説明

画像形成装置及び画像形成装置の起動方法

【課題】エンジン部と、エンジン制御部と、コントローラとを備えた画像形成装置において、起動要因により確定までの時間が異なる起動情報を、起動要因にかかわらず、エンジン制御部がコントローラから可能な限り早く取得可能にする。
【解決手段】エンジン制御部30は、コントローラ40とPCIeバス70により通信可能に接続され、当該通信の確立前に、復帰信号制御部418により、起動情報を取得して起動処理を行う。コントローラ40は、起動要因を示す情報を専用信号線82で送信し、起動要因により確定までの時間が異なる情報を専用信号線84で送信する。エンジン制御部30は、専用信号線82から受信した情報を基に起動要因を判別し、起動要因に応じたタイミングで専用信号線84からの情報を取得する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び画像形成装置の起動方法に関し、特に、起動時間を短縮することができる画像形成装置及び当該画像形成装置の起動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プリンタ、複写機、ファクシミリ装置、スキャナなどの各装置の機能を1つの装置に収納した、MFP(Multi Functional Peripheral)と呼ばれる複合機能を有する画像形成装置が知られている。
【0003】
このような画像形成装置において、画像形成動作中の消費電力の低減だけでなく、画像形成動作を実行していない待機状態における消費電力の低減が強く求められており、そのために、必要最低限の機能ブロック以外への電源供給を停止する「省エネルギーモード」を設けることで消費電力の低減を図っている。
【0004】
また、省エネルギーモードから通常動作モードへの復帰時、及び、主電源オン時の通常動作モードの起動の際の処理時間を短縮することで、ユーザの待ち時間を低減することも強く求められている。
【0005】
MFPのような画像形成装置は、原稿画像の読み取り、記録用紙への作像など、画像処理に関する機械的動作を行うエンジン部と、エンジン部の動作を制御するエンジン制御部と、画像形成装置全体を制御するコントローラを有している。
【0006】
コントローラは、各種制御信号を生成し、通信接続の確立が必要な汎用バスなどを介する通信手段により、エンジン制御部へ伝送する。また、コントローラは、主電源オン時、及び、省エネルギーモードから通常動作モードへの復帰時には、エンジン制御部の起動処理に必要な情報(以下、起動情報という。)を前記通信手段によりコントローラからエンジン制御部へ送信し、エンジン制御部は起動情報を取得した後、エンジン部を起動する。
【0007】
ここで、主電源オン時と、省エネルギーモードから通常動作モードへの復帰時とでは、コントローラ自身の起動処理の有無に応じて、コントローラ及びエンジン制御部の動作が異なる。
【0008】
即ち、主電源オン時は、コントローラが起動されていないため、まずコントローラがCPUの初期化処理などを含む自身の起動処理を開始し、自身の起動処理の終了後に、コントローラ−エンジン制御部間の通信手段の通信接続を確立する。通信接続の確立が完了すると、エンジン制御部は、当該通信手段によりコントローラから起動情報を入手して起動処理を実行する。つまり、エンジン制御部は、コントローラが起動され、コントローラ−エンジン制御部間の通信接続が確立した後に起動処理を開始することになる。
【0009】
一方、省エネルギーモードから通常モードへの復帰時は、コントローラは既に起動されているため、直ちにコントローラ−エンジン制御部間の通信手段の通信接続の確立が行われ、エンジン制御部はコントローラから起動情報を入手し起動処理を開始することになる。
【0010】
従って、省エネルギーモードから通常動作モードへの復帰時に比べると、主電源オン時は、エンジン部の起動処理が終了するまでの待ち時間が長くなるという問題がある。
【0011】
この問題に対処した画像形成装置として、特許文献1に記載された画像形成装置がある。この画像形成装置では、直流レベル伝送手段のような通信接続の確立が不要な情報伝達手段をコントローラ−エンジン制御部間の通信手段とは別に起動情報専用に設け、起動情報として、起動要因(主電源オン、若しくは、省エネルギーモードから通常動作モードへの復帰)を示す情報、エンジン部における作像部を起動するか否かを示す情報、及び作像部の調整が必要か否かを示す情報(ここでは、エンジン部が画像形成動作、画像調整動作を行わずに経過した時間が閾値を超えたか否かを示す情報)をコントローラからエンジン制御部に送信する。エンジン制御部は、専用の情報伝達手段により受信した起動情報を基に、主電源オン時は、コントローラ−エンジン制御部間の通信手段の通信接続の確立を待たずに、起動処理の一つである定着装置の昇温制御を開始し、省エネルギーモードから通常動作モードへの復帰時は、エンジン部における作像部を起動するか否かを示す情報、及び作像部の調整が必要か否かに対応する情報を基に、それらの起動処理を行う。
【0012】
つまり、コントローラ−エンジン制御部間の通信手段の通信接続の確立処理と並行してエンジン制御部の起動処理の一部を実行することで、主電源オン時及び省エネルギーモードから通常動作モードへの復帰時の画像形成装置全体の起動時間を短縮している。
【0013】
特許文献1に記載された画像形成装置は、定着装置の加熱にハロゲンランプを用いるハロゲン定着方式等の、定着装置の昇温に長時間を要する定着方式を用いた画像形成装置においては、主電源オンからエンジン制御部の起動処理完了までの時間を効果的に短縮することができる。
【0014】
しかし、IH(Induction Heating:電磁誘導加熱)定着方式等の、定着装置の昇温を短時間で終えることのできる方式を用いた画像形成装置においては、エンジン制御部における起動処理時間は、定着装置の昇温制御時間よりも、感光体ドラム上に静電潜像を書き込むための光学系等を備える作像部の調整に要する時間の方が支配的となる。
【0015】
作像部の調整が必要か否かを示す情報は、コントローラにより作成されるため、コントローラが起動されている省エネルギーモードから通常動作モードへの復帰時よりもコントローラが起動されていない主電源オン時の方が、情報の内容が確定するまでの時間が長くなる。
【0016】
このため、特許文献1に記載された画像形成装置では、エンジン制御部は、省エネルギーモードから通常動作モードへの復帰時のみ、専用の情報伝達手段により作像部の調整が必要か否かを示す情報を取得しており、コントローラが起動されていない主電源オン時は通信手段の通信接続確立後に当該通信手段により取得している。従って、作像部の調整に要する時間が画像形成装置全体の起動時間を支配する画像形成装置においては、主電源オン時の起動時間を効果的に短縮することはできない。
【0017】
つまり、画像形成装置全体の起動処理時間に対して支配的な起動処理に関する起動情報を可能な限り早く取得して、画像形成装置全体の起動処理時間を短縮することが求められているにもかかわらず、起動要因により内容の確定までの時間が異なる起動情報についてはそれが実現されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、上記従来の問題に鑑みなされたものであって、その目的は、画像処理に関する機械的動作を行うエンジン部と、当該エンジン部の動作を制御するエンジン制御部と、当該エンジン制御部の起動処理に必要な複数の起動情報を生成し、通信接続の確立が不要な各起動情報専用の複数の情報伝達手段により前記エンジン制御部に送信するコントローラと、を有する画像形成装置において、起動要因により確定までの時間が異なる起動情報を起動要因にかかわらず、エンジン制御部がコントローラから可能な限り早く取得できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の画像形成装置は、画像処理に関する機械的動作を行うエンジン部と、当該エンジン部の動作を制御するエンジン制御部と、当該エンジン制御部の起動処理に必要な複数の起動情報を生成し、通信接続の確立が不要な各起動情報専用の複数の情報伝達手段を用いて、前記エンジン制御部に送信するコントローラとを有し、前記コントローラは、前記起動情報の内、起動要因を示す第1の起動情報を第1の情報伝達手段により送信し、起動要因により内容の確定までの時間が異なる第2の起動情報を当該起動情報の内容が確定したとき、第2の情報伝達手段により送信し、前記エンジン制御部は、前記第1の情報伝達手段から取得した前記第1の起動情報、及び予め取得した、前記第2の起動情報が確定すると予想されるタイミングを示す情報に基づいて、前記第2の情報伝達手段から前記第2の起動情報を取得する画像形成装置である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、画像処理に関する機械的動作を行うエンジン部と、当該エンジン部の動作を制御するエンジン制御部と、当該エンジン制御部の起動処理に必要な複数の起動情報を生成し、通信接続の確立が不要な各起動情報専用の複数の情報伝達手段により前記エンジン制御部に送信するコントローラとを有する画像形成装置において、起動要因により確定までの時間が異なる起動情報を起動要因にかかわらず、エンジン制御部がコントローラから可能な限り早く取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施形態の画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の画像形成装置においてコントローラが行うオン時起動処理の手順を示すフロー図である。
【図3】本発明の第1の実施形態の画像形成装置においてコントローラが行う省エネルギーモードから通常動作モードへの復帰時の起動処理の手順を示すフロー図である。
【図4】本発明の第1の実施形態の画像形成装置においてエンジン制御部が行う起動処理の手順を示すフロー図である。
【図5】図4に示す起動処理において主電源オンによる起動ではないときの手順を示すフロー図である。
【図6】図5に示す起動処理において定着先行立ち上げモードに設定されていないときの手順を示すフロー図である。
【図7】本発明の第1の実施形態の画像形成装置における書き込み処理部、作像部及び定着装置の概略構成を示す図である。
【図8】図7における転写ベルト上に形成される作像調整用パターンを示す図である。
【図9】本発明の第2の実施形態の画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の第2の実施形態の画像形成装置においてエンジン制御部が実行する起動処理の手順を示すフロー図である。
【図11】本発明の第3の実施形態の画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図12】本発明の第3の実施形態の画像形成装置においてエンジン制御部が実行する起動処理の手順を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
[第1の実施形態]
〈画像形成装置の構成〉
図1は、本発明の第1の実施形態の画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【0023】
この画像形成装置10は、画像処理に関する機械的動作を行うエンジン20と、エンジン20の動作を制御するエンジン制御部30と、画像形成装置10全体を制御するコントローラ40とを備えている。
【0024】
エンジン制御部30とコントローラ40は、PCI Express(登録商標)と称する通信規格に準拠した通信バス(以下、PCIe通信バスという。)70により接続されており、当該PCIe通信バス70を介して通信を行う。
【0025】
コントローラ40には、ユーザがコントローラ40に対して指示等を入力するための操作部52と、公衆通信網を介して外部装置との通信処理を行うNCU(Network Control Unit)54と、公衆回線を介したファクシミリ送受信処理を行うFCU(Facsimile Control Unit)56とが接続されている。
【0026】
エンジン20は、読み取り処理部201、書き込み処理部202、センサ203、負荷204、作像部205、及び定着装置206を有する。読み取り処理部201は、スキャナ(不図示)を動作させて原稿画像の読み取りを行う。書き込み処理部202は作像部205の感光ドラム(不図示)上に静電潜像を書き込む。センサ203は、用紙搬送路上の記録用紙の有無を検知する搬送路センサや、画像形成装置10に設けられたアクセスドアの開閉を検知するドアセンサ等である。負荷204は、センサ203の出力に応じて制御されるモータ、ソレノイド、クラッチ等である。作像部205は、感光体ドラム上に形成された静電潜像を現像し、記録用紙に転写して記録用紙上に画像を形成する。定着装置206は記録用紙に転写された画像を加熱して定着する。
【0027】
なお、作像部205は、感光体ドラムのほか、感光体ドラムを帯電させる帯電部、感光体ドラム上の静電潜像にトナーを吸着させて現像する現像部、及び感光体ドラム上のトナーを記録用紙に転写する転写部等により構成される。また、定着装置206は、記録用紙上に転写されたトナーを加熱定着する定着ローラ、及び記録用紙を定着ローラに押し当てる加圧ローラ等により構成される。
【0028】
エンジン制御部30は、エンジン20を制御するコンピュータであり、CPU(Central Processing Unit)302と、プログラムが書き込まれたROM(Read Only Memory)304と、データの一時記憶のためのRAM(Random Access Memory)306と、エンジン20の制御に用いる調整値等を記憶するEEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)308と、センサ203の出力を参照しながら負荷204などの制御を行うIO(Input/Output)制御部310と、読み取り処理部201により読み取られた画像データのMTF(Modulation Transfer Function:空間周波数)補正、画質補正等を行う画像処理部312と、を備えている。
【0029】
コントローラ40は、画像形成装置10全体を制御するコンピュータであり、CPU402と、制御プログラムを格納したROM404と、CPU402が使用する作業用メモリであるRAM406と、例えばリチウム電池と時計を内蔵し、電源断時にRAM406の記憶内容を記憶させておくNV−RAM(Non Volatile RAM)408と、を有している。
【0030】
また、コントローラ40は、画像データの一時保存に用いられるフレームメモリ410、CPU402によるプログラム実行のために当該プログラムをROM404からダウンロードしておくワークメモリ412と、画像データ等を記憶するHDD(Hard Disk Drive:固定ディスク装置)414と、上記各部を接続するシステムバス、及びシステムバスの通信制御やフレームメモリ410の動作制御等を行なうASIC(Application Specific Integrated Circuit:特定用途向け集積回路)416と、を有している。
【0031】
さらに、コントローラ40は、エンジン制御部30に対し、エンジン制御部30における起動処理に必要な情報である起動情報をエンジン制御部30のCPU302に対して出力する復帰信号制御部418を有している。
【0032】
この復帰信号制御部418から出力される情報は、専用信号線82、84、86を介してエンジン制御部30のCPU302へ送信される。これらの専用信号線82、84、86は、それぞれ、復帰信号制御部418から低レベル又は高レベルの電圧信号を出力することにより、エンジン制御部30における起動処理に必要な特定の起動情報を示す。
【0033】
各専用信号線82、84、86の出力信号が示す起動情報の内容は、予め定めておくことができる。即ち、例えば、専用信号線82は、主電源オンによる起動処理か否か、専用信号線84は、前回の作像動作終了からの経過時間(以下、作像停止時間という。)が所定時間に達したか否か、専用信号線86は、省エネルギーモードから通常動作モードへの復帰(以下、省エネ復帰という。)の要因がNCU54からの要求であるか否かを示すものとすることができる。
【0034】
復帰信号制御部418は、操作部52の入力内容や、NCU54又はFCU56が受信した印刷要求等の情報に基づいて起動情報を生成し、各専用信号線82、84、86を介して、各起動情報をエンジン制御部30のCPU302に送信する。
【0035】
〈画像形成装置の起動処理〉
次に、画像形成装置10の起動処理の動作手順について、コントローラ40における起動処理と、エンジン制御部30における起動処理に分けて、順次説明する。
【0036】
(1)コントローラ40における起動処理
コントローラ40における起動処理には、主電源オン時の起動処理(オン時起動処理)と、省エネ復帰時の起動処理(復帰時起動処理)がある。
【0037】
まず、オン時起動処理の手順について、図2に示すフロー図にしたがって説明する。この図のフローは、ユーザが画像形成装置10の主電源を投入することにより開始される。
【0038】
まずコントローラ40のCPU402は、ROM404に格納されたプログラムに従い、例えばHDD414に記憶されている起動処理プログラムをワークメモリ412にダウンロードして、CPU402の初期設定など、自身の起動処理を行う(S101)。
【0039】
次に、コントローラ40は、復帰信号制御部418から、主電源オン時の起動処理であることを示す信号を、専用信号線82によりエンジン制御部30のCPU302に送信する(S102)。
【0040】
次いで、NV−RAM408に保存されている前回の作像動作を終了した時刻情報と、図示しない時計により生成される現在時刻情報と、NV−RAM408に保存されている所定時間情報とから、作像停止時間が所定時間を達したか否かを示す情報(以下、停止時間情報という。)を生成し、専用信号線84によりエンジン制御部30のCPU302に送信する(S103)。
【0041】
また、コントローラ40は、エンジン制御部30との、PCIe通信バス70による通信接続を確立した後(S104)、エンジン制御部30に対し起動処理の実行を指示する起動要求コマンドを送信する(S105)。さらに、エンジン制御部30からの起動情報問合せ(専用信号線82、84、86で与えられる起動情報以外の起動情報の問合せ)に対する応答等、エンジン制御部30の起動処理に必要なその他の処理を実行して(S106)、オン時起動処理を終了する。なお、S104の開始をS102、S103と並行して実施してもよい。
【0042】
次に、復帰時起動処理の手順について、図3に示すフロー図にしたがって説明する。なお、画像形成装置10は、操作部52に対する操作が行われないまま所定時間を経過したとき、又はNCU54を介したネットワークから動作要求(例えば印刷要求)が受信されないまま所定時間が経過したときに、省エネルギーモードに移行する。また、省エネルギーモードへの移行後は、NCU54がネットワークから動作要求を受信したときや、ユーザが操作部52を操作したときに、通常動作モードへ復帰する。
【0043】
処理を開始すると、コントローラ40は、復帰信号制御部418により、省エネ復帰時の起動処理であることを示す情報を、専用信号線82によりエンジン制御部30のCPU302に送信する(S201)。次に、省エネ復帰時要因が、ネットワークからの動作要求を受信したことによるものか否かを示す情報を、専用信号線86によりエンジン制御部30のCPU302に送信する(S202)。
【0044】
また、コントローラ40は、作像停止時間情報、即ち作像停止時間が所定時間に達したか否かを示す情報を生成し、専用信号線84によりエンジン制御部30のCPU302に送信する(S203)。
【0045】
続いて、PCIe通信バス70によるエンジン制御部30との通信接続を確立し(S204)、エンジン制御部30へ起動処理の開始を指示する起動要求コマンドを送信した後(S205)、エンジン制御部30からの起動情報問合せに対する応答等、起動に必要なその他の処理を実行して(S206)、復帰時起動処理を終了する。
【0046】
(2)エンジン制御部30における起動処理
次に、エンジン制御部30における起動処理について、図4乃至図6に示すフロー図にしたがって説明する。ここで、図4は画像形成装置10においてエンジン制御部30が行う起動処理の手順を示すフロー図、図5は図4に示す起動処理において主電源オンによる起動ではないときの手順を示すフロー図、図6は図5に示す起動処理において定着先行立ち上げモードに設定されていないときの手順を示すフロー図である。
【0047】
エンジン制御部30は、例えばエンジン制御部30へ通電が開始されることにより、起動処理を開始する。また、エンジン制御部30への通電は、ユーザが画像形成装置10の主電源をオンした場合に開始されるほか、省エネルギーモードへの移行時に断となった後、通常動作モードへ復帰する際に、コントローラ40からの指示を受けた電源部(不図示)により開始される。
【0048】
エンジン制御部30は、起動処理を開始すると、CPU302が、主電源オンによる起動処理であるか否かを示す情報を専用信号線82から取得し、当該起動処理が主電源オンによるものであるか否かを判断する(S301)。
【0049】
ここで、上記「主電源オンによる起動処理であるか否かを示す信号」は、図2のステップS102(主電源オン時の起動処理の場合)又は図3のステップS201(省エネ復帰時の起動処理の場合)により出力される。
【0050】
省エネ復帰時の起動処理と判断した場合には(S301:NO)、「A」に移行する。「A」に移行後の手順については、図5を用いて後述する。一方、主電源オンによる起動と判断した場合には(S301:YES)、定着装置206の昇温制御を開始し(S302)、定着装置206が所定温度(予め定められた一定温度)まで到達すると(S303:YES)、昇温制御を停止し、定着装置206の昇温制御(起動制御)は終了する(S304)。
【0051】
また、定着装置206の昇温制御(S302、S303)と並行して、必要に応じて、作像部205の調整動作(以下、作像調整動作という。)を実行する。なお、この作像調整動作の詳細については、図7及び図8を用いて後述する。
【0052】
CPU302は、作像調整動作を行う必要があるか否かを判断するために、専用信号線84から、停止時間情報を取得する。図2の説明にて前述したように、この停止時間情報は、コントローラ40に搭載された時計機能による時刻情報を下に、コントローラ40が停止時間を算出し、所定時間に達したか否かを判断することで確定されるため、情報の内容が確定するまでに、一定の時間が必要となる。そこで、エンジン制御部30は、予め見積もられた一定時間(情報の内容が確定すると予想される時間)待機し(S305)、一定時間経過後に専用信号線84から情報を読み出し、停止時間情報を取得する(S306)。
【0053】
エンジン制御部30は、専用信号線84から停止時間情報を取得した後、その他の作像調整動作実行条件である温度情報及び湿度情報を取得する(S307)。そして、停止時間情報と、温度情報及び湿度情報とに基づき、作像調整動作が必要か否かを判断する(S308)。
【0054】
判断の結果、作像調整動作が不要な場合には(S308:NO)、定着装置206の昇温制御終了(S304)を待って、エンジン制御部30の起動処理が終了する。一方、作像調整動作が必要な場合には(S308:YES)、作像調整動作を実行し(S309)、調整動作完了(S310:YES)と、定着装置206の昇温制御終了(S304)を待って、エンジン制御部30の起動処理が終了する。
【0055】
次に省エネ復帰時の起動処理と判断した場合(S301:NO)について、図5を用い説明する。
まず、CPU302は、ネットワークからの復帰要求であるか否かを復帰信号制御部418の専用信号線86からの情報により判断する(S311)。
【0056】
判断の結果、ネットワークからの復帰要求ではない場合は(S311:NO)、定着先行立ち上げモード(詳細については後述する)に設定されているか否かを判断する処理(S312)を行わずに、定着装置206の昇温制御の開始処理(S313)、及び専用信号線84からの停止時間情報の取得処理(S316)に移行する。
【0057】
ネットワークからの復帰要求であると判断した場合には(S311:YES)、ユーザの要望に応じて選択が可能な、定着先行立ち上げモードに設定されているか否かの判断処理を行う(S312)。
【0058】
ここで、定着先行立ち上げモードとは、ネットワークからの復帰要求時に、復帰要因(プリント要求であるか、スキャナ要求であるか)に関係なく、定着装置206の昇温制御を開始し、プリント要求時の印刷終了時間を短縮するためのモードである。ただし、スキャナ要求のみの場合にも、定着装置206への電力供給を行い、無駄な電力を消費することになる為、ユーザの要望に応じてモード選択できる構成としている。
【0059】
定着先行立ち上げモードに設定されていない場合には(S312:NO)、「B」に移行する。「B」に移行後の手順については、図6を用いて後述する。定着先行立ち上げモードに設定されている場合には(S312:YES)、定着装置206の昇温制御の開始処理(S313)、及び専用信号線84からの停止時間情報の取得処理(S316)に移行する。
【0060】
定着装置206の昇温制御を開始し(S313)、所定温度まで到達すると(S314:YES)、昇温制御を停止し、定着装置206の起動制御は完了する(S315)。S313乃至S315は図4におけるS302乃至S304と同じである。
【0061】
また、定着装置206の昇温制御(S313、S314)と並行して、必要に応じて、作像調整動作を実行する。図4で説明した主電源オン時の起動処理フローでは、一定時間待機してから(S305)、専用信号線84の読み出しを行って停止時間情報を取得するが(S306)、省エネ復帰時には、コントローラ40は動作状態であり、リアルタイムで専用信号線84の出力信号を制御しているため、待機時間無しでエンジン制御部30が停止時間情報を取得することができる。
【0062】
エンジン制御部30は、専用信号線84から停止時間情報を取得した後、その他の作像調整動作実行条件である温度情報及び湿度情報を取得する(S317)。そして、停止時間情報と、温度情報及び湿度情報とに基づき、作像調整動作が必要か否かを判断する(S318)。
【0063】
判断の結果、調整動作が不要な場合には(S318:NO)、定着装置206の昇温制御終了(S315)を待って、エンジン制御部30の起動処理が終了する。一方、作像調整動作が必要な場合には(S318:YES)、作像調整動作を実行し(S319)、作像調整動作完了(S320:YES)と、定着装置の昇温制御終了(S315)を待って、エンジン制御部30の起動処理が終了する。S316乃至S320は図4におけるS306乃至S310と同じである。
【0064】
次に定着先行立ち上げモードに設定されていない場合(S312:NO)について、図6を用い説明する。
CPU302は、コントローラ−エンジン制御部間の通信確立を待ち(S321)、コントローラ40から起動要求コマンドを受信(S322)した後、コマンドに基づいて、作像動作有りの起動要求であるか否か、即ち作像部25の動作が必要であるか否かを判断する(S325)。
【0065】
また、上述のS321、S322と並行して、復帰信号制御部418の専用信号線84から停止時間情報を取得し(S323)、その他の作像調整動作実行条件である温度情報及び湿度情報を取得する(S324)。
【0066】
S325における判断の結果、作像動作が必要な場合には(S325:YES)、定着装置206の昇温開始処理(S326)に移行する。定着装置206が所定温度まで到達すると(S327:YES)、定着装置206の昇温制御を停止し、定着装置206の起動制御は完了する(S328)。S326乃至S328は図4におけるS302乃至S304と同じである。
【0067】
また、定着装置206の昇温制御(S326乃至S328)と並行して、必要に応じて、作像調整動作を実行する。S329における判断の結果、作像調整動作不要と判断した場合には(S329:NO)、定着装置206の昇温制御終了(S328)を待って、エンジン制御部30の起動処理が終了する。一方、作像調整動作が必要と判断した場合には(S329:YES)、作像調整動作を実行し(S330)、作像調整動作完了(S331:YES)と、定着装置206の昇温制御終了(S328)を待って、エンジン制御部30の起動処理が終了する。
【0068】
〈作像調整動作〉
次に図7及び図8を用いて、作像調整動作について説明する。ここで図7は図1におけるエンジン20のうち、書き込み処理部202、作像部205、及び定着装置206の概略構成を示す図であり、図8は図7における転写ベルト上に形成される作像調整用パターンを示す図である。
【0069】
作像調整には、画像濃度調整と画像位置調整があり、いずれの調整も像担持体としての転写ベルト上に形成するトナー像に基づいて行われる。即ち、画像濃度調整と画像位置調整を行うときには、通常の画像形成動作とは別に、所定のタイミングで転写ベルト108(図7、図8)上にトナー像141(図8)を形成する。
【0070】
画像濃度調整(第1調整工程)は次のように行われる。まず、感光体ドラム101上にトナー像(複数のパッチパターンである。)を形成する。ここで、感光体ドラム101上へのトナー像の形成は、帯電部102による帯電工程、書き込み処理部202による露光工程、及び現像部104による現像工程によって行う。
【0071】
次に、感光体ドラム101上に形成されたトナー像141が、転写ベルト108上に転写される。ここで、複数のパッチパターンとしてのトナー像141は、転写ベルト108の幅方向(図8中の矢印方向に直交する方向である。)の端部であって、光センサ120による検出が可能な位置に形成されたものである。さらに、これらのトナー像141は、画像濃度が段階的に異なるように、現像バイアスを変化させて形成されたものである。
【0072】
そして、画像濃度がそれぞれ異なるように形成されたトナー像141は、転写ベルト108の矢印方向への走行によって、光センサ120の位置を順次通過することになる。そして、光センサ120によって、それぞれのトナー像141の画像濃度が検出される。
【0073】
ここで、光センサ120は、発光素子と受光素子とからなり、検出対象物(この場合、トナー像141である。)からの反射光量の大きさによって画像濃度を検出する。
【0074】
その後、光センサ120による検出結果はエンジン制御部30(図1)に送信される。エンジン制御部30では、送信された検出結果に基づいて、画像濃度とそれに係わる作像条件との関係を求める。具体的には、現像バイアスを変化させたときの画像濃度の変化を示す回帰直線を求める。そして、求めた結果に基づいて、最終的に、最適な画像濃度(目標画像濃度)を得るための作像条件を決定する。最後に、決定された作像条件に基づいて、現像バイアス、帯電電位、潜像電位のうち少なくとも1つを調整する。
【0075】
画像位置調整(第2調整工程)は次のように行われる。まず、画像濃度調整(第1調整工程)と同様に、感光体ドラム101上に複数のトナー像を形成する。ここで、感光体ドラム101上に形成されるトナー像は、画像濃度調整時のものとは異なり、現像バイアスを固定して形成したものである。
【0076】
なお、画像位置調整にて形成するトナー像としては、本実施形態とは異なり、画像濃度調整時のものよりもピッチが細かく、矩形パターンの他に平行四辺形パターンを用いることもできる。さらに、転写ベルト108の幅方向の両端にそれぞれトナー像を形成して、それらのトナー像を両端に設けた2つの光センサ120でそれぞれ検出することもできる。その場合、それらの結果に基づいて、スキュー調整モータの調整量を定めることができる。
【0077】
次に、感光体ドラム101上に形成されたトナー像141が、転写ベルト108上に転写される。そして、等間隔に形成された複数のトナー像141は、転写ベルト108の矢印方向への走行によって、光センサ120の位置を順次通過することになる。
【0078】
そして、光センサ120によって、それぞれのトナー像141の位置が検出される。詳しくは、隣接するトナー像のピッチや、トナー像の傾き等が検出される。
【0079】
その後、光センサ120による検出結果はエンジン制御部30に送信される。エンジン制御部30では、送信された検出結果に基づいて、転写ベルト108上におけるトナー像の画像位置ズレを求める。そして、求めた結果に基づいて、最終的に、画像位置ズレのない最適な画像を得るための作像位置を決定する。最後に、決定された作像位置に基づいて、潜像の書込みタイミング、転写ベルト108の走行タイミング、のうち少なくとも1つを調整する。
【0080】
ここで、上述の画像濃度調整(第1調整工程)と、画像位置調整(第2調整工程)の双方を行う場合には、画像位置調整を先に行う。さらに、画像位置調整から画像濃度調整に至る間、現像部104は停止することなく駆動される。これは、画像位置調整で形成されるトナー像141が、その位置を検出するためのものであって、現像部104内の現像剤が安定しないことによる画像濃度変動があってもその調整制御に影響しないことによる。
【0081】
これに対して、画像濃度調整で形成されるトナー像141は、その画像濃度に基づいて作像条件を決定するものであるために、現像部104内の現像剤が充分に安定した後に調整制御を行う必要がある。
【0082】
本実施形態では、先行して行われる画像位置調整中、現像部104は動作しているために、画像濃度調整が開始されるときにはトナー帯電量やトナー濃度が充分に安定していることになる。これによって、複数の調整制御が効率よく高精度に行われる。
【0083】
以上説明したように、本実施形態の画像形成装置10によれば、エンジン制御部30は、装置の起動要因に応じて確定までの時間が異なる停止時間情報を装置の起動要因にかかわらず、PCIe通信バス70の接続の確立前に専用信号線84から取得し、必要に応じて、装置全体の起動処理時間の支配要因である作像調整動作をPCIe通信バス70の接続の確立と並行して行うことができるので、装置の起動要因にかかわらず、装置全体の起動時間を短縮して、ユーザの待ち時間を短縮することができる。
【0084】
また、ネットワークからの復帰要求時に、作像部205の使用の有無(プリント要求であるか、スキャナ要求であるか)に関係なく、定着装置206の昇温制御を開始する定着先行立ち上げモードを設けたので、プリント要求時の印刷終了時間を短縮することができる。
【0085】
さらに、定着先行立ち上げモードをユーザの必要に応じて設定可能にしたので、スキャナ要求のみの場合のような作像部205を使用しない場合にも定着装置206への電力供給を行うことによる無駄な電力消費をなくすことができる。
【0086】
[第2の実施形態]
〈画像形成装置の構成〉
図9は、本発明の第2の実施形態の画像形成装置の構成を示すブロック図である。この図において、図1(第1の実施形態)と同じ部分には、図1と同じ参照符号が付されている。
【0087】
本実施形態の画像形成装置12は、第1の実施形態の画像形成装置10と同様の構成を有するが、第1の実施形態におけるエンジン制御部30の代わりに、第1の実施形態とは異なる起動プログラムを記憶したROM314を有するエンジン制御部32を有する点が異なる。よって、その他の構成に関する説明を省略する。
【0088】
〈画像形成装置の起動処理〉
図10は、本発明の第2の実施形態の画像形成装置においてエンジン制御部32が実行する起動処理の手順を示すフロー図である。なお、コントローラ40の起動処理は第1の実施形態(図2、図3)と同じである。
【0089】
この図において、S401乃至S404は図4(第1の実施形態)のS301乃至S304と同じである。また、S405乃至S408も図4のS305乃至S308と同じである。さらに、S408:YESに続くS409及びS410も図4のS308:YESに続くS309及びS310と同じである。なお、S401:NOの移行先は第1の実施形態と同じ(図5)であるため省略した。図4と異なるのは、S408:NOに続くS411乃至S413である。
【0090】
即ち、第1の実施形態(図4)では、作像調整動作が不要と判断した場合(S308:NO)、定着装置206の昇温制御終了(S304)を待って、エンジン制御部30の起動処理が終了するのに対し、本実施形態では、作像調整動作が不要と判断した場合(S408:NO)、S411乃至S413を実行する。
【0091】
即ち、まずコントローラ−エンジン制御部間の通信接続の確立を待って(S411)、受信コマンドから停止時間情報を取得し(S412)、その結果に基づき作像調整動作の実行判断を再度実施する(S413)。再判断の結果、作像調整動作が必要な場合には(S413:YES)、作像調整動作を実行し(S409)、作像調整動作完了(S410:YES)と、定着装置206の昇温制御終了(S404)を待って、エンジン制御部30の起動処理が終了する。再判断でも作像調整動作が不要な場合には(S413:NO)、定着装置206の昇温制御完了(S404)を待って、エンジン制御部30の起動処理が終了する。
【0092】
つまり、専用信号線84から停止時間情報、及び温度情報、湿度情報に基づいて作像調整動作が不要と判断した場合のみ(S408:NO)、コントローラ−エンジン制御部間の通信接続確立後に、受信コマンドによる再判断を実行する。この制御フローを追加することにより、待機時間の設定ミスなどにより、専用信号線84から正確な停止時間情報を取得できなかった場合でも、必要な作像調整動作が省略されるのを防止することができる。
【0093】
[第3の実施形態]
〈画像形成装置の構成〉
図11は、本発明の第3の実施形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。この図において、図1(第1の実施形態)と同じ部分には、図1と同じ参照符号が付されている。
【0094】
本実施形態の画像形成装置14は、第1の実施形態に係る画像形成装置10と同様の構成を有するが、コントローラ及びエンジン制御部の構成が少し異なる。即ち、第1の実施形態におけるコントローラ40内の復帰信号制御部418は専用信号線82、84、86を備えているのに対し、本実施形態におけるコントローラ42内の復帰信号制御部420は、専用信号線82、84、86に加えて、専用信号線84から出力される停止時間情報が確定したことを示す情報を出力する専用信号線88を備えている。また、エンジン制御部34は、第1の実施形態とは異なる起動プログラムを記憶したROM316を有する。その他の構成は第1の実施形態と同じである。
【0095】
この専用信号線88に出力される情報は、例えば、低レベルでは専用信号線84の出力内容、即ち停止時間情報が不確定であることを示し、高レベルとなることにより確定であることを示すものであり、エンジン制御部34内のCPU302の外部割り込みポートに入力される。
【0096】
〈画像形成装置の起動処理〉
図12は、本発明の第3の実施形態の画像形成装置においてエンジン制御部34が実行する起動処理の手順を示すフロー図である。
【0097】
この図において、S501乃至S504は図4(第1の実施形態)のS301乃至S304と同じである。また、S506乃至S510も図4のS306乃至S310と同じである。なお、S501:NOの移行先は第1の実施形態と同じ(図5)であるため省略した。図4と異なるのはS505である。
【0098】
即ち、第1の実施形態(図4)では、一定時間待機し(S305)、その後に停止時間情報の読み出しを行うのに対し(S306)、本実施形態では、停止時間情報が確定したことを示す情報の受信を待機し(S505)、受信(取得)後に停止時間情報の読み出しを行う(S506)。
【0099】
本実施形態によれば、正確な停止時間情報を可能な限り早く、取得することができる。
【符号の説明】
【0100】
10,12,14…画像形成装置、20…エンジン、30,32,34…エンジン制御部、40,42…コントローラ、52…操作部、54…NCU、56…FCU、70…PCIe通信バス、82,84,86,88…専用信号線、205…作像部、206…定着装置、302,402…CPU、304,314,316,404…ROM,306,406…RAM、418,420…復帰信号制御部。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0101】
【特許文献1】特開2007−301765号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像処理に関する機械的動作を行うエンジン部と、当該エンジン部の動作を制御するエンジン制御部と、当該エンジン制御部の起動処理に必要な複数の起動情報を生成し、通信接続の確立が不要な各起動情報専用の複数の情報伝達手段を用いて、前記エンジン制御部に送信するコントローラとを有し、
前記コントローラは、前記起動情報の内、起動要因を示す第1の起動情報を第1の情報伝達手段により送信し、起動要因により内容の確定までの時間が異なる第2の起動情報を当該起動情報の内容が確定したとき、第2の情報伝達手段により送信し、前記エンジン制御部は、前記第1の情報伝達手段から取得した前記第1の起動情報、及び予め取得した、前記第2の起動情報が確定すると予想されるタイミングを示す情報に基づいて、前記第2の情報伝達手段から前記第2の起動情報を取得する画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載された画像形成装置において、
前記第2の起動情報は、前記エンジン部の前回の作像動作の終了からの経過時間が所定の時間に達しているか否かを示す経過情報であり、
前記エンジン制御部は、前記経過時間が前記所定の時間に達していることを示すとき、前記エンジン部における作像調整を制御する画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載された画像形成装置において、
前記作像調整は、前記エンジン部が記録用紙上に形成する画像の濃度又は位置の調整である画像形成装置。
【請求項4】
請求項2に記載された画像形成装置において、
通信接続の確立が必要なコントローラ−エンジン制御部間の通信手段を有し、
前記エンジン制御部は、前記第1の起動情報が示す起動要因が省エネルギーモードから通常動作モードへの復帰のとき、前記通信手段の通信接続の確立前に、前記エンジン部における定着部の昇温制御を開始する定着先行立ち上げを実行する画像形成装置。
【請求項5】
請求項4に記載された画像形成装置において、
ユーザの指示に基づいて、前記定着先行立ち上げを実行するか否かを設定するモード選択手段を有する画像形成装置。
【請求項6】
請求項5に記載された画像形成装置において、
前記コントローラは、前記起動情報として、前記起動要因がネットワークからの復帰要求であるか否かを示す第3の起動情報を第3の情報伝達手段により送信し、前記エンジン制御部は、前記起動要因がネットワークからの復帰要求であり、かつ前記定着先行立ち上げを実行するモードに設定されているとき、前記第2の情報伝達手段により取得した第2の起動情報に基づいて、前記エンジン部における作像調整を実施するか否かを判断する画像形成装置。
【請求項7】
請求項2に記載された画像形成装置において、
通信接続の確立が必要なコントローラ−エンジン制御部間の通信手段を有し、
前記エンジン制御部は、前記第2の情報伝達手段により取得した経過情報に基づいて、前記エンジン部における作像調整を実施しないと判断した場合、前記通信手段により再度前記経過情報を取得し、当該経過情報に基づいて、前記エンジン部における作像調整を実施するか否かを再度判断する画像形成装置。
【請求項8】
請求項1に記載された画像形成装置において、
前記コントローラは、前記第2の情報伝達手段により伝達される第2の起動情報が確定したことを示す第4の起動情報を第4の情報伝達手段により送信し、前記エンジン制御部は、当該第4の情報伝達手段により当該第4の起動情報を取得したとき、前記第2の情報伝達手段により前記第2の起動情報を取得する画像形成装置。
【請求項9】
画像処理に関する機械的動作を行うエンジン部と、当該エンジン部の動作を制御するエンジン制御部と、当該エンジン制御部の起動処理に必要な複数の起動情報を生成し、通信接続の確立が不要な各起動情報専用の複数の情報伝達手段を用いて、前記エンジン制御部に送信するコントローラとを有する画像形成装置の起動方法であって、
前記コントローラが、前記起動情報の内、起動要因を示す第1の起動情報を第1の情報伝達手段により送信する工程と、
前記コントローラが、起動要因により内容の確定までの時間が異なる第2の起動情報を当該起動情報の内容が確定したとき、第2の情報伝達手段により送信する工程と、
前記エンジン制御部が、第1の情報伝達手段から前記第1の起動情報を取得する工程と、
前記エンジン制御部が、前記第1の情報伝達手段から取得した第1の起動情報、及び予め取得した、前記第2の起動情報が確定すると予想されるタイミングを示す情報に基づいて、前記第2の情報伝達手段から前記第2の起動情報を取得する工程と、
を有する画像形成装置の起動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−210802(P2012−210802A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260575(P2011−260575)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】