説明

画像形成装置及び画像形成方法

【課題】作像ユニット(トナーカートリッジ)の着脱時に飛散するトナーを吸引することがなく、定着ユニットのフラッシュランプや保護ガラス内面へ飛散トナーが溶着して定着不良が発生するのを防止できる画像形成装置及び画像形成方法を提供する。
【解決手段】定着ユニット20等の冷却のための吸気開口31、ダクト32、通気ジョイント33等を内部に有するフロントパネルAが画像形成装置本体に装着された(閉じた)状態で、現像ユニット5に収納されるトナーカートリッジ29の着脱が可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式等トナーを用いる画像形成装置及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置に於いて、画像形成装置外部の空気を画像形成装置内に吸引することがよく行われている。特に電子写真方式による画像形成装置内には、定着装置、モータ、アクチュエータなど発熱部材があり、これらの冷却のため、或いはこれらによる画像形成装置内の温度上昇を避けるため、画像形成装置内に外気を取り込み、これらを冷却して排出することがよく行われている。特に、定着装置からの発熱は大きく、この定着装置の冷却に多量の外気を吸引することが行われる場合もある。
【0003】
又、電子写真方式による画像形成装置には、コロナ放電に基づくコロナ帯電器が用いられることがある。コロナ帯電器では、微量ではあるがオゾン、窒素酸化物が生成され、これらを換気するために外気を吸引することもある。もちろん、吸引した外気を排出する場合には、適当なフィルタを通して、これらオゾン、窒素酸化物を除去した後に排出している。
【0004】
これらの外気の吸引は、画像形成装置外装に設けられた吸気開口、さらにそれに連通する吸引ダクトを通じて行われることが多い。
【0005】
又、画像形成装置では、内部の作像ユニットの操作や交換、これらの保守作業などのため、画像形成装置内部にアクセスする必要があるものが多い。このため、画像形成装置本体に対し、開閉又は着脱可能に設けられた外装部材を有するものも多い。これらには、ヒンジ機構で開閉可能に設けられたドアやパネル、スライド機構で開閉可能に設けられた、ドアやパネル、さらには、着脱可能に設けられたパネル、カバー類など多岐にわたる。
【0006】
そして、これら開閉又は着脱可能に設けられた外装部材を通して、前述の外気の吸引が行われることもある。この場合、外装部材に吸気開口と、該吸気開口と連続する吸気経路、さらに該外装部材が画像形成装置本体に装着された場合に、本体側と継合させるジョイント等を用いて、画像形成装置本体に装着された状態に於いて、画像形成装置内の前記定着装置など所望のユニット、モータなどに、外気を導入することが行われる。
【0007】
一方、電子写真方式による画像形成装置おいては、画像形成装置に着脱可能に設けられ、かつ、内部にトナーを収容する作像ユニットもよく用いられる。これらには、まずは現像ユニットがある。現像ユニットはトナーを用いて像形成を行うものであり、その内部にトナーを収容しているのが通例である。像形成に伴い内部に収容されたトナーが消費されるため、画像形成装置が画像形成動作を継続するために、該現像ユニットにトナーを補給する必要が出てくる。
【0008】
このトナーの補給方式としては、現像ユニット或いは、現像ユニットと連接した補給トナーユニットに対し、着脱可能に取り付けられるトナーカートリッジで供給する方式、現像ユニットごと、新しいものに交換する方式、さらに現像ユニットではなく、感光ドラム及びその周囲の他の作像部材を含んだプロセスユニット毎交換する方式もある。
【0009】
一般に、画像形成装置は、現像ユニットなどの内部に収容されたトナー量を常にモニタしており、トナー量が所定量以下となった場合にトナーエンプティー等のアラームを発し、ユーザにトナー補給を促すのが通例である。この時、画像形成を行いながらトナーを補給できるものもあるが、多くの場合、一旦画像形成を停止させ、ユーザに対しトナー補給を促すのが通例である。ユーザはこのアラームに従い、画像形成装置のフロントドア等の必要な外装部材を開放したり、取り外して、トナー補給を行うことが多い。また、このトナー補給は画像形成動作の停止後すぐに行われることが多い。
【0010】
又、クリーニングユニットや廃トナーボックスなども内部にトナーを保持しており、これらも定期的に交換されることが多い。
【0011】
なお、前述した画像形成装置における、吸気開口や、それに連通する吸引ダクト等が設けられた外装部材は、特許文献1等に記載のトナーカートリッジを収納した現像ユニットを有する画像形成装置では、トナーを収容した作像ユニット(トナーカートリッジ)の装着位置に干渉して設けられていた。
【0012】
【特許文献1】特開2002−328514号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
さて、このトナー補給動作に当たって、わずかではあるがその内部に収容されていたトナーが外部に漏れ出して飛散する、いわゆるトナー飛散が発生することがある。
【0014】
この時、特許文献1等に記載の画像形成装置においては、前記外気を吸引している外装部材がトナー補給位置に干渉して設けられているのでやむなく開放、或いは、取り外さなければならないために、該外装部材と連結される画像形成装置本体側のジョイント等から該飛散トナーを吸引してしまい、その結果画像形成装置内が飛散トナーで汚染されるという問題があった。
【0015】
この問題は、吸引したエア(外気)が定着装置の冷却にもちいられる場合に顕著である。定着装置は多くは加熱によって記録媒体上のトナーを溶融、定着させるものであり、その冷却には他のモータ、アクチュエータなどの発熱部材に比べ、多くのエアが用いられ、結果として多量の飛散トナーを吸引し、定着装置が飛散トナーで汚染されるという問題がある。特に、この定着装置がフラッシュランプを用いるフラッシュ定着装置であった場合にはさらに多量の外気を吸引している場合が多く、より問題となることがある。
【0016】
前述のように、トナー補給の操作は、画像形成装置の停止後すぐに行われることが多い。画像形成動作の停止直後は、仮に通電を遮断したとしても定着装置はまだ多量の余熱を有しており、冷却をすぐに停止させることは好ましくない。従って、印字動作の停止後も暫くは冷却エアを吸引し続けるのが通例である。よって、トナー補給動作に伴う飛散トナーを吸引してしまい、画像形成装置内部のトナー汚染が発生するという問題が発生していた。
【0017】
繰り返しとなるが、このトナー汚染の問題は、フラッシュ定着装置に於いて特に顕著である。フラッシュ定着装置ではそのフラッシュランプの冷却の為多量の外気を冷却エアとして吸引している。この冷却エアに飛散トナーが混じると、該飛散トナーが、高温のフラッシュランプ表面や保護ガラス内面に溶着してしまう。その結果、溶着した飛散トナーによってフラッシュランプから記録媒体への照射光が阻害され、結果定着不良が発生するといった問題につながる。
【0018】
さらに、トナーが磁性体を含有した磁性トナーである場合には、さらに問題が著しくなる。フラッシュランプや保護ガラスに溶着した飛散トナーは、その後の印字動作によって、ある程度の時間高温にさらされると、主成分である樹脂等は、気化或いは燃焼して消滅してしまうこともある。しかしながら、磁性トナーの含有する磁性体は気化、燃焼することなく、なかば半永久的にフラッシュランプや保護ガラスに残留し続け、定着不良が発生し続けると言う問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前記課題を解決するため、本発明においては、画像形成装置本体に対し開閉又は着脱可能に設けられ、吸気開口及び吸気経路を内部に有する外装部材、前記吸気開口及び前記吸気経路を介して、外部空気を前記画像形成装置内に吸引する吸引手段、さらに前記画像形成装置本体に対し着脱可能に設けられ、内部にトナーを収容する作像ユニット、を少なくとも有する画像形成装置であって、前記外装部材の前記画像形成装置本体への装着状態において、前記作像ユニットの前記画像形成装置本体への着脱操作を可能としたことを特徴とする画像形成装置が提供される。
【0020】
前記課題を解決するため、本発明の好ましい態様においては、前記画像形成装置が定着装置をさらに有し、前記吸引手段によって吸引される外部空気が、前記定着装置の冷却に用いられるものであることを特徴とする画像形成装置が提供される。
【0021】
さらに、前記定着装置がフラッシュ定着方式によるものであることを特徴とする画像形成装置において、本発明の効果がより発揮される。
【0022】
前記作像ユニットが補給トナーカートリッジを有するものであることを特徴とする画像形成装置において、本発明の効果がより発揮される。
【0023】
また、前記トナーが磁性トナーであることを特徴とする画像形成装置においても本発明の効果がより発揮される。
【発明の効果】
【0024】
本願発明によれば、内部にトナーを収容する作像ユニットを有する画像形成装置であって、吸気開口及び吸気経路を内部に有する外装部材を前記画像形成装置本体への装着状態において、前記作像ユニットの前記画像形成装置本体への着脱操作を可能としているので、定着ユニットの外気吸引による冷却において前記作像ユニットの着脱時に飛散するトナーを吸引することがなく、フラッシュランプや保護ガラス内面へ飛散トナーが溶着して定着不良が発生するのを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の画像形成装置及び画像形成方法に係る一実施態様を図1以下に基づいて説明する。
【0026】
図1は本発明に関わる電子写真プリンタ1の断面構成図である。静電潜像担持体たる感光ドラム2の回りに主帯電器3、LEDプリントヘッド4、現像ユニット5、転写部材たる転写帯電器6、分離帯電器7、クリーニング前帯電器8、キャリア回収ユニット9、クリーニングユニット10及び除電ランプ11が配置され、記録媒体MRCが搬送される搬送経路の感光ドラム2下流側に定着手段たる定着ユニット20が配置されている。主帯電器3は感光ドラム2の表面を一様に帯電する。
【0027】
記録媒体MRCの搬送経路の感光ドラム2の上流側に、記録媒体MRCの搬送手段であるガイド板13と、同じく搬送手段であるトラクタ14が、感光ドラム2の下流側に定着ユニット20と対向する位置に別の搬送手段である搬送ユニット15が、それぞれ設けられている。
【0028】
又、図2及び図3で示す外装部材であるフロントパネルA、フロントパネルBが、電子写真プリンタ1に対し、図3で示すごとく、両側のヒンジ34でもって開閉可能に取り付けられている。フロントパネルAには、後述する定着ユニット20内のフラッシュランプ21の冷却エアとして外部空気を定着ユニット内に導入する為の、吸気開口31がフロントパネルA下側端面に下方に向かって開口され、吸気経路であるダクト32を介し、さらに定着ユニット20に設けられた本体側通気ジョイント28と継合する通気ジョイント33を通して、冷却エアを定着ユニット20内に導入する。
【0029】
そして、フロントパネルAは、現像ユニット5に収納されるトナーカートリッジ29の位置とは干渉しない配置となっている。
【0030】
感光ドラム2は図示しない駆動モータ及び減速機構によって図1矢印A方向に、回転駆動されている。感光ドラム2の周速、即ちプロセス速度は361.2444mm/sに設定されている。
【0031】
ここで、電子写真プリンタ1では、記録媒体MRCはその両端部に送り孔(図示せず)を有する連続紙が使用される。記録媒体MRCは、図1に示されるように、電子写真プリンタ1の右側の導入口1bから導入され、左側の排出口1cから排出される。トラクタ14は図示しない駆動モータによって駆動され、記録媒体MRCを図1矢印B方向に搬送する。
【0032】
感光ドラム2は直径120mm、アルミニウム製円筒形ドラムの表面にプラス帯電型の有機感光材料からなる感光層を形成したもので、LEDプリントヘッド4から照射される光によって静電潜像が表面に形成される。主帯電器3は、LEDプリントヘッド4による感光ドラム2上への潜像形成に先立って、放電で発生させたイオンにより感光ドラム2の表面を一様に帯電させる。
【0033】
主帯電器3と次のLEDプリントヘッド4の間に、表面電位測定手段である表面電位センサ27が設けられ、主帯電器3によって帯電された感光ドラム2の表面電位を測定する。LEDプリントヘッド4は、光ビームによって感光ドラム2の表面を露光し、記録情報に対応した静電潜像を形成する。LEDプリントヘッド4は600dpi(dot per inchi、1インチ=25.4mm当たり600ドット)の解像度を有するものである。
【0034】
現像ユニット5は、感光ドラム2と対向配置され、トナー濃度が重量比で13%となるようにトナーとキャリアを混合した二成分現像剤(図示せず)を用い、現像ローラ5によって感光ドラム2上の静電潜像を現像する。現像ユニット5の上部にはトナーカートリッジ29が着脱可能に装着され、現像ユニット5内にトナーを補給する。
【0035】
ここで、トナーは以下のようにして製造した磁性トナーを用いている。
【0036】
ポリエステル樹脂(「タフトン」TTR−2、花王(株)社製)50重量%、ポリエステル樹脂(「タフトン」TTR−5、花王(株)社製)25重量%、磁性体(EPT−1000、戸田工業社製)20重量%、カーボンブラック(「リーガル」330R、キャボット社製)2重量%、ニグロシン系荷電制御剤(「ボントロン」N−01、オリエント化学社製)1重量%、ポリエチレンワックス(「ハイワックス」405MP、三井石油化学工業社製)2重量%、前記の各成分を十分混合した後、2軸押出機で(PCM−30、池貝鉄鋼株式会社製)で溶融、混練後、ジェットミル粉砕機(PJM−100、日本ニューマチック工業株式会社製)で微粉砕した。これを風力分級機(A−12、アルピネ社製)で分級し、重量平均粒径が11.9μmの樹脂微粒子を得た。
【0037】
更に、上記樹脂微粒子に対し、疎水性シリカ微粉末(REA200、日本アエロジル社製)を0.4重量部、ポリフッ化ビニリデン粒子(「KYNER」500、エルフ・アトケム・ジャパン(株)社製)を0.4重量部、それぞれ添加し、スーパーミキサー(SMV−20、カワタ社製)で混合することによりトナー粒子を得た。得られたトナー粒子の重量平均粒径は11.9μmで、重量分布の標準偏差は3.2μmであった。
【0038】
またキャリアとしては、以下のようにして製造したものを用いている。
【0039】
ポリエステル樹脂(「タフトン」TTR−2、花王(株)社製)23重量%、 磁性体(KBF−100SR、関東電化工業社製)73重量%、 荷電制御剤(「ボントロン」S−34、オリエント化学社製)2重量%、 ワックス(LUVAX−1151、日本精蝋社製)2重量%、前記の各成分を十分混合した後、2軸押出機(PCM−30、池貝鉄鋼株式会社製)で溶融混練を行った。この混練物を冷却後、直径2mmのスクリーンを有する粗粉砕機(UG−210KGS、朋来鉄工所製)を用いて粗粉砕した。更に、これを中粉砕機(「ファインミル」FM−300N、日本ニューマチック工業株式会社製)で中粉砕した後、微粉砕機(「セパレーター」DS−5UR、日本ニューマチック工業株式会社製)を用いて分級し、体積平均粒径52μmの樹脂微粒子を得た。
【0040】
次いで、この樹脂微粒子を高速攪拌型混合造粒器(ODM−25型、奈良機械製作所(株)製)を用い、75℃で15分攪拌して球状化処理を行った。更に、疎水性シリカ微粉末(REA200、日本アエロジル社製)を上記樹脂微粒子に対して0.1重量部添加し、スーパーミキサー(SMV−20、カワタ社製)で混合することにより体積平均粒径53μmのキャリア粒子を得た。
【0041】
転写帯電器6は、放電で発生させたイオンを利用して感光ドラム2上に現像された未定着のトナー像を記録媒体MRCに転写する。分離帯電器7は、記録媒体MRCを感光ドラム2から電気的に分離させる帯電器で、例えば、交番電圧が印加されるコロトロン帯電器が使用される。転写帯電器6と分離帯電器7は共通のシールド板部材Sでもって一体に構成されている。
【0042】
感光ドラム2外周に沿って見て、分離帯電器7とクリーニング前帯電器8との間には記録媒体MRCを感光ドラム2から機械的に分離させる分離爪12が設けられている。
【0043】
本実施態様に於いては、主帯電器3および転写帯電器6以外にもクリーニング前帯電器8を有し、このクリーニング前帯電器8は、感光ドラム2の表面をクリーニングに先立って帯電させ、記録媒体MRCに転写されずに感光ドラム2の表面に残留したトナー粒子をクリーニングユニット10で回収し易くする目的で使用される。
【0044】
キャリア回収ユニット9は、感光ドラム2の回転方向に見て、転写帯電器6とクリーニングユニット10との間に設けられ、記録媒体MRCに転写されずに感光ドラム2の表面に残留したキャリア粒子や、後述のブラシローラ10bに因って、感光ドラム2の表面からはたき落とされたキャリアを回収する。キャリア回収ユニット9は、内部に磁気ローラである回収ローラ9aを有し、キャリア粒子を磁気的に吸着して回収する。
【0045】
クリーニングユニット10は、記録媒体MRCに転写されずに感光ドラム2の表面に残留したトナー粒子を主として除去するもので、ハウジング10a内にブラシローラ10bと回収ローラ10cが設けられている。ブラシローラ10bは、トナー粒子と逆極性のバイアス電圧が印加され、感光ドラム2の表面に残留したトナー粒子をブラシで掻き取ると共に、静電的に吸着してクリーニングする。回収ローラ10cは、ブラシローラ10b以上の絶対値のバイアス電圧が印加され、ブラシローラ10bに吸着されたトナー粒子を静電的に回収する。回収されたトナー粒子は、図示しないブレードによって回収ローラ10cから掻き落とされ、紙面表裏いずれか一方向に設けた回収部(図示せず)へ移送される。
【0046】
除電ランプ11は、複数個の小形の電球からなり、光照射によって感光ドラム2の表面から残留電荷を除去する。尚、電球の替わりにLED等の発光素子を用いる事も出来る。
【0047】
搬送ユニット15は、2本の搬送ローラ15a間に搬送ベルト15bを掛け渡した構造を持ち、搬送ローラ15aが図示しない駆動モータによって図中矢印方向に回転駆動されており、これにより搬送ベルト15b上に載置された記録媒体MRCを搬送する。
【0048】
搬送ユニット15の後方には、スカフローラ対16が存在する。スカフローラ対16を構成する2本のローラの内、記録媒体MRCの下方に位置するローラのみが図示しない駆動モータによって回転駆動されている。他方のローラは記録媒体MRCを挟んで自重により下方に付勢され、従動回転している。
【0049】
図1に示すように電子写真プリンタ1に於いては、感光ドラム2上に現像された未定着のトナー像が転写帯電器6によって転写される転写位置から、定着ユニット20によって該トナー像が定着される定着位置までの間を含め、記録媒体MRCが搬送される搬送経路が、略直線状で、かつ略水平となるように構成されている。このように記録媒体MRCの搬送経路を略直線状とすれば、記録媒体の搬送に当たって、該記録媒体を折り曲げることがなく、厚紙、薄紙、合成紙、樹脂フィルム媒体など、いわゆる特殊媒体の搬送も容易とすることが出来る。
【0050】
定着ユニット20は、ハウジング20a内に2本のフラッシュランプ21、反射板22、反射板22を冷却する放熱フィン23が設けられ、搬送ユニット15に対向するハウジング20aの前面には保護ガラス24が配置されている。反射板22と保護ガラス24で囲われ、内部にフラッシュランプ21を配する断面略台形形状の空間を、紙面表から裏方向にフラッシュランプの冷却エアが通り抜ける。フラッシュランプ後方には図示しないダクトが連通されており、吸引手段である冷却ブロア(図示せず)によって、冷却エアが吸引される。
【0051】
前述の通り、定着ユニット20の前面には、本体側通気ジョイント28(図3で図示)が設けられ、フロントパネルAに設けられた通気ジョイント31と継合し、フロントドアAを介してフラッシュランプ冷却エアを定着ユニット20内に導入する。
【0052】
定着ユニット20の反射板22は、内面が高い反射率を有するアルミニウム等の金属を板金加工して成形されている。但し、反射板22は、金属であると板金加工のため形状の自由度が低く任意の形状に成形することができないうえ重くなる。このため、反射板22は、金属蒸着したポリイミド等の耐熱性樹脂で成形してもよい。例えば、厚0.1〜0.5mm程度の厚さを有するポリイミドフィルムを真空成形によって所望の反射板形状に一体成形し、アルミニウム、銀、金等の金属を内面に蒸着して製造してもよい。
【0053】
定着ユニット20の下流側には、脱臭脱煙ダクト26も設けられている。脱臭脱煙ダクト26は、図1において電子写真プリンタ1の紙面表裏方向に配置され、搬送ユニット15側に開口を有し、内部には脱臭、脱煙用のフィルタとブロア等の吸引手段が設けられている。脱臭脱煙ダクト26は、主に定着後の記録媒体MRCの上面の空気を吸引し、電子写真プリンタ1の外部へ排出することで、主としてトナー像の定着によって発生するトナー成分の不快な臭気や煙を除去する。尚、この脱臭脱煙ダクト26内を流れるエアは、前述のフラッシュランプ冷却エアとは完全に分離されている。
【0054】
電子写真プリンタ1は以上のように構成され、以下に述べる電子写真方法により記録媒体MRCに未定着トナー像を定着して所望のプリントを行う。
【0055】
先ず、クリーニングユニット10で表面が清掃され、矢印A方向に一定の速度で回転する感光ドラム2は、除電ランプ11で表面の残留電荷が除去され、主帯電器3で一様に帯電される。
【0056】
次に、LEDプリントヘッド4が、感光ドラム2に光ビームを照射し、記録情報に対応した静電潜像を感光ドラム2の表面に形成する。この静電潜像は感光ドラム2の回転により、現像器5で現像され、未定着トナー像(可視像)となる。
【0057】
そして、感光ドラム2上に現像された未定着トナー像は、矢印Bで示した搬送経路に沿って搬送されてくる記録媒体MRC上に転写帯電器6で転写される。未定着トナー像が転写された記録媒体MRCは、分離帯電器7で感光ドラム2から離され、搬送ユニット15によって定着ユニット20へ搬送される。定着ユニット20では、フラッシュランプ21が発光し、発生した熱により未定着トナー像が溶融し記録媒体MRC上に定着される。
【0058】
電子写真プリンタ1においては、上記のようにして、記録情報に対応した画像が記録媒体MRC上に形成され、クリーニング前帯電器8での帯電、キャリア回収ユニット9でのキャリア回収、クリーニングユニット10での感光ドラム2の表面クリーニングの後、除電ランプ11によって感光ドラム2の残留潜像が消去されて、引き続く次の画像形成に供される。
【0059】
次に、トナー補給動作について説明する。
【0060】
図5に示すように、現像ユニット5に対し、略円筒形状のトナーカートリッジ29を、円筒周面に設けられたトナー補給開口29aを上側にして現像ユニット5長手方向に挿入する。挿入後トナーカートリッジ29を約半回転させると、トナー補給開口29aから、補給トナーが現像ユニット5内に落下、補給される仕組みとなっている。トナー補給開口29aは、透明シール29bで封止されており、現像ユニット5への挿入後透明シール29b端部を手前に引き抜くことで、透明シール29bが破れるようになっている。尚、この場合、トナーカートリッジ29そのものも画像形成装置に着脱可能な作像ユニットと見なすこととする。
【0061】
トナー補給に当たっては電子写真プリンタ1に向かって右側のフロントパネルBだけを開放すればよい。図2に示す様に、両フロントパネルA、Bの継ぎ目部は電子写真プリンタ1前面から見て、トナーカートリッジ29の装着位置とは干渉しない。よって、左側の吸気開口31およびダクト32を有するフロントパネルAは開放する必要がない。
【0062】
一方、図4は従来技術による電子写真プリンタ40を示す図である。図1と同じ部材には同じ部番を付している。
【0063】
図1と図4で電子写真プリンタ本体は全く同じである。しかしながら図4に示すようにフロントパネルのみが異なる。図4においては、両フロントパネルC、Dの継ぎ目部が電子写真プリンタ40の前面から見て、トナーカートリッジ29の装着位置と干渉している。よって、トナー補給に当たってはフロントパネルC、D双方を開放する必要がある。
【0064】
フロントパネルCを開放すると、フラッシュランプの冷却エアの為の本体側通気ジョイント28が、紙面前面に向かって開放されてしまう。前述のように、ランプ冷却には多量のエアが必要で、印字動作停止直後は多量の冷却エアがこの本体側通気ジョイント28を通って吸引されている。よって、トナー補給動作時に発生した飛散トナーが、この本体側ジョイン28を通って、定着ユニット20内に吸引され、フラッシュランプ21や保護ガラス24内面へ溶着し、結果、定着不良が発生するという問題が発生する。
【0065】
一方、繰り返しとなるが、本発明に基づく電子写真プリンタ1では、図2、3に示すように、トナー補給動作に当たって、フロントパネルAを開放する必要がない。よって、フラッシュランプ21の冷却エアは、現像ユニット5からは遠い位置にある、開口31から吸引されており、飛散トナーを吸引することなく、フラッシュランプ21や保護ガラス24内面へ飛散トナーが溶着し、結果、定着不良が発生するという問題が解消される。
【0066】
尚、本実施態様においては、ヒンジを用いて開閉可能に設けられたフロントパネルが用いられているが、この態様に限らず、スライド形式のドアやパネル類、画像形成装置本体に着脱可能に係止されるパネル類などの外装部材にも本発明はもちろん適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明に関わる電子写真プリンタの概略構成を示す図である。
【図2】本発明に関わる電子写真プリンタを前面より見た図である。
【図3】本発明に関わる電子写真プリンタの、フロントパネルの開閉を示す図である。
【図4】従来技術による電子写真プリンタを前面より見た図である。
【図5】トナー補給動作を示す図である。
【符号の説明】
【0068】
1.電子写真プリンタ
1b.導入口
1c.排出口
1e、1f.ステー
1g、1h.遮蔽板
2.感光ドラム
3.主帯電器
4.LEDプリントヘッド
5.現像ユニット
5c.現像ロール
5d.磁石
6. 転写帯電器
7.分離帯電器
8.クリーニング前帯電器
9.キャリア回収ユニット
10.クリーニングユニット
10b.ブラシローラ
11.除電ランプ
12.分離爪
13.ガイド板
14.トラクタ
10b.ブラシローラ
14.トラクタ
14a.トラクタピン
14b.トラクタベルト
15.搬送ユニット
15a.搬送ローラ
15b.搬送ベルト
16.スカッフローラ対
20.定着ユニット
21.フラッシュランプ
22.反射板
23.放熱フィン
24.保護ガラス
26.脱臭脱煙ダクト
27.表面電位センサ
28.本体側通気ジョイント
29.トナーカートリッジ
29a.トナー補給開口
29b.透明シール
31.吸気開口
32.ダクト
33.通気ジョイント
34.ヒンジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体に対し開閉又は着脱可能に設けられ、吸気開口及び吸気経路を内部に有する外装部材、前記吸気開口及び前記吸気経路を介して、外部空気を前記画像形成装置内に吸引する吸引手段、さらに前記画像形成装置本体に対し着脱可能に設けられ、内部にトナーを収容する作像ユニット、を少なくとも有する画像形成装置であって、前記外装部材の前記画像形成装置本体への装着状態において、前記作像ユニットの前記画像形成装置本体への着脱操作を可能としたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成装置が定着装置をさらに有し、前記吸引手段によって吸引される外部空気が、前記定着装置の冷却に用いられるものであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置
【請求項3】
前記定着装置がフラッシュ定着方式によるものであることを特徴とする、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記作像ユニットが補給トナーカートリッジを有するものであることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記トナーが磁性トナーであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
画像形成装置本体に対し開閉又は着脱可能に設けられ、吸気開口及び吸気経路を内部に有する外装部材、前記吸気開口及び前記吸気経路を介して、外部空気を前記画像形成装置内に吸引し、さらに前記画像形成装置本体に対し着脱可能に設けられ、内部にトナーを収容する作像ユニット、を少なくとも有する画像形成装置において、前記外装部材の前記画像形成装置本体への装着状態において、前記作像ユニットの前記画像形成装置本体への着脱操作を可能とすることを特徴とする画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−244535(P2009−244535A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−90169(P2008−90169)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000219314)東レエンジニアリング株式会社 (505)
【Fターム(参考)】