いに通信可能な構成となっている。
【0025】
制御手段2は、CPUで構成されており、画像形成装置1を総括して制御を行う。また、ROM3に格納されているプログラムをRAM4にロードして実行することにより動作を制御する。例えば、制御手段2は動作モードに基づいて、複写禁止情報を検出したときに読取り手段6へ読み込みの制限を指示する機能や、表示手段91へメッセージの表示を指示する機能を備えている。
【0026】
ROM3は、画像形成装置1の動作に必要な印刷制御プログラムを予め格納している。
RAM4は、SRAMまたはフラッシュメモリ等で構成することができ、制御手段2の演算結果や生成されるデータを一時的に保持する作業領域となる。
【0027】
読取り手段6は、例えばCCD(Charge Coupled Device)センサ等から構成され、原稿に描かれている画像を検査・取得し、取得した画像データは画像データ格納部100へ格納される。
出力手段7は、制御手段2によって動作を制御され、画像データ格納部100に格納された画像データを印刷出力する。
【0028】
操作パネル9は、画像形成装置1本体の上面に配置されたパネルデバイスであり、ユーザから操作指示を受け付ける操作手段90とユーザへ情報を表示する表示手段91とからなっている。また、操作パネル9の一部は選択操作を受け付けるタッチパネル機能を備えている。なお、物理的なボタンスイッチを備えたものであってもよい。
【0029】
操作手段90は、動作モード選択部900を含み、ユーザが操作指示を行うための各種操作キーを備えており、機能の切り替え操作、各種設定値の入力、複写処理の開始・終了指示等を受け付ける。
動作モード選択部900は、読み込んだ原稿が複写禁止原稿である場合、原稿の読み込みの動作モードを設定するための操作部であり、継続モード又は中断モードのいずれかの動作モードを選択設定する。また、動作モード選択部900が操作されることで、選択された動作モードの情報を制御手段2へ送信する。
ここで、継続モードとは、複写禁止情報を検出したときに、中断せずに続きの原稿の読み込みを行う動作モードの一つであり、中断モードとは、複写禁止情報を含む複写禁止原稿で読み込みを中断する動作モードの一つである。
なお、本実施形態では動作モード選択手段を有しており、動作モード選択手段は、上述した操作手段90及び動作モード選択部900を含んだ構成である。
【0030】
表示手段91は、液晶ディスプレイ(LCD)またはCRTディスプレイ等の表示装置を備えており、制御手段2より送信された情報をもとに画像形成装置1の動作状況、あるいは操作手段90を介して入力された各種設定値、ユーザへのメッセージ等を表示する。また、表示手段91は、原稿の読み込みが実行中の場合に表示される読み込み通常実行画面、複写禁止情報を検出したときに継続モードが選択されている場合に表示される読み込み継続画面、複写禁止情報を検出したときに中断モードが選択されている場合に表示される読み込み中断画面、原稿の読み込み開始前に予め複写禁止動作を設定する場合に表示される複写禁止動作選択画面を有する。
【0031】
記憶手段10は、読取り手段6で取得した画像データを一時的に記憶するためのメモリである画像データ格納部100と、動作モード選択部900で選択設定した動作モード等を記憶するためのメモリである動作設定格納部101とを備えている。
画像データ格納部100は、出力手段7によって画像データの出力完了後、又は出力処理がキャンセルされた場合に削除する機能等を備えている。また、動作設定格納部101に格納されている情報は、複写処理実行前に制御手段2から呼び出され、これに応じた処理が行われる。
【0032】
複写禁止情報検出手段8は、画像データ格納部100に保持されている画像データに複写禁止の文字列あるいは画像が含まれているか否かを検出する。すなわち、読み取った原稿が複写禁止原稿であるか否かを検出するために、文字認識又はパターンマッチング等を行い、複写禁止情報が原稿に存在するか否かを検出する。なお、複写禁止情報とは、例えば、文字列、図形、バーコード又はそれらの組み合わせたものであってもよい。
【0033】
I/F部5は、図示しない外部のネットワーク、コンピュータ装置等と接続されており、これらからのデータを受信し、制御手段2へ出力するインターフェースの機能を果たしている。
【0034】
次に、以上のような構成を有する第一実施形態の画像形成装置の動作について説明する。図2は、本実施形態に係る画像形成装置における、複写禁止処理を示すフローチャート図である。
【0035】
例えば、操作パネル9の操作手段90を介して原稿の複写指示がされると、図2で示す処理フローが開始される。
まず、読取り手段6において、原稿の読み込みを開始し(読取り手順、ステップS1)、原稿に描かれた画像がCCDセンサ等によって読み取られ、読み取られた画像データは制御手段2を介し、画像データ格納部100へ一時的に格納される(ステップS2)。このとき表示手段91は、図示しない読み込み通常実行画面を表示し、原稿の読み込み状況を表示する。
【0036】
次に、複写禁止情報検出手段8において、画像データ格納部100に格納された画像データについて複写禁止情報の検出処理が行われ、複写禁止情報が含まれているか否かを判定する(検出手順、ステップS3)。この判定結果は制御手段2へ出力される。
【0037】
複写禁止情報検出手段8において、複写禁止情報が検出されなかったと判定された場合(ステップS3:NO)、制御手段2は複写許可原稿であると認識して、ステップS7へ移る。
一方、複写禁止情報検出手段8において、複写禁止情報が検出されたと判定された場合(ステップS3:YES)、制御手段2は複写禁止原稿であると認識して、原稿の読み込みを一時停止させる(ステップS4)。
ここで、制御手段2には原稿の処理枚数をカウントする枚数計数部を有する。具体的には、枚数計数部は複写許可原稿の枚数と複写禁止原稿の枚数をカウントするとともに記憶を行う。なお、画像データの出力終了後、枚数計数部に格納されている情報は自動的にリセットすることができる。
一時的に記憶されている複写禁止情報を含む画像データを画像データ格納部100から削除する(ステップS5)。これにより読み込んだ原稿を削除し、原稿を無効とすることで、複写出力を行うときは画像データ格納部100にはこの原稿のデータが存在しない。すなわち、複写禁止情報を含む原稿が除かれて複写出力が行われる。さらに、複写禁止情報を含んだ原稿を画像形成装置1内に格納しないことによりセキュリティを高めることができる。
【0038】
次に、制御手段2は動作設定格納手段101に格納されている動作モードを読み込み、動作モードの判定を行う(ステップS6)。
ここで、本実施形態では、複写開始時に動作モード(継続モード又は中断モード)と読み込み中断画面上に表示される読み込み継続確認表示の有無が予め動作設定格納手段101に設定されているものとし、例えば、画像形成装置1が初期設定値として保持している。なお、初期設定値は予め画像形成装置1に組み込まれており、本実施形態では、初期設定値が動作モードは「中断モード」、読み込み継続確認表示は「有り」に設定されているものとする。
このように、予め動作モードが設定されることで、作業を行う毎にユーザが動作モードを設定する手間が省ける。
【0039】
ステップS6において、制御手段2によって動作モードが継続モードと判定された場合には(ステップS6:継続モード)、表示手段91は、複写許可原稿の枚数と複写禁止原稿の枚数を含む読み込み継続画面を表示する(ステップS7)。
図3は、本実施形態の画像形成装置の読み込み継続画面の例を表す説明図である。
読み込み継続画面は、例えば、読み込み枚数と読み飛ばし枚数の表示と読み込みを強制終了できるキャンセルボタンなどを含む。
ここで、複写禁止原稿はステップS5でその画像データが削除されるが、ユーザへはこれを読み飛ばしたものとして通知する。図3の例では、表示手段91は、枚数計数部に格納されている複写禁止原稿の枚数を読み飛ばし枚数として表示する。逆に、ステップS3で複写許可原稿と認識された原稿は、読み込まれた後、画像データ格納部100から削除されずに残っているため、ユーザへはこれを読み込んだものであることを表示する。図3の例では、表示手段91は、枚数計数部に格納されている複写許可原稿の枚数を読み込み枚数として表示する。
なお、読み込み枚数と読み飛ばし枚数の表示において、両方を表示する又はどちらか一方を表示するとしてもよい。
これによりユーザは、原稿の読み込みを継続しながら複写禁止原稿が存在するかを把握することができる。
【0040】
次に、制御手段2は、続きの原稿が存在するか否かを判定し(ステップS11)、続きの原稿が存在すると判定した場合には(ステップS11:YES)、処理をステップS1へ戻して原稿の読み込みを続ける。
一方、続きの原稿が存在しないと判定した場合(ステップS11:NO)、読み込みを終了し、画像データ格納部100に記憶されている画像データを出力手段7へ転送して出力処理の実行へ移る。
【0041】
制御手段2において、ステップS6の判定がされた結果、動作モードが中断モードと判定された場合には(ステップS6:中断モード)、表示手段91は、原稿の複写処理が行なえないため、中断した旨を示すメッセージとともに読み込みの継続の確認を行う、すなわち動作モード選択部900を含む読み込み中断画面を表示し、ユーザへ通知するとともに継続操作ボタンを表示することで操作を促す(動作モード選択手順、ステップS8)。
【0042】
図4は、本実施形態の画像形成装置の読み込み中断画面の例を表す説明図である。読み込み中断画面は、例えば「中断しました。この原稿は複写禁止原稿です。読み込みを継続しますか?」などのメッセージと複写許可原稿の読み込み枚数と継続操作ボタンを含む。これによりユーザは、原稿の中に複写禁止原稿が含まれていることを認識できるとともに、以降の原稿について読み込みを継続するかを選択でき、各々のユーザの用途に応じた複写が可能になる。なお、読み込み中断画面によるメッセージの表示の他に報知する方法として、例えば、音声出力によって報知するなどのように、処理を中断した旨を確実にユーザへ通知することができる方法であればよい。
【0043】
次に、制御手段2において、表示手段91に表示された読み込み中断画面より継続確認の操作を判定する(ステップS9)。
制御手段2において、ユーザによって継続の操作がされたと判定した場合には(ステップS9:YES)、制御手段2は動作モードを中断モードから継続モードへ変更し、動作設定格納手段101へ記憶して(ステップS10)、ステップS7へ移る。
一方、制御手段2において、キャンセルの操作がされたと判定した場合には(ステップS9:NO)、制御手段2は画像データ格納部100に格納されている画像データを削除して、複写処理を終了する。
【0044】
なお、本実施形態の画像形成装置1は、出力手段7によって画像データの出力終了後、画像データ格納部100に格納されている画像データは自動的に削除することができる。また、動作設定格納部101に格納されているデータは初期設定値に戻すことができる。
【0045】
本実施形態の画像形成装置によれば、複写禁止原稿を検出したときに複写動作を制御する動作モードを設けることで、ユーザの使用環境に合った複写が実現でき、無駄となる複写出力を軽減することができる。また、ユーザは原稿の読み込み状況を容易に把握でき、作業効率を落とすことなく作業できる。
【0046】
なお、動作モードの設定は、複写開始時に複写禁止動作選択画面より選択設定を行うこととしてもよい。例えば、図5は本実施形態の画像形成装置の複写禁止動作選択画面の例を表す説明図である。複写禁止動作選択画面は、複写実行開始時にユーザより動作モードを選択設定ができる。さらに、読み込み継続確認表示の有無についても設定することができる。また、複写開始時に複写禁止動作選択画面から選択設定を行わない場合は、画像形成装置1の初期設定値が参照される。
このように、ユーザが複写実行開始時に動作モードの設定を行うことで、ユーザの使用状況に応じて動作モードを容易に切り替えることができる。
【0047】
[第二実施形態]
次に、本発明に係る画像形成装置の第二実施形態について説明する。図6は、本実施形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【0048】
本実施形態は、第一実施形態と比較して、操作手段90にプレビュー操作部901の構成が追加されている点と、表示手段91にプレビュー表示部910の構成が追加されている点で相違する。すなわち、本実施形態では、プレビュー表示するための構成として、プレビュー操作部901とプレビュー表示部910が付加されている。本実施形態において、第一実施形態と同様の構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0049】
操作手段90は、動作モード選択部900に加え、プレビュー操作部901を有している。プレビュー操作部901は、プレビュー表示部910へプレビューの表示を指示するための操作部である。
表示手段91は、プレビュー表示部910を有しており、プレビュー表示部910は、読み込んだ原稿について画像データあるいはメッセージを表示する領域であり、原稿の画像データは1ページ毎又は複数ページ毎にサムネイルで表示される。
【0050】
次に、以上のような構成を有する第二実施形態の画像形成装置の動作について説明する。図7は、本実施形態に係る画像形成装置における、複写禁止処理を示すフローチャート図である。
【0051】
例えば、操作パネル9の操作手段90を介して原稿の複写指示がされると、図7で示す処理フローが開始される。
【0052】
まず、操作パネル9のプレビュー操作部901より操作がされたか否かを制御手段2で判定する(ステップS20)。
制御手段2において、プレビュー表示の操作がされなかったと判定した場合には(ステップS20:NO)、第一実施形態で説明した、図2のステップS1以降の処理を行う。
一方、制御手段2において、プレビュー表示の操作がされたと判定した場合には(ステップS20:YES)、第一実施形態で説明した、ステップS1〜ステップS4(原稿の読み込み〜原稿の読み込み一時停止)と同様の処理をステップS21〜ステップS24で行う。
【0053】
次に、第一実施形態で説明した、ステップS6と同様に動作モードの判定を制御手段2で行う(ステップS25)。
制御手段2において、動作モードが継続モードと判定された場合には(ステップS25:継続モード)、一時的に記憶されている複写禁止情報を含む画像データを画像データ格納部100から削除する(ステップS26)。
続いて、第一実施形態で説明したステップS11と同様に、続きの原稿が存在するか否かを制御手段2で判定する(ステップS27)。
制御手段2において、続きの原稿が存在すると判定した場合(ステップS27:YES)、処理をステップS21へ戻して原稿の読み込みを続ける。
一方、制御手段2において、続きの原稿が存在しないと判定した場合(ステップS27:NO)、すなわち全ての原稿の読み込みが終了した場合は、続いて、読み込んだ全ての原稿の中に複写禁止原稿が存在するか否かを判定する(ステップS28)。
【0054】
制御手段2において、読み込んだ原稿の中に複写禁止原稿が存在すると判定された場合(ステップS28:YES)、表示手段91は、プレビュー表示部910へ読み飛ばして印刷出力する原稿の枚数を表示する(ステップS30)。
ここで、複写禁止原稿はステップS26でその画像データが削除されるが、ユーザへはこれを読み飛ばしたものとして通知する。従って、ステップS30において、表示手段91は、枚数計数部に格納されている複写禁止原稿の枚数を読み飛ばし枚数として表示する。
図8は、本実施形態の画像形成装置の継続モード時のプレビュー表示の例を表す説明図である。このプレビュー表示では、例えば「複写できない原稿が2枚含まれていました。」などのメッセージを含む。これによりユーザは、原稿の中に複写禁止原稿が含まれていることを認識できる。なお、このときユーザへ確実に報知するために、例えば、表示部を点滅する等で強調して表示することが好ましい。
一方、制御手段2において、読み込んだ原稿の中に複写禁止原稿が存在しないと判定された場合(ステップS28:NO)、表示手段91は、プレビュー表示部910へ複写許可原稿の画像データ、すなわち正常に読み込んだ原稿の画像データを表示する(ステップS29)。このとき、プレビュー表示部910には、読み込んだ原稿の1ページ毎(先頭のページ)又は複数ページ毎にサムネイルで表示される。
【0055】
ステップS25において、制御手段2により動作モードが中断モードと判定された場合には(ステップS25:中断モード)、表示手段91は、プレビュー表示部910へ中断した原稿の画像データととともに原稿の複写が行なえないため中断した旨を示すメッセージを表示する(ステップS31)。
図9は、本実施形態の画像形成装置の中断モード時のプレビュー表示の例を表す説明図である。このプレビュー表示では、中断した原稿の画像データを表示するととともに、例えば、「この原稿は複写できません。」などのメッセージを含む。これによりユーザは、原稿の中に複写禁止原稿が含まれていることを認識できるとともに複写禁止原稿と判定された画像データを確認できる。
なお、上述した図8、9のプレビュー表示は、例えば、「原稿をセットしてください。」などの初期表示から表示が推移することで、プレビュー表示がされる。
最後に、画像データ格納部100に記憶されている画像データを出力手段7へ転送して出力処理の実行へ移る。
【0056】
なお、本実施形態では中断モードの場合、ステップS31以降は複写の処理を終了するとしているが、第一実施形態で説明した継続操作部をプレビュー表示部に設け、継続確認を行うことによって、原稿の読み込みを継続する方法としてもよい。
【0057】
本実施形態の画像形成装置によれば、選択されている動作モードに基づいて、読み込んだ複写禁止原稿の画像データ又は枚数がプレビュー表示されるため、複写出力前に複写禁止原稿の有無をユーザは容易に確認することができる。そのため、ユーザは実際に複写出力することなく、無駄となる複写出力を事前に防ぐことができる。
【0058】
次に、画像形成装置の印刷制御プログラムについて説明する。
本発明は、前述した実施形態の機能を実現する印刷制御プログラムを記憶した記憶媒体を画像形成装置に供給し、その画像形成装置のコンピュータ(CPUやMPU等)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し、実行することによって達成される。したがって、本発明の機能は、ソフトウエアである印刷制御プログラムとハードウエア資源であるコンピュータ(画像形成装置)の各構成手段とが協働することにより実現される。
【0059】
印刷制御プログラムを記録した記録媒体としては、例えば、磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ、その他画像形成装置で読み取り可能な任意の手段を使用することができる。また、記録媒体に記録された画像形成装置の印刷制御プログラムは、記録媒体を直接画像形成装置に装着して当該画像形成装置に読み込ませることができ、また、通信回線を介しダウンロードし、画像形成装置に読み込ませるようにしてもよい。
【0060】
以上、本発明の画像形成装置及び印刷制御プログラムについて好ましい実施形態を示して説明したが、本発明に係る装置は、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
【0061】
例えば、画像形成装置は、プリンタ(複写機)、コピー機、ファクシミリ、スキャナ、デジタル複合機(MFP)の単独で有する装置であってもよく、また、これらを組み合わせた装置であってもよい。
さらに、プリンタは、インクジェットプリンタ、昇華型熱転写方式プリンタ、ドットインパクトプリンタ、インクジェット式プリンタ、レーザプリンタ、溶融型熱転写方式プリンタなど、各種のプリンタ方式を備えたプリンタであってもよい。
【0062】
また、上述した実施形態においては、読み込んだ原稿の情報を枚数又は画像データで表示するとしているが、これに限らず、ユーザが把握し易いようにページ番号又は枚数に応じた図形の表示あるいはそれらの組み合わせとして表示してもよい。
【0063】
また、上述した実施形態においては、動作モードは継続モード又は中断モードの構成として説明したが、これに限らず、例えば、ユーザ毎に権限を付加することで複写禁止をするモードを設け、複写制御を行うこととしてもよい。
さらに、例えば、読み込んだ画像パターンの種類によって動作モードを自動に切り替えることであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、画像形成装置の複写禁止原稿についての複写制限に関する発明であるため、プリンタ、ファクシミリ、コピー機、複合機など、画像形成を行う機器や装置に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の第一実施形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第一実施形態に係る画像形成装置において、複写禁止処理を示すフローチャート図である。
【図3】本発明の第一実施形態に係る画像形成装置の読み込み継続画面の例を表す説明図である。
【図4】本発明の第一実施形態に係る画像形成装置の読み込み中断画面の例を表す説明図である。
【図5】本発明の第一実施形態に係る画像形成装置の複写禁止動作選択画面の例を表す説明図である。
【図6】本発明の第二実施形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の第二実施形態に係る画像形成装置において、複写禁止処理を示すフローチャート図である。
【図8】本発明の第二実施形態に係る画像形成装置の継続モード時のプレビュー表示の例を表す説明図である。
【図9】本発明の第二実施形態に係る画像形成装置の中断モード時のプレビュー表示の例を表す説明図である。
【符号の説明】
【0066】
1 画像形成装置
2 制御手段
3 ROM
4 RAM
5 I/F部
6 読取り手段
7 出力手段
8 複写禁止情報検出手段
9 操作パネル
90 操作手段
900 動作モード選択部
901 プレビュー操作部
91 表示手段
910 プレビュー表示部
10 記憶手段
100 画像データ格納部
101 動作設定格納部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿に描かれた画像を画像データとして読み取る読取り手段と、
前記読取り手段によって読み取られた前記画像データから複写禁止情報の有無を検出する検出手段と、
前記検出手段が前記複写禁止情報を検出したときに、中断せずに続きの原稿の読み込みを行う継続モードと、前記複写禁止情報を含む原稿で読み込みを中断する中断モードとを含む動作モードの選択をする動作モード選択手段と、
を具備したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記動作モード選択手段が、前記継続モードを選択するか、または前記中断モードを選択するかを、原稿の読み込み実行前に予め設定可能としたことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記動作モード選択手段は、前記中断モードが選択された状態で、読み込み継続の指示をする継続操作部が操作されたとき、前記中断モードを前記継続モードへ変更することを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
ユーザへ情報を表示する表示手段を有し、
前記表示手段が、前記動作モード選択手段によって前記継続モードが選択され、少なくとも原稿の読み込みが継続されたときに、複写許可原稿の枚数及び/又は複写禁止原稿の枚数の表示を含む読み込み継続画面を表示することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
ユーザへ情報を表示する表示手段を有し、
前記表示手段が、前記動作モード選択手段によって前記中断モードが選択され、原稿の読み込みが中断されたときに、原稿の読み込みを中断した旨のメッセージの表示と前記継続操作部の表示を含む読み込み中断画面を表示することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記読取り手段によって読み込まれた原稿のプレビュー表示を行うプレビュー表示部と、
当該プレビュー表示部へプレビュー表示を行わせるプレビュー操作部とを有し、
前記プレビュー表示部は、前記プレビュー操作部が操作されたとき、選択されている前記動作モードに基づいて、読み込みが中断された原稿の画像データ又は複写禁止原稿の枚数を表示することを特徴とする請求項4又は5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記プレビュー表示部は、前記動作モード選択手段によって前記継続モードが選択されたときは、複写禁止原稿の枚数を表示し、前記動作モード選択手段によって前記中断モードが選択されたときは、読み込みが中断された前記複写禁止情報を含む原稿の画像データとともに複写ができない旨のメッセージを表示することを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。
【請求項8】
複写を禁止するための複写禁止情報が付与された原稿の複写を禁止する手順を画像形成装置に実行させるための印刷制御プログラムにおいて、
前記原稿に描かれた画像を画像データとして読み取る読取り手順と、
前記読取り手順によって読み取られた前記画像データから前記複写禁止情報の有無を検出する検出手順と、
前記検出手順が前記複写禁止情報を検出したときに、中断せずに続きの原稿の読み込みを行う継続モードと、前記複写禁止情報を含む原稿で読み込みを中断する中断モードとを含む動作モードの選択をする動作モード選択手順と、
を前記画像形成装置に実行させるための印刷制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−34737(P2010−34737A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−193193(P2008−193193)
【出願日】平成20年7月28日(2008.7.28)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】